説明

USB機器およびUSB機器の制御方法

【課題】接続相手の変更を行う場合でもわずらわしい繋ぎ替えが必要なく、ユーザの利便性が向上するUSB機器を提供する。
【解決手段】メインUSBポートと補助USBポートとを有しており、メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、補助USBポートに何も接続されていない場合にはこのUSBホスト装置と電気的および信号的に接続を確立し、USB周辺機器として機能する。一方、メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、補助USBポートに第2USBデバイスが接続された場合には、USBホスト装置とUSBデバイスとを中継する。このとき、メインUSBポートにUSBホスト装置が接続された状態でさらに補助USBポートに第2USBデバイスが接続されたことを検出した場合には、USBホスト装置に新しい機器の接続を通知し、USBホスト装置から接続先変更の指示を受けた場合にUSBホスト装置とUSBデバイスとを中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUSB機器およびUSB機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスト機器(例えばパソコン)に様々な周辺機器を接続するためのバス規格としてUSB規格がある。
さらに、近年では、周辺機器同士でもUSB接続ができるようにするための規格としてUSB OTG(ON-THE GO)規格も設けられている(例えば、特開2004-295333号公報、特開2005-25405号公報、特開2004-110145号公報、特開2006-99354号公報)。
携帯電話機や携帯音楽プレーヤーなどのモバイル機器にOTG対応のUSBポートが設けられることが多い。
また、モバイル機器では、USB電源アダプターを用いて充電することが一般的となってきている(例えば、特開2007-68333号公報、特開2007-52968号公報、特開2003-331928号公報)。
【0003】
USB周辺機器を使用する場合、一般的には、USB周辺機器をパソコンのUSBポートに接続する。
すると、パソコンがホストとなり、USB周辺機器がスレーブとして動作する。
また、モバイル機器がOTG対応のUSBポートを有していれば、このOTG対応のUSBポートに周辺機器を接続する。
すると、モバイル機器がホストとなり、周辺機器がスレーブとして動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-295333号公報
【特許文献2】特開2005-25405号公報
【特許文献3】特開2004-110145号公報
【特許文献4】特開2006-99354号公報
【特許文献5】特開2007-68333号公報
【特許文献6】特開2007-52968号公報
【特許文献7】特開2003-331928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、パソコンやモバイル機器のUSBポートに第1の周辺機器を接続して使用した後、続けて第2の周辺機器を使用したくなる場合がしばしば生じる。
例えば、最初はUSBハードディスクを使用していたが、その後、プリンターを使用する必要が生じた、といったケースがある。
USBポートが空いていれば、第2のUSB周辺機器をその空いているUSBポートに繋げばよい。
しかし、USBポートが総て使用済みで塞がっていた場合、どれかを抜いてから空いたUSBポートに第2の周辺機器を接続しなければならないことになる。
このような作業は大変面倒なものである。
【0006】
また、モバイル機器にUSB周辺機器を接続して使用していると、モバイル機器のバッテリ残量が少なくなってくる。
モバイル機器の充電が必要なのであるが、モバイル機器ではその大きさの制約からUSBポートが一つしかないことが多く、したがって、USB周辺機器を一旦取り外してからUSB電源アダプターを繋いで充電しなければならなくなる。
USBコネクタの抜き差しを行ってUSB電源アダプターに繋ぎ替えることも面倒な作業である。
さらには、USB電源アダプターに繋ぎ替えると、USB周辺機器を用いた作業が一時中断されてしまい、利便性が良くないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、接続相手の変更を行う場合でもわずらわしい繋ぎ替えが必要なく、ユーザの利便性が向上するUSBデバイス、USBデバイスの制御方法を提供することにある。
あわせて、このUSBデバイスと接続されるUSBホスト装置およびデュアルロールUSBデバイス機器の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のUSBデバイスは、USBインターフェースを介して他の機器と接続するUSBデバイスであって、
メインUSBポートと補助USBポートとを有し、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、前記補助USBポートに何も接続されていない場合にはこのUSBホスト装置と電気的および信号的に接続を確立し、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、前記補助USBポートに第2USBデバイスが接続された場合には、前記USBホスト装置と前記USBデバイスとを中継する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明のUSBデバイスの制御方法は、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続された状態でさらに前記補助USBポートに第2USBデバイスが接続されたことを検出した場合には、前記USBホスト装置に新しい機器の接続を通知し、
前記USBホスト装置からの接続先変更の指示を受けた場合には、前記USBホスト装置と前記USBデバイスとを中継する
ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のUSBホスト装置の制御方法は、
前記USBデバイスのメインUSBポートに接続されたUSBホスト装置の動作を制御する制御方法であって、
前記USBデバイスから新しい機器の接続が通知された場合には、ユーザに接続先の変更の是非を問い、
ユーザから接続先の変更の指示を得た場合には、前記USBデバイスに当該USBホスト装置と前記新しい機器との接続を中継させる指示を与える
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のデュアルロールUSBデバイス機器の制御方法は、
前記USBデバイスから新しい機器の接続が通知された場合には、ユーザに接続先の変更の是非を問い、
ユーザから接続先の変更の指示を得た場合には、前記USBデバイスに当該デュアルロールUSBデバイス機器と前記新しい機器との接続を中継させる指示を与える
ことを特徴とする。
このとき、前記新しい機器がUSBホスト装置である場合には、当該デュアルロールUSBデバイス機器はスレーブとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態として想定するケースを示す図。
【図2】第1USB周辺機器の構成を示す図。
【図3】パソコンと第1USB周辺機器とをUSBケーブルで接続した状態を示す図。
【図4】第1USB周辺機器に加えて、第2USB周辺機器が使用されている状態を示す図。
【図5】第1USB周辺機器のスイッチ切替え動作を示すフローチャート。
【図6】パソコンの動作手順を示すフローチャート。
【図7】接続先の変更を尋ねるメッセージの例を示す図。
【図8】第2実施形態において、モバイル機器と第1USB周辺機器とを接続した状態を示す図。
【図9】第2実施形態において、第1USB周辺機器の補助USBポートにパソコンを接続した状態を示す図。
【図10】第2実施形態において、第1USB周辺機器のスイッチ切替え動作を示すフローチャート。
【図11】第2実施形態において、モバイル機器の動作手順を示すフローチャート。
【図12】第3実施形態に係る第1USB周辺機器の構成を示す図。
【図13】第3実施形態において、第1USB周辺機器にUSB電源アダプターを接続した状態を示す図。
【図14】第3実施形態において、第1USB周辺機器のスイッチ切替え動作を示すフローチャート。
【図15】第3実施形態において、モバイル機器の動作手順を示すフローチャート。
【図16】充電の是非を尋ねるメッセージの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を説明する。
まず図1を用い、第1実施形態として想定するケースを説明する。
パソコン10に第1USB周辺機器100を接続して使用しているとする。
第1USB周辺機器100として、例えばUSBハードディスクを想定してもよい。
第1USB周辺機器100を使用したあと、さらに第2USB周辺機器20を使用する必要が生じたとする。
第2USB周辺機器20として、例えばプリンタを想定してもよい。
このような場合に、第1実施形態においては、第1USB周辺機器100をパソコン10から抜脱せずともよく、第2USB周辺機器を第1周辺機器のUSBポートに差し込めばパソコン10と第2USB周辺機器とが電気的に接続されるようになっている。
すなわち、第1実施形態は、上記の動作を可能にするための第1USB周辺機器100の構成、第1USB周辺機器100の制御方法、パソコン10の制御方法、および、接続シーケンス制御、に特徴を有する。
以下、具体的に説明していく。
【0014】
図2は、第1USB周辺機器100の構成を示す図である。
第1USB周辺機器100は、接続相手に対してスレーブとして動作する。
第1USB周辺機器100としては、USBチューナーや外付けUSBハードディスク、さらには、スピーカーや、入力補助装置(キーボード、マウス)、カードリーダーなどなど、各種の入出力装置が挙げられる。
【0015】
第1USB周辺機器100は、二つのUSBポート110、120と、制御回路130と、機能回路部140と、電源部150と、切替えスイッチ部160、170と、を備える。USBポートとしては、メインUSBポート110と、補助USBポート120と、を有する。制御回路130は、第1USB周辺機器100の全体動作を制御するものであり、USBドライバを含んでいてもよい。
【0016】
機能回路部140は、USB周辺機器としての機能を発揮するための各種回路であり、第1USB周辺機器100がUSBハードディスクやUSBメモリであれば機能回路部140は記憶回路部であり、第1USB周辺機器100がUSBチューナーであれば機能回路部140は内蔵アンテナや送受信回路である。電源部は、バッテリと、電源回路と、を有し、電源回路はバッテリの充電状態を監視するとともにバッテリの電力を制御回路や機能回路部に供給する。
【0017】
次に、第1USB周辺機器100内の信号線および電源線の配線と、切替えスイッチ部の構成と、について説明する。メインUSBポート110と補助USBポート120との間に信号切替えスイッチ160が配置されている。
信号切替えスイッチ160は、コモン信号接点161と、信号接続接点162と、信号中継接点163と、を有する。そして、コモン信号接点161はメインUSBポート110の信号線111に繋がっており、信号接続接点162は制御回路130に繋がっており、信号中継接点163は補助USBポート120の信号線121に繋がっている。
【0018】
電源切替えスイッチ170は、コモン電源接点171と、電源受給接点172と、電源中継接点173と、を有する。
コモン電源接点171はメインUSBポート110の電源線112に繋がっており、電源受給接点172は電源部150に繋がっており、電源中継接点173は補助USBポート120の電源線122に繋がっている。
【0019】
補助USBポート120の信号線121および電源線122は分岐されて制御回路130にも接続されており、補助USBポート120の信号線121、電源線122に電圧変化等があればそれを制御回路130で検出できるようになっている。
【0020】
信号切替えスイッチ160および電源切替えスイッチ170のスイッチング動作は制御回路130によって制御されるものであるが、フローチャートを参照して後述する。
【0021】
次に、パソコン10と第1USB周辺機器100とをUSBケーブルで接続して使用する場合について説明する。
図3は、パソコン10と第1USB周辺機器100とをUSBケーブルで接続した状態を示す図である。
この場合、パソコン10がホスト側として動作し、第1USB周辺機器100がスレーブ側として動作する。
第1USB周辺機器100としては、パソコン10から電源の供給を受けるため、電源切替えスイッチ170を電源受給接点172に投入する。また、信号線をパソコン10のCPUと繋いでデータ交換を行うため、信号切替えスイッチ160を信号接続接点162に投入する。
これにより、パソコン10と第1USB周辺機器100とは電気的に接続され、パソコン10をホストとし、第1USB周辺機器100をスレーブとした動作ができるようになる。
【0022】
次に、図4は、第1USB周辺機器100に加えて、第2USB周辺機器20が使用されている状態を示す図である。
例えば、図3のようにパソコン10と第1USB周辺機器100とを接続して使用していたが、次に別のUSB周辺機器を使用したくなったとする。この場合、ユーザは、第1USB周辺機器100をパソコン10から抜脱しないで、使用したい第2USB周辺機器20を第1USB周辺機器100の補助USBポート120に接続する。すると、第1USB周辺機器100が中継器になり、パソコン10と第2USB周辺機器20とが電気的に接続されるようになる。
ここで、第2USB周辺機器20は、本発明の特徴を持たない通常のUSB周辺機器であってもよく、あるいは、第1USB周辺機器100と同じ構成を有していてもよく、あるいは、OTG対応USB機器であってもよい。
【0023】
具体的に第1USB周辺機器100の内部変化を説明すると、第1USB周辺機器100において、信号切替えスイッチ160は信号中継接点163に投入され、電源切替えスイッチ170は電源中継接点173に投入される。すると、パソコン10からの電源が第2USB周辺機器20の電源部に供給されるようになる。
また、第2USB周辺機器20の制御回路は、第1USB周辺機器100を経由してパソコン10の制御回路部(CPU)と繋がり、互いにデータ交換できるようになる。
【0024】
(制御動作の説明)
切替えスイッチのスイッチング動作を説明する。
まず、図3のようにパソコン10と第1USB周辺機器100とがUSB接続されている場合、第1USB周辺機器100内においては、電源切替えスイッチ170を電源受給接点172に投入し、信号切替えスイッチ160を信号接続接点162に投入する。
これは、第1USB周辺機器100の初期的状態として、電源切替えスイッチ170を電源受給接点172に投入しておき、信号切替えスイッチ160を信号接続接点162に投入おけばよい。
メインUSBポート110がパソコン10と接続された場合には、内部のスイッチ状態を切り替えないでパソコン10との接続シーケンスを行えばよい。
これは通常のUSBホストとUSBデバイスとの接続制御と同じであり、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0025】
さて、ここで、図3の状態から第1USB周辺機器100の補助USBポート120に第2USB周辺機器20を接続すると、切替えスイッチ160、170の接続は前述の図4のパターンになるのであるが、この移行プロセスを説明する。
【0026】
図5、図6は、スイッチ切替え制御の動作手順を示すフローチャートである。
図5は第1USB周辺機器100のスイッチ切替え動作を示すフローチャートであり、図6はパソコン10の動作手順を示すフローチャートである。
第1USB周辺機器100は、補助USBポート120を監視する(ST110)。そして、図4のように第1USB周辺機器100の補助USBポート120に第2USB周辺機器20が接続されたとする。
すると、第1USB周辺機器100の制御回路130が第2USB周辺機器を検出する(ST120:YES)。
【0027】
ここで、第2USB周辺機器20が補助USBポート120に接続されたときに第1USB周辺機器100の制御回路130がこの第2USB周辺機器20を検出する方法については様々考えられる。
例えば、第1USB周辺機器100の制御回路130が補助USBポート120の電源線122または信号線121を監視するとする。そして、第2USB周辺機器がセルフパワーのデバイスであるとする。
このとき、第2USB周辺機器20が補助USBポート120に接続されると電源線122または信号線121の電圧が変化するので、第1USB周辺機器100の制御回路130は第2USB周辺機器20が接続されたことを認識できる。
【0028】
あるいは、第2USB周辺機器20がバスパワーであってもこれが補助USBポート120に接続されたことを自動検出できるようにしてもよい。
この方法も様々考えられるところであるが、例えば、補助USBポート120に機械的または電気的な検出スイッチや検出端子を設けておき、これら検出スイッチや検出端子の状態を第1USB周辺機器100の制御回路130が監視するようにしてもよい。
【0029】
制御回路が第2USB周辺機器の接続を検出すると(ST120:YES)、制御回路130は信号線111を介してパソコン10にその旨を通知する(ST140)。
【0030】
ここで、パソコン10側の動作の説明に移る(図6)。
パソコン10は第1USB周辺機器100からの通知を受信する(ST210)。
第1USB周辺機器100からの通知が、第2USB周辺機器20の接続を知らせる通知である場合(ST220:YES)、パソコン10はユーザに接続先の切替え判断を要求する(ST230)。
これは、例えば図7のように、接続先の変更を尋ねるメッセージを表示画面上に表示するという方法が例として挙げられる。
【0031】
接続先を第1USB周辺機器100から第2USB周辺機器20に変更するユーザ許可が得られた場合(ST240:YES)、パソコン10は第1USB周辺機器100にスイッチ切り替え動作の実行を指示する(ST250)。
【0032】
再び、第1USB周辺機器100の動作説明に戻る(図5)。
パソコン10からの指示を受信し(ST150)、それがスイッチ切替え指示であった場合(ST160:YES)、第1USB周辺機器100はスイッチ切替え動作を実行する(ST170)。
すなわち、信号切替えスイッチ160は信号中継接点163に投入し、電源切替えスイッチ170は電源中継接点173に投入する。この段階で、図4に示したように、第1USB周辺機器100を間にして、パソコン10と第2USB周辺機器20とが電気的、信号的に接続される。そして、パソコン10が第2USB周辺機器20と接続シーケンスを実行して、パソコン10と第2USB周辺機器20とが接続される(図6のST260)。
【0033】
このような構成によれば、パソコンの接続相手を第1USB周辺機器から第2USB周辺機器に変更する場合であってもUSBコネクタの抜脱は必要なく、補助USBポートに第2USB周辺機器をするだけでよい。
したがって、接続相手の変更を行う場合でもわずらわしい繋ぎ替えが必要なく、ユーザの利便性が向上する。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
上記第1実施形態では、第1USB周辺機器100のメインUSBポート110にパソコン10が接続されて、補助USBポート120に第2USB周辺機器20が接続されるという場合を説明した。
第2実施形態としては、第1USB周辺機器100のメインUSBポート110にOTG対応のモバイル機器が接続され、補助USBポート120にパソコン10が接続される形態を説明する。
第2実施形態では、モバイル機器200は当初はホストとして動作するが、パソコン10と接続されるとスレーブに移行する必要が生じる。
【0035】
図8は、モバイル機器200と第1USB周辺機器100とを接続した状態を示す図である。
第1USB周辺機器100の構成は第1実施形態と同じである。
モバイル機器200は、USB OTG機能を有する。すなわち、接続相手によってホストにもなりスレーブにもなるデュアルロール機能を有する。
モバイル機器200は、制御回路210、機能回路部220および電源部230に加えて、電源切替えスイッチ240を有する。
電源切替えスイッチ240は、コモン電源接点241、電源供給接点242および電源受給接点243を有している。
コモン電源接点241はUSBポート250の電源線251に繋がっている。
電源供給接点242および電源受給接点243は電源回路231に繋がっているが、電源供給接点242は電源部230からUSBポート250に電源を送出するラインに繋がり、電源受給接点243はUSBポート250から電源を受給するラインに繋がっている。
【0036】
図8のようにモバイル機器200と第1USB周辺機器100とが繋がっている場合、モバイル機器200がホストであり、第1USB周辺機器100はスレーブである。
したがって、モバイル機器200は、第1USB周辺機器100に電源を供給できるように、電源切替えスイッチ240を電源供給接点242に投入する。
【0037】
一方、図9は、第1USB周辺機器100の補助USBポート120にパソコン10を接続した状態を示す図である。すると、パソコン10がホストとなり、モバイル機器200がスレーブに移行する。
このとき、モバイル機器200の電源切替えスイッチ240においては、電源供給接点242から電源受給接点243にスイッチングし、パソコン10からの電源供給を受けるように内部状態が変化する。
第1周辺機器100としては、第1実施形態と同様に中継器として機能するため、信号切替えスイッチ160を信号中継接点163に投入し、電源切替えスイッチ170を電源中継接点173に投入する。
これにより、第1USB周辺機器100を間にしてモバイル機器とパソコン10とが信号的、電気的に接続される。
【0038】
(制御動作の説明)
第2実施形態におけるスイッチング動作を説明する。
図8のようにモバイル機器200と第1USB周辺機器100とが接続されるケースは通常のOTG対応機器とUSBデバイスとの接続である。
図8の状態から第1USB周辺機器100の補助USBポート120にパソコン10を接続すると切替えスイッチの接続は前述の図9のパターンになるのであるが、この移行プロセスを説明する。
【0039】
まず、図10は第1USB周辺機器100のスイッチ切替え動作を示すフローチャートであるが、これは第1実施形態の図5においてパソコン10をモバイル機器200と読み替えるだけである(ST340、ST350)。したがってこれ以上の説明は第1実施形態と重複するので割愛する。
【0040】
次に、図11はモバイル機器200の動作手順を示すフローチャートである。
この動作も第1実施形態で説明したパソコン10の動作と基本的に同じである。
ただし、モバイル機器は、第1USB周辺機器100と接続しているときはホストとなって電源を供給する側になるが、パソコン10と接続されたときにはスレーブとなって電源受給を受ける側となる。
したがって、ST451に示すように、パソコン10との接続(ST460)に先立って、電源切替えスイッチ240を電源供給接点242から電源受給接点243に切り替えることが必要になる。
【0041】
このような構成においても前記第1実施形態と同様の作用効果を奏し、USB装置を使用する際のユーザの利便性が向上する。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の基本的構成は第1実施形態および第2実施形態と同様であるが、第3実施形態においては第1USB周辺機器100にさらに電源引き込みスイッチ180を追加した点に特徴を有する。
図12に示すように、電源引き込みスイッチ180は、補助USBポート120の電源配線122と電源回路151との間に配置されており、言い換えると、補助USBポート120の電源配線122と電源受給接点172とをバイパスしている。
電源引き込みスイッチ180は、ONとOFFとの2ステートスイッチである。
【0043】
図12のように、メインUSBポート110にモバイル機器が接続され、補助USBポート120に何も接続されていないときは、電源引き込みスイッチ180はOFFであり、そのほかは図8と同じである。
ここで、モバイル機器200を使用しているうちにモバイル機器200のバッテリ残量が少なくなってくる。
このような場合、USB電源アダプター30で充電する必要があるが、従来は、USB電源アダプター30を接続するには第1USB周辺機器100を外さなくてはならなかった。
この点、本実施形態においては、補助USBポート120にUSB電源アダプター30を差し込めばよい。
【0044】
図13は、補助USBポート120にUSB電源アダプター30を接続した状態を示す図である。
このときの第1USB周辺機器100およびモバイル機器200の内部変化を説明すると、第1USB周辺機器100では電源引き込みスイッチ180がONになっただけである。
一方、モバイル機器200では、電源切替えスイッチ240が電源受給接点243に投入される。
これにより、モバイル機器200も第1USB周辺機器100も電源アダプター30からの電源によって動作を継続でき、かつ、バッテリ232、152の充電もできる。そして、信号切替えスイッチ160はそのままであるからモバイル機器200と第1USB周辺機器100とは信号的に接続を継続し、モバイル機器200は第1USB周辺機器100を用いた動作を継続することができる。
【0045】
(制御動作の説明)
第3実施形態のスイッチング動作を説明する。
図12のようにモバイル機器と第1USB周辺機器100とが接続されるケースは通常のOTG対応機器とUSBデバイスとの接続である。
図12の状態から第1USB周辺機器100の補助USBポート120に電源アダプター30を接続すると切替えスイッチの接続は前述の図13のパターンになるのであるが、この移行プロセスを説明する。
【0046】
図14は第1USB周辺機器100のスイッチ切替え動作を示すフローチャートであり、図15はモバイル機器の動作手順を示すフローチャートである。
まず、図14において第1USB周辺機器100が補助USBポート120に新しい接続を検出すると(ST520)、この新しい接続をモバイル機器200に通知する(ST540)。
このとき、第1USB周辺機器100は、補助USBポート120に接続された機器がUSBデバイス20なのか、パソコン10なのか、USB電源アダプター30なのか、は区別ができないとする。
【0047】
図15のモバイル機器200の動作において、第1USB周辺機器100から新しい機器が接続された旨の通知を受けると、モバイル機器200はユーザに切替え判断を要求する(ST630)。
これは、まず、第1実施形態の図7で説明したように、接続先を変更してもよいかどうかをユーザに尋ねる。
ここで、ユーザとしては、接続先は第1USB周辺機器100のままで維持したいとすると、接続先の変更は許可しない(ST640:NO)。
第3実施形態においては、接続先の変更が許可されなかった場合に、さらに追加して、充電を行うかどうかをユーザに尋ねる(ST641、図16参照)。
充電指示があった場合(ST641:YES)、第1USB周辺機器100に充電を行うためのスイッチ動作を指示する。
【0048】
第1USB周辺機器(図14)100としては、モバイル機器200からの指示が接続先の切替えではないが(ST560:NO)、充電の指示であるので(ST561)、スイッチ動作としては電源引き込みスイッチ180をONにする(ST570)。そして、モバイル機器(図15)200としても電源切替えスイッチ240を電源受給接点に切り替える。
【0049】
このような構成によれば、モバイル機器の充電が必要になった場合でも、補助USBポートにUSB電源アダプタを接続することで、充電しながらモバイル機器200と第1USB周辺機器100との信号的接続を継続できる。すなわち、モバイル機器200は、第1USB周辺機器100を用いた動作を継続することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
第1実施形態においては、パソコンが第1USB周辺機器から新しい機器の接続の通知を受けると(ST220:YES)、ユーザに接続切替えの是非を尋ねる構成を説明した。
この例に限らず、第1USB周辺機器からの通知が無くても、ユーザがパソコンを操作して第1USB周辺機器のスイッチ切替え動作を自発的に指示してもよい。
同様に、第2実施形態および第3実施形態においても、第1USB周辺機器からの通知が無くても、ユーザがモバイル機器を操作して第1USB周辺機器のスイッチ切替え動作を自発的に指示してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…パソコン、20…第2USB周辺機器、30…電源アダプター、100…第1USB周辺機器、110…メインUSBポート、120…補助USBポート、130…制御回路、140…機能回路部、150…電源部、160…信号切替えスイッチ、161…コモン信号接点、162…信号接続接点、163…信号中継接点、170…電源切替えスイッチ、171…コモン電源接点、172…電源受給接点、173…電源中継接点、180…電源引き込みスイッチ、200…モバイル機器、240…電源切替えスイッチ、241…コモン電源接点、242…電源供給接点、243…電源受給接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBインターフェースを介して他の機器と接続するUSBデバイスであって、
メインUSBポートと補助USBポートとを有し、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、前記補助USBポートに何も接続されていない場合にはこのUSBホスト装置と電気的および信号的に接続を確立し、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続され、かつ、前記補助USBポートに第2USBデバイスが接続された場合には、前記USBホスト装置と前記USBデバイスとを中継する
ことを特徴とするUSBデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のUSBデバイスにおいて、
信号切替えスイッチと電源切替えスイッチと、を有し、
前記信号切替えスイッチは、前記メインUSBポートの信号線を内部制御部に接続する信号接続接点と、前記メインUSBポートの信号線を前記補助USBポートに繋ぐ信号中継接点と、を有し、
前記電源切替えスイッチは、前記メインUSBポートの電源線を内部電源部に接続する電源受給接点と、前記メインUSBポートの電源線を前記補助USBポートに繋ぐ電源中継接点と、を有する
ことを特徴とするUSBデバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のUSBデバイスの動作を制御する制御方法であって、
前記メインUSBポートにUSBホスト装置が接続された状態でさらに前記補助USBポートに第2USBデバイスが接続されたことを検出した場合には、前記USBホスト装置に新しい機器の接続を通知し、
前記USBホスト装置からの接続先変更の指示を受けた場合には、前記USBホスト装置と前記USBデバイスとを中継する
ことを特徴とするUSBデバイスの制御方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のUSBデバイスのメインUSBポートに接続されたUSBホスト装置の動作を制御する制御方法であって、
前記USBデバイスから新しい機器の接続が通知された場合には、ユーザに接続先の変更の是非を問い、
ユーザから接続先の変更の指示を得た場合には、前記USBデバイスに当該USBホスト装置と前記新しい機器との接続を中継させる指示を与える
ことを特徴とするUSBホスト装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のUSBデバイスのメインUSBポートに接続され、かつ、USBインタフェースを用いてOTG(On-The-Go)規格に法った情報のやり取りをするデュアルロールUSBデバイス機器の動作を制御する制御方法であって、
前記USBデバイスから新しい機器の接続が通知された場合には、ユーザに接続先の変更の是非を問い、
ユーザから接続先の変更の指示を得た場合には、前記USBデバイスに当該デュアルロールUSBデバイス機器と前記新しい機器との接続を中継させる指示を与える
ことを特徴とするデュアルロールUSBデバイス機器の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のデュアルロールUSBデバイス機器の制御方法において、
前記新しい機器がUSBホスト装置である場合には、当該デュアルロールUSBデバイス機器はスレーブとなる
ことを特徴とするデュアルロールUSBデバイス機器の制御方法。
【請求項7】
請求項2に記載のUSBデバイスにおいて、
さらに、前記補助USBポートの電源線と前記電源受給接点とをバイパスし、オンオフ切替え可能な電源引き込みスイッチを備える
ことを特徴とするUSBデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のUSBデバイスの動作を制御する制御方法であって、
前記メインUSBポートにデュアルロールUSBデバイス機器が接続された状態でさらに前記補助USBポートに新たな機器が接続されたことを検出した場合には、前記デュアルロールUSBデバイス機器に新しい機器の接続を通知し、
前記デュアルロールUSBデバイス機器からの充電の指示を受けた場合には、前記電源引き込みスイッチをオンにする
ことを特徴とするUSBデバイスの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−50859(P2013−50859A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188657(P2011−188657)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】