説明

PET―CT装置

【課題】PET画像とCT画像との間の位置ずれ確認を容易にするPET―CT装置の提供
【解決手段】CT画像発生部17は、タンクファントムに関するCT画像のデータを発生する。PETスキャナ5は、タンクファントムから放出されるガンマ線を検出する。PET投影データ収集部13は、タンクファントムに関するPET投影データを収集する。減弱補正部19は、PET投影データをCT画像に基づいて減弱補正する。PET画像発生部21は、減弱補正されたPET投影データに基づいてタンクファントムに関するPET画像のデータを発生する。位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との差分に基づいてCT画像とPET画像との間の位置ずれを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET(positron emission tomography)装置とX線コンピュータ断層撮影装置(以下、X線CT装置と呼ぶことにする)とが組み合わされたPET―CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等においてPETスキャナとX線CTスキャナとが組み合わされたPET―CT装置が利用されている。PET―CT装置では、据付時や定期メンテナンス時においてサービスマンによりラインソースを用いてPETスキャナとCTスキャナとの機械的な位置ずれを補正している。位置ずれの検知方法としては、ラインソースをスキャンすることにより得られるCT画像上のラインソース領域とPET画像上のラインソース領域との位置ずれに基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―11922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような位置ずれ検知や補正等の位置ずれ確認には以下の3つの問題がある。1.ラインソースを準備する必要がある。2.位置ずれ検知や補正する時期が定期メンテナンス時等に限られてしまう。3.顧客(病院内の人員、例えば、医師や技師)が容易に位置ずれを検知したり、補正したりすることができない。
【0005】
本発明の目的は、PET画像とCT画像との間の位置ずれ確認を容易にするPET―CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係るPET―CT装置は、タンクファントムに関するCT画像のデータを発生する第1発生部と、前記タンクファントムから放出されるガンマ線を検出する検出器と、前記検出器を介して前記タンクファントムに関する投影データを収集する収集部と、前記CT画像に基づいて前記投影データを減弱補正する減弱補正部と、前記減弱補正された投影データに基づいて前記タンクファントムに関するPET画像のデータを発生する第2発生部と、前記CT画像と前記PET画像との差分に基づいて前記CT画像と前記PET画像との間の位置ずれを検知する検知部と、を具備する。
【0007】
本発明の第2局面に係るPET―CT装置は、タンクファントムに関するCT画像のデータを発生する第1発生部と、前記タンクファントムから放出されるガンマ線を検出する検出器と、前記検出器を介して前記タンクファントムに関する投影データを収集する収集部と、前記投影データを前記CT画像に基づいて減弱補正する減弱補正部と、前記減弱補正された投影データに基づいて前記タンクファントムに関するPET画像のデータを発生する第2発生部と、前記CT画像上のタンクファントム領域の中心と前記PET画像上のタンクファントム領域の中心との間の距離と方向とを算出する算出部と、前記算出された距離と方向とに基づいて前記CT画像と前記PET画像とを位置合わせする位置合わせ部と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、PET画像とCT画像との間の位置ずれ確認を容易にするPET―CT装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るPET―CT装置の構成図。
【図2】タンクファントムとラインソースとを並べた斜視図。
【図3】図1のデータ処理装置の機能ブロック図。
【図4】図1の位置ずれ検知部の処理を説明するための図であり、不均一カウント分布図の生成過程を示す図。
【図5】図1の位置ずれ検知部の処理を説明するための図であり、CT画像とPET画像との位置ずれが有る場合と無い場合とにおける不均一カウント分布図を示す図。
【図6】図1の位置ずれ量・方向算出部による位置ずれ量と位置ずれ方向との算出処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係わるPET―CT装置を説明する。
【0011】
本実施形態に係るPET―CT装置は、タンクファントムを利用してPET画像とCT画像との位置ずれを確認する。タンクファントムは、PET―CT装置に対して日々行なわれているIQ(image quality)チェック、すなわち画質チェックに利用されているファントムである。本実施形態に係るPET―CT装置は、IQチェック時に関らず、サービスマンによるメンテナンス時等、タンクファントムを現実的に利用可能な如何なる場面にも適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るPET―CT装置1の構成を示す図である。図1に示すように、PET―CT装置1は、寝台2を有する。寝台2は、タンクファントムTが載置される天板3を長手方向、横手方向、上下方向に移動可能に支持する。
【0013】
図2は、タンクファントムTとラインソースLとを並べた斜視図である。図2に示すように、タンクファントムTは、円柱形状を有しており、ラインソースLに比して直径が大きい。例えば、タンクファントムTの直径は20cm程度であり、ラインソースLの直径は3cm程度である。タンクファントムTやラインソースL内には、放射性同位元素が満遍なく配置されている。放射性同位元素は、繰り返し陽電子を放出する。放出された陽電子は、周囲の電子と結合する。陽電子と電子とが結合すると、略180度方向に一対のガンマ線が放出される。
【0014】
また、PET―CT装置1は、CTスキャナ4とPETスキャナ5とを有する。CTスキャナ4とPETスキャナ5とには、天板3が送り込まれる略円筒形状を有する中空部6と中空部7とがそれぞれ形成されている。中空部6の中心線と中空部7の中心線とが略一致するように、CTスキャナ4とPETスキャナ5とは配置されている。
【0015】
CTスキャナ4は、タンクファントムTをX線でCTスキャンする。具体的には、CTスキャナ4は、中空部6を挟んで向き合うようにX線管とX線検出器とを搭載している。X線管は、X線を発生する。X線検出器は、X線管から発生されタンクファントムTを透過したX線を検出し、検出されたX線のエネルギーに応じた電気信号を生成する。X線管とX線検出器とは、中空部6周りに回転しながらX線発生とX線検出とをそれぞれ繰り返す。
【0016】
PETスキャナ5は、タンクファントムTをガンマ線でPETスキャンする。具体的には、PETスキャナ5は、中空部7周りに沿ってリング状に配列されたガンマ線検出器を搭載する。ガンマ線検出器は、タンクファントムTから放出されたガンマ線を繰り返し検出し、検出されたガンマ線のエネルギーに応じた電気信号を繰り返し生成する。
【0017】
さらにPET―CT装置1は、データ処理を実行するデータ処理装置10を備える。データ処理装置10は、CTスキャナ4により生成された電気信号を受信する。また、データ処理装置10は、PETスキャナ5により生成された電気信号を受信する。データ処理装置10は、CTスキャナ4からの電気信号に基づくCT画像とPETスキャナ5からの電気信号に基づくPET画像との間の位置ずれを検知する。また、データ処理装置10は、CT画像とPET画像との間の位置ずれ量と位置ずれ方向とに従って、CT画像とPET画像との間の位置ずれを補正する。
【0018】
図3は、データ処理装置10の機能ブロック図である。図3に示すように、データ処理装置10は、CT投影データ収集部11、PET投影データ収集部13、記憶部15、CT画像発生部17、減弱補正部19、PET画像発生部21、位置ずれ検知部23、位置ずれ量・方向算出部25、位置合わせ部27、表示部29、操作部31、及び制御部33を有する。
【0019】
CT投影データ収集部11は、CTスキャナ4からの電気信号に前処理をして投影データ(以下、CT投影データと呼ぶことにする)を収集する。CT投影データ生成用の前処理は、対数変換や感度補正、ビームハードニング補正等を含む。
【0020】
PET投影データ収集部13は、PETスキャナ5からの電気信号に信号処理をして投影データ(以下、PET投影データと呼ぶことにする)を生成する。信号処理は、位置計算処理やエネルギー計算処理、同時計数処理、前処理等を含む。PET投影データ生成用の前処理は、例えば、感度補正やランダム補正、散乱線補正等を含む。
【0021】
記憶部15は、CT投影データとPET投影データとを記憶する。CT投影データは、例えば、X線検出器上のX線入射位置と角度とに関連付けて記憶される。PET投影データは、例えば、ガンマ線検出器上のガンマ線入射位置と角度とに関連付けて記憶される。
【0022】
CT画像発生部17は、CT投影データに基づいて所定の再構成断面に関するCT画像のデータを発生する。CT画像を構成する各画素に割り付けられた画素値は、X線の透過経路上の物質に関するX線減弱係数(吸収係数)に応じたCT値を有する。CT画像は、タンクファントムTに対応する画素領域であるタンクファントム領域を含む。
【0023】
減弱補正部19は、CT画像に基づいてPET投影データを減弱補正する。減弱補正されたPET投影データは、CT画像の再構成断面と略同一な再構成断面であると計算された再構成断面に関するものである。具体的には、まず減弱補正部19は、CT画像に基づいてガンマ線の減弱補正マップを生成する。減弱補正マップは、CT値に所定の変換式を適用してガンマ線減弱係数を算出することで生成される。そして減弱補正部19は、減弱補正マップをPET投影データに掛け合わせることでPET投影データを減弱補正する。
【0024】
PET画像発生部21は、減弱補正されたPET投影データに基づいて、CT画像の再構成断面と略同一位置の再構成断面に関するPET画像のデータを発生する。PET画像を構成する各画素に割り付けられた画素値は、放射性同位元素の濃度に応じたカウント値を有する。PET画像は、タンクファントムTに対応する画素領域であるタンクファントム領域を含む。PET画像上のタンクファントム領域とCT画像上のタンクファントム領域は、位置ずれを起こしているものとする。ここで位置ずれとは、2つのタンクファントムが同一の座標(画像上で定義される座標)にないことを意味する。
【0025】
位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との差分に基づいてCT画像とPET画像との間の位置ずれを検知する。具体的には、位置ずれ検知部23は、差分が閾値より大きいか否かを判定する。差分が閾値より大きいと判定した場合、位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との間に位置ずれが生じていると判定する。差分が閾値より小さいと判定した場合、位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との間に位置ずれが生じていないと判定する。
【0026】
位置ずれ量・方向算出部25は、CT画像とPET画像との間の位置ずれ量と位置ずれ方向とを算出する。具体的には、位置ずれ量・方向算出部25は、CT画像上のタンクファントム領域の中心とPET画像上のタンクファントム領域の中心との間の距離と方向とを算出する。算出された距離が位置ずれ量であり、算出された方向が位置ずれ方向である。
【0027】
位置合わせ部27は、位置ずれ量と位置ずれ方向とに従ってCT画像とPET画像とを位置合わせする。
【0028】
表示部29は、位置合わせされたCT画像とPET画像とを重ねて表示する。また、表示部29は、位置ずれ検知部23が位置ずれを検知した場合、位置ずれを検知した旨の情報を表示する。一方、位置ずれ検知部23が位置ずれを検知しなかった場合、表示部29は、位置ずれを検知しなかった旨の情報を表示する。
【0029】
操作部31は、ユーザからの入力デバイスを介して入力された指示や情報を受け付ける。入力デバイスとしては、キーボードやマウス、各種スイッチ、タッチパネル等が利用可能である。
【0030】
制御部33は、データ処理装置10の中枢として機能する。制御部33は、各部を制御することにより、CT画像とPET画像との間の位置ずれ検知処理や、CT画像とPET画像との位置合わせ表示処理を行う。
【0031】
次にPET―CT装置1の動作について具体的に説明する。まずは、制御部33による制御に従って位置ずれ検知部23により行なわれる位置ずれ検知処理について説明する。
【0032】
上述にように位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との差分に基づいてCT画像とPET画像との位置ずれを検知する。位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との差分として、例えば、CT画像とPET画像との差分に基づいて生成される不均一カウント分布図を利用する。
【0033】
まず図4を参照しながら位置ずれ検知部23により生成される不均一カウント分布図の生成過程について説明する。なお以下の説明において、CT画像上のタンクファントム領域が取り得る画素値範囲は、PET画像上のタンクファントム領域が取り得る画素値範囲に変換(スケーリング)されているものとする。
【0034】
図4(a)は、単一の座標系(以下、画像処理座標系と呼ぶことにする)に配置されたPET画像とCT画像との重ね合わせ画像を示す図である。重ね合わせ画像には、PET画像上のタンクファントム領域TRPとCT画像上のタンクファントム領域TRCとが重ね合わされている。CT画像とPET画像とはタンクファントムのアキシャル断面に関する画像である。図4(a)に示すように、画像処理座標系の中心はタンクファントム領域TRPの中心点PPとタンクファントム領域TRCの中心点PCとの中心PSに一致されている。画像処理座標系のx方向は天板3の横手方向に、y方向は天板3の上下方向に規定されている。説明を具体的に行なうため、タンクファントム領域TRCとタンクファントム領域TRPとは、x軸に沿って位置ずれしているものとする。位置ずれの原因としては、例えば、天板3上におけるタンクファントムTの位置ずれ、CTスキャナ4とPETスキャナ5との撮影位置のずれ等が挙げられる。
【0035】
まず図4(a)に示すように、CT画像とPET画像とを横切る複数の線S(例えば、S1、S2、S3)を画像処理座標系上に設定する。複数の線Sは、互いに平行に設定される。ここでは、説明の簡単のため、x軸に対する角度が0度である複数の線Sが設定されるものとする。線Sのx軸に対する角度は、生成される不均一カウント分布図の回転角度θに対応する。回転角度θの値は、操作部31を介して任意に設定可能である。
【0036】
図4(b)に示すように、複数の線Sが設定されると、各線Sに関する差分分布図を生成する。具体的には、線Sに沿ってCT画像とPET画像との差分を算出し、算出された差分を、縦軸が画素値に横軸が線S上の位置に規定されたグラフ上にプロットする。プロットが完了すると差分分布図が完成する。例えば、差分分布図上の重なりが無い部分の画素値(差分)は値V1を有し、重なりが有る部分の画素値は値0を有する。
【0037】
図4(c)に示すように、各線Sに関する差分分布図が生成されると、各線Sに関する差分分布図を加算平均し、回転角度θに関する差分分布図(不均一カウント分布図)を生成する。換言すれば、回転角度θに関する不均一カウント分布図は、各線Sの法線方向からの各線Sに関する差分分布図の投影である。不均一カウント分布図の位置座標中心は、画像処理座標系の中心点PSに対応する。不均一カウント分布図は、中心線LAについて線対称である。これはCTスキャナ4とPETスキャナ5とで同一のタンクファントムTをスキャンするので、CT画像上のタンクファントム領域TRCの直径とPET画像上のタンクファントム領域TRPの直径とが同一であることに由来する。
【0038】
次に位置ずれ検知部23による位置ずれの検知処理について説明する。図5は、CT画像とPET画像との位置ずれが無い場合と有る場合とにおける不均一カウント分布図を示す図である。図5(a)は、位置ずれが無い場合、図5(b)は、位置ずれが有る場合を示している。図5(a)に示すように、位置ずれが無い場合、ノイズの無い理想系においては、不均一カウント分布図上の画素値は位置に依らず一定値となる。一定値は、タンクファントム領域TRCが取り得る画素値とタンクファントム領域TRPが取り得る画素値との差分である。一定値は、図5の場合0である。一方、図5(b)に示すように、位置ずれが有る場合、ノイズの無い理想系においては、タンクファントムTRCとタンクファントム領域TRPとの重なりが有る部分の画素値は、一定値(図5の場合0)を有し、重なりが無い部分の画素値は、一定値(図5の場合0)より大きい値を有する。
【0039】
このような不均一カウント分布図の特性を利用して位置ずれ検知部23は、CT画像とPET画像との間の位置ずれを検知する。具体的には、不均一カウント分布図の画素値と閾値Thとに基づいて位置ずれを検知する。例えば、閾値Thの下限は0であり、上限はタンクファントム領域が取り得る画素値の最小値である。そして、このような値に設定された閾値Thと不均一カウント分布図上の画素値との大小関係を比較する。閾値Thよりも大きい画素値を不均一カウント分布図が有していれば、CT画像とPET画像との間に位置ずれが生じていると判定する。なお閾値Thの値は、操作部31を介して任意に設定可能である。
【0040】
位置ずれが生じていると判定された場合、表示部29は、位置ずれが生じている旨のメッセージ、例えば、「位置ずれを検知しました」等を表示する。一方、閾値Thよりも大きい画素値を不均一カウント分布図が有していなければ、CT画像とPET画像との間に位置ずれが生じていないと判定する。位置ずれが生じていないと判定された場合、表示部29は、位置ずれが生じていない旨を示すメッセージ、例えば、「位置ずれを検知しませんでした」等を表示する。
【0041】
位置ずれ検知部23により位置ずれが検知された場合、CT画像とPET画像とを位置合わせして表示するのが良い。例えば、表示部29に位置ずれが検知された旨のメッセージが表示された場合、ユーザは、操作部31を介して位置合わせ処理の開始指示を入力する。開始指示が入力されると制御部33は、位置合わせ表示処理を開始する。
【0042】
位置合わせ表示処理においては、まず位置ずれ量・方向算出部25により位置ずれ量と位置ずれ方向との算出処理が行なわれる。図6は、単一座標系(以下、PET中心位置座標系と呼ぶことにする)上に配置されたPET画像上のタンクファントム領域TRPとCT画像上のタンクファントム領域TRCとを示す図である。PET中心位置座標系の中心はタンクファントム領域TRPの中心点PPに一致している。PET中心位置座標系のx方向は天板3の横手方向に、y方向は天板3の上下方向に規定されている。
【0043】
位置ずれ量・方向算出部25は、まずPET中心位置座標系にタンクファントム領域TRPとタンクファントム領域TRCとを互いの相対位置関係を保ったまま配置する。より詳細には、PET位置座標系におけるタンクファントム領域TRPの中心点PPとタンクファントム領域TRCの中心点PCとの間隔DがPET画像上におけるタンクファントム領域の中心点座標とCT画像上におけるタンクファントム領域の中心点座標との間隔に等しくなるように配置される。そして位置ずれ量・方向算出部25は、中心点PPと中心点PCとの間隔Dを算出する。算出された間隔Dが位置ずれ量である。また、位置ずれ量・方向算出部25は、中心点PPから中心点PCへの方向を算出する。例えば、PET中心位置座標系におけるx軸から中心点PPと中心点PCとを結ぶ軸Aへの回転角度θが算出される。算出された回転角度θが位置ずれ方向である。
【0044】
位置ずれ量と位置ずれ方向とが算出されると位置合わせ部27は、中心点PCと中心点PPとが一致するように、タンクファントム領域TRCを位置ずれ方向θに沿って位置ずれ量Dだけシフトさせる。これによりCT画像とPET画像とが位置合わせされる。位置合わせされたCT画像とPET画像とは、表示部29に表示される。ユーザは、位置合わせされたCT画像とPET画像とを観察することで、高精度にIQチェック等を実施できる。
【0045】
上記のように本実施形態に関るPET―CT装置1は、ラインソースではなく、タンクファントムを利用してCT画像とPET画像との位置ずれを検知したり、補正したりできる。PET―CT装置1は、タンクファントムを利用するので、年4回程度の定期メンテナンス時でなく、顧客が毎日行なうIQチェック時に位置ずれを検知したり、補正したりできる。これによりPET―CT装置1は、位置整合の精度が良い画像を毎日表示できる。また、検知・補正時期が定期メンテナンス時に限定されないので、顧客が好きな時期に容易に位置ずれを検知したり補正したりできる。さらに、タンクファントムを利用することで顧客だけでなく、定期メンテナンスを行なうサービスマンも容易に位置ずれを検知したり補正したりできる。また、ラインソースを購入する必要がないので、PET―CT装置1の維持管理費を低減することもできる。
【0046】
かくして本実施形態によれば、PET画像とCT画像との間の位置ずれ確認を容易にするPET―CT装置を提供することが可能となる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上本発明によれば、PET画像とCT画像との間の位置ずれ確認を容易にするPET―CT装置の提供を実現することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…PET―CT装置、2…寝台、3…天板、4…CTスキャナ、5…PETスキャナ、6…中空部、7…中空部、10…データ処理装置、11…CT投影データ収集部、13…PET投影データ収集部、15…記憶部、17…CT画像発生部、19…減弱補正部、21…PET画像発生部、23…位置ずれ検知部、25…位置ずれ量・方向算出部、27…位置合わせ部、29…表示部、31…操作部、33…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクファントムに関するCT画像のデータを発生する第1発生部と、
前記タンクファントムから放出されるガンマ線を検出する検出器と、
前記検出器を介して前記タンクファントムに関する投影データを収集する収集部と、
前記CT画像に基づいて前記投影データを減弱補正する減弱補正部と、
前記減弱補正された投影データに基づいて前記タンクファントムに関するPET画像のデータを発生する第2発生部と、
前記CT画像と前記PET画像との差分に基づいて前記CT画像と前記PET画像との間の位置ずれを検知する検知部と、
を具備するPET―CT装置。
【請求項2】
前記位置ずれが前記検知部により検知された場合、検知された旨のメッセージを表示し、前記位置ずれが前記検知部により検知されなかった場合、検知されなかった旨のメッセージを表示する表示部をさらに備える請求項1記載のPET―CT装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記差分と閾値との大小関係に基づいて前記位置ずれを検知する、請求項2記載のPET―CT装置。
【請求項4】
タンクファントムに関するCT画像のデータを発生する第1発生部と、
前記タンクファントムから放出されるガンマ線を検出する検出器と、
前記検出器を介して前記タンクファントムに関する投影データを収集する収集部と、
前記投影データを前記CT画像に基づいて減弱補正する減弱補正部と、
前記減弱補正された投影データに基づいて前記タンクファントムに関するPET画像のデータを発生する第2発生部と、
前記CT画像上のタンクファントム領域の中心と前記PET画像上のタンクファントム領域の中心との間の距離と方向とを算出する算出部と、
前記算出された距離と方向とに基づいて前記CT画像と前記PET画像とを位置合わせする位置合わせ部と、
を具備するPET―CT装置。
【請求項5】
前記位置合わせされたCT画像とPET画像とを重ねて表示する表示部をさらに備える請求項4記載のPET―CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−92554(P2011−92554A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250918(P2009−250918)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】