X線検査装置、X線検査装置の制御方法、X線検査装置を制御するためのプログラム、および、当該プログラムを格納した記録媒体
【課題】X線検査装置における撮像時間を短くする。
【解決手段】X線検査装置が実行する処理は、検査対象物中の着目点がX線検出器の受光中心に常に投影された状態で、X線検出器および撮像視野を、それぞれの移動のために予め設定された軌道上で連続的に移動させるステップ(S710)と、その移動中に、各目標位置において、連続的にX線を照射するようにX線発生器を駆動し、またはX線検出器が露光状態にある期間、X線を照射するステップ(S720)と、X線を露光し、プロジェクション画像(投影画像)を出力するステップ(S730)と、予め設定されたn回の露光が行なわれると(ステップS750にてYES)、n枚のプロジェクション画像から3次元画像を再構成するステップ(S760)とを含む。
【解決手段】X線検査装置が実行する処理は、検査対象物中の着目点がX線検出器の受光中心に常に投影された状態で、X線検出器および撮像視野を、それぞれの移動のために予め設定された軌道上で連続的に移動させるステップ(S710)と、その移動中に、各目標位置において、連続的にX線を照射するようにX線発生器を駆動し、またはX線検出器が露光状態にある期間、X線を照射するステップ(S720)と、X線を露光し、プロジェクション画像(投影画像)を出力するステップ(S730)と、予め設定されたn回の露光が行なわれると(ステップS750にてYES)、n枚のプロジェクション画像から3次元画像を再構成するステップ(S760)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関し、より特定的には、X線画像を早く取得するためのX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いたCT(Computed Tomography)自動検査装置では、インラインで検査をするために高速化が求められている。高速化のための撮像系構成例として、たとえば、特開2009−156788号公報(特許文献1)は、平行な面上を移動するXY軸を用いて検査対象物および2次元X線検出器を移動させることで、複数の異なる方向からX線画像(以下「プロジェクション画像」という。)を取得する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−156788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次元X線検出器を用いて同一箇所を複数角度から撮像できる機構を持った傾斜CT自動検査装置では、撮像角度を変更するための機構の移動および停止と、撮像(X線照射およびX線検出器の露光)とが時間的に直列に実行される(いわゆる、ストップ・アンド・ゴー(STOP&GO)方式)。その結果、撮像に寄与しない機構の移動の時間が検査時間の損失となるため、検査時間をさらに短くすることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、X線画像の取得を高速化できるX線検査装置を提供することである。
【0006】
他の局面の目的は、X線画像の取得が高速化されるX線検査方法を提供することである。他の局面の目的は、X線画像の取得が高速化されるようにX線検査装置を制御するためのプログラムを提供することである。さらに他の局面の目的は、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するためのX線検査装置が提供される。X線検査装置は、対象物を移動するための対象物移動機構と、対象物にX線を照射するためのX線源と、検査対象領域を透過したX線を検出するためのX線検出器と、X線検出器を移動するための検出器移動機構と、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、X線検出器が予め設定された第1の軌道に沿って移動するように、検出器移動機構の駆動を制御するための検出器位置制御手段と、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物移動機構の駆動を制御するための対象物位置制御手段と、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するようにX線源を制御するためのX線源制御手段と、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するためのX線画像取得手段と、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するための演算手段とを備える。
【0008】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、検出器移動機構はX線検出器を移動し、対象物移動機構は対象物を移動する。
【0009】
好ましくは、X線源制御手段は、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するようにX線源を駆動する。
【0010】
好ましくは、X線源制御手段は、対象物に対してX線を複数回照射するようにX線源を制御する。X線検出器は、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光する。
【0011】
他の実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置の制御方法が提供される。この制御方法は、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿ってX線検出器を移動するステップと、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物を移動するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを含む。
【0012】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器を移動するステップは、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器を移動するステップを含む。対象物を移動するステップは、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、対象物を移動するステップを含む。
【0013】
好ましくは、X線を照射するステップは、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを含む。
【0014】
好ましくは、X線を照射するステップは、対象物に対してX線を複数回照射するステップを含む。複数の投影画像を取得するステップは、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光するステップを含む。
【0015】
他の実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置を制御するためのプログラムが提供される。プログラムは、X線検査装置に、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿ってX線検出器を移動するステップと、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物を移動するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを実行させる。
【0016】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。プログラムは、X線検出器を移動するステップとして、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器を移動するステップを実行させ、対象物を移動するステップとして、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、対象物を移動するステップを実行させる。
【0017】
好ましくは、プログラムは、X線を照射するステップとして、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを実行させる。
【0018】
好ましくは、プログラムは、X線を照射するステップとして、対象物に対してX線を複数回照射するステップを実行させ、複数の投影画像を取得するステップとして、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光するステップを実行させる。
【0019】
さらに他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載のプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0020】
ある局面において、X線検査に必要なX線画像が高速に取得される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】X線検査装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図2】X線検査装置100が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図3】X線検出器23と撮像視野310が移動する状態を上方から表わす図である。
【図4】X線検査装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図5】X線発生器10を中心にX線検査装置400を上から見た図である。
【図6】検査対象物20を基準にX線検出器23とX線発生器10の相対的な位置を表わす図である。
【図7】X線検査装置400が備える演算部410が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図8】X線検査装置100の各構成要素の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【図9】本実施の形態に係るX線検査装置400の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【図10】X線検査装置1000の構成の一部を表わす図である。
【図11】X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転した状態において得られる画像の推移を表わす図である。
【図12】コンピュータシステム1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
[ハードウェア構成]
図1を参照して、ある局面に従うX線検査装置100の構成について説明する。図1は、X線検査装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0024】
X線検査装置100は、X線発生器10と、ステージ18と、X線検出器駆動部22と、X線検出器23と、画像取得制御機構30と、入力部40と、出力部50と、X線源制御機構60と、演算部70と、メモリ90とを備える。
【0025】
X線発生器10は、X線焦点17を含む。X線検出器駆動部22は、直交タイプの2軸のロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2とを含む。画像取得制御機構30は、検出器駆動制御部32と、画像データ取得部34とを含む。演算部70は、検査対象位置制御部80を含む。ステージ18には、検査対象物20が搭載される。
【0026】
X線発生器10は、X線焦点17を通る軸を中心軸としてX線を出力する。X線発生器10は、X線源制御機構60によって制御される。X線源制御機構60は、電子ビームの出力を制御する。具体的には、X線源制御機構60は、演算部70から、X線エネルギー(管電圧、管電流)の指定を受ける。X線エネルギーは、検査対象物20の構成によって異なる。
【0027】
ステージ18には、検査対象物20が搬入される。ステージ18は、たとえば、X−Y−Zステージとして構成され、任意の位置に移動することができる。ステージ18の移動は、たとえば、円軌道や線形軌道に従って移動する。他の局面において、ステージ18は、ベルトコンベアのように一方向に移動することにより検査のための位置に検査対象物20を配置するように構成され得る。
【0028】
X線検出器駆動部22は、検出器駆動制御部32を通して、演算部70からの命令によってX線検出器23を指定された位置に移動させる。また、検出器駆動制御部32は、その時点でのX線検出器23の位置情報を演算部70に送る。
【0029】
より詳しくは、X線検出器駆動部22において、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2とは、X線検出器23を指定された位置に移動する。たとえば、X線検出器駆動部22は、XYθの自由度でX線検出器23を駆動可能できるXYθ動作機構として構成される。
【0030】
なお、X線検出器駆動部22は、上記の構成に限られず、X−Y方向の移動またはX−Y平面内でのθ回転を可能とする構成であり、X線検出器23の移動に対して同様の機能を持つものであればよい。
【0031】
X線検出器23は、X線発生器10によって出力されて検査対象物20を透過したX線を検出して画像化する2次元X線検出器である。たとえば、X線検出器23は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、I.I(Image Intensifier)管、スペース効率のよいFPD(Flat Panel Detector)である。また、X線検出器23は、インライン検査で使うことができるように高感度であることが望ましく、CdTeを使った直接変換方式のFPDであってもよい。
【0032】
画像取得制御機構30は、X線検出器駆動部22によるX線検出器23の駆動、およびX線検出器23からの画像データの取得を制御する。具体的には、検出器駆動制御部32は、演算部70によって指定された位置にX線検出器23を移動するように、X線検出器駆動部22を制御する。画像データ取得部34は、X線検出器23の画像データを取得する。複数のX線検出器23が用いられる場合には、画像データ取得部34は、演算部70から指定されたX線検出器23の画像データを取得し得る。
【0033】
入力部40は、X線検査装置100のユーザからの指示入力等を受け付ける。入力部40は、たとえば、周知のコンピュータシステムに用いられるキーボード、マウス、タッチパネル、無線通信インターフェイス等によって実現される。
【0034】
出力部50は、測定結果等を外部に出力する。出力部50は、たとえば、演算部70で構成されたX線画像等を表示するモニタ装置として実現される。他の局面において、出力部50は、画像信号を出力するインターフェイスとして実現される。
【0035】
X線源制御機構60は、X線発生器10によるX線の照射タイミング、照射時間、および強度を制御する。
【0036】
演算部70は、メモリ90に格納されたプログラム(図示しない)を実行して各部を制御し、また、所定の演算処理を実行する。
【0037】
検査対象位置制御部80は、ステージ18の移動を制御することにより、X線撮像のために必要な位置決めを実行する。
【0038】
メモリ90は、X線検査装置100の動作を制御するためのプログラム、取得されたX線画像データ等を格納する。
【0039】
[制御構造]
図2を参照して、ある局面におけるX線検査装置100の制御構造について説明する。図2は、X線検査装置100が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0040】
ステップS102にて、演算部70は、検査対象物20が置かれたステージ18を駆動することにより、視野を移動する。
【0041】
ステップS104にて、X線検査装置100は、透視画像を撮像する。具体的には、画像データ取得部34は、X線発生器10から照射されて検査対象物20を透過したX線の画像データをX線検出器23から受信する。画像データは、メモリ90に格納される。
【0042】
ステップS106にて、演算部70は、撮像によって得られた透視画像を検査する。
ステップS108にて、演算部70は、その検査の結果に基づいて、再構成画像の検査が必要であるか否かを判断する。演算部70は、再構成画像の検査が必要であると判断すると(ステップS108にてYES)、制御をステップS110に切り換える。そうでない場合には(ステップS108にてNO)、演算部70は、制御を終了する。
【0043】
ステップS110にて、演算部70は、一視野のCT(Computed Tomography)撮像処理を実行する。
【0044】
ステップS112にて、演算部70は、CT撮像処理によって得られた画像を用いて検査対象物20の画像を再構成する。
【0045】
ステップS112にて、演算部70は、再構成画像を検査する。
ステップS116にて、演算部70は、全視野の検査を終了したか否かを判断する。演算部70は、全視野の検査を終了したと判断すると(ステップS116にてYES)、検査を終了する。そうでない場合には(ステップS116にてNO)、演算部70は、制御をステップS102に戻す。
【0046】
[視野の移動]
図3を参照して、X線検査装置100におけるX線検出器23および撮像視野310の移動について説明する。図3は、X線検出器23と撮像視野310が移動する状態を上方から表わす図である。
【0047】
ある局面において、X線検出器23および撮像視野310は、X線発生器10を回転中心として反時計回りに回転する。X線検出器23は、X線検出器軌道320の軌道上を移動し、検査対象物20に含まれる撮像視野310は、撮像視野軌道330の軌道上を移動する。
【0048】
たとえば、図3に示される例では、検査が開始される時点では、X線検出器23は、目標位置D1に配置される。このとき、検査対象物20に含まれる撮像視野310は、目標位置V1に位置決めされる。この状態でX線発生器10がX線を照射すると、撮像視野310のプロジェクション画像P1が取得される。
【0049】
その後、X線検出器23が駆動されて、目標位置D1から目標位置D2に移動する。このとき、検査対象物20を載せたステージ18も同じ角度だけ回転し、目標位置V2まで移動する。この状態でX線発生器10がX線を照射すると、プロジェクション画像P2が取得される。
【0050】
以降も同様に、目標位置D3,V3においてプロジェクション画像P3が取得され、目標位置D4,V4においてプロジェクション画像P4が取得される。n枚のプロジェクション画像が再構成のために必要とされる場合には、目標位置Dn,Vnまで移動と撮像とが交互に行なわれる。
【0051】
[ハードウェア構成]
図4を参照して、ある局面の実施の形態に係るX線検査装置400の構成について説明する。図4は、X線検査装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0052】
X線検査装置400は、X線発生器10と、ステージ18と、直交タイプの2軸のロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2と、X線検出器23と、演算部410と、主記憶部420と、補助記憶部425と、入力部40と、出力部50と、X線検出器位置制御機構440と、X線画像取得機構445と、光学カメラ位置制御機構450と、カメラ460と、光学画像取得機構455と、ステージ位置制御機構465と、X線源制御機構60とを備える。ステージ18には、検査対象物20が搭載されている。検査対象物20は、撮像視野310を含む。
【0053】
X線検出器23は、X線検出器軌道320上を移動するように、ロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2とによって駆動される。
【0054】
検査対象物20の位置は、撮像視野310が撮像視野軌道330上を移動するように、ステージ位置制御機構465によって位置決めされて、ステージ18によって目標位置まで移動される。このとき、X線発生器10から撮像視野310に向けて照射されるX線が常にX線検出器23によって検出されるように、X線検出器23およびステージ18は、それぞれ、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330上を移動する。
【0055】
演算部410は、X線検査装置400の動作を制御する。たとえば、ある局面において、演算部410は、検査対象物20に応じて、X線発生器10からX線を出力する際の条件を設定し、主記憶部420に格納する。当該条件は、たとえば、X線発生器10に対する印加電圧、撮像時間等を含む。X線源制御機構60は、その条件に基づいてX線発生器10によるX線の照射を制御する。X線画像取得機構445は、設定された撮像時間に従って、X線検出器23によるX線の露光時間を制御する。
【0056】
ある局面において演算部410は、取得されたプロジェクション画像から検査対象物20の3次元画像を再構成するための処理を実行する。他の局面において、演算部410は、検査対象物20の良否を判定する。たとえば、演算部410は、再構成された3次元の画像データ又は透視データを用いて、検査対象物20の良否を判定する。この場合、演算部410は、半田ボールの形状を認識し、当該形状が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する等により、検査対象物20の良否を判定する。なお、良否を判定するためのアルゴリズムおよび当該アルゴリズムに対する入力情報は、検査対象物20によって異なる。したがって、検査対象物20の種類に応じたアルゴリズムや入力情報は、撮像条件情報として入力部40から入力されて主記憶部420に格納される。
【0057】
主記憶部420は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)やHDD(Hard Disc Drive)その他の不揮発的にデータを保持できる記憶装置によって実現される。主記憶部420は、X線焦点位置および撮像条件その他のデータ、ならびに、X線検査装置400の動作を制御するためのオペレーティングシステム、良否を判定するためのアルゴリズム、上記の各処理を実行するためのプログラムを格納している。
【0058】
補助記憶部425は、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリによって実現される。補助記憶部425は、演算部410によって生成されたデータ、X線画像取得機構445によって取得された画像データ、入力部40を介して入力されたデータ等を揮発的に保持する。
【0059】
X線検出器位置制御機構440は、演算部410によって指定された位置にX線検出器23を移動するように、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2とを駆動する。
【0060】
X線画像取得機構445は、X線発生器10から照射されて検査対象物20を透過したX線の画像データをX線検出器23から受信する。画像データは、主記憶部420に格納される。
【0061】
光学カメラ位置制御機構450は、演算部410からの命令に基づいて、カメラ460の位置を制御する。カメラ460は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)その他の素子を含む。具体的には、光学カメラ位置制御機構450は、検査対象物20の検査位置の特定のためにカメラ460の位置を移動し、ステージ18に搭載された検査対象物20を撮影する。
【0062】
光学画像取得機構455は、カメラ460の撮影によって得られた画像データを受信し、補助記憶部425にその画像データを格納する。演算部410は、その画像データを出力部50に出力させる。出力部50がモニタ装置として実現される場合には、検査対象物20の画像が表示される。
【0063】
ステージ位置制御機構465は、演算部410の制御に基づいて、ステージ18を移動することにより、X線撮像のために必要なステージ18の位置決めを実行する。
【0064】
ある局面において、X線検出器位置制御機構440は、検査対象物20中の一点がX線検出器23の受光中心に投影される状態が維持されながら、X線検出器23が予め設定された第1の軌道(たとえば、X線検出器軌道320)に沿って移動するように、検出器移動機構(たとえば、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2)の駆動を制御する。ステージ位置制御機構465は、検査対象物20中の一点がX線検出器23の受光中心に投影される状態が維持されながら、検査対象物20が予め設定された第2の軌道(たとえば、撮像視野軌道330)に沿って移動するように、ステージ18の駆動を制御する。X線源制御機構60は、X線検出器23および検査対象物20が移動している間、検査対象物20に向けてX線を照射するようにX線発生器10を制御する。X線画像取得機構445は、X線検出器23および検査対象物20が移動している間、検査対象物20を透過したX線にX線検出器23を複数回露光させることにより、複数のプロジェクション画像を取得する。演算部410は、このようにして得られた複数のプロジェクション画像から、再構成アルゴリズムを用いて3次元の画像を再構成する。
【0065】
他の局面において、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器23および検査対象物20がX線発生器10を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器位置制御機構440は、X線検出器23を移動し、ステージ位置制御機構は、検査対象物20を移動する。
【0066】
好ましくは、X線源制御機構60は、検査対象物20およびX線検出器23が移動している間、X線を連続的に照射するようにX線発生器10を駆動する。
【0067】
好ましくは、X線源制御機構60は、検査対象物20に対してX線を複数回照射するようにX線発生器10を制御する。X線検出器23は、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光する。
【0068】
<技術思想>
ここで、図4をさらに参照して、X線検査装置400の技術思想を整理すると、以下のとおりである。
(1) 検査対象物20中の着目点をX線検出器23の受光中心に常に投影した状態で、X線検出器23および撮像視野310が、それぞれ、予め設定された移動軌道上を連続的に移動する。
(2) (1)の移動中に、X線発生器10は、連続的に、または、X線検出器23が露光状態にある期間、X線を照射する。
(3) (1)の移動中に、X線検出器23は複数回X線を露光し、複数回の露光によって取得されたX線画像を、プロジェクション画像として保存する。
(4) (3)にて保存された複数のプロジェクション画像を、CT再構成アルゴリズムを用いて3次元画像化する。
【0069】
係る技術思想によれば、
(a)1つの撮像視野内の検査対象物20について、検査対象物20を透過してX線検出器23の中心に照射される位置が連続動作中で変わらない。
(b)X線検出器23の露光(シャッター)のタイミングを制御することにより複数のプロジェクション画像が得られるので、それらの画像を用いて、再構成が行われる。
【0070】
その結果、撮像に要する時間が短くなる。
なお、本実施の形態においては、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330が円軌道である場合が説明されているが、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330は円軌道に限られず、多角形、矩形の形状であってもよい。
【0071】
[視野の移動]
図5を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400におけるX線検出器23と撮像視野310の移動について説明する。図5は、X線発生器10を中心にX線検査装置400を上から見た図である。
【0072】
図5に示されるように、X線検出器23は、X線検出器軌道320の上を反時計回りに移動する。具体的には、X線検出器23は、X線撮影のための露光地点として、少なくとも目標位置D1,D2,D3,D4においてX線を検出する。なお、図5に示される例では、X線検出器23は自転していないが、他の局面において、X線検出器23は自転してもよい。
【0073】
また、検査対象物20に含まれる撮像視野310については、撮像のための位置として、目標位置V1,V2,V3,V4,・・・Vnにおいて、X線撮影され、プロジェクション画像P1’,P2’,P3’,P4’,・・・Pn’が取得される。X線検出器23と同様に、図5に示される例では、撮像視野310は自転していないが、他の局面において、撮像視野310は自転してもよい。
【0074】
なお、X線検出器23の目標位置と、撮像視野310の目標位置との関係については、X線発生器10と撮像視野310の目標位置Vnとを結ぶ線上に、X線検出器23の目標位置Dnが存在するように、X線検出器23および撮像視野310の移動が制御される。すなわち、X線検出器23と撮像視野310とは、X線発生器10に対して同じ角速度で移動する。このとき、X線検出器23は、撮像視野310の着目点を受光面の中心に捉えた状態のまま、X線検出器軌道320上の目標位置D1〜Dnに連続的に移動する。撮像視野310およびX線検出器23が移動している間に、X線検出器23は、撮像視野310を透過したX線を露光する。なお、X線検出器23は、着目点を捉えたまま移動するため、X線検出器位置制御機構440およびステージ位置制御機構465は、サーボモータやリニアモータのように、位置計測の結果を用いたフィードバック制御が可能な駆動装置を用いることが望ましい。
【0075】
[着目点]
図6を参照して、着目点について説明する。図6は、検査対象物20を基準にX線検出器23とX線発生器10の相対的な位置を表わす図である。すなわち、本実施の形態に係るX線検査装置400においては、着目点の理解のために、検査対象物20を固定した状態で、検査対象物20から見たX線検出器23およびX線発生器10の相対的な位置が示されている。
【0076】
着目点とは、プロジェクション画像において、X線検出器23の中心が常に捉えている検査対象物20中の一点をいう。着目点が存在する検査対象物20中のXY平面を着目面という。
【0077】
検査対象物20は、X線検査装置400による検査の対象となる面として着目面610を有する。着目面610は、着目点620を含む。X線検出器23は、着目点620を常に捉えるように、撮像視野310の移動に同期する。
【0078】
[制御構造]
図7を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400の制御構造について説明する。図7は、X線検査装置400が備える演算部410が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0079】
ステップS710にて、演算部410は、検査対象物20中の着目点620がX線検出器23の受光中心に常に投影された状態で、X線検出器23および撮像視野310を、それぞれの移動のために予め設定された軌道(X線検出器軌道320および撮像視野軌道330)上で連続的に移動させる。また、演算部410は、露光回数を計算するためのカウンタを初期化する。
【0080】
ステップS720にて、演算部410は、その移動中に、目標位置V1(またはD1),V2(またはD2),V3(またはD3),V4(またはD4),・・・Vn(またはDn)において、連続的にX線を照射するようにX線発生器10を駆動し、またはX線検出器23が露光状態にある期間、X線発生器10にX線を照射させる。
【0081】
ステップS730にて、X線検出器23は、X線を露光し、プロジェクション画像(投影画像)を出力し、X線画像取得機構445に送信する。プロジェクション画像のデータは、主記憶部420に保存される。その後、ある局面において、演算部410は、画像再構成の処理を高速化するために、取得されたプロジェクション画像を、三次元画像再構成演算に入力して、画像再構成の処理を開始する。なお、他の局面の態様として、必要な枚数のプロジェクション画像が取得された後で画像再構成処理が開始される構成も用いられ得る。
【0082】
ステップS740にて、演算部410は、X線検出器23による露光回数を1カウントアップする。
【0083】
ステップS750にて、演算部410は、予め設定された枚数のプロジェクション画像が取得されたか否かを判断する。たとえば、演算部410は、露光回数が予め設定された回数nと同じであるか否かを判断する。演算部410は、露光回数が予め設定された回数nと同じであると判断すると(ステップS750にてYES)、制御をステップS760に切り換える。そうでない場合には(ステップS750にてNO)、演算部410は、制御をステップS730に切り換える。X線検出器23は再びX線を露光する。
【0084】
ステップS760にて、n枚のプロジェクション画像P1’〜Pnの取得が完了する。演算部410は、CT再構成アルゴリズムを用いて、主記憶部420に保存されたn枚のプロジェクション画像から検査対象物20の三次元の画像を構成する。なお、ステップS730において説明したように、X線検査の高速化のために、1枚のプロジェクション画像を撮像するごとに、撮像箇所の三次元画像再構成演算に当該プロジェクション画像を入力することが望ましい。たとえば、演算部410は、2枚目のプロジェクション画像を取得する間に、1枚目のプロジェクション画像を用いて再構成演算を実行する。
【0085】
[X線検査装置の動作パターン]
図8および図9を参照して、X線検査装置の動作のパターンについて説明する。図8は、X線検査装置100の各構成要素の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。図9は、本実施の形態に係るX線検査装置400の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【0086】
図8を参照して、グラフ810に示されるように、X線検査装置100は、X線検出器位置制御機構(たとえば、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2)の動作パターンとして、停止と移動とを繰り返す。このとき、グラフ810,820から明らかなように、ある局面において、ステージ位置制御機構(たとえばステージ18)と、X線検出器23とは、非同期で移動し、異なるタイミングで、それぞれの目標位置に停止する。
【0087】
X線検出器23と検査対象物20とが位置決めされると、撮像が実行される。具体的には、グラフ840に示されるように、X線発生器10は、停止とX線の照射とを繰り返す。このとき、グラフ830に示されるように、X線検出器23は、X線発生器10の動作に同期して、停止と露光とを繰り返す。図8に示されるように、X線検査装置100においては、X線撮像の動作時間は、X線による撮像が行なわれてプロジェクション画像P1,P2,P3,P4,・・・Pn以外に、撮像が行なわれていない期間を含む。つまり、X線検出器23が目標位置にあるときだけX線撮像が可能になるため、撮像時間が限られる。
【0088】
これに対して、図9を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400においては、X線検出器23は、検査対象物20の一点である着目点を常に捉えて移動するため、X線検出器23は、常に、X線を検出可能な状態にある。すなわち、X線検出器23とステージ18が、それぞれ、目標位置に向かって移動している間でも、X線撮像が可能になる。
【0089】
具体的には、グラフ910に示されるように、X線検出器位置制御機構440は、停止状態から移動を開始すると、継続して、X線検出器軌道320に沿ってX線検出器23を移動する。グラフ920から明らかなように、検査対象物20が搭載されたステージ18は、X線検出器23の移動に同期して、撮像視野軌道330上での移動を開始する。
【0090】
X線検出器23およびステージ18の移動の開始に同期して、グラフ940に示されるように、X線発生器10は、X線の照射を開始する。ここで、本実施の形態においては、X線検出器23が着目点を常に捉えているため、X線検出器23は、検査対象物20を透過したX線を常に検出することができる。そこで、グラフ930に示されるように、X線検出器23は、検査対象物20の3次元画像を再構成するために必要な枚数のプロジェクション画像を得るために、予め設定された撮像条件に従って、当該枚数に応じて露光の停止を実行する。このようにすると、複数のプロジェクション画像を得るために露光を停止すればよいので、機構の位置決めが完了するまで露光を停止する必要がない。したがって、必要な枚数のプロジェクション画像を取得するための時間が、従来の撮像パターンにおける時間よりも短くなる。
【0091】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置400によると、X線検出器23およびステージ18の移動(いわゆる「メカ移動」)と撮像とが並行して実行されるため、従来のX線検査装置において同じ露光時間および同じ枚数のプロジェクション画像を取得するための移動時間および撮像時間の合計時間が、従来のX線検査装置を用いた場合の合計時間よりも短くなるので、X線撮像検査を高速化することができる。
【0092】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るX線検査装置1000は、X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転軸を中心に自転する構成を有する点で、第1の実施の形態に係るX線検査装置400と異なる。
【0093】
そこで、図10を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置1000の構成について説明する。図10は、X線検査装置1000の構成の一部を表わす図である。なお、X線検査装置1000の動作を制御するための機構は、第1の実施の形態に係るX線検査装置400の構成と同様のハードウェア構成を用いて実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0094】
図10に示されるように、X線検査装置1000は、X線検査装置400の構成に加えて、X線検出器回転機構1010と、検査対象回転機構1020とをさらに備える。X線検出器回転機構1010は、回転軸1011を中心にX線検出器23を回転する。すなわち、X線検出器23は自転する。検査対象回転機構1020は、回転軸1021を中心に、検査対象物20を回転させる。すなわち、検査対象物20が自転しているように、ステージ18の位置が制御される。このとき、回転軸1011を中心とする回転角と、回転軸1021を中心とする回転角とは、同じ角度に維持される。これにより、各回転角における撮像によって得られた画像を用いて三次元画像を再構成するとき、着目断層の画像がぶれなくなる。
【0095】
図11を参照して、第2の実施の形態に係るX線検査装置1000によって得られる画像について説明する。図11は、X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転した状態において得られる画像の推移を表わす図である。
【0096】
状態1111において、最初の撮像として、検査対象物20に含まれる検査対象1120の撮影が行なわれる。具体的には、検査対象1120のX線画像は、画像1101として取得される。X線検出器23の露光が終了すると(撮像が完了すると)、X線検出器23および検査対象物20は、それぞれ、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330上を移動するとともに、自転し、状態1112に遷移する。
【0097】
状態1112において、X線検出器23が再び露光する。検査対象1120のX線画像は、画像1102として取得される。露光が終了すると、さらにX線検出器23と検査対象物20とは移動および自転し、状態1113に遷移する。
【0098】
状態1113において露光が行なわれると、画像1103が取得される。その後、X線検出器23と検査対象物20とは移動および自転し、状態1114に遷移する。さらに、状態1114において露光が行なわれると、画像1104が取得される。このようにして、検査対象の画像を再構成するために必要なプロジェクション画像が取得される。
【0099】
画像1101,1102,1103,1104は、それぞれ着目点を中心とした回転軸を中心に回転した画像として取得されるため、各画像は既に位置決めが完了している状態である。したがって、これらの画像を再構成して得られる画像1130は、ぶれることなく明瞭な画像として導出される。
【0100】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置1000によると、撮像中における回転停止が不要になるため、X線撮像を高速化することができる。
【0101】
なお、上述の実施の形態に係るX線検査装置400,1000の制御機構は、周知の構成を有するコンピュータシステムを用いて実現することができる。
【0102】
そこで、図12を参照して、X線検査装置400,1000の制御機構を実現するコンピュータシステム1200について説明する。図12は、コンピュータシステム1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0103】
コンピュータシステム1200は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU1と、コンピュータシステム1200の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、モニタ8と、通信IF(Interface)9とを備える。各構成要素は、相互にバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD−ROM9その他の光ディスクが装着される。
【0104】
コンピュータシステム1200における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM9その他のコンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他のデータ読取装置によってデータ記録媒体から読み取られて、あるいは、通信IF7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0105】
図12に示されるコンピュータシステム1200を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM4、ハードディスク5、CD−ROM9その他のデータ記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、コンピュータシステム1200の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0106】
なお、データ記録記録媒体としては、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0107】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含み得る。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 CPU、2 マウス、3 キーボード、4 RAM、5 ハードディスク、6 光ディスク駆動装置、8 モニタ、9 CD−ROM、10 X線発生器、17 X線焦点、18 ステージ、20 検査対象物、22 X線検出器駆動部、22.1 ロボットアーム、22.2 検出器支持部、23 X線検出器、30 画像取得制御機構、32 検出器駆動制御部、34 画像データ取得部、40 入力部、50 出力部、60 X線源制御機構、70,410 演算部、80 検査対象位置制御部、90 メモリ、100,400,1000 X線検査装置、310 撮像視野、320 X線検出器軌道、330 撮像視野軌道、420 主記憶部、425 補助記憶部、440 X線検出器位置制御機構、445 X線画像取得機構、450 光学カメラ位置制御機構、455 光学画像取得機構、460 カメラ、465 ステージ位置制御機構、610 着目面、620 着目点、1010 線検出器回転機構、1011,1021 回転軸、1020 検査対象回転機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関し、より特定的には、X線画像を早く取得するためのX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いたCT(Computed Tomography)自動検査装置では、インラインで検査をするために高速化が求められている。高速化のための撮像系構成例として、たとえば、特開2009−156788号公報(特許文献1)は、平行な面上を移動するXY軸を用いて検査対象物および2次元X線検出器を移動させることで、複数の異なる方向からX線画像(以下「プロジェクション画像」という。)を取得する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−156788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次元X線検出器を用いて同一箇所を複数角度から撮像できる機構を持った傾斜CT自動検査装置では、撮像角度を変更するための機構の移動および停止と、撮像(X線照射およびX線検出器の露光)とが時間的に直列に実行される(いわゆる、ストップ・アンド・ゴー(STOP&GO)方式)。その結果、撮像に寄与しない機構の移動の時間が検査時間の損失となるため、検査時間をさらに短くすることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、X線画像の取得を高速化できるX線検査装置を提供することである。
【0006】
他の局面の目的は、X線画像の取得が高速化されるX線検査方法を提供することである。他の局面の目的は、X線画像の取得が高速化されるようにX線検査装置を制御するためのプログラムを提供することである。さらに他の局面の目的は、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するためのX線検査装置が提供される。X線検査装置は、対象物を移動するための対象物移動機構と、対象物にX線を照射するためのX線源と、検査対象領域を透過したX線を検出するためのX線検出器と、X線検出器を移動するための検出器移動機構と、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、X線検出器が予め設定された第1の軌道に沿って移動するように、検出器移動機構の駆動を制御するための検出器位置制御手段と、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物移動機構の駆動を制御するための対象物位置制御手段と、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するようにX線源を制御するためのX線源制御手段と、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するためのX線画像取得手段と、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するための演算手段とを備える。
【0008】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、検出器移動機構はX線検出器を移動し、対象物移動機構は対象物を移動する。
【0009】
好ましくは、X線源制御手段は、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するようにX線源を駆動する。
【0010】
好ましくは、X線源制御手段は、対象物に対してX線を複数回照射するようにX線源を制御する。X線検出器は、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光する。
【0011】
他の実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置の制御方法が提供される。この制御方法は、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿ってX線検出器を移動するステップと、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物を移動するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを含む。
【0012】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器を移動するステップは、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器を移動するステップを含む。対象物を移動するステップは、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、対象物を移動するステップを含む。
【0013】
好ましくは、X線を照射するステップは、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを含む。
【0014】
好ましくは、X線を照射するステップは、対象物に対してX線を複数回照射するステップを含む。複数の投影画像を取得するステップは、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光するステップを含む。
【0015】
他の実施の形態に従うと、対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置を制御するためのプログラムが提供される。プログラムは、X線検査装置に、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿ってX線検出器を移動するステップと、対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、対象物を移動するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物に向けてX線を照射するステップと、X線検出器および対象物が移動している間、対象物を透過したX線にX線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、再構成アルゴリズムを用いて複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを実行させる。
【0016】
好ましくは、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。プログラムは、X線検出器を移動するステップとして、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器を移動するステップを実行させ、対象物を移動するステップとして、X線検出器および対象物がX線源を中心とする同心円状に移動するように、対象物を移動するステップを実行させる。
【0017】
好ましくは、プログラムは、X線を照射するステップとして、対象物およびX線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを実行させる。
【0018】
好ましくは、プログラムは、X線を照射するステップとして、対象物に対してX線を複数回照射するステップを実行させ、複数の投影画像を取得するステップとして、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光するステップを実行させる。
【0019】
さらに他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載のプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0020】
ある局面において、X線検査に必要なX線画像が高速に取得される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】X線検査装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図2】X線検査装置100が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図3】X線検出器23と撮像視野310が移動する状態を上方から表わす図である。
【図4】X線検査装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図5】X線発生器10を中心にX線検査装置400を上から見た図である。
【図6】検査対象物20を基準にX線検出器23とX線発生器10の相対的な位置を表わす図である。
【図7】X線検査装置400が備える演算部410が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【図8】X線検査装置100の各構成要素の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【図9】本実施の形態に係るX線検査装置400の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【図10】X線検査装置1000の構成の一部を表わす図である。
【図11】X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転した状態において得られる画像の推移を表わす図である。
【図12】コンピュータシステム1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
[ハードウェア構成]
図1を参照して、ある局面に従うX線検査装置100の構成について説明する。図1は、X線検査装置100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0024】
X線検査装置100は、X線発生器10と、ステージ18と、X線検出器駆動部22と、X線検出器23と、画像取得制御機構30と、入力部40と、出力部50と、X線源制御機構60と、演算部70と、メモリ90とを備える。
【0025】
X線発生器10は、X線焦点17を含む。X線検出器駆動部22は、直交タイプの2軸のロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2とを含む。画像取得制御機構30は、検出器駆動制御部32と、画像データ取得部34とを含む。演算部70は、検査対象位置制御部80を含む。ステージ18には、検査対象物20が搭載される。
【0026】
X線発生器10は、X線焦点17を通る軸を中心軸としてX線を出力する。X線発生器10は、X線源制御機構60によって制御される。X線源制御機構60は、電子ビームの出力を制御する。具体的には、X線源制御機構60は、演算部70から、X線エネルギー(管電圧、管電流)の指定を受ける。X線エネルギーは、検査対象物20の構成によって異なる。
【0027】
ステージ18には、検査対象物20が搬入される。ステージ18は、たとえば、X−Y−Zステージとして構成され、任意の位置に移動することができる。ステージ18の移動は、たとえば、円軌道や線形軌道に従って移動する。他の局面において、ステージ18は、ベルトコンベアのように一方向に移動することにより検査のための位置に検査対象物20を配置するように構成され得る。
【0028】
X線検出器駆動部22は、検出器駆動制御部32を通して、演算部70からの命令によってX線検出器23を指定された位置に移動させる。また、検出器駆動制御部32は、その時点でのX線検出器23の位置情報を演算部70に送る。
【0029】
より詳しくは、X線検出器駆動部22において、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2とは、X線検出器23を指定された位置に移動する。たとえば、X線検出器駆動部22は、XYθの自由度でX線検出器23を駆動可能できるXYθ動作機構として構成される。
【0030】
なお、X線検出器駆動部22は、上記の構成に限られず、X−Y方向の移動またはX−Y平面内でのθ回転を可能とする構成であり、X線検出器23の移動に対して同様の機能を持つものであればよい。
【0031】
X線検出器23は、X線発生器10によって出力されて検査対象物20を透過したX線を検出して画像化する2次元X線検出器である。たとえば、X線検出器23は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、I.I(Image Intensifier)管、スペース効率のよいFPD(Flat Panel Detector)である。また、X線検出器23は、インライン検査で使うことができるように高感度であることが望ましく、CdTeを使った直接変換方式のFPDであってもよい。
【0032】
画像取得制御機構30は、X線検出器駆動部22によるX線検出器23の駆動、およびX線検出器23からの画像データの取得を制御する。具体的には、検出器駆動制御部32は、演算部70によって指定された位置にX線検出器23を移動するように、X線検出器駆動部22を制御する。画像データ取得部34は、X線検出器23の画像データを取得する。複数のX線検出器23が用いられる場合には、画像データ取得部34は、演算部70から指定されたX線検出器23の画像データを取得し得る。
【0033】
入力部40は、X線検査装置100のユーザからの指示入力等を受け付ける。入力部40は、たとえば、周知のコンピュータシステムに用いられるキーボード、マウス、タッチパネル、無線通信インターフェイス等によって実現される。
【0034】
出力部50は、測定結果等を外部に出力する。出力部50は、たとえば、演算部70で構成されたX線画像等を表示するモニタ装置として実現される。他の局面において、出力部50は、画像信号を出力するインターフェイスとして実現される。
【0035】
X線源制御機構60は、X線発生器10によるX線の照射タイミング、照射時間、および強度を制御する。
【0036】
演算部70は、メモリ90に格納されたプログラム(図示しない)を実行して各部を制御し、また、所定の演算処理を実行する。
【0037】
検査対象位置制御部80は、ステージ18の移動を制御することにより、X線撮像のために必要な位置決めを実行する。
【0038】
メモリ90は、X線検査装置100の動作を制御するためのプログラム、取得されたX線画像データ等を格納する。
【0039】
[制御構造]
図2を参照して、ある局面におけるX線検査装置100の制御構造について説明する。図2は、X線検査装置100が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0040】
ステップS102にて、演算部70は、検査対象物20が置かれたステージ18を駆動することにより、視野を移動する。
【0041】
ステップS104にて、X線検査装置100は、透視画像を撮像する。具体的には、画像データ取得部34は、X線発生器10から照射されて検査対象物20を透過したX線の画像データをX線検出器23から受信する。画像データは、メモリ90に格納される。
【0042】
ステップS106にて、演算部70は、撮像によって得られた透視画像を検査する。
ステップS108にて、演算部70は、その検査の結果に基づいて、再構成画像の検査が必要であるか否かを判断する。演算部70は、再構成画像の検査が必要であると判断すると(ステップS108にてYES)、制御をステップS110に切り換える。そうでない場合には(ステップS108にてNO)、演算部70は、制御を終了する。
【0043】
ステップS110にて、演算部70は、一視野のCT(Computed Tomography)撮像処理を実行する。
【0044】
ステップS112にて、演算部70は、CT撮像処理によって得られた画像を用いて検査対象物20の画像を再構成する。
【0045】
ステップS112にて、演算部70は、再構成画像を検査する。
ステップS116にて、演算部70は、全視野の検査を終了したか否かを判断する。演算部70は、全視野の検査を終了したと判断すると(ステップS116にてYES)、検査を終了する。そうでない場合には(ステップS116にてNO)、演算部70は、制御をステップS102に戻す。
【0046】
[視野の移動]
図3を参照して、X線検査装置100におけるX線検出器23および撮像視野310の移動について説明する。図3は、X線検出器23と撮像視野310が移動する状態を上方から表わす図である。
【0047】
ある局面において、X線検出器23および撮像視野310は、X線発生器10を回転中心として反時計回りに回転する。X線検出器23は、X線検出器軌道320の軌道上を移動し、検査対象物20に含まれる撮像視野310は、撮像視野軌道330の軌道上を移動する。
【0048】
たとえば、図3に示される例では、検査が開始される時点では、X線検出器23は、目標位置D1に配置される。このとき、検査対象物20に含まれる撮像視野310は、目標位置V1に位置決めされる。この状態でX線発生器10がX線を照射すると、撮像視野310のプロジェクション画像P1が取得される。
【0049】
その後、X線検出器23が駆動されて、目標位置D1から目標位置D2に移動する。このとき、検査対象物20を載せたステージ18も同じ角度だけ回転し、目標位置V2まで移動する。この状態でX線発生器10がX線を照射すると、プロジェクション画像P2が取得される。
【0050】
以降も同様に、目標位置D3,V3においてプロジェクション画像P3が取得され、目標位置D4,V4においてプロジェクション画像P4が取得される。n枚のプロジェクション画像が再構成のために必要とされる場合には、目標位置Dn,Vnまで移動と撮像とが交互に行なわれる。
【0051】
[ハードウェア構成]
図4を参照して、ある局面の実施の形態に係るX線検査装置400の構成について説明する。図4は、X線検査装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0052】
X線検査装置400は、X線発生器10と、ステージ18と、直交タイプの2軸のロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2と、X線検出器23と、演算部410と、主記憶部420と、補助記憶部425と、入力部40と、出力部50と、X線検出器位置制御機構440と、X線画像取得機構445と、光学カメラ位置制御機構450と、カメラ460と、光学画像取得機構455と、ステージ位置制御機構465と、X線源制御機構60とを備える。ステージ18には、検査対象物20が搭載されている。検査対象物20は、撮像視野310を含む。
【0053】
X線検出器23は、X線検出器軌道320上を移動するように、ロボットアーム22.1と、検出器支持部22.2とによって駆動される。
【0054】
検査対象物20の位置は、撮像視野310が撮像視野軌道330上を移動するように、ステージ位置制御機構465によって位置決めされて、ステージ18によって目標位置まで移動される。このとき、X線発生器10から撮像視野310に向けて照射されるX線が常にX線検出器23によって検出されるように、X線検出器23およびステージ18は、それぞれ、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330上を移動する。
【0055】
演算部410は、X線検査装置400の動作を制御する。たとえば、ある局面において、演算部410は、検査対象物20に応じて、X線発生器10からX線を出力する際の条件を設定し、主記憶部420に格納する。当該条件は、たとえば、X線発生器10に対する印加電圧、撮像時間等を含む。X線源制御機構60は、その条件に基づいてX線発生器10によるX線の照射を制御する。X線画像取得機構445は、設定された撮像時間に従って、X線検出器23によるX線の露光時間を制御する。
【0056】
ある局面において演算部410は、取得されたプロジェクション画像から検査対象物20の3次元画像を再構成するための処理を実行する。他の局面において、演算部410は、検査対象物20の良否を判定する。たとえば、演算部410は、再構成された3次元の画像データ又は透視データを用いて、検査対象物20の良否を判定する。この場合、演算部410は、半田ボールの形状を認識し、当該形状が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定する等により、検査対象物20の良否を判定する。なお、良否を判定するためのアルゴリズムおよび当該アルゴリズムに対する入力情報は、検査対象物20によって異なる。したがって、検査対象物20の種類に応じたアルゴリズムや入力情報は、撮像条件情報として入力部40から入力されて主記憶部420に格納される。
【0057】
主記憶部420は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)やHDD(Hard Disc Drive)その他の不揮発的にデータを保持できる記憶装置によって実現される。主記憶部420は、X線焦点位置および撮像条件その他のデータ、ならびに、X線検査装置400の動作を制御するためのオペレーティングシステム、良否を判定するためのアルゴリズム、上記の各処理を実行するためのプログラムを格納している。
【0058】
補助記憶部425は、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリによって実現される。補助記憶部425は、演算部410によって生成されたデータ、X線画像取得機構445によって取得された画像データ、入力部40を介して入力されたデータ等を揮発的に保持する。
【0059】
X線検出器位置制御機構440は、演算部410によって指定された位置にX線検出器23を移動するように、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2とを駆動する。
【0060】
X線画像取得機構445は、X線発生器10から照射されて検査対象物20を透過したX線の画像データをX線検出器23から受信する。画像データは、主記憶部420に格納される。
【0061】
光学カメラ位置制御機構450は、演算部410からの命令に基づいて、カメラ460の位置を制御する。カメラ460は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)その他の素子を含む。具体的には、光学カメラ位置制御機構450は、検査対象物20の検査位置の特定のためにカメラ460の位置を移動し、ステージ18に搭載された検査対象物20を撮影する。
【0062】
光学画像取得機構455は、カメラ460の撮影によって得られた画像データを受信し、補助記憶部425にその画像データを格納する。演算部410は、その画像データを出力部50に出力させる。出力部50がモニタ装置として実現される場合には、検査対象物20の画像が表示される。
【0063】
ステージ位置制御機構465は、演算部410の制御に基づいて、ステージ18を移動することにより、X線撮像のために必要なステージ18の位置決めを実行する。
【0064】
ある局面において、X線検出器位置制御機構440は、検査対象物20中の一点がX線検出器23の受光中心に投影される状態が維持されながら、X線検出器23が予め設定された第1の軌道(たとえば、X線検出器軌道320)に沿って移動するように、検出器移動機構(たとえば、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2)の駆動を制御する。ステージ位置制御機構465は、検査対象物20中の一点がX線検出器23の受光中心に投影される状態が維持されながら、検査対象物20が予め設定された第2の軌道(たとえば、撮像視野軌道330)に沿って移動するように、ステージ18の駆動を制御する。X線源制御機構60は、X線検出器23および検査対象物20が移動している間、検査対象物20に向けてX線を照射するようにX線発生器10を制御する。X線画像取得機構445は、X線検出器23および検査対象物20が移動している間、検査対象物20を透過したX線にX線検出器23を複数回露光させることにより、複数のプロジェクション画像を取得する。演算部410は、このようにして得られた複数のプロジェクション画像から、再構成アルゴリズムを用いて3次元の画像を再構成する。
【0065】
他の局面において、第1の軌道および第2の軌道は、円軌道である。X線検出器23および検査対象物20がX線発生器10を中心とする同心円状に移動するように、X線検出器位置制御機構440は、X線検出器23を移動し、ステージ位置制御機構は、検査対象物20を移動する。
【0066】
好ましくは、X線源制御機構60は、検査対象物20およびX線検出器23が移動している間、X線を連続的に照射するようにX線発生器10を駆動する。
【0067】
好ましくは、X線源制御機構60は、検査対象物20に対してX線を複数回照射するようにX線発生器10を制御する。X線検出器23は、X線が照射されるタイミングに応じて複数回露光する。
【0068】
<技術思想>
ここで、図4をさらに参照して、X線検査装置400の技術思想を整理すると、以下のとおりである。
(1) 検査対象物20中の着目点をX線検出器23の受光中心に常に投影した状態で、X線検出器23および撮像視野310が、それぞれ、予め設定された移動軌道上を連続的に移動する。
(2) (1)の移動中に、X線発生器10は、連続的に、または、X線検出器23が露光状態にある期間、X線を照射する。
(3) (1)の移動中に、X線検出器23は複数回X線を露光し、複数回の露光によって取得されたX線画像を、プロジェクション画像として保存する。
(4) (3)にて保存された複数のプロジェクション画像を、CT再構成アルゴリズムを用いて3次元画像化する。
【0069】
係る技術思想によれば、
(a)1つの撮像視野内の検査対象物20について、検査対象物20を透過してX線検出器23の中心に照射される位置が連続動作中で変わらない。
(b)X線検出器23の露光(シャッター)のタイミングを制御することにより複数のプロジェクション画像が得られるので、それらの画像を用いて、再構成が行われる。
【0070】
その結果、撮像に要する時間が短くなる。
なお、本実施の形態においては、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330が円軌道である場合が説明されているが、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330は円軌道に限られず、多角形、矩形の形状であってもよい。
【0071】
[視野の移動]
図5を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400におけるX線検出器23と撮像視野310の移動について説明する。図5は、X線発生器10を中心にX線検査装置400を上から見た図である。
【0072】
図5に示されるように、X線検出器23は、X線検出器軌道320の上を反時計回りに移動する。具体的には、X線検出器23は、X線撮影のための露光地点として、少なくとも目標位置D1,D2,D3,D4においてX線を検出する。なお、図5に示される例では、X線検出器23は自転していないが、他の局面において、X線検出器23は自転してもよい。
【0073】
また、検査対象物20に含まれる撮像視野310については、撮像のための位置として、目標位置V1,V2,V3,V4,・・・Vnにおいて、X線撮影され、プロジェクション画像P1’,P2’,P3’,P4’,・・・Pn’が取得される。X線検出器23と同様に、図5に示される例では、撮像視野310は自転していないが、他の局面において、撮像視野310は自転してもよい。
【0074】
なお、X線検出器23の目標位置と、撮像視野310の目標位置との関係については、X線発生器10と撮像視野310の目標位置Vnとを結ぶ線上に、X線検出器23の目標位置Dnが存在するように、X線検出器23および撮像視野310の移動が制御される。すなわち、X線検出器23と撮像視野310とは、X線発生器10に対して同じ角速度で移動する。このとき、X線検出器23は、撮像視野310の着目点を受光面の中心に捉えた状態のまま、X線検出器軌道320上の目標位置D1〜Dnに連続的に移動する。撮像視野310およびX線検出器23が移動している間に、X線検出器23は、撮像視野310を透過したX線を露光する。なお、X線検出器23は、着目点を捉えたまま移動するため、X線検出器位置制御機構440およびステージ位置制御機構465は、サーボモータやリニアモータのように、位置計測の結果を用いたフィードバック制御が可能な駆動装置を用いることが望ましい。
【0075】
[着目点]
図6を参照して、着目点について説明する。図6は、検査対象物20を基準にX線検出器23とX線発生器10の相対的な位置を表わす図である。すなわち、本実施の形態に係るX線検査装置400においては、着目点の理解のために、検査対象物20を固定した状態で、検査対象物20から見たX線検出器23およびX線発生器10の相対的な位置が示されている。
【0076】
着目点とは、プロジェクション画像において、X線検出器23の中心が常に捉えている検査対象物20中の一点をいう。着目点が存在する検査対象物20中のXY平面を着目面という。
【0077】
検査対象物20は、X線検査装置400による検査の対象となる面として着目面610を有する。着目面610は、着目点620を含む。X線検出器23は、着目点620を常に捉えるように、撮像視野310の移動に同期する。
【0078】
[制御構造]
図7を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400の制御構造について説明する。図7は、X線検査装置400が備える演算部410が実行する一連の処理の一部を表わすフローチャートである。
【0079】
ステップS710にて、演算部410は、検査対象物20中の着目点620がX線検出器23の受光中心に常に投影された状態で、X線検出器23および撮像視野310を、それぞれの移動のために予め設定された軌道(X線検出器軌道320および撮像視野軌道330)上で連続的に移動させる。また、演算部410は、露光回数を計算するためのカウンタを初期化する。
【0080】
ステップS720にて、演算部410は、その移動中に、目標位置V1(またはD1),V2(またはD2),V3(またはD3),V4(またはD4),・・・Vn(またはDn)において、連続的にX線を照射するようにX線発生器10を駆動し、またはX線検出器23が露光状態にある期間、X線発生器10にX線を照射させる。
【0081】
ステップS730にて、X線検出器23は、X線を露光し、プロジェクション画像(投影画像)を出力し、X線画像取得機構445に送信する。プロジェクション画像のデータは、主記憶部420に保存される。その後、ある局面において、演算部410は、画像再構成の処理を高速化するために、取得されたプロジェクション画像を、三次元画像再構成演算に入力して、画像再構成の処理を開始する。なお、他の局面の態様として、必要な枚数のプロジェクション画像が取得された後で画像再構成処理が開始される構成も用いられ得る。
【0082】
ステップS740にて、演算部410は、X線検出器23による露光回数を1カウントアップする。
【0083】
ステップS750にて、演算部410は、予め設定された枚数のプロジェクション画像が取得されたか否かを判断する。たとえば、演算部410は、露光回数が予め設定された回数nと同じであるか否かを判断する。演算部410は、露光回数が予め設定された回数nと同じであると判断すると(ステップS750にてYES)、制御をステップS760に切り換える。そうでない場合には(ステップS750にてNO)、演算部410は、制御をステップS730に切り換える。X線検出器23は再びX線を露光する。
【0084】
ステップS760にて、n枚のプロジェクション画像P1’〜Pnの取得が完了する。演算部410は、CT再構成アルゴリズムを用いて、主記憶部420に保存されたn枚のプロジェクション画像から検査対象物20の三次元の画像を構成する。なお、ステップS730において説明したように、X線検査の高速化のために、1枚のプロジェクション画像を撮像するごとに、撮像箇所の三次元画像再構成演算に当該プロジェクション画像を入力することが望ましい。たとえば、演算部410は、2枚目のプロジェクション画像を取得する間に、1枚目のプロジェクション画像を用いて再構成演算を実行する。
【0085】
[X線検査装置の動作パターン]
図8および図9を参照して、X線検査装置の動作のパターンについて説明する。図8は、X線検査装置100の各構成要素の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。図9は、本実施の形態に係るX線検査装置400の動作のパターンを表わすタイミングチャートである。
【0086】
図8を参照して、グラフ810に示されるように、X線検査装置100は、X線検出器位置制御機構(たとえば、ロボットアーム22.1と検出器支持部22.2)の動作パターンとして、停止と移動とを繰り返す。このとき、グラフ810,820から明らかなように、ある局面において、ステージ位置制御機構(たとえばステージ18)と、X線検出器23とは、非同期で移動し、異なるタイミングで、それぞれの目標位置に停止する。
【0087】
X線検出器23と検査対象物20とが位置決めされると、撮像が実行される。具体的には、グラフ840に示されるように、X線発生器10は、停止とX線の照射とを繰り返す。このとき、グラフ830に示されるように、X線検出器23は、X線発生器10の動作に同期して、停止と露光とを繰り返す。図8に示されるように、X線検査装置100においては、X線撮像の動作時間は、X線による撮像が行なわれてプロジェクション画像P1,P2,P3,P4,・・・Pn以外に、撮像が行なわれていない期間を含む。つまり、X線検出器23が目標位置にあるときだけX線撮像が可能になるため、撮像時間が限られる。
【0088】
これに対して、図9を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置400においては、X線検出器23は、検査対象物20の一点である着目点を常に捉えて移動するため、X線検出器23は、常に、X線を検出可能な状態にある。すなわち、X線検出器23とステージ18が、それぞれ、目標位置に向かって移動している間でも、X線撮像が可能になる。
【0089】
具体的には、グラフ910に示されるように、X線検出器位置制御機構440は、停止状態から移動を開始すると、継続して、X線検出器軌道320に沿ってX線検出器23を移動する。グラフ920から明らかなように、検査対象物20が搭載されたステージ18は、X線検出器23の移動に同期して、撮像視野軌道330上での移動を開始する。
【0090】
X線検出器23およびステージ18の移動の開始に同期して、グラフ940に示されるように、X線発生器10は、X線の照射を開始する。ここで、本実施の形態においては、X線検出器23が着目点を常に捉えているため、X線検出器23は、検査対象物20を透過したX線を常に検出することができる。そこで、グラフ930に示されるように、X線検出器23は、検査対象物20の3次元画像を再構成するために必要な枚数のプロジェクション画像を得るために、予め設定された撮像条件に従って、当該枚数に応じて露光の停止を実行する。このようにすると、複数のプロジェクション画像を得るために露光を停止すればよいので、機構の位置決めが完了するまで露光を停止する必要がない。したがって、必要な枚数のプロジェクション画像を取得するための時間が、従来の撮像パターンにおける時間よりも短くなる。
【0091】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置400によると、X線検出器23およびステージ18の移動(いわゆる「メカ移動」)と撮像とが並行して実行されるため、従来のX線検査装置において同じ露光時間および同じ枚数のプロジェクション画像を取得するための移動時間および撮像時間の合計時間が、従来のX線検査装置を用いた場合の合計時間よりも短くなるので、X線撮像検査を高速化することができる。
【0092】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るX線検査装置1000は、X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転軸を中心に自転する構成を有する点で、第1の実施の形態に係るX線検査装置400と異なる。
【0093】
そこで、図10を参照して、本実施の形態に係るX線検査装置1000の構成について説明する。図10は、X線検査装置1000の構成の一部を表わす図である。なお、X線検査装置1000の動作を制御するための機構は、第1の実施の形態に係るX線検査装置400の構成と同様のハードウェア構成を用いて実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0094】
図10に示されるように、X線検査装置1000は、X線検査装置400の構成に加えて、X線検出器回転機構1010と、検査対象回転機構1020とをさらに備える。X線検出器回転機構1010は、回転軸1011を中心にX線検出器23を回転する。すなわち、X線検出器23は自転する。検査対象回転機構1020は、回転軸1021を中心に、検査対象物20を回転させる。すなわち、検査対象物20が自転しているように、ステージ18の位置が制御される。このとき、回転軸1011を中心とする回転角と、回転軸1021を中心とする回転角とは、同じ角度に維持される。これにより、各回転角における撮像によって得られた画像を用いて三次元画像を再構成するとき、着目断層の画像がぶれなくなる。
【0095】
図11を参照して、第2の実施の形態に係るX線検査装置1000によって得られる画像について説明する。図11は、X線検出器23および検査対象物20がそれぞれ回転した状態において得られる画像の推移を表わす図である。
【0096】
状態1111において、最初の撮像として、検査対象物20に含まれる検査対象1120の撮影が行なわれる。具体的には、検査対象1120のX線画像は、画像1101として取得される。X線検出器23の露光が終了すると(撮像が完了すると)、X線検出器23および検査対象物20は、それぞれ、X線検出器軌道320および撮像視野軌道330上を移動するとともに、自転し、状態1112に遷移する。
【0097】
状態1112において、X線検出器23が再び露光する。検査対象1120のX線画像は、画像1102として取得される。露光が終了すると、さらにX線検出器23と検査対象物20とは移動および自転し、状態1113に遷移する。
【0098】
状態1113において露光が行なわれると、画像1103が取得される。その後、X線検出器23と検査対象物20とは移動および自転し、状態1114に遷移する。さらに、状態1114において露光が行なわれると、画像1104が取得される。このようにして、検査対象の画像を再構成するために必要なプロジェクション画像が取得される。
【0099】
画像1101,1102,1103,1104は、それぞれ着目点を中心とした回転軸を中心に回転した画像として取得されるため、各画像は既に位置決めが完了している状態である。したがって、これらの画像を再構成して得られる画像1130は、ぶれることなく明瞭な画像として導出される。
【0100】
以上のようにして、本実施の形態に係るX線検査装置1000によると、撮像中における回転停止が不要になるため、X線撮像を高速化することができる。
【0101】
なお、上述の実施の形態に係るX線検査装置400,1000の制御機構は、周知の構成を有するコンピュータシステムを用いて実現することができる。
【0102】
そこで、図12を参照して、X線検査装置400,1000の制御機構を実現するコンピュータシステム1200について説明する。図12は、コンピュータシステム1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0103】
コンピュータシステム1200は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU1と、コンピュータシステム1200の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、モニタ8と、通信IF(Interface)9とを備える。各構成要素は、相互にバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD−ROM9その他の光ディスクが装着される。
【0104】
コンピュータシステム1200における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM9その他のコンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他のデータ読取装置によってデータ記録媒体から読み取られて、あるいは、通信IF7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0105】
図12に示されるコンピュータシステム1200を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM4、ハードディスク5、CD−ROM9その他のデータ記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、コンピュータシステム1200の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0106】
なお、データ記録記録媒体としては、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0107】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含み得る。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 CPU、2 マウス、3 キーボード、4 RAM、5 ハードディスク、6 光ディスク駆動装置、8 モニタ、9 CD−ROM、10 X線発生器、17 X線焦点、18 ステージ、20 検査対象物、22 X線検出器駆動部、22.1 ロボットアーム、22.2 検出器支持部、23 X線検出器、30 画像取得制御機構、32 検出器駆動制御部、34 画像データ取得部、40 入力部、50 出力部、60 X線源制御機構、70,410 演算部、80 検査対象位置制御部、90 メモリ、100,400,1000 X線検査装置、310 撮像視野、320 X線検出器軌道、330 撮像視野軌道、420 主記憶部、425 補助記憶部、440 X線検出器位置制御機構、445 X線画像取得機構、450 光学カメラ位置制御機構、455 光学画像取得機構、460 カメラ、465 ステージ位置制御機構、610 着目面、620 着目点、1010 線検出器回転機構、1011,1021 回転軸、1020 検査対象回転機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するためのX線検査装置であって、
前記対象物を移動するための対象物移動機構と、
前記対象物にX線を照射するためのX線源と、
前記検査対象領域を透過したX線を検出するためのX線検出器と、
前記X線検出器を移動するための検出器移動機構と、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、前記X線検出器が予め設定された第1の軌道に沿って移動するように、前記検出器移動機構の駆動を制御するための検出器位置制御手段と、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物移動機構の駆動を制御するための対象物位置制御手段と、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するように前記X線源を制御するためのX線源制御手段と、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するためのX線画像取得手段と、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するための演算手段とを備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記検出器移動機構は前記X線検出器を移動し、前記対象物移動機構は前記対象物を移動する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線源制御手段は、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するように前記X線源を駆動する、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線源制御手段は、前記対象物に対してX線を前記複数回照射するように前記X線源を制御し、
前記X線検出器は、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光する、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置の制御方法であって、
前記対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿って前記X線検出器を移動するステップと、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物を移動するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを含む、X線検査装置の制御方法。
【請求項6】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記X線検出器を移動するステップは、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記X線検出器を移動するステップを含み、
前記対象物を移動するステップは、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記対象物を移動するステップを含む、請求項5に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項7】
前記X線を照射するステップは、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを含む、請求項5または6に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項8】
前記X線を照射するステップは、前記対象物に対してX線を複数回照射するステップを含み、
前記複数の投影画像を取得するステップは、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光するステップを含む、請求項5または6に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項9】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置を制御するためのプログラムであって、前記プログラムは、前記X線検査装置に、
前記対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿って前記X線検出器を移動するステップと、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物を移動するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを実行させる、X線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項10】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記プログラムは、
前記X線検出器を移動するステップとして、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記X線検出器を移動するステップを実行させ、
前記対象物を移動するステップとして、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記対象物を移動するステップを実行させる、請求項9に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項11】
前記プログラムは、
前記X線を照射するステップとして、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを実行させる、請求項9または10に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項12】
前記プログラムは、
前記X線を照射するステップとして、前記対象物に対してX線を複数回照射するステップを実行させ、
前記複数の投影画像を取得するステップとして、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光するステップを実行させる、請求項9または10に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載のプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体。
【請求項1】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するためのX線検査装置であって、
前記対象物を移動するための対象物移動機構と、
前記対象物にX線を照射するためのX線源と、
前記検査対象領域を透過したX線を検出するためのX線検出器と、
前記X線検出器を移動するための検出器移動機構と、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、前記X線検出器が予め設定された第1の軌道に沿って移動するように、前記検出器移動機構の駆動を制御するための検出器位置制御手段と、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態が維持されながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物移動機構の駆動を制御するための対象物位置制御手段と、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するように前記X線源を制御するためのX線源制御手段と、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するためのX線画像取得手段と、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するための演算手段とを備える、X線検査装置。
【請求項2】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記検出器移動機構は前記X線検出器を移動し、前記対象物移動機構は前記対象物を移動する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線源制御手段は、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するように前記X線源を駆動する、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線源制御手段は、前記対象物に対してX線を前記複数回照射するように前記X線源を制御し、
前記X線検出器は、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光する、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置の制御方法であって、
前記対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿って前記X線検出器を移動するステップと、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物を移動するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを含む、X線検査装置の制御方法。
【請求項6】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記X線検出器を移動するステップは、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記X線検出器を移動するステップを含み、
前記対象物を移動するステップは、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記対象物を移動するステップを含む、請求項5に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項7】
前記X線を照射するステップは、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを含む、請求項5または6に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項8】
前記X線を照射するステップは、前記対象物に対してX線を複数回照射するステップを含み、
前記複数の投影画像を取得するステップは、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光するステップを含む、請求項5または6に記載のX線検査装置の制御方法。
【請求項9】
対象物の検査対象領域を透過したX線を複数の検出面で受光することにより、前記検査対象領域の像の再構成処理を実行するX線検査装置を制御するためのプログラムであって、前記プログラムは、前記X線検査装置に、
前記対象物中の一点がX線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、予め設定された第1の軌道に沿って前記X線検出器を移動するステップと、
前記対象物中の一点が前記X線検出器の受光中心に投影される状態を維持しながら、前記対象物が予め設定された第2の軌道に沿って移動するように、前記対象物を移動するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物に向けてX線を照射するステップと、
前記X線検出器および前記対象物が移動している間、前記対象物を透過したX線に前記X線検出器を複数回露光させることにより、複数の投影画像を取得するステップと、
再構成アルゴリズムを用いて前記複数の投影画像から3次元の画像を再構成するステップとを実行させる、X線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項10】
前記第1の軌道および前記第2の軌道は、円軌道であり、
前記プログラムは、
前記X線検出器を移動するステップとして、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記X線検出器を移動するステップを実行させ、
前記対象物を移動するステップとして、前記X線検出器および前記対象物が前記X線源を中心とする同心円状に移動するように、前記対象物を移動するステップを実行させる、請求項9に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項11】
前記プログラムは、
前記X線を照射するステップとして、前記対象物および前記X線検出器が移動している間、X線を連続的に照射するステップを実行させる、請求項9または10に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項12】
前記プログラムは、
前記X線を照射するステップとして、前記対象物に対してX線を複数回照射するステップを実行させ、
前記複数の投影画像を取得するステップとして、前記X線が照射されるタイミングに応じて前記複数回露光するステップを実行させる、請求項9または10に記載のX線検査装置を制御するためのプログラム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載のプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能なデータ記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−61257(P2013−61257A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200134(P2011−200134)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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