説明

Rafキナーゼ阻害剤の製造方法及び該方法に使用する中間体

式(A)の化合物(式中、R'は、水素、-C(O)OA、-C(O)CX3、-OHC(O)NH2、-C(O)-NHOH又は(a)からなる群から選択される。)の使用を含む、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供される。また、一般式(A)の中間体化合物、N-メチル-4-(4-ウレイドフェノキシ)ピコリンアミド、4-(2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバマート誘導体及びN-メチル-4-(4-(2,2,2-トリハロアセトアミド)フェノキシ)ピコリンアミド、それらの製造方法、及びソラフェニブの製造におけるそれらの使用が提供される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミド、又はその医薬として許容し得る塩の新規の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミドは、一般に、ソラフェニブ(I)として公知である。ソラフェニブは、そのトシル酸塩として製造される。ソラフェニブは、細胞分裂及び増殖を制御するRAF/MEK/ERKシグナル経路の必須成分である酵素RAFキナーゼを遮断し;加えて、ソラフェニブは、VEGFR-2/PDGFR-ベータシグナルカスケードを阻害し、これによって腫瘍血管新生を遮断する。
Bayer社からネクサバールとして市販されているソラフェニブは、進行性腎細胞癌(原発性腎癌)の治療に認可された薬である。また、それは、進行性肝細胞癌(原発性肝癌)の治療について、FDAより「ファストトラック(Fast Track)」指定を受けている。それは、Rafキナーゼ、PDGF(血小板由来増殖因子)、VEGF受容体2及び3キナーゼ、並びに幹細胞因子の受容体cKitの小分子の阻害剤である。
【化1】

【0003】
ソラフェニブ及びその医薬として許容し得る塩が、WO0042012に開示されている。また、ソラフェニブは、WO0041698にも開示されている。これら特許のどちらも、ソラフェニブの製造方法を開示している。
WO0042012及びWO0041698は、スキームIに示すような方法を開示しており、該方法は、ピコリン酸(II)を塩化チオニルと、ジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させて、酸性塩酸塩(III)を形成することを含む。次いで、この塩を、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させたメチルアミンと反応させて、カルボキサミド(IV)を得る。このカルボキサミドを、無水DMF中の4-アミノフェノール及びカリウムtert-ブトキシドと更に反応させると、4-(2-(N-メチルカルバモイル)-4-ピリジルオキシ)アニリン(V)が形成される。このアニリンとイソシアン酸4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル(VI)との、塩化メチレン中での後続反応から、ソラフェニブ(I)が得られる。該反応を、下記のスキームIに示す。
【化2】

【0004】
また、WO2006034796は、ソラフェニブ及びそのトシル酸塩の製造方法を開示している。該方法は、2-ピコリン酸(II)を、ジメチルホルムアミドを使用せずに、塩化チオニルに不活性な溶媒中で塩化チオニルと反応させて、酸性塩酸塩(III)を形成することを含む。この酸性塩と、水性溶液のメチルアミン又はガス状のメチルアミンとの更なる反応から、化合物(IV)が得られる。次いで、化合物(IV)を、炭酸塩を添加し塩基の存在下で4-アミノフェノールと反応させて、化合物(V)が生成される。
また、化合物(IV)を、水の存在下で相間移動触媒を添加して4-アミノフェノールと反応させることによって、化合物(V)を得ることができる。化合物(V)を、イソシアナートに不活性な非塩素化有機溶媒中でイソシアン酸4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル(VI)と反応させると、ソラフェニブ(I)が得られる。ソラフェニブを、極性溶媒中でp-トルエンスルホン酸と混合することによって、トシル酸ソラフェニブ(VII)が得られる。該反応を、下記のスキームIIに示す。
【化3】

【0005】
ソラフェニブの合成における重要な工程は、尿素結合の形成である。先行技術に開示される該方法は、イソシアナートとアミンとの反応を含む。これらのイソシアナート化合物は、市販されてはいるが、非常に高価である。更に、イソシアナートの合成は、非常に困難であり、慎重かつ熟練した試薬の操作が要求される。
イソシアナートは、アミンと、ホスゲン、又は炭酸ビス(トリクロロメチル)(トリホスゲン)若しくはクロロギ酸トリクロロメチル(ジホスゲン)などのホスゲンの等価物との反応によって製造される。イソシアナートはまた、アジドなどの有害な試薬を使用することによっても、製造することができる。また、イソシアナートの製造方法には、強酸、より高い温度などの過酷な反応条件が要求される。更に、このイソシアナートは、アミンと反応して尿素を与える。
【0006】
イソシアナートの反応は、1つ以上の不都合がある。例えば、ホスゲン又はホスゲンの等価物は有害であり、かつ大規模での使用及び取扱いには危険である。また、これらの試薬は、環境への負荷もある。イソシアナートそれ自身は、熱的に不安定な化合物であり、保管中に分解し、かつそれらは、多くの有機化合物とは相溶しない。このように、イソシアナートの使用は、工業規模の用途にあまり適したものではない。
従って、大規模な生産のために、単純で、かつ有害ではない方法の開発が必要とされている。また、有害な化学物質の使用を、できる限り回避する必要があり、かつ保管することができ、特別な注意を払うことなく取扱うことができ、かつ環境に優しい、より安全な試薬を使用する必要がある。
【0007】
(発明の目的)
本発明の一目的は、ソラフェニブ又はその医薬として許容し得る塩の合成のために、新規の鍵中間体を提供することである。
本発明の別の目的は、ソラフェニブ又はその医薬として許容し得る塩の合成に有用な、新規の鍵中間体の製造方法を提供することである。
本発明の更に別の目的は、該新規の鍵中間体を使用して、ソラフェニブ又はその医薬として許容し得る塩の単純で、かつ新規の製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
(発明の概要)
本発明の第1の態様によると、式(A)の化合物が提供される。
【化4】

式中、R'は、-C(O)OA、-C(O)CX3、-C(O)NH2、-C(O)-NHOH又は
【化5】

からなる群から選択される。
【0009】
これらの式(A)の新規化合物は、ソラフェニブ又はその塩の多くの新規製造方法に使用することができる。式(A)の化合物の製造方法も、式(A)の化合物を使用するソラフェニブ又はその塩のいずれの製造方法も、イソシアナート誘導体の使用を含まない。先に記載したように、イソシアナートは高価であり、製造するのが危険で、かつ使用にも危険を伴うので、極めて不都合である。一方、本発明の式(A)の化合物は、使用が単純、かつ安全であるので、先行技術のイソシアナートに比べ、はるかに工業的な規模の拡大に適している。従って、本発明の方法は、非常に有益なものである。
【0010】
一実施態様において、化合物(A)のR'は、水素であり、かつ式(A)の化合物は、4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリンである。この実施態様において、4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリンと縮合されて、ソラフェニブ(下記でより詳細に述べる化合物(6)及び(7))を形成する該化合物は、新規である。これらの中間体は、上記と同じ理由、すなわち、先行技術で使用されるイソシアナートに比べ、それらは使用が安全で、かつ単純であるため、非常に有益である。
【0011】
別の実施態様において、R'は、
【化6】

であり、かつ式(A)の化合物は、下記でより詳細に述べる化合物(1)である。
別の実施態様において、R'は、-C(O)OAであり、かつ式(A)の化合物は、下記でより詳細に述べるカルバマート誘導体(2)である。
別の実施態様において、R'は、-C(O)CX3であり、かつ式(A)の化合物は、下記でより詳細に述べるアニリド誘導体(3)である。
別の実施態様において、R'は、-C(O)NH2であり、かつ式(A)の化合物は、下記でより詳細に述べる尿素誘導体(4)である。
別の実施態様において、R'は、-C(O)-NHOHであり、かつ式(A)の化合物は、下記でより詳細に述べるヒドロキシ尿素誘導体(9)である。
【0012】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、式(A)の化合物の使用を含む。
【化7】

式中、R'は、水素、-C(O)OA、-C(O)CX3、-C(O)NH2、-C(O)-NHOH又は
【化8】

からなる群から選択される。
【0013】
本発明の別の態様によると、式(1)の化合物が提供される。
【化9】

【0014】
本発明の別の態様によると、式(1)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、カルバマート誘導体(2) (式中、Aは、アルキル又はアリールである。)を4-アミノフェノールと、溶媒の存在下で反応させて、カルバマート誘導体(2)を得ることを含む。
【化10】

一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。一実施態様において、下記の方法によって、該カルバマート誘導体を製造することができる。
【0015】
カルバマート誘導体(2)と4-アミノフェノールとの反応を、0〜60℃、好ましくは、40〜60℃の範囲の温度で行うことができる。
該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
【0016】
本発明の別の態様によると、カルバマート誘導体(2)の製造方法が提供され、該方法は、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、ハロホルマート(2a)又はカルボナート誘導体(2b)(式中、ハロホルマート(2a)において、Aは、アルキル又はアリールであり、かつカルボナート(2b)において、Aは、アルキル、アリールであり、又は2つのA基が互いに結合して5〜7員環を形成する。)と、塩基及び溶媒の存在下で反応させて、カルバマート誘導体(2)を得ることを含む。
【化11】

該カルバマート誘導体(2)を、式(1)の化合物を製造するための上記方法に使用することができる。
【0017】
一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。該カルボナート誘導体を、脂肪族化合物とすることができる。あるいは、該カルボナート誘導体を、環状化合物とすることができる。すなわち、該2つのA基が結合して、5〜7員環を形成することができる。好適には、該A基を形成している環員は、CH2基である。一実施態様において、2つの酸素環員を繋いでいるカルボナートの部位は、-CH2CH2である。一実施態様において、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体は、限定はされないが、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、炭酸ジエチル及び[1,3]ジオキソラン-2-オンから選択される。
【0018】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体との反応を、-10〜25℃、好ましくは、-5〜5℃の範囲の温度で行うことができる。典型的には、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体をゆっくりと添加して、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体の添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。
【0019】
本発明の別の態様によると、式(1)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、アニリド誘導体(3)(式中、Xは、ハロゲンである。)を4-アミノフェノールと、溶媒の存在下で反応させて、化合物(1)を得ることを含む。
【化12】

一実施態様において、式(3)の化合物は、下記の方法に従って製造される。
【0020】
一実施態様において、該反応は、100〜140℃、好ましくは、110〜120℃の範囲の温度で行われる。
該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
【0021】
本発明の別の態様によると、アニリド誘導体(3)の製造方法が提供され、該方法は、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、トリハロアルキルハライド、トリハロアルキル無水物又はトリハロアルキルエステル(式中、Xは、ハロゲンであり、かつRは、アルキルである。)と反応させて、アニリド誘導体(3)を得ることを含む。
【化13】

トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルにおいて、Xは、塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲン、好ましくは、塩素である。
【0022】
一実施態様において、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルは、トリクロロアセチルクロリド、トリブロモアセチルクロリド、トリクロロ酸無水物、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸フェニル及びトリブロモ酢酸エチルから選択される。
トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの反応を、-5〜25℃の範囲の温度で行うことができる。典型的には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルをゆっくりと添加して、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。
【0023】
場合によって、該反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
【0024】
本発明の別の態様によると、式(1)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、尿素誘導体(4)を4-アミノフェノールと、溶媒中で反応させて、化合物(1)を得ることを含む。
【化14】

【0025】
一実施態様において、該尿素誘導体(4)は、下記の方法に従って製造される。
一実施態様において、該尿素誘導体(4)を4-アミノフェノールと混合し、かつ該反応物質を70〜100℃、好ましくは、80〜90℃の範囲の温度まで加熱する。
該溶媒を、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒とすることができる。
【0026】
本発明の別の態様によると、尿素誘導体(4)の製造方法が提供され、該方法は、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンをアルカリシアナートと、酸の存在下で反応させて、尿素誘導体(4)を得ることを含む(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【化15】

一実施態様において、式(1)の化合物を製造するための上記方法に、該尿素誘導体(4)を使用することができる。
【0027】
アルカリシアナートにおいて、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はリチウム、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属である。典型的には、該アルカリシアナートを、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンに、好適には、40〜50℃の範囲の温度でゆっくりと添加する。
該酸を、有機又は無機酸とすることができる。該有機酸は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸又はメタンスルホン酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
【0028】
本発明の別の態様によると、式(1)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、フェノキシ尿素(5)を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、溶媒中、塩基の存在下で反応させて、化合物(1)を得ることを含む。
【化16】

一実施態様において、該フェノキシ尿素(5)は、下記の方法に従って製造される。
一実施態様において、該フェノキシ尿素(5)と3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンとの反応は、100〜150℃の範囲の温度で行われる。
【0029】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
該溶媒は、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒とすることができる。
【0030】
本発明の別の態様によると、フェノキシ尿素(5)の製造方法が提供され、該方法は、4-アミノフェノールをアルカリシアナートと、酸の存在下で反応させて、フェノキシ尿素(5)を得ることを含む(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【化17】

一実施態様において、式(1)の化合物を製造するのための上記方法に、該フェノキシ尿素(5)を使用することができる。
アルカリシアナートにおいて、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はリチウム、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属である。
【0031】
該酸を、有機又は無機酸とすることができる。該有機酸は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸又はメタンスルホン酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
典型的には、該アルカリシアナートを4-アミノフェノールにゆっくりと添加する。該反応を、20〜25℃の範囲の温度で行うことができる。
【0032】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、式(1)の化合物を4-クロロ-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミドと、塩基の存在下で反応させてソラフェニブを得ること、及びソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化18】

【0033】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
該反応を、20〜80℃の範囲の温度で行うことができる。
一実施態様において、ソラフェニブは、トシル酸ソラフェニブに変換される。
一実施態様において、式(1)の化合物は、上記方法のいずれか1つに従って製造されている。
【0034】
本発明の別の態様によると、式(6)の化合物が提供される。
【化19】

本発明の別の態様によると、式(6)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、アルカリシアナートと、プロトン性溶媒の存在下で反応させて、化合物(6)を得ることを含む(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【化20】

一実施態様において、ソラフェニブ又はその塩を製造するための上記方法に、式(6)の化合物が使用される。
アルカリシアナートにおいて、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はリチウム、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属である。
【0035】
該プロトン性溶媒は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸、メタンスルホン酸又は無機酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
該アルカリシアナートを20〜25℃で、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩に添加することができる。典型的には、アルカリシアナートの4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドへの添加をゆっくりと行い、該アルカリ金属シアナートの添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。添加後、該反応物質を撹拌して中間体(6)を得ることができる。
【0036】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、化合物(6)を4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリンと、塩基及び溶媒の存在下で反応させてソラフェニブを得ること、及びソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化21】

【0037】
一実施態様において、該塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンである。
該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
一実施態様において、ソラフェニブは、トシル酸ソラフェニブに変換される。
一実施態様において、式(6)の化合物は、上記方法に従って製造されている。
【0038】
本発明の別の態様によると、式(7)の化合物が提供される。
【化22】

式中、Aは、アルキル又はアリールである。一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。
【0039】
本発明の別の態様によると、式(7)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、ハロホルマート(2a)又はカルボナート誘導体(2b)と、塩基の存在下で反応させて、式(7)の化合物を得ることを含む(式中、ハロホルマート(2a)において、Aは、アルキル又はアリールであり、かつカルボナート(2b)において、Aは、アルキル、アリールであり、又は2つのA基が互いに結合して5〜7員環を形成する。)。
【化23】

【0040】
一実施態様において、該4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体と、-5〜25℃、好ましくは、0〜5℃の範囲の温度で反応させる。
一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。該カルボナート誘導体を、脂肪族化合物とすることができる。あるいは、該カルボナート誘導体を、環状化合物とすることができる。すなわち、該2つのA基が結合して、環を形成することができる。一実施態様において、2つの酸素環員を繋いでいるカルボナートの部位は、-CH2CH2-である。一実施態様において、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体は、限定はされないが、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、炭酸ジエチル及び[1,3]ジオキソラン-2-オンから選択される。
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
【0041】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、化合物(7)を4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリンと反応させて、ソラフェニブを得ること(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化24】

一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。
【0042】
該反応を溶媒中で行うことができ、該溶媒には、水、又は二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
該反応物質を、該溶媒の還流温度まで加熱することができる。
【0043】
本発明の別の態様によると、式(8)の化合物が提供される(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【化25】

ハロゲンは、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは、塩素から選択することができる。
【0044】
本発明の別の態様によると、式(8)の化合物の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、トリハロアルキルハライド、トリハロ無水物又はトリハロエステルと反応させて、式(8)の化合物を得ることを含む(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【化26】

一実施態様において、ソラフェニブ又はその塩を製造するための上記方法に、該化合物(8)が使用される。
【0045】
トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルにおいて、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは、塩素などのハロゲンである。該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルを、トリクロロアセチルクロリド、トリブロモアセチルクロリド、トリクロロ酸無水物、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸フェニル、トリブロモ酢酸エチルからなる群から選択することができる。
典型的には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルを、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドにゆっくりと添加して、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。反応が行われる温度を、0〜150℃の範囲とすることができる。場合によって、該反応は、塩基の存在下で行われる。
【0046】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、化合物(8)を4-クロロ-3-トリフルオロメチルアニリンと、塩基の存在下で反応させて、ソラフェニブを得ること(式中、Xは、ハロゲンである。)、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化27】

一実施態様において、該化合物(8)は、上記方法に従って製造される。Xは、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは、塩素などのハロゲンである。
【0047】
該反応を溶媒の存在下で行うことができ、該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
一実施態様において、該反応は、100〜150℃の範囲の温度で行われる。
【0048】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、カルバマート誘導体(2)(これは、上記のカルバマート誘導体(2)と同じものである。)と縮合させて、ソラフェニブを得ること(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化28】

一実施態様において、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルである。別の実施態様において、アリールは、フェニルである。
【0049】
該反応物質を30〜50℃の範囲の温度で撹拌して、最終生成物を得ることができる。
該反応を溶媒の存在下で行うことができ、該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
一実施態様において、該カルバマート誘導体(2)は、上記方法に従って製造される。
【0050】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、式(3)のアニリド誘導体(これは、上記のアニリド誘導体(3)と同じものである。)と、塩基の存在下で縮合させて、ソラフェニブを得ること(式中、Xは、ハロゲンである。)、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化29】

Xは、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは、塩素などのハロゲンである。
【0051】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
該反応を溶媒の存在下で行うことができ、該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
該反応を、100〜150℃の範囲の温度で行うことができる。
一実施態様において、該アニリド誘導体(3)は、上記方法に従って製造される。
【0052】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、尿素誘導体(4)(これは、上記の尿素誘導体(4)と同じものである。)と、塩基の存在下で縮合させて、ソラフェニブを得ること、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化30】

【0053】
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
該反応を溶媒の存在下で行うことができ、該溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの有機溶媒を挙げることができる。
該反応を、100〜150℃の範囲の温度で行うことができる。
一実施態様において、該尿素誘導体(4)は、上記方法に従って製造される。
【0054】
本発明の別の態様によると、式(9)の化合物が提供される。
【化31】

本発明の別の態様によると、ヒドロキシ尿素誘導体(9)(すなわち、R'が、-C(O)-NHOHである化合物(A))の製造方法が提供され、該方法は、カルバマート誘導体(2)をヒドロキシルアミンと、プロトン性溶媒中で反応させることを含む。
【化32】

【0055】
好適には、該ヒドロキシルアミンは、例えば、その塩酸塩などの塩として使用される。カルバマート誘導体(2)と該ヒドロキシルアミン塩とを混合し、次いで、該溶媒の還流温度まで加熱することができる。
該プロトン性溶媒は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸、メタンスルホン酸又は無機酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
【0056】
本発明の別の態様によると、ソラフェニブ又はその塩の製造方法が提供され、該方法は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、ヒドロキシル尿素誘導体(9)(すなわち、R'が、-C(O)-NHOHである化合物(A))と縮合させて、ソラフェニブを得ること、及び該ソラフェニブをその塩に任意に変換することを含む。
【化33】

【0057】
典型的には、該反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
該反応を、100〜150℃の範囲の温度で行うことができる。
上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブは、本発明の別の態様を形成する。
上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブの塩は、本発明の別の態様を形成する。
【0058】
本発明の別の態様によると、医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブ又はその塩を、少なくとも1つの医薬として許容し得る賦形剤とともに含む。そのような医薬組成物及び賦形剤は、当業者には周知である。
本発明の別の態様によると、上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブ又はその塩の、医薬への使用が提供される。
【0059】
本発明の別の態様によると、上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブ又はその塩の、腎細胞癌又は進行性肝細胞癌の治療への使用が提供される。
本発明の別の態様によると、上記方法のいずれか1つに従って製造されるソラフェニブ又はその塩の、腎細胞癌又は進行性肝細胞癌を治療するための薬剤の製造への使用が提供される。
本発明の別の態様によると、腎細胞癌又は進行性肝細胞癌を治療するための方法が提供され、該方法は、それを必要とする患者に、上記方法のいずれか1つに従って製造される、治療上有効な量のソラフェニブ又はその塩を投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0060】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ソラフェニブ又はその医薬として許容し得る塩の合成に有用な、新規の鍵中間体に関する。
一実施態様において、本発明の中間体(1)は、次の工程を含む方法によって得られる:
a) 3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、クロロホルマートなどのハロホルマート又はカルボナート誘導体と、塩基及び適当な溶媒の存在下、適当な温度で反応させて、カルバマート誘導体(2)を得ること。
b) カルバマート誘導体(2)と4-アミノフェノールとを、適当な有機溶媒の存在下で反応させて、中間体(1)を得ること。該反応をスキームIIIに示す。
【化34】

【0061】
ハロホルマート又はカルボナート誘導体において、Aをアルキル(R)又はアリール(Ar)とすることができ、ここで、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルであり、かつアリールは、好ましくは、フェニルである。
該カルボナート誘導体は、脂肪族又は環状化合物(すなわち、互いに結合した2つのA基が環を形成する。)とすることができる。用いることができるハロホルマート又はカルボナート誘導体の例は、限定はされないが、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、炭酸ジエチル、[1,3]ジオキソラン-2-オンなどから選択される。
使用される塩基は、有機又は無機塩基とすることができる。該無機塩基は、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどから選択することができる。該有機塩基は、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンから選択することができる。
【0062】
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、ハロホルマート又はカルボナート誘導体との反応を、-10〜25℃、好ましくは、-5〜5℃の範囲の温度で行うことができる。典型的には、該ハロホルマート又はカルボナート誘導体をゆっくりと添加して、該反応物質の温度を維持する。
カルバマート誘導体(2)と4-アミノフェノールとの反応は、0〜60℃、好ましくは、40〜60℃の範囲の比較的高い温度で行われ、ここで、カルバマート誘導体と4-アミノフェノールとの混合物を、40〜60℃の範囲の温度まで加熱する。
適当な溶媒には、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル又はそれらの混合物などを挙げることができる。
【0063】
本発明の別の実施態様において、次の工程を含む方法によって、中間体(1)を得ることができる:
a) 3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、トリハロアルキルクロリドなどのトリハロアルキルハライド又はトリハロアルキル無水物又はトリハロアルキルエステルと、反応させて、アニリド誘導体(3)を得ること。
b) アニリド誘導体(3)を4-アミノフェノールと、適当な有機溶媒中、適当な温度で反応させて、中間体(1)を得ること。該反応をスキームIVに示す。
【化35】

【0064】
トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルにおいて、Xは、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは、塩素などのハロゲンである。Rは、上記のスキームIIIに定義されたものと同じ意味を有する。使用されるトリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルは、限定はされないが、トリクロロアセチルクロリド、トリブロモアセチルクロリド、トリクロロ酸無水物、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸フェニル、トリブロモ酢酸エチルなどから選択される。トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの反応は、-5〜25℃の範囲の温度で行われる。典型的には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルをゆっくりと添加して、該トリハロ化合物の添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。
アニリド誘導体(3)と4-アミノフェノールとの反応は、100〜140℃、好ましくは、110〜120℃の範囲の比較的高い温度で行われ、ここで、アニリド誘導体と4-アミノフェノールとの混合物を、110〜120℃の範囲の温度まで加熱する。
場合によって、該反応工程は、塩基の存在下で行われる。該塩基を、上記のスキームIIIに記載される有機又は無機塩基とすることができる。
該適当な溶媒を、上記のスキームIIIに記載される有機溶媒とすることができる。
【0065】
他の実施態様において、次の工程を含む別の方法によって、中間体(1)を製造することができる:
a) 3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンをアルカリシアナートと、酸性条件下、適当な温度で反応させて、尿素誘導体(4)を得ること;及び
b) 尿素誘導体(4) を4-アミノフェノールと、適当な有機溶媒中、適当な温度で反応させて、中間体(1)を得ること。該反応をスキームVに示す。
【化36】

【0066】
アルカリシアナートにおいて、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はリチウム、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属である。典型的には、該アルカリシアナートを3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンに、好適には、40〜50℃の範囲の温度で、ゆっくりと添加する。該酸は、有機又は無機酸とすることができる。該有機酸は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸又はメタンスルホン酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
工程a)で得られる該尿素誘導体を4-アミノフェノールと混合し、かつ該反応物質を、一般に、70〜100℃、好ましくは、80〜90℃の範囲の温度まで加熱する。
双方の工程に使用される適当な溶媒は、上記のスキームIIIに記載される有機溶媒である。
【0067】
更に別の実施態様において、次の工程を含む別の方法によって、中間体(1)を製造することができる:
a) 4-アミノフェノールをアルカリシアナートと、酸性条件下、適当な温度で反応させて、フェノキシ尿素(5)を得ること;及び
b) フェノキシ尿素(5) を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、適当な有機溶媒中、塩基の存在下、適当な温度で反応させて、中間体(1)を得ること。該反応をスキームVIに示す。
【化37】

【0068】
工程a)で使用されるアルカリシアナート及び酸は、上記のスキームVの工程a)に記載されるものと同じである。典型的には、該アルカリシアナートを4-アミノフェノールにゆっくりと添加する。該反応を、20〜25℃の範囲の温度で行うことができる。
フェノキシ尿素(5)と3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンとの反応は、好適には、100〜150℃の範囲の温度で行われる。使用される塩基及び溶媒は、上記のスキームIIIに記載されるものと同じものである。
【0069】
別の実施態様において、式(1)の中間体が提供される。
【化38】

新規中間体(1)の様々な製造方法の略図を次に示す。
【化39】

【0070】
本発明の別の態様において、中間体(1)がソラフェニブの合成に使用される。一実施態様において、中間体(1)を4-クロロ-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミドと塩基の存在下、適当な温度で反応させる。該反応をスキームVIIに示す。
【化40】

該塩基は、上記のスキームIIIに記載されるものと同じものとすることができる。該反応を、20〜80℃の範囲の温度で行うことができる。
良好な収率及び純度のソラフェニブが得られることが、この方法の利点である。
【0071】
本発明の別の態様によると、新規の中間体(6)が提供される。
本発明の別の態様によると、中間体(6)がソラフェニブの製造に使用される。一実施態様において、該方法は、次の工程を含む:
a) 4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、アルカリシアナートと、プロトン性溶媒の存在下、適当な温度で反応させて、中間体(6)を得ること;及び
b) 中間体(6)を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、塩基及び有機溶媒の存在下、適当な温度で反応させて、ソラフェニブを得ること。該反応を下記のスキームIIIaに示す。
【0072】
スキームIIIaのアルカリシアナートにおいて、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はリチウム、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属である。該プロトン性溶媒は、限定はされないが、酢酸、シュウ酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸、メタンスルホン酸又は無機酸などの酸から選択することができる。該無機酸は、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの酸から選択することができる。
該アルカリシアナートを4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩に、20〜25℃で添加することができる。典型的には、アルカリシアナートの4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドへの添加をゆっくりと行い、該アルカリシアナートの添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。添加後、該反応物質を撹拌して、中間体(6)を得ることができる。
【0073】
次いで、中間体(6)を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、塩基の存在下で反応させる。該塩基は、限定はされないが、カリウムtertブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ピリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどである。適当な溶媒は、水、二塩化メチレン(MDC)、二塩化エチレン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、又はそれらの混合物などの有機溶媒とすることができる。
該反応物質を、該溶媒の還流温度まで加熱することができる。
【0074】
本発明の別の実施態様において、次の工程を含む方法によって、ソラフェニブが製造される:
a) 4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、クロロホルマートなどのハロホルマート又はカルボナート誘導体と、塩基の存在下、適当な温度で反応させて、中間体(7)を得ること;及び
b) 中間体(7)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと反応させて、ソラフェニブを得ること。該反応を下記のスキームIVaに示す。
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドを、ハロホルマート又はカルボナート誘導体と、塩基の存在下、典型的には、-5〜25℃、好ましくは、0〜5℃の範囲の温度で反応させる。
【0075】
ハロホルマート又はカルボナート誘導体において、Aをアルキル(R)又はアリール(Ar)とすることができ、ここで、アルキルは、C1-3アルキル、好適には、メチル、エチル、イソ-プロピル又はn-プロピルであり、かつアリールは、好ましくは、フェニルである。該カルボナート誘導体を、脂肪族又は環状化合物(すなわち、互いに結合した2つのA基が環を形成する。)とすることができる。使用することができるハロホルマート又はカルボナート誘導体の例は、限定はされないが、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、炭酸ジエチル、[1,3]ジオキソラン-2-オンなどから選択される。
使用される塩基は、上記のスキームIIIaに記載される塩基と同じものである。
次いで、中間体(7)を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、有機溶媒中、スキームIIIaに関連する上記のものと同じ方法で混合する。該反応物質を、溶媒の還流温度まで加熱することができる。
【0076】
本発明の更に別の実施態様において、次の工程を含む方法によって、ソラフェニブを製造することもできる:
a) 4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、例えば、トリハロアルキルクロリドなどのトリハロアルキルハライド又はトリハロ無水物又はトリハロエステルと、適当な温度で反応させて、中間体(8)を得ること;及び
b) 中間体(8)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと反応させて、ソラフェニブを得ること。該反応をスキームVaに示す。
トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルにおいて、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは、塩素などのハロゲンである。該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルを、トリクロロアセチルクロリド、トリブロモアセチルクロリド、トリクロロ酸無水物、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸フェニル及びトリブロモ酢酸エチルからなる群から選択することができる。
【0077】
典型的には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルを、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドにゆっくりと添加して、該トリハロ化合物を添加する間、該反応物質の所望の温度を維持する。反応が行われる温度を、0〜150℃の範囲とすることができる。場合によって、該反応は、塩基の存在下で行われる。
次いで、中間体(8)を3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、有機溶媒中、スキームIIIaに関連する上記のものと同じ方法で、典型的には、100〜150℃の範囲の高温で混合する。該反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基は、上記のスキームIIIaに関連して記載されるものと同じものである。
【化41】

【0078】
本発明の別の実施態様において、別法として、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、カルバマート誘導体(2)と縮合させることによって、ソラフェニブが製造される。該反応に使用される溶媒は、上記のスキームIIIaに関連して上述したものと同じものである。該反応物質を30〜50℃の範囲の温度で撹拌して、最終生成物を得ることができる。該反応をスキームVIaに示す。該カルバマート誘導体(2)は、上記のスキームIIIに使用されるカルバマート誘導体と同じものである。
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、クロロホルマートなどのハロホルマート又はカルボナート誘導体と、上記のスキームIIIaに関連して記載される塩基の存在下で反応させることによって、該カルバマート誘導体(2)を製造することができる。典型的には、ハロホルマート又はカルボナート誘導体の、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンへの添加をゆっくりと行い、該アルカリシアナートの添加の間、該反応物質の所望の温度を維持する。反応が行われる温度を、-10〜25℃の範囲とすることができる。
【0079】
本発明の更に別の態様によると、別法として、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミドを尿素誘導体(4)と、塩基の存在下で縮合することによって、ソラフェニブが製造される。該反応は、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩と尿素誘導体(4)とを、適当な溶媒中、100〜150℃の範囲の温度で混合することを含む。更に、該反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基及び溶媒は、上記のスキームIIIaに関連して記載されるのと同じものである。該反応をスキームVIIaに示す。該尿素誘導体(4)は、上記のスキームVに使用される尿素誘導体と同じものである。
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン又はその酸付加塩を、アルカリシアナートと、プロトン性溶媒の存在下で反応させることによって、尿素誘導体(4)を製造することができる。該アルカリシアナート及びプロトン性溶媒は、スキームIIIaに関連して上述したものと同じものである。典型的には、該アルカリシアナートを3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンに、40〜50℃の範囲の温度でゆっくりと添加する。
【0080】
本発明の更に別の代替実施態様によると、別法として、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、アニリド誘導体(3)と縮合することによって、ソラフェニブが製造される。典型的には、該反応は、適当な溶媒中、かつ塩基の存在下、場合によって100〜150℃の範囲の温度で行われる。使用される溶媒及び塩基は、スキームIIIaに関連して上述したものと同じものである。該反応をスキームVIIIaに示す。該アニリド誘導体(3)は、上記のスキームIVに使用されるアニリド誘導体と同じものである。
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、トリハロアルキルクロリドなどのトリハロアルキルハライド又はトリハロ無水物又はトリハロエステルと反応させることによって、アニリド誘導体(3)を得ることができる。典型的には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの反応は、-5〜25℃の範囲の温度で行われる。好適には、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルをゆっくりと添加して、該トリハロアルキルハライド又は無水物又はエステルの添加の間、該反応物質を一定の温度に維持する。場合によって、該反応は、塩基の存在下で行われる。使用される塩基及び溶媒は、スキームIIIaに関連して上述したものと同じものである。
【0081】
本発明の更に別の実施態様において、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、ヒドロキシ尿素誘導体(9)と縮合することによって、ソラフェニブが製造される。典型的には、該反応は、スキームIIIaに関連して上述した塩基の存在下、場合によって、100〜150℃の範囲の温度で行われる。該反応をスキームIXに示す。
カルバマート誘導体(2)をヒドロキシルアミンと、プロトン性溶媒中で反応させることによって、ヒドロキシ尿素誘導体(9)を得ることができる。好適には、該ヒドロキシルアミンを、例えば、その塩酸塩などのその塩として使用する。カルバマート誘導体(2)と該ヒドロキシルアミン塩とを混合し、次いで、該溶媒の還流温度まで加熱することができる。該プロトン性溶媒は、スキームIIIaに関連して上述したものと同じものである。
【化42】

【0082】
中間体(2)、(3)及び(4)の合成を、下記のスキームXに示す。
【化43】

【0083】
中間体(9)の合成を、下記のスキームXIに示す。
【化44】

【0084】
場合によって、該ソラフェニブを、その医薬として許容し得る塩、より具体的には、そのトシル酸塩に変換することができる。p-トルエンスルホン酸との反応によって、該ソラフェニブのトシル酸塩を製造することができる。
本発明を下記の実施例によって、ここで更に例証するが、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0085】
(実施例1:4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(化合物2)の合成)
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(25g、0.1278mol)及びピリジン(26ml、0.3195mol)をジクロロメタン(250ml)に溶解させた。該反応物質を0℃〜-5℃まで冷却し、該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(100ml)中のクロロギ酸フェニル(22ml、0.1661mol)の溶液を滴加した。該反応物質を、0℃〜5℃で1〜2時間撹拌し、かつ10℃未満の水(200ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水、続いて1NのHClで洗浄した。次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して固形物を得た。この固形物をヘキサン(350ml)を用いて、周囲温度で2〜3時間撹拌し、かつ濾過した。得られた生成物を50℃で真空乾燥して、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(36g)を白色の固体として得た。
【0086】
(実施例2:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物1)の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(150ml)に、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(50g、0.15873mol)及びp-アミノフェノール(20.78g、0.1904mol)を室温で添加した。次いで、該反応物質を、50℃で4〜6時間加熱し、かつ室温まで冷却した。水(500ml)を添加し、得られた物質を酢酸エチルで抽出し、かつ合わせた抽出物を水で洗浄した。それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ濃縮して半固形物を得た。次いで、該残渣にアセトニトリル(700ml)を加え、得られた沈殿物を、周囲温度で2〜3時間撹拌した。該固形物を濾過し、かつ透明な濾液が得られるまで、アセトニトリルで十分に洗浄した。こうして得られた固形物を、真空オーブン中50℃で乾燥させて、目的の1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(40g)を得た。
【0087】
(実施例3:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物3)の合成)
ジクロロメタン(350ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(35g、0.1789mol)及びピリジン(36ml、0.447mol)の透明溶液を、0℃〜-5℃で冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(75ml)中のトリクロロアセチルクロリド(26ml、0.2326mol)の溶液を滴加した。該反応物質を、0℃未満で1時間撹拌し、かつ5℃未満の水(150ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水層をジクロロメタンで再抽出した。次いで、合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて、目的生成物、すなわち、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(55g)を得た。
【0088】
(実施例4:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物3)の合成)
ジクロロメタン(350ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(35g、0.1789mol)及びピリジン(36ml、0.447mol)の透明溶液を、0℃〜-5℃で冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(75ml)中のトリクロロ酸無水物(42.8ml、0.2345mol)の溶液を滴加した。該反応物質を0℃未満で1時間撹拌し、かつ5℃未満の水(150ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水層をジクロロメタンで再抽出した。次いで、合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて、目的生成物、すなわち、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(52g)を得た。
【0089】
(実施例5:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物3)の合成)
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(50g、0.255mol)をトルエン(500ml)中のエチル-2,2,2-トリクロロアセタート(150ml)と、室温で混合した。該混合物を2〜3時間還流した。該有機溶媒を減圧下で脱気して、油状物を得た。この油状物を、ヘキサンを用い撹拌して、目的生成物、すなわち、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(79g)を得た。
【0090】
(実施例6:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物1)の合成)
2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(25g、0.07338mol)をジメチルホルムアミド(75ml)に溶解させた。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(17.5ml、0.11731mol)及び4-アミノフェノール(9.6g、0.0879mol)を、一度に添加した。該反応物質を、110〜120℃まで18〜20時間加熱し、室温まで冷却し、かつ水(750ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を、酢酸エチルで繰返し抽出し、次いで、合わせた酢酸エチル層を水で逆洗した。次いで、それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて、固形物を得た。得られた固形物を周囲温度でアセトニトリル(300ml)にスラリー化させ、かつ濾過して、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(18g)を得た。
【0091】
(実施例7:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(化合物4)の合成)
シアン酸ナトリウム(1.7g、0.02mol)を水(17ml)に室温で溶解させて、透明溶液を得た。次いで、この溶液を、酢酸(25ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(5g、0.025mol)の透明溶液に、40℃〜45℃で1〜2時間以内に滴加した。次いで、該反応物質を、徐々に室温まで冷却しながら一日撹拌した。次いで、得られた固形物を濾過し、水で洗浄し、かつ50℃で真空乾燥して、目的生成物、すなわち、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(4.5g)を得た。
【0092】
(実施例8:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物1)の合成)
1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(100g、0.04191mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(9.4ml、0.0628mol)及び4-アミノフェノール(5.48g、0.050mol)をジメチルスルホキシド(25ml)を用いて混合し、かつ該反応物質を80℃〜90℃まで8〜9時間加熱した。次いで、それを室温まで冷却し、かつ水(150ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を、酢酸エチルで繰返し抽出し、次いで、合わせた酢酸エチル層を水で逆洗した。次いで、該残渣を硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて固形物を得た。次いで、こうして得られた固形物を、周囲温度でアセトニトリル(100ml)にスラリー化させ、かつ濾過した。それを透明な濾液が得られるまで、アセトニトリルで繰返し洗浄した。得られたケーキを10分間吸引乾燥し、かつ50℃で真空乾燥して、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(9.8g)を得た。
【0093】
(実施例9:1-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物5)の合成)
4-アミノフェノール(45g、0.4123mol)を、水と酢酸との混合物(9:1)(450vol)に加えて、透明溶液を得た。この透明溶液に、予め調製した水中のシアン酸ナトリウム(29.48g、0.45358mol)の溶液を1時間の時間をかけて滴加した。得られた反応物質を、周囲温度で6時間撹拌し、かつ濾過して固形物を得た。該固形物を水で洗浄し、かつ真空乾燥して、目的生成物、すなわち、1-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(48g)を得た。
【0094】
(実施例10:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(化合物1)の合成)
無水N,N-ジメチルホルムアミド(45ml)及び1-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(15g、0.0985mol)の溶液に、トリエチルアミン(34ml、0.24646mol)及び3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(19.28g、0.0985mol)を一度に添加した。次いで、この反応物質を100℃で10〜12時間撹拌し、水中で反応を停止させ、かつ該水層を酢酸エチルで抽出した。該酢酸エチル層を水で逆洗し、かつ硫酸ナトリウムで乾燥させた。それを真空下で蒸発させて、固形物を得た。得られた固形物を、周囲温度でアセトニトリル(100ml)にスラリー化させ、濾過し、かつ透明溶液が得られるまで、アセトニトリルで繰返し洗浄した。次いで、得られたケーキを、10分間吸引乾燥し、かつ50℃で真空乾燥して、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(25g)を得た。
【0095】
(実施例11:4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミド(化合物I−ソラフェニブ)の合成)
1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)尿素(35g、0.1060mol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(100ml)に溶解させ、かつカリウムtert-ブトキシド(14.28g、0.1272mol)を室温で一度に添加した。該反応物質を、周囲温度で2〜3時間撹拌し、かつ4-クロロ-N-メチルピコリンアミド(18.09g、0.1060mol)を一度にて添加した。該反応物質を、60〜70℃で2〜3時間維持し、かつ室温まで冷却した。次いで、それを酢酸エチルで希釈し、かつ該有機層を水、続いて1NのHCl及び最後に鹹水で洗浄した。該有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ脱気して固形物を得た。得られた固形物を酢酸エチルでストリップし、最終的にアセトニトリル(350ml)に室温でスラリー化させ、濾過し、かつ真空乾燥して、4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミド(ソラフェニブ)(32g)を得た。
【0096】
(実施例12:トシル酸ソラフェニブ(化合物VII)の合成)
4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミド(ソラフェニブ)(50g、0.1075mol)を、アセトン(500ml)に周囲温度で懸濁させた。p-トルエンスルホン酸(25g、0.1398mol)を、アセトン(250ml)に溶解させ、この溶液を上記反応物質に15分間で滴加し、かつ得られた沈殿物を周囲温度で1〜2時間撹拌し、濾過し、かつアセトン(100ml)で洗浄した。次いで、それを50℃で12時間、真空乾燥して、4-4-(4-{3-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)-N2-メチルピリジン-2-カルボキサミドトシラート(トシル酸ソラフェニブ)(65g)を得た。
【0097】
(実施例13:N-メチル-4-(4-ウレイドフェノキシ)ピコリンアミド(化合物6)の合成)
水(55ml)中のシアン酸ナトリウム(5.5g、0.0846mol)の溶液を調製した。次いで、該反応物質の周囲温度(ambient temperature)を維持しながら、この透明溶液を、水(125ml)中の4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド塩酸塩(V)(25g、0.0894mol)の撹拌溶液に滴加した。次いで、該反応物質を同じ温度で24時間撹拌し、次いで、得られた固形物を濾過し、水で十分に洗浄し、かつ80℃で真空乾燥して、N-メチル-4-(4-ウレイドフェノキシ)ピコリンアミド(16g)を得た。
【0098】
(実施例14:ソラフェニブの合成)
N-メチル-4-(4-ウレイドフェノキシ)ピコリンアミド(50g、0.1746mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(33.95ml、0.2270mol)及び3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(34.2g、0.1746mol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(200ml)と混合し、かつ該反応物質を還流するまで24時間加熱した。次いで、それを室温まで冷却し、水(600ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を酢酸エチルで繰返し抽出し、次いで、合わせた酢酸エチル層を水で逆洗して、DMF残留物を除去した。次いで、それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて、固形物を得た。次いで、こうして得られた固形物を、酢酸エチル(400ml)に周囲温度でスラリー化させ、かつ濾過して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(64g)を得た。
【0099】
(実施例15:4-(2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバミン酸フェニル(化合物7)の合成)
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(35g、0.1440mol)をジクロロメタン(350ml)に溶解させ、かつピリジン(64ml)を該反応物質に周囲温度で添加した。次いで、該反応物質を0℃〜-5℃まで冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(125ml)中のクロロギ酸フェニル(23.5ml、0.180mol)の溶液を滴加した。該反応物質を、0℃〜5℃で1〜2時間撹拌して、かつ10℃未満の水(200ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、水、続いて1NのHCl(100ml)で洗浄し、かつ硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、濃縮して固形物を得た。この固形物をヘキサン(350ml)を用いて、周囲温度で2〜3時間撹拌し、かつ濾過した。得られた生成物を50℃で真空乾燥して、4-(2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバマート(48g)を淡黄色の固体として得た。
【0100】
(実施例16:ソラフェニブの合成)
アセトニトリル(250ml)中の4-(2-(メチルカルバモイル)ピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバマート(25g、0.06871mol)と3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(13.4g、0.06871mol)との混合物を、生成物が反応物質から沈殿する場合に、24時間還流した。該反応物質を室温まで冷却し、かつ得られた生成物を濾過し、透明な濾液が得られるまでアセトニトリルで洗浄した。次いで、それを真空乾燥して4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(28g)を得た。
【0101】
(実施例17:N-メチル-4-(4-(2,2,2-トリクロロアセトアミド)フェノキシ)ピコリンアミド(化合物8)の合成)
ジクロロメタン(100ml)中の4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(100g、0.411mol)の透明溶液を0℃〜-5℃まで冷却し、かつピリジン(83ml、1.02mol)を該反応物質に一度に添加した。次いで、それを同じ温度で15分間撹拌し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(500ml)中のトリクロロアセチルクロリド(60ml、0.535mol)の溶液を滴加した。次いで、該反応物質を、0℃未満で2〜3時間撹拌し、かつ5℃未満の水(500ml)で反応を停止させた。次いで、該有機相を分離し、かつ水層をジクロロメタンで再抽出した。合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて目的生成物(72g)を得た。
【0102】
(実施例18:N-メチル-4-(4-(2,2,2-トリクロロアセトアミド)フェノキシ)ピコリンアミド(化合物8)の合成)
ジクロロメタン(100ml)中の4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(100g、0.411mol)の透明溶液を0℃〜-5℃まで冷却し、かつピリジン(83ml、1.02mol)を該反応物質に一度に添加した。次いで、それを同じ温度で15分間撹拌し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(500ml)中のトリクロロ酸無水物(98ml、0.535mol)の溶液を添加した。次いで、該反応物質を、0℃未満で2〜3時間撹拌し、かつ5℃未満の水(500ml)で反応を停止させた。次いで、該有機相を分離し、水層をジクロロメタンで再抽出した。合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて目的生成物(70g)を得た。
【0103】
(実施例19:N-メチル-4-(4-(2,2,2-トリクロロアセトアミド)フェノキシ)ピコリンアミド(化合物8)の合成)
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(35g、0.144mol)を、トルエン(350ml)中のエチル-2,2,2-トリクロロアセタート(50ml、0.27mol)と周囲温度で混合した。次いで、該混合物を蒸留モード下で、2〜3時間100℃まで加熱した。該有機溶媒を減圧下で脱気して油状物を得た。この油状物をヘキサン(500ml)で倍散して目的の固体(49g)を得た。
【0104】
(実施例20:ソラフェニブの合成)
N-メチル-4-(4-(2,2,2-トリクロロクロロアセトアミド)フェノキシ)ピコリンアミド(25g、0.0644mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(75ml)に溶解させた。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(11.35ml、0.0805mol)及び3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(12.60g、0.0644mol)を一度に添加した。次いで、該反応物質を110℃まで8〜9時間加熱し、室温まで冷却し、かつ水(250ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を酢酸エチルで繰返し抽出して、かつ合わせた酢酸エチル層を水で逆洗してDMF残留物を除去した。それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発して固形物を得た。得られた固形物を周囲温度で酢酸エチル(350ml)にスラリー化させ、かつ濾過して4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(20g)を得た。
【0105】
(実施例21:4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(化合物2)の合成)
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(55g、0.281mol)及びピリジン(56ml、0.7030mol)をジクロロメタン(550ml)に溶解させた。該反応物質を0℃〜-5℃まで冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(200ml)中のクロロギ酸フェニル(46ml、0.3515mol)の溶液を添加した。該反応物質を0℃〜5℃まで1〜2時間撹拌し、かつ10℃未満の水(250ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水、続いて1NのHCl(100ml)で洗浄した。それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ濃縮して固形物を得た。この固形物をヘキサン(500ml)を用いて、周囲温度で2〜3時間撹拌し、かつ濾過した。得られた生成物を50℃で真空乾燥して、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(85g)を白色の固体として得た。
【0106】
(実施例22:ソラフェニブの合成)
4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸フェニル(100g、0.3174mol)及び4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(77.14g、0.3174mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(300ml)に溶解させて、透明な反応物質を得た。該反応物質を、40〜45℃で2〜3時間撹拌し、室温まで冷却し、かつ酢酸エチル(1000ml)で希釈した。該有機層を水(250ml)続いて1NのHCl(250ml)、かつ最後に鹹水(250ml)で洗浄した。該有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ脱気して固形物を得た。この固形物を酢酸エチルでストリップし、かつ最後に室温で酢酸エチル(1000ml)にスラリー化させた。次いで、それを濾過し、かつ真空乾燥して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(118g)を得た。
【0107】
(実施例23:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(化合物4)の合成)
シアン酸ナトリウム(1.7g、0.02mol)を水(17ml)に室温で溶解させて、透明溶液を得た。次いで、この溶液を、酢酸(25ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(5g、0.025mol)の透明溶液に40℃〜45℃で1〜2時間以内に滴加した。該反応物質を一日撹拌し、かつ徐々に室温まで冷却した。得られた固形物を濾過し、水で洗浄し、かつ50℃で真空乾燥して目的生成物、すなわち、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(5.8g)を得た。
【0108】
(実施例24:ソラフェニブの合成)
1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(15g、0.0628mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(11.75ml、0.078mol)及び4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(15.27g、0.0628mol)を、ジメチルスルホキシド(45ml)と混合し、次いで、該反応物質を110〜120℃で12〜18時間加熱した。該反応物質を室温まで冷却し、水(250ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を酢酸エチルで繰返し抽出し、次いで、合わせた酢酸エチル層を水で逆洗した。それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて固形物を得た。得られた固形物をアセトニトリル(150ml)に周囲温度でスラリー化させ、かつ濾過して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(17.5g)を得た。
【0109】
(実施例25:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(化合物3)の合成)
ジクロロメタン(450ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(45g、0.230mol)及びピリジン(37ml、0.460mol)の透明溶液を0℃〜-5℃で冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(100ml)中のトリクロロアセチルクロリド(31ml、0.2876mol)の溶液を滴加した。次いで、該反応物質を1時間0℃未満で撹拌し、かつ5℃未満の水(250ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水層をジクロロメタンで再抽出した。合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて、目的生成物、すなわち、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(62g)を得た。
【0110】
(実施例26:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル) アセトアミド(化合物3)の合成)
ジクロロメタン(450ml)中の3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(45g、0.230mol)及びピリジン(37ml、0.460mol)の透明溶液を0℃〜-5℃で冷却し、かつ該反応物質の温度を0℃未満に維持しながら、ジクロロメタン(100ml)中のトリクロロ酸無水物(54.85ml、0.299mol)の溶液を滴加した。次いで、該反応物質を0℃未満で1時間撹拌し、かつ5℃未満の水(250ml)で反応を停止させた。該有機相を分離し、かつ水層をジクロロメタンで再抽出した。合わせたジクロロメタン層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて、目的生成物、すなわち、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(60g)を得た。
【0111】
(実施例27:2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル) アセトアミド(化合物3)の合成)
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリン(60g、0.3067mol)とエチル-2,2,2-トリクロロアセタート(120ml、0.6134mol)とを、トルエン(600ml)中、室温で混合した。次いで、該混合物を2〜3時間還流した。該有機溶媒を減圧下で脱気して油状物を得た。この油状物を、ヘキサン(1000ml)を用い撹拌して、2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(100g)を得た。
【0112】
(実施例28:ソラフェニブの合成)
2,2,2-トリクロロ-N-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(45g、0.1319mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(100ml)中で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(24.67ml、0.1649mol)及び4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(32.07g、0.1319mol)とともに、24時間還流し、かつ室温まで冷却した。該反応物質を水(1000ml)中で反応を停止させた。該反応停止させた物質を、酢酸エチルで繰返し抽出し、かつ合わせた酢酸エチル層を水で逆洗してDMF残留物を除去した。それを硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ真空下で蒸発させて固形物を得た。得られた固形物を、周囲温度で酢酸エチル(1000ml)にスラリー化させ、かつ濾過して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(52g)を得た。
【0113】
(実施例29:1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ヒドロキシ尿素(化合物9)の合成)
4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニルカルバミン酸エチル(10g、0.0373mol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(13g、0.1868mol)を、酢酸中で12時間還流し、かつ該有機層を真空下で蒸発させて油状物を得た。この油状物を水(100ml)と混合し、得られた沈殿物を室温で1〜2時間撹拌した。得られた固形物を濾過し、かつ水で十分に洗浄した。該湿ったケーキを50℃で真空乾燥して、1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ヒドロキシ尿素(6.8g)を白色の結晶性固体として得た。
【0114】
(実施例30:ソラフェニブの合成)
1-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ヒドロキシ尿素(5g、0.0196mol)を、トリエチルアミン(8.2ml、0.0589mol)及び4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(4.7g、0.0196mol)とともに、N,N-ジメチルホルムアミド(15ml)に懸濁させた。次いで、該反応物質を125℃に4日間加熱した。該反応物質を減圧下で濃縮し、かつ得られた残渣を水(50ml)を用いて、室温で反応を停止させた。該水層を酢酸エチルで繰返し抽出し、かつ合わせた酢酸エチル層を水で逆洗した。酢酸エチルの脱気によって半固形物を得て、これをアセトニトリル(50ml)中、周囲温度で2〜3時間、撹拌すると目的生成物を得た。該生成物を濾過し、かつ真空乾燥して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(2.5g)を得た。
【0115】
(実施例31:トシル酸ソラフェニブの合成)
4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド(ソラフェニブ塩基)(100g、0.2152mol)を、周囲温度でアセトン(1000ml)に懸濁させた。p-トルエンスルホン酸(50g、0.290mol)をアセトン(500ml)に溶解させ、かつこの溶液を上記の反応物質に15分で滴加した。得られた沈殿物を周囲温度で1〜2時間撹拌し、濾過し、かつアセトン(500ml)で洗浄した。これを50℃で12時間真空乾燥して、4-(4-(3-(4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミドトシラート(トシル酸ソラフェニブ)(130g)を得た。
本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内で改変され得ることが、理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)の化合物
【化1】

(式中、R'は、-C(O)OA、-C(O)CX3、-C(O)NH2、-C(O)-NHOH又は
【化2】

からなる群から選択される。)。
【請求項2】
式(2)を有する、請求項1記載の化合物
【化3】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)。
【請求項3】
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、ハロホルマート(2a)又はカルボナート誘導体(2b)と、塩基及び溶媒の存在下で反応させることを含む、カルバマート誘導体(2)の製造方法
【化4】

(式中、ハロホルマート(2a)において、Aは、アルキル又はアリールであり、かつカルボナート(2b)において、Aは、アルキル、アリールであり、又は2つのA基が互いに結合して、5〜7員環を形成する。)。
【請求項4】
式(3)を有する、請求項1記載の化合物
【化5】

(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【請求項5】
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、トリハロアルキルハライド、トリハロアルキル無水物又はトリハロアルキルエステルと反応させて、アニリド誘導体(3)を得ることを含む、アニリド誘導体(3)の製造方法
【化6】

(式中、Xは、ハロゲンであり、かつRは、アルキル基である。)。
【請求項6】
式(4)を有する、請求項1記載の化合物
【化7】


【請求項7】
3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンを、アルカリシアナートと、酸の存在下で反応させて、尿素誘導体(4)を得ることを含む、尿素誘導体(4)の製造方法
【化8】

(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【請求項8】
式(1)を有する、請求項1記載の化合物
【化9】


【請求項9】
カルバマート誘導体(2)を、4-アミノフェノールと、溶媒の存在下で反応させることを含む、式(1)の化合物の製造方法
【化10】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)。
【請求項10】
前記カルバマート誘導体(2)が、請求項3に従って製造される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アニリド誘導体(3)を、4-アミノフェノールと、溶媒中で反応させて、化合物(1)を得ることを含む、式(1)の化合物の製造方法
【化11】

(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【請求項12】
前記アニリド誘導体(3)が、請求項5に従って製造される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
尿素誘導体(4)を、4-アミノフェノールと、溶媒中で反応させて、化合物(1)を得ることを含む、式(1)の化合物の製造方法
【化12】


【請求項14】
前記尿素誘導体(4)が、請求項7に従って製造される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
フェノキシ尿素(5)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、溶媒中、塩基の存在下で反応させて、化合物(1)を得ることを含む、式(1)の化合物の製造方法
【化13】


【請求項16】
前記フェノキシ尿素(5)が、4-アミノフェノールをアルカリシアナートと、酸の存在下で反応させて、フェノキシ尿素(5)を得ることによって製造される、請求項15記載の方法
【化14】

(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【請求項17】
式(6)の化合物
【化15】


【請求項18】
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、アルカリシアナートと、プロトン性溶媒の存在下で反応させて、化合物(6)を得ることを含む、式(6)の化合物の製造方法
【化16】

(式中、Mは、アルカリ金属である。)。
【請求項19】
式(7)の化合物
【化17】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)。
【請求項20】
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、ハロホルマート又はカルボナート誘導体と、塩基の存在下で反応させて、化合物(7)を得ることを含む、化合物(7)の製造方法
【化18】

(式中、Xは、ハロゲンであり、かつハロホルマート(2a)において、Aは、アルキル又はアリールであり、かつカルボナート(2b)において、Aは、アルキル、アリールであり、又は2つのA基が互いに結合して、5〜7員環を形成する。)。
【請求項21】
式(8)の化合物
【化19】

(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【請求項22】
4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、トリハロアルキルハライド、トリハロ無水物又はトリハロエステルと反応させて、中間体(8)を得ることを含む、化合物(8)の製造方法
【化20】

(式中、Xは、ハロゲンであり、かつRは、アルキル基である。)。
【請求項23】
式(9)を有する、請求項1記載の化合物
【化21】


【請求項24】
カルバマート誘導体(2)を、ヒドロキシルアミンと、プロトン性溶媒中で反応させることを含む、ヒドロキシル尿素誘導体(9)の製造方法
【化22】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)。
【請求項25】
式(A)の化合物の使用を含む、ソラフェニブ又はその塩の製造方法
【化23】

(式中、R'は、水素、-C(O)OA、-C(O)CX3、-C(O)NH2、-C(O)-NHOH又は
【化24】

からなる群から選択される。)。
【請求項26】
式(1)の化合物を、4-クロロ-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミドと、塩基の存在下で反応させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法
【化25】


【請求項27】
前記式(1)の化合物が、請求項9〜16のいずれか一項に従って製造されている、請求項26記載の方法。
【請求項28】
化合物(6)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、塩基及び溶媒の存在下で反応させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法
【化26】


【請求項29】
前記式(6)の化合物が、請求項18に従って製造されている、請求項28記載の方法。
【請求項30】
R'が、水素であり、かつ化合物(7)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと反応させて、ソラフェニブを得ること含む、請求項25記載の方法
【化27】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)。
【請求項31】
化合物(7)が、請求項20に従って製造されている、請求項30記載の方法。
【請求項32】
R'が、水素であり、かつ化合物(8)を、3-トリフルオロメチル-4-クロロアニリンと、塩基の存在下で反応させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法
【化28】

(式中、Xは、ハロゲンである。)。
【請求項33】
化合物(8)が、請求項22に従って製造されている、請求項32記載の方法。
【請求項34】
R'が、-C(O)OAであり、かつ式(A)の化合物が、式(2)のカルバマート誘導体
【化29】

(式中、Aは、アルキル又はアリールである。)であり、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、カルバマート誘導体(2)と縮合させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法。
【請求項35】
化合物(2)が、請求項3に従って製造されている、請求項34記載の方法。
【請求項36】
R'が、-C(O)CX3であり、かつ式(A)の化合物が、式(3)のアニリド誘導体
【化30】

(式中、Xは、ハロゲンである。)であり、ここで、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、アニリド誘導体(3)と、塩基の存在下で縮合させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法。
【請求項37】
化合物(3)が、請求項5に従って製造されている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
R'が、-C(O)NH2であり、かつ式(A)の化合物が、式(4)の尿素誘導体
【化31】

であり、4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、尿素誘導体(4)と、塩基の存在下で縮合させて、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法。
【請求項39】
前記尿素誘導体(4)が、請求項7に従って製造される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
R'が、-C(O)-NHOHであり、かつ式(A)の化合物が、ヒドロキシ尿素誘導体(9)
【化32】

であり、かつ4-(4-アミノフェノキシ)-N-メチルピコリンアミド又はその塩を、ヒドロキシ尿素誘導体(9)と縮合させることによって、ソラフェニブを得ることを含む、請求項25記載の方法。
【請求項41】
化合物(9)が、請求項24に従って製造されている、請求項40記載の方法。
【請求項42】
ソラフェニブが、トシル酸ソラフェニブに変換される、請求項25〜41のいずれか一項記載の方法。

【公表番号】特表2010−539076(P2010−539076A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523590(P2010−523590)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003048
【国際公開番号】WO2009/034308
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】