説明

SSB信号受信装置

【課題】SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、簡単な演算で行うことにより、回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくする。
【解決手段】振幅調整回路900の倍率決定器950は、直交検波信号S101,S102,S111,S112に基づいて各信号間の振幅比が変らないように、かつ出力信号S901,S902,S911,S912の振幅が定数1に近くなるように、増幅または減衰倍率信号S951を生成する。倍率調整器910,920,930,940は、直交検波信号S101等を、共通する増幅または減衰倍率信号S951により増幅または減衰し、信号S901等を得る。検波信号演算回路800は、信号S901等に対して乗算演算等を行い、復調信号S191を得るための被除数信号S171及び除数信号S181を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅歪を含むSSB(Single Side Band:単側波帯)信号の受信装置に関し、特に、中波放送、短波放送、無線電話、無線呼出、無線操縦、無線標識などの受信装置に適用して、その性能を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中波放送、短波放送、無線電話、無線呼出、無線操縦、無線標識などに用いるSSB信号受信装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このSSB信号は、被変調波をキャリア成分、LSB成分及びUSB成分に展開した場合に、LSB成分及びUSB成分のみの側帯波信号をいう。このようなSSB信号による通信方式では、送信時にキャリア成分を含まないため、送信電力量を低減することができ、送信電力の効率化を図ることができる。
【0003】
図1は、従来のSSB信号受信装置の構成を示す図である。このSSB信号受信装置2は、搬送波付きのSSB信号を直交復調する装置であり、搬送波付きのSSB信号を搬送波成分の信号(以下、「搬送波成分」という。)S31とSSB信号成分の信号(以下、「SSB信号成分」という。)S32とに分離した後、再合成、振幅の調整、直交検波を行う。そして、直交検波された同相成分の直交検波信号S101,111及び直交成分の直交検波信号S102,112の信号演算を行い、SSB信号の復調信号S191を出力するものである。図1において、SSB信号受信装置2は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、搬送波/信号再合成回路80、リミッタ回路90,95、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800及び除算器190を備えている。
【0004】
このようなSSB信号受信装置2において、リミッタ回路90,95は、搬送波/信号再合成回路80により再合成された信号の振幅を1に調整する。これにより、検波信号演算回路800への入力信号の振幅を概ね1に近くすることができ、結果として、検波信号演算回路800に備えた乗算器(後述する乗算器130,140,150)による乗算後の信号の振幅が、当該乗算器の演算許容範囲を超えないようにすることができる。例えば、リミッタ回路90,95は、入力する合成信号の振幅
A1=√[{1+mg(t)}+{mg(t)}
A2=√[{1−mg(t)}+{mg(t)}
をそれぞれ1に調整するように演算処理を行う(特許文献1、段落番号0021を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−81653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のSSB信号受信装置2のリミッタ回路90,95では、入力する合成信号の振幅を1に調整する際に、極座標変換を行う必要があった。このため、回路規模が大きくなり、演算実行量も多くなることから、SSB信号受信装置の設計仕様によっては実施が困難になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、簡単な演算で行うことにより、回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能なSSB信号受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、負荷の高い極座標変換処理により行う従来のリミッタ回路90,95に代えて、簡単な四則演算により行う手段を見出した。すなわち、SSB信号受信装置において、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号相互間の振幅比を変化させないように(維持するように)増幅または減衰させることを見出した。この場合、SSB信号の復調信号を得るための乗算器による乗算後の信号の振幅が、当該乗算器の演算許容範囲を超えるような極めて大振幅または小振幅にならないようにする。
【0009】
まず、前記本発明が適用されるSSB信号受信装置の例について説明する。図2は、本発明によるSSB信号受信装置の例を説明するための図である。このSSB信号受信装置1は、搬送波が付加されたSSB信号を直交検波により復調する装置であり、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900、検波信号演算回路800及び除算器190を備えている。また、振幅調整回路900は、倍率決定器950及び倍率調整器910,920,930,940を備えている。
【0010】
周波数変換回路20は、搬送波が付加されたSSB信号について、一定の中間周波数の信号に変換する。搬送波/信号分離回路30は、中間周波数の信号から搬送波成分S31及びSSB信号成分S32を分離する。
【0011】
搬送波/信号再合成回路80は、搬送波成分S31とSSB信号成分S32とを合成し、また、搬送波成分S31を所定分増幅及び移相させた搬送波成分とSSB信号成分S32とを合成し、それぞれの合成信号を出力する。
【0012】
直交検波回路100,110は、搬送波/信号再合成回路80からの2つの合成信号をそれぞれ直交検波し、同相成分の直交検波信号S101、直交成分の直交検波信号S102、同相成分の直交検波信号S111及び直交成分の直交検波信号S112を出力する。
【0013】
振幅調整回路900は、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅調整を行い、信号間の振幅比が変わらないように、かつ振幅が定数1に近くなるように、信号S901,S902,S911,S912を出力する。具体的には、倍率決定器950は、直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、4つの信号のうちの少なくとも一つの信号に基づいて、振幅調整回路900の出力信号S901,S902,S911,S912の振幅が定数1に近くなるように、共通する一つの増幅または減衰倍率信号S951を生成する。倍率調整器910,920,930,940は、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、増幅または減衰倍率信号S951により増幅または減衰し、信号S901,S902,S911,S912を出力する。ここで、直交検波信号S101,S102,S111,S112は、共通する一つの増幅または減衰倍率信号S951により増幅または減衰するから、信号間の振幅比は変わることがない。また、振幅調整回路900の出力信号S901,S902,S911,S912の振幅は、定数1に近くなる。
【0014】
検波信号演算回路800は、振幅調整回路900により振幅調整された信号S901,S902,S911,S912をそれぞれ入力し、所定の演算を行い、復調信号S191を得るための被除数信号S171及び除数信号S181を出力する。除算器190は、被除数信号S171及び除数信号S181により除算を行い、SSB信号の復調信号S191を出力する。ここで、所定の演算とは、少なくとも乗算器による演算を含み、減算器による演算を含む場合もあるし、加算器による演算を含む場合もある。
【0015】
このようなSSB信号受信装置1において、従来のリミッタ回路90,95では振幅が1になるように調整していたが、振幅調整回路900も、振幅が1に近くなるように調整する。これにより、検波信号演算回路800に備えた乗算器による乗算後の信号の振幅が、当該乗算器の演算許容範囲を超えることはない。
【0016】
このように、本発明は、その出力信号S901,S902,S911,S912の振幅比を変えることなく、振幅が1に近くなるように、入力信号である直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を調整する振幅調整回路900を備えたことを特徴とする。
【0017】
すなわち、本発明によるSSB信号受信装置は、搬送波が付加されたSSB信号を直交検波により復調するSSB信号受信装置において、前記搬送波が付加されたSSB信号から搬送波成分及びSSB信号成分が分離され、再合成された信号を入力し、該信号を直交検波する直交検波手段と、前記直交検波された複数の直交検波信号を入力し、直交検波信号の振幅を調整する振幅調整手段と、前記振幅が調整された直交検波信号を入力し、少なくとも乗算器及び除算器によりSSB信号の復調信号を生成する検波信号演算手段とを備え、前記振幅調整手段は、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号のうちの少なくとも一つの直交検波信号に基づいて、共通する倍率信号を決定し、該倍率信号を用いて直交検波信号間の振幅比を維持したまま振幅を調整することを特徴とする。
【0018】
本発明によるSSB信号受信装置は、前記振幅調整手段が、共通する倍率信号を決定する倍率決定手段、及び前記共通する倍率信号を用いて複数の直交検波信号の振幅をそれぞれ調整する倍率調整手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるSSB信号受信装置は、前記振幅調整手段が、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号における絶対値の平均値を算出し、前記複数の直交検波信号を平均値で除算することにより、振幅を調整することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるSSB信号受信装置は、前記振幅調整手段が、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号を、前記複数の直交検波信号のうちのいずれか一つの直交検波信号でそれぞれ除算することにより、振幅を調整することを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるSSB信号受信装置は、前記振幅調整手段が、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、4つの直交検波信号のうちの3つの直交検波信号を、前記3つの直交検波信号を除いた1つの直交検波信号でそれぞれ除算することにより、前記3つの直交検波信号の振幅を調整し、前記検波信号演算手段が、振幅が調整された3つの直交検波信号を入力し、少なくとも乗算器及び除算器によりSSB信号の復調信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、簡単な演算で行うようにした。これにより、従来よりも回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。実施例1〜実施例5は、いずれも従来のリミッタ回路90,95に代えて、簡単な四則演算により振幅を調整する振幅調整回路900−1〜900−5を備えている。実施例1は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を、直交検波信号S101,S102,S111,S112について絶対値の平均値の信号とし、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例を示す。また、実施例2は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を同相成分の直交検波信号S101とし、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例を示す。また、実施例3は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を同相成分の直交検波信号S101とし、倍率調整器920,930,940が除算により振幅を調整し、倍率調整器910を用いない例を示す。また、実施例4は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を直交成分の直交検波信号S112とし、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例を示す。また、実施例5は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を直交成分の直交検波信号S112とし、倍率調整器910,920,930が除算により振幅を調整し、倍率調整器940を用いない例を示す。
【0024】
尚、後述する検波信号演算回路800−1〜800−5の乗算器130,140,150は、入力信号S901,S902,S911,S912の振幅が定数1に近い場合に、許容範囲内の乗算処理を行うことができるものとする(これは、図1に示した従来の検波信号演算回路800の乗算器における許容条件と同様にしたものである。)。この場合、SSB信号の復調信号を正確に生成することができる。また、実施例1〜実施例5において、搬送波/信号再合成回路80に備えた移相器50には、増幅度G=1及び移相量φ=−3π/2(3π/2の遅相)が設定されているものとする。以下、実施例1〜実施例5について詳細に説明する。数式の番号は、図中に示す信号Sと同一の番号で示してある。
【0025】
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。実施例1は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を、直交検波信号S101,S102,S111,S112について絶対値の平均値の信号とし、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例である。図3は、本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例1)の構成を示す図である。
【0026】
〔実施例1/構成〕
まず、SSB信号受信装置1−1の構成について説明する。このSSB信号受信装置1−1は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900−1、検波信号演算回路800−1及び除算器190を備えている。また、搬送波/信号再合成回路80は、移相器50及び合成器60,70を備え、直交検波回路100は、移相器101、乗算器102,103及びLPF(低域通過フィルタ)104,105を備え、直交検波回路110は、移相器111、乗算器112,113及びLPF114,115を備えている。また、振幅調整回路900−1は、倍率決定器950−1及び倍率調整器910−1,920−1,930−1,940−1を備え、検波信号演算回路800−1は、乗算器130,140,150及び減算器170,180を備えている。
【0027】
図1に示した従来のSSB信号受信装置2と図3に示す実施例1のSSB信号受信装置1−1とを比較すると、両装置は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800(800−1)及び除算器190を備えている点で共通するが、SSB信号受信装置1−1は、SSB信号受信装置2に備えたリミッタ回路90,95の代わりに振幅調整回路900−1を備えている点で相違する。
【0028】
SSB信号受信装置1−1が、搬送波が付加されたSSB信号を受信すると、周波数変換回路20は、その搬送波が付加されたSSB信号について、一定の中間周波数の信号に変換する。搬送波/信号分離回路30は、周波数変換回路20により周波数変換された中間周波数の信号を入力し、その信号から搬送波成分S31及びSSB信号成分S32を分離する。増幅器40は、搬送波/信号分離回路30により分離された搬送波成分S31の振幅を増幅する。
【0029】
増幅器40の出力信号である搬送波成分S41は、搬送波/信号再合成回路80の移相器50、合成器60、直交検波回路100の移相器101及び乗算器103、並びに直交検波回路110の移相器111及び乗算器113へそれぞれ供給される。また、搬送波/信号分離回路30の出力信号であるSSB信号成分S32は、搬送波/信号再合成回路80の合成器60,70へ供給される。
【0030】
搬送波/信号再合成回路80は、増幅器40から搬送波成分S41を入力し、搬送波/信号分離回路30からSSB信号成分S32を入力し、搬送波成分S41とSSB信号成分S32とを合成し、合成信号S61を出力すると共に、搬送波成分S41を−3π/2移相させた搬送波成分S51とSSB信号成分S32とを合成し、合成信号S71を出力する。具体的には、合成器60は、搬送波成分S41とSSB信号成分S32とを合成し、合成信号S61を出力する。移相器50は、搬送波成分S41を−3π/2分移相させて、搬送波成分S51を出力し、合成器70は、移相器50からの搬送波成分S51とSSB信号成分S32とを合成し、合成信号S71を出力する。
【0031】
搬送波/信号再合成回路80の出力信号である合成信号S61は、直交検波回路100の乗算器102,103へそれぞれ供給され、合成信号S71は、直交検波回路110の乗算器112,113へそれぞれ供給される。
【0032】
直交検波回路100は、搬送波/信号再合成回路80から合成信号S61を入力し、増幅器40から搬送波成分S41を入力し、合成信号S61を直交検波して、同相成分の直交検波信号S101及び直交成分の直交検波信号S102を出力する。具体的には、乗算器102は、移相器101により搬送波成分S41を−π/2移相させた信号と合成信号S61とを乗算し、LPF104は、乗算器102により乗算された信号にフィルタ処理を施して高域周波数成分を除去し、直交成分の直交検波信号S102を出力する。また、乗算器103は、搬送波成分S41と合成信号S61とを乗算し、LPF105は、乗算器103により乗算された信号にフィルタ処理を施して高域周波数成分を除去し、同相成分の直交検波信号S101を出力する。
【0033】
直交検波回路100の出力信号である同相成分の直交検波信号S101は、振幅調整回路900−1の倍率決定器950−1及び倍率調整器910−1へそれぞれ供給され、直交成分の直交検波信号S102は、倍率決定器950−1及び倍率調整器920−1へそれぞれ供給される。
【0034】
直交検波回路110は、搬送波/信号再合成回路80から合成信号S71を入力し、増幅器40から搬送波成分S41を入力し、合成信号S71を直交検波して、同相成分の直交検波信号S111及び直交成分の直交検波信号S112を出力する。具体的には、乗算器112は、移相器111により搬送波成分S41を−π/2移相させた信号と合成信号S71とを乗算し、LPF114は、乗算器112により乗算された信号にフィルタ処理を施して高域周波数成分を除去し、直交成分の直交検波信号S112を出力する。また、乗算器113は、搬送波成分S41と合成信号S71とを乗算し、LPF115は、乗算器113により乗算された信号にフィルタ処理を施して高域周波数成分を除去し、同相成分の直交検波信号S111を出力する。
【0035】
直交検波回路110の出力信号である同相成分の直交検波信号S111は、振幅調整回路900−1の倍率決定器950−1及び倍率調整器930−1へそれぞれ供給され、直交成分の直交検波信号S112は、振幅調整回路900−1の倍率決定器950−1及び倍率調整器940−1へそれぞれ供給される。
【0036】
振幅調整回路900−1は、直交検波回路100,110から直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号間の振幅比が変わらないように、かつ、振幅が定数1に近くなるように調整し、信号S901,S902,S911,S912を生成して出力する。
【0037】
具体的には、倍率決定器950−1は、直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101及び直交成分の直交検波信号S102、並びに、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111及び直交成分の直交検波信号S112を入力し、これらの信号の絶対値の平均を算出し、増幅または減衰倍率信号S951として出力する。
【0038】
倍率調整器910−1は、直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101、及び倍率決定器950−1から増幅または減衰倍率信号S951を入力し、同相成分の直交検波信号S101を増幅または減衰倍率信号S951で除算し、信号S901を出力する。また、倍率調整器920−1は、直交検波回路100から直交成分の直交検波信号S102、及び倍率決定器950−1から増幅または減衰倍率信号S951を入力し、直交成分の直交検波信号S102を増幅または減衰倍率信号S951で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器930−1は、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111、及び倍率決定器950−1から増幅または減衰倍率信号S951を入力し、同相成分の直交検波信号S111を増幅または減衰倍率信号S951で除算し、信号S911を出力する。また、倍率調整器940−1は、直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112、及び倍率決定器950−1から増幅または減衰倍率信号S951を入力し、直交成分の直交検波信号S112を増幅または減衰倍率信号S951で除算し、信号S912を出力する。
【0039】
振幅調整回路900−1の出力信号S901は、検波信号演算回路800−1の乗算器130−1,150−1へ供給され、信号S902は乗算器140−1へ供給され、信号S911は乗算器140−1,150−1へ供給され、信号S912は乗算器130−1へ供給される。
【0040】
検波信号演算回路800−1は、振幅調整回路900−1から信号S901,S902,S911,S912を入力し、所定の演算を行い、復調信号S191を得るための被除数信号S171及び除数信号S181を出力する。具体的には、乗算器130−1は、S901と信号S912とを乗算し、信号S131を出力する。乗算器140−1は、信号S902と信号S911とを乗算し、信号S141を出力する。乗算器150−1は、信号S901と信号S911とを乗算し、信号S151を出力する。また、減算器170−1は、乗算器150−1により出力された信号S151から乗算器140−1により出力された信号S141を減算し、被除数信号S171を出力する。減算器180−1は、乗算器140−1により出力された信号S141から乗算器130−1により出力された信号S131を減算し、除数信号S181を出力する。
【0041】
検波信号演算回路800−1の出力信号である被除数信号S171及び除数信号S181は、除算器190へ供給される。
【0042】
除算器190は、検波信号演算回路800−1から被除数信号S171及び除数信号S181を入力し、除算を行い、SSB信号の復調信号S191を出力する。
【0043】
〔実施例1/信号〕
次に、図3に示したSSB信号受信装置1−1における信号について説明する。増幅器40により出力される搬送波成分S41は、最大振幅を1とした場合の時間tに対する波形をcos(ωt)とし、最大振幅をAとすると、以下の式で表される。
A×cos(ωt) (41)
また、搬送波/信号分離回路30により出力されるSSB信号成分S32は、最大振幅を1とした場合の時間tに対する波形をf(t)とし、最大振幅をBとすると、以下の式で表される。
B×f(t) (32)
ここで、搬送波が付加されたSSB信号を送信する送信装置において、変調前のベースバンド信号をg(t)とし、これにヒルベルト変換を施した信号をh(t)とすると、搬送波を分離除去したSSB信号、すなわちf(t)は、以下の式で表される。
f(t)=g(t)×cos(ωt)+h(t)×sin(ωt)
したがって、搬送波/信号再合成回路80の合成器60により出力される合成信号S61及び合成器70により出力される合成信号S71は、移相器50の増幅度をGとし、移相量をφとすると、以下の式で表される。
Acos(ωt)+B{g(t)cos(ωt)+h(t)sin(ωt)} (61)
AGcos(ωt+φ)+B{g(t)cos(ωt)+h(t)sin(ωt)} (71)
【0044】
直交検波回路100により出力される同相成分の直交検波信号S101及び直交成分の直交検波信号S102、並びに、直交検波回路110により出力される同相成分の直交検波信号S111及び直交成分の直交検波信号S112は、以下の式で表される。
【0045】
同相成分の直交検波信号S101は、(101)=(61)×(41)であるから、
【数1】

また、直交検波回路100のLPF105により高次周波数信号(2ωtを含む項)が除去されるから、以下の式で表される。
【数2】

【0046】
直交成分の直交検波信号S102は、(102)=(61)×(41)であるから(但し、(41)は90°遅れの信号である。)、
【数3】

また、直交検波回路100のLPF104により高次周波数信号(2ωtを含む項)が除去されるから、以下の式で表される。
=ABh(t)/2 (102)
【0047】
同相成分の直交検波信号S111は、(111)=(71)×(41)であるから、
【数4】

また、直交検波回路110のLPF115により高次周波数信号(2ωtを含む項)が除去されるから、以下の式で表される。
【数5】

【0048】
直交成分の直交検波信号S112は、(112)=(71)×(41)であるから(但し、(41)は90°遅れの信号である。)、
【数6】

また、直交検波回路110のLPF114により高次周波数信号(2ωtを含む項)が除去されるから、以下の式で表される。
【数7】

【0049】
ここで、振幅調整回路900−1の倍率決定器950−1により決定される増幅または減衰倍率信号S951は、直交検波信号S101,S102,S111,S112の絶対値の平均値であり、これをaとすると、振幅調整回路900−1の出力信号S901は、(901-1)=(101)÷aであるから、以下の式で表される。
【数8】

【0050】
また、振幅調整回路900−1の出力信号S902は、(902-1)=(102)÷aであるから、以下の式で表される。
【数9】

【0051】
また、振幅調整回路900−1の出力信号S911は、(911-1)=(111)÷aであるから、以下の式で表される。
【数10】

【0052】
また、振幅調整回路900−1の出力信号S912は、(912-1)=(112)÷aであるから、以下の式で表される。
【数11】

【0053】
したがって、除算器190の被除数信号S171は、(171-1)=(901-1)×(911-1)-(902-1)×(911-1)={(901-1)-(902-1)}×(911-1)であるから、以下の式で表される。
【数12】

【0054】
また、除算器190の除数信号S181は、(181-1)=(902-1)×(911-1)-(901-1)×(912-1)であるから、以下の式で表される。
【数13】

【0055】
実施例1では、移相器50が増幅度G=1、移相量φ=−3π/2に設定されているから、これらを式(171−1)及び式(181−1)に代入すると、それぞれ以下の式で表される。
【数14】

【0056】
したがって、除算器190により出力される復調信号S191は、(191-1)=(171-1’)÷(181-1’)であるから、以下の式で表される。
【数15】

【0057】
この式により、復調信号S191から変調前のベースバンド信号g(t)の成分が得られることがわかる。
【0058】
このように、実施例1のSSB信号受信装置1−1によれば、振幅調整回路900−1が、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、共通する増幅または減衰倍率信号S951(a)でそれぞれ除算し、信号S901(式(901−1)),S902(式(902−1)),S911(式(911−1)),S912(式(912−1))を出力し、検波信号演算回路800−1が、これらの信号S901,S902,S911,S912を入力して乗算処理を行うようにした。これにより、直交検波信号S101,S102,S111,S112は、共通する増幅または減衰倍率信号S951で除算されるから、これにより得られる信号S901,S902,S911,S912の間の振幅比は変わることがなく、正確な復調信号S191を得ることができる。
【0059】
また、共通する増幅または減衰倍率信号S951は、直交検波信号S101,S102,S111,S112における絶対値の平均値であり、直交検波信号S101,S102,S111,S112にそれぞれ近い値になる。これにより、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、当該信号にそれぞれ近い値である増幅または減衰倍率信号S951で除算して得た信号S901,S902,S911,S912は、それぞれの振幅が定数1に近くなり、検波信号演算回路800−1の乗算器130−1,140−1,150−1による乗算後の信号の振幅は、当該乗算器130−1,140−1,150−1の演算許容範囲を超えることがない。
【0060】
したがって、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、振幅調整回路900−1において簡単な四則演算のみで行うことができ、従来技術のような複雑な極座標変換を行う必要がない。つまり、SSB信号受信装置1−1全体として回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【0061】
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例2は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を同相成分の直交検波信号S101とし、倍率決定器950を用いることなく、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例である。図4は、本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例2)の構成を示す図である。
【0062】
〔実施例2/構成〕
まず、SSB信号受信装置1−2の構成について説明する。このSSB信号受信装置1−2は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900−2、検波信号演算回路800−2及び除算器190を備えている。また、振幅調整回路900−2は、倍率調整器910−2,920−2,930−2,940−2を備えている。
【0063】
図3に示した実施例1のSSB信号受信装置1−1と図4に示す実施例2のSSB信号受信装置1−2とを比較すると、両装置は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800(800−1,800−2)及び除算器190が同じ構成である点で共通するが、SSB信号受信装置1−2は、SSB信号受信装置1−1の振幅調整回路900−1とは異なる構成の振幅調整回路900−2を備えている点で相違する。以下、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800−2及び除算器190については、図3に示した実施例1のそれぞれと同一であるので、その詳しい説明は省略する。
【0064】
図4において、振幅調整回路900−2は、直交検波回路100,110から直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号間の振幅比が変わらないように、かつ、振幅が定数1に近くなるように調整し、信号S901,S902,S911,S912を生成して出力する。
【0065】
具体的には、倍率調整器910−2は、直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、同相成分の直交検波信号S101を同じ信号S101で除算し、信号S901を出力する。また、倍率調整器920−2は、直交検波回路100から直交成分の直交検波信号S102を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、直交成分の直交検波信号S102を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器930−2は、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、同相成分の直交検波信号S111を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S911を出力する。また、倍率調整器940−2は、直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、直交成分の直交検波信号S112を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S912を出力する。
【0066】
振幅調整回路900−2の出力信号S901は、検波信号演算回路800−2の乗算器130−2,150−2へ供給され、信号S902は乗算器140−2へ供給され、信号S911は乗算器140−2,150−2へ供給され、信号S912は乗算器130−2へ供給される。
【0067】
〔実施例2/信号〕
次に、図4に示したSSB信号受信装置1−2における信号について説明する。実施例1において説明した式(41)〜式(112)までは、実施例2においても同様である。これらの式の信号は、生成ルートが同様だからである。
【0068】
実施例2において、共通する増幅または減衰倍率信号S951に相当する信号は直交検波信号S101であり、これをaとすると、振幅調整回路900−2の出力信号S901は、(901-2)=(101)÷aであるから、以下の式で表される。
【数16】

【0069】
また、振幅調整回路900−2の出力信号S902は、(902-2)=(102)÷aであるから、以下の式で表される。
【数17】

【0070】
また、振幅調整回路900−2の出力信号S911は、(911-2)=(111)÷aであるから、以下の式で表される。
【数18】

【0071】
また、振幅調整回路900−2の出力信号S912は、(912-2)=(112)÷aであるから、以下の式で表される。
【数19】

【0072】
ここで、振幅調整回路900−2の出力信号S901,S902,S911,S912を示す式(901−2)、式(902−2)、式(911−2)、式(912−2)と、実施例1における振幅調整回路900−1の出力信号S901,S902,S911,S912を示す式(901−1)、式(902−1)、式(911−1)、式(912−1)とを比較すると、違いは分母のa,aのみであるから、両者は同形であることがわかる。したがって、除算器190により出力される復調信号S191には、式(191−1)に示したように、変調前のベースバンド信号g(t)の成分が得られることがわかる。
【0073】
このように、実施例2のSSB信号受信装置1−2によれば、振幅調整回路900−2が、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、共通する直交検波信号S101(a)でそれぞれ除算し、信号S901(式(901−2)),S902(式(902−2)),S911(式(911−2)),S912(式(912−2))を出力し、検波信号演算回路800−2が、これらの信号S901,S902,S911,S912を入力して乗算処理を行うようにした。これにより、直交検波信号S101,S102,S111,S112は、共通する直交検波信号S101で除算されるから、これにより得られる信号S901,S902,S911,S912の間の振幅比は変わることがなく、正確な復調信号S191を得ることができる。
【0074】
また、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、当該信号にそれぞれ同一の値または近い値である直交検波信号S101で除算して得た信号S901,S902,S911,S912は、それぞれの振幅が定数1またはそれに近くなり、検波信号演算回路800−2の乗算器130−2,140−2,150−2による乗算後の信号の振幅は、当該乗算器130−2,140−2,150−2の演算許容範囲を超えることがない。
【0075】
したがって、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、振幅調整回路900−2において簡単な四則演算のみで行うことができ、従来技術のような複雑な極座標変換処理を行う必要がない。つまり、SSB信号受信装置1−2全体として回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【0076】
また、実施例1に比べて倍率決定器950が不要になるから、回路規模をさらに小さくし、かつ演算量をさらに少なくすることが可能となる。
【0077】
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。実施例3は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を同相成分の直交検波信号S101とし、倍率決定器950を用いることなく、倍率調整器920,930,940が除算により振幅を調整する例である。この場合、乗算器130,150を用いない。倍率決定器950を用いないのは、共通する増幅または減衰倍率信号S951を同相成分の直交検波信号S101としたからである。また、倍率調整器910を用いないのは、直交検波信号S101を直交検波信号S101で除算すると1だからである。また、乗算器130,150を用いないのは、乗算器130,150の入力信号の一つが倍率調整器910の出力信号(定数1)だからである。図5は、本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例3)の構成を示す図である。
【0078】
〔実施例3/構成〕
まず、SSB信号受信装置1−3の構成について説明する。このSSB信号受信装置1−3は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900−3、検波信号演算回路800−3及び除算器190を備えている。また、振幅調整回路900−3は、倍率調整器920−3,930−3,940−3を備え、検波信号演算回路800−3は、乗算器140−3及び減算器170−3,180−3を備えている。
【0079】
図4に示した実施例2のSSB信号受信装置1−2と図5に示す実施例3のSSB信号受信装置1−3とを比較すると、両装置は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110及び除算器190が同じ構成である点で共通するが、SSB信号受信装置1−3は、SSB信号受信装置1−2の振幅調整回路900−2及び検波信号演算回路800−2とは異なる構成の振幅調整回路900−3及び検波信号演算回路800−3を備えている点で相違する。以下、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110及び除算器190については、図4に示した実施例2のそれぞれと同一であるので、その詳しい説明は省略する。
【0080】
図5において、振幅調整回路900−3は、直交検波回路100,110から直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号間の振幅比が変わらないように、かつ、振幅が定数1に近くなるように調整し、信号S901,S902,S911,S912を生成して出力する。
【0081】
具体的には、倍率調整器920−3は、直交検波回路100から直交成分の直交検波信号S102を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、直交成分の直交検波信号S102を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器930−3は、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、同相成分の直交検波信号S111を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S911を出力する。また、倍率調整器940−3は、直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、直交成分の直交検波信号S112を同相成分の直交検波信号S101で除算し、信号S912を出力する。
【0082】
振幅調整回路900−3の出力信号である信号S902は検波信号演算回路800−3の乗算器140−3へ供給され、信号S911は乗算器140−3及び減算器170−3へ供給され、信号S912は減算器180−3へ供給される。
【0083】
検波信号演算回路800−3は、振幅調整回路900−3から信号S902,S911,S912を入力し、所定の演算を行い、復調信号S191を得るための被除数信号S171及び除数信号S181を出力する。具体的には、乗算器140−3は、信号S902と信号S911とを乗算し、信号S141を出力する。また、減算器170−3は、信号S911から乗算器140−3により出力された信号S141を減算し、被除数信号S171を出力する。減算器180−3は、乗算器140−3により出力された信号S141から信号S912を減算し、除数信号S181を出力する。
【0084】
〔実施例3/信号〕
次に、図5に示したSSB信号受信装置1−3における信号について説明する。実施例1において説明した式(41)〜式(112)までは、実施例3においても同様である。これらの式の信号は、生成ルートが同様だからである。
【0085】
実施例3において、共通する増幅または減衰倍率信号S951に相当する信号は直交検波信号S101であり、これをaとすると、振幅調整回路900−3の出力信号S902は、(902-3)=(102)÷aであるから、以下の式で表される。
【数20】

【0086】
また、振幅調整回路900−3の出力信号S911は、(911-3)=(111)÷aであるから、以下の式で表される。
【数21】

【0087】
また、振幅調整回路900−3の出力信号S912は、(912-3)=(112)÷aであるから、以下の式で表される。
【数22】

【0088】
したがって、除算器190の被除数信号S171は、(171-3)=(911-3)-(902-3)×(911-3)={1-(902-3)}×(911-3)であるから、以下の式で表される。
【数23】

【0089】
また、除算器190の除数信号S181は、(181-3)=(902-3)×(911-3)-(912-3)であるから、以下の式で表される。
【数24】

【0090】
実施例3では、移相器50が増幅度G=1、移相量φ=−3π/2に設定されているから、これらを式(171−3)及び式(181−3)に代入すると、それぞれ以下の式で表される。
【数25】

【0091】
したがって、除算器190により出力される復調信号S191は、(191-3)=(171-3’)÷(181-3’)であるから、以下の式で表される。
【数26】

【0092】
ここで、a=ABg(t)/2+A/2を代入すると、以下の式で表される。
【数27】

【0093】
したがって、除算器190により出力される復調信号S191には、変調前のベースバンド信号g(t)の成分が得られることがわかる。
【0094】
このように、実施例3のSSB信号受信装置1−3によれば、振幅調整回路900−3が、直交検波信号S102,S111,S112を、共通する直交検波信号S101(a)でそれぞれ除算し、信号S902(式(902−3)),S911(式(911−3)),S912(式(912−3))を出力し、検波信号演算回路800−3が、これらの信号S902,S911,S912を入力して乗算処理を行うようにした。これにより、直交検波信号S102,S111,S112は、共通する直交検波信号S101で除算されるから、これにより得られる信号S902,S911,S912の間の振幅比は変わることがなく、正確な復調信号S191を得ることができる。
【0095】
また、直交検波信号S102,S111,S112を、当該信号にそれぞれ近い値である直交検波信号S101で除算して得た信号である信号S902,S911,S912は、それぞれの振幅が定数1に近くなり、検波信号演算回路800−3の乗算器140−3による乗算後の信号の振幅は、当該乗算器140−3の演算許容範囲を超えることがない。
【0096】
したがって、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、振幅調整回路900−3において簡単な四則演算のみで行うことができ、従来技術のような複雑な極座標変換処理を行う必要がない。つまり、SSB信号受信装置1−3全体として回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【0097】
また、実施例1に比べて倍率決定器950が不要になり、実施例2に比べて倍率決定器950、倍率調整器910及び乗算器130,150が不要になるから、回路規模をさらに小さくし、かつ演算量をさらに少なくすることが可能となる。
【0098】
〔実施例4〕
次に、実施例4について説明する。実施例4は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を直交成分の直交検波信号S112とし、倍率決定器950を用いることなく、倍率調整器910,920,930,940が除算により振幅を調整する例である。図6は、本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例4)の構成を示す図である。
【0099】
〔実施例4/構成〕
まず、SSB信号受信装置1−4の構成について説明する。このSSB信号受信装置1−4は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900−4、検波信号演算回路800−4及び除算器190を備えている。また、振幅調整回路900−4は、倍率調整器910−4,920−4,930−4,940−4を備えている。
【0100】
図4に示した実施例2のSSB信号受信装置1−2と図6に示す実施例4のSSB信号受信装置1−4とを比較すると、両装置は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800(800−2,800−4)及び除算器190が同じ構成である点で共通するが、SSB信号受信装置1−4は、SSB信号受信装置1−2の振幅調整回路900−2とは異なる構成の振幅調整回路900−4を備えている点で相違する。以下、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、検波信号演算回路800−4及び除算器190については、図4に示した実施例2のそれぞれと同一であるので、その詳しい説明は省略する。
【0101】
図6において、振幅調整回路900−4は、直交検波回路100,110から直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号間の振幅比が変わらないように、かつ、振幅が定数1に近くなるように調整し、信号S901,S902,S911,S912を生成して出力する。
【0102】
具体的には、倍率調整器910−4は、直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、同相成分の直交検波信号S101を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S901を出力する。また、倍率調整器920−4は、直交検波回路100から直交成分の直交検波信号S102を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、直交成分の直交検波信号S102を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器930−4は、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、同相成分の直交検波信号S111を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S911を出力する。また、倍率調整器940−4は、直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、直交成分の直交検波信号S112を同じ信号で除算し、信号S912を出力する。
【0103】
振幅調整回路900−4の出力信号S901は、検波信号演算回路800−4の乗算器130−4,150−4へ供給され、信号S902は乗算器140−4へ供給され、信号S911は乗算器140−4,150−4へ供給され、信号S912は乗算器130−4へ供給される。
【0104】
〔実施例4/信号〕
次に、図6に示したSSB信号受信装置1−4における信号について説明する。実施例1において説明した式(41)〜式(112)までは、実施例4においても同様である。これらの式の信号は、生成ルートが同様だからである。
【0105】
実施例4において、共通する増幅または減衰倍率信号S951に相当する信号は直交検波信号S112であり、これをaとすると、振幅調整回路900−4の出力信号S901は、(901-4)=(101)÷aであるから、以下の式で表される。
【数28】

【0106】
また、振幅調整回路900−4の出力信号S902は、(902-4)=(102)÷aであるから、以下の式で表される。
【数29】

【0107】
また、振幅調整回路900−4の出力信号S911は、(911-4)=(111)÷aであるから、以下の式で表される。
【数30】

【0108】
また、振幅調整回路900−4の出力信号S912は、(912-4)=(112)÷aであるから、以下の式で表される。
【数31】

【0109】
ここで、振幅調整回路900−4の出力信号S901,S902,S911,S912を示す式(901−4)、式(902−4)、式(911−4)、式(912−4)と、実施例1における振幅調整回路900−1の出力信号S901,S902,S911,S912を示す式(901−1)、式(902−1)、式(911−1)、式(912−1)とを比較すると、違いは分母のa,aのみであるから、両者は同形であることがわかる。したがって、除算器190により出力される復調信号S191には、式(191−1)に示したように、変調前のベースバンド信号g(t)の成分が得られることがわかる。
【0110】
このように、実施例4のSSB信号受信装置1−4によれば、振幅調整回路900−4が、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、共通する直交検波信号S112(a)でそれぞれ除算し、信号S901(式(901−4)),S902(式(902−4)),S911(式(911−4)),S912(式(912−4))を出力し、検波信号演算回路800−4が、これらの信号S901,S902,S911,S912を入力して乗算処理を行うようにした。これにより、直交検波信号S101,S102,S111,S112は、共通する直交検波信号S112で除算されるから、これにより得られる信号S901,S902,S911,S912の間の振幅比は変わることがなく、正確な復調信号S191を得ることができる。
【0111】
また、直交検波信号S101,S102,S111,S112を、当該信号にそれぞれ近い値または同一の値である直交検波信号S112で除算して得た信号S901,S902,S911,S912は、それぞれの振幅が定数1に近くなるか定数1になり、検波信号演算回路800−4の乗算器130−4,140−4,150−4による乗算後の信号の振幅は、当該乗算器130−4,140−4,150−4の演算許容範囲を超えることがない。
【0112】
したがって、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、振幅調整回路900−4において簡単な四則演算のみで行うことができ、従来技術のような複雑な極座標変換処理を行う必要がない。つまり、SSB信号受信装置1−4全体として回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【0113】
また、実施例1に比べて倍率決定器950が不要になるから、回路規模をさらに小さくし、かつ演算量をさらに少なくすることが可能となる。
【0114】
〔実施例5〕
次に、実施例5について説明する。実施例5は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を直交成分の直交検波信号S112とし、倍率決定器950を用いることなく、倍率調整器910,920,930が除算により振幅を調整する例である。この場合、乗算器130を用いない。倍率決定器950を用いないのは、共通する増幅または減衰倍率信号S951を直交成分の直交検波信号S112としたからである。また、倍率調整器940を用いないのは、直交検波信号S112を直交検波信号S112で除算すると1だからである。また、乗算器130を用いないのは、乗算器130の入力信号の一つが倍率調整器940の出力信号(定数1)だからである。図7は、本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例5)の構成を示す図である。
【0115】
〔実施例5/構成〕
まず、SSB信号受信装置1−5の構成について説明する。このSSB信号受信装置1−5は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110、振幅調整回路900−5、検波信号演算回路800−5及び除算器190を備えている。また、振幅調整回路900−5は、倍率調整器910−5,920−5,930−5を備え、検波信号演算回路800−5は、乗算器140−5,150−5及び減算器170−5,180−5を備えている。
【0116】
図5に示した実施例3のSSB信号受信装置1−3と図7に示す実施例5のSSB信号受信装置1−5とを比較すると、両装置は、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110及び除算器190が同じ構成である点で共通するが、SSB信号受信装置1−5は、SSB信号受信装置1−3の振幅調整回路900−3及び検波信号演算回路800−3とは異なる構成の振幅調整回路900−5及び検波信号演算回路800−5を備えている点で相違する。以下、周波数変換回路20、搬送波/信号分離回路30、増幅器40、搬送波/信号再合成回路80、直交検波回路100,110及び除算器190については、図5に示した実施例3のそれぞれと同一であるので、その詳しい説明は省略する。
【0117】
図7において、振幅調整回路900−5は、直交検波回路100,110から直交検波信号S101,S102,S111,S112を入力し、直交検波信号S101,S102,S111,S112の振幅を、信号間の振幅比が変わらないように、かつ、振幅が定数1に近くなるように調整し、信号S901,S902,S911を生成して出力する。
【0118】
具体的には、倍率調整器910−5は、直交検波回路100から同相成分の直交検波信号S101を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、同相成分の直交検波信号S101を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器920−5は、直交検波回路100から直交成分の直交検波信号S102を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、直交成分の直交検波信号S102を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S902を出力する。また、倍率調整器930−5は、直交検波回路110から同相成分の直交検波信号S111を入力し、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波回路110から直交成分の直交検波信号S112を入力し、同相成分の直交検波信号S111を直交成分の直交検波信号S112で除算し、信号S911を出力する。
【0119】
振幅調整回路900−5の出力信号S901は検波信号演算回路800−5の乗算器150−5及び減算器180−5へ供給され、信号S902は乗算器140−5へ供給され、信号S911は乗算器140−5,150−5へ供給される。
【0120】
検波信号演算回路800−5は、振幅調整回路900−5から信号S901,S902,S911を入力し、所定の演算を行い、復調信号S191を得るための被除数信号S171及び除数信号S181を出力する。具体的には、乗算器140−5は、信号S902と信号S911とを乗算し、信号S141を出力する。また、乗算器150−5は、信号S901と信号S911とを乗算し、信号S151を出力する。減算器170−5は、乗算器150−5により出力された信号S151から乗算器140−5により出力された信号S141を減算し、被除数信号S171を出力する。減算器180−5は、乗算器140−5により出力された信号S141から信号S901を減算し、除数信号S181を出力する。
【0121】
〔実施例5/信号〕
次に、図7に示したSSB信号受信装置1−5における信号について説明する。実施例1において説明した式(41)〜式(112)までは、実施例5においても同様である。これらの式の信号は、生成ルートが同様だからである。
【0122】
実施例5において、共通する増幅または減衰倍率信号S951に相当する信号は直交検波信号S112であり、これをaとすると、振幅調整回路900−5の出力信号S901は、(901-5)=(101)÷aであるから、以下の式で表される。
【数32】

【0123】
また、振幅調整回路900−5の出力信号S902は、(902-5)=(102)÷aであるから、以下の式で表される。
【数33】

【0124】
また、振幅調整回路900−5の出力信号S911は、(911-5)=(111)÷aであるから、以下の式で表される。
【数34】

【0125】
したがって、除算器190の被除数信号S171は、(171-5)=(901-5)×(911-5)-(902-5)×(911-5)であるから、以下の式で表される。
【数35】

【0126】
また、除算器190の除数信号S181は、(181-5)=(902-5)×(911-5)-(901-5)であるから、以下の式で表される。
【数36】

【0127】
実施例5では、移相器50が増幅度G=1、移相量φ=−3π/2に設定されているから、これらを式(171−5)及び式(181−5)に代入すると、それぞれ以下の式で表される。
【数37】

【0128】
したがって、除算器190により出力される復調信号S191は、(191-5)=(171-5’)÷(181-5’)であるから、以下の式で表される。
【数38】

【0129】
ここで、a=ABh(t)/2−A/2(∵Gsinφ=1)を代入すると、以下の式で表される。
【数39】

【0130】
したがって、除算器190により出力される復調信号S191には、変調前のベースバンド信号g(t)の成分が得られることがわかる。
【0131】
このように、実施例5のSSB信号受信装置1−5によれば、振幅調整回路900−5が、直交検波信号S101,S102,S111を、共通する直交検波信号S112(a)でそれぞれ除算し、信号S901(式(901−5))、S902(式(902−5)),S911(式(911−5))を出力し、検波信号演算回路800−5が、これらの信号S901,S902,S911を入力して乗算処理を行うようにした。これにより、直交検波信号S101,S102,S111は、共通する直交検波信号S112で除算されるから、これにより得られる信号S901,S902,S911の間の振幅比は変わることがなく、正確な復調信号S191を得ることができる。
【0132】
また、直交検波信号S101,S102,S111を、当該信号にそれぞれ近い値である直交検波信号S112で除算して得た信号S901,S902,S911は、それぞれの振幅が定数1に近くなり、検波信号演算回路800−5の乗算器140−5,150−5による乗算後の信号の振幅は、当該乗算器140−5,150−5の演算許容範囲を超えることがない。
【0133】
したがって、SSB信号の復調信号を得るための信号振幅を調整する処理を、振幅調整回路900−5において簡単な四則演算のみで行うことができ、従来技術のような複雑な極座標変換処理を行う必要がない。つまり、SSB信号受信装置1−5全体として回路規模を小さくし、かつ演算量を少なくすることが可能となる。
【0134】
また、実施例1に比べて倍率決定器950が不要になり、実施例4に比べて倍率決定器950、倍率調整器940及び乗算器130が不要になるから、回路規模をさらに小さくし、かつ演算量をさらに少なくすることが可能となる。
【0135】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施例1〜5に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、実施例1〜5において、振幅調整回路900−1〜900−5は、共通する増幅または減衰倍率信号S951を生成し、出力信号S901,S902,S911,S912の振幅が1に近くなるようにまたは1になるように調整するようにしたが、これに限定するものではない。要するに、振幅調整回路900−1〜900−5は、検波信号演算回路800−1〜800−5の乗算器130,140,150による乗算処理が演算許容範囲で行われるように、共通する増幅または減衰倍率信号S951を生成し、出力信号S901,S902,S911,S912の振幅を調整すればよい。
【0136】
また、実施例2及び3において、振幅調整回路900−2,900−3は、共通する増幅または減衰倍率信号S951として直交検波信号S101を用い、また、実施例4及び5において、振幅調整回路900−4,900−5は直交検波信号S112を用いたがこれに限定するものではなく、直交検波信号S101,S112の代わりに直交検波信号S102または直交検波信号S111を用いるようにしてもよい。
【0137】
また、実施例1〜5において、検波信号演算回路800−1〜800−5は、乗算器及び減算器を備えているがこれに限定するものではなく、場合によっては加算器を備えることもあり得る。
【0138】
また、実施例1〜5において、搬送波/信号再合成回路80の移相器50には、増幅度G=1及び移相量φ=−3π/2(3π/2の遅相)が設定されているが、これに限定するものではなく、種々の増幅度G及び移相量φに適用することができる。
【0139】
また、実施例1〜5では、SSB信号受信装置1−1〜1−5が、図3〜図7に示した回路により構成されているが、本発明は、必ずしもハードウェアで構成する必要はなく、その一部または全部をDSP(Digital Signal Processor)またはCPU(Central Processing Unit)及び記憶装置により構成し、記憶装置にその一部または全部の機能を実現するためのプログラムを格納するようにしてもよい。この場合、その機能は、記憶装置に記憶されたプログラムをDSPまたはCPUに実行させることにより実現される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】従来のSSB信号受信装置の構成を示す図である。
【図2】本発明のSSB信号受信装置を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例1)の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例2)の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例3)の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例4)の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態によるSSB信号受信装置(実施例5)の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0141】
1,2 SSB信号受信装置
20 周波数変換回路
30 搬送波/信号分離回路
40 増幅器
50 移相器
60,70 合成器
80 搬送波/信号再合成回路
90,95 リミッタ回路
100,110 直交検波回路
101,111 移相器
102,103,112,113 乗算器
104,105,114,115 LPF
130,140,150 乗算器
170,180 減算器
190 除算器
800 検波信号演算回路
900 振幅調整回路
910,920,930,940 倍率調整器
950 倍率決定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波が付加されたSSB信号を直交検波により復調するSSB信号受信装置において、
前記搬送波が付加されたSSB信号から搬送波成分及びSSB信号成分が分離され、再合成された信号を入力し、該信号を直交検波する直交検波手段と、
前記直交検波された複数の直交検波信号を入力し、直交検波信号の振幅を調整する振幅調整手段と、
前記振幅が調整された直交検波信号を入力し、少なくとも乗算器及び除算器によりSSB信号の復調信号を生成する検波信号演算手段とを備え、
前記振幅調整手段は、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号のうちの少なくとも一つの直交検波信号に基づいて、共通する倍率信号を決定し、該倍率信号を用いて直交検波信号間の振幅比を維持したまま振幅を調整することを特徴とするSSB信号受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のSSB信号受信装置において、
前記振幅調整手段は、共通する倍率信号を決定する倍率決定手段、及び前記共通する倍率信号を用いて複数の直交検波信号の振幅をそれぞれ調整する倍率調整手段を備えたことを特徴とするSSB信号受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載のSSB信号受信装置において、
前記振幅調整手段は、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号における絶対値の平均値を算出し、前記複数の直交検波信号を平均値で除算することにより、振幅を調整することを特徴とするSSB信号受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載のSSB信号受信装置において、
前記振幅調整手段は、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、複数の直交検波信号を、前記複数の直交検波信号のうちのいずれか一つの直交検波信号でそれぞれ除算することにより、振幅を調整することを特徴とするSSB信号受信装置。
【請求項5】
請求項1に記載のSSB信号受信装置において、
前記振幅調整手段は、検波信号演算手段の乗算器が演算許容範囲内で乗算できるように、4つの直交検波信号のうちの3つの直交検波信号を、前記3つの直交検波信号を除いた1つの直交検波信号でそれぞれ除算することにより、前記3つの直交検波信号の振幅を調整し、
前記検波信号演算手段は、振幅が調整された3つの直交検波信号を入力し、少なくとも乗算器及び除算器によりSSB信号の復調信号を生成することを特徴とするSSB信号受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−27597(P2009−27597A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190740(P2007−190740)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】