説明

PURフォーム用安定剤として有用なアルキルポリグリコシド

本発明は、ポリウレタン分散体と特定の添加剤を含有する組成物を発泡および乾燥させる、親水性化ポリウレタンフォーム、特に創傷管理用の親水性化ポリウレタンフォームの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン分散体と特定の添加剤を含有する組成物を発泡および乾燥させる、親水性化ポリウレタンフォーム、特に創傷管理用の親水性化ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
湿潤性の創傷を処置するためにフォーム製の創傷接触材料を使用することは、先行技術である。吸収性が高く機械的特性が良好であることから、ある種の触媒、また(フォーム)添加剤の存在下でのジイソシアネートおよびポリオールまたはNCO官能性ポリウレタンプレポリマーと水との混合物の反応によって製造されるポリウレタンフォームが、一般的に使用される。発泡性が最良であるため、芳香族ジイソシアネートが一般的に使用される。このような方法は、数多くの形態が知られており、例えば、US 3,978,266、US 3,975,567およびEP-A 0 059 048に記載されている。しかしながら、前記の方法は、例えば適切な保護手段が必要なため、取り扱いが技術的に不便で高価なジイソシアネートまたは対応するNCO官能性プレポリマーを含有する反応性の混合物の使用が必要とされるという不都合を有する。
【0003】
ジイソシアネートまたはNCO官能性ポリウレタンプレポリマーが用いられる上記の方法の代替法の一例は、適当な(フォーム)添加剤の存在下で激しく撹拌することによって内部に空気が取り込まれたポリウレタン分散体(これは、本質的にイソシアネート基を含まない)に基づく方法である。いわゆる機械的ポリウレタンフォームは、乾燥および硬化後に得られる。創傷接触材料と関連して、かかるフォームがEP-A 0 235 949およびEP-A 0 246 723に記載されており、該フォームは、自己接着性ポリマーが添加されたもの、または自己接着性ポリマーのフィルムに適用されたもののいずれかである。US 4,655,210には、裏張り、フォームおよび皮膚接触層で構成された特定の構造を有する創傷被覆材に前記の機械的フォームを使用することが記載されている。EP-A 0 235 949、EP-A 0 246 723およびUS 4,655,210に記載のように、フォームは、常に、本質的にステアリン酸アンモニウムを含有する添加剤混合物を用いて、ポリウレタン分散体から製造されていた。このことは、ステアリン酸アンモニウムによって、明白なフォームの疎水性化がもたらされ、それにより液体の取込み速度が相当低下するため、非常に不都合なことである。このことは、特に、創傷接触フォームには許容され得ない。また、ステアリン酸アンモニウムは熱分解性であり、形成されるアンモニアを除去しなければならず、技術的に不便である。他方において、ステアリン酸アンモニウムは、単純に他のステアリン酸塩または完全に異なる(フォーム)添加剤で置き換えることはできない。というのは、特に、非常に微細な細孔を特徴とする比較的良好なフォーム構造体が得られないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,978,266号明細書
【特許文献2】米国特許第3,975,567号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 059 048号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 235 949号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0 246 723号明細書
【特許文献6】米国特許第4,655,210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、水性ポリウレタン分散体との組合わせで発泡させることができ、乾燥後、非常に厚みがある場合であっても均質であり、ステアリン酸アンモニウムで安定化されたフォームと比べて改善された親水性を有し、それに伴って、迅速かつ良好な水分取込み、また水蒸気透過性も有し、さらに、ほぼ実質的に(熱)分解性の成分(アミンなど)を含まない、微細孔を有するフォームが得られる適当な(フォーム)添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、アルキルポリグリコシドを(フォーム)添加剤として使用することにより達成されることが、ここに見出された。
【0007】
したがって、本発明は、ポリウレタンフォーム用安定剤としてのアルキルポリグリコシドの使用を提供する。好ましくは、本発明による該使用により、フォームのさらなる親水性化ならびに安定化がもたらされる。好ましくは、前記のポリウレタンフォームは、水性ポリウレタン分散体から物理乾燥によって得られる種類のものである。
【0008】
本発明は、さらに、アニオン的に親水性化された水性ポリウレタン分散体(I)および添加剤(II)を含有し、該フォーム添加剤(II)は少なくともアルキルポリグリコシドを含んでなる組成物を発泡および乾燥させるポリウレタンフォームの製造方法を提供し、該組成物も、同様に本発明の主題の一部を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に不可欠な該組成物に含まれるアニオン的に親水性化された水性ポリウレタン分散体(I)は、
1) A1) 有機ポリイソシアネート
A2) 400〜8000g/モルの範囲内の数平均分子量および1.5〜6の範囲内のOH官能価を有するポリマーポリオール、および
A3) 任意に、62〜399g/モルの範囲内の分子量を有するヒドロキシル官能性化合物、および
A4) 任意に、イソシアネート反応性であって、アニオン性または潜在アニオン性および/または任意に非イオン性の親水性化剤
からイソシアネート官能性プレポリマーを製造し、ならびに
2) その後、その遊離NCO基を全体的または部分的に
B1) 任意に、32〜400g/モルの範囲内の分子量を有するアミノ官能性化合物、および
B2) イソシアネート反応性であって、好ましくはアミノ官能性、アニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤
と鎖延長によって反応させ、およびステップB)前、ステップB)中またはステップB)後にプレポリマーを水中へ分散させ、中和剤との部分反応または完全反応によって任意の存在する潜在イオン基をイオン型に変換することによって得ることができる。
【0010】
重要なのは、成分A1)〜A4)の化合物が、第1級または第2級アミノ基をもたないことである。
【0011】
アニオン的親水性化を達成するためには、A4)および/またはB2)に、少なくとも1つのNCO反応性基(アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基など)を有し、かつさらに、アニオン性基として-COO-もしくは-SO3-もしくは-PO32-、またはその全体的または部分的にプロトン化された酸形態を潜在アニオン性基として有する親水性化剤を用いるのがよい。
【0012】
好ましいアニオン性の水性ポリウレタン分散体(I)は、低度の、好ましくは0.1〜15ミリ当量/100g樹脂固形分の親水性のアニオン性基を有してなる。
【0013】
良好な沈降安定性を得るためには、具体的なポリウレタン分散体の数平均粒径は、好ましくは、レーザー相関分光法で測定した場合で、750nm未満、より好ましくは550nm未満である。
【0014】
成分A2)〜A4)の化合物のNCO反応性基(アミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基など)に対する成分A1)の化合物のNCO基の比は、1.05〜3.5の範囲内、好ましくは1.2〜3.0の範囲内、より好ましくは1.3〜2.5の範囲内であり、NCO官能性プレポリマーが調製される。
【0015】
段階B)のアミノ官能性化合物は、プレポリマーの遊離イソシアネート基に対する該化合物のイソシアネート反応性のアミノ基の当量比が、40〜150%、好ましくは50〜125%、より好ましくは60〜120%の範囲内となるような量で使用される。
【0016】
成分A1)として好適なポリイソシアネートとしては、NCO官能価が≧2のよく知られた芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式のポリイソシアネートが挙げられる。
【0017】
かかる適当なポリイソシアネートの例は、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体のビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の所望の異性体含有量でのその混合物、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,2'-および/または2,4'-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-および/または1,4-ビス(2-イソシアナトプロプ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、また、C1〜C8アルキル基を有するアルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート(リシンジイソシアネート)、および4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)ならびにトリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートである。
【0018】
前記のポリイソシアネートの他に、比例的に、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造体の変性ジイソシアネートまたはトリイソシアネートを使用することも可能である。
【0019】
好ましくは、前記の種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物は、排他的に、脂肪族基および/または脂環式基が結合したイソシアネート基を有し、該混合物として2〜4の範囲内、好ましくは2〜2.6の範囲内、より好ましくは2〜2.4の範囲内の平均NCO官能価を有する。
【0020】
A1)には、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体のビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、また、その混合物を用いることが特に好ましい。
【0021】
A2)には、好ましくは400〜6000g/モルの範囲内、より好ましくは600〜3000g/モルの数平均分子量Mnを有するポリマーポリオールが用いられる。これは、好ましくは、1.8〜3の範囲内、より好ましくは1.9〜2.1の範囲内のOH官能価を有する。
【0022】
かかるポリマーポリオールは、よく知られたポリウレタンコーティング技術のポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリカーボネートポリオールである。これらはA2)において、個々に、または互いに任意の所望の混合物で使用され得る。
【0023】
かかるポリエステルポリオールは、ジオール、また任意にトリオールおよびテトラオールならびにジカルボン酸、また任意に、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸またはラクトンから形成されるよく知られた重縮合物である。遊離多価カルボン酸の代わりに、低級アルコールの対応する多価カルボン酸無水物または対応する多価カルボン酸エステルを使用してポリエステルを調製することも可能である。
【0024】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)、また、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール(1,3)、ブタンジオール(1,4)、ヘキサンジオール(1,6)および異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートであり、このうち、ヘキサンジオール(1,6)および異性体、ネオペンチルグリコールならびにネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートが好ましい。これらに加えて、ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどを使用することも可能である。
【0025】
有用なジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸および/または2,2-ジメチルコハク酸が挙げられる。また、対応する無水物を酸の供給源として使用してもよい。
【0026】
エステル化されるポリオールの平均官能価が2より大きい場合、モノカルボン酸、例えば、安息香酸およびヘキサンカルボン酸などが、さらに同様に使用され得る。
【0027】
好ましい酸は、前記の種類の脂肪族または芳香族の酸である。アジピン酸、イソフタル酸および任意に、トリメリット酸が特に好ましい。
【0028】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールの調製における反応関与体として有用なヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。好適なラクトンとしては、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体が挙げられる。カプロラクトンが好ましい。
【0029】
A2)には、同様に、400〜8000g/モルの範囲内、好ましくは600〜3000g/モルの範囲内の数平均分子量Mnを有するヒドロキシル含有ポリカーボネート、好ましくはポリカーボネートジオールが使用され得る。これは、炭酸誘導体(ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなど)とポリオール、好ましくはジオールとの反応によって得ることができる。
【0030】
かかるジオールの例は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールAおよび前記の種類のラクトン変性ジオールである。
【0031】
ポリカーボネートジオールは、好ましくは、40%〜100wt%のヘキサンジオール(好ましいものとして、1,6-ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体が示される)を含有する。かかるヘキサンジオール誘導体は、ヘキサンジオールを主成分とし、エステル基またはエーテル基ならびに末端OH基を有する。かかる誘導体は、ヘキサンジオールと過剰のカプロラクトンとの反応によって、またはヘキサンジオール同士のエーテル化によるジヘキシレングリコールもしくはトリヘキシレングリコールの形成によって得ることができる。
【0032】
純粋なポリカーボネートジオールの代わりまたはこれに加えて、ポリエーテル-ポリカーボネートジオールをA2)に使用してもよい。
【0033】
ヒドロキシル含有ポリカーボネートは、好ましくは線状構造を有する。
【0034】
A2)には、同様に、ポリエーテルポリオールが使用され得る。有用なポリエーテルポリオールとしては、例えば、よく知られたポリウレタン化学反応のポリテトラメチレングリコールポリエーテルが挙げられ、これは、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合によって得ることができる。
【0035】
同様に有用なポリエーテルポリオールとしては、二官能性または多官能性出発分子上へのスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンのよく知られた付加生成物が挙げられる。
【0036】
有用な出発分子としては、あらゆる先行技術化合物、例えば、水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ソルビトール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,4-ブタンジオールが挙げられる。好ましい出発分子は、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコールおよびブチルジグリコールである。
【0037】
ポリウレタン分散体(I)の特に好ましい実施形態は、成分A2)として、ポリカーボネートポリオールとポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物を含んでなり、この混合物中のポリカーボネートポリオールの割合は20%〜80wt%の範囲内であり、この混合物中のポリテトラメチレングリコールポリオールの割合は80%〜20wt%の範囲内である。好ましいものとして、ポリテトラメチレングリコールポリオールは30%〜75wt%の割合、およびポリカーボネートポリオールは25%〜70wt%の割合が示される。特に好ましいものとして、ポリテトラメチレングリコールポリオールは35%〜70wt%の割合、およびポリカーボネートポリオールは30%〜65wt%の割合が示される。ただし、各々の場合、ポリカーボネートとポリテトラメチレングリコールポリオールの重量%の合計は100%であり、ポリカーボネートとポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの合計が寄与する成分A2)の割合は少なくとも50wt%、好ましくは60wt%、より好ましくは少なくとも70wt%であるものとする。
【0038】
A3)には、炭素数が20までの特定の分子量範囲のポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水添ビスフェノールA、(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、また、任意の所望のその互いの混合物が使用され得る。
【0039】
また、特定の分子量範囲のエステルジオール、例えば、α-ヒドロキシブチル-ε-ヒドロキシカプロン酸エステル、ω-ヒドロキシヘキシル-γ-ヒドロキシ酪酸エステル、β-ヒドロキシエチルアジペートまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートなども好適である。
【0040】
さらに、A3)には、単官能性ヒドロキシル含有化合物が使用され得る。かかる単官能性化合物の例は、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2-エチルヘキサノール、1-オクタノール、1-ドデカノール、1-ヘキサデカノールである。
【0041】
成分A3)のための好ましい化合物は、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンである。
【0042】
成分A4)のためのアニオン的または潜在アニオン的に親水性化される化合物は、少なくとも1つのイソシアネート反応性基(ヒドロキシル基など)、また、少なくとも1つの官能基(例えば、-COO-M+、-SO3-M+、-PO(O-M+2である(式中、M+は、例えば、金属カチオン、H+、NH4+、NHR3+である(式中Rは、各存在において、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキルおよび/またはC2〜C4ヒドロキシアルキルであり得る)))を有する任意の化合物であり、ここで、官能基は、水性媒体と相互作用するとpH依存的解離平衡状態になり、それにより負または中性電荷を有することができるものである。有用なアニオン的または潜在アニオン的に親水性化される化合物としては、モノヒドロキシカルボン酸およびジヒドロキシカルボン酸、モノヒドロキシスルホン酸およびジヒドロキシスルホン酸、また、モノヒドロキシホスホン酸およびジヒドロキシホスホン酸ならびにその塩が挙げられる。かかるアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤の例は、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸および2-ブテンジオールとNaHSO3から形成されるプロポキシル化付加物(DE-A 2 446 440、第5〜9頁、式I〜IIIに記載のもの)である。成分A4)のための好ましいアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤は、カルボン酸基もしくはカルボキシル基および/またはスルホン酸基を有する前記の種類のものである。
【0043】
成分A4)の特に好ましいアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤は、イオン基または潜在イオン基としてカルボン酸基またはカルボキシル基を含有するもの、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸およびヒドロキシピバリン酸ならびにその塩などである。
【0044】
成分A4)のための有用な非イオン的に親水性化される化合物としては、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するポリオキシアルキレンエーテルが挙げられる。
【0045】
例は、1分子あたり平均で5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有し、慣用的な様式にて適当な出発分子のアルコキシル化によって得ることができるモノヒドロキシル官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie,第4版、第19巻、Verlag Chemie,Weinheim 第31〜38頁)。
【0046】
これらは、存在する全アルキレンオキシド単位に対して少なくとも30mol%、好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位を含有する純粋なポリエチレンオキシドエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドエーテルのいずれかである。
【0047】
特に好ましい非イオン性の化合物は、40〜100mol%のエチレンオキシド単位および0〜60mol%のプロピレンオキシド単位を有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0048】
かかる非イオン性の親水性化剤に有用な出発分子としては、飽和モノアルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体のメチルシクロヘキサノールなど)またはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンもしくはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール(アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイン酸アルコールなど)、芳香族アルコール(フェノール、異性体クレゾールもしくはメトキシフェノールなど)、芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール、アニスアルコールもしくはシンナミルアルコールなど)、第2級モノアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミンもしくはジシクロヘキシルアミンなど)、また、複素環式第2級アミン(モルホリン、ピロリジン、ピペリジンもしくは1Hピラゾールなど)が挙げられる。好ましい出発分子は、前記の種類の飽和モノアルコールである。特に好ましいものとして、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn-ブタノールを出発分子として使用したものが示される。
【0049】
アルコキシル化反応に有用なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において任意の所望の順で、あるいは混合状態で使用され得る。
【0050】
成分B1)には、ジ-またはポリアミン、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノノナン、1,3-キシリレンジアミン、1,4-キシリレンジアミン、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジアミンならびに4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび/またはジメチルエチレンジアミンなどが使用され得る。また、ヒドラジンおよびヒドラジド(アジポヒドラジドなど)を使用することも可能であるが、あまり好ましくない。
【0051】
さらに、成分B1)には、第1級アミノ基に加えて第2級アミノ基も有する化合物、またはアミノ基(第1級もしくは第2級)に加えてOH基も有する化合物を使用することができる。その例は、第1級/第2級アミン、例えば、ジエタノールアミン、3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、3-アミノ-1-エチルアミノプロパン、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノブタン、アルカノールアミン(N-アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3-アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンなど)などである。
【0052】
さらに、成分B1)には、イソシアネート反応性の単官能性アミン化合物、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、またはその適当な置換誘導体、ジプライマリーアミンとモノカルボン酸から形成されるアミド-アミン、ジプライマリーアミンのモノケチミン(ketime)、第1級/第3級アミン(N,N-ジメチルアミノプロピルアミンなど)を使用することができる。
【0053】
成分B1)のための好ましい化合物は、1,2-エチレンジアミン、1,4-ジアミノブタンおよびイソホロンジアミンである。
【0054】
成分B2)のためのアニオン的または潜在アニオン的に親水性化される化合物は、少なくとも1つのイソシアネート反応性基、好ましくはアミノ基、また、少なくとも1つの官能基(例えば、-COO-M+、-SO3-M+、-PO(O-M+2である(式中、M+は、例えば、金属カチオン、H+、NH4+、NHR3+である(式中Rは、各存在において、C1〜C12アルキル、C5〜C6シクロアルキルおよび/またはC2〜C4ヒドロキシアルキルであり得る)))を有する任意の化合物であり、ここで、官能基は、水性媒体と相互作用するとpH依存的解離平衡状態になり、それにより負または中性電荷を有することができるものである。
【0055】
有用なアニオン的または潜在アニオン的に親水性化される化合物は、モノアミノカルボン酸およびジアミノカルボン酸、モノアミノスルホン酸およびジアミノスルホン酸、また、モノアミノホスホン酸およびジアミノホスホン酸ならびにその塩である。かかるアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤の例は、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸、エチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5-ジアミノ安息香酸およびIPDAとアクリル酸の付加生成物(EP-A 0 916 647、実施例1)である。さらに、WO-A 01/88006のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)をアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤として使用することが可能である。
【0056】
成分B2)のための好ましいアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤は、カルボン酸基もしくはカルボキシル基および/またはスルホン酸基を有する前記の種類のもの、例えば、N-(2-アミノエチル)-β-アラニンの塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩、またはIPDAとアクリル酸の付加生成物(EP-A 0 916 647、実施例1)の塩などである。
【0057】
アニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤と非イオン性の親水性化剤の混合物を使用してもよい。
【0058】
特定のポリウレタン分散体を製造するための好ましい実施形態では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)が下記の量で使用され、個々の量を合計すると常に100wt%である。
成分A1)が5%〜40wt%、
A2)が55%〜90wt%、
成分A3)とB1)の合計が0.5%〜20wt%
成分A4)とB2)の合計が0.1%〜25wt%で、A4)および/またはB2)のアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤が、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の総量に対して0.1%〜5wt%使用される。
【0059】
特定のポリウレタン分散体を製造するための特に好ましい実施形態では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)が下記の量で使用され、個々の量を合計すると常に100wt%である。
成分A1)が5%〜35wt%、
A2)が60%〜90wt%、
成分A3)とB1)の合計が0.5%〜15wt%
成分A4)とB2)の合計が0.1%〜15wt%で、A4)および/またはB2)のアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤が成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の総量に対して0.2%〜4wt%使用される。
【0060】
特定のポリウレタン分散体を製造するための非常に特に好ましい実施形態では、成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)が下記の量で使用され、個々の量を合計すると常に100wt%である。
成分A1)が10%〜30wt%、
A2)が65%〜85wt%、
成分A3)とB1)の合計が0.5%〜14wt%
A4)とB2)の合計が0.1%〜13.5wt%で、A4)および/またはB2)のアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤が成分A1)〜A4)およびB1)〜B2)の総量に対して0.5%〜3.0wt%使用される。
【0061】
アニオン的に親水性化されたポリウレタン分散体(I)の製造は、均質相内で1つ以上の段階で、または多段階反応の場合は、一部分散相内で行なわれ得る。A1)〜A4)の全体的または部分的に行なわれる重付加後、分散、乳化または溶解ステップが行なわれる。この後、適宜、さらなる重付加または変性が、分散または溶解(均質)相内で行なわれる。
【0062】
任意の先行技術の方法が使用され得、例えは、プレポリマー混合法、アセトン法または溶融分散法である。アセトン法が好ましい。
【0063】
アセトン法による製造は、典型的には、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを製造するための初期投入物として全体的にまたは部分的に導入され、任意に、水混和性だがイソシアネート不活性の溶媒で希釈され、50〜120℃の範囲内の温度に加熱される構成成分A2)〜A4)およびポリイソシアネート成分A1)を伴う。イソシアネート付加反応は、ポリウレタン化学反応において知られた触媒を用いて加速され得る。
【0064】
有用な溶媒としては、通常の脂肪族、ケト官能性溶媒、例えば、アセトン、2-ブタノンなどが挙げられ、これは、製造方法の開始時だけでなく、後でも、任意に分割して添加され得る。アセトンおよび2-ブタノンが好ましい。
【0065】
他の溶媒、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなどや、エーテルまたはエステル単位を有する溶媒がさらに使用され得るか、または全体的もしくは部分的に留去され得るか、またはN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンの場合は全体的に分散体中に残留し得る。しかしながら、通常の脂肪族、ケト官能性溶媒以外の他の溶媒は使用しないことが好ましい。
【0066】
続いて、反応の開始時に添加しなかったA1)〜A4)いずれかの構成成分を添加する。
【0067】
A1)〜A4)からのポリウレタンプレポリマーの製造では、イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基物質量の比は、1.05〜3.5の範囲内、好ましくは1.2〜3.0の範囲内、より好ましくは1.3〜2.5の範囲内である。
【0068】
成分A1)〜A4)の反応によるプレポリマーの形成は、部分的にまたは全体的に、好ましくは全体的に行なわれる。遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、このようにして溶媒なしまたは溶液状態で得られる。
【0069】
アニオン性基への潜在アニオン性基の部分的または全体的な変換を行なうための中和ステップには、塩基(第3級アミン、例えば、アルキルラジカルごとに1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜3個の炭素原子を有するトリアルキルアミンなど)またはアルカリ金属塩基(対応する水酸化物など)が使用される。
【0070】
その例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン、N-メチルモルホリン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンである。また、該アルキルラジカルは、ジアルキルモノアルカノール-、アルキルジアルカノール-およびトリアルカノールアミンの場合のように、例えば、ヒドロキシル基を含有するものであってもよい。さらに、有用な中和剤には、適宜、無機塩基、例えば、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどが包含される。
【0071】
好ましいものとして、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミン、また、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが示され、特に好ましいものとして、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが示される。
【0072】
塩基は、中和する酸基の50〜125mol%の物質量、好ましくは70〜100mol%の物質量で使用される。また、中和は、中和剤を分散体の水中に含めることにより、分散ステップと同時に行なってもよい。
【0073】
続いて、さらなる方法ステップにおいて、これが未だ行なわれていないか、ある程度しか行なわれていない場合は、得られたプレポリマーを脂肪族ケトン(アセトンまたは2-ブタノンなど)の補助により溶解させる。
【0074】
段階B)の鎖延長では、NH2-および/またはNH官能性成分を、依然として残存しているプレポリマーのイソシアネート基と部分的にまたは全体的に反応させる。好ましくは、水中への分散前に、鎖延長/連鎖停止を行なう。
【0075】
連鎖停止は、典型的には、イソシアネート反応性基を有するアミンB1)、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジンまたはその適当な置換誘導体、ジプライマリーアミンとモノカルボン酸から形成されるアミド-アミン、ジプライマリーアミンのモノケチミン、第1級/第3級アミン(N,N-ジメチルアミノプロピルアミンなど)など用いて行なわれる。
【0076】
部分的または全体的な鎖延長が、NH2またはNH基を有するB2)の規定を満たすアニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤を用いて行なわれる場合、好ましくは、分散前にプレポリマーの鎖延長を行なう。
【0077】
アミン系成分B1)およびB2)は、任意に、本発明の方法において水希釈形態または溶媒希釈形態で、個々にまたは混合物で、原理的に可能な任意の添加順で使用され得る。
【0078】
水または有機溶媒が希釈剤として使用される場合、B)に使用される鎖延長成分の希釈剤の含有量は、好ましくは70%〜95wt%の範囲内である。
【0079】
分散は、好ましくは、鎖延長後に行なわれる。分散には、溶解させた鎖延長ポリウレタンポリマーを分散用水中に、適宜、相当な剪断(例えば、激しく撹拌することなど)によって導入するか、または逆に分散用水を鎖延長されたポリウレタンポリマー溶液中で撹拌するかのいずれかとする。溶解させた鎖延長ポリウレタンポリマーに水を添加することが好ましい。
【0080】
次いで、分散ステップ後に分散体中に依然として存在する溶媒は、典型的には、蒸留によって除去される。分散ステップ中での除去も同様に可能である。
【0081】
ポリウレタン分散体(I)中の有機溶媒の残留レベルは、典型的には、分散体全体に対して1.0wt%未満、好ましくは0.5wt%未満である。
【0082】
本発明に不可欠なポリウレタン分散体(I)のpHは、典型的には、9.0未満、好ましくは8.5未満、より好ましくは8.0未満であり、最も好ましくは6.0〜7.5の範囲内である。
【0083】
ポリウレタン分散体(I)の固形分含量は、40%〜70%の範囲内、好ましくは50%〜65%の範囲内、より好ましくは55%〜65wt%の範囲内である。
【0084】
フォーム添加剤(II)中に存在するアルキルポリグリコシドは、慣用的な様式で、比較的長鎖のモノアルコールと単糖、二糖または多糖との反応によって得ることができる(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons、第24巻、第29頁)。比較的長鎖のモノアルコール(これは、分枝状であってもよい)は、適宜、アルキルラジカル内に好ましくは、4〜22個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは10〜12個の炭素原子を有する。比較的長鎖のモノアルコールの具体例は、1-ブタノール、1-プロパノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール(ラウリルアルコール)、1-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)および1-オクタデカノール(ステアリルアルコール)である。上記の比較的長鎖のモノアルコールの混合物を使用してもよいことは認識されよう。
【0085】
これらのアルキルポリグリコシドは、好ましくは、グルコース由来の構造を有する。
【0086】
特に好ましくは、式(I)のアルキルポリグリコシドの使用が示される。
【化1】

【0087】
mは好ましくは、6〜20、より好ましくは10〜16である。
【0088】
アルキルポリグリコシドは、好ましくは、20未満、より好ましくは16未満、最も好ましくは14未満のHLB値を有し、HLB値は、式 HLB=20×Mh/M(式中、Mhは分子の親水性部分のモル質量であり、Mは分子全体のモル質量である)を用いてコンピュータで計算される(Griffin,W.C.:Classification of surface active agents by HLB,J. Soc. Cosmet. Chem. 1,1949)。
【0089】
アルキルポリグリコシドの他に、成分(II)に、フォーム形成、フォーム安定性または得られるポリウレタンフォームの特性を改善するためのさらなる添加剤を含めてもよい。
【0090】
かかるさらなる添加剤としては、原理的には、任意のアニオン系、非イオン系またはカチオン系のそれ自体既知の界面活性剤が挙げられ得る。しかしながら、エステル基の親油性アルキル部分が好ましくは8〜24個の炭素原子を含有するスルホコハク酸のエステル、および/または親油性アルキル部分が好ましくは12〜24個の炭素原子を含有するアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルカノアートを、アルキルポリグリコシドとともに使用することが好ましい。さらなる添加剤は、スルホコハク酸のエステルだけでなく、前記の種類のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属アルカノアートも含めて使用されることが特に好ましい。
【0091】
さらに、アルキルポリグリコシドの親水性化効果が保持されているため、アルカン酸アンモニウム(ステアリン酸アンモニウムなど)でさえ、さらなる添加剤として添加され得る。さらなる添加剤は、好ましくは、アルキルポリグリコシドよりも少ない量で使用される。
【0092】
ポリウレタン分散体(I)およびフォーム添加剤(II)の他に、助剤および添加剤物質(III)を使用してもよい。
【0093】
かかる助剤および添加剤物質(III)の例は、架橋剤、増粘剤またはチキソトロピー付与剤、他の水性結合剤、抗酸化剤、光安定剤、乳化剤、可塑剤、顔料、充填剤および/または流動制御剤である。
【0094】
有用な架橋剤としては、例えば、非ブロックポリイソシアネート、アミド-およびアミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール系樹脂、アルデヒド系およびケトン系樹脂が挙げられ、例は、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾール、フラン樹脂、尿素樹脂、カルバミン酸エステル樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シアンアミド樹脂またはアニリン樹脂である。
【0095】
市販の増粘剤、例えば、デキストリン誘導体、デンプン誘導体またはセルロース誘導体などが使用され得、例えは、セルロースエーテルまたはヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル系化合物またはポリウレタンを主成分とする有機系の完全合成増粘剤(関連増粘剤)、また、無機増粘剤(ベントナイトまたはケイ酸塩など)である。
【0096】
他の水性結合剤は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエポキシまたは他のポリウレタンポリマーで構成されたものであり得る。同様に、例えば、EP-A-0 753 531に記載のような放射線硬化性結合剤との組合せも可能である。さらに、他のアニオン系または非イオン系の分散体、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートおよびコポリマー分散体などを使用することが可能である。
【0097】
本発明に不可欠な組成物は、典型的には、乾燥物質基準で、80〜99.9重量部のポリウレタン(ポリウレタン分散体(I)由来)および0.1〜20重量部のフォーム添加剤(II)を含んでなる。好ましくは、該組成物は、乾燥物質基準で、85〜99.5重量部のポリウレタンおよび0.5〜15重量部のフォーム添加剤(II)、より好ましくは、90〜99重量部のポリウレタンおよび1〜10重量部のフォーム添加剤(II)、最も好ましくは、97.5〜99重量部のポリウレタンおよび1〜2.5重量部のフォーム添加剤(II)を含んでなる。
【0098】
助剤および添加剤物質(III)として添加されるさらなる添加剤は、典型的には、本発明の組成物に対して0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部の量で使用される。
【0099】
ポリウレタン分散体へのフォーム添加剤(II)および任意のさらなる添加剤の添加は、任意の所望の順で行なうことができる。前述の添加剤は、適宜、溶媒中(水中など)の溶液または分散体として使用され得る。
【0100】
原理的には、凝固剤を助剤および添加剤物質の一部として添加することにより、フォームの凝集体をもたらすことも可能である。有用な凝固剤には、原理的には、数多くのあらゆるカチオン官能性化合物が包含される。
【0101】
本発明の方法における発泡は、組成物を振ることもしくは機械的撹拌を行なうことにより、またはブローガスを減圧することによりなされ得る。
【0102】
機械的発泡は、任意の所望の機械的撹拌、混合および分散手法を用いて、発泡に必要なエネルギーを導入することにより行なわれ得る。この目的のためには、一般的には空気が導入されるが、窒素および他のガスを使用してもよい。
【0103】
このようにして得られるフォームを発泡過程で、またはその後に基材に適用するか、または鋳型内に導入し、乾燥させる。
【0104】
基材への適用は、例えば、注入またはブレードコーティングによるものであり得るが、他の慣用的な手法も可能である。また、乾燥ステップを介在させる多層適用も原理的には可能である。
【0105】
フォームのための満足する乾燥速度は、20℃程度の低い温度で観察される。しかしながら、フォームのより迅速な乾燥および固化のためには、30℃より上の温度が好ましく使用される。しかしながら、乾燥温度は、200℃を超えないのがよい。というのは、そうでない場合は、特に、フォームの望ましくない黄色い着色が起こり得るからである。また、2段階以上の乾燥も可能である。
【0106】
乾燥は、一般的には、慣用的な加熱乾燥装置、例えば(循環空気)乾燥キャビネット、高温空気またはIR放熱器を用いて行なわれる。また、コートされた基材を加熱表面(例えば、ローラー)上に誘導することによる乾燥も可能である。
【0107】
適用および乾燥は、各々、バッチ式または連続的に行なわれ得るが、全体として連続的な方法が好ましい。
【0108】
有用な基材としては、特に、例えば損傷部位を覆うための創傷接触材料としての使用の前に、フォームの簡単な脱離を助長する紙またはフィルムが挙げられる。
【0109】
乾燥前では、ポリウレタンフォームのフォーム密度は、典型的には、50〜800g/リットルの範囲内、好ましくは100〜500g/リットルの範囲内、より好ましくは100〜250g/リットルの範囲内である(1リットルのフォーム容積に対する全投入物質の質量[単位g])。
【0110】
乾燥後では、ポリウレタンフォームは、少なくとも一部が開放気泡(相互連通気泡を含むもの)であるマイクロポーラス構造を有する。乾燥フォームの密度は、典型的には、0.4g/cm3未満、好ましくは0.35g/cm3未満であり、最も好ましくは0.1〜0.3g/cm3の範囲内である。
【0111】
特定の添加剤(II)の使用により、非常に迅速な液体(特に、生理食塩水)の取込みがもたらされる。一般に、1mlの試験溶液A(DIN EN 13726-1のパート3.2に従って調製)は、25秒未満、好ましくは10秒未満、最も好ましくは3秒未満で完全に取り込まれる。
【0112】
DIN EN 13726-1パート3.2の生理食塩水吸収性は、典型的には、ポリウレタンフォームで100〜1500%、好ましくは300〜800%の範囲内である(乾燥フォームの質量に対する取り込まれた液体の質量)。DIN EN 13726-2パート3.2の水蒸気透過速度は、典型的には2000〜8000g/24時間*m2の範囲内、好ましくは3000〜8000g/24時間*m2の範囲内である。
【0113】
該ポリウレタンフォームは、良好な機械的強度および高弾性を示す。典型的には、最大応力は0.2 N/mm2より大きく、最大伸張は250%より大きい。好ましくは、最大応力は0.4N/mm2より大きく、最大伸張は350%より大きい(DIN 53504に従って測定)。
【0114】
乾燥後では、ポリウレタンフォームの厚さは、典型的には、0.1mm〜50mmの範囲内、好ましくは0.5mm〜20mmの範囲内、より好ましくは1〜10mmの範囲内、最も好ましくは1〜5mmの範囲内である。
【0115】
さらに、ポリウレタンフォームを、さらなる材料、例えば、ヒドロゲル、(半)透過性フィルム、コーティング、親水性コロイドまたは他のフォームを主成分とする材料に、または該材料で接着、積層またはコーディングさせてもよい。
【0116】
さらに、ポリウレタンフォームは、例えば創傷治癒に対して効果を有する活性化合物が添加されたものであり得る。
【0117】
その好都合な特性により、本発明のポリウレタンフォームは、好ましくは、創傷接触材料として、または化粧目的で使用される。本発明の意味におけるポリウレタンフォームを備えた創傷接触材料は、好ましくは少なくともある程度の開放気泡含量を有し、本質的にポリウレタンからなり、滅菌被覆を提供するという意味において病原菌および環境的影響から創傷を保護し、迅速かつ高度な生理食塩水または創傷液の吸収性を示し、適当な湿分透過性によって適当な創傷環境を確保し、充分な機械的強度を有する多孔質材料である。
【0118】
したがって、本発明は、さらに、本発明の方法によって得ることができるポリウレタンフォームを提供し、また、創傷接触材料としてのその使用、また、化粧料分野におけるその使用を提供する。好ましくは、創傷接触材料としての使用が示される。
【実施例】
【0119】
特に記載のない限り、すべてのパーセントは重量基準である。
【0120】
固形分含量は、DIN-EN ISO 3251に従って測定した。
【0121】
NCO含有量は、特に明白に記載していない限り、DIN-EN ISO 11909に従って容積測定により測定した。
【0122】
使用した物質および略語:
ジアミノスルホネート:NH2-CH2CH2-NH-CH2CH2-SO3Na(水中45%)
Desmophen(登録商標)C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/モル(Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,Germany)
PolyTHF(登録商標)2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/モル(BASF AG,Ludwigshafen,Germany)
PolyTHF(登録商標)1000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112mgKOH/g、数平均分子量1000g/モル(BASF AG,Ludwigshafen,Germany)
LB25ポリエーテル:エチレンオキシド/プロピレンオキシドを主成分とする単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/モル、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,Germany)
Impranil(登録商標)DLU 脂肪族ポリカーボネート−ポリエーテル−ポリウレタン分散体、固形分含量60%、pH8.0(Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,Germany)
【0123】
ポリウレタン分散体1の平均粒径(数平均を報告)の測定は、レーザー相関分光法(装置はMalvern Zetasizer 1000、Malver Inst. Limited)を用いて行なった。
【0124】
自由膨潤吸収能は、DIN EN 13726-1パート3.2に従って生理食塩水の吸収によって測定した。水蒸気透過速度(MVTR)は、DIN EN 13726-2パート3.2に従って測定した。
【0125】
フォーム添加剤について報告した量は水溶液基準である。
【0126】
実施例1:ポリウレタン分散体1の調製
1077.2gのPolyTHF(登録商標)2000、409.7gのPolyTHF(登録商標)1000、830.9gのDesmophen(登録商標)C2200および48.3gのLB25ポリエーテルを、標準的な撹拌装置内で70℃まで加熱した。次いで、258.7gのヘキサメチレンジイソシアネートと341.9gのイソホロンジイソシアネートの混合物を、5分間かけて70℃で添加し、得られた混合物を、理論NCO価に達するまで、または実際のNCO価が理論NCO価よりやや下に低下するまで120℃で撹拌した。最終プレポリマーを4840gのアセトンで溶解させ、そのプロセス中50℃まで冷却し、続いて、27.4gのエチレンジアミン、127.1gのイソホロンジアミン、67.3gのジアミノスルホネートおよび1200gの水の溶液と、10分かけて定量しながら混合した。続いて、混合物を10分間撹拌した。次いで、654gの水の添加によって分散体を形成した。この後、減圧蒸留によって溶媒の除去を行なった。
【0127】
得られたポリウレタン分散体は下記の特性値を有した。
固形分含量: 61.6%
粒径(LCS): 528nm
pH(23℃): 7.5
【0128】
比較例V1〜V10:ポリウレタン分散体1およびImpranil(登録商標)DLUからのフォームの製造
表1に示すように、実施例1に従って調製したポリウレタン分散体1、またはImpranil(登録商標)DLUを種々の(フォーム)添加剤と混合し、市販の手動撹拌器(湾曲ワイヤ製撹拌器)によって0.5または1リットルのフォーム容積まで発泡させた。その後、フォームを6mm間隔の高さでブレードコーターによって非粘着紙上に引き下ろし、記載の条件下で乾燥させた。
【0129】
ステアリン酸アンモニウムを含有する添加剤の組合せの場合でのみ、比較例V1、V2、V3およびV10は、さらなる試験に適したフォームを得ることが可能であった。しかしながら、表2に示すように、これらのフォームは過度の疎水性化を示し、従って、生理食塩水の吸水膨潤速度が非常に低かった(すべて、>60秒または>20秒)。水蒸気透過速度(MVTR)は比較的低い。その他の添加剤(比較例V4〜V8)では、いずれも、フォームは全く得なかった(添加剤の一部に対して不充分なフォーム形成力)。
【0130】
【表1】

【0131】
1) フォーム容積1000ml;2) フォーム容積 500ml;3) A:ステアリン酸アンモニウム(約30%、Stokal(登録商標)STA、Bozzetto GmbH,Krefeld,DE);B:スルホスクシナメート(約34%、Stokal(登録商標)SR、Bozzetto GmbH,Krefeld,DE);C:ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウム塩;D:アルキルアリールポリグリコールエーテルスルホネート、Na塩(Disponil(登録商標)AES 25、Cognis Deutschland GmbH & Co.KG、Duesseldorf,DE);E:変性脂肪族アルコールポリグリコールエーテル(約75%、Disponil(登録商標)AFX 2075、Cognis Deutschland GmbH & Co.KG、Duesseldorf,DE);F:脂肪族アルコールポリグリコールエーテルスルホネート、Na塩(Disponil(登録商標)FES 61、Cognis Deutschland GmbH & Co.KG、Duesseldorf,DE);G:脂肪族アルコールポリグリコールエーテルスルホネート、Na塩(Disponil(登録商標)FES 993、Cognis Deutschland GmbH & Co.KG、Duesseldorf,DE);H:C13脂肪族アルコールエトキシレート(約70%、Emulan(登録商標)TO 4070、BASF AG,Ludwigshafen,DE);I:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
【0132】
【表2】

【0133】
1) DIN EN 13726-1パート3.2で調製した1ミリリットルの試験溶液Aの完全な透過のための時間;紙に対向する側面で試験; 2) 初期測定;3) 4日間保存後に測定;4) 1日保存後に測定
【0134】
実施例S1〜S5:ポリウレタン分散体1およびImpranil(登録商標)DLUからのフォームの製造
表3に示すように、実施例1に従って調製したポリウレタン分散体1、またはImpranil(登録商標)DLUを種々の(フォーム)添加剤と混合し、市販の手動撹拌器(湾曲ワイヤ製撹拌器)によって0.5リットルのフォーム容積まで発泡させた。その後、フォームを6mm間隔の高さでブレードコーターによって非粘着紙上に引き下ろし、記載の条件下で乾燥させた。
【0135】
良好な機械的特性および微細孔構造を有する透明な白色フォームが、例外なく得られた。表4から認められるように、特定の(フォーム)添加剤の使用により、生理食塩水に関して吸水膨潤速度が明白に向上した(すべて<1秒)。また、すべてのフォームは、良好な自由膨潤吸収能、また高い水蒸気透過速度を示す。
【0136】
【表3】

【0137】
1) C:ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネート、Na塩;J:ドデシルアルコールを主成分とするアルキルポリグリコシド(約52%、Simulsol(登録商標)SL 26、Seppic GmbH,Cologne,DE);K:ステアリン酸ナトリウム
【0138】
【表4】

【0139】
1) DIN EN 13726-1パート3.2で調製した1ミリリットルの試験溶液Aの完全な透過のための時間;紙に対向する側面で試験; 2) 初期測定;3) 1日保存後に測定
【0140】
実施例S6:少量のステアリン酸アンモニウムを用いた親水性ポリウレタンフォームの製造
実施例1に従って製造した120gのポリウレタン分散体1を、1.47gのPlantacare(登録商標)1200 UP*)(予めクエン酸でpH7に調整)および0.24gのStokal(登録商標)STAと混合した。次いで、手動撹拌器を用いて混合物を、フォーム容積500mlまで20分間かけて発泡させた。その後、ブレードによってフォームを非粘着紙上に適用し(高さ間隔:6mm)、乾燥させた(120℃で20分間)。
【0141】
透明な白色の微細気泡を有する親水性フォームが得られた(1mlの試験溶液Aの吸収は3秒未満)。
【0142】
* C12〜C16アルコールを主成分とするアルキルポリグリコシド、水中約50wt%、Cognis GmbH & Co. KG,Duesseldorf,Germany.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォーム用安定剤としてのアルキルポリグリコシドの使用。
【請求項2】
前記フォームは親水性化ならびに安定化されていることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリウレタンフォームは水性ポリウレタン分散体から物理乾燥によって得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I):
【化1】

で示されるアルキルポリグリコシドを使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
アニオン的に親水性化された水性ポリウレタン分散体(I)およびフォーム添加剤(II)を含有し、該フォーム添加剤(II)は少なくともアルキルポリグリコシドを含んでなることを特徴とする組成物。
【請求項6】
含有するアニオン的に親水性化された水性ポリウレタン分散体(I)は、
A)A1)有機ポリイソシアネート、
A2)400〜8000g/モルの範囲内の数平均分子量および1.5〜6の範囲内のOH官能価を有するポリマーポリオール、および
A3)任意に、62〜399g/モルの範囲内の分子量を有するヒドロキシル官能性化合物、および
A4)任意に、イソシアネート反応性であって、アニオン性または潜在アニオン性および任意に非イオン性の親水性化剤
からイソシアネート官能性プレポリマーを製造し、ならびに
B)その後、その遊離NCO基を全体的または部分的に
B1)任意に、32〜400g/モルの範囲内の分子量を有するアミノ官能性化合物および/または
B2)イソシアネート反応性であって、好ましくはアミノ官能性、アニオン性または潜在アニオン性の親水性化剤
と鎖延長によって反応させ、およびステップB)前、ステップB)中またはステップB)後にプレポリマーを水中へ分散させ、中和剤との部分反応または完全反応によって任意の存在する潜在イオン基をイオン型に変換することによって得られることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
A1)1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体のビス−(4,4'−イソシアナトシクロヘキシル)メタンならびにそれらの混合物において、およびA2)ポリカーボネートポリオールとポリテトラメチレングリコールポリオールの混合物において用いてアニオン的に親水性化された水性ポリウレタン分散体(I)を製造し、ここで、ポリカーボネートとポリテトラメチレングリコールポリエーテルポリオールの合計が寄与する成分A2)の割合は少なくとも70重量%であることを特徴とする、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
式(I):
【化2】

で示されるアルキルポリグリコシドを使用することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
スルホコハク酸のエステルおよび/またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルカノアートをアルキルポリグリコシドのほかに使用することを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれかに記載の組成物を発泡および乾燥させる、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって得られるポリウレタンフォーム。
【請求項12】
請求項11に記載のポリウレタンフォームの創傷接触材料としての使用。

【公表番号】特表2010−503735(P2010−503735A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527725(P2009−527725)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007717
【国際公開番号】WO2008/031520
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】