PEG−尿酸酸化酵素結合体およびその使用
【課題】血液および尿を含む体液中の尿酸レベルの上昇を低下させるための安全で有効な代替手段を提供する。
【解決手段】単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは実質的に四量体形態で存在し、該ウリカーゼの10%未満が非四量体の凝集体形態であり、該ウリカーゼはキメラである、ウリカーゼを提供する。
【解決手段】単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは実質的に四量体形態で存在し、該ウリカーゼの10%未満が非四量体の凝集体形態であり、該ウリカーゼはキメラである、ウリカーゼを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の循環寿命を延長し、かつタンパク質の免疫原性を減少させるタンパク質の化学修飾に関する。より詳細には、本発明は、尿酸分解活性を失うことなく尿酸酸化酵素の免疫原性を実質的に排除する、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)と尿酸酸化酵素との結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
[政府権利の記載] 本出願中に記載された研究の一部は、国立衛生研究所の助成金DK4
8529の支援を用いて行われた。従って、合衆国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0003】
[発明の背景] この背景の節に含まれる記載は、先行技術の承認から構成されていない代
わりに、本発明が行われた際の先行技術の記載に対する本発明者ら自身の主観的なコメントおよび解釈を反映する。これらの解釈は、個人的な以前に開示されていない本発明に関する洞察を含み得るが、洞察自体が先行技術の一部ではない。
【0004】
尿酸酸化酵素(ウリカーゼ、E.C.1.7.3.3)は、尿酸のより可溶な生成物で、より容易に排泄されるプリン代謝産物であるアラントインへの酸化を触媒する酵素である。ヒトは、高等な霊長類の進化過程で必要なウリカーゼ遺伝子のいくつかの変異の結果として酵素活性ウリカーゼを産生しない(非特許文献1)。結果として、感受性を示す個体では、血液(高尿酸血症)および尿(高尿酸尿症)における過剰濃度の尿酸により、有痛性の関節炎(痛風)、外観を損なう尿酸蓄積物(痛風結節)、および腎不全を発症し得る。何人かの罹患個体では、アロプリノール(尿酸合成のインヒビター)などの利用可能な薬物は、治療を制限する副作用を示すか、これらの病状を適切に軽減しない(非特許文献2)。ウリカーゼ注射により、少なくとも一時的に高尿酸血症および高尿酸尿症を軽減することができる。しかし、ウリカーゼはヒトにおいて外来タンパク質であるので、アスペルギルス フラバス由来の非修飾タンパク質の最初の注射でさえ治療患者の数%でアナフ
ィラキシー反応(非特許文献3)および長期にわたる治療または断続的な治療の有用性を制限する免疫原性反応を誘導している(非特許文献4)。
【0005】
高尿酸血症に一部適切に利用可能な治療は、数十年間、認識されている(非特許文献5)。同様に、重篤な痛風を罹患した患者の一定の群が注射可能なウリカーゼの安全で有効な形態から利益を得ることができる可能性が長年認識されている(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13)。動物の器官由来のウリカーゼは、安全な注射による投与に適合する溶媒にほぼ不溶である(特許文献1)。植物または微生物由来の一定のウリカーゼは、医学的に受容可能な溶媒により可溶である。しかし、微生物酵素の注射によって、生命に危険を及ぼすようなアレルギー反応またはウリカーゼの不活化および/または循環からのクリアランスの促進を引き起こし得る免疫学的応答を即座に誘導する(非特許文献14)。ブタおよびヒヒを含む哺乳動物または昆虫(例えば、ドロソフィラ メラノガスターまた
はドロソフィラ シュードオブスキュラなど(非特許文献15)由来のウリカーゼの推定
アミノ酸配列に基づく酵素は、生理学的pHでの免疫原性および不溶性に問題があり臨床用の適切な候補ではなかった。
【0006】
ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)(両方ともPEGと呼ばれる)とタンパク質の共有結合による修飾を使用してタンパク質の半減期を延長し、免疫原性を減少させている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献16)。循環寿
命が延長し、そして/または免疫原性が増大する一方で機能的活性が保護されている結合体を作製するための高分子量のPEGとのカップリングは、別の酵素であるスーパーオキシドジムスターゼ(非特許文献17、特許文献5、特許文献6)および他の型のタンパク質、例えば、サイトカイン(非特許文献18、非特許文献19)については以前に示されていた。ウリカーゼのPEG以外のポリマーとの結合体も記載されている(特許文献7)。
【0007】
ほぼ全ての報告されたPEG化(PEGylate)ウリカーゼ(すなわち、PEGとウリカーゼとの共有結合)は、最初にPEGをアミノ末端残基および利用可能なリシン残基を含むアミノ基に結合させることを意図した。一般的に使用されるウリカーゼでは、それぞれの4つの同一のサブユニット中のリシンの総数は、25(アスペルギルス フラバス
(特許文献8))と29(ブタ(非特許文献20))との間である。リシンのいくつかは、酵素の天然の形態においてPEG化に利用できない。ウリカーゼの免疫原性の減少に最も一般的なアプローチは、低分子量のPEGの多数の鎖に結合させることであった。これにより、得られた結合体の酵素活性が常に大きく減少している。
【0008】
以前、研究者は、ウリカーゼ注射を用いてin vivoでの尿酸のアラントインへの変
換を触媒させていた(非特許文献3)。これは、フランスおよびイタリアでの、真菌アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼ(Unicozyme(商品名))を使用して血
液学的悪性腫瘍の細胞傷害性治療に関連する高尿酸血症を予防または一時的に正常にし、痛風患者の重篤な高尿酸血症を一時的に軽減することを基礎としている(非特許文献22、非特許文献23、特許文献24、特許文献25)。その循環寿命が短いために、Uricozyme(商品名)は、毎日注射する必要がある。さらに、その免疫原性のために長期治療にあまり適さない。
【0009】
5kDa PEGにカップリングしたキャンディダ ユティリス ウリカーゼ調製物の一回
の静脈内注射により、5人のヒト被験体での血清尿酸塩(平均注射前血清尿酸塩濃度は6.2mg/gLであり、これは正常範囲内である)が検出不可能なレベルまで減少した(非特許文献9)。4週間後、被験体にさらに注射を行ったが、その反応については報告されなかった。第2の(および最後の)注射後、比較的感度の低いゲル内拡散アッセイではウリカーゼに対する抗体は検出されなかった。この引例は、ヒト患者または実験動物の慢性または亜慢性治療の結果を報告していなかった。
【0010】
5kDa PEGに結合させたアースロバクター プロトフォーミア(Arthrobacter protoformiae)由来のウリカーゼ調製物を使用して、注射前の血清
尿酸塩濃度が15mg/dLである1人のリンパ腫患者で高尿酸血症が一時的に調節された(非特許文献12)。患者が危篤状態でかつ治療の継続時間が短かった(14日間に4回の注射)ので、結合体の長期の効果または安全性を評価することができなかった。
【0011】
本出願では、用語「免疫原性」は、PEG修飾または非修飾ウリカーゼの調製物(抗原)の注射組成物による免疫応答の誘導をいい、「抗原性」は、抗原と前から存在する抗体との反応をいう。集合的に、抗原性および免疫原性を、「免疫反応性」という。PEG−ウリカーゼの以前の研究では、免疫反応性を、1)PEG−ウリカーゼと予め形成した抗体とのin vitroでの反応、2)誘導された抗体合成の測定、および3)反復注射後
のクリアランスの促進速度を含む種々の方法で評価した。
【0012】
種々のリンカーを介したPEGの様々な数の鎖のカップリングによっていくつかの供給源由来のウリカーゼの免疫原性を排除するという以前の試みは、一部成功している。PEG−ウリカーゼは、最初、FF DavisならびにY. Inadaおよび同僚によって開示された(非特許文献6、特許文献11、非特許文献7、特許文献12、特許文献13)
。特許文献11で開示された結合体は、不特定の供給源のウリカーゼと2,000倍モル過剰の750ダルトンのPEGとの反応によって合成され、これは、多数のポリマー分子が各ウリカーゼサブユニットに付着しているらしいということを示した。'337特許は
、種々のポリペプチドホルモンおよび酸化還元酵素を含む酵素、ウリカーゼは、3つの例のうちの1つの活性で水溶性の、非免疫原性の結合体を得るための500〜20,000ダルトンの、好ましくは500〜5,000ダルトンの分子量のPEGまたはポリ(プロピレングリコール)のいずれかとのカップリングを開示している。さらに、'337特許
は、酵素分子あたり10〜100のポリマー鎖のカップリングおよび酵素活性の少なくとも40%の保持を強調している。ウリカーゼの利用可能なアミノ基へのPEGのカップリング範囲、残基特異性尿酸分解活性、または結合体の免疫反応性の試験結果は報告していなかった。
【0013】
ウリカーゼのPEG化に関する13報の引例からのデータを表1にまとめる。これらの結果のうちのいくつかも、図1A〜図2Bにグラフで示した。これらの刊行物のうち7報は、キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼへの種々の鎖数のPEGとのカップリング
によってin vitroで測定された尿酸分解活性の有意な減少が記載されている。ブ
タ肝臓ウリカーゼへの多数の鎖の5kDa PEGのカップリングは、同一のグループに
よるChenの刊行物およびシンポジウムの報告の両方に記載の結果と類似であった(非特許文献11、非特許文献6)。
【0014】
表1にまとめた研究のうち7報でPEG化によるウリカーゼの免疫反応性の減少および5報で消失が報告されていた。後者の5報の研究のうち3報では、免疫反応性の消失(多くとも初期活性の15%、28%、または45%)は、尿酸分解活性の顕著な減少に関連していた(非特許文献7(15%活性); 非特許文献11(28%活性); 非特許文献8(45%活性)。4番目の報告では、PEGは、61%の利用可能なリシン残基にカップリングされたと報告されているが、残基の比活性は記載されていなかった(非特許文献10)。しかし、2人の同一の科学者を含み同一の方法を使用した研究チームは、このカップリングの範囲が23%〜28%しか活性を残していないことを他で報告していた。非特許文献11、非特許文献10は、ウリカーゼの免疫原性を実質的に減少させるために、PEGを利用可能なリシン残基の約60%にカップリングさせるべきであることを示す(表1)。ウリカーゼの免疫原性が消失したと報告した5番目の刊行物は、PEGカップリングの範囲、残存尿酸分解活性、またはPEG−タンパク質結合の性質を開示していない(非特許文献23)。
【0015】
PEGとウリカーゼ中のリシン残基のより小さな画分との結合は減少したが、実験動物における免疫反応性は消失しなかった(非特許文献24:カップリングしたアミノ基の28%〜45%、非特許文献25:カップリングしたアミノ基の38%)。対応する付加物の残存尿酸活性は、最初の値の<33%(非特許文献24)〜60%(非特許文献25)の範囲であった。非特許文献24では、5kDa PEGに加えて7.5kDaおよび10
kDaのPEGを用いてPEG−ウリカーゼ結合体を合成した。得られた全ての結合体は、いくらか免疫原性および抗原性を示し、酵素活性の顕著な減少が示された(表1、図1A〜図1B)。
【0016】
5人のヒトに各々安全に2回投与したキャンディダ ユティリス由来のウリカーゼのPE
G化調製物は、最初の活性の11%しか保持されないと報告された(非特許文献9)。数年後、アースロバクター プロトフォーミア由来のPEG修飾ウリカーゼを、進行性リン
パ腫および重篤な高尿酸血症を罹患した1人の患者に4回投与した(非特許文献12)。その酵素調製物の残存活性が測定されていないが、非特許文献12では、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて、最初のPEG−ウリカーゼ注射から26日後の患者の血清中に抗ウリカーゼ抗体か存在しないことを示した。
【0017】
表1にまとめたように、PEG化ウリカーゼの以前の研究は、触媒活性がその免疫反応性を実質的に減少させるのに十分な数のPEG鎖のカップリングよって顕著に減少することを示す。さらに、PEG−ウリカーゼのほとんどの以前の調製物は、新規の抗原決定基を誘導し、ウサギにおける抗体の形成を誘導することが示されている塩化シアヌールであるトリアジン誘導体(2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン)で活性化したPEGを用いて合成されていた(非特許文献24)。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
特許文献14は、抗原性の減少および「改良された延長」作用を示す1〜12kDaの分子量のPEGで誘導体化されたウリカーゼを含む修飾タンパク質ならびにこのような誘導体化ペプチドの作製法を開示している。しかし、鎖の数、酵素アッセイ、生物学的試験、
または「改良された延長」の意味についての開示はない。特許文献12および特許文献13は、PEG−トリアジンまたはbis−PEG−トリアジン(表1でPEG2と示す)
でそれぞれ調製したウリカーゼ結合体を開示している(非特許文献7、8)。第1の型の結合体では、PEGの分子量は2kDaおよび5kDaであり、第2の型では、5kDaのPEGのみを使用した。非特許文献7は、43%の利用可能なリシンの直鎖5kDa
PEGでの修飾後に15%の尿酸分解活性の回復を報告し、特許文献8は、それぞれ46%または36%のリシンのPEG2での修飾後に31%または45%の尿酸分解活性の回
復を報告した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Wu, X. et al.、1992、J. Mol. Evol.、34:78〜84
【非特許文献2】Hande, KR. et al.、1984、Am. J. Med.、76:47〜56; Fam, AG.、1990、Bailliere's Clin. Rheumatol.、4:177〜192
【非特許文献3】Pui, C−H.et.al.、1997、Leukemia、11:1813〜1816
【非特許文献4】Donadio, D. et al.、1981、Nouv. Presse Med.、10:711〜712; Leaustic, M. et al.、1983、Rev. Rhum. Mal. Osteoartic.、50:553〜554
【非特許文献5】Kissel, P. et al.、1968、Nature、217:72〜74
【非特許文献6】Davis,FF. et al.、1978、GB Broun,et al.編、Enzyme Engineering、第4巻、169〜173、New York、Plenum Press
【非特許文献7】Nishimura, H. et al.、1979、Enzyme、24:261〜264
【非特許文献8】Nishimura, H. et al.、1981、Enzyme、26:49〜53
【非特許文献9】Davis,S.et al.、1981、Lancet、2(8241):281〜283
【非特許文献10】Abuchowski, A. et al.、1981、J.Pharmacol. Exp. Ther.、219、352〜354
【非特許文献11】Chen, RH−L. et al.、1981、Biochim. Biophys Acta.、660:293〜298
【非特許文献12】Chua, CC. et al.、1988、Ann. Int. Med.、109:114〜117
【非特許文献13】Greenberg, ML. et al.、1989、Anal. Biochem.、176:290〜293
【非特許文献14】Donadio, et al.、1981; Leaustic, et al.、1983
【非特許文献15】Wallrath, LL. et al.、1990、Mol. Cell Biol.、10:5114〜5127
【非特許文献16】Saifer, MGP. et al.、1994、Adv. Exp. Med. Biol.、366:377〜387
【非特許文献17】Somack, R. et al.、1991、Free Rad Res.Commun.、12〜13:533〜562
【非特許文献18】JM. Harris, et al編、Poly(ethylene glycol)Chemistry and Biological Applications.、ACS Symposium Series 680、155〜169、Washington,DC:American Chemical Society中のSaifer, MGP. et al.、1997、Polym. Preprints、38:576〜577
【非特許文献19】Sherman, MR. et al.、1997
【非特許文献20】Wu, X. et al.、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86:9412〜9416
【非特許文献21】Potaux, L. et al.、1975、Nouv. Presse Med.、4:1109〜1112
【非特許文献22】Legoux, R. et al.、1992、J. Biol. Chem.、267:8565〜8570
【非特許文献23】JM Harris,et al.編、Poly(ethylene glycol) Chemistry and Biological Applications.、ACS Symposium Series 680、182〜192、Washington,DC、American Chemical Society中のVeronese, FM. et al.、1997
【非特許文献24】Tsuji, J. et al.、1985、Int. J. Immunopharmacol.、7:725〜730
【非特許文献25】Yasuda, Y. et al.、1990、Chem. Pharm. Bull.、38:2053〜2056
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第3,616,231号
【特許文献2】米国特許第4,179,337号
【特許文献3】米国特許第4,766,106号
【特許文献4】米国特許第4,847,325号
【特許文献5】米国特許第5,283,317号
【特許文献6】米国特許第5,468,478号
【特許文献7】米国特許第4,460,683号
【特許文献8】米国特許第5,382,518号
【特許文献9】米国特許第5,382,518号
【特許文献10】米国特許第5,541,098号
【特許文献11】米国特許第4,179,337号
【特許文献12】日本国特許第55−99189号
【特許文献13】日本国特許第62−55079号
【特許文献14】日本国特許第3−148298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
以前の研究では、ウリカーゼの免疫原性および/または抗原性の顕著な減少がPEG化によって行われる場合、この減少は尿酸分解活性の実質的な欠失に常に関連していることを教示している。生物医薬の安全性、便利さ、費用有効性全てにとって、効能の減少、およびそれによる投薬量増加は悪影響である。従って、血液および尿を含む体液中の尿酸レベルの上昇を低下させるための安全で有効な代替手段が必要である。本発明によれば、非修飾酵素の尿酸分解活性の全てまたはほぼ全てを保持する実質的に非免疫原性のPEG−ウリカーゼが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の1つの実施形態は、非結合体ウリカーゼの尿酸分解活性の少なくとも約75%を
保持し、免疫原性を実質的に減少させた尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体である。この実施形態は、各サブユニットが、直鎖または分岐鎖であり、各PEG分子が約5kDaと100kDaとの間の分子量であり得る平均2〜10鎖のPEGが共有結合し得る精製ウリカーゼを含む。本発明のこの態様のウリカーゼは、組換え体であり得る。組換えの有無にかかわらず、ウリカーゼは哺乳動物起源であり得る。この実施形態の1つの態様では、ウリカーゼは、ブタ、ウシ、またはヒツジの肝臓のウリカーゼであり得る。この実施形態の別の態様では、ウリカーゼはキメラであり得る。キメラウリカーゼには、ブタ肝臓および/またはヒヒ肝臓ウリカーゼを含み得る。例えば、キメラウリカーゼは、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)または変異R291KおよびT301Sを含むブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)(図6の配列および図7〜図12の生理学的および免疫学的研究の結果を参照のこと)であり得る。あるいは、ウリカーゼは、チロシン97がヒスチジンで置換されて、ウリカーゼの比活性が少なくとも約60%増加し得るヒヒ肝臓ウリカーゼであり得る。本発明のウリカーゼは、起源が何であろうと、アミノ末端もしくはカルボキシル末端のいずれかまたは両末端が短縮された形態でもあり得る。同様に、ウリカーゼは、真菌または細菌ウリカーゼであり得る。この実施形態の1つの態様では、真菌または細菌ウリカーゼは、アスペルギルス フラバス、アースロバクター グロビフォルミス、またはキャンディダ ユティリス由来のウリカーゼの天然に存在する形態または組
換え形態であり得る。あるいは、ウリカーゼは、無脊椎動物ウリカーゼ、例えば、ドロソフィラ メラノガスターまたはドロソフィラ シュードオブスキュラ由来のウリカーゼの天然に存在する形態または組換え形態であり得る。本発明のウリカーゼはまた、植物ウリカーゼ、例えば、ダイズ根粒グリシン マックス由来のウリカーゼの天然に存在する形態ま
たは組換え形態であり得る。PEGは、約5kDaと100kDaとの間の平均分子量であり、好ましくは、PEGは、約10kDaと60kDaとの間の平均分子量であり、より好ましくは、PEGは、約20kDaと40kDaとの間の平均分子量、例えば、30kDaであり得る。共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり2〜10鎖であり、好ましくは、共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり3〜8鎖であり、より好ましくは、共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり4〜6鎖であり得る。この実施形態の1つの態様では、ウリカーゼは、四量体であり得る。PEG鎖を、ウレタン(カルバメート)結合、第2級アミン結合、および/またはアミド結合を介して共有結合し得る。ウリカーゼが本明細書中に記載の任意のウリカーゼの組換え形態である場合、組換え形態は、天然に存在する形態の配列を実質的に有し得る。
【0027】
本発明の別の実施形態は、上記のPEG−ウリカーゼ結合体および薬学的に受容可能なキャリアの任意を含む、体液中の尿酸レベルの低下用の薬学的組成物である。組成物を、凍結乾燥によって安定化し、再構成の際、迅速に溶解して非経口投与に適切な溶液を得ることができる。
【0028】
本発明はまた、哺乳動物の体液および組織中の尿酸レベルの低下法を提供する。この方法は、尿酸減少有効量のPEG−ウリカーゼを哺乳動物に投与する工程を含む。前記PEG−ウリカーゼは、薬学的に受容可能なキャリア中に各サブユニットが直鎖または分岐鎖PEGの平均2〜10鎖に共有結合している2つまたはそれ以上のサブユニットを含む精製ウリカーゼを含み、各PEG分子は約5kDaと100kDaとの間の分子量を有する。前記哺乳動物はヒトであり得る。投与工程は、例えば静脈内、皮内、皮下、筋肉内、または腹腔内経路での注射またはエアゾール化処方であり得る。尿酸レベルの上昇は、血液、尿、および/または他の体液および組織で起こり、痛風、痛風結節、腎不全、臓器移植、および悪性疾患に関連し得る。
【0029】
本発明の他の実施形態は、複数の形態のウリカーゼを含む溶液からの四量体の単離法およびその方法による生成物である。最初、溶液は、四量体ウリカーゼおよびウリカーゼ凝集
体を含み得る。本方法は、約9と10.5との間のpH(例えば、10.2)で少なくとも1つの分離カラムに溶液を添加する工程と、ウリカーゼ凝集体を実質的に含まない溶出液の画分を回収し、単離した四量体ウリカーゼを含み得る画分を同定する工程と、単離した四量体ウリカーゼ画分をプールする工程とを含み得る。分離カラムは、イオン交換、サイズ排除、または任意の他の有効な分離の性質に基づき得る。本方法はまた、四量体ウリカーゼの存在および/またはウリカーゼ凝集体の非存在を同定するための画分の分析を含み得る。例えば、このような分析には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、他のクロマトグラフィー法、光散乱、遠心分離、および/または電気泳動が含まれ得る。この実施形態の1つの態様では、精製四量体ウリカーゼは、約10%未満のウリカーゼ凝集体を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図1B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図2A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図2B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図3A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのPEG化ブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図3B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのPEG化PBCウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図4A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのアスペルギルス フラバス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図4B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのアスペルギルス フラバス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図5A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのPEG化組換えダイズ根粒ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図5B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのPEG化組換えダイズ根粒ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図6】ブタおよびヒヒの配列を比較した、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方を短縮したPBCウリカーゼ(PBC−NT−CT)、および変異R291KおよびT301Sを含むブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)の推定アミノ酸配列を示す図である。
【図7】各々4回または5回のPEG修飾PBCウリカーゼの腹腔内注射から24時間後の、最初の注射から24時間後と比較したマウス血清中のウリカーゼ活性を示す図である。
【図8】ウリカーゼ欠損マウスの血清中に注射されたPEG修飾PBCウリカーゼ活性と血清および尿中の尿酸濃度との間の反比例関係を示す図である。
【図9】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける尿濃縮欠損の重篤度の減少を示す図である。
【図10】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける腎性尿崩症の重篤度の減少を示す図である。
【図11】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける、磁気共鳴顕微鏡で視覚化された、尿酸誘導性腎症の重篤度の減少を示す図である。
【図12】四量体および八量体が共にサブユニットあたり10kDaの5〜6つのPEG鎖に結合した場合、四量体と比較した、PBCウリカーゼ八量体を注射したBALB/cマウスの循環からのクリアランスの促進を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、水溶性ポリマー(好ましくは、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド))とウリカーゼとの改良された結合体を提供する。本発明はまた、改良結合体の薬学的組成物を提供する。これらの結合体は、実質的に非免疫原性であり、非修飾酵素の尿酸分解活性の少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは95%またはそれ以上を保持する。水溶性ポリマーに適切なウリカーゼには、細菌、真菌、および植物および動物、脊椎動物および無脊椎動物の組織から単離された天然に存在する尿酸酸化酵素ならびにウリカーゼの組換え体、変異、雑種および/またはウリカーゼの短縮した酵素活性変異体が含まれる。本発明での使用に適切な水溶性ポリマーには、直鎖および分岐鎖ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)、全てPEGとして公知が含まれる。分岐PEGの例は、米国特許第5,643,575号の主題である。直鎖PEGの好ましい例は、一般式CH3O−(CH2CH2O)nH、nは、約100〜約2,300で変化する、モノメトキシPEGである。
【0032】
1つの好ましい哺乳動物ウリカーゼは、組換えブタ−ヒヒキメラウリカーゼであり、これは、ブタ肝臓およびヒヒ肝臓ウリカーゼの部分配列からなり、この両配列はWu, et al.、1989で最初に決定された。このようなキメラウリカーゼの1つの例は、最初にブタウリカーゼ配列(配列番号1)由来の225アミノ酸および最後にヒヒウリカーゼ配列(配列番号2)由来の79アミノ酸を含む(ブタ−ヒヒウリカーゼ(すなわちPBCウリカーゼ)、図6を参照のこと)。このようなウリカーゼの別の例は、ブタ配列(配列番号1)の残基7〜225およびヒヒ配列(配列番号2)の残基226〜301を含む。これは、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方が短縮されたPBCウリカーゼの等価物である(PBC−NT−CT、図6を参照のこと)。このようなキメラウリカーゼの別の例は、最初にブタ配列(配列番号1)由来の288アミノ酸および最後にヒヒ配列(配列番号2)由来の16アミノ酸を含む。後者の配列は、残基291のアルギニンのリシン(K)への置換および残基301のトレオニンのセリン(S)への置換を有する2つの位置のみでブタ配列と異なるので、この変異をブタ−K−SまたはPKSウリカーゼという。PKS、PBC、およびPBC−NT−CTウリカーゼはそれぞれ、リシン残基を一つ多く有するので、ブタまたはヒヒの配列より潜在的なPEG化部位を一つ多く含む。
【0033】
PBCウリカーゼ、PKSウリカーゼ、および組換えヒヒ様ウリカーゼを含む種々の哺乳動物ウリカーゼのcDNAをサブクローン化し、標準的な方法を用いてエシェリヒア コ
リ(E.coli)における発現用の最適条件を同定した。Erlich, HA.編、
1989、PCR Technology.、Principles and Appli
cations for DNA Amplification、New York:Stockton Press; Sambrook, J.et al.、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。組換えウリカーゼを、抽出し、精製し、それらの安
定性および活性を標準的なアッセイの改変を用いてアッセイした。Fridovich,
I.、1965、J. Biol. Chem.、240:2491〜2494、Nis
himura, et al.、1979、および実施例1を参照のこと。
【0034】
本発明の1つの実施形態では、ウリカーゼを、生物学的に安定で、無毒性の共有結合を介して、比較的少数のPEG鎖に結合させることができる。このような結合には、ウレタン(カルバメート)結合、第2級アミン結合、およびアミド結合が含まれ得る。このような結合体に適切な種々の活性化PEGは、Shearwater Polymers、Hu
ntsville、ALから市販されている。
【0035】
例えば、ウリカーゼへのウレタン結合を、PEGのスクシニミジルカーボネート(SC)または4−ニトロフェニルカーボネート(NPC)誘導体の存在下でのウリカーゼのインキュベーションによって形成させることができる。SC−PEGを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,612,460号に記載の手順を用いて合成することができる。NPC−PEGを、Veronese, FM.et al.、1985、Appl.Biochem.Biotechnol.、11:141〜152および本明細書中で参考として援用される米国特許第5,286,637号に記載の方法に従って、PEGと4−ニトロフェニルクロロホルメートとの反応によって合成することができる。'637
の特許に記載の方法を、類似の化学量論的性質を維持するために反応物質の濃度を調節することによってより高分子量のPEGに適用する。NPC−PEGの別の合成法は、Buttner, W,et al.に付与された、東ドイツ特許明細書第DD279 486
A1号に記載されている。
【0036】
ウリカーゼに対するアミド結合を、PEGのカルボン酸誘導体のN−ヒドロキシスクシニミドエステル(Sheawater Polymers)を用いて得ることができる。第
2級アミン結合を、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルPEG(トレシルPEG; Shearwater Polymers)を用いるか、PEGアルデヒド(Shearwater Polymers)およびシアノホウ酸水素ナトリウムを用いた還元アル
キル化によって形成することができる。
【0037】
5kDaと30kDaとの間の分子量のPEGを含む結合体では、非修飾酵素の尿酸分解活性を少なくとも75%保持しながらサブユニットあたりカップリングするPEG鎖の最大数は、ダイズウリカーゼで2鎖からPBCウリカーゼで10鎖以上の範囲であった。(実施例1のアッセイ条件および図1A〜図5Bの結果を参照のこと)。後者のPEG化の範囲は、全アミノ基の約1/3に相当する。本発明の1つの実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりにカップリングするPEG鎖の平均数は、2と10との間である。好ましい実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりに共有結合するPEG鎖の平均数は、3と8との間である。より好ましい実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりに共有結合するPEGの平均の鎖数は、4と6との間である。別の実施形態では、カップリング反応に使用するPEGの分子量は、5kDaと100kDaとの間、好ましくは10kDaと60kDaとの間、より好ましくは20kDaと40kDaとの間、例えば、30kDaである。
【0038】
ウリカーゼの所与の形態へのカップリング用のPEGの最適な分子量および鎖の数の選択に影響を与え得るいくつかの因子が存在する。一般に、尿酸分解活性の実質的な損失を伴わない免疫原性の減少または除去には、高分子量のPEGの比較的少ない鎖と比較してより低分子量のPEGの比較的多い鎖のカップリングが必要であり得る。例えば、サブユニットあたり6鎖の20kDa PEGまたはサブユニットあたり4鎖の30kDa PEGのいずれかが最も有効であり得る。同様に、ウリカーゼのそれぞれ異なる形態は、サイズおよび鎖の数の両方によって異なる至適性を有し得る。図1A〜図5Bを参照のこと。
【0039】
PEG結合によって、フランスおよびイタリアのSanofi Winthropで販売
されている真菌ウリカーゼ(Uricozyme(商品名))における安定剤として使用される8−アザキサンチンなどの基質アナログまたはインヒビターを添加することなく、生理学的pHの緩衝液中で全ての試験ウリカーゼを可溶で安定にする。PBCウリカーゼの2つの異なる結合体、一方は、サブユニットあたり約6鎖の10kDa PEGを含み
、他方は、サブユニットあたり約2鎖の19kDa PEGを含むは、マウス血清中での
37℃で1ヶ月を超えるインキュベーション後、有意な活性を保持した。さらに、本発明のいくつかの結合体は、マウスでの循環半減期が2日間を超えるのに対して、PEG修飾
哺乳動物および細菌ウリカーゼについての以前の報告では約8時間または24時間の半減期であった。Chen, et al.、1981; Fuertges, F.et al
.、1990、J. Contr. Release、11:139〜148; Fuji
ta, T. et al.、1991、J. Pharmacobiodyn.、14:623〜629。注射したタンパク質薬物の半減期が長いほど費用効果も高く、患者の服薬遵守も改善され得る。半減期の延長はまた、身体内でより耐性を示す生成物の指標である。
【0040】
PBCウリカーゼのPEG結合体を酵素の精製四量体(35kDaの4つのサブユニット)から調製する場合、結合体は、マウスで顕著に減少した免疫原性を示し(図7)、それに対して、より大きな形態の酵素(例えば、35kDaサブユニットの八量体、図12を参照のこと)のPEG結合体では中程度の免疫原性を示し、非修飾酵素では非常に高い免疫原性を示した。ウリカーゼ欠損マウスへの本発明のPEG−ウリカーゼの反復注射により、2ヶ月以上にわたって高尿酸血症が消失し、尿酸関連損傷に対する腎臓の構造および機能を保護した(図8〜図11)。
【0041】
PBCウリカーゼと10kDa PEGとの完全に活性な結合体(図3A〜図3B)の注
射により、ホモ接合性のウリカーゼ欠損マウスの高尿酸血症が劇的に減少した(図8)。尿中の尿酸レベルもまた、PEG修飾PBCウリカーゼで治療した全てのウリカーゼ欠損マウスにおいて劇的に減少した。ウリカーゼ欠損マウスに、図8でのデータを得るために使用したものと類似のPEG−ウリカーゼ調製物を用いた一連の注射を投与した。正常な条件下で12時間の水分枯渇させた尿の重量オスモル濃度の測定(図9)および水分消費および尿の排出(図10)によって示されるように、この治療により、未治療の遺伝的に類似したマウスでの対応する測定と比較して、尿濃縮欠損の重篤度が減少した。磁気共鳴顕微鏡で視覚化したところ、本発明のPEG−ウリカーゼを用いたホモ接合性ウリカーゼ欠損(uox−/−)「ノックアウト」マウスの生後10日目から開始した10週間の治療により、腎臓構造の尿酸塩誘導破壊の重篤度が減少したこともまた示された(図11)。顕微鏡法については、Hedlund, LW. et al.、1991、Fund.
Appl.Toxicol.、16:787〜797; JC Gore編、Reviews of Magnetic Resonance in Medicine、第4巻、18
7〜219、New York:Pergamon Press中のJohnson, G
A. et al.、1992を参照のこと。
【0042】
天然に存在するウリカーゼまたは組換えウリカーゼの精製調製物は、通常、四量体(140kDa)に加えて酵素の凝集体の混合物を含む。四量体形態である各ウリカーゼ調製物の割合は、一般に、約20%〜90%で変化する。いくつかの他のタンパク質の非PEG化凝集体の免疫原性が高いにもかかわらず(例えば、Moore, WV,et al.、1980、J. Clin. Endocrinol. Metab.、51:691〜6
97を参照のこと)、PEG−ウリカーゼの以前の研究は、凝集体の含有率を制限するいかなる作業も記載されていないことから、これは、PEG修飾凝集体の潜在的な免疫原性が考慮されていないことが示唆される。本発明者らの観察に基づいて、このような凝集体はその前のPEG−ウリカーゼ合成に使用された酵素調製物に存在していたようである。凝集体の存在により、非免疫原性結合体の調製作業をより困難にしていたのかもしれない。PEG化ウリカーゼに対する以前の試みで認められた尿酸分解活性の大部分の損失は、カップリングした多数の低分子のPEG鎖に関連するようでもある。それに対して、本明細書中に記載のウリカーゼ精製法およびPEG化法により、サブユニットあたり10鎖ものPEGの共有結合が可能となる一方で、少なくとも一定のウリカーゼ、例えば、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼおよびアスペルギルス フラバス由来の酵素の75%を超える尿酸
分解活性が保持される(図3Aおよび図4Aを参照のこと)。
【0043】
別の好ましい実施形態では、酵素の実質的に全ての四量体形態の凝集体形態を、9と10.5との間のpH(好ましくは10.2)でのイオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィーによって、実質的にウリカーゼの四量体調製物を生じるPEG結合の前に、取り除くことができる。分離用カラムからの各画分中のウリカーゼの分子量を、任意のサイズ依存分析、例えば、HPLC、従来のサイズ排除クロマトグラフィー、遠心分離、光散乱、キャピラリー電気泳動、または非変性緩衝液でのゲル電気泳動を含む、によってモニターすることができる。サイズ排除クロマトグラフィーを用いて単離した四量体ウリカーゼについて、140kDaの形態の酵素のみを含む画分をプールしてPEGへの結合に使用した。イオン交換クロマトグラフィーを用いて単離した四量体ウリカーゼについて、検出可能な凝集体を含まない実質的な四量体の量を含むイオン交換カラム由来の画分を、サイズについて分析して決定することができる。従って、プールしたウリカーゼの少なくとも90%が四量体形態であり得る。従って、所望でない凝集体は、全単離ウリカーゼの約10%、5%、2%、またはそれ以下の少なさであり得る。
【0044】
本明細書中で示した結果は、広範囲にPEG化された場合でさえ、四量体を超えるPBCウリカーゼの形態は、マウスにおいて免疫原性が高いことを示す(図12)。さらに、ウリカーゼ凝集体のPEGで1回注射されたマウスでは、PEG化四量体またはPEG化凝集体のいずれかのその後の注射における尿酸分解活性は、循環から迅速に取り除かれた。それに対して、感度の高い酵素免疫抗体法で測定したところ、5%未満の凝集体を含むウリカーゼから調製した結合体を、そのクリアランス速度の促進(図7)および検出可能な抗体形成を起こさず再度多くの回数を再注射することができた。高度に精製した四量体ウリカーゼの使用により、本発明の改良結合体と以前に記載されたPEG−ウリカーゼ調製物とをさらに区別する。それに対して、以前の何人かの研究者によって使用されたウリカーゼ調製物中の凝集体の有意な比率(例えば、>10%)の存在により、免疫原性を抑制するための試みで多数のPEG鎖をカップリングすることができた。従って、得られた結合体の酵素活性は、実質的に減少した。他の実施形態では、本発明は、このような結合体ウリカーゼの調製物がその尿酸分解活性の少なくとも75%を保持し、実質的に非免疫原性である限り、非四量体形態、例えば、ウリカーゼ二量体、におけるPEG化ウリカーゼが明白に意図される。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、非変異酵素のものと比較して予想外に潜在性が増加した変異ヒヒ肝臓ウリカーゼが得られる。この改良霊長類ウリカーゼを、従来の組換えDNA技術によって調製した。ヒヒウリカーゼにおける1つのアミノ酸残基の置換(97位のトリプシンからヒスチジンへの置換)によって比活性が実質的に増加したことが特に予想外であった。エシェリヒア コリで発現させた場合、変異タンパク質は誘導した組換えヒヒ
酵素より少なくとも60%高い比活性を有することが見出された。
【0046】
別の実施形態では、アミノ末端での最初の少なくとも6アミノ酸および/またはカルボキシル末端の最後の少なくとも3アミノ酸が発現タンパク質から欠失している短縮変異体ブタまたはブタ−ヒヒキメラウリカーゼの発現によって、比活性が増加し、そして/または非PEG化酵素の溶解性が改良される(図6を参照のこと)。カルボキシル末端短縮した組換えウリカーゼは、ペルオキシソーム標的配列の除去により、PEG化の前に溶解性を改良し得る。Miura, S. et al.、1994、Eur. J. Bioche
m.、223:141〜146を参照のこと。
【0047】
本発明のPEG−ウリカーゼ結合体は、哺乳動物、好ましくはヒトの体液および組織中の尿酸レベルの低下に有用であるので、痛風、痛風結節、腎不全、臓器移植、および悪性疾患を含む病状に関連する尿酸レベルの上昇の治療に有用であり得る。PEG−ウリカーゼ結合体を、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、および腹腔内経路の多数の経路のいずれかによって過剰な尿酸レベルの哺乳動物に注射することができる。あるいは、結合体を、エアゾ
ール化および吸入させることができる。Patton, JS.、1996、Adv. Drug Delivery Rev.、19:3〜36および米国特許第5,458,135号を参照のこと。本発明のPEG−ウリカーゼの有効用量は、尿酸レベルおよび個体のサイズに依存する。本発明のこの態様の1つの実施形態では、PEG−ウリカーゼを、約10μg〜約1gの範囲の量で薬学的に受容可能な補形薬または希釈剤と共に投与する。好ましい実施形態では、投薬量は、約100μgと500mgとの間である。より好ましくは、結合体ウリカーゼを、約1mgと100mgとの間の量、例えば、5mg、20mg、または50mgで投与する。実施形態の投薬量を投与した質量を、結合体中のタンパク質量という。
【0048】
PEG−ウリカーゼを含む薬学的処方物を、Gennaro, AR,編、1990、R
emington's Pharmaceutical Sciences、第18版、E
aston,PA:Mack Publishing Co.などに記載の従来技術によって調製することができる。注射可能な溶液の調製物用の適切な補形薬には、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸化リンガー溶液、水、ポリオール、およびグリセロールが含まれる。非経口注射用の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な滅菌水溶性または非水溶性液体、分散剤、懸濁剤、または乳化剤、ならびに使用直前の滅菌注射溶液または分散剤への再構成用の滅菌粉末を含む。これらの処方物は、更なる成分(例えば、防腐剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、乳化剤、緩衝液、抗酸化剤、および希釈剤など)を含み得る。
【0049】
PEG−ウリカーゼを、体液中の尿酸レベルの上昇を継続的に調節するための個体への移植用の放出調節組成物として供給することもできる。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、再生コラーゲン、ポリ−L−リシン、アルギン酸ナトリウム、ゲル化ガム、キトサン、アガロース、多重層リポソーム、および他の多数の従来の蓄積処方物は、生物活性組成物とともに処方することができる生侵食性および生分解性物質を含む。これらの物質は、移植または注射された場合、段階的に崩壊し、周辺組織に活性物質を放出する。例えば、PEG−ウリカーゼのカプセル化の方法の1つは、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,653,974号に開示の方法を含む。生侵食性で生分解性の他の蓄積処方物の使用が本発明で明白に意図される。PEG−ウリカーゼの送達用の注入ポンプおよび基質包括システムもまた、本発明の範囲内である。PEG−ウリカーゼはまた、ミセルまたはリポソームに有利に封入され得る。リポソームカプセル化技術は、当該分野で周知である。例えば、Lasic, D. et al.編、1995、Stealth Liposomes. Boca Raton,FL:CRC Pressを参照のこと。
【0050】
本発明のPEG−ウリカーゼ薬学的組成物により、例えば、臓器移植レシピエントの尿酸塩誘導性腎不全の危険性の高い患者(Venkataseshan, VS. et al
.、1990、Nephron.、56:317〜321を参照のこと)およびいくつかの悪性疾患患者における血液透析の必要性が減少する。結晶尿酸塩を大量に蓄積した患者(痛風結節)では、このような組成物は、現在利用可能な治療より、迅速に生活の質を改善する。
【0051】
以下の実施例は、上記で開示の種々の態様を例示するものであって、本発明を決して限定するものではない。これらの実施例は、いくつかのサイズおよび組成の活性化(すなわち、電気親和性)PEG誘導体と、天然に存在するブタ、真菌、もしくは細菌のウリカーゼまたは組換えのダイズ、ブタ、またはブタ−ヒヒキメラウリカーゼとのカップリングによって調製されるPEG−ウリカーゼを記載する。活性、溶解性、安定性、薬学的動力学、薬物動態学、および免疫学的研究の結果を含む。図8〜図11のデータにより、高尿酸血症および高尿酸尿症を治療し抗尿酸血症および抗尿酸尿症が発症して重篤な腎損傷を引き起こす動物モデルにおける腎臓の構造および機能を保護する本発明のPEG修飾PBCウリカーゼの能力が証明される。Wu, X. et al.、1994、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、91:742〜746。これらの実施例は、非修飾酵素の尿酸分解活性を少なくとも約75%保持するウリカーゼの実質的に非免疫原性な結合体の作製のための当業者へのガイダンスを提供する。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
ウリカーゼの四量体形態の精製 ウリカーゼの四量体形態(分子量約140kDa)を、
分離用のサイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィー、その後の分析用サイズ排除クロマトグラフィーでブタ肝臓ウリカーゼ溶液から精製した。ブタ肝臓ウリカーゼは、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号U2350もしくはU3377またはBoehringer Mannheim、Indianapolis、
INから得た。
【0053】
分離用および分析用サイズ排除クロマトグラフィーを、pH10〜10.5(好ましくは10.2)で、0.1M NaClを含む10mM炭酸ナトリウム緩衝液中で、公知の分
子量のタンパク質で予め較正しているSuperdex 200カラムで行った。Sup
erdexを、Amersham Pharmacia、Piscataway、NJか
ら得た。所望のpHを維持し、後のPEGカップリングに使用される化学的性質に適合可能な任意の緩衝液を使用することができる。このような緩衝液は、当該分野で周知である。分離カラム由来の溶出液のUV吸収を、280nmでモニターし、所望の四量体の分子量に対応するがより高い分子量種を含まない溶出液のウリカーゼ含有部分を、実施例2に記載の実質的に非免疫原性PEG−ウリカーゼの合成に使用するために回収した。あるいは、ウリカーゼの四量体形態を、他のサイズ排除媒体、例えば、Superose 12
(Amersham Pharmacia)など、または弱アルカリ性溶液に適合し、適
切なサイズ分画範囲を有する任意の他の媒体を使用して単離することができる。このような媒体は、容易に利用可能であり、当該分野で周知である。
【0054】
イオン交換クロマトグラフィーを、pH10〜10.5、好ましくは10.2で、0.1M炭酸ナトリウム緩衝液で平衡化したMono Qカラム(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)で行った。PEGカップリングの化学的性質に適合し、所望のpHを維持することができる任意の緩衝液を十分に低いイオン強度で使用して、ウリカーゼをカラムに吸着させることができる。このような緩衝液は、当該分野で周知である。溶出液のUV吸収を、注いだ緩衝液のイオン強度の増加、例えば、炭酸ナトリウム緩衝液中の0〜0.5M NaClの直線的勾配によってイオン交換樹脂からウリ
カーゼが溶出している間、280nmでモニターした。次いで、サイズ排除HPLCを使用して、実質的に非免疫原性のPEG−ウリカーゼの合成用の、検出可能な凝集体を含まない、所望のウリカーゼの四量体を含む溶出液の画分を同定した。あるいは、ウリカーゼの四量体形態を、他のイオン交換体、Q−Sepharose(Amersham Ph
armacia)など、または弱アルカリ性溶液に適合する任意の他の媒体を使用して単離することができる。このような媒体は容易に利用可能であり、当該分野で周知である。
【0055】
ウリカーゼ活性を、標準的な方法の改変を用いてアッセイした。例えば、Fridovich、 1965; Nishimura, et al.、1979を参照のこと。尿酸溶液を、毎日新たに調製した50mMホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.2中に調製して6〜150μMの最終アッセイ濃度にした。ウリカーゼ調製物を、アッセイにおけるアルブミンの最終濃度が0.1mg/mLとなるようにウシ血清アルブミン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号A−7030)を含むこのホウ酸緩衝液中で希釈した。酵素の種々の希釈物とマイクロプレートリーダー中のマイクロタイタープレートのウェル中の基質との混合後、25℃での尿酸の消失速度を、3分間に4秒毎を292nmで監視した。10%と40%との間の基質が3分以内に消費されるサンプル
から、少なくとも20データポイントを使用して、1分間あたりの吸光度の最大減少速度を計算した。ウリカーゼ活性の1国際単位(IU)を、1分間に1μモルの尿酸を消費した酵素量と定義する。比活性を、IU/mgタンパク質と示す。図1A〜図5Bの相対的なウリカーゼ活性のデータのいくつかを、アッセイにおいて100μMの尿酸を使用して得た。100μMの尿酸での速度(V100)についての他の結果を、各酵素調製物につい
てのミカエリス定数(KM)および最大速度(Vmax)から、以下の式を用いて計算した。
【0056】
【数1】
【0057】
[実施例2] 四量体ブタウリカーゼへのPEGカップリング 0.1M炭酸ナトリウム緩衝液、pH10.2中の四量体ウリカーゼ溶液に、10〜200モルの種々のサイズ(5kDa〜30kDa)の活性化モノメトキシPEG誘導体、例えば、4−ニトロフェニルカーボネート(NPC−PEG)を、各モルのウリカーゼサブユニット(分子量35kDa)に添加した。これらまたは他の適切な活性化PEGは、Shearwater Pol
ymerから購入可能である。これらのPEGのタンパク質へのカップリングの指示は、Shearwater Polumersのカタログ、インターネットwww.swpo
lymers.com、およびJM Harris,et al.編、1997、Poly(ethylene glycol)Chemistry and Biological Applications、ACS Symposium Series 680、Was
hington,DC:American Chemical Societyで得られる。カップリング反応を、PEGカップリングの範囲を経時的に顕著に変化するまで0〜8℃で進行させても差し支えなかった。次いで、未処理PEGを、クロマトグラフィーおよび/または限外濾過によって反応生成物から取り除いた。
【0058】
ウリカーゼのサブユニットあたりにカップリングしたPEG鎖の数を、Kunitani, M. et al.、1991、J.Chromatogr.、588:125〜13
7;Saifer,et al.、1997、およびSherman, et al.、1
997に記載の方法の適用によって同定した。簡単に述べれば、分離用イオン交換またはサイズ排除カラムからのPEG化反応混合物または画分の部分を、0.1M NaClを
含む10mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH10.2中、室温でTSK 5,000pWXL
カラムによる分析用サイズ排除HPLCによって特徴づけた。HPLCカラムを、TosoHaas、Montgomeryville、PAから得た。タンパク質およびPEGを、紫外線吸収および屈折率検出器によって監視した。結合体中のタンパク質量を、適切な非修飾ウリカーゼ標準と比較した紫外線吸光度から計算した。次いで、結合体中のPEGの量を、屈折率に対するタンパク質の寄与として回収した屈折率の領域から、適切なPEG標準の屈折率ピークの領域と比較して計算した。
【0059】
図2Aは、サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデータ(黒三角、□)をChen, et al.、1981のデータと比較する。大きな円内のデータポイントは、Chen, et al.、1981による非免疫反応性であると報告されている結合体を示す。図2Aに示すように、サブユニットあたり6鎖までの30kDa PEGまたはサブ
ユニットあたり7鎖までの5kDa PEGを有する四量体ブタウリカーゼ結合体は、非
修飾酵素活性の少なくとも75%を保持した。5kDaまたは30kDa PEGの鎖数
(サブユニットあたり約4鎖まで)の増大に伴う非活性の明白な増加により、結合体と比較して非修飾酵素の相対的不溶性または不安定性に影響を与え得る。図2Bに示すように、サブユニットあたり平均3鎖を超える30kDaPEGとブタウリカーゼ結合体は、Ch
en, et al.、1981によって免疫反応性を阻害するのに十分であると見出されている量よりも多いPEGを含む。
【0060】
[実施例3] 四量体組換えPBCウリカーゼのPEG結合体の性質 組換えブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼcDNAを、pET3d発現ベクター(Novagen、Madison、WI)にサブクローン化し、得られたプラスミド構築物を、エシェリヒア コ
リ BL21(DE3)pLysS株(Novagen)に形質転換し、発現させた。こ
れらの手順を、分子生物学分野で周知の方法を用いて行った。Erlich、1989;
Sambrook, et al.、1989; Ausubel, F. et al.編
、1997、Short Protocols in Molecular Biology、New York:John Wiley & Sonsを参照のこと。
【0061】
図6は、ブタ(配列番号1)およびヒヒ(配列番号2)配列と比較した、PBCウリカーゼ(配列番号1のアミノ酸1〜225および配列番号2のアミノ酸226〜304)の推定アミノ酸配列を示す。ブタ配列の残基と異なるヒヒ配列の残基を太字で示す。ブタおよびヒヒの配列は、Wu, et al.、1989によって最初に同定され、本発明で確認した。配列番号1は、GenBank配列において最初のメチオニン残基が存在しない以外は、GenBankのアクセッション番号p16164と同一である。配列番号2は、GenBank配列の最初のメチオニン残基が存在せず、残基153でヒスチジンがトレオニンに変更されている(図6の残基154)以外は、GenBankのアクセッション番号p25689と同一である。
【0062】
PBCウリカーゼの四量体形態を、実施例1および実施例2に記載のように単離して種々の分子量のPEGにカップリングした。5kDa、10kDa、19kDa、30kDa
PEGで調製した結合体は、サブユニットあたり10鎖までのPEGを含んでいた。少
なくとも10kDaのPEGで調製した結合体は、組換えウリカーゼの最初の比活性の95%以上を保持した(図3A〜図3B)。
【0063】
サブユニットあたり約6鎖の10kDa PEGを有する四量体PBCウリカーゼの結合
体の以下の性質を図に示す:免疫原性の欠如(図7)および1)高尿酸血症および高尿酸尿症の治療(図8)、。2)尿濃縮欠損(図9)の重篤度の減少、および3)腎性尿崩症(図10)の重篤度の減少におけるウリカーゼ欠損マウスの効率。さらに、このPEG−ウリカーゼにより、磁気共鳴顕微鏡(図11)で視覚化したところ、尿酸関連腎障害の重篤度が減少した。
【0064】
図7は、最初の注射から24時間後の値と比較した、PEG−ウリカーゼの4〜5回の腹腔内注射から各24時間後のマウス血清におけるPBCウリカーゼ活性を示す。PEG結合体を、PEG活性化の2つの異なる技術を用いてPBCウリカーゼの3つの異なる調製物から調製した。1つの調製物(●)を、ウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスで試験し、他の2つ(△、■)を正常なBALB/cマウスで試験した。最も免疫反応性のある調製物(△)は、PEGのスクシニミジルカーボネート誘導体(SC−PEG)を用いて、サブユニットあたり平均7鎖の5kDa PEGにカップリングした未知量のウリカー
ゼ凝集体を含む精製PBCウリカーゼから調製した。本明細書中で参考として援用されるZalipskyに付与された米国特許第5,612,460号。中程度の免疫反応性のある調製物(■)は、PEGの4−ニトロフェニルカーボネート誘導体(NPC−PEG)を用いて、サブユニットあたり平均2鎖の19kDa PEGに対して11%の凝集体
を含むPBCウリカーゼ調製物のカップリングによって調製した。Sherman,et
al.、1997。最も低い免疫反応結合体(●)を、5%未満の凝集ウリカーゼを含
むpBCウリカーゼ調製物へのサブユニットあたり平均6鎖の10kDa NPC−PE
Gのカップリングによって調製した。
【0065】
図8は、血清および尿中の尿酸濃度とウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスの血清中の注射されたPEG−ウリカーゼの活性との間の反比例関係を示す。注射から0時間および72時間で、酵素サブユニットあたり平均6鎖の10kDa PEGに結合したPBCウ
リカーゼが0.43IU含まれていた。
【0066】
図9は、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、尿濃縮欠損の重篤度が減少したことを示す。正常なマウスウリカーゼ遺伝子(uox+/−)の1コピーを含む2匹のマウス、6匹の未処理ホモ接合性ウリカーゼ欠損マウス(uox−/−)、および3日目と72日目との間に95mIUまたは190mIUのPEG−ウリカーゼを10回注射した6匹のホモ接合性ウリカーゼ欠損マウスについて尿重量オスモル濃度データの平均および標準偏差を示す。各遺伝的背景のマウスの尿の回収前に、水を任意に摂取する(黒塗りのバー)か、12時間水を枯渇させた。
【0067】
図10は、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、異常に高い水の消費および異常に高い尿の排出によって特徴づけられる腎性尿崩症の重篤度が減少したことを示す。マウスの遺伝的背景および処理プロトコールは図9と同一である。毎日の水の消費(黒塗りのバー)および尿排出(斜線のバー)の平均および標準偏差を、6匹のマウスの3群として示す。
【0068】
図11は、磁気共鳴顕微鏡で視覚化したところ、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、尿酸誘導性腎症の重篤度が減少したことを示す。3群のマウスの遺伝的背景および処理プロトコールは図9および図10と同一であった。磁気共鳴顕微鏡法を、Center for in vivo Microscopy、Duke U
niversity Medical Center、Durham、North Car
olinaで行った。
【0069】
図8〜図11にまとめた結果に加えて、全てのウリカーゼ欠損マウスの尿中の尿酸レベルがPEG修飾PBCウリカーゼ治療後に劇的に減少したことを示した。最後に、図12は、PBCウリカーゼの異なるPEG修飾形態である、八量体形態(分子量=280kDa)では、広範にPEG化した場合でさえマウスで免疫原性を示すことを示す。この特性は、一回の腹膜内注射から5日以内にPEG修飾八量体のクリアランスの促進に反映されている。同一のマウスに、同用量の同一のPEG−ウリカーゼ調製物を8日目及び15日目に再注射した。第2および第3の注射から24時間後、尿酸分解活性はPEG化八量体を注射したマウスの血清において検出不可能であったが、PEG化四量体注射のマウスの血清では容易に検出された。第1の注射後に認められたPEG化八量体のクリアランス促進(図12)と組み合わせたこれらの所見から、酵素のPEG化前に四量体より大きなウリカーゼ形態の全てを取り除くことの有用性が支持される。
【0070】
[実施例4] キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼのPEG結合体 キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼを、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、カタログ番号U1878)またはWorthington Biochemical Corporation(Freehold、NJ、カタログ番号URYW)のいずれかから得た。実施例1および実施例2に記載のように、四量体形態を単離し、5kDa、10kDa、または30kDaのPEGを用いてPEG結合体を合成した(図1A〜図1B)。図1Aは、サブユニットあたりのカップリングしたPEG鎖数の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデー
タ(黒三角、●、□)を、Nishimura, et al.、1979; Nishi
mura,et al.、1981; Chen, et al.、1981; Davis
, et al.、1981; Tsuji, et al.、1985; Yasuda,
et al.、1990、およびFujita, et al.、1991と比較する。大
きな円内のデータポイントは、Nishimura, et al.、1979もしくは1981によって非抗原性であり、またはChen, et al.、1981によって非免疫反応性であると報告された結合体を示す。
【0071】
図1Bは、サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのキャンディダ ユ
ティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデータ(黒三角、●、□)を、図1Aと同一の報告データと比較する。大きな円内のデータポイントは、図1Aと同一の意味である。
【0072】
図1Aおよび図1Bに示すように、サブユニットあたり平均6鎖の5kDaもしくは30kDaのPEGまたは平均9鎖の10kDa PEGを有する結合体は、非修飾酵素活性
の少なくとも75%を保持した。付着した30kDa PEGの鎖数(サブユニットあた
り5または6鎖まで)の増加に伴う比活性の明らかな増加は、結合体と比較して非修飾酵素の相対的な不溶性または不安定性に影響を与え得る。
【0073】
[実施例5] アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼのPEG結合体 アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼを、Sanofi Winthrop(Gentilly Cedex、France)から得た。実施例2に記載のように、種々の分子量のPEGとの結合体を合成した(図4A〜図4B)。アスペルギルス フラバス由来の酵素とサブユニ
ットあたり平均12鎖までの5kDa PEGまたは平均7鎖までの30kDa PEGとのカップリングによって調製した結合体は、この真菌ウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持した。
【0074】
[実施例6] ダイズウリカーゼのPEG結合体 ダイズ根粒由来の組換えウリカーゼ(ノジュリン35とも呼ばれる)を調製し、Kahn and Tipton(Kahn, K.
、et al.、1997、Biochemistry、36:4731〜4738)に
記載のように精製し、Dr.Tipton(University of Missouri、Columbia、MO)から得た。実施例1および実施例2に記載のように、四量体を単離し、種々の分子量のPEGで結合体を調製した(図5A〜図5B)。キャンディダ ユティリス(図1A)、ブタウリカーゼ(図2A)、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(
図3A)、およびアスペルギルス フラバスからのウリカーゼ(図4A)に対して、ダイ
ズ酵素は、最初の尿酸分解活性の少なくとも75%を保持する、サブユニットあたり約2鎖の5kDaまたは30kDa PEGとのカップリングを許容した。
【0075】
[実施例7] アースロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼのPEG結合体 アー
スロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼを、Sigma−Aldrich(カ
タログ番号U7128)から得た。日本国特許第9−154581を参照のこと。実施例1および実施例2に記載のように、四量体を単離し、5kDaおよび30kDa PEG
との結合体を調製した。サブユニットあたり平均3を超える鎖の5kDa PEGを有す
る結合体は、最初の比活性の60%未満を維持した一方、サブユニットあたり平均2鎖の30kDa PEGを有する結合体は、最初の比活性の少なくとも85%を維持した。
【0076】
[実施例8] アミノ短縮ブタおよびPBCウリカーゼのPEG結合体 実施例3に記載のように、アミノ末端の最初の6つのアミノ酸を欠失させた組換えブタおよびPBCウリカーゼを、標準的技術によってエシェリヒア コリに発現させ、精製する。実施例1および実
施例2に記載のように、アミノ短縮ウリカーゼのPEG結合体を合成して最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性結合体を作製する。
【0077】
[実施例9] カルボキシル末端またはアミノ末端とカルボキシル末端の両末端が短縮した
ブタおよびPBCウリカーゼのPEG結合体 実施例3に記載のように、カルボキシル末
端の最後の3つのアミノ酸を欠失させた組換えブタおよびPBCウリカーゼを、標準的技術によってエシェリヒア コリに発現させ、精製する。このカルボキシ末端の欠失は、ペ
ルオキシソーム標的シグナルが取り除かれるので、非修飾酵素の溶解性が促進し得る。Miura, et al.、1994を参照のこと。実施例1および実施例2に記載のように、カルボキシ短縮ウリカーゼのPEG結合体を合成して最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性結合体を作製する。アミノ末端での6つの残基およびカルボキシ末端での3つの残基が短縮された組換えPBCウリカーゼ(PBC−NT−CT)の配列を、図6に示す。実施例1、実施例2、および実施例3に記載のように、このウリカーゼを発現させ、精製してPEG化して、最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性の結合体を作製する。
【0078】
[実施例10] PEG付着部位数を増加させたブタウリカーゼ変異体のPEG結合体 実施例3に記載のように、PEG付着部位の潜在的な数を1つまたは複数のアルギニン残基のリシンとの置換によって増加させた組換えブタウリカーゼを調製する。Hershfield, MS. et al.、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、88:7185〜7189を参照のこと。残基291のアルギニンをリシンと置換し、残基301のトレオニンをセリンと置換したこのような変異(PKSウリカーゼ)の1つのアミノ酸配列の例を、図6に示す。実施例1および実施例2に記載のように、PEGを、このウリカーゼに結合して、組換えウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性の結合体を作成する。
【0079】
[実施例11] 組換えヒヒウリカーゼ変異のPEG結合体 実施例3に記載のように、分子生物学の標準的方法を使用して、第97位にアミノ酸置換(チロシンのヒスチジンへの置換)を有する組換えヒヒウリカーゼを構築する(図6のヒヒ配列を参照のこと)。実施例1および実施例2に記載のように、組換えヒヒウリカーゼ変異体の四量体のPEG結合体を合成して、組換えウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に免疫原性が減少した結合体を作製する。
【0080】
[実施例12] キャンディダ ユティリス、アスペルギルス フラバス、およびアースロバ
クター グロビフォルミス由来のPEG結合体の免疫原性 キャンディダ ユティリス、ア
スペルギルス フラバス、およびアースロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼを、それぞれ、実施例4、実施例5、および実施例7に記載のように得る。実施例1および実施例2に記載のように、5kDa、10kDa、20kDa、または30kDaのPEGを用いて、PEG結合体を合成する。これらの結合体の免疫原性は、実質的に減少または消失する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の循環寿命を延長し、かつタンパク質の免疫原性を減少させるタンパク質の化学修飾に関する。より詳細には、本発明は、尿酸分解活性を失うことなく尿酸酸化酵素の免疫原性を実質的に排除する、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)と尿酸酸化酵素との結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
[政府権利の記載] 本出願中に記載された研究の一部は、国立衛生研究所の助成金DK4
8529の支援を用いて行われた。従って、合衆国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0003】
[発明の背景] この背景の節に含まれる記載は、先行技術の承認から構成されていない代
わりに、本発明が行われた際の先行技術の記載に対する本発明者ら自身の主観的なコメントおよび解釈を反映する。これらの解釈は、個人的な以前に開示されていない本発明に関する洞察を含み得るが、洞察自体が先行技術の一部ではない。
【0004】
尿酸酸化酵素(ウリカーゼ、E.C.1.7.3.3)は、尿酸のより可溶な生成物で、より容易に排泄されるプリン代謝産物であるアラントインへの酸化を触媒する酵素である。ヒトは、高等な霊長類の進化過程で必要なウリカーゼ遺伝子のいくつかの変異の結果として酵素活性ウリカーゼを産生しない(非特許文献1)。結果として、感受性を示す個体では、血液(高尿酸血症)および尿(高尿酸尿症)における過剰濃度の尿酸により、有痛性の関節炎(痛風)、外観を損なう尿酸蓄積物(痛風結節)、および腎不全を発症し得る。何人かの罹患個体では、アロプリノール(尿酸合成のインヒビター)などの利用可能な薬物は、治療を制限する副作用を示すか、これらの病状を適切に軽減しない(非特許文献2)。ウリカーゼ注射により、少なくとも一時的に高尿酸血症および高尿酸尿症を軽減することができる。しかし、ウリカーゼはヒトにおいて外来タンパク質であるので、アスペルギルス フラバス由来の非修飾タンパク質の最初の注射でさえ治療患者の数%でアナフ
ィラキシー反応(非特許文献3)および長期にわたる治療または断続的な治療の有用性を制限する免疫原性反応を誘導している(非特許文献4)。
【0005】
高尿酸血症に一部適切に利用可能な治療は、数十年間、認識されている(非特許文献5)。同様に、重篤な痛風を罹患した患者の一定の群が注射可能なウリカーゼの安全で有効な形態から利益を得ることができる可能性が長年認識されている(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13)。動物の器官由来のウリカーゼは、安全な注射による投与に適合する溶媒にほぼ不溶である(特許文献1)。植物または微生物由来の一定のウリカーゼは、医学的に受容可能な溶媒により可溶である。しかし、微生物酵素の注射によって、生命に危険を及ぼすようなアレルギー反応またはウリカーゼの不活化および/または循環からのクリアランスの促進を引き起こし得る免疫学的応答を即座に誘導する(非特許文献14)。ブタおよびヒヒを含む哺乳動物または昆虫(例えば、ドロソフィラ メラノガスターまた
はドロソフィラ シュードオブスキュラなど(非特許文献15)由来のウリカーゼの推定
アミノ酸配列に基づく酵素は、生理学的pHでの免疫原性および不溶性に問題があり臨床用の適切な候補ではなかった。
【0006】
ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)(両方ともPEGと呼ばれる)とタンパク質の共有結合による修飾を使用してタンパク質の半減期を延長し、免疫原性を減少させている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献16)。循環寿
命が延長し、そして/または免疫原性が増大する一方で機能的活性が保護されている結合体を作製するための高分子量のPEGとのカップリングは、別の酵素であるスーパーオキシドジムスターゼ(非特許文献17、特許文献5、特許文献6)および他の型のタンパク質、例えば、サイトカイン(非特許文献18、非特許文献19)については以前に示されていた。ウリカーゼのPEG以外のポリマーとの結合体も記載されている(特許文献7)。
【0007】
ほぼ全ての報告されたPEG化(PEGylate)ウリカーゼ(すなわち、PEGとウリカーゼとの共有結合)は、最初にPEGをアミノ末端残基および利用可能なリシン残基を含むアミノ基に結合させることを意図した。一般的に使用されるウリカーゼでは、それぞれの4つの同一のサブユニット中のリシンの総数は、25(アスペルギルス フラバス
(特許文献8))と29(ブタ(非特許文献20))との間である。リシンのいくつかは、酵素の天然の形態においてPEG化に利用できない。ウリカーゼの免疫原性の減少に最も一般的なアプローチは、低分子量のPEGの多数の鎖に結合させることであった。これにより、得られた結合体の酵素活性が常に大きく減少している。
【0008】
以前、研究者は、ウリカーゼ注射を用いてin vivoでの尿酸のアラントインへの変
換を触媒させていた(非特許文献3)。これは、フランスおよびイタリアでの、真菌アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼ(Unicozyme(商品名))を使用して血
液学的悪性腫瘍の細胞傷害性治療に関連する高尿酸血症を予防または一時的に正常にし、痛風患者の重篤な高尿酸血症を一時的に軽減することを基礎としている(非特許文献22、非特許文献23、特許文献24、特許文献25)。その循環寿命が短いために、Uricozyme(商品名)は、毎日注射する必要がある。さらに、その免疫原性のために長期治療にあまり適さない。
【0009】
5kDa PEGにカップリングしたキャンディダ ユティリス ウリカーゼ調製物の一回
の静脈内注射により、5人のヒト被験体での血清尿酸塩(平均注射前血清尿酸塩濃度は6.2mg/gLであり、これは正常範囲内である)が検出不可能なレベルまで減少した(非特許文献9)。4週間後、被験体にさらに注射を行ったが、その反応については報告されなかった。第2の(および最後の)注射後、比較的感度の低いゲル内拡散アッセイではウリカーゼに対する抗体は検出されなかった。この引例は、ヒト患者または実験動物の慢性または亜慢性治療の結果を報告していなかった。
【0010】
5kDa PEGに結合させたアースロバクター プロトフォーミア(Arthrobacter protoformiae)由来のウリカーゼ調製物を使用して、注射前の血清
尿酸塩濃度が15mg/dLである1人のリンパ腫患者で高尿酸血症が一時的に調節された(非特許文献12)。患者が危篤状態でかつ治療の継続時間が短かった(14日間に4回の注射)ので、結合体の長期の効果または安全性を評価することができなかった。
【0011】
本出願では、用語「免疫原性」は、PEG修飾または非修飾ウリカーゼの調製物(抗原)の注射組成物による免疫応答の誘導をいい、「抗原性」は、抗原と前から存在する抗体との反応をいう。集合的に、抗原性および免疫原性を、「免疫反応性」という。PEG−ウリカーゼの以前の研究では、免疫反応性を、1)PEG−ウリカーゼと予め形成した抗体とのin vitroでの反応、2)誘導された抗体合成の測定、および3)反復注射後
のクリアランスの促進速度を含む種々の方法で評価した。
【0012】
種々のリンカーを介したPEGの様々な数の鎖のカップリングによっていくつかの供給源由来のウリカーゼの免疫原性を排除するという以前の試みは、一部成功している。PEG−ウリカーゼは、最初、FF DavisならびにY. Inadaおよび同僚によって開示された(非特許文献6、特許文献11、非特許文献7、特許文献12、特許文献13)
。特許文献11で開示された結合体は、不特定の供給源のウリカーゼと2,000倍モル過剰の750ダルトンのPEGとの反応によって合成され、これは、多数のポリマー分子が各ウリカーゼサブユニットに付着しているらしいということを示した。'337特許は
、種々のポリペプチドホルモンおよび酸化還元酵素を含む酵素、ウリカーゼは、3つの例のうちの1つの活性で水溶性の、非免疫原性の結合体を得るための500〜20,000ダルトンの、好ましくは500〜5,000ダルトンの分子量のPEGまたはポリ(プロピレングリコール)のいずれかとのカップリングを開示している。さらに、'337特許
は、酵素分子あたり10〜100のポリマー鎖のカップリングおよび酵素活性の少なくとも40%の保持を強調している。ウリカーゼの利用可能なアミノ基へのPEGのカップリング範囲、残基特異性尿酸分解活性、または結合体の免疫反応性の試験結果は報告していなかった。
【0013】
ウリカーゼのPEG化に関する13報の引例からのデータを表1にまとめる。これらの結果のうちのいくつかも、図1A〜図2Bにグラフで示した。これらの刊行物のうち7報は、キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼへの種々の鎖数のPEGとのカップリング
によってin vitroで測定された尿酸分解活性の有意な減少が記載されている。ブ
タ肝臓ウリカーゼへの多数の鎖の5kDa PEGのカップリングは、同一のグループに
よるChenの刊行物およびシンポジウムの報告の両方に記載の結果と類似であった(非特許文献11、非特許文献6)。
【0014】
表1にまとめた研究のうち7報でPEG化によるウリカーゼの免疫反応性の減少および5報で消失が報告されていた。後者の5報の研究のうち3報では、免疫反応性の消失(多くとも初期活性の15%、28%、または45%)は、尿酸分解活性の顕著な減少に関連していた(非特許文献7(15%活性); 非特許文献11(28%活性); 非特許文献8(45%活性)。4番目の報告では、PEGは、61%の利用可能なリシン残基にカップリングされたと報告されているが、残基の比活性は記載されていなかった(非特許文献10)。しかし、2人の同一の科学者を含み同一の方法を使用した研究チームは、このカップリングの範囲が23%〜28%しか活性を残していないことを他で報告していた。非特許文献11、非特許文献10は、ウリカーゼの免疫原性を実質的に減少させるために、PEGを利用可能なリシン残基の約60%にカップリングさせるべきであることを示す(表1)。ウリカーゼの免疫原性が消失したと報告した5番目の刊行物は、PEGカップリングの範囲、残存尿酸分解活性、またはPEG−タンパク質結合の性質を開示していない(非特許文献23)。
【0015】
PEGとウリカーゼ中のリシン残基のより小さな画分との結合は減少したが、実験動物における免疫反応性は消失しなかった(非特許文献24:カップリングしたアミノ基の28%〜45%、非特許文献25:カップリングしたアミノ基の38%)。対応する付加物の残存尿酸活性は、最初の値の<33%(非特許文献24)〜60%(非特許文献25)の範囲であった。非特許文献24では、5kDa PEGに加えて7.5kDaおよび10
kDaのPEGを用いてPEG−ウリカーゼ結合体を合成した。得られた全ての結合体は、いくらか免疫原性および抗原性を示し、酵素活性の顕著な減少が示された(表1、図1A〜図1B)。
【0016】
5人のヒトに各々安全に2回投与したキャンディダ ユティリス由来のウリカーゼのPE
G化調製物は、最初の活性の11%しか保持されないと報告された(非特許文献9)。数年後、アースロバクター プロトフォーミア由来のPEG修飾ウリカーゼを、進行性リン
パ腫および重篤な高尿酸血症を罹患した1人の患者に4回投与した(非特許文献12)。その酵素調製物の残存活性が測定されていないが、非特許文献12では、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて、最初のPEG−ウリカーゼ注射から26日後の患者の血清中に抗ウリカーゼ抗体か存在しないことを示した。
【0017】
表1にまとめたように、PEG化ウリカーゼの以前の研究は、触媒活性がその免疫反応性を実質的に減少させるのに十分な数のPEG鎖のカップリングよって顕著に減少することを示す。さらに、PEG−ウリカーゼのほとんどの以前の調製物は、新規の抗原決定基を誘導し、ウサギにおける抗体の形成を誘導することが示されている塩化シアヌールであるトリアジン誘導体(2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン)で活性化したPEGを用いて合成されていた(非特許文献24)。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
特許文献14は、抗原性の減少および「改良された延長」作用を示す1〜12kDaの分子量のPEGで誘導体化されたウリカーゼを含む修飾タンパク質ならびにこのような誘導体化ペプチドの作製法を開示している。しかし、鎖の数、酵素アッセイ、生物学的試験、
または「改良された延長」の意味についての開示はない。特許文献12および特許文献13は、PEG−トリアジンまたはbis−PEG−トリアジン(表1でPEG2と示す)
でそれぞれ調製したウリカーゼ結合体を開示している(非特許文献7、8)。第1の型の結合体では、PEGの分子量は2kDaおよび5kDaであり、第2の型では、5kDaのPEGのみを使用した。非特許文献7は、43%の利用可能なリシンの直鎖5kDa
PEGでの修飾後に15%の尿酸分解活性の回復を報告し、特許文献8は、それぞれ46%または36%のリシンのPEG2での修飾後に31%または45%の尿酸分解活性の回
復を報告した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Wu, X. et al.、1992、J. Mol. Evol.、34:78〜84
【非特許文献2】Hande, KR. et al.、1984、Am. J. Med.、76:47〜56; Fam, AG.、1990、Bailliere's Clin. Rheumatol.、4:177〜192
【非特許文献3】Pui, C−H.et.al.、1997、Leukemia、11:1813〜1816
【非特許文献4】Donadio, D. et al.、1981、Nouv. Presse Med.、10:711〜712; Leaustic, M. et al.、1983、Rev. Rhum. Mal. Osteoartic.、50:553〜554
【非特許文献5】Kissel, P. et al.、1968、Nature、217:72〜74
【非特許文献6】Davis,FF. et al.、1978、GB Broun,et al.編、Enzyme Engineering、第4巻、169〜173、New York、Plenum Press
【非特許文献7】Nishimura, H. et al.、1979、Enzyme、24:261〜264
【非特許文献8】Nishimura, H. et al.、1981、Enzyme、26:49〜53
【非特許文献9】Davis,S.et al.、1981、Lancet、2(8241):281〜283
【非特許文献10】Abuchowski, A. et al.、1981、J.Pharmacol. Exp. Ther.、219、352〜354
【非特許文献11】Chen, RH−L. et al.、1981、Biochim. Biophys Acta.、660:293〜298
【非特許文献12】Chua, CC. et al.、1988、Ann. Int. Med.、109:114〜117
【非特許文献13】Greenberg, ML. et al.、1989、Anal. Biochem.、176:290〜293
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【非特許文献15】Wallrath, LL. et al.、1990、Mol. Cell Biol.、10:5114〜5127
【非特許文献16】Saifer, MGP. et al.、1994、Adv. Exp. Med. Biol.、366:377〜387
【非特許文献17】Somack, R. et al.、1991、Free Rad Res.Commun.、12〜13:533〜562
【非特許文献18】JM. Harris, et al編、Poly(ethylene glycol)Chemistry and Biological Applications.、ACS Symposium Series 680、155〜169、Washington,DC:American Chemical Society中のSaifer, MGP. et al.、1997、Polym. Preprints、38:576〜577
【非特許文献19】Sherman, MR. et al.、1997
【非特許文献20】Wu, X. et al.、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86:9412〜9416
【非特許文献21】Potaux, L. et al.、1975、Nouv. Presse Med.、4:1109〜1112
【非特許文献22】Legoux, R. et al.、1992、J. Biol. Chem.、267:8565〜8570
【非特許文献23】JM Harris,et al.編、Poly(ethylene glycol) Chemistry and Biological Applications.、ACS Symposium Series 680、182〜192、Washington,DC、American Chemical Society中のVeronese, FM. et al.、1997
【非特許文献24】Tsuji, J. et al.、1985、Int. J. Immunopharmacol.、7:725〜730
【非特許文献25】Yasuda, Y. et al.、1990、Chem. Pharm. Bull.、38:2053〜2056
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第3,616,231号
【特許文献2】米国特許第4,179,337号
【特許文献3】米国特許第4,766,106号
【特許文献4】米国特許第4,847,325号
【特許文献5】米国特許第5,283,317号
【特許文献6】米国特許第5,468,478号
【特許文献7】米国特許第4,460,683号
【特許文献8】米国特許第5,382,518号
【特許文献9】米国特許第5,382,518号
【特許文献10】米国特許第5,541,098号
【特許文献11】米国特許第4,179,337号
【特許文献12】日本国特許第55−99189号
【特許文献13】日本国特許第62−55079号
【特許文献14】日本国特許第3−148298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
以前の研究では、ウリカーゼの免疫原性および/または抗原性の顕著な減少がPEG化によって行われる場合、この減少は尿酸分解活性の実質的な欠失に常に関連していることを教示している。生物医薬の安全性、便利さ、費用有効性全てにとって、効能の減少、およびそれによる投薬量増加は悪影響である。従って、血液および尿を含む体液中の尿酸レベルの上昇を低下させるための安全で有効な代替手段が必要である。本発明によれば、非修飾酵素の尿酸分解活性の全てまたはほぼ全てを保持する実質的に非免疫原性のPEG−ウリカーゼが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の1つの実施形態は、非結合体ウリカーゼの尿酸分解活性の少なくとも約75%を
保持し、免疫原性を実質的に減少させた尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体である。この実施形態は、各サブユニットが、直鎖または分岐鎖であり、各PEG分子が約5kDaと100kDaとの間の分子量であり得る平均2〜10鎖のPEGが共有結合し得る精製ウリカーゼを含む。本発明のこの態様のウリカーゼは、組換え体であり得る。組換えの有無にかかわらず、ウリカーゼは哺乳動物起源であり得る。この実施形態の1つの態様では、ウリカーゼは、ブタ、ウシ、またはヒツジの肝臓のウリカーゼであり得る。この実施形態の別の態様では、ウリカーゼはキメラであり得る。キメラウリカーゼには、ブタ肝臓および/またはヒヒ肝臓ウリカーゼを含み得る。例えば、キメラウリカーゼは、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)または変異R291KおよびT301Sを含むブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)(図6の配列および図7〜図12の生理学的および免疫学的研究の結果を参照のこと)であり得る。あるいは、ウリカーゼは、チロシン97がヒスチジンで置換されて、ウリカーゼの比活性が少なくとも約60%増加し得るヒヒ肝臓ウリカーゼであり得る。本発明のウリカーゼは、起源が何であろうと、アミノ末端もしくはカルボキシル末端のいずれかまたは両末端が短縮された形態でもあり得る。同様に、ウリカーゼは、真菌または細菌ウリカーゼであり得る。この実施形態の1つの態様では、真菌または細菌ウリカーゼは、アスペルギルス フラバス、アースロバクター グロビフォルミス、またはキャンディダ ユティリス由来のウリカーゼの天然に存在する形態または組
換え形態であり得る。あるいは、ウリカーゼは、無脊椎動物ウリカーゼ、例えば、ドロソフィラ メラノガスターまたはドロソフィラ シュードオブスキュラ由来のウリカーゼの天然に存在する形態または組換え形態であり得る。本発明のウリカーゼはまた、植物ウリカーゼ、例えば、ダイズ根粒グリシン マックス由来のウリカーゼの天然に存在する形態ま
たは組換え形態であり得る。PEGは、約5kDaと100kDaとの間の平均分子量であり、好ましくは、PEGは、約10kDaと60kDaとの間の平均分子量であり、より好ましくは、PEGは、約20kDaと40kDaとの間の平均分子量、例えば、30kDaであり得る。共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり2〜10鎖であり、好ましくは、共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり3〜8鎖であり、より好ましくは、共有結合するPEG鎖の平均数は、ウリカーゼサブユニットあたり4〜6鎖であり得る。この実施形態の1つの態様では、ウリカーゼは、四量体であり得る。PEG鎖を、ウレタン(カルバメート)結合、第2級アミン結合、および/またはアミド結合を介して共有結合し得る。ウリカーゼが本明細書中に記載の任意のウリカーゼの組換え形態である場合、組換え形態は、天然に存在する形態の配列を実質的に有し得る。
【0027】
本発明の別の実施形態は、上記のPEG−ウリカーゼ結合体および薬学的に受容可能なキャリアの任意を含む、体液中の尿酸レベルの低下用の薬学的組成物である。組成物を、凍結乾燥によって安定化し、再構成の際、迅速に溶解して非経口投与に適切な溶液を得ることができる。
【0028】
本発明はまた、哺乳動物の体液および組織中の尿酸レベルの低下法を提供する。この方法は、尿酸減少有効量のPEG−ウリカーゼを哺乳動物に投与する工程を含む。前記PEG−ウリカーゼは、薬学的に受容可能なキャリア中に各サブユニットが直鎖または分岐鎖PEGの平均2〜10鎖に共有結合している2つまたはそれ以上のサブユニットを含む精製ウリカーゼを含み、各PEG分子は約5kDaと100kDaとの間の分子量を有する。前記哺乳動物はヒトであり得る。投与工程は、例えば静脈内、皮内、皮下、筋肉内、または腹腔内経路での注射またはエアゾール化処方であり得る。尿酸レベルの上昇は、血液、尿、および/または他の体液および組織で起こり、痛風、痛風結節、腎不全、臓器移植、および悪性疾患に関連し得る。
【0029】
本発明の他の実施形態は、複数の形態のウリカーゼを含む溶液からの四量体の単離法およびその方法による生成物である。最初、溶液は、四量体ウリカーゼおよびウリカーゼ凝集
体を含み得る。本方法は、約9と10.5との間のpH(例えば、10.2)で少なくとも1つの分離カラムに溶液を添加する工程と、ウリカーゼ凝集体を実質的に含まない溶出液の画分を回収し、単離した四量体ウリカーゼを含み得る画分を同定する工程と、単離した四量体ウリカーゼ画分をプールする工程とを含み得る。分離カラムは、イオン交換、サイズ排除、または任意の他の有効な分離の性質に基づき得る。本方法はまた、四量体ウリカーゼの存在および/またはウリカーゼ凝集体の非存在を同定するための画分の分析を含み得る。例えば、このような分析には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、他のクロマトグラフィー法、光散乱、遠心分離、および/または電気泳動が含まれ得る。この実施形態の1つの態様では、精製四量体ウリカーゼは、約10%未満のウリカーゼ凝集体を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図1B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図2A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図2B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図3A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのPEG化ブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図3B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのPEG化PBCウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図4A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのアスペルギルス フラバス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図4B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのアスペルギルス フラバス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図5A】サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのPEG化組換えダイズ根粒ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図5B】サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのPEG化組換えダイズ根粒ウリカーゼによる活性の保持率を示す図である。
【図6】ブタおよびヒヒの配列を比較した、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方を短縮したPBCウリカーゼ(PBC−NT−CT)、および変異R291KおよびT301Sを含むブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)の推定アミノ酸配列を示す図である。
【図7】各々4回または5回のPEG修飾PBCウリカーゼの腹腔内注射から24時間後の、最初の注射から24時間後と比較したマウス血清中のウリカーゼ活性を示す図である。
【図8】ウリカーゼ欠損マウスの血清中に注射されたPEG修飾PBCウリカーゼ活性と血清および尿中の尿酸濃度との間の反比例関係を示す図である。
【図9】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける尿濃縮欠損の重篤度の減少を示す図である。
【図10】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける腎性尿崩症の重篤度の減少を示す図である。
【図11】PEG修飾PBCウリカーゼで処理したウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスにおける、磁気共鳴顕微鏡で視覚化された、尿酸誘導性腎症の重篤度の減少を示す図である。
【図12】四量体および八量体が共にサブユニットあたり10kDaの5〜6つのPEG鎖に結合した場合、四量体と比較した、PBCウリカーゼ八量体を注射したBALB/cマウスの循環からのクリアランスの促進を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、水溶性ポリマー(好ましくは、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド))とウリカーゼとの改良された結合体を提供する。本発明はまた、改良結合体の薬学的組成物を提供する。これらの結合体は、実質的に非免疫原性であり、非修飾酵素の尿酸分解活性の少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは95%またはそれ以上を保持する。水溶性ポリマーに適切なウリカーゼには、細菌、真菌、および植物および動物、脊椎動物および無脊椎動物の組織から単離された天然に存在する尿酸酸化酵素ならびにウリカーゼの組換え体、変異、雑種および/またはウリカーゼの短縮した酵素活性変異体が含まれる。本発明での使用に適切な水溶性ポリマーには、直鎖および分岐鎖ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)、全てPEGとして公知が含まれる。分岐PEGの例は、米国特許第5,643,575号の主題である。直鎖PEGの好ましい例は、一般式CH3O−(CH2CH2O)nH、nは、約100〜約2,300で変化する、モノメトキシPEGである。
【0032】
1つの好ましい哺乳動物ウリカーゼは、組換えブタ−ヒヒキメラウリカーゼであり、これは、ブタ肝臓およびヒヒ肝臓ウリカーゼの部分配列からなり、この両配列はWu, et al.、1989で最初に決定された。このようなキメラウリカーゼの1つの例は、最初にブタウリカーゼ配列(配列番号1)由来の225アミノ酸および最後にヒヒウリカーゼ配列(配列番号2)由来の79アミノ酸を含む(ブタ−ヒヒウリカーゼ(すなわちPBCウリカーゼ)、図6を参照のこと)。このようなウリカーゼの別の例は、ブタ配列(配列番号1)の残基7〜225およびヒヒ配列(配列番号2)の残基226〜301を含む。これは、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方が短縮されたPBCウリカーゼの等価物である(PBC−NT−CT、図6を参照のこと)。このようなキメラウリカーゼの別の例は、最初にブタ配列(配列番号1)由来の288アミノ酸および最後にヒヒ配列(配列番号2)由来の16アミノ酸を含む。後者の配列は、残基291のアルギニンのリシン(K)への置換および残基301のトレオニンのセリン(S)への置換を有する2つの位置のみでブタ配列と異なるので、この変異をブタ−K−SまたはPKSウリカーゼという。PKS、PBC、およびPBC−NT−CTウリカーゼはそれぞれ、リシン残基を一つ多く有するので、ブタまたはヒヒの配列より潜在的なPEG化部位を一つ多く含む。
【0033】
PBCウリカーゼ、PKSウリカーゼ、および組換えヒヒ様ウリカーゼを含む種々の哺乳動物ウリカーゼのcDNAをサブクローン化し、標準的な方法を用いてエシェリヒア コ
リ(E.coli)における発現用の最適条件を同定した。Erlich, HA.編、
1989、PCR Technology.、Principles and Appli
cations for DNA Amplification、New York:Stockton Press; Sambrook, J.et al.、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。組換えウリカーゼを、抽出し、精製し、それらの安
定性および活性を標準的なアッセイの改変を用いてアッセイした。Fridovich,
I.、1965、J. Biol. Chem.、240:2491〜2494、Nis
himura, et al.、1979、および実施例1を参照のこと。
【0034】
本発明の1つの実施形態では、ウリカーゼを、生物学的に安定で、無毒性の共有結合を介して、比較的少数のPEG鎖に結合させることができる。このような結合には、ウレタン(カルバメート)結合、第2級アミン結合、およびアミド結合が含まれ得る。このような結合体に適切な種々の活性化PEGは、Shearwater Polymers、Hu
ntsville、ALから市販されている。
【0035】
例えば、ウリカーゼへのウレタン結合を、PEGのスクシニミジルカーボネート(SC)または4−ニトロフェニルカーボネート(NPC)誘導体の存在下でのウリカーゼのインキュベーションによって形成させることができる。SC−PEGを、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,612,460号に記載の手順を用いて合成することができる。NPC−PEGを、Veronese, FM.et al.、1985、Appl.Biochem.Biotechnol.、11:141〜152および本明細書中で参考として援用される米国特許第5,286,637号に記載の方法に従って、PEGと4−ニトロフェニルクロロホルメートとの反応によって合成することができる。'637
の特許に記載の方法を、類似の化学量論的性質を維持するために反応物質の濃度を調節することによってより高分子量のPEGに適用する。NPC−PEGの別の合成法は、Buttner, W,et al.に付与された、東ドイツ特許明細書第DD279 486
A1号に記載されている。
【0036】
ウリカーゼに対するアミド結合を、PEGのカルボン酸誘導体のN−ヒドロキシスクシニミドエステル(Sheawater Polymers)を用いて得ることができる。第
2級アミン結合を、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルPEG(トレシルPEG; Shearwater Polymers)を用いるか、PEGアルデヒド(Shearwater Polymers)およびシアノホウ酸水素ナトリウムを用いた還元アル
キル化によって形成することができる。
【0037】
5kDaと30kDaとの間の分子量のPEGを含む結合体では、非修飾酵素の尿酸分解活性を少なくとも75%保持しながらサブユニットあたりカップリングするPEG鎖の最大数は、ダイズウリカーゼで2鎖からPBCウリカーゼで10鎖以上の範囲であった。(実施例1のアッセイ条件および図1A〜図5Bの結果を参照のこと)。後者のPEG化の範囲は、全アミノ基の約1/3に相当する。本発明の1つの実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりにカップリングするPEG鎖の平均数は、2と10との間である。好ましい実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりに共有結合するPEG鎖の平均数は、3と8との間である。より好ましい実施形態では、ウリカーゼサブユニットあたりに共有結合するPEGの平均の鎖数は、4と6との間である。別の実施形態では、カップリング反応に使用するPEGの分子量は、5kDaと100kDaとの間、好ましくは10kDaと60kDaとの間、より好ましくは20kDaと40kDaとの間、例えば、30kDaである。
【0038】
ウリカーゼの所与の形態へのカップリング用のPEGの最適な分子量および鎖の数の選択に影響を与え得るいくつかの因子が存在する。一般に、尿酸分解活性の実質的な損失を伴わない免疫原性の減少または除去には、高分子量のPEGの比較的少ない鎖と比較してより低分子量のPEGの比較的多い鎖のカップリングが必要であり得る。例えば、サブユニットあたり6鎖の20kDa PEGまたはサブユニットあたり4鎖の30kDa PEGのいずれかが最も有効であり得る。同様に、ウリカーゼのそれぞれ異なる形態は、サイズおよび鎖の数の両方によって異なる至適性を有し得る。図1A〜図5Bを参照のこと。
【0039】
PEG結合によって、フランスおよびイタリアのSanofi Winthropで販売
されている真菌ウリカーゼ(Uricozyme(商品名))における安定剤として使用される8−アザキサンチンなどの基質アナログまたはインヒビターを添加することなく、生理学的pHの緩衝液中で全ての試験ウリカーゼを可溶で安定にする。PBCウリカーゼの2つの異なる結合体、一方は、サブユニットあたり約6鎖の10kDa PEGを含み
、他方は、サブユニットあたり約2鎖の19kDa PEGを含むは、マウス血清中での
37℃で1ヶ月を超えるインキュベーション後、有意な活性を保持した。さらに、本発明のいくつかの結合体は、マウスでの循環半減期が2日間を超えるのに対して、PEG修飾
哺乳動物および細菌ウリカーゼについての以前の報告では約8時間または24時間の半減期であった。Chen, et al.、1981; Fuertges, F.et al
.、1990、J. Contr. Release、11:139〜148; Fuji
ta, T. et al.、1991、J. Pharmacobiodyn.、14:623〜629。注射したタンパク質薬物の半減期が長いほど費用効果も高く、患者の服薬遵守も改善され得る。半減期の延長はまた、身体内でより耐性を示す生成物の指標である。
【0040】
PBCウリカーゼのPEG結合体を酵素の精製四量体(35kDaの4つのサブユニット)から調製する場合、結合体は、マウスで顕著に減少した免疫原性を示し(図7)、それに対して、より大きな形態の酵素(例えば、35kDaサブユニットの八量体、図12を参照のこと)のPEG結合体では中程度の免疫原性を示し、非修飾酵素では非常に高い免疫原性を示した。ウリカーゼ欠損マウスへの本発明のPEG−ウリカーゼの反復注射により、2ヶ月以上にわたって高尿酸血症が消失し、尿酸関連損傷に対する腎臓の構造および機能を保護した(図8〜図11)。
【0041】
PBCウリカーゼと10kDa PEGとの完全に活性な結合体(図3A〜図3B)の注
射により、ホモ接合性のウリカーゼ欠損マウスの高尿酸血症が劇的に減少した(図8)。尿中の尿酸レベルもまた、PEG修飾PBCウリカーゼで治療した全てのウリカーゼ欠損マウスにおいて劇的に減少した。ウリカーゼ欠損マウスに、図8でのデータを得るために使用したものと類似のPEG−ウリカーゼ調製物を用いた一連の注射を投与した。正常な条件下で12時間の水分枯渇させた尿の重量オスモル濃度の測定(図9)および水分消費および尿の排出(図10)によって示されるように、この治療により、未治療の遺伝的に類似したマウスでの対応する測定と比較して、尿濃縮欠損の重篤度が減少した。磁気共鳴顕微鏡で視覚化したところ、本発明のPEG−ウリカーゼを用いたホモ接合性ウリカーゼ欠損(uox−/−)「ノックアウト」マウスの生後10日目から開始した10週間の治療により、腎臓構造の尿酸塩誘導破壊の重篤度が減少したこともまた示された(図11)。顕微鏡法については、Hedlund, LW. et al.、1991、Fund.
Appl.Toxicol.、16:787〜797; JC Gore編、Reviews of Magnetic Resonance in Medicine、第4巻、18
7〜219、New York:Pergamon Press中のJohnson, G
A. et al.、1992を参照のこと。
【0042】
天然に存在するウリカーゼまたは組換えウリカーゼの精製調製物は、通常、四量体(140kDa)に加えて酵素の凝集体の混合物を含む。四量体形態である各ウリカーゼ調製物の割合は、一般に、約20%〜90%で変化する。いくつかの他のタンパク質の非PEG化凝集体の免疫原性が高いにもかかわらず(例えば、Moore, WV,et al.、1980、J. Clin. Endocrinol. Metab.、51:691〜6
97を参照のこと)、PEG−ウリカーゼの以前の研究は、凝集体の含有率を制限するいかなる作業も記載されていないことから、これは、PEG修飾凝集体の潜在的な免疫原性が考慮されていないことが示唆される。本発明者らの観察に基づいて、このような凝集体はその前のPEG−ウリカーゼ合成に使用された酵素調製物に存在していたようである。凝集体の存在により、非免疫原性結合体の調製作業をより困難にしていたのかもしれない。PEG化ウリカーゼに対する以前の試みで認められた尿酸分解活性の大部分の損失は、カップリングした多数の低分子のPEG鎖に関連するようでもある。それに対して、本明細書中に記載のウリカーゼ精製法およびPEG化法により、サブユニットあたり10鎖ものPEGの共有結合が可能となる一方で、少なくとも一定のウリカーゼ、例えば、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼおよびアスペルギルス フラバス由来の酵素の75%を超える尿酸
分解活性が保持される(図3Aおよび図4Aを参照のこと)。
【0043】
別の好ましい実施形態では、酵素の実質的に全ての四量体形態の凝集体形態を、9と10.5との間のpH(好ましくは10.2)でのイオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィーによって、実質的にウリカーゼの四量体調製物を生じるPEG結合の前に、取り除くことができる。分離用カラムからの各画分中のウリカーゼの分子量を、任意のサイズ依存分析、例えば、HPLC、従来のサイズ排除クロマトグラフィー、遠心分離、光散乱、キャピラリー電気泳動、または非変性緩衝液でのゲル電気泳動を含む、によってモニターすることができる。サイズ排除クロマトグラフィーを用いて単離した四量体ウリカーゼについて、140kDaの形態の酵素のみを含む画分をプールしてPEGへの結合に使用した。イオン交換クロマトグラフィーを用いて単離した四量体ウリカーゼについて、検出可能な凝集体を含まない実質的な四量体の量を含むイオン交換カラム由来の画分を、サイズについて分析して決定することができる。従って、プールしたウリカーゼの少なくとも90%が四量体形態であり得る。従って、所望でない凝集体は、全単離ウリカーゼの約10%、5%、2%、またはそれ以下の少なさであり得る。
【0044】
本明細書中で示した結果は、広範囲にPEG化された場合でさえ、四量体を超えるPBCウリカーゼの形態は、マウスにおいて免疫原性が高いことを示す(図12)。さらに、ウリカーゼ凝集体のPEGで1回注射されたマウスでは、PEG化四量体またはPEG化凝集体のいずれかのその後の注射における尿酸分解活性は、循環から迅速に取り除かれた。それに対して、感度の高い酵素免疫抗体法で測定したところ、5%未満の凝集体を含むウリカーゼから調製した結合体を、そのクリアランス速度の促進(図7)および検出可能な抗体形成を起こさず再度多くの回数を再注射することができた。高度に精製した四量体ウリカーゼの使用により、本発明の改良結合体と以前に記載されたPEG−ウリカーゼ調製物とをさらに区別する。それに対して、以前の何人かの研究者によって使用されたウリカーゼ調製物中の凝集体の有意な比率(例えば、>10%)の存在により、免疫原性を抑制するための試みで多数のPEG鎖をカップリングすることができた。従って、得られた結合体の酵素活性は、実質的に減少した。他の実施形態では、本発明は、このような結合体ウリカーゼの調製物がその尿酸分解活性の少なくとも75%を保持し、実質的に非免疫原性である限り、非四量体形態、例えば、ウリカーゼ二量体、におけるPEG化ウリカーゼが明白に意図される。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、非変異酵素のものと比較して予想外に潜在性が増加した変異ヒヒ肝臓ウリカーゼが得られる。この改良霊長類ウリカーゼを、従来の組換えDNA技術によって調製した。ヒヒウリカーゼにおける1つのアミノ酸残基の置換(97位のトリプシンからヒスチジンへの置換)によって比活性が実質的に増加したことが特に予想外であった。エシェリヒア コリで発現させた場合、変異タンパク質は誘導した組換えヒヒ
酵素より少なくとも60%高い比活性を有することが見出された。
【0046】
別の実施形態では、アミノ末端での最初の少なくとも6アミノ酸および/またはカルボキシル末端の最後の少なくとも3アミノ酸が発現タンパク質から欠失している短縮変異体ブタまたはブタ−ヒヒキメラウリカーゼの発現によって、比活性が増加し、そして/または非PEG化酵素の溶解性が改良される(図6を参照のこと)。カルボキシル末端短縮した組換えウリカーゼは、ペルオキシソーム標的配列の除去により、PEG化の前に溶解性を改良し得る。Miura, S. et al.、1994、Eur. J. Bioche
m.、223:141〜146を参照のこと。
【0047】
本発明のPEG−ウリカーゼ結合体は、哺乳動物、好ましくはヒトの体液および組織中の尿酸レベルの低下に有用であるので、痛風、痛風結節、腎不全、臓器移植、および悪性疾患を含む病状に関連する尿酸レベルの上昇の治療に有用であり得る。PEG−ウリカーゼ結合体を、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、および腹腔内経路の多数の経路のいずれかによって過剰な尿酸レベルの哺乳動物に注射することができる。あるいは、結合体を、エアゾ
ール化および吸入させることができる。Patton, JS.、1996、Adv. Drug Delivery Rev.、19:3〜36および米国特許第5,458,135号を参照のこと。本発明のPEG−ウリカーゼの有効用量は、尿酸レベルおよび個体のサイズに依存する。本発明のこの態様の1つの実施形態では、PEG−ウリカーゼを、約10μg〜約1gの範囲の量で薬学的に受容可能な補形薬または希釈剤と共に投与する。好ましい実施形態では、投薬量は、約100μgと500mgとの間である。より好ましくは、結合体ウリカーゼを、約1mgと100mgとの間の量、例えば、5mg、20mg、または50mgで投与する。実施形態の投薬量を投与した質量を、結合体中のタンパク質量という。
【0048】
PEG−ウリカーゼを含む薬学的処方物を、Gennaro, AR,編、1990、R
emington's Pharmaceutical Sciences、第18版、E
aston,PA:Mack Publishing Co.などに記載の従来技術によって調製することができる。注射可能な溶液の調製物用の適切な補形薬には、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、乳酸化リンガー溶液、水、ポリオール、およびグリセロールが含まれる。非経口注射用の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な滅菌水溶性または非水溶性液体、分散剤、懸濁剤、または乳化剤、ならびに使用直前の滅菌注射溶液または分散剤への再構成用の滅菌粉末を含む。これらの処方物は、更なる成分(例えば、防腐剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、乳化剤、緩衝液、抗酸化剤、および希釈剤など)を含み得る。
【0049】
PEG−ウリカーゼを、体液中の尿酸レベルの上昇を継続的に調節するための個体への移植用の放出調節組成物として供給することもできる。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、再生コラーゲン、ポリ−L−リシン、アルギン酸ナトリウム、ゲル化ガム、キトサン、アガロース、多重層リポソーム、および他の多数の従来の蓄積処方物は、生物活性組成物とともに処方することができる生侵食性および生分解性物質を含む。これらの物質は、移植または注射された場合、段階的に崩壊し、周辺組織に活性物質を放出する。例えば、PEG−ウリカーゼのカプセル化の方法の1つは、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,653,974号に開示の方法を含む。生侵食性で生分解性の他の蓄積処方物の使用が本発明で明白に意図される。PEG−ウリカーゼの送達用の注入ポンプおよび基質包括システムもまた、本発明の範囲内である。PEG−ウリカーゼはまた、ミセルまたはリポソームに有利に封入され得る。リポソームカプセル化技術は、当該分野で周知である。例えば、Lasic, D. et al.編、1995、Stealth Liposomes. Boca Raton,FL:CRC Pressを参照のこと。
【0050】
本発明のPEG−ウリカーゼ薬学的組成物により、例えば、臓器移植レシピエントの尿酸塩誘導性腎不全の危険性の高い患者(Venkataseshan, VS. et al
.、1990、Nephron.、56:317〜321を参照のこと)およびいくつかの悪性疾患患者における血液透析の必要性が減少する。結晶尿酸塩を大量に蓄積した患者(痛風結節)では、このような組成物は、現在利用可能な治療より、迅速に生活の質を改善する。
【0051】
以下の実施例は、上記で開示の種々の態様を例示するものであって、本発明を決して限定するものではない。これらの実施例は、いくつかのサイズおよび組成の活性化(すなわち、電気親和性)PEG誘導体と、天然に存在するブタ、真菌、もしくは細菌のウリカーゼまたは組換えのダイズ、ブタ、またはブタ−ヒヒキメラウリカーゼとのカップリングによって調製されるPEG−ウリカーゼを記載する。活性、溶解性、安定性、薬学的動力学、薬物動態学、および免疫学的研究の結果を含む。図8〜図11のデータにより、高尿酸血症および高尿酸尿症を治療し抗尿酸血症および抗尿酸尿症が発症して重篤な腎損傷を引き起こす動物モデルにおける腎臓の構造および機能を保護する本発明のPEG修飾PBCウリカーゼの能力が証明される。Wu, X. et al.、1994、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA、91:742〜746。これらの実施例は、非修飾酵素の尿酸分解活性を少なくとも約75%保持するウリカーゼの実質的に非免疫原性な結合体の作製のための当業者へのガイダンスを提供する。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
ウリカーゼの四量体形態の精製 ウリカーゼの四量体形態(分子量約140kDa)を、
分離用のサイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィー、その後の分析用サイズ排除クロマトグラフィーでブタ肝臓ウリカーゼ溶液から精製した。ブタ肝臓ウリカーゼは、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号U2350もしくはU3377またはBoehringer Mannheim、Indianapolis、
INから得た。
【0053】
分離用および分析用サイズ排除クロマトグラフィーを、pH10〜10.5(好ましくは10.2)で、0.1M NaClを含む10mM炭酸ナトリウム緩衝液中で、公知の分
子量のタンパク質で予め較正しているSuperdex 200カラムで行った。Sup
erdexを、Amersham Pharmacia、Piscataway、NJか
ら得た。所望のpHを維持し、後のPEGカップリングに使用される化学的性質に適合可能な任意の緩衝液を使用することができる。このような緩衝液は、当該分野で周知である。分離カラム由来の溶出液のUV吸収を、280nmでモニターし、所望の四量体の分子量に対応するがより高い分子量種を含まない溶出液のウリカーゼ含有部分を、実施例2に記載の実質的に非免疫原性PEG−ウリカーゼの合成に使用するために回収した。あるいは、ウリカーゼの四量体形態を、他のサイズ排除媒体、例えば、Superose 12
(Amersham Pharmacia)など、または弱アルカリ性溶液に適合し、適
切なサイズ分画範囲を有する任意の他の媒体を使用して単離することができる。このような媒体は、容易に利用可能であり、当該分野で周知である。
【0054】
イオン交換クロマトグラフィーを、pH10〜10.5、好ましくは10.2で、0.1M炭酸ナトリウム緩衝液で平衡化したMono Qカラム(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)で行った。PEGカップリングの化学的性質に適合し、所望のpHを維持することができる任意の緩衝液を十分に低いイオン強度で使用して、ウリカーゼをカラムに吸着させることができる。このような緩衝液は、当該分野で周知である。溶出液のUV吸収を、注いだ緩衝液のイオン強度の増加、例えば、炭酸ナトリウム緩衝液中の0〜0.5M NaClの直線的勾配によってイオン交換樹脂からウリ
カーゼが溶出している間、280nmでモニターした。次いで、サイズ排除HPLCを使用して、実質的に非免疫原性のPEG−ウリカーゼの合成用の、検出可能な凝集体を含まない、所望のウリカーゼの四量体を含む溶出液の画分を同定した。あるいは、ウリカーゼの四量体形態を、他のイオン交換体、Q−Sepharose(Amersham Ph
armacia)など、または弱アルカリ性溶液に適合する任意の他の媒体を使用して単離することができる。このような媒体は容易に利用可能であり、当該分野で周知である。
【0055】
ウリカーゼ活性を、標準的な方法の改変を用いてアッセイした。例えば、Fridovich、 1965; Nishimura, et al.、1979を参照のこと。尿酸溶液を、毎日新たに調製した50mMホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.2中に調製して6〜150μMの最終アッセイ濃度にした。ウリカーゼ調製物を、アッセイにおけるアルブミンの最終濃度が0.1mg/mLとなるようにウシ血清アルブミン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号A−7030)を含むこのホウ酸緩衝液中で希釈した。酵素の種々の希釈物とマイクロプレートリーダー中のマイクロタイタープレートのウェル中の基質との混合後、25℃での尿酸の消失速度を、3分間に4秒毎を292nmで監視した。10%と40%との間の基質が3分以内に消費されるサンプル
から、少なくとも20データポイントを使用して、1分間あたりの吸光度の最大減少速度を計算した。ウリカーゼ活性の1国際単位(IU)を、1分間に1μモルの尿酸を消費した酵素量と定義する。比活性を、IU/mgタンパク質と示す。図1A〜図5Bの相対的なウリカーゼ活性のデータのいくつかを、アッセイにおいて100μMの尿酸を使用して得た。100μMの尿酸での速度(V100)についての他の結果を、各酵素調製物につい
てのミカエリス定数(KM)および最大速度(Vmax)から、以下の式を用いて計算した。
【0056】
【数1】
【0057】
[実施例2] 四量体ブタウリカーゼへのPEGカップリング 0.1M炭酸ナトリウム緩衝液、pH10.2中の四量体ウリカーゼ溶液に、10〜200モルの種々のサイズ(5kDa〜30kDa)の活性化モノメトキシPEG誘導体、例えば、4−ニトロフェニルカーボネート(NPC−PEG)を、各モルのウリカーゼサブユニット(分子量35kDa)に添加した。これらまたは他の適切な活性化PEGは、Shearwater Pol
ymerから購入可能である。これらのPEGのタンパク質へのカップリングの指示は、Shearwater Polumersのカタログ、インターネットwww.swpo
lymers.com、およびJM Harris,et al.編、1997、Poly(ethylene glycol)Chemistry and Biological Applications、ACS Symposium Series 680、Was
hington,DC:American Chemical Societyで得られる。カップリング反応を、PEGカップリングの範囲を経時的に顕著に変化するまで0〜8℃で進行させても差し支えなかった。次いで、未処理PEGを、クロマトグラフィーおよび/または限外濾過によって反応生成物から取り除いた。
【0058】
ウリカーゼのサブユニットあたりにカップリングしたPEG鎖の数を、Kunitani, M. et al.、1991、J.Chromatogr.、588:125〜13
7;Saifer,et al.、1997、およびSherman, et al.、1
997に記載の方法の適用によって同定した。簡単に述べれば、分離用イオン交換またはサイズ排除カラムからのPEG化反応混合物または画分の部分を、0.1M NaClを
含む10mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH10.2中、室温でTSK 5,000pWXL
カラムによる分析用サイズ排除HPLCによって特徴づけた。HPLCカラムを、TosoHaas、Montgomeryville、PAから得た。タンパク質およびPEGを、紫外線吸収および屈折率検出器によって監視した。結合体中のタンパク質量を、適切な非修飾ウリカーゼ標準と比較した紫外線吸光度から計算した。次いで、結合体中のPEGの量を、屈折率に対するタンパク質の寄与として回収した屈折率の領域から、適切なPEG標準の屈折率ピークの領域と比較して計算した。
【0059】
図2Aは、サブユニットあたりの結合したPEG鎖の数の関数としてのブタ肝臓由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデータ(黒三角、□)をChen, et al.、1981のデータと比較する。大きな円内のデータポイントは、Chen, et al.、1981による非免疫反応性であると報告されている結合体を示す。図2Aに示すように、サブユニットあたり6鎖までの30kDa PEGまたはサブ
ユニットあたり7鎖までの5kDa PEGを有する四量体ブタウリカーゼ結合体は、非
修飾酵素活性の少なくとも75%を保持した。5kDaまたは30kDa PEGの鎖数
(サブユニットあたり約4鎖まで)の増大に伴う非活性の明白な増加により、結合体と比較して非修飾酵素の相対的不溶性または不安定性に影響を与え得る。図2Bに示すように、サブユニットあたり平均3鎖を超える30kDaPEGとブタウリカーゼ結合体は、Ch
en, et al.、1981によって免疫反応性を阻害するのに十分であると見出されている量よりも多いPEGを含む。
【0060】
[実施例3] 四量体組換えPBCウリカーゼのPEG結合体の性質 組換えブタ−ヒヒキメラ(PBC)ウリカーゼcDNAを、pET3d発現ベクター(Novagen、Madison、WI)にサブクローン化し、得られたプラスミド構築物を、エシェリヒア コ
リ BL21(DE3)pLysS株(Novagen)に形質転換し、発現させた。こ
れらの手順を、分子生物学分野で周知の方法を用いて行った。Erlich、1989;
Sambrook, et al.、1989; Ausubel, F. et al.編
、1997、Short Protocols in Molecular Biology、New York:John Wiley & Sonsを参照のこと。
【0061】
図6は、ブタ(配列番号1)およびヒヒ(配列番号2)配列と比較した、PBCウリカーゼ(配列番号1のアミノ酸1〜225および配列番号2のアミノ酸226〜304)の推定アミノ酸配列を示す。ブタ配列の残基と異なるヒヒ配列の残基を太字で示す。ブタおよびヒヒの配列は、Wu, et al.、1989によって最初に同定され、本発明で確認した。配列番号1は、GenBank配列において最初のメチオニン残基が存在しない以外は、GenBankのアクセッション番号p16164と同一である。配列番号2は、GenBank配列の最初のメチオニン残基が存在せず、残基153でヒスチジンがトレオニンに変更されている(図6の残基154)以外は、GenBankのアクセッション番号p25689と同一である。
【0062】
PBCウリカーゼの四量体形態を、実施例1および実施例2に記載のように単離して種々の分子量のPEGにカップリングした。5kDa、10kDa、19kDa、30kDa
PEGで調製した結合体は、サブユニットあたり10鎖までのPEGを含んでいた。少
なくとも10kDaのPEGで調製した結合体は、組換えウリカーゼの最初の比活性の95%以上を保持した(図3A〜図3B)。
【0063】
サブユニットあたり約6鎖の10kDa PEGを有する四量体PBCウリカーゼの結合
体の以下の性質を図に示す:免疫原性の欠如(図7)および1)高尿酸血症および高尿酸尿症の治療(図8)、。2)尿濃縮欠損(図9)の重篤度の減少、および3)腎性尿崩症(図10)の重篤度の減少におけるウリカーゼ欠損マウスの効率。さらに、このPEG−ウリカーゼにより、磁気共鳴顕微鏡(図11)で視覚化したところ、尿酸関連腎障害の重篤度が減少した。
【0064】
図7は、最初の注射から24時間後の値と比較した、PEG−ウリカーゼの4〜5回の腹腔内注射から各24時間後のマウス血清におけるPBCウリカーゼ活性を示す。PEG結合体を、PEG活性化の2つの異なる技術を用いてPBCウリカーゼの3つの異なる調製物から調製した。1つの調製物(●)を、ウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスで試験し、他の2つ(△、■)を正常なBALB/cマウスで試験した。最も免疫反応性のある調製物(△)は、PEGのスクシニミジルカーボネート誘導体(SC−PEG)を用いて、サブユニットあたり平均7鎖の5kDa PEGにカップリングした未知量のウリカー
ゼ凝集体を含む精製PBCウリカーゼから調製した。本明細書中で参考として援用されるZalipskyに付与された米国特許第5,612,460号。中程度の免疫反応性のある調製物(■)は、PEGの4−ニトロフェニルカーボネート誘導体(NPC−PEG)を用いて、サブユニットあたり平均2鎖の19kDa PEGに対して11%の凝集体
を含むPBCウリカーゼ調製物のカップリングによって調製した。Sherman,et
al.、1997。最も低い免疫反応結合体(●)を、5%未満の凝集ウリカーゼを含
むpBCウリカーゼ調製物へのサブユニットあたり平均6鎖の10kDa NPC−PE
Gのカップリングによって調製した。
【0065】
図8は、血清および尿中の尿酸濃度とウリカーゼ欠損(uox−/−)マウスの血清中の注射されたPEG−ウリカーゼの活性との間の反比例関係を示す。注射から0時間および72時間で、酵素サブユニットあたり平均6鎖の10kDa PEGに結合したPBCウ
リカーゼが0.43IU含まれていた。
【0066】
図9は、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、尿濃縮欠損の重篤度が減少したことを示す。正常なマウスウリカーゼ遺伝子(uox+/−)の1コピーを含む2匹のマウス、6匹の未処理ホモ接合性ウリカーゼ欠損マウス(uox−/−)、および3日目と72日目との間に95mIUまたは190mIUのPEG−ウリカーゼを10回注射した6匹のホモ接合性ウリカーゼ欠損マウスについて尿重量オスモル濃度データの平均および標準偏差を示す。各遺伝的背景のマウスの尿の回収前に、水を任意に摂取する(黒塗りのバー)か、12時間水を枯渇させた。
【0067】
図10は、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、異常に高い水の消費および異常に高い尿の排出によって特徴づけられる腎性尿崩症の重篤度が減少したことを示す。マウスの遺伝的背景および処理プロトコールは図9と同一である。毎日の水の消費(黒塗りのバー)および尿排出(斜線のバー)の平均および標準偏差を、6匹のマウスの3群として示す。
【0068】
図11は、磁気共鳴顕微鏡で視覚化したところ、ウリカーゼ欠損マウスのPEG修飾PBCウリカーゼでの治療により、尿酸誘導性腎症の重篤度が減少したことを示す。3群のマウスの遺伝的背景および処理プロトコールは図9および図10と同一であった。磁気共鳴顕微鏡法を、Center for in vivo Microscopy、Duke U
niversity Medical Center、Durham、North Car
olinaで行った。
【0069】
図8〜図11にまとめた結果に加えて、全てのウリカーゼ欠損マウスの尿中の尿酸レベルがPEG修飾PBCウリカーゼ治療後に劇的に減少したことを示した。最後に、図12は、PBCウリカーゼの異なるPEG修飾形態である、八量体形態(分子量=280kDa)では、広範にPEG化した場合でさえマウスで免疫原性を示すことを示す。この特性は、一回の腹膜内注射から5日以内にPEG修飾八量体のクリアランスの促進に反映されている。同一のマウスに、同用量の同一のPEG−ウリカーゼ調製物を8日目及び15日目に再注射した。第2および第3の注射から24時間後、尿酸分解活性はPEG化八量体を注射したマウスの血清において検出不可能であったが、PEG化四量体注射のマウスの血清では容易に検出された。第1の注射後に認められたPEG化八量体のクリアランス促進(図12)と組み合わせたこれらの所見から、酵素のPEG化前に四量体より大きなウリカーゼ形態の全てを取り除くことの有用性が支持される。
【0070】
[実施例4] キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼのPEG結合体 キャンディダ ユティリス由来のウリカーゼを、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、カタログ番号U1878)またはWorthington Biochemical Corporation(Freehold、NJ、カタログ番号URYW)のいずれかから得た。実施例1および実施例2に記載のように、四量体形態を単離し、5kDa、10kDa、または30kDaのPEGを用いてPEG結合体を合成した(図1A〜図1B)。図1Aは、サブユニットあたりのカップリングしたPEG鎖数の関数としてのキャンディダ ユティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデー
タ(黒三角、●、□)を、Nishimura, et al.、1979; Nishi
mura,et al.、1981; Chen, et al.、1981; Davis
, et al.、1981; Tsuji, et al.、1985; Yasuda,
et al.、1990、およびFujita, et al.、1991と比較する。大
きな円内のデータポイントは、Nishimura, et al.、1979もしくは1981によって非抗原性であり、またはChen, et al.、1981によって非免疫反応性であると報告された結合体を示す。
【0071】
図1Bは、サブユニットあたりの結合したPEGの総量の関数としてのキャンディダ ユ
ティリス由来のPEG化ウリカーゼによる活性の保持率を示す。本発明者等のデータ(黒三角、●、□)を、図1Aと同一の報告データと比較する。大きな円内のデータポイントは、図1Aと同一の意味である。
【0072】
図1Aおよび図1Bに示すように、サブユニットあたり平均6鎖の5kDaもしくは30kDaのPEGまたは平均9鎖の10kDa PEGを有する結合体は、非修飾酵素活性
の少なくとも75%を保持した。付着した30kDa PEGの鎖数(サブユニットあた
り5または6鎖まで)の増加に伴う比活性の明らかな増加は、結合体と比較して非修飾酵素の相対的な不溶性または不安定性に影響を与え得る。
【0073】
[実施例5] アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼのPEG結合体 アスペルギルス フラバス由来のウリカーゼを、Sanofi Winthrop(Gentilly Cedex、France)から得た。実施例2に記載のように、種々の分子量のPEGとの結合体を合成した(図4A〜図4B)。アスペルギルス フラバス由来の酵素とサブユニ
ットあたり平均12鎖までの5kDa PEGまたは平均7鎖までの30kDa PEGとのカップリングによって調製した結合体は、この真菌ウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持した。
【0074】
[実施例6] ダイズウリカーゼのPEG結合体 ダイズ根粒由来の組換えウリカーゼ(ノジュリン35とも呼ばれる)を調製し、Kahn and Tipton(Kahn, K.
、et al.、1997、Biochemistry、36:4731〜4738)に
記載のように精製し、Dr.Tipton(University of Missouri、Columbia、MO)から得た。実施例1および実施例2に記載のように、四量体を単離し、種々の分子量のPEGで結合体を調製した(図5A〜図5B)。キャンディダ ユティリス(図1A)、ブタウリカーゼ(図2A)、ブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(
図3A)、およびアスペルギルス フラバスからのウリカーゼ(図4A)に対して、ダイ
ズ酵素は、最初の尿酸分解活性の少なくとも75%を保持する、サブユニットあたり約2鎖の5kDaまたは30kDa PEGとのカップリングを許容した。
【0075】
[実施例7] アースロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼのPEG結合体 アー
スロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼを、Sigma−Aldrich(カ
タログ番号U7128)から得た。日本国特許第9−154581を参照のこと。実施例1および実施例2に記載のように、四量体を単離し、5kDaおよび30kDa PEG
との結合体を調製した。サブユニットあたり平均3を超える鎖の5kDa PEGを有す
る結合体は、最初の比活性の60%未満を維持した一方、サブユニットあたり平均2鎖の30kDa PEGを有する結合体は、最初の比活性の少なくとも85%を維持した。
【0076】
[実施例8] アミノ短縮ブタおよびPBCウリカーゼのPEG結合体 実施例3に記載のように、アミノ末端の最初の6つのアミノ酸を欠失させた組換えブタおよびPBCウリカーゼを、標準的技術によってエシェリヒア コリに発現させ、精製する。実施例1および実
施例2に記載のように、アミノ短縮ウリカーゼのPEG結合体を合成して最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性結合体を作製する。
【0077】
[実施例9] カルボキシル末端またはアミノ末端とカルボキシル末端の両末端が短縮した
ブタおよびPBCウリカーゼのPEG結合体 実施例3に記載のように、カルボキシル末
端の最後の3つのアミノ酸を欠失させた組換えブタおよびPBCウリカーゼを、標準的技術によってエシェリヒア コリに発現させ、精製する。このカルボキシ末端の欠失は、ペ
ルオキシソーム標的シグナルが取り除かれるので、非修飾酵素の溶解性が促進し得る。Miura, et al.、1994を参照のこと。実施例1および実施例2に記載のように、カルボキシ短縮ウリカーゼのPEG結合体を合成して最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性結合体を作製する。アミノ末端での6つの残基およびカルボキシ末端での3つの残基が短縮された組換えPBCウリカーゼ(PBC−NT−CT)の配列を、図6に示す。実施例1、実施例2、および実施例3に記載のように、このウリカーゼを発現させ、精製してPEG化して、最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性の結合体を作製する。
【0078】
[実施例10] PEG付着部位数を増加させたブタウリカーゼ変異体のPEG結合体 実施例3に記載のように、PEG付着部位の潜在的な数を1つまたは複数のアルギニン残基のリシンとの置換によって増加させた組換えブタウリカーゼを調製する。Hershfield, MS. et al.、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、88:7185〜7189を参照のこと。残基291のアルギニンをリシンと置換し、残基301のトレオニンをセリンと置換したこのような変異(PKSウリカーゼ)の1つのアミノ酸配列の例を、図6に示す。実施例1および実施例2に記載のように、PEGを、このウリカーゼに結合して、組換えウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に非免疫原性の結合体を作成する。
【0079】
[実施例11] 組換えヒヒウリカーゼ変異のPEG結合体 実施例3に記載のように、分子生物学の標準的方法を使用して、第97位にアミノ酸置換(チロシンのヒスチジンへの置換)を有する組換えヒヒウリカーゼを構築する(図6のヒヒ配列を参照のこと)。実施例1および実施例2に記載のように、組換えヒヒウリカーゼ変異体の四量体のPEG結合体を合成して、組換えウリカーゼの最初の比活性の少なくとも75%を保持する実質的に免疫原性が減少した結合体を作製する。
【0080】
[実施例12] キャンディダ ユティリス、アスペルギルス フラバス、およびアースロバ
クター グロビフォルミス由来のPEG結合体の免疫原性 キャンディダ ユティリス、ア
スペルギルス フラバス、およびアースロバクター グロビフォルミス由来のウリカーゼを、それぞれ、実施例4、実施例5、および実施例7に記載のように得る。実施例1および実施例2に記載のように、5kDa、10kDa、20kDa、または30kDaのPEGを用いて、PEG結合体を合成する。これらの結合体の免疫原性は、実質的に減少または消失する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは実質的に四量体形態で存在し、該ウリカーゼの10%未満が非四量体の凝集体形態であり、該ウリカーゼはキメラである、ウリカーゼ。
【請求項2】
前記キメラウリカーゼは、ブタ肝臓ウリカーゼの一部およびヒヒ肝臓ウリカーゼの一部を含む、請求項1に記載のウリカーゼ。
【請求項3】
前記キメラウリカーゼはブタ−ヒヒキメラウリカーゼである、請求項2に記載のウリカーゼ。
【請求項4】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは配列番号1のアミノ酸配列における291位のアルギニン残基がリジンで置換され、301位のスレオニン残基がセリンで置換されている組換えブタウリカーゼである、ウリカーゼ。
【請求項5】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、配列番号2のアミノ酸配列における97位のチロシン残基がヒスチジンで置換されているヒヒ肝臓ウリカーゼの配列を有する、ウリカーゼ。
【請求項6】
前記ウリカーゼはアミノ末端およびカルボキシル末端を含み、前記ウリカーゼは一方の末端または両方の末端が短縮されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウリカーゼ。
【請求項7】
非結合体ウリカーゼと比較して、尿酸分解活性を保持し、かつ、インビボ半減期が延長した尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体であって、該結合体は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換え哺乳動物ウリカーゼを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、結合体。
【請求項8】
前記ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、またはヒツジ肝臓ウリカーゼである、請求項7に記載の結合体。
【請求項9】
前記ウリカーゼはキメラウリカーゼである、請求項7に記載の結合体。
【請求項10】
前記ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ肝臓ウリカーゼのアミノ酸配列を実質的に含む、請求項7に記載の結合体。
【請求項11】
非結合体ウリカーゼと比較して、尿酸分解活性を保持し、かつ、インビボ半減期が延長した尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体であって、該結合体は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換えウリカーゼを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ肝臓ウリカーゼの少なくとも一部を含み、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、結合体。
【請求項12】
前記ウリカーゼは、ブタ肝臓ウリカーゼの一部およびヒヒ肝臓ウリカーゼの一部を含む、請求項11に記載の結合体。
【請求項13】
前記ウリカーゼはブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)である、請求項12に記載の結合体。
【請求項14】
前記ウリカーゼは、配列番号1のアミノ酸配列における291位のアルギニン残基がリジンで置換され(R291K)、301位のスレオニン残基がセリンで置換されている(T301S)ブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)である、請求項11に記載のウリカーゼ。
【請求項15】
前記ウリカーゼは、配列番号2のアミノ酸配列における97位のチロシン残基がヒスチジンで置換されている(Y97H)ヒヒ肝臓ウリカーゼの配列を有する、請求項11に記載のウリカーゼ。
【請求項16】
前記ウリカーゼはアミノ末端およびカルボキシル末端を含み、前記ウリカーゼは一方の末端または両方の末端が短縮されている、請求項7〜15のいずれか1項に記載のウリカーゼ。
【請求項17】
前記ウリカーゼは、アミノ末端から少なくとも最初の6個のアミノ酸が欠失することにより、アミノ末端が短縮されている、請求項16に記載の結合体。
【請求項18】
前記PEGは約10kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項19】
前記PEGは約20kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項20】
前記PEGは約30kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項21】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり2〜10鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項22】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり3〜8鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項23】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり4〜6鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項24】
前記PEGの鎖は、ウレタン結合、第二級アミン結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を介してウリカーゼと共有結合している、請求項7〜23のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項25】
前記PEGは直鎖である、請求項7〜24のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項26】
前記PEGは分岐している、請求項7〜24のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項27】
前記ウリカーゼの95%より多くが四量体形態で存在する、請求項7〜26のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項28】
体液または組織における尿酸レベルを低下させるための薬学的組成物であって、該組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換えウリカーゼおよび薬学的に受容可能なキャリアを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ
肝臓ウリカーゼの少なくとも一部を含み、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、薬学的組成物。
【請求項29】
前記組成物は凍結乾燥によって安定化され、再構成の際、迅速に溶解して非経口投与に適切な溶液が得られる、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項1】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは実質的に四量体形態で存在し、該ウリカーゼの10%未満が非四量体の凝集体形態であり、該ウリカーゼはキメラである、ウリカーゼ。
【請求項2】
前記キメラウリカーゼは、ブタ肝臓ウリカーゼの一部およびヒヒ肝臓ウリカーゼの一部を含む、請求項1に記載のウリカーゼ。
【請求項3】
前記キメラウリカーゼはブタ−ヒヒキメラウリカーゼである、請求項2に記載のウリカーゼ。
【請求項4】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、該ウリカーゼは配列番号1のアミノ酸配列における291位のアルギニン残基がリジンで置換され、301位のスレオニン残基がセリンで置換されている組換えブタウリカーゼである、ウリカーゼ。
【請求項5】
単離された組換え四量体哺乳動物ウリカーゼであって、配列番号2のアミノ酸配列における97位のチロシン残基がヒスチジンで置換されているヒヒ肝臓ウリカーゼの配列を有する、ウリカーゼ。
【請求項6】
前記ウリカーゼはアミノ末端およびカルボキシル末端を含み、前記ウリカーゼは一方の末端または両方の末端が短縮されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウリカーゼ。
【請求項7】
非結合体ウリカーゼと比較して、尿酸分解活性を保持し、かつ、インビボ半減期が延長した尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体であって、該結合体は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換え哺乳動物ウリカーゼを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、結合体。
【請求項8】
前記ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、またはヒツジ肝臓ウリカーゼである、請求項7に記載の結合体。
【請求項9】
前記ウリカーゼはキメラウリカーゼである、請求項7に記載の結合体。
【請求項10】
前記ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ肝臓ウリカーゼのアミノ酸配列を実質的に含む、請求項7に記載の結合体。
【請求項11】
非結合体ウリカーゼと比較して、尿酸分解活性を保持し、かつ、インビボ半減期が延長した尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)の結合体であって、該結合体は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換えウリカーゼを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ肝臓ウリカーゼの少なくとも一部を含み、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、結合体。
【請求項12】
前記ウリカーゼは、ブタ肝臓ウリカーゼの一部およびヒヒ肝臓ウリカーゼの一部を含む、請求項11に記載の結合体。
【請求項13】
前記ウリカーゼはブタ−ヒヒキメラウリカーゼ(PBCウリカーゼ)である、請求項12に記載の結合体。
【請求項14】
前記ウリカーゼは、配列番号1のアミノ酸配列における291位のアルギニン残基がリジンで置換され(R291K)、301位のスレオニン残基がセリンで置換されている(T301S)ブタウリカーゼ(PKSウリカーゼ)である、請求項11に記載のウリカーゼ。
【請求項15】
前記ウリカーゼは、配列番号2のアミノ酸配列における97位のチロシン残基がヒスチジンで置換されている(Y97H)ヒヒ肝臓ウリカーゼの配列を有する、請求項11に記載のウリカーゼ。
【請求項16】
前記ウリカーゼはアミノ末端およびカルボキシル末端を含み、前記ウリカーゼは一方の末端または両方の末端が短縮されている、請求項7〜15のいずれか1項に記載のウリカーゼ。
【請求項17】
前記ウリカーゼは、アミノ末端から少なくとも最初の6個のアミノ酸が欠失することにより、アミノ末端が短縮されている、請求項16に記載の結合体。
【請求項18】
前記PEGは約10kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項19】
前記PEGは約20kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項20】
前記PEGは約30kDaの平均分子量を有する、請求項7〜17のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項21】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり2〜10鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項22】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり3〜8鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項23】
前記PEGの平均共有結合鎖数が、ウリカーゼサブユニットあたり4〜6鎖である、請求項7〜20のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項24】
前記PEGの鎖は、ウレタン結合、第二級アミン結合、およびアミド結合からなる群から選択される結合を介してウリカーゼと共有結合している、請求項7〜23のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項25】
前記PEGは直鎖である、請求項7〜24のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項26】
前記PEGは分岐している、請求項7〜24のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項27】
前記ウリカーゼの95%より多くが四量体形態で存在する、請求項7〜26のいずれか1項に記載の結合体。
【請求項28】
体液または組織における尿酸レベルを低下させるための薬学的組成物であって、該組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した精製組換えウリカーゼおよび薬学的に受容可能なキャリアを含み、該ウリカーゼの90%より多くが四量体形態であり、該ウリカーゼはブタ肝臓ウリカーゼ、ウシ肝臓ウリカーゼ、ヒツジ肝臓ウリカーゼ、またはヒヒ
肝臓ウリカーゼの少なくとも一部を含み、該PEGは約10kDaと約60kDaとの間の平均分子量を有する、薬学的組成物。
【請求項29】
前記組成物は凍結乾燥によって安定化され、再構成の際、迅速に溶解して非経口投与に適切な溶液が得られる、請求項28に記載の薬学的組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【公開番号】特開2013−39139(P2013−39139A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248770(P2012−248770)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2000−563311(P2000−563311)の分割
【原出願日】平成11年8月2日(1999.8.2)
【出願人】(501052823)マウンテン ビュー ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (9)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2000−563311(P2000−563311)の分割
【原出願日】平成11年8月2日(1999.8.2)
【出願人】(501052823)マウンテン ビュー ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (9)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】
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