説明

SE(R)RS置き換え可能測定

アナライトの標識付けの必要なしに、アナライト、特に、SE(R)RSを用いるサンプルにおける核酸を検出する検出方法について開示している。その検出方法は、サンプルにおけるアナライトにより捕捉プローブから標識付けされた代替標的プローブの置き換えに基づく。本発明はまた、そのようなシステムで用いる置き換え可能カートリッジ、並びに代替標的プローブ及び捕捉プローブの組み合わせに対応する検出システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナライト、特に、サンプル中の拡散を検出するのに優位性があるSE(R)RS評価方法に関し、特に、それらの方法を実行する器具及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプルにおける特定の生体分子の存在の特定及び高速検出は、分子診断アプリケーションについてかなり重要である。典型的には、所謂、捕捉プローブはセンサ表面において固定され、捕捉プローブへのターゲットの特定の結合が、標的に導入された標識の検出か又は標識が備えられた第2プローブのどちらかによりモニタリングされる。このことは、その表面への標的、プローブ及び標識の輸送を必要とする。高分子の拡散は比較的遅いために、表面への結合は、分析における時間臨界的ステップになる。表面への標的の結合は可逆的であることが可能であり、例えば、DNAハイブリダイゼーションにおいて、ハイビリダイズされた標的分子は、表面から取り除かれる又は溶解して除去されることが可能であり、基板は、洗浄後に再使用されることが可能である。しかしながら、これには時間を要する。それ故、所謂、均一測定、それによる分析が溶液中で行われ、そのことは有利である。実際には、拡散距離はかなり小さく、装置は容易に再使用可能である。それにも拘わらず、固定された捕捉プローブによる実施は、パターン状堆積による多重化(即ち、同時の異なる標的の決定)が容易である有利点を有する。
【0003】
最近、均一溶液内の多重化された高感度測定、所謂、表面増強(共鳴)ラマン分光(SE(R)RS)を可能にする技術であって、検出されるべき分子がナノ構造化された貴金属表面に吸収される必要がある、技術が導入されている。ラマン信号は、励起ビームの光フィールドと金属表面におけるプラズモンフィールド(SERS)との間の相互作用により、及び発色団の共鳴励起により、大きさを数桁、増強される。SE(R)RSは、散乱光が、有効な1つの溶液における複数の分析の識別を行う、鮮鋭な分子特異振動帯域を有する特異な特徴を有する。DNA検出へのSERRSの適用において、2つの機能を有するSERRS標識が、例えば、PCRにより、当該のヌクレオチド配列に導入される。SERRS標識は、電気的に(正に)帯電した官能基により銀表面に付着する、及び染料部分によりラマン信号を生成する。ラマン信号は、閉じこめられた銀粒子の表面において生成されたプラズモンフィールドにより強く増幅され、かなり高感度な検出(ピコモル領域の)を可能にする。
【0004】
それにも拘わらず、上記のシステムは、幾つかの制約を有することが観測されている。例えば、DNAの検出は、標識がDNAに組み込まれるときにのみ実現可能であり、それは、一般に、増幅ステップを必要とする。更に、染料標識のSERRSスペクトルは、表面に付着した核酸の配列又は構造に依存せず、そのことは、組み込まれていないプライマー又はハイブリダイズされていないプローブはそれぞれ、測定前に溶液から分離される必要があることを意味する。
【0005】
米国特許第6,750,065号明細書において、SE(R)RSを用いたタンパク質の検出、それにより、アナライト特異抗体からSE(R)RS標識付けアナライト状化合物を移動させる能力に基づいて抗原が検出されることについて記載されている。そのように移動されるときに、アナライト状化合物に結合されたSE(R)RS標識は、SE(R)RS表面の吸着により検出される。
【特許文献1】米国特許第6,750,065号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アナライトのラベリングが必要ない、代替のSE(R)RS測定を用いることにより、サンプルにおける核酸のin vitro検出を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、本発明に従った優位性のあるSE(R)RSのための方法並びにその方法を用いる器具及び装置を提供することにより達成される。
【0008】
本発明の有利点は、SE(R)RSスペクトルの鮮鋭な分子特異振動帯域が、同時に、複数の標識の高感度且つ正確な検出を可能にするために、容易に実現可能であるということである。
【0009】
更に、本発明の有利点は、SE(R)RS及び蛍光が同時に測定されることが可能であり、本発明の方法の付加的な妥当性確認を提供することが可能であることである。
【0010】
本発明の他の有利点は、SE(R)RS、蛍光、又はそれらの両方のリアルタイムの測定が、特定のアナライトが存在するか否かに関する高速回答を提供することができることである。
【0011】
更に、蛍光信号の存在は、サンプルにおけるアナライトの存在を容易に示す。高速の定量的試験が、それ故、蛍光のみの検出を介して与えられることが可能である。
【0012】
本発明の有利点はまた、例えば、光学的検出、銀のナノ粒子の集合体等における変化についての補正を可能にする内部標準が提供されることである。
【0013】
本発明の有利点はまた、表面に対する標識の直接的吸着を必要とすることなく、標識がSE(R)RS表面近傍に移動されることである。それに代えて、標識は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを介して捕捉プローブに代わりの標的プローブの結合を介して表面の近傍に移動され、そのプロセスは容易に制御可能である。このようにして、現在のSE(R)RSベースの検出方法における課題である、SE(R)RS表面に対する異なる標識の表面吸着プロセスの制御の欠如が回避される。
【0014】
本発明の特定の且つ好適な特徴が、同時提出の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項に記載の特徴は、必要に応じて且つ単に請求項に明示的に記載されているのではなく、独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と組み合わされることが可能である。
【0015】
本発明の第1の特徴においては、サンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在及び/又は品質が、少なくとも1つの標的特異捕捉プローブ及び少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ(ラベリングされた)とサンプルを接触させるステップに基づく置き換え測定により判定され、それにより、標的特異捕捉プローブは、SE(R)RS表面に共有結合されるか又は、SE(R)RS表面と標的特異捕捉プローブを接触させるステップ(a)と、置き換え可能代替標的プローブ及び標的特異捕捉プローブの結合により形成される代替ハイブリッドにおける標識により生成された信号であって、サンプルにおけるアナライトの存在及び/又は品質に対して釣り合いがとれた信号を検出するステップ(b)と、を更に有するかどちらかである。
【0016】
この方法においては、ステップ(a)は、代替ハイブリッドを得るように、置き換え可能代替標的プローブと標的特異捕捉プローブを接触させるステップ(I)であって、それにより、標的特異捕捉プローブはSE(R)RS表面に共有結合され、その表面に吸着された代替プローブが、それ故、得られるか、若しくは、ステップ(I)が、SE(R)RS表面と標的特異捕捉プローブを接触させることを更に有する、又は代替ハイブリッドが表面に吸着される代替ハイブリッドとしてSE(R)RS表面に吸着されるようになるように、前記ステップ(I)がSE(R)RS表面と代替ハイブリッドを接触させることを更に有する、ステップ(I)と、アナライトにより置き換え可能代替標的特異捕捉プローブの置き換えを可能にするように、サンプルと表面に吸着される代替ハイブリッドを接触させるステップ(II)と、を更に有することが可能である。
【0017】
この方法においては、ステップ(b)は、SE(R)RS及び蛍光のどちらか又はそれらの両方を用いて、ステップ(I)の後に、表面に吸着される代替ハイブリッドにおける標識の信号を検出するステップ(III)と、ステップ(III)において用いられる同様の検出方法を用いて、ステップ(II)の後に、表面に吸着される代替ハイブリッドの信号を検出するステップ(IV)と、を更に有することが可能である。
【0018】
上記方法におけるステップ(a)はまた、代替ハイブリッドを得るように、置き換え可能な代替標的プローブと標的特異捕捉プローブを接触させるステップ(V)と、代替ハイブリッドが、表面に吸着される代替ハイブリッドを形成する表面に吸着されるようになるように、SE(R)RS表面と代替ハイブリッドを接触させるステップ(VI)と、アナライトにより置き換え可能代替標的プローブの置き換えを可能にするように、サンプルと表面に吸着される代替ハイブリッドを接触させるステップ(VII)と、を更に有することが可能である。
【0019】
変化、例えば、集合体変化又は光学的変化のための較正又は補正を可能にするように、標準捕捉プローブ及び標準プローブ(ラベリングされた)を接触させ、それにより、標準ハイブリッドを得る、並びに、SE(R)RS表面と標準ハイブリッドを接触させ、それにより、表面に吸着される標準ハイブリッドを得るステップ(c)と、前記表面に吸着される標準ハイブリッドにおける標識により生成される信号を検出するステップ(d)と、により提供される上記方法には、標準が含まれている。
【0020】
本発明の第2の特徴においては、代替標的プローブ及び捕捉プローブの組み合わせであって、それにより、代替標的プローブのオリゴヌクレオチドは、捕捉プローブのオリゴヌクレオチドに対して100%相補的な、オリゴヌクレオチドの融点より低い融点と、代替標的プローブに付着された標識は表面増強(共鳴)ラマン散乱(SE(R)RS)及び蛍光活性のどちらか又は両方を有することと、により特徴付けられる、組み合わせについて開示されている。
【0021】
本発明の第3の特徴においては、サンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在又は量を検出するシステムで用いられる置き換え可能なカートリッジが開示されていて、そのカートリッジは、サンプルのソース、代替標的の少なくとも1つのソース、標的特異捕捉プローブの少なくとも1つのソース、及び検出において機能する添加剤の少なくとも1つのソースを有するソースの集合(a)と、それらのソースからの特定のボリュームを接触させる手段(b)と、ソースから接触させる手段への流体の供給を確実にする手段(c)と、を有する。このカートリッジは、内部標準試薬の少なくとも1つのソース、及び前記接触される手段において生成される信号を検出するウィンドウを更に有することが可能である。
【0022】
本発明の第4の特徴においては、サンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在又は量を検出するシステムについて開示されていて、そのシステムは、少なくとも1つの標的特異捕捉プローブ及び少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ(標識が付着された)とサンプルを接触させる手段(a)と、置き換え可能な代替標的プローブ及び標的特異捕捉プローブの結合により形成される代替ハイブリッドにおける標識により生成される信号を検出する手段(b)と、を有する。このシステムは、ソースから接触させる手段への試薬の供給において、異なる時点で接触される手段において検出される検出信号を比較することにより、アナライトの量を計算する手段を更に有することが可能である。
【0023】
本発明の教示は、サンプルにおけるアナライトの検出のための改善された方法及び装置の設計を可能にする。
【0024】
本発明についての上記の及び他の特徴、側面及び有利点については、下の詳細説明により明らかになり、例示として、本発明の原理を示している添付図と関連付けて理解することができる。以下の詳細説明は、本発明の範囲を逸脱することなく、単に例示目的で与えられるものである。下で引用する図は添付図である。
【0025】
異なる図における同様の参照番号は同様の又は類似する要素を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明について、以下、特定の実施形態に関連付けて詳述するが、本発明は、それらの実施形態に限定されるのではなく、同時提出の特許請求の範囲のみにより限定される。図は、単に模式的であり、限定的なものではない。図中では、要素の一部の大きさは誇張され、例示目的であり、寸法通りには描かれていない。明細書及び特許請求の範囲において用いられている用語“を有する”は、他の要素又はステップを排除するものではない。明細書及び特許請求の範囲における名詞の単数表現は、特に断り書きがない限り、その名詞の複数の存在を包含するものである。
【0027】
更に、明細書及び特許請求の範囲における用語、第1、第2、第3等は、類似する要素を区別するように用いられ、一連の又は順次の順序を表す必要がないものである。そのように用いられている用語は適切な環境下では互換性があり、以下で詳述する実施形態は、記載されている又は図示されている以外の順序で機能することができるものであることが理解される必要がある。
【0028】
以下における用語又は定義は、本発明の理解を助けるためだけに与えられている。それらの定義は、少なくとも当業者が理解することができるものである。
【0029】
定義
本明細書で用いる“アナライト”とは、本発明の方法により検出される及び/又は定量化される物質のことをいう。
【0030】
本明細書で用いる“標的配列”とは、アナライトを具体的に検出するように用いられる、アナライトにおける特定のヌクレオチド配列のことをいう。
【0031】
本明細書で用いる“サンプル”とは、当該アナライトの少なくとも1つを有すると考えられる組成のことをいう。
【0032】
本明細書で用いる“制御サンプル”とは、サンプルと同様の又はサンプルにかなり似ている組成のことをいう。
【0033】
本明細書で用いる“標識”とは、検出可能なSE(R)RS信号又は蛍光信号を生成することが可能な分子又は材料のことをいう。
【0034】
本明細書で用いる“オリゴヌクレオチド”とは、自然に存在するDNA又はRNAヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又は合成ヌクレオチド又はヌクレオチド類縁体、DNA、RNAPNA等の結合されたヌクレオチド、若しくは何れかのそれらの骨格誘導変異体のことをいう。
【0035】
本明細書で用いる“捕捉プローブ”とは、SE(R)RS表面への捕捉プローブの結合を可能にする表面探索官能基を有するオリゴヌクレオチド配列のことをいう。捕捉プローブのオリゴヌクレオチド配列は、標的配列(“標的特異捕捉プローブ”)に対して相補的であることが可能であり、並びに標的配列に対して特定のハイブリッド化が可能であり、又は標準プローブの一部である所定の異なる標準配列(“標準捕捉プローブ”)に対して相補的であることが可能である。
【0036】
本明細書で用いる“代替標的プローブ”とは、捕捉プローブを特に結合することが可能である標識付けされた合成オリゴヌクレオチドのことをいう。“置き換え可能代替標的プローブ”は、捕捉プローブに対して100%相補的であり、修飾されない配列の結合強度より小さい強度を有する捕捉プローブに結合した、代替標的プローブである。“非置き換え可能代替標的プローブ”においては、配列は、捕捉プローブ、即ち、標的特異捕捉プローブか又は標準捕捉プローブ(“標準プローブ”)のどちらかの配列に対して完全に相補的であり、対応する捕捉プローブに対する非置き換え可能代替標的プローブの強い結合をもたらす。例えば、共有結合により、代替標的プローブに標識が付着される、又は、標識は、代替標的プローブに結合する別個のエンティティであることが可能である。
【0037】
本明細書で用いる“代替ハイブリッド”とは、代替標的プローブ及び捕捉プローブの組み合わせのことをいう。
本明細書で用いる“標的ハイブリッド”とは、アナライトにおける標的配列及び標的特異捕捉プローブの組み合わせのことをいう。
【0038】
本明細書で用いる“標準ハイブリッド”とは、標準プローブ及び標準捕捉プローブの組み合わせのことをいい、SE(R)RS表面に共有結合しているか又は、非共有結合している。
【0039】
本明細書で用いる“SE(R)RS表面”とは、SE(R)RS標識の信号を増強することが可能である材料のことをいう。
【0040】
本明細書で用いる“表面吸着代替ハイブリッド”、“表面吸着標的ハイブリッド”及び“表面吸着標準ハイブリッド”とは、SE(R)RS表面に吸着された、代替ハイブリッド、標的ハイブリッド及び標準ハイブリッドのそれぞれのことをいう。
【0041】
本発明は、サンプルにおける1つ又はそれ以上のアナライトの存在及び/又は定量性の検出のための方法、器具及び装置を提供する。
【0042】
本発明は、標識が付着されたプローブの置き換えに基づいて、サンプルにおけるアナライトを検出することにより、アナライトの標識付けを必要としない1ステップアナライト特異方法が提供されるという観測に基づいている。これは、全てが標準的であり且つ予め製造される試薬を用いて実行されるために、検出の信頼性に対して更に寄与する、重要な時間節約の改善になる。
【0043】
本発明の方法、器具及び装置は、SE(R)RS表面に結合することが可能である標的特異捕捉プローブに対してハイブリダイズすることが可能であり、標識付けされる、置き換え可能代替標的プローブの使用に基づいている。置き換え可能代替標的プローブの標識がSE(R)RS標識である場合、捕捉プローブに対するハイブリダイゼーション及びSE(R)RS表面との接触は、その標識の検出を増強する“表面吸着代替ハイブリッド”の生成をもたらす。置き換え可能代替標的プローブの配列における捕捉プローブの配列に対する少なくとも1つのミスマッチ(非相補的なヌクレオチド)の存在は、捕捉プローブに対する置き換え可能代替標的プローブの結合を弱くする。捕捉プローブに対して完全に相補的な標的配列を有するアナライトと、捕捉プローブに結合される代替標的プローブを接触させるとき、置き換え可能代替標的プローブは置き換えられる。
【0044】
本発明の方法を用いて検出されるように考えられたアナライトは核酸である。特に、そのアナライトは、遺伝子、ウィルスのDNA、バクテリアのDNA、かびのDNA、哺乳類のDNA、プラスミドのDNA又はDNA断片等のDNAである。アナライトはまた、ウィルスのRNA、mRNA、rRNA等のRNAであることが可能である。アナライトはまた、cDNA、オリゴヌクレオチド、又は合成DNA、RNA、PNA、LNA、1つ又はそれ以上の合成オリゴヌクレオチドを有するヌクレオチド配列、修飾オリゴヌクレオチド又は他の核酸誘導体であることが可能である。アナライトは、バクテリア、サルモネラ菌、連鎖球菌、レジオネラ菌、大腸菌、ジアルジア属、クリプトスポリジウム属、リケッチア属等の微生物、胞子、かび、酵母菌、藻類、アメーバ、渦鞭毛藻類、単細胞生物、病原体、若しくは動物又は人間等の多細胞生物の細胞等の生物から由来する核酸であることが可能であるが、それらに限定されるものではない。
【0045】
アナライトの検出が本発明に従って考えられたサンプルの性質は重要でなく、そして核酸を有することが疑わしい何れかの調整物であることが可能である。サンプルは、生体組織、血液、唾液、精液、大便又は尿等の流体、及びそのような生物材料から由来する又は抽出される組成物を有するサンプルであることが可能である。サンプルは、例えば、組織細胞、赤色の血液細胞、白色の血液細胞、血小板、死滅した細胞等の生体材料の組成物を有することが可能である。その材料は、口内用スワブ(swab)、喉用スワブ、膣用スワブ、尿道用スワブ、子宮頸部用スラブ、喉用スラブ、直腸用スラブ、傷害用スラブ、膿瘍用スラブ、鼻咽道用スラブ等を有するスワブとして組織から得られることが可能であるが、それらに限定されるものではない。サンプルは、リンパ流体、羊膜流体、脳脊髄流体、腹水、胸水、嚢胞からの流体、滑膜流体、硝子体液、房水、嚢の流体、洗眼剤、目の呼吸、血漿、血清、肺洗浄剤、肺呼吸、若しくはそれらの一部又は成分等の生体の流体を有することが可能である。サンプルは、生体における何れかの組織のバイオプシーから得られる。更に、上記の材料、一次細胞系、二次細胞系等の細胞、溶解物、抽出物、上澄み、又は何れかの細胞、組織又は器官から得られた材料を含む組織はまた、本明細書で用いられる用語“サンプル”の意味の範囲内にあると考えられる。微生物又はウィルスを有するサンプルはまた、本発明の方法を用いる核酸検出と関連付けて考えられる。法医学環境から得られる材料はまた、意図された用語“サンプル”の意味の範囲内にある。サンプルはまた、食料品、飲料、水、土壌、砂等の環境サンプルを有することが可能である。それらのリストは網羅的であるように意図されていない。
【0046】
本発明の特定の実施形態においては、サンプルは、検出方法によるアナライトの検出を容易にするように、予め処理されている。DNA又はRNA等の核酸の抽出は、本発明に関連して考えられるサンプルの典型的な前処理である。核酸を抽出するために適切な方法及び器具一式は、当該技術分野において利用可能であり、フェノール−クロロホルム抽出、塩析、DNA抽出及びグアニジニウムチオシアネイト抽出に基づく方法及び器具一式を含む。
【0047】
例示としての核酸分離技術は、(1)例えば、フェノール/クロロホルム有機試薬(例えば、“Current Protocols in Molecular Biology”,Ausbel等編(1995,ただし、2003年6月増補)Jhon Wiley & Sons,New York)を用いて、好適には、自動化されたDNA抽出剤、例えば、Molecular Biology社(米国ニューヨーク市)製のModel 341 DNA抽出剤を用いる、エチルアルコールの析出により後続される有機抽出と、(2)固定相吸着法(例えば、米国特許第5234809号明細書(Boom等による)及びBioTechniques 10(4),pp.506−513(1991)(Walsh等による))と、(3)塩誘導DNA析出法(Nucl.Acids Res.,16(3),pp.9−10(1988)(Miler等による))と、を有し、それらの析出方法を、典型的には、塩析という。ゲノムDNA純化器具及び全RNA分離システム(両方共に、Promega社(米国ウィスコンシン州Madison)製)等の方法を円滑に行うように、市販されているキットが用いられる。更に、そのような方法は、例えば、ABI PRISM(登録商標)6700 Automated Nucleic Acid Workstation(Applied Biosystems社(米国カリフォルニア州フォスター市)製又はABI PRISM(登録商標)6100Nucleic Acid PrepStation及び関連プロトコル等、例えば、NucPrep(登録商標)Chemistry(“Isolation of Genomic DNA from Animal and Plant Tissue”,Applied Biosystems Protocol 4333959 Rev.A(2002),“Isolation of Total RNA from Cultured Cells”,Applied BiosystmsProtocol 4330254 Rev.A(2002))と、ABI PRISM(登録商標) Cell Lysis Control(Applied Biosystems Protocol 4316607 Rev.C(2001))とを用いて、自動化又は半自動化されている。
【0048】
上記の前処理方法は、例えば、酵素の消化、剪断又は超音波処理による断片化ステップ、並びに/若しくは、例えば、RT−PCRを含むPCRによる酵素増幅ステップを更に有することが可能である。特に、核酸の感度検出が構想される場合、標的DNAのPCR増幅が、アナライトの検出に先行して実行されることが可能である。それ故、本実施形態に従って、その検出が実行されるサンプルは、増幅されたPCR産物を有する。
【0049】
本発明の方法は、シングルストランド(ss)核酸の検出のためにデザインされている。それ故、ダブルストランド(ds)核酸は、本発明の方法により検出されるように、2つの標準を単一のヌクレオチド標準に分離するように変性される必要がある。DNA変性方法は、高温での加熱を有し(DNAの融点以上の温度において、一般には、95℃の温度が用いられ、サンプル中に存在する殆どの酵素活性の同時不活性化がもたらされる)、ストランドの変性を回避するように、氷で冷やすことがすぐに後続する。DNAはまた、低に塩濃度又は高いpHにより変性されることが可能である。複数の方法について、PCR産物のdsDNAからssDNAの生成のために記載されている。それらの方法は、ssDNAを分離する純化ステップが後続する、非対称なPCR、即ち、等しくない長さのストランドの合成をもたらす化学的に修飾されたプライマーを有するPCRを有する(Pragratis N.C.,1996,Nucl.Acids Res.,24,3645−3646)。
【0050】
本発明は、検出及び/又は標識を用いる定量化を有する置き換え測定を提供する。本発明の方法は、SE(R)RS標識が組み合わされた信号及びSE(R)RS表面の特異な特徴を利用する一方、サンプルにおけるアナライトの検出及び/又は定量化は、SE(R)RSベースの検出又は標識の蛍光か若しくは、SE(R)RSベースの検出及び蛍光ベースの検出の両方のどちらかを用いて、実行されることが可能である。本発明の方法のこの特徴は、a)殆どのSE(R)RS標識は蛍光であること及びその逆も真であることと、b)標識から検出されるSE(R)RS信号及び蛍光信号へのSE(R)RS表面の近接に匹敵するが、逆の効果が存在することに基づいている。
【0051】
SE(R)RS標識は、一般に、金属表面に近接して増強される信号強度からの恩恵を受ける。ラマン散乱が増強される距離を伴って、標識が、SE(R)RS表面に対して又はそのSE(R)RS表面近傍に吸着されるとき、その標識の発する蛍光はクエンチングされる。標識がその表面から更に遠くに位置付けられるとき、ラマン散乱でなく、蛍光が増強される。
【0052】
その距離が更に大きくなるとき、蛍光の増強はまた、なくなる、それ故、標識がSE(R)RS表面に近接しているとき、SE(R)RS信号は増強され、蛍光信号はクエンチングされる。他方、標識がSE(R)RS表面の近接から離れるとき、SE(R)RS信号はなくなる一方、蛍光信号は尚も、検出されることが可能である。
【0053】
本発明の方法におけるアナライトの検出がSE(R)RSに基づいている場合、SE(R)RS信号の検出及び/又はその強度は、サンプルにおけるアナライトの量に反比例する。実際には、信号は、ハイブリッド化された置き換え可能代替標的プローブと捕捉プローブ(所謂、“代替ハイブリッド)との複合体により与えられるため、サンプルにおけるアナライトの増加した濃度は、増加した置き換え可能代替標的プローブの置き換え及びSE(R)RS信号の減少をもたらす。
【0054】
更に、本発明の方法におけるアナライトのSE(R)RS検出は、適切に照明されるときに、SE(R)RS活性材料である、即ち、SERSスペクトル又はSERRSスペクトルを生成することができる標識であって、また、本明細書においては、SE(R)RS標識又は色素ともいう、標識を必要とする。SE(R)RS標識の非限定的な例には、5−(及び6−)カルボキシ−4′,5′−ジクロロ−2′,7′−ジメトキシ・フルオレセイン、5−カルボキシ−2′,4′,5′,7′テトラクロロフルオレセイン等のフルオレセイン色素と、5−(及び、6−)カルボキシローダミン、6−カルボキシテトラメチルローダミン及び6−カルボキシローダミンX等のローダミン色素と、メチルフタロシアニン、ニトロシルフタロシアニン、スルホニルフタロシアニン及びアミノフタロシアニン等のフタロシアニン、アゾ色素、アゾメチン、シアニン、及びメチル誘導体、ニトロ誘導体、スルファノ誘導体及びアミノ誘導体等のキサンチン、並びにスクシニルフルオレセインがある。それらのSE(R)RS標識の各々は、複数の通常の標識をもたらす、何れかの従来の様式で置き換えられることが可能である。標識の選択は、標識の共鳴周波数、サンプル内に存在する他の分子の共鳴周波数等の因子により影響されることに留意する必要がある。生体分子を検出するために用いられるSE(R)RS標識については、米国特許第5306403号明細書、米国特許第6002471号明細書及び米国特許第6174677号明細書等に記載されている。
【0055】
標識の検出が蛍光に基づいている場合、信号の検出及び/又はその信号の強度は、サンプルにおけるアナライトの量に正比例する。実際には、置き換え可能代替標的プローブに結合される標識の蛍光信号は、それが捕捉プローブに結合されていない(又は捕捉プローブから置き換えられていない)ときにのみ検出されるため、サンプルにおけるアナライトの増加した濃度は、増加した置き換え可能代替標的プローブの置き換え及び蛍光信号の増加をもたらす。
【0056】
標識の検出が蛍光に基づいている場合、蛍光標識が用いられる。蛍光標識は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)と、テトラメチルローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、スルホローダミン101(Texas red(登録商標))等のカルボキシフルオレセインと、蛍光赤色及び蛍光橙色と、フィコエリトリンと、フィコシアニンと、Crypto−Fluor(登録商標)色素等と、を有するが、それらに限定されるものではない。
【0057】
特定の実施形態に従って、本発明の方法は、蛍光検出及びSE(R)RS検出の両方の検出のために提供される。代替標的プローブの標識の蛍光信号及びSE(R)RS信号の両方の検出を有する方法は、それらの方法が、サンプルにおけるアナライトの存在及び/又は数量の直接測定及び間接測定の両方を可能にするため、精度に付加制御を与える。それらの方法において、それらの両方の検出方法について適切である標識が用いられる。特に、本発明の方法は、HEX(2,5,1‘,3’,7‘,9’,−ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン)、フルオレセイン及びTET(6−カルボキシ−2‘、4’,7,7’テトラクロロフルオレセイン)を含む群から選択される標識を用いて実行される。
【0058】
本発明に従って、標識が代替標的プローブに付けられ、その代替標的プローブは、置き換え可能代替標的プローブか又は非置き換え可能代替標的プローブのどちらかであることが可能である。オリゴヌクレオチドへの標識の付着は、従来技術(例えば、米国特許第6127120号明細書)に記載されている方法により実行されることが可能である。オリゴヌクレオチドに対して標識を組み込むことにより、標識付けされたオリゴヌクレオチドを調整する他の方法については、米国特許第4962037号明細書、米国特許第5405747号明細書、米国特許第6136543号明細書及び米国特許第6210896号明細書に記載されている。本発明の特定の実施形態においては、SE(R)RS標識が用いられ、そのSE(R)RS標識は、ヌクレオチドプローブに直接か又は、リンカー化合物を介してかのどちらかで付着される。ヌクレオチド又は核酸等の他の分子と共有反応するようにデザインされた反応基を有するSE(R)RSラベル(例えば、Molecular Probes社(米国オレゴン州Eugene))製が入手可能である。ヌクレオチドプリカーサに共有的に付着されたSE(R)RS標識は、通常のメーカー(例えば、Roche Molecular Biochemicals(米国インジアナ州Indianapolis)、Promega Corp.(米国ウィスコンシン州Madison)、Ambion Inc.(米国テキサス州Tex)及びAmersharm Pharmacia(米国ニュージャージー州Piscatoway))から購入可能である。
【0059】
本発明に従って、検出は、捕捉プローブに結合するアナライトとの競合を可能にするように、標識が付けられ、当該のアナライトにおける標的配列に類似する配列を有する、置き換え可能代替標的プローブを備えることにより実行される。置き換え可能代替標的プローブと競合し、且つその置き換え可能代替標的プローブを置き換えるアナライトの能力は、アナライトが捕捉プローブに結合している場合に比べて小さい強度を伴って捕捉プローブに結合している代替標的プローブを備えることにより確実にされる。特定の実施形態に従って、ハイブリッドの50%がシングルストランドに変性される温度として規定される融点(T)は、標的ハイブリッドの温度に比べて低い。典型的には、このことは、捕捉プローブへの結合に影響を与える、置き換え可能代替標的プローブのヌクレオチド配列において1つ又はそれ以上の修飾を導入することにより確実にされる。適切な修飾は、1つ又はそれ以上の単一ヌクレオチド多型性(SNP)、即ち、挿入(例えば、ヘアピン構造)の導入を有する。オリゴヌクレオチドの融点を計算する複数の異なる方法について、技術的に記載され、アルゴリズムに基づくTを計算するサービスが、インターネットにおける異なるソースにより提供されている(例えば、Stratagene:www.stratagene.com/QPCR/tnCalc.asp)。それらの方法は、Tで置き換え可能な標的プローブの配列において1つ又はそれ以上のミスマッチの取り込みの影響を評価することを可能にする。それらの方法の各々は、僅かに異なる結果を与えることが可能であり、最適なTの値は経験的に決定される必要がある一方、それらの方法の殆どは、本発明に関連して、置き換え可能標的プローブの適合性の指標を与えるのに有用である。
【0060】
置き換え可能代替標的プローブのオリゴヌクレオチド配列と標的配列との間の融点の差は、最適なアニーリング温度における差に対応する。そのアニーリング温度が高過ぎるように設定される場合、ヌクレオチド配列(例えば、プローブ、アナライト)は有効にアニールされることができず、アニーリング温度が低過ぎるように設定される場合、ヌクレオチド配列(例えば、プローブ、アナライト)は、非特異的にアニールされる。アナライトにより置き換え可能代替標的プローブの置き換えを確実にするように、本発明の方法を実行するとき、捕捉プローブ及び置き換え可能代替標的プローブとのアナライトの接触(代替ハイブリッドを形成することを任意に可能にする)が、置き換え可能代替標的プローブの融点と同様か又はその融点より好適に高いアニーリング温度で実行される。それ故、一実施形態に従って、その接触のステップは、置き換え可能代替標的プローブの融点において、より好適には、置き換え可能代替標的プローブの融点より0乃至10℃高い、最適なアニーリング温度において、最も好適には、置き換え可能代替標的プローブの融点より0乃至5℃高い、最適なアニーリング温度において、実行されることが可能である。
【0061】
置き換え可能代替標的プローブ及び捕捉プローブの接触ステップは、代替ハイブリッドの融点より2乃至6℃低い、最適なアニーリング温度におけるアニーリングステップを有することが考えられる。
【0062】
置き換え可能代替標的プローブ及び捕捉プローブの接触ステップ(代替ハイブリッドを形成することを任意に可能にする)は、変性ステップ(典型的には、約90乃至95℃に加熱する)と、その後の、標的配列の最適なアニーリング温度(置き換え可能代替標的プローブの最適なアニーリング温度より高い)において実行されるアニーリングステップと、を有することがまた、考えられる。変性ステップは、アナライトがダブルストランドされ、ダブルストランドされたDNAの変性が、検出を可能にするために必要であるとき、関心がもたれるものである。変性ステップは、サンプルにおけるアナライトについての定性的情報ばかりでなく、定量的情報が必要とされるときに、更に関心がもたれる。
【0063】
特定の実施形態においては、代替ハイブリッドは、Tが、標的ハイブリッドのTより約15乃至20℃低いようにデザインされる。このことは、例えば、代替標的プローブのオリゴヌクレオチドの一部に複数のミスマッチを含むことにより実行可能である。その結果、代替ハイブリッドは、標的ハイブリッドが保存されたまま保たれ、即ち、捕捉プローブが標的配列に対してアニールされたまま保たれる温度で、完全に融解される。この方法は、適度な温度で、1つの単独の融解ステップを用いることを可能にする。
【0064】
本発明の方法においては、置き換え可能代替標的プローブに存在する標識の信号の検出により、融解及び/又はアニーリング中にリアルタイムにモニタリングされることが可能である。
【0065】
本発明の方法で用いられる異なる試薬の接触は、所望の検出信号の性質(及び、その検出信号から得られる情報)に依存して、変わることが可能である。本発明の特定の実施形態に従って、捕捉プローブ及び置き換え可能代替標的プローブは先ず、接触され、代替ハイブリッドを形成することが可能になる。このハイブリッドへのSE(R)RS表面の付加の際、この代替ハイブリッドの信号は、検出されることが可能であり、そしてベースライン検出信号としての役割を果たす。その場合、サンプルは、代替ハイブリッドと接触し、置き換え可能代替標的プローブは、サンプルに存在するアナライトにより捕捉プローブから置き換えられる。残りの代替ハイブリッドの信号の検出は、サンプルにおけるアナライトの量を表す。代替として、サンプル、代替標的プローブ及び捕捉プローブは、同時に接触することが可能である。更なる実施形態に従って、サンプルは、SE(R)RS表面の付加に先行して、代替ハイブリッドと接触する。後者の2つの実施形態においては、ベースラインの値の検出は存在せず、アナライトの存在における標識信号の表示のみが得られる。しかしながら、例えば、複数の類似するサンプルの測定の前に、例えば、制御サンプルにおいて、別個の測定が実行される場合に、ベースラインの値は決定されることが可能である。代替として、異なるSE(R)RS標識を有する内部標準(下で説明する)がサンプルに導入される場合に、ベースラインの値は決定されることが可能である。更に、定性的な情報のみが必要な場合、蛍光の検出(置き換え可能代替標的プローブによる)は、サンプルにおける標的配列の存在を確認するように用いられることが可能である。本発明の特定の実施形態に従って、捕捉プローブは、SE(R)RS表面に対して共有結合し、SE(R)RS表面に対する吸着を有する付加ステップについての必要性を除去する。上記のように、SE(R)RS信号の検出は、殆どの場合、蛍光信号の検出により補完される又は置き換えられることが可能である。
【0066】
本発明の更なる特徴においては、アナライトの検出は、上記のような競合SE(R)RSに基づき、それにより、集合体及び光学的変動に関して、測定を較正する(内部)標準ハイブリッドが含まれる方法が提供される。この特徴に従って、その方法は、“標準ハイブリッド”を形成することが可能である標準プローブ及び標準捕捉プローブである、相補的な標識付けされたプローブ及び捕捉プローブを付加するステップを更に含む。特定の実施形態に従って、標準ハイブリッドは内部標準であり、即ち、サンプルに付加される。サンプルにおいて標準ハイブリッドの信号を代替ハイブリッドの信号と区別することができるように、異なるSE(R)RSラベル(及び/又は蛍光ラベル)が用いられる。他の特定の実施形態に従って、標準ハイブリッドがサンプルの一部に付加される。他の特定の実施形態に従って、標準ハイブリッドは制御サンプルに付加される。後者の2つの実施形態は、複数の類似するサンプルを測定するときに、特に有用である。
【0067】
一実施形態に従って、標準捕捉プローブの配列は、検出において用いられる捕捉プローブの配列と同じであり、標準プローブは置き換え可能代替標的プローブである。非置き換え可能代替標的プローブのTは置き換え可能代替標的のTより高いため、非置き換え可能代替標的プローブは、代替標的プローブのTにおいてアナライトにより捕捉プローブから置き換えられない。代替として、標準捕捉プローブのヌクレオチド配列は標的に特異ではないが、対応する標準プローブを特別に結合する(任意の)配列である。これは、サンプルへの標準ハイブリッドの付加が検出(又は、必要に応じて、SE(R)RS表面の付加)に先行していつでも、そしてハイブリッドか又は個別の構成要素のどちらかとして実行されることが可能である。アナライトと異なる標準プローブ及び標準捕捉プローブの組み合わせの供給は、異なる検出における同様の標準ハイブリッドの使用を可能にする。
【0068】
本発明に従って、表面増強スペクトロスコピーの特定の特徴を用いる置き換え測定について説明する。SE(R)RSのような表面増強スペクトロスコピーによる検出は、金属粗面上に又は金属粗面に近接して(≦±30Å)吸着されたアナライトについて観測されるラマン散乱の強い増強に基づいている。本発明に従って、SE(R)RSレベルは、SE(R)RS表面の付加により検出される。典型的には、その表面は、貴金属(Au,Ag,Cu)表面又はアルカリ金属(Li,Na,K)表面である。その金属表面は、例えば、エッチングされた又は他の金属粗面、金属ゾルであることが可能であり、又は、特定の実施形態に従って、後者のような金属コロイド粒子の集合体は、ラマン散乱の10乃至1014より大きい増強を確実にすることが可能である。本発明の検出方法におけるSE(R)RS表面金属ナノ粒子はまた、金属ナノ粒子島状膜、金属コーティングナノ粒子ベースの基板、埋め込まれた金属ナノ粒子を有するポリマー膜等の状態で備えられることが可能である。金属表面はむき出しの金属であることが可能であり、又は金属表面における金属酸化膜層を有することが可能である。その金属表面は、吸着能力を高めるように、クエン酸塩又は適切なポリマー、ポリリシン、ポリフェノール等の有機コーティングを有することが可能である。
【0069】
本発明の特定の実施形態に従って、SE(R)RS表面を成す金属コロイド粒子は、米国特許出願公開2005/0130163A1号明細書に記載されているような制御方法で集合体化されたナノ粒子又はコロイドなの粒子である。ナノ粒子を調整する代替の方法が知られている(例えば、米国特許第6054495号明細書、米国特許第6127120号明細書及び米国特許第6149868号明細書を参照されたい)。ナノ粒子はまた、製造業者(例えば、Nanoprobes Inc.(米国ニューヨーク州Yaphank)、Polyscience Inc.(米国Pa州Warrington))から入手可能である。その金属粒子は、SE(R)RS効果をもたらす限り、何れの大きさのものであってもよい。典型的には、その金属粒子は、金属の種類に応じて、直径が約4乃至50nm、特に、25乃至40nmの範囲内である。
【0070】
他の特定の実施形態に従って、SE(R)RS表面は、銀又は金のナノ粒子のコロイド懸濁液又はそれらの集合体化コロイドである。検出の再現性及び較正のために重要である集合体化コロイド粒子の大きさ及び形状は、ポリ−L−リジン又はスペルミン等のポリアミンを用いることにより確実にされることが可能である。集合体化コロイドの大きさは、時間の経過と共に変化する可能性があり、それらのコロイドは、理想的には、検出サンプル内でその場で形成され、SE(R)RSスペクトルは、その後の短い時間で(好適には、集合体化の約15分後以内に)得られる必要がある。
【0071】
更なる特定の実施形態に従って、SE(R)RS表面は、金ナノ粒子に捕捉プローブを共有結合させた後に、銀ヒドロキノンの添加により銀をコーティングされた金ナノ粒子を有する。特に、この実施形態に従って、SE(R)RS表面は、金又は銀のそれぞれの薄膜(1乃至数nm)がコーティングされた銀又は金ナノ粒子を有する。
【0072】
他の特定の実施形態に従って、SE(R)RS表面は、銀又は金ナノ粒子の安定なクラスタを有し、それらのクラスタは、該クラスタに化学結合することが可能である二機能又は多機能高分子(テレマー(telemer))との架橋により構築される。
【0073】
SE(R)RS検出及び蛍光検出のどちらか又はそれらの両方を用いる本発明の検出方法及び/又は定量化方法において、代替標的プローブの標識が、代替標的プローブを捕捉プローブに結合することによりSE(R)RS表面に近接するようにもたらされ、後者はSE(R)RS表面に結合される。SE(R)RS表面への捕捉プローブの結合は、共有結合又は非共有結合によるものである。オリゴヌクレオチドプローブをSE(R)RS表面に結合する種々のオプション及びモードが当該技術分野において知られていて(米国特許第612712号明細書及び米国特許第6972173号明細書を参照されたい)、捕捉プローブ又は代替ハイブリッドをSE(R)RS表面に結合するために適用されることが可能である。
【0074】
一実施形態に従って、SE(R)RS表面への捕捉プローブの付着は共有結合によるものである。捕捉プローブは、SE(R)RS表面へのそのプローブの化学吸着を促進する又は容易化するように、表面探索基と適合される。表面探索基は、溶液に溶けるが、SE(R)RS表面と優先的に相互作用する。このことは、捕捉プローブのオリゴヌクレオチドの一部に1つ又はそれ以上の官能基を組み込むことにより確実にされる。適切な官能基は、容易に核酸に添加されることが可能であるチオール及びアミンのようなルイス塩基を有する。表面探索基の他の例には、窒素、酸素、イオウ及びリンドナー、キレート基、架橋配位子、高分子形成配位子等の錯体基を有する。金表面については、リン及びイオウ含有基は特に、好適である。
【0075】
特定の実施形態に従って、捕捉プローブの表面探索基は、捕捉プローブがSE(R)RS表面に共有結合することを可能にするベンゾトリアゾールである。
【0076】
他の特定の実施形態に従って、捕捉プローブの表面探索基は、捕捉プローブがSE(R)RS表面に共有結合することを可能にする少なくとも1つのチオール基を有する。
【0077】
好適な官能基は、付加陽イオンサイト(用いている条件下で)、例えば、アミノ基を有する付加陽イオンサイト、好適には、第1級アミノ基を与えることが可能である官能基である。好適な実施形態に従って、捕捉プローブの表面探索基は、正に帯電したプロパギルアミンの一部を有する。他の実施形態に従って、金属SE(R)RS表面への捕捉プローブの吸着は、単量体の又は重合体のポリアミン、特に、スペルミンのような短鎖脂肪族のポリアミンにより確実にされる。それ故、一実施形態に従って、本発明の方法は、検出に先行して、サンプルへのポリアミンの付加を有する。ポリアミンは、SE(R)RSスペクトルが得られる前に、代替ハイブリッドとの相互作用を可能にするときに導入される必要がある。ポリアミンは、好適には、スペルミン、スペルミジン、1−4−ジアミノピペラジン、ジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1−3−プロパンジアミン、取りエチレンテトラアミン及びテトラエチレンペンタミン等の短鎖脂肪族のポリアミンである。繰り返し単位当たり4つのNH基を有するスペルミンは、本発明で用いるのに特に適切である。ポリアミンは、その塩酸塩のような酸塩の形で好適に導入される。SE(R)RS表面がコロイド状(上記を参照されたい)であるときに最もよく使われる。付加されるポリアミンの量は、好適には、ポリアミンでその表面の単層のカバレッジを得るために必要なものに比べて100乃至1000倍のオーダーを有する。過剰なポリアミンは、表面上のコーティングを形成し、それにより、捕捉プローブ及び/又は代替ハイブリッドの最適なコロイド状集合体及び吸着を確実にする。
【0078】
上記のように、本発明の方法においては、表面増強(共鳴)されたラマン分光法又はSE(R)RSに基づく検出及び/又は定量化方法に特に関心がある。本明細書においては、一般に、SE(R)RSについて言及しているが、例えば、表面増強蛍光、通常の(ストークス又は反ストークス)ラマン散乱、共鳴ラマン散乱、コヒーレントストークス又は反ストークス)ラマン分光(CSRS又はCARS)、表面増強(共鳴)CARS、誘導ラマン散乱、逆ラマン分光、誘導利得ラマン分光、ハイパーラマン散乱、表面増強ハイパーラマン散乱、MOLE(Molecular Optical Laser Examiner)又はラマンマイクロプローブ又はラマン顕微鏡又は共焦点顕微ラマン分光測定、三次元又は散乱ラマン、ラマン飽和分光、時間分解共鳴ラマン、ラマンデカップリング分光又はUV−ラマン顕微鏡等の、他の種類の表面増強分光法に基づく検出方法がまた想定されるが、それらに限定されるものではない。
【0079】
本発明の特定の実施形態においては、本発明の検出方法はSERRSを有し、標識の共鳴周波数における動作が向上した感度を与えることができる。この場合、ラマンスペクトルを生成するように用いられる光源は、コヒーレントな光源、例えば、用いられる略標識の最大吸収周波数に対して調整されたレーザである。この周波数は、標識のSE(R)RS表面との関連性及び代替標的プローブのオリゴヌクレオチドの一部に関して僅かにシフトする可能性があるが、当業者は、これに対応するように光源をうまく調整することができるであろう。光源は、略標識の吸収の最大の周波数に、又は標識の吸収スペクトルにおける二次ピークの周波数に又は略二次ピークの周波数に調整されることが可能である。SERRSは、代替として、活性表面又は(集合体化)コロイドにおけるプラスモンの共鳴周波数における動作を有することが可能である。
【0080】
SE(R)RS検出に基づく本発明の方法においては、典型的には、例えば、標識の吸収の最大に対応する1つのピークが選択され、励起がそのピークの波長のみにおいて実行される。代替として、例えば、異なるアナライトが異なる標識を用いて同時に検出される場合、各々の標識を識別するように、全体の“指紋”スペクトルを検出する必要がある。一般に、多変量分析方法(PLS(Partial Least Squares)回帰、主成分回帰等)が、全体の指紋スペクトル、2つ以上のラマンバンドを有するスペクトル領域又は1つの特異なラマンバンドの何れかを用いて、存在する標識の各々の定性的及び/又は定量的識別を実行するように用いられることが可能である。
【0081】
本発明の特定の実施形態においては、本発明の検出方法は、表面増強(共鳴)ラマン及び蛍光分光法(上記を参照されたい)の両方による同時検出を有する。
【0082】
典型的には、SE(R)RSベースの検出方法における検出ステップは、可視スペクトルにおける周波数を有するレーザからの入射光を用いて実行される。周波数を正確に選択することは、標識、表面及びアナライトに依存する。可視スペクトルの緑色領域又は赤色領域における周波数は、概して、銀及び金のような貴金属表面についてより良好な表面増強効果をもたらす傾向にある。しかしながら、例えば、紫外線領域又は近赤外線領域における他の周波数が用いられることが可能である条件を想定することが可能である。適切な周波数及びパワーを有する適切な光源の選択及び調整は、特に、利用可能なSE(R)RSの参考文献を参照するときは、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0083】
SE(R)RSベースの検出方法で用いる励起源には、窒素レーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、アルゴンイオンレーザ、クリプトンイオンレーザ等があるが、それらに限定されるものではない。複数のレーザが、共鳴ラマン分光のために重要な励起線の広い選択を与えることができる。特定の実施形態に従って、アルゴンイオンレーザが、514.5nmの励起波長でLabRam一体型機器(Jobin Yvon)において用いられる。
【0084】
励起ビームは、バンドパスフィルタによりスペクトル的に純化されることが可能であり、6倍対物レンズを用いて対象物にフォーカシングされることが可能である。その対物レンズは、発せられるラマン信号及び励起ビームについて直角形状になるようにホログラフィックビームスプリッタを用いることにより、ラマン信号を補正し且つサンプルを励起するように用いられることが可能である。ラマン信号の強度は、励起ビームからの強いバックグラウンドに対して測定される必要がある。そのバックグラウンドは主に、高効率の光学フィルタにより選択的に除去されることが可能であるレイリー散乱光及び鏡面反射である。例えば、ホログラフィックノッチフィルタが、レイリー散乱放射を除去するように用いられる。
【0085】
表面増強ラマン発光信号がラマン検出器により検出される。ラマン分光で用いられる可能性が高い種々の検出装置が当該技術分野で知られていて、何れかのラマン検出装置を用いることが可能である、ラマン検出装置の例については、例えば、米国特許第6002471号明細書において開示されている。例えば、赤色増強された増強型電荷結合素子(RE−ICCD)、シリコンフォトダイオード、若しくは信号の縦続増幅のために単独で又は直列的に配列された光電子倍増管を有する電荷結合素子(CCD)等の他の種類の検出器が用いられることが可能である。光子係数エレクトロニクスが感応性検出のために用いられる。その検出器の選択は、特定の測定を実行するために必要な検出の感度にかなり依存する。波長選択ミラー、散乱光検出のためのホログラフィック光学要素及び光ファイバ導波路を含む複数の装置が、SE(R)RS信号を収集するために適切である。例えば、国際公開第97/05280号パンフレットにおいて、種々の光学系が開示されている。
【0086】
SE(R)RSスペクトルを得る及び/又は分析する装置は、コンピュータ等のあるデータ処理器の形式を有することが可能である。一旦、SE(R)RS信号が適切な検出器により捕捉されると、その信号の周波数及び強度データは、典型的には、分析のためのコンピュータに渡される。指紋ラマンスペクトルが、検出されたラマン活性化合物の識別のための参照スペクトルと比較される、又は、測定周波数における信号強度が、検出されるラマン活性化合物の量を計算するように用いられる。
【0087】
本発明の特定の実施形態において、2つのPCR産物、即ち、サンプルにおける遺伝子A及び遺伝子Bを検出するSE(R)RS置き換え測定が行われる。それらの方法は、基本的に次のようである。遺伝子A及び遺伝子Bについての捕捉プローブ、並びにラベルHEM及びTETを担持するそれらの対応する代替ターゲットプローブのそれぞれは、接触され、ハイブリダイズすることを可能にされる。捕捉プローブは、銀表面に対する吸着を促進する表面探索基を有する。代替標的プローブ及び捕捉プローブのハイブリダイゼーションは、遺伝子A及びBの標的配列の各々についての代替ハイブリッドをもたらす。代替ハイブリッドは、銀ナノ粒子コロイドに実質的に吸着される。第1SE(R)RS測定が実行される。遺伝子A及びBを有するサンプルが付加される。例えば、代替標的及びダブルスタンダードPCR産物を解離するように、95℃における変性後、温度は、対応する捕捉プローブに対してアナライトDNA(即ち、変性遺伝子A及びB)をアニーリングするために最適であり、それらのプローブに対して代替標的プローブをアニーリングするために次善であるアニーリング温度に低下される。このようにして、アナライトDNAと代替標的プローブとの間の競合が起こり、表面に吸着された代替ハイブリッドから有効に置き換えられる代替標的プローブをもたらす。上記のように、置き換え条件は、代替ハイブリッドのTより高いアニーリング温度において最適である。第2SE(R)RS測定は、置き換え代替標的プローブに付着されたSE(R)RSラベルはもはや、SE(R)RS表面に十分に近接してはいないために、アナライトの付加に先行する場合に比べて、小さいSE(R)RS信号をもたらす。任意に、SE(R)RSと共に又はそれに代えて、蛍光が測定される。代替ハイブリッドにおけるラベルの蛍光は、クエンチングのために、略0である。アナライトがサンプル中に存在する場合、代替標的プローブの置き換えがクエンチングのソースを除去するにつれて、信号はそれに伴って増加する。遺伝子の各々について置き換えられる代替標的プローブの量は、サンプル中に存在する遺伝子A及びBの量を表す。
【0088】
図5は、本発明の実施形態に従ったシステム100についての模式図である。システム100は、SE(R)RS及び蛍光に基づく置き換え測定を用いるサンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在を検出する、及び任意に定量化するために適切である。そのシステム100は、サンプルを供給するソース101と、代替標的プローブを供給する少なくとも1つのソース102と、捕捉プローブを供給する少なくとも1つのソース103と、任意に、内部標準のための試薬を供給する少なくとも1つのソース104と、検出において供給される付加物の少なくとも1つのソース105と、を有する。その装置は、代替標的プローブ、捕捉プローブ及びアナライトが接触され、検出のために備えられている手段107を更に有する。その接触手段107は、その手段において適切な温度を確実にする加熱設備を有する。
【0089】
その装置は、
a)代替ハイブリッドを生成するように捕捉プローブと代替標的プローブを接触手段107にソース102及び103のそれぞれから代替標的プローブ及び捕捉プローブを供給し、
b)代替標的プローブに付着されたSE(R)RSラベルの検出を可能にするように、SE(R)RS表面と代替ハイブリッドを接触手段107にソース105から付加物を供給し、
c)代替標的プローブの置き換えを可能にするように、代替ハイブリッドとサンプルを接触手段107へのソース101からのアナライトを有するサンプルを供給し、
そして、任意に、
d)集合体形成の変化及び光学的変化に関して、測定を較正する手段103に少なくとも1つのソース104から少なくとも1つの内部標準試薬を供給する、
手段を更に有する。
【0090】
手段106は、サンプル及び/又はアナライトの重量供給を有することが可能であり、ソース101、102、103、104及び105から接触手段107への流体の供給を可能にするように、パイプ/コンジット及びバルブの構成をまた、有することが可能である。代替として、それらの流体は、ソース101乃至105から接触手段107にポンピングして供給されることが可能である。
【0091】
上記の構成要素の構成は、カートリッジ111、例えば、分子診断で用いる使い捨てカートリッジ111において位置付けられることが可能である。
【0092】
制御及び分析回路109は、カートリッジ111における少なくとも一部である、又はカートリッジ111に対して外部にあるオプションであることが可能であり、手段106の動作を制御するようにオプションとして備えられることが可能である。
【0093】
更に、ラベルを検出する手段108が備えられる。手段108は、カートリッジ111と一体化されることが可能である、又はそのカートリッジに対して外部にあることが可能であり、検出手段108がサンプル等を検出することが可能であるように、窓がカートリッジ111において備えられることが可能である。検出手段108は、上記のSE(R)RS及び蛍光検出方法を用いることができる検出器であることが可能である。手段108は、励起ソース、フィルタ及び検出器を有することが可能である。典型的には、その検出手段は分光測光装置を有する。検出を表す信号は、上記の本発明の分析アルゴリズムの何れかを実行するように適合させることが可能である制御及び分析回路109に対して供給されることが可能である。その結果は、視覚表示装置、プロッタ、プリンタ等のような何れかの適切な表示手段110において表示されることが可能である。制御及び分析回路109は、遠隔の位置に対するその結果の送信のためのローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークへの接続を有することが可能である。制御及び分析回路109は例えば、専用ハードウェア又は適切なプログラム可能コンピュータ、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサのような組み込まれたプロセッサ、PAL、PLA又はFPGAのようなプログラム可能ゲートアレイ等の何れかの適切な方式で実行されることが可能である。
【0094】
本発明の特定の実施形態に従って、ソース101におけるサンプルは、PCR反応から得られるDNAを有する溶液であることが可能である。この実施形態は、細胞溶解ステーション及びPCR反応ステーション、特に、多重PCR反応ステーションを有することが可能である分子診断使い捨てカートリッジにおいて用いるために特に有用である。PCR反応ステーションの出力は、その場合、ソース101を構成する。増幅されたオリゴヌクレオチドの検出のためのソース103における捕捉プローブはアナライト特異オリゴヌクレオチドプローブである。ソース102における代替標的プローブは、SE(R)RS検出及び蛍光検出の両方について適切であるSE(R)RSラベルが付着されたオリゴヌクレオチドプローブである。特定の実施形態に従って、代替標的プローブのヌクレオチド配列は、捕捉プローブへの代替標的プローブの結合力が次善であるようなSNPを有する。ソース104は、(非置き換え可能)標準ハイブリッドである内部標準の所定量を有することが可能である。第1ソース105は、コロイド粒子又は金属表面でコーティングされたビーズ、特に、集合体化可能コロイド粒子又は金属表面がコーティングされたビーズのような適切な金属表面を有することが可能である。
【0095】
この特定の実施形態においては、ソース101から105までの試薬を適切に供給すること及びそれらを接触させることが、表面吸着代替ハイブリッド及び表面吸着標準ハイブリッドを有する接触手段107をもたらす。第1測定は、参照としてこのポイントにおいて実行される。次のステップにおいては、サンプルが付加される。捕捉プローブからの代替標的プローブの置き換え時には、SE(R)RS信号における減少及び/又は蛍光における増加が観測される。
【0096】
本発明を実行するシステム及び方法の他の構成についても、当業者は理解することができるであろう。
【0097】
しかし、本発明の他の特徴は、例えば、伝染病、病理学、毒物学、疫学、生物兵器戦争、環境サンプリング、法医学等の分子診断のような医療診断のようなアプリケーションに関連するサンプル中のアナライトの検出及び/又は定量化における本発明のシステム、使い捨てカートリッジ、組み合わせ及び方法の使用を提供するが、それらに限定されるものではない。
【0098】
ここでは、好適な実施形態、特定の構成及び材料が、本発明に従った装置について説明されているが、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、形式及び詳細における種々の変形又は修正が実施されることが可能である。
【0099】
内部較正を有する競合SERRSを用いるサンプル中の特定の遺伝子の検出及び定量化の実施例1
動物個体群、特に、ニワトリにおけるインフルエンザAウィルスの特定の特殊型によりもたらされる高病因性鳥類インフルエンザは、継続的な人間の大衆の健康上のリスクをもたらしている。鳥インフルエンザAの特殊型H5N1ウィルスによる直接的な人間への影響は、即座の且つ適切な診断の必要性を重視するように、近年、人間の道徳が考慮される原因となっている。A型インフルエンザウィルスは、過剰な糖蛋白質、血球凝集素(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)における抗原性差に基づいて特殊型化される。本発明は、ウィルス核酸のRT−PCR及びSERRSを用いることによる、ウィルスの特殊型化に対する新規で高速且つ正確な方法を提供する。
【0100】
ウィルスRNAは診断サンプルから抽出され、ウィルスRNAについての相補的なcDNAは、J.Clin.Microbiol.,33:1180−1184(1995),by Wrught et al.による逆転写酵素及びランダムプライマーを用いて生成される。マルチプレックスPCRは、沸点219℃及び616℃のPCR産物を生成するようにデザインされた“Recommended laboratory tests to identify avion influenza A virus in specimens from humans”,WHO Geneva、June 2005に記載されているインフルエンザウィルスの特殊型H5N1のHA及びNA遺伝子について特異なプライマーの2つの集合を用いて行われる。
【0101】
更に、2つのアナライト特異プローブ、所謂、捕捉プローブは、HA遺伝子及びNA遺伝子のそれぞれにおける領域に対して相補的であるように、そして銀ナノ粒子への付着のための正に帯電したプロパギルアミンの一部を有する表面探索基を有するようにデザインされている。SERRS色素HEX及びTETのそれぞれにより標識付けされた2つの付加的な合成オリゴヌクレオチド、所謂、代替標的は、1つのミスマッチ(SNP)を除いて、HA捕捉プローブ及びNA捕捉プローブの一部に対して相補的であるようにデザインされている。
【0102】
代替標的プローブを対応する捕捉プローブと接触させるとき、代替ハイブリッドが生成される。しかしながら、代替標的プローブの配列におけるミスマッチの存在のために、代替標的プローブ並びに対応するHA捕捉プローブ及びNA捕捉プローブは粗くアニーリングされる。
【0103】
検出で用いられる標識と異なる標識を担持する非置き換え可能代替ハイブリッドである所定量の内部標準が、較正のために、及び集合物の生成及び励起強度におけるバラツキを補正するように、上記混合物に付加される。
【0104】
第1検出ステップは、HEX及びTETのSERRS測定についての参照点並びに内部較正のための参照点を決定する。更に、上記の調整された溶液は、10μlのスペルミン四塩化物と共に混合され(新たに調整された水における100mMol)、続いて、250μlの水と250μlのクエン酸塩還元銀ナノ粒子(Langmuir,11:3712−3720(1995),by Munro et al.において記載されている)テトラミン四塩化物と混合される。銀コロイドへの代替ハイブリッドの吸着は、蛍光がクエンチされる間にSERRS検出を可能にする金属表面の十分な近傍にHEX及びTETを移動させる。同様に、銀コロイドへの内部標準の吸着は、内部標準の色素のSERRS検出を可能にする。混合直後に、SERRSスペクトルが、514.5nmにおける励起を与えるアルゴンレーザと共にLabRamシステム(Jobin Yvon)を用いて、その調整された溶液から取られる。
【0105】
増幅されたH5N1ウィルスのHA及びNA遺伝子の検出のために、PCR反応の出力が付加される。95℃における変性の後、適切なアニーリング温度におけるインキュベーションは、HA捕捉プローブ及びNA捕捉プローブとのアナライトDNAの関連性をもたらし、後者は、集合体化した銀コロイドに対して付着される。アナライトの配列は、好適には、HA及びNA特異捕捉プローブに対して相補的であるため、HA及びNA捕捉プローブに対するアナライトDNAのハイブリダイゼーションは、代替ハイブリッドの融点において置き換えられることのできない標的ハイブリッドをもたらす。仮に標準ハイブリッドのTが代替ハイブリッドのTより高い場合、標準ハイブリッドは上記のインキュベーションステップによっては影響されない。
【0106】
第2SERRSスペクトルは、アナライトDNAの捕捉プローブとの結合直後及び第1SERRS測定後15分の時間範囲内に取られる。HEX色素及びTET色素のSERRS信号の強度は、ここで、代替標的プローブの置き換えのために減少し、それらの代替標的プローブに金属表面からそれらの色素が付着される。PCR出力におけるHA遺伝子又はNA遺伝子の量は、ここでは、置き換えられた代替標的プローブの量に対応するため、計算されることが可能である。更に、第1SERRS測定及び第2SERRS測定は比較される必要がある。
【0107】
較正のために、内部標準の第1SERRSスペクトル及び第2SERRSスペクトルが比較され、強度変化が補正される。
【0108】
この実施例は、競合SERRSを用いて増幅されたウィルスのHA遺伝子及びNA遺伝子の正確な検出が、それらの増幅された遺伝子を標識付けする必要性を伴わずに達成されることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】A:SERRS置き換え測定の実施形態の模式図である。アナライトにおける標的配列に対して相補的な配列を有する捕捉プローブが、負に帯電した表面と正に帯電した表面探索基との間の電気化学的相互作用によりクエン酸塩により還元された銀ナノ粒子の表面に吸着される。置き換え可能代替標的プローブは、捕捉プローブに対して相補的であり、それにより、その捕捉プローブに対してハイブリダイズする。このように、SERRS色素は銀表面の接近し、強いSERRS信号が検出される。B:SERRS置き換え測定の実施形態の模式図である。サンプルの付加後、標的配列を有するアナライトは、捕捉プローブに対するハイブリダイゼーションのための代替標的プローブと競合する。置き換え可能代替標的プローブ(1つ又はそれ以上のSNPを有する)は、捕捉プローブに対して好適に相補的でないため、アナライトのハイブリダイゼーションはより効果的であり、置き換え可能代替標的プローブはアナライトにより銀表面から置き換えられる。SERRS信号は、それ故、サンプルにおけるアナライトの量に比例して減少する。
【図2】波長の関数としてのSERRS色素HEXの吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】銀表面に対する吸収を促進するようにアミノプロパギルの一部を有する5HEXでラベル付けされたオリゴヌクレオチドのSERRSスペクトルを示すグラフである。そのSERRS信号(バックグラウンド補正を伴わない)は、スペルミンが集合体化された銀ナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの吸着後に測定される。
【図4】本発明の一実施形態に従って検出方法を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に従った装置の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在及び/又は量を検出する方法であって:
(a)前記サンプルを、
(i)前記アナライトにおける標的配列を特に結合することができるオリゴヌクレオチドを有する少なくとも1つの標的特異捕捉プローブ、及び
(ii)前記標的特異捕捉プローブを特に結合することができるオリゴヌクレオチドと、表面増強(共鳴)ラマン散乱(SE(R)RS)活性及び蛍光活性のどちらか又は両方を有する標識と、を有する少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ、
と接触させるステップであって、
前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブが、SE(R)RS表面と共有結合しているか又は、前記ステップ(a)が前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブをSE(R)RS表面と接触させるステップを更に有するかのどちらかである、
ステップ;並びに
(b)前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ及び前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブの結合により形成される少なくとも1つの代替ハイブリッドにおける前記標識により生成される前記信号を検出するステップであって、前記信号は、前記サンプルの前記少なくとも1つのアナライトの前記存在及び/又は量に対して釣り合っている、ステップ;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ステップ(a)は:
(I)少なくとも1つの代替ハイブリッドを得るように、前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブを前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブと接触させるステップであって、
前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブはSE(R)RS表面と共有結合し、少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドが、それ故、得られる、又は、前記ステップ(I)は、前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブをSE(R)RS表面と接触させるステップを更に有する、又は、前記ステップ(I)は、前記少なくとも1つの代替ハイブリッドが少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドとしての前記表面において吸着されるようになるように、前記少なくとも1つの代替ハイブリッドを前記SE(R)RS表面と接触させるステップを更に有する、
ステップ;
(II)前記少なくとも1つのアナライトによる前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブの置き換えを可能にするように、前記少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドを前記サンプルと接触させるステップ;
を有する方法であり、前記ステップ(b)は、
(III)SE(R)RS及び蛍光のどちらか又は両方を用いて、前記ステップ(I)の後に、前記少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドにおける前記標的の前記信号を検出するステップ;及び
(IV)前記ステップ(III)において用いられる同様の検出方法を用いて、前記ステップ(II)の後に、前記少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドの前記信号を検出するステップ;
を有し、前記ステップ(III)及び(IV)において得られた前記信号における差が、前記サンプルにおける前記少なくとも1つのアナライトの前記存在及び/又は量に対して釣り合うように取られる;
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記ステップ(a)は:
(V)少なくとも1つの代替ハイブリッドを得るように、前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブを前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブと接触させるステップ;
(VI)前記少なくとも1つの代替ハイブリッドが少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドを形成する前記表面において吸着されるようになるように、前記少なくとも1つの代替ハイブリッドを前記SE(R)RS表面と接触させるステップ;及び
(VII)前記少なくとも1つのアナライトによる前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブの置き換えを可能にするように、前記少なくとも1つの表面吸着代替ハイブリッドを前記サンプルと接触させるステップ;
を有する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記ステップ(II)は、前記サンプルにおける前記少なくとも1つのアナライトの前記少なくとも1つの捕捉プローブとのハイブリゼーションを可能にするように、適切なアニーリング条件を確実にするステップを有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブは、前記少なくとも1つの捕捉プローブの前記オリゴヌクレオチド配列に対して100%相補的でないオリゴヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブは表面探索基を更に有し、前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブは前記表面探索基を介して前記SE(R)RS表面に結合する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって:
ステップ(c)であって、
(iii)オリゴヌクレオチド及び表面探索基を有する標準捕捉プローブ、及び
(iv)前記標準捕捉プローブの前記配列に対して100%相補的であるオリゴヌクレオチドと、表面増強(共鳴)ラマン散乱(SE(R)RS)活性及び蛍光活性のどちらか又は両方を有する標識と、を有する標準プローブ、
を接触させ、それにより、表面吸着標準ハイブリッドを得る、
ステップ(c);並びに
(d)前記表面吸着標準ハイブリッドにおいて前記標識により生成される前記信号を検出するステップ;
を更に有する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記ステップ(c)において得られた前記標準ハイブリッドは前記ステップ(a)における前記サンプルに付加され、前記標準プローブは、前記少なくとも1つの代替標的プローブに与えられた前記標識とは異なる標識を有する、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記標準捕捉プローブは、前記標的配列とハイブリダイズしないオリゴヌクレオチド配列を有する、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、前記ステップ(c)及び(d)は前記ステップ(a)及び(b)のバイアルとは異なるバイアルにおいて実行される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記ステップ(a)及び(c)における前記サンプルは制御サンプルである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの捕捉プローブは表面探索基を有する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記表面探索基はベンゾチアゾールである、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記SE(R)RS表面は、前記捕捉プローブを金ナノ粒子に共有結合させた後、銀ヒドロキノンの付加により銀がコーティングされた金ナノ粒子を有する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記SE(R)RS表面は、銀又は金ナノ粒子のコロイド状懸濁液、又は該懸濁液の集合体化コロイドである、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記SE(R)RS表面は、1乃至数nmの範囲内の金又は銀の薄膜がコーティングされた金又は銀を有する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記SE(R)RS表面は銀又は金ナノ粒子の安定なクラスタを有する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記クラスタは、前記クラスタに化学的に結合することが可能である二機能又は多機能高分子(テレマー)との架橋により構築される、方法。
【請求項19】
代替標的プローブ及び捕捉プローブの組み合わせであって:
(i)オリゴヌクレオチドを有する捕捉プローブ;並びに
(ii)前記捕捉プローブに結合することができるオリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドは、前記捕捉プローブのオリゴヌクレオチドに対して100%相補的であるオリゴヌクレオチドの融点より低い融点により特徴付けられる、オリゴヌクレオチドと、表面増強(共鳴)ラマン散乱(SE(R)RS)活性及び蛍光活性のどちらか又は両方を有する前記代替標的プローブに付着された標識と、を有する、代替標的プローブ;
を有する組み合わせ。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記SE(R)RS表面は銀又は金ナノ粒子の安定なクラスタを有する、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記捕捉プローブは、SE(R)RS表面を結合することができる表面探索基を有する、方法。
【請求項22】
サンプルにおける少なくとも1つのアナライトの存在及び/又は量を検出するシステムで用いる置き換え可能カートリッジであって:
(a)複数ソースの集合であって、
サンプルのソースと、
代替標的の少なくとも1つのソースと、
標的特異捕捉プローブの少なくとも1つのソースと、
前記検出において役立つ付加物の少なくとも1つのソースと、
を有する、ソースの集合;
(b)前記複数ソースからの特定のボリュームと接触する手段;及び
(c)前記複数ソースから前記接触する手段への流体の供給を確実にする手段;
を有する置き換え可能カートリッジ。
【請求項23】
請求項22に記載の置き換え可能カートリッジであって、内部標準試薬の少なくとも1つのソースを更に有する、置き換え可能カートリッジ。
【請求項24】
請求項22に記載の置き換え可能カートリッジであって、前記接触する手段において生成される信号を検出する窓を更に有する、置き換え可能カートリッジ。
【請求項25】
サンプルにおいて少なくとも1つのアナライトの存在又は量を検出するシステムであって:
(a)前記サンプルを、
(i)前記サンプルにおける標的配列を特に結合することができるオリゴヌクレオチドを有する少なくとも1つの標的特異捕捉プローブ、及び
(ii)前記捕捉プローブを特に結合することができるオリゴヌクレオチドと、表面増強ラマン散乱(SE(R)RS)活性及び蛍光活性のどちらか又は両方を有する標識と、を有する少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ、
と接触させる手段;並びに
(b)前記少なくとも1つの置き換え可能代替標的プローブ及び前記少なくとも1つの標的特異捕捉プローブの結合により形成される少なくとも1つの代替ハイブリッドにおける前記標識により生成される信号を検出する手段;
を有するシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、前記複数ソースから前記接触する手段への試薬の供給における異なる時点において、前記接触手段において検出される前記信号を比較することにより、前記少なくとも1つのアナライトの量を計算する手段を更に有する、システム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムであって、前記検出する手段は、光源、フィルタ及び検出手段を有する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−537135(P2009−537135A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510584(P2009−510584)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051737
【国際公開番号】WO2007/135593
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】