説明

UV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物

【課題】UV硬化型インクジェットプリンターによる多品種少量商品のマスプロダクション化に寄与し、かつ高い印刷品質の立体形状印刷物の生産が可能なUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物を提供する。
【解決手段】立体形状の被印刷物1が複数、その被印刷面1aをプリンターヘッド2に向けて搭載されるプレート状の移載治具3と、移載治具に設けられ、被印刷物相互の位置関係を位置決めする位置決め手段4と、プリンターヘッドと連動してプリンターヘッドの移動方向と直交する方向に移動するフラットベッド5上に取り外し可能に固定され、移載治具が交換可能に搭載される設置治具6と、設置治具に設けられ、フラットベッドに対し移載治具を位置固定する固定手段7とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV硬化型インクジェットプリンターによる多品種少量商品のマスプロダクション化に寄与し、かつ高い印刷品質の立体形状印刷物の生産が可能なUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好が多様化し、中味や機能は同じであっても、自分の好みにあった、あるいは人とは違う外観の物品を持ちたいという要望が高まってきている。そのため、中味や機能は同じであっても、色違い、加飾違いを数多くラインアップした多品種商品、あるいは外観の一部を消費者が自由に取り替えることができる、いわゆる「着せ替えパーツ」を備えた携帯型商品、例えば、携帯電話や小型オーディオプレーヤー、カメラなどが市場で多く見られるようになった。このような色や加飾は印刷によって商品に施される。色や加飾だけが異なる多品種少量の商品の生産にあたっては、短期間に低コストで中量〜大量にマスプロダクションできる印刷方式を活用する必要がある。
【0003】
多品種少量商品をマスプロダクションするのに適した印刷方法として、インクジェットプリンター方式が急速に広まりつつある。インクジェットプリンター方式による印刷の最大の特長は、無製版でフルカラー印刷が可能な点にある。インクジェットプリンター方式によれば、例えば看板用や化粧パネル用などの大型で少ロットの印刷物を、短期間に低コストで、かつ高品質に生産することができる。
【0004】
一方、インクジェットプリンターに適用されるインクは、水系タイプ、溶剤系タイプ、UV硬化タイプの3つに大別できる。これらの中でも、UV硬化タイプは、プリンターヘッドから噴出されるインクを被印刷物の表面に定着させるためのインク受容層を、被印刷物に予め形成する必要がなく、また硬化すると十分な硬度を発揮するので、印刷面を保護する後処理を行う必要もなくて、少ない作業工程で容易にかつ高品質で印刷することができるとともに、金属や樹脂などほとんどあらゆる材質の被印刷物に印刷することができるという点で、他の2つのインクに比べ、特に優れている。UV硬化タイプのインクを用いて印刷を行うインクジェットプリンターとしては、例えば特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−205361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、UV硬化タイプのインクを使用するUV硬化型インクジェットプリンターでは、UV硬化タイプのインク自体に起因する問題として、プリンターヘッドから噴出されて被印刷物の被印刷面に定着したインクに対し、相当の時間をかけてUV照射を行わなくてはならず、インクジェットプリンターの印刷速度性能とは無関係に、他の2種類のインクを用いるインクジェットプリンターと比較して、印刷速度が遅いという課題があった。従って、UV硬化型インクジェットプリンターは、マスプロダクションにはあまり適していなかった。
【0006】
また、UV硬化タイプのインクでは、プリンターヘッドから噴出されて被印刷物の被印刷面に到達したインクの一部が跳ね返り、この跳ね返ったインクがプリンターヘッドの動きによって、被印刷面のみならずその周辺へと舞って付着するため、単一の被印刷物に印刷する場合はさほど問題はないが、被印刷物を複数並べて一挙に印刷する場合、そしてまたこれら被印刷物が厚みのある立体形状を有する場合には、隣りに位置する被印刷物を汚してしまったり、立体形状の被印刷物では側面の汚れが顕著となって、高い印刷品質で印刷を行うことができないという課題もあった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、UV硬化型インクジェットプリンターによる多品種少量商品のマスプロダクション化に寄与し、かつ高い印刷品質の立体形状印刷物の生産が可能なUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具は、立体形状の被印刷物が複数、その被印刷面をプリンターヘッドに向けて搭載されるプレート状の移載治具と、該移載治具に設けられ、被印刷物相互の位置関係を位置決めする位置決め手段と、プリンターヘッドと連動して該プリンターヘッドの移動方向と直交する方向に移動するフラットベッド上に取り外し可能に固定され、上記移載治具が交換可能に搭載される設置治具と、該設置治具に設けられ、上記フラットベッドに対し上記移載治具を位置固定する固定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
被印刷物は、前記移載治具に仮止め部材を介して仮固定されることを特徴とする。
【0010】
前記移載治具は、アルミニウム製であることを特徴とする。
【0011】
前記位置決め手段は、複数の被印刷物を、前記プリンターヘッドの移動方向に0.1cm以上2cm以下の間隔を隔てて位置決めするために、互いに間隔を隔てて前記移載治具に設けられることを特徴とする。
【0012】
前記移載治具は、600cm2以上3600cm2以下の外形寸法で形成されることを特徴とする。
【0013】
被印刷物は、被印刷面が100cm2以下で、厚さが0.1cm以上であることを特徴とする。
【0014】
被印刷物の素材が熱可塑性樹脂や金属であることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる立体形状印刷物の印刷方法は、上記UV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて被印刷物に印刷することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる立体形状印刷物は、上記UV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて印刷されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物にあっては、UV硬化型インクジェットプリンターによる多品種少量商品のマスプロダクション化に寄与でき、かつ高い印刷品質の立体形状印刷物を生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具は基本的には、図1〜図3に示すように、立体形状の被印刷物1が複数、その被印刷面1aをプリンターヘッド2に向けて搭載されるプレート状の移載治具3と、移載治具3に設けられ、被印刷物1相互の位置関係を位置決めする位置決め手段4と、プリンターヘッド2と連動してプリンターヘッド2の移動方向と直交する方向に移動するフラットベッド5上に取り外し可能に固定され、移載治具3が交換可能に搭載される設置治具6と、設置治具6に設けられ、フラットベッド5に対し移載治具3を位置固定する固定手段7とを備えて構成される。
【0019】
被印刷物1は、移載治具3に仮止め部材12を介して仮固定されることが好ましい。移載治具3は、アルミニウム製であることが望ましい。位置決め手段4は、複数の被印刷物1を、プリンターヘッド2の移動方向に0.1cm以上2cm以下の間隔αを隔てて位置決めするために、互いに間隔を隔てて移載治具3に設けられる。移載治具3は、600cm2以上3600cm2以下の外形寸法で形成されることが望ましい。被印刷物1は、被印刷面1aが100cm2以下で、厚さtが0.1cm以上であることが好ましい。被印刷物1の素材は特に問わないが、熱可塑性樹脂や金属であることが好ましい。
【0020】
本実施形態にかかる立体形状印刷物の印刷方法は、上記UV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて被印刷物1に印刷するようになっている。本実施形態にかかる立体形状印刷物8は、上記UV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて被印刷物1に印刷をすることで生産される。
【0021】
本発明者らは検討を重ねた結果、携帯することを前提に設計されたサイズの小さな被印刷物1、具体的には、素材としては熱可塑性樹脂や金属を含みどのような材質でもよいが、インクジェットプリンターのプリンターヘッド2と向かい合う被印刷面1aの面積が100cm2以下で、厚さ(高さ)tが0.1cm以上の被印刷物1を、プリンターヘッド2の移動方向に0.1cm以上2cm以下の間隔αで2個以上、位置精度よく配置するための位置決め手段4を備え、かつ交換可能な600〜3600cm2のプレート状の移載治具3と、この移載治具3の設置位置を設定する固定手段7を備え、かつプリンターヘッド2の移動に連動して当該プリンターヘッド2と垂直の方向へ移動する設置治具6とを備えたUV硬化型インクジェットプリンターを用いて、300×300dpi以上の解像度で印刷すれば、高精彩・高品質で、多品種少量の立体形状印刷物8を、短期間かつ低コストでマスプロダクションすることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0022】
UV硬化型インクジェットプリンターとしては、ロール状に巻き出したり、巻き取ったりすることができない厚手の被印刷物、たとえば壁や床、天井等に使用される化粧パネルや、板、タイル、大型ディスプレイ、看板などに印刷する際に使用されるフラットベッド式のインクジェットプリンター(例えば、(株)ミマキエンジニアリング製UJF−605C)を用いる。
【0023】
フラットベッド式のインクジェットプリンターでは、X軸方向に移動するプリンターヘッド2の動きに連動して、被印刷物1を送り出すための台であるフラットベッド5がY軸方向に移動する。フラットベッド5の上に、面積が100cm2以下、厚さtが0.1cm以上の被印刷物1を複数個搭載することで、同時に印刷することは可能であるが、印刷そのものの速度を上げることはできない。このため、生産量を高めるためには、被印刷物1の配置操作および回収操作を効率よく行う必要がある。そこで、本実施形態にかかる立体形状印刷物用印刷治具は、UV硬化型インクジェットプリンターのフラットベッド5に対し、立体形状の被印刷物1が複数搭載されるプレート状の移載治具3と、移載治具3上で被印刷物1を所定の場所に配置する位置決め手段4と、フラットベッド5に固定され、移載治具3が交換可能に搭載される設置治具6と、設置治具6上で移載治具3を所定の場所に位置固定する固定手段7とを備えて構成される。
【0024】
プレート状の移載治具3は平面矩形状に形成される。移載治具3には、立体形状の被印刷物1が交換可能に複数搭載される。被印刷物1はその被印刷面1aがプリンターヘッド2に向けられて配設される。移載治具3は、被印刷物1の大きさや形状など、種類に応じて複数種類用意される。移載治具3の素材としては、各種金属やプラスチック、ベーク材などが挙げられる。しかしながら、印刷時の発熱を伴うUV照射によって熱変形を起こさない材質が好ましく、また軽量かつ高剛性であれば取り扱い性がよいことから、アルミニウムが好適である。また、アルミニウムであれば、インクの溜まりができても、容易に印刷物8を移載治具3から剥がし取ることができる。
【0025】
移載治具3の厚さは、その材質にもよるが、撓むなどの変形が生じにくく、かつできるだけ軽量化できるように、5〜20mm程度であることが望ましい。また、被印刷物1が搭載される移載治具3の表面積(外形寸法)は、600cm2以上3600cm2以下であることが好ましい。1枚の移載治具3の大きさが当該寸法を超えると、大きすぎて取り扱いにくくなる。また、当該寸法よりも小さいと、設置治具6に搭載する移載治具3の枚数が増えて、搭載操作に手間取る。また搭載操作の回数が多くなると、移載治具3を設置治具6に設置する際に、位置ズレなどが生じる可能性が高まって、好ましくない。
【0026】
1枚の移載治具3の大きさを3600cm2以下にすることが好ましいことから、インクジェットプリンターの有効印刷面積が3600cm2を超える場合には、移載治具3を2枚以上用いるようにすればよい。移載治具3を被印刷物1に合わせて複数種類用意する場合であっても、その外形寸法は、設置治具6に共通に搭載できるように、すべて一致させることが好ましい。
【0027】
移載治具3には、被印刷物1の搭載操作を案内し、かつ被印刷物1相互の位置関係を精度よく位置決めする位置決め手段4が設けられる。位置決め手段4は、被印刷物1を位置保持できるように、その外形輪郭に合致する形状の枠もしくは窪みで形成することが好ましい。図示例にあっては、位置決め手段4は、移載治具3上に形成した格子状の枠で区分けして縦横に複数形成された窪みで構成されている。しかしながら、位置決め手段4としては、被印刷物1の外形輪郭全体でなくても、外形輪郭の一部に合致するものであってもよく、例えば被印刷物1の隅角部に合致する形状を有する突起などであってもよい。あるいは、被印刷物1が孔を有する場合には、その孔に合致するピン形態の位置決め手段4や、被印刷物1が凹部を有する場合には、その凹部に合致する駒状の位置決め手段4であってもよい。さらには、移載治具3に直接、被印刷物1の形状に沿った彫り込みを形成して、これを位置決め手段4とするようにしてもよい。
【0028】
位置決め手段4は、被印刷物1の被印刷面1aを完全に露出させることができるように、被印刷物1の厚さtと同一か、あるいはそれよりも浅く形成することが好ましい(図3参照)。これにより、位置決め手段4が妨げとなることなく、プリンターヘッド2と被印刷面1aとの距離を必要最小限に狭めることができ、高精彩・高品質で印刷することができる。位置決め手段4は、複数の被印刷物1を、プリンターヘッド2の移動方向に関し、0.1cm以上2cm以下の間隔αを隔てて位置決めするように、相互の間隔が隔てられる。この間隔よりも広くすると、プリンターヘッド2から噴出され飛び散るインクの一部がプリンターヘッド2の移動方向に舞い、被印刷物1の側面に回り込むなどして、被印刷物1を汚す可能性が高くなる。また、この間隔よりも狭めると、印刷位置の誤差を吸収することが難しくなる。
【0029】
また移載治具3には、位置決め手段4の他に、当該移載治具3に被印刷物1を仮固定する仮止め部材12を設けるようにしてもよい。仮止め部材12は、プリンターヘッド2が移動する際の振動などによって被印刷物1の位置がずれたり、浮き上がったり、またUV照射による熱の影響で被印刷物1が変形することなどを防ぐ目的で使用される。仮止め部材12としては、被印刷物1を貼着する再剥離材や、移載治具3に設けたネジ孔に螺合されて被印刷物1をネジ止めするネジなどを採用することができる。
【0030】
設置治具6は、ボルトなどの締結部材9により、フラットベッド5上に取り外し可能に固定される。設置治具6も、これに交換可能に搭載される移載治具3の大きさや種類に応じて、複数種類用意される。設置治具6は、耐熱性、高剛性、軽量であれば、その材質は問わない。この設置治具6には、これが固定されたフラットベッド5に対し、移載治具3の交換操作を案内し、かつ移載治具3を位置固定する固定手段7が備えられる。図示例にあっては、固定手段7として、移載治具3を1枚あるいは移載治具3を並べて設置できる複数の凹所が設置治具6に形成されている。このような固定手段7を備えた設置治具6を用いることにより、適宜取り外されて交換される移載治具3を適切に一定位置に固定でき、このことはとりもなおさず、交換される移載治具3に搭載されて順次印刷される被印刷物1の位置をフラットベッド5に対して常に一定に保持して、各回の印刷位置にズレが発生することを確実に防止できる。図示例にあっては、移載治具3はさらにボルト10を介して設置治具6に位置固定されている。
【0031】
次に、本実施形態にかかる立体形状印刷物の印刷方法について説明する。UV硬化型インクジェットプリンターのフラットベッド5上に予め、設置治具6を固定する。他方、当該プリンター外方では、立体形状の被印刷物1が、その被印刷面1aがプリンターヘッド2に向くようにして、位置決め手段4を利用して移載治具3上に複数搭載される。この移載治具3への搭載の際に、被印刷物1相互の位置関係が位置決め手段4によって位置決めされる。被印刷物1を搭載した移載治具3を、固定手段7を利用して、設置治具6上に搭載する。この設置治具6への搭載の際、移載治具3は設置治具6に対し固定手段7によって位置固定される。これにより、複数の被印刷物1が一括してフラットベッド5上に搭載されるとともに、フラットベッド5に対する被印刷物1個々の位置が適切に設定される。
【0032】
プリンターを起動すると、プリンターヘッド2は、X軸方向に移動しながら、常に一定範囲にインクを噴出する。一定範囲の印刷が完了すると、プリンターヘッド2と連動してフラットベッド5とともにその上の設置治具6が、Y軸方向に移動して移載治具3上の被印刷物1を送り、これの繰り返しで所定範囲で連続的に印刷が行われる。印刷の解像度は、300×300dpi以上が好ましく、それ以下であると、高精彩な印刷品質が得られない。被印刷物1への印刷が完了すると、被印刷面1aにUV硬化タイプのインクによる印刷11が施された立体形状印刷物8が得られる。その後、設置治具6を残して、複数の印刷物8は一括して移載治具3ごと取り出される。その後、設置治具6には新しい移載治具3に配列された被印刷物1が設置され、上記と同様にして印刷が行われる。
【0033】
以上説明した本実施形態にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具、立体形状印刷物の印刷方法、並びに立体形状印刷物にあっては、立体形状の被印刷物1が複数、その被印刷面1aをプリンターヘッド2に向けて搭載されるプレート状の移載治具3と、移載治具3に設けられ、被印刷物1相互の位置関係を位置決めする位置決め手段4と、プリンターヘッド2と連動してプリンターヘッド2の移動方向と直交する方向に移動するフラットベッド5上に取り外し可能に固定され、移載治具3が交換可能に搭載される設置治具6と、設置治具6に設けられ、フラットベッド5に対し移載治具3を位置固定する固定手段7とを備えた印刷治具であるとともに、これを用いて印刷を行い、得られる印刷物8であるので、被印刷物1をフラットベッド5に対し高い位置精度で位置決めできる態様で、複数の被印刷物1をプリンターに供給したり、プリンターから取り出したりする操作を一括して行うことができ、このようなハンドリング性の向上および被印刷物一個あたりのサイクルタイムの向上によってプリンターの印刷待機時間を短縮することができて、UV硬化型インクジェットプリンターによる多品種少量商品のマスプロダクション化に寄与することができる。
【0034】
また、位置決め手段4により被印刷物1相互の位置関係を位置決めするようにしたので、完成される立体形状印刷物8の印刷品質を高めることができる。また、仮止め部材12で被印刷物1を移載治具3に仮固定するようにしたので、UV硬化型インクジェットプリンターの印刷プロセスで被印刷物1に生じる位置ズレや浮き上がり、熱変形などを適切に抑制することができる。UV硬化型インクジェットプリンターにおける印刷プロセスや、被印刷物1のプリンターへの供給・取り出しを考慮して、移載治具3をアルミニウム製としたので、さらにマスプロダクション化を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかるUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具および立体形状印刷物の印刷方法の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示したUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具の側断面図である。
【図3】本発明にかかる立体形状印刷物の好適な一実施形態を示す、図1に示したUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具で印刷された立体形状印刷物の側断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 被印刷物
1a 被印刷面
2 プリンターヘッド
3 移載治具
4 位置決め手段
5 フラットベッド
6 設置治具
7 固定手段
12 仮止め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体形状の被印刷物が複数、その被印刷面をプリンターヘッドに向けて搭載されるプレート状の移載治具と、
該移載治具に設けられ、被印刷物相互の位置関係を位置決めする位置決め手段と、
プリンターヘッドと連動して該プリンターヘッドの移動方向と直交する方向に移動するフラットベッド上に取り外し可能に固定され、上記移載治具が交換可能に搭載される設置治具と、
該設置治具に設けられ、上記フラットベッドに対し上記移載治具を位置固定する固定手段とを備えたことを特徴とするUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項2】
被印刷物は、前記移載治具に仮止め部材を介して仮固定されることを特徴とする請求項1に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項3】
前記移載治具は、アルミニウム製であることを特徴とする請求項1または2に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項4】
前記位置決め手段は、複数の被印刷物を、前記プリンターヘッドの移動方向に0.1cm以上2cm以下の間隔を隔てて位置決めするために、互いに間隔を隔てて前記移載治具に設けられることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項5】
前記移載治具は、600cm2以上3600cm2以下の外形寸法で形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項6】
被印刷物は、被印刷面が100cm2以下で、厚さが0.1cm以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれかの項に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項7】
被印刷物の素材が熱可塑性樹脂や金属であることを特徴とする請求項1〜6いずれかの項に記載のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具。
【請求項8】
請求項1のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて被印刷物に印刷することを特徴とする立体形状印刷物の印刷方法。
【請求項9】
請求項1のUV硬化型インクジェットプリンターに用いる立体形状印刷物用印刷治具を用いて印刷されたことを特徴とする立体形状印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−136764(P2007−136764A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331174(P2005−331174)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】