説明

SPARCアンチセンス組成物及びその使用

本発明は、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチド及び癌及び肝線維症などの増殖性疾患におけるそれらの使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2009年7月9日に出願された米国仮出願番号61/224,431号の利益を主張し、これを参照として本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[背景技術]
酸性であり且つシステインに富んだ分泌タンパク質(secreted protein acidic and rich in cystein)(オステオネクチン、BM40又はSPARCとしても知られる)(以下、「SPARC」と記す)は、細胞の形態変化を導き、細胞周期の進行を阻害し、細胞外マトリックスの合成に影響を及ぼす、マトリックス関連タンパク質である(Bradshaw et al.、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 100: 6045−6050(2003))。マウスSPARC遺伝子は1986年にクローニングされ(Mason et al.、EMBO J. 5: 1465−1472(1986))、全長ヒトSPARC cDNA(配列番号:1)は、1987年にクローニングされて配列決定された(Swaroop et al.、Genomics 2: 37−47(1988))。SPARC発現は、発生学的に調節されており、正常な発生の間又は損傷に応答して再構築を受けている組織で主に発現している。例えば、高レベルのSPARCタンパク質が、発生中の骨及び歯において発現する(例えば、Lane et al.、FASEB J.、8、163 173(1994);Yan & Sage、J. Histochem. Cytochem. 47:1495−1505(1999)を参照されたい)。
【0003】
SPARCは、複数の侵襲性の強い癌で高度に発現する一方、対応する正常組織(例えば、膀胱、肝臓、卵巣、腎臓、腸及び乳房)には存在しない(Porter et al.、J. Histochem. Cytochem.、43、791(1995))。膀胱癌において、例えば、SPARC発現は進行癌と関連付けられてきた。ステージT2又はより重度の浸潤性膀胱腫瘍では、ステージT1の膀胱腫瘍(又はより軽度の表在性腫瘍)と比較して、より高レベルのSPARCを発現することが示されており、また予後がより不良である(例えば、Yamanaka et al.、J. Urology、166、2495 2499(2001)を参照されたい)。髄膜腫において、SPARC発現は、浸潤性腫瘍とのみ関連付けられている(例えば、Rempel et al.、Clincal Cancer Res.、5、237 241(1999)を参照されたい)。SPARC発現はまた、in situにおける浸潤性乳癌病変の74.5%で検出され(例えば、Bellahcene、et al.、Am. J. Pathol.、146、95 100(1995)を参照されたい)、浸潤性乳管癌の54.2%で検出されている(例えば、Kim et al.、J. Korean Med. Sci.、13、652 657(1998)を参照されたい)。
【0004】
SPARCはまた、非腫瘍性増殖性疾患においても役割を果たす。メサンギウム細胞増殖は、多くの糸球体疾患の特性であり、多くの場合、細胞外マトリックスの拡大と糸球体硬化症に先立つ。実験的メサンギウム増殖性糸球体腎炎モデルにおいて、SPARC mRNAは7日目までに5倍に増加し、in situハイブリダイゼーションによりメサンギウムにおいて同定された。SPARCは、動脈硬化病変の病因と関連している。血漿SPARCレベルは、冠状動脈疾患の罹患者で上昇する(Masahiko et al.、Obesity Res. 9:388−393(2001))。動脈内膜における血管平滑筋細胞の増殖は、アテローム性動脈硬化症の病因において中心的な役割を果たす。SPARCは、動脈硬化病変に関連する血管平滑筋細胞及びマクロファージで発現される。加えて、SPARCは、血管損傷の間、血小板由来成長因子の作用を制御すると仮定されている(Masahiko et al.、Obesity Res. 9:388−393(2001);Raines et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1281−1285(1992))。内皮PAI−1産生に対するSPARCの刺激効果が、血管損傷部位において報告されており(Hasselaar et al.、J. Biol. Chem. 266:13178−13184(1991))、アテローム性動脈硬化症を促進すると仮定されている(Masahiko et al.、Obesity Res. 9:388−393(2001))。
【0005】
最近、SPARCの遺伝的多型が、強皮症への感受性と関連付けられている。トランスフォーミング増殖因子β1(TGFβ1)は、強皮症又は他の線維症疾患の罹患者において過剰なコラーゲン産生を刺激する、線維化誘導(profibrotic)サイトカインである。外因性TGFβ1は、培養した正常ヒト線維芽細胞において、SPARCとI型コラーゲンの両方の発現増加を誘起したが、この反応は、SPARC siRNAでトランスフェクトした線維芽細胞においては、著しく鈍化した。用いたSPARC siRNAは、培養ヒト線維芽細胞におけるSPARC発現を阻害したが、この効果は、in vitroにおけるsiRNAのトランスフェクションを必要とした(Zhou et al.、Arthritis Rheum. 52(1):257−61(2005))。
【0006】
進行性の肝線維症は、Sprague−Dawleyラットにおいて、チオアセトアミドの長期腹腔内投与によって誘起され得る。肝臓のSPARC発現は、肝線維症の進行の間に著しく増加した。アンチセンスSPARCを運ぶ組換えアデノウイルス(AdasSPARC)は、コラーゲン沈着の減少、肝臓のヒドロキシプロリン含量の低下、及び線維症の形態計測学的段階の進行の低下により評価されるとおり、チオアセトアミドで処理したラットにおける肝線維症の進行を著しく弱めた。AdasSPARC処理はまた、in vivoにおいて、炎症活性を弱め(Knodellスコア)、肝星細胞の筋線維芽細胞様表現型への分化転換を抑制した(Camino et al.、J Gene Med. 10(9):993−1004(2008))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、様々な条件において、SPARC発現レベルを制御できる、特にSPARC発現レベルを減少させることができる治療的アプローチの開発が必要とされている。さらに、SPARC発現阻害のためのアンチセンスアプローチが開発されているが、これらは、煩雑なアデノウイルスベクター又は直接的な細胞トランスフェクションを必要としており、SPARC発現の阻害のための、より効果的で、より可能性のある治療的アンチセンスアプローチが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[本発明の概要]
本発明は、配列番号1又は5に相補的である、DNA、RNA、混合DNA/RNA、ロックド核酸(LNA)又はペプチド核酸(PNA)の1つ以上を含む、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0009】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、配列番号2〜4及び7〜13の1つ以上を含み得る。アンチセンス組成物は、任意選択で、医薬上許容される担体を含み得る。
【0010】
1つの側面において、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1又は5に相補的である10〜30塩基を含み、ここで、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞へ投与すると、細胞のSPARCタンパク質レベルが減少する。好ましくは、組成物の投与により、その細胞における配列番号1のRNAレベル又はSPARCタンパク質レベルが、少なくとも30%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも100倍、最も好ましくは少なくとも1,000倍減少する。
【0011】
別の側面において、本発明は、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む治療上有効量の組成物を投与する工程を含む、動物の疾患を治療又は予防する方法であって、ここで、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号2〜4及び7〜13の核酸、又はこれらの組み合わせを含む、方法を提供する。
【0012】
別の側面において、本発明は、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドでの標的化に有用な、SPARC cDNA上の位置を提供する。特に、配列番号1のヌクレオチド212、311、312、521、825、841、969、985、1001、1017の1つ以上で配列番号1と相補的である、12〜19塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0013】
適した増殖性疾患として、癌、再狭窄、線維症、骨粗しょう症、関節炎又は過剰な創傷治癒(exaggerated wound healing)を含む炎症性疾患が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明が提供するSPARCアンチセンス組成物の投与に適し、かつ本発明が提供する、増殖性疾患を治療又は予防するための方法を適用するのに適した動物には、ヒト患者が含まれるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1には、SPARC−GFP発現ベクターの制限酵素切断地図を示す。
【図2】図2には、トランスフェクトされていない細胞株と比較した、例となる安定してトランスフェクトされた細胞株における、SPARC−GFP融合構築物の発現についての蛍光分光法の結果を示す。
【図3】図3には、ネガティブコントロールであるスクランブルmiR及びダーマフェクト(DharmaFect)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)と比較した、siRNA SPARC1、siRNA SPARC−2、及びsiRNA SPARC−3でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞における、GFP発光を示す。
【図4】図4には、LNAアンチ−SPARC−1、LNAアンチ−SPARC−2、及びLNAアンチ−SPARC−3でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞におけるGFP発光を示す。
【図5A】図5Aには、si13347、si13346、si13345(それぞれ配列番号201〜203)、PO−SPARC−1、PO−SPARC−1−1、及びネガティブコントロールでトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞における、24時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図5B】図5Bには、si13347、si13346、si13345(それぞれ、配列番号201〜203)、PO−SPARC−1、PO−SPARC−1−1、及びネガティブコントロールでトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞における、48時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図6A】図6Aには、LNA PO−SPARC−1、LNA PO−SPARC 1−1、LNAアンチ−SPARC 2、アンチSP−53、siRNA SPARC−2、及びダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞の24時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図6B】図6Bには、LNA PO−SPARC−1、LNA PO−SPARC 1−1、LNAアンチ−SPARC 2、アンチSP−53、siRNA SPARC−2、及びダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞の48時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図6C】図6Cには、LNA PO−SPARC−1、LNA PO−SPARC 1−1、LNAアンチ−SPARC 2、アンチSP−53、siRNA SPARC−2、及びダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞の72時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図7A】図7Aには、LNA PO−SPARC−1、LNA PO−SPARC 1−1、LNAアンチ−SPARC 2、アンチSP−53、siRNA SPARC−2、及びダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞の48時間インキュベート時の細胞毒性を示す。
【図7B】図7Bには、LNA PO−SPARC−1、LNA PO−SPARC 1−1、LNAアンチ−SPARC 2、アンチSP−53、siRNA SPARC−2、及びダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション試薬単独(Dharmacon、Lafayette、CO)でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞の72時間インキュベート時の細胞毒性を示す。
【図8A】図8Aには、AS−SPARC−12(配列番号11)、AS−SPARC−13(配列番号12)、AS−SPARC−32(配列番号13)、siRNA−SPARC−2(配列番号202)、及びネガティブコントロール(ダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション剤(Dharmacon、Lafayette、CO))でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞における、48時間インキュベート時のGFP発光を示す。
【図8B】図8Bには、AS−SPARC−12(配列番号11)、AS−SPARC−13(配列番号12)、AS−SPARC−32(配列番号13)、siRNA−SPARC−2(配列番号202)、及びネガティブコントロール(ダーマフェクト1(DharmaFect1)(商標)トランスフェクション剤(Dharmacon、Lafayette、CO))でトランスフェクトされたSPARC−GFP発現細胞における、48時間インキュベート時の細胞毒性を示す。
【図9】図9には、ヒトSPARC cDNA配列(配列番号1)を示す。
【図10】図10には、ヒトSPARC全長/プロセシングを受けていない(unprocessed)アミノ酸配列(配列番号5)及び成熟/プロセシングを受けたアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【図11】図11には、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドで標的化するための、SPARC cDNA上のホットスポットを概念的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本発明の詳細な説明]
I.定義
本明細書中で使用される場合、「SPARCタンパク質」という用語は、プロセシングされていないSPARCポリペプチド(配列番号5)若しくは成熟SPARCポリペプチド(配列番号6)のいずれかと同一の配列を有するポリペプチド、又は配列番号1から生じる天然のスプライスバリアント、又は配列番号5若しくは6のいずれかと実質的に同一の配列の、成熟SPARCポリペプチドの機能を実質的に保持するポリペプチドを言う。「実質的に同一の配列」とは、配列が、配列番号5又は6のいずれかと少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、さらにより好ましくは少なくとも95%同一、最も好ましくは少なくとも99%同一であることを意味する。
【0017】
「成熟SPARCの機能を実質的に保持する」とは、ポリペプチドが、当業者に公知のSPARCの1つ以上の生物学的/生化学的活性を有することを意味し、特に、病状に影響を及ぼす(維持する、支持する、誘起する、引き起こす、弱める、予防する又は阻害する)活性(例えば、血管形成、細胞形状、細胞運動性、細胞接着、アポトーシス、細胞増殖又は細胞外マトリックス組成に影響を及ぼすことを含む)を有することを意味する。「SPARCタンパク質」という用語に包含される上記ポリペプチドはまた、約50アミノ酸、好ましくは約40アミノ酸、より好ましくは約30アミノ酸、さらにより好ましくは約20アミノ酸、最も好ましくは約10アミノ酸が、配列番号5又は6と同一の又は実質的に同一の配列のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端に付加されたポリペプチドも含む。
【0018】
本明細書で用いられる配列の選択を表1に提供する。
【0019】
【表1】

【0020】
本明細書中で使用される場合、「SPARC RNA」という用語は、SPARCタンパク質のコード配列を含むRNA分子を言う。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」という用語は、複数のヌクレオチドを言う(すなわち、リン酸基及び置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)、又はウラシル(U))又は置換プリン(例えば、アデニン(A)又はグアニン(G))のいずれかである交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)を含む分子)。この用語はまた、ポリヌクレオシド(すなわち、リン酸基のないポリヌクレオチド)及び任意の他の有機塩基を含むポリマーも含む。プリン及びピリミジンには、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、並びに他の天然に存在する及び天然に存在しない核酸塩基置換及び非置換芳香族部分が含まれるが、これらに限定されない。天然の核酸は、デオキシリボース−リン酸基又はリボース−リン酸基骨格を有する。人工又は合成のポリヌクレオチドは、in vitro又は無細胞系において重合された任意のポリヌクレオチドであり、同一又は類似の塩基を含むが、天然のリボース−リン酸基骨格以外のタイプの骨格を含んでよい。これらの骨格には以下が含まれる:PNA(ペプチド核酸)、ホスホロチオエート、ホスホロジアミダート、モルホリノ及び天然の核酸のリン酸基骨格の他のバリアント。他のこのような修飾は、当業者に周知である。従って、核酸という用語はまた、例えば、塩基及び/又は糖における置換又は修飾を有する核酸も包含する。
【0022】
「塩基」という用語は、DNA及びRNAの公知の塩基アナログのいずれをも包含する。塩基は、プリン及びピリミジンを含み、プリン及びピリミジンはさらに、天然化合物であるアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン及び天然アナログを含む。プリン及びピリミジンの合成誘導体は、新たな反応基、例えば、これに限定されないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート及びアルキルハライドなどを置く修飾を含むが、これに限定されない。
【0023】
RNAに適用される場合、「単離された核酸」という用語は、上記で定義したとおり、単離されたDNA分子によりコードされるRNA分子を主に言う。あるいは、本用語は、その天然の状態(すなわち、細胞中又は組織中)で関連するであろう他の核酸から十分に分離されているRNA分子を言ってもよい。単離された核酸(DNA又はRNAのいずれか)は、さらに、生物学的又は合成的手段により直接生産される分子であって、その生産の間に存在する他の要素から分離された分子を意味してよい。
【0024】
加えて、本明細書中で使用される場合、「核酸」という用語は、ペプチド核酸を含む。ロックド核酸(LNA)は、リボース環が、2’−O原子と4’−C原子とを結合するメチレン架橋によって「ロック」されている、核酸アナログクラスである。LNAヌクレオシドは、一般的な核酸塩基(T、C、G、A、U及びmC)を含み、標準的なワトソンクリック塩基対合規則に従って、塩基対を形成できる。しかし、メチレン架橋で分子を「ロック」することにより、LNAは、ワトソンクリック結合に対する理想的なコンフォメーションで拘束される。従って、DNAオリゴヌクレオチドに組み込まれた場合、LNAは、相補的ヌクレオチド鎖との対合を、より急速にし、かつ得られた二本鎖の安定性を高める。
【0025】
さらに、本明細書中で使用される場合、「RNAを単離する」は、in situハイブリダイゼーションのための組織切片においてRNAを調製することを含む。
【0026】
「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、本明細書中で交換可能に用いられ、ペプチド結合により結合されたアミノ酸残基鎖で構成された化合物を言う。ポリぺプチドの「活性部分」とは、全長未満のポリペプチドであるが、測定可能な生物学的活性を保ち、生物学的検出を保つペプチドを意味する。
【0027】
「LNA/DNAミックスマー(mixmer)」又は「ミックスマー」は、少なくとも1つのLNAユニットと、少なくとも1つのRNA又はDNAユニット(例えば、天然に存在するRNA又はDNAユニット)とを含む核酸を言うために使用される。
【0028】
「ギャップマー(gapmer)」は、標的配列のレベルを減少させるため、RNAaseH媒介メカニズムを介して作用可能な1〜6残基の2’−O修飾ヌクレオチド(本件の場合、β−D−オキシ−LNA、側面(flanks))が典型的に隣接する、一続き(stretch of)の中央4〜12塩基DNA(ギャップ)に基づく。
【0029】
「ヘッドマー(headmer)」とは、5’−末端における連続する(contiguous)一続きのβ−D−オキシ−LNA又はLNA誘導体と、それに続く、RNaseHにより認識されかつ切断され得る、連続する一続きの3’−末端方向へのDNA又は修飾モノマーにより定義され、「テイルマー(tailmer)」とは、RNaseHにより認識されかつ切断され得る、5’−末端における連続する一続きのDNA又は修飾モノマーと、それに続く、連続する一続きの、3’−末端方向へのβ−D−オキシ−LNA又はLNA誘導体により定義される。適切には、1つのこのような「ギャップマー」実施形態において、上記配列は、一続きの4つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログと、それに続く、一続きの8つのヌクレオチドを含み、これには、一続きの4つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログが続き、任意選択で、3’末端において単一のヌクレオチドを有してよい。
【0030】
1つのさらなる「ギャップマー」実施形態において、上記部分配列は、一続きの3つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログと、それに続く、一続きの9つのヌクレオチドを含み、これには、一続きの3つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログが続き、任意選択で、3’末端において単一のヌクレオチドを有してよい。驚くべきことに、このようなデザインは、非常に効果的であることが発見されている。
【0031】
1つのさらなる「ギャップマー」実施形態において、上記部分配列は、一続きの4つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログと、それに続く、一続きの8つのヌクレオチドを含み、これには、一続きの3つのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログが続き、任意選択で、3’末端において単一のヌクレオチドを有してよい。
【0032】
「コンジュゲート」又は「タグ」という用語は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はアミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、又は他の化学物質のいずれかである化学的部分であって、別の配列に付加された場合に、特にその配列の送達、輸送、検出又は単離において、追加的な有用性を提供するか、あるいは有用な特性を与えるものを言う。好ましくは、コンジュゲートは、MREコンシーリングLNA(MRE−concealing LNA)の3’末端に付加されるコレステロールであり、これによって、本発明のLNAは細胞を透過することが可能となる。タンパク質タグの場合には、金属キレートクロマトグラフィーによるタンパク質の単離を容易するために、ヒスチジン残基(例えば、4〜8個の連続したヒスチジン残基)をタンパク質のアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかに付加してよい。別法として、特異的抗体分子又は他の分子と反応するエピトープ又は結合決定基を示す、アミノ酸配列、ペプチド、タンパク質又は融合パートナー(例えば、フラッグエピトープ、c−mycエピトープ、インフルエンザAウイルスのヘマグルチニン(hemaglutinin)タンパク質の膜貫通エピトープ、プロテインA、セルロース結合ドメイン、カルモジュリン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼなど)を、アフィニティ又はイムノアフィニティクロマトグラフィーなどの手順によるタンパク質の単離を容易にするために、タンパク質に付加してよい。多数の他のタグ部分が当業者に公知であり、当業者に想定可能であり、本定義の範囲内であることが企図される。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「腫瘍」という用語は、良性であるか悪性(癌性)であるかを問わず、原発部位の病変であるか転移であるかを問わず、腫瘍性の成長、増殖又は細胞塊(cell mass)のいずれをも言う。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「癌」という用語は、正常な成長制御に対する感受性を失っている細胞の増殖により引き起こされるか、又はそれにより特徴付けられる増殖性疾患を言う。同一組織タイプの癌は、通常、同一組織に由来し、それらの生物学的特徴に基づいて異なるサブタイプに分類され得る。癌の4つの一般的なカテゴリーは、癌腫(上皮細胞由来)、肉腫(結合組織又は中胚葉由来)、白血病(造血組織由来)及びリンパ腫(リンパ組織由来)である。200を超える異なるタイプの癌が公知であり、体の全ての臓器及び組織が罹患し得る。癌の定義を限定するものではないが、癌の具体例としては、メラノーマ、白血病、星状細胞腫、グリア芽腫、網膜芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ球性白血病が挙げられる。様々な癌に罹患し得る臓器及び組織の例としては、膵臓、乳房、甲状腺、卵巣、子宮、精巣、前立腺、下垂体、副腎、腎臓、胃、食道、直腸、小腸、結腸、肝臓、胆嚢、頭頚部、舌、口、目及び眼窩、骨、関節、脳、神経系、皮膚、血液、鼻咽頭組織、肺、喉頭、尿路、子宮頚部、膣、外分泌腺及び内分泌腺が挙げられる。あるいは、癌は、多中心性であり得、又は原発部位不明のもの(CUPS)であり得る。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「治療上有効量」とは、哺乳動物の疾患又は状態の1つ以上の症状を和らげる(熟練の医師によって判断されるとおり、ある程度まで)組成物の量を言う。さらに、組成物の「治療上有効量」とは、疾患又は状態と関連するか、又はその原因となる生理学的又は生化学的パラメーターを部分的に又は完全に、正常に戻す量を意味する。当分野の臨床医であれば、例えば、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、経口投与又は吸入を介して投与したときに、特定の病態又は疾患を治療又は予防するために、組成物の治療上有効量を決定することができる。治療上有効であるために必要とされる組成物の正確な量は、多くの患者の具体的考慮事項に加え、例えば、活性剤の比活性、用いられる送達デバイス、薬剤の物理的特性、投与の目的などの多数の因子によって決まるだろう。しかし、治療上有効量の決定は、本明細書に記載の開示を理解すれば、通常の技術を有する臨床医の技術範囲内である。
【0036】
いくつかの実施形態において、「治療上有効」という用語は、レベル又は発現を実質的に減少させる結果を言い、例えば、約20%の減少、好ましくは約25%の減少、より好ましくは約30%の減少、さらにより好ましくは約33%の減少、さらにより好ましくは約50%の減少、さらにより好ましくは約67%の減少、さらにより好ましくは約80%の減少、さらにより好ましくは約90%の減少、さらにより好ましくは約95%の減少、さらにより好ましくは約99%の減少、さらにより好ましくは約50倍の減少、さらにより好ましくは約100倍の減少、さらにより好ましくは約1,000倍の減少、さらにより好ましくは約10,000倍の減少、及び最も好ましくは完全なサイレンシングが含まれる。
【0037】
「治療する」、「治療」、「療法」及び「治療療法」という用語は、本明細書中で使用される場合、治癒的療法、予防的(prophylactic)療法又は予防的(preventative)療法を意味する。「予防的(preventative)療法」の例は、標的疾患(例えば、癌又は他の増殖性疾患)又はその関連状態の可能性を予防又は減少させることである。治療が必要なものには、既に疾患又は状態を有するもの、並びに予防されるべき疾患又は状態を有する傾向にあるものが含まれる。「治療する」、「治療」、「療法」及び「治療療法」という用語はまた、本明細書中で使用される場合、疾患又は関連状態に対抗する目的で哺乳動物を管理又はケアすることを意味し、疾患、状態の症状、副作用、又は他の合併症を軽減するために組成物を投与することを含む。癌のための治療療法には、手術、化学療法、放射線療法、遺伝子療法及び免疫療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「薬剤(agent)」又は「薬物」又は「治療剤」という用語は、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子、又は生物学的材料から作られた抽出物を意味し、生物学的材料とは、例えば、細菌、植物、真菌又は動物(特に、哺乳動物)の細胞又は組織であって、治療的な特性を有すると疑われるものである。薬剤又は薬物は、精製され得るか、実質的に精製され得るか、又は部分的に精製され得る。本発明の「薬剤」はまた、放射線療法剤又は「化学療法剤」を含む。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「診断剤」という用語は、例えば腫瘍などの罹患組織を画像化するのに用いられる任意の化学物質を言う。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、癌、腫瘍性及び/又は増殖性疾患に対する活性を有する薬剤、又は癌細胞を直接死滅させることができる薬剤を言う。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「医薬製剤(pharmaceutical formulation)」は、重大な有害な毒物学的効果を及ぼすことなく、ヒト及び獣医学に使用するための製剤を含む。「医薬上許容される製剤」は、本明細書中で使用される場合、所望の活性のために最も適した身体的な位置での本発明の核酸分子の効果的な分布を可能にする組成物又は製剤を言う。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される担体」は、医薬的な投与と適合する、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことが意図される。医薬的に活性な物質のために、このような媒体及び薬剤を使用することは、当分野で周知である。従来の媒体又は薬剤のいずれかが活性化合物と適合しない場合を除いて、組成物中のこれらの使用が企図される。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「治療上有効量」とは、哺乳動物の疾患又は状態の1つ以上の症状を和らげる(熟練の医師によって判断されるとおり、ある程度まで)組成物の量を言う。さらに、「治療上有効量」とは、疾患又は状態と関連するか、又はその原因となる生理学的又は生化学的パラメーターが、部分的に又は完全に、正常に戻る組成物の量を意味する。当分野の臨床医であれば、例えば、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、経口投与又は吸入を介して投与したときに、特定の病態、疾患を治療又は予防するために、組成物の治療上有効量を決定することができる。治療上有効であるために必要とされる組成物の正確な量は、多くの患者の具体的考慮事項に加えて、例えば、活性剤の比活性、用いられる送達デバイス、薬剤の物理的特性、投与の目的などの多数の因子によって決まるだろう。しかし、これは、本明細書に記載の開示を理解すれば、通常の技術を有する臨床医の技術範囲内である。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「薬剤(agent)」又は「薬物」又は「治療剤」という用語は、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子、又は生物学的材料から作られた抽出物を意味し、生物学的材料とは、例えば、細菌、植物、真菌又は動物(特に、哺乳動物)の細胞又は組織であって、治療的な特性を有すると疑われるものである。薬剤又は薬物は、精製され得るか、実質的に精製され得るか、又は部分的に精製され得る。本発明の「薬剤」はまた、放射線療法剤又は「化学療法剤」を含む。
【0045】
本明細書中で使用される場合、「診断剤」という用語は、例えば腫瘍などの罹患組織を画像化するのに用いられる任意の化学物質を言う。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、癌、腫瘍性及び/又は増殖性疾患に対する活性を有する薬剤を言う。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「放射線治療レジメン」又は「放射線療法」という用語は、癌細胞を死滅させるために放射線を投与することを言う。放射線は、細胞内の様々な分子と相互作用するが、細胞死をもたらす主要な標的は、デオキシリボ核酸(DNA)である。しかし、放射線療法はまた、多くの場合、細胞膜及び核膜並びに他のオルガネラにも損傷を与える。DNAの損傷は、通常、糖−リン酸基骨格における一本鎖及び二本鎖の破壊を伴う。さらに、細胞機能を障害し得る、DNAとタンパク質との架橋が存在し得る。放射線のタイプに応じて、DNA損傷のメカニズムは、生物学的効果比とともに変化し得る。例えば、重粒子(すなわち、プロトン、ニュートロン)はDNAを直接損傷し、より高い生物学的効果比を有する。他方、電磁放射は、細胞内の水のイオン化によって主に生産される短命なヒドロキシルフリーラジカルを介して作用する、間接的なイオン化をもたらす。放射線の臨床適用は、外部照射療法(external beam radiation)(外部線源由来)と近接照射療法(患者に移植又は挿入される線源を使用)からなる。外部照射療法がX線及び/又はγ線からなる一方、近接照射療法は、崩壊してα粒子又はβ粒子をγ線とともに放射する放射性核を用いる。
【0048】
本明細書中で使用される場合、「代替療法レジメン」又は「代替療法」(上述の、最初に使われる化学療法レジメンではない)という用語は、例えば、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イレッサ(商標)(ゲフィニチブ)、タルセバ(商標)(エルロチニブ)、アービタックス(商標)(セツキシマブ)、イマチニブメシレート(グリベック(商標))、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、ベルケイド(商標));VEGFR2阻害剤、例えば、PTK787(ZK222584)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、ZM447439);哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、ラパマイシン阻害剤(例えば、シロリムス、ラパミューン(商標));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ティピファニブ、ザルネストラ);マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、BAY 12−9566;硫酸化多糖テコガラン(tecogalan));血管新生阻害剤(例えば、アバスチン(商標)(ベバシズマブ);フマギリンアナログ、例えば、TNP−4;カルボキシアミノトリアゾール;BB−94及びBB−2516;サリドマイド;インターロイキン−12;リノミド;ペプチドフラグメント;及び血管成長因子に対する抗体及び血管成長因子レセプターに対する抗体);血小板由来成長因子レセプター阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、マイトジェン活性化キナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ阻害剤、ラウス肉腫ウイルス形質転換発癌遺伝子(SRC)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、小低酸素誘導因子(small hypoxia−inducible factor)阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤及びTGF−βシグナル伝達阻害剤を含んでよい。さらに、免疫療法剤も、代替療法レジメンと考えられる。例えば、予め形成された抗体を含む、血清又はガンマグロブリン;非特異的免疫刺激アジュバント;積極的特異的免疫療法;及び養子免疫療法。加えて、代替療法は、ポリヌクレオチドなどの他の生物学に基づく化学物質(アンチセンス分子、ポリペプチド、抗体、遺伝子療法ベクターなどを含む)を含んでよい。このような代替療法は、単独で又は組み合わせて投与されてよく、あるいは本明細書に記載の他の治療レジメンと組み合わせて投与されてよい。投薬レジメン及び投与レジメンを含む、併用療法における代替療法レジメンに用いられる化学療法剤及び他の薬剤の使用方法もまた、当業者に公知であろう。
【0049】
「共投与(co−administration)」及び「併用療法(combination therapy)」という用語は、2つ以上の治療的に活性な薬剤を対象に投与することを言う。これらの薬剤は、単一の医薬組成物中に含まれて同時に投与され得るか、又は別々の製剤中に含まれて連続的に対象に投与され得る。2つの薬剤が対象中で同時に検出できる限り、2つの薬剤は共投与されたと言う。
【0050】
II.オリゴヌクレオチド
本発明は、配列番号1又は5に相補的である、1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAを含む、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0051】
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号2〜4及び7〜13から選択される配列を有し得る。他の実施形態において、配列は、配列番号2〜4及び配列番号7〜13のいずれかと、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、又は少なくとも99%同一である。しかしながら、いずれの企図される実施形態においも、オリゴヌクレオチドは、配列番号1又は配列番号5の配列と特異的にハイブリダイズすることができる。
【0052】
本発明はさらに、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドでの標的化に有用な、SPARC cDNA上の位置を提供する。特に、図11で概念的に示すとおり、配列番号1のヌクレオチド212、311、312、521、825、841、969、985、1001、1017の1つ以上で配列番号1と相補的である、12〜19塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。すなわち、配列番号1の上記同定したヌクレオチドの1つ以上並びに同定したヌクレオチドの片方又は両方の側に位置するさらなる連続ヌクレオチドと相補的である、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。縮重又は修飾ヌクレオチドもさらに意図されるが、配列番号1の配列と特異的にハイブリダイズできるものでなければならないことを当業者であれば理解するであろう。例えば、オリゴヌクレオチドは、3つのヌクレオチド、2つのヌクレオチド又は好ましくは1つのヌクレオチドが相補的配列と異なり得るが、相補的配列自体を有するオリゴヌクレオチドが最も好ましい。
【0053】
一本鎖核酸、特にオリゴヌクレオチドに関して、「特異的にハイブリダイズする」という用語は、当分野で一般に用いられる所定の条件下でそのようなハイブリダイゼーションを可能にするのに十分に相補的な配列の2つの一本鎖ヌクレオチド分子間の会合を言う(「実質的に相補的」と称すこともある)。特に、本用語は、RNA分子内に含まれる実質的に相補的な配列とオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを言い、非相補的配列の一本鎖核酸とオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを実質的に排除する。様々な相補性の一本鎖核酸分子の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする適切な条件は、当分野で周知である。
【0054】
適したオリゴヌクレオチドは、非修飾又は化学的に修飾された一本鎖オリゴヌクレオチドであり得る。適したオリゴヌクレオチドは、約10から約30塩基長であり、好ましくは約12から約25塩基長である。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは、約12から約19塩基長である。
【0055】
本発明のSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNA分子が配列番号2〜4及び7〜13のいずれか1つ以上を含む、組成物を含む。好ましい実施形態において、本発明は、配列番号3及び/又は配列番号8を含むSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。本発明のSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬上許容される担体をさらに含み得る。
【0056】
本発明により提供されるSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上のギャップマー、ミックスマー、2’−MOE、ホスホロチオエートボラノホスフェート、2’−O−メチル、2’−フルオロ、末端逆位−dT塩基、PEG、2’tBDMS、2’−TOM、t’−ACE又はこれらの組合せを含み得る。本発明により提供されるSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドには、上記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、コレステロール、bis−コレステロール、PEG、PEG化カーボンナノチューブ、ポリ−L−リジン、シクロデキストラン、ポリエチレンイミンポリマー又はペプチド部分のいずれか1つの付加により修飾されたものが含まれる。さらに、本発明により提供されるSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドには、上記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドのそれぞれが、コレステロール、bis−コレステロール、PEG、PEG化カーボンナノチューブ、ポリ−L−リジン、シクロデキストラン、ポリエチレンイミンポリマー又はペプチド部分のいずれか1つの付加により修飾されたものが含まれる。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、合成又は天然に存在するポリマー又はタンパク質を含む、任意のポリマー種により修飾され得る。
【0057】
本発明での使用に適したオリゴヌクレオチドは、天然に存在する核酸塩基、糖及びヌクレオシド間(internucleoside)(骨格)結合、並びに同様に機能するか、又は特異的な高められた機能を有する、天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドからなり得る。完全に又は部分的に修飾又は置換されたオリゴヌクレオチドが、このようなオリゴヌクレオチドのいくつかの所望の特性により、例えば、細胞膜を透過できる能力、細胞外及び細胞内ヌクレアーゼに対する良好な耐性、核酸標的に対する高い親和性及び特異性などにより、天然型よりも好ましい場合が多い。
【0058】
好ましくは、本発明のオリゴマー化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)ユニット、例えば、3、4、5、6、7、8、9又は10個のロックド核酸(LNA)ユニットを含み、好ましくは、4個から9個のLNAユニット、例えば6〜9個のLNAユニットを含み、最も好ましくは6、7又は8個のLNAユニットを含む。好ましくは、LNAユニットは、少なくとも1つのβ−D−オキシ−LNAユニット、例えば4、5、6、7、8、9又は10個のβ−D−オキシ−LNAユニットを含む。オリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つより多いタイプのLNAユニットを含んでよいと考えられるが、全てのLNAユニットが、例えば、β−D−オキシ−LNAユニットであり得る。適切には、オリゴマー化合物は、β−D−オキシ−LNAと、1つ以上の以下のLNAユニットとの両方を含んでよい:チオ−LNA、アミノ−LNA、オキシ−LNA、ena−LNA及び/若しくはα−LNA(D−β又はL−α立体配置のいずれかのもの)、又はそれらの組合せ。
【0059】
本発明の実施形態は、LNAヌクレオチドアナログなどのヌクレオチドアナログを含み得、部分配列は、典型的には、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログなどの一続きの2〜6ヌクレオチドアナログと、それ続く、一続きの4〜12ヌクレオチドを含んでよく、これには、本明細書で定義するようなLNAヌクレオチドアナログなどの一続きの2〜6ヌクレオチドアナログが続く。1つの適した実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが他の核酸配列に結合する能力を保持しているが、RNA分解機構などのタンパク質とは有意に会合できないようにする、修飾塩基を含む。LNAは標的との親和性を増加させ、本発明の範囲内の好ましい実施形態である。ヌクレアーゼ耐性及び/又は標的との結合親和性を増加させるために、本発明で特徴付けられるオリゴヌクレオチド薬剤はまた、2’−O−メチル、2’−フルオリン、2’−O−メトキシエチル、2’−O−アミノプロピル、2’−アミノ及び/又はホスホロチオエート結合(linkage)などを含み得る。また、LNA、エチレン核酸(ENAS)、例えば、2’−4’−エチレン架橋核酸及びある種の核酸塩基修飾、例えば、2−アミノ−A、2−チオ(例えば、2−チオ−U)、G−クランプ修飾などを含めることによっても、標的に対する結合親和性を高めることができる。
【0060】
天然の核酸は、デオキシリボース−リン酸基又はリボース−リン酸基骨格を有する。人工又は合成のポリヌクレオチドは、in vitro又は無細胞系において重合された任意のポリヌクレオチドであり、同一又は類似の塩基を含むが、天然のリボース−リン酸基骨格以外のタイプの骨格を含んでよい。これらの骨格には以下が含まれる:PNA(ペプチド核酸)、ホスホロチオエート、ホスホロジアミダート、モルホリノ、及び天然の核酸のリン酸基骨格の他のバリアント。塩基は、プリン及びピリミジンを含み、プリン及びピリミジンはさらに、天然化合物であるアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン及び天然アナログを含む。プリン及びピリミジンの合成誘導体は、新たな反応基、例えば、これに限定されないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート及びアルキルハライドなどを置く修飾を含むが、これらに限定されない。塩基という用語は、DNA及びRNAの公知の塩基アナログのいずれをも包含する。
【0061】
デオキシリボヌクレオチドホスホジエステルオリゴヌクレオチドは、本発明での使用に適してはいるが、好ましいものではない。メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、非荷電オリゴマーであり、オリゴヌクレオチド鎖上の各リンにおいて、非架橋酸素原子がメチル基により置換されている。ホスホロチオエートジアステレオマー中のホスホロチオエートは、高められたヌクレアーゼ安定性を有する。好ましい実施形態は、リボースの2’位での、O−アルキル基、最も頻繁にはメチル基による、水素の置換を伴う。これらのオリゴヌクレオチドは、標的mRNAとの高融点のヘテロ二本鎖を形成し、RNase H依存性ではないメカニズムによるアンチセンス効果を誘起する。
【0062】
適したオリゴヌクレオチドはまた、天然のリン酸基−リボース骨格を有しない実施形態も含む。ペプチド核酸(PNA)は、メチレンカルボニルリンカーを介して核酸塩基が結合した、反復するN−(2−アミノエチル)グリシンユニットからなる非荷電性のフレキシブルなポリアミド骨格を含む、核酸アナログである。これらのオリゴマーは、核酸:一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAとともに非常に安定した二本鎖又は三本鎖を形成できる。高親和性の核酸結合特性は、PNAオリゴマー上に負電荷が存在しないことによる静電反発力の欠如により説明され得る。PNAは、RNase H又は他のRnaseの基質ではないので、PNAのアンチセンスメカニズムは、立体障害によって決まる。PNAはDNAとも結合でき、RNAポリメラーゼの開始及び伸張、並びに核内因子κBなどの転写因子の結合及び作用を阻害できる。PNAはmRNAとも結合でき、スプライシング又は翻訳の開始及び伸張を阻害できる。
【0063】
デオキシリボース部分がモルホリノ環に置き換えられ、荷電したホスホジエステルサブユニット間結合が非荷電のホスホロジアミデート結合に置き換えられたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーもまた、本発明での使用に適している。これらのオリゴヌクレオチドは、生物系において非常に安定しており、無細胞翻訳系及び少数の培養動物細胞株(a few cultured animall cell line)において、効率的なアンチセンス活性を呈する。
【0064】
適したオリゴヌクレオチドタイプの別の例は、N3’→P5’ PNであり、これは、リボースの3’位での、アミン基による酸素の置換によって得られる。これらのオリゴヌクレオチドは、それらと同配列(isosequenial)のホスホジエステル対応物(counterpart)と比較して、RNA及び一本鎖又は二本鎖DNAとの非常に安定した複合体を形成できる。特異性及び有効性は、2’O−アルキルオリゴリボヌクレオチドなどの修飾RNAの高親和性領域が、1つ又は両方の末端でRNase Hに適格な部分(competent segment)、通常はホスホロチオエート部分に結合した、キメラオリゴヌクレオチドを用いることにより増加され得る。この置換は、その標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高めるだけでなく、RNase Hによる標的とされていないmRNAの切断も減少させる。
【0065】
好ましい実施形態において、SPARCアンチセンス組成物を細胞へ投与すると、その細胞中の配列番号1のRNA又はSPARCタンパク質のレベルが、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも80%、少なくとも100倍、又は最も好ましくは少なくとも1,000倍減少する。
【0066】
III.医薬組成物
いくつかの実施形態において、本発明のSPARCアンチセンス組成物は、医薬上許容される担体をさらに含み得る。
【0067】
本発明の組成物はさらに活性剤を含み得る。いくつかの実施形態において、活性剤は、その薬理作用を直接発揮できる医薬的に活性な治療剤である。他の実施形態において、活性剤は診断剤である。好ましい実施形態において、活性剤は、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドとコンジュゲートされた診断的又は治療的活性剤である。いくつかの活性剤は、診断剤及び治療剤の両方として有用であり、それ故、このような用語は相互に排他的ではないことが理解されるだろう。
【0068】
活性剤は、化学療法剤又は抗癌剤などの任意の適した治療剤又は診断剤であり得る。本発明での使用に適した化学療法剤又は他の抗癌剤には、チロシンキナーゼ阻害剤(ゲニステイン)、生物活性物質(TNF、又はtTF)、放射性核種(131I、90Y、111In、211At、32P及び他の公知の治療用放射性核種)、アドリアマイシン、アンサマイシン抗生物質、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エポチロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メルファラン(meplhalan)、メトトレキサート、ラパマイシン(シロリムス)及び誘導体、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニトロスウレア(nitrosurea)、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、タキサン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソール、コンブレタスタチン、ディスコデルモライド、及びトランスプラチナ(transplatinum)が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明での使用に適した他の化学療法剤には、代謝拮抗剤(例えば、アスパラギナーゼ)、抗有糸分裂剤(例えば、ビンカアルカロイド)、DNA損傷剤(例えば、シスプラチン)、アポトーシス促進剤(プログラム細胞死、すなわちアポトーシスを誘導する薬剤)(例えば、エピポドフィロトキシン)、分化誘導剤(例えば、レチノイド)、抗生物質(例えば、ブレオマイシン)及びホルモン(例えば、タモキシフェン、ジエチルスチルベストロール)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明での使用に適した化学療法剤には、抗血管新生剤(血管新生阻害剤)、例えば、INF−α、フマギリン、アンジオスタチン、エンドスタチン、サリドマイドなどが含まれる。
【0070】
好ましい化学療法剤には、ドセタキセル、パクリタキセル及びそれらの組合せが含まれる。「それらの組合せ」とは、例えば、ドセタキセルとパクリタキセルなどの2つ以上の薬剤を含む投薬形態の投与と、連続的ではあるが時間的に異なる、ドセタキセルとパクリタキセルの投与(例えば、1つのサイクルでドセタキセルを使用し、次にパクリタキセルを使用する)との両方を言う。特に好ましい化学療法剤は、タンパク質結合薬物粒子を含み、これには、タンパク質結合薬物粒子を構成するタンパク質がアルブミンを含むものが含まれるが、これに限定されず、化学療法剤の50%超がナノ粒子の形態であるものを含む。最も好ましくは、化学療法剤は、例えばアブラキサン(登録商標)などのアルブミン結合パクリタキセル粒子を含む。このようなアルブミン結合パクリタキセル製剤は、本発明で使用可能であり、その場合、投与されるパクリタキセルの用量は、約3週間の投薬サイクルで(すなわち、約3週間ごとに1回、パクリタキセル用量を投与する)、約30 mg/mLから約1,000 mg/mLである。さらに、投与されるパクリタキセル用量は、約3週間の投薬サイクルで、約50 mg/mLから約800 mg/mL、好ましくは約80 mg/mLから約700 mg/mL、最も好ましくは約250 mg/mLから約300 mg/mLであることが望ましい。
【0071】
他の治療剤にはまた、生物活性ポリペプチド、抗体及びそのフラグメント、レクチン、及び毒素(例えば、リシンA)、又は放射性核種も含まれるが、これらに限定されない。本発明の活性剤としての使用に適した抗体には、コンジュゲートされた(結合された)抗体又はコンジュゲートされていない(非結合)抗体、モノクローナル又はポリクローナル抗体、ヒト化又は非ヒト化抗体、並びにFab’、Fab、又はFab2フラグメント、一本鎖抗体などが含まれるが、これらに限定されない。企図される抗体又は抗体フラグメントは、IgG、IgA、IgD、IgE又はIgMのFcフラグメントであり得る。様々な好ましい実施形態において、活性剤は、一本鎖抗体、Fabフラグメント、二重特異性抗体などである。より好ましい実施形態において、抗体又は抗体フラグメントは、補体活性化、細胞媒介性細胞傷害及び/又はオプソニン化を媒介する。
【0072】
加えて、医薬的活性剤は、siRNAであり得る。好ましい実施形態において、siRNA分子は、腫瘍と関連する遺伝子の発現、例えば、c−Sis及び他の成長因子、EGFR、PDGFR、VEGFR、HER2、他の受容体型チロシンキナーゼ、Src−ファミリー遺伝子、Syk−ZAP−70ファミリー遺伝子、BTKファミリー遺伝子、他の細胞質チロシンキナーゼ、Rafキナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ、他の細胞質セリン/スレオニンキナーゼ、Rasタンパク質及び他の調節性GTPaseなどの発現を阻害する。
【0073】
SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、ポリエチレングリコール(PEG)とコンジュゲートされ得る。PEGコンジュゲーションは、タンパク質の循環半減期を増加させ、タンパク質の免疫原性及び抗原性を低下させ、生物活性を高めることができる。任意の適したコンジュゲーション方法が使用でき、これには、例えば、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドの利用可能なアミノ基又は他の反応部位(例えば、ヒスチジン又はシステイン)とメトキシ−PEGとを反応させることが含まれるが、それに限定されない。加えて、組換えDNAアプローチを用いて、本発明のSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドに、PEG−反応基を有するアミノ酸を付加することができる。PEGは、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドと反応させる前に処理することができ、例えば、リンカー基をPEGに付加することができる。さらに、放出可能なハイブリッドのPEG化戦略が本発明で使用可能であり、例えば、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチド中の特定の部位に付加されたPEG分子がin vivoで放出されるように、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドをPEG化することが挙げられる。このようなPEGコンジュゲーション方法は、当分野で公知である(例えば、Greenwald et al.、Adv. Drug Delivery Rev. 55:217−250(2003)を参照されたい)。
【0074】
企図されるSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチド及びそのコンジュゲートは、中性又は塩の形態で組成物中に処方され得る。医薬上許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)を含み、例えば、塩酸若しくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸により形成される。遊離カルボキシル基により形成される塩はまた、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化第二鉄、及び有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどから誘導され得る。
【0075】
本発明の組成物は、一般的に、例えば医薬上許容される担体などの担体とともに製剤で提供される。典型的には、担体は液体であるが、固体、又は液体成分と固体成分との組合せでもあり得る。望ましい担体は、生理的に許容可能(例えば、医薬上又は薬理学的に許容される)な担体(例えば、賦形剤又は希釈剤)である。生理的に許容される担体は周知であり、容易に入手可能である。適した医薬的賦形剤は、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、バッファー及びpH調整剤を含む。適した添加剤には、生理的生体適合性バッファー、キレート剤又はカルシウムキレート錯体の添加、又は任意で、カルシウム若しくはナトリウム塩の添加が含まれる。医薬組成物は、液体の形態で使用するために包装され得、又は凍結乾燥され得る。好ましい生理的に許容可能な担体媒体は、水、緩衝化水、通常の生理食塩水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などである。担体の選択は、標的組織及び/又は細胞の位置並びに組成物を投与するために用いられる特定の方法により、少なくともある程度決定されるだろう。
【0076】
組成物は、静脈内、動脈内、筋内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、局所、経皮、皮下、経粘膜(例えば、肺を含む)、鼻腔内、直腸、膣内又は経口を含む経路によって投与されるために製剤化され得る。組成物はまた、追加の成分、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、保存料及びpH調整剤などを含み得る。
【0077】
注射可能(injectable)な投与に適した製剤には、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、及び製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る水性及び非水性の等張無菌注射液、並びに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、凍結乾燥保護剤及び保存料を含み得る水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。製剤は、アンプル及びバイアルのような単位用量又は多用量の密封容器に入れられ得、使用直前に、例えば水のような無菌液体賦形剤を注射用に添加することのみを要するフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存され得る。即席の注射液及び懸濁液は、無菌の粉末、顆粒又は錠剤から調製可能である。
【0078】
無菌注射液は、上記列挙した成分の1つ又はそれらの組合せとともに、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を組み込むことにより調製でき、必要に応じて、それに続いて濾過滅菌する。好ましくは、注射液は、エンドトキシンを含まない。一般的に、分散物は、基本的な分散媒と、上記列挙したもののうち必要とされる他の成分とを含む無菌ビヒクルに、活性化合物を組み込むことにより調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及びフリーズドライであり、これにより、予め滅菌濾過したその溶液から、活性成分と任意のさらなる所望の添加剤との粉末が得られる。全ての場合において、製剤は無菌でなければならず、容易に注射可能な程度に流動性がなければならない。製剤は、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性組成物の溶液は、ヒドロキシセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水で調製され得る。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物、並びに油中でも調製され得る。保存及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存料を含む。
【0079】
好ましい実施形態において、活性成分は、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションにおいて、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクレート)マイクロカプセル)中に封入され得る。このような技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、A. Ed.(1980)」に開示されている。具体的には、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むリポソームは、Rezler et al.、J. Am. Chem. Soc. 129(16): 4961−72(2007);Samad et al.、Curr. Drug Deliv. 4(4): 297−305(2007);並びに米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載されている方法などにより調製され得る。高められた循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。アルブミンナノ粒子は、本発明の組成物において特に好ましい。
【0080】
特に有用なリポソームは、例えば、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸留法により作成することができる。リポソームは、孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明のポリヌクレオチドは、Werle et al.、Int. J. Pharm. 370(1−2): 26−32(2009)に記載されたとおりの方法を用いて、リポソームにコンジュゲートすることができる。
【0081】
本発明はさらに、本明細書に開示したSPARCアンチセンス分子の送達を容易にするための、細胞膜透過性ペプチド(Cell−Penetrating Peptide;CPP)の使用を提供する。CPPは、細胞の脂質二重層を効率的に透過することができるペプチドである。この特徴により、これらを用いて、遺伝子発現を変化させることができる。CPPは、in vivo及びin vitro実験において、異なる生物活性カーゴのための送達ベクターとして利用されている。特に、CPPは、例えば、アンチセンス、siRNA(低分子干渉RNA)及びデコイdsDNA(二本鎖DNA)適用用のオリゴヌクレオチドなどの遺伝子発現の複数のエフェクターのためのベクターとして、並びにプラスミド送達のためのトランスフェクション剤として用いられている。任意の適したコンジュゲーション方法が、CPPとオリゴヌクレオチドとを結合するために実施されてよい(Heitz et al.、Br J Pharmacol. 2009 157(2):195−206)。適したCPPには、Tat、ペネトラチン、トランスポータン、VP−22、MPG、Pep−1、MAP、PPTG1、SAP、オリゴアルギニン、SynB、Pvec及びhCT(9-32)が含まれるが、これらに限定されない(Heitz et al.、Br J Pharmacol. 2009 157(2):195−206)。
【0082】
他の実施形態において、組成物は、天然のウイルス又はウイルス様粒子、デンドリマー、カーボンナノアセンブリ、ポリマー担体、常磁性粒子、強磁性粒子、ポリマソーム(polymersome)、フィロミセル(filomicelle)、ミセル又はリポタンパク質を用いて送達され得る。
【0083】
気道への投与は、例えば、気管及び/又は肺への全身性又は局所投与のいずれかを提供し得る。このような投与は、吸入を介して、又は物理的適用を介して行うことができ、これには、エアロゾル、溶液及び気管支鏡などの装置が用いられる。吸入のために、本明細書の組成物は、吸入器、噴霧器、ポンプ、加圧パック、又は他の簡便なエアロゾル送達手段、粉末のエアロゾル、非エアロゾルスプレー、若しくは液体の非エアロゾルスプレー(noon−aerosol spray)から便利に送達される。加圧パックは、例えば、液化ガス又は圧縮ガスなどの適した噴霧剤を含み得る。液化ガスには、例えば、フッ素化塩素化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、炭化水素及び炭化水素エーテルが含まれる。圧縮ガスには、例えば、窒素、亜酸化窒素及び二酸化炭素が含まれる。特に、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適したガスの使用が企図される。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、制御された量を送達するための弁の提供により決定され得る。乾燥粉末組成物を投与する場合、粉末混合物には、適した粉末基剤、例えば、ラクトース又はデンプンが含まれ得る。粉末組成物は、例えば、カプセル、カートリッジ又はブリスターパック(吸入具若しくは吸入器の助けを借りて粉末が投与され得る)などの単位用量形態で提示され得る。
【0084】
全身性投与はまた、経粘膜又は経皮手段により可能である。経粘膜又は経皮投与のために、浸透される障壁に適した浸透剤が製剤中で用いられる。このような浸透剤は、当分野で一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻用スプレー、吸入エアロゾル、直腸又は膣用坐薬、マウスウォッシュ、速溶性錠剤、又はロゼンジの使用を介して達成され得る。経皮投与のために、活性組成物は、当分野で一般に公知の軟膏、サルブ、ゲル、フォーム又はクリームへと処方される。
【0085】
医薬組成物は、薬物送達システムを用いて送達され得る。このような送達システムは、ヒアルロン酸溶液又はコラーゲンフラグメントの懸濁液を含む。薬物は、制御された放出のための適切なポリマー状物質、例えば、ポリ乳酸、エチルヒドロキシセルロース、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンジオール、ポリリジン、ポリグリコール酸、ポリマレイン酸、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メチルアクリルアミド]などを用いて設計された、マイクロカプセル中に処方され得る。薬物送達システムを用いた特定の製剤は、液体懸濁液、軟膏、包帯との複合体、コラーゲンシールドなどの形態であり得る。
【0086】
組成物はさらに、特に組成物及び/又はその最終用途(end−use)の安定性を高めるために、任意の他の適した成分を含み得る。従って、本発明の組成物の適した製剤は広範囲にわたって存在する。
【0087】
徐放性組成物もまた、本発明の組成物で実施され得、例えば、米国特許第5,672,659号及び第5,595,760号に記載されているものなどであり得る。即放性及び徐放性組成物の使用は、治療される状態の特性によって決まる。状態が急性疾患又は過度の急性疾患(over−acute disorder)からなる場合、持続放出組成物よりも即放性の形態で治療することが好ましいだろう。あるいは、ある種の予防的又は長期間の治療のためには、徐放性組成物が適し得る。
【0088】
加えて、組成物は、追加の治療的又は生物学的活性剤を含み得る。例えば、特定の適応症の治療に有用な治療因子が存在し得る。例えば、イブプロフェン又はステロイドなどの炎症を制御する因子が、医薬組成物のin vivo投与と関連する腫脹及び炎症、並びに生理的苦痛を低減させるために、組成物の一部であり得る。
【0089】
本発明により提供される組成物は、例えば、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドと結合した活性剤を含む約0.5 mLから約4 mLの水性又は有機液体を含むことができ、活性剤の濃度は、約10 mg/mLから約100 mg/mL、好ましくは約1 mg/mLから約10 mg/mL、より好ましくは約0.1 mg/mLから約1 mg/mLである。活性剤は、任意の適した治療的に有効な濃度で存在でき、例えば、アバアスチンならば、約10 mg/mLから約50 mg/mLの濃度である。
【0090】
IV.方法
本発明は、本発明により提供されるSPARCアンチセンス組成物の1つ以上の治療上有効量を投与する工程を含む、動物における増殖性疾患の治療又は予防方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、SPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物の有効量を投与する工程を含む、哺乳動物における疾患の治療方法を提供する。上述の任意のSPARCアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる任意の適した組成物が、本発明の方法で使用可能である。
【0091】
本発明の動物における増殖性疾患の治療方法は、例えば以下の工程を含む方法を含む:(a)動物における病変組織からRNA又はタンパク質を単離する工程、(b)対応する正常組織からRNA又はタンパク質を単離する工程、(c)前記病変組織のSPARC RNA又はタンパク質レベルを測定する工程、(d)前記対応する正常組織のSPARC RNA又はタンパク質レベルを測定する工程、(e)前記病変組織のSPARC RNA又はタンパク質レベルと、前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルとを比較する工程、及び(f)工程(e)での比較により、前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルに対して、前記病変組織のSPARC RNA又はタンパク質レベルが高いことが示された場合に、前記動物に治療上有効量の本発明のSPARCアンチセンス組成物を投与する工程。SPARC RNAのレベルは、例えば、in situハイブリダイゼーション、ブロットハイブリダイゼーション、PCR、TMA、インベーダー又はマイクロアレイを含む任意の適した技術により測定され得る。SPARCタンパク質のレベルは、例えば、免疫組織学、免疫ブロット法、抗体マイクロアレイ又は質量分析を含む任意の適した技術により測定され得る。
【0092】
別法として、本発明の動物における増殖性疾患の治療方法は、病変におけるSPARC RNA又はタンパク質レベルを測定又は比較する工程を含まない方法を含む。
【0093】
本発明の方法では、活性剤単独の送達と比較して、疾患部位への活性剤の送達を高めるために、又はSPARC血中レベルの減少をもたらすクリアランスを高めるために、治療上有効量の組成物を哺乳動物に投与できる。好ましい実施形態において、SPARC血中レベルの減少は、少なくとも約10%である。より好ましい実施形態において、SPARCの血中レベルの減少は、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は最も好ましくは少なくとも約50%である。
【0094】
本発明の方法は、SPARCの過剰発現により特徴付けられる任意の状態に用いられ得る。本発明が有用である疾患の例としては、軟組織、結合組織、骨、固形臓器、血管などを含む任意の肉体組織中での、増殖異常状態、組織再構築、過形成、過度の創傷治癒が挙げられる。本発明の方法及び組成物を用いて治療可能な又は診断される疾患の例としては、癌、糖尿病性及び他の網膜症、炎症、関節炎、血管若しくは人工血管移植片又は血管内装置における再狭窄などが挙げられる。
【0095】
本発明に従って治療又は予防するための適した増殖性疾患には、癌、再狭窄又は他の増殖性疾患、線維症、骨粗しょう症又は過剰な創傷治癒が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、このような適した疾患には、以下が含まれるが、これらに限定されない:(a)癌は、上皮内癌(circinoma in situ)、異型過形成、癌腫、肉腫、癌肉腫、肺癌、膵臓癌、皮膚癌、メラノーマ、血液腫瘍、乳癌、脳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頚部癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、白血病、リンパ腫、口腔癌、骨肉種、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌及び甲状腺癌からなる群から選択され、(b)再狭窄は、冠動脈再狭窄、大脳動脈再狭窄、頚動脈再狭窄、腎動脈再狭窄、大腿動脈再狭窄、末梢動脈再狭窄又はそれらの組合せからなる群から選択され、(c)他の増殖性疾患は、過形成(hyperlasias)、子宮内膜症、肥厚性瘢痕及びケロイド、増殖性糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、増殖性、肺高血圧症、関節リウマチ、動静脈奇形、動脈硬化性プラーク、冠動脈疾患、創傷治癒の遅れ、血友病関節、癒着不能骨折、オスラー−ウェーバー症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、月経過多症、血管癒着並びに乳頭腫からなる群から選択され、かつ(d)線維症疾患が、肝線維症、肺線維症及び後腹膜線維症からなる群から選択される。
【0096】
本発明の方法は、SPARCアンチセンス組成物が、生命体の疾患組織に直接、静脈内、皮下、筋内、鼻腔内、腹腔内、膣内、肛門内、経口、眼球内、髄腔内投与される方法を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、手術、化学療法、放射線療法、温熱療法、免疫療法、ホルモン療法及びレーザー療法からなる群から選択される1つ以上の癌治療も動物が受けている、併用療法なども含む。
【0097】
また、例えば上述のものなどの1つ以上の化学療法剤の1以上の用量を、本発明の方法に従って投与し得る。本発明で用いられる化学療法剤のタイプ及び数は、特定の腫瘍タイプについての標準的な化学療法レジメンによって決まるだろう。換言すれば、特定の癌は、単一の化学療法剤で通常治療できる一方、別の癌は、組み合わせた化学療法剤で通常治療できる。適した治療剤、化学療法剤、放射性核種などを抗体又はそのフラグメントに用いる併用療法のための方法は、当分野で十分に記載されている。
【0098】
一般に、併用療法はいずれも、1つ以上の化学療法剤、抗体のような標的化剤;キナーゼ阻害剤;ホルモン剤などを含むだろう。併用療法にはまた、それらに限定されないが、抗体投与、ワクチン投与、並びに細胞傷害性薬剤、天然アミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチドアナログ、及び生物学的反応修飾物質の投与を含む、通常の療法が含まれる。2つ以上の組み合わせた化合物は、一緒に又は連続的に用いてよい。例えば、当分野で周知であり、本明細書に記載の組成物と組み合わせた治療として使用可能な抗癌剤には、それらに限定されないが、本明細書に記載の、最初に使われる(first line)「化学療法剤」、すなわち、最初に使われる化学療法剤は、癌を治療するために用いてよい薬物であって、通常、癌性細胞を直接死滅させる能力を有するものが含まれる。化学療法剤の例として、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物、ホルモン及びアンタゴニスト、及び種々の薬剤(miscellaneous agent)が挙げられる。アルキル化剤の例として、以下が挙げられる:ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L−サルコリシン)及びクロラムブシル;エチレンイミン及びメチルメラミン、例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン(BCNU)、セムスチン(メチル−CCNU)、ロムスチン(CCNU)及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン);DNA合成アンタゴニスト、例えば、エストラムスチンフォスフェート;並びにトリアジン、例えば、ダカルバジン(DTIC、ジメチル−トリアゼノイミダゾールカルボキサミド)及びテモゾロミド。代謝拮抗剤の例としては、以下が挙げられる:葉酸アナログ、例えば、メトトレキサート(アメトプテリン);ピリミジンアナログ、例えば、フルオロウラシン(5−フルオロウラシル、5−FU、5FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン、FUdR)、シタラビン(シトシンアラビノシド)及びゲムシタビン;プリンアナログ、例えば、メルカプトプリン(6−メルカプトプリン(6−niercaptopurine)、6−MP)、チオグアニン(6−チオグアニン、TG)及びペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン、デオキシコホルマイシン)、クラドリビン及びフルダラビン;並びにトポイソメラーゼ阻害剤、例えば、アムサクリン。天然産物の例としては、以下が挙げられる:ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチン;タキサン、例えば、パクリタキセル(アブラキサン)及びドセタキセル(タキソテレ);エピポドフィロトキシン、例えば、エトポシド及びテニポシド;カムプトテシン、例えば、トポテカン、及びイリノテカン;抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンC)、イダルビシン、エピルビシン;酵素、例えば、L−アスパラギナーゼ;並びに生物学的反応修飾物質、例えば、インターフェロンα、及びインターロイキン2。ホルモン及びアンタゴニストの例としては以下が挙げられる:黄体形成ホルモン放出ホルモン(luteinising releasing hormone)アゴニスト、例えば、ブセレリン;副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン及び関連調製物;プロゲスチン、例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、メドロキシプロゲステロンアセテート及びメゲストロールアセテート;エストロゲン、例えば、ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール及び関連調製物;エストロゲンアンタゴニスト、例えば、タモキシフェン及びアナストロゾール;アンドロゲン、例えば、テストステロンプロピオナート及びフルオキシメステロン及び関連調製物;アンドロゲンアンタゴニスト、例えば、フルタミド及びビカルタミド:並びにゴナドトロピン放出ホルモンアナログ、例えば、ロイプロリド。種々の薬剤の例としては以下が挙げられる:サリドマイド;白金配位錯体化合物(platinum coordination complexes)、例えば、シスプラチン(czs−DDP)、オキサリプラチン、及びカルボプラチン;アントラセンジオン、例えば、ミトキサントロン;置換尿素、例えば、ヒドロキシ尿素;メチルヒドラジン誘導体、例えば、プロカルバジン(N−メチルヒドラジン、MIH);副腎皮質抑制剤、例えば、ミトタン(o,p’−DDD)及びアミノグルテチミド;RXRアゴニスト、例えば、ベキサロテン;並びにチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブ。
【0099】
本明細書中で使用される場合、「放射線治療レジメン」又は「放射線療法」という用語は、癌細胞を死滅させるために放射線を投与することを言う。放射線は、細胞内の様々な分子と相互作用するが、細胞死をもたらす主要な標的は、デオキシリボ核酸(DNA)である。しかし、放射線療法はまた、多くの場合、細胞膜及び核膜並びに他のオルガネラにも損傷を与える。DNAの損傷は、通常、糖−リン酸基骨格における一本鎖及び二本鎖の破壊を伴う。さらに、細胞機能を破壊し得る、DNAとタンパク質との架橋が存在し得る。放射線のタイプに応じて、DNA損傷のメカニズムは、生物学的効果比とともに変化し得る。例えば、重粒子(すなわち、プロトン、ニュートロン)はDNAを直接損傷し、より高い生物学的効果比を有する。他方、電磁放射は、細胞内の水のイオン化によって主に生産される短命なヒドロキシルフリーラジカルを介して作用する、間接的なイオン化をもたらす。放射線の臨床適用は、外部照射療法(external beam radiation)(外部線源由来)と近接照射療法(患者に移植又は挿入される線源を使用)からなる。外部照射療法がX線及び/又はγ線からなる一方、近接照射療法は、崩壊してα粒子又はβ粒子をγ線とともに放射する放射性核を用いる。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「代替療法レジメン」又は「代替療法」(上述の、最初に使われる化学療法レジメンではない)という用語は、例えば、受容体型チロシンキナーゼ体阻害剤(例えば、イレッサ(商標)(ゲフィニチブ)、タルセバ(商標)(エルロチニブ)、アービタックス(商標)(セツキシマブ)、イマチニブメシレート(グリベック(商標))、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、ベルケイド(商標));VEGFR2阻害剤、例えば、PTK787(ZK222584)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、ZM447439);哺乳類のラパマイシン標的(mTOR)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、ラパマイシン阻害剤(例えば、シロリムス、ラパミューン(商標));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ティピファニブ、ザルネストラ);マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、BAY 12−9566;硫酸化多糖テコガラン(tecogalan));血管新生阻害剤(例えば、アバスチン(商標)(ベバシズマブ);フマギリンアナログ、例えば、TNP−4;カルボキシアミノトリアゾール;BB−94及びBB−2516;サリドマイド;インターロイキン−12;リノミド;ペプチドフラグメント;及び血管成長因子に対する抗体、及び血管成長因子レセプターに対する抗体);血小板由来成長因子レセプター阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、マイトジェン活性化キナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ阻害剤、ラウス肉腫ウイルス形質転換発癌遺伝子(SRC)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、小低酸素誘導因子(small hypoxia−inducible factor)阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、及びTGF−βシグナル伝達阻害剤を含んでよい。さらに、免疫療法剤も、代替療法レジメンと考えられる。例えば、予め形成された抗体を含む、血清又はガンマグロブリン;非特異的免疫刺激アジュバント;積極的特異的免疫療法;及び養子免疫療法。加えて、代替療法は、ポリヌクレオチドなどの他の生物学に基づく化学物質(アンチセンス分子、ポリペプチド、抗体、遺伝子療法ベクターなどを含む)を含んでよい。このような代替療法は、単独で又は組み合わせて投与されてよく、あるいは本明細書に記載の他の治療レジメンと組み合わせて投与されてよい。投薬レジメン及び投与レジメンを含む、併用療法における代替療法レジメンに用いられる化学療法剤及び他の薬剤の使用方法もまた、当業者に公知であろう。
【0101】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を下方制御するためには、標的細胞内に侵入しなければならない。取り込みは能動輸送を介して生じ、これは、ひいては温度、オリゴヌクレオチド構造、オリゴヌクレオチド濃度及び細胞株に依存する。作用メカニズムのいずれの理論に縛られることも望まないが、オリゴヌクレオチド濃度によって決まる内在化物質の相対的な割合で、吸着性エンドサイトーシス(adsorptive endocytosis)と液相ピノサイトーシスが、オリゴヌクレオチド内在化の主要なメカニズムであると考えられている。比較的低いオリゴヌクレオチド濃度では、内在化は、膜結合レセプターとの相互作用を介して生じるようである。比較的高いオリゴヌクレオチド濃度では、これらのレセプターは飽和されており、ピノサイトーシスプロセスがより重要であると推測される。
【0102】
本発明のアンチセンス薬物送達においては、ベクターの使用は任意である。アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた臨床試験は、ネイキッド(naked)オリゴヌクレオチドで実施される。
【0103】
しかしながら、細胞内の取り込み、並びにオリゴヌクレオチドの空間的及び時間的活性を高めるために、広範囲の技術及びベクターが開発されている。適したベクターにはリポソームが含まれ、これは、リン脂質二重層とコレステロールから通常構成される小胞性のコロイド小胞である。リポソームは、リン脂質の特性に応じて、中性又はカチオン性であり得る。オリゴヌクレオチドは、水性コンパートメントを含むリポソーム内部に容易にカプセル化でき、あるいは、静電相互作用によりリポソーム表面に結合され得る。これらのベクターは、その正電荷により、生理的条件下で負に帯電している細胞膜に対して高親和性を有する。これらのベクターは、オリゴヌクレオチドを細胞中へ送達するためにエンドソーム経路を使用するので、オリゴヌクレオチドがエンドソームから脱出することを可能にするため、ある種の「ヘルパー」分子がリポソームに加えられている;これらには、例えば、クロロキン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミンなどの種が含まれる。これらの「ヘルパー」分子は、最終的に、エンドソーム膜の不安定化を誘起し、オリゴヌクレオチドの漏れを可能にし、ついで、オリゴヌクレオチドが高濃度で核内に能動輸送されるようである。リポフェクチンや、ユーフェクチン(Eufectin)、サイトフェクチン、リポフェクタミンなどとしてまとめて公知の化合物などの多くの市販のベクターが、研究所の研究で一般に使用されている。これらの送達ビヒクルのいくつかを用いて、規定の条件下、≦50 nmのオリゴヌクレオチド濃度を首尾よく用い得る。例えば、ポリ−L−リジン、PAMAMデンドリマー、ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子、CPP及びポリエチレンイミンなどを含む、他のカチオン性ポリマーの使用も、本発明での使用に適している。
【0104】
これらのカチオン性送達システムはすべて、エンドサイトーシスメカニズムを介して、オリゴヌクレオチドを内在化させる。結果として生じる区画化(compartmentalization)の問題を避けるために、細胞膜透過性を調節することが考慮されてきた。塩基性ペプチドを用いることによって、レセプター−及びトランスポーター−非依存性メカニズムにより、オリゴヌクレオチドの細胞膜通過を上昇させることができる。これらのペプチドは膜移行特性を有しているので、オリゴヌクレオチドとの共有結合により、オリゴヌクレオチドの細胞への侵入を高めることができ、それらが細胞質へ直接送達され、最終的には核へと送達される。
【0105】
オリゴヌクレオチド内在化のさらなる適したアプローチは、細胞膜に一時的な透過性を生じさせることであり、拡散によりネイキッドオリゴヌクレオチドを細胞へと侵入させる。このアプローチは、膜中に一過性の孔を形成することを伴い、これは、ストレプトリジンO透過処理により化学的に誘起されるか、マイクロインジェクション若しくはスクレイプローディングにより機械的に誘起されるか、又はエレクトロポレーションにより作製されるかのいずれかである。
【0106】
本発明の組成物は、別の治療剤又はオリゴヌクレオチド薬剤を安定させる薬剤(例えば、オリゴヌクレオチド薬剤と複合するタンパク質など)などの別の薬剤と組み合わせて製剤化され得る。さらに他の薬剤には、限定されないが、キレート化剤、塩、RNAse阻害剤(例えば、RNAsin)が含まれる。
【0107】
直接注射するため及び非経口投与のための製剤は、当分野で周知である。このような製剤には、滅菌水溶液が含まれてよく、これはさらに、バッファー、希釈剤及び他の適した添加剤を含んでいてよい。静脈内使用のために、溶質の総濃度は、調製物が等張となるように調節されるべきである。
【0108】
本発明で特徴付けられるオリゴヌクレオチド薬剤は、対象への投与のために、リポソームなどの送達ビヒクル、担体及び希釈剤及びそれらの塩を含むことができ、かつ/又は医薬上許容される製剤として存在し得る。核酸分子の送達法は、当分野で周知である。
【0109】
本発明で特徴付けられる医薬組成物はまた、従来の医薬的賦形剤及び/又は添加剤を含み得る。適した医薬的賦形剤には、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、バッファー及びpH調整剤が含まれる。適した添加剤には、生理的生体適合性バッファー、キレート剤又はカルシウムキレート錯体の添加、又は任意選択で、カルシウム若しくはナトリウム塩の添加が含まれる。医薬組成物は、液体の形態で使用するために包装され得、又は凍結乾燥され得る。好ましい生理的に許容可能な担体媒体は、水、緩衝化水、通常の生理食塩水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などである。
【0110】
本発明はまた、医薬上許容される担体又は希釈剤中に所望のオリゴヌクレオチドを医薬として有効な量で含む、保存又は投与用に調製された組成物を特徴とする。治療用の許容可能な担体又は希釈剤は、医薬分野で周知である。
【0111】
徐放性組成物が、例えば、米国特許第5,672,659号及び第5,595,760号に記載されている。即放性及び徐放性組成物の使用は、治療される状態の特性によって決まる。状態が急性疾患又は過度の急性疾患(over−acute disorder)からなる場合、持続放出組成物よりも即放性の形態で治療することが好ましいだろう。あるいは、ある種の予防的又は長期間の治療のためには、徐放性組成物が適し得る。
【0112】
本発明の医薬組成物は、単一用量又は複数用量で投与され得る。このような組成物の投与が注入による場合には、注入は、単一の持続性用量であり得、又は複数回の注入により送達され得る。薬剤の注射は、異常な標的遺伝子発現の部位又はその近傍の組織へと直接行われ得る。薬剤の複数回注射は、前記部位又はその近傍の組織へと行われ得る。
【0113】
投与ごとに、体重1 kg当たりおよそ約1 μgから100 mgのオーダーの用量レベルが、疾患の治療に有用である。用量に関して、本発明の組成物は、体重1 kg当たり約75 mg未満の単位用量で投与されるか、又は体重1 kg当たり約70、60、50、40、30、20、10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001又は0.0005 mg未満の単位用量で投与され、かつアンチセンス組成物が体重1 kg当たり200 nmol未満の単位用量で投与されるか、又はアンチセンス組成物が体重1 kg当たり1500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015 nmol未満の単位用量で投与され得る。単位用量は、例えば、注射(例えば、静脈内又は筋内、髄腔内、又は臓器に直接)、吸入、又は局所適用により投与され得る。
【0114】
当業者はまた、所定の対象に本発明のアンチセンス組成物を投与するための適切な投薬レジメンを容易に決定できる。いくつかの実施形態において、組成物は、約3日から約28日間、より好ましくは約7日から約10日間の期間にわたり、1日に1回又は2回、対象に投与される。さらなる実施形態において、単位用量は、1日1回より少ない頻度、例えば、2日ごと、4日ごと、8日ごと又は30日ごとよりも少ない頻度で投与される。他の実施形態において、単位用量は頻繁には投与されない(例えば、一定頻度でない)。別の実施形態において、単位用量は頻繁には投与されない(例えば、一定頻度でない)。他の実施形態において、SPARCアンチセンス組成物は、望ましくない標的核酸発現の部位又は部位近傍での単回注射又は沈着(deposition)として、1回、対象に投与され得る。オリゴヌクレオチド薬剤媒介性の上方制御は、アンチセンス組成物の投与後数日間持続し得るので、多くの場合、1日1回より少ない頻度で組成物を投与することができ、又はいくつかの例では、治療レジメン全体で1回のみの投与が可能である。
【0115】
投薬レジメンが複数回投与を含む場合、対象に投与されるSPARCアンチセンス組成物の有効量には、投薬レジメン全体にわたって投与されるアンチセンス組成物の総量が含まれ得ることが理解される。当業者ならば、正確な個々の用量が、以下を含む様々な因子に応じて多少調整されてよいことを理解するだろう:投与される特定のSPARCアンチセンス組成物、投与時間、投与経路、製剤特性、排出率、治療される特定の疾患、疾患の重篤度、オリゴヌクレオチド薬剤の薬力学、並びに患者の年齢、性別、体重、及び全体的な健康。必要な投薬レベルは、種々の投与経路が異なる効率を有するという観点から、広範に変化することが予測されるべきである。
【0116】
有効な用量は、特有の環境下で所望されるか又は適切と考えられる場合、単一用量又は2回以上の用量で投与され得る。反復注入又は頻繁な注入を容易にしたいと望む場合、送達デバイス、例えば、ポンプ、半永久的ステント(例えば、静脈内、腹腔内、嚢内又は関節包内)又はリザーバーの移植が望ましい場合がある。治療が成功した後、病態の再発を予防するために患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合がある。アンチセンス組成物の濃度は、疾患を治療又は予防するのに有効であるか、又はヒトの生理的状態を調節するのに十分な量である。投与されるアンチセンス組成物の濃度又は量は、薬剤及び投与方法に対して決定されるパラメーターによって決まるだろう。
【0117】
ある種の因子が、対象を有効に治療するのに必要とされる用量に影響を及ぼし得、これには、以下に限定されないが、疾患又は障害の重篤度、従前の治療、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに他の存在する疾患が含まれる。また、治療に用いられるアンチセンス組成物の有効な用量は、特定の治療の過程にわたって、増加又は減少してよいことも理解されるだろう。用量の変更は、診断的なアッセイの結果により生じ、その結果から明らかになり得る。例えば、アンチセンス組成物を投与後に、対象はモニタリングされ得る。モニタリングから得られた情報に基づいて、追加量のアンチセンス組成物が投与され得る。当業者ならば、最適な用量、投薬方法論及び繰り返し率を容易に決定できる。
【0118】
動物は、治療又は診断が必要な任意の患者又は対象であり得る。好ましい実施形態において、動物は哺乳動物である。特に好ましい実施形態において、動物はヒトである。他の実施形態において、動物は、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、又はヒトでない霊長類であり得る。
【0119】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであるが、当然ながら、いかなる意味においても発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0120】
[実施例1]
本実施例では、SPAR−GFPレポーター株の構築を実証する。
【0121】
PCRを用いて、BIO1 SPARCオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅し、同時に、N末端にKozak 配列を、C−末端に6xHis−タグを導入した。TOPO−TAクローニングにより、C−末端GFP融合TOPO−TA発現ベクターに産物をクローニングした。得られたプラスミドpXL39−Bio1−GFPをリポフェクタミンにより293細胞にトランスフェクトした。48時間後、1mg/ml G418により細胞を選択し、最良のGFPシグナルについて、単一クローンをピッキングし、スクリーニングした。
【0122】
得られたpXL39−Bio1−GFPのマップを図1に示す。
【0123】
次に、pXL39−Bio1−GFPで安定してトランスフェクトされた293細胞を、GFPシグナルについて試験した。T175からのDMEM/FBS/G418中で細胞を3日間培養し、馴化培地及び細胞に対してGFP測定を実施した。106個の細胞をHBSSで2回洗浄した後分析した。励起波長395nm、極大蛍光波長(emmision peak)510nmで、QM3を用いて測定を行った。図2に示すとおり、コントロールの非トランスフェクト細胞よりも有意に高いGFP活性が、SPARC−GFPレポーター株で観察された。
【0124】
トランスフェクト細胞からクローンを産生し、100 nMの出発(starting)濃度で、0.5 μL/ウェル ダーマフェクト(Dharmafect)(商標)(Dharmacon、Inc.、Lafayette、CO)又はリポフェクタミン(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)トランスフェクション試薬とともに、バックグラウンドの蛍光を最小化するように最適化された馴化培地(トランスフェクション複合体形成の間に0.375% FBS、0.25x NEAA、及び0.25 mg/mL G418を添加したF12−K培地)に適用した(データは示していない)。3日目と1ヶ月目において、GFPシグナル及び安定性についてクローンを評価し(データは示していない)、クローンAL2−11を選択した。選択したAL2−11細胞株由来の細胞を50K/ウェルで播種し、24時間及び48時間インキュベートした。
【0125】
GFPシグナル及び安定性は、ビクター3プレートリーダー及びQM3により検出し、例となる結果を図2に示した。
【0126】
[実施例2]
本実施例では、siRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチドに応答した、BIO1 SPARC−GFPシグナルの減少(「ノックダウン活性」)の測定を実証する。
【0127】
3つのアンチ−SPARC siRNA 配列、si13347、si13346、si13345(それぞれ、配列番号201〜203)を、Ambion社(Austin、TX)から購入した。追加のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SPARCオープンリーディングフレームのウォークスルー分析を用いて、同様に調製した(配列番号14〜70)。対応するセンスオリゴヌクレオチド(配列番号15〜127)は、ネガティブコントロールとして用いるために調製した。LNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号128〜200)のセカンドライブラリも調製した。
【0128】
配列番号15〜203を以下の表2〜5に示す。(*はPSを示し、+はLNAを示す):
【0129】
【表2】

【0130】
【表3−1】

【0131】
【表3−2】

【0132】
【表3−3】

【0133】
【表4−1】

【0134】
【表4−2】

【0135】
【表4−3】

【0136】
【表5−1】

【0137】
【表5−2】

【0138】
【表5−3】

【0139】
SPARC−GFPレポーター細胞を、0.1 nMから1000 nMの漸増濃度のsiRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトし、GFPシグナル発光をしかるべく分析した。図3に示すとおり、Ambion社のsiRNA(si13347、si13346、si13345(配列番号201〜203))は、BIO1に対して高レベルのノックダウン活性を有した。図4に示すとおり、LNAアンチ−SPARC−2(配列番号3)及びLNAアンチ−SPARC−3(配列番号4)もまた、BIO1に対してノックダウン活性を示したが、LNAアンチ−SPARC−1(配列番号2)は不活性であった。アンチセンスオリゴヌクレオチドPO−SPARC−1、PO−SPARC−1−1(配列番号7〜8)は、si13347、si13346、及びsi13345(配列番号201〜203)に由来し、PO−SPARC−1−1(配列番号8)及びPO−SPARC−1(配列番号7)は、si13347、si13346及びsi13345(配列番号201〜203)と同様の活性を示した。例となる結果を図5A及び5Bに示す。これらの結果は、siRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、BIO1 SPARCに相補的なヌクレオチドが、in vitroでBIO1を阻害できることを示す。
【0140】
[実施例3]
本実施例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞毒性活性の測定を実証する。
【0141】
PO−SPARC1(配列番号7)、PO−SPARC−1−1(配列番号8)、LNAアンチ−SPARC−2(配列番号3)、アンチ−SP−53(配列番号66)、siRNA−SPARC−2(配列番号202)及びネガティブコントロール(DharmaFect1(商標)トランスフェクション剤(Dharmacon、Lafayette、CO))などのヌクレオチドのBIO1−GFPアッセイを、最大100 nMの濃度で、24、48及び72時間にわたり、実施例2に記載のとおり、実行した。さらに、620 nmで、分光法により、48時間及び72時間における細胞毒性を分析した。実施例2のGFPアッセイにおいて、アンチ−SP−53(配列番号66)は、siRNA−SPARC−2などのsiRNAと比較して、最小のノックダウン活性を呈した(図6A〜6C)。しかし、アンチ−SP−53は、著しい細胞毒性を呈した(図7A〜7B)。LNA PO SPARC1、LNA−PO−SPARC−1−1、LNAアンチ−SPARC−2は、ノックダウン(図6A〜C)及び細胞毒性(図7A〜B)の両方を呈したが、siRNA SPARC 2は、ネガティブコントロールと同様の細胞毒性活性しか有さなかった。
【0142】
AS−SPARC−12(配列番号11)、AS−SPARC−13(配列番号12)、AS−SPARC−32(配列番号13)、siRNA−SPARC−2(配列番号202)及びネガティブコントロール(DharmaFect1(商標)トランスフェクション剤(Dharmacon、Lafayette、CO))を、48時間でのノックダウン活性と細胞毒性について同様に分析した。AS−SPARC−12、AS−SPARC−13、AS−SPARC−32はそれぞれ、強いノックダウン活性と細胞毒性活性の両方を示した(図8A〜8B)。対照的に、siRNA−SPARC−2は、ノックダウン活性は示したが、細胞毒性活性は示さなかった。
【0143】
本明細書中に引用された全ての参考文献(刊行物、特許出願及び特許を含む)は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、またその全体が本明細書中で説明されたのと同程度まで、本明細書により参照により組み込まれる。
【0144】
本発明(特に添付の特許請求の範囲に関して)を記載することに関して、「a」及び「an」及び「the」という用語並びに同様の指示対象の使用は、本明細書中に特記のない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」という用語は、特記のない限り、制限のない(open-ended)用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に特記のない限り、この範囲内に入る各個別の値に個々に言及することの省略方法として機能することを意図するに過ぎず、各個別の値は、それが本明細書中に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中に特記のない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施されうる。本明細書中に提供される任意の全ての例、又は例示的語句(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をより明確に説明することを意図するに過ぎず、別途特許請求されない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる語句も、特許請求されていない任意の要素を本発明の実施に必須なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0145】
本発明を実施するための本発明者らが知る最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書中に記載されている。これらの好ましい実施形態のバリエーションは、前述の記載を読めば、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのようなバリエーションを使用することを予期し、また本発明者らは、本明細書中に具体的に記載されたもの以外の方法で、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された対象の全ての改変物及び均等物を含む。更に、上記要素の全ての可能なバリエーションでの上記要素の任意の組み合わせが、本明細書中に特記のない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2〜4、7〜8及び11〜13の1つ以上を含む、1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドを含む、SPARCアンチセンス組成物。
【請求項2】
配列番号2〜4、7〜8及び11〜13のいずれか1つの配列と90%同一である核酸配列を含む、1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドを含むSPARCアンチセンス組成物であって、前記SPARCアンチセンス組成物を細胞に投与すると、前記細胞中のSPARCタンパク質レベルが少なくとも30%減少する、SPARCアンチセンス組成物。
【請求項3】
前記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号11、12及び13のいずれか1つ以上を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項4】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号11の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項5】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号12の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項6】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号13の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項7】
前記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号2、3及び4のいずれか1つ以上の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項8】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号2の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項9】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号3の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項10】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号4の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項11】
前記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号7及び8のいずれか1つ以上の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項12】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号7の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項13】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号8の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項14】
前記DNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドが、配列番号7及び8の両方の核酸配列を含む、請求項1記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが、ギャップマー、ミックスマー、2’−MOE、ホスホロチオエートボラノホスフェート、2’−O−メチル、2’−フルオロ、末端逆位−dT塩基、PEG、2’tBDMS、2’−TOM、t’−ACE又はこれらの組合せを含む、請求項1乃至14のいずれか一項記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項16】
前記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、コレステロール、bis−コレステロール、PEG、PEG化カーボンナノチューブ、ポリ−L−リジン、シクロデキストラン、ポリエチレンイミンポリマー、ペプチド部分又は膜透過性ペプチドのいずれか1つの付加により修飾されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項17】
前記1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドのそれぞれが、コレステロール、bis−コレステロール、PEG、PEG化カーボンナノチューブ、ポリ−L−リジン、シクロデキストラン、ポリエチレンイミンポリマー、ペプチド部分又は膜透過性ペプチドのいずれか1つの付加により修飾されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項18】
医薬上許容される担体をさらに含む、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物の治療上有効量を投与する工程を含む、動物における増殖性疾患の治療又は予防方法。
【請求項20】
化学療法剤、血管新生阻害剤及びキナーゼ阻害剤からなる群から選択される治療剤の1つ以上を投与する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記化学療法剤が、パクリタキセル(ppactlitaxel)、ドセタキセル、スーテント、アバスチン、5FU、アドリアマイシン、アンサマイシン抗生物質、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エポチロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メルファラン(meplhalan)、メトトレキサート、ラパマイシン及びその誘導体、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニトロソウレア(nitrosurea)、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、タキサン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、コンブレタスタチン、ディスコデルモライド並びにトランスプラチナからなる群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記SPARCアンチセンス組成物が、前記動物の疾患組織に対して直接、静脈内、皮下、筋内、鼻腔内、腹腔内、膣内、肛門内、経口、眼球内又は髄腔内に投与される、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記SPARCアンチセンス組成物が、癌、再狭窄、又は他の増殖性疾患、線維症、骨粗しょう症、又は過剰な創傷治癒を治療又は予防するために前記動物に投与される、請求項19記載の方法。
【請求項24】
(a)前記癌が、上皮内癌(circinoma in situ)、異型過形成、癌腫、肉腫、癌肉腫、肺癌、膵臓癌、皮膚癌、メラノーマ、血液腫瘍、乳癌、脳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頚部癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、白血病、リンパ腫、口腔癌、骨肉種、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌及び甲状腺癌からなる群から選択され、
(b)前記再狭窄が、冠動脈再狭窄、大脳動脈再狭窄、頚動脈再狭窄、腎動脈再狭窄、大腿動脈再狭窄、末梢動脈再狭窄又はこれらの組合せからなる群から選択され、
(c)前記他の増殖性疾患が、過形成(hyperlasias)、子宮内膜症、肥厚性瘢痕及びケロイド、増殖性糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、増殖性、肺高血圧症、関節リウマチ、動静脈奇形、動脈硬化性プラーク、冠動脈疾患、創傷治癒の遅れ、血友病関節、癒着不能骨折、オスラー−ウェーバー症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、月経過多症、血管癒着並びに乳頭腫からなる群から選択され、かつ
(d)前記線維症疾患が、肝線維症、肺線維症及び後腹膜線維症からなる群から選択される、
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記動物が、手術、化学療法、放射線療法、温熱療法、免疫療法、ホルモン療法及びレーザー療法からなる群から選択される1つ以上の癌療法を受けている、請求項19記載の方法。
【請求項26】
動物における増殖性疾患の治療方法であって、
(a)動物における病変組織からRNAを単離する工程、
(b)対応する正常組織からRNAを単離する工程、
(c)前記病変組織のSPARC RNAレベルを測定する工程、
(d)前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルを測定する工程、
(e)前記病変組織のSPARC RNAレベルと、前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルとを比較する工程、及び
(f)工程(e)での比較により、前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルに対して、前記病変組織のSPARC RNAレベルが高いことが示された場合に、前記動物に請求項1乃至18のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物の治療上有効量を投与する工程、
を含む、方法。
【請求項27】
前記SPARC RNAレベルが、in situハイブリダイゼーション、ブロットハイブリダイゼーション、PCR、TMA、インベーダー又はマイクロアレイにより測定される、請求項24記載の増殖性疾患の治療方法。
【請求項28】
動物における増殖性疾患の治療方法であって、
(a)動物における病変組織からタンパク質を単離する工程、
(b)対応する正常組織からタンパク質を単離する工程、
(c)前記病変組織のSPARCタンパク質レベルを測定する工程、
(d)前記対応する正常組織のSPARCタンパク質レベルを測定する工程、
(e)前記病変組織のSPARCタンパク質レベルと、前記対応する正常組織のSPARC RNAレベルとを比較する工程、及び
(f)工程(e)での比較により、前記対応する正常組織のSPARCタンパク質レベルに対して、前記病変組織のSPARCタンパク質レベルが高いことが示された場合に、前記動物に請求項1乃至18のいずれか一項に記載のSPARCアンチセンス組成物の治療上有効量を投与する工程、
を含む、方法。
【請求項29】
前記SPARCタンパク質レベルが、免疫組織学、免疫ブロット法、抗体マイクロアレイ又は質量分析により測定される、請求項24記載の増殖性疾患の治療方法。
【請求項30】
前記SPARCアンチセンス組成物が、生命体の疾患組織に対して直接、静脈内、皮下、筋内、鼻腔内、腹腔内、膣内、肛門内、経口、眼球内又は髄腔内に投与される、請求項19乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記SPARCアンチセンス組成物が、癌、再狭窄、又は他の増殖性疾患、線維症、骨粗しょう症、又は過剰な創傷治癒を治療又は予防するために前記動物に投与される、請求項19乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)前記癌が、上皮内癌(circinom in situ)、異型過形成、癌腫、肉腫、癌肉腫、肺癌、膵臓癌、皮膚癌、メラノーマ、血液腫瘍、乳癌、脳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頚部癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、白血病、リンパ腫、口腔癌、骨肉種、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌及び甲状腺癌からなる群から選択され、
(b)前記再狭窄が、冠動脈再狭窄、大脳動脈再狭窄、頚動脈再狭窄、腎動脈再狭窄、大腿動脈再狭窄、末梢動脈再狭窄又はこれらの組合せからなる群から選択され、
(c)前記他の増殖性疾患が、過形成(hyperlasias)、子宮内膜症、肥厚性瘢痕及びケロイド、増殖性糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、増殖性、肺高血圧症、関節リウマチ、動静脈奇形、動脈硬化性プラーク、冠動脈疾患、創傷治癒の遅れ、血友病関節、癒着不能骨折、オスラー−ウェーバー症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、月経過多症、血管癒着並びに乳頭腫からなる群から選択され、かつ
(d)前記線維症疾患が、肝線維症、肺線維症及び後腹膜線維症からなる群から選択される、
請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記動物が、手術、化学療法、放射線療法、温熱療法、免疫療法、ホルモン療法及びレーザー療法からなる群から選択される1つ以上の癌療法も受けている、請求項19乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記動物がヒト患者である、請求項19乃至33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
配列番号1のヌクレオチド212、311、312、521、825、841、969、985、1001、1017の1つ以上で配列番号1と相補的な核酸配列を有し、12〜19ヌクレオチド長である、1つ以上のDNA、RNA、LNA又はPNAオリゴヌクレオチドを含む、SPARCアンチセンス組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−532613(P2012−532613A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519786(P2012−519786)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041600
【国際公開番号】WO2011/006121
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508235494)アブラクシス バイオサイエンス リミテッド ライアビリティー カンパニー (22)
【Fターム(参考)】