説明

X線画像撮影装置の位置合わせ方法

本発明の方法は、X線放射源及びX線検出装置を含むX線画像撮影装置の位置合わせをする方法であり、前記X線放射源が、前記X線画像撮影装置の幾何学的パラメータに依存して調節可能なビューイング方向の下で対象物上にX線放射線を放射することができ、前記方法が、前記対象物の3次元的表現と交差する直線基準面(30)を作成し、前記面上の前記対象物の前記交差領域内で中心点(34)を作成し、前記基準面内に法線ベクトル(38)及び少なくとも1つの接線ベクトル(40)を作成し、前記法線ベクトル(38)及び/又は少なくとも1つの接線ベクトル(40)から得られる少なくとも1つのビューイング方向を定義し、かつ前記基準面、前記対象物の基準フレーム及び前記X線画像撮影装置の基準フレームを登録し、前記X線画像撮影装置の前記幾何学的パラメータを調節する、ステップを含む方法。それにより、計画され及び記憶された最適ビューイング方向は一回のボタンを押すだけで利用可能となり、これにより前記X線画像撮影装置の自動位置合わせを可能とし、前記ライブガイド画像をずっと迅速に調節可能とし、煩わしい調節手順同様に放射線暴露を低減させる結果となる。さらにより正確に位置合わせが可能であることから、干渉装置のより最適な展開が達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像撮影装置の位置合わせ方法、X線画像撮影装置を含みかつX線画像撮影装置の自動位置合わせに適合された医学用ビューイングシステム、X線画像撮影装置の位置合わせのための方法を実施するためのコンピュータープログラム要素及びコンピューター読み取り可能な媒体、に関する。
【背景技術】
【0002】
構造的心臓疾患は、多くの症状や疾患を含み、これらは心臓へ出入りする血流を制御する心筋自体、心臓及び心臓弁の構成に影響を与え得るものである。構造的心臓疾患はまた、生まれる際にすでに存在するか又はその後の生活で進展し得るものであり、いくつかの条件により引き起こされ得る。例えば、冠動脈疾患は心臓の動脈の閉塞を引き起こし得る。前記心臓症状を改善するために最小の侵襲的治療が行われることが一般である。例えば、心臓弁の機能不全や狭窄、うっ血性心不全及び心筋症は侵襲性治療により軽減され得る。これらの処置は、血管形成術及びステント留置術、僧帽弁の外科的修理及び交換、一般的外科手術及び血行再構築が含まれる。以下は構造的心臓疾患の、例えばCアームX線透視の下での最小の侵襲的経皮アクセス(例えばカテーテルや針の挿入)を通じての最小侵襲性治療に焦点が合わせられる。
【0003】
これにより、動的な3次元ロードマップが、曲がりくねる血管又はその他の病理解剖学的構造を通じるライブガイドを提供し、ここで前記血管樹系のリアルタイムの2次元透視画像及び3次元再構成の重ね合わせが達成される。前記2次元画像は、X線画像撮影装置、例えばCアームと呼ばれるタイプのX線画像撮影装置により与えられる。その結果、1つの画像が、ガイドワイヤ、カテーテル、ステント、コイル又は針の進行を1つの画像上にリアルタイムで示し、複雑な干渉手順の間の可視化を改善する。
【0004】
前記取得された2次元画像を前記データセットの3次元表現と一致させるために、例えばCアームX線システムのX線画像撮影装置の参照フレーム及び前記3次元の多重モダリティデータセットの参照フレームが登録される必要がある。1つの画像の前記2次元の射影X線への直接登録は、手動又は自動で、登録アルゴリズムを用いて実行され得る。
【0005】
種々の目的の干渉処置について、ビューの最適な方向は必須である。これは、外科医又は臨床医が、心臓内装置又はその他の装置の適切な適用に必要なそれぞれの詳細を注視することができなければならないことを意味する。従って前記侵襲性処置の間、臨床医のために前記ビューイングが最適化され得るための適切なビューイングアングルを選択することが必要となる。従って、前記X線画像装置を調節して望ましいビューイングアングルが達成できるようにすることが必要とされる。
【0006】
例えば、冠状動脈循環の主要な血管は左主冠状動脈であり、これらは左前下行枝と回旋枝及び右主冠状動脈に分かれる。前記左及び右冠状動脈は、大動脈弁尖の後ろの冠状動脈口と呼ばれる開口部から大動脈基部で始まる。例えばステントの伸展などの大動脈の干渉処置の間に、進行させる前記ステント手段による前記動脈閉塞を防止するために前記大動脈の明瞭な可視性が必要である。
【0007】
米国特許番号6424731B1には、X線画像撮影装置を制御して前記装置が自動的に検査されている血管の3次元表現上のビューイング方向にリアルタイムに追随する方法が開示されている。さらに、この方法は患者の身体と対立することを防止することができ、ここで物理的に衝突することなしには不可能な幾何学的パラメータの予想を可能とする。
【0008】
さらに、米国特許出願番号2002/0006185A1には、X線画像撮影装置の自動位置合わせの方法が開示され、ここで第1の方向が決められ、前記ビューイング方向が、前記画像品質が前記第1の方向と平行なビューイング方向で得られる品質よりも優れたものとなるように計算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6424731B1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0006185A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のように、適切なライブ画像ガイドのために最も最適なビューイングアングルを選択することは干渉処置の間で本質的なことである。従って、前記2次元透視画像を与える前記X線画像撮影装置の幾何学的パラメータはこの目的のために適合させなければならない。CアームタイプのX線画像撮影装置を用いることが通常であるということは、Cアームの幾何学的形状がそれにより設定されなければならないということを意味する。通常Cアーム幾何学的位置は、ユーザインタフェースで手動入力を通じて、望ましいビューイング方向に追随するために適合化される。これは前記侵襲手順の間では煩わしいものであり得る。また前記干渉の際にビューイング方向を調節することは患者に不要なX線放射の暴露を与える結果となり得る。
【0011】
さらに、X線画像撮影装置のビューイングアングルを調節する場合には視差効果が明瞭である。視差とは、2つの異なる視野ラインに沿って見られる対象物の明らかな変位である。前記観測者又は前記X線源のそれぞれの近くに位置する対象物は、それらが異なる位置で観測される場合、より離れた対象物よりもより大きい視差を生じる。自然において、この視差は、人又は動物が、2つの異なる視野のラインに沿う対象物を見ることにより距離を決定することを可能にするものである。一般的に、透視画像が2次元の場合には、この視差効果は、前記ライブ画像の対象物長さの不正確な再現又は表現という意味で画像品質に影響を与え得る。
【0012】
従って、侵襲性処置の間にモニターされるべき病理へ最適なビューイング方向を達成するために、X線画像撮影装置を位置合わせのための方法の必要があり得る。
【0013】
また、3次元での病理解剖学的構造のための少なくとも1つの最適ビューイングアングルを可能とするX線画像撮影を位置合わせするための方法、及びこれらの望ましいビューイングアングルに適合するように前記X線画像撮影装置の自動調節のための方法の必要性がある。
【0014】
さらに、ライブ透視画像の視差効果を完全に除去することができるX線画像撮影装置を位置合わせするための方法の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの要求は以下の独立請求項に記載される、X線画像撮影装置を位置合わせするための方法、X線画像撮影装置を含む医療用ビューイングシステム、前記方法を実行するためのコンピュータープログラム要素及びコンピューター読み取り可能な媒体により達成され得る。
【0016】
本発明の種々の例示及び好ましい実施態様が従属請求項に記載される。
【0017】
本発明の以下の記載について、試験されるべき前記病理構造の3次元再構築が存在することが仮定されている。通常この3次元再構成は、当業者によく知られる1つ又はいくつかの方法を通じて手術前に得られる。この再構成は、いくつかのビューイング方向からCアームのX線画像撮影装置で得られるX線画像に基づいて実現され得る。又は、CT又はMRスキャン又は診断目的及び処置計画のための装置がこの目的で使用され得る。ただし本発明の対象は、構造の取得のタイプ又は3次元表現には限定されるものではない。
【0018】
本発明による方法の第1の側面によれば、前記3次元データセットでの前記病理解剖学的構造が視覚化可能であるということは、前記病理解剖学的構造を通る直線面にフィットさせることが可能となる。ここで前記構造には大動脈弁、シャントなどである。前記面は前記病理解剖学的構造と交差する。この面はさらに、基準面として参照され得る。というのは選択されたビューイング方向は以下さらに記載されるようにこの面に参照して定義されるからである。その後この面の中心点が、前記病理解剖学的構造の中間に定義される。例えば前記基準面及び前記病理解剖学的構造と間の交差領域の幾何学的中心である。その後前記最適ビューイング方向がこの基準面及び前記病理解剖学的構造内の前記中心点に関して定義され得る。
【0019】
前記最適ビューイング方向が前記基準件に関して定義され得る。前記基準面は1つの法線ベクトル及びいくつかの接線ベクトルの定義により支持され得る。前記法線ベクトルは、前記病理解剖学的構造の前記中心点を値居るベクトルとして定義され、及び前記面に垂直に伸びることができる。接線ベクトルは、前記中心点を通り前記面に接して伸びるベクトルであり得る。接線ベクトルにおいて、前記ベクトルは前記面の中心点を通る前記面上の全てのベクトルであり得る。
【0020】
本発明の基本的考え方は、3次元データセットから1以上の最適ビューイング方向を導き出すことが、干渉処置に先立って選択され得る、という事実にある。このことは、別の計算ユニット又は前記X線画像撮影装置に含まれる計算ユニットのスクリーン上で前記病理解剖学的構造の3次元表現を参考にすることで実行され得る。この表現を回転させ及び/又は移動させることで、前記干渉処置のための最善と考えられるビューイング方向が見出され得る。1以上の干渉処置が施される必要がある場合には、種々のビューイング方向が、前記基準面及び前記法線及び接線ベクトルを全て参照することで選択され得る。さらにまた、1以上のビューイング方向は、単一の処置内で異なる側面をガイドするために記憶され得る。
【0021】
X線画像撮影装置ビューイング方向として接線ベクトルによる基準面に関してビューイング方向を定義する利点は、心臓内装置の正確な配置を可能にする点にあり、これは前記病理位置内での僧帽弁ステントとして実現され得る。従って、法線方向でのビューイング方向は、前記基準面上の法線ベクトルの範囲内で、例えば心臓中隔欠損閉鎖装置又は類似装置を配置するために有用である。
【0022】
例えば、前記病理学的解剖構造に最適ビューイング方向からの前記3次元データセットに基づき外科医のチェックが、心臓大動脈内でいつステントを伸展させる必要があるかについて達成され得る。このステントが心門をカバーしないことが必須であると考えられている。従って、外科医は、前記ステントが心臓大動脈中を進行する際に、前記心臓大動脈及び前記心門が常に明瞭に見えることができるようにビューイング方向を選ぶことができる。前記接線ベクトルはそのような最適ビューイング方向を与える。従って、心門があらゆる血管でカバーされないことが保証され得る。
【0023】
その結果、前記ステントが理想的に伸展され得る。本発明の1つの側面は、前記干渉処置のためにこれらの計画された最適ビューイング方向を記憶ユニットに記憶することができることであり、かかる記憶ユニットは前記X線画像撮影装置内に含まれるデータ処理ユニットと接続されている。従って、前記データ処理ユニット内の適切な命令により全ての最適ビューイング方向の取り出しが可能となる。
【0024】
X線画像撮影装置の幾何学的パラメータ及びX線放射源とX線ビームの角度は、前記データ処理ユニット又は別の制御ユニットを介して制御することができる。これにより、前記X線画像撮影装置が全ての最適ビューイング方向に自動的に追随することを可能とする。
【0025】
いかなる最適ビューイング方向が前記干渉の間で使用され得るようになる前には、基準の計画フレーム(これは前記最適ビューイング方向を表す)、X線画像撮影装置基準のフレーム及び術中患者空間(これはテーブル上の患者の位置に依存し得る)との間の関係を一致させなければならない。これは、自動登録アルゴリズム又は手動登録処理によりなされ得る。
【0026】
例えば前記登録は、3次元データセット内で前記気管の自動セグメント化を通じて実行され、及び異なる角度から前記X線画像撮影装置により取得する2つのX線画像に関する前記気管のポーズを決める。従って、前記3次元データセット及び前記ライブ2次元透視画像がお互いに整合される。
【0027】
留意すべきことは、この登録処理は、計画のために用いられる前記3次元データセットが、前記X線画像撮影装置により術前に得られたものである場合には本質的である、ということである。
【0028】
前記側面を含む本発明による方法を実施することで、いくつかの有利な効果が達成され得る。経皮デバイス又はその他の医療用装置の誤配置が防止できる。前記干渉に先立ち最適ビューイング方向を計画することで、全干渉手順について最適ビューイング方向が達成され得るからである。従って、外科医が正しい処置、経皮デバイス又はその他の装置の正しい伸展につき誤った予想を持つおそれがある最適でないビューイング方向で前記干渉を実施することが不可能となる。従って本発明の方法は干渉処置に明らかに改善をもたらすものである。
【0029】
さらに、本発明の方法を実施することは、患者の身体へのX線暴露を低減させることとなる。前記医療処置をガイドするために前記ライブ透視画像が使用されない場合には、前記干渉処置の間に前記X線画像撮影装置を数回調節する必要をなくすことができる。本発明の方法により、X線画像撮影装置の自動調節が常に最適ビューイング方向を与えることとなる。従って前記干渉処理は加速され、それによりX線放射への暴露時間が低減される。
【0030】
本発明の有利な実施態様によると、前記基準面は3次元データセットに自動的にフィットされる。これは、試験されるべき病理解剖学的構造中の面を拡張することで実行され得る。ここで前記面への全ての軌跡からの平均距離が最小化される。
【0031】
ここで留意すべきことは、前記試験されるべき病理解剖学的構造は病理のアウトラインにより特徴付けられ、これは前記3次元空間を通る閉じた軌跡である、ということである。例えばシャントについては、これは前記穴の回りの最小アウトラインであり、心臓弁についてはこれは前記弁膜を含む最小アウトラインである。このアウトラインは前記病理解剖学的構造をセグメント化することで決定され得るものであり、アルゴリズムにより前記アウトラインにより定められるこの軌跡を通じて直線面にフィットさせる。
【0032】
又は前記面は手動で設定され得る。これは、ユーザーが、前記病理解剖学的構造の3次元表現を表示するグラフィカルユーザインタフェースに接続される適切なインプット手段により実行され得る。前記ユーザーは、前記病理解剖学的構造内にクリップ面を配置したり又は前記面の空間を定義するために十分な、3つの3次元点を示すことができる。この目的で、前記3次元データセットは、前記X線画像撮影装置のスクリーン上のグラフィカルユーザインタフェースを通じて、又は前記X線画像撮影装置に接続され又はこの情報を記憶手段に記憶するように適合された別の計算ユニットにより可視化され得る。前記3次元表現は回転可能でありかつ移動可能である。
【0033】
本発明の有利な実施態様では、中心点が前記基準面上に作成され、中心点は前記病理解剖学的構造の中間位置に存在する。例えば、中心点は前記面上で前記真の中心点の近くの点として定められ、これは病理アウトラインにより囲まれる領域の重心として表現され得る。これは、前記病理アウトラインの座標を平均することで決めることができ、又は前記ユーザーによりインプット手段又はユーザインタフェースにより設定され得る。
【0034】
本発明のさらなる実施態様では、前記基準面の法線ベクトルが決められる。前記法線ベクトルは前記基準面から垂直に伸び、前記定義された中心点を通る。
【0035】
また、1組の接線ベクトルが決められ、ここで接線ベクトルは前記中心点を通る全ての方向及び全ての面上に設けられる。
【0036】
さらに前記最適ビューイング方向は前記法線ベクトル及び前記1組の接線ベクトルから導かれる。このことは次のことを意味する。即ち、選択された法線又は接線ベクトルについては、前記X線システムのビューイング入射が、前記それぞれの正規化された法線又は接線ベクトルが、前記X線検出装置への前記X線源の焦点から出る前記1組の正規化されたベクトルに存在するものである、ということである。
【0037】
本発明の好ましい実施態様では前記X線画像撮影装置は自動的に回転して最適ビューイング方向へ向けられ、続いて前記3次元表現の調節及び登録を伴うものである。例えば、外科医が適切なユーザインタフェースなどで記憶された最適ビューイング方向を選択する場合には、前記X線画像撮影装置は自動的に動いてこの最適ビューイング方向に一致させ、前記病理解剖学的構造の3次元表現が調節され、その後両方のビューが前記外科医のためにライブガイドビューを自動的に調節するために、好ましくは単純にボタンを押すこと又はタッチスクリーン又はその他のインプット/アウトプット装置で記憶されたビューイング方向を選択することで、登録される。
【0038】
ここで表現「動き」とは前記X線画像撮影装置の幾何学的パラメータを調節することを意味し、例えば前記X線検出装置、前記X線放射源、前記X線放射ビームなどの位置及び角度などであり、これらは前記X線画像撮影装置のタイプに大きく依存する。CアームX線画像撮影装置の使用が普通であり、このことは前記「動き」手順は、少なくとも3つの角度−回転、角度、Lアーム−を調節することを含み、かつ前記手術室内のCアームのクレーム位置であり得る。
【0039】
本発明のさらなる好ましい実施態様では、前記X線画像撮影装置の動きには視差誤差の補償が含まれる。これにより視差効果が考慮される。ここで視差効果は前記X線画像中の視点による効果である。基本的には前記視差補償は、例えばCアームタイプのX線画像撮影装置により次のように実行され得る。前記検出装置の焦点は前記Cアーム幾何学形状のアイソセンターから固定された距離を有する。前記アイソセンター回りのこの距離で設定される半径が、全ての可能な検出焦点位置を記載する。前記のように、前記最適ビューイング方向は、前記病理のベクトル及び中心点で定義される。前記最適ビューベクトルの方向でこの中心点を通るラインが定義され得る。このラインおよび前記定義の球の交点が前記焦点の最適位置を決めることができる。
【0040】
本発明のさらなる側面によれば、医療用ビューイングシステム、特にCアームシステム又はコンピュータートモグラフが提供される。前記医療用ビューイングシステムは前記方法のステップを実行するように適合されるデータ処理装置を含む。
【0041】
本発明のさらなる側面によると、コンピューター読み取り可能な媒体が与えられ、X線画像撮影装置を自動的に位置合わせするためのコンピュータープログラムが記憶されている。前記コンピュータープログラムは、データ処理装置により実行される場合に、前記方法の例示的実施態様を制御するように適合される。
【0042】
本発明のさらなる実施態様によると、X線画像撮影装置の自動的位置合わせを与えるためのコンピュータープログラム要素を提供する。前記コンピュータープログラム要素は、データ処置装置により実行される場合に、前記方法の例示的実施態様を制御するように適合される。
【0043】
前記コンピュータープログラム要素は、コンピューター読み取り可能な命令コードとして全ての適切なプログラム言語、例えばJAVA(登録商標)、C++などでかつコード読み取り可能媒体(移動可能なディスク、揮発又は不揮発メモリ、内蔵メモリなど)に記憶されたプログラム言語の形で実行され得る。前記命令コードはコンピューターをプログラムするために又はその他のプログラム可能な装置を意図される機能を実行するために操作可能である。前記コンピュータープログラムは、ダウンロードされ得るWorld wide Webなどのネットワークから利用可能である。
【0044】
また、既存の医療用ビューイングシステムは新たなソフトウェアで更新され得るものであり、これにより、プロセッサ上で実行される場合に、前記システムが本発明による前記方法を実行させるものである。
【0045】
留意すべきことは、本発明の構成及び副次的効果は本発明の異なる実施態様を参照して説明されるということである。しかし当業者であれば、前記説明及び以下の説明から、他に言及されない限り、1つの実施態様に属するいかなる組み合わせ又は構成に加えて、異なる実施態様又は製造方法に関する構成の間の全ての組み合わせもまた本出願で開示されているものと考えるであろう。
【0046】
本発明の前記側面及びさらなる側面は、以下記載され説明される例により明らかとなり、実施態様の例を参照して説明される。本発明のさらなる説明及びよりよい理解のために、以下実施態様の例を参照して説明されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。異なる図面で同じ又は類似の部品には同じ参照符号が付されている。図面中の図及び説明は模式的であり寸法通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明によるX線画像システムを示す。
【図2A】図2Aは、臓器及び経皮装置の垂直図である。
【図2B】図2Bは、臓器及び経皮装置の斜視図である。
【図3】図3は、試験される病理に関する1平面を示す。
【図4】図4は、本発明による方法を示す。
【図5】図5は、視差補償を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、X線画像撮影装置の自動位置合わせのための医療用ビューイングシステムを持つX線画像システム10を模式的に示す。
【0049】
X線画像システム10は、X線放射を生成するためのX線放射源12を持つX線画像撮影装置を含む。テーブル14は試験されるべき対象物を受けるために提供される。さらに、X線画像検出モジュール16が前記X線放射源12の反対側に位置される。前記放射手順の間に、検査される対象物が前記X線放射源12と前記検出モジュール16の間に位置される。前記モジュール16は、データをデータ処理ユニット又は計算ユニット18へ送り、このユニットは前記X線画像検出モジュール16及び前記X線放射源12の両方に接続されている。前記計算ユニット18は、例示的に、前記試験室内で空間を節約するために前記テーブル14の下に置かれている。これが、例えば異なる部屋又は実験室などの異なる位置に置かれることができることは明らかである。さらに、表示ユニット20が前記テーブル14の近くに設けられ、前記X線画像システムを操作する、例えば心臓医師や心臓外科医などの臨床医に情報を表示する。好ましくは前記表示ユニット20は移動可能に設けられており、前記試験状況に依存して個々に調節することを可能とする。さらにインタフェースユニット22が前記ユーザーによる情報をインプットするために設けられている。
【0050】
基本的には前記画像検出モジュール16はこの対象物をX線放射に暴露することで画像を生成し、前記画像はさらに前記計算ユニット18で処理される。留意すべきは、前記例はいわゆるCタイプX線画像撮影装置についてのものであるということである。前記X線画像撮影装置はCの形状のアームを含み、前記検出モジュール16が前記Cアームの1つの端部に設けられ、前記X線源12が前記Cアームの反対側の端部に設けられている。前記Cアームは移動可能に設けられ、テーブル14上に位置される興味対象物の回りを回転させることが可能である。言い換えると、異なる方向のビューイングで画像を撮影することができるということである。
【0051】
前記計算ユニット18は、本発明による方法を実行するように適合され得るものであり、それにより前記X線画像撮影装置の自動位置合わせのためのデータ処理装置として、又はデータ処理装置を含むものとして考えることができる。それにより、データ処理装置及び好ましくは前記最適ビューイングを記憶するための記憶手段が、関連するソフトウェアと共に提供される。かかるソフトウェアは、前記方法の例示的実施態様を制御するために、1つのプログラム要素を前記X線画像撮影装置を自動的に位置合わせさせるようにする。前記ソフトウェアは、コンピューター読み取り可能な媒体の手段、又はネットワークを通じて前記計算ユニット18内へ移動させることができ、完全な新たなオペレーションシステム又は更新として実現され得る。
【0052】
図2Aには、2つの心門26を持つ大動脈24が表示されている。前記干渉処置の間、ステント28は前記大動脈上に伸展され得る。図2A前記に示されるように、ステント28が心門26をカバーしないように注意が必要である。
【0053】
従って、前記大動脈24の垂直ビューイング方向は、前記大動脈の壁に垂直に直接ビューイングすることを意味し、最適ビューイング方向として考えられる。
【0054】
図2Bは、やや傾けられたビューイング方向が、2つの心門26を持つ同じ大動脈24につき示されている。図2Bで明らかなように、ステント28の伸展をモニターすることはずっと難しいということである。というのは前記心門26はステント28がその最終地点に到達する際に、十分可視的ではないからである。従って、図2Bでビューイングされる方向は最適ではないと考えられる。というのはビューイングのこの方向からは、ステント28が前記心門をカバーすることを防止することが難しいからである。外科医は、前記ステントが正しく伸展されているか又はされていないかを予想しなければならず、従って望ましくない程度の不正確性を生じる恐れがあるからである。
【0055】
図2A及び2Bから、どのようにして直線基準面が検査されている病理にフィットされ得るかを説明する。
【0056】
図3では、前記心門26と共に大動脈24もまた示されている。本発明の方法によれば、面30は前記病理のアウトライン32にフィットされる。この場合前記病理は、前記2つの心門26の範囲内の大動脈である。
【0057】
前記面30は、アウトライン32の全ての軌跡点と前記面30との間の最小距離が実現されるようにフィットされる。アウトライン32を受け取るためにセグメント化されたサブボリュームが考慮に入れられる。ここで前記セグメント化は当業者に知られる方法で自動的に生成され得る。前記アウトライン32は、例えば面断面内の大動脈領域が最小となるように選択されるべきである。
【0058】
面30上で中心点34が作られる。この中心点34は、幾何学的中心又は前記アウトライン32で限定される領域の重心として決められ得る。又は外科医は独自の中心点34を選択することもできる。また、外科医は、例えば3次元面で面30を広げる3つの3次元点36を定義することで相互に面30を選択することができる。
【0059】
前記中心点34上で、法線ベクトル38が作られ、前記面30に垂直に伸びる。虫損点34から始まる1組の接線ベクトル40が前記面30内に伸びる。
【0060】
示される例では、接線ベクトル40に平行なビューイング方向は最適であると考えられる一方で、他の場合(例えば心臓壁内のシャント)では前記法線ベクトル38に平行なビューイング方向が最適と考えられる。
【0061】
前記最適方向は、最適と考えられるビューイング方向を見出すために前記病理の3次元表現を回転させることで選択することができる。
【0062】
ビューイングの1組の最適方向がその後記憶手段内に記憶され、ユーザインタフェース又はインプット手段を用いて適切なインプットにより取り出し可能とされる。
【0063】
図4で、本発明による方法がさらに詳細に記載される。検査されるべき前記病理のアウトライン32により、面を定義/作成し(42)、かつ前記面の中心を定義/作成し(44)、その後最適ビューイング方向が見出され、記憶手段に記憶され得る(46)。
【0064】
前記基準面30の作成は、前記対象物の軌跡点から前記基準面へ平均距離が最小となるように前記基準面を広げる構成(422)を含む。
【0065】
さらに、基準面30の作成は、検査されるべき対象物をサブボリュームにセグメント化し(424)、セグメント化されたサブボリュームのアウトラインを決定し(426)、かつ前記基準面を、前記少なくとも1つのセグメント化されたサブボリュームのアウトラインにより定義される軌跡からの平均距離が最小化されるように、基準面を広げる(428)、ことを含み得る。
【0066】
前記得られた3次元データセットと前記X線画像撮影装置のテーブル上に実際に位置される患者を一致させるために、前記設定及び病理空間が登録される(48)。
【0067】
前記干渉の間、最適化ビューイング方向は、前記X線画像撮影装置が回転される(52)方向に選択され得る(50)。このことはまた、前記X線画像撮影装置の幾何学的位置の調節として参照され得るものである。
【0068】
前記得られた3次元データセットと前記X線画像撮影装置のテーブル上に実際に位置される患者を一致させるために、前記設定及び病理空間が登録される(48)。ビューイング点での長さ変化や誤差を防止するために、視差補償が実行される(54)。
【0069】
視差補償は、前記X線画像撮影装置のアイソセンター60回りの球58を作成するステップ(542)、前記球の半径が前記X線画像撮影装置の中心60と前記X線放射源12との距離に等しく、前記最適ビューイング方向56の方向での前記基準面30の前記中心60を通る直線と前記球58の間の交点を決定するステップ(544)、かつ前記X線画像撮影装置の幾何学的パラメータを、前記交点及び前記X線源の焦点が一致するように調節する(52)ステップを含む。
【0070】
図5には、視差補償が模式的に示される。ベクトル56は1つの最適ビューイング方向を定義し、これはX線検出装置62に到達し、検出装置62の回りには球58が構成され、これは前記X線放射源の全ての可能な焦点と類似する。前記検出装置は正確に、望ましいビューイング方向ベクトル56の方向へ向けられていない。その代わりに、前記検出装置62は、前記ベクトル56の交点64、前記球58及び前記検出装置62の中心66から前記球58のアイソセンターを通じて伸びるラインへ方向付けられる位置へ動かされる。従って、前記最適ビューイング方向ベクトル58は、前記X線検出装置62上の点68に投影され、前記視差補償が適切になされることとなる。
【0071】
本発明による方法及び適切な医療作業手順により最適なビューイングアングルを提供する効果的方法が達成される。3次元データセットから、臨床医又は外科医は干渉を計画し、ビューイングの最適方向を設定することができる。これらは、病理セグメントのアウトラインへフィットされる面上の法線及び接線ベクトルに関して定義されることができ、かつ後に前記干渉手順中に取り出すことができるように記憶され得るものである。従って、この方法は、周術期の段階を短くし、患者へのX線放射暴露を低減させる。
【0072】
本発明は、図面及び前記記載に基づいて詳細に説明された。ここでかかる図面及び説明は本発明を説明し例示するためのものであり、本発明は、これらの開示された実施態様により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 X線画像システム
12 X線放射源
14 テーブル
16 X線画像検出モジュール
18 計算ユニット
20 表示ユニット
22 インタフェースユニット
24 大動脈
26 心門
28 ステント
30 基準面
32 アウトライン
34 中心点
36 面拡張点
38 法線ベクトル
40 接線ベクトル
42 面の定義
422 基準面の拡張
424 対象物のセグメント化
426 アウトラインの決定
428 基準面の拡張
44 中心の定義
46 記憶
48 登録
50 選択
52 回転
54 視差補償の実行
542 球の作成
544 交点の決定
56 最適ビューイング方向ベクトル
58 球
60 アイソセンター
62 X線検出装置
64 交点
66 X線検出装置の中心
68 X線検出装置上の点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線放射源及びX線検出装置を含むX線画像撮影装置の位置合わせをする方法であり、前記X線放射源が、前記X線画像撮影装置の幾何学的パラメータに依存して調節可能なビューイング方向の下で対象物上にX線放射線を放射することができ、前記方法が、
− 前記対象物の3次元的表現と交差する直線基準面を作成し、
− 前記面上の前記対象物の前記交差領域内で中心点を作成し、
− 前記基準面内に法線ベクトル及び少なくとも1つの接線ベクトルを作成し、
− 前記法線ベクトル及び/又は少なくとも1つの接線ベクトルから得られる少なくとも1つのビューイング方向を定義し、かつ
− 前記基準面、前記対象物の基準フレーム及び前記X線画像撮影装置の基準フレームを登録し、
− 前記X線画像撮影装置の前記幾何学的パラメータを調節する、ステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、前記基準面の作成が、前記対象物の軌跡から前記基準面への平均距離が最小化されるように前記基準面を拡張する構成を含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法であり、さらに、
− 対象物をサブボリュームにセグメント化し、
− 前記セグメント化されたサブボリュームのアウトラインを決定し、
− 前記少なくとも1つのセグメント化されたサブボリュームのアウトラインにより定められる軌跡からの平均距離が最小化されるように前記基準面を拡張する、ステップを含む方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であり、さらに、
− 前記法線及び少なくとも1つの接線ベクトルに関して最適ビューイング方向を記憶手段に記憶するステップ、を含む方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法であり、さらに、
− 前記X線画像撮影装置の中心周りに球を作成し、前記球の半径が前記X線画像撮影装置と前記X線放射源の間の距離に等しく、
− 前記基準面の中心を前記最適ビューイング方向を通る直線と前記球との間の交点を決定し、及び
− 前記交点と前記X線源の焦点を一致させるために前記X線画像撮影装置の前記幾何学的パラメータを調節するステップ、により視差補償の実行を含む、方法。
【請求項6】
X線画像撮影装置を位置合わせするためのデータ処理装置であり、前記データ処理装置はデータプロセッサを含み、前記プロセッサは請求項1に記載の方法を実施するように適合され、及び前記選択されたビューイング方向を記憶し適用するための記憶手段を含む、データ処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ処理装置を含む医療用ビューイングシステム。
【請求項8】
コンピューター読み取り可能な媒体であり、前記媒体はX線画像撮影装置の位置合わせをするためのコンピュータープログラムを記憶し、前記コンピュータープログラムは、データプロセッサにより実行される場合に、請求項1に記載の方法を制御するように適合される、コンピューター読み取り可能な媒体。
【請求項9】
X線画像撮影装置の位置合わせのためのプログラム要素であり、データプロセッサにより実行される場合に、請求項1に記載の方法を制御するように適合される、プログラム要素。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−506522(P2013−506522A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532692(P2012−532692)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054365
【国際公開番号】WO2011/042834
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】