説明

Si−Si結合を有する高分子化合物及びその製造方法

【解決手段】分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、該水素原子を脱水素することで得られた、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物。
【効果】本発明によれば、フォトレジスト材料、プレセラミックス材料、あるいは導電性材料用の素材などとして有用なSi−Si結合を主鎖中に有する高分子化合物を工業的有利に効率よく製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含ケイ素高分子化合物及びその製造方法に関するものである。更に詳しく言えば、本発明は、フォトレジスト材料やプレセラミックス材料として、あるいは導電性材料用の素材などとして有用な、主鎖中にSi−Si結合を有する含ケイ素高分子化合物及びかかる高分子化合物を効率よく工業的有利に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主鎖中にSi−Si結合を有する含ケイ素高分子化合物は、フォトレジスト材料やプレセラミックス材料などとして注目されている。また、主鎖中にSi−Si結合と炭素π電子系(例えばC=C結合)から構成されている高分子化合物に、ヨウ素、五フッ化アンチモン、三塩化鉄などのルイス酸をドーピングさせたものは導電性材料として知られている(非特許文献1)。
【0003】
これまで、主鎖中にSi−Si結合を有する含ケイ素高分子化合物は、α,ω−ビス(ハロシリル)化合物のウルツ型カップリング反応による方法で得られることは知られている。しかしながら、この方法では、金属ナトリウムなどの危険なアルカリ金属類を用いて脱ハロゲン化を行う必要があり、その結果アルカリ金属ハライドが副生する。得られたポリマーは、原料に起因するハロゲンの含有量が多く、電子材料としての用途が限定され、また、分子量分布が多分散であることが多いため、工業的には有利な方法とは言えない(非特許文献2)。
【0004】
また、Si−Si結合を環構造に有する環状化合物を、アニオン性開始剤(アルキルリチウム、シリルカリウム、アンモニウムフルオリドなど)の存在下に開環重合させる方法も知られている(非特許文献3)。しかしながら、この方法では、原料が高価であり、また、高分子量のポリマーを得るためには、反応温度を−50℃以下という低温に保持する必要があり、工業的に有利な方法とは言えない。更に、Si−Si結合を環構造に有する環状化合物を、パラジウム触媒の存在下に反応させて含ケイ素高分子化合物を製造する方法(非特許文献4)が知られているが、副生物が多く、高価な貴金属を使用するため、工業的に利用することはできなかった。
【0005】
【非特許文献1】Synth. Met., 94, 299 (1998)
【非特許文献2】Organometallics, 6, 1673 (1987)
【非特許文献3】Organometallics, 8, 2741 (1989)
【非特許文献4】J. Organomet. Chem., 417, C50, (1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術が有する欠点を克服し、主鎖中にSi−Si結合を有する含ケイ素高分子化合物及び該含ケイ素高分子化合物を効率よく工業的有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、分子内に2つ以上の≡Si−H基を持つケイ素化合物を原料とし、鉄錯体を触媒として有機溶媒中で光照射及び/又は加熱を行うことで、≡Si−H基を脱水素させることができ、これによって≡Si−Si≡結合が形成されて、Si−Si結合を有する高分子化合物を得ることができ、従って、容易に利用できる≡Si−H基を持つケイ素化合物を原料とし、安価なFe触媒を使用することで、有用なジシラン結合を主鎖中に持つ高分子化合物を高収率で製造することができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、該水素原子を脱水素することで得られた、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物。
請求項2:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(2)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
H−R12Si−R−SiR12−H (1)
(R12Si−R−SiR12) (2)
(式中、Rは二価有機基、R1、R2は一価有機基を表す。)
請求項3:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(3)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(4)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物。
H−R34Si−Fc−SiR34−H (3)
(R34Si−Fc−SiR34) (4)
(式中、Fcは置換又は非置換のフェロセニル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
請求項4:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(5)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(6)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物。
H−R34Si−Df−SiR34−H (5)
(R34Si−Df−SiR34) (6)
(式中、Dfは置換又は非置換のジフェニルエーテル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
請求項5:
分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、鉄錯体触媒の存在下、有機溶媒中で光照射又は加熱することを特徴とする主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物の製造方法。
請求項6:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(2)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項5記載の高分子化合物の製造方法。
H−R12Si−R−SiR12−H (1)
(R12Si−R−SiR12) (2)
(式中、Rは二価有機基、R1、R2は一価有機基を表す。)
請求項7:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(3)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(4)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項6記載の高分子化合物の製造方法。
H−R34Si−Fc−SiR34−H (3)
(R34Si−Fc−SiR34) (4)
(式中、Fcは置換又は非置換のフェロセニル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
請求項8:
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(5)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(6)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項6記載の高分子化合物の製造方法。
H−R34Si−Df−SiR34−H (5)
(R34Si−Df−SiR34) (6)
(式中、Dfは置換又は非置換のジフェニルエーテル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
請求項9:
鉄錯体が、
(C55)Fe(CO)2CH3
(C55)Fe(CO)2Si(CH33
又は
[C5(CH35]Fe(CO)2CH3
である請求項5〜8のいずれか1項記載の製造方法。
請求項10:
有機溶媒が、含窒素有機化合物である請求項5〜9のいずれか1項記載の製造方法。
請求項11:
光照射として可視光線より短波長の電磁波を照射するか、50〜150℃の温度に加熱するか、又は該電磁波照射と加熱とを併用して、Si−H基を持つケイ素化合物を反応させる請求項5〜10のいずれか1項記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フォトレジスト材料、プレセラミックス材料、あるいは導電性材料用の素材などとして有用なSi−Si結合を主鎖中に有する高分子化合物を工業的有利に効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物は、分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、該Si−H基の水素原子を脱水素することによって得られたものである。
【0011】
この場合、上記原料ケイ素化合物としては、下記一般式(1)
H−R12Si−R−SiR12−H (1)
で表されるものが挙げられ、これから得られる高分子化合物は、下記一般式(2)
(R12Si−R−SiR12) (2)
で表される繰り返し単位を有するものが挙げられる。
【0012】
ここで、Rは二価有機基、R1、R2は一価有機基を表す。
この場合、Rはフェニレン基、チエニレン基、イミノ基、フェロセニル基、ジフェニルエーテル基などが挙げられる。
【0013】
また、R1、R2は互いに独立に、ハロゲン原子により置換されてもよい、あるいは非置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられ、これらは炭素数1〜12、特に1〜8の範囲のものが好ましい。また、シロキシ基やフェロセニル基でもよい。
【0014】
これらの基を例示すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ハロゲン置換基を持つアリール基としてはペンタフルオロフェニル基、アラルキル基としてはベンジル基、アルコキシ基としてはエトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基などが挙げられる。
【0015】
この場合、より好ましくは、下記一般式(3)
H−R34Si−Fc−SiR34−H (3)
で表される原料化合物を使用し、下記一般式(4)
(R34Si−Fc−SiR34) (4)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を得る態様、あるいは下記一般式(5)
H−R34Si−Df−SiR34−H (5)
で表される原料化合物を使用し、下記一般式(6)
(R34Si−Df−SiR34) (6)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を得る態様が挙げられる。
【0016】
なお、Fcは置換又は非置換のフェロセニル基であり、この場合置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基が挙げられる。また、Dfは置換又は非置換のジフェニルエーテル基であり、置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基が挙げられる。R3、R4は独立に炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を示す。
【0017】
なお、本発明の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、通常1×103〜1×105の範囲にある。
【0018】
本発明の高分子化合物を製造する方法は、上記分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物原料、好ましくは上記式(1)、特に式(3)又は(5)のケイ素化合物原料を鉄錯体触媒の存在下、有機溶媒中で光照射又は加熱するもので、これにより、上記原料のSi−H基を脱水素させるものである。
【0019】
本発明で用いる触媒は鉄錯体である。鉄錯体とは、配位子が鉄に対して少なくともl当量分子内に含む化合物で、炭素、窒素、リン、ケイ素又はヒ素が電子供与配位子として作用している鉄錯体である。
【0020】
これらの配位子は、あらかじめ鉄と錯体形成していなくても、鉄成分と配位子成分を、配位子成分が鉄に対して少なくとも1当量以上であるように、反応系中に共存させる方法によっても、有効に触媒として作用させ得る。
【0021】
本反応に用いられる鉄成分の添加時の形態は特に制限的ではなく、各種の有機又は無機塩、錯体のいずれの形態で仕込んでもよい。また、本発明の反応に好適な配位子は、炭素、窒素、リン、ケイ素又はヒ素化合物であり、シクロペンタジエニル類、アルキル類、カルボニル類、ホスフィン類、ホスファイト類、トリアルキルシリル類、アルシン類が包含され、特に好適な配位子としては、メチル、カルボニル、(置換)シクロペンタジエニル、トリメチルシリルなどが例示される。従って、本発明の反応に好適な錯体触媒としては、シクロペンタジエニル−ジカルボニル(メチル)鉄((C55)Fe(CO)2CH3)、シクロペンタジエニル−ジカルボニル(トリメチルシリル)鉄((C55)Fe(CO)2Si(CH33)、[C5(CH35]Fe(CO)2CH3などが例示される。これらの触媒の使用量は、いわゆる触媒量でよく、一般的には有機ケイ素化合物に対するモル比で0.5〜0.0001の範囲で選択される。
【0022】
本反応は、有機溶媒中で行うが、この場合、有機溶媒としては、ケトンなどヒドロシリル化を受けるもの、及びアルコールなど活性水素を含むものを除いて、通常用いられる溶媒の中から選ばれる。中でも、DMF、アセトニトリルのような含窒素有機溶媒が最も望ましい。なお、有機溶媒の使用量は適宜選定されるが、Si−H基を持つケイ素化合物の該有機溶媒中の濃度が1〜50質量%、特に5〜20質量%となるように使用することが好ましい。
【0023】
反応条件は、0℃以上、好ましくは25〜150℃の反応温度で実施される。室温においては、光照射、とりわけ可視光線よりも波長の短い紫外線などの電磁波を照射することにより、反応は良好に進行し、又は50〜150℃までの温度に加熱することでも反応を行うことができる。また、この光照射と50〜150℃の加熱を併用するようにしてもよい。
【0024】
具体的には、この反応は、50℃以上150℃以下の温度で、より好ましくは60℃以上120℃以下の温度で加熱するか、可視光線よりも波長の短い紫外線を照射することで反応させることがよい。紫外線を照射する場合は、365nmの波長を照射できる高圧水銀灯を用いることができる。
反応時間は、通常0.1〜500時間、特に0.5〜100時間である。
【0025】
また、反応混合物からの生成物の分離精製は、一般的には、蒸留、クロマトグラフィーなど有機化学的に通常用いられる手段により、容易に達せられる。
【0026】
上記の反応により、Si−H基を有するケイ素化合物は、その≡Si−H基が脱水素され、≡Si−Si≡結合が形成され、本発明の高分子化合物が得られるものである。
【0027】
本発明によると、主鎖中にSi−Si結合を有する含ケイ素高分子化合物を効率よく、工業的有利に製造することができる。本発明方法で得られた含ケイ素高分子化合物は、フォトレジスト材料やプレセラミックス材料として、あるいは導電性材料用の素材などとして有用である。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の態様を実施例に基づき、更に詳細に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記例で、Cpはシクロペンタジエニル基、Meはメチル基を示す。
【0029】
[実施例1]
窒素で置換したシュレンク管に鉄錯体CpFe(CO)2Me38mg、1,1’−ビス(ジメチルシリル)フェロセン1.5mL及びジメチルホルムアミド4.6mLを加え、高圧水銀ランプ(理工科学産業(株)製高圧水銀ランプ:型式UVL−400HA、400W、主照射波長365nm)で光照射を室温で24時間行った。減圧下で溶媒を留去した後、少量のクロロホルムに溶解させ、セライトで濾過した。再度、減圧下で溶媒を留去した後、得られたポリマーを少量のクロロホルムに溶かし、エタノールで再沈澱することにより精製し、1.445gのポリマー:ポリ[1,1’−(テトラメチルジシラニレン)フェロセニレン](4)を得た。モノマーからの転化率は96%であった。GPCによるポリスチレン換算数平均分子量は、6,561であった。
【0030】
このものは文献未載の新規化合物であり、このポリマーの同定は、NMR(プロトン、C13、Si29)、GC−MSにより行った。その物性値、スペクトルデータは以下の通りである。
ポリマーのスペクトルデータ:
Spectrum data
1H NMR(400MHz,C66,25℃):δ 0.41(s,12H,Si(CH32),4.11(s,4H,C54),4.25(s,4H,C54).
13C{1H}NMR(100.4MHz,C66,25℃):δ 1.90(s,Si(CH32),71.8(s,ipso−C54),72.2(s,C54),73.6(s,C54).29Si{1H}NMR spectrum(79.1MHz,C66,25℃):δ 0.779(s,SiMe2).
E.A.for(C1420FeSi2n
Calcd.C:55.99,H:6.71
Found C:53.18,H:6.38
【0031】
[実施例2]
1,1’−ビス(ジメチルシリル)フェロセン1.5mLの代りに4,4’−ビス(ジメチルシリル)ジフェニルエーテルを用いた他は、実施例1と同様に反応を行った結果、ポリ[4−(テトラメチルジシラニレン)フェニレン−4’−フェノキシレン](5)を得た。転化率は78%であった。GPCによるポリスチレン換算数平均分子量は、17,786であった。
【0032】
このものも文献未載の新規化合物であり、その物性値は以下の通りである。
ポリマーのスペクトルデータ:
Spectrum data
1H NMR(400MHz,CDCl3,25℃):δ 0.32(s,12H,Si(CH32),7.00(s,4H,C54),7.49(s,4H,C54).
13C{1H}NMR(100.4MHz,CDCl3,25℃):δ 1.06(s,Si(CH32),118.20(s,C64),134.10(s,C64),134.61(s,C64),157.89(s,C64).29Si{1H}NMR spectrum(79.1MHz,CDCl3,25℃);δ −1.20(s,SiMe2
【0033】
[実施例3〜5]
原料のビスヒドロシランを表1に示す原料に代え、実施例1と同一の反応を行った。
化合物2に関しては、光照射、溶媒を留去の後、シリカゲルカラム(ヘキサン:ジクロロメタン=1:3)により精製した。化合物3に関しては、光照射後、ヘキサンで抽出することにより目的とするポリマーを得た。同定は、NMRにより既存の文献と比較して行い、収率並びに数平均分子量の結果を表1にまとめた。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、該水素原子を脱水素することで得られた、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物。
【請求項2】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(2)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項1記載の高分子化合物。
H−R12Si−R−SiR12−H (1)
(R12Si−R−SiR12) (2)
(式中、Rは二価有機基、R1、R2は一価有機基を表す。)
【請求項3】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(3)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(4)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物。
H−R34Si−Fc−SiR34−H (3)
(R34Si−Fc−SiR34) (4)
(式中、Fcは置換又は非置換のフェロセニル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
【請求項4】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(5)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(6)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項2記載の高分子化合物。
H−R34Si−Df−SiR34−H (5)
(R34Si−Df−SiR34) (6)
(式中、Dfは置換又は非置換のジフェニルエーテル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
【請求項5】
分子内に2つ以上のSi−H基を持つケイ素化合物を原料とし、鉄錯体触媒の存在下、有機溶媒中で光照射又は加熱することを特徴とする主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物の製造方法。
【請求項6】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(2)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項5記載の高分子化合物の製造方法。
H−R12Si−R−SiR12−H (1)
(R12Si−R−SiR12) (2)
(式中、Rは二価有機基、R1、R2は一価有機基を表す。)
【請求項7】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(3)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(4)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項6記載の高分子化合物の製造方法。
H−R34Si−Fc−SiR34−H (3)
(R34Si−Fc−SiR34) (4)
(式中、Fcは置換又は非置換のフェロセニル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
【請求項8】
Si−H基を持つケイ素化合物が、下記一般式(5)で表されるシラン化合物であり、主鎖中にSi−Si結合を有する高分子化合物が、下記一般式(6)の繰り返し単位を有する重合体であることを特徴とする請求項6記載の高分子化合物の製造方法。
H−R34Si−Df−SiR34−H (5)
(R34Si−Df−SiR34) (6)
(式中、Dfは置換又は非置換のジフェニルエーテル基、R3、R4は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す。)
【請求項9】
鉄錯体が、
(C55)Fe(CO)2CH3
(C55)Fe(CO)2Si(CH33
又は
[C5(CH35]Fe(CO)2CH3
である請求項5〜8のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
有機溶媒が、含窒素有機化合物である請求項5〜9のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
光照射として可視光線より短波長の電磁波を照射するか、50〜150℃の温度に加熱するか、又は該電磁波照射と加熱とを併用して、Si−H基を持つケイ素化合物を反応させる請求項5〜10のいずれか1項記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−108225(P2009−108225A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282984(P2007−282984)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】