X線異物検出装置及び感度補正方法
【目的】 被検体の搬送中でも容易に感度補正が行えるX線異物検出装置を提供する。
【構成】 X線異物検出装置1は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、X線発生器5aに対し検出用パイプ3bを挟むように対向配置され、X線発生器5aからのX線の照射に伴って検出用パイプ3bを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bと、X線検出センサ5bに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備える。X線検出センサ5bの各素子の感度補正するときは、移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部5を含む筐体2とを相対移動させ、X線検出センサ5b上に検出用パイプ3bが無い状態でX線検出センサ5bに直接X線を照射し、感度補正手段12aにより補正値(感度係数)を求める。
【構成】 X線異物検出装置1は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、X線発生器5aに対し検出用パイプ3bを挟むように対向配置され、X線発生器5aからのX線の照射に伴って検出用パイプ3bを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bと、X線検出センサ5bに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備える。X線検出センサ5bの各素子の感度補正するときは、移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部5を含む筐体2とを相対移動させ、X線検出センサ5b上に検出用パイプ3bが無い状態でX線検出センサ5bに直接X線を照射し、感度補正手段12aにより補正値(感度係数)を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種食品からなる被検査体をパイプライン内に搬送させ、被検査体が搬送されるパイプラインにX線を照射し、このX線の照射に伴ってパイプラインを通過してくるX線の透過量に基づいて被検査体への異物混入の有無を検出するX線異物検出装置に係り、特に被検査体の搬送中でも容易に感度補正が行えるX線異物検出装置及び感度補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインの検査工程において、被検査体として各種食品等への異物(例えば金属、ガラス、殻、骨など)混入の有無を検出するためにX線異物検出装置が用いられている。この種のX線異物検出装置では、順次搬送される被検査体にX線を照射し、このX線の照射に伴うX線の透過量に基づいて異物混入の有無を検出している。
【0003】
ところで、この種のX線異物検出装置において、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、魚のすり身、レトルト食品の具材、具材入スープ等を被検査体とする場合には、搬送コンベアに代えてパイプラインが搬送手段として一般的に用いられる。そして、パイプライン内に被検査体を搬送する際には、被検査体の種類に応じて搬送形態が異なる。例えば貝類の剥き身等のように被検査体自身が流動性を有さない場合には、搬送用流体として例えば水や空気等を利用し、この搬送用流体と共に被検査体がパイプライン内に流動搬送される。これに対し、例えば具材入スープ等のように被検査体自身が流動性を有する場合には、搬送用流体を用いずに被検査体のみがパイプライン内に流動搬送される。
【0004】
ここで、上述したパイプラインを搬送手段とするX線異物検出装置の一例として、下記特許文献1に開示されるX線異物検出装置が知られている。このX線異物検出装置は、図11に示すように、X線検査部116を有し、このX線検査部116に被検査体(貝剥身110と貝殻片及び金属片などの異物と搬送用流体112)が、図示しない供給タンクからパイプライン114を通過して供給される。X線検査部116では、X線発生管118から照射されたX線が、前記パイプライン114の下流側に連通されたパイプライン120を通して前記被検査体に所定のタイミングで照射される。そして、被検査体を透過したX線が一定の間隔でパイプライン120を横断する方向にそれぞれ複数配列されているX線センサ122,124で計測される。ここで、X線センサ122,124の計測結果に基づいて、図示しない信号処理部から異物検出信号が出力されると、排出弁128を作動させて異物を含む被検査体がパイプライン130に案内されて排出される。
【特許文献1】特許第2591171号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のX線異物検出装置では、被検査体の搬送にパイプラインを使用しているが、従来、X線センサの感度補正を行う場合には、被検査体の搬送を一時的に停止し、被検査体が搬送されていない状態で、X線センサに含まれるX線検出素子が持つ各素子毎の固有データであるX線非照射時に得られるオフセットデータとX線照射時に得られる感度のばらつきデータとをX線非照射時とX線照射時にそれぞれ取得し、X線照射時のデータ(感度のばらつきデータ)からX線非照射時のデータ(オフセットデータ)を減算した値が一定となるように感度係数を各素子毎に求める感度補正を行っていた。
【0006】
しかしながら、上述した従来のX線異物検出装置では、パイプライン内に被検査体が搬送されていない状態、すなわち被検査体の搬送を一時的に停止させて感度補正を行わなければならなかった。しかも、パイプライン内に残留物がある場合には、この残留物の影響を受けて感度を一定に補正することができず、直接検出値の誤差要因となり、検出精度に影響を及ぼすという問題があった。このため被検査体の搬送を停止させることなく精密な感度補正を行える構成が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、被検査体が搬送されている状態でも容易に感度補正を行うことができるX線異物検出装置及び感度補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のX線異物検出装置は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bとから構成される異物検出手段5と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させる移動機構6を備え、
前記移動機構により前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のX線異物検出装置は、請求項1記載のX線異物検出装置において、
前記検出用パイプ3bが前記X線検出センサ5bの検出面直上に位置する異物検出位置と、前記検出用パイプが前記X線検出センサの検出面直上の位置から外れて位置する感度補正位置とを検出する位置検出手段7を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のX線異物検出装置は、請求項2記載のX線異物検出装置において、
前記移動機構6は、前記異物検出手段5を固定した状態で、前記検出用パイプ3b側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載のX線異物検出装置は、請求項2記載のX線異物検出装置において、
前記移動機構6は、前記検出用パイプ3bを固定した状態で、前記異物検出手段5側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載のX線異物検出装置は、請求項1〜4の何れかに記載のX線異物検出装置において、
前記X線検出センサ5bの感度補正を指示入力する入力手段11と、
該入力手段からの指示入力の有無に基づいて前記移動機構6の移動を制御する制御手段12とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載のX線異物検出装置の感度補正方法は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bとから構成される異物検出手段5と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置1の感度補正方法において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とを前記X線の照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、検出用パイプとX線検出手段とを相対移動させることができるので、検出用パイプに被検査体を搬送してX線検出を行っている場合であっても、被検査体の搬送を一時的に停止させることなく、容易かつ迅速に感度補正を行うことができる。これにより、作業効率の円滑化が図れる。また、感度補正の工程を自動化することにより、さらに作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明に係るX線異物検出装置の正面図、図2は図1のX線異物検出装置の平面図、図3は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図、図4は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図、図5は本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図、図6は本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図、図7(a),(b),(c)は本発明に係るX線異物検出装置の異物検出時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図、図8(a),(b),(c)は本発明に係るX線異物検出装置の感度補正時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図、図9は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を自動化したときの一例を示す機能ブロック図、図10は本発明に係るX線異物検出装置の機能ブロック図である。
【0016】
本例のX線異物検出装置は、製造ラインの一部に設けられ、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、海産物、魚のすり身、具材入スープ、レトルト食品の具材などの各種食品を被検査体としてパイプライン内に連続的に流動搬送させ、被検査体への異物混入の有無を検出するものである。
【0017】
なお、例えば具材入スープ等のように、被搬送体自身が流動性を有している場合には、被搬送体がそのままパイプライン内に搬送される。これに対し、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、レトルト食品の具材等のように、被搬送体自身が流動性を有していない場合には、例えば水や空気等の搬送用流体によりパイプライン内に搬送される。
【0018】
まず、被検査体への異物混入の有無を検出するためのX線異物検出装置1の概略構成について説明する。図1及び図2に示すように、X線異物検出装置1は、装置本体をなす筐体2と、被検査体を連続的に流動搬送するパイプライン3と、被検査体の搬送方向を切り替える切替弁部4とを備えている。
【0019】
図1及び図2に示すように、パイプライン3は、予め複数のパイプが配管接続されたもので、被検査体供給用パイプ3a、検出用パイプ3b、NG品吐出用パイプ3c、未検出品吐出用パイプ3d、良品吐出用パイプ3eから構成される。また、切替弁部4は、検出用パイプ3bと良品吐出用パイプ3eとの間に設けられ、三方バルブ4aと切替バルブ4bから構成される。
【0020】
被検査体供給用パイプ3aは、筐体2の上流側に配管され、不図示の搬送ポンプにより被検査体が流動搬送される。検出用パイプ3bは、一端が被検査体供給用パイプ3aに接続され、他端が三方バルブ4aの流入側に接続されている。検出用パイプ3bの略中央部分には、被検査体供給用パイプ3aから流動搬送される被検査体への異物混入の有無を検出するための異物検出部(異物検出手段)5が設けられている。この検出用パイプ3bでは、異物検出部(異物検出手段)5によって異物有無の検出がなされた被検査体を三方バルブ4aに流入搬送している。NG品吐出用パイプ3cは、筐体2の下流側で三方バルブ4aの側方に分岐した一方の出口に接続され、NG品と判別された被検査体を吐出する。切替バルブ4bは、三方バルブ4aの他方の出口に接続され、未検出品吐出用パイプ3dと良品吐出用パイプ3eの切り替えを行っている。未検出品吐出用パイプ3dは、切替バルブ4bの側方の出口に分岐して接続され、例えば選別確認用にテスト搬送される被検査体や感度補正時の未検出品の被検査体等を吐出する。良品吐出用パイプ3eは、切替バルブ4bの他方の出口に接続され、良品と判別された被検査体を不図示の製品受け箱や充填装置等に吐出する。
【0021】
なお、三方バルブ4aは、検出結果に応じて所定のタイミングで流路を切り替えることができ、検出した異物を含む被検査体(流体)をNG品吐出用パイプ3cから排出することができる。また、切替バルブ4bは、被検査体のテスト搬送時や感度補正時等に手動で切り替えることができ、選別確認用にテスト搬送される被検査体や感度補正時の未検出品の被検査体等を未検出品吐出用パイプ3dから再度被検査体供給用パイプ3aの供給元側に送り戻すことができる。
【0022】
異物検出部(異物検出手段)5は、検出用パイプ3b内を搬送される被検査体を搬送路途中において異物混入の有無を検出するためのもので、検出用パイプ3bの上方に所定高さ離れて設けられるX線発生器5aと、検出用パイプ3bの下方にX線発生器5aと対向して設けられるX線検出センサ5bとを備えて構成される。
【0023】
X線発生器5aは、金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を不図示の絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成している。X線管は、その長手方向が被検査体の搬送方向X(検出用パイプ3bの軸方向)と直交する方向(Y方向)に設けられている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出センサ5bに向けて、長手方向に沿った不図示のスリットにより略三角形状のスクリーン状にして照射するようになっている。
【0024】
X線検出センサ5bは、被検査体へのX線の照射領域平面上で被検査体の搬送方向Xと直交するY方向に複数の素子が一直線上に配置されたものである。複数の素子は、ライン状に整列して配設された複数のフォトダイオードと、ライン状のフォトダイオード上に設けられたシンチレータとから構成される。このX線検出センサ5bでは、Y方向に直線状に配置された複数の素子によって被検査体を透過するX線を検出し、その検出した濃度データを素子毎に複数の素子数を1ラインとして順次出力し、被検査体の搬送に伴って1ラインからの順次出力を繰り返している。
【0025】
このような構成によるX線異物検出装置1では、被検査体供給用パイプ3aから検出用パイプ3b内を順次連続的に流動搬送される被検査体に対してX線発生器5aからX線が照射される。そして、この被検査体へのX線の照射に伴って被検査体を透過してくるX線をX線検出センサ5bのシンチレータで受けて光に変換する。このシンチレータで変換された光は、その下部に配置されるX線検出センサ5bのフォトダイオードによって受光され、受光した光を電気信号に変換して出力する。このX線検出センサ5bは、受けたX線の強さに対応したレベルを有した電気信号を出力する。そして、このX線検出センサ5bからの出力と、予め異物の種類に応じて設定された異物判別用のしきい値とを比較し、この比較結果に基づいて被検査体への異物混入の有無が判別される。これにより、良品と判別された被検査体が良品吐出用パイプ3eに吐出され、不良品と判別された異物を含む被検査体がNG吐出用パイプ3cに吐出される。
【0026】
上述した構成を基本とする本例のX線異物検出装置1は、X線検出センサ5bにおける感度補正を行うため、異物検出部(異物検出手段)5を含む装置本体(筐体2)とパイプライン3とをX線検出センサ5bのX線検出感度に応じてX線の曝射領域平面上で被検査体の搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に相対移動させる構成として移動機構を備えている。また、筐体2には、検出用パイプ3bが貫通してY方向に移動できるようにパイプ径に合った開口部2aが形成されている。なお、開口部2aの隙間部分は、筐体2内からのX線の漏れを遮蔽するための不図示の遮蔽部材で覆われる。
【0027】
図3乃至図6は上記移動機構を含む筐体2の各形態の概略斜視図である。以下、各形態の移動機構の構成について説明する。
【0028】
まず、X線異物検出装置1が具備する移動機構6の第1形態について図3及び図4を用いて説明する。この移動機構6Aは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定し、検出用パイプ3bを被検査体の搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動させることにより、検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動する構成である。
【0029】
ここで、異物検出位置とは、図7(a)に示すように、検出用パイプ3bがX線検出センサ5bの検出面上にある位置を示している。この異物検出位置では、被検査体が流動搬送される検出用パイプ3bにX線発生器5aからのX線が照射され、検出用パイプ3bを透過したX線がX線検出センサ5bで検出される。これに対し、感度補正位置とは、図8(a)に示すように、検出用パイプ3bがX線検出センサ5bの検出面上に無い位置、すなわちX線検出センサ5bの検出面からY方向に外れた位置を示している。この感度補正位置では後述する感度補正がなされる。
【0030】
第1形態の移動機構6Aは、検出用パイプ3bを保持する保持部材6Aaと、保持部材6AaをY方向にスライド自在に移動させる可動部材6Abと、可動部材6AbのY方向への移動をガイドするガイド部材6Acとを備えて概略構成される。この移動機構6Aでは、検出用パイプ3bをY方向に移動するため、検出用パイプ3bの両端に接続されるパイプライン3に例えば柔軟性を有する素材からなるフレキシブルパイプが使用される。なお、検出用パイプ3bの両端に接続されるパイプライン3は、移動機構6Aを用いて検出用パイプ3bが移動可能な構成であれば材質や形状に限定されることなく、どのような種類のパイプを使用してもよい。また、検出用パイプ3bとの接続部分(ジョイント)に柔軟性を持たせても良い。
【0031】
図3及び図4に示すように、保持部材6Aaは、例えば角柱ブロック形状をなし、上部に検出用パイプ3bの端部を保持するコ字状の保持部21が形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、可動部材6Abには、検出用パイプ3bを保持した保持部材6Aaが固設される。可動部材6Abは、ガイド部材6Acに係合する例えば断面コ字状の係合部22を有している。可動部材6Abは、係合部22がガイド部材6Acに係合した状態で、ガイド部材6AcによってガイドされながらY方向にスライド自在に移動する。
【0033】
図3及び図4に示すように、ガイド部材6Acは、例えば断面コ字状のガイドレールからなり、筐体2を支持する基台の脚部23の両側面に設けられる。ガイド部材6Acは、可動部材6Abの係合部22が係合しており、可動部材6AbのY方向への移動をガイドしている。なお、ガイド部材6Acには、可動部材6Abが異物検出位置と感度補正位置で停止するように不図示のストッパーが設けられている。
【0034】
この第1形態の移動機構6Aは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定した状態で、検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Aaが固設された可動部材6Abを、ガイド部材6Acに沿って手動でY方向へスライドさせる。これにより、検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動することができる。
【0035】
次に、移動機構6の第2形態について図5及び図6を用いて説明する。この第2形態の移動機構6Bは、検出用パイプ3bを固定し、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動させることにより、検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動する構成である。
【0036】
第2形態の移動機構6Bは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持して筐体2をY方向へ移動するための可動支持部材6Baと、可動支持部材6BaのY方向への移動をガイドするガイド部材6Bbと、可動支持部材6Baをガイド支持するガイド部材6Bbが固設された固定支持部材6Bcと、固定支持部材6Bcに固設されて検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Bdと、筐体2の上部に設けられて筐体2を移動させる際に用いる把持部材6Beとを備えて概略構成される。
【0037】
図5及び図6に示すように、可動支持部材6Baは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する基台に4本の脚部24を有している。この可動支持部材6Baの各脚部24の下端部には、ガイド部材6Baにガイド保持される例えば車輪等の可動部材25が設けられている。
【0038】
ガイド部材6Bbは、可動支持部材6BaのY方向への移動をガイドしている。図5及び図6では、可動支持部材6Baの脚部24に設けられる車輪が係合する逆V字状の凸条部材でガイド部材6Bbが構成される。
【0039】
図5及び図6に示すように、固定支持部材6Bcは、下面に4本の脚部26を有する枠状のフレーム27で構成される。この固定支持部材6Bcのフレーム27には、可動支持部材6Baをガイド保持するガイド部材6Bbが固設されている。また、固定支持部材6Bcのフレーム26のY方向の前後位置には、可動支持部材6Baがガイド部材6Bbによってガイドされながら移動する際に所定位置で停止させるための板状のストッパー28が設けられている。
【0040】
図5及び図6に示すように、保持部材6Bdは、例えば角柱ブロック形状をなし、上部に検出用パイプ3bの端部を保持するコ字状の保持部29が形成され、下部が固定支持部材6Bcのフレーム27に固定されている。
【0041】
この第2形態の移動機構6は、固定支持部材6Bcに固設された保持部材6Bdで検出用パイプ3bを固定した状態で、筐体2を固定支持する可動支持部材6Baを、把持部材6Beを把持してガイド部材6Bbに沿って手動でY方向にスライドさせる。これにより、検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動することができる。
【0042】
ところで、上述した移動機構6(6A,6B)を含むX線異物検出装置1は、図7及び図8に示すように、検出用パイプ3bが貫通する筐体2の開口部2aには位置検出手段7が設けられている。
【0043】
位置検出手段7は、異物検出位置と感度補正位置に設けられ、例えばマイクロスイッチ等で構成される。例えばマイクロスイッチで構成される位置検出手段7では、移動機構6により異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2と検出用パイプ3bとを相対移動させ、検出用パイプ3bが異物検出位置又は感度補正位置まで移動した際に接点がオンするようになっている。これにより、検出用パイプ3bが所定位置(異物検出位置又は感度補正位置)まで確実に移動したか否かを検出することができる。なお、この位置検出手段7の検出信号は後述する制御手段12に位置検出信号として入力することができる。
【0044】
次に、各形態の移動機構6(6A,6B)を備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。
【0045】
まず、第1形態の移動機構6Aを備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。この形態において感度補正を行う場合、ユーザーは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2が固定された状態で、検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Aaをガイド部材6Acに沿って手動でY方向に移動させる。これにより、保持部材6Aaが固設された可動部材6Abがガイド部材6Acによってガイド支持されながらY方向に移動する。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動すると、可動部材6Abがガイド部材6Acに設けられた不図示のストッパーによって停止する。また同時に、位置検出手段7の感度補正位置を検出するマイクロスイッチの接点が閉じてクリック感が生じる。このとき生じるクリック感により、ユーザーは検出用パイプ3bが異物検出位置から感度補正位置まで正確に移動したことが確認できる。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置にある状態で、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として取得される。その後、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。この感度補正によって求められた感度係数は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、検出用パイプ3bを透過してくるX線透過量の測定値を算出する際に使用され、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出した値に対し、各素子に対応する感度係数を乗じて測定値を算出している。
【0046】
次に、第2形態の移動機構6を備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。この形態において感度補正を行う場合、ユーザーは、検出用パイプ3bの両端が固定支持部材6Bcの保持部材6Bdに保持固定された状態で、把持部材6Beを把持し、可動支持部材6Baをガイド部材6Bbに沿って手動でY方向に移動させる。これにより、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する可動支持部材6Baがガイド部材6Bbによってガイド支持されながらY方向に移動する。そして、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する可動支持部材6Baが検出用パイプ3bの感度補正位置まで移動すると、可動支持部材6Baが固定支持部材6Bcに設けられたストッパー28によって停止する。また同時に、位置検出手段7の感度補正位置を検出するマイクロスイッチの接点が閉じてクリック感が生じる。このとき生じるクリック感により、ユーザーは検出用パイプ3bが異物検出位置から感度補正位置まで正確に変更されたことが確認できる。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置にある状態で、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として取得される。その後、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。この感度補正によって求められた感度係数は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、検出用パイプ3bを透過してくるX線透過量の測定値を算出する際に使用され、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出した値に対し、各素子に対応する感度係数を乗じて測定値を算出している。
【0047】
このように、各形態の移動機構6A,6Bを採用した感度補正は、検出用パイプ3bに被検査体が搬送されている状態でも実行することができる。但し、この感度補正時には、切替バルブ4bを切り替えて検出用パイプ3b内の被検査体を未検出品吐出用パイプ3dから再度被検査体供給用パイプ3aの供給元の部分に送り戻しながら行う。これにより、搬送工程を停止することなく感度補正を行うことができる。
【0048】
また、上述した各形態の移動機構6A,6Bは、手動で動作させるものとして説明したが、各形態の移動機構6A,6Bに駆動手段を具備させ、自動的に検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動させることもできる。
【0049】
ここで、上記移動機構6を自動的に駆動制御する構成の一例について説明する。図9は第1形態の移動機構6Aを自動化したときの概略構成図である。図9の例では、検出用パイプ3bを保持した保持部材6Aaを自動的に異物検出位置と感度補正位置との間で移動させるための構成として、前述した位置検出手段7の他、入力手段11、制御手段12、駆動手段13を備えている。
【0050】
入力手段11は、例えば複数の操作ボタンや操作キー、表示器などを備えた操作パネルからなる。この入力手段11からは、感度補正に関する入力として、必要に応じてX線検出センサ5bの感度補正が迅速に行えるように、感度補正モードの入力がなされる。この感度補正モードの入力は、例えば予め操作パネル上に設けられる操作キーの押下によって行うことができる。また、入力手段11からは、検出用パイプ3b内を搬送される被検査体の種類、異物判別用の異物毎のしきい値、搬送速度など異物検出に必要な各種条件の設定がユーザーの入力操作により行われる。
【0051】
制御手段12は、例えばCPUで構成され、入力手段11からの入力情報に応じて異物検出及び感度補正に関する制御を行っている。特に、感度補正に関する制御として、制御手段12は、入力手段11から感度補正モードを示す入力情報を受けると、位置検出手段7からの位置検出信号によって検出用パイプ3bの現在位置(異物検出位置又は感度補正位置)を認識し、検出用パイプ3bを異物検出位置から感度補正位置に変更するべく駆動手段13に制御指令(移動制御指令、停止制御指令)を出力する。なお、制御手段12は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、X線検出センサ5bが検出したX線透過量と予め設定された異物判別用しきい値とを比較し、この比較結果に基づいて異物混入の有無を判別している。
【0052】
駆動手段13は、例えば各種モータやアクチュエータ等で構成され、制御手段12からの制御指令によって検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動するべく移動機構6を駆動する。
【0053】
上記感度補正の自動化による構成では、ユーザーが入力手段11から感度補正モードが入力されると、制御手段12が位置検出手段7の位置検出信号から検出用パイプ3bが異物検出位置にあることを認識した後、駆動手段13に移動制御指令を出力する。駆動手段13は、制御手段12から移動制御指令が入力されると、検出用パイプ3bを感度補正位置に変更するべく移動機構6を駆動する。
【0054】
駆動手段13の駆動により移動機構6が動作し、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動すると、制御手段12が位置検出手段7からの位置検出信号により検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動したことを認識する。制御手段12は、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動したことを認識すると、駆動手段13に停止制御指令を出力する。駆動手段13は、制御手段12から停止制御指令が入力されると、移動機構6の駆動を停止する。この状態で、制御手段12は前述の感度補正を自動的に行う。
【0055】
なお、上記感度補正の自動化による構成では、移動機構6として第1形態を採用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、第2形態の移動機構6Bや他の移動機構に採用した場合であっても同様に感度補正を自動的に行うことができる。
【0056】
ここで、図10は上述した移動機構6を備えた本発明によるX線異物検出装置の機能ブロック図を示している。なお、図9で説明した構成と同一構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。また、検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5(異物検出部5を含む筐体2)とを相対移動させるための移動機構6を手動で操作する場合には位置検出手段7及び駆動手段13が不要となる。
【0057】
図10に示すように、本例のX線異物検出装置は、制御手段12に感度補正手段12aと判定部12bを備えている。感度補正手段12aは、X線検出センサ5bに含まれる全てのX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値(感度係数)を求め、その補正値(感度係数)を判定部12bに出力する。判定部12bは、感度補正手段12aからの補正値(感度係数)に基づいて補正(乗算)されたX線検出センサ5bからのX線透過量に基づいて異物混入の有無を判別している。表示部14は、判定部12bの判定結果に基づいて検出用パイプ3b内に搬送される被検査体を平面視したX線透過画像、「OK」や「NG」の良否判定結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を入力手段11からの所定のキー操作に基づいて表示する。
【0058】
さらに説明すると、図10において、感度補正位置の状態では、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として感度補正手段12aに取得される。その後、感度補正手段12aは、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。判定部12bでは、異物検出位置の状態において、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出し、この各X線検出素子のX線透過量に感度補正手段12aで求めた各X線検出素子に対応する感度係数を乗算した値を測定値とし、この測定値と予め設定された異物判別用しきい値とを比較して異物の有無を判定出力する。なお、図10の例では、感度補正手段12aを制御手段12に備えた構成としたが、感度補正手段12aをX線検出センサ5bに備えた構成とすることもできる。この場合、X線検出センサ5bからは、感度補正によって求められた感度係数を乗算した測定値が制御手段12の判定部12bに入力され、この測定値と予め設定された異物判別用しきい値との比較に基づいて異物混入の有無が判定される。
【0059】
このように、上述したX線異物検出装置1は、移動機構6を備えて構成され、感度補正するときは移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2とを相対移動させている。これにより、X線をX線検出センサ5bの全ての素子に直接照射し、検出用パイプ3b内に被検査体が搬送中であっても搬送する被検査体の搬送工程を中断することなく感度補正を行うことができる。その結果、従来のような被検査体の搬送工程を中断するといった感度補正作業の煩雑さが解消できる。また、感度補正後は、即座に異物検出を行うことができるため、作業時間を短縮して作業効率を向上させることができる。さらに、自動的に検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5とを移動機構6を用いて相対移動させれば、さらに作業効率の向上が図れ、ユーザーにかかる作業負担を軽減して作業工程を簡便化できる。
【0060】
ところで、上述したX線異物検出装置1は、図3乃至図6に示す移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2とを相対移動させる構成としたが、移動機構6は図示のものに限定されることはなく、検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5とを相対移動できる構成であればどのような構成のものでも良い。
【0061】
以上、本発明を用いて最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るX線異物検出装置の正面図である。
【図2】図1のX線異物検出装置の平面図である。
【図3】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図である。
【図4】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図である。
【図5】本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図である。
【図6】本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図である。
【図7】(a),(b),(c)本発明に係るX線異物検出装置の異物検出時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図である。
【図8】(a),(b),(c)本発明に係るX線異物検出装置の感度補正時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図である。
【図9】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を自動化したときの一例を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明に係るX線異物検出装置の機能ブロック図である。
【図11】従来のX線異物検出装置の正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 X線異物検出装置
2 筐体
2a 開口部
3 パイプライン
3a 被検査体供給用パイプ
3b 検出用パイプ
3c NG品吐出用パイプ
3d 未検出品吐出用パイプ
3e 良品吐出用パイプ
4 切替弁部
4a 三方バルブ
4b 切替バルブ
5 異物検出部(異物検出手段)
5a X線発生器
5b X線検出センサ
6(6A,6B) 移動機構
6Aa 保持部材
6Ab 可動部材
6Ac ガイド部材
6Ba 可動支持部材
6Bb ガイド部材
6Bc 固定支持部材
6Bd 保持部材
6Be 把持部材
7 位置検出手段
11 入力手段
12 制御手段
12a 感度補正手段
12b 判定部
13 駆動手段
14 表示部
21,29 保持部
22 係合部
23,24,26 脚部
25 可動部材
27 フレーム
28 ストッパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種食品からなる被検査体をパイプライン内に搬送させ、被検査体が搬送されるパイプラインにX線を照射し、このX線の照射に伴ってパイプラインを通過してくるX線の透過量に基づいて被検査体への異物混入の有無を検出するX線異物検出装置に係り、特に被検査体の搬送中でも容易に感度補正が行えるX線異物検出装置及び感度補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造ラインの検査工程において、被検査体として各種食品等への異物(例えば金属、ガラス、殻、骨など)混入の有無を検出するためにX線異物検出装置が用いられている。この種のX線異物検出装置では、順次搬送される被検査体にX線を照射し、このX線の照射に伴うX線の透過量に基づいて異物混入の有無を検出している。
【0003】
ところで、この種のX線異物検出装置において、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、魚のすり身、レトルト食品の具材、具材入スープ等を被検査体とする場合には、搬送コンベアに代えてパイプラインが搬送手段として一般的に用いられる。そして、パイプライン内に被検査体を搬送する際には、被検査体の種類に応じて搬送形態が異なる。例えば貝類の剥き身等のように被検査体自身が流動性を有さない場合には、搬送用流体として例えば水や空気等を利用し、この搬送用流体と共に被検査体がパイプライン内に流動搬送される。これに対し、例えば具材入スープ等のように被検査体自身が流動性を有する場合には、搬送用流体を用いずに被検査体のみがパイプライン内に流動搬送される。
【0004】
ここで、上述したパイプラインを搬送手段とするX線異物検出装置の一例として、下記特許文献1に開示されるX線異物検出装置が知られている。このX線異物検出装置は、図11に示すように、X線検査部116を有し、このX線検査部116に被検査体(貝剥身110と貝殻片及び金属片などの異物と搬送用流体112)が、図示しない供給タンクからパイプライン114を通過して供給される。X線検査部116では、X線発生管118から照射されたX線が、前記パイプライン114の下流側に連通されたパイプライン120を通して前記被検査体に所定のタイミングで照射される。そして、被検査体を透過したX線が一定の間隔でパイプライン120を横断する方向にそれぞれ複数配列されているX線センサ122,124で計測される。ここで、X線センサ122,124の計測結果に基づいて、図示しない信号処理部から異物検出信号が出力されると、排出弁128を作動させて異物を含む被検査体がパイプライン130に案内されて排出される。
【特許文献1】特許第2591171号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のX線異物検出装置では、被検査体の搬送にパイプラインを使用しているが、従来、X線センサの感度補正を行う場合には、被検査体の搬送を一時的に停止し、被検査体が搬送されていない状態で、X線センサに含まれるX線検出素子が持つ各素子毎の固有データであるX線非照射時に得られるオフセットデータとX線照射時に得られる感度のばらつきデータとをX線非照射時とX線照射時にそれぞれ取得し、X線照射時のデータ(感度のばらつきデータ)からX線非照射時のデータ(オフセットデータ)を減算した値が一定となるように感度係数を各素子毎に求める感度補正を行っていた。
【0006】
しかしながら、上述した従来のX線異物検出装置では、パイプライン内に被検査体が搬送されていない状態、すなわち被検査体の搬送を一時的に停止させて感度補正を行わなければならなかった。しかも、パイプライン内に残留物がある場合には、この残留物の影響を受けて感度を一定に補正することができず、直接検出値の誤差要因となり、検出精度に影響を及ぼすという問題があった。このため被検査体の搬送を停止させることなく精密な感度補正を行える構成が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、被検査体が搬送されている状態でも容易に感度補正を行うことができるX線異物検出装置及び感度補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のX線異物検出装置は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bとから構成される異物検出手段5と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させる移動機構6を備え、
前記移動機構により前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のX線異物検出装置は、請求項1記載のX線異物検出装置において、
前記検出用パイプ3bが前記X線検出センサ5bの検出面直上に位置する異物検出位置と、前記検出用パイプが前記X線検出センサの検出面直上の位置から外れて位置する感度補正位置とを検出する位置検出手段7を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のX線異物検出装置は、請求項2記載のX線異物検出装置において、
前記移動機構6は、前記異物検出手段5を固定した状態で、前記検出用パイプ3b側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載のX線異物検出装置は、請求項2記載のX線異物検出装置において、
前記移動機構6は、前記検出用パイプ3bを固定した状態で、前記異物検出手段5側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載のX線異物検出装置は、請求項1〜4の何れかに記載のX線異物検出装置において、
前記X線検出センサ5bの感度補正を指示入力する入力手段11と、
該入力手段からの指示入力の有無に基づいて前記移動機構6の移動を制御する制御手段12とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載のX線異物検出装置の感度補正方法は、被検査体が搬送される検出用パイプ3bにX線を照射するX線発生器5aと、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ5bとから構成される異物検出手段5と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段12aとを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置1の感度補正方法において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とを前記X線の照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、検出用パイプとX線検出手段とを相対移動させることができるので、検出用パイプに被検査体を搬送してX線検出を行っている場合であっても、被検査体の搬送を一時的に停止させることなく、容易かつ迅速に感度補正を行うことができる。これにより、作業効率の円滑化が図れる。また、感度補正の工程を自動化することにより、さらに作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明に係るX線異物検出装置の正面図、図2は図1のX線異物検出装置の平面図、図3は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図、図4は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図、図5は本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図、図6は本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図、図7(a),(b),(c)は本発明に係るX線異物検出装置の異物検出時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図、図8(a),(b),(c)は本発明に係るX線異物検出装置の感度補正時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図、図9は本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を自動化したときの一例を示す機能ブロック図、図10は本発明に係るX線異物検出装置の機能ブロック図である。
【0016】
本例のX線異物検出装置は、製造ラインの一部に設けられ、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、海産物、魚のすり身、具材入スープ、レトルト食品の具材などの各種食品を被検査体としてパイプライン内に連続的に流動搬送させ、被検査体への異物混入の有無を検出するものである。
【0017】
なお、例えば具材入スープ等のように、被搬送体自身が流動性を有している場合には、被搬送体がそのままパイプライン内に搬送される。これに対し、例えばアサリやシジミ等の貝類の剥き身、レトルト食品の具材等のように、被搬送体自身が流動性を有していない場合には、例えば水や空気等の搬送用流体によりパイプライン内に搬送される。
【0018】
まず、被検査体への異物混入の有無を検出するためのX線異物検出装置1の概略構成について説明する。図1及び図2に示すように、X線異物検出装置1は、装置本体をなす筐体2と、被検査体を連続的に流動搬送するパイプライン3と、被検査体の搬送方向を切り替える切替弁部4とを備えている。
【0019】
図1及び図2に示すように、パイプライン3は、予め複数のパイプが配管接続されたもので、被検査体供給用パイプ3a、検出用パイプ3b、NG品吐出用パイプ3c、未検出品吐出用パイプ3d、良品吐出用パイプ3eから構成される。また、切替弁部4は、検出用パイプ3bと良品吐出用パイプ3eとの間に設けられ、三方バルブ4aと切替バルブ4bから構成される。
【0020】
被検査体供給用パイプ3aは、筐体2の上流側に配管され、不図示の搬送ポンプにより被検査体が流動搬送される。検出用パイプ3bは、一端が被検査体供給用パイプ3aに接続され、他端が三方バルブ4aの流入側に接続されている。検出用パイプ3bの略中央部分には、被検査体供給用パイプ3aから流動搬送される被検査体への異物混入の有無を検出するための異物検出部(異物検出手段)5が設けられている。この検出用パイプ3bでは、異物検出部(異物検出手段)5によって異物有無の検出がなされた被検査体を三方バルブ4aに流入搬送している。NG品吐出用パイプ3cは、筐体2の下流側で三方バルブ4aの側方に分岐した一方の出口に接続され、NG品と判別された被検査体を吐出する。切替バルブ4bは、三方バルブ4aの他方の出口に接続され、未検出品吐出用パイプ3dと良品吐出用パイプ3eの切り替えを行っている。未検出品吐出用パイプ3dは、切替バルブ4bの側方の出口に分岐して接続され、例えば選別確認用にテスト搬送される被検査体や感度補正時の未検出品の被検査体等を吐出する。良品吐出用パイプ3eは、切替バルブ4bの他方の出口に接続され、良品と判別された被検査体を不図示の製品受け箱や充填装置等に吐出する。
【0021】
なお、三方バルブ4aは、検出結果に応じて所定のタイミングで流路を切り替えることができ、検出した異物を含む被検査体(流体)をNG品吐出用パイプ3cから排出することができる。また、切替バルブ4bは、被検査体のテスト搬送時や感度補正時等に手動で切り替えることができ、選別確認用にテスト搬送される被検査体や感度補正時の未検出品の被検査体等を未検出品吐出用パイプ3dから再度被検査体供給用パイプ3aの供給元側に送り戻すことができる。
【0022】
異物検出部(異物検出手段)5は、検出用パイプ3b内を搬送される被検査体を搬送路途中において異物混入の有無を検出するためのもので、検出用パイプ3bの上方に所定高さ離れて設けられるX線発生器5aと、検出用パイプ3bの下方にX線発生器5aと対向して設けられるX線検出センサ5bとを備えて構成される。
【0023】
X線発生器5aは、金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を不図示の絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成している。X線管は、その長手方向が被検査体の搬送方向X(検出用パイプ3bの軸方向)と直交する方向(Y方向)に設けられている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出センサ5bに向けて、長手方向に沿った不図示のスリットにより略三角形状のスクリーン状にして照射するようになっている。
【0024】
X線検出センサ5bは、被検査体へのX線の照射領域平面上で被検査体の搬送方向Xと直交するY方向に複数の素子が一直線上に配置されたものである。複数の素子は、ライン状に整列して配設された複数のフォトダイオードと、ライン状のフォトダイオード上に設けられたシンチレータとから構成される。このX線検出センサ5bでは、Y方向に直線状に配置された複数の素子によって被検査体を透過するX線を検出し、その検出した濃度データを素子毎に複数の素子数を1ラインとして順次出力し、被検査体の搬送に伴って1ラインからの順次出力を繰り返している。
【0025】
このような構成によるX線異物検出装置1では、被検査体供給用パイプ3aから検出用パイプ3b内を順次連続的に流動搬送される被検査体に対してX線発生器5aからX線が照射される。そして、この被検査体へのX線の照射に伴って被検査体を透過してくるX線をX線検出センサ5bのシンチレータで受けて光に変換する。このシンチレータで変換された光は、その下部に配置されるX線検出センサ5bのフォトダイオードによって受光され、受光した光を電気信号に変換して出力する。このX線検出センサ5bは、受けたX線の強さに対応したレベルを有した電気信号を出力する。そして、このX線検出センサ5bからの出力と、予め異物の種類に応じて設定された異物判別用のしきい値とを比較し、この比較結果に基づいて被検査体への異物混入の有無が判別される。これにより、良品と判別された被検査体が良品吐出用パイプ3eに吐出され、不良品と判別された異物を含む被検査体がNG吐出用パイプ3cに吐出される。
【0026】
上述した構成を基本とする本例のX線異物検出装置1は、X線検出センサ5bにおける感度補正を行うため、異物検出部(異物検出手段)5を含む装置本体(筐体2)とパイプライン3とをX線検出センサ5bのX線検出感度に応じてX線の曝射領域平面上で被検査体の搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に相対移動させる構成として移動機構を備えている。また、筐体2には、検出用パイプ3bが貫通してY方向に移動できるようにパイプ径に合った開口部2aが形成されている。なお、開口部2aの隙間部分は、筐体2内からのX線の漏れを遮蔽するための不図示の遮蔽部材で覆われる。
【0027】
図3乃至図6は上記移動機構を含む筐体2の各形態の概略斜視図である。以下、各形態の移動機構の構成について説明する。
【0028】
まず、X線異物検出装置1が具備する移動機構6の第1形態について図3及び図4を用いて説明する。この移動機構6Aは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定し、検出用パイプ3bを被検査体の搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動させることにより、検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動する構成である。
【0029】
ここで、異物検出位置とは、図7(a)に示すように、検出用パイプ3bがX線検出センサ5bの検出面上にある位置を示している。この異物検出位置では、被検査体が流動搬送される検出用パイプ3bにX線発生器5aからのX線が照射され、検出用パイプ3bを透過したX線がX線検出センサ5bで検出される。これに対し、感度補正位置とは、図8(a)に示すように、検出用パイプ3bがX線検出センサ5bの検出面上に無い位置、すなわちX線検出センサ5bの検出面からY方向に外れた位置を示している。この感度補正位置では後述する感度補正がなされる。
【0030】
第1形態の移動機構6Aは、検出用パイプ3bを保持する保持部材6Aaと、保持部材6AaをY方向にスライド自在に移動させる可動部材6Abと、可動部材6AbのY方向への移動をガイドするガイド部材6Acとを備えて概略構成される。この移動機構6Aでは、検出用パイプ3bをY方向に移動するため、検出用パイプ3bの両端に接続されるパイプライン3に例えば柔軟性を有する素材からなるフレキシブルパイプが使用される。なお、検出用パイプ3bの両端に接続されるパイプライン3は、移動機構6Aを用いて検出用パイプ3bが移動可能な構成であれば材質や形状に限定されることなく、どのような種類のパイプを使用してもよい。また、検出用パイプ3bとの接続部分(ジョイント)に柔軟性を持たせても良い。
【0031】
図3及び図4に示すように、保持部材6Aaは、例えば角柱ブロック形状をなし、上部に検出用パイプ3bの端部を保持するコ字状の保持部21が形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、可動部材6Abには、検出用パイプ3bを保持した保持部材6Aaが固設される。可動部材6Abは、ガイド部材6Acに係合する例えば断面コ字状の係合部22を有している。可動部材6Abは、係合部22がガイド部材6Acに係合した状態で、ガイド部材6AcによってガイドされながらY方向にスライド自在に移動する。
【0033】
図3及び図4に示すように、ガイド部材6Acは、例えば断面コ字状のガイドレールからなり、筐体2を支持する基台の脚部23の両側面に設けられる。ガイド部材6Acは、可動部材6Abの係合部22が係合しており、可動部材6AbのY方向への移動をガイドしている。なお、ガイド部材6Acには、可動部材6Abが異物検出位置と感度補正位置で停止するように不図示のストッパーが設けられている。
【0034】
この第1形態の移動機構6Aは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定した状態で、検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Aaが固設された可動部材6Abを、ガイド部材6Acに沿って手動でY方向へスライドさせる。これにより、検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動することができる。
【0035】
次に、移動機構6の第2形態について図5及び図6を用いて説明する。この第2形態の移動機構6Bは、検出用パイプ3bを固定し、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動させることにより、検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動する構成である。
【0036】
第2形態の移動機構6Bは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持して筐体2をY方向へ移動するための可動支持部材6Baと、可動支持部材6BaのY方向への移動をガイドするガイド部材6Bbと、可動支持部材6Baをガイド支持するガイド部材6Bbが固設された固定支持部材6Bcと、固定支持部材6Bcに固設されて検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Bdと、筐体2の上部に設けられて筐体2を移動させる際に用いる把持部材6Beとを備えて概略構成される。
【0037】
図5及び図6に示すように、可動支持部材6Baは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する基台に4本の脚部24を有している。この可動支持部材6Baの各脚部24の下端部には、ガイド部材6Baにガイド保持される例えば車輪等の可動部材25が設けられている。
【0038】
ガイド部材6Bbは、可動支持部材6BaのY方向への移動をガイドしている。図5及び図6では、可動支持部材6Baの脚部24に設けられる車輪が係合する逆V字状の凸条部材でガイド部材6Bbが構成される。
【0039】
図5及び図6に示すように、固定支持部材6Bcは、下面に4本の脚部26を有する枠状のフレーム27で構成される。この固定支持部材6Bcのフレーム27には、可動支持部材6Baをガイド保持するガイド部材6Bbが固設されている。また、固定支持部材6Bcのフレーム26のY方向の前後位置には、可動支持部材6Baがガイド部材6Bbによってガイドされながら移動する際に所定位置で停止させるための板状のストッパー28が設けられている。
【0040】
図5及び図6に示すように、保持部材6Bdは、例えば角柱ブロック形状をなし、上部に検出用パイプ3bの端部を保持するコ字状の保持部29が形成され、下部が固定支持部材6Bcのフレーム27に固定されている。
【0041】
この第2形態の移動機構6は、固定支持部材6Bcに固設された保持部材6Bdで検出用パイプ3bを固定した状態で、筐体2を固定支持する可動支持部材6Baを、把持部材6Beを把持してガイド部材6Bbに沿って手動でY方向にスライドさせる。これにより、検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動することができる。
【0042】
ところで、上述した移動機構6(6A,6B)を含むX線異物検出装置1は、図7及び図8に示すように、検出用パイプ3bが貫通する筐体2の開口部2aには位置検出手段7が設けられている。
【0043】
位置検出手段7は、異物検出位置と感度補正位置に設けられ、例えばマイクロスイッチ等で構成される。例えばマイクロスイッチで構成される位置検出手段7では、移動機構6により異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2と検出用パイプ3bとを相対移動させ、検出用パイプ3bが異物検出位置又は感度補正位置まで移動した際に接点がオンするようになっている。これにより、検出用パイプ3bが所定位置(異物検出位置又は感度補正位置)まで確実に移動したか否かを検出することができる。なお、この位置検出手段7の検出信号は後述する制御手段12に位置検出信号として入力することができる。
【0044】
次に、各形態の移動機構6(6A,6B)を備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。
【0045】
まず、第1形態の移動機構6Aを備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。この形態において感度補正を行う場合、ユーザーは、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2が固定された状態で、検出用パイプ3bの両端を保持する保持部材6Aaをガイド部材6Acに沿って手動でY方向に移動させる。これにより、保持部材6Aaが固設された可動部材6Abがガイド部材6Acによってガイド支持されながらY方向に移動する。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動すると、可動部材6Abがガイド部材6Acに設けられた不図示のストッパーによって停止する。また同時に、位置検出手段7の感度補正位置を検出するマイクロスイッチの接点が閉じてクリック感が生じる。このとき生じるクリック感により、ユーザーは検出用パイプ3bが異物検出位置から感度補正位置まで正確に移動したことが確認できる。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置にある状態で、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として取得される。その後、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。この感度補正によって求められた感度係数は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、検出用パイプ3bを透過してくるX線透過量の測定値を算出する際に使用され、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出した値に対し、各素子に対応する感度係数を乗じて測定値を算出している。
【0046】
次に、第2形態の移動機構6を備えたX線異物検出装置1の感度補正方法について説明する。この形態において感度補正を行う場合、ユーザーは、検出用パイプ3bの両端が固定支持部材6Bcの保持部材6Bdに保持固定された状態で、把持部材6Beを把持し、可動支持部材6Baをガイド部材6Bbに沿って手動でY方向に移動させる。これにより、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する可動支持部材6Baがガイド部材6Bbによってガイド支持されながらY方向に移動する。そして、異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2を固定支持する可動支持部材6Baが検出用パイプ3bの感度補正位置まで移動すると、可動支持部材6Baが固定支持部材6Bcに設けられたストッパー28によって停止する。また同時に、位置検出手段7の感度補正位置を検出するマイクロスイッチの接点が閉じてクリック感が生じる。このとき生じるクリック感により、ユーザーは検出用パイプ3bが異物検出位置から感度補正位置まで正確に変更されたことが確認できる。そして、検出用パイプ3bが感度補正位置にある状態で、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として取得される。その後、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。この感度補正によって求められた感度係数は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、検出用パイプ3bを透過してくるX線透過量の測定値を算出する際に使用され、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出した値に対し、各素子に対応する感度係数を乗じて測定値を算出している。
【0047】
このように、各形態の移動機構6A,6Bを採用した感度補正は、検出用パイプ3bに被検査体が搬送されている状態でも実行することができる。但し、この感度補正時には、切替バルブ4bを切り替えて検出用パイプ3b内の被検査体を未検出品吐出用パイプ3dから再度被検査体供給用パイプ3aの供給元の部分に送り戻しながら行う。これにより、搬送工程を停止することなく感度補正を行うことができる。
【0048】
また、上述した各形態の移動機構6A,6Bは、手動で動作させるものとして説明したが、各形態の移動機構6A,6Bに駆動手段を具備させ、自動的に検出用パイプ3bを異物検出位置と感度補正位置との間で移動させることもできる。
【0049】
ここで、上記移動機構6を自動的に駆動制御する構成の一例について説明する。図9は第1形態の移動機構6Aを自動化したときの概略構成図である。図9の例では、検出用パイプ3bを保持した保持部材6Aaを自動的に異物検出位置と感度補正位置との間で移動させるための構成として、前述した位置検出手段7の他、入力手段11、制御手段12、駆動手段13を備えている。
【0050】
入力手段11は、例えば複数の操作ボタンや操作キー、表示器などを備えた操作パネルからなる。この入力手段11からは、感度補正に関する入力として、必要に応じてX線検出センサ5bの感度補正が迅速に行えるように、感度補正モードの入力がなされる。この感度補正モードの入力は、例えば予め操作パネル上に設けられる操作キーの押下によって行うことができる。また、入力手段11からは、検出用パイプ3b内を搬送される被検査体の種類、異物判別用の異物毎のしきい値、搬送速度など異物検出に必要な各種条件の設定がユーザーの入力操作により行われる。
【0051】
制御手段12は、例えばCPUで構成され、入力手段11からの入力情報に応じて異物検出及び感度補正に関する制御を行っている。特に、感度補正に関する制御として、制御手段12は、入力手段11から感度補正モードを示す入力情報を受けると、位置検出手段7からの位置検出信号によって検出用パイプ3bの現在位置(異物検出位置又は感度補正位置)を認識し、検出用パイプ3bを異物検出位置から感度補正位置に変更するべく駆動手段13に制御指令(移動制御指令、停止制御指令)を出力する。なお、制御手段12は、検出用パイプ3bが異物検出位置にある状態で、X線検出センサ5bが検出したX線透過量と予め設定された異物判別用しきい値とを比較し、この比較結果に基づいて異物混入の有無を判別している。
【0052】
駆動手段13は、例えば各種モータやアクチュエータ等で構成され、制御手段12からの制御指令によって検出用パイプ3bが異物検出位置と感度補正位置との間で移動するべく移動機構6を駆動する。
【0053】
上記感度補正の自動化による構成では、ユーザーが入力手段11から感度補正モードが入力されると、制御手段12が位置検出手段7の位置検出信号から検出用パイプ3bが異物検出位置にあることを認識した後、駆動手段13に移動制御指令を出力する。駆動手段13は、制御手段12から移動制御指令が入力されると、検出用パイプ3bを感度補正位置に変更するべく移動機構6を駆動する。
【0054】
駆動手段13の駆動により移動機構6が動作し、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動すると、制御手段12が位置検出手段7からの位置検出信号により検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動したことを認識する。制御手段12は、検出用パイプ3bが感度補正位置まで移動したことを認識すると、駆動手段13に停止制御指令を出力する。駆動手段13は、制御手段12から停止制御指令が入力されると、移動機構6の駆動を停止する。この状態で、制御手段12は前述の感度補正を自動的に行う。
【0055】
なお、上記感度補正の自動化による構成では、移動機構6として第1形態を採用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、第2形態の移動機構6Bや他の移動機構に採用した場合であっても同様に感度補正を自動的に行うことができる。
【0056】
ここで、図10は上述した移動機構6を備えた本発明によるX線異物検出装置の機能ブロック図を示している。なお、図9で説明した構成と同一構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。また、検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5(異物検出部5を含む筐体2)とを相対移動させるための移動機構6を手動で操作する場合には位置検出手段7及び駆動手段13が不要となる。
【0057】
図10に示すように、本例のX線異物検出装置は、制御手段12に感度補正手段12aと判定部12bを備えている。感度補正手段12aは、X線検出センサ5bに含まれる全てのX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値(感度係数)を求め、その補正値(感度係数)を判定部12bに出力する。判定部12bは、感度補正手段12aからの補正値(感度係数)に基づいて補正(乗算)されたX線検出センサ5bからのX線透過量に基づいて異物混入の有無を判別している。表示部14は、判定部12bの判定結果に基づいて検出用パイプ3b内に搬送される被検査体を平面視したX線透過画像、「OK」や「NG」の良否判定結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を入力手段11からの所定のキー操作に基づいて表示する。
【0058】
さらに説明すると、図10において、感度補正位置の状態では、X線発生器5aからX線が照射されていない時にX線検出センサ5bのX線検出素子全ての値がオフセット値として感度補正手段12aに取得される。その後、感度補正手段12aは、X線発生器5aからのX線が直接X線検出センサ5bに照射されたときのX線検出センサ5bのX線検出素子全ての検出値から既に取得済みの対応するオフセット値を減算した値が一定になるようにX線検出センサ5bの各X線検出素子毎の感度係数を求める感度補正がなされる。判定部12bでは、異物検出位置の状態において、X線発生器5aからX線が照射されて検出用パイプ3bを透過してくるX線をX線検出センサ5bの各X線検出素子で検出し、この各X線検出素子のX線透過量に感度補正手段12aで求めた各X線検出素子に対応する感度係数を乗算した値を測定値とし、この測定値と予め設定された異物判別用しきい値とを比較して異物の有無を判定出力する。なお、図10の例では、感度補正手段12aを制御手段12に備えた構成としたが、感度補正手段12aをX線検出センサ5bに備えた構成とすることもできる。この場合、X線検出センサ5bからは、感度補正によって求められた感度係数を乗算した測定値が制御手段12の判定部12bに入力され、この測定値と予め設定された異物判別用しきい値との比較に基づいて異物混入の有無が判定される。
【0059】
このように、上述したX線異物検出装置1は、移動機構6を備えて構成され、感度補正するときは移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2とを相対移動させている。これにより、X線をX線検出センサ5bの全ての素子に直接照射し、検出用パイプ3b内に被検査体が搬送中であっても搬送する被検査体の搬送工程を中断することなく感度補正を行うことができる。その結果、従来のような被検査体の搬送工程を中断するといった感度補正作業の煩雑さが解消できる。また、感度補正後は、即座に異物検出を行うことができるため、作業時間を短縮して作業効率を向上させることができる。さらに、自動的に検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5とを移動機構6を用いて相対移動させれば、さらに作業効率の向上が図れ、ユーザーにかかる作業負担を軽減して作業工程を簡便化できる。
【0060】
ところで、上述したX線異物検出装置1は、図3乃至図6に示す移動機構6を用いて検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5を含む筐体2とを相対移動させる構成としたが、移動機構6は図示のものに限定されることはなく、検出用パイプ3bと異物検出部(異物検出手段)5とを相対移動できる構成であればどのような構成のものでも良い。
【0061】
以上、本発明を用いて最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るX線異物検出装置の正面図である。
【図2】図1のX線異物検出装置の平面図である。
【図3】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図である。
【図4】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図である。
【図5】本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが異物検出位置にあるときの状態図である。
【図6】本発明に係るX線異物検出装置の第2形態の移動機構を採用した概略斜視図であり、検出用パイプが感度補正位置にあるときの状態図である。
【図7】(a),(b),(c)本発明に係るX線異物検出装置の異物検出時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図である。
【図8】(a),(b),(c)本発明に係るX線異物検出装置の感度補正時の状態を示す平面、正面、側面の部分拡大図である。
【図9】本発明に係るX線異物検出装置の第1形態の移動機構を自動化したときの一例を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明に係るX線異物検出装置の機能ブロック図である。
【図11】従来のX線異物検出装置の正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 X線異物検出装置
2 筐体
2a 開口部
3 パイプライン
3a 被検査体供給用パイプ
3b 検出用パイプ
3c NG品吐出用パイプ
3d 未検出品吐出用パイプ
3e 良品吐出用パイプ
4 切替弁部
4a 三方バルブ
4b 切替バルブ
5 異物検出部(異物検出手段)
5a X線発生器
5b X線検出センサ
6(6A,6B) 移動機構
6Aa 保持部材
6Ab 可動部材
6Ac ガイド部材
6Ba 可動支持部材
6Bb ガイド部材
6Bc 固定支持部材
6Bd 保持部材
6Be 把持部材
7 位置検出手段
11 入力手段
12 制御手段
12a 感度補正手段
12b 判定部
13 駆動手段
14 表示部
21,29 保持部
22 係合部
23,24,26 脚部
25 可動部材
27 フレーム
28 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体が搬送される検出用パイプ(3b)にX線を照射するX線発生器(5a)と、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ(5b)とから構成される異物検出手段(5)と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段(12a)とを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させる移動機構(6)を備え、
前記移動機構により前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項2】
前記検出用パイプ(3b)が前記X線検出センサ(5b)の検出面直上に位置する異物検出位置と、前記検出用パイプが前記X線検出センサの検出面直上の位置から外れて位置する感度補正位置とを検出する位置検出手段(7)を備えたことを特徴とする請求項1記載のX線異物検出装置。
【請求項3】
前記移動機構(6)は、前記異物検出手段(5)を固定した状態で、前記検出用パイプ(3b)側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする請求項2記載のX線異物検出装置。
【請求項4】
前記移動機構(6)は、前記検出用パイプ(3b)を固定した状態で、前記異物検出手段(5)側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする請求項2記載のX線異物検出装置。
【請求項5】
前記X線検出センサ(5b)の感度補正を指示入力する入力手段(11)と、
該入力手段からの指示入力の有無に基づいて前記移動機構(6)の移動を制御する制御手段(12)とを備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のX線異物検出装置。
【請求項6】
被検査体が搬送される検出用パイプ(3b)にX線を照射するX線発生器(5a)と、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ(5b)とから構成される異物検出手段(5)と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段(12a)とを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置(1)の感度補正方法において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とを前記X線の照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とするX線異物検出装置の感度補正方法。
【請求項1】
被検査体が搬送される検出用パイプ(3b)にX線を照射するX線発生器(5a)と、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ(5b)とから構成される異物検出手段(5)と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段(12a)とを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させる移動機構(6)を備え、
前記移動機構により前記検出用パイプと前記異物検出手段とをX線照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項2】
前記検出用パイプ(3b)が前記X線検出センサ(5b)の検出面直上に位置する異物検出位置と、前記検出用パイプが前記X線検出センサの検出面直上の位置から外れて位置する感度補正位置とを検出する位置検出手段(7)を備えたことを特徴とする請求項1記載のX線異物検出装置。
【請求項3】
前記移動機構(6)は、前記異物検出手段(5)を固定した状態で、前記検出用パイプ(3b)側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする請求項2記載のX線異物検出装置。
【請求項4】
前記移動機構(6)は、前記検出用パイプ(3b)を固定した状態で、前記異物検出手段(5)側を前記異物検出位置と前記感度補正位置との間で移動させることを特徴とする請求項2記載のX線異物検出装置。
【請求項5】
前記X線検出センサ(5b)の感度補正を指示入力する入力手段(11)と、
該入力手段からの指示入力の有無に基づいて前記移動機構(6)の移動を制御する制御手段(12)とを備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のX線異物検出装置。
【請求項6】
被検査体が搬送される検出用パイプ(3b)にX線を照射するX線発生器(5a)と、
該X線発生器に対し前記検出用パイプを挟むように対向配置され、該X線発生器からのX線の照射に伴って前記検出用パイプを透過してくるX線を検出するX線検出センサ(5b)とから構成される異物検出手段(5)と、
前記X線検出センサに含まれる複数のX線検出素子毎の感度ばらつきを補正するための補正値を求める感度補正手段(12a)とを備え、
前記補正値によって補正された前記検出用パイプを透過してくるX線透過量に基づいて異物混入の有無を検出するX線異物検出装置(1)の感度補正方法において、
前記検出用パイプと前記異物検出手段とを前記X線の照射領域平面上で前記被検査体の搬送方向と直交する方向に相対移動させたときに、前記検出用パイプが前記X線照射領域から外れた位置で、前記感度補正手段により補正値を求めることを特徴とするX線異物検出装置の感度補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−10512(P2006−10512A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188318(P2004−188318)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]