説明

PI3K阻害活性を有する治療薬としてのハロゲン置換ベンゾ(b)チオフェン類

本発明は、式(I)のベンゾ[b]チオフェエン(R3、R4、R5、R6、R7、Y及びLは、明細書に定義されたいずれかの意味を有する)及び医薬上許容されるその塩を提供する。それらは、炎症性疾患、心循環器疾患及び癌を含む病気及び状態の治療における有用な薬剤である。又、本発明は、又、1つ又はそれ以上の式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ホスホイノシチド−3−キナーゼ(PI3Ks)は脂質キナーゼの一群であり、ホスホイノシトールの3’−OHをリン酸化し、PI−3−P(ホスファチジルイノシトール−3−リン酸)、PI−3,4−P2及びPI−3,4,5−P3を生成する。PI3Kの1つの種類は成長因子によって活性化される。他の種類のPI3KはGタンパク連結型受容体によって活性化され、PI3Kγはこの種類に含まれる。成長因子で活性化されるPI3K(例えばPI3Kα)は細胞増殖及び癌に関係するといわれている。PI3Kγは、シグナル伝達系に関与することが示されている。例えば、PI3Kγは、C5a、fMLP、ADP及びIL8等のリガンドに反応して活性化される。更にPI3Kγは、免疫疾患に関係するといわれている(Hirsch et al.Science 2000;287:1049−1053)。PI3Kγ活性のないマクロファージには、化学走化性応答の低下及び炎症対抗能力の低下が認められる(Hirsch et al.Science 2000;287:1049−1053)。更に又、PI3Kγは血栓溶解性疾患(例えば血栓塞栓症、虚血性疾患、心臓発作及び脳梗塞)に関係するといわれている(Hirsch et al.FASEB J.2000;15(11):2019−2021;Hirsch et al.FASEB J.,July 9、2001;10.1096/fj.00−0810fje(Hirsch et al.,2001として本明細書に引用されている))。
【0002】
PI3Kの阻害剤のメンバーは、ヒトの病気治療のために開発が進められている(例えば、WO第01/81346号;WO第01/53266号;及びWO 第01/83456号を参照)。医薬品として使用するために、PI3Kを阻害する更なる化合物が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの態様において、本発明は式I:
【化1】

ここで、
YはO又はSであり;
4、R5、R6及びR7の中の2つは水素であり;
4、R5、R6及びR7の中の1つは、メトキシ、C1−C3アルキル−O、CH2FO、CHF2O、CF3O、CF3CH2O及びシクロプロピルオキシから成るグループから選択され;
4、R5、R6及びR7の中の1つは、F、I、Br又はClであり;
Lは存在しないか、C1−C4アルキレン又は下記に示す基:
【化2】

であり;
3は:
(a)C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択され、ここで、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよく;又は
(b)場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、−(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキル(ここで、nは0、1又は2であり、mは0
又は1である)から成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいフェニル基である;
のベンゾ[b]チオフェン類又は医薬上許容されるその塩を提供する。
【0004】
式Iのある実施態様において、Lは存在しないか又はC1-4アルキレンであり;R4、R6及びR7の中の2つは水素であり;R5は、メトキシ、C1−C3アルキル−O、CH2FO、CHF2O、CF3O、CF3CH2O及びシクロプロピルオキシから成るグループから選択され;そして、R4、R6及びR7の中の1つは、F、Br又はClである;式Iaの化合物である。
【0005】
式IIのある実施態様において、R5はメトキシであり;R6はFであり;YはOであり;そしてR3はフェニル基であり;該フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキルから成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;nは0、1又は2であり;そしてmは0又は1である;式IIaの化合物である。
【化3】

【0006】
式IIaの化合物の例として、
6−フルオロ−3−(4−イソプロピル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェノキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イミノメチル−アミド;
3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3−エチル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0007】
式IIのある実施態様において、R5はメトキシであり;R6はFであり;YはOであり;そしてR3は、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択される基であり;
3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により、1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい;式IIbの化合物である。
【化4】

【0008】
式IIbの化合物の例として、
3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘプチルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
シス−(±)−6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3,3−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(1−メチル−シクロプロピルメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
4−[6−フルオロ−5−メトキシ−2−(2H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0009】
式IIのある実施態様において、R5はメトキシであり;R6はFであり;YはSであり;そしてR3はフェニル基であり;該フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−C
3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキルから成るグループから独立に選択される、1〜3個の置換基で置換されてもよく、nは0、1又は2であり、そしてmは0又は1である;式IIcの化合物である。
【化5】

【0010】
式IIcの化合物の例として、6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミドがある。
【0011】
式IIのある実施態様において、R5はメトキシであり;R6はFであり;YはSであり;そしてR3は、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択される基であり;
3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により、1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい;式IIdの化合物である。
【化6】

【0012】
式IIdの化合物の例として、
3−シクロペンチルスルファニル−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−シクロヘキシルスルファニル−6−フルオロ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0013】
式Iのある実施態様においては、R6及びR7はHであり;そしてR4はF、Br又はClである;式IIIの化合物である。
【化7】

【0014】
式IIIの化合物の例として、
3−シクロヘキシルスルファニル−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−フルオロ−3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
4−フルオロ−3−(3−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
式IIIのある実施態様において、R5はメトキシであり;R4はFであり;そしてR3は、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択される基であり;
該C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により、1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい;式IIIaの化合物である。
【化8】

【0016】
式Iのある実施態様において、Lは存在しないか、又はC1-4アルキレンであり、R4、R5及びR7の中の2つは水素であり;R6はメトキシ、C1−C3アルキル−O、CH2FO、CHF2O、CF3O、CF3CH2O及びシクロプロピルオキシから成るグループから選択され;
4、R6及びR7の中の1つは、F、Br又はClである;式IVの化合物である。
【0017】
式IVのある実施態様において、R4、R5はHであり;そしてR7はF、Br又はClである;式IVaの化合物である。
式IVのある実施態様において、R6はメトキシであり;R7はFであり;そしてR3はフェニル基であり;
該フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル,−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキルから成るグループから独立に選択される、1〜3個の置換基で置換されてもよく;nは0、1又は2であり;そしてmは0又は1である;式IVbの化合物である。
【化9】

【0018】
式IVのある実施態様において、R6はメトキシであり;R7はFであり;YはSであり;そしてR3は、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択される基であり;
該C3−C8シクロアルキル、5又は6員環ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により、1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい;式IVcの化合物である。
【化10】

【0019】
式IVcの化合物の例として、
3−シクロペンチルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−シクロヘキシルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
が挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
別の態様において、本発明は、治療的に有効量の式I〜IVcの化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある実施態様では、これらの組成物は、PI3Kが介在する疾患又は状態の治療に有用である。本発明の化合物は、又、癌、血栓溶解性疾患、心臓疾患、脳梗塞、関節リウマチ等の炎症性疾患、又は他のPI3K介在の疾患の治療に有用な他の化合物を含む医薬組成物中に配合することができる。
【0021】
別の態様において、本発明は、治療的に有効量の式I〜IVcの化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物を、PI3Kが介在する状態又は疾患の対象者に投与することを含む、PI3Kが介在する疾患又は状態の対象者の治療法を提供する。或る実施態様において、PI3Kが介在する状態又は疾患は、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬、炎症性疾患及び自己免疫疾患から成るグループから選択される。別の実施態様において、PI3Kが介在する状態又は疾患は、心循環器疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、深部静脈血栓症、脳梗塞、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解性疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞及び冠動脈疾患から成るグループから選択される。更に別の実施態様において、PI3Kが介在する状態又は疾患は、癌、大腸癌、グリア芽腫、子宮内膜癌、肝細胞癌、肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌、甲状腺癌、細胞リンパ腫、リンパ増殖性疾患、小細胞性肺癌、扁平上皮細胞性肺癌、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌及び白血病から成るグループから選択される。更に別の実施態様において、PI3Kが介在する状態又は疾患は、II型糖尿病から成るグループから選択される。更に別の実施態様において、PI3Kが介在する状態又は疾患は、呼吸器疾患、気管支炎、喘息及び慢性閉塞性肺疾患から成るグループから選択される。或る実施態様において、対象者は人間である。
【0022】
定義
本明細書に使われる以下の用語は、他に特定しない限り、それらに当てられた意味を有する。
【0023】
「PI3Kが介在する疾患又は状態」は、1つ又はそれ以上のPI3K又はPI3Pホスファターゼ(例えば、PTEN等)が、疾患或いは状態の、発生、1つ又はそれ以上の症状或いは疾患マーカーの発現、重症度又は進行に関与することによって特徴付けられる。PI3Kが介在する疾患及び状態には、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、肺線維症、自己免疫疾患、心循環器疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、深部静脈血栓症、脳梗塞、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解性疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞、冠動脈疾患、癌、乳癌、グリア芽腫、子宮内膜癌、肝細胞癌、大腸癌、肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌、甲状腺癌、小細胞性肺癌、扁平上皮細胞性肺癌、神経膠腫、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、白血病、細胞リンパ腫、リンパ増殖性疾患、II型糖尿病、呼吸器疾患、気管支炎、喘息及び慢性閉塞性肺疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
PI3Kは、ホスホイノシトールの3’−OHをリン酸化し、PI3Pを生成させる酵素である。PI3Kには、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ及びPI3Kδが挙げられるが、これらに限定されない。PI3Kは、一般に少なくとも1つの触媒サブユニット(例えば、p110γ)含み、そして更に制御サブユニット(例えば、p101等)を含んでもよい。
【0025】
用語「アルキル基」又は「アルキル」は、直鎖状及び分枝鎖状の炭素基を含む。用語「アルキレン」は、無置換又は置換されたアルカンの2価の基を意味する。例えば、「C1-6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。直鎖状アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられるが、それらに限定されない。分枝鎖状アルキル基の例としては、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル等が挙げられるが、それらに限定されない。アルキレン基の例としては、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−CH2−及び−(CH21-6が挙げられるが、それらに限定されない。アルキレン基は、アルキルとして以下に説明する基で置換され得る。
【0026】
更に、用語アルキルとしては、「無置換アルキル」及び「置換アルキル」の両者が挙げられる。そのうち、後者は、炭化水素骨格の1個又はそれ以上の炭素原子上の水素原子を置換する(例えば、1、2、3、4、5又は6個の炭素上の水素を置換する)置換基を有するアルキル部分構造を意味する。そのような置換基として、C2−C6アルケニル、C2
−C6アルキニル、ハロ、I、Br、Cl、F、−OH、−COOH、メルカプト基、(Cl−C6アルキル)S−、Cl−C6アルキルスルフィニル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、−NH2、=O、=S、=N−CN、=N−OH、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−SCF3、−SO2−NH2、C1−C6アルコキシ、−C(O)O−(C1−C6アルキル)、−O−C(O)−(C1−C6アルキル)、−C(O)−NH2、−C(O)−N(H)−C1−C6アルキル、−C(O)−N(C1−C6アルキル)2、−OC(O)−NH2、−C(O)−H、−C(O)−(C1−C6アルキル)、−C(S)−(C1−C6アルキル)及び−NR7072が挙げられ、ここで、R70及びR72は、H、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル及びC(O)−C1−C6アルキルから互いに独立に選択されるが、それらに限定されない。
【0027】
従って、代表的な置換アルキル基としては、アミノメチル、2−ニトロエチル、4−シアノブチル、2,3−ジクロロペンチル及び3−ヒドロキシ−5−カルボキシヘキシル、2−アミノエチル、ペンタクロロエチル、トリフルオロメチル、2−ジエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、エトキシカルボニルメチル、メタニルスルファニルメチル、メトキシメチル、3−ヒドロキシペンチル、2−カルボキシブチル、4−クロロブチル及びペンタフルオロエチルがある。
【0028】
「ハロ」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが挙げられる。
「アルケニル」としては、2個又はそれ以上の炭素原子を有し、そして、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、そして、エテニル、3−ブテン−1−イル、2−エテニルブチル、3−ヘキセン−1−イル等の基が挙げられる。用語「アルケニル」は、置換及び無置換アルケニル基の両者を含むことを意図している。「C2−C6アルケニル」は、炭素原子2〜6個を有するアルケニル基である。アルケニル基は、アルキルとして上に例示したような基で置換され得る。
【0029】
「アルキニル」としては、2個又はそれ以上の炭素原子を有し、そして、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖状又は分枝鎖状炭化水素基を意味し、そして、エチニル、3−ブチン−1−イル、プロピニル、2−ブチン−1−イル、3−ペンチン−1−イル等の基が挙げられる。用語「アルキニル」は、置換及び無置換アルキニル基の両者を含むことを意図している。アルキニル基は、アルキルとして上に例示したような基で置換され得る。ある実施態様において、直鎖状又は分枝鎖状アルキニル基は、その主鎖に6個又はそれ以下の炭素原子(例えば、直鎖状としてはC2−C6、分枝鎖状としてはC3−C6)を有する。用語C2−C6アルキニルとしては、炭素原子2〜6個を含むアルキニル基が挙げられる。
【0030】
用語「C3−C8シクロアルキル」は、3〜8個の炭素を含むシクロアルキル基を意味する。従って、用語「C3−C8シクロアルキル」は、3〜8個の炭素を含む単環のシクロアルキル基及び6〜8個の炭素を含む二環のシクロアルキル基を包含する。「C3−C8シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられ;該シクロアルキル基は、場合により1個又は2個の二重結合を含んでもよく(即ち、シクロアルキレニル)、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプテニルが挙げられるが、それらに限定されない。シクロアルキル基は、アルキルとして上に例示したような基で置換され得る。ある実施態様において、「C3−C8シクロアルキル」は、場合により、1、2、3又は4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい。置換シクロアルキル基の例としては、2−メチル−シクロヘキシル、3−メチル−シクロヘキシル、3,5−ジメチル−シクロヘキシル、2,3,5−トリメチル−シクロヘキシル及び4−メチル−シクロヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
語句「5又は6員環へテロシクロアルキル」は、炭素原子及びS、N又はOから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する安定な環状基を意味し、ここで2個のO原子、又は1個のO原子及び1個のS原子が存在する場合、2個のO原子、又は1個のO原子及び1個のS原子は、それぞれ互いに直接結合することはない。5又は6員環へテロシクロアルキルには、場合により、1個若しくは2個の炭素−炭素又は炭素−窒素二重結合が含まれてもよい。5又は6員環へテロシクロアルキルの実例としては、テトラヒドロヒドロフラン−3−イル、モルホリン−4−イル、2−チアシクロヘキサ−1−イル、2−オキソ−2−チアシクロヘキサ−1−イル、2,2−ジオキソ−2−チアシクロヘキサ−1−イル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル及び4−メチル−ピペラジン−2−イルが挙げられる。
【0032】
置換−5又は6員環へテロシクロアルキルの実例としては、2,2−ジメチル−テトラヒドロフラン−3−イル及び
【化11】

が挙げられる。
【0033】
特に断らない限り、前記のヘテロシクロアルキルは、それが可能な場合はC−結合又はN−結合をとることができ、それにより安定な構造を形成する。例えば、ピペリジニルは、ピペリジン−1−イル(N−結合)又はピペリジン−4−イル(C−結合)が可能である。
【0034】
用語「5又は6員環へテロシクロアルキル」は、環内に1つの炭素−炭素又は1つの炭素−窒素二重結合を有する5員環(例えば、2−ピロリニル、3−ピロリニル等)、環内に1つの炭素−炭素又は1つの炭素−窒素二重結合を有する6員環(例えば、ジヒドロ−2H−ピラニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン等)を包含する。
【0035】
「5員環へテロシクロアルキル」は、2〜4個の炭素原子並びに、1個のO;1個のS;1個のN;2個のN;3個のN;1個のS及び1個のN;1個のS及び2個のN;1個のO及び1個のNから成るグループから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、安定な5員環の単環シクロアルキルである。安定な5員環へテロシクロアルキルの実例としては、テトラヒドロヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル、イソオキサゾリジニル、ピロリジニル、2−ピロリニル及び3−ピロリニルが挙げられる。
【0036】
「6員環へテロシクロアルキル」は、3〜5個の炭素原子並びに、1個のO;2個のO;1個のS;2個のS;1個のN;2個のN;3個のN;1個のS,1個のO及び1個のN;1個のS及び1個のN;1個のS及び2個のN;1個のS及び1個のO;1個のS及び2個のO;1個のO及び1個のN;及び1個のO及び2個のNから成るグループから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、安定な6員環の単環シクロアルキルである。安定な6員環へテロシクロアルキルの実例としては、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、ヘキサヒドロピリミジン、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオピラニル、1,l−ジオキソ−ヘキサヒドロ−1λ6−チオピラニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル及びトリチアニルが挙げられる。
【0037】
用語「5又は6員環へテロシクロアルキル」は、飽和及び不飽和の「5又は6員環へテロシクロアルキル」を包含する。「5又は6員環へテロシクロアルキル」は、アルキルとして上に例示したような基で置換されてもよい。ある実施態様において、5又は6員環へテロシクロアルキルは、可能であれば、場合により、1、2、3又は4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい。
【0038】
用語「フェニル」は、ベンゼンからの一価の基C65−を意味する。フェニル基は、場合により、1〜4位でアルキルとして前記された又はそれらに限定されない置換基で置換されてもよい。ある実施態様において、フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキルから成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく、ここで、nは0、1又は2であり、そしてmは0又は1である。
【0039】
代表的な置換フェニル基としては、3−クロロフェニル、2,6−ジブロモフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジヒドロキシフェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、3,4,5−トリメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、4−tert−ブチル−フェニル、3,5−ジフルオロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、3,5−ジクロロ−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−フェニル、2−フルオロ−5−メチル−フェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
本発明におけるある種の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体を包含する立体異性体として存在してもよい。幾何異性体としては、エントゲーゲン配位又はツザメン配位として存在する可能性のあるアルケニル基を有する本発明の化合物が挙げられる。この場合、エントゲーゲン及びツザメンの両者、シス及びトランスの両者、並びにそれらの混合物は、本発明の範囲内である。本発明のある種の化合物は、シクロアルキル基を有し、これらは1個超の炭素原子において置換されてもよく、この場合、それらの全ての幾何異性体、シス及びトランス体の両者並びにそれらの混合物は、本発明の範囲内である。(R)、(S)、エピマー、ジアステレオマー、シス、トランス、syn、anti、(E)、(Z)、互変異性体及びそれらの混合物を含むこれらの全ての形態は、本発明の化合物内に入ることが意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
I.序論
本発明は、式I〜IVc(ここで、R3、R4、R5、R6、R7、Y及びLは、明細書において、それらに対して定義されたいずれかの意味を有する)のベンゾ[b]チオフェン及び医薬上許容されるそれらの塩に関し、これらは、炎症性疾患、心臓血管疾患及び癌を含む病気及び状態の治療の薬剤として有用である。本発明は、又、1つ又はそれ以上の式I〜IVcの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
II.化合物の製造
本発明の化合物(例えば、式I〜IVcの化合物)は、当業者に公知の合成手順、及び以下に説明するスキームで概要を示す合成の手順を応用することにより、製造することができる。
【0043】
【化12】

【0044】
スキーム1において、酸塩化物4(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド)を、CH2Cl2中でRa−OH(
例えば、フェノール、イソプロピルアルコール、メタノール等)、ピリジン又はトリエチルアミン(TEA)、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)と反応させ、エステル6(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。Ra−OHは、RaがC1−C4アルキル、フェニル、メチル、イソプロピル等であるいずれかの好適なアルコールでよく、それらはカルボキシル基を保護し、そして、その後の塩基による加水分解により除去することができる。式4の酸塩化物は、当業者に公知の方法を用いて合成することができる。(例えば、Pakray and Castle(1986)J.Heterocyclic Chem.23:1571−1577;Boschelli et al.(1995)J.Med.Chem.38:4597−4614;Connor et al.(1992)J.Med.Chem.35:958−965を参照)。
【0045】
次いで、エステル6を、トリフルオロ酢酸(TFA)、CH2Cl2及び過酸化水素(H22)を用いて酸化し、1−オキソ−ベンゾ[b]チオフェン化合物8(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−1−オキソ−1H−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。次に、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム)で処理された10(R3−L−OH)のTHF溶液を、8のTHF溶液に加えて、3−置換ベンゾ[b]チオフェン12(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−1−オキソ−1H−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン
−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。もう1つの方法として、水素化ナトリウムで処理された10(R3−L−OH)を、8とジオキサンとの不均一混合物に加えて、12を生成することができる。R3及びLは、本明細書中で定義した通りである。R3−L−OHの多様な化合物として、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オール、 シクロペンタノール、シクロヘキシル−メタノール、(3,5−ジメチル−シクロヘキシル)−メタノール、フェノール、ビフェニル−3−オール、3−メチル−フェノール、3−ニトロ−フェノール、3−アセチルアミノ−フェノール、ナフタレン−2−オール、3−エチル−フェノール、3−モルホリン−4−イル−フェノール、3−イソプロピル−フェノール、3−イソプロピル−5−メチル−フェノール、2−エチル−フェノール、4−シクロヘキシル−フェノール及びフェニル−メタノールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
次いで、アセトニトリル中の12をヨウ化ナトリウム(NaI)で処理した後、クロロトリメチルシラン(TMSCl)で処理すると、14(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)が得られる。次に、14を、MeOH及びTHF;ジオキサン及び水;又はメタノール及び水の溶液中で、LiOH又はNaOHのような無機塩基を用いて鹸化し、16(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を得る。次いで、カルボン酸16を、THF(テトラヒドロフラン)のような非プロトン性溶媒中、カルボニルジイミダゾール(CDI)で処理した後、5−アミノテトラゾールを加えて、カルボキシアミド18(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0047】
もう1つの方法として、無水CH2Cl2中の16を、触媒量のDMF、続いてシュウ酸クロリドで処理することができる。次いで、アセトニトリルをこの混合物に加えた後、5−アミノテトラゾール及びトリエチルアミンを加えて18を得る。
【0048】
【化13】

【0049】
スキーム2において、化合物4(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド)を、アセトニトリル(CH3CN)
中で5−アミノテトラゾール及びトリエチルアミン(TEA)と還流し、20(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。次いで、20を、CH2Cl2及びトリフルオロ酢酸(TFA)中で、H22水溶液を用いて酸化し、22(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−1−オキソ−lh−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0050】
22をジオキサン中で10と混合し、次いで、2当量のNaHと反応させ、24(例えば、3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−1−オキソ−1h−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。次に24を、アセトニトリル中のヨウ化ナトリウムで処理した後、クロロトリメリルシラン(TMSCl)を加えて、18(例えば、3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0051】
【化14】

【0052】
スキーム3において、アセトニトリル中の30(例えば、6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を、ジ−イソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)で処理した後、31(例えば、3−ブロモベンジルブロミド)で処理し、32(例えば、3−ベンジルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。31(Rc−Br)の例としては、3,4−ジフルオロ−ベンジルブロミド、4−ブロモメチル−ビフェニル、1−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−ベンゼン、1−ブロモメチル−3,5−ジメトキシ−ベンゼン、1−ブロモメチル−4−tert−ブチル−ベンゼン、2−ブロモメチル−1,3,4−トリフルオロ−ベンゼン及び2−ブロモメチル−ナフタレンが挙げられるが、それらに限定されない。Rc−Brは、式R3−L−Brの化合物であり、ここで、R3が置換又は無置換のフェニルの場合は、Lは存在する(例えば、C1−C4アルキレン)。
【0053】
次に、32をスキーム1に記載した無機塩基で鹸化し、カルボン酸34(例えば、3−ベンジルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を得る。次いで、DMF中の34を、EDAC・HCl(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド・塩酸塩)、HOBT(1−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾトリアゾール)及び5−アミノテトラゾールで処理し、カルボキサミド36(例えば、3−ベンジルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0054】
【化15】

【0055】
スキーム4において、8をDMSO中のCs2CO3又は水/ジオキサン(1:1)中のLiOHで処理し、29を生成する。次の、スキーム2における24の18への変換と同様に、29を30に還元する。PS−トリフェニルホスフィン(ポリスチレン−トリフェニルホスフィン)又はトリフェニルホスフィンを窒素ガス中で、30(例えば、6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)のTHF溶液に加える。アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)を加えた後、Rb−OHを加えて、42(例えば、3−シクロヘキシルメトキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。Rb−OHは式R3−L−OHの化合物であり、R3が置換又は無置換フェニル基の場
合はLが存在する。Rb−OHの例としては、2−シクロプロピル−エタノール、(2,2−ジクロロ−シクロプロピル)−メタノール、シクロヘキシル−メタノール及びテトラヒドロ−フラン−3−オールを挙げられるが、それらに限定されない。
【0056】
メタノール中のエステル42を、水酸化カリウムのような無機塩基を用いて加水分解し、対応するカルボン酸44(例えば、3−シクロヘキシルメトキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を生成する。44を、スキーム1における16の18への変換と類似の方法で、カルボキサミド46(例えば、3−シクロヘキシルメトキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)に転換する。
【0057】
【化16】

【0058】
スキーム5において、ベンゾ[b]チオフェン50(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を、無水CH2Cl2中の三臭化ボロンを用いて、対応するヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン52(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)に転換する。Rdは、F、Br、I又はClである。
【0059】
ジフルオロメチル−ベンゾ[b]チオフェン54は、52から得ることができる。52を無機塩(例えば、NaOH)並びにジオキサン及び水中のクロロジフルオロメタン(CF2ClH)により処理して、54(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−5−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を生成する。次いで、54を、スキーム1で記載したように5−アミノテトラゾールと結合させ、対応するアミノテトラゾール誘導体56(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−5−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0060】
【化17】

【0061】
スキーム6において、ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン60(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を、ジメチルホルムアミド中の水素化ナトリウムのような塩基と反応した後、Rf−Br(ここで、RfはC1−C3アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル等)である)(例えば、ブロモ−エタン、2−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−エタン等)を添加して、C1−C3アルコキシ置換ベンゾチオフェン62(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−5−エトキシ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。次いで62を鹸化し、スキーム1に記載したように5−アミノテトラゾールと結合させ、アミノテトラゾール誘導体64(例えば、3−シクロヘキシルオキシ−5−エトキシ−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0062】
【化18】

【0063】
スキーム7において、ベンゾチオフェン60を、Ringom and Benneche(1999),Acta Chemica Scandinavica 53(1):41−47に記載されたものと類似の一連の反応を用いて反応させ、74を得る。先ず初めに、ヒドロキシ置換ベンゾチオフェン60(例えば、3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で、NaI及びNaHのようなヒドリド塩基と反応させた後、クロロ−メチルスルファニル−メタン(CH3SCH2Cl)を加え、メチルチオメチルエーテル置換ベンゾチオフェン70(例えば、3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メチルスルファニルメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。次いで、ジクロロメタンのような溶媒中で70を塩化スルホニルと反応させることにより、メチルチオメチルエーテルをクロロメトキシ基に転換し、72(例えば、5−クロロメトキシ−3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。72のクロロメトキシ基を、TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド)のような試薬と反応させ、フルオロメトキシ置換化合物74(例えば、3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−フルオロメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。次いで、74を塩基で加水分解し、そしてスキーム1に記載したように5−アミノテトラゾールと反応させて、対応するベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド(例えば、3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−フルオロメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。
【0064】
【化19】

【0065】
スキーム8において、80(例えば、4−ブロモメチル−1−フルオロ−2−トリフルオロメトキシ−ベンゼン;欧州特許第0075146B1号)のブロモメチル基を、アセトニトリルのような溶媒中でN−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)のような酸化剤を用いて、アルデヒド82(例えば、4−フルオロ−3−トリフルオロメトキシ−ベンズアルデヒド)に酸化することができる。NMOを用いて活性化ハライドを酸化することは、当業者に公知である(例えば、Griffith et al.(1992)Synth.Communications 22(13):1967−1971を参照)。
【0066】
次に、82をピペリジンとピリジンの混合物中でマロン酸と還流させ、アクリル酸84(例えば、3−(4−フルオロ−3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリル酸)を生成する。次いで、84を還流条件下でピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)及びクロロベンゼンの混合物中で塩化チオニルと反応させ、86(例えば、3−クロロ−6−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド)を生成する。86は、次いで、スキーム1で記載されたものと同様の方法で反応させて、式18の化合物を生成することができる。
【0067】
【化20】

【0068】
スキーム9において、ニトロ−ベンゾチオフェン90(例えば、3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド)を、DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)、トリエチルアミン及びアルコールRa−OH(例えば、イソプロパノール、フェノール、メタノール等)と反応させ、エステル92(例えば、3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。TFA(トリフルオロ酢酸)及びCH2Cl2中の92をH22で酸化し、94(例えば、3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−1−オキソ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を生成する。94を、無水THF中の式R3−L−OH(例えば、4−シクロヘキシル−フェノール)及びNaHと反応させた後、クロロトリメチルシラン及びNaIを加えて96(例えば、3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を生成する。
【0069】
次に、96をParr反応容器内で高圧の水素ガス下、Raineyニッケルを用いて還元し、アミノ−ベンゾチオフェン98(例えば、6−アミノ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を得る。
【0070】
無水CH2Cl2中の98を、先ずBF3−Et2O(ボロンフルオリド−ジエチルエテレート)と反応させ、次いでt−ブチルニトリルのCH2Cl2溶液を加える。反応液を処理し、得られた残留物を無水CH3CNに溶解し、そして、テトラブチルアンモニウムブロミド(Bu4NBr)のCH3CN溶液へ移送する。反応液を撹拌し、次いで銅を加えて100(例えば、6−ブロモ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル)を生成する。
【0071】
次に、100を鹸化し、スキーム1において記載された方法で5−アミノテトラゾールと結合させ、対応するベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド(例えば、6−ブロモ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。もう1つの方法として、テトラブチルアンモニウムクロリドを、スキーム9におけるテトラブチルアンモニウムブロミドの代わりに使い、対応するクロロ置換ベンゾチオフェン(例えば、6−クロロ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得ることができる。
【0072】
【化21】

【0073】
スキーム10において、シクロプロピルオキシ置換ベンゾ[b]チオフェン116を図示したように生成することができる。5−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン60は、米国特許第6515126号に記載されたものと同様の当業者に公知の手順で、シクロプロパン化することができる。ベンゾチオフェン60を、(1−ヨード−シクロプロパ−1−イル)フェニルスルフィド及び炭酸銀のような塩基と反応させ、101を生成する。101を、次いでTHF又はエーテルのような非プロトン性溶媒中、約−80℃の温度でメタルナフタレニド(例えば、リチウムナフタレニド)と反応させ、式102の化合物を生成することができる。もう1つの方法として、101のフェニルチオ基を、酸化アルミニウムの存在下、塩素化炭化水素溶媒(例えば、クロロホルム)中、室温で、オゾンのような試薬により酸化することができる。生成したフェニルスルホニル基を、メタノールのようなアルコール溶媒中、オルトリン酸水素二ナトリウムの存在下で、ナトリウムアマルガムにより除去し、102を生成することができる。エステル102は、次いでスキーム1に記載されたように鹸化して、酸103を得る。103を、スキーム1に記載されたように5−アミノテトラゾールと結合させ、104を生成することができる。
【0074】
【化22】

【0075】
スキーム11に、式116の化合物の固相合成を図示する。DMFのような溶媒中の30(例えば、6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル)の溶液を、水素化カリウム又は水素化ナトリウムのような水素化物で処理した後、MEM−Cl(2−メトキシエトキシメチルクロリド;CH3OCH2CH2OCH2−Cl)のような好適なヒドロキシル保護基試薬を添加し、化合物111(例えば、6−フルオロ−5−メトキシ−3−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル)を得る。当業者は、2−メトキシエトキシメチル基の他に、別のヒドロキシル保護基もスキーム3で使用することができることを認識している(例えば、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.,Chapter 2(John Wiley & Sons,Inc.,1991を参照)。次いで、THF及び水中のエステル111を、NaOHのような塩基で加水分解し、カルボン酸112(例えば、6−フルオロ−5−メトキシ−3−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を得る。
【0076】
ジクロロメタン中の112を、ジ−イソプロピルカルボジイミド(DIC)又はジシクロヘキシルカルボジミド及びマーシャル(Marshall)樹脂(フェノール・スルフィド・ポリスチレン(PS)樹脂;Marshall and Liener(1970)J.Org.Chem.35:867−868)との反応により、マーシャル樹脂のような固相と共役させて、114を生成する。次いで、2−メトキシ−エトキシメトキシ基を、トリフルオロ酢酸のような好適な酸を用いて、ジクロロメタン中の114から加水分解し、高分子に担持されたアルコール115(例えば、高分子に担持された6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を生成する。ジクロロメタン中の115は、トリフェニルホスフィン及びアジドジカルボン酸ジエチルで処理されたR3−L−OH(ここで、R3が置換又は無置換フェニルの場合、Lは存在する)の溶液とを組み合わせ、R3−L−置換化合物116を生成する。次いで、116はスキーム1で記載されたように5−アミノ−テトラゾールと結合し、117を生成する。
【0077】
【化23】

【0078】
スキーム12において、酸クロリド120を、アセトニトリルのような好適な溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下で5−アミノテトラゾールと結合させ、122を生成する。次いで、1,8−ジアザビシクロシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)又は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)のような第三級アミンで処理することにより、122を3−位で、チオール123、HS−L−R3と結合させ、124を得る。式123の化合物の実例としては、ベンゼンチオール、4−メルカプト−フェノール、2−メチル−ベンゼンチオール、2−フェニル−エタンチオール及び3−(4−メルカプト−フェニル)−プロピオン酸メチルエステルが挙げられるが、それらに限定されない。ある実施態様において、124上のR3のエステル置換基は、テトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中で、水酸化ナトリウムのような好適な塩基を用いて加水分解して、対応する酸を生成することができる。
【0079】
【化24】

【0080】
スキーム13において、ベンゾチオフェン130(例えば、3−メルカプト−5,6−ジメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル)を、トリエチルアミンのような塩基及びXがハロ基である式131の化合物(X−C1−C4アルキレン−R1)(例えば、4−ブロモメチル−ベンゾニトリル)とアセトニトリルのような溶媒中で反応させ、132(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ジメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル)を得る。Ra−OHとしては、RaがC1−C4アルキル、イソプロピル、フェニル、ベンジル、メチル等であり、カルボン酸基を保護した後塩基による加水分解により除去可能な、好適なアルコール(例えば、フェノール、イソプロピルアルコール、フェニル−メタノール、メタノール等)であればいずれでもよい。
【0081】
次いで、エステル132を、THF及びメタノールの混合物のような溶媒中で、LiOH、KOH又はNaOHのような塩基を用いて加水分解し、134を生成する。無水CH2Cl2中で、カルボン酸134(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ジメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を触媒量のDMF(ジメチルホルムアミド)で処理し、続いてシュウ酸クロリドで処理することができる。次いで、アセトニトリルをこの混合物に加えた後、5−アミノテトラゾール及びトリエチルアミンを添加し、136(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ジメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド)を得る。134のシュウ酸クロリド及びDMFとの反応は、THF(テトラヒドロフラン)中で行うことが可能である。もう1つの方法として、酸134を、THFのような非プロトン性溶媒中で、カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させ、次いで、5−アミノテトラゾールを添加してカルボキサミド136を生成することができる。
【0082】
III.化合物の評価
本発明の化合物(例えば、式I〜IVcの化合物及び医薬上許容されるそれらの塩)のPI3Kを阻害する能力は、アッセイすることができる。これらのアッセイの例を、PI3K活性の生体外及び生体内アッセイを含めて以下に提示する。
【0083】
本発明の或る実施態様において、本化合物は、サイクリック・ヌクレオチド依存性プロテイン・キナーゼ、PDGF、チロシン・キナーゼ、MAP・キナーゼ、MAP・キナーゼ・キナーゼ、MEKK、サイクリン依存性プロテイン・キナーゼを含むがこれに限定されない1つ又はそれ以上の酵素と比較すると、1つ又はそれ以上のPI3Kを選択的に阻害する。本発明の別の実施態様において、本化合物は、別のPI3Kと比較すると1つのPI3Kを選択的に阻害する。例えば、或る実施態様において、本発明の化合物は、PI3Kα又はPI3Kβと比較するとPI3Kγを選択的に阻害する能力がある。最初の酵素に対する化合物のIC50が2番目の酵素に対する化合物のIC50より小さい場合、化合物は2番目の酵素に比較して最初の酵素を選択的に阻害したことになる。IC50は、例えば生体外のPI3Kアッセイで測定することができる。
【0084】
現在好ましい実施態様において、PI3K活性を阻害する本発明の化合物の能力は、生体外アッセイ又は生体内アッセイで評価することができる(下記を参照)。
【0085】
PI3Kのアッセイは、PI3K阻害化合物の存在又は不在の下で行い、酵素活性量を比較してPI3K阻害化合物の阻害活性を決定する。
【0086】
PI3K阻害化合物を含まないサンプルには、PI3Kの相対活性値として100を割り当てる。PI3K活性の阻害は、PI3K阻害化合物が存在するときのPI3K活性が、対照サンプル(例えば、阻害化合物を含まない)よりも小さい場合に成り立つ。化合物のIC50とは、対照サンプルの活性が50%を示す化合物の濃度のことである。或る実施態様において、本発明の化合物は約100μM未満のIC50値を有する。別の実施態様において、本発明の化合物は約1μM以下のIC50値を有する。更に別の実施態様において、本発明の化合物は約200nM以下のIC50値を有する。
【0087】
PI3Kγのアッセイは文献に記載されている(例えば、Leopoldt et al.J.Biol.Chem.,1998;273:7024−7029を参照)。一般には、p101及びp110γタンパク質複合体を含むサンプルをGβ及びGγタンパク質(例えば、Gタンパク質β1/γ2サブユニット)と混合する。次に放射線標識したATP(例えば、γ−32P−ATP)をこの混合物に加える。基質の脂質は、PIP2を含有する脂質ミセルの形にする。次にその脂質に酵素混合物を加えて反応を開始し、H3PO4を添加して反応を停止させる。脂質生成物をグラスファイバーのプレートに移し、H3PO4で数回洗浄する。放射活性の脂質生成物(PIP3)の量は、当業界で公知の放射線測定法を用いて測定することができる。
【0088】
成長因子で制御されるPI3Kの活性は、同様に、脂質キナーゼ・アッセイを使って測定できる。例えば、PI3Kαは、制御サブユニット及び触媒サブユニットを含むサンプルを使ってアッセイすることができる。活性化ペプチド(例えば、pY peptide、SynPep Corp.)を放射線標識したATPを含むサンプルに加える。次にPIP2を含有する脂質ミセルをサンプルに加え、反応を開始する。反応を終了し、PI3Kγアッセイで説明した通りに解析する。同様に、アッセイは、細胞抽出物を使って実施することができる(Susa et al.J.Biol.Chem.,1992;267:22951−22956)。
【0089】
IV.医薬上許容される塩及び溶媒和物
本発明に使用する化合物は、水和を含む溶媒和した形態だけでなく非溶媒和の形態であってもよい。一般に、水和を含む溶媒和の形態は非溶媒和の形態と等価であり、本発明の範囲に包含される。
【0090】
本発明の化合物(例えば、式I〜IVcの化合物)は、更に酸付加及び又は塩基付加塩を含めた、しかしこれに限定されない、医薬上許容される両者の塩を形成することができる。式(I)の化合物の医薬上許容される塩には、その酸付加及び又は塩基付加塩(二塩を含む)が含まれる。好適な塩の例は、例えば、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley−VCH,Weinheim、Germany(2002);及びBerge et al.,“Pharmaceutical Salts”,J.of Pharmaceutical Science,1977;66:1−19に記載されている。
【0091】
式I〜IVcの化合物の医薬上許容される酸付加塩としては、脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等の有機酸から誘導される塩と同様に、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン等の無機酸から誘導される毒性のない塩が挙げられる。従って、そのような塩には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシラート(ベンゼンスルホン酸塩)、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、カプリル酸塩、カムシラート(カンファースルホン酸塩)、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、エジシラート(1,2−エタンジスルホン酸塩)、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、エシラート(エタンスルホン酸塩)、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩化水素酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イソ酪酸塩、一水素リン酸塩、イセチオン酸塩、D−乳酸塩、L−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシラート(メタンスルホン酸塩)、メタリン酸塩、メチル安息香酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシラート(2−ナフタレンスルホン酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、フェニル酢酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サッカラート、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、D−酒石酸塩、L−酒石酸塩、トシラート(トルエンスルホン酸塩)及びキシナホ酸塩及びその他式I〜IVcの同様の化合物等が挙げられる。同様に、アルギン酸塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩等のアミノ酸の塩が考えられる。
【0092】
塩基性化合物の酸付加塩は、遊離の塩基の形態に、十分量の目的の酸を接触させて塩を生成する従来の方法で製造される。遊離の塩基の形態は、塩の形態に塩基を接触させて、遊離した塩基を分離する従来の方法で再生することができる。遊離の塩基の形態とそれぞれの塩の形態とは極性溶媒への溶解性等幾つかの物理的特性が多少異なるが、その他の点では、塩とそれぞれの遊離の塩基は本発明の目的のためには等価である。
【0093】
医薬上許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物又は有機アミン等の金属又はアミンによって形成される。カチオンとして使われる金属の例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等である。好適なアミンの例には、アルギニン、コリン、クロロプロカイン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジオラミン、エチレンジアミン(エタン−1,2−ジアミン)、グリシン、リジン、メグルミン、N−メチルグルカミン、オラミン、プロカイン(ベンザチン)及びトロメタミンが挙げられる。
【0094】
酸性化合物の塩基付加塩は、遊離の酸の形態に、十分量の目的の塩基を接触させて塩を生成する従来の方法で製造する。遊離の酸の形態は、塩の形態に酸を接触させて、遊離した酸を分離する従来の方法で再生することができる。遊離の酸の形態とそれぞれの塩の形態とは極性溶媒への溶解性等幾つかの物理的特性が多少異なるが、その他の点では、塩とそれぞれの遊離の酸は本発明の目的のためには等価である。
【0095】
V.医薬組成物及び投与方法
本発明は、又、治療的に有効量の式I〜IVcの化合物又は医薬上許容されるそれらの塩を、医薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤と共に含む医薬組成物を提供する。語句「医薬組成物」は、医学又は獣医学における投与に好適な組成物を指す。語句「治療的有効量」は、化合物又は医薬上許容されるその塩の量が、単独又は他の医薬品と併用して投与した場合に、又は特定の対象者又は対象者集団の治療において、治療する疾患又は状態を阻止、停止又は改善するのに十分な量を意味する。例えば、ヒト又は他の哺乳類において、特定の病気及び対象者に対する治療的有効量は、実験室又は臨床の場で実験的に決定するか、又は米国食品医薬品局(FDA)又は同等の外国規制当局のガイドラインが要求する量であってもよい。
【0096】
適切な剤形、投薬量及び投与経路の決定は、薬学及び医学の業界における通常の技術レベルの範囲にあると理解されるが、以下にそれを説明する。
【0097】
本発明の化合物は、医薬組成物として、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉剤、顆粒、錠剤、カプセル、薬用キャンディー、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、乳液等の形態で製剤化することができる。好ましくは、本発明の化合物が、PI3Kが介在する疾患に関連する症状又は病気の徴候を、定量的又は定性的に減退させることである。
【0098】
本発明の化合物から医薬組成物を製造するためには、医薬上許容される担体は固体であっても液体であってもよい。固体の製剤としては、粉剤、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐剤及び分散性の顆粒が挙げられる。固体の担体は、希釈剤、香料、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材としての機能を持つ1つ又はそれ以上の物質であってもよい。
【0099】
粉剤の場合の担体は、微粉末化した活性成分との混合物になる、微粉末化した固体である。錠剤の場合、活性成分を必要な結合特性を持つ担体と好適な比率で混合し、所望する形状と大きさに圧縮する。
【0100】
粉剤及び錠剤は、1重量%から95重量%の活性成分を含む。或る実施態様において、活性化合物は5重量%から70重量%に及ぶ。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、でん粉、ゼラチン、トラガガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等である。用語「製剤」にはカプセルを製造する担体としてのカプセル化材を有する活性化合物の剤形を含むことを意図しており、他の担体を含む又は含まない活性成分が担体により包まれ、担体が活性成分とこのように関連している。同様に、カシェ剤及び薬用キャンディーが含まれる。錠剤、粉剤、カプセル、丸薬、カシェ剤及び薬用キャンディーは、経口投与に好適な固体の剤形に使われる。
【0101】
坐剤の製造では、最初に脂肪酸グリセリドの混合物のような低融点のワックス又はカカオ脂を融解し、その中に活性成分を攪拌して均一に分散させる。次に融解した均質な混合物を都合の良い大きさの型に注入し、冷して固形にする。
【0102】
液状の製剤としては、溶液、懸濁液及び乳剤、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口注射用の液状製剤は、水性ポリエチレングリコール中の溶液の形態に製剤化することができる。
【0103】
経口使用に好適な水溶液は、活性成分を水に溶解し、好適な着色剤、香料、安定化剤及び希望に応じて増粘剤を添加して製造することができる。経口使用に好適な水懸濁液は、微粉末にした活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム及び他の公知の懸濁剤のような粘稠物質と共に水に分散させて作ることができる。
【0104】
又、使用の少し前に経口投与の液状製剤に変換することを意図した固体の製剤も含まれる。このような液体の形態には、溶液、懸濁液及び乳液が含まれる。これらの製剤は、活性成分の他に、着色剤、香料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含んでもよい。
【0105】
医薬製剤は単位剤形であることが好ましい。そのような形態においては、製剤は、更に適切な量の活性成分を含む単位用量に分割される。単位剤形は、包装された錠剤、カプセル及びバイアル又はアンプルに入った粉剤のような個別の量の製剤を含むパッケージにした包装製剤にすることができる。又、単位用量は、カプセル、錠剤、カシェ剤又は薬用キャンディーそれ自体でもよく、或いはそれらの何れかの適切な数を包装した形態でもよい。
【0106】
単位用量製剤中の活性成分の量は、特定の適用及び活性成分の効力に従って、0.1mgから1000mg、好ましくは1.0mgから100mgに、又は単位用量の1重量%から95重量%に変量又は調整してもよい。組成物には、必要に応じて、他の適合する治療薬が含まれてもよい。
【0107】
医薬上許容される担体は、部分的に、投与する特定の組成物並びに組成物の特定の投与方法によって決められる。従って、本発明の医薬組成物の好適な製剤は多種多様である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Gennaro et al.Eds.,Lippincott Williams and Wilkins,2000を参照)。
【0108】
本発明の化合物は、単独又は他の好適な成分と配合して、吸入を経由して投与するエアゾール(即ち、霧状になる)製剤にすることができる。エアゾール製剤は、加圧したジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の許容される推進剤の中に入れられる。
【0109】
例えば、静脈内、筋肉内、皮内及び皮下等による非経口投与に適切な製剤には、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤及び製剤の浸透圧を受容者の血液と同じにする溶質を含んでもよい水性及び非水性の等張無菌注射溶液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含んでもよい水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。本発明の実施に際して、組成物は、例えば静脈内注入で、経口的に、局所的に、腹腔内的に、膀胱内的に又は髄腔内的に投与することができる。化合物の製剤は、アンプル及びバイアルのような、単位用量又は多重用量のシール容器に入れることができる。注射用の溶液及び懸濁液は、前記の無菌の粉末、顆粒及び錠剤等から製造することができる。
【0110】
本発明に関連して、対象者に投与される用量は、長期にわたり対象者に有益な治療的反応を及ぼすのに十分な用量でなければならない。用語「対象者」は、哺乳類の一員を指す。哺乳類の例には、人間、霊長類、チンパンジー、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、馬、家畜、犬、猫、羊及び牛が挙げられる。
【0111】
投与量は、治療を受ける対象者の体重又は体表面積に加え、使用する特定の化合物の有効性及び対象者の状態によって決められる。1回投与量のサイズは、又、特定の化合物を特定の対象者に投与することに付随した副作用の有無、その性質及び強さによっても決められる。治療すべき疾患の治療又は予防のために投与する化合物の有効量を決定するに際して、医師は循環する血漿中の化合物の濃度、化合物の毒性及び/又は病気の進行等の要素を評価することができる。一般に、化合物の投与量当量は、標準的な対象者に対して約1μg/kgから100mg/kgである。多くの異なる投与方法は、当業者に公知である。
【0112】
投与については、本発明の化合物は、対象者の質量及び全般的な健康に適用するように、化合物のLD50値、化合物の薬物動態学的側面、薬物禁忌及び化合物の種々の濃度における副作用を含めた、しかしこれに限定されない因子から決定した割合で投与される。投与は、単回又は分割した投与量で行うことができる。
【0113】
代表的な錠剤、非経口剤及びパッチ剤の処方の例を以下に挙げる:
錠剤処方例1
錠剤処方
成分 量
式I〜IVcの化合物 50mg
乳糖 80mg
コーンスターチ(混合用) 10mg
コーンスターチ(ペースト用) 8mg
ステアリン酸マグネシウム(1%) 2mg
150mg
【0114】
本発明の化合物(例えば、式I〜IVcの化合物又は医薬上許容されるそれらの塩)を乳糖及びコーンスターチ(混合用)と混合し、均一に混和した粉末にする。コーンスターチ(ペースト用)を6mLの水に懸濁させ、攪拌しながら加熱してペースト状にする。そのペーストを混合した粉末に加え、混合物を顆粒にする。湿った顆粒をNo.8の硬質の篩を通し、50℃で乾燥する。混合物に1%のステアリン酸マグネシウムを加えて滑らかにし、圧縮して錠剤にする。PI3Kが介在する疾患又は状態を治療するために、本錠剤を1日に1〜4錠の割合で患者に投与する。
【0115】
非経口溶液の処方例1
700mLのプロピレングリコール及び200mLの注射用水の溶液に20.0gの本発明化合物を加える。混合物を攪拌し、塩酸でpHを5.5に調整する。注射用水を用いて、体積を1000mLに調整する。溶液を滅菌し、5.0mL容量のアンプルに2.0mL(本発明化合物40mg)ずつ分注し、窒素下で密封する。この溶液を、PI3Kが介在する疾患又は状態を患い治療が必要な対象者に、注射によって投与する。
【0116】
パッチ剤の処方例1
10mgの本発明化合物を、1mLのプロピレングリコール及び2mgの樹脂状の架橋剤を含むアクリル系ポリマー粘着剤と混合する。混合物を不浸透性の裏張り(30cm2)に塗布し、PI3Kが介在する疾患又は状態の持続放出治療のために、患者の上背部に貼る。
【0117】
VI.PI3Kが介在する疾患及び状態の治療法
本発明の化合物及び本発明の化合物を含む医薬組成物は、PI3Kが介在する疾患又は状態を患う対象者に投与することができる。PI3Kが介在する疾患又は状態は、疾患又は状態の性質に従って、本発明の化合物を使って予防的に、緊急的に及び長期的に治療することができる。人間以外の哺乳類も、本発明化合物の投与の恩恵を受けることができるが、一般に、これらの各方法における主体又は対象体は人間である。
【0118】
治療的な適用において、本発明の化合物は、種々の経口用及び非経口用の剤形に製造し投与することができる。用語「投与」は、化合物を対象者に接触させる方法を指す。従って、本発明の化合物は、注射、即ち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、非経口的又は腹腔内への注射によって投与することができる。又、本明細書に記載の化合物は、吸入によって、例えば鼻腔内に投与することができる。更に、本発明の化合物は、経皮的、局所的及び埋め込みにより投与することができる。或る実施態様において、本発明の化合物は経口的に配送される。本化合物は、又、直腸から、口腔から、膣内から、眼から、耳内から又は吹送法により配送することができる。
【0119】
本発明の薬学的方法で使われる化合物は、初期用量が1日当たり約0.001mg/kgから約100mg/kgで投与される。或る実施態様において、1日当たりの投与量の範囲は、約0.1mg/kgから10mg/kgである。しかし、その用量は、対象者の要求、治療する状態の重症度及び使用する化合物によって変動する。特定の状況に対する適切な用量の決定は、開業医の技能の範囲である。一般に、治療は、化合物の最適投与量未満の、少ない用量で開始される。その後、それぞれの状況の下での最適な効果に達するまで投与量を少しずつ増加させる。便宜的に、必要に応じて1日投与量を分割し、その日の内に部分的に投与してもよい。用語「治療」には、治療している疾患に関連した又はそれによって起こる少なくとも1つの症状又は性質の、急性の、慢性的なもしくは予防的な減退又は軽減を含む。例えば、治療には、疾患の幾つかの症状の減退、疾患の病理学的進行の阻止又は疾患の完全な撲滅が挙げられる。本発明の化合物は、対象者に併用投与することができる。用語「併用投与」は、2つ又はそれ以上の異なる医薬品或いは治療(例えば、放射線治療)を、同じ又は別々の医薬組成物中に配合して対象者に投与することを意味する。従って、併用投与は、2つもしくはそれ以上の医薬品を含む1つの医薬組成物を同時に投与すること、又は2つもしくはそれ以上の異なる組成物を同時にもしくは違った時間に同じ対象者に投与することを含む。例えば、午前8時に本発明の化合物を含む最初の投与量の投与を受けた対象者が、次に1〜12時間後、例えば同じ日の午後6時にCELEBREX(登録商標)を投与された場合、その対象者は本発明化合物とCELEBREX(登録商標)を併用投与されたことになる。
【0120】
従って、本発明の化合物は、又、癌の治療に有用な化合物(例えば、TAXOL(登録商標)、タキソテール、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、アドリアマイシン、ダウノマイシン、シスプラチン、エトポシド、ビンカ・アルカロイド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、メトトレキサート、及びビンクリスチン等のアルカロイド、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、エンドスタチン及びアンギオスタチン、VEGF阻害剤、メトトレキサートのような代謝拮抗剤等の細胞毒性薬)と併用投与することができる。本発明の化合物は、又、タキサン誘導体、白金配位複合体、ヌクレオシド類似体、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤又はアロマターゼ阻害剤とも併用投与することができる。放射線療法も、がん治療のために、本発明の化合物と併用投与することができる。
【0121】
本発明の化合物は、又、血栓溶解性疾患、心臓疾患、脳梗塞等の治療に有用な化合物(例えば、アスピリン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン・アクチベータ、ウロキナーゼ、抗凝固剤、抗血小板薬(例えば、PLAVIX(登録商標);重硫酸クロピドグレル)、スタチン(例えば、LIPITOR(登録商標)(アトルバスタチン・カルシウム)、ZOCOR(登録商標)(シンバスタチン)、CRESTOR(登録商標)(ロスバスタチン)等)、β遮断薬(例えば、アテノロール)、NORVASC(登録商標)(ベシル酸アムロジピン)及びACE阻害剤(例えば、Accupril(登録商標)(塩酸キナプリル)、リシノプリル等))と併用投与することができる。
【0122】
本発明の化合物は、又、高血圧の治療に、ACE阻害剤、スタチンのような脂質低下剤、LIPITOR(登録商標)(アトルバスタチン・カルシウム)、NORVASC(登録商標)(ベシル酸アムロジピン)等のカルシウムチャンネル遮断薬のような化合物と併用投与することができる。本発明の化合物は、又、フィブラート、β遮断薬、NEPI阻害剤、アンギオテンシン−2−受容体・アンタゴニスト及び血小板凝集阻害剤と併用して使うことができる。
【0123】
関節リウマチを含む炎症性疾患の治療のために、本発明の化合物は、抗TNFαモノクローナル抗体(REMICADE(登録商標)、CDP−870及びHUMIRA(商標)(アダリムマブ)等)及びTNF受容体−イムノグロブリン・融合分子(ENBREL(登録商標)等)、IL−1阻害剤、受容体・アンタゴニスト又は可溶性IL−1Rα(例えば、KINERET(商標)又はICE阻害剤)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)、ピロキシカム、ジクロフェナック、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フェナマート、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン、フェニルブタゾン、アスピリン、COX−2阻害剤(CELEBREX(登録商標)(セレコキシブ)、VIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)、BEXTRA(登録商標)(バルデコキシブ)、パレコキシブ及びエトリコキシブ等)、メタロプロテアーゼ阻害剤(好ましくは、MMP−13選択的阻害剤)、NEUROTIN(登録商標)、プレガバリン、低用量メトトレキサート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィン又は非経口もしくは経口の金製剤等の薬剤と、併用投与してもよい。
【0124】
本発明の化合物は、変形性関節症の治療のために、既存の治療薬と併用投与してもよい。併用に好適な薬剤としては、ピロキシカム、ジクロフェナク等の標準的な非ステロイド性抗炎症剤(以後、NSAID)、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン等のプロピオン酸、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン等のフェナマート、フェニルブタゾン等のピラゾロン、アスピリン等のサリチル酸エステル、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ及びエトリコキシブ等COX−2阻害剤、副腎皮質ステロイド及びヒアルガン、シンビスク等のヒアルロン酸のような鎮痛剤及び関節内治療薬が挙げられる。
【0125】
本発明の化合物は、又、ビラセプト、AZT、アシクロビル及びファムシクロビル等の抗ウイルス剤並びにバラント等の殺菌剤と併用投与してもよい。
【0126】
本発明の化合物は、更に、抗うつ剤(セルトラリン等)、抗パーキンソン病薬(デプレニール、L−ドーパ、レキップ、ミラペックス、セレギリン及びラサギリン等のMAOB阻害剤、タスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再摂取阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチン・アゴニスト、ドーパミン・アゴニスト及びニューロンの一酸化窒素合成酵素阻害剤等のcomP阻害剤)、NEURONTIN(登録商標)、プレガバリン、及びARICEPT(登録商標)、タクリン、プロペントフィリン又はメトリフォナートの様な抗アルツハイマー病薬等のCNS薬と併用投与してもよい。
【0127】
本発明の化合物は、更に、EVISTA(登録商標)(塩酸ラロキシフェン)、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェン又はフォソマックス等の骨粗鬆症薬及びFK−506及びラパマイシン等の免疫抑制剤と併用投与してもよい。
【実施例】
【0128】
【表1】

【0129】
中間体1
3−(4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−アクリル酸
標題化合物を以下の反応に従って製造した:4−フルオロ−3−メトキシ−ベンズアルデヒド(50.0g、324mmol)を、ピペリジン(6.72mL)とピリジン(224mL)の混合物中でマロン酸(50.6g、487mmol)と共に18時間還流した。混合物を半分の容積まで濃縮した。固体が沈殿するまで1NHClを加え、次いで、H2O(〜200mL)を加えた。固体を濾過し、濾過したケーキを集め、室温で15分間、水(〜200mL)中スラリー状にし、そして再び濾過した。濾過したケーキをH2Oで洗浄し、減圧オーブンで乾燥し、標題化合物(58.27g、収率91.6%)を白亜色の固体として得た。
【0130】
中間体2
3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド
中間体1(58.3g、297mmol)を、アルゴンでパージした、還流冷却器と添加濾斗を備えた丸底二口フラスコ内のピリジン(2.28mL、28.2mmol)、DMF(21.8mL、282mmol)及びクロロベンゼン(371mL)の混合物中に溶解した。混合物を加熱還流した。塩化チオニル(110mL、1515mmol)を、2.5時間かけて添加濾斗により混合物中に滴下した。反応液を18時間還流撹拌した。反応液を室温まで放冷し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をトルエンに溶解し、減圧下で再濃縮して残留ピリジンを共沸して除去した。次いで、残留物をCH2Cl2(〜300mL)に溶解した後、過剰のヘキサン(〜900mL)で希釈した。希釈物を約半分の容積に濃縮して沈殿物を得た。固体沈殿物を濾過し、集め、減圧下で乾燥し、標題の化合物(64.9g、収率78.3%)を、橙色固体として得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.02(s,3H),7.41(d,J=7.81Hz,1H),7.54(d,J=10.00Hz,1H)。
【0131】
中間体3
3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
中間体2(64.9g、232mmol)を、イソプロパノール(290mL)中のトリエチルアミン(64.8mL、465mmol)及び触媒量のDMAPと共に80℃で18時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcに溶解し、そしてろ紙を通して濾過した。濾過物を飽和NaHCO3水溶液、次いブラインで洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、セライトを通して濾過し、そして減圧濃縮して、標題の化合物(50.37g、収率71.6%)を橙褐色固体として得た。1H−NMR(400MHz、CDCl3)δ:1.40(d,J=6.34Hz,6H),4.00(s,3H),5.27(d,1H),7.39(d,J=7.81Hz,1H),7.48(d,J=10.00Hz,1H)。
【0132】
中間体4
3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−1−オキソ−1H−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
ジクロロメタン(100mL)及びTFA(100mL)中の、中間体3(50.37g、166.4mmol)の溶液に、0℃で過酸化水素(30重量%、18.9mL、166mmol)を加えた。冷浴を取り除き、反応液を室温で3時間撹拌した。反応液を氷浴で0℃に冷却し、次いで、徐々に0℃の重亜硫酸ナトリウム飽和水溶液中へ注いだ。クエンチした混合物をEtOAcで3回抽出した。有機相を濾過し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトを通して濾過し、そして濃縮した。粗生成物を、SiO2(0〜10%Et2O/CH2Cl2勾配溶出)を用いたクロマトグラフィーで分離し、標題の化合物(16.5g、収率31.1%)を橙色固体として得た。MS:M+1=319.0(APCI)。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.41(m,6H),4.03(s,3H),5.28(m,LH),7.30(d,J=7.08Hz,1H),7.66(d,J=8.78Hz,1H)。
【0133】
中間体5
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
無水THF(2.0mL)中の4−クロロフェノール(0.133g、1.035mmol)に室温で撹拌しつつ、水素化ナトリウム(0.0294g、1.22mmol)を加えた。反応液は泡立ち、白っぽい灰色を呈した。混合物を室温で5分間撹拌した。次いで、混合物を無水THF(2.7mL)中の中間体4(0.300g、0.941mmol)の溶液に撹拌しつつ加えた。反応液を室温で10分間撹拌した。ヨウ化ナトリウム(0.353g、2.35mmol)、次いでTMSCl(0.299mL、2.35mmol)を加えた。反応液は暗赤褐色を呈した。混合物を室温で5分間撹拌した。反応液が赤褐色から薄黄色に変わるまで、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。クエンチした混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトで濾過し、そして濃縮した。生成物をシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)で精製し、標題の化合物(0.262g、収率70.5%)をワックス状無色の固体として得た。MS:M+1=395.0(APCI)。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.16(d,J=6.34Hz,6H),3.85(s,3H),5.09(m,1H),6.86(d,J=9.03Hz,2H),7.07(d,J=7.81Hz,1H),7.23(m,2H),7.50(d,J=10.25Hz,1H)。
【0134】
中間体6
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸
ジオキサン(2.4mL)中の中間体5(0.240g、0.608mmol)及び1NのLiOH(1.6mL)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで放冷し、次いで、1NのHClでpH〜1の酸性にした。酸性にした混合物をH2Oで希釈し、固体沈殿物を得た。固体を濾過した後、H2Oで洗浄し、終夜減圧オーブンで乾燥し、標題の化合物(0.116g、収率54.1%)をフワフワした白色固体として得た。MS:M+1=353.0(APCI)。NMR(400MHz,DMSO)δ:ppm3.77(s,3H)6.93(m,2H),7.12(d,J=8.05Hz,1H),7.34(m,2H),8.03(d,J=10.98Hz,1H),13.39(s,1H)。
【0135】
〔実施例1〕
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
中間体6(0.113g、0.320mmol)を無水のジクロロメタン(1.6mL)に混合したが、溶解はしなかった。約3滴のDMFを加えた。シュウ酸クロリド(0.0307mL、0.352mmol)を注射器で加えた。混合物は泡立ち、そして徐々に均一になった。反応液を室温で10分間撹拌した。5−アミノテトラゾール(0.0681g、0.801mmol)、トリエチルアミン(0.112mL、0.801mmol)を、そして最後にアセトニトリル(1.6mL)を加えた。反応液を80℃で30分間撹拌した。反応容器を開放し、殆んど乾燥するまで沸騰させた。加熱浴を取り除き、混合物を室温まで放冷した。残留タール状物質を最少量のアセトニトリル(〜0.4mL)で回収した。混合物をH2O(〜3mL)で希釈し、フワフワした白色固体が沈殿するまで、1NのHClで酸性にした。固体を濾過し、H2Oで洗浄した。ケーキを集め、最少量のMeOHで30分間スラリー化した。スラリーを濾過し、そしてケーキを最少量のMeOHで洗浄した。固体を終夜減圧オーブンで乾燥し、標題の化合物(0.134g、収率64.0%)を白色固体として得た。MS:M+1=420.0(APCI)。1H−NMR(400MHz,DMSO)δ:3.74(s,3H)7.03(d,J=9.27 Hz,2H)7.07(d,J=8.05 Hz,1H)7.37(d,J=9.03Hz,2H)8.11(d,J=10.98Hz,1H)。
【0136】
実施例2〜6の標題化合物を、4−クロロ−フェノールを適切に置換されたフェノール(例えば、4−シクロペンチルオキシ−フェノール)で代替することにより、実施例1と類似の方法で合成した。
〔実施例2〕
3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例3〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェノキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イミノメチル−アミド
〔実施例4〕
3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例5〕
3−(3−エチル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例6〕
6−フルオロ−3−(4−イソプロピル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
中間体7
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
無水THF(〜20mL)中のシクロヘキサノール(1.82mL、17.3mmol)溶液に、−78℃でn−BuLi(ヘキサン中1.6M、10.3mL、16.5mmol)を滴下した。冷浴を取り除き、混合物を室温に戻した。分離型反応フラスコ内で、中間体化合物4(5.00g、15.7mmol)を混合したが、無水THF(〜50mL)には溶解しなかった。アルコキシド溶液を中間体4の混合物に注射器で滴下した。反応液は黄色に変化し、そして、均一になった。反応液を室温で15分間撹拌した。ヨウ化ナトリウム(5.90g、39.4mmol)、次いで塩化トリメチルシリル(4.98mL、39.2mmol)を加えた。反応液は赤褐色に変化した。混合物を室温で25分間撹拌した。反応液が赤褐色から薄黄色になるまで、チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチした。クエンチ液を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトで濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィー(0〜10%Et2O/ヘキサン、IscoCombiFlash(登録商標)勾配溶出(Isco,Inc.,Lincoln,NE)、10%EtOAc/ヘキサン中のTLC)で精製し、標題化合物(3.33g、収率57.9%)を薄緑色油状物質として得た。MS:M+1=367.1(APCI)。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.30(m,3H),1.37(d,J=6.10Hz,6H),1.59(m,3H)1.81(m,2H),2.05(m,2H),3.96(s,3H),4.49(m,1H),5.24(m,1H),7.31(d,J=8.05Hz,1H),7.38(d,J=10.25Hz,1H)。
【0140】
中間体8
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸
中間体7(3.33g、9.09mmol)及び1NのLiOH(18mL)の混合物をジオキサン(27mL)中、80℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで放冷し、次いで1NのHClでpH〜1の酸性にした。酸性の混合物をH2Oで希釈し、固体沈殿物を得た。固体を濾過し、H2Oで洗浄し、終夜減圧オーブンで乾燥し、標題化合物(2.80g、収率95.2%)をフワフワした白色の固体として得た。MS:M+1=325.0(APCI)。1H−NMR(400MHz,DMSO)δ:1.24(m,3H),1.55(m,3H),1.72(m,2H),1.89(m,2H),3.90(s,3H),4.47(m,1H),7.34(d,J=8.05Hz,1H),7.87(d,J=10.98Hz,1H),13.14(s,1H)。
【0141】
〔実施例7〕
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
中間体8(2.70g、8.32mmol)をアルゴンでパージしたフラスコ内の無水CH2Cl2(25mL)中に溶解した。触媒量のDMF、次いでシュウ酸クロリド(0.799mL、9.16mmol)を注射器で加えた。反応液を室温で30分間撹拌した。アセトニトリル(25mL)、次いで5−アミノテトラゾール(1.77g、20.8mmol)及びトリエチルアミン(2.90mL、20.8mmol)を加えた。反応液を30分間還流下で撹拌した後、室温まで放冷した。反応液をH2Oで希釈し、固体が沈殿するまで、1NのHClで酸性にした。固体を濾過し、そしてH2Oで洗浄した。濾過したケーキを最少量のMeOHに懸濁し、再度濾過し、そして減圧下で乾燥し、標題化合物(3.04g、収率93.2%)を得た。
【0142】
実施例8〜16の標題の化合物を、シクロヘキサノールを適切なアルコールで代替することにより、実施例7と類似の方法で合成した。
〔実施例8〕
3−シクロヘプチルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例9〕
シス−(±)−6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例10〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(1−メチル−シクロプロピルメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例11〕
4−[6−フルオロ−5−メトキシ−2−(2H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
〔実施例12〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド〔実施例13〕
3−(3,3−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例14〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例15〕
3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例16〕
3−シクロブトキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
【0143】
【表4】

【0144】
中間体9
6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−1−オキソ−1H−1λ4−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
中間体4(1.50g、4.71mmol)をジオキサン(15mL)と混合したが、溶解はしなかった。H2O(5mL)、次いで1NのLiOH(4.7mL)を加えた。反応液が茶色に変化し、そしてより均一になった。混合物を20分間室温で撹拌した。1NのLiOH(5mL)を加えて、反応液を室温で更に30分間撹拌した。反応液を1NのHClでpH=1の酸性にし、次いでH2Oで希釈し、黄色の固体沈殿物を得た。固体を濾
過し、そしてH2Oで洗浄した。ケーキを集め、そして減圧オーブンで乾燥し、標題化合物(922mg)を得た。HPLC分析から、目的の生成物が、濾過水溶液中にも存在することが分かった。濾液をCH2Cl2で2度抽出した。抽出物を濃縮し、そして減圧下で乾燥し、目的の生成物を別に422mg得た。MS:M+1=301.1(APCI)。
【0145】
中間体10
6−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2カルボン酸イソプロピルエステル
中間体9(0.915g、3.05mmol)を、丸底フラスコ内の無水アセトニトリル(15mL)に室温で撹拌しつつ混合したが、溶解しなかった。ヨウ化ナトリウム(0.685g、4.57mmol)、次いでTMSC1(0.580mL、4.57mmol)を加えた。反応液は暗赤褐色に変化した。混合物を室温で10分間撹拌した。反応液を、赤褐色から黄色になるまで、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液を滴下してクエンチした。混合物をH2Oで希釈し、白色沈殿物を得た。固体を濾過し、H2Oで洗浄し、そして減圧下で乾燥し、標題化合物(0.660g、収率76.2%)を非常に薄い緑色のフワフワした静電気を帯びた固体として得た。MS:M−1=283.0(APCI)。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.39(d,J=6.34Hz,6H),3.96(s,3H),5.28(m,1H),7.39(m,2H),10.23(s,1H)。
【0146】
中間体11
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
無水THF(25mL)中で、中間体10(0.880g、3.10mmol)にシス−3−メチルシクロヘキサノール(0.424g、3.71mmol)、Ps−PPh3(ポリスチレン−トリフェニルホスフィン)(4.22g)及びDEAD(0.809g、4.64mmol)を加えた。反応液を室温で18時間撹拌した。混合物を濾過し、そして樹脂ケーキをジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮し、標題化合物(0.618g、収率52.5%)を無色の油状物質として得た。MS:M+1=381.2(APCI)。
【0147】
中間体12
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸
ジオキサン(6mL)中の中間体11(0.615g、1.62mmol)及び1NのLiOH(4mL)の混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで放冷し、次いで1NのHClでpH〜1の酸性にした。酸性混合物をH2Oで希釈し、固体沈殿物を得た。固体を濾過し、H2Oで洗浄し、そして終夜減圧オーブンで乾燥し、標題化合物(0.533g、収率97.4%)をフワフワした白色固体として得た。MS:M+1=339.1(APCI)。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.95(d,J=6.59Hz,3H),1.10(m,1H),1.39(m,1H),1.63(m,2H),1.80(m,2H),2.06(m,3H),3.95(s,3H),4.94(m,1H),7.32(d,J=7.81Hz,1H),7.45(d,J=10.25Hz,1H)。
【0148】
〔実施例17〕
トランス−(±)−6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
中間体12(0.528g、1.56mmol)を無水ジクロロメタン(8mL)に加えたが、溶解はしなかった。DMFを約3滴加えた。シュウ酸クロリド(0.150mL、0.172mmol)を注射器で加えた。混合物は泡立ち、そして徐々に均一になった。反応液を室温で10分間撹拌した。5−アミノテトラゾール(0.332g、3.90mmol)、トリエチルアミン(0.543mL、3.90mmol)、そして最後にアセトニトリル(8mL)を加えた。反応液を80℃で30分間撹拌した。反応容器を開放し、殆ど乾燥するまで沸騰させた。加熱浴を取り除き、そして混合物を室温まで放冷した。残留したタール状物質を最少量のアセトニトリル(〜1mL)で回収した。混合物をH2O(〜15mL)で希釈し、フワフワした白色固体が沈殿するまで、1NのHClで酸性にした。固体を濾過し、H2Oで洗浄した。ケーキを集め、そして最少量のMeOHで30分間スラリー化した。スラリーを濾過し、そして、ケーキを最少量のMeOHで洗浄した。固体を減圧オーブン内で終夜乾燥し、標題化合物(0.280g、収率44.3%)を白色固体として得た。MS:M+1=406.2(APCI)。1H−NMR(400MHz,DMSO)δ:0.80(d,J=6.59Hz,3H),1.05(m,1H),1.34(m,1H),1.55(m,4H),1.93(m,3H),3.93(s,3H),4.83(m,1H),7.40(d,J=8.05Hz,1H),8.00(d,J=10.98Hz,1H),11.50(s,1H),16.16(s,1H)。
【0149】
中間体13
3−(3−メトキシ−4−フルオロ−フェニル)アクリル酸
3−メトキシ−4−フルオロベンズアルデヒド(2.4g、15mmol)、マロン酸(2.34g、22mmol)、ピペリジン(0.9mL)及びピリジン(30mL)の溶液を、80℃で1時間加熱し、その後、更に3時間還流下で加熱した。溶液を周囲温度まで冷却し、減圧下で溶媒の約半分を除いた。溶液に1NのHCl(20mL)を注ぎ、生成した沈殿物を濾過で取り除いた。固体を酢酸エチルに溶解し、そしてHCl(1N)、水及びブラインで抽出した。溶液をMgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。酢酸エチルから再結晶して標題化合物(1.4g、収率47%)を得た。1H−NMR(400MHz,D6−DMSO)δ:12.3(s,1H),7.53(m,2H),7.25(m,2H)6.57(d,J=15.93Hz,1H),3.86(s,3H)。
【0150】
中間体14
3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン 酸メチルエステル
中間体13(1.4g、7mmol)、ピリジン(53μL、0.65mmol)、ジメチルホルムアミド(500μL、6.6mmol)、塩化チオニル(2.65mL)及びクロロベンゼン(15mL)のスラリーを21時間還流下で加熱した。反応液を室温まで放冷し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタン(15mL)に溶解し、そしてメタノール(15mL)で処理した。生成した固体を濾別し、そしてメタノールで洗浄し、標題化合物(0.92g、収率47%)を得た。1H−NMR(400MHz,D6−DMSO)δ:8.12(d,J=10.8Hz,1H),7.512(d,J=8.06Hz,1H),3.96(s,3H),3.87(s,3H)。
【0151】
中間体15
3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
THF(40mL)中の中間体14(5.40g、19.7mmol)溶液に、1NのNaOH(40mL)及びH2O(300mL)を加えた。混合物を65〜75℃に加熱して2時間撹拌し、次いで室温まで放冷した。反応混合物をEtOAcで2度洗浄し、次いで酸性にし、オフホワイトの固体沈殿物を得た。沈殿物をEtOAcで数回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、そして濃縮し、3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(3.10g、収率60%)を得た。CH2Cl2中の3−クロロ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2.02g、7.75mmol)溶液へ、室温でシュウ酸クロリド(1.35mL、15.5mmol)を加え、続いて2〜3滴のDMFを加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残留物をCH3CN(60mL)に溶解した。トリエチルアミン(1.08mL、7.75mmol)を、続いて5−アミノテトラゾール(0.725g、9.52mmol)を加えた。反応液を60℃で16時間撹拌し、次いで室温に冷却した。混合物をH2O(〜30mL)で希釈し、固体沈殿物を得た。固体を濾過し、H2O及びCH3CNで洗浄し、標題化合物(2.35g、収率92%)を得た。MS:M+1=328(APCI)。
【0152】
中間体16
3−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)アクリル酸
THF(250mL)中の2−フルオロ−アニソール(6.0g、47mmol)及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン溶液を−78℃に冷却し、sec−ブチルリチウム(1.3M/シクロヘキサン、37.9mL、49mmol)を滴下した。混合物を−78℃で2時間撹拌し、次いでジメチルホルムアミド(3.6mL、47mmol)で処理した。更に10分間撹拌を継続した後、酢酸(20mL)、続いて水(150mL)を反応液に加えた。反応液を周囲温度まで温め、次いで酢酸エチルで希釈した。有機層を初めに1NのHClで、次いでブラインで抽出した。溶液をMgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮し、未精製の2−フルオロ−3−メトキシベンズアルデヒド(4.7g,64%)を得た。中間体13に記載されたものと類似の方法で、2−フルオロ−3−メトキシベンズアルデヒド(4.7g、30mmol)、マロン酸(4.76g、45mmol)、ピリジン(50mL)及びピペリジン(1.5mL)から、標題の生成物(2.5g、収率42%)を得た。1H−NMR−(400MHz,D6−DMSO)δ:7.65(d,J=16.1Hz,1H),7.34(m,1H),7.18(m,2H),6.58(d,J=16.1Hz,1H),3.83(s,3H)。
【0153】
中間体17
3−クロロ−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
中間体14に記載されたものと類似の方法で、中間体16(2.5g、12mmol)、ピリジン(0.103mL、1.2mmol)、 ジメチルホルムアミド(0.83mL、10mmol)、塩化チオニル(4.1mL)及びクロロベンゼン(30mL)から、標題化合物(0.72g、収率18%)を得た。1H−NMR−(400MHz,D6−DMSO)δ:7.90(d,J=1.5Hz,1H),7.87(m,1H),3.91(s,3H),3.87(s,1H)。
【0154】
中間体18
3−クロロ−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
中間体15に記載されたものと類似の方法により、中間体17を標題の生成物(1.8g、収率56%)に転換した。MS:M+1=328。
【0155】
中間体19
3−クロロ−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド
3−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−アクリル酸(Baddar et al.(1976)J.Indian Chem.Soc.53:1053−1058)(5.0g、25mmol)、ピリジン(0.21mL、2.5mmol)、ジメチルホルムアミド(1.74mL、22mmol)、塩化チオニル(9.3mL)及びクロロベンゼン(100mL)の混合物を還流下で21時間加熱した。反応液を室温まで放冷し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をトルエンに再溶解し、減圧下で濃縮した。標題化合物をトルエン/ヘキサンから再結晶して、標題化合物(4.7g、収率66%)を得た。1H−NMR−(メチルエステル)(400MHz,D6−DMSO)δ:7.91(d,J=7.57Hz,1H),7.72(d,J=11.2Hz,1H),3.91(s,3H),3.84(s,3H)。
【0156】
中間体20
3−クロロ−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
アセトニトリル(60mL)中の、中間体19(3.7g、13.3mmol)、アミノテトラゾール(1.25g、14.7mmol)及びトリエチルアミン(2.4mL、17.4 mmol)の溶液を、18時間還流下で加熱した。反応液を冷却し、そして溶媒を減圧下で除去した。残留物に水を加え、生成した固体を濾過して回収した。乾燥した固体をジクロロメタン/メタノールから再結晶し、標題化合物(1.38g、収率31%)を得た。1H−NMR−(400MHz,D6−DMSO)δ:7.98(d,J=7.5Hz,1H),7.75(d,J=11.2Hz,1H),3.92(s,3H)。MS:M+1=327。
【0157】
実施例18〜40の合成:
DMF溶液の最終モル濃度を目的のチオール(1当量)に対して0.66Mに、DBU
も0.66Mになるように、目的のチオール(R1−L−SH)溶液を製造した。適切な薬瓶(2ドラム)に、中間体15、17又は20(1.5ml、0.11mmol)及び目的のチオール溶液(0.5mL、0.33mmol)を加えた。薬瓶の蓋をし、80℃に加熱し、10時間振盪した。反応液を冷却し、個別にBohdan Mini Block(登録商標)容器に移した。薬瓶をDMF(0.5mL)で洗浄し、洗浄液をMini Blockの適切な容器に移した。ArgoPore(登録商標)−イソシアネート捕捉樹脂(0.20g)(Argonaut Technologies,Inc.,Foster City,CA)を各々の容器に加えて2時間混合した。得られた溶液を濾過し、樹脂を取り除いた。次いで、樹脂をDMF(0.5mL)で洗浄した。反応液をその後酢酸(0.2M/メタノール、0.5ml)で処理し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノール(2mL)中に溶解し、そして、Bohdan Mini Block上の新しい容器に移した。ArgonautoMP−TsOH捕捉樹脂(0.20g)(Argonaut Technologies,Inc.,Foster City,CA)を各々の容器に加えて18時間混合した。樹脂を濾別し、樹脂をメタノール(0.4mL)及びDMF(1.5mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、そして標題化合物を逆相クロマトグラフィーで精製した。
【0158】
実施例25及び34〜36の合成のために、ArgonautoMP−TsOH捕捉樹脂を濾別し、そしてメタノール(0.4ml)及びDMF(1.5ml)で上記のように洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をTHF(1.0mL)に再溶解した。次いで、溶液を水酸化ナトリウム(1mL、1.0N)で処理し、18時間振盪した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水(0.5mL)に再溶解し、そしてHCl(1ml、1.0N)で処理した。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を減圧下で濃縮した。標題化合物を逆相クロマトグラフィーで精製した。
【0159】
【表5】

【0160】
〔実施例18〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例19〕
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例20〕
3−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
【0161】
【表6】

【0162】
【表7】

【0163】
【表8】

【0164】
〔実施例21〕
3−シクロヘキシルスルファニル−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例22〕
4−フルオロ−3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例23〕
4−フルオロ−3−(3−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例24〕
3−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸メチルエステル
〔実施例25〕
3−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸
【0165】
〔実施例26〕
4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸メチルエステル
〔実施例27〕
[4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル]−酢酸メチルエステル
〔実施例28〕
3−{4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸メチルエステル
〔実施例29〕
4−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド〔実施例30〕
3−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−1−フェニル−プロピルスルファニル]−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
【0166】
〔実施例31〕
3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例32〕
4−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例33〕
4−フルオロ−5−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例34〕
4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸
〔実施例35〕
{4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸
【0167】
〔実施例36〕
3−{4−[4−フルオロ−5−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸
〔実施例37〕
3−(4−シクロヘキシル−フェニルスルファニル)−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
〔実施例38〕
3−シクロペンチルスルファニル−4−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
【0168】
【表9】

【0169】
〔実施例39〕
3−シクロペンチルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
実施例41に記載されたものと同様の方法で、DMF(10mL)中の、中間体20(0.25g、0.67mmol)、シクロペンチルメルカプタン(0.214mL、2.0mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.4mL、2.68mmol)から、標題化合物(0.08g、収率30%)を得た。MS:M−1=392。
〔実施例40〕
3−シクロヘキシルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
実施例41に記載されたものと同様の方法で、DMF(10mL)中の、中間体20(0.2g、0.53mmol)、シクロヘキシルメルカプタン(0.194mL、1.59mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.31mL、2.0mmol)から、標題化合物(0.14g、収率64%)を得た。MS:M−1=406。
【0170】
【表10】

【0171】
〔実施例41〕
3−シクロヘキシルスルファニル−6−フルオロ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
DMF(10mL)中の中間体15(0.2g、0.53mmol)、シクロヘキシルメルカプタン(0.194mL、1.59mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.63mL、2.0mmol)の溶液を、70℃で18時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をDMF/エタノールに溶解し、酸性になるまで1NのHClで処理した。標題化合物(0.148g、収率68%)を濾過で回収した。MS:M-1=407。
〔実施例42〕
3−シクロペンチルスルファニル−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
実施例41に記載されたものと同様の方法で、DMF(10mL)中の中間体15(0.25g,0.67mmol)、シクロペンチルメルカプタン(0.214mL、2.0mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.4mL、2.68mmol)から、標題化合物(0.23g、収率87%)を得た。MS:M-1=392。
【0172】
【表11】

【0173】
中間体21
3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニルクロリド
ヘプタン(50mL)中の3−(3−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)−アクリル酸(10.0g、44.8mmol)、(Chakravarti et al.(1938)J.Chem.Soc.171−172)及びDMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)(5.5g)の溶液に、50℃で塩化チオニル(20mL)を、添加漏斗を通して滴下した。反応液を100℃で18時間撹拌し、次いでEtOAc(400mL)を加えた。反応液を100℃で18時間撹拌し、次いで濾紙を通して高温で濾過した。液体を濃縮し、高温のトルエン中にスラリー化させ、そして再び濾過した。液体を濃縮して、標題化合物(11.3g、収率83%)を得た。K2CO3/MeOH中でクエンチしたサンプルのMS:M+1=301.1(APCI)。
【0174】
中間体22
3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
中間体21(11.2g、36.7mmol)を、イソプロパノール(91mL)中のDMAP(0.200g)及びトリエチルアミン(10mL)と一緒に16時間還流下で撹拌した。反応混合物を濃縮し、そしてシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィ[5%EtOAc/ヘキサンから50%EtOAc/ヘキサンへの勾配溶出]で精製し、標題化合物(6.3g、収率52%)を得た。MS:M+1=329.1(APCI)。
【0175】
中間体23
3−クロロ−5−メトキシ−6−ニトロ−l−オキソ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
TFA(トリフルオロ酢酸)(36mL)及びCH2Cl2(36mL)中の中間体22(12.0g、36.7mmol)の混合物に、0℃でH22(30%水溶液、6.18mL、54.6mmol)を、注射器を通して滴下した。反応液を0℃で10分間撹拌し、次いで室温で90分間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、そして0℃で10%の重亜硫酸ナトリウム水溶液を徐々に注いだ。混合物をEtOAcで3回抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトで濾過し、そして濃縮して、標題化合物を定量的に得た。MS:M+1=346.0(APCI)。
【0176】
中間体24
3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−6−ニトロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
無水THF(50mL)中の4−シクロヘキシル−フェノール(4.42g,25.1mmol)溶液に、NaH(0.663g、27.6mmol)を加えた。反応液を3〜5分間室温で撹拌し、次いで無水THF(50mL)中の中間体23(8.26g、23.9mmol)の溶液に撹拌下で滴下した。反応液を室温で15分間撹拌し、次いでクロロトリメチルシラン(8.46mL、71.7mmol)及びNal(7.87g、52.5mmol)を加えた。反応液を15分間室温で撹拌し、次いでチオ硫酸ナトリム飽和水溶液でクエンチした。クエンチした混合物を水で希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトで濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィー[2.5%エーテル/ヘキサン]で精製し、標題化合物(8.38g、収率72%)を得た。MS:M+1 =470.1(APCI)
【0177】
中間体25
6−アミノ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
中間体23(8.37g、17.8mmol)を、Parr反応容器のEtOH中に、H2雰囲気下でRaineyニッケルを用いて還元した。次いで、混合物を濾過し、濃縮し、そしてシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィー[10%EtOAc/ヘキサン]で精製し、標題化合物を(5.73g、収率73%)を得た。MS:M+1=440.2(APCI)。
【0178】
中間体26
6−ブロモ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イソプロピルエステル
無水CH2Cl2(〜1.5mL)中の中間体25(0.210g、0.478mmol)の−10℃の溶液に、初めに、BF3−Et2O(0.176mL、1.43mmol)を、次いで、CH2Cl2(〜0.5mL)中のt−ブチルニトリル(0.068mL、0.574 mmol)の溶液を加えた。反応液を−10℃で10分間撹拌し、次いで褐色のタール状物質が析出するまでヘキサンで希釈した。液体を別容器に移し、残留物を最少量の無水CH3CNに溶解し、そして、0℃でCH3CN(2mL)中のテトラブチルアンモニウムブロミド(Bu4NBr)(0.110g、0.342mmol)の撹拌溶液に移した。反応液を0℃で20分間撹拌し、次いで銅(0.015mg)を加えた。反応液を室温で20分間撹拌し、次いで混合物をH2Oで希釈し、数回EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、セライトで濾過し、そして濃縮した。生成物をシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィー[10%EtOAc/ヘキサン]で精製し、標題化合物(0.114g、収率48%)を得た。MS:M+1=503.1。
【0179】
中間体27
6−ブロモ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸
中間体26を、中間体7の合成の場合と同様に鹸化し、標題の生成物を得た。
【0180】
〔実施例43〕
6−ブロモ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
中間体27を、実施例7の合成において記載したものと同様の方法で5−アミノテトラゾールと結合させ、標題の生成物を得た。
【0181】
〔実施例44〕
6−クロロ−3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド
テトラブチルアンモニウムブロミドに代えてテトラブチルアンモニウムクロリドを使用することにより、標題化合物を実施例43と類似の方法で合成した。
【0182】
〔生物学的実施例1〕
PI3Kγタンパク質発現及び精製プロトコル
ESF921培地中で増殖させたSpodtera frugiperda細胞に、グルタミン酸標識p101発現バキュロウイルス及びHA標識p110γ発現バキュロウイルスを、p110γバキュロウイルスに対するp101バキュロウイルスの比率が3:1となるように重感染させた。Sf9細胞を10L容積のバイオリアクターで1×107全細胞/mLに増殖させ、感染後48〜72時間に細胞を回収した。次に感染細胞サンプルのp101/p110γPI3キナーゼ発現を、免疫沈降及びウェスタンブロット法で解析した(下記を参照)。
【0183】
PI3Kγを精製するために、細胞ペースト1グラム当たり4倍量の室温の低張溶解バッファー(1mM MgCl2、1mM DTT、5mM EGTA、1mM Pefabloc、0.5μM アプロチニン、5μM ロイペプチン、2μM ペプスタチン、5μM E64、pH8)を、凍結した細胞ペレット上に攪拌しながら加え、次に400psiの窒素「爆弾」(599HC T316,Parr Instrument Co,Moline,IL)中で細胞を溶解させた。NaClを150mM、コール酸ナトリウムを1%加えて、更に45分間混合した。溶解物を14,000rpmで25分間遠心分離し、清澄にした。次に溶解物を、50gの細胞ペースト当たり20mLの樹脂を用いて、抗グルタミン酸抗体結合プロテインGセファロース粒子(Covance Research Products,Richmond,CA)に負荷した。カラムを15倍量の洗浄バッファー(1mM DTT、0.2mM EGTA、1mM Pefabloc、0.5μM アプロチニン、5μM ロイペプチン、2μM ペプスタチン、5μM E64、150mM NaCl,1% コール酸ナトリウム、pH8)で洗浄した。PI3Kγは、カラム容量の6倍量の、標識グルタミン酸の結合と競合するペプチドを100μg/mL含む洗浄バッファーで溶出させた。タンパク質(OD280の読みから測定)を含むカラム溶出画分を集め、0.2mM EGTA、1mM DTT、1mM Pefabloc、5μM ロイペプチン、0.5% コール酸ナトリウム、150mM NaCl、50% グリセリン、pH8に対して透析した。この画分は更に使用するまで−80℃で保存した。
【0184】
〔生物学的実施例2〕
Gタンパク質サブユニットの発現
Spodtera frugiperda細胞に、グルタミン酸標識Gタンパク質β1発現バキュロウイルス及びGタンパク質β2発現バキュロウイルスを、グルタミン酸標識Gタンパク質β1発現バキュロウイルスとGタンパク質β2発現バキュロウイルスの比率を1:1にして、重感染させた。Sf9細胞を10L容のバイオリアクターで増殖させ、感染後48〜72時間に細胞を回収した。感染細胞サンプルのGタンパク質β1/β2発現を、下記の如くウェスタンブロット法で解析した。細胞溶解物をホモゲナイズし、生物学的実施例1のようにグルタミン酸標識ビーズのカラムに負荷し、グルタミン酸ペプチドを用いて競合解離させ、生物学的実施例1に記したように処理した。
【0185】
〔生物学的実施例3〕
ウェスタンブロット法による解析
タンパク質サンプルを8%Tris−グリシン・ゲル上で泳動させ、45μmのニトロセルロース膜に移動させた。次にブロットを、室温で1時間、TBST(50mM Tris、200mM NaCl、0.1% Tween 20、pH7.4)中の5%牛血清アルブミン(BSA)及び5%オボアルブミンでブロックした後、0.5%のBSAを含むTBSTで1000倍に希釈した1次抗体と、4℃で一晩インキュベートした。p110γ、p110α、p110β、p85α、Gタンパク質β1及びGタンパク質γ2サブユニットに対する1次抗体は、Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CAから購入した。p101サブユニットの抗体は、p101ペプチド抗原を基にして、Research Genetics,Inc.,Huntsville,ALで作成した。
【0186】
ブロットを1次抗体とインキュベートし、TBST中で洗浄した後、0.5%BSAを含むTBSで10,000倍に希釈したヤギ抗ウサギHRP標識抗体(Bio−Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA,product Number 170−6515)と、室温で2時間インキュベートした。抗体は、ECL(商標)検出試薬(Amersham Biosciences Corp.,Piscataway,New Jersey)を用いて検出し、Kodak ISO400Fスキャナーで定量した。
【0187】
〔生物学的実施例4〕
免疫沈降
生物学的実施例1又は2で得た細胞ペースト100μLを解凍し、氷上で400μLの低張溶解バッファー(25mM Tris、1mM DTT、1mM EDTA、1mM Pefabloc、5μM ロイペプチン、5μM E−64(Roche)、1% NonidetP40、pH7.5〜8)で溶解した。溶解物をグルタミン酸標識ビーズ(Covance Research Products,Cambridge,England,product Number AFC−115P)と室温で2時間インキュベートした。ビーズを洗浄バッファー(20mM Tris、pH7.8〜8、150mM NaCl、0.5% NP40)中で3回洗浄し、タンパク質を2倍量のサンプルバッファー(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA,product Number LC1676)中で加熱してビーズから溶離させた。
【0188】
〔生物学的実施例5〕
PI3Kγキナーゼの生体外アッセイ
表1の化合物の阻害特性は、生体外PI3Kアッセイ法でアッセイした。96ウェルのポリプロピレンプレートの各ウェルに、DMSO中の最終濃度の50倍濃度の化合物で、2μLずつの斑点をつけた。精製した遺伝子組み換えp101/p110γタンパク質(0.03μg;〜2.7nM)及びGタンパク質β1/γ2サブユニット(0.09μg;〜57.7nM)を各反応のためにアッセイバッファー(30mM HEPES、100mM NaCl、1mM EGTA及び1mM DTT)中で混合した。この混合物に、反応物中の最終ATP濃度が20μMになるように、ATP及び[γ−32P−ATP](0.09μCi)を添加した。ホスファチジルイノシトール−4,5−二リン酸(PIP2)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びコール酸ナトリウムを、アッセイバッファー中で10分間超音波処理し、塩化マグネシウムを加え、反応物中の最終濃度をPIP2が25μM,PEが300μM,コール酸ナトリウムが0.02%及び塩化マグネシウムが10mMになるようにし、氷浴上で20分間インキュベートして脂質ミセルを形成させた。反応は、脂質と等量の酵素混合物を総量で50μL添加して開始し、室温で20分間反応させ、100μLの75mMリン酸を用いて停止させた。脂質生成物をグラスファイバーのフィルターに移し、75mMのリン酸で数回洗浄した。放射活性のある脂質生成物(PIP3)の量は、Wallace Optiphase mixを各ウェルに添加し、Wallace 1450 Trilux plate reader(PerkinElmer Life Science Inc.,Boston,MA02118)でカウントして測定した。試験した各化合物のIC50は、上記の表にμMで示した。
【0189】
本明細書に記載された実施例及び実施態様は単に例示を目的としたものであり、当業者がそれらから連想するさまざまな改良又は軽微な変更は、本出願の精神及び範囲並びに添付の請求項の範囲に包含される。本明細書に引用された全ての出版物、特許及び特許出願は、参照することにより、その全ての目的の全文が本明細書の一部に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
YはO又はSであり;
4、R5、R6及びR7の中の2つは水素であり;
4、R5、R6及びR7の中の1つは、メトキシ、C1−C3アルキル−O、CH2FO、CHF2O、CF3O、CF3CH2O及びシクロプロピルオキシから成るグループから選択され;
4、R5、R6及びR7の中の1つは、F、I、Br又はClであり;
Lは存在しないか、C1−C4アルキレン又は下記に示す基:
【化2】

であり;
3は:
(a)C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択され、ここで、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよく;又は
(b)場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキル(ここで、nは0、1又は2であり、mは0又は1である)から成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよいフェニル基である]
の化合物又は医薬上許容されるその塩。
【請求項2】
4及びR7はHであり;R5はメトキシであり;R6はFであり;そしてR3はフェニル基であり;ここで、該フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、−(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキル(ここで、nは0、1又は2であり、mは0又は1である)から成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物が、
6−フルオロ−3−(4−イソプロピル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェノキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イミノメチル−アミド;
3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3−エチル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
から成るグループから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
4及びR7はHであり;R5はメトキシであり;R6はFであり;そしてR3はC3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択され、ここで、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が:
3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘプチルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
シス−(±)−6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸 (2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3,3−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(1−メチル−シクロプロピルメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[6−フルオロ−5−メトキシ−2−(2H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
3−シクロペンチルスルファニル−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−シクロヘキシルスルファニル−6−フルオロ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
から成るグループから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
6及びR7はHであり;R5はメトキシであり;R4はFであり;そしてR3はC3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルから成るグループから選択され、ここで、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
4及びR5はHであり;R6はメトキシであり;R7はFであり;そしてR3はフェニル基であり;ここで、該フェニル基は、場合により、Br、F、Cl、−CF3、−OH、C1−C4アルキル、−O−C1−C6アルキル、−(CH2n−C(O)−O−CH3、(CH2n−C(O)−OH及び−(O)m−C3−C8シクロアルキル(ここで、nは0、1又は2であり、mは0又は1である)から成るグループから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
4及びR5はHであり;R6はメトキシであり;R7はFであり;YはSであり;そしてR3はC3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピ
ラニル及びピペリジニルから成るグループから選択され、ここで、C3−C8シクロアルキル、5又は6員環のヘテロシクロアルキル、テトラヒドロピラニル及びピペリジニルは、場合により1、2、3もしくは4個のメチル又は−C(O)−O−C(CH33で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、
3−シクロペンチルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−シクロヘキシルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
から成るグループから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物を、リューマチ性関節炎、変形性関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、強直性脊椎炎、炎症性疾患及び自己免疫疾患から成るグループから選択される疾患に罹った対象者に投与することを含む、対象者の該疾患の治療法。
【請求項11】
病気がリューマチ性関節炎である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物が請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物を、心循環器疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、深部静脈血栓症、脳梗塞、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解性疾患、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞、冠動脈疾患、癌、乳癌、グリア芽腫、子宮内膜癌、肝細胞癌、大腸癌、肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌、甲状腺癌、小細胞性肺癌、扁平上皮細胞性肺癌、神経膠腫、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、白血病、細胞リンパ腫、リンパ増殖性疾患、呼吸器疾患、気管支炎、喘息及び慢性閉塞性肺疾患から成るグループから選択される疾患に罹った対象者に投与することを含む、対象者の該疾患の治療法。
【請求項14】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物及び医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
医薬上許容される担体、及び
6−フルオロ−3−(4−イソプロピル−フェノキシ)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェノキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸イミノメチル−アミド;
3−(4−シクロヘキシル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3−エチル−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−クロロ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−シクロペンチルオキシ−フェノキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3,5−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘプチルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
シス−(±)−6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3−メチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルオキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3,3−ジメチル−シクロヘキシルオキシ)−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘキシルオキシ−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−(1−メチル−シクロプロピルメトキシ)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[6−フルオロ−5−メトキシ−2−(2H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルオキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
6−フルオロ−5−メトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロペンチルスルファニル−6−フルオロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロヘキシルスルファニル−6−フルオロ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−シクロペンチルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
3−シクロヘキシルスルファニル−7−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
から成るグループから選択される、治療的に有効量の化合物又は医薬上許容されるそれらの塩を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2007−504209(P2007−504209A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525195(P2006−525195)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002730
【国際公開番号】WO2005/023800
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミティド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】