説明

X線検査方法及びX線検査装置

【課題】ランドの仕様および部品電極の仕様によって良品の半田形状にばらつきが生じている場合にも、精度良く半田付け状態の良否判定を行う。
【解決手段】基板20にX線を照射するX線照射ステップと、X線照射ステップにおいて照射し基板を透過したX線を検出するX線検出ステップと、X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、ランド22と半田40間の水平断面画像、及び半田40の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、断面画像生成ステップにおいて生成したランド20と半田40間の水平断面画像、及び半田40の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、プリント基板と電子部品との半田付け状態を検査するX線検査方法及びX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ランドが形成されたプリント基板と、ランドに半田付けされた部品電極を有する電子部品との半田付け状態をX線検査する3次元X線CT検査装置では、半田付け後のプリント基板の3次元画像データからランドと部品電極とを接続する半田を抽出し、その形状(面積、重心位置等)から半田付け状態の良否判定を行っている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−110675号公報
【特許文献2】特開2006−28450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半田の形状は、ランドの仕様及び部品電極の仕様(パターン配線の引き回し、ランド構造)によって、良品の場合にもばらつきが生じている。そのため、特許文献1,2に開示されるX線検査方法のように、半田形状から半田付け状態の良否判定を行った場合には、誤判定が発生しやすく検査精度が低いといった課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ランドの仕様及び部品電極の仕様によって良品の半田形状にばらつきが生じている場合にも、精度良く半田付け状態の良否判定を行うことができるX線検査方法及びX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るX線検査方法は、基板にX線を照射するX線照射ステップと、X線照射ステップにおいて照射し基板を透過したX線を検出するX線検出ステップと、X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、ランドと半田間の水平断面画像、および半田の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、断面画像生成ステップにおいて生成したランドと半田間の水平断面画像、および半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有するものである。
【0007】
また、この発明に係るX線検査装置は、基板にX線を照射するX線発生器と、X線発生器において照射され基板を透過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部により検出されたX線に基づいて、ランドと半田間の水平断面画像、および半田の水平断面画像を生成する断面画像生成部と、断面画像生成部により生成されたランドと半田間の水平断面画像、および半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する判定部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、ランドの仕様及び部品電極の仕様によって良品の半田形状にばらつきが生じている場合にも、精度良く半田付け状態の良否判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における半田付け前のプリント基板及びBGAパッケージ部品を示す(a)半田付け前の断面図であり、(b)半田付け後の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置において、BGAパッケージ部品の半田付け状態の良否判定を説明する断面図及び各位置での水平断面画像を示す図であり、(a)良品を示す図であり、(b)プリント基板側及び電子部品側で不ヌレ不良の場合を示す図であり、(c)プリント基板側が不ヌレ不良の場合を示す図であり、(d)電子部品側が不ヌレ不良の場合を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置において、QFNパッケージ部品の半田付け状態の良否判定を説明する断面図及び各位置での水平断面画像を示す図であり、(a)良品を示す図であり、(b)プリント基板側及び電子部品側で不ヌレ不良の場合を示す図であり、(c)プリント基板側が不ヌレ不良の場合を示す図であり、(d)電子部品側が不ヌレ不良の場合を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置において、チップ部品の半田付け状態の良否判定を説明する断面図及び各位置での水平断面画像を示す図であり、(a)良品を示す図であり、(b)プリント基板側及び電子部品側で不ヌレ不良の場合を示す図であり、(c)プリント基板側が不ヌレ不良の場合を示す図であり、(d)電子部品側が不ヌレ不良の場合を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るX線検査装置において、リード端子部品の半田付け状態の良否判定を説明する断面図及び各位置での水平断面画像を示す図であり、(a)良品を示す図であり、(b)プリント基板側及び電子部品側で不ヌレ不良の場合を示す図であり、(c)プリント基板側が不ヌレ不良の場合を示す図であり、(d)電子部品側が不ヌレ不良の場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、X線検査装置10により半田付け状態を検査する、電子部品30が実装されたプリント基板20について説明する。ここで、電子部品30としてBGA(Ball Grid Array)パッケージ部品30aを用いた場合について説明する。
プリント基板20は、図1に示すように、基材21上に配線された不図示のパターン配線と電子部品30の部品電極32とを接続する銅箔からなるランド22と、ランド22上に印刷された半田23と、ランド22部分が開口した保護膜である基板レジスト24とから構成される。
【0011】
また、BGAパッケージ部品30aは、図1に示すように、インターポーザ31の裏面に形成された部品電極32と、部品電極32に付けられた半田ボール33と、部品電極32部分が開口した保護膜である部品レジスト34とから構成される。
【0012】
上記のように構成されたプリント基板20にBGAパッケージ部品30aを実装する際には、半田23上に電子部品30を装着して取り付け、リフロー炉により加熱して半田23と半田ボール33とを一体化させる。この際、ランド22と半田40との間に、数μm〜数十μm厚の金属間化合物が形成されることによって、プリント基板20とBGAパッケージ部品30aとを接合することができる。
【0013】
次に、X線検査装置10の構成について説明する。
X線検査装置10は、図2に示すように、X線発生器11及びX線検出器12から構成される。また、X線検出器12は、X線検出部13、制御部14、断面画像生成部15及び判定部16から構成される。
【0014】
X線発生器11は、軸aを中心に回動しながら不図示の検査台に載置されたプリント基板20にX線を照射するものである。このX線発生器11は、図1の点線で示すような範囲に対してX線を照射する。
【0015】
X線検出部13は、X線発生器11により照射され、プリント基板20を透過したX線を検出するものであり、プリント基板20を介してX線発生器11に対向して配置される。このX線検出部13により検出されたX線データは断面画像生成部15に送られる。
【0016】
制御部14は、所定のプログラムに従って、X線検査装置10の各部の動作制御を行うものである。
断面画像生成部15は、X線検出部13により検出されたX線データに対して画像処理を行い、半田40の複数位置での水平断面画像を生成するものである。この断面画像生成部15により生成された複数の水平断面画像は判定部16に送られる。
【0017】
判定部16は、断面画像生成部15により生成された複数の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否判定を行うものである。
【0018】
次に、X線検査装置10の動作について説明する。
X線検査装置10により電子部品30が実装されたプリント基板20の半田付け状態の良否判定を行う際には、図3に示すように、まず、X線発生器11は、回動しながら検査台に載置されたプリント基板20にX線を照射する(ステップST1,X線照射ステップ)。
【0019】
次いで、X線検出部13は、X線発生器11により照射され、プリント基板20を透過したX線を検出する(ステップST2、X線検出ステップ)。このX線検出部13により検出されたX線データは断面画像生成部15に送られる。
【0020】
次いで、断面画像生成部15は、X線検出部13により検出されたX線データに対して画像処理を行い、半田40の複数位置での水平断面画像を生成する(ステップST3、断面画像生成ステップ)。
なお、図4では、部品側半田接合面(部品電極32と半田間の位置)C、半田中心面D、基板側半田接合面(ランド22と半田間の位置)Eの3層の断面についての水平断面画像を生成している。
この断面画像生成部15により生成された複数の水平断面画像は判定部16に送られる。
【0021】
次いで、判定部16は、断面画像生成部15により生成された複数の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否判定を行う(ステップST4、判定ステップ)。
ここで、図4(a)に示すように、半田付けが正常に行われた場合には、半田接合面C,Eの水平断面画像は、半田中心面Dの水平断面画像よりもコントラストが濃くなる。これは、半田接合面C,Eに形成された金属間化合物41,42の原子量が半田40の原子量よりも大きく、X線が照射された際のX線透過量が異なるためである。
【0022】
そのため判定部16は、半田接合面C,Eの水平断面画像と半田中心面Dの水平断面画像とのコントラスト差に基づいて、半田接合面C,Eに金属間化合物41,42が形成されていることを確認することができる。これにより、判定部16は、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態が良好であると判定することができる。
【0023】
一方、図4(b)に示すように、半田付けが正常に行われずプリント基板20側及び電子部品30側ともに不ヌレ不良である場合には、半田接合面C,Eには金属間化合物41,42が形成されない。
そのため、半田接合面C,Eの水平断面画像は半田中心面Dの水平断面画像とコントラスト差を得ることができず、判定部16は、半田接合面C,Eには金属間化合物41,42が形成されていないことを確認することができる。これにより、判定部16は、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態が不良であると判定することができる。
【0024】
また、図4(c)に示すように、プリント基板20側が不ヌレ不良である場合には、基板側半田接合面Eと半田中心面Dとの水平断面画像でコントラスト差を得ることができず、金属間化合物42が形成されていないことを確認できる。また、図4(d)に示すように、電子部品40側が不ヌレ不良である場合には、部品側半田接合面Cと半田中心面Dとの水平断面画像でコントラスト差を得ることができず、金属間化合物41が形成されていないことを確認できる。そのため、判定部16はそれぞれにおいて、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態が不良であると判定することができる。
【0025】
次に、電子部品30としてQFN(Quad Flat Non-leaded)パッケージ部品30bまたはSON(Small Outline Non-leaded)パッケージ部品30cを用いた場合について説明する。
なお、プリント基板20は、図1に示したプリント基板20の構成と、ランド22の配置が変更された点以外は同一であるため、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0026】
QFNパッケージ部品30bは、インターポーザ31裏面の4方向にランド22に半田付けされる部品電極32が形成されたものである。また、SONパッケージ部品30cもQFNパッケージ部品30bと同様に、インターポーザ31裏面の2方向にランド22に半田付けされる部品電極32が形成されたものである。
【0027】
上記のように構成されたプリント基板20にQFNパッケージ部品30b(SONパッケージ部品30c)を実装する際には、半田23上に電子部品30を装着して取り付け、リフロー炉により半田23を加熱する。この際、ランド22と半田40との間、及び部品電極32と半田40との間に、数μm〜数十μm厚の金属間化合物41,42が形成されることによって、プリント基板20と電子部品30とを接合することができる。
【0028】
ここで、図5(a)に示すように、半田付けが正常に行われた場合には、半田接合面C,Eの水平断面画像は、金属間化合物41,42が形成されているため、半田中心面Dの水平断面画像に対してコントラストが濃くなる。
そこため、判定部16は、このコントラスト差から半田接合面C,Eに金属間化合物41,42が形成されていることを確認することができるため、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態が良好であると判定することができる。
【0029】
一方、図5(b)〜(d)に示すように、半田付けが正常に行われなかった場合には、この部品側半田接合面Cまたは/及び基板側半田接合面Eには金属間化合物41,42が形成されない。
そのため、半田接合面Cまたは/及び基板側半田接合面Eの水平断面画像は半田中心面Dの水平断面画像とのコントラスト差を得ることができず、判定部16は、金属間化合物41,42が形成されていないことを確認することができる。これにより、判定部16は、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態が不良であると判定することができる。
【0030】
また、図6に示す電子部品30としてチップ部品30dを用いた場合や、図7に示すリード端子35を有するリード端子部品30eを用いた場合に対しても、同様に、半田接合面C,Eと半田中心面Dとの水平断面画像でのコントラスト差から金属間化合物41,42の有無を検出することによって、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否を判定することができる。
【0031】
以上のように、この実施の形態1によれば、X線検査装置10により、半田接合面C,Eと半田中心面Dとの水平断面画像でのコントラスト差から金属間化合物41,42の有無を検出して、プリント基板20と電子部品30との半田付け状態の良否判定を行うように構成したので、ランド22の仕様及び部品電極32の仕様による良品のばらつきに影響されることなく、高精度かつ安定した半田付け状態の良否判定を行うことができる。
【0032】
また、この実施の形態1では、半田接合面C,Eの金属間化合物41,42と半田中心面Dの半田40とのX線透過量(画像コントラスト)の差に着目して半田付け状態の良否判定を行うことで、ランド22や部品電極32、半田40の材料に依らずに検査を行うことができる。
【0033】
なお、この実施の形態1では、半田接合面C,Eでの金属間化合物41,42の有無から半田付け状態の良否判定を行うようにしたが、金属間化合物41,42の形状を抽出することによって、実質的な半田接合面C,Eの接合面積を検査することもできる。このように構成することによって、半田接合面C,Eのクラック不良等、従来の検査方法では検出困難な半田付け不良を高精度に検出することができる。
【0034】
さらに、この実施の形態1において、部品側半田接合面Cの金属間化合物41と基板側半田接合面Eの金属間化合物42との距離を測定することによって、半田40の高さや電子部品30の高さを測定することもできる。このように構成することによって、基準距離値との比較から半田付け状態の良否判定を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 X線検査装置、11 X線発生器、12 X線検出器、13 X線検出部、14 制御部、15 断面画像生成部、16 判定部、20 プリント基板、21 基材、22 ランド、23 半田、24 基板レジスト、30 電子部品、31 インターポーザ、32 部品電極、33 半田ボール、34 部品レジスト、35 リード端子、40 半田。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドが形成された基板と、前記ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査方法において、
前記基板にX線を照射するX線照射ステップと、
前記X線照射ステップにおいて照射し前記基板を透過したX線を検出するX線検出ステップと、
前記X線検出ステップにおいて検出したX線に基づいて、前記ランドと前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像を生成する断面画像生成ステップと、
前記断面画像生成ステップにおいて生成した前記ランドと前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する判定ステップとを有する
ことを特徴とするX線検査方法。
【請求項2】
前記断面画像生成ステップは、前記電極と前記半田間の水平断面画像を生成し、
前記判定ステップは、前記断面画像生成ステップにおいて生成した前記電極と前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する
ことを特徴とする請求項1記載のX線検査方法。
【請求項3】
ランドが形成された基板と、前記ランドに半田付けされた電極を有する電子部品との半田付け状態を検査するX線検査装置において、
前記基板にX線を照射するX線発生器と、
前記X線発生器において照射され前記基板を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部により検出されたX線に基づいて、前記ランドと前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像を生成する断面画像生成部と、
前記断面画像生成部により生成された前記ランドと前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する判定部とを備えた
ことを特徴とするX線検査装置。
【請求項4】
前記断面画像生成部は、前記電極と前記半田間の水平断面画像を生成し、
前記判定部は、前記断面画像生成部により生成された前記電極と前記半田間の水平断面画像、および前記半田の水平断面画像のコントラスト差に基づいて、半田付け状態を判定する
ことを特徴とする請求項3記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−169788(P2011−169788A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34620(P2010−34620)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】