X線断層撮像装置
【課題】輝度ムラを低減して、被検体のハンドリングが容易なX線断層撮像装置を提供すること。
【解決手段】
プリント基板51にX線を照射するX線照射器2、3とプリント基板51を透過したX線を検出するFPD5、6とで構成される複数組の照射ユニット7、8と、各照射ユニット7,8の各X線照射器2、3とFPD5,6との間にプリント基板51を平行移動させる搬送器4と、少なくとも1つの照射ユニット8のX線中心軸がプリント基板51の搬送方向に傾斜しており、少なくとも1つの他の照射ユニット7のX線中心軸がプリント基板51の搬送方向の逆方向に傾斜している。
【解決手段】
プリント基板51にX線を照射するX線照射器2、3とプリント基板51を透過したX線を検出するFPD5、6とで構成される複数組の照射ユニット7、8と、各照射ユニット7,8の各X線照射器2、3とFPD5,6との間にプリント基板51を平行移動させる搬送器4と、少なくとも1つの照射ユニット8のX線中心軸がプリント基板51の搬送方向に傾斜しており、少なくとも1つの他の照射ユニット7のX線中心軸がプリント基板51の搬送方向の逆方向に傾斜している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線断層撮像装置に係り、特に、プリント基板の断層像を検査するX線断層撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の両面に装着されたチップ部品の半田付けの良否を判断するために、プリント基板のX線断層撮像検査が実施されている。一般に、断層撮像にはCT(コンピュータトモグラフィー)法が利用されている。図11に示すように、プリント基板51と平行な面52、53の断層像を得ることで、チップ部品54〜57の各半田付け部61〜68の良否を判断することができる。プリント基板を撮像するX線CT装置として、プリント基板を1枚ずつ回転させて断層像を再構成する回転型CT装置が一般的である。回転型CT装置であれば、サイノグラム上で0°〜360°の全ての投影データを得ることができ、高精度な断層像を得ることができる。しかしながら回転型CT装置の場合、プリント基板の断層像を撮像するためにプリント基板を1枚ずつ回転させなければならず、プリント基板のラインの流れを一端停止しなければならないので、検査の効率性が悪い。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているX線CT装置によれば、図12に示すようにX線照射器71とX線平面検出器72との間にプリント基板51を平行に移動させるだけで断層像を得ることができる。これより、ラインを止める必要がないので検査の効率性を非常に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−071472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、流れてくるプリント基板をCT撮像するためには、照射角度の十分広いX線管と大面積のX線検出器とを備えていなければ、サイノグラム上で十分な範囲の投影データを得ることができない。十分な範囲の投影データを得ることができなければ、プリント基板の両面に装着されたチップ部品が混在する精度の低い断層像しか再構成できず、各チップ部品の半田付けの良否を判断することができない。この理由により、用いられるX線管は図13に示す開放型X線管73に限られる。
【0006】
開放型X線管73の内部は真空ポンプ80により減圧され、真空計79により真空度を確認することができる。陰極78で発生した電子線は陽極77によりターゲット74の方向に出力され、電子レンズ76により収束される。さらに電子線は、アパーチャ75により絞られ、やがてターゲット74に衝突する。電子線がターゲット74に衝突することで、照射角度の広いX線がターゲット74から発生する。このように、開放型X線管73を用いると120°程度の広い角度のX線が照射されるものの、図14に示す密閉管型のX線管21に比べて照射されるX線のエネルギー密度が低いので再構成される断層像のコントラストの範囲が小さい。また、開放型X線管は角度の広いX線を照射するので、X線中心部のエネルギー密度が強く、X線周辺部のエネルギー密度が低いので収集する投影データに輝度ムラが発生する。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、照射角度の比較的狭いX線照射器を使用し、比較的小さな面積のX線検出器を使用して、被検体を流すだけで断層像を得ることができるX線断層撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、被検体にX線を照射するX線照射器と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とで構成される複数組の照射ユニットと、前記各照射ユニットの各X線照射器とX線検出器との間に被検体を平行移動させる搬送器と、少なくとも1つの前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に傾斜しており、少なくとも1つの他の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向の逆方向に傾斜していることを特徴とするX線断層撮像装置である。
【0009】
上記構成によれば、X線照射器とX線検出器との間に搬送器により被検体が平行移動される。このような配置のX線照射器とX線検出器とから構成される照射ユニットを複数組備えており、少なくとも1つの照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送方向に傾斜している。また、少なくとも1つの他の照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送方向の逆方向に傾斜している。
【0010】
この結果、各X線照射器のX線の照射角度を狭めることができ、投影データにおける輝度ムラを低減することができる。さらには、被検体に対してX線中心軸が斜めに入射することで、サイノグラム上で狭い範囲の投影データを基に再構成された断層像であっても、各断層面が分離して再構成される。
【0011】
また、前記各照射ユニットによる被検体のサイノグラム上での照射領域が交わらないことが好ましい。この構成によれば、各照射ユニットから得られる投影データが重ならないので、投影データを有効に利用することができる。
【0012】
また、1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に向かって傾斜しており、他の1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に対向して傾斜しており、さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送面に対して垂直に配置されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送面に対して垂直に配置されているので、サイノグラム上でさらに広範囲の投影データを得るだけでなく垂直方向の透視像を得ることもできる。
【0014】
また、前記X線照射器は密閉型X線管を有することが好ましい。この構成によれば、X線照射器が密閉管型X線管を有するので、X線強度が強く、メンテナンスが容易である。
【0015】
また、各X線照射器の照射角度が20°以上50°以下であることが好ましい。この構成によれば、輝度ムラを低減することができ適切にX線断層像を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るX線断層撮像装置によれば、被検体のハンドリングが容易で輝度ムラを低減したX線断層撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図2】実施例に係るX線照射ユニットの縦断面図である。
【図3】実施例に係るX線照射方向を示す説明図である。
【図4】実施例を回転型CT装置に置き換えた場合の説明図である。
【図5】実施例1に係るサイノグラム図である。
【図6】実施例1に係るプリント基板の断層像図である。
【図7】実施例1に係るプリント基板の断層像図である。
【図8】変形例に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図9】実施例2に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図10】実施例2に係るサイノグラム図である。
【図11】被検体であるプリント基板の断面図である。
【図12】従来例におけるのX線照射ユニットの縦断面図である。
【図13】開放型X線管の概略図である。
【図14】密閉型X線管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
1.X線断層撮像装置
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1はX線断層撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、X線断層撮像装置1には、チップ部品が実装されたプリント基板51にX線を照射するX線照射器2、3と、被検体を搬送する搬送器4と、プリント基板51を透過したX線を検出するX線平面検出器(フラットパネルディテクタ:以後FPDと称す)5、6とが備えられている。X線照射器2とFPD5とで1組の照射ユニット7を構成し、X線照射器3とFPD6とで別の1組の照射ユニット8を構成する。FPD5,6は本発明におけるX線検出器に相当する。
【0020】
また、X線断層撮像装置1は、他にも、FPD5、6で収集したデータからプリント基板51の断層像をCT法により再構成する再構成部9と、再構成したプリント基板51の断層像からプリント基板51に付けられた半田の良否を判断する画像処理部10と、検査者が様々な入力設定を行う入力器11と、X線検査操作画面および再構成処理されたX線断層像などを表示する表示器12と、X線断層像や他の撮影データを保管する記憶器13と、プリント基板51が搬送されたことを検出する搬送検出器14と、入力器11に入力された指示および搬送検出器14の検出結果に基づいてX線照射器2、3に出力するX線照射条件を制御するX線管制御部15と、X線管制御部15により設定されたX線照射条件に基づいてX線照射器2、3に管電圧およびフィラメント電流を供給するX線管電源16と、搬送器4の搬送方向および搬送速度を制御する搬送器制御部17と、これらの各構成部を統括する主制御部18とを備える。
【0021】
X線照射器2、3は、密閉型X線管21を備える。図14に示すように、密閉型X線管の一例として回転陽極型X線管が挙げられる。この回転陽極型X線管は、内部が真空である外囲器22の中で、陰極23の内部に配置されたフィラメント24から放出された電子ビームが回転する陽極25に衝突することでX線が発生する。フィラメント24には、ケーブル26を介してX線管電源16よりフィラメント電流が供給されており、フィラメント24に熱電子が発生する。この状態で、陰極23と陽極25とにケーブル26、31を介してX線管電源16より高電圧の管電圧が印加されると、陰極23で発生した熱電子がビーム状に陽極25に衝突してX線が発生する。
【0022】
陽極25は、ステータ27より回転駆動力を受けて回転するロータ28と接続されている。ロータ28は、軸受29を介して固定部30と接続され、固定部30には陽極側のリード線31が接続されている。このように、陽極25は陽極側のリード線31から固定部30、軸受29、ロータ28を経て高電圧が供給され、陰極23も陰極側のリード線26から高電圧が供給される。X線照射器2、3は、他にもX線絞り(図示省略)を備える。
【0023】
FPD5、6は、X線を電気信号へ変換するX線検出画素が二次元アレイ状に例えば2000×2000個配置されている。X線検出画素はX線が照射されると電気信号を発生するX線検出素子からなる。FPD5、6は直接変換型のX線検出器であってもよいし、間接変換型のX線検出器であってもよい。
【0024】
搬送器4は、プリント基板51を水平方向の一方向に一定の速さで搬送する。搬送器4は、たとえばX線の透過性が良いカーボン製のベルトコンベヤ4aと回転駆動ローラ4bとから構成される。回転駆動ローラ4bは搬送器制御部17の制御により回転される。ベルトコンベヤ4aに載置されたプリント基板51は照射ユニット7の間および照射ユニット8の間を通過する。
【0025】
主制御部18は、中央演算処理装置(CPU)で構成される。また、入力器11は、マウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成される。検査者は、被検体の撮像条件を入力器11により設定入力することができる。表示器12は、液晶表示装置やCRTなどで構成される。記憶器13は、フラッシュメモリ、ハードディスクやストレージなどで構成される。
【0026】
再構成部9は各FPD5、6から送られる投影データを基にCT法によりプリント基板51の断層像を再構成する。画像処理部10は、再構成されたプリント基板51の断層像からチップ部品54、55、56、57とプリント基板51とに付けられた半田の良否を画像処理により自動判別する。再構成部9および画像処理部10はマイクロプロセッサまたはFPGAで構成してもよいし、主制御部18と同じCPUを利用してもよい。
【0027】
搬出検出器14は、ベルトコンベヤ4a上に搬送されるプリント基板51を検出するもので、赤外線センサ、可視光線センサ等である。
【0028】
2.X線断層撮像
次に、図2〜図5を参照して上述したX線断層撮像装置による断層撮像を説明する。図2はX線照射ユニットの縦断面図であり、図3はX線照射方向を示す説明図であり、図4は回転型CT装置に置き換えた場合の説明図であり、図5はサイノグラム図である。
【0029】
図2に示すように、ベルトコンベヤ4a上を搬送されるプリント基板51にX線を照射するX線照射器2の照射領域θ1およびX線照射器3の照射領域θ2は20°〜50°の角度の範囲が好ましい。実施例1では、θ1およびθ2は40°である。また、X線照射器2のX線中心軸32はプリント基板51の搬送方向に対向して傾斜しており、FPD5の検出面に垂直に入射している。また、X線照射器2のX線中心軸33はプリント基板51の搬送方向に向かって傾斜しており、FPD6の検出面に垂直に入射している。各X線中心軸32、33は同一平面上にあることが好ましく、各X線中心軸32、33が含まれる平面はベルトコンベヤ4aおよびこれに平行なプリント基板51の平面と垂直に交わることが好ましい。
【0030】
X線照射器2および3のX線源を原点に置いた場合の各X線の照射方向を示したのが図3である。ベルトコンベヤ4aの搬送面に対して、X線照射器2のX線照射領域は、α1=10°からβ1=50°の間であり、X線照射器3の照射領域はβ2=130°からα2=170°の間である。
【0031】
上述した照射領域を有する照射ユニット7、8の間をプリント基板51を平行に搬送することは、固定された照射ユニット間でプリント基板51を部分的に回転することと同じである。すなわち、搬送面に対して10°から50°までの40°の照射領域を有するX線照射器2とFPD5との間でプリント基板51を平行に搬送することは、図4に示すように、40°の照射領域を有するX線照射器2とFPD5との間でプリント基板51を10°から50°まで回転すること同じである。
【0032】
すなわち、照射ユニット7および8から得られる投影データは、回転型X線CT装置において、10°〜50°まで回転した際に得られる投影データと、130°〜170°まで回転した際に得られる投影データである。図5は、照射ユニット7および8から得られる投影データをサイノグラム上で表した図である。
【0033】
次に、実施例1によりX線断層撮像が実施される場合の動作を説明する。
【0034】
まず、検査者は入力器11にて検査開始の指示を出す。検査開始の指示は入力器11から主制御部18を介して搬送器制御部17および搬送検出器14へ送られる。搬送器制御部17はベルトコンベヤ4aを移動させるために回転駆動ローラ4bの回転を制御する。また、図示していない載置手段によりベルトコンベヤ4a上に載置されたプリント基板51が予め決められた方向へ搬送される。照射ユニット7、8よりも上流側に設置された搬送検出器14はプリント基板5が直下に搬送されたのを検出すると検出信号をX線管制御部15へ送る。この検出信号を基にX線管制御部15はX線管電源16へ照射タイミング信号を送る。X線管電源16より、この照射タイミング信号に基づいてX線照射器2、3にそれぞれパルス電圧が印加され、搬送されるプリント基板51にX線が照射されて、図5に示す投影データがFPD5、6でそれぞれ検出される。
【0035】
FPD5、6でそれぞれ検出される投影データを基に、再構成部9はプリント基板51の断層像を再構成する。再構成された断層像を基に、画像処理部10が半田付けの良否を画像処理にて自動判別する。判別された良否結果および断層像は、主制御部18を介して表示器12に表示される。また、判別された良否結果および断層像は記憶器13に保管される。さらに、判別された良否結果を基に、プリント基板51は選別される。
【0036】
以上のようにして再構成したプリント基板51の断層像を図6および図7に示す。図6はプリント基板51の上面に装着されたチップ部品の断層像図であり、図7はプリント基板51の下面に装着されたチップ部品の断層像図である。ここで、上面とはベルトコンベヤ4aと対向しない面であり、下面とはベルトコンベヤ4aと対向する面である。
【0037】
図6および図7からも分かるように、実施例1のX線断層撮像装置1によれば、プリント基板51の上面に装着されたチップ部品とプリント基板51の下面に装着されたチップ部品とが分離された断層像を得ることができ、各チップ部品に付けられた半田の接合良否を判別することができる。
【0038】
このように、実施例1のX線断層撮像装置1によれば、各X線照射器2、3の照射角度が狭いので輝度ムラを低減することができ、高精度の断層像を得ることができる。また、各X線照射器2,3に密閉型X線管21を用いることができるので、輝度の高いコントラストの高い断層像を得ることができる。さらには、密閉型X線管21を用いることでメンテナンスが容易であり、検査者の負担を軽減することができる。また、各X線照射器2,3のX線の中心軸をプリント基板51に対して斜めに入射することで、プリント基板51の搬送面に平行な面における断層像を精度よく撮像することができる。さらには、各照射ユニット7、8は固定されており、プリント基板51だけが動くのでX線断層撮像装置1の構成を簡易にすることでき、被検体のハンドリングが容易になる。さらには、FPD5、6のサイズが市販されている標準サイズのものを使用することができるので、コストダウンにもなる。また、FPD5,6のサイズが標準的なサイズなので投影データの転送速度も維持することができる。
【0039】
なお、上述した実施例1ではX線照射器2および3のX線中心軸が交差していたが、図8に示すように、交差しなくてもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2は、実施例1のX線断層撮像装置に更に1組の照射ユニット35を備えたものである。よって、ここで記載した以外のX線断層撮像装置の構造は実施例1と同様である。
【0041】
実施例1では、2組の照射ユニット7、8を用いて断層像を再構成していたが、実施例2では、さらに照射ユニット35を備えて合計3組の照射ユニットを用いて断層像を再構成する。X線照射器36から照射されるX線は40°の角度範囲であり、X線中心軸38は、ベルトコンベヤ4a、プリント基板51およびX線平面検出器(FPD)37の検出面に対して垂直に入射する。FPD37にて得られた投影データは再構成部9’にて他のFPD5、6で得られた投影データとともに再構成されてプリント基板51の断層像が再構成される。図10は、照射ユニット7、8および35から得られる投影データをサイノグラム上で表した図である。
【0042】
また、実施例2では、照射ユニット35によりプリント基板51の透視像も得ることができる。画像処理部10’は実施例1における画像処理部10の機能に加え、さらにFPD37から入力される投影データを基にプリント基板51の透視像を作成する。作成された透視像は主制御部18を介して表示器12に表示されるか記憶器13に保管される。
【0043】
実施例2によれば、実施例1に比べさらにもう1組の照射ユニット35を用いてプリント基板51の断層像を再構成するので、より高精度の断層像を再構成することができる。さらに、照射ユニット35はプリント基板51のX線中心軸38に対して垂直に入射するので、プリント基板51の正面からの透視像を得ることができる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0045】
(1)上述した実施例では、断層撮像された被検体はチップ部品が実装されたプリント基板51であったがこれに限らず、他のものを被検体として断層撮像してもよい。
【0046】
(2)上述した実施例では、X線を搬送器4の下部から照射する構成であったが、これに限らず、搬送器4の上部からX線を照射する構成でもよい。また、各X線照射器からのX線は被検体に対して対称に照射しなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 … X線断層撮像装置
2、3… X線照射器
4 … 搬送器
5、6 … X線平面検出器(FPD)
7、8 … 照射ユニット
21 … 密閉型X線管
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線断層撮像装置に係り、特に、プリント基板の断層像を検査するX線断層撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の両面に装着されたチップ部品の半田付けの良否を判断するために、プリント基板のX線断層撮像検査が実施されている。一般に、断層撮像にはCT(コンピュータトモグラフィー)法が利用されている。図11に示すように、プリント基板51と平行な面52、53の断層像を得ることで、チップ部品54〜57の各半田付け部61〜68の良否を判断することができる。プリント基板を撮像するX線CT装置として、プリント基板を1枚ずつ回転させて断層像を再構成する回転型CT装置が一般的である。回転型CT装置であれば、サイノグラム上で0°〜360°の全ての投影データを得ることができ、高精度な断層像を得ることができる。しかしながら回転型CT装置の場合、プリント基板の断層像を撮像するためにプリント基板を1枚ずつ回転させなければならず、プリント基板のラインの流れを一端停止しなければならないので、検査の効率性が悪い。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているX線CT装置によれば、図12に示すようにX線照射器71とX線平面検出器72との間にプリント基板51を平行に移動させるだけで断層像を得ることができる。これより、ラインを止める必要がないので検査の効率性を非常に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−071472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、流れてくるプリント基板をCT撮像するためには、照射角度の十分広いX線管と大面積のX線検出器とを備えていなければ、サイノグラム上で十分な範囲の投影データを得ることができない。十分な範囲の投影データを得ることができなければ、プリント基板の両面に装着されたチップ部品が混在する精度の低い断層像しか再構成できず、各チップ部品の半田付けの良否を判断することができない。この理由により、用いられるX線管は図13に示す開放型X線管73に限られる。
【0006】
開放型X線管73の内部は真空ポンプ80により減圧され、真空計79により真空度を確認することができる。陰極78で発生した電子線は陽極77によりターゲット74の方向に出力され、電子レンズ76により収束される。さらに電子線は、アパーチャ75により絞られ、やがてターゲット74に衝突する。電子線がターゲット74に衝突することで、照射角度の広いX線がターゲット74から発生する。このように、開放型X線管73を用いると120°程度の広い角度のX線が照射されるものの、図14に示す密閉管型のX線管21に比べて照射されるX線のエネルギー密度が低いので再構成される断層像のコントラストの範囲が小さい。また、開放型X線管は角度の広いX線を照射するので、X線中心部のエネルギー密度が強く、X線周辺部のエネルギー密度が低いので収集する投影データに輝度ムラが発生する。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、照射角度の比較的狭いX線照射器を使用し、比較的小さな面積のX線検出器を使用して、被検体を流すだけで断層像を得ることができるX線断層撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、被検体にX線を照射するX線照射器と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とで構成される複数組の照射ユニットと、前記各照射ユニットの各X線照射器とX線検出器との間に被検体を平行移動させる搬送器と、少なくとも1つの前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に傾斜しており、少なくとも1つの他の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向の逆方向に傾斜していることを特徴とするX線断層撮像装置である。
【0009】
上記構成によれば、X線照射器とX線検出器との間に搬送器により被検体が平行移動される。このような配置のX線照射器とX線検出器とから構成される照射ユニットを複数組備えており、少なくとも1つの照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送方向に傾斜している。また、少なくとも1つの他の照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送方向の逆方向に傾斜している。
【0010】
この結果、各X線照射器のX線の照射角度を狭めることができ、投影データにおける輝度ムラを低減することができる。さらには、被検体に対してX線中心軸が斜めに入射することで、サイノグラム上で狭い範囲の投影データを基に再構成された断層像であっても、各断層面が分離して再構成される。
【0011】
また、前記各照射ユニットによる被検体のサイノグラム上での照射領域が交わらないことが好ましい。この構成によれば、各照射ユニットから得られる投影データが重ならないので、投影データを有効に利用することができる。
【0012】
また、1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に向かって傾斜しており、他の1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に対向して傾斜しており、さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送面に対して垂直に配置されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が被検体の搬送面に対して垂直に配置されているので、サイノグラム上でさらに広範囲の投影データを得るだけでなく垂直方向の透視像を得ることもできる。
【0014】
また、前記X線照射器は密閉型X線管を有することが好ましい。この構成によれば、X線照射器が密閉管型X線管を有するので、X線強度が強く、メンテナンスが容易である。
【0015】
また、各X線照射器の照射角度が20°以上50°以下であることが好ましい。この構成によれば、輝度ムラを低減することができ適切にX線断層像を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るX線断層撮像装置によれば、被検体のハンドリングが容易で輝度ムラを低減したX線断層撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図2】実施例に係るX線照射ユニットの縦断面図である。
【図3】実施例に係るX線照射方向を示す説明図である。
【図4】実施例を回転型CT装置に置き換えた場合の説明図である。
【図5】実施例1に係るサイノグラム図である。
【図6】実施例1に係るプリント基板の断層像図である。
【図7】実施例1に係るプリント基板の断層像図である。
【図8】変形例に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図9】実施例2に係るX線断層撮像装置のブロック図である。
【図10】実施例2に係るサイノグラム図である。
【図11】被検体であるプリント基板の断面図である。
【図12】従来例におけるのX線照射ユニットの縦断面図である。
【図13】開放型X線管の概略図である。
【図14】密閉型X線管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
1.X線断層撮像装置
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1はX線断層撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、X線断層撮像装置1には、チップ部品が実装されたプリント基板51にX線を照射するX線照射器2、3と、被検体を搬送する搬送器4と、プリント基板51を透過したX線を検出するX線平面検出器(フラットパネルディテクタ:以後FPDと称す)5、6とが備えられている。X線照射器2とFPD5とで1組の照射ユニット7を構成し、X線照射器3とFPD6とで別の1組の照射ユニット8を構成する。FPD5,6は本発明におけるX線検出器に相当する。
【0020】
また、X線断層撮像装置1は、他にも、FPD5、6で収集したデータからプリント基板51の断層像をCT法により再構成する再構成部9と、再構成したプリント基板51の断層像からプリント基板51に付けられた半田の良否を判断する画像処理部10と、検査者が様々な入力設定を行う入力器11と、X線検査操作画面および再構成処理されたX線断層像などを表示する表示器12と、X線断層像や他の撮影データを保管する記憶器13と、プリント基板51が搬送されたことを検出する搬送検出器14と、入力器11に入力された指示および搬送検出器14の検出結果に基づいてX線照射器2、3に出力するX線照射条件を制御するX線管制御部15と、X線管制御部15により設定されたX線照射条件に基づいてX線照射器2、3に管電圧およびフィラメント電流を供給するX線管電源16と、搬送器4の搬送方向および搬送速度を制御する搬送器制御部17と、これらの各構成部を統括する主制御部18とを備える。
【0021】
X線照射器2、3は、密閉型X線管21を備える。図14に示すように、密閉型X線管の一例として回転陽極型X線管が挙げられる。この回転陽極型X線管は、内部が真空である外囲器22の中で、陰極23の内部に配置されたフィラメント24から放出された電子ビームが回転する陽極25に衝突することでX線が発生する。フィラメント24には、ケーブル26を介してX線管電源16よりフィラメント電流が供給されており、フィラメント24に熱電子が発生する。この状態で、陰極23と陽極25とにケーブル26、31を介してX線管電源16より高電圧の管電圧が印加されると、陰極23で発生した熱電子がビーム状に陽極25に衝突してX線が発生する。
【0022】
陽極25は、ステータ27より回転駆動力を受けて回転するロータ28と接続されている。ロータ28は、軸受29を介して固定部30と接続され、固定部30には陽極側のリード線31が接続されている。このように、陽極25は陽極側のリード線31から固定部30、軸受29、ロータ28を経て高電圧が供給され、陰極23も陰極側のリード線26から高電圧が供給される。X線照射器2、3は、他にもX線絞り(図示省略)を備える。
【0023】
FPD5、6は、X線を電気信号へ変換するX線検出画素が二次元アレイ状に例えば2000×2000個配置されている。X線検出画素はX線が照射されると電気信号を発生するX線検出素子からなる。FPD5、6は直接変換型のX線検出器であってもよいし、間接変換型のX線検出器であってもよい。
【0024】
搬送器4は、プリント基板51を水平方向の一方向に一定の速さで搬送する。搬送器4は、たとえばX線の透過性が良いカーボン製のベルトコンベヤ4aと回転駆動ローラ4bとから構成される。回転駆動ローラ4bは搬送器制御部17の制御により回転される。ベルトコンベヤ4aに載置されたプリント基板51は照射ユニット7の間および照射ユニット8の間を通過する。
【0025】
主制御部18は、中央演算処理装置(CPU)で構成される。また、入力器11は、マウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成される。検査者は、被検体の撮像条件を入力器11により設定入力することができる。表示器12は、液晶表示装置やCRTなどで構成される。記憶器13は、フラッシュメモリ、ハードディスクやストレージなどで構成される。
【0026】
再構成部9は各FPD5、6から送られる投影データを基にCT法によりプリント基板51の断層像を再構成する。画像処理部10は、再構成されたプリント基板51の断層像からチップ部品54、55、56、57とプリント基板51とに付けられた半田の良否を画像処理により自動判別する。再構成部9および画像処理部10はマイクロプロセッサまたはFPGAで構成してもよいし、主制御部18と同じCPUを利用してもよい。
【0027】
搬出検出器14は、ベルトコンベヤ4a上に搬送されるプリント基板51を検出するもので、赤外線センサ、可視光線センサ等である。
【0028】
2.X線断層撮像
次に、図2〜図5を参照して上述したX線断層撮像装置による断層撮像を説明する。図2はX線照射ユニットの縦断面図であり、図3はX線照射方向を示す説明図であり、図4は回転型CT装置に置き換えた場合の説明図であり、図5はサイノグラム図である。
【0029】
図2に示すように、ベルトコンベヤ4a上を搬送されるプリント基板51にX線を照射するX線照射器2の照射領域θ1およびX線照射器3の照射領域θ2は20°〜50°の角度の範囲が好ましい。実施例1では、θ1およびθ2は40°である。また、X線照射器2のX線中心軸32はプリント基板51の搬送方向に対向して傾斜しており、FPD5の検出面に垂直に入射している。また、X線照射器2のX線中心軸33はプリント基板51の搬送方向に向かって傾斜しており、FPD6の検出面に垂直に入射している。各X線中心軸32、33は同一平面上にあることが好ましく、各X線中心軸32、33が含まれる平面はベルトコンベヤ4aおよびこれに平行なプリント基板51の平面と垂直に交わることが好ましい。
【0030】
X線照射器2および3のX線源を原点に置いた場合の各X線の照射方向を示したのが図3である。ベルトコンベヤ4aの搬送面に対して、X線照射器2のX線照射領域は、α1=10°からβ1=50°の間であり、X線照射器3の照射領域はβ2=130°からα2=170°の間である。
【0031】
上述した照射領域を有する照射ユニット7、8の間をプリント基板51を平行に搬送することは、固定された照射ユニット間でプリント基板51を部分的に回転することと同じである。すなわち、搬送面に対して10°から50°までの40°の照射領域を有するX線照射器2とFPD5との間でプリント基板51を平行に搬送することは、図4に示すように、40°の照射領域を有するX線照射器2とFPD5との間でプリント基板51を10°から50°まで回転すること同じである。
【0032】
すなわち、照射ユニット7および8から得られる投影データは、回転型X線CT装置において、10°〜50°まで回転した際に得られる投影データと、130°〜170°まで回転した際に得られる投影データである。図5は、照射ユニット7および8から得られる投影データをサイノグラム上で表した図である。
【0033】
次に、実施例1によりX線断層撮像が実施される場合の動作を説明する。
【0034】
まず、検査者は入力器11にて検査開始の指示を出す。検査開始の指示は入力器11から主制御部18を介して搬送器制御部17および搬送検出器14へ送られる。搬送器制御部17はベルトコンベヤ4aを移動させるために回転駆動ローラ4bの回転を制御する。また、図示していない載置手段によりベルトコンベヤ4a上に載置されたプリント基板51が予め決められた方向へ搬送される。照射ユニット7、8よりも上流側に設置された搬送検出器14はプリント基板5が直下に搬送されたのを検出すると検出信号をX線管制御部15へ送る。この検出信号を基にX線管制御部15はX線管電源16へ照射タイミング信号を送る。X線管電源16より、この照射タイミング信号に基づいてX線照射器2、3にそれぞれパルス電圧が印加され、搬送されるプリント基板51にX線が照射されて、図5に示す投影データがFPD5、6でそれぞれ検出される。
【0035】
FPD5、6でそれぞれ検出される投影データを基に、再構成部9はプリント基板51の断層像を再構成する。再構成された断層像を基に、画像処理部10が半田付けの良否を画像処理にて自動判別する。判別された良否結果および断層像は、主制御部18を介して表示器12に表示される。また、判別された良否結果および断層像は記憶器13に保管される。さらに、判別された良否結果を基に、プリント基板51は選別される。
【0036】
以上のようにして再構成したプリント基板51の断層像を図6および図7に示す。図6はプリント基板51の上面に装着されたチップ部品の断層像図であり、図7はプリント基板51の下面に装着されたチップ部品の断層像図である。ここで、上面とはベルトコンベヤ4aと対向しない面であり、下面とはベルトコンベヤ4aと対向する面である。
【0037】
図6および図7からも分かるように、実施例1のX線断層撮像装置1によれば、プリント基板51の上面に装着されたチップ部品とプリント基板51の下面に装着されたチップ部品とが分離された断層像を得ることができ、各チップ部品に付けられた半田の接合良否を判別することができる。
【0038】
このように、実施例1のX線断層撮像装置1によれば、各X線照射器2、3の照射角度が狭いので輝度ムラを低減することができ、高精度の断層像を得ることができる。また、各X線照射器2,3に密閉型X線管21を用いることができるので、輝度の高いコントラストの高い断層像を得ることができる。さらには、密閉型X線管21を用いることでメンテナンスが容易であり、検査者の負担を軽減することができる。また、各X線照射器2,3のX線の中心軸をプリント基板51に対して斜めに入射することで、プリント基板51の搬送面に平行な面における断層像を精度よく撮像することができる。さらには、各照射ユニット7、8は固定されており、プリント基板51だけが動くのでX線断層撮像装置1の構成を簡易にすることでき、被検体のハンドリングが容易になる。さらには、FPD5、6のサイズが市販されている標準サイズのものを使用することができるので、コストダウンにもなる。また、FPD5,6のサイズが標準的なサイズなので投影データの転送速度も維持することができる。
【0039】
なお、上述した実施例1ではX線照射器2および3のX線中心軸が交差していたが、図8に示すように、交差しなくてもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2は、実施例1のX線断層撮像装置に更に1組の照射ユニット35を備えたものである。よって、ここで記載した以外のX線断層撮像装置の構造は実施例1と同様である。
【0041】
実施例1では、2組の照射ユニット7、8を用いて断層像を再構成していたが、実施例2では、さらに照射ユニット35を備えて合計3組の照射ユニットを用いて断層像を再構成する。X線照射器36から照射されるX線は40°の角度範囲であり、X線中心軸38は、ベルトコンベヤ4a、プリント基板51およびX線平面検出器(FPD)37の検出面に対して垂直に入射する。FPD37にて得られた投影データは再構成部9’にて他のFPD5、6で得られた投影データとともに再構成されてプリント基板51の断層像が再構成される。図10は、照射ユニット7、8および35から得られる投影データをサイノグラム上で表した図である。
【0042】
また、実施例2では、照射ユニット35によりプリント基板51の透視像も得ることができる。画像処理部10’は実施例1における画像処理部10の機能に加え、さらにFPD37から入力される投影データを基にプリント基板51の透視像を作成する。作成された透視像は主制御部18を介して表示器12に表示されるか記憶器13に保管される。
【0043】
実施例2によれば、実施例1に比べさらにもう1組の照射ユニット35を用いてプリント基板51の断層像を再構成するので、より高精度の断層像を再構成することができる。さらに、照射ユニット35はプリント基板51のX線中心軸38に対して垂直に入射するので、プリント基板51の正面からの透視像を得ることができる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0045】
(1)上述した実施例では、断層撮像された被検体はチップ部品が実装されたプリント基板51であったがこれに限らず、他のものを被検体として断層撮像してもよい。
【0046】
(2)上述した実施例では、X線を搬送器4の下部から照射する構成であったが、これに限らず、搬送器4の上部からX線を照射する構成でもよい。また、各X線照射器からのX線は被検体に対して対称に照射しなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 … X線断層撮像装置
2、3… X線照射器
4 … 搬送器
5、6 … X線平面検出器(FPD)
7、8 … 照射ユニット
21 … 密閉型X線管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線照射器と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とで構成される複数組の照射ユニットと、
前記各照射ユニットの各X線照射器とX線検出器との間に被検体を平行移動させる搬送器と、
少なくとも1つの前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に傾斜しており、
少なくとも1つの他の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向の逆方向に傾斜している
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線断層撮像装置において、
前記各照射ユニットによる被検体のサイノグラム上での照射領域が交わらない
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のX線断層撮像装置において、
1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に向かって傾斜しており、
他の1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に対向して傾斜しており、
さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送面に対して垂直に配置されている
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のX線断層撮像装置において、
前記X線照射器は密閉型X線管を有する
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のX線断層撮像装置において、
各X線照射器の照射角度が20°以上50°以下である
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線照射器と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とで構成される複数組の照射ユニットと、
前記各照射ユニットの各X線照射器とX線検出器との間に被検体を平行移動させる搬送器と、
少なくとも1つの前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に傾斜しており、
少なくとも1つの他の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向の逆方向に傾斜している
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線断層撮像装置において、
前記各照射ユニットによる被検体のサイノグラム上での照射領域が交わらない
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のX線断層撮像装置において、
1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に向かって傾斜しており、
他の1組の前記照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送方向に対向して傾斜しており、
さらに他の1組の照射ユニットのX線中心軸が前記被検体の搬送面に対して垂直に配置されている
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のX線断層撮像装置において、
前記X線照射器は密閉型X線管を有する
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のX線断層撮像装置において、
各X線照射器の照射角度が20°以上50°以下である
ことを特徴とするX線断層撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−137315(P2012−137315A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288023(P2010−288023)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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