説明

RFタグおよびこれを用いた商品管理システム

【課題】管理対象商品に取付けたRFタグ上から商品情報を更新することでコンピュータシステムで管理している同一商品も商品情報を自動で一斉に更新を行うこと。
【解決手段】管理対象商品に取り付けられRFタグ41と、RFタグと商品情報の授受を行って商品管理を行うコンピュータシステム1と、RFタグとコンピュータシステムとの間で商品情報の送受信を行うネットワーク環境2,3と、を備えた商品管理システムであって、RFタグ41は、商品情報の表示機能の外に商品情報の書き込み機能を有するディスプレイ部42を備え、商品情報の商品IDとディスプレイ部で書き込まれた更新情報とをコンピュータシステム1に発信し、コンピュータシステム1は、送信されてきたRFタグの商品IDとコンピュータシステム内の商品IDを照合し、同一の商品IDに対して更新情報を作成し、RFタグ41に更新情報を送信することで、同一の商品のRFタグ41のディスプレイ部に更新情報を一斉に表示させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)を使用するタグ(以下、RFタグと記す)に情報書き込みを可能とする構成、及びこのタグを用いた商品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるRFタグを用いた商品管理システムでは、一般的には、管理対象商品にRFタグを取付け、取付けたRFタグ内の情報を読取ることで商品管理を行う。RFタグと管理対象商品はRFタグのもつ識別IDで関連付けをし、コンピュータシステムや携帯端末に商品情報とともに関連情報を構築し、RFタグ読取り装置を用いてRFタグの識別IDを読取り、関連付した商品情報を照合する。
【0003】
そして、照合した商品情報は、コンピュータシステム装置、携帯端末装置などに表示され、ユーザはこれら装置に表示された情報を見ることが出来る。さらに、RFタグに記憶されている情報を更新するにはコンピュータシステム装置、携帯端末装置などで読み取り表示された情報を基にRFタグの再発行または情報更新を行うことによって実行される。
【0004】
また、電子タグの情報を可視化情報として表示することのできる電子タグの従来技術として、例えば特許文献1に開示された提案がある。この特許文献1によると、対象物品に取り付ける電子タグは、情報の格納されたICチップと、アンテナコイルと、ICチップの格納情報を表示する表示器と、を備えていて、さらに、電子タグ用ライタで電子タグの情報を書き換えることも開示されている。
【特許文献1】特開2005−71143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術における商品管理システムでは、管理対象商品に取付けたRFタグをユーザが読取る作業が必要であり、また、読取り照合した商品情報を装置上で参照するため、煩雑で時間の要する作業が必要となる。ここで、商品情報の更新にはコンピュータ装置、携帯端末装置などを扱うことが求められ、その操作には専門知識を要する。さらに、同一商品の商品情報を更新するには、RFタグの個々に対して実施する必要がある。
【0006】
上記特許文献1を含めた従来技術において、コンピュータ装置、携帯端末装置などでRFタグの情報を更新する方法は提案されているが、RFタグ表面に書かれた文字情報を認識し情報発信しコンピュータ装置で管理している情報を自動で更新し同一商品の情報をまとめて更新することはできないシステムとなっている。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑みて、管理対象商品に取付けたRFタグ表面のディスプレイ装置で商品情報を更新しコンピュータに送信して、コンピュータシステムで管理している同一商品について自動で一斉に商品情報の更新を行うことのできるRFタグを用いた商品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために,本発明は主として次のような構成を採用する。
管理対象商品に取り付けられRFIDの付されたタグ(RFタグ)と、前記RFタグと商品情報の授受を行って商品管理を行うコンピュータシステムと、前記RFタグと前記コンピュータシステムとの間で商品情報の送受信を行うネットワーク環境と、を備えた商品管理システムであって、
前記RFタグは、商品情報の表示機能の外に商品情報の書き込み機能を有するディスプレイ部を備え、商品情報の商品IDと前記ディスプレイ部で書き込まれた更新情報とを前記ネットワーク環境を介して前記コンピュータシステムに発信し、前記コンピュータシステムは、送信されてきた前記RFタグの商品IDと前記コンピュータシステム内の商品IDを照合し、同一の商品IDに対して前記更新情報を作成し、前記RFタグに前記更新情報を送信することで、同一の商品のRFタグの前記ディスプレイ部に前記更新情報を一斉に表示させる構成とする。前記更新情報は管理対象の商品の販売価格であることを一例とする。
【0009】
また、商品毎に取り付けられ商品管理を行うためのRFIDの付されたタグ(RFタグ)において、商品情報の表示機能の外に商品情報の書き込み機能を有するディスプレイ部と、前記ディスプレイ部に書き込まれた文字を認識する文字認識制御部と、商品名を特定する商品IDと前記書き込まれた文字とを記憶する記憶部と、外部のコンピュータシステムとの間で前記商品IDと商品情報の変更を示す更新情報とを送受信する送受信部と、を有し、前記ディスプレイ部は、商品情報を表示することに加えて、当該商品情報を変更する更新情報を書き込みすることを可能とし、前記外部のコンピュータシステムから送信されてきた更新情報を前記ディスプレイ部に表示する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、管理対象商品に取付けたRFタグの情報書込可能ディスプレイ装置に書き込んだ更新情報が、コンピュータシステムに自動で取り込まれ、同一商品のRFタグに当該更新情報を一斉に表示することができる。この際、コンピュータシステムを操作する専門的知識を要することなく更新情報の表示が可能であり、また、更新情報の変更作業が軽減され、さらに同一商品を一元管理して更新情報を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態に係るRFタグを用いた商品管理システムについて、図1〜図3を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るRFタグを用いた商品管理システムの全体構成を示すブロック図である。図2は本実施形態に関するRFタグの内部構成を示すブロック図である。図3は本実施形態に係る商品管理システムにおける商品情報の照合、作成、更新表示の手順を示す説明図である。
【0012】
図面において、1はコンピュータシステム、2はネットワーク(HUB)、3はアクセスポイント、4は管理対象物品、11はデータベース、12はアプリケーションプログラム、13はOS、21はLAN接続口(例、イーサネット(登録商標)接続口)、31はLAN接続口(例、イーサネット(登録商標)接続口)、32はアンテナ、41はRFタグ、42は情報書込可能ディスプレイ装置、43はアンテナ、44は文字認識制御部、45は記憶部、46は通信回路部、47は送受信部、48は文字制御部、49は電源回路、421は変更前表示部、422は変更後表示部、425は更新ボタン、426は送信ボタン、Sl0は商品情報照合作成ステップ、S20は商品情報更新表示ステップ、をそれぞれ表す。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るRFタグを用いた商品管理システムは、商品情報を管理するコンピュータシステム1と、管理対象物品4に取り付けられたRFタグ41(RFID(Radio Frequency IDentification)を使用するタグ)と、RFタグ41と電波で通信するアクセスポイント3と、少なくとも1つのアクセスポイントを接続(例えば、イーサーネットで接続する)するネットワーク(HUB)2と、を備えている。
【0014】
コンピュータシステム1は、オペレーティングシステム(OS)13と、OS13の元でのアプリケーションプログラム12と、データベース(DB)11等から構成され、管理対象物品4の商品情報(商品名、製造年月日、製造工場名、販売価格、賞味期限など)を管理する。
【0015】
RFタグ41は、自身に内蔵するアンテナ43とアクセスポイント3のアンテナ32とを通し、ネットワーク環境2,3を経てコンピュータシステム1との間でデータの送受信を行うことができる。RFタグ41からは管理対象物品4の商品ID(例えば、商品名、製造年月日、製造工場名などであり、商品名については、商品Aに対してID番号001、商品Bに対してはID番号010、…)と、更新情報(例えば、販売価格100円を80円に変更、賞味期限を30日から20日に変更、…)を発信する。一方、コンピュータシステム1は、アンテナ32,43を含むネットワーク環境2,3を介して、RFタグ41とデータ送受信を行うものである。
【0016】
店内に陳列された管理対象物品4である商品に付されたRFタグ41内のアンテナ43がアンテナ32と通信可能な範囲内(電波の届く範囲内)において、アクセスポイント3が設置され、一般的に云えば、店内のブロック毎にアクセスポイントが設けられる。また、HUB2には複数の接続口21が設けられていて、複数のアクセスポイントが例えばイーサーネット接続できるようになっている。
【0017】
次に、情報書込可能ディスプレイ装置42を有するRFタグ41の構成について、図2を用いて説明する。RFタグ41は、ディスプレイ装置42を備えていて、このディスプレイ装置42が更新情報(例、販売価格、賞味期限など)の変更前表示部421と変更後表示部422を有し、さらに、情報の更新ボタン425と情報をコンピュータシステム1に送るための送信ボタン426を有している。
【0018】
図2に示すように、RFタグ41は、情報書込可能ディスプレイ装置42にペンで書いた文字を文字情報として認識する文字認識制御部44と、商品情報を記憶するための記憶部45を有する。さらに、RFタグ41は、文字認識制御部44、記憶部及び通信回路部46を制御する文字制御部48と、コンピュータシステム1と情報の授受を行うための通信回路部46と、送受信部47と、アンテナ43と、電源回路49とを有している。
【0019】
情報書込可能ディスプレイ装置42の変更前表示部421には更新前の販売価格や賞味期限などが表示され、適宜のタイミング(夕方の値引き時や現時点からの賞味期限の期間など)で販売員が更新ボタン425を操作することで、変更後表示部422にペンで販売価格や賞味期限などを書き込むと文字認識制御部で文字認識されて変更後の表示が最終的に変更後表示部422に表示されることとなる(その手順は図3で説明する)。変更前表示部421と変更後表示部422に共に販売価格が表示されることによって、値引き幅が顧客に一目瞭然で分かるようになる。表示部を1つにして変更前と変更後の表示を交互に表示したり、変更後の情報のみを表示するように構成変更してもよい。また、表示部421,422には、更新情報(例、変更後の販売価格)のみならず、商品種別毎の商品ID(例、001、010…、商品種別と商品IDとは対応表で一対1に対応している)を表示することができる。
【0020】
次に、本実施形態に係る商品管理システムにおける商品情報の照合、作成、更新表示の手順について、図3を用いて説明する。コンピュータシステム1が、RFタグ41の情報書込可能ディスプレイ装置42から発信された商品ID(例、商品A,B…毎に対応して付けられたID番号)、更新情報(例、変更後の販売価格…)を、データベース11及びアプリケーションプラグラム12による商品管理システムと照合し、更新情報を作成するステップSl0と、この作成した更新情報を、同一商品の複数のそれぞれのRFタグに送信するステップS20のステップと、からなる。
【0021】
まず、ステップSl0において、情報書込可能ディスプレイ装置42から更新情報があった場合に(図2に示す送信ボタン426の操作でRFタグ41からコンピュータシステム1へ情報が送信される)、商品情報更新要求Sllが発生する。そして、ステップS12とステップS13は、RFタグ41が自ら商品ID、更新情報を発信し、アンテナ43,32を介してコンピュータシステム1とデータ送受信を行う。
【0022】
ステップS14は、読み取った情報をもとにアプリケーションプログラム12が商品IDで照合し、データベース11内の情報を更新する(商品IDが1つの場合)。また、同一商品IDが複数個存在する場合も同様に更新し、個々のRFタグ41に発信するための更新情報S15を作成し、ステップS20に進む。
【0023】
ステップS21では、コンピュータシステム1からアンテナを含むネットワーク環境2,3を介してRFタグ41に更新情報が送信され、ステップ22ではRFタグ41(同一商品に付された複数のRFタグ)が更新情報を受信する。ステップS23は、受信した更新情報を文字制御部48で処理し記憶部45に格納されている情報を更新する。具体的には、記憶部に格納された更新情報が変更後表示部422に表示されることとなる。
【0024】
以上説明したように、同一商品が多数陳列されている場合に、1つの商品に付されたRFタグ41において更新情報をコンピュータシステム1に対して送信すると、コンピュータシステム1は同一商品IDに対して更新情報を作成して、複数の同一商品のRFタグに当該更新情報を送信し、受信した複数の同一商品のRFタグは、自動的に更新情報を記憶すると共に表示するので、更新情報の作成、表示にコンピュータ操作の専門性が不要となり、情報の変更作業が軽減されることとなる。端的に表現すれば、同一商品が30個陳列されていてその販売価格を変更する場合に、従来では販売員が30個分すべてについて価格変更の作業をする必要があり、また、RFタグで販売価格を管理する場合にRFタグの価格を変更するために複雑で専門性を要するコンピュータ操作を行う必要があったところ、本実施形態では、RFタグに情報書き込み機能(表示機能の外に)をも具備させることで、更新情報のみを例えばペン操作すれば、他に多数存在する同一商品の更新情報を自動的に更新させて表示できるようにすることが概略的な特徴である。
【0025】
なお、上述した商品情報の更新(販売価格の変更や賞味期限の期間変更など)は、同一商品が複数存在して陳列されている場合にその更新が効率的となるが、1個の商品においても、RFタグとコンピュータシステムとの間で同様な情報の授受を行うことで、再度、再々度の更新を可能とする。なお、本実施形態の適用範囲は、上記の実施形態に限定されることはなく、RFタグを用いた商品管理システムで商品情報の更新が実施される場合のすべてに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るRFタグを用いた商品管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に関するRFタグの内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る商品管理システムにおける商品情報の照合、作成、更新表示の手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 コンピュータシステム
2 ネットワーク(HUB)
3 アクセスポイント
4 管理対象物品
11 データベース
12 アプリケーションプログラム
13 OS
21 LAN接続口(例、イーサネット(登録商標))
31 LAN接続口(例、イーサネット(登録商標))
32 アンテナ
41 RFタグ
42 情報書込可能ディスプレイ装置
43 アンテナ
44 文字認識制御部
45 記憶部
46 通信回路部
47 送受信部
48 文字制御部
49 電源回路
421 変更前表示部
422 変更後表示部
425 更新ボタン
426 送信ボタン
Sl0 商品情報照合作成ステップ
S20 商品情報更新表示ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象商品に取り付けられRFID(Radio Frequency IDentification)の付されたタグ(RFタグ)と、前記RFタグと商品情報の授受を行って商品管理を行うコンピュータシステムと、前記RFタグと前記コンピュータシステムとの間で商品情報の送受信を行うネットワーク環境と、を備えた商品管理システムであって、
前記RFタグは、商品情報の表示機能の外に商品情報の書き込み機能を有するディスプレイ部を備え、商品情報の商品IDと前記ディスプレイ部で書き込まれた更新情報とを前記ネットワーク環境を介して前記コンピュータシステムに発信し、
前記コンピュータシステムは、送信されてきた前記RFタグの商品IDと前記コンピュータシステム内の商品IDを照合し、同一の商品IDに対して前記更新情報を作成し、前記RFタグに前記更新情報を送信することで、同一の商品のRFタグの前記ディスプレイ部に前記更新情報を一斉に表示させる
ことを特徴とするRFタグを用いた商品管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記RFタグのディスプレイ部に、ペンを用いて前記更新情報を書き込み、前記書き込まれた文字情報を認識して記憶部に記憶する
ことを特徴とするRFタグを用いた商品管理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記更新情報は、管理対象の商品の販売価格であることを特徴とするRFタグを用いた商品管理システム。
【請求項4】
商品毎に取り付けられ商品管理を行うためのRFIDの付されたタグ(RFタグ)において、
商品情報の表示機能の外に商品情報の書き込み機能を有するディスプレイ部と、前記ディスプレイ部に書き込まれた文字を認識する文字認識制御部と、商品名を特定する商品IDと前記書き込まれた文字とを記憶する記憶部と、外部のコンピュータシステムとの間で前記商品IDと商品情報の変更を示す更新情報とを送受信する送受信部と、を有し、
前記ディスプレイ部は、商品情報を表示することに加えて、当該商品情報を変更する更新情報を書き込みすることを可能とし、
前記外部のコンピュータシステムから送信されてきた更新情報を前記ディスプレイ部に表示する
ことを特徴とするRFタグ。
【請求項5】
請求項4において、
前記ディスプレイ部に書き込む商品情報は商品の販売価格の文字情報であり、ペンを用いて書き込んだ文字情報を前記文字認識制御部で文字認識し、前記記憶部に記憶して、前記文字情報を前記外部のコンピュータシステムに送信するとともに、前記コンピュータシステムで作成された更新された文字情報を受信して前記ディスプレイ部に前記販売価格を表示する
ことを特徴とするRFタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−52922(P2010−52922A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221567(P2008−221567)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】