X線診断装置
【課題】検出器の寿命をより正確に把握し報知可能なX線診断装置を提供する。
【解決手段】被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、被検体を透過したX線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、X線画像における出力値に基づいて検出器の寿命を検知する寿命検知部11と、を備え、寿命検知部は、X線画像または検出器に設定される関心領域における出力値に基づいて、検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部11bと、輝度レベル値演算部11bにより算出されたX線量を関心領域ごとの過去のX線量に加え、関心領域における積算線量を算出する線量積算部11cと、積算線量に基づいて、検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部11dとを備える。
【解決手段】被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、被検体を透過したX線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、X線画像における出力値に基づいて検出器の寿命を検知する寿命検知部11と、を備え、寿命検知部は、X線画像または検出器に設定される関心領域における出力値に基づいて、検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部11bと、輝度レベル値演算部11bにより算出されたX線量を関心領域ごとの過去のX線量に加え、関心領域における積算線量を算出する線量積算部11cと、積算線量に基づいて、検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部11dとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に係り、特に患者に曝射されたX線を検出する検出器の感度劣化に関する状態を把握することを可能とするX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の放射線透視画像を得るための放射線検出器として、従来からイメージインテンシファイア(Image Intensifier:以下、「I.I.」と表わす)と、撮像管あるいは固体撮像素子(例えば、Charge Coupled Device:以下、「CCD」と表わす)とを組合せたものが用いられている。これは、被検体を透過したX線情報を光学情報に変換し、この光学情報をテレビカメラに取り込んで、テレビモニタに画像として表示したり、フィルムに焼き込んだりするものである。
【0003】
このような、I.I.と撮像管あるいはCCDとを組合せた放射線検出器に対し、より繊細な欠陥や病変を検出したいという強いニーズに応える新しい放射線検出器として、半導体技術を駆使したフラットパネル型放射線検出器(Flat Panel Detector:以下、「FPD」と表わす)が開発されている。このFPDは、放射線を電荷などに変換する光導電膜などで、例えばガラス基板上に形成されるスイッチング素子や容量を覆うように形成した半導体アレイである。FPDは、高解像度、軽量・コンパクトで、画像歪みも少ないという特徴を備えている。
【0004】
このように被検体の放射線透視画像を得るための検出器として、I.I.や、FPDが挙げられる。(例えば特許文献1参照。)
これらの検出器の寿命については、製品化時に寿命となるX線のトータルの積算量が求められており、検出器の使用頻度を仮定して耐久年数が算出される。ユーザーは、その耐久年数を目安に検出器の寿命について認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの検出器が搭載されたX線診断装置が据え付けられる医療現場では、装置の使用用途や頻度はそれぞれ異なるため、上述の仮定された耐久年数は実際には正確なものになり得ない。また、照射されるX線量による感度劣化に伴う検出器の寿命を操作者に知らせる具体的な方法は確立されていないのが現状である。
【0007】
実施形態は、前述の問題点を解決するためになされたもので、X線診断装置に搭載される検出器の寿命をより正確に把握し報知することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、実施形態の第1のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像における出力値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、前記寿命検知部は、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する
輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、実施形態の第2のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記X線発生部を制御するシステム制御部と、を備えるX線発生装置と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備える画像収集装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、実施形態の第3のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像における画素値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、前記寿命検知部は、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記画素値を算出する輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記画素値を前記関心領域ごとの過去の画素値に加え、前記関心領域における積算された画素値を算出する画素値積算部と、前記積算画素値に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるX線診断装置の概略構成を示す全体図である。
【図2】第1の実施形態における寿命検知部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるX線検出部の平面検出器の寿命検知の手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における輝度レベル値演算部における出力値の算出法を示す図である。
【図6】第1の実施形態における出力値からX線量を算出する方法を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図8】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図10】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図11】第1の実施形態における別の報知の方法を示すブロック図である。
【図12】第2の実施形態におけるX線診断装置の概略構成を示す全体図である。
【図13】第3の実施形態における寿命検知部の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、据え置き型でX線の照射を受けて平面検出器が別体となっていないX線診断装置100を用いて平面検出器に照射されたX線量を算出する例について説明する。
【0013】
まず、第1の実施形態におけるX線診断装置100の構成につき、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態におけるX線診断装置100の概略構成を示す全体図である。
【0014】
このX線診断装置100は、X線を被検体Pに対して照射するX線発生部1と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するX線検出部2とを備える。また、X線発生部1におけるX線の照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部3と、X線発生部1とX線検出部2を、例えばCアームによって保持する保持アーム4と、被検体Pを載せる寝台(天板)Bとを備えている。
【0015】
また、このX線診断装置100は、この保持アーム4や寝台(天板)Bの移動、後述するX線検出部2の平面検出器21に取り付けられているグリッド20の着脱などを行う機構部5と、機構部5の各機構を制御する機構制御部6と、X線検出部2によって検出されるX線透過情報を画像として生成、保存する画像生成部7とを備えている。
【0016】
更に、X線診断装置100は、画像生成部7により生成、保存されるX線画像データを表示する報知部8と、装置操作者(以下、「操作者」と表わす)がこのX線診断装置100に対して種々の指示を与えるために用いる操作部9と、X線診断装置100の上記各ユニットを制御するシステム制御部10とを備えている。そしてその他に、平面検出器21の寿命を検知する寿命検知部11と、記憶部12とが設けられている。
【0017】
X線発生部1は、被検体Pに対しX線を照射するX線管1aと、このX線管1aから照射されたX線を被検体Pに合わせるX線絞り器1bとを備えている。X線管1aはX線を発生させる真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させることによってX線を発生させる。一方、X線絞り器1bは、X線管1aと被検体Pの間に位置し、X線管1aから照射されたX線ビームを撮影領域のサイズに絞り込む機能を有している。
【0018】
一方、X線の照射を受けてX線を検出するX線検出部2は、グリッド20と、平面検出器21と、ゲートドライバ22と、電荷・電圧変換器23と、A/D変換器24と、パラレル・シリアル変換器25とを備えている。
【0019】
グリッド20は、X線照射の際、被検体Pにおいて生ずる散乱X線を平面検出器21が受信することを防ぐ。そのため、グリッド20は、X線検出部2において寝台(天板)Bと対向する位置に配置されている。
【0020】
平面検出器21は、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する。平面検出器21は、微小な検出素子を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成し、この電荷を電荷・電圧変換器23に送る。
【0021】
ゲートドライバ22は、平面検出器21に蓄積された電荷をX線画像信号として読み出すためにTFTのゲート端子に駆動電圧を供給する。電荷・電圧変換器23は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する。A/D変換器24は、電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換する。パラレル・シリアル変換器25は、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出される画像信号をシリアルな信号に変換する。
【0022】
高電圧発生部3は、X線管1aの陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる。保持アーム4は、X線発生部1及びX線検出部2
をつなぎ保持している。
【0023】
機構部5は、X線診断装置100の各部の機構を駆動し、保持アーム移動機構51と、寝台移動機構52と、グリッド着脱機構53とを備えている。保持アーム移動機構51は、X線発生部1及びX線検出部2を被検体Pの体軸方向に対して相対的に移動させて撮影断面の設定を行う。寝台移動機構52は、寝台(天板)Bを水平方向、或いは垂直方向に移動させる。グリッド着脱機構53は、平面検出器21と寝台(天板)Bとの間に配置される散乱X線除去用のグリッド20の着脱を行う。
【0024】
機構制御部6は、後述するシステム制御部10からの制御信号によって、保持アーム移動機構51、寝台移動機構52及びグリッド着脱機構53から構成される機構部5の駆動を制御する。
【0025】
画像生成部7は、画像演算部71と、表示用画像メモリ72と、画像処理部73とから構成される。画像演算部71は、X線検出部2により取得されたX線透過情報を受信し、そのX線透過情報に基づいて輪郭強調やS/N比の改善等を目的とした画像処理演算を行う。表示用画像メモリ72は、画像演算部71における画像処理演算後のX線画像データを一時的に記憶する。画像処理部73は、生成されたX線画像データに基づいて表示用のX線画像に変換する処理を行なう。
【0026】
報知部8は、画像生成部7において感度の補正が行われたX線画像を表示する表示装置である。報知部8としては、例えば、CRTモニタ又はLCDモニタ等を挙げることができる。
【0027】
操作部9はキーボード、各種スイッチ、マウス等を備えたインタラクティブなインターフェースである。X線診断装置100の操作者は操作部9を用いて、例えば、X線管2aに印加する管電圧、管電流、X線の照射時間、といった撮影の各種条件や検査の開始、機構部5の移動制御などのコマンド信号を入力する。これらのコマンド信号はシステム制御部10を介して各ユニットに送られる。
【0028】
システム制御部10は、少なくとも図示されないCPUと記憶回路とを備え、操作部9から送られてくる操作者の指示や撮影条件などの情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいてX線透過情報の収集や表示の制御、あるいは移動機構に関する制御などX線診断装置100を構成するシステム全体の制御を行う。
【0029】
記憶部12は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、X線診断装置100における各種情報を記憶する。
【0030】
図2は、第1の実施形態における寿命検知部11の内部構成を示すブロック図である。寿命検知部11は、平面検出器21の寿命を照射されたX線の線量を基に検知する機能を有している。そのため、寿命検知部11は、受信部11aと、輝度レベル値演算部11bと、線量積算部11cと、寿命判定部11dと、送信部11eとを備えている。寿命検知部11の各部の機能については、平面検出器の寿命の検知の手順を説明する際に併せて説明する。
【0031】
図3は、第1の実施形態におけるX線検出部2の平面検出器21の寿命検知の手順を示すフローチャートである。ここで以下に説明する「寿命検知の手順」における「寿命」とは、平面検出器21における感度劣化のことである。
【0032】
上述したように、平面検出器21は、X線撮影を行う際、X線の照射を受ける。平面検
出器21において検出されたX線を基に画像生成部7において画像として生成し報知部8に表示させることで、被検体Pの内部情報を取得する。従って、平面検出器21の感度が劣化すると、最終的に報知部8に医用画像として表示させた場合に必要な情報を得ることができない。
【0033】
そこでこの実施形態においては、平面検出器21に照射されるX線量を算出し、そのX線量および過去に平面検出器21に照射されたX線量から平面検出器21に照射されたX線のトータルの積算線量を算出する。そして算出された積算線量に基づいて、平面検出器21が予め定められた量を超えてX線の照射を受けた場合に寿命であると判定する。また、寿命であると判定する前に寿命が近いかどうかを判定することも考えられる。その上で仮に寿命である、又は寿命が近ければその旨を操作者等へ報知する。
【0034】
以下においては、当該これら平面検出器21に対するX線の積算線量の算出、寿命の判定及び報知に関する動作について説明を行う。
【0035】
具体的には、X線診断装置100の操作者は、操作部9を用いて、例えば、標準撮影における種々の撮影条件を入力、設定する(S1)。具体的には、操作部9からの入力によって、システム制御部10、及び機構制御部6を介して保持アーム移動機構51、及び寝台移動機構52に対して指示信号を供給する。そして、X線発生部1及びX線検出部2に対して被検体Pの撮影部位が最適な位置となるように設定する。また、X線発生部1に対して撮影に当たって必要となる各種パラメータの設定も行われる。これら設定された撮影条件はシステム制御部10の図示しない記憶回路に保存される。
【0036】
そして、操作者が操作部9により入力したX線透過画像の標準撮影開始コマンドを受信する(S2)。この撮影開始コマンドが操作部9よりシステム制御部10に供給されると、設定された条件に基づいてシステム制御部10から駆動信号が高電圧発生部3に送られる。この駆動信号によって発生する高電圧発生部3の出力電圧は、X線発生部1のX線管1aに印加されて、X線管1aは被検体Pに対してX線を放射する。そして、被検体Pを透過したX線は、被検体Pの後方に配置されるグリッド20を介し、平面検出器21によって検出される。
【0037】
平面検出器21は、例えば、ライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された複数の検出素子から構成されている。この平面検出器21において、ライン方向に配列されたM個の検出素子のそれぞれの駆動端子は共通接続され、ゲートドライバ22の出力端子に接続される。一方、列方向に配列されたN個の検出素子のそれぞれの出力端子は信号出力線(図示しない)によって共通接続され、この信号出力線は電荷・電圧変換器23の入力端子に接続される。
【0038】
ゲートドライバ22は駆動回路で、検出素子にて蓄積された電荷をTFT(図示しない)を介して信号出力線に読み出すために、TFTのゲート端子に読み出し用の駆動パルス(ON電圧)を供給する。この駆動パルスをゲート端子に供給することによってTFTを導通(ON)状態にし、電荷蓄積コンデンサ(図示しない)に蓄えられた信号電荷を信号出力線に出力する。信号電荷は、電荷・電圧変換器23において電荷から電圧に変換され、更に、A/D変換器24においてデジタル信号に変換される。
【0039】
システム制御部10は、A/D変換器24の出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリにパラレル入力して一旦保存した後、シリアルに読み出してX線透過情報を画像生成部7へ送信する。X線透過情報を受信した画像生成部7は、報知部8に表示させるX線画像を生成する(S3)。
【0040】
次に関心領域の設定(S4)について述べる。上述したように、平面検出器21の寿命(感度劣化)は、当該平面検出器21に照射されたX線の線量を基に検知される。1回の照射によるX線の線量を足し込んだトータルの積算線量を算出する際には、平面検出器21におけるX線の線量を検知する領域が必要となる。そこで、X線の線量を検知する領域である関心領域を平面検出器21のX線照射面に単数、或いは、複数設定し、当該関心領域ごとの積算線量を算出する。
【0041】
ここで関心領域が設定される対象を「平面検出器21のX線照射面」と記載しているが、画像処理部73において生成されるX線画像を基にX線の線量を検知することになるため、関心領域が設定される対象は「X線画像」ということになる。但し、このようにX線画像上に関心領域を設定しても、或いは、ハードウェア的に検出器21上で関心領域を設定しても構わない。従って、以下の説明においては、適宜「平面検出器21に関心領域が設定される」といった記載も行われる。
【0042】
ここで設定される関心領域が単数の場合とは、当該平面検出器21の全領域を1つの領域として関心領域を設定するものも含まれる。
【0043】
一方、平面検出器21に複数の関心領域が設定される場合として、例えば、図4に示すような設定の仕方が考えられる。図4は、第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示す図である。図4に示されている平面検出器21では、関心領域が平面検出器21の四隅及び中央の計5つのエリア(エリアAないしE)に設定されている。
【0044】
また、X線絞り1bによって照射されるX線の照射領域を絞った場合には、X線が絞り込まれて被検体Pを透過し、X線透過情報に基づいて生成されるX線画像とともに、その周囲に被検体Pが映らない周辺領域が生ずる。このような場合、例えば、絞られたX線照射領域(X線画像が生成される領域)に上述したような5つのエリアに分けて関心領域を設定するとともに、その他、平面検出器21上ではあるが、X線の照射領域からは外れた領域(被検体Pが映らない周辺領域)にも関心領域を設けることも可能である。
【0045】
さらに、複数の関心領域はそれぞれが重複することなく完全に独立した領域となるように設定してもよいし、それぞれが少なくとも一部が異なるよう設定されていてもよい。
【0046】
このように、平面検出器21上に設定される関心領域の位置、大きさ、形状、数等は任意に設定することができる。設定された関心領域は、例えば、記憶部12に保存される。
【0047】
なお、X線診断装置100による撮影の対象となる被検体Pの部位等によって、それぞれ関心領域を変更するように設定することも、或いは、部位等に拘わらずいずれの場合にも設定される関心領域を変更しない、と設定することも可能である。
【0048】
また、第1の実施形態においては、上述したようにこの段階(ステップS4)で関心領域を設定することも可能であるが、例えば、ステップS3において説明したX線画像データが生成される際には、既に関心領域が設定されていても良い。また、そもそもX線診断装置100による検査(被検体Pの撮影)が行われる前、例えば、X線診断装置100を設置、起動する際に設定しても良い。
【0049】
上述したように、画像生成部7の画像処理部73で生成されたX線画像は、寿命検知部11へ送られ、受信部11aでX線画像が取得される。その後、当該X線画像は輝度レベル値演算部11bへと送られる。輝度レベル値演算具11bは、取得したX線画像に基づき、平面検出器21(X線画像)に予め設定されている関心領域に関する情報を記憶部12から読み出す。そして関心領域に対応したX線画像データの出力値を取得する(図3の
S5)。ここでは、関心領域ごとに、当該関心領域に照射された出力値を取得する。
【0050】
具体的には、輝度レベル値演算部11bは、次のようにX線画像の出力値(線量)を取得する。ここで改めて図4を用いてX線画像の出力値を算出する方法の例を説明する。図4は、第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示すとともに、輝度レベル値演算部11bにおける出力値の算出法を示す図である。
【0051】
操作者によって予めX線画像上に関心領域(図4に示される異なる位置のエリアA、B、C、D、E)が設定されている。そして、輝度レベル値演算部11bは、各エリア内の輝度値を足しこみ、各エリア(関心領域)における出力値を算出する。
【0052】
図5は、第1の実施形態における輝度レベル値演算部11bにおける出力値の算出法を示す図である。例えば、図4に示すエリアAを構成するX線画像データの各画素の輝度値が図5に示されるようになっている場合、エリアAの出力値GL(A)(関心領域内の輝度レベル値)は、次の式によって求めることができる。
【0053】
GL(A)=(G11+G12+・・・+G1n)+(G21+G22+・・・+G2n)+・・・+(Gn1+Gn2+・・・+Gnn)
輝度レベル値演算部11bは、上述した通り関心領域ごとに出力値を取得するため、エリアA以外の他のエリアについても同様の方法で出力値を算出する。
【0054】
なお、このように、単純加算以外に平均値を算出する方法や重み付け加算を行う方法をとってもよい。
【0055】
次に、線量積算部11cは、記憶部12に保存されているX線画像データの出力値とX線量との関係を示した複数の関係式の中から対応する関係式を選択し、その関係式に算出されたX線画像データの出力値を照らし合わせて、関心領域に照射されたX線量を算出する。ここで対応する関係式とは、例えば、図6のグラフ中の実線によって示される関係式である。
【0056】
記憶部12には、図6に示されるような出力値とX線量との関係式をX線の照射条件(管電圧、管電流、パルス幅等)の組み合わせ毎に保存している。線量積算部11cは、設定されたX線の照射条件の組み合わせに対応した関係式を選択し、その関係式と、輝度レベル値演算部11bから送られる出力値とに基づいてX線量を算出する。
【0057】
前述の図4に示される関心領域のうち、エリアAの出力値GL(A)が例えば800であった場合、図6に示される関係式を用いることにより、その線量が0.5であると算出することができる。
【0058】
なお、図6に示されるような出力値とX線量との関係式については、記憶部12に保存させておいても、或いは、線量積算部11c内に保存させておいても良い。また、出力値とX線量との関係式に関して、例えば、X線発生部1からのX線の照射線量(kV)といった各種撮影条件を加味して関係式(グラフ)を生成しておくこともできる。
【0059】
また、線量積算部11cは、記憶部12、或いは自身に保存されている、各関心領域へのX線の初照射以降、照射されたX線量の合計値(積算線量値)に、今回算出されたX線量を足しこみ、各関心領域ごとの積算線量を算出する(S6)。算出された積算線量は、寿命判定部11dへと送られる。
【0060】
なお、この積算線量は、装置の電源のON、OFFに関わらず、過去に照射されたX線
量を足しこむようにする。この積算線量は、検出器を交換した場合等に、所定のリセット入力を行うことにより、積算線量をリセットできる。また、積算線量は、リセット入力が行われない限りデータが消えないようにするため、不揮発性のメモリ等に保存しておくのも良い。
【0061】
また、寿命判定部11dは、照射されたX線量を足しこんで更新された最新のX線量の積算線量と、予め記憶部12に保存されている平面検出器21の寿命を示すX線量の閾値とを比較する(S7)。X線量の積算線量が閾値を上回っている場合、寿命判定部11dは平面検出器21が寿命である、と判定する。また、閾値を複数設定しておくことで、段階を踏んで寿命時期を判定することができるため、例えば、寿命が近い、との判定を行うこともできる。
【0062】
比較の結果、1つの関心領域においてX線量の積算線量が閾値を上回っている場合(S7のYES)、その旨を操作者へ報知するための表示を出力するよう、報知部8へ指示信号を送る。報知部8は、その信号に応じて平面検出器21が寿命である旨を知らせる表示を出力する(S8)。一方、X線量の積算線量が閾値を下回っている場合(S7のNO)は、報知部8への指示信号の送信は行わない。
【0063】
平面検出器21が寿命である旨の表示の方法については、以下の図7ないし図10に示すように様々な方法が考えられる。図7ないし図10は、第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【0064】
図7は、平面検出器21がFPDの場合の報知部8における表示例である。また、図8は、平面検出器21がI.I.の場合の表示例である。図7に示す画面例を例に挙げると、X線画像データ上に設定されているエリアAないしEの5つの関心領域のうち、X線の積算線量が最も多いエリアと最も少ないエリアに対して他の領域と異なる色にて示している(図面上では都合により、色の代わりに斜線または格子で表わされている)。
【0065】
図7においては、例えば、エリアE(平面検出器21の中央部)がX線の積算線量が最も多く、エリアB(平面検出器21の右上部隅)のX線の積算線量が最も少ないことを示している。一方、平面検出器21がI.I.の場合、FPDと異なり視野が円形となるため、図8に示す表示例でも円形に示されている。この場合、関心領域は、視野を十字に区切るように5カ所設けられている。ここでも平面検出器の中央部(エリアE)が最も積算線量が多い。これに対してエリアBは中央左側に設定されており、この領域が積算線量が最も少ない。
【0066】
図9は、平面検出器21の全領域におけるX線の積算線量を例えば、セルごとに算出し、同じ、或いは、類似する値を示す積算線量の位置をそれぞれ結び、謂わば等高線のように、示したものである。また、この同じ、或いは、類似する値を示す積算線量の位置に対してそれぞれ積算線量に応じて色づけをして示すことによって、より操作者に対して理解が可能なように表示させることができる。図9においては、例えば、表示されているX線の積算線量の横に示されているバーにおいて積算線量の高低が示され、高低の間で表示される色が移り変わっていく。
【0067】
一方、図10は、関心領域ごとにX線の積算線量を示すのではなく、例えば、セルごとの積算線量を高さで示している。この場合、視覚的に高い位置にある領域は、積算線量がそれだけ他の領域よりも多いことを示している。図10に示す表示では、二点鎖線で示される部分が平面検出器21の表面(実際にX線の照射を受ける面)であると仮定している。この面を基準にどのくらいのX線の照射を受けたかが高さ方向の長さ(高さ)によって示されている。また、この面の縦、横の他、各部における積算線量を高さで示していること
から、表示される画像は3次元で示されることになる。
【0068】
図10に示される表示例では、平面検出器21の四隅においてX線の積算線量が多く、その中央部においては一部積算線量が高い部分もあるが、四隅に比べれば少ないと見ることができる。この表示から、例えば、平面検出器21の中央部には被検体Pの撮影部位が配置されていることから直接的には平面検出器21にX線が照射されていないのではないか、と直感的に把握することができる。また、この表示は適宜操作者が見やすくなるように回転等させることも可能である。
【0069】
なお、図10では示していないが、例えば、平面検出器21の表面(二点鎖線で示される面)から高さ方向上部の対向する位置に寿命を示す面を示すこととしても良い。この面を設定することで、いずれかの領域における積算線量がこの面に到達した場合、当該領域の寿命が到来したと視認することができる。
【0070】
このように操作者に対してX線の積算線量がどの領域に多く、どの領域に少ないかを視覚的に認識可能となるように表示する。このような表示を行うことにより、撮影ごとの使用状況を操作者に示すことが可能となる。そのため、例えば、図7を用いると、操作者は、X線の積算線量が最も多く、取得されたX線画像データについて他のエリアよりも信頼性が落ちるエリアEに、慎重な読影を必要とする病変部周辺が含まれないように撮影を行うようにすることも可能となる。また平面検出器を満遍なく平均的に使用することも可能となるため、結果として平面検出器の寿命を延ばすことも可能となる。
【0071】
なお、ここでは、操作者に対して視覚的に平面検出器21の寿命が近い旨を報知する表示を様々例に挙げて説明したが、この他に図示しない音声マイク等を用いて、音声を発して報知する方法等、五感に訴える方法によって報知することとしてもよい。
【0072】
また、寿命について報知するのではなく、平面検出器の使用状況を報知することも可能である。この場合には、X線量の積算線量が閾値を下回っている場合(S7のNO)であっても表示部8に平面検出器の状態を使用状況として報知させることになる。使用状況については、例えば、寿命との関係で、例えば50%というように具体的な数字を出して報知することもでき、或いは、現在の平面検出器が置かれている状況を使用開始から寿命までを表わす数直線の上に表わすこととしても良い。また、使用状況のみならず、判定の結果を基に寿命時期を推定して報知することも可能である。
【0073】
以上述べた本実施形態によれば、X線診断装置に構成される検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる。また併せて、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる。
【0074】
なお、これまでは1つのX線診断装置100を例に挙げて、当該X線診断装置100に用いられる平面検出器21の寿命検知及びその報知について説明した。従って、ここでの報知は、当該X線診断装置100の操作者に向けて行われるものである。
【0075】
一方で、例えば複数のX線診断装置100AないしCがある場合に、これらのX線診断装置を保守管理している者に対して当該X線診断装置100AないしCの寿命検知及び報知が行われるように設定がされていても良い。
【0076】
図11は、第1の実施形態における別の報知の方法を示すブロック図である。図11に示す管理システムSにおいては、通信ネットワークNに複数のX線診断装置100AないしCが接続され、また、管理装置30も接続されている。ここでの管理装置30は、例え
ば、X線診断装置100AないしCを遠隔監視しており、平面検出器の寿命が到来した場合には、該当するX線診断装置からその旨の報知が届く。
【0077】
なお、管理装置30は、X線診断装置100AないしCが設置されている医療機関内に設けられていても、或いは、医療機関外に設けられていても良い。
【0078】
このような構成を採用することによって、上述した効果を備えることはもちろんのこと、管理装置を操作している保守管理者にとっても、報知に基づいて平面検出器の交換等を適切な時期に行うことが可能となる。従って、これまで以上に迅速に平面検出器の寿命に対して対処することができる。また、例えば寿命までの時間(期間)を報知することで、将来到来する寿命に向けて適切、十分なサービスを提供することが可能となる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に本発明における第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、上述の第1の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0080】
第2の実施形態におけるX線診断装置200は、第1の実施形態におけるX線発生部1とX線検出部2とが別体とされていることに特徴がある。すなわち、平面検出器や当該平面検出器の寿命を検知する機構は例えば、持ち運びができるようにされている。
【0081】
図12に示すように、第2の実施形態におけるX線診断装置200は、X線発生装置201と、画像収集装置202とから構成されている。なお、第2の実施形態においては、X線発生装置201と画像収集装置202とは別体であることを前提とするが、画像収集装置202のうち、検出器本体202Aは別体であるものの、検出器制御部202Bについては、X線発生装置201と一体に構成されていても構わない。
【0082】
X線発生装置201は、被検体Pに照射するX線を発生させるためのX線発生部1、高電圧発生部3、保持アーム4や寝台(天板)B等、各種機構を駆動制御する機構制御部6等を備えている。また、操作者が各機構を操作する際に用いる操作部9、X線発生装置201全体の制御を行うシステム制御部10、及び記憶部12Aを備えている。
【0083】
なお、第2の実施形態におけるX線発生装置201においては、第2の実施形態を説明する上で必要とされる機能のみを示している。従って、図12には示されていないがX線発生装置201が備えているべき各機構は当然備えられているものである。
【0084】
一方、第2の実施形態における画像収集装置202は、ワイヤレス式であり、X線発生装置201に接続される検出器本体202Aと、検出器本体202Aに対して制御信号の送信等を行う検出器制御部202Bとから構成される。
【0085】
まず検出器本体202Aは、上述した第1の実施形態におけるX線検出部2と同様、グリッド20と、平面検出器21と、ゲートドライバ22と、電荷・電圧変換器23と、A/D変換器24と、パラレル・シリアル変換器25とを備えている。ここでの各部の機能については、上述した通りである。
【0086】
なお、画像収集装置202はワイヤレス式であることから、例えば、ゲートドライバ22は、検出器制御部202Bからの指令に基づいて、検出器21の検出素子を駆動する。このように検出器21の駆動制御の他、変換された電気信号を画像生成部7へ送信する際も有線(ワイヤ)を使用せず無線(ワイヤレス)で送信される。
【0087】
検出器制御部202Bは、画像生成部7と、報知部8と、寿命検知部11と、制御部13と、記憶部12Bと、から構成される。本発明の実施の形態においては、検出器制御部202Bがワイヤレスで検出器本体202Aに制御指示を送信することで画像収集装置202全体を制御している。画像生成部7、報知部8、及び寿命検知部11の構成、機能は第1の実施形態において説明した通りである。
【0088】
制御部13は、画像収集装置202全体の駆動を制御する。なお、図12においては、制御部13は検出器制御部202Bの各部と直接接続されておらず矢印が出ているのみであるが、これは各部との接続を省略して示しているためである。
【0089】
記憶部12Bは、X線診断装置200において得られた被検体Pの内部情報を記憶する。記憶部12Bにおいて記憶する対象は、検出器本体202Aから送信される被検体Pの内部情報そのものであっても、画像生成部7において生成される医用画像、或いは、平面検出器21の寿命を判定する際に用いられる過去のX線量であっても良い。なお、記憶部12Bは、図示しない通信ネットワークにて他の医用画像診断装置等と互いに接続されていても良い。
【0090】
第2の実施形態におけるX線診断装置200の構成は以上の通りである。画像収集装置202の検出器本体202Aでは、上述した通り、X線発生装置201から照射されたX線を受け信号変換した上で、検出器制御部202Bへと送信する。検出器制御部202Bの画像生成部7でX線画像データを生成するとともに、当該データを用いて平面検出器21の寿命について、寿命検知部11で確認する。寿命判定部11dにおいて判定された結果は、報知部8にて操作者に報知される。
【0091】
以上述べた第2の実施形態によれば、画像収集装置の検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる。また併せて、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる。
【0092】
特に平面検出器を備える画像収集装置は携行可能な態様であることから、様々なX線発生装置と組み合わせて多様に使用されることが考えられる。それだけに画像収集装置の機能からすれば平面検出器の寿命がどの程度であるのかを把握することは、据え置き型のX線診断装置の場合に比べて必要不可欠である。第2の実施形態において説明したように、画像収集装置に平面検出器の寿命を検知する機能が備えられていることで、平面検出器の寿命に対してより迅速に、柔軟に対応することができる。
【0093】
(第3の実施形態)
次に本発明における第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態において、上述の第1、或いは第2の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0094】
これまで第1及び第2の実施形態を説明してきたが、いずれも平面検出器の寿命を検知する上で寿命検知部は、X線画像から出力値を求め、X線の線量に変換した上で関心領域ごとに積算線量を求める。そしてこの積算線量をもって寿命に当たるか否かについて判定を行うこととしている。
【0095】
一方、第3の実施形態において説明するように、このような方法によって平面検出器の寿命を判定する他、例えば、平面検出器の(関心領域における)各画素値を基に平面検出器の寿命を判定する方法も考えられる。
【0096】
図13は、第3の実施形態における寿命検知部31の内部構成を示すブロック図である。寿命検知部31は、受信部31aと、輝度レベル値演算部31bと、画素値積算部31cと、寿命判定部31dと、送信部31eとを備えている。
【0097】
画像処理部73からX線画像を取得して寿命検知部31(受信部31a)は、その情報を輝度レベル値演算部31bへと送信する。輝度レベル値演算部31bでは、X線画像に設定される関心領域における画素値を、関心領域ごとに算出する。算出された画素値は、画素値積算部31cへと送られ、画素値積算部31cでは、当該算出された画素値と関心領域ごとの過去の画素値とを足し込み、関心領域ごとにおける積算された画素値を算出する。この積算された画素値は、さらに寿命判定部31dへと送られ、この積算画素値に基づいて、検出器に関する寿命の判定が行われる。
【0098】
以上のようにして検出器の寿命を判定することによって、出力値から判定を行う場合に比べて演算の過程を一部省略することができる。
【0099】
なお、以上の判定方法を採用することによって、X線診断装置に構成される検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる、という効果を備えることはもちろんである。
【0100】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 X線発生部
1a X線管
1b X線絞り器
2 X線検出部
20 グリッド
21 平面検出器
22 ゲートドライバ
23 電荷・電圧変換器
24 A/D変換器
25 パラレル・シリアル変換器
3 高電圧発生部
4 保持アーム
5 機構部
51 保持アーム移動機構
52 寝台移動機構
53 グリッド着脱機構
6 機構制御部
7 画像生成部
71 画像演算部
72 表示用画像メモリ
73 画像処理部
8 報知部
9 操作部
10 システム制御部
11 寿命検知部
12 記憶部
13 制御部
100 X線診断装置
200 X線診断装置
201 X線発生装置
202 画像収集装置
B 寝台(天板)
P 被検体
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に係り、特に患者に曝射されたX線を検出する検出器の感度劣化に関する状態を把握することを可能とするX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の放射線透視画像を得るための放射線検出器として、従来からイメージインテンシファイア(Image Intensifier:以下、「I.I.」と表わす)と、撮像管あるいは固体撮像素子(例えば、Charge Coupled Device:以下、「CCD」と表わす)とを組合せたものが用いられている。これは、被検体を透過したX線情報を光学情報に変換し、この光学情報をテレビカメラに取り込んで、テレビモニタに画像として表示したり、フィルムに焼き込んだりするものである。
【0003】
このような、I.I.と撮像管あるいはCCDとを組合せた放射線検出器に対し、より繊細な欠陥や病変を検出したいという強いニーズに応える新しい放射線検出器として、半導体技術を駆使したフラットパネル型放射線検出器(Flat Panel Detector:以下、「FPD」と表わす)が開発されている。このFPDは、放射線を電荷などに変換する光導電膜などで、例えばガラス基板上に形成されるスイッチング素子や容量を覆うように形成した半導体アレイである。FPDは、高解像度、軽量・コンパクトで、画像歪みも少ないという特徴を備えている。
【0004】
このように被検体の放射線透視画像を得るための検出器として、I.I.や、FPDが挙げられる。(例えば特許文献1参照。)
これらの検出器の寿命については、製品化時に寿命となるX線のトータルの積算量が求められており、検出器の使用頻度を仮定して耐久年数が算出される。ユーザーは、その耐久年数を目安に検出器の寿命について認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの検出器が搭載されたX線診断装置が据え付けられる医療現場では、装置の使用用途や頻度はそれぞれ異なるため、上述の仮定された耐久年数は実際には正確なものになり得ない。また、照射されるX線量による感度劣化に伴う検出器の寿命を操作者に知らせる具体的な方法は確立されていないのが現状である。
【0007】
実施形態は、前述の問題点を解決するためになされたもので、X線診断装置に搭載される検出器の寿命をより正確に把握し報知することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、実施形態の第1のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像における出力値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、前記寿命検知部は、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する
輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、実施形態の第2のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記X線発生部を制御するシステム制御部と、を備えるX線発生装置と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備える画像収集装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、実施形態の第3のX線診断装置は、被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、前記X線画像における画素値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、前記寿命検知部は、前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記画素値を算出する輝度レベル値演算部と、前記輝度レベル値演算部により算出された前記画素値を前記関心領域ごとの過去の画素値に加え、前記関心領域における積算された画素値を算出する画素値積算部と、前記積算画素値に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるX線診断装置の概略構成を示す全体図である。
【図2】第1の実施形態における寿命検知部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるX線検出部の平面検出器の寿命検知の手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態における輝度レベル値演算部における出力値の算出法を示す図である。
【図6】第1の実施形態における出力値からX線量を算出する方法を示すグラフである。
【図7】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図8】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図10】第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【図11】第1の実施形態における別の報知の方法を示すブロック図である。
【図12】第2の実施形態におけるX線診断装置の概略構成を示す全体図である。
【図13】第3の実施形態における寿命検知部の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、据え置き型でX線の照射を受けて平面検出器が別体となっていないX線診断装置100を用いて平面検出器に照射されたX線量を算出する例について説明する。
【0013】
まず、第1の実施形態におけるX線診断装置100の構成につき、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態におけるX線診断装置100の概略構成を示す全体図である。
【0014】
このX線診断装置100は、X線を被検体Pに対して照射するX線発生部1と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するX線検出部2とを備える。また、X線発生部1におけるX線の照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部3と、X線発生部1とX線検出部2を、例えばCアームによって保持する保持アーム4と、被検体Pを載せる寝台(天板)Bとを備えている。
【0015】
また、このX線診断装置100は、この保持アーム4や寝台(天板)Bの移動、後述するX線検出部2の平面検出器21に取り付けられているグリッド20の着脱などを行う機構部5と、機構部5の各機構を制御する機構制御部6と、X線検出部2によって検出されるX線透過情報を画像として生成、保存する画像生成部7とを備えている。
【0016】
更に、X線診断装置100は、画像生成部7により生成、保存されるX線画像データを表示する報知部8と、装置操作者(以下、「操作者」と表わす)がこのX線診断装置100に対して種々の指示を与えるために用いる操作部9と、X線診断装置100の上記各ユニットを制御するシステム制御部10とを備えている。そしてその他に、平面検出器21の寿命を検知する寿命検知部11と、記憶部12とが設けられている。
【0017】
X線発生部1は、被検体Pに対しX線を照射するX線管1aと、このX線管1aから照射されたX線を被検体Pに合わせるX線絞り器1bとを備えている。X線管1aはX線を発生させる真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させることによってX線を発生させる。一方、X線絞り器1bは、X線管1aと被検体Pの間に位置し、X線管1aから照射されたX線ビームを撮影領域のサイズに絞り込む機能を有している。
【0018】
一方、X線の照射を受けてX線を検出するX線検出部2は、グリッド20と、平面検出器21と、ゲートドライバ22と、電荷・電圧変換器23と、A/D変換器24と、パラレル・シリアル変換器25とを備えている。
【0019】
グリッド20は、X線照射の際、被検体Pにおいて生ずる散乱X線を平面検出器21が受信することを防ぐ。そのため、グリッド20は、X線検出部2において寝台(天板)Bと対向する位置に配置されている。
【0020】
平面検出器21は、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する。平面検出器21は、微小な検出素子を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成し、この電荷を電荷・電圧変換器23に送る。
【0021】
ゲートドライバ22は、平面検出器21に蓄積された電荷をX線画像信号として読み出すためにTFTのゲート端子に駆動電圧を供給する。電荷・電圧変換器23は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する。A/D変換器24は、電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換する。パラレル・シリアル変換器25は、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出される画像信号をシリアルな信号に変換する。
【0022】
高電圧発生部3は、X線管1aの陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる。保持アーム4は、X線発生部1及びX線検出部2
をつなぎ保持している。
【0023】
機構部5は、X線診断装置100の各部の機構を駆動し、保持アーム移動機構51と、寝台移動機構52と、グリッド着脱機構53とを備えている。保持アーム移動機構51は、X線発生部1及びX線検出部2を被検体Pの体軸方向に対して相対的に移動させて撮影断面の設定を行う。寝台移動機構52は、寝台(天板)Bを水平方向、或いは垂直方向に移動させる。グリッド着脱機構53は、平面検出器21と寝台(天板)Bとの間に配置される散乱X線除去用のグリッド20の着脱を行う。
【0024】
機構制御部6は、後述するシステム制御部10からの制御信号によって、保持アーム移動機構51、寝台移動機構52及びグリッド着脱機構53から構成される機構部5の駆動を制御する。
【0025】
画像生成部7は、画像演算部71と、表示用画像メモリ72と、画像処理部73とから構成される。画像演算部71は、X線検出部2により取得されたX線透過情報を受信し、そのX線透過情報に基づいて輪郭強調やS/N比の改善等を目的とした画像処理演算を行う。表示用画像メモリ72は、画像演算部71における画像処理演算後のX線画像データを一時的に記憶する。画像処理部73は、生成されたX線画像データに基づいて表示用のX線画像に変換する処理を行なう。
【0026】
報知部8は、画像生成部7において感度の補正が行われたX線画像を表示する表示装置である。報知部8としては、例えば、CRTモニタ又はLCDモニタ等を挙げることができる。
【0027】
操作部9はキーボード、各種スイッチ、マウス等を備えたインタラクティブなインターフェースである。X線診断装置100の操作者は操作部9を用いて、例えば、X線管2aに印加する管電圧、管電流、X線の照射時間、といった撮影の各種条件や検査の開始、機構部5の移動制御などのコマンド信号を入力する。これらのコマンド信号はシステム制御部10を介して各ユニットに送られる。
【0028】
システム制御部10は、少なくとも図示されないCPUと記憶回路とを備え、操作部9から送られてくる操作者の指示や撮影条件などの情報を一旦記憶した後、これらの情報に基づいてX線透過情報の収集や表示の制御、あるいは移動機構に関する制御などX線診断装置100を構成するシステム全体の制御を行う。
【0029】
記憶部12は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、X線診断装置100における各種情報を記憶する。
【0030】
図2は、第1の実施形態における寿命検知部11の内部構成を示すブロック図である。寿命検知部11は、平面検出器21の寿命を照射されたX線の線量を基に検知する機能を有している。そのため、寿命検知部11は、受信部11aと、輝度レベル値演算部11bと、線量積算部11cと、寿命判定部11dと、送信部11eとを備えている。寿命検知部11の各部の機能については、平面検出器の寿命の検知の手順を説明する際に併せて説明する。
【0031】
図3は、第1の実施形態におけるX線検出部2の平面検出器21の寿命検知の手順を示すフローチャートである。ここで以下に説明する「寿命検知の手順」における「寿命」とは、平面検出器21における感度劣化のことである。
【0032】
上述したように、平面検出器21は、X線撮影を行う際、X線の照射を受ける。平面検
出器21において検出されたX線を基に画像生成部7において画像として生成し報知部8に表示させることで、被検体Pの内部情報を取得する。従って、平面検出器21の感度が劣化すると、最終的に報知部8に医用画像として表示させた場合に必要な情報を得ることができない。
【0033】
そこでこの実施形態においては、平面検出器21に照射されるX線量を算出し、そのX線量および過去に平面検出器21に照射されたX線量から平面検出器21に照射されたX線のトータルの積算線量を算出する。そして算出された積算線量に基づいて、平面検出器21が予め定められた量を超えてX線の照射を受けた場合に寿命であると判定する。また、寿命であると判定する前に寿命が近いかどうかを判定することも考えられる。その上で仮に寿命である、又は寿命が近ければその旨を操作者等へ報知する。
【0034】
以下においては、当該これら平面検出器21に対するX線の積算線量の算出、寿命の判定及び報知に関する動作について説明を行う。
【0035】
具体的には、X線診断装置100の操作者は、操作部9を用いて、例えば、標準撮影における種々の撮影条件を入力、設定する(S1)。具体的には、操作部9からの入力によって、システム制御部10、及び機構制御部6を介して保持アーム移動機構51、及び寝台移動機構52に対して指示信号を供給する。そして、X線発生部1及びX線検出部2に対して被検体Pの撮影部位が最適な位置となるように設定する。また、X線発生部1に対して撮影に当たって必要となる各種パラメータの設定も行われる。これら設定された撮影条件はシステム制御部10の図示しない記憶回路に保存される。
【0036】
そして、操作者が操作部9により入力したX線透過画像の標準撮影開始コマンドを受信する(S2)。この撮影開始コマンドが操作部9よりシステム制御部10に供給されると、設定された条件に基づいてシステム制御部10から駆動信号が高電圧発生部3に送られる。この駆動信号によって発生する高電圧発生部3の出力電圧は、X線発生部1のX線管1aに印加されて、X線管1aは被検体Pに対してX線を放射する。そして、被検体Pを透過したX線は、被検体Pの後方に配置されるグリッド20を介し、平面検出器21によって検出される。
【0037】
平面検出器21は、例えば、ライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された複数の検出素子から構成されている。この平面検出器21において、ライン方向に配列されたM個の検出素子のそれぞれの駆動端子は共通接続され、ゲートドライバ22の出力端子に接続される。一方、列方向に配列されたN個の検出素子のそれぞれの出力端子は信号出力線(図示しない)によって共通接続され、この信号出力線は電荷・電圧変換器23の入力端子に接続される。
【0038】
ゲートドライバ22は駆動回路で、検出素子にて蓄積された電荷をTFT(図示しない)を介して信号出力線に読み出すために、TFTのゲート端子に読み出し用の駆動パルス(ON電圧)を供給する。この駆動パルスをゲート端子に供給することによってTFTを導通(ON)状態にし、電荷蓄積コンデンサ(図示しない)に蓄えられた信号電荷を信号出力線に出力する。信号電荷は、電荷・電圧変換器23において電荷から電圧に変換され、更に、A/D変換器24においてデジタル信号に変換される。
【0039】
システム制御部10は、A/D変換器24の出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリにパラレル入力して一旦保存した後、シリアルに読み出してX線透過情報を画像生成部7へ送信する。X線透過情報を受信した画像生成部7は、報知部8に表示させるX線画像を生成する(S3)。
【0040】
次に関心領域の設定(S4)について述べる。上述したように、平面検出器21の寿命(感度劣化)は、当該平面検出器21に照射されたX線の線量を基に検知される。1回の照射によるX線の線量を足し込んだトータルの積算線量を算出する際には、平面検出器21におけるX線の線量を検知する領域が必要となる。そこで、X線の線量を検知する領域である関心領域を平面検出器21のX線照射面に単数、或いは、複数設定し、当該関心領域ごとの積算線量を算出する。
【0041】
ここで関心領域が設定される対象を「平面検出器21のX線照射面」と記載しているが、画像処理部73において生成されるX線画像を基にX線の線量を検知することになるため、関心領域が設定される対象は「X線画像」ということになる。但し、このようにX線画像上に関心領域を設定しても、或いは、ハードウェア的に検出器21上で関心領域を設定しても構わない。従って、以下の説明においては、適宜「平面検出器21に関心領域が設定される」といった記載も行われる。
【0042】
ここで設定される関心領域が単数の場合とは、当該平面検出器21の全領域を1つの領域として関心領域を設定するものも含まれる。
【0043】
一方、平面検出器21に複数の関心領域が設定される場合として、例えば、図4に示すような設定の仕方が考えられる。図4は、第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示す図である。図4に示されている平面検出器21では、関心領域が平面検出器21の四隅及び中央の計5つのエリア(エリアAないしE)に設定されている。
【0044】
また、X線絞り1bによって照射されるX線の照射領域を絞った場合には、X線が絞り込まれて被検体Pを透過し、X線透過情報に基づいて生成されるX線画像とともに、その周囲に被検体Pが映らない周辺領域が生ずる。このような場合、例えば、絞られたX線照射領域(X線画像が生成される領域)に上述したような5つのエリアに分けて関心領域を設定するとともに、その他、平面検出器21上ではあるが、X線の照射領域からは外れた領域(被検体Pが映らない周辺領域)にも関心領域を設けることも可能である。
【0045】
さらに、複数の関心領域はそれぞれが重複することなく完全に独立した領域となるように設定してもよいし、それぞれが少なくとも一部が異なるよう設定されていてもよい。
【0046】
このように、平面検出器21上に設定される関心領域の位置、大きさ、形状、数等は任意に設定することができる。設定された関心領域は、例えば、記憶部12に保存される。
【0047】
なお、X線診断装置100による撮影の対象となる被検体Pの部位等によって、それぞれ関心領域を変更するように設定することも、或いは、部位等に拘わらずいずれの場合にも設定される関心領域を変更しない、と設定することも可能である。
【0048】
また、第1の実施形態においては、上述したようにこの段階(ステップS4)で関心領域を設定することも可能であるが、例えば、ステップS3において説明したX線画像データが生成される際には、既に関心領域が設定されていても良い。また、そもそもX線診断装置100による検査(被検体Pの撮影)が行われる前、例えば、X線診断装置100を設置、起動する際に設定しても良い。
【0049】
上述したように、画像生成部7の画像処理部73で生成されたX線画像は、寿命検知部11へ送られ、受信部11aでX線画像が取得される。その後、当該X線画像は輝度レベル値演算部11bへと送られる。輝度レベル値演算具11bは、取得したX線画像に基づき、平面検出器21(X線画像)に予め設定されている関心領域に関する情報を記憶部12から読み出す。そして関心領域に対応したX線画像データの出力値を取得する(図3の
S5)。ここでは、関心領域ごとに、当該関心領域に照射された出力値を取得する。
【0050】
具体的には、輝度レベル値演算部11bは、次のようにX線画像の出力値(線量)を取得する。ここで改めて図4を用いてX線画像の出力値を算出する方法の例を説明する。図4は、第1の実施形態において設定される関心領域の一例を示すとともに、輝度レベル値演算部11bにおける出力値の算出法を示す図である。
【0051】
操作者によって予めX線画像上に関心領域(図4に示される異なる位置のエリアA、B、C、D、E)が設定されている。そして、輝度レベル値演算部11bは、各エリア内の輝度値を足しこみ、各エリア(関心領域)における出力値を算出する。
【0052】
図5は、第1の実施形態における輝度レベル値演算部11bにおける出力値の算出法を示す図である。例えば、図4に示すエリアAを構成するX線画像データの各画素の輝度値が図5に示されるようになっている場合、エリアAの出力値GL(A)(関心領域内の輝度レベル値)は、次の式によって求めることができる。
【0053】
GL(A)=(G11+G12+・・・+G1n)+(G21+G22+・・・+G2n)+・・・+(Gn1+Gn2+・・・+Gnn)
輝度レベル値演算部11bは、上述した通り関心領域ごとに出力値を取得するため、エリアA以外の他のエリアについても同様の方法で出力値を算出する。
【0054】
なお、このように、単純加算以外に平均値を算出する方法や重み付け加算を行う方法をとってもよい。
【0055】
次に、線量積算部11cは、記憶部12に保存されているX線画像データの出力値とX線量との関係を示した複数の関係式の中から対応する関係式を選択し、その関係式に算出されたX線画像データの出力値を照らし合わせて、関心領域に照射されたX線量を算出する。ここで対応する関係式とは、例えば、図6のグラフ中の実線によって示される関係式である。
【0056】
記憶部12には、図6に示されるような出力値とX線量との関係式をX線の照射条件(管電圧、管電流、パルス幅等)の組み合わせ毎に保存している。線量積算部11cは、設定されたX線の照射条件の組み合わせに対応した関係式を選択し、その関係式と、輝度レベル値演算部11bから送られる出力値とに基づいてX線量を算出する。
【0057】
前述の図4に示される関心領域のうち、エリアAの出力値GL(A)が例えば800であった場合、図6に示される関係式を用いることにより、その線量が0.5であると算出することができる。
【0058】
なお、図6に示されるような出力値とX線量との関係式については、記憶部12に保存させておいても、或いは、線量積算部11c内に保存させておいても良い。また、出力値とX線量との関係式に関して、例えば、X線発生部1からのX線の照射線量(kV)といった各種撮影条件を加味して関係式(グラフ)を生成しておくこともできる。
【0059】
また、線量積算部11cは、記憶部12、或いは自身に保存されている、各関心領域へのX線の初照射以降、照射されたX線量の合計値(積算線量値)に、今回算出されたX線量を足しこみ、各関心領域ごとの積算線量を算出する(S6)。算出された積算線量は、寿命判定部11dへと送られる。
【0060】
なお、この積算線量は、装置の電源のON、OFFに関わらず、過去に照射されたX線
量を足しこむようにする。この積算線量は、検出器を交換した場合等に、所定のリセット入力を行うことにより、積算線量をリセットできる。また、積算線量は、リセット入力が行われない限りデータが消えないようにするため、不揮発性のメモリ等に保存しておくのも良い。
【0061】
また、寿命判定部11dは、照射されたX線量を足しこんで更新された最新のX線量の積算線量と、予め記憶部12に保存されている平面検出器21の寿命を示すX線量の閾値とを比較する(S7)。X線量の積算線量が閾値を上回っている場合、寿命判定部11dは平面検出器21が寿命である、と判定する。また、閾値を複数設定しておくことで、段階を踏んで寿命時期を判定することができるため、例えば、寿命が近い、との判定を行うこともできる。
【0062】
比較の結果、1つの関心領域においてX線量の積算線量が閾値を上回っている場合(S7のYES)、その旨を操作者へ報知するための表示を出力するよう、報知部8へ指示信号を送る。報知部8は、その信号に応じて平面検出器21が寿命である旨を知らせる表示を出力する(S8)。一方、X線量の積算線量が閾値を下回っている場合(S7のNO)は、報知部8への指示信号の送信は行わない。
【0063】
平面検出器21が寿命である旨の表示の方法については、以下の図7ないし図10に示すように様々な方法が考えられる。図7ないし図10は、第1の実施形態における報知部の表示の例を示す図である。
【0064】
図7は、平面検出器21がFPDの場合の報知部8における表示例である。また、図8は、平面検出器21がI.I.の場合の表示例である。図7に示す画面例を例に挙げると、X線画像データ上に設定されているエリアAないしEの5つの関心領域のうち、X線の積算線量が最も多いエリアと最も少ないエリアに対して他の領域と異なる色にて示している(図面上では都合により、色の代わりに斜線または格子で表わされている)。
【0065】
図7においては、例えば、エリアE(平面検出器21の中央部)がX線の積算線量が最も多く、エリアB(平面検出器21の右上部隅)のX線の積算線量が最も少ないことを示している。一方、平面検出器21がI.I.の場合、FPDと異なり視野が円形となるため、図8に示す表示例でも円形に示されている。この場合、関心領域は、視野を十字に区切るように5カ所設けられている。ここでも平面検出器の中央部(エリアE)が最も積算線量が多い。これに対してエリアBは中央左側に設定されており、この領域が積算線量が最も少ない。
【0066】
図9は、平面検出器21の全領域におけるX線の積算線量を例えば、セルごとに算出し、同じ、或いは、類似する値を示す積算線量の位置をそれぞれ結び、謂わば等高線のように、示したものである。また、この同じ、或いは、類似する値を示す積算線量の位置に対してそれぞれ積算線量に応じて色づけをして示すことによって、より操作者に対して理解が可能なように表示させることができる。図9においては、例えば、表示されているX線の積算線量の横に示されているバーにおいて積算線量の高低が示され、高低の間で表示される色が移り変わっていく。
【0067】
一方、図10は、関心領域ごとにX線の積算線量を示すのではなく、例えば、セルごとの積算線量を高さで示している。この場合、視覚的に高い位置にある領域は、積算線量がそれだけ他の領域よりも多いことを示している。図10に示す表示では、二点鎖線で示される部分が平面検出器21の表面(実際にX線の照射を受ける面)であると仮定している。この面を基準にどのくらいのX線の照射を受けたかが高さ方向の長さ(高さ)によって示されている。また、この面の縦、横の他、各部における積算線量を高さで示していること
から、表示される画像は3次元で示されることになる。
【0068】
図10に示される表示例では、平面検出器21の四隅においてX線の積算線量が多く、その中央部においては一部積算線量が高い部分もあるが、四隅に比べれば少ないと見ることができる。この表示から、例えば、平面検出器21の中央部には被検体Pの撮影部位が配置されていることから直接的には平面検出器21にX線が照射されていないのではないか、と直感的に把握することができる。また、この表示は適宜操作者が見やすくなるように回転等させることも可能である。
【0069】
なお、図10では示していないが、例えば、平面検出器21の表面(二点鎖線で示される面)から高さ方向上部の対向する位置に寿命を示す面を示すこととしても良い。この面を設定することで、いずれかの領域における積算線量がこの面に到達した場合、当該領域の寿命が到来したと視認することができる。
【0070】
このように操作者に対してX線の積算線量がどの領域に多く、どの領域に少ないかを視覚的に認識可能となるように表示する。このような表示を行うことにより、撮影ごとの使用状況を操作者に示すことが可能となる。そのため、例えば、図7を用いると、操作者は、X線の積算線量が最も多く、取得されたX線画像データについて他のエリアよりも信頼性が落ちるエリアEに、慎重な読影を必要とする病変部周辺が含まれないように撮影を行うようにすることも可能となる。また平面検出器を満遍なく平均的に使用することも可能となるため、結果として平面検出器の寿命を延ばすことも可能となる。
【0071】
なお、ここでは、操作者に対して視覚的に平面検出器21の寿命が近い旨を報知する表示を様々例に挙げて説明したが、この他に図示しない音声マイク等を用いて、音声を発して報知する方法等、五感に訴える方法によって報知することとしてもよい。
【0072】
また、寿命について報知するのではなく、平面検出器の使用状況を報知することも可能である。この場合には、X線量の積算線量が閾値を下回っている場合(S7のNO)であっても表示部8に平面検出器の状態を使用状況として報知させることになる。使用状況については、例えば、寿命との関係で、例えば50%というように具体的な数字を出して報知することもでき、或いは、現在の平面検出器が置かれている状況を使用開始から寿命までを表わす数直線の上に表わすこととしても良い。また、使用状況のみならず、判定の結果を基に寿命時期を推定して報知することも可能である。
【0073】
以上述べた本実施形態によれば、X線診断装置に構成される検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる。また併せて、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる。
【0074】
なお、これまでは1つのX線診断装置100を例に挙げて、当該X線診断装置100に用いられる平面検出器21の寿命検知及びその報知について説明した。従って、ここでの報知は、当該X線診断装置100の操作者に向けて行われるものである。
【0075】
一方で、例えば複数のX線診断装置100AないしCがある場合に、これらのX線診断装置を保守管理している者に対して当該X線診断装置100AないしCの寿命検知及び報知が行われるように設定がされていても良い。
【0076】
図11は、第1の実施形態における別の報知の方法を示すブロック図である。図11に示す管理システムSにおいては、通信ネットワークNに複数のX線診断装置100AないしCが接続され、また、管理装置30も接続されている。ここでの管理装置30は、例え
ば、X線診断装置100AないしCを遠隔監視しており、平面検出器の寿命が到来した場合には、該当するX線診断装置からその旨の報知が届く。
【0077】
なお、管理装置30は、X線診断装置100AないしCが設置されている医療機関内に設けられていても、或いは、医療機関外に設けられていても良い。
【0078】
このような構成を採用することによって、上述した効果を備えることはもちろんのこと、管理装置を操作している保守管理者にとっても、報知に基づいて平面検出器の交換等を適切な時期に行うことが可能となる。従って、これまで以上に迅速に平面検出器の寿命に対して対処することができる。また、例えば寿命までの時間(期間)を報知することで、将来到来する寿命に向けて適切、十分なサービスを提供することが可能となる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に本発明における第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、上述の第1の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0080】
第2の実施形態におけるX線診断装置200は、第1の実施形態におけるX線発生部1とX線検出部2とが別体とされていることに特徴がある。すなわち、平面検出器や当該平面検出器の寿命を検知する機構は例えば、持ち運びができるようにされている。
【0081】
図12に示すように、第2の実施形態におけるX線診断装置200は、X線発生装置201と、画像収集装置202とから構成されている。なお、第2の実施形態においては、X線発生装置201と画像収集装置202とは別体であることを前提とするが、画像収集装置202のうち、検出器本体202Aは別体であるものの、検出器制御部202Bについては、X線発生装置201と一体に構成されていても構わない。
【0082】
X線発生装置201は、被検体Pに照射するX線を発生させるためのX線発生部1、高電圧発生部3、保持アーム4や寝台(天板)B等、各種機構を駆動制御する機構制御部6等を備えている。また、操作者が各機構を操作する際に用いる操作部9、X線発生装置201全体の制御を行うシステム制御部10、及び記憶部12Aを備えている。
【0083】
なお、第2の実施形態におけるX線発生装置201においては、第2の実施形態を説明する上で必要とされる機能のみを示している。従って、図12には示されていないがX線発生装置201が備えているべき各機構は当然備えられているものである。
【0084】
一方、第2の実施形態における画像収集装置202は、ワイヤレス式であり、X線発生装置201に接続される検出器本体202Aと、検出器本体202Aに対して制御信号の送信等を行う検出器制御部202Bとから構成される。
【0085】
まず検出器本体202Aは、上述した第1の実施形態におけるX線検出部2と同様、グリッド20と、平面検出器21と、ゲートドライバ22と、電荷・電圧変換器23と、A/D変換器24と、パラレル・シリアル変換器25とを備えている。ここでの各部の機能については、上述した通りである。
【0086】
なお、画像収集装置202はワイヤレス式であることから、例えば、ゲートドライバ22は、検出器制御部202Bからの指令に基づいて、検出器21の検出素子を駆動する。このように検出器21の駆動制御の他、変換された電気信号を画像生成部7へ送信する際も有線(ワイヤ)を使用せず無線(ワイヤレス)で送信される。
【0087】
検出器制御部202Bは、画像生成部7と、報知部8と、寿命検知部11と、制御部13と、記憶部12Bと、から構成される。本発明の実施の形態においては、検出器制御部202Bがワイヤレスで検出器本体202Aに制御指示を送信することで画像収集装置202全体を制御している。画像生成部7、報知部8、及び寿命検知部11の構成、機能は第1の実施形態において説明した通りである。
【0088】
制御部13は、画像収集装置202全体の駆動を制御する。なお、図12においては、制御部13は検出器制御部202Bの各部と直接接続されておらず矢印が出ているのみであるが、これは各部との接続を省略して示しているためである。
【0089】
記憶部12Bは、X線診断装置200において得られた被検体Pの内部情報を記憶する。記憶部12Bにおいて記憶する対象は、検出器本体202Aから送信される被検体Pの内部情報そのものであっても、画像生成部7において生成される医用画像、或いは、平面検出器21の寿命を判定する際に用いられる過去のX線量であっても良い。なお、記憶部12Bは、図示しない通信ネットワークにて他の医用画像診断装置等と互いに接続されていても良い。
【0090】
第2の実施形態におけるX線診断装置200の構成は以上の通りである。画像収集装置202の検出器本体202Aでは、上述した通り、X線発生装置201から照射されたX線を受け信号変換した上で、検出器制御部202Bへと送信する。検出器制御部202Bの画像生成部7でX線画像データを生成するとともに、当該データを用いて平面検出器21の寿命について、寿命検知部11で確認する。寿命判定部11dにおいて判定された結果は、報知部8にて操作者に報知される。
【0091】
以上述べた第2の実施形態によれば、画像収集装置の検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる。また併せて、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる。
【0092】
特に平面検出器を備える画像収集装置は携行可能な態様であることから、様々なX線発生装置と組み合わせて多様に使用されることが考えられる。それだけに画像収集装置の機能からすれば平面検出器の寿命がどの程度であるのかを把握することは、据え置き型のX線診断装置の場合に比べて必要不可欠である。第2の実施形態において説明したように、画像収集装置に平面検出器の寿命を検知する機能が備えられていることで、平面検出器の寿命に対してより迅速に、柔軟に対応することができる。
【0093】
(第3の実施形態)
次に本発明における第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態において、上述の第1、或いは第2の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0094】
これまで第1及び第2の実施形態を説明してきたが、いずれも平面検出器の寿命を検知する上で寿命検知部は、X線画像から出力値を求め、X線の線量に変換した上で関心領域ごとに積算線量を求める。そしてこの積算線量をもって寿命に当たるか否かについて判定を行うこととしている。
【0095】
一方、第3の実施形態において説明するように、このような方法によって平面検出器の寿命を判定する他、例えば、平面検出器の(関心領域における)各画素値を基に平面検出器の寿命を判定する方法も考えられる。
【0096】
図13は、第3の実施形態における寿命検知部31の内部構成を示すブロック図である。寿命検知部31は、受信部31aと、輝度レベル値演算部31bと、画素値積算部31cと、寿命判定部31dと、送信部31eとを備えている。
【0097】
画像処理部73からX線画像を取得して寿命検知部31(受信部31a)は、その情報を輝度レベル値演算部31bへと送信する。輝度レベル値演算部31bでは、X線画像に設定される関心領域における画素値を、関心領域ごとに算出する。算出された画素値は、画素値積算部31cへと送られ、画素値積算部31cでは、当該算出された画素値と関心領域ごとの過去の画素値とを足し込み、関心領域ごとにおける積算された画素値を算出する。この積算された画素値は、さらに寿命判定部31dへと送られ、この積算画素値に基づいて、検出器に関する寿命の判定が行われる。
【0098】
以上のようにして検出器の寿命を判定することによって、出力値から判定を行う場合に比べて演算の過程を一部省略することができる。
【0099】
なお、以上の判定方法を採用することによって、X線診断装置に構成される検出器の寿命をより正確に把握し報知することが可能となるX線診断装置を提供することができる、過去の分を含めたトータルの検出器のX線の積算線量は勿論、検査毎、または1日毎に検出器への照射線量が推定できるため、装置のサービス性の向上を図ることができる、という効果を備えることはもちろんである。
【0100】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 X線発生部
1a X線管
1b X線絞り器
2 X線検出部
20 グリッド
21 平面検出器
22 ゲートドライバ
23 電荷・電圧変換器
24 A/D変換器
25 パラレル・シリアル変換器
3 高電圧発生部
4 保持アーム
5 機構部
51 保持アーム移動機構
52 寝台移動機構
53 グリッド着脱機構
6 機構制御部
7 画像生成部
71 画像演算部
72 表示用画像メモリ
73 画像処理部
8 報知部
9 操作部
10 システム制御部
11 寿命検知部
12 記憶部
13 制御部
100 X線診断装置
200 X線診断装置
201 X線発生装置
202 画像収集装置
B 寝台(天板)
P 被検体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像における出力値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、
前記寿命検知部は、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、
前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記関心領域は、前記X線画像に対して、単数、或いは、複数のいずれか設定されることを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記X線が絞り込まれて前記被検体を透過し、前記X線透過情報に基づいて生成される前記X線画像の周囲に前記被検体が映らない周辺領域が生ずる場合に、前記X線画像の前記周辺領域に前記関心領域が設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記輝度レベル値演算部は、前記X線量と前記出力値との関係を表す関係式を用いて前記検出器に対して照射される前記X線量を算出することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記輝度レベル値演算部は、前記被検体に対する前記X線の照射条件を加味して前記検出器に対して照射される前記X線量を算出することを特徴とする請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記X線診断装置は、前記寿命判定部による判定の結果を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記X線画像に対して複数の前記関心領域が設定されている場合に、前記報知部は、複数の前記関心領域ごとの前記積算線量が識別可能な状態に報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記報知部は、前記寿命判定部による判定の結果として、寿命に対する現在の前記検出器の状態を報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記報知部は、音声発生部を備え、前記寿命判定部による判定の結果を音声を用いて報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記検出器は、平面検出器又はX線イメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記X線診断装置は、前記X線診断装置の外部との通信を可能とする通信制御部を備え、前記寿命判定部による判定の結果を外部へと報知可能とされていることを特徴とする請
求項1ないし請求項10のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項12】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像における画素値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、
前記寿命検知部は、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記画素値を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記画素値を前記関心領域ごとの過去の画素値に加え、前記関心領域における積算された画素値を算出する画素値積算部と、
前記積算画素値に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項13】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部を制御するシステム制御部と、を備えるX線発生装置と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、
前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備える画像収集装置と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項1】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像における出力値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、
前記寿命検知部は、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、
前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記関心領域は、前記X線画像に対して、単数、或いは、複数のいずれか設定されることを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記X線が絞り込まれて前記被検体を透過し、前記X線透過情報に基づいて生成される前記X線画像の周囲に前記被検体が映らない周辺領域が生ずる場合に、前記X線画像の前記周辺領域に前記関心領域が設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記輝度レベル値演算部は、前記X線量と前記出力値との関係を表す関係式を用いて前記検出器に対して照射される前記X線量を算出することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記輝度レベル値演算部は、前記被検体に対する前記X線の照射条件を加味して前記検出器に対して照射される前記X線量を算出することを特徴とする請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記X線診断装置は、前記寿命判定部による判定の結果を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記X線画像に対して複数の前記関心領域が設定されている場合に、前記報知部は、複数の前記関心領域ごとの前記積算線量が識別可能な状態に報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記報知部は、前記寿命判定部による判定の結果として、寿命に対する現在の前記検出器の状態を報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記報知部は、音声発生部を備え、前記寿命判定部による判定の結果を音声を用いて報知することを特徴とする請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記検出器は、平面検出器又はX線イメージインテンシファイアであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記X線診断装置は、前記X線診断装置の外部との通信を可能とする通信制御部を備え、前記寿命判定部による判定の結果を外部へと報知可能とされていることを特徴とする請
求項1ないし請求項10のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項12】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像における画素値に基づいて前記検出器の寿命を検知する寿命検知部と、を備え、
前記寿命検知部は、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記画素値を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記画素値を前記関心領域ごとの過去の画素値に加え、前記関心領域における積算された画素値を算出する画素値積算部と、
前記積算画素値に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【請求項13】
被検体に対して照射するX線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部を制御するシステム制御部と、を備えるX線発生装置と、
前記被検体を透過した前記X線を検出する検出器を含み、X線透過情報を生成するX線検出部と、
前記X線透過情報に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像または前記検出器に設定される関心領域における前記出力値に基づいて、前記検出器に対して照射されるX線量を算出する輝度レベル値演算部と、
前記輝度レベル値演算部により算出された前記X線量を前記関心領域ごとの過去のX線量に加え、前記関心領域における積算線量を算出する線量積算部と、
前記積算線量に基づいて、前記検出器に関する寿命の判定を行う寿命判定部と、を備える画像収集装置と、
を備えることを特徴とするX線診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−159497(P2012−159497A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1736(P2012−1736)
【出願日】平成24年1月9日(2012.1.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月9日(2012.1.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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