説明

RSV特異的結合分子およびその製造方法

本発明は、RSVに特異的に結合することが可能な抗体およびその機能的等価物、ならびにその製造手段および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory Syncytial Virus)(RSV)は、パラミクソウイルス科に属するかぜウイルスである。RSVは、毒性であり、容易に伝染可能であり、2歳未満の子供における下気道疾患の最も一般的な原因である。デイケアに通う98%までの子供が、1回のRSVシーズンで感染する。RSV感染症を有する子供のうち0.5%〜3.2%は入院を必要とする。1年あたり約90,000人の入院および4500人の死亡が米国において報告された。RSVによる入院の主要な危険因子は、早産、慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫不全、および他の点では健康な子供における6週よりも若い年齢である。適切な栄養療法および酸素療法の形での対症療法のほかに、利用可能なRSV陽性細気管支炎の有効な治療はない。リバビリンなどの抗ウイルス療法は、RSV感染症において有効であることが証明されていない。1つのモノクローナル抗体、パリビズマブ(Synagisとも呼ばれる)は、RSV感染症に対する予防法に登録されている。パリビズマブは、RSVの融合タンパク質に対する、遺伝子操作された(ヒト化)モノクローナル抗体である。しかしながら、パリビズマブは、常に有効であるとは限らない。したがって、当技術分野において、RSVに対する別の抗体および療法の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、RSV関連疾患を抑制および/または予防するための手段および方法を提供することを目的とする。本発明は、RSVに対する別の抗体および/もしくは改善された抗体またはそのような抗体の機能的等価物を提供すること、ならびにRSVに対する抗体またはその機能的等価物を産生することができる安定した細胞を提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、RSVに特異的に結合することが可能な抗体およびその機能的等価物を提供する。「抗RSV抗体」または「RSV特異的抗体」とも本明細書において呼ばれるそのような抗体および/または機能的等価物は、例えばRSVタンパク質のエピトープなどの、RSVの少なくとも1つの構成成分に特異的に結合することが可能である。非特異的な結合は、「特異的に結合する」という用語に包含されない。本発明による抗RSV抗体および機能的等価物は、RSV感染症および/またはRSV感染症の有害作用を抑制し、かつ/または少なくとも部分的に予防するのに特に適している。本発明による1つの特に好ましい抗RSV抗体は、「D25」と命名された抗体であり、これは、図11A〜Dに示される重鎖領域および軽鎖領域を有する。D25の抗原結合特性に特に寄与するD25のCDR配列は、図11Dに示される。抗体D25は、登録されている抗RSV抗体パリビズマブと比較して、優れた特徴を有するようである(図8)。例えば、D25は、HEp-2細胞がRSVに感染しているin vitro中和アッセイにおいて約0.4〜1.5ng/mlのIC50値を有するのに対して、パリビズマブは約453ng/mlのIC50値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】ヒトIgG陽性記憶B細胞の単離を示す図である。バフィーコートからフィコール密度分離(Amersham)を使用して単離したPBMCを抗CD22磁気ビーズとインキュベートし、MACSカラム(Miltenyi)を使用して単離した。次いでCD22陽性細胞をヒトCD19、CD27、IgM、IgDおよびIgAに対する抗体(BD)とインキュベートした。IgM、IgDおよびIgAについて陰性でありCD19およびCD27について陽性である細胞を高速単細胞選別(FACSAria,BD)を使用して選別した。
【図2】CFSE染色を示す図である。新鮮ヒト記憶B細胞を単離し、CSFEで標識し、IL-21で36時間刺激し、Bcl-6-IRES-NGFRで形質導入した。細胞をさらに3日間、IL-21で維持し、CFSE含有量を決定した。CFSE色素は、細胞分裂ごとに希釈される。
【図3】Bcl-6およびBcl-XLまたはBcl-XLのみで形質導入したヒトB細胞の例を示す図である。細胞をCD40LIL-21を発現している照射L細胞およびサイトカインで維持した。左に示すのは、κおよびλ染色によって決定したBCR発現である(κλ陽性細胞の93%はIgGアイソタイプである(示していない))。右側は、X軸にCD38発現およびY軸にCD20発現を示す。CD38dullCD20+染色は、記憶または胚中心B細胞を、CD38+CD20-染色は形質芽球を示す。
【図4】不死化、抗原特異的ヒトB細胞の単離を示す図である。ヒト記憶B細胞を図1に記載のとおり単離し、続いてBcl-6-IRES-NGFRおよびBcl-XL-IRES-GFPで形質導入した。NGFR、GFPを発現し、かつPE標識破傷風毒素に結合する細胞をFACSAriaを使用して単離した。細胞を96ウェル平底プレートで照射L細胞およびIL-21の存在下で単細胞培養し、FACS Canto(BD)を使用してTT-PE結合に基づいて選択した。
【図5】6XL B細胞クローンの累積細胞増殖および分裂速度を示すグラフである。(A)2種類の抗TTクローン由来および(B)1種類の抗RSVクローン(B63D10-D25)由来のB細胞をIL-21および照射L細胞の存在下で培養した。
【図6】新鮮培養を200,000細胞/24ウェルで、8%FCSおよびpen/strepを含むIMDM 1,0ml中で開始した。使用したFCSは、通常(HyClone)または超低ウシIgG FCS (Gibco)のいずれかであった。3日後、培養上清を交換し、細胞数を200,000細胞/mlに調節した。3回の連続的な時点で測定した3日間の平均IgG産生を示し、差異は有意ではなかった(p値0.2)。
【図7】D25抗RSVクローンの軽鎖表現型を決定するためにD25 B細胞株をκフィコエリスリンまたはλフィコエリスリン(BD)抗体のいずれかで染色した。κフィコエリスリン抗体だけが細胞株に結合し、この抗体がκ軽鎖を有することを示した。
【図8】ドナーB63由来、100細胞/ウェル培養物をBcl-6 Bcl-XL陽性ヒト記憶B細胞を使用して増殖させた。これらの培養物の1つ、D10は、強力な中和を示した。LD由来モノクローナル細胞株を作製し、1つのD25はRSV A-2ウイルスを効率的に中和した。D25を、パリビズマブ(synagis)およびポリクローナルヤギ抗RSVと比較してここで示す。高レベルの抗体を産生するがRSV感染を阻止しない、IL-21およびCD40Lシグナル伝達と共に培養したBcl6 Bcl-XL形質導入B細胞クローンの無関係な培養上清は示していない。D25クローンをさらなる特徴付けのために使用した。
【図9】図9a:HEp2細胞をT175フラスコ(Nunc)1個あたり10〜12e6細胞でIMDM/5%FCS中に播種した。翌日培地をRSVウイルス(1.0MOI)を含む培地5mlに交換し、RTで45分間インキュベートし、新鮮培地20mlを加え、細胞を37℃で一晩培養した。翌日培地をIMDM/1%FCSに交換し、蓋を閉めて37℃で一晩培養した。翌日細胞をPBSで洗浄し、トリプシンで処理した。感染細胞を染色するために、一次インキュベーションを培養上清で実施した。二次インキュベーションを抗ヒトIgG-PE(BD)と行った。細胞をLSRII (BD)を使用して分析した。陽性対照として、r-Biopharmから市販のELISAキットの陽性対照を使用した。図9b:EL-4細胞にRSV FまたはGタンパク質で偽型化したVSVウイルス(John Roseから快く提供された)を感染させ、D25培養上清とインキュベートした。細胞を洗浄し、感染細胞へのD25の結合を検出するために抗ヒトIgG-PE(Jackson)とインキュベートした。RSV Fタンパク質で偽型化したVSVウイルス感染細胞へのD25の結合だけが検出された。図9cは、濃度依存的な感染HEp2細胞へのパリビズマブ(Synagis)およびD25の結合を示す。平均蛍光強度(MFI)を示す。
【図10】コートされたHEp2感染細胞溶解物へのポリクローナルヤギ抗RSV(陽性対照)、パリビズマブ(Synagis)およびD25の結合を示す図である。
【図11A】D25クローンの配列分析を示す図である。11aは、可変重鎖および軽鎖ドメインヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
【図11B】D25クローンの配列分析を示す図である。11b/cは、推定生殖系列と比較したD25重鎖および軽鎖配列を示す。星印は、in vivoでB細胞クローンの選択および親和性成熟の間に恐らく生じた変異を示す。
【図11C】D25クローンの配列分析を示す図である。11b/cは、推定生殖系列と比較したD25重鎖および軽鎖配列を示す。星印は、in vivoでB細胞クローンの選択および親和性成熟の間に恐らく生じた変異を示す。
【図12】BCL6 BCL-xL形質導入B細胞株由来の組換えヒト抗体のクローニングおよび発現を示す図である。これは、既にD25抗体について記載されている(図11)。ここでは、もとのD25配列と比較したGENEARTヌクレオチド改変を示し、これらの変異がD25抗体のアミノ酸組成を変化させないことに留意されたい。
【図13−1】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(A)点鼻薬によるRSVチャレンジ(1x107 RSV-A2粒子)の1日前に、動物に様々な量のSynagis (MedImmune)、精製D25またはIgG1対照抗体(Eureka)をIP注射した(表3)。(B)ヒトIgGレベルを5日目のマウス血清で測定、5日間の抗体の血清レベルでの低下を示した。(C);表4は、半減期値の概要を示す。
【図13−2】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。図13Dは、処理した動物および処理していない動物で5日目の肺洗浄物(BAL)において見られたウイルス力価を示し、図13Eは、処理した動物および処理していないマウスの末梢血におけるT細胞数およびB細胞数を示す。
【図13−3】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(F)は、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像および浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【図13−4】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(F)は、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像および浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【図13−5】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(F)は、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像および浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【図13−6】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(F)は、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像および浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【図13−7】精製されたB細胞上清由来D25およびSynagisでのBALB/cマウスのチャレンジを示す図である。(F)は、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像および浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【図14A−1】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14A−2】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14A−3】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14A−4】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14B−1】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14B−2】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14B−3】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14B−4】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14C−1】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14C−2】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14C−3】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図14C−4】3種の新規で強力なRSV中和抗体(A)AM14、(B)AM16および(C)AM23のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す図である。
【図15】精製B細胞株上清由来D25(sD25)、組換え精製D25(rD25)、組換えGENEARTコドン最適化D25(rD25 GA)、AM14、AM16、AM23(すべて精製組換えタンパク質)およびSynagisでのRSウイルス中和アッセイを示す図である。ウイルス抗体中和を様々な抗体(A2(A)、X(B)および2006/1(C)はRSVサブタイプAであり、一方ウイルスZ(D)および2007-2(E)はサブタイプBである)で2種の異なる細胞株(図15-I)Veroおよび(図15-II)Hep2細胞で試験した。各ウイルスの100TCID50をDMEM/1%FCS中の抗体希釈系列に加え、1時間、37℃でインキュベートし、100ul Vero細胞またはHEp2細胞(1x106/ml)を加えた。
【図16】一定量(3pmol)のAPC標識SynagisおよびPE標識rD25の、漸増濃度の示された未標識抗体とプレインキュベートしたRSV感染HEp2細胞への相対的結合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
抗体の機能的等価物は、抗体の機能的部分、誘導体または類似体として本明細書において定義される。
【0007】
抗体の機能的部分は、必ずしも量においてとは限らないが、性質において、前記抗体と少なくとも1つの同じ特性を有する一部分として定義される。前記機能的部分は、必ずしも同じ程度までとは限らないが、前記抗体と同じ抗原に結合することが可能である。抗体の機能的部分は、好ましくは、単一ドメイン抗体、単鎖抗体、単鎖可変断片(scFv)、Fab断片、またはF(ab')2断片を含む。
【0008】
抗体の機能的誘導体は、結果として生じる化合物の少なくとも1つの特性(好ましくは抗原結合特性)が、必ずしも量においてとは限らないが、性質において、本質的に同じであるように変化させた抗体として定義される。誘導体は、例えば保存的アミノ酸置換を通して、多くの方法において提供され、それによって、アミノ酸残基は、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他の残基によって置換され、全体的な機能は、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる。
【0009】
当業者は、抗体の類似体化合物を十分に作製することができる。これは例えば、ペプチドライブラリーまたはファージディスプレイライブラリーのスクリーニングを通して行われる。そのような類似体は、必ずしも量においてとは限らないが、性質において、前記抗体と少なくとも1つの同じ特性を本質的に有する。
【0010】
当業者によってよく知られているように、抗体の重鎖は、免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプのうちの大きい方である。重鎖は、定常ドメインおよび可変ドメインを含み、この可変ドメインは、抗原結合に関与している。抗体の軽鎖は、免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプのうちの小さい方である。軽鎖は、定常ドメインおよび可変ドメインを含む。この可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと共に、抗原結合に関与している。
【0011】
相補性決定領域(CDR)は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン中に存在する超可変領域である。抗体の重鎖および連結している軽鎖のCDRは、一緒になって、抗原結合部位を形成する。
【0012】
本発明は、図11に示されるCDR配列が、所望のRSV結合特性を提供するという知見を提供するので、当業者は、少なくとも1つの変化したCDR配列を含む変異体を十分に作製することが可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換は、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の置換を含み、全体的な機能は、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる。
【0013】
D25と比較して少なくとも1つの変化した特性を有する変異抗体またはその機能的等価物を作製するために、図11に示される少なくとも1つのCDR配列を変更することもまた可能である。好ましくは、図11に示されるCDR配列に少なくとも70%同一なCDR配列を含み、D25の有利な結合特性が、少なくとも部分的に維持または改善されている抗体または機能的等価物が提供される。図11に示されるCDR配列は、好ましくは変化しており、結果として生じる抗体または機能的等価物は、D25と比較して、例えば改善された結合親和性、結合選択性、および/または結合安定性などの、少なくとも1つの改善された特性を含む。したがって、図11に示されるCDR配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む変異抗体またはその機能的等価物は、本発明の範囲内である。様々な方法が、アミノ酸配列を変化させるために当技術分野において利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖配列または軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、CDR配列をコードする核酸配列は、例えばランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を使用して突然変異させる。
【0014】
第1の態様において、本発明は、したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物であって、以下のもの:
・配列NYIINに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列GIIPVLGTVHYAPKFQGに少なくとも75%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列ETALVVSTTYLPHYFDNに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列QASQDIVNYLNに少なくとも85%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列VASNLETに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列
を含む、上記抗体またはその機能的等価物を提供する。
【0015】
好ましくは、前記抗体はまた、配列QQYDNLPに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列をも含む。
【0016】
好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図11Dに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%同一なCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図11Dに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体D25は、図11Dに示されるCDR配列からなるCDR配列を含む。本発明による特に好ましい実施形態は、したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物であって、以下のもの:
・配列NYIINを含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列GIIPVLGTVHYAPKFQGを含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列ETALVVSTTYLPHYFDNを含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列QASQDIVNYLNを含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列VASNLETを含む軽鎖CDR2配列
を含む、上記抗体またはその機能的等価物を提供する。
【0017】
好ましくは、前記抗体はまた、配列QQYDNLPを含む軽鎖CDR3配列をも含む。
【0018】
一実施形態において、図11Dに示される3つの重鎖CDR配列および3つの軽鎖CDR配列またはそれに少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%同一な配列を含む抗体または機能的等価物が提供される。したがって、配列NYIINに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列および配列GIIPVLGTVHYAPKFQGに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列および配列ETALVVSTTYLPHYFDNに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列および配列QASQDIVNYLNに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列および配列VASNLETに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列および配列QQYDNLPに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列を含む単離、合成、もしくは組換え抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは、図11Dに示される重鎖CDR配列および軽鎖CDR配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上述の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列ならびに上述の軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体または機能的等価物もまた提供される。
【0019】
図11に示される重鎖配列に少なくとも70%同一な可変重鎖アミノ酸配列を含む抗体またはその機能的等価物もまた提供される。そのような重鎖配列は、抗体D25によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVMVSCQASGGPLRNYIINWLRQAPGQGPEWMGGIIPVLGTVHYAPKFQGRVTITADESTDTAYIHLISLRSEDTAMYYCATETALVVSTTYLPHYFDNWGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。さらに、図11に示される軽鎖配列に少なくとも70%同一な可変軽鎖アミノ酸配列もまた、抗体D25によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列DIQMTQSPSSLSAAVGDRVTITCQASQDIVNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFSLTISSLQPEDVATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物もまた提供される。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、図11に示される重鎖配列および/または軽鎖配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な可変重鎖配列および/または可変軽鎖配列を含む。相同性が高いほど、前記抗体または機能的部分は、より密接に抗体D25に似ている。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、D25の重鎖および軽鎖に似ている重鎖および軽鎖を含む。したがって、図11に示される重鎖配列および軽鎖配列に少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な重鎖配列および軽鎖配列を含む抗体または機能的部分が、さらに提供される。
【0020】
一実施形態は、図11に示される重鎖配列からなる重鎖配列および図11に示される軽鎖配列からなる軽鎖配列を含む抗体またはその機能的等価物を提供する。あるいはまた、当業者によってよく知られているように、対象となる結合特性を維持しながら、短縮された重鎖配列または軽鎖配列を作製することが可能である。好ましくは、もとの重鎖または軽鎖と比較して、より短い定常領域を有する、そのような短縮された重鎖または軽鎖が作製される。好ましくは、可変ドメインは維持される。例えば、図11に示される重鎖配列または軽鎖配列に基づくFab断片またはF(ab')2断片が作製される。したがって、図11に示される配列の少なくとも1つの機能的部分を含む抗体の機能的等価物もまた提供される。前記機能的部分は、少なくとも20アミノ酸長を有し、図11Dに示される重鎖CDR1配列に少なくとも70%同一な配列および/または図11Dに示される重鎖CDR2配列に少なくとも75%同一な配列および/または図11Dに示される重鎖CDR3配列に少なくとも70%同一な配列および/または図11Dに示される軽鎖CDR1配列に少なくとも85%同一な配列および/または図11Dに示される軽鎖CDR2配列に少なくとも70%同一な配列を含む。好ましくは、前記機能的部分はまた、図11Dに示される軽鎖CDR3配列に少なくとも70%同一な配列をも含む。
【0021】
本発明による他の特に好ましい抗RSV抗体は、「AM14」と命名された抗体であり、これは、図14Aに示される重鎖領域および軽鎖領域を有する。AM14の抗原結合特性に特に寄与するAM14のCDR配列もまた、図14Aに示される。
【0022】
本発明は、図14Aに示されるCDR配列が、所望のRSV結合特性を提供するという知見を提供するので、当業者は、少なくとも1つの変化したCDR配列を含む変異体を十分に作製することが可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換は、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の置換を含み、全体的な機能は、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる。
【0023】
AM14と比較して少なくとも1つの変化した特性を有する変異抗体またはその機能的等価物を作製するために、図14Aに示される少なくとも1つのCDR配列を変更することもまた可能である。好ましくは、図14Aに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なCDR配列を含み、AM14の有利な結合特性が、少なくとも部分的に維持または改善されている抗体または機能的等価物が提供される。図14Aに示されるCDR配列は、好ましくは変化しており、結果として生じる抗体または機能的等価物は、例えば、AM14と比較して、改善された結合親和性、結合選択性、および/または結合安定性などの、少なくとも1つの改善された特性を含む。したがって、図14Aに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む変異抗体またはその機能的等価物は、本発明の範囲内である。様々な方法が、アミノ酸配列を変化させるために当技術分野において利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖配列または軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、CDR配列をコードする核酸配列は、例えばランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を使用して突然変異させる。
【0024】
したがって、一態様において、本発明は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFSFSHYAに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列ISYDGENTに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列ARDRIVDDYYYYGMDVに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列QDIKKYに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列DASに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列QQYDNLPPLTに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体を提供する。
【0025】
好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Aに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%同一なCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Aに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体AM14は、図14Aに示されるCDR配列からなるCDR配列を含む。本発明による特に好ましい実施形態は、したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物であって、以下のもの:
・配列GFSFSHYAを含む重鎖CDR1配列および/または
・配列ISYDGENTを含む重鎖CDR2配列および/または
・配列ARDRIVDDYYYYGMDVを含む重鎖CDR3配列および/または
・配列QDIKKYを含む軽鎖CDR1配列および/または
・配列DASを含む軽鎖CDR2配列および/または
・配列QQYDNLPPLTを含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体またはその機能的等価物を提供する。
【0026】
一実施形態において、図14Aに示される3つの重鎖CDR配列および3つの軽鎖CDR配列またはそれに少なくとも70%同一な配列を含む抗体または機能的等価物が提供される。したがって、配列GFSFSHYAに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列および配列ISYDGENTに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列および配列ARDRIVDDYYYYGMDVに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列および配列QDIKKYに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列および配列DASに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列および配列QQYDNLPPLTに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列を含む単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物がさらに提供される。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは、図14Aに示される重鎖CDR配列および軽鎖CDR配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上述の図14Aの重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列ならびに上述の図14Aの軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体または機能的等価物もまた提供される。
【0027】
図14Aに示される重鎖配列に少なくとも70%同一な重鎖アミノ酸配列を含む抗体またはその機能的等価物もまた提供される。そのような重鎖配列は、抗体AM14によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFSFSHYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGENTYYADSVKGRFSISRDNSKNTVSLQMNSLRPEDTALYYCARDRIVDDYYYYGMDVWGQGATVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。さらに、図14Aに示される軽鎖配列に少なくとも70%同一な軽鎖アミノ酸配列もまた、抗体AM14によって明らかとなるように、所望のRSV結合性の特性をもたらす。したがって、配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDIKKYLNWYHQKPGKVPELLMHDASNLETGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIGTYYCQQYDNLPPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物もまた提供される。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、図14Aに示される重鎖配列および/または軽鎖配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な可変重鎖配列および/または可変軽鎖配列を含む。相同性が高いほど、前記抗体または機能的部分は、より密接に抗体AM14に似ている。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、AM14の重鎖および軽鎖に似ている重鎖および軽鎖を含む。したがって、図14Aに示される重鎖配列および軽鎖配列に少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な重鎖配列および軽鎖配列を含む抗体または機能的部分が、さらに提供される。
【0028】
一実施形態は、図14Aに示される重鎖配列からなる重鎖配列および図14Aに示される軽鎖配列からなる軽鎖配列を含む抗体またはその機能的等価物を提供する。あるいはまた、当業者によってよく知られているように、対象となる結合特性を維持しながら、短縮された重鎖配列または軽鎖配列を作製することが可能である。好ましくは、もとの重鎖または軽鎖と比較して、より短い定常領域を有する、そのような短縮された重鎖または軽鎖が作製される。好ましくは、可変ドメインは維持される。例えば、図14Aに示される重鎖配列または軽鎖配列に基づくFab断片またはF(ab')2断片が作製される。したがって、図14Aに示される配列の少なくとも1つの機能的部分を含む抗体の機能的等価物もまた提供される。前記機能的部分は、少なくとも20アミノ酸長を有し、図14Aに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも70%同一な配列を含む。
【0029】
本発明による他の特に好ましい抗RSV抗体は、「AM16」と命名された抗体であり、これは、図14Bに示される重鎖領域および軽鎖領域を有する。AM16の抗原結合特性に特に寄与するAM16のCDR配列もまた、図14Bに示される。
【0030】
本発明は、図14Bに示されるCDR配列が、所望のRSV結合特性を提供するという知見を提供するので、当業者は、少なくとも1つの変化したCDR配列を含む変異体を十分に作製することが可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換は、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の置換を含み、全体的な機能は、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる。
【0031】
AM16と比較して少なくとも1つの変化した特性を有する変異抗体またはその機能的等価物を作製するために、図14Bに示される少なくとも1つのCDR配列を変更することもまた可能である。好ましくは、図14Bに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なCDR配列を含み、AM16の有利な結合特性が、少なくとも部分的に維持または改善されている抗体または機能的等価物が提供される。図14Bに示されるCDR配列は、好ましくは変化しており、結果として生じる抗体または機能的等価物は、例えば、AM16と比較して、改善された結合親和性、結合選択性、および/または結合安定性などの、少なくとも1つの改善された特性を含む。したがって、図14Bに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む変異抗体またはその機能的等価物は、本発明の範囲内である。アミノ酸配列を変化させるための様々な方法が当技術分野において利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖配列または軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、CDR配列をコードする核酸配列は、例えばランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を使用して突然変異させる。
【0032】
したがって、一態様において、本発明は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFTFSSYNに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列ISAGSSYIに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列AREDYGPGNYYSPNWFDPに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列SSNIGAGYDに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列GNTに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列HSYDRSLSGに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体を提供する。
【0033】
好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Bに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%同一なCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Bに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体AM16は、図14Bに示されるCDR配列からなるCDR配列を含む。本発明による特に好ましい実施形態は、したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物であって、以下のもの:
・配列GFTFSSYNを含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列ISAGSSYIを含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列AREDYGPGNYYSPNWFDPを含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列SSNIGAGYDを含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列GNTを含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列HSYDRSLSGを含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記組換え抗体またはその機能的等価物を提供する。
【0034】
一実施形態において、図14Bに示される3つの重鎖CDR配列および3つの軽鎖CDR配列またはそれに少なくとも70%同一な配列を含む抗体または機能的等価物が提供される。したがって、配列GFTFSSYNに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列および配列ISAGSSYIに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列および配列AREDYGPGNYYSPNWFDPに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列および配列SSNIGAGYDに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列および配列GNTに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列および配列HSYDRSLSGに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列を含む単離、合成、もしくは組換え抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは、図14Bに示される、上述の重鎖CDR配列および上述の軽鎖CDR配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上述の図14Bの重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列ならびに上述の図14Bの軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体または機能的等価物もまた提供される。
【0035】
図14Bに示される重鎖配列に少なくとも70%同一な重鎖アミノ酸配列を含む抗体またはその機能的等価物もまた提供される。そのような重鎖配列は、抗体AM16によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列EVQLVETGGGLAQPGGSLRLSCAASGFTFSSYNMNWVRQAPGKGLEWVSHISAGSSYIYYSDSVKGRFTVSRDNVRNSVYLQMNSLRAADTAVYYCAREDYGPGNYYSPNWFDPWGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。さらに、図14Bに示される軽鎖配列に少なくとも70%同一な軽鎖アミノ酸配列もまた、抗体AM16によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列QSVVTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNTNRPSGVSDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCHSYDRSLSGSVFGGGTKLTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物もまた提供される。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、図14Bに示される重鎖配列および/または軽鎖配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な可変重鎖配列および/または可変軽鎖配列を含む。相同性が高いほど、前記抗体または機能的部分は、より密接に抗体AM16に似ている。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、AM16の重鎖および軽鎖に似ている重鎖および軽鎖を含む。したがって、図14Bに示される重鎖配列および軽鎖配列に少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な重鎖配列および軽鎖配列を含む抗体または機能的部分が、さらに提供される。
【0036】
一実施形態は、図14Bに示される重鎖配列からなる重鎖配列および図14Bに示される軽鎖配列からなる軽鎖配列を含む抗体またはその機能的等価物を提供する。あるいはまた、当業者によってよく知られているように、対象となる結合特性を維持しながら、短縮された重鎖配列または軽鎖配列を作製することが可能である。好ましくは、もとの重鎖または軽鎖と比較して、より短い定常領域を有する、そのような短縮された重鎖または軽鎖が作製される。好ましくは、可変ドメインは維持される。例えば、図14Bに示される重鎖配列または軽鎖配列に基づくFab断片またはF(ab')2断片が作製される。したがって、図14Bに示される配列の少なくとも1つの機能的部分を含む抗体の機能的等価物もまた提供される。前記機能的部分は、少なくとも20アミノ酸長を有し、図14Bに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも70%同一な配列を含む。
【0037】
本発明による他の特に好ましい抗RSV抗体は、「AM23」と命名された抗体であり、これは、図14Cに示される重鎖領域および軽鎖領域を有する。AM23の抗原結合特性に特に寄与するAM23のCDR配列は、図14Cに示される。
【0038】
本発明は、図14Cに示されるCDR配列が、所望のRSV結合特性を提供するという知見を提供するので、当業者は、少なくとも1つの変化したCDR配列を含む変異体を十分に作製することができる。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換は、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の置換を含み、全体的な機能は、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる。
【0039】
AM23と比較して少なくとも1つの変化した特性を有する変異抗体またはその機能的等価物を作製するために、図14Cに示される少なくとも1つのCDR配列を変更することもまた可能である。好ましくは、図14Cに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なCDR配列を含み、AM23の有利な結合特性が、少なくとも部分的に維持または改善されている抗体または機能的等価物が提供される。図14Cに示されるCDR配列は、好ましくは変化しており、結果として生じる抗体または機能的等価物は、例えば、AM23と比較して、改善された結合親和性、結合選択性、および/または結合安定性などの、少なくとも1つの改善された特性を含む。したがって、図14Cに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含む変異抗体またはその機能的等価物は、本発明の範囲内である。様々な方法が、アミノ酸配列を変化させるために当技術分野において利用可能である。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖配列または軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、CDR配列をコードする核酸配列は、例えばランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を使用して突然変異させる。
【0040】
したがって、一態様において、本発明は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFNFHNYGに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列VWYDGSKKに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列VRDKVGPTPYFDSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列NIGSETに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列DDDに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列QVWDRSNYHQVに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体を提供する。
【0041】
好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Cに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%同一なCDR配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体または機能的等価物は、図14Cに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上記の特に好ましい抗体AM23は、図14Cに示されるCDR配列からなるCDR配列を含む。本発明による特に好ましい実施形態は、したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的等価物であって、以下のもの:
・配列GFNFHNYGを含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列VWYDGSKKを含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列VRDKVGPTPYFDSを含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列NIGSETを含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列DDDを含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列QVWDRSNYHQVを含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体またはその機能的等価物を提供する。
【0042】
一実施形態において、図14Cに示される3つの重鎖CDR配列および3つの軽鎖CDR配列またはそれに少なくとも70%同一な配列を含む抗体または機能的等価物が提供される。したがって、配列GFNFHNYGに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列および配列VWYDGSKKに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR2配列および配列VRDKVGPTPYFDSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列および配列NIGSETに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列および配列DDDに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列および配列QVWDRSNYHQVに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列を含む単離、合成、もしくは組換え抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは、図14Cに示される、上述の重鎖CDR配列および上述の軽鎖CDR配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一なCDR配列を含む。上述の図14Cの重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列ならびに上述の図14Cの軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗体または機能的等価物もまた提供される。
【0043】
図14Cに示される重鎖配列に少なくとも70%同一な重鎖アミノ酸配列を含む抗体またはその機能的等価物もまた提供される。そのような重鎖配列は、抗体AM23によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列EVQLVESGGNVVKPGTSLRLSCAATGFNFHNYGMNWVRQAPGKGLEWVAVVWYDGSKKYYADSVTGRFAISRDNSKNTLYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDKVGPTPYFDSWGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物が、さらに提供される。さらに、図14Cに示される軽鎖配列に少なくとも70%同一な軽鎖アミノ酸配列もまた、抗体AM23によって明らかとなるように、所望のRSV結合特性をもたらす。したがって、配列SYVLTQPPSVSLAPGGTAAITCGRNNIGSETVHWYQQKPGQAPVLVVYDDDDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDRSNYHQVFGGGTKLTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する抗体またはその機能的等価物もまた提供される。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、図14Cに示される重鎖配列および/または軽鎖配列に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な可変重鎖配列および/または可変軽鎖配列を含む。相同性が高いほど、前記抗体または機能的部分は、より密接に抗体AM23に似ている。本発明による抗体または機能的部分は、好ましくは、AM23の重鎖および軽鎖に似ている重鎖および軽鎖を含む。したがって、図14Cに示される重鎖配列および軽鎖配列に少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一な重鎖配列および軽鎖配列を含む抗体または機能的部分が、さらに提供される。
【0044】
一実施形態は、図14Cに示される重鎖配列からなる重鎖配列および図14Cに示される軽鎖配列からなる軽鎖配列を含む抗体またはその機能的等価物を提供する。あるいはまた、当業者によってよく知られているように、対象となる結合特性を維持しながら、短縮された重鎖配列または軽鎖配列を作製することが可能である。好ましくは、もとの重鎖または軽鎖と比較して、より短い定常領域を有する、そのような短縮された重鎖または軽鎖が作製される。好ましくは、可変ドメインは維持される。例えば、図14Cに示される重鎖配列または軽鎖配列に基づくFab断片またはF(ab')2断片が作製される。したがって、図14Cに示される配列の少なくとも1つの機能的部分を含む抗体の機能的等価物もまた提供される。前記機能的部分は、少なくとも20アミノ酸長を有し、図14Cに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも70%同一な配列を含む。
【0045】
本発明は、先行技術の抗体と比較して、改善された特性を有するRSV特異的抗体またはその機能的等価物を提供する。本発明者らは、低いIC50値を有するRSV特異的抗体の作製に成功した。そのような抗体は、RSVに対する、特に高いかまたは強力な親和性を有し、したがって、RSV感染症および/またはRSV感染症の有害作用を抑制し、かつ/または少なくとも部分的に予防するのに特に適している。一実施形態は、HEp-2細胞がRSVに感染しているin vitro中和アッセイにおいて10ng/ml未満のIC50値を有する抗体および該抗体の機能的等価物を提供する。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは5ng/ml未満、より好ましくは2ng/ml未満のIC50値を有する。好ましい抗体D25は、実施例において記載されるin vitro中和アッセイにおいて約0.5〜1.5ng/mlのIC50値を有する(図8を参照されたい)。
【0046】
本発明による抗体は、好ましくは、ヒト抗体である。ヒト療法のためのヒト抗体の使用は、非ヒト配列に対するヒト個体における免疫反応による副作用の可能性を減らす。他の好ましい実施形態において、本発明による抗体または機能的部分、誘導体、もしくは類似体は、キメラ抗体である。このように、例えば対象となる結合部位などの対象となる配列を、本発明による抗体または機能的等価物の中に含めることができる。
【0047】
本発明は、本発明による抗体または機能的等価物をコードする単離、合成、もしくは組換え核酸配列またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体をさらに提供する。そのような核酸は、例えば、以下でより詳細に概説されるように、本発明による抗体を産生することが可能であるB細胞から単離される。好ましい実施形態は、図11、図12、図14A、図14B、および/または図14Bに示される核酸配列の少なくとも1つの機能的部分に少なくとも70%相同な配列を含む核酸配列を提供する。前記核酸配列は、好ましくは、図11、図12、図14A、図14B、および/または図14Bに示される核酸配列の少なくとも1つの機能的部分に少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同な配列を含む。前記機能的部分は、少なくとも30ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも75ヌクレオチド長を有する。好ましくは、前記機能的部分は、図11D、図12、図14A、図14B、および/または図14Bに示される少なくとも1つの核酸配列をコードする。前記配列は、好ましくは、CDR配列である。
【0048】
本発明による抗体または機能的等価物は、医薬または予防薬としての使用に特に適している。医薬および/または予防薬として使用するための本発明による抗体またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体もまた、したがって、これと共に提供される。特に好ましい実施形態において、前記抗体は、抗体D25、AM14、AM16、および/もしくはAM23またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体を含む。前記医薬または予防薬は、好ましくは、RSV感染症を抑制しもしくは少なくとも部分的に予防し、またはRSV感染症の有害作用を抑制しもしくは少なくとも部分的に予防するのに使用される。RSV関連障害を少なくとも部分的に治療および/または予防するための医薬および/または予防薬の調製のための、本発明による抗体、機能的部分、誘導体または類似体の使用もまた、したがって、本発明による抗体または機能的等価物を、その必要のある個体に治療有効量で投与するステップを含む、RSV関連障害を少なくとも部分的に治療または予防するための方法と同様に提供される。前記抗体は、好ましくは、抗体D25、AM14、AM16、および/もしくはAM23またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体を含む。
【0049】
RSVを抑制するために、本発明による抗体または機能的等価物は、好ましくは、RSV感染症が発症する前に個体に投与される。あるいはまた、本発明による抗体または機能的等価物は、個体がRSVに既に感染している場合に投与される。前記抗体または機能的等価物は、好ましくは、例えば早産の子供、慢性肺疾患、先天性心疾患、および/または免疫不全を有する個体、ならびに6週よりも若い年齢の子供などの、RSV関連障害の危険性が増加している個体に投与される。高齢者もまた、RSV関連障害の危険性が増加している。本発明による抗体または機能的等価物は、好ましくは、経口的にまたは1回以上の注射を介して投与される。本明細書において先に記載されるように治療的用途で使用するための本発明による抗体および/または機能的等価物の用量範囲は、厳密なプロトコル条件が存在する臨床治験における、臨床における用量上昇研究に基づいて計画される。典型的な用量は、体重kgあたり0.1〜10mgである。治療的用途のために、本発明による抗体または機能的等価物は、典型的に、製薬上許容される担体、アジュバント、希釈剤、および/または賦形剤と組み合わされる。好適な担体の例は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えばBSAまたはRSA)、およびオボアルブミンを含む。油性および水性の、多くの好適なアジュバントは、当業者に知られている。一実施形態において、前記アジュバントは、Specolを含む。他の実施形態において、前記好適な担体は、例えば生理食塩水のような溶液を含む。
【0050】
他の実施形態において、本発明による抗体または機能的部分をコードする核酸が使用される。そのような核酸の投与に際して、抗体または機能的等価物は、宿主の機構によって産生される。産生された抗体または機能的等価物は、RSV感染症および/またはRSV感染症の有害作用を予防および/または抑制することが可能である。医薬および/または予防薬として使用するための本発明による核酸配列、機能的部分、誘導体、および/または類似体もまた、したがって、これと共に提供される。前記核酸は、好ましくは、RSVを抑制するために使用される。RSV関連障害を少なくとも部分的に治療し、かつ/または予防するための医薬および/または予防薬の調製のための、本発明による核酸配列、機能的部分、誘導体、および/または類似体の使用が、したがって、さらに提供される。
【0051】
本発明の核酸の少なくとも1つの機能的部分によって、本発明の核酸としての少なくとも1つの発現特性(必ずしも量においてとは限らないが、性質において)を含む、少なくとも30塩基対長、好ましくは少なくとも50塩基対長、より好ましくは少なくとも100塩基対長の前記核酸の一部分が意味される。前記機能的部分は、図11D、図14A、図14B、および/または14図Cに示されるCDR配列に少なくとも70%同一な配列を含むアミノ酸配列を少なくともコードする。
【0052】
本発明は、本発明による抗体、機能的部分、誘導体または類似体を産生することが可能である単離抗体産生細胞をさらに提供する。そのような抗体産生細胞を得るための(限定されないが)可能な方法は、実施例において詳細に概説される。本発明者らは、RSV特異的抗体産生細胞の安定性を改善するために新しい方法を開発し、使用した。この方法を使用して、少なくとも6ヵ月間安定しているRSV特異的抗体産生細胞が生成される。少なくとも9週間、好ましくは少なくとも3ヵ月間、より好ましくは少なくとも6ヵ月間安定している、本発明によるRSV特異的抗体産生細胞もまた、したがって、これと共に提供される。
【0053】
本発明者らは、RSV特異的抗体産生細胞の安定性が、前記抗体産生細胞内のBCL6および/またはBlimp-1の発現産物の量に影響を及ぼすことによって、影響されるという知見を使用した。BCL6および/またはBlimp-1の発現産物の量は、直接的にまたは間接的に影響を及ぼされる。両方の発現産物が抗体産生細胞の安定性において関与するので、好ましくは、前記抗体産生細胞内のBCL6およびBlimp-1の発現産物の両方の量が調節される。抗体産生細胞の安定性は、ある種の発達段階(好ましくは、前記細胞が前記段階に到達した後)において存続するための前記抗体産生細胞の能力として定義される。異なる発達段階の細胞は、前記細胞の少なくとも1つの異なる特徴を含む。例えば、記憶B細胞は、一部の研究者らが形質芽球と呼ぶ段階を介して、刺激に際して抗体分泌形質細胞に分化することが知られている。記憶B細胞、形質芽球、および形質細胞は、B細胞の異なる発達段階であり、B細胞は異なる特徴を有する。記憶B細胞は、低い増殖および抗体分泌を示す。形質芽球は、記憶B細胞と比較して、より高度な増殖レベルおよびより高度な抗体分泌レベルの両方を示すのに対して、形質細胞は、高度な抗体レベルを分泌するが、増殖することができない。本発明者らの方法を用いると、抗体産生細胞の複製的な寿命を調節することが可能になった。抗体産生細胞の複製的な寿命は、B細胞およびその子孫細胞が、抗体を産生するそれらの能力を維持し、かつ/または抗体を産生する細胞に発達しながら、複製することが可能である期間として本明細書において定義される。好ましくは、抗体産生細胞の複製的な寿命が延長され、このことは、前記抗体産生細胞が、最終分化せず、または現在使用されている同じ性質の抗体産生細胞と比較してより長い期間の後でのみ最終分化し、in vitroで増殖し続けるであろうということを意味する。本発明者らによれば、抗体産生細胞中のBCL6および/またはBlimp-1の発現産物の量を、抗体産生細胞が、細胞が増殖し続ける所定の発達状態に到達しかつ/または保たれる程度まで、調節することは可能である。したがって本発明者らの方法を用いると、抗体産生細胞の複製的な寿命を増加させることが可能になった。なぜなら、複製が起こるある種の発達段階においてB細胞を維持することが可能であるからである。同じ出願人によって提出されたPCT/NL2006/000625を参照されたい。本発明は、安定したRSV特異的抗体産生細胞を産生するための手段および方法を提供する。
【0054】
抗体産生細胞は、抗体もしくはその機能的等価物を産生および/もしくは分泌することが可能な細胞ならびに/または抗体もしくはその機能的等価物を産生および/もしくは分泌することが可能な細胞に発達することが可能な細胞として定義される。RSV特異的抗体産生細胞は、RSV、および/または例えば、RSV F(融合)タンパク質、RSV G(付着)タンパク質、もしくはRSV SH(小型疎水性)タンパク質のエピトープなどのRSVの構成成分に特異的に結合することが可能な抗体またはその機能的等価物を産生および/または分泌することが可能な細胞として本明細書において定義される。好ましくは、前記RSV特異的抗体産生細胞は、B細胞および/またはB細胞由来形質細胞を含む。B細胞は、活性化されたかまたは活性化されていないナイーブB細胞または記憶B細胞などのように、B細胞が、抗体産生が低度であるまたは全く存在しない段階にある場合でさえ、本明細書において抗体産生細胞と呼ばれる、なぜなら、そのような細胞は、形質芽球および/または形質細胞などの、抗体を産生する細胞に発達することが可能であるからである。
【0055】
本発明によるRSV特異的抗体産生細胞は、好ましくは、哺乳動物細胞を含む。非限定的な例は、ヒト個体、げっ歯動物、ウサギ、ラマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、サル、ゴリラに由来する抗体産生細胞を含む。好ましくは、前記抗体産生細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ウサギ細胞、および/またはラマ細胞を含む。
【0056】
BCL6は、正常なB細胞およびT細胞の発達および成熟のために必要とされ、胚中心の形成のために必要とされる転写抑制因子をコードする(Ye、1997年)。BCL6は、胚中心B細胞で高度に発現するのに対して、BCL6は、形質細胞ではほとんど発現しない。BCL6は、活性化B細胞の形質細胞への分化を阻害する。転写抑制因子Bリンパ球誘発性成熟タンパク質-1(Blimp-1)は、B細胞の形質細胞への発達に必要とされる。Blimp-1のヒト変異体は、Prdm1と名付けられている。本明細書において使用されるように、Blimp-1に対するあらゆる言及は、Prdm1に対する言及を含む。Blimp-1は、形質細胞分化を促進する。BCL6およびBlimp-1は、他方の発現を抑制する。したがって、一方が他方よりも高度な発現レベルに達する自然の状況において、分化の段階が実現される。ヒト体内では、活性化ナイーブB細胞または活性化記憶B細胞からの形質細胞の分化は、BCL6のダウンレギュレーションおよびBlimp-1のアップレギュレーションを伴う。胚中心細胞中で、BCL6発現は高度であり、Blimp-1発現は低度である。休止記憶細胞中で、BCL6およびBlimp-1の発現は低度である。分化のきっかけとなるシグナルは、Blimp-1のアップレギュレーションを引き起こし、このBlimp-1は、BCL6の発現を抑制する。BCL6およびBlimp-1の両方が発現する段階は一時的であり、形質芽球と呼ばれる。Blimp-1レベルを次第に増加させると、BCL6発現は消滅し、形質細胞がもたらされる。
【0057】
本発明の一実施形態において、BCL6およびBlimp-1が同時発現する(これは、BCL6およびBlimp-1の両方が、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも6週間、最も好ましくは少なくとも3ヵ月間、前記抗体産生細胞中で発現することを意味する)RSV特異的抗体産生細胞が提供される。前記RSV特異的抗体産生細胞は、適切なシグナルが提供される場合に、増殖することが可能である。BCL6およびBlimp-1の同時発現は、増殖および抗体の産生の両方が可能である抗体産生細胞をもたらすことが分かった。BCL6およびBlimp-1は、好ましくは、B細胞、好ましくはヒトB細胞中で同時発現する。B細胞中でのBCL6およびBlimp-1の同時発現は、形質芽球様の段階における前記B細胞の安定化をもたらす。形質芽球は、形質細胞のように、抗体を分泌することが可能である。しかしながら、形質芽球は、なお、増殖することが可能であるのに対して、形質細胞は、増殖するそれらの能力を失ってしまっている。したがって、形質細胞は、抗体産生細胞株の培養に適していない。
【0058】
1つの好ましい実施形態は、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列を含むRSV特異的抗体産生細胞を提供する。外来性核酸は、細胞のゲノムに天然には属さない核酸配列として本明細書において定義される。そのような外来性核酸分子を用いると、抗体産生細胞中のBCL6濃度を内因性BCL6の発現から独立して調節することが可能である。したがって、たとえ、内因性BCL6の発現が、例えばBlimp-1によって引き起こされて、低くなってもまたはなくなっても、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列は、抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼすのに十分である濃度のBCL6をなお産生することが可能である。好ましくは、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列は、恒常的に活性であり、前記細胞の内因性BCL6発現が、Blimp-1などの内因性抑制因子によって阻害される場合でさえ、BCL6発現は維持される。最も好ましくは、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列の発現は、抑制因子の外来性誘発因子によって調節され、BCL6発現の程度は、自由自在に調節される。
【0059】
好ましくは、より詳細に下記に概説されるように、本発明によるRSV特異的抗体産生細胞は、Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列を含む。Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体が存在する場合、低細胞密度の条件下で形質芽球を成長させることが可能である。Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列の発現は、好ましくは、抑制因子の外来性誘発因子によって調節され、Bcl-xL発現の程度は、自由自在に調節される。したがって、好ましい実施形態は、
・BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列、ならびに/または
・Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列
を含むRSV特異的抗体産生細胞を提供する。前記RSV特異的抗体産生細胞は、好ましくは、BCL6-またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列-ならびにBcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列の両方を含む。好ましくは、BCL6、Bcl-xL、またはBCL6もしくはBcl-xLの機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列の発現は、外来性化合物によって誘発可能である活性化因子ならびに/または抑制因子によって調節される。例えば、Tet-onシステムまたはTet-offシステムなどの誘発可能なプロモーターシステムが使用される。
【0060】
本発明による安定したRSV特異的抗体産生細胞は、好ましくは、RSV特異的抗体産生細胞中でのBCL6およびBlimp-1の同時発現により作製される。RSV特異的抗体産生細胞は、好ましくは、RSVに曝露した個体から得られる。抗体産生細胞を単離するための方法は、当技術分野においてよく知られている。例えば、標識および/またはタグを用いてマークされるRSV由来化合物を、RSVに曝露した個体の試料と共にインキュベートする。これらの試料は、抗体産生細胞を含んでいる。タグつきRSV由来化合物を認識するRSV特異的抗体産生細胞は単離されるが、非結合細胞は洗い流される。結果として得られるRSV特異的抗体産生細胞は、続いて、BCL6およびBlimp-1の同時発現によって安定化される。
【0061】
一実施形態は、最初に、RSV曝露ドナーからの全抗体産生細胞を安定化するステップおよび次いで、タグつきRSV由来化合物を認識する細胞を単離するステップを含む。他の実施形態において、抗体産生細胞はそれらのB細胞受容体(BCR、抗体の膜発現形態)の下流の(蛍光)マーカーを備え、該受容体は、抗体産生細胞がBCRを介して非タグつき/非標識抗原に結合する場合に、シグナル伝達する。マーカーが変わった抗体産生細胞が選択され、続いて、BCL6およびBlimp-1の同時発現によって安定化される。他の実施形態において、入手可能な抗原由来化合物がないが、唯一の抗体をスクリーニングするのに入手可能なアッセイがある場合、全/バルク抗体産生細胞は、BCL6およびBlimp-1ならびに任意選択でさらにBcl-XLを同時発現させることによって安定化される。この実施形態によれば、細胞は、L細胞の存在下で、好ましくは96ウェルあたり10〜100細胞の低密度で培養される(小規模バルク培養物、MBC)。培養上清は、ELISA、ウェスタンブロット、もしくはELISPOTのような機能的アッセイのようなスクリーニングアッセイ、中和アッセイ、または細胞移動アッセイにおいて直接的に使用することができる。
【0062】
一実施形態において、MBCは選択され、対象となる抗体産生細胞のモノクローナル細胞株を得るために、限界希釈培養が実施され、好ましくは2〜3週間後に、それらの培養物の上清は、好ましいアッセイにおいて再びスクリーニングされる。
【0063】
当業者によってよく知られているように、多くの代替の方法が、当技術分野において利用可能である。上述の実施形態は、非限定的である。
【0064】
したがって、少なくとも3ヵ月間安定しており、RSV特異的抗体またはその機能的等価物を産生することが可能である抗体産生細胞を産生するための方法であって、
・RSV特異的抗体またはその機能的等価物を産生することが可能である細胞中のBlimp-1の発現レベルを増加させるステップ、ならびに
・前記細胞中のBCL6発現レベルを増加させ、かつ/または維持するステップ
を含む方法がさらに提供される。
【0065】
本発明による方法を用いると、形質細胞への急速な分化が起こらないように、RSV特異的記憶B細胞を形質芽球様の細胞に変換し、前記細胞を安定化することが可能になった。これは、記憶B細胞中でのBlimp-1の発現が、形質細胞への急速な発達をもたらし、それによって、結果として得られる形質細胞がBCL6をほとんど発現しないようにBCL6発現を阻害する形質細胞の自然の発達と反対である。本発明の一実施形態は、したがって、増殖および抗体の産生の両方が可能である細胞をもたらす、RSV特異的B細胞中でのBCL6およびBlimp-1の両方の同時発現を含む。前記RSV特異的B細胞中のBCL6発現レベルは、好ましくは、形質芽球と比較して、本質的に、同じレベルまでまたはより高いレベルまで到達し、かつ同じレベルまたはより高いレベルに維持される。このように、RSV特異的B細胞の安定した培養物が作製され、これらの細胞は、RSV特異的抗体を産生し続けることが可能である。BCL6およびBlimp-1を同時発現するこれらのRSV特異的B細胞は、好ましくは、抗アポトーシス遺伝子Bcl-xLの追加を通してさらに安定化される。Bcl-xLを導入すると、低細胞密度の条件下で形質芽球を成長させることが可能になる。したがって、本発明はまた、低細胞密度の条件下で形質芽球を培養するための方法であって、本明細書において記載される方法のいずれかを用いて、BCL6、Blimp-1、およびBcl-xLの発現レベルを有するRSV特異的抗体産生細胞を作製するステップを含む方法を提供する。
【0066】
RSV特異的抗体産生細胞中のBCL6発現産物(好ましくはBCL6タンパク質)の量は、多種多様の方法において調節される。
【0067】
一実施形態では、抗体産生細胞は、BCL6発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である化合物に供される。抗体産生細胞は、好ましくは、Blimp-1の発現中のBCL6のダウンレギュレーションを抑制するために、BCL6発現を増強することが可能である化合物に供される。そのような化合物は、好ましくは、活性化および転写のシグナルトランスデューサー5(STAT5)タンパク質またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体ならびに/またはそれをコードする核酸配列を含む。STAT5は、BCL6発現を増強することが可能であるシグナルトランスデューサーである。STAT5の2つの知られている形態、STAT5aおよびSTAT5bがあり、これらは、2つの異なる、直列に連結された遺伝子によってコードされる。STAT5の投与および/または活性化は、BCL6レベルの増強をもたらす。したがって、Blimp-1によるBCL6のダウンレギュレーションは、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体による、BCL6のアップレギュレーション発現によって、少なくとも部分的に代償される。したがって、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体は、BCL6発現に直接的に影響を及ぼすことが可能である。BCL6発現に間接的に影響を及ぼすこともまた可能である。これは、例えば、その結果として直接的にまたは間接的にSTAT5を活性化し、かつ/またはSTAT5発現を調節することが可能である化合物の量を調節することによって行われる。したがって、一実施形態では、内在および/または外来STAT5の発現および/または活性は、増加させられる。例えば、STAT5を活性化することが可能であるインターロイキン(IL)2および/またはIL4の存在下で抗体産生細胞を培養することによってBCL6発現を間接的に増強することが可能である。
【0068】
一実施形態において、RSV特異的抗体産生細胞は、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供され、前記核酸配列は、恒常的に活性であり、STAT5が、(内因性)調節因子の存在と無関係に継続的に発現することを意味する。内因性STAT5発現が低いかまたはない場合において、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性恒常的活性核酸配列が、好ましくは適用されて、BCL6発現を増強するのに十分な、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体の濃度がもたらされる。最も好ましくは、RSV特異的抗体産生細胞は、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体、好ましくは融合タンパク質を含む化合物をコードする核酸配列に供され、この活性は、抑制因子の外来性誘発因子によって調節され、BCL6発現の活性の程度は、自由自在に調節される。BCL-6の誘発を可能にする他のシステムは、テトラサイクリンおよび/またはテトラサイクリンの誘導体の追加が、BCL6遺伝子転写を誘発し、その後、BCLタンパク質合成が後続する、トランス活性化因子の活性を誘発するTet-onシステムによって提供される。好ましい一実施形態において、抗体産生細胞は、融合タンパク質ER-STAT5としてエストロゲン受容体(ER)およびSTAT5をコードする核酸配列に供される。この融合タンパク質は、細胞質ゾル中で熱ショックタンパク質と複合体を形成するので、不活性である。このように、STAT5は、核に達することができず、BCL6発現は増強されない。外来誘発因子4ヒドロキシ-タモキシフェン(4HT)の投与に際して、融合タンパク質ER-STAT5は、熱ショックタンパク質から解離し、STAT5は、核に入り、BCL6発現を活性化することができる。
【0069】
さらにまたはあるいはまた、RSV特異的抗体産生細胞中のBCL6発現は、BCL6発現を直接的にまたは間接的に増強することが可能である化合物の存在下で前記抗体産生細胞を培養することによって増強される。
【0070】
一実施形態は、したがって、RSV特異的抗体産生細胞を産生するための方法であって、
・RSV特異的抗体産生細胞を、BCL6発現を直接的にもしくは間接的に増強することが可能である化合物に供するステップ、および/または
・BCL6発現を直接的にもしくは間接的に増強することが可能である化合物の存在下でRSV特異的抗体産生細胞を培養するステップ
を含む方法を提供する。BCL6発現を直接的にまたは間接的に増強することが可能である前記化合物は、好ましくは、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体を含む。したがって、前記RSV特異的抗体産生細胞を、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体またはSTAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供するステップを含む本発明による方法が提供される。一実施形態において、前記抗体産生細胞は、STAT5またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列の前記細胞の中への導入の後に培養される。前記核酸配列は、例えば、トランスフェクションおよび/またはウイルス媒介遺伝子移入によって前記細胞の中に導入される。さらなる説明をここで必要としない、細胞の中に核酸配列を導入するための多くの代替の方法が、当技術分野において利用可能である。
【0071】
BCL6発現を直接的にまたは間接的に増強することが可能である化合物を用いると、内因性BCL6の発現を増強することが可能である。好ましい一実施形態において、しかしながら、抗体産生細胞は、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供される。本明細書において上記で説明されるように、BCL6をコードする外来性核酸は、これが、細胞内のBCL6濃度の調節を内因性BCL6の発現から独立して可能にするので、好ましい。したがって、たとえ、内因性BCL6の発現が、例えばBlimp-1によって引き起こされて、低くなってもまたはなくなっても、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列は、抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼすのに十分である濃度のBCL6をなお産生することが可能である。したがって、RSV特異的抗体産生細胞を、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供するステップを含む本発明による方法もまた提供される。好ましくは、前記抗体産生細胞は、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする恒常的に活性な核酸配列に供され、前記細胞の内因性BCL6発現が、Blimp-1などの内因性抑制因子によって阻害される場合でさえ、BCL6発現は維持される。最も好ましくは、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列の発現は、抑制因子の外来性誘発因子によって調節され、BCL6発現の程度は、自由自在に調節される。例えば、Tet-onシステムまたはTet-offシステムなどの誘発可能なプロモーターシステムが、既に記載されるように、使用される。
【0072】
他の好ましい実施形態において、本発明は、BCL6の量が、RSV特異的抗体産生細胞をE47またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供することによって間接的に調節される方法を提供する。E47は、E-タンパク質と名付けられるヘリックス-ループ-ヘリックスタンパク質のファミリーに属する転写因子をコードする。4つのE-タンパク質、E12、E47、E2-2、およびHEBがあり、これらは、リンパ球発達において関与する。E12およびE47は、E2Aと名付けられる1つの遺伝子によってコードされ、これは、異なってスプライシングされる。E-タンパク質は、Eタンパク質阻害剤Id2およびId3によってならびにABF-1によって阻害することができる(Mathas S.、2006)。Eタンパク質は、腫瘍抑制因子として報告されており、過剰発現がアポトーシスを誘発することが示されている。E47の特異的標的の1つは、Socs1遺伝子およびSocs3遺伝子である。それらのSocs遺伝子は、STAT5bおよびしたがって間接的にBCL6の負の調節因子として知られている。言い換えれば、B細胞内のE47の発現は、抗体産生表現型(形質細胞)へのB細胞分化をもたらすBlimp-1発現を増強する。
【0073】
RSV特異的抗体産生細胞中のBlimp-1発現の量もまた、多種多様の方法において調節される。一実施形態において、RSV特異的抗体産生細胞は、直接的にまたは間接的にBlimp-1発現に影響を及ぼすことが可能である化合物に供される。さらにまたはあるいはまた、抗体産生細胞は、直接的にまたは間接的にBlimp-1発現に影響を及ぼすことが可能である化合物の存在下で培養される。したがって、RSV特異的抗体産生細胞を、Blimp-1発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である化合物に供するステップを含む本発明による方法がさらに提供される。Blimp-1発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である化合物の存在下で前記抗体産生細胞を培養するステップを含む本発明による方法がさらに提供される。好ましくは、BCL6の発現の間に、Blimp-1のダウンレギュレーションを抑制するために、Blimp-1発現を増強することが可能である化合物が使用される。前記化合物は、最も好ましくは、IL-21を含む。
【0074】
好ましい一実施形態において、Blimp-1発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である前記化合物は、活性化および転写のシグナルトランスデューサー3(STAT3)タンパク質またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体ならびに/またはそれをコードする核酸配列を含む。STAT3は、B細胞の発達および分化において関与するシグナルトランスデューサーである。STAT3は、Blimp-1発現をアップレギュレートすることが可能である。したがって、Blimp-1発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である前記化合物は、STAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体またはSTAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列を含む本発明による方法がさらに提供される。最も好ましくは、STAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする前記核酸配列の発現は、抑制因子の外来性誘発因子によって調節され、STAT3発現の程度は、自由自在に調節される。例えば、Tet-onシステムまたはTet-offシステムなどの誘発可能なプロモーターシステムが使用される。一実施形態において、STAT3、誘導体または類似体およびERから構成される融合産物が前記細胞中に導入されて、ヒドロキシタモキシフェンによるSTAT3発現の調節を可能にする。
【0075】
STAT3は、Blimp-1発現に影響を及ぼすことが可能であるので、STAT3の活性および/または発現を直接的にまたは間接的に調節することが可能である化合物を投与することによって、Blimp-1発現を間接的に調節することもまた可能である。一実施形態において、抗体産生細胞は、STAT3の活性を増強することが可能である化合物に供され、Blimp-1発現が、同様に間接的に増強される。したがって、抗体産生細胞が、STAT3の活性を直接的にまたは間接的に増強することが可能である化合物に供される、本発明による方法がさらに提供される。
【0076】
したがって、一実施形態において、抗体産生細胞は、Blimp-1発現を増強するために、STAT3を直接的にまたは間接的に活性化することが可能である化合物に供される。
【0077】
STAT3は、多種多様の方法において活性化される。好ましくは、STAT3は、抗体産生細胞をサイトカインに供することによって活性化される。サイトカインは、B細胞分化に自然に関与するが、STATタンパク質を調節するのに非常に有効である。STAT3の非常に有効な活性化因子は、IL-21およびIL-6であるが、IL-2、IL-7、IL-10、IL-15、およびIL-27もまた、STAT3を活性化することが知られている。さらに、先天免疫において関与するToll様受容体(TLR)もまた、STAT3を活性化することが可能である。したがって、一実施形態は、Blimp-1発現に直接的にまたは間接的に影響を及ぼすことが可能である前記化合物が、IL-21、IL-2、IL-6、IL-7、IL-10、IL-15、および/またはIL-27を含む、本発明の方法を提供する。IL-21は抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼすのに特に適しているので、最も好ましくは、IL-21が使用される。Blimp-1発現が、BCL6によって抑制される場合でさえ、IL-21は、Blimp-1発現をアップレギュレートすることが可能である。
【0078】
さらにまたはあるいはまた、突然変異Janusキナーゼ(JAK)は、STAT3を活性化するために使用される。天然には、JAKは、少なくとも1つのサイトカインによってそれ自体が活性化された後に、STAT3をリン酸化することが可能である。サイトカインの存在と無関係にSTAT3を活性化することが可能である突然変異Janusキナーゼは、本発明による方法において特に適している。
【0079】
先に既に説明されるように、一実施形態における、Blimp-1発現を増強することが可能である化合物は、STAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列を含む。STAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列の存在は、内因性STAT3の発現が非常に低いかまたはない場合でさえ、STAT3またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体の継続的な存在を可能にする。
【0080】
Blimp-1をアップレギュレートするためにSTAT5の発現および/または活性を減少させることもまた可能である。STAT5の量および/または活性が減少すると、BCL6発現の活性化は、同様に、減少し、BCL6発現産物の量の減少がもたらされる。BCL6およびBlimp-1は、互いの発現を抑制するので、BCL6発現産物の量の減少は、Blimp-1発現産物の量の増加をもたらす。STAT5の活性をダウンレギュレートすることが可能である化合物は、したがって、Blimp-1を間接的にアップレギュレートすることが可能である。そのような化合物は、例えば、サイトカインシグナル伝達(SOCS)タンパク質の抑制因子のメンバーを含む。一実施形態において、RSV特異的抗体産生細胞中のBlimp-1発現産物の量は、したがって、前記細胞をSOCSタンパク質に供することによって、かつ/または前記細胞内のSOCSタンパク質を活性化することによってアップレギュレートされる。
【0081】
好ましい一実施形態において、STAT5の発現および/または活性は、RSV特異的抗体産生細胞が、E47またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供される場合に減少する。高レベルのSTAT5bを発現するB細胞内のE47の発現は、分化および増殖に干渉する、つまり、E47およびSOCSを介してのSTAT5のブロッキングは、BCL6レベルの減少をもたらし、続いて、Blimp-1レベルの増加をもたらす。Blimp-1のレベルのアップレギュレートは、増殖の減少をもたらし、抗体産生細胞への関与する細胞の分化をもたらす。言い換えれば、B細胞内のE47の発現は、抗体産生表現型(形質細胞)へのB細胞分化をもたらすBlimp-1発現を増強する。
【0082】
STAT5タンパク質、STAT3タンパク質、Bcl-xL、および/またはBCL6の少なくとも1つの機能的部分とは、それぞれ、STAT5タンパク質、STAT3タンパク質、Bcl-xL、および/またはBCL6と比較して、抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼすための同じ能力(必ずしも量においてとは限らないが、性質において)を有するタンパク質性分子を意味する。STAT5タンパク質またはSTAT3タンパク質の機能的部分は、例えば、前記能力において関与しないかまたはごく僅かしか関与しないアミノ酸が欠けている。STAT5タンパク質、STAT3タンパク質、Bcl-xL、および/またはBCL6の誘導体は、抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼす前記タンパク質の能力が、必ずしも量においてとは限らないが、性質において、本質的に同じであるように変化させたタンパク質として定義される。誘導体は、例えば、あるアミノ酸が、一般に類似している特性(サイズ、疎水性など)を有する他のアミノ酸によって置換され、全体的な機能が、おそらく、深刻に影響を与えられないように考えられる保存的アミノ酸置換を通して、多くの方法において提供される。誘導体は、例えば、活性が、4ヒドロキシ-タモキシフェン(4HT)の存在に依存する、STAT5-ER融合タンパク質またはSTAT3-ER融合タンパク質などの融合タンパク質を含む。STAT5タンパク質、STAT3タンパク質、Bcl-xL、および/またはBCL6の類似体は、必ずしも量においてとは限らないが、性質において、抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼす同じ能力を有する分子として定義される。前記類似体は、必ずしも、前記STAT5タンパク質、STAT3タンパク質、Bcl-xL、および/またはBCL6に由来するわけではない。
【0083】
好ましい一実施形態において、前記RSV特異的抗体産生細胞は、前記抗体産生細胞が、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供される前に、IL-21の存在下で培養される。前記細胞が、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供される前に、IL-21の存在下で、RSV特異的抗体産生細胞、好ましくはB細胞を培養することは、これらの実施形態において、安定性、増殖、および/または抗体産生が、特に十分に改善されるので、好ましい。
【0084】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書において記載されるRSV特異的抗体産生細胞の安定性に影響を及ぼすための方法であって、前記抗体産生細胞内のBcl-xL発現産物の量を直接的にまたは間接的に増加させるステップをさらに含む方法を提供する。これは、例えば、前記抗体産生細胞を、Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列またはBcl-2を含むが、これらに限定されない他の抗アポトーシス遺伝子をコードする核酸配列に供することによって達成される。他の実施形態において、これは、直接的にまたは間接的にBcl-xL発現を増強することが可能である化合物を前記抗体産生細胞に提供することによって達成され、好ましくは前記化合物は、APRIL、BAFF、CD40、BCR刺激、サイトカイン、成長因子、またはJNKおよびAKT(PKB)のような下流エフェクターを含む。
【0085】
Bcl-xLは、抗アポトーシスBcl-2ファミリーのメンバーであり、Bcl2タンパク質は、内因性死刺激に後続するシトクロムc放出を誘発する、Bax、Bak、Bim、およびBadなどの、いわゆるBcl-2相同性ドメイン3(BH3)-onlyファミリーメンバーと相互作用し、抑制する(Boise, L. H.、1993)。したがって、Bcl-xLのようなタンパク質を通してのミトコンドリア膜完全性の保護は、細胞生存にとって決定的である。
【0086】
STAT5活性化は、細胞死から細胞を保護することが示されている。STAT5は、Bcl-xLの発現を調節し、STAT5の抗アポトーシスの役割を支持することが示された。STAT5は、Bcl-xLプロモーター内のSTAT結合エレメントを通してBcl-xL発現を正に調節する。in vivoにおいて、Bcl-xL発現は、STAT5A/B二重欠損マウスの骨髄において不在である。さらに、STAT5媒介赤芽球生存は、Bcl-xLのアップレギュレーションに依存する。最近、マウスB細胞中のBcl-xLのトランスジェニック過剰発現は、B細胞生存および非悪性形質細胞の増殖巣を促進することが示された。
【0087】
本発明による方法は、増殖し抗体を分泌することが可能であるRSV特異的抗体産生細胞を含む細胞培養物を産生するのに特に適している。一実施形態において、RSV特異的記憶B細胞は、ex vivoB細胞培養物を産生するために使用される。前記記憶B細胞は、好ましくは、ヒトであり、ヒト抗体が産生される。前記B細胞は、好ましくは個体から生じ、この個体は、以前に呼吸器合胞体ウイルスに曝露している。一実施形態において、RSV特異的B細胞は、当技術分野において知られている方法を使用して、末梢血試料および/または扁桃腺試料から単離される。記憶B細胞は、例えば、B細胞マーカーCD19および/もしくはCD22の選択(磁気ビーズ選別)ならびに(それに続く)細胞表面IgGおよび/もしくはCD27の選択によってならびに/またはIgM、IgD、および/もしくはIgAの負の選択によって、単離される。胚中心B細胞において、BCL6発現が高いのに対して、Blimp-1発現は低い。抗体分泌細胞への天然での発達は、Blimp-1発現のアップレギュレーションを伴う。Blimp-1がBCL6発現を抑制するので、Blimp-1のアップレギュレーションは、天然の状況においてBCL6のダウンレギュレーションをもたらす。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、Blimp-1発現は、アップレギュレートされるが、BCL6発現は、少なくとも部分的に維持される。これは、BCL6およびBlimp-1が同時発現されるRSV特異的抗体産生細胞をもたらす。前記RSV特異的抗体産生細胞は、増殖し、抗RSV抗体を分泌することが可能であり、したがって、ex vivoB細胞培養物における使用に適している。他の好ましい実施形態において、前記抗体産生細胞は、Bcl-xLによってアポトーシスから保護される。本発明によるRSV特異的抗体産生細胞は、それが、安定しており、長期間、最終分化を受けないといった利点を提供する。本発明による前記抗体産生細胞は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1ヵ月間、より好ましくは少なくとも3ヵ月間、最も好ましくは少なくとも6ヵ月間安定している。ほとんどのB細胞の複製がCD40Lによって支持されるので、本発明によるB細胞は、好ましくは、CD40Lの存在下で培養される。
【0088】
一実施形態において、著しいBCL6発現が、Blimp-1発現と共に、好ましい増殖および抗体産生の特性および/または安定性を有する抗体産生細胞をもたらすので、BCL6発現は、胚中心B細胞と比較して、本質的に同じレベルまたはより高度なレベルで維持される。好ましい実施形態において、前記BCL6発現および/またはBlimp-1発現は、Bcl-xL発現が伴い、より好ましい増殖および抗体産生の特性および/または安定性がもたらされる。
【0089】
したがって、一実施形態は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1ヵ月間、より好ましくは少なくとも3ヵ月間、より好ましくは少なくとも6ヵ月間安定しているRSV特異的抗体産生細胞を産生するための方法であって、
・RSV特異的記憶B細胞を準備するステップ、
・前記細胞中のBlimp-1の発現レベルを増加させるステップ、ならびに
・前記細胞中のBCL6発現レベルを増加させ、かつ/または維持するステップ
を含む方法を提供する。RSV特異的抗体産生細胞を産生するためのex vivo方法であって、RSV特異的記憶B細胞中のBlimp-1の発現レベルを増加させるステップ、ならびに前記細胞中のBCL6発現レベルを増加させ、かつ/または維持するステップを含む方法もまた提供される。前記BCL6およびBlimp-1の発現レベルは、好ましくは、形質芽球と比較して、本質的に、同じレベルまでもしくはより高いレベルまで到達し、かつ/または同じレベルもしくはより高いレベルに維持される。好ましい実施形態において、前記B細胞は、BCL6およびBcl-xLを用いて形質導入される。したがって、少なくとも3ヵ月間安定しているRSV特異的抗体産生細胞を産生するための方法であって、
・RSV特異的抗体を産生することが可能であるB細胞を、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体に供するステップ、ならびに
・Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体を前記B細胞に提供するステップ、ならびに
・前記B細胞を培養するステップ
を含む方法がさらに提供される。
【0090】
前記B細胞は、好ましくは、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列または核酸配列Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体に供される。
【0091】
前記B細胞は、好ましくは、例えばIL-21、IL-2、IL-6、Il-7、IL-10、IL-15、IL-27、または突然変異Janusキナーゼなどの、Blimp-1発現を増強することが可能である化合物の存在下で培養される。好ましくは、IL-21は、このサイトカインが、本発明による方法を用いて、Blimp-1発現を増強し、抗体産生細胞を安定化するのに特に適しているので、使用される。さらに、形質導入効率を増強するために、前記B細胞は、好ましくは、前記B細胞が、BCL6および/もしくはBcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列を用いて形質導入される前に、IL-21の存在下で培養される。
【0092】
一実施形態において、前記B細胞は、SOCSタンパク質またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体が、Blimp-1発現を間接的に増強することができるので、SOCSタンパク質またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体またはそれをコードする核酸に供される。他の代替のまたはさらなる実施形態において、前記B細胞は、E47またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体またはそれをコードする核酸に供される。前に既に概説されるように、E47またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体のレベルの増加の結果として、Socsタンパク質機能は、増強され、Blimp-1発現は、間接的に増加する。
【0093】
実施例において、特に好ましい実施形態が示される。特に好ましい一実施形態によれば、RSV特異的B細胞は、IL-21の存在下で最初に培養される。続いて、B細胞は、BCL6をコードする核酸およびBcl-xLをコードする核酸を使用する形質導入反応にかけられる。好ましくは、スピン形質導入が使用される。最も好ましくは、B細胞および対象となる少なくとも1つの核酸を含むウイルスが混合され、その後、混合物は、高度な形質導入効率を達成するために遠心する。形質導入の後に、B細胞は、BCL6発現を可能にするために、3〜5日の間、Il-21の不在下においてかつIl-4およびL細胞の存在下で再び培養される。続いて、この好ましい実施形態によれば、B細胞は、BCL6をコードする核酸およびBcl-xLをコードする核酸を使用する形質導入反応に再びかけられる。その後、B細胞は、BCL6発現を可能にするために、3〜5日の間、Il-21の不在下においてかつIl-4およびL細胞の存在下で再び培養される。続いて、BCL6およびBcl-xLを発現する細胞は、単離され、IL-21は、複製および抗体産生を増強するために培養物に再び投与される。培養上清中のBcl-6、Blimp1、およびBcl-XLを発現する細胞によって分泌される抗体は、好ましくは、RSVに対するin vitro中和能力/活性/反応性についてスクリーニングされる。それらの抗体を産生する抗体産生細胞は、好ましくは、例えば限界希釈培養によってさらに選択される。安定したRSV特異的B細胞がこうして得られ、BCL6およびBlimp-1は同時発現される。前記B細胞は、in vitro培養物中で、少なくとも6ヵ月間、複製し、抗体を産生することができる。
【0094】
一実施形態は、RSV特異的抗体またはその機能的等価物を選択および/または単離するステップをさらに含む本発明による方法を提供する。一実施形態において、IgM産生細胞およびIgG産生細胞を選択および/または単離する。好ましくは、IgG産生細胞を選択および/または単離する。
【0095】
本発明による方法を用いて生成されるRSV特異的抗体産生細胞は、RSVに対する抗体を産生するのに適している。しかしながら、好ましい一実施形態において、Ig重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子は、前記細胞から単離され、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株または293(T)細胞の細胞などの第2の細胞中で発現する。本明細書においてプロデューサー細胞と呼ばれる前記第2の細胞は、好ましくは、商用の抗体産生に適応している。前記プロデューサー細胞の増殖は、RSV特異的抗体を産生することが可能であるプロデューサー細胞株をもたらす。好ましくは、前記プロデューサー細胞株は、ヒトにおける使用のための化合物を産生するのに適している。したがって、前記プロデューサー細胞株は、好ましくは、病原性微生物などの病原性作用物がない。
【0096】
本発明による方法は、好ましくは、商用の抗体製造が可能になるように、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1ヵ月間、より好ましくは少なくとも3ヵ月間、より好ましくは少なくとも6ヵ月安定な抗体産生細胞の作製に使用される。最も好ましくは、モノクローナル抗体を産生することが可能である安定した細胞株が作製される。これは、好ましくは、例えば、CD19および/もしくはCD22(B細胞マーカー)ならびに細胞表面IgGおよび/もしくは(記憶細胞のマーカー)CD27の選択によってならびに/またはIgM、IgD、および/もしくはIgAの負の選択によって、試料から単離された記憶B細胞を使用することによって行われる。さらに、RSV特異的抗体産生細胞は、例えば、RSVまたは例えばRSV Fタンパク質、Gタンパク質、および/もしくはSHタンパク質などの、RSVに由来する構成成分を使用して、結合アッセイにおいて選択される。続いて、この好ましい実施形態によれば、Blimp-1およびBCL6は、前記RSV特異的抗体産生細胞中で同時発現し、RSV(の構成成分)に特異的に結合することが可能である細胞の培養物をもたらす。他の好ましい実施形態において、前記B細胞は、Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体にさらに供される。
【0097】
たった1つの記憶細胞が使用される場合、モノクローナル抗体を産生する本発明による細胞株が得られる。RSVに対する抗体を産生することが可能であるB細胞から始めて、モノクローナル抗体産生細胞株を作製することもまた可能である。安定したB細胞培養物が、本発明による方法を用いて産生された後に、RSVの特異的抗原に対する抗体を産生することが可能であるB細胞は、単離され、前記B細胞からのIg重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つの機能的部分が、好ましくは、第2の細胞株において発現される。好ましくは、前記B細胞からのIg重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つの機能的部分およびIg軽鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つの機能的部分が、第2の細胞株において発現される。
【0098】
一実施形態において、以前にRSVに曝露している個体から得られる抗体産生細胞、必ずしもではないが、好ましくは記憶B細胞が、本発明による方法において使用される。このように、ex vivoにおいて対象となるヒト抗体を製造することが可能になった。
【0099】
したがって、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合し、かつ/またはそれを中和することが可能である抗体を製造するための方法であって、
・本発明による方法を用いてRSV特異的抗体を産生することが可能である抗体産生細胞を作製するステップ、および
・前記抗体産生細胞によって産生される抗体を得るステップ
を含む方法がさらに提供される。
【0100】
本発明による方法によって入手可能である単離もしくは組換え抗体および単離もしくは組換え抗体産生細胞またはその機能的等価物もまた提供される。前記抗体は、好ましくは、抗体D25、AM14、AM16、および/もしくはAM23またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体を含む。
【0101】
本発明によるRSV特異的抗体産生細胞が得られた後、好ましくは、前記細胞のIg重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つの機能的部分を単離しかつ/または人工的に作製する。一実施形態において、図11、図12、図14A、図14B、および/または図14Cに示される核酸配列の少なくとも1つの機能的部分を含む核酸配列が提供される。前記機能的部分は、好ましくは、図11D、図12、図14A、図14B、および/または図14Cに示される少なくとも1つの核酸配列を含む。前記機能的部分は、好ましくは、図11D、図12、図14A、図14B、および/または図14Cに示される少なくとも1つのCDRをコードする。
【0102】
配列CAGGTGCAGCTGGTACAGTCTGGGGCTGAAGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGATGGTCTCCTGCCAGGCCTCTGGAGGCCCCCTCAGAA、ACTATATTATCAAC、TGGCTACGACAGGCCCCTGGACAAGGCCCTGAGTGGATGGGA、GGGATCATTCCTGTCTTGGGTACAGTACACTACGCACCGAAGTTCCAGGGC、AGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACAGACACAGCCTACATCCATCTGATCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCGACG、GAAACAGCTCTGGTTGTATCTACTACCTACCTACCACACTACTTTGACAAC、TGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAG、および/またはCAGGTGCAGCTGGTACAGTCTGGGGCTGAAGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGATGGTCTCCTGCCAGGCCTCTGGAGGCCCCCTCAGAAACTATATTATCAACTGGCTACGACAGGCCCCTGGACAAGGCCCTGAGTGGATGGGAGGGATCATTCCTGTCTTGGGTACAGTACACTACGCACCGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACAGACACAGCCTACATCCATCTGATCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCGACGGAAACAGCTCTGGTTGTATCTACTACCTACCTACCACACTACTTTGACAACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記重鎖配列は、好ましくは、抗体D25に由来する。前記重鎖配列は、好ましくは、図11Dに示される配列に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同な配列を含む。上述の重鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0103】
配列GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCAGCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGC、CAGGCGAGTCAGGACATTGTCAACTATTTAAAT、TGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTAC、GTTGCATCCAATTTGGAGACA、GGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTAGTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATGTTGCAACATATTATTGT、CAACAATATGATAATCTCCCA、CTCACATTCGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAAAGAおよび/またはGACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCAGCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGACATTGTCAACTATTTAAATTGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGTTGCATCCAATTTGGAGACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTAGTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATGTTGCAACATATTATTGTCAACAATATGATAATCTCCCACTCACATTCGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAAAGAの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する軽鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた提供される。前記軽鎖配列は、好ましくは、抗体D25に由来する。
【0104】
前記軽鎖配列は、好ましくは、図11Dに示される配列に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同な配列を含む。上述の軽鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0105】
配列GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCGGCCTCT、GGATTCAGCTTCAGTCACTATGCC、ATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGACTGGAGTGGGTGGCAGTT、ATATCTTATGATGGAGAAAATACA、TATTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCTCCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACAGTGTCTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTCTATATTACTGT、GCGAGAGACCGCATAGTGGACGACTACTACTACTACGGTATGGACGTC、TGGGGCCAAGGGGCCACGGTCACCGTCTCCTCAGおよび/またはGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCGGCCTCTGGATTCAGCTTCAGTCACTATGCCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGACTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCTTATGATGGAGAAAATACATATTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCTCCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACAGTGTCTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTCTATATTACTGTGCGAGAGACCGCATAGTGGACGACTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGGCCACGGTCACCGTCTCCTCAの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記重鎖配列は、好ましくは、抗体AM14に由来する。上述の重鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0106】
配列GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGT、CAGGACATTAAGAAGTAT、TTAAATTGGTATCATCAGAAACCAGGGAAAGTCCCTGAGCTCCTGATGCAC、GATGCATCC、AATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGGGGATCTGGGACAGATTTTACTCTCACCATTAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGGAACATATTACTGT、CAACAGTATGATAATCTGCCTCCGCTCACT、TTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACおよび/またはGACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGACATTAAGAAGTATTTAAATTGGTATCATCAGAAACCAGGGAAAGTCCCTGAGCTCCTGATGCACGATGCATCCAATTTGGAAACAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGGGGATCTGGGACAGATTTTACTCTCACCATTAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGGAACATATTACTGTCAACAGTATGATAATCTGCCTCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する軽鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた提供される。前記軽鎖配列は、好ましくは、抗体AM14に由来する。上述の軽鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0107】
配列GAGGTGCAGCTGGTGGAGACCGGGGGAGGCCTGGCCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCT、GGATTCACATTCAGTAGTTATAAC、ATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCACAC、ATTAGTGCGGGTAGTAGTTACATA、TACTACTCAGACTCAGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAACGTCAGGAACTCAGTATATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGCTGACACGGCTGTGTATTACTGT、GCGAGAGAGGATTATGGTCCGGGAAATTATTATAGTCCTAACTGGTTCGACCCC、TGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGおよび/またはGAGGTGCAGCTGGTGGAGACCGGGGGAGGCCTGGCCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACATTCAGTAGTTATAACATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCACACATTAGTGCGGGTAGTAGTTACATATACTACTCAGACTCAGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAACGTCAGGAACTCAGTATATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGCTGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGATTATGGTCCGGGAAATTATTATAGTCCTAACTGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記重鎖配列は、好ましくは、抗体AM16に由来する。上述の重鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0108】
配列CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGAGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGC、AGCTCCAACATCGGGGCAGGTTATGAT、GTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTAT、GGCAACACT、AATCGGCCCTCAGGGGTCTCCGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGC、CACTCCTATGACAGAAGCCTGAGTGGT、TCAGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGおよび/またはCAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGAGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGCAACACTAATCGGCCCTCAGGGGTCTCCGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCACTCCTATGACAGAAGCCTGAGTGGTTCAGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する軽鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた提供される。前記軽鎖配列は、好ましくは、抗体AM16に由来する。上述の軽鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0109】
配列CAGGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAAATGTGGTCAAGCCTGGGACGTCCCTGAGACTGTCCTGTGCAGCGACT、GGATTCAACTTCCATAACTACGGC、ATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCGGTT、GTTTGGTATGATGGAAGTAAGAAA、TACTATGCAGACTCCGTGACGGGCCGATTCGCCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACTCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGTCGAGGACACGGCTGTTTATTATTGT、GTGAGAGATAAAGTGGGACCGACTCCCTACTTTGACTCC、TGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTATCCTCAGおよび/またはGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAAATGTGGTCAAGCCTGGGACGTCCCTGAGACTGTCCTGTGCAGCGACTGGATTCAACTTCCATAACTACGGCATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCGGTTGTTTGGTATGATGGAAGTAAGAAATACTATGCAGACTCCGTGACGGGCCGATTCGCCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACTCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGTCGAGGACACGGCTGTTTATTATTGTGTGAGAGATAAAGTGGGACCGACTCCCTACTTTGACTCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCGAGTの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記重鎖配列は、好ましくは、抗体AM23に由来する。上述の重鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0110】
配列TCCTATGTGCTGACTCAGCCACCCTCGGTGTCACTGGCCCCAGGAGGGACGGCCGCGATCACCTGTGGAAGAAAC、AACATTGGAAGTGAAACT、GTGCACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCCCCTGTGCTGGTCGTCTAT、GATGATGAC、GACCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACGGCCACCCTGACCATCAGCAGGGTCGAGGCCGGGGATGAGGCCGACTATTACTGT、CAGGTGTGGGATAGGAGTAATTATCATCAGGTA、TTCGGCGGAGGGACCAAGTTGACCGTCCTAGおよび/またはTCCTATGTGCTGACTCAGCCCCCCTCGGTGTCACTGGCCCCAGGAGGGACGGCCGCGATCACCTGTGGAAGAAACAACATTGGAAGTGAAACTGTGCACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGCCAGGCCCCTGTGCTGGTCGTCTATGATGATGACGACCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACGGCCACCCTGACCATCAGCAGGGTCGAGGCCGGGGATGAGGCCGACTATTACTGTCAGGTGTGGGATAGGAGTAATTATCATCAGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCの少なくとも一部分に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%相同であり、前記部分が、少なくとも15ヌクレオチドを有する軽鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた提供される。前記軽鎖配列は、好ましくは、抗体AM23に由来する。上述の重鎖配列のいずれかからなる重鎖配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列もまた、これと共に提供される。
【0111】
図11、図14A、図14B、および/または図14Cに示されるアミノ酸配列の少なくとも1つの機能的部分に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列であって、前記部分が、少なくとも5アミノ酸残基を有する核酸配列もまた提供される。前記核酸配列は、好ましくは、図11Dに示される重鎖CDR配列1、2、および/もしくは3ならびに/または軽鎖CDR配列1もしくは2に少なくとも80%同一なアミノ酸配列をコードする。他の好ましい実施形態において、前記核酸配列は、図14Aにおいて、図14Bにおいて、および/または図14Cに示されるCDR配列の少なくとも1つに少なくとも80%同一なアミノ酸配列をコードする。好ましい一実施形態において、前記核酸配列は、図11Aに示される重鎖配列に、図14Aに示される重鎖配列に、図11Bに示される重鎖配列に、図14Cに示される重鎖配列に、図11Aに示される軽鎖配列に、図14Aに示される軽鎖配列に、図14Bに示される軽鎖配列に、および/または図14Cに示される軽鎖配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列をコードする。
【0112】
したがって、図11A〜Dに示されるアミノ酸配列に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%同一であるアミノ酸配列をコードする配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記核酸配列は、好ましくは、図11A〜Dに示される重鎖CDR配列1、2、および/もしくは3ならびに/または軽鎖CDR配列1もしくは2に少なくとも80%同一なアミノ酸配列をコードする。一実施形態は、アミノ酸配列NYIINに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列GIIPVLGTVHYAPKFQGに少なくとも75%同一であり、かつ/または配列ETALVVSTTYLPHYFDNに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列QASQDIVNYLNに少なくとも85%同一であり、かつ/または配列VASNLETに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVMVSCQASGGPLRNYIINWLRQAPGQGPEWMGGIIPVLGTVHYAPKFQGRVTITADESTDTAYIHLISLRSEDTAMYYCATETALVVSTTYLPHYFDN WGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列DIQMTQSPSSLSAAVGDRVTITCQASQDIVNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFSLTISSLQPEDVATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一なアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離、合成、または組換え核酸配列を提供する。
【0113】
本発明による核酸配列は、上記の配列のいずれかに、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である。
【0114】
図14A〜Cに示されるアミノ酸配列に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%同一であるアミノ酸配列をコードする配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列がさらに提供される。前記核酸配列は、好ましくは、図14A、14B、および/または14Cに示されるCDR配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列をコードする。一実施形態は、GFSFSHYA、ISYDGENT、ARDRIVDDYYYYGMDV、QDIKKY、DAS、QQYDNLPPLT、EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFSFSHYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGENTYYADSVKGRFSISRDNSKNTVSLQMNSLRPEDTALYYCARDRIVDDYYYYGMDVWGQGATVTVSS、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDIKKYLNWYHQKPGKVPELLMHDASNLETGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIGTYYCQQYDNLPPLTFGGGTKVEIKRTV、GFTFSSYN、ISAGSSYI、AREDYGPGNYYSPNWFDP、SSNIGAGYD、GNT、HSYDRSLSG、EVQLVETGGGLAQPGGSLRLSCAASGFTFSSYNMNWVRQAPGKGLEWVSHISAGSSYIYYSDSVKGRFTVSRDNVRNSVYLQMNSLRAADTAVYYCAREDYGPGNYYSPNWFDPWGQGTLVTVSS、QSVVTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNTNRPSGVSDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCHSYDRSLSGSVFGGGTKLTV、GFNFHNYG、VWYDGSKK、VRDKVGPTPYFDS、NIGSET、DDD、QVWDRSNYHQV、EVQLVESGGNVVKPGTSLRLSCAATGFNFHNYGMNWVRQAPGKGLEWVAVVWYDGSKKYYADSVTGRFAISRDNSKNTLYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDKVGPTPYFDSWGQGTLVTVSS、およびSYVLTQPPSVSLAPGGTAAITCGRNNIGSETVHWYQQKPGQAPVLVVYD
DDDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDRSNYHQVFGGGTKLTVからなる群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離、合成、または組換え核酸配列を提供する。
【0115】
本発明による核酸配列は、上記の配列のいずれかに、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である。
【0116】
本明細書において上記で既に説明されているように、本発明による核酸配列は、核酸発現システムにおいて、本発明による抗体またはその機能的部分、誘導体、もしくは類似体、好ましくはD25、AM14、AM16、AM23、または、その機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体を発現させるのに特に適している。本発明による核酸配列は、好ましくは、抗体産生に適応している細胞中で、より好ましくはプロデューサー細胞中で発現する。
【0117】
以下の実施例において本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定しないが、単に、本発明を明確にするのに役立つ。
【実施例】
【0118】
材料および方法
ヒトB細胞の維持および単離
標準的手順を使用して、CD19陽性ヒトB細胞を血液バンク由来バフィーコート(他の供給源は、抗凝固因子を含む新鮮血または例えば扁桃腺もしくは脾臓であるリンパ器官であっても良い)から単離した。簡潔には、全末梢血単核球細胞(PBMC)をフィコール密度分離(Amersham,Buckinghamshire,UK)を使用して単離した。CD22標識ビーズを製造者(Miltenyi,Utrecht,Netherlands)によって記載されたとおりMACS細胞選別技術により陽性として選択されたB細胞に使用した。続いて細胞を、CD19、CD27、IgD、IgMおよびIgAに対するモノクローナル抗体(mAb)の適切な組合せ(Becton Dickinson (BD),Franklin Lakes,NJ,USA)で染色した。次いでCD19およびCD27に陽性でありIgM、IgAおよびIgD陰性である記憶B細胞をFACSAria(BD)を使用して選別した(図1)。記憶B細胞の他に、ナイーブ様、ナイーブ、濾胞性、記憶、抗体産生、胚中心細胞、中心細胞、胚中心、形質芽球、形質細胞、周辺帯、類洞周囲または移行性B細胞などの他のB細胞サブセット(これらのサブセットの多くはマウスにおいてのみ決定されている)は、適切なマーカーを使用して単離できる。
【0119】
細胞培養
選別した細胞を洗浄し、24ウェルプレート(1.5〜2×105細胞/ml)において80グレイ照射CD-40L発現L細胞(5×104細胞/ml、DR.J.Banchereau,Schering Plough France,Dardilly Franceより提供された)上で完全培地(8%ウシ胎児血清(FCS)およびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するイスコフ改変D最小必須培地)中で培養した。他に述べる場合以外は、これらのCD40L発現L細胞は常に、8%FCSと組合せた培養物中に存在する。レトロウイルス形質導入のためのB細胞を調製するために、細胞をマウスIL-21(50 ng/ml、R&D,Minneapolis,MN,USA)の存在下で36時間培養した。形質導入後、細胞を選択的にIL-21の存在下で培養したが、細胞はIL-4、IL-15およびIL-10に(他のサイトカインを排除せずに)応答した。例えばIL-4誘発B細胞増殖は、IL-21と比較して低く、低いレベルの細胞分裂がいくつかの実験において必要である場合がある。
【0120】
レトロウイルス構築物および組換えレトロウウイルスの生成
恒常的に活性なSTAT5aおよびbの突然変異体は、既に報告されている。これらの突然変異体および野生型STAT5bをコードするDNAは、T. Kitamura(IMSUT、東京、日本)から入手した。Bcl-6は、マウス線維芽細胞で抗増殖性p19ARF-p53シグナル伝達の阻害因子として老化レスキュースクリーニングにおいて同定された。Bcl-XLは、抗アポトーシス因子として同定され、Dr Korsmeyer(Howard Hughes Medical Institute,Boston,US)によって快く提供された。これらのDNAを以前記載された(Heemskerk et al,1997、Heemskerk et al.,1999)LZRS-リンカー-IRES-GFP(またはIRES-YFPもしくはIRES-NGFR)ベクターにライゲーションした。IRES-GFP(緑色蛍光タンパク質)マーカーの代わりにIRES-YFP(黄色蛍光タンパク質)またはIRES-NGFR(神経成長因子受容体)も使用した。NGFRは、NGFRのシグナル伝達不能突然変異体であり、Dr. C. Boniniから快く提供された。NGFRに対するモノクローナル抗体(Chromaprobe,Mountain View,CA,USまたはMiltenyi)をNGFR発現細胞を可視化するために使用した。
【0121】
組換えレトロウイルスの生成のためにレトロウイルスプラスミドをヘルパーウイルスを含まない広宿主性プロデューサー細胞株Phoenix-A(ヒト胎児由来腎臓細胞株293の派生物)(Kinsella and Nolan,1996) (Dr. G. Nolan,Stanford University,Palo Alto,CAから提供)に、製造者のプロトコルに従ってFugene-6(Roche Diagnostics Netherlands,Almere,Netherlands)を使用してトランスフェクションした。2日後に、トランスフェクションした細胞の選択をピューロマイシン(Becton Dickinson Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)2μg/mlの添加によって開始した。トランスフェクションの10〜14日後、10cmペトリ皿(Becton Dickinson Discovery Labware,Bedford,MA) 1枚あたり6×106細胞をピューロマイシンを含まない完全培地10mlに播種した。翌日培地を交換し、その次の日にレトロウイルスを含んだ上清を回収し、遠心分離し、細胞を含まないアリコートで-70℃で凍結した。この方法は、1mlあたり感染性ウイルス粒子3×106個を超える、再現可能な迅速で、大規模かつ高力価のレトロウイルス生成をもたらす。
【0122】
レトロウイルス形質導入
組換えヒトフィブロネクチン断片CH-296形質導入手順(RetroNectin(商標)、タカラ、大津、日本)を以前記載されたとおり(Heemskerk et al,1997、Heemskerk et al.,1999)実施した。組織培養処理をしていない24ウェルプレート(Costar,Badhoevedorp,Netherlands)を30μg/ml組換えヒトフィブロネクチン断片CH-296 0.3mlで室温2時間または4℃で一晩コーティングした。異なる大きさの非組織培養プレートを使用する場合は、比例量で試薬を使用した。CH-296溶液を除去し、続いてリン酸緩衝食塩水(PBS)中の2%ヒト血清アルブミン(HSA)と30分間、室温でインキュベートし、次いでPBSで1回洗浄した。レトロウイルス形質導入用に調製したB細胞5×105個をFCSおよびL細胞を含まないRPMI 0.25ml中に播種し、解凍したレトロウイルス上清0.25mlと混合した。Bcl-6 Bcl-XL二重形質導入のためにBcl-6-IRES-NGFR(またはIRES-YFP)(Shvarts A. et al. Genes Dev.,2002)125μlとBcl-XL-IRES-GFP(S. Korsmeyer,Howard Hughes Medical Institute,Childrens Hospital,Boston,USAにより提供)125μlとを混合し、細胞に加えた。培養物を、続いて1800rpmで25℃、60分間遠心分離し、37℃で6時間インキュベートした。次に上清0.25mlを除去し、新鮮レトロウイルス上清0.25mlを加えた。培養物を再び1800rpmで25℃、60分間遠心分離し、37℃で一晩インキュベートした。翌朝、細胞を24ウェル組織培養処理プレート(Costar)に移し、ヒトIL-4 (50ng/ml)またはマウスIL-21 (50ng/ml、R&D,Minneapolis,MN,USA)存在下での通常の条件下で3〜5日間培養した。形質導入効率は、神経成長因子受容体の切断されたシグナル伝達不能突然変異体(ΔNGFR、C.Bonini,St. Raphael Hospital,Milan,Italyから提供)の抗体染色またはGFPおよびもしくはYFPの(同時)発現によって決定した。次いで、対象となる(1つまたは複数の)導入遺伝子を含む細胞をさらなる実験のために選択する。
【0123】
フローサイトメトリー
FITC、PE、PERCP、PE-Cy5、APCまたはAPC-Cy7で直接標識した、ヒト分子IgD、IgG、CD3、CD19、CD20、CD27、CD38、CD40、CD45、CD56、CD70、CD80、CD86、HLA-DRに対する抗体(BD)、およびPEで直接標識した、IgM、κ軽鎖、λ軽鎖、CD138に対する抗体(DAKO)をフローサイトメトリー分析のために使用した。染色した細胞をLSRII(BD)を使用して分析し、FACSデータをFlowJoコンピュータソフトウェア(Tree Star,Inc)で処理した。
【0124】
増殖実験
ナイーブおよび記憶B細胞を新鮮PBMCからFACSAria上で単離した:
ナイーブB細胞:CD19-Pe-Cy7陽性、CD27-APC陰性、IgD-PE陽性
記憶B細胞: CD19-Pe-Cy7陽性、CD27-APC陽性、IgD-PE陰性、IgA-FITC陰性。
【0125】
細胞をPBSで洗浄し、FCSを含まないRPMI(37℃)0.5 mlに再懸濁した。2μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)を含むIMDMの等量を細胞混合物に加え、7分間37℃でインキュベートした。細胞の標識化を、冷却FCSで細胞を洗浄することによって停止した。細胞をIMDM-8% FCS 500μlに再懸濁し、IL-21の存在下および非存在下でL細胞と培養した。非標識細胞を対照として使用した。36時間後(形質導入の直前)、細胞の一部をそれらのCFSE含有量について分析した。残りの細胞をBcl-6-IRES-NGFRでスピン形質導入(spin transduced)し、3日間培養し、それらのCFSE含有量についてLSRIIを使用して分析した。データをFlowJoソフトウェア(Treestar)を使用して分析した。
【0126】
高速単細胞選別を使用する抗原特異的ヒトB細胞の単離
MBC(すなわち100細胞/ウェル培養物)で開始する上記の記憶B細胞単離法に加えて、ヒト記憶B細胞は、蛍光標識抗原とインキュベートして、抗原認識に基づいて選別できる。一例は、フィコエリスリン(PE)標識破傷風トキソイド(A. Radbruch,Berlin,Germanyより提供)に結合するB細胞の単離である(図4)。細胞を1細胞/ウェルで培養し、TT結合について検査した。しかし任意の他の標識抗原も使用できる。
【0127】
Bcl-6およびBcl-XL形質導入細胞の長期間培養後のB細胞受容体(BCR)発現の判定
in vitro培養において分化したB細胞は、そのBCR膜発現を欠失しており、それがEBV形質転換B細胞においても観察されることが知られている。したがってBcl-6およびBcl-XLを形質導入し、IL-21存在下で培養したB細胞を、GFP、NGFR、CD19、κおよび/もしくはλまたはIgGあるいは標識破傷風トキソイドについて染色した。BCR発現の有用性を示すために、本発明者らは、FACSAria (BD)を使用して、L細胞およびIL-21含有培養培地と播種した96ウェルプレート中の1細胞/ウェルでTT-PE(Radbruch)結合細胞を選別した。3週間後、増殖したクローンの破傷風トキソイド結合をFACS Canto (BD)を使用して検査した。それにより細胞を回収し、96ウェルプレート中でGFP、NGFR、CD19およびTT-PEで染色した。
【0128】
抗体を分泌するBcl-6およびBcl-XL二重陽性B細胞株の開発
モノクローナル抗体を産生し、かつBcl-6およびBcl-XLに100%二重陽性であるB細胞株を作製した。最初に、これはIL-21を使用して増殖および分化を誘発することによって達成された。一方でこれらの細胞をBcl-6-IRES-NGFRおよびBcl-XL-IRES-GFPレトロウイルスで形質導入する。細胞をIL-4で3〜4日間維持する。いずれか1つまたは両方のレトロウイルスで形質導入された細胞は、次いで導入遺伝子を発現し、したがってNGFRまたはGFPタンパク質を発現する。NGFRおよび/またはGFPの発現は、LSRII(BD)を使用することによって可視化することができる。必要であれば細胞を、両方の導入遺伝子を発現する多数の細胞を得るために再度形質導入することができる。2回目の形質導入に関係なく、両方の導入遺伝子を発現する細胞を、FACS Aria (BD)を使用して選別し、IL-21および2500〜5000細胞/ウェルのL細胞の存在下で96ウェルプレートに10〜500細胞/ウェルの細胞密度で培養する。これらのミニバルク培養(mini-bulk-cultures)(MBC)は、次にスクリーニング目的で使用することができる比較的多量の抗体を5日目時点で培養上清中に既に分泌する。スクリーニングは、対象となる抗原について利用可能な技術、例えばELISA/EIA/RIA、ウェスタンブロット、またはサイトカインブロック実験の中和などの直接機能アッセイに基づくことができる。対象となる抗原(本発明者らの実験においてはTTおよびRSV)を認識するMBCのスクリーニングおよび選択後、細胞をIL-21の存在下で96ウェルプレート中に0.5〜1細胞/ウェルでサブクローニングする。サブクローニングは通常2〜3週間かかり、限界希釈(LD)培養またはフローサイトメトリー(FACSAria)を使用する単細胞選別によって実施することができる。
【0129】
RSV A-2ウイルスストックおよびHEp2細胞株
RSV A-2ウイルス(G. van Bleek,WKZ,Utrechtより快く提供された)およびHEp2細胞株(Clinical Laboratory,AMC,Amsterdam)を大量に培養し、液体窒素中で凍結した。
【0130】
アリコートを凍結する前に接着性HEp2細胞株をT175ファルコンボトル中で、通常の培地で培養した。
【0131】
高力価のRSVストックを得るためにHEp2細胞を播種し、50〜60%コンフルエントに達するまで培養した。元のRSVストックをHEp2細胞にRTで45分間加えた(1/20希釈、総容積5ml)。15ml新鮮培地を加え、細胞をフタを開けて37℃、5%CO2に一晩置いた。翌朝培養上清を注意深く除き、1%FCSを含む培地15mlを加えた。細胞をフタを閉じて24〜36時間、37℃、5%CO2に置いた。RSV誘発合胞体が明確に見られ、合胞体の大部分が未変化のままであるときに、培地を回収し、濾過し(0.22μm)、RT、1450rpmで遠心し、次に試料を直ちに凍結し、液体窒素中で保存した。1%FCSを含む新たな培地を直ちに添加し、このバッチを4〜6時間後に凍結することによって2回目の回収物が得られる。
【0132】
ELISA用RSV溶解物
ウイルスストックを得るためにRSV A-2を感染させたHEp2細胞を用いてRSVタンパク質を単離した。最初に細胞をPBSで注意深く洗浄し、トリプシン処理した。トリプシン(Gibco)を洗浄除去し、細胞ペレットを1%オクチルグルコシドで溶解した(T175フラスコ1個分の細胞ペレットをオクチルグルコシド2mlで処理した)。懸濁液をシリンジおよび針でホモジナイズし(10回上下した)、1時間氷上でインキュベートし、次いでTBS緩衝液pH 7.4、2Lに対して4℃、一晩透析した。細胞細片の遠心沈殿後に上清を得た。タンパク質含有量は3.6mg/mlと決定され、ELISAにおいて20μg/ml(50μl)で使用した。
【0133】
RSVストックのTCID50およびPFUの決定
TCID50を決定するために、104細胞のHEp2を96ウェルプレートに播種し、4-plo中のRSVウイルスの2または10段階希釈系列で感染させた。2〜3日後、培養上清を除去し、細胞を80%アセトンで10分間、RTで固定した。アセトンの除去後、固定した細胞層を乾燥させ、4℃保存または-20℃凍結した。RSV HEp2細胞を染色するために、プレートを最初にPBS 0.1%Tween20中の5%ミルクパウダーでブロッキングした。次いで、プレートを3回洗浄し、ポリクローナルヤギ抗RSV-HRP(1:500、Biodesign,Saco,ME,US)と3〜5時間、37℃でインキュベートし、さらに十分に洗浄した。次にウェルをAEC基質と30分間、RTでインキュベートした。感染フォーカスは赤く染まり、光学顕微鏡を使用して肉眼で観察でき、計数できる。標準的Excelソフトウェアを用いてTCID50を決定した。
【0134】
ウイルスのプラーク形成単位(PFU)の値を決定するために、24ウェルプレート中、1x105個/mlのHEp2細胞を、1%FCSを含む培地中(200μl)のRSVウイルスストックの10倍希釈系列(10-3〜10-7)と37℃、45分間インキュベートし、手で暖めた0.25%シープラークアガー(seaplaque agar)(Biozyme)0.5mlで細胞およびウイルスを覆った。アガロース層は培養培地を通じての未感染細胞へのウイルスの拡散を予防する。したがってウイルスは付近の細胞にだけ感染でき、それは最終的にはウイルスによって殺されて、HEp2細胞の単層にプラークを生じる。これらのプラークは、固定された細胞(96%エタノール-100%酢酸-10%ホルマリン6:2:1)を1%クリスタルバイオレット溶液で染色することによって最も良く可視化される。プラークを計数し(少なくとも2名の異なる個体によって)、PFU値を決定できる。
【0135】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)中和抗体の選択
抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)B細胞クローンを得るために、2名のドナー由来の末梢血細胞(PBMC)を血液バンク由来のバフィーコートから単離した(ドナーB62およびドナーB63)。CD19陽性IgM陰性IgD陰性IgA陰性CD27陽性細胞をFACSAria(BD)を使用して選別する前に(図1)、CD22+細胞をMACSビーズおよびカラム(Miltenyi)を使用して単離した。別に述べる場合に限り、細胞はL細胞と共に培養した。細胞は、IL-21の存在下で36時間培養した後にBcl-6-IRES-NGFRのみで形質導入した。12時間後、細胞を回収し、3日間、IL-4の存在下で培養し、NGFR発現細胞をMACSビーズ(Miltenyi)を使用して選別し、直ちにBcl-XL-IRES-GFPで形質導入した。MACSビーズに結合しなかったB細胞を洗浄し、Bcl-6およびBcl-XLで同時に形質導入した。12時間後、細胞を回収し、プールし、3日間IL-4の存在下で培養した後に、GFPおよびNGFR発現についてFACSAriaで選別した。細胞を洗浄し、96ウェルプレート(Costar)で100細胞/ウェルの密度でIL-21の存在下で培養した。
【0136】
二重形質導入Bcl-6およびBcl-XL B細胞培養物をRSV結合についてRSV感染HEp2細胞溶解物ELISAを使用してスクリーニングし、並行してRSVマイクロ中和試験を使用して検査した。簡潔には、104 HEp2細胞を平底96ウェルプレート(Costar)中の完全培地に播種する。翌日、培地を、RSVウイルスと30分間37℃でプレインキュベートした細胞培養上清との混合物にRTで1時間置き換える。合計容積は25μlであり、RSV最終濃度は0.1MOIである。1時間後、ウイルス上清混合物を9倍にPBSで希釈し、100μl IMDM/5%FCSに置き換える。2日後、細胞を80%アセトンで固定し、ポリクローナル抗RSV-HRP(Biodesign)で染色する。H2O2およびAECを使用してRSV感染細胞は赤色を発色する。光学顕微鏡を使用して、感染細胞を観察でき、必要な場合は計数できる。RSV中和の対照として、ヤギポリクローナル抗RSV(Abcam,Cambridge,MA)を使用する。
【0137】
VHおよびVL領域のRT-PCRおよびクローニング
総RNAを〜5x105個のB細胞からRNeasy(登録商標) mini kit (Qiagen,Venlo,The Netherlands)で単離した。総RNA 250ngを1×ファーストストランド緩衝液、500μM dNTP、250ngランダムヘキサマー、5mM DTT、40U RNasin(Promega)および200U SuperScript III RT (Invitrogen)を含む容量20μl中で逆転写した。cDNAを超純水中に10×で希釈し、cDNA 2.5μlを20mM Tris-HCL、50mM KCL、2.5mM MgCl2、250μM dNTP、1U AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems Inc.)および各プライマー25pmolを含む50μl溶液中でPCRにかけた。PCR条件は以下のとおり:96℃での8分間の変性ステップに続いて、96℃で30秒間、60℃で30秒間、72℃で1分間を35サイクルおよび最後に72℃での伸長10分間。
【0138】
PCR産物をアガロースゲル上で泳動し、精製し、製造者の推奨に従ってpCR2.1 TAクローニングベクターにクローニングした。配列分析をBigDye Terminator chemistry (Applied Biosystems Inc.)およびVector-NTIソフトウェア(Invitrogen)を使用して実施した。
【0139】
逆転写酵素および/またはDNAポリメラーゼ誘発突然変異を排除するために、数個の独立したcDNA変換およびPCR反応を実施し、個々にクローニングし、配列分析した。コンセンサス配列をVector-NTI Contig Expressソフトウェアで決定した。
【0140】
293T細胞での組換えタンパク質抗体発現のために、全長重鎖および軽鎖構築物をpCDNA3.1(+)Zeo(Invitrogen)中に作製した。重鎖発現ベクターは、5'-NheI部位および3'-XhoI部位を導入する、重鎖リーダー配列ならびにクローンD25のVH領域のPCR増幅によって構築した。IgG1定常領域(CH1-ヒンジ-CH2-CH3)を同じcDNAから増幅し、5'-XhoIおよび3'-NotI部位に導入した。全長重鎖発現ベクターをNheI/NotI消化pCDNA3.1(+)Zeoへの3点ライゲーションによって得た。5'-NheIおよび3'-NotI部位を導入するプライマー用いて、全長軽鎖発現構築物を軽鎖リーダー配列、VL領域および軽鎖定常領域のPCR増幅によって作製した。後者の産物をNheI/NotI消化pCDNA3.1(+)Zeoにクローニングして全長軽鎖発現ベクターを得した。発現構築物の正確性を確認するために配列分析を実施した。
【0141】
重鎖および軽鎖の両方の発現ベクターでの293T細胞の一過性二重トランスフェクション(Fugene-6、Roche,GermanyまたはLipofectamine LTX、Invitrogen)を、組換えモノクローナル抗体を生成するために実施した。抗体のRSV F-タンパク質への機能的結合を示すために、得られた培養上清(48時間)でのRSV感染Hep2細胞についてのFACS染色を実施した。
【0142】
PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチド:
VH領域:
VH1-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACTGGACCTGGAGG-3'
VH1B-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACTGGACCTGGAGM-3'
VH2A-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACACACTTTGCTMCAC-3'
VH2B-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACATACTTTGTTCCAAC-3'
VH3-For 5'-AAATCGATACCACCATGGAGTTTGGGCTGAGC-3'
VH3B-For 5'-AAATCGATACCACCATGGARYTKKGRCTBHGC-3'
VH4-For 5'-AAATCGATACCACCATGAAACACCTGTGGTTCTT-3'
VH5-For 5'-AAATCGATACCACCATGGGGTCAACCGCCATC-3'
VH6-For 5'-AAATCGATACCACCATGTCTGTCTCCTTCCTC-3'
Cgamma-Rev 5'-GGGTCTAGACAGGCAGCCCAGGGCCGCTGTGC-3'
Vκ領域:
Vk1-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACATGAGGGTCCCY-3'
Vk1B-For 5'-AAATCGATACCACCATGGACATGAGRGTCCYY-3'
Vk2-For 5'-AAATCGATACCACCATGAGGCTCCCTGCTCAG-3'
Vk3-For 5'-AAATCGATACCACCATGGAARCCCCAGCGCA-3'
Vk4-For 5'-AAATCGATACCACCATGGTGTTGCAGACCCAG-3'
Ck-Rev 5'-GATCGCGGCCGCTTATCAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTT-3'
Vλ領域:
Vl1aecb 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGTCCCCTCTCCTCC-3'
Vl1g 5'-AAATCGATACCACCATGGCCGGCTTCCCTCTCCTCC-3'
Vl2/10 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGGCTCTGCTCCTCC-3'
Vl3jpah 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGACCGCTCTCCTGC-3'
Vl5/7 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGACTCCTCTCCTTC-3'
Vl6/9 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGGCTCCTCTCCTTC-3'
Vl3rm 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGATCCCTCTCCTCC-3'
Vl3l 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGACCCCTCTCTGGC-3'
Vl3e 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGGCCACACTCCTGC-3'
Vl4c 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGGTCTCCTTCTACC-3'
Vl8a 5'-AAATCGATACCACCATGGCCTGGATGATGCTTCTCC-3'
Cl2/7 5'-GATCGCGGCCGCTTATCAWGARCATTCTGYAGGGGCCACTG-3'。
【0143】
発現ベクター構築に使用したオリゴヌクレオチド:
重鎖発現ベクター:
VH1-L-NheI: 5'-GCGGCTAGCCACCATGGACTGGACCTGGAGG-3'
JH4/5-XhoI: 5'-GCGCTCGAGACGGTGACCAGGGTTCCCTG-3'
CHfw-XhoI: 5'-CGCGCTCGAGTGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTC-3'
CHrev-NotI: 5'-GATCGCGGCCGCTTATCATTTACCCGGRGACAGGGAGAGGC-3'
軽鎖発現ベクター:
VK1-L-NheI: 5'-GCGGCTAGCCACCATGGACATGAGGGTCCCY-3'
CK-NotI: 5'-GATCGCGGCCGCTTATCAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTT-3'。
【0144】
EBV RT-PCR
強い増殖反応がEBVの存在に関連するかどうかを検査するために、EBV RT-PCRを実施した。RT手順は上記のとおり。PCR条件は以下のとおりであった: 94℃での7分間の変性ステップに続いて、94℃で30秒間、62℃(HPRT1)、52℃(LMP-1)および58℃(EBNA1/2)で30秒間、ならびに72℃で30秒間を30サイクル、さらに72℃での最終伸長7分間。RT-PCRに使用したオリゴヌクレオチドは以下のとおりであった:HPRT1フォワード (5'-TATGGACAGGACTGAACGTCTTGC-3')およびHPRT1リバース (5'-GACACAAACATGATTCAAATCCCTGA-3'); LMP-1フォワード: (5'-GCGACTCTGCTGGAAATGAT-3')およびLMP-1リバース (5'-GACATGGTAATGCCTAGAAG-3'); EBNA1/2フォワード (5'-AGCAAGAAGAGGAGGTGGTAAG-3')およびEBNA1/2リバース (5'-GGCTCAAAGTGGTCTCTAATGC-3')。
【0145】
RT-PCRに加えて本発明者らは、細胞ペレットおよびQIAmp isolation kit (Qiagen)を使用して単離した上清DNAに直接PCRを実施した。
【0146】
実施例1
結果
B細胞表現型
治療薬を単離するためのプラットホームとしてのヒト記憶B細胞の使用は、これらの細胞を比較的長期間増殖させかつ検査する能力に依存している。ヒトB細胞は、研究室の設備で培養および維持できるが、対象となる抗原に対する単一B細胞株を増殖させ、選択およびクローニングするためには十分な長さではない。本発明者らは、ヒトB細胞の遺伝子改変に基づく不死化技術を開発した。本発明者らは、STAT5の下流標的を研究した。1つの標的はとりわけBcl-6である。Bcl-6は、形質細胞(増殖が停止する)へのB細胞の分化を阻害する。Bcl-6の過剰発現は、B細胞をIL-21で刺激する(STAT3を通じて作用する)ことによって強くその発現が増強される転写因子、BLIMP1を不安定な状態に保つ。BLIMP1は、Ig産生細胞(CD20-CD38+)の発達を誘発するために必要であり、一方Bcl-6は、これを防止できる(細胞は、CD20発現、いわゆる胚中心表現型を維持する)。
【0147】
B細胞区画中の特定の細胞集団のひずみ(skewing)の可能性を研究するために、新鮮記憶ヒトB細胞およびナイーブヒトB細胞の刺激の前のCFSE標識は、すべての細胞が分割を開始することおよびB細胞のすべての集団が等しく形質導入されていることを明らかにした(図2)。Bcl-6で形質導入し、IL-21およびIL-4の存在下で培養した記憶B細胞が示されている。ナイーブB細胞を低レベルで形質導入し、分割速度は36時間では低かったが、次の3日間の培養後には記憶B細胞と同一であった(データは示していない)。
【0148】
次に、Bcl-6が、Bcl-XL(STAT5の抗アポトーシス下流標的)、CD40Lシグナル伝達と共に、およびIL-21の存在下で、ヒトIgG記憶B細胞をCD20+CD38dull表現型において長期間にわたって(>3ヵ月間)維持することを示す(図3)。加えてBcl-6 Bcl-XL B細胞は、これらの細胞がCD80、CD86およびHLA-DRを高発現することから、活性化B細胞に対応する表現型を有する(3個のTT+ B細胞クローンのFACS染色によって例示される表1を参照されたい)。
【表1】

【0149】
抗体膜発現
Bcl-6 Bcl-XL形質導入EBV陰性細胞は、抗体結合またはκおよびλ染色で判定されたとおりBCR発現陽性を維持した(図3および4)。したがってそのような細胞は、そのような細胞が前記標識抗原にそれらのBCRで結合することから、所望の特異性についての長期間の培養後の、例えば標識抗原を使用する単離および/またはスクリーニングに特に適している。これは、PE標識TTに結合するBcl-6およびBcl-XL二重形質導入B細胞の、FACSAriaを使用した単細胞選別によって確認された。3週間後、単細胞選別クローンを96ウェルプレート中で適切なマーカーおよびTT-PEで染色し、FACS Canto (BD)で結合を測定した(図4)。結論として、例えばスクリーニングアッセイにおいてなど、B細胞上のB細胞受容体の存在が望ましい場合は、B細胞は好ましくはBcl-6およびBcl-XLで形質導入され、EBVに感染させない。
【0150】
細胞分裂および増殖曲線
Bcl-6 Bcl-XL形質導入B細胞は、1日に平均0.6回分裂する。分裂速度は、培養物のドナーおよび細胞密度によって変化する(図5a)。抗RSVクローンD25は、1日あたり0.47回の分裂速度を有した(図5b)。細胞は、クローニング目的には96ウェルあたり1細胞より低い密度で増殖させることができる。
【0151】
Bcl-6 Bcl-XL B細胞の抗体分泌
Bcl-6 Bcl-XL B形質導入B細胞は、平均で抗体1μg/mlを分泌し、これは前臨床試験のために必要な量に増やすために十分である(図6)。驚くべきことにD25抗RSVクローンは、検査した他の細胞株と比較して3倍多い抗体を産生した。
【0152】
EBV含有量の決定
IL-21およびCD40Lシグナル伝達と共に培養したBcl-6 Bcl-XL細胞株のmRNAについてのEBV RT-PCR。この不死化技術で得られた細胞株において、EBV遺伝子転写物は検出されていない(データは示していない)。
【0153】
選択手順
BCRの増殖および発現における安定性によって、これらの細胞は、抗原特異的B細胞の単離に十分に適する。それは本発明者らにいくつかの異なる選択およびクローニング手順を使用する機会を与えた。1つは、Bcl-6およびBcl-XLの導入後に対象となる標識抗原を使用するFACSまたは磁気ビーズ選別によって迅速に抗原特異的細胞を得ることであり、したがって複数抗原特異的B細胞クローンの生成可能性を増強する。他の選択は、精製した、バルクBcl-6 Bcl-XL形質導入記憶(または他の)B細胞を低細胞密度(例えば100細胞/ウェル)で増やすことである。これらの100細胞/ウェル培養物由来の上清を回収し、それらの特異性について検査することができる。抗原認識について陽性であることが見出された100細胞/ウェルの培養物を次いで限界希釈培養によってサブクローニングしてモノクローナル細胞株を得る。両方法を使用して、40を超える破傷風トキソイド(TT)認識B細胞クローンを単離できた。したがって、これらのクローンをFACSAriaでBCRへのTT結合について選択したか、または単一抗TTモノクローナル細胞株が単離されるまで培養物の系列のELISAスクリーニングによって選択した(示していない)。
【0154】
RSV中和抗体の選択
ドナーB63由来の、100細胞/ウェルの培養物25個は、RSV感染および複製を完全に阻止した。100細胞/ウェルの中和培養物の1つであるD10は、本発明者らが限界希釈培養によってクローニングした強い抗RSV抗体を産生する。モノクローナル抗体の1つであるD25を研究を継続するために使用した。市販のELISA(Sanquin,Amsterdam、示していない)によって決定されたIgG1重鎖およびκ軽鎖(図7)を有するモノクローナル抗体D25は、0.5〜1.5ng/ml(±10pM)のIC50値を有して非常に効率的にRSV感染を阻止する一方で、臨床で使用される標準的な抗RSV抗体(MedImmuneによって開発されたパリビズマブ)のIC50値は0.453μg/ml(3.02nM)である(H. Wu et al. 2005 J.Mol.Biol.およびA. Mejias et al. 2005 Antimicrob. Agents Chemother.)(図8)。
【0155】
抗原認識
中和実験に加えて、D25のRSV感染HEp2細胞への結合を判定した。HEp2細胞を通常のウイルス産生手順を使用して感染させた。RSVを感染させたHEp2細胞をトリプシン処理し、培養上清20〜50μlとインキュベートした。細胞を洗浄し、マウス抗ヒトIgG-PE(BDまたはJackson)で感染細胞へのD25抗体の結合を検出するために染色した。r-Biopharm ELISA対照抗体を内部標準として使用した。図9aに示すのは、インタクトなRSV感染したHEp2細胞へのD25の結合である。
【0156】
RSVエンベロープ(膜)タンパク質が2つのタンパク質、すなわちGタンパク質およびFタンパク質で存在することから、D25の結合を、偽型化(pseudotyped)しないかまたはRSV Fタンパク質もしくはRSV Gタンパク質で偽型化したVSVウイルス(John K Roseより快く提供された)を感染させた細胞に対して検査した。図9bに示すとおり、D25は、VSV-Fタンパク質に感染させたEL-4細胞に強く結合した。パリビズマブと対比してD25によって認識されるエピトープを研究するための試みにおいて、VSV-Fタンパク質感染EL-4細胞をD25またはパリビズマブの量を漸増させてインキュベートした。細胞を洗浄し、3種のマウス抗RSV-F抗体(Dako)の混合物で染色した。感染VSV-F細胞への結合についてマウス抗RSV-F抗体と競合作用を示したパリビズマブとは対照的に、D25結合は影響されなかった(データは示していない)。
【0157】
図9cは、感染HEp2細胞へのパリビズマブ(Synagis)およびD25の濃度依存性の結合を示す。両抗体とも1対1でそれらの標的タンパク質と結合することから、感染HEp2細胞への結合において差異はない。
【0158】
RSV抗原結合クローンと中和クローンの発生頻度
本発明者らは、ドナーB63についての判定で、RSVに結合する抗原特異的記憶B細胞の発生頻度が17%であり、RSVを中和する抗原特異的細胞の発生頻度が6%であると算出した。D25は、パリビズマブによって認識されるエピトープとは異なる立体構造エピトープに結合する。D25は、ELISAプレートにコーティングされた溶解したRSV感染細胞溶解物によって提示される変性した直鎖エピトープには結合しないが、パリビズマブは変性(F)タンパク質に結合することを図10において示す。
【0159】
抗体断片の単離および精製
RSVを高度に中和するクローンD25を含むいくつかのB細胞株から、本発明者らは500ml程度の容量を産生できた。これらの培養上清は、少なくとも2μg/mlを含有し、したがって本発明者らは、前臨床(動物)試験を実施するために十分な精製抗体を得ることができるであろう。精製は、Montage抗原精製キット(Millipore,Billerica,MA,USA)およびHiTrapプロテインA HPカラム(GE Healthcare,Diegem,Belgium)を使用して実施する。
【0160】
加えて293T細胞を、リポフェクタミンLTX(Invitrogen)を使用してpCDA3.1タンパク質発現ベクターにサブクローニングしたD25の重鎖および軽鎖でトランスフェクションした。上清に存在したIgGの量は、およそ22μg/mlであった(合計容量50ml)。D25 B細胞株によって発現された抗体のクローニングされたヌクレオチド配列由来のこの抗体も、感染HEp2細胞を認識した(データは示していない)。
【0161】
抗体配列
図11aは、B63D10-D25クローンの重鎖および軽鎖ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。標準的RT-PCRおよび抗体特異的プライマーを使用することによって、重鎖(Vh1-69)および軽鎖(VkI O8/O18)配列を決定した。抗体全体の配列をTOPOベクターを使用してクローニングし、配列調節の後、pCDNA3.1哺乳動物タンパク質発現ベクター(Invitrogen)にサブクローニングした。図11bおよび11cは、クローンのVHおよびVL4鎖を示し、星印は、親和性成熟およびさらなるB細胞選択において生じたに違いない突然変異をVh1-69の生殖系列の配列と比較して示す。
【0162】
要約すると、本明細書において本発明者らは、導入遺伝子Bcl-6およびBcl-XLを使用するヒト記憶B細胞の単離、特徴付けおよび長期間培養を示す。それらは、抗RSVモノクローナル抗体B63D10-B25などの特有の性質を有する抗体を単離するために必要な手段を提供する。B細胞がヒト由来であることから、それらは、治療薬として容易に展開できる。
【0163】
実施例2
D25重鎖および軽鎖を既に記載のとおり(p44、「抗体配列」)標準的発現ベクターにクローニングした。最大のタンパク質発現を可能にする発現構築物を作製するために、D25重鎖および軽鎖配列をGENEART(Regensburg,Germany)によってコドン最適化した。この手順において追加的な制限部位を後のクローニング手順を簡素化するために作製したが、最も重要なことにはアミノ酸配列に翻訳されるヌクレオチドコドンをタンパク質への最大限の翻訳のために最適化した。したがってヌクレオチド配列は最適化されたが、アミノ酸配列は変化しないままであった。実施例4に示すのは、精製B細胞上清由来D25、組換えD25およびGENEART最適化D25の中和能力である。すべてが効率的にRSVを中和した。
【0164】
元のD25配列と比較したGENEART改変を図12に示す。
【0165】
実施例3
in vitroでのRSV中和実験の次に、本発明者らは、in vivoモデルにおいてD25モノクローナル抗体を試験した。in vivo抗RSV試験について報告されているモデルは、BALB/cマウスおよびコットンラット(アラゲコットンラット(Sigmodon hispidus))である(Mejias A et al.,Antimicrobial Agents and chemotherapy 2004;p1811、Johnson S et al.,JID 1997;p1215およびWu H et al.,JMB 2007:p652)。BALB/cマウスモデルは明らかに最も弱いモデルであるが、コットンラットは入手および維持が困難であることから、本発明者らは最初にD25試験をBALB/cマウスで計画した。
【0166】
手順: BALB/c 5日目でのRSV特異的抗体
実験計画
-1日目 抗体100μlをI.P.注射
0日目 50μl中の1×107pfu RSV A2をI.N感染
1〜5日目 マウスの一般的健康および体重を確認
5日目 解剖、BAL、血液および肺を採取
静脈穿刺での採血
気管カニューレでBAL 2.0mlを採取
肺を採取
直ちにBAL材料(1ml)についてTCID50を開始
1ml BAL材料(ELISAサイトカイン/RT-PCR)を-80℃凍結
調製肺材料(1ml)についてTCID50を実施
肺材料1ml(ELISAサイトカイン/RT-PCR)を-80℃凍結
血清でのhIgG ELISAのために血液を採取/遠心および-80℃保存。
【0167】
結果を図13に示す:
(A)点鼻薬でのRSVチャレンジ(1x107 RSV-A2粒子)の1日前、動物に様々な量のSynagis(MedImmune)、精製D25またはIgG1対照抗体(Eureka)をIP注射した(表3)。(図13B)ヒトIgGレベルを5日目のマウス血清において決定し、5日目での抗体の血清レベルの低下を決定した;表4は半減期値の概要を示す。図13Dは、処理した動物および処理していない動物における5日目の肺洗浄物(BAL)において見られたウイルス力価を示し、図13Eは、処理したマウスおよび処理していないマウスの末梢血におけるT細胞およびB細胞の数を示す。図13Fは、処理した動物および処理していない動物の気管支を含む肺の組織像ならびに浸潤(通常は主に好酸球)を示す。
【0168】
結論/結果
D25の半減期の推定値は、抗体60μgおよび30μgを0日目に注射し(それぞれ2および1mg/kg)、5日目に33または16μg(マウス1、5の合計容量)が検出された(直線)計算に基づいて5〜9日である。0日目に動物1匹あたり0,5mg/kg注射で開始した場合は、Igレベルは5日目に15μg〜11μgに低下し、これは半減期9日間を示す(表4)。
【表2】

【0169】
TCID50アッセイで決定されたウイルス力価は、対照動物において1×104PFUが検出できるが、一方Synagis(2mg/kg)またはD25(2、1、0,5mg/kg)で処理した動物においてはウイルスは検出されなかったことを示す。
【0170】
SynagisまたはD25で処理した動物は、末梢CD4 T細胞およびB220 B細胞のより高い%を維持する。Synagis(2mg/kg)で処理した動物は、D25処理した動物と比較してCD4 T細胞のより低い%を示す。顕著ではない場合があるが、低用量のD25(1および0.5mg/kg)で処理した動物が対照処理動物と比較した場合に高いレベルのB細胞およびT細胞を維持することに注目することは重要である。
【0171】
組織像データ(図13F)は定量的ではないが、SynagisおよびD25が対照と比較して肺および気管支周辺への免疫細胞の流入を低減させることは明らかである。SynagisとD25とを比較する場合、D25処理した動物は、肺および気管支周辺へのより少ない細胞浸潤を示すようである。
【0172】
コットンラットにおいてD25を試験するために、RSV-Xウイルスでのチャレンジの前にSynagisおよびD25で予め処理した動物を比較するための実験をNVI (Bilthoven,Netherlands)で計画する。
【0173】
実施例4
B63-D10-D25に加えて、3種の新規で強力なRSV中和抗体(AM14、AM16およびAM23)を同じドナー(B63)から単離した。本来はRSV中和のために選択し、液体窒素中で凍結保存した100細胞/ウェルのバルクB細胞培養物を融解し、培養上清をRSV感染HEp2細胞への結合について試験した。それがFタンパク質およびGタンパク質などの天然のオリゴマーRSV膜タンパク質の抗体認識のためのマーカーであり、中和についての良い予測因子として役立ちうることから、感染HEp2細胞への結合について試験した。結合が検出された場合、細胞を単細胞培養し、クローンを得るために結合についてスクリーニングした。3種すべての抗体をもともとはD25のために構築したGENEARTベクターにクローニングした。さらにD25と同様にすべてがRSV-Fタンパク質を認識する(示していない)。クローニングおよび293T細胞での発現後、組換えタンパク質を精製した(ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列を図14A、BおよびCに示す)。抗体を、いくつかの初代RSV単離体に対して、VeroおよびHEp2細胞で中和について試験した(図15)。3種すべての抗体はIgG1アイソタイプである。AM14はκ軽鎖を有し、一方AM16およびAM23はλ軽鎖を有する。3種すべての抗体は、D25と同様にその抗体可変ドメインに体細胞超突然変異を含有し、それらが固有の抗体配列をつくり出す過程である胚中心反応における親和性成熟をin vivoで受けていることを示唆している。
【0174】
結果を図15-Iおよび15-IIに示す:精製B細胞株上清由来D25(sD25)、組換え精製D25(rD25)、組換えGENEARTコドン最適化D25(rD25GA)、AM14、AM16、AM23(すべて精製組換えタンパク質)およびSynagisでのRSウイルス中和アッセイ。ウイルス抗体中和は、2つの異なる細胞株(図15-I)Vero細胞および(図15-II)Hep2細胞において異なる抗体で試験した:A2(A)、X(B)および2006/1(C)はRSVサブタイプAであり、ウイルスZ(D)および2007-2(E)はサブタイプBである。各ウイルスの100TCID50を、DMEM/1%FCS中の抗体希釈系列に加え、37℃、1時間インキュベートし、Vero細胞またはHEp2細胞(1x106/ml)100ulを加えた。ウイルス抗体混合物は洗浄除去しなかった。3日後、上清を除去し、細胞を80%アセトンで、10分間RTで固定した。アセトンの除去後、固定した細胞層を乾燥させ、4℃に保つかまたは-20℃で凍結した。RSV感染HEp2細胞を染色するために、プレートを最初にPBS 0.1%Tween20中の5%ミルクパウダーでブロッキングし、次いでプレートを3回洗浄し、ポリクローナルヤギ抗RSV-HRP(1:500、Biodesign,Saco,ME,US)と3〜5時間、37℃でインキュベートし、十分に洗浄した。続いてすべてのウェルをAEC基質と30分間、RTでインキュベートした。感染フォーカスは赤く染まり、光学顕微鏡を使用して肉眼で観察でき、計数できる。
【0175】
結果/結論
すべての抗体がRSV A株およびB株を中和する(表5)。一般に様々なD25抗体がRSVウイルスを効率的に中和するが、わずかな実験間変動が見られる場合がある。AM14は、D25と同程度に強力であり、AM16はSynagisと同程度に強力である。しかしAM23は、RSV A株を非常に効率的に中和する一方で、RSV B株の中和においてはSynagisに匹敵はするが能力が弱い。
【表3】

【0176】
実施例5
抗RSV抗体の相乗的阻止作用
D25、Synagisまたは新規AM抗体セットがRSV Fタンパク質の認識について相互に干渉するかどうかを分析するために、RSV感染HEp2細胞を未標識抗体と、抗体の濃度を最大結合のプラトーに達するまで漸増させてプレインキュベートした。Igの量を増加させても結合の増加が検出されなかったプラトー相を各抗体について決定する(示していない)。洗浄後、試料をPE標識D25またはAPC標識Synagisの標準用量(3pmol)とインキュベートした。この用量は最大結合も付与する。
【0177】
結果
図16に示すように、標識SynagisおよびD25は、RSV感染HEp2細胞を未標識SynagisまたはD25のいずれかとプレインキュベートした場合にこれらの細胞への結合の低減を示す。Synagisは、さらにAM16によって引き起こされる結合においてわずかな低減を示す。D25結合はAM23によって強く阻止されるが、対照的にAM14とのプレインキュベーション後にD25結合は強く増強される。これは、D25によって認識されるエピトープは通常十分に露出していないが、露出はAM14のその本来のエピトープへの結合後に増強されることを示す。これは、これら2つの抗体が共に作用し、中和を増強できることを表す。
【0178】
参考文献

【0179】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列NYIINに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列GIIPVLGTVHYAPKFQGに少なくとも75%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列ETALVVSTTYLPHYFDNに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列QASQDIVNYLNに少なくとも85%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列VASNLETに少なくとも70%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列
を含む、上記抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項2】
配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVMVSCQASGGPLRNYIINWLRQAPGQGPEWMGGIIPVLGTVHYAPKFQGRVTITADESTDTAYIHLISLRSEDTAMYYCATETALVVSTTYLPHYFDN WGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列および/または配列DIQMTQSPSSLSAAVGDRVTITCQASQDIVNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFSLTISSLQPEDVATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する、請求項1に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項3】
HEp-2細胞がRSVに感染しているin vitro中和アッセイにおいて、10ng/ml未満、好ましくは2ng/ml未満のIC50値を有する抗体または該抗体の機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項4】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFSFSHYAに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列ISYDGENTに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列ARDRIVDDYYYYGMDVに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列QDIKKYに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列DASに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列QQYDNLPPLTに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項5】
配列EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFSFSHYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGENTYYADSVKGRFSISRDNSKNTVSLQMNSLRPEDTALYYCARDRIVDDYYYYGMDVWGQGATVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列および/または配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDIKKYLNWYHQKPGKVPELLMHDASNLETGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIGTYYCQQYDNLPPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する、請求項4に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項6】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFTFSSYNに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列ISAGSSYIに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列AREDYGPGNYYSPNWFDPに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列SSNIGAGYDに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列GNTに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列HSYDRSLSGに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項7】
配列EVQLVETGGGLAQPGGSLRLSCAASGFTFSSYNMNWVRQAPGKGLEWVSHISAGSSYIYYSDSVKGRFTVSRDNVRNSVYLQMNSLRAADTAVYYCAREDYGPGNYYSPNWFDPWGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列および/または配列QSVVTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNTNRPSGVSDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCHSYDRSLSGSVFGGGTKLTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する、請求項6に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項8】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な、単離、合成もしくは組換え抗体またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体であって、以下のもの:
・配列GFNFHNYGに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR1配列、および/または
・配列VWYDGSKKに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR2配列、および/または
・配列VRDKVGPTPYFDSに少なくとも80%同一な配列を含む重鎖CDR3配列、および/または
・配列NIGSETに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR1配列、および/または
・配列DDDに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR2配列、および/または
・配列QVWDRSNYHQVに少なくとも80%同一な配列を含む軽鎖CDR3配列
を含む、上記抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項9】
配列EVQLVESGGNVVKPGTSLRLSCAATGFNFHNYGMNWVRQAPGKGLEWVAVVWYDGSKKYYADSVTGRFAISRDNSKNTLYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDKVGPTPYFDSWGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一な配列を含む重鎖配列および/または配列SYVLTQPPSVSLAPGGTAAITCGRNNIGSETVHWYQQKPGQAPVLVVYDDDDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDRSNYHQVFGGGTKLTVに少なくとも70%同一な軽鎖配列を有する、請求項6に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項10】
ヒト抗体および/またはキメラ抗体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体をコードする単離、合成もしくは組換え核酸配列またはその機能的部分、誘導体もしくは類似体。
【請求項12】
医薬および/または予防薬としての使用のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体。
【請求項13】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療および/または予防するための医薬および/または予防薬の調製のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体の使用。
【請求項14】
医薬および/または予防薬としての使用のための、請求項11に記載の核酸配列、機能的部分、誘導体および/または類似体。
【請求項15】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療および/もしくは予防するための医薬および/または予防薬の調製のための、請求項11に記載の核酸配列、機能的部分、誘導体および/または類似体の使用。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体、機能的部分、誘導体または類似体を産生することが可能な単離された抗体産生細胞。
【請求項17】
少なくとも9週間、好ましくは少なくとも3ヵ月間、より好ましくは少なくとも6ヵ月間安定である、請求項16に記載の抗体産生細胞。
【請求項18】
BCL6およびBlimp-1が同時発現している、請求項16または17に記載の抗体産生細胞。
【請求項19】
・BCL6またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列、ならびに/または
・Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする外来性核酸配列
を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の抗体産生細胞。
【請求項20】
BCL6、Bcl-xL、またはBCL6もしくはBcl-xLの機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体をコードする核酸配列の発現が、外来性化合物によって誘導可能な活性化因子および/または抑制因子によって調節される、請求項16〜19のいずれか1項に記載の抗体産生細胞。
【請求項21】
少なくとも3ヵ月間安定であり、RSV特異的抗体を産生することが可能な抗体産生細胞を作製するための方法であって、
・RSV特異的抗体を産生することが可能なB細胞中のBlimp-1の発現レベルを増加させるステップ、ならびに
・該B細胞中のBCL6発現レベルを増加させ、かつ/または維持するステップ
を含む方法。
【請求項22】
前記B細胞中のBCL6発現レベルが、形質芽球と比較して、実質的に同じレベルもしくはより高いレベルまで到達し、かつ/または同じレベルもしくはより高いレベルに維持されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記B細胞を、BCL6またはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体をコードする核酸配列に供するステップを含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞中のBcl-xLの発現レベルを増加させるステップをさらに含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞を、Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体および/もしくは類似体をコードする核酸に供するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
・RSV特異的抗体を産生することが可能なB細胞を、BCL6またはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体に供するステップ、
・該B細胞を、Bcl-xLまたはその機能的部分、誘導体、および/もしくは類似体に供するステップ、ならびに
・該B細胞を培養するステップ
を含む、請求項21〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記B細胞が、IL-21の存在下で培養される、請求項21〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記B細胞が、以前に呼吸器合胞体ウイルスに曝露している個体から得られたものである、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
第2の細胞中で、Ig重鎖および/またはIg軽鎖をコードする前記B細胞の遺伝子を発現させるステップをさらに含む、請求項21〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することが可能な抗体を製造するための方法であって、
・請求項21〜29のいずれか1項に記載の方法を用いてRSV特異的抗体を産生することが可能な抗体産生細胞を作製するステップ、および
・該抗体産生細胞によって産生される抗体を得るステップ
を含む、上記方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法によって入手可能な単離抗体、または該抗体の機能的部分、誘導体および/もしくは類似体。
【請求項32】
図11、図12、図14A、図14B、または図14Cに示されるヌクレオチド配列の少なくとも一部分に少なくとも70%相同であり、該部分が少なくとも15ヌクレオチドを有する配列を含む単離、合成、または組換え核酸配列。
【請求項33】
配列ACTATATTATCAAC、GGGATCATTCCTGTCTTGGGTACAGTACACTACGCACCGAAGTTCCAGGGC、GAAACAGCTCTGGTTGTATCTACTACCTACCTACCACACTACTTTGACAAC、CAGGCGAGTCAGGACATTGTCAACTATTTAAAT、GTTGCATCCAATTTGGAGACA、CAACAATATGATAATCTCCCA、GGATTCAGCTTCAGTCACTATGCC、ATATCTTATGATGGAGAAAATACA、GCGAGAGACCGCATAGTGGACGACTACTACTACTACGGTATGGACGTC、CAGGACATTAAGAAGTAT、GATGCATCC、CAACAGTATGATAATCTGCCTCCGCTCACT、GGATTCACATTCAGTAGTTATAAC、ATTAGTGCGGGTAGTAGTTACATA、GCGAGAGAGGATTATGGTCCGGGAAATTATTATAGTCCTAACTGGTTCGACCCC、AGCTCCAACATCGGGGCAGGTTATGAT、GGCAACACT、CACTCCTATGACAGAAGCCTGAGTGGT、GGATTCAACTTCCATAACTACGGC、GTTTGGTATGATGGAAGTAAGAAA、GTGAGAGATAAAGTGGGACCGACTCCCTACTTTGACTCC、AACATTGGAAGTGAAACT、GATGATGACおよび/またはCAGGTGTGGGATAGGAGTAATTATCATCAGGTAに少なくとも70%相同な配列を含む、請求項32に記載の核酸配列。
【請求項34】
配列NYIINに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列GIIPVLGTVHYAPKFQGに少なくとも75%同一であり、かつ/または配列ETALVVSTTYLPHYFDNに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列QASQDIVNYLNに少なくとも85%同一であり、かつ/または配列VASNLETに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列QVQLVQSGAEVKKPGSSVMVSCQASGGPLRNYIINWLRQAPGQGPEWMGGIIPVLGTVHYAPKFQGRVTITADESTDTAYIHLISLRSEDTAMYYCATETALVVSTTYLPHYFDN WGQGTLVTVSSに少なくとも70%同一であり、かつ/または配列DIQMTQSPSSLSAAVGDRVTITCQASQDIVNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFSLTISSLQPEDVATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVに少なくとも70%同一であり、かつ/またはGFSFSHYA、ISYDGENT、ARDRIVDDYYYYGMDV、QDIKKY、DAS、QQYDNLPPLT、EVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFSFSHYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGENTYYADSVKGRFSISRDNSKNTVSLQMNSLRPEDTALYYCARDRIVDDYYYYGMDVWGQGATVTVSS、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDIKKYLNWYHQKPGKVPELLMHDASNLETGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIGTYYCQQYDNLPPLTFGGGTKVEIKRTV、GFTFSSYN、ISAGSSYI、AREDYGPGNYYSPNWFDP、SSNIGAGYD、GNT、HSYDRSLSG、EVQLVETGGGLAQPGGSLRLSCAASGFTFSSYNMNWVRQAPGKGLEWVSHISAGSSYIYYSDSVKGRFTVSRDNVRNSVYLQMNSLRAADTAVYYCAREDYGPGNYYSPNWFDPWGQGTLVTVSS、QSVVTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNTNRPSGVSDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCHSYDRSLSGSVFGGGTKLTV、GFNFHNYG、VWYDGSKK、VRDKVGPTPYFDS、NIGSET、DDD、QVWDRSNYHQV、EVQLVESGGNVVKPGTSLRLSCAATGFNFHNYGMNWVRQAPGKGLEWVAVVWYDGSKKYYADSVTGRFAISRDNSKNTLYLQMNSLRVEDTAVYYCVRDKVGPTPYFDSWGQGTLVTVSS、およびSYVLTQPPSVSLAPGGTAAITCGRNNIGSETVHWYQQKPGQAPVLVVYDDDDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDRSNYHQVFGGGTKLTVからなる群から選択される配列に少なくとも70%同一なアミノ酸配列をコードする配列を含む、単離、合成または組換え核酸配列。
【請求項35】
RSV関連障害を少なくとも部分的に治療または予防するための方法であって、治療上有効量の請求項1〜10または31のいずれか1項に記載の抗体または機能的部分、誘導体もしくは類似体を、その必要がある個体に投与するステップを含む、上記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13−1】
image rotate

【図13−2】
image rotate

【図13−3】
image rotate

【図13−4】
image rotate

【図13−5】
image rotate

【図13−6】
image rotate

【図13−7】
image rotate

【図14A−1】
image rotate

【図14A−2】
image rotate

【図14A−3】
image rotate

【図14A−4】
image rotate

【図14B−1】
image rotate

【図14B−2】
image rotate

【図14B−3】
image rotate

【図14B−4】
image rotate

【図14C−1】
image rotate

【図14C−2】
image rotate

【図14C−3】
image rotate

【図14C−4】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2010−528601(P2010−528601A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510244(P2010−510244)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050333
【国際公開番号】WO2008/147196
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(506042265)メディミューン リミテッド (11)
【Fターム(参考)】