説明

X線検査装置

【課題】物品サイズ等に関してオペレータによる設定値の入力作業が不要であり、しかも、どのような向きで物品がX線検査装置に供給された場合であっても、封止部分への内容物の噛み込みを正確に判定することが可能な、X線検査装置を得る。
【解決手段】2値化画像作成部94は、シール部分31の輝度レベルよりも低い輝度値を第1のしきい値TH1としてX線透過画像を2値化することにより、第1の2値化画像(画像データS13A)を作成し、第1のしきい値TH1よりも低く、チーズ30の部分の輝度レベルよりも高い輝度値を第2のしきい値TH2としてX線透過画像を2値化することにより、第2の2値化画像(画像データS13B)を作成し、噛み込み判定部95は、第1の2値化画像と第2の2値化画像とに基づいて、シール部分31へのチーズ30の噛み込みを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の物品の製造ラインにおいては、異物が混入している物品が出荷されることを未然に防止するために、X線検査装置を用いた物品の異物検査が行われている。X線検査装置では、搬送コンベアによって連続的に搬送されてくる物品に対してX線を照射し、物品を透過した透過X線をX線センサで検出することにより、透過X線の強度に基づいて物品内への異物の混入の有無が検査される。
【0003】
ところで、例えばチーズのように、内容物がパッケージ内に封入された物品においては、内容物をパッケージに封入する際に、パッケージのシール部分に内容物の一部が噛み込まれる場合がある。このような内容物の噛み込みが生じている物品は、不良品として良品の製造ラインから排除する必要がある。
【0004】
下記特許文献1には、物品サイズ及びシール幅等を予め設定しておき、その設定値と物品のX線透過画像とに基づいて、シール部分への内容物の噛み込みを判定する、X線検査装置が開示されている。このX線検査装置では、設定されたシール幅に基づいてX線透過画像の中からシール部分を特定し、そのシール部分の中に、輝度レベルが内容物のそれと同等以上の領域が存在する場合には、シール部分への内容物の噛み込みが発生していると判定される。
【0005】
【特許文献1】特開2005−91015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されたX線検査装置によると、物品やパッケージが変更される度に、その物品サイズやシール幅等をオペレータが入力する必要があり、その入力作業が繁雑である。また、物品は常に同じ向きでX線検査装置に送られてくるとは限らないため、物品の上辺(又は左辺)と下辺(又は右辺)とでシール部分の寸法が互いに異なる場合において、向きが異なる物品が混在してX線検査装置に送られてきた場合には、内容物の噛み込みが誤って判定される可能性がある。
【0007】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、物品サイズ等に関してオペレータによる設定値の入力作業が不要であり、しかも、どのような向きで物品がX線検査装置に供給された場合であっても、封止部分への内容物の噛み込みを正確に判定することが可能な、X線検査装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るX線検査装置は、内容物がパッケージ内に封入された物品を検査するX線検査装置であって、物品にX線を照射する照射手段と、物品を透過したX線を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいてX線透過画像を作成する透過画像作成手段と、前記X線透過画像に基づいて2値化画像を作成する2値化画像作成手段と、前記2値化画像に基づいて、パッケージの封止部分への内容物の噛み込みを判定する判定手段とを備え、前記2値化画像作成手段は、封止部分の輝度レベルよりも低い輝度値を第1のしきい値として前記X線透過画像を2値化することにより、第1の2値化画像を作成し、前記第1のしきい値よりも低く、内容物の輝度レベルよりも高い輝度値を第2のしきい値として前記X線透過画像を2値化することにより、第2の2値化画像を作成し、前記判定手段は、前記第1の2値化画像と前記第2の2値化画像との差分画像を作成し、前記差分画像から所定幅以下の線を削除し、その線の削除後に前記差分画像に残っている領域を、内容物の噛み込み領域と判定することを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係るX線検査装置によれば、2値化画像作成手段は、封止部分の輝度レベルよりも低い輝度値を第1のしきい値としてX線透過画像を2値化することにより、第1の2値化画像を作成する。また、第1のしきい値よりも低く、内容物の輝度レベルよりも高い輝度値を第2のしきい値としてX線透過画像を2値化することにより、第2の2値化画像を作成する。そして、判定手段は、第1の2値化画像と第2の2値化画像との差分画像に基づいて、封止部分への内容物の噛み込みを判定する。封止部分への内容物の噛み込みが生じていない場合には、第1の2値化画像と第2の2値化画像とはほぼ一致し、第1の2値化画像と第2の2値化画像との差分画像には、内容物の周縁(エッジ)に相当する細線が残るのみである。一方、封止部分への内容物の噛み込みが生じている場合には、第1の2値化画像と第2の2値化画像との差分画像には、内容物の周縁に相当する細線のみならず、内容物の噛み込み領域に対応する画像領域が残る。従って、細線以外の画像領域が差分画像内に存在しているか否かによって、封止部分への内容物の噛み込みの有無を判定することができる。従って、第1の態様に係るX線検査装置によれば、物品サイズ等に関してオペレータによる設定値の入力作業が不要であり、しかも、どのような向きで物品がX線検査装置に供給された場合であっても、封止部分への内容物の噛み込みを正確に判定することが可能となる。しかも、差分画像を参照することにより、内容物の噛み込み領域の位置及び大きさ等を特定することができる。従って、その情報を、包装機におけるシール不良の原因の解明に利用することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るX線検査装置は、第1の態様に係るX線検査装置において特に、前記X線透過画像に基づいて、輝度ごとの画素数を示すヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、前記ヒストグラムに基づいて前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値を設定する設定手段とをさらに備え、前記設定手段は、前記ヒストグラムにおける封止部分の輝度レベルに基づいて前記第1のしきい値を設定し、前記ヒストグラムにおける内容物の輝度レベルに基づいて前記第2のしきい値を設定することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係るX線検査装置によれば、ヒストグラムを用いることにより、第1及び第2のしきい値を、自動的にかつ適切値に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品サイズ等に関してオペレータによる設定値の入力作業が不要であり、しかも、どのような向きで物品がX線検査装置に供給された場合であっても、封止部分への内容物の噛み込みを正確に判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。図1に示すように、X線検査装置1は、上部筐体2、シールドボックス3、及び下部筐体4を備えている。上部筐体2には、液晶表示装置等の表示部5が配設されている。シールドボックス3内には、搬送コンベア6、X線照射部7、及びX線検出部8が配設されている。シールドボックス3には、物品搬入口10及び物品搬出口11が形成されている。搬送コンベア6の上流端(図1では左端)は物品搬入口10からシールドボックス3の外部に突出しており、下流端(図1では右端)は物品搬出口11からシールドボックス3の外部に突出している。搬送コンベア6は、上流端から下流端に向けて物品50を搬送する。下部筐体4内には、コンピュータ9が配設されている。
【0015】
物品50は例えば食品であり、本実施の形態では、内容物(以下の例ではチーズとする)がパッケージ内に封入された物品である。図2は、物品50を模式的に示す図である。図2の(A)には上面図を示しており、図2の(B)には、図2の(A)中のラインB−Bに沿った位置に関する断面図を示している。図2の(A)及び(B)に示すように、物品50においては、チーズ30がパッケージによって密封されており、物品50の周縁部はパッケージのシール部分31によって封止されている。また、図2の(B)に示すように、チーズ30の周縁部には、中央部よりも厚みの薄い部分32が存在する。部分32の幅Wは、物品50の仕様によって異なる。
【0016】
図1を参照して、搬送コンベア6の上流には、搬送コンベア12が配設されている。搬送コンベア12は、図示しない包装機によってパッケージングされた物品50を、搬送コンベア6の上流端に連続的に供給する。搬送コンベア6の下流には、任意の振分装置13が配設されている。振分装置13は、X線検査装置1によって異物の混入が検出された物品50を、良品の製造ラインから排除する。また、振分装置13は、X線検査装置1によってシール部分31へのチーズ30の噛み込みが検出された物品50を、良品の製造ラインから排除する。
【0017】
図3は、シールドボックス3の内部を模式的に示す斜視図である。X線照射部7は、搬送コンベア6の物品搬送面の上方に配設されている。X線検出部8は、本実施の形態の例ではX線ラインセンサであり、複数のX線検出素子8aを有している。複数のX線検出素子8aは、搬送コンベア6による物品50の搬送方向に直交する方向(つまり搬送コンベア6のコンベアベルトの幅方向)に沿って直線状に並んでいる。X線検出部8は、物品搬送面の下方に配設されている。
【0018】
図3に示すように、X線照射部7は、X線検出部8に向かって、扇形状にX線を照射する。搬送コンベア6は、搬送コンベア12から供給された物品50を、X線照射部7とX線検出部8との間のX線照射経路100を通過するように搬送する。X線検出部8は、物品50を透過した透過X線を検出する。
【0019】
図4は、X線検査装置1の構成を示すブロック図である。コンピュータ9は、CPU等の演算部20と、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部21とを有している。X線検出部8によって検出された透過X線の強度に関するデータS1は、コンピュータ9に入力される。物品50内に異物が混入している場合には、その異物の混入箇所において透過X線の強度が極端に低下する。従って、コンピュータ9は、透過X線の強度分布において、所定のしきい値よりも強度が低い箇所を、異物の混入箇所として特定することができる。
【0020】
コンピュータ9は、物品50内への異物の混入を検出した場合には、その物品50を製造ラインから排除させるために、振分装置13に制御信号S3を入力する。また、コンピュータ9は、X線検出部8から連続的に送られてくるデータS1に基づいて、物品50に関するX線透過画像を作成し、そのX線透過画像の画像データS10を表示部5に入力する。これにより、表示部5において物品50のX線透過画像が表示される。
【0021】
また、コンピュータ9は、X線透過画像に基づいて2値化画像を作成し、2値化画像に基づいて、シール部分31へのチーズ30の噛み込みを判定する機能を有している。以下、具体的に説明する。
【0022】
図5は、演算部20の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、演算部20は、透過画像作成部91、ヒストグラム作成部92、しきい値設定部93、2値化画像作成部94、及び噛み込み判定部95を有している。噛み込み判定部95は、差分画像作成部96、画像加工部97、及び判定部98を有している。
【0023】
透過画像作成部91には、X線検出部8からデータS1が入力される。透過画像作成部91は、X線検出部8から連続的に送られてくるデータS1に基づいて、物品50に関するX線透過画像を作成する。
【0024】
良品(つまりチーズ30の噛み込みが生じていない物品50)に関して作成されたX線透過画像を、図7の(A)に示す。また、不良品(つまりチーズ30の噛み込みが生じている物品50)に関して作成されたX線透過画像を、図8の(A)に示す。図7の(A)を参照して、チーズ30の平坦部分(つまり周縁の部分32ではない中央の厚い部分)は透過X線の強度が低くなるため、X線透過画像においては暗く表示される。また、チーズ30の周縁の部分32は平坦部分よりも透過X線の強度が高くなるため、X線透過画像においては平坦部分よりも明るく表示される。また、シール部分31は部分32よりも透過X線の強度が高くなるため、X線透過画像においては部分32よりも明るく表示される。図8の(A)を参照して、シール部分31のうちチーズ30が噛み込んでいる箇所は、図7の(A)よりも暗く表示される。透過画像作成部91によって作成されたX線透過画像に関する画像データS10は、ヒストグラム作成部92及び2値化画像作成部94に入力される。
【0025】
ヒストグラム作成部92は、良品(又はそのサンプル)に関して作成されたX線透過画像を構成する全画素を、所定幅の輝度ごとに分類して画素数をカウントすることにより、輝度ごとの画素数を示すヒストグラムを作成する。図6は、ヒストグラム作成部92によって作成されたヒストグラムの一例を模式的に示す図である。ヒストグラムには、シール部分31に対応するピークP1と、チーズ30の部分に対応するピークP2とが存在する。シール部分31の厚みが薄い場合には、シール部分31の輝度レベルはX線透過画像の背景部分の輝度レベルにほぼ等しくなる。また、ピークP2は、チーズ31の平坦部分の輝度レベルに相当する。ヒストグラム作成部92によって作成されたヒストグラムに関するデータS11は、しきい値設定部93に入力される。
【0026】
しきい値設定部93は、データS11で与えられるヒストグラムに基づいて、2値化画像を作成するためのしきい値TH1,TH2を設定する。図6を参照して、しきい値設定部93は、ピークP1を含む分布よりもわずかに低い輝度値を、しきい値TH1として設定する。また、しきい値設定部93は、ピークP2よりもわずかに高い輝度値を、しきい値TH2として設定する。なお、図6に示すように、しきい値TH2はしきい値TH1よりも低い。しきい値TH1,TH2は、それぞれデータS12A,S12Bとして2値化画像作成部94に入力される。
【0027】
2値化画像作成部94は、画像データS10で与えられるX線透過画像を、データS12Aで与えられるしきい値TH1を用いて2値化することにより、第1の2値化画像を作成する。また、2値化画像作成部94は、画像データS10で与えられるX線透過画像を、データS12Bで与えられるしきい値TH2を用いて2値化することにより、第2の2値化画像を作成する。
【0028】
良品に関して作成された第1の2値化画像及び第2の2値化画像を、それぞれ図7の(B)及び(C)に示す。また、不良品に関して作成された第1の2値化画像及び第2の2値化画像を、それぞれ図8の(B)及び(C)に示す。図7の(B)又は図8の(B)を参照して、第1の2値化画像においては、X線透過画像のうち、輝度値がしきい値TH1より高い部分は黒色で表示され、輝度値がしきい値TH1以下の部分は白色で表示される。また、図7の(C)又は図8の(C)を参照して、第2の2値化画像においては、X線透過画像のうち、輝度値がしきい値TH2より高い部分は黒色で表示され、輝度値がしきい値TH2以下の部分は白色で表示される。2値化画像作成部94によって作成された、第1の2値化画像に関する画像データS13A、及び第2の2値化画像に関する画像データS13Bは、差分画像作成部96に入力される。
【0029】
差分画像作成部96は、画像データS13Aで与えられる第1の2値化画像の各画素の輝度値から、画像データS13Bで与えられる第2の2値化画像の各画素の輝度値を減算することにより、差分画像を作成する。
【0030】
良品に関して作成された差分画像を、図7の(D)に示す。また、不良品に関して作成された差分画像を、図8の(D)に示す。差分画像においては、第1の2値化画像と第2の2値化画像とで色が共通する画素は黒色で表示され、第1の2値化画像と第2の2値化画像とで色が異なる画素は白色で表示される。なお、輝度値の減算を行う代わりに、各画素ごとに排他的論理和の論理演算を行っても良い。差分画像作成部96によって作成された差分画像に関する画像データS14は、画像加工部97に入力される。
【0031】
画像加工部97は、差分画像に含まれている白色の画像領域を、その画像領域の両外側から内側に向けて所定画素数だけ侵食(つまり白色を黒色へ変換)する。侵食すべき所定画素数は、物品50の仕様(特に図2に示した部分32の幅W)に応じて異なり、物品50の種類ごとに適切な画素数が予め設定されて、そのデータS20が記憶部21に記憶されている。
【0032】
良品に関する加工後の画像を、図7の(E)に示す。また、不良品に関する加工後の画像を、図8の(E)に示す。図7の(D)に示したように、良品に関する差分画像には、部分32に対応する線状の白色領域しか含まれていない。画像加工部97が侵食する上記の所定画素数は、この線状の白色領域を侵食し得る画素数に設定されているため、図7の(E)に示すように、画像加工部97による加工後の画像は、全ての画素が黒色に表示されたものとなる。一方、図8の(D)に示したように、不良品に関する差分画像には、部分32に対応する線状の白色領域のみならず、チーズ30の噛み込み領域に対応する白色領域が含まれている。そのため、図8の(E)に示すように、画像加工部97による加工後の画像は、噛み込み領域に対応する領域の画素が白色に表示されたものとなる。画像加工部97による加工後の画像に関する画像データS15は、判定部98に入力される。
【0033】
判定部98は、画像データS15で与えられる画像内に白色の画素が含まれていない場合には、検査対象の物品50は良品である(つまりチーズ30の噛み込みが生じていない)と判定する。一方、画像データS15で与えられる画像内に白色の画素が含まれている場合には、検査対象の物品50は不良品である(つまりチーズ30の噛み込みが生じている)と判定する。判定部98は、検査対象の物品50が不良品であると判定した場合には、その物品50を製造ラインから排除させるために、振分装置13に制御信号S16を入力する。
【0034】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、2値化画像作成部94は、シール部分31の輝度レベル(ピークP1を含む分布)よりも低い輝度値を第1のしきい値TH1としてX線透過画像を2値化することにより、第1の2値化画像(図7の(B)又は図8の(B))を作成する。また、2値化画像作成部94は、第1のしきい値TH1よりも低く、チーズ30の部分の輝度レベル(ピークP2)よりも高い輝度値を第2のしきい値TH2としてX線透過画像を2値化することにより、第2の2値化画像(図7の(C)又は図8の(C))を作成する。そして、噛み込み判定部95は、第1の2値化画像と第2の2値化画像とに基づいて、シール部分31へのチーズ30の噛み込みを判定する。
【0035】
シール部分31へのチーズ30の噛み込みが生じていない場合には、第1の2値化画像と第2の2値化画像とはほぼ一致し、第1の2値化画像と第2の2値化画像との差分画像(図7の(D))には、チーズ31の周縁の部分32に相当する細線が残るのみである。一方、シール部分31へのチーズ30の噛み込みが生じている場合には、第1の2値化画像と第2の2値化画像との差分画像(図8の(D))には、チーズ30の周縁の部分32に相当する細線のみならず、チーズ30の噛み込み領域に対応する画像領域が残る。従って、細線以外の画像領域が差分画像内に存在しているか否かによって、シール部分31へのチーズ30の噛み込みの有無を判定することができる。従って、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、物品サイズ等に関してオペレータによる設定値の入力作業が不要であり、しかも、どのような向きで物品50がX線検査装置1に供給された場合であっても、シール部分31へのチーズ30の噛み込みを正確に判定することが可能となる。
【0036】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、差分画像(図8の(D))を参照することにより、チーズ30の噛み込み領域の位置及び大きさ等を特定することができる。従って、その情報を、包装機におけるシール不良の原因の解明に利用することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、ヒストグラム(図6)を用いることにより、第1のしきい値TH1及び第2のしきい値TH2を、自動的にかつ適切値に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図2】(A)は物品の上面図を、(B)は断面図を、それぞれ示す図である。
【図3】シールドボックスの内部を模式的に示す斜視図である。
【図4】X線検査装置の構成を示すブロック図である。
【図5】演算部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】ヒストグラムの一例を模式的に示す図である。
【図7】(A)は良品に関して作成されたX線透過画像を、(B)は第1の2値化画像を、(C)は第2の2値化画像を、(D)は差分画像を、(E)は加工後の画像を、それぞれ示す図である。
【図8】(A)は不良品に関して作成されたX線透過画像を、(B)は第1の2値化画像を、(C)は第2の2値化画像を、(D)は差分画像を、(E)は加工後の画像を、それぞれ示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 X線検査装置
7 X線照射部
8 X線検出部
9 コンピュータ
20 演算部
30 チーズ
31 シール部分
50 物品
91 透過画像作成部
92 ヒストグラム作成部
93 しきい値設定部
94 2値化画像作成部
95 噛み込み判定部
96 差分画像作成部
97 画像加工部
98 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物がパッケージ内に封入された物品を検査するX線検査装置であって、
物品にX線を照射する照射手段と、
物品を透過したX線を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいてX線透過画像を作成する透過画像作成手段と、
前記X線透過画像に基づいて2値化画像を作成する2値化画像作成手段と、
前記2値化画像に基づいて、パッケージの封止部分への内容物の噛み込みを判定する判定手段と
を備え、
前記2値化画像作成手段は、
封止部分の輝度レベルよりも低い輝度値を第1のしきい値として前記X線透過画像を2値化することにより、第1の2値化画像を作成し、
前記第1のしきい値よりも低く、内容物の輝度レベルよりも高い輝度値を第2のしきい値として前記X線透過画像を2値化することにより、第2の2値化画像を作成し、
前記判定手段は、
前記第1の2値化画像と前記第2の2値化画像との差分画像を作成し、
前記差分画像から所定幅以下の線を削除し、
その線の削除後に前記差分画像に残っている領域を、内容物の噛み込み領域と判定する、X線検査装置。
【請求項2】
前記X線透過画像に基づいて、輝度ごとの画素数を示すヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記ヒストグラムに基づいて前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値を設定する設定手段と
をさらに備え、
前記設定手段は、前記ヒストグラムにおける封止部分の輝度レベルに基づいて前記第1のしきい値を設定し、前記ヒストグラムにおける内容物の輝度レベルに基づいて前記第2のしきい値を設定する、請求項1に記載のX線検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−107456(P2010−107456A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281914(P2008−281914)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】