説明

POS端末、携帯電話機、及び、広告配信方法

【課題】電子マネーを使用して決済を行った携帯電話機にさまざまな形態で広告を表示させ、より高い広告効果を発揮できるようにする。
【解決手段】店舗内に配置されたPOS端末100の非接触型ICカードリーダ/ライタ200に非接触型ICカード480を搭載した携帯電話機400が近接配置され、電子マネーによる商品の決済が行われたとき、POS端末100から、非接触型ICカード480に広告データとこの広告データを表示するためのアプリケーションとを送出し、携帯電話機400は、アプリケーションを実行することにより前記広告データに基づいて広告表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPOS端末、携帯電話機、及び、広告配信方法に係り、特に商品決済を携帯電話機に格納されたICカードを用いて行う電子マネー決済で行うPOS端末、携帯電話機、及び、広告配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年携帯電話機に電子マネー機能を実現する非接触型ICカードを搭載し、電子的な決済を行うものが普及している。これは例えばソニー社製FeliCa(登録商標)等の非接触型ICカードとそのアプリケーションソフトウェアを携帯電話機内に組み込んだもので、買物をするときにこれを店舗内に設置したPOS端末に接続されたICカードリーダ/ライタにかざすことにより、電子マネーバリューの書き換え通信が行われ、決済がなされる。
【0003】
また、このような携帯電話機が普及していることをふまえ、POSレジから広告データを携帯電話機に配信して、携帯電話機に広告を表示させるものが提案されている。
【0004】
特許文献1には、店舗内に設置したPOSレジ連携のリーダ/ライタに非接触型ICチップ搭載の携帯電話機をかざして電子マネーの課金通信を行う際にリーダ/ライタから携帯電話機へと広告情報を配信し、この広告情報の配信は、リーダ/ライタ、携帯電話機内の非接触型ICチップ、及び携帯電話機内の非接触型ICチップ制御アプリケーションソフトウェアによる三者間通信にて行われ、また、配信する広告情報は、商品に付されるとともにPOSレジにて読み取られてストアコンピュータへ送信される商品毎の固有情報に応じて予め定めたものをストアコンピュータからPOSレジを介してリーダ/ライタへ送信するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2007−87096号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、広告効果が高い広告表示を携帯電話機に送信するPOS端末が要望される。また、決済時だけでなく、後の機会に広告を表示させたい、また、静止画像だけではなく動画等広告効果が高い広告を表示させたいという要望がある。
【0007】
しかし、特許文献1に開示の技術は、決済終了直後に携帯電話機に静止画像による広告を表示させるものであり、広告の表示形態が限られてしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、電子マネーを使用して決済を行った携帯電話機にさまざまな形態で広告を表示させ、より高い広告効果を発揮できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において、上記の課題を解決するためのPOS端末は、非接触型ICカードリーダ/ライタと、この非接触型ICカードリーダ/ライタに近接配置された非接触型ICカードとなされたデータの授受に基づいて電子マネーによる商品の決済を行う決済処理部を備えるPOS端末において、前記非接触型ICカードを搭載する携帯電話機で広告を表示するのに必要な広告データを格納する広告データ格納部と、前記携帯電話機で前記広告データに基づいて広告を出力するためのアプリケーションを格納するアプリケーション格納部と、前記広告データ格納部に格納された広告データから前記携帯電話機に表示させる広告を選択する広告決定部と、前記決定された広告データ及びアプリケーションをデータ前記非接触型ICカードリーダ/ライタに出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するための携帯電話機は、音声及び画像のうち少なくとも一つを出力する出力部と、POS端末とのデータの授受により電子マネーによる商品の決済を行う非接触型ICカードとを備えた携帯電話機において、POS端末から広告データを取得する広告データ取得部と、POS端末からアプリケーション取得するアプリケーション取得部と、前記アプリケーションを実行して前記広告データに基づいて前記出力部から出力されるべき出力データを生成するアプリケーション実行部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
そして、上記の課題を解決するための広告配信方法は、店舗内に配置されたPOS端末の非接触型ICカードリーダ/ライタに非接触型ICカードを搭載した携帯電話機が近接配置され、電子マネーによる商品の決済が行われたとき、前記POS端末から、前記非接触型ICカードに広告データとこの広告データを表示するためのアプリケーションとを送出し、前記携帯電話機は、前記アプリケーションを実行することにより前記広告データに基づいて広告表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、店舗内に配置されたPOS端末の非接触型ICカードリーダ/ライタに非接触型ICカードを搭載した携帯電話機が近接配置され、電子マネーによる商品の決済が行われたとき、前記POS端末から、前記非接触型ICカードに広告データとこの広告データを表示するためのアプリケーションとを送出し、前記携帯電話機は、前記アプリケーションを実行することにより前記広告データに基づいて広告を出力させることができるから、電子マネーを使用して決済を行った携帯電話機にさまざまな形態で広告を表示させ、より高い広告効果を発揮できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態に係る広告配信方法を図面に基づいて説明する。図1は広告配信方法が適用されるPOSシステムを示すブロック図である。
【0014】
本例に係るシステムでは、店舗にはPOSレジなどのPOS端末100が配置されている。POS端末100には非接触型ICカードとデータの授受を行う非接触型ICカードリーダ/ライタ200が接続されており、電子マネーシステムで決済を行うことができる。また、POS端末100は店舗サーバ300に接続されている。前記ICカードリーダ/ライタ200は、通常のクレジットカード形態の非接触型ICカードとデータの授受が行われる他、携帯電話機400に内蔵された非接触型ICカード480ともデータの授受を行うものであり、電子マネーシステムで決済を行うことができる。尚、携帯電話機400には、非接触型ICカード480の他、液晶表示装置からなる表示部410、テンキー等の入力部430が配置されている。
【0015】
図2はPOS端末の構成を非接触型ICカードリーダ/ライタ及び店舗サーバと共に示すブロック図である。POS端末100には、商品の現金決済、クレジットカード決済など通常のPOSレジの機能を果たすPOSレジ機能部110を備える他、電子マネー決済処理部120を備える。この電子マネー決済処理部120は、前記非接触型ICカードリーダ/ライタ200を介して非接触型ICカードとデータの授受を行い電子マネーシステムでの決済を行う。また、POS端末100に接続された店舗サーバ300には、商品の価格等を示す商品データが商品コードに基づいて格納された商品マスタデータ格納部310が配置されている。POS端末100は、図示していないバーコードスキャナなどで読み取った商品コードに基づいて商品マスタデータ格納部310を参照して価格などの商品データを取得して決済を行う。
【0016】
また、POS端末100には、携帯電話機400に広告配信を行うため、多数種類の広告についてのデータが格納された広告データ格納部130、携帯電話機400で広告を表示するためのアプリケーションを格納したアプリケーション格納部140、購買された商品に基づいて携帯電話機400に送出する広告を決定する広告決定部150、広告データ及びアプリケーションを非接触型ICカードリーダ/ライタ200に送出するデータ送出部160を備える。
【0017】
広告データ格納部130には、携帯電話機400に表示すべき広告を表示するためのデータが格納されている。送出される広告は購入された商品、購入した客種、購入された時期等に基づいて前記広告決定部150で決定される。このため、広告データ格納部130には、販売している商品に関連する商品の広告、商品キャンペーンの広告、店舗キャンペーンの広告等多岐に亘る広告が格納される。また、この広告データは、静止画の他、携帯電話で実行される前記アプリケーションによる動画、音声の再生などを行うものとすることができる。
【0018】
アプリケーション格納部140には携帯電話機400に送出されるアプリケーションの実行データが格納されている。このアプリケーションは、携帯電話機400で実行され、携帯電話の表示部410に広告を表示する。アプリケーションとしてはデータ量が少ないものが好ましく、例えばjava等が好適である。
【0019】
広告決定部150は、広告データ格納部130が格納している多種類の広告データから携帯電話機400に送出する広告を決定する。この広告の決定に際しては、購入された商品、購入した客種、購入された時期購入された商品の種類が参考にされ、再度来店や商品購入を促す内容が選択される。
【0020】
尚、上記例では、POS端末100に広告データ格納部130、アプリケーション格納部140、広告決定部150を配置するようにしたが、これらは店舗サーバ300に配置するようにしてもよい。
【0021】
次に携帯電話機400について説明する。図3は携帯電話機の構成を示すブロック図である。本例に係る携帯電話機400は、通常の通話、メール、ウェブ閲覧を実行する携帯電話機能部470の他、出力部である表示部410、この表示部410の表示制御を行う表示制御部420、テンキーなどを備えた入力部430、前記POS端末100からの広告データを取得して格納する広告データ取得部440、POS端末100からのアプリケーションを取得して格納するアプリケーション取得部450、前記広告データに基づいてアプリケーションを実行して広告表示を出力するアプリケーション実行部460を備える。前記広告データ取得部440、アプリケーション取得部450及びアプリケーション実行部460は、携帯電話機能部470及び非接触型ICカード480とは独立して作動するものであり、これらを動作させるには、予めこれらを動作状態にしておく必要がある。広告データ取得部440及びアプリケーション取得部450での広告データの所得は取得ソフトウェアを実行して実現する。
【0022】
また、アプリケーション実行部460は、アプリケーション取得部450が取得したアプリケーションを実行して、広告データ取得部440が取得した広告データに基づいて表示部410に表示する表示データを生成する。
【0023】
前記取得ソフトウェア及び前記アプリケーションは、例えば携帯電話にインストールできるアプリケーションソフト(例えばiアプリ(登録商標)、EZアプリ(登録商標)、Vアプリ(登録商標))等で実現できる。尚、取得された広告データ及びアプリケーションは携帯電話機のデータ格納領域に格納される。
【0024】
また、携帯電話機400には、非接触型ICカード480が配置され、非接触型ICカード480には、この非接触型ICカードを電子マネーシステムで使用するための処理を行う電子マネー制御部481、電子マネーカードの残金、使用履歴等を格納する電子マネーデータ格納部482、前記非接触ICカードリーダ/ライタ200とデータの授受を行うカード通信部483を備える。この非接触型ICカード480の構成については公知である。
【0025】
尚、広告データ取得部440及びアプリケーション取得部450のデータの取得には、非接触型ICカード480のカード通信部483を使用することができる。
【0026】
次に実施の形態に係る広告配信方法の動作について説明する。図4は広告配信方法におけるPOS端末と携帯電話機での処理を示すフローチャートである。本例では、購買者は携帯電話機400を用いて電子マネーシステムで商品を購入する。
【0027】
商品の購買に際しては、まず、商品に付されたバーコードがPOS端末100のバーコードスキャナ(図示していない)で読み取り、商品コードを取得する(ステップST11)。POS端末100は、店舗サーバ300に商品コードを送出して(ステップST12)、店舗サーバ300は商品マスタデータ格納部310を参照して商品の価格等の商品データをPOS端末100に送出する(ステップST13)。
【0028】
この間に、商品の購入者は、携帯電話機400のデータ取得ソフトを作動させた状態(ステップST21)で、携帯電話機400を非接触型ICカードリーダ/ライタ200にかざすなどして近接配置する(ステップST22)。すると携帯電話機400の非接触型ICカード480と、POS端末100との間で、非接触型ICカードリーダ/ライタ200を介して非接触型ICカード480の残金データを含むデータが授受され(ステップST23)、POS端末100で非接触型ICカード480が認証される(ステップST14)。
【0029】
そして、非接触型ICカードリーダ/ライタ200から購入された商品についての請求金額データが非接触型ICカード480に送信され(ステップST15)、非接触型ICカード480では、請求金額データを受け、残金を減算処理(ステップST24)して、消費通常の課金処理は終了する(ステップST16)。
【0030】
課金処理が終了すると、POS端末100において、広告決定部150は、購入された商品、購入した客種、購入された時期等に基づいて広告データ格納部130から広告を選択し(ステップST17)、選択した広告データと共にアプリケーション格納部140に格納されたアプリケーションを携帯電話機400に送信する(ステップST18)。これにより、POS端末100側の処理は終了する。尚、このPOS端末100における広告データ等の送信処理は、携帯電話機に広告データ取得部440、アプリケーション取得部450、アプリケーション実行部460が装備されているかどうかにかかわらず、非接触型ICカードが携帯電話機に格納されているかどうかにかかわらず実行される。
【0031】
そして、携帯電話機400では、広告データ取得部440で広告データを取得し、アプリケーション取得部450でアプリケーションを受信し(ステップST25)、格納しておき、適宜、例えば経歴の表示をきっかけとして、アプリケーション実行部460が広告データに基づいてアプリケーションを実行し、表示データを生成し、この表示データを表示制御部420で表示部410に表示させる(ステップST26)。
【0032】
図5は携帯電話の表示部の表示例を示す模式図である。この例では、表示部410には、電子マネーの使用履歴表示411と、広告表示412が表示される。尚、この例では、使用履歴表示411と広告表示412とを同一の画面に表示しているが、広告表示412を次画面に表示することができる。また、広告表示は静止画に限らず動画とすることができる他、携帯電話機能部470に配置されているスピーカ(図示していない)から音声を出力させるようにしてもよい。
【0033】
尚、この広告の表示は、上記経歴の表示時に限らず、残金表示の際、使用者の指定により随時行わせることができる。また、広告データ、及びアプリケーションは随時消去することができるものとする。
【0034】
尚、広告の内容は、関連商品の広告とすることはもちろん、次回決済時における関連商品の割引情報、及び、優待ポイント付与情報を含む優待情報とすることができる。このように優待情報とすると、携帯電話機400の非接触型ICカード480による電子マネーの使用時に広告データの取得ソフトウェアの実行を促進することができる。
【0035】
尚、上記例では、広告データ取得部440及びアプリケーション取得部450のデータ取得に際してはカード通信部483を使用する場合について説明したが、独自の通信部を備えるようにしてもよい。この場合には、POS端末100にも、広告データ及びアプリケーション通信用の通信部を配置する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】広告配信方法が適用されるPOSシステムを示すブロック図である。
【図2】POS端末の構成を非接触型ICカードリーダ/ライタ及び店舗サーバと共に示すブロック図である。
【図3】携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図4】広告配信方法におけるPOS端末と携帯電話機での処理を示すフローチャートである。
【図5】携帯電話機の表示部の表示例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0037】
100 POS端末、120 電子マネー決済処理部、130 広告データ格納部、140 アプリケーション格納部、150 広告決定部、160 データ送出部、200 非接触型ICカードリーダ/ライタ、400 携帯電話機、410 表示部(出力部)440 広告データ取得部、450 アプリケーション取得部、460 アプリケーション実行部、480 非接触型ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカードリーダ/ライタが接続され、この非接触型ICカードリーダ/ライタに近接配置された非接触型ICカードとなされたデータの授受に基づいて電子マネーによる商品の決済を行うPOS端末において、
前記非接触型ICカードを搭載する携帯電話機で広告を表示するのに必要な広告データを格納する広告データ格納部と、
前記携帯電話機で前記広告データに基づいて広告を出力するためのアプリケーションを格納するアプリケーション格納部と、
前記広告データ格納部に格納された広告データから前記携帯電話機に表示させる広告を選択する広告決定部と、
前記決定された広告データ及びアプリケーションを前記非接触カードリーダ/ライタに出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とするPOS端末。
【請求項2】
前記広告決定部は、決済された商品と関連する広告を選択することを特徴とする請求項1記載のPOS端末。
【請求項3】
音声及び画像のうち少なくとも一つを出力する出力部と、POS端末とのデータの授受により電子マネーによる商品の決済を行う非接触型ICカードとを備えた携帯電話機において、
POS端末から広告データを取得する広告データ取得部と、POS端末からアプリケーションを取得するアプリケーション取得部と、
前記アプリケーションを実行して前記広告データに基づいて前記出力部から出力されるべき出力データを生成するアプリケーション実行部と、
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記アプリケーション実行部は、電子マネーの残高表示及び履歴表示を含む所定の処理の際にアプリケーションを実行して前記出力部から広告を出力させることを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
店舗内に配置されたPOS端末の非接触型ICカードリーダ/ライタに非接触型ICカードを搭載した携帯電話機が近接配置され、電子マネーによる商品の決済が行われたとき、
前記POS端末から、前記非接触型ICカードに広告データとこの広告データを表示するためのアプリケーションとを送出し、
前記携帯電話機は、前記アプリケーションを実行することにより前記広告データに基づいて広告出力を行うことを特徴とする広告配信方法。
【請求項6】
前記携帯電話機は、アプリケーション取得部を動作させて前記POS端末からのアプリケーションを取得することを特徴とする請求項5記載の広告配信方法。
【請求項7】
前記POS端末は、前記携帯電話機が前記アプリケーション取得部を動作させて決済を行ったとき、携帯電話機に優待情報を送出し、携帯電話機はこの優待情報を取得して保持することを特徴とする請求項6記載の広告配信方法。
【請求項8】
前記優待情報は、次回決済時における関連商品の割引情報、及び、優待ポイント付与情報を含むものであることを特徴とする請求項7記載の広告配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−15662(P2009−15662A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177770(P2007−177770)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】