説明

UV硬化性ポリウレタン分散体

【課題】高エネルギー放射線、特にUV放射線で硬化することができ、できる限り少ない有機溶媒を含有し、室温での物理的乾燥性を示し、木材基材上で素晴らしい木材の温かみおよび光沢を示し、非常に強く接着し、ならびに高硬度のフィルムをもたらすポリウレタン水性分散体を提供する。
【解決手段】ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルに基づく新たなUV硬化性ポリウレタン分散体、このポリウレタン分散体の製造ならびにラッカー、コーティングおよび/もしくは接着剤としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルに基づく新規なUV硬化性ポリウレタン分散体、そのポリウレタン分散体の製造ならびにラッカー、コーティングおよび/または接着剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
DE−A10206565は、3,4−エポキシ−1−ブテン由来の構造単位を含有する酸化乾燥またはUV硬化性のコーティング組成物用の、水希釈可能なポリウレタンを記載し、相当する不飽和ポリエーテル構造単位がポリマー中でブロックとして、任意に(メタ)アクリル酸構造単位または不飽和脂肪酸構造単位とともに存在する。それに記載された生成物の欠点は、十分な木材の温かみおよび光沢を示さないこと、硬化フィルムの振り子硬度が低すぎることであり、保存による後硬化が必要となる。
【0003】
DE−A4011349は、特定のアリルエーテルおよびポリアルキレングリコール分類を含有するポリエステルを含む不飽和ポリエステルポリウレタンを開示する。その生成物はポリアルキレングリコール分類を相対的に多い量で含有し、相対的に低い硬度ならびに特に着色液体および水に対して最適ではない耐性を有するコーティングをもたらす。
【0004】
US5095069は、側鎖アリルエーテル基およびポリマー骨格中でアリルエーテル基と内部で反応し得る付加的な他の不飽和基を含有する、熱硬化性の高分子量の水性ポリウレタンを開示する。該ポリマーは相対的に高い温度での焼き付けにより硬化する。さらに、これらの生成物は木材上で十分な木材の温かみおよび光沢を有さない。
【0005】
DE−A19525489は、ポリエステルアクリレートプレポリマーに基づく、優れた物理的乾燥性、高硬度および優れた化学薬品耐性を有するコーティングへ加工し得るポリエステルアクリレートウレタン分散体を開示する。しかしながら、フィルムの視覚的な特性、特に木材上での木材の温かみおよび光沢は、多目的の利用に必要なレベルに達しない。
【0006】
EP−A1142947は、改良された木材の温かみおよび光沢を有する物理的乾燥性ポリウレタン分散体を記載し、それは2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)を含有する。それでもなお、そこで言及する木材の温かみおよび光沢における改良は、多目的の利用にはまだ不十分である。
【特許文献1】DE−A10206565
【特許文献2】DE−A4011349
【特許文献3】US5095069
【特許文献4】DE−A19525489
【特許文献5】EP−A1142947
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多くの用途にとって、ラッカー技術における今日まで既知の水性UV硬化性ポリウレタン分散体は欠点を有し、それは、物理的手段により乾燥するが、その後、木材基材上で最適な木材の温かみおよび光沢が生じないか、または完全に硬化する前に通常はより良い木材の温かみおよび光沢を有するが、物理的乾燥なしでは粘着性で傷つきやすいフィルムを生じる可能性があるかのいずれかである。
【0008】
それゆえ、本発明の目的は高エネルギー放射線、特にUV放射線で硬化することができ、できる限り少ない有機溶媒を含有し、室温での物理的乾燥性を示し、木材基材上で素晴らしい木材の温かみおよび光沢を示し、非常に強く接着し、ならびに高硬度のフィルムをもたらすポリウレタン水性分散体を提供することであった。さらに、本発明による分散体は、例えば水、アルコール、赤ワインおよびコーヒーのような物質に対して暴露耐性のあるコーティングへと加工可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂を含有するポリウレタン分散体は課される要求を満足することが見いだされた。
【0010】
本発明は、ビルダー成分として、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂を含有するポリウレタン水性分散体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によるポリウレタン分散体は、
a)少なくとも一つの、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂、
b)少なくとも一つの、少なくとも二官能性のポリイソシアネート、および
c)少なくとも一つの親水化成分
の反応生成物を含有する。
【0012】
本発明によるポリウレタン分散体は、任意に、
d)不飽和基を含有するポリマーおよび/またはモノマー、
e)ヒドロキシル基および/またはアミノ基を含有するオリゴマー、ポリマーおよび/またはモノマー、および
f)モノ−、ジ−、ポリ−アミンおよび/またはヒドロキシアミン
からなる群から選択される成分を含有する。
【0013】
本発明によるポリウレタン分散体は、
3〜50重量%、好ましくは3〜35重量%の成分a)、7〜50重量%、好ましくは12〜40重量%の成分b)、1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%の成分c)、10〜75重量%、好ましくは30〜65重量%の成分d)、0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%の成分e)および0.1〜6重量%、好ましくは0.25〜4重量%の成分f)
の反応生成物を含有し、a)〜f)のパーセンテージデータは合計で100重量%になる。
【0014】
好ましくは、本発明によるポリウレタン分散体は、
a)少なくとも一つの不飽和ポリエステル樹脂、
b)少なくとも一つの、少なくとも二官能性のポリイソシアネート、
c)少なくとも一つのヒドロキシル基、アミノ基および/またはチオ基および少なくとも一つのイオン性基または潜在的イオン性基および/またはエチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの共重合体および/またはブロック共重合体の構造単位を有する、少なくとも一つの親水化成分、
d)(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテルエステル(メタ)アクリレートおよびアリルエーテル構造単位を有する不飽和ポリエステルからなる群から選択される、少なくとも一つの成分、
e)任意に、分子量62〜242のヒドロキシ官能性ジオールおよび/またはトリオールおよび/またはヒドロキシ官能性オリゴマーまたはポリマー、例えば数平均分子量700〜4,000g/molのポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、C−、C−および/またはC−ポリエーテル、ポリエーテルエステルおよびポリカーボネートポリエステル、ならびに
f)少なくとも一つのモノ−、ジ−および/またはポリ−アミンおよび/またはヒドロキシアミン
の反応生成物を含有する。
【0015】
特に好ましい、上記の本発明によるポリウレタン分散体は、成分a)が、少なくとも一つの、5〜35重量%のジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂であり、成分b)が、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを少なくとも60重量%の範囲で含んでなる、少なくとも一つの少なくとも二官能性のポリイソシアネートであり、成分d)が、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよび/またはポリエーテルエステルアクリレートからなる群から選択される、少なくとも一つの化合物であって、不飽和基に加えてヒドロキシル基をも含有するものである。
【0016】
好ましくは、本発明によるポリウレタン分散体は、高エネルギー放射線、例えば、電子線または紫外線で硬化する可能性を生じる、または硬化を促進する、少なくとも一つの開始剤ならびに任意のさらなる補助物質および添加剤を含有する。
【0017】
適当な開始剤は、例えば、UV光または可視光により活性化され得る光開始剤である。光開始剤はそれ自体既知である市販の化合物であり、単分子「I型」と二分子「II型」
の開始剤とに区別される。適当な「I型」系は、芳香族ケトン化合物、例えば、三級アミンとの組み合わせにおけるベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは既述の種の混合物などである。「II型」開始剤はさらに適当であり、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチル−ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノンおよびα−ヒドロキシアルキルフェノンである。水性コーティング組成物へ容易に組み入れできる光開始剤は好ましい。そのような生成物は、例えば、Irgacure(登録商標)500、Irgacure(登録商標)819DW(チバ、ランペルトハイム、ドイツ国)およびEsacure(登録商標)KIP(ランベルティ、Aldizzate、イタリア国)である。また、これらの化合物の混合物を用いてもよい。
【0018】
ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a)は、
a1)ヒドロキシ官能性のジオール、トリオールまたはポリオールと
a2)カルボキシル官能性または無水物官能性の原料と
a3)ジシクロペンタジエンおよび
a4)任意にさらなる原料
とのエステル化またはエステル交換により得られる。
【0019】
適当なヒドロキシ官能性のジオール、トリオールまたはポリオールa1)は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ベンジルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ブチルジグリコール、ブチルグリコール、および既述のヒドロキシ官能性化合物とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物である。
【0020】
好ましい成分a1)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルジグリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオールおよび/またはヘキサンジオールである。
【0021】
適当なカルボキシ官能性または無水物官能性の原料a2)は、無水マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸、アジピン酸、大豆油脂肪酸、オレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、安息香酸、2−エチルヘキサン酸または飽和C〜C20−モノカルボン酸である。
【0022】
好ましい原料a2)は、無水マレイン酸、無水フタル酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物および/またはアジピン酸であり、成分a2)は、特に好ましくは、無水マレイン酸の少なくとも一部を常に含有する。
【0023】
任意に含有するさらなる原料a4)は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルおよびまたはトリメチロールプロパンジアリルエーテル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸、メタクリル酸、大豆油および他の天然由来の油であってよい。
【0024】
ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂は、好ましくは、
a1)30〜65重量%のヒドロキシ官能性のジオール、トリオールまたはポリオールと
a2)25〜65重量%のカルボキシル官能性または無水物官能性の原料と
a3)5〜35重量%のジシクロペンタジエン
との反応生成物であり、a1)〜a3)のパーセンテージデータは合計で100重量%になる。
【0025】
ジシクロペンタジエン基を含有する不飽和ポリエステル樹脂は、それ自体既知のエステル化過程により得られ、一つまたは好ましくは複数の段階において140〜220℃の温度で行い、水を分離する。
【0026】
例えば、成分a)を次の手順により調製でき、最初の段階で半エステルを、例えば、無水マレイン酸のような酸無水物および例えばジエチレングリコールのようなジオールから、140℃〜150℃で形成し、その後140℃でジシクロペンタジエンと反応させる。さらなるジオール、例えば、ジエチレングリコールとエチレングリコールとの混合物および安定剤(例えばトルヒドロキノン)をその後添加し、混合物を190℃まで加熱し、エステル化を、所望の酸価、ヒドロキシル価および/または不飽和ポリエステル樹脂の粘度に達するまで行う。冷却後、安定化を(例えばトルヒドロキノンおよびトリメチルヒドロキノンを用いて)再び行い、任意にアセトンに溶解後、生成物を容器に移し替える。
【0027】
また、例えば、イソオクタン、イソノナン、トルエン、キシレンまたはシクロヘキサンのような共沸共留剤を任意に用いてもよい。
【0028】
エステル化を、特定の酸価および/または特定のヒドロキシル価に達するまで、また任意に特定の粘度に達するまで通常に行う。
【0029】
安定剤を、例えば、トルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノンおよび/またはジ−tert−ブチルヒドロキノンを安定化目的のために添加する。
【0030】
適当な少なくとも二官能性のポリイソシアネートb)は、例えば、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアナト−シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−またはp−キシリレン−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)および4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンおよびそれらの、任意に他のイソシアネートおよび/または高官能価の同族体またはオリゴマーであってウレタン、ビウレット、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはウレットジオン基を有するものとの混合物である。
【0031】
好ましくは、ポリイソシアネート成分b)は脂環式および/または脂肪族の、少なくとも二官能性のイソシアネートを少なくとも60重量%含有する。
【0032】
ポリイソシネート成分b)は、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4/(2,6)−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを、任意に2,4−ジイソシアナトトルエンまたは2,6−ジイソシアナトトルエンとの組み合わせにおいて、特に好ましく含有する。
【0033】
成分c)は好ましくは、少なくとも一つのヒドロキシル基、アミノ基および/またはチオ基および少なくとも一つのイオン性基または潜在的イオン性基および/または親水化作用を有する非イオン性基、例えばC−またはC/C−ポリエーテル基を有する親水化成分である。
【0034】
これに関して、好ましく適当なイソシアネート反応性基はヒドロキシル基およびアミノ基である。
【0035】
イオン性基または潜在的イオン性基は官能価、例えば−COOY、−SOY、−PO(OY)(Yは例えばH、NH、金属カチオンである)および−NR、−NR(RはH、アルキル、アリールである)などを意味するとして理解され、水性媒体との相互作用でpH依存の解離平衡になり、このように負、正または中性に帯電してもよい。
【0036】
適当なイオン性または潜在的イオン性の成分c)は、例えば、モノ−およびジヒドロキシカルボン酸、モノ−およびジアミノカルボン酸、モノ−およびジヒドロキシスルホン酸、モノ−およびジアミノスルホン酸およびモノ−およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ−およびジアミノホスホン酸およびそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバル酸、N−(2−アミノエチル)−アラニン、2−(2−アミノ−エチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミン−プロピル−またはブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5−ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸の付加生成物(EP−A0916647、実施例1)およびアルカリ金属および/またはアンモニウムのそれらの塩、ブテン−2−ジオール−1,4−ポリエーテル−スルホン酸塩上の亜硫酸水素ナトリウムの付加化合物、例えば、DE−A2446440(5〜9頁)式I〜III)に記載された2−ブテンジオールとNaHSOのプロポキシル化付加化合物、および例えばN−メチル−ジエタノールアミンのようなカチオン基を親水性構造の成分として変換できる単位である。好ましいイオン性または潜在的イオン性の化合物はカルボキシル基またはカルボン酸基および/またはスルホン酸基および/またはアンモニウム基を有するものである。特に好ましいイオン性化合物は、イオン性基または潜在的イオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホン酸基、例えば2−(2−アミノ−エチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIとアクリル酸の付加生成物(EP−A0916647、実施例1)の塩およびジメチロールプロピオン酸の塩を含有するものである。
【0037】
非イオン的な親水化作用を有する適当な化合物は、例えば、少なくとも一つのヒドロキシル基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、エチレンオキシドに由来する単位を30重量%〜100重量%の含量で有する。直鎖構造の、1〜3の間の官能価を有するポリエーテル、ならびに、一般式(I):
【化1】

(式中、
およびRは、いずれの場合にも互いに独立して、二価の、1〜18個のC原子を有する、脂肪族、脂環式または芳香族の基を示し、それらは酸素および/または窒素原子により中断されていてよく、
はアルコキシ末端ポリエチレンオキシド基を表す。)
の化合物であってよい。
【0038】
非イオン的な親水化作用を有する化合物としては、例えば、1分子につき統計的平均が5〜70個の、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を有する単官能性のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールも挙げられ、例えば、適当な出発分子のアルコキシル化によって、それ自体既知の方法で入手できる(例えば、「工業化学のウルマンの百科事典」(Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie)、第4版、第19巻、Verlag Chemie、ワインハイム 31〜38頁において)。
【0039】
適当な出発分子は、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体のメチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコールのような飽和アルコール、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコールのような不飽和アルコール、例えばフェノール、異性体のクレゾールまたはメトキシフェノールのような芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコールのようなアラリファチック(araliphatic)アルコール、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)−アミン、N−メチル−およびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンのような二級モノアミンならびに例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールのようなヘテロ環二級アミンである。好ましい出発分子は飽和モノアルコールである。ジエチレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテルを出発分子として使用することが特に好ましい。
【0040】
アルコキシル化反応にとって適当であるアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、アルコキシル化反応において、所望の順番で、あるいはまた混合物中で、これらを用いてよい。
【0041】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールはピュアポリエチレンオキシドポリエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかであり、そのアルキレンオキシド単位は少なくとも30mol%の範囲で、好ましくは少なくとも40mol%の範囲でエチレンオキシド単位を含んでなる。好ましい非イオン性化合物は、少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位および60mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する、単官能性の混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0042】
既述の酸を、中和剤、例えばトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、アンモニア、N−メチルモルホリン、NaOHおよび/またはKOHとの反応により、相当する塩へ変換する。これに関し、中和度は50〜125%の間である。
【0043】
不飽和基を含有する、適当なモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーd)は、例えば、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテルエステル(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、アリルエーテル構造単位を有する不飽和ポリエステルおよび既述の化合物の組み合わせである。
【0044】
成分d)はラジカル重合によって重合できる二重結合を含有し、好ましくはヒドロキシ官能性−アクリレートおよび/またはメタクリレートのものである。例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Union Carbide、米国)のようなポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシ化、プロポキシル化またはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのような多価アルコールのモノ−、ジ−、トリ−またはテトラアクリレート、または工業用グレードのそれらの混合物である。
【0045】
二重結合を含有する酸と任意に二重結合を含有する単量体のエポキシド化合物との反応から得ることができるアルコール、従って例えば、(メタ)アクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートまたはバーサチック酸のグリシジルエステルとの反応生成物はまた適当である。
【0046】
アクリレート基および/またはメタクリレート基を含有する、イソシアネート反応性のオリゴマーまたは重合体の不飽和化合物を、それだけで、または上述の単量体の化合物との組み合わせにおいて、成分d)としてさらに用いてもよい。30〜300mgKOH/g、好ましくは60〜200mgKOH/g、特に好ましくは70〜120mgKOH/gのOH含量を有するポリエステルアクリレートを成分d)として好ましく用いる。
【0047】
合計で7つの群のモノマー構成成分を、ヒドロキシ官能性ポリエステルアクリレートd):
1.(シクロ)アルカンジオール、例えば、62〜286の範囲の数平均分子量の、(環 式)脂肪族的に結合したヒドロキシル基を有する二価アルコール、例えばエタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールならびにエーテル酸素を含有するジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび200〜4,000、好ましくは300〜2,000、特に好ましくは450〜1,200の数平均分子量を有する、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブチレングリコール。上述のジオールとε−カプロラクトンまたは他のラクトンとの反応生成物を、ジオールとして同様に使用し得る。
2.92〜254の範囲の数平均分子量の、三価または三価を超えるアルコール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールまたはこれらのアルコールで出発するポリエーテル、例えば、1molのトリメチロールプロパンと4molのエチレンオキシドとの反応生成物。
3.モノアルコール、例えばエタノール、1−および2−プロパノール、1−および2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノールおよびベンジルアルコール。
4.104〜600の範囲の数平均分子量のジカルボン酸および/またはその無水物、例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸および水素化二量体脂肪酸。
5.高官能価のカルボン酸およびその無水物、例えば、トリメリット酸および無水トリメリット酸。
6.モノカルボン酸、例えば、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸ならびに天然および合成の脂肪酸。
7.アクリル酸、メタクリル酸および二量体アクリル酸。
の調製において使用できる。
【0048】
ヒドロキシル基を含有する適当なポリエステルアクリレートd)は、群1または群2からの少なくとも一つの構成成分と、群4または群5からの少なくとも一つの構成成分および群7からの少なくとも一つの構成成分との反応生成物を含有する。
【0049】
1群からの好ましい構成成分は、エタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールおよびエーテル酸素を含有するジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。
【0050】
2群からの好ましい構成成分は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはこれらのアルコールで出発するポリエーテル、例えば、1molのトリメチロールプロパンと4molのエチレンオキシドとの反応生成物である。
【0051】
4群および5群からの好ましい構成成分は、無水フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、無水マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸および水素化二量体脂肪酸および無水トリメリット酸である。
【0052】
7群からの好ましい構成成分はアクリル酸である。
【0053】
先行技術から一般に既知の分散作用を有する基を、これらのポリエステルアクリレートに任意に組み入れできる。従って、ポリエチレングリコールおよび/またはメトキシポリエチレングリコールをアルコール成分の一部として共に使用してよい。言及できる化合物は、例えば、アルコールに出発するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらのブロック共重合体ならびにこれらのポリグリコールのモノメチルエーテルである。ポリエチレングリコール1500−および/またはポリエチレングリコール500−モノメチルエーテルは特に適当である。
【0054】
カルボキシル基の一部、特に(メタ)アクリル酸のものを、エステル化後にモノ−、ジ−またはポリエポキシドと反応させることがさらに可能である。好ましい化合物は、例えば、単量体、オリゴマーまたは重合体のビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールのエポキシド(グリシジルエーテル)またはそれらのエトキシ化および/またはプロポキシル化誘導体である。エポキシドと酸との反応においていずれの場合にもOH基を形成するので、この反応を使用して、特に、ポリエステル(メタ)アクリレートのOH価を増加させることができる。得られる生成物の酸価は0〜20mgKOH/g、好ましくは0〜10mgKOH/g、特に好ましくは0〜5mgKOH/gである。反応は、触媒、例えばトリフェニルホスフィン、チオジグリコール、アンモニウムおよび/またはホスホニウムハロゲン化合物および/またはジルコニウムまたは錫の化合物、例えばエチルヘキサン酸錫(II)によって好ましく触媒作用を受ける。
【0055】
ポリエステルアクリレートの調製はDE−A4040290(3頁25行〜6頁24行)、DE−A−3316592(5頁14行〜11頁30行)およびP.K.T Oldring(編)、「コーティング、インクおよび塗料のためのUVおよびEB形成の化学と技術」(Chemistry&Technology of UV&EB Formulations For Coatings,Inks&Paints)、第2巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、123〜135頁に記載されている。
【0056】
成分d)として同様に好ましい化合物は、それ自体既知の、20〜300mgKOH/g、好ましくは100〜280mgKOH/g、特に好ましくは150〜250mgKOH/gのOH含量を有する、ヒドロキシル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を含有し、20〜300mgKOH/g、好ましくは40〜150mgKOH/g、特に好ましくは50〜100mgKOH/gのOH含量を有する(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、ならびに互いにそれらの混合物およびヒドロキシル基を含有する不飽和ポリエステルとそれらの混合物およびポリ(メタ)アクリレートとそれらの混合物またはヒドロキシル基を含有する不飽和ポリエステルとポリ(メタ)アクリレートとの混合物である。そのような化合物はP.K.T Oldring(編)、「コーティング、インクおよび塗料のためのUVおよびEB形成の化学と技術」(Chemistry&Technology of UV&EB Formulations For Coatings,Inks&Paints)、第2巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、37〜56頁に同様に記載されている。ヒドロキシル基を含有するエポキシ(メタ)アクリレートは特にアクリル酸および/またはメタクリル酸と単量体のエポキシド(グリシジル化合物)、オリゴマーまたは重合体のビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールまたはエトキシ化および/またはプロポキシル化されたそれらの誘導体との反応生成物に基づく。
【0057】
(ポリ)エーテルアクリレートは、アクリルおよび/またはメタクリル酸と遊離ヒドロキシル基を有するポリエーテルとの反応生成物であり、成分d)として同様に適当である。ポリエーテルは、例えば、望ましいヒドロキシ官能性および/またはアミン官能性出発分子、例えばトリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオールおよび/またはヘキサンジオールでのエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒドロフランの、ホモ−、コ−またはブロック−共重合体である。
【0058】
また、成分d)は、不飽和化合物に加えて、NCO反応性化合物、特にヒドロキシル基を好ましく含んでなる。ポリウレタン分散体への部分的または完全な組み入れは、このヒドロキシル基を経て可能である。ヒドロキシル基を有する、または有さない各種の成分d)を同時に用いることができ、成分d)の一部をポリウレタンへ組み入れ、組み入れる親水性基を含有しない場合、一部をポリウレタンを介して分散させ、この場合重合体の乳化剤としての機能を果たす。
【0059】
好ましい成分d)は、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよび/またはポリエーテルエステルアクリレートからなる群から選択される化合物であり、それは、不飽和基に加えてヒドロキシル基をも含有する。
【0060】
ヒドロキシ官能性のポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびポリエポキシアクリレートは、成分d)として特に好ましい。
【0061】
ヒドロキシル基および/またはアミノ基を含有する適当なオリゴマー、ポリマーおよび/またはモノマーe)は、例えば、
1)低分子量ポリオール、例えば、脂肪族、アラリファチック(araliphatic)または脂環式の、2〜20炭素原子を含有するジオールまたはトリオール。ジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)および2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)である。1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
2)オリゴマーまたは高分子量ポリオール、例えば、500〜13,000g/mol、好ましくは700〜4,000g/molの範囲の数平均分子量を有するジ−またはポリオールまたはアミノアルコール、例えば、ヒドロキシ官能性オリゴマーまたはポリマー、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、C−、C−および/またはC−ポリエーテル、ポリエーテルエステルまたはポリカーボネートポリエステル。1.5〜3.5、好ましくは1.8〜2.5の平均ヒドロキシル官能価を有するポリマーが好ましい。
である。
【0062】
適当なポリエステルアルコールは、脂肪族、脂環式および/または芳香族のジ−、トリ−および/またはポリカルボン酸とジ−、トリ−および/またはポリオールに基づくもの、およびラクトンに基づくポリエステルアルコールである。好ましいポリエステルアルコールは、例えば、アジピン酸、イソフタル酸および無水フタル酸とヘキサンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、モノエチレングリコールもしくはネオペンチルグリコールまたは数平均分子量が500〜4,000、好ましくは800〜2,500の、既述のジオールの混合物との反応生成物である。
【0063】
ポリエーテルオールは、環状エーテルの重合により、またはアルキレンオキシドと出発分子との反応により得られ、同様に適当である。
【0064】
言及できる例は、500〜13,000の数平均分子量の、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレングリコールおよびさらに500〜8,000、好ましくは800〜3,000の数平均分子量のポリテトラヒドロフランである。
【0065】
ヒドロキシル末端ポリカーボネートは、ジオール、またはラクトン変性ジオール、またはビスフェノール、例えばビスフェノールAと、ホスゲンまたは炭酸ジエステル、例えばジフェニルカーボネートまたはジメチルカーボネートとの反応により入手でき、同様に適当である。言及できる例は、500〜8,000の平均分子量の1,6−ヘキサンジオールの重合体カーボネート、および1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンとの1〜0.1のモル比での反応生成物のカーボネートである。1,6−ヘキサンジオールに基づく、800〜3,000の平均分子量の、上述のポリカーボネートジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンとの1〜0.33のモル比での反応生成物のカーボネートが好ましい。
【0066】
ヒドロキシル末端ポリアミドアルコールおよびヒドロキシル末端ポリアクリレートジオール、例えば、Tegomer(登録商標)BD1000(テゴ社(Tego GmbH)、エッセン、ドイツ国)を同様に用いることができる。
【0067】
本発明によるポリウレタン分散体は、成分d)としてヒドロキシ官能性ポリエステルアルコールおよび/またはヒドロキシル末端ポリカーボネートおよび/またはヒドロキシ官能性C−ポリエーテルを好ましく含有する。
【0068】
適当なモノ−、ジ−、ポリアミンおよび/またはヒドロキシアミンf)を、モル質量を増加させるために使用するが、モル質量を制限する、またはポリマーを分岐させるために使用することもでき、重付加反応の末期に好ましく添加する。この反応を有機相および/または水性媒体中で行うことができる。ジ−および/またはポリアミンは通常は成分b)のイソシアネート基に対して水より反応性がある。言及できる例は、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、イソホロンジアミン、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、アミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドであり、それらはJeffamin(登録商標)、Dシリーズ(ハンツマン社欧州(Huntsman Corp.Europe)、ベルギー)の名称で得られ、アルコキシシラン基含有モノ−もしくはジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびヒドラジンである。イソホロンジアミン、エチレンジアミンおよび/または1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。エチレンジアミンは特に好ましい。
【0069】
また、モノアミン、例えば、ブチルアミン、エチルアミンおよびJeffamin(登録商標)Mシリーズ(ハンツマン社欧州(Huntsman Corp.Europe)、ベルギー)のアミンおよびアミノ官能性ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの一部を添加できる。
【0070】
また、本発明は本発明によるポリウレタン分散体の製造方法を提供し、イソシアネート官能性プレポリマーを、一つまたは複数の反応段階で、成分a)、c)、任意にd)およびe)と、過剰な成分b)とを反応させて得ることを特徴とし、分散に必要なイオン性基を生成する中和剤を、このプレポリマーの調製前、調製中または調製後に添加可能であり、その後プレポリマーへの水の添加または水を含む容器へのプレポリマーの移し替えを行い、任意にその後、成分f)の添加により鎖延長段階が続くことを特徴とする。
【0071】
その後、任意に添加する溶媒を蒸留によって分散体から取り除くことができる。
【0072】
本発明によるポリウレタン分散体の製造を多種の方法で行うことができる。
【0073】
本発明による方法の考えられる実施態様の一つにおいて、成分a)、c)、任意のd)およびe)を、任意に有機溶液中で、過剰な成分b)と一つの反応段階で反応させて、イソシアネート官能性プレポリマーを付与し、分散に必要なイオン性基を生成する中和剤を、このプレポリマーの調製前、調製中または調製後に添加可能であり、その後にプレポリマーへの水の添加または水を含む容器へのプレポリマーの移し替えによる分散段階が続く。その後、鎖延長を成分f)の添加により行うことができ、任意に溶媒を取り除くことができる。
【0074】
本発明による製造方法のさらなる実施態様は、成分a)、c)、任意のd)およびe)と、任意に有機溶液中で、過剰な成分b)との、一つの反応段階での、イソシアネート官能性プレポリマーを付与するための反応であり、分散に必要なイオン性基を生成する中和剤を、このプレポリマーの調製前、調製中または調製後に添加可能であり、その後に成分f)の添加による鎖延長段階が続き、その後にプレポリマーへの水の添加または水を含む容器へのプレポリマーの移し替えによる分散段階が続く。その後、蒸留によって溶媒の除去を行うことができる。
【0075】
本発明による製造方法のさらなる実施態様は、多段階過程でのプレポリマーの調製を同様に含んでなり、最初の段階で、成分a)およびc)を過剰な成分b)と反応させ、その後2番目の反応段階でこの中間体生成物を成分d)および/またはe)と反応させ、その後に分散および成分f)を用いる鎖延長が続き、またはその後に鎖延長および分散が続き、分散段階前または分散段階中でも、反応手順の所望の時点で中和剤を添加することができる。その後、蒸留による溶媒の除去を行うことができる。
【0076】
多段階過程は、他の、成分の反応順番でも当然に可能である。
【0077】
同様に、分散段階および蒸留段階を並行して、すなわち同時に行ってもよい。
【0078】
本発明によるポリウレタン分散体の製造は、20〜150℃、好ましくは25〜75℃で通常行う。
【0079】
適当な溶媒は、原則として、反応成分と反応しない全ての溶媒または溶媒混合液であり、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ブチルアセテート、エチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、キシレン、トルエン、ナフサ溶媒、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンまたはアセトンである。その後、溶媒を蒸留によって完全に、または部分的に除去し得る。本発明による分散体の製造後に、さらなる溶媒、例えば、ヒドロキシ官能性溶媒、例えば、ブチルジグリコール、メトキシプロパノールまたはブチルグリコールを添加することも可能である。
【0080】
アセトン中で調製し、その後、分散体の製造後または分散段階中に、蒸留により溶媒を除去することが好ましい。本発明によるポリウレタン分散体は、有機溶媒を5重量%より少なく、好ましくは1重量%より少なくおよび特に好ましくは0.5重量%より少なく含有する。
【0081】
本発明による方法を、特定の触媒を用いて行うことができる。適当な触媒は、原則としてイソシアネート基とヒドロキシル基との反応を触媒するもの全てであり、例えば三級アミン、および錫、亜鉛またはビスマスの化合物、特にトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン、錫ジオクトエートまたはジブチル錫ジラウレート
である。
【0082】
亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、モリブデンおよびビスマスの塩は同様に適当であり得る。当業者は触媒の量を調製の所要量に適合させることができる。適当な量は例えば0.002〜1重量%であり、0.01〜0.1重量%の使用が好ましい。また、触媒を用いないで反応を行うこともできる。
【0083】
本発明によるポリウレタン分散体を、透明ラッカーとして、および/または着色ラッカーおよびコーティングとして、および接着剤中で、または接着剤として用いることができる。これに関して、それを単独バインダーとして用いることができるが、他のバインダーとの組み合わせにおいても用いることができ、それは好適には、分散体の形態に限定されない。
【0084】
それゆえ本発明は、本発明によるポリウレタン分散体を含んでなるバインダー混合物をも提供する。
【0085】
本発明によるポリウレタン分散体を、他の分散体とのバインダー混合物中で用いてもよい。これらは、不飽和基を同様に含有する分散体、例えば、不飽和の重合可能な基を含有し、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、エポキシアクリレート、ポリマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンポリアクリレートおよび/またはポリアクリレートに基づく分散体であってよい。
【0086】
本発明によるバインダー混合物は、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリマーおよび/またはポリアクリレートであって、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基および/または任意にブロックト形態で存在するイソシアネート基のような官能基を含有するものに基づく、それらの分散体を含んでなってもよい。例えば、二つの異なった機構を経て硬化できる二重硬化系は、このように調製できる。
【0087】
本発明によるバインダー混合物は、官能基を含有しないポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリビニルエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、塩化ゴム、ポリカーボネート、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリエポキシドおよびエポキシアクリレートに基づく分散体を含んでなってもよい。例えば、架橋密度をこのように減少させることができ、物理的乾燥性に影響(例えば、加速化)を与え、または弾性化(elastification)、または接着性への適合を行う。
【0088】
本発明によるポリウレタン分散体を含んでなるコーティング組成物は、また、本発明によるバインダー混合物中に、例えば、メラミンまたは尿素に基づくアミノ架橋樹脂、および/または遊離またはブロックトポリイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば、ウレタン、ウレットジオン、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ビウレットおよび/またはアロファネートの構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/またはトルイリデンジイソシアネートに由来する、任意に親水化基を含有するポリイソシアネートに基づくもの、を含み得る。
【0089】
本発明によるポリウレタン分散体を、不飽和基を含有する、水溶性または水分散性ではないオリゴマーまたはポリマーとの混合物中で用いてもよく、不飽和基を含有する、水溶性または水分散性ではないオリゴマーまたはポリマーを、分散前に本発明によるポリウレタン分散体へ添加し、その結果、本発明によるポリウレタン分散体はこの物質にとって重合体乳化剤として働く。
【0090】
いわゆる反応性希釈剤、不飽和基を有する低粘度化合物、例えば、ビスフェノールAに基づくヘキサンジオールビスアクリレート、トリメチロールプロパン、トリスアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジエポキシドビスアクリレートは、同様に本発明による分散体との組み合わせに適当であり得る。
【0091】
本発明による分散体に基づくラッカー、コーティング系および接着剤は種々の添加剤および付加的な物質、例えば、安定剤、開始剤、酸価防止剤、フロー剤、消泡剤、湿潤剤、促進剤および/または光防護剤を含み得る。
【0092】
また、本発明は、ラッカーおよびコーティングおよび/または接着剤の中で、またはラッカーおよびコーティングおよび/または接着剤としての、本発明によるポリウレタン分散体の使用を提供する。
【0093】
原則として、全ての基材を、本発明による分散体を用いてラッカー処理および塗装処理でき、例えば、それは、鉱物基材、木、木材、家具、寄せ木細工、ドア、窓枠、金属性のもの、プラスチック、紙、厚紙またはコルクである。
【0094】
本発明によるポリウレタン分散体は一塗装ラッカーとして、プライマーとして、および/または表面ラッカーとして用いることができる。例えば、スプレー法、回転法、ディップ法、ローラー塗布法および注入法によって塗布することができる。
【0095】
本発明による分散体は接着剤中でまたは接着剤として、例えば、接触接着剤中で、熱活性接着剤中で、または積層接着剤中で用いてもよい。
【実施例】
【0096】
1)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a1)の調製
無水マレイン酸42.47部およびジエチレングリコール22.95部を、電気加熱、内部冷却コイル、アンカースターラー、還流冷却器、カラム、ガラス製ブリッジならびに窒素注入口および配管を備えた高品位スチール製装置中へと計量し、窒素を通過させ発熱反応を利用しながら、混合物を窒素で不活性状態にし、1時間で150℃まで加熱し、半エステル形成を完了させるためにこの温度で1時間撹拌する。140℃まで冷却後、ジシクロペンタジエンを16.45部添加し、混合物を140℃で4時間保持する。終わりに、酸価(205+/−5)およびOH価(15未満)を測定する。その後、5.95部のエチレングリコール、17.73部のジエチレングリコールおよび0.2部のトルヒドロキノンを添加する。頭上温度が105℃を超えて上昇しないように混合物を190℃まで加熱し、この温度を、酸価おおよそ12およびヒドロキシル価105〜125mgKOH/g物質をエステル化によって得るまで維持する。150℃まで冷却後、0.1部のトルヒドロキノンおよび0.03部のトリメチルヒドロキノンを添加する。その後、混合物をさらに55℃まで冷却し、アセトンに溶解させる。おおよそ72%濃度溶液の、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a1)が生じる。
【0097】
2)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体2)の製造
実施例1)で調製した158.4部の成分a1)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)、成分d)、26.8部のジメチロールプロピオン酸、成分c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネート、成分b)、および0.6部のジブチル錫ジラウレートを180部のアセトン中に溶解させ、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで50℃で反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を、撹拌しながら、1,100部の蒸留水へ導入する。その後、10.2部のエチレンジアミン、成分g)と31.0部の水との混合物を、撹拌しながら、分散体へ添加する。その後に、わずかな減圧によりアセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、42重量%の固形含量、おおよそ125nmの平均粒子径および7.9のpHを有するポリウレタン分散体2)を得る。
【0098】
【表1】

【0099】
耐性の測定を基材としてのブナノキ材上で行った。
【0100】
木材地の温かみと光沢を、外観検査により、基材としてのサペリ材上で評価し、訓練を受けた経験豊かなラッカー技巧者による基準と比較する。
【0101】
塗布は、交差塗布で箱型ドクターブレードを用いて、2回の150μmウェットフィルムの塗布を行う。乾燥は1回の塗布につき10分/50℃で行う。中間研磨を400番のサンドーペーパーを用いて行う。
【0102】
10分/50℃(または1時間/25℃)の乾燥後、物理的乾燥性を測定する。乾燥後にフィルムの粘着性が無い場合、物理的乾燥性は満足するものである。その後、振り子硬度を測定してもよく、通常は5〜30sの範囲である。
【0103】
UV硬化を水銀ランプを用いて、80W/cmで、ベルト速度5m/分で行う。その後、完成パネルを16時間、室温で保管し、後に試験を行う。
【0104】
振り子硬度または振り子減衰をケーニッヒ法(DIN53157)によって秒振り子で測定する。
【0105】
接着性をクロスハッチ試験(Gitterschnitt−Test)(DIN53151)によって測定する。GT0は優れた接着性(=評価5)として評価する。
【0106】
硬貨を用いて削ることで削り後の白化を試験する。削り箇所で全く白化が検出されない場合、この結果は優秀(=評価5)として評価する。
【0107】
反応性をベルト速度(5m/分、10m/分、15m/分)を増加させ、得られる振り子硬度を各時間で計測することによって決定する。速いベルト速度でさえも100sを超える振り子硬度を得る場合、高反応性により分散体は優れている。
【0108】
3)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体3)の製造
実施例1)で調製した158.4部の成分a1)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)d)、26.8部のジメチロールプロピオン酸および12.3部のポリエステルLB25(バイエルマテリアルサイエンス社、レーバークーゼン、ドイツ国)c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部の錫ジオクトエートを140部のアセトン中に溶解させ、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで50℃で反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を1,100部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、10.2部のエチレンジアミン、成分f)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、40.7重量%の固形含量、おおよそ96nmの平均粒子径および8.2のpHを有するポリウレタン分散体3)を得る。
【0109】
4)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体4)の製造
実施例1)で調製した158.4部の成分a1)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)d)、26.8部のジメチロールプロピオン酸c)、45.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび94.4部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部のジブチル錫ジラウレートを180部のアセトン中に溶解させ、撹拌しながら、NCO含量1.2重量%まで50℃で反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を1,100部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、6.6部のエチレンジアミン、成分f)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、41.2重量%の固形含量、おおよそ170nmの平均粒子径および8.3のpHを有するポリウレタン分散体4)を得る。
【0110】
5)ポリエステルアクリレートd1)の調製
797部の無水マレイン酸、6,006部のポリエーテルDesmophen(登録商標)4011T(プロポキシル化トリメチロールプロパン、OH価550mgKOH/g物質、バイエルマテリアルサイエンス社、ドイツ国)、2,106部のアクリル酸、3,642部のイソオクタン、85.3部のトルエンスルホン酸および26.2部のジ−tert−ブチルヒドロキノンを、電気加熱、内部冷却コイル、アンカースターラー、還流冷却器、ガラス製ブリッジ、ウォーターサックならびに窒素注入口および配管を備えた高品位スチール製装置中へと計量し、混合物を、空気と窒素を通過させながら、95−105℃で還流のもと加熱する。おおよそ20時間後、5未満の酸価に達し、混合物を50℃まで冷却する。その後、溶液をカラム越しに初期50℃および後に90℃で真空内で蒸留し、その後、混合物を通気し40℃まで冷却する。ポリエステルアクリレートd1)が生じる。
【0111】
6)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体2)の製造
実施例1)で調製した158.4部の成分a1)のアセトン溶液、実施例5)で調製した300.3部のポリエステルアクリレートd1)、26.8部のジメチロールプロピオン酸c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部のジブチル錫ジラウレートを140部のアセトン中に溶解させ、50℃で、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで反応させる。18.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を940部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、10.2部のエチレンジアミンf)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、42.6重量%の固形含量、おおよそ135nmの平均粒子径および8.0のpHを有するポリウレタン分散体6)を得る。
【0112】
7)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a2)の製造
43.88部の無水マレイン酸、6.44部のエチレングリコール、39.84部のジエチレングリコールおよび0.01部のトルヒドロキノンを、電気加熱、内部冷却コイル、アンカースターラー、還流冷却器、カラム、ガラス製ブリッジならびに窒素注入口および配管を備えた高品位スチール製装置中へと計量し、窒素を通過させ発熱反応を利用しながら、混合物を窒素で不活性状態にし、190℃まで加熱する。この作業中に頭上温度を105℃を超えて上昇させない。エステル化によりおおよそ75の酸価を得るまで、この温度を維持する。150℃まで冷却後、17.89部のジシクロペンタジエンを添加し、混合物を170℃で5時間保持する。その後、ブリッジを備えたカラムを装置上に据え付け、酸価が22mg/g物質未満に低下するまで、温度を205℃で数時間保持する。80℃まで冷却後、0.01部のトルヒドロキノンを添加する。その後、混合物をさらに55℃まで冷却し、アセトン中へ溶解させる。おおよそ70%濃度溶液の、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a2)が生じる。
【0113】
8)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体8)の製造
実施例7)で調製した242.6部の成分a2)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)d)、26.8部のジメチロールプロピオン酸c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部のジブチル錫ジラウレートを180部のアセトン中に溶解させ、50℃で、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を1,150部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、10.2部のエチレンジアミンf)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、41.4重量%の固形含量、おおよそ160nmの平均粒子径および8.4のpHを有するポリウレタン分散体8)を得る。
【0114】
9)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a3)の調製
30.08部の無水マレイン酸、15.14部の無水フタル酸および20.20部のジエチレングリコールを、電気加熱、内部冷却コイル、アンカースターラー、還流冷却器、カラム、ガラス製ブリッジならびに窒素注入口および配管を備えた高品位スチール製装置中へと計量し、窒素を通過させ発熱反応を利用しながら、混合物を窒素で不活性状態にし、1時間で150℃まで加熱し、半エステル形成を完了させるためにこの温度で1時間撹拌する。140℃まで冷却後、16.46部のジシクロペンタジエンを添加し、混合物を140℃で4時間保持する。終わりに、酸価(205+/−5)およびOH価(15未満)を測定する。その後、5.95部のエチレングリコール、17.73部のジエチレングリコールおよび0.02部のトルヒドロキノンを添加する。混合物を、頭上温度が105℃を超えて上昇しないように190℃まで加熱し、この温度を酸価おおよそ12およびOH価105〜125mgKOH/g物質をエステル化によって得るまで維持する。150℃まで冷却後、0.03部のトルヒドロキノンおよび0.03部のトリメチルヒドロキノンを添加する。その後、混合物をさらに55℃まで冷却し、アセトン中に溶解させる。おおよそ72%濃度溶液の、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a3)が生じる。
【0115】
10)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体10)の製造
実施例9)で調製した122.4部の成分a3)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)d)、26.8部のジメチロールプロピオン酸c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部のジブチル錫ジラウレートを180部のアセトン中に溶解させ、50℃で、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を1,100部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、10.2部のエチレンジアミンf)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、40.9重量%の固形含量、おおよそ168nmの平均粒子径および8.2のpHを有するポリウレタン分散体10)を得る。
【0116】
11)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a4)の調製
41.32部の無水マレイン酸および24.07部の1,6−ヘキサンジオールを、電気加熱、内部冷却コイル、アンカースターラー、還流冷却器、カラム、ガラス製ブリッジならびに窒素注入口および配管を備えた高品位スチール製装置中へと計量し、窒素を通過させ発熱反応を利用しながら、混合物を窒素で不活性状態にし、1時間で150℃まで加熱し、半エステル形成を完了させるためにこの温度で1時間撹拌する。140℃まで冷却後、16.45部のジシクロペンタジエンを添加し、混合物を140℃で4時間保持する。終わりに、酸価(205+/−5)およびOH価(15未満)を測定する。その後、5.49部のエチレングリコール、18.2部の1,6−ヘキサンジオールおよび0.02部のトルヒドロキノンを添加する。混合物を、頭上温度が105℃を超えて上昇しないように190℃まで加熱し、この温度を酸価おおよそ12およびOH価105〜125mgKOH/g物質をエステル化によって得るまで維持する。150℃まで冷却後、0.03部のトルヒドロキノンおよび0.03部のトリメチルヒドロキノンを添加する。その後、混合物をさらに55℃まで冷却し、アセトン中に溶解させる。おおよそ72%濃度溶液の、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂a4)が生じる。
【0117】
12)ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂に基づくUV硬化性ポリウレタン水性分散体2)の製造
実施例11)で調製した147.5部の成分a4)のアセトン溶液、425.6部のポリエステルアクリレートLaromer(登録商標)PE44F(BASF社、ルートウィヒスハーヘン、ドイツ国)、26.8部のジメチロールプロピオン酸c)、50.4部のヘキサメチレンジイソシアネートおよび102.2部のイソホロンジイソシアネートb)および0.6部のジブチル錫ジラウレートを180部のアセトン中に溶解させ、50℃で、撹拌しながら、NCO含量1.6重量%まで反応させる。20.2部のトリエチルアミンを、この方法で得るプレポリマー溶液へ添加し、撹拌する。その後、形成する透明な溶液を1,100部の蒸留水へ導入し、撹拌しながら、10.2部のエチレンジアミンf)と31.0部の水との混合物を分散体へ添加する。最後に、わずかな減圧により、アセトンを分散体から蒸留する。ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステルを含有し、41.6重量%の固形含量、おおよそ138nmの平均粒子径および8.5のpHを有するポリウレタン分散体12)を得る。
【0118】
【表2】

【0119】
例示目的で本発明を上記に詳しく説明したが、そのような詳細は単なる例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定され得ることを除き、本発明の意図および範囲から逸脱せずに当業者によって変更され得るものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂をビルダー成分として含有するポリウレタン水性分散体。
【請求項2】
a)少なくとも一つの、ジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂、
b)少なくとも一つの、少なくとも二官能性のポリイソシアネート、および
c)少なくとも一つの親水化成分
の反応生成物を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項3】
a)少なくとも一つの不飽和ポリエステル樹脂、
b)少なくとも一つの、少なくとも二官能性のポリイソシアネート、
c)少なくとも一つのヒドロキシル基、アミノ基および/またはチオ基および少なくとも一つのイオン性基または潜在的イオン性基および/またはエチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの共重合体および/またはブロック共重合体の構造単位を有する、少なくとも一つの親水化成分、
d)(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテルエステル(メタ)アクリレートおよびアリルエーテル構造単位を有する不飽和ポリエステルからなる群から選択される、少なくとも一つの成分、
e)任意に、分子量62〜242のヒドロキシ官能性ジオールおよび/またはトリオールおよび/またはヒドロキシ官能性オリゴマーまたはポリマー、例えば数平均分子量700〜4,000g/molのポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、C−、C−および/またはC−ポリエーテル、ポリエーテルエステルおよびポリカーボネートポリエステル、ならびに
f)少なくとも一つのモノ−、ジ−および/またはポリ−アミンおよび/またはヒドロキシアミン
の反応生成物を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項4】
成分a)が、少なくとも一つの、5〜35重量%のジシクロペンタジエンで変性された不飽和ポリエステル樹脂であり、
成分b)が、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを少なくとも60重量%の範囲で含んでなる、少なくとも一つの、少なくとも二官能性のポリイソシアネートであり、
成分d)が、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよび/またはポリエーテルエステルアクリレートからなる群から選択される、少なくとも一つの化合物であって、不飽和基に加えてヒドロキシル基をも含有すること
を特徴とする、請求項3に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項5】
高エネルギー放射線による硬化を生じさせ得る少なくとも一つの開始剤ならびに任意にさらなる補助物質および添加剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項6】
3〜50重量%の成分a)、7〜50重量%の成分b)、1〜25重量%の成分c)、10〜75重量%の成分d)、0〜40重量%の成分e)および0.1〜6重量%の成分f)の反応生成物を含有することを特徴とし、a)〜f)のパーセンテージデータが合計で100重量%になることを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項7】
5重量%より少ない有機溶媒を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン水性分散体。
【請求項8】
イソシアネート官能性プレポリマーを、一つまたは複数の反応段階で、成分a)、c)、任意にd)およびe)と、過剰な成分b)とを反応させて得ることを特徴とし、分散に必要なイオン性基を生成する中和剤を、このプレポリマーの調製前、調製中または調製後に添加可能であり、その後プレポリマーへの水の添加または水を含む容器へのプレポリマーの移し替えを行い、任意にその後、成分f)の添加により鎖延長段階が続くことを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン分散体の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のポリウレタン分散体を含んでなるバインダー混合物。
【請求項10】
請求項1に記載のポリウレタン分散体および架橋剤を含んでなるコーティング組成物。
【請求項11】
ラッカー、コーティングまたは接着剤の調製のための、請求項1に記載のポリウレタンの使用。

【公開番号】特開2008−144138(P2008−144138A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−273745(P2007−273745)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】