説明

X線CT装置

【課題】 撮像倍率や分解能を容易に変更でき、しかも簡易に重量バランスを調整できるX線CT装置を提供する。
【解決手段】
ガイドアーム3に搭載したX線源6およびX線検出器7が試料Sに対し接離する方向へ移動自在である。この移動に対し、ガイドアーム3に搭載された各構成要素を含む全体の重心が、重量バランス調整機構によって回転軸上に保たれている。重量バランス調整機構は、ガイドアーム3へ移動自在に搭載された可動ウエイト12を含む。この可動ウエイト12は、回転軸Oまわりの回転モーメントの総和がほぼ零となるように移動制御される。この可動ウエイト12の移動経路は、X線源6またはX線検出器7の移動方向と平行で、かつ回転軸Oを通らない任意の直線上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線CT装置に関し、特に工業用途に好適な構成をしたX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(computed tomography)装置は、物体を透過したX線を様々な位置・方向から検出し、X線が通過した断面内の密度分布を数値計算によって求め画像化する装置である。X線CT装置は、主に医療診断の分野において利用されており、人体を検査対象とする医用X線CT装置については研究開発が進み、現在では優れた機能を備えたものが各種提案されている。
【0003】
また、工業分野においても、例えば金属物質の非破壊検査や包装物の内部検査などにX線CT装置が利用されている。しかしながら、医用X線CT装置に比べ、工業用X線CT装置の開発提案は少なく、本出願人らの調査結果においても、医用X線CT装置に関する特許文献は多数発見されたものの、工業用X線CT装置については特許文献1を発見できただけであった。
【0004】
一般に、工業用X線CT装置は、図1(a)に示すように、X線源101とX線検出器102とを対向位置に固定し、その中間部に検査対象(試料)Sを配置するとともに、検査対象Sを回転させる構成となっている。このような構成であっても、検査対象が金属物質や包装物などの固体の場合は、自由に回転させることができ支障はない。しかしながら、近年、工業用X線CT装置も用途が広がってきており、液体など流動性のある物質や回転操作に適さない小動物など、従来想定さていなかったものを検査対象としてCT画像を得たいとの要望が本出願人らに寄せられている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−295243号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような要望に応えるべくなされたもので、検査対象(試料)を回転させることなく、種々の物体について適正なCT画像を得ることのできる工業用途に好適なX線CT装置の提供を目的とする。
さらに、本発明は、撮像倍率や分解能を容易に変更できるX線CT装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、X線を発生させるX線源と、試料を保持する試料保持手段と、X線源から放射され試料を透過してきたX線を検出するX線検出器と、X線源およびX線検出器を搭載する回転支持体とを備えたX線CT装置において、
次の(イ)乃至(チ)の要件を満たす構成であることを特徴とするX線CT装置。
(イ)回転支持体は、X線源およびX線検出器を搭載し、試料保持手段に保持された試料の周囲に開放された空間を形成する。
(ロ)回転支持体は、試料保持手段に保持された試料を通る軸を中心に回転自在である。
(ハ)回転支持体は、試料保持手段に保持された試料を挟んでX線源とX線検出器とを対向配置する。
(ニ)回転支持体は、X線源およびX線検出器の一方または双方を、試料保持手段に保持された試料に対して接離する方向へ移動可能である。
(ホ)回転支持体は、当該回転支持体に搭載される各構成要素を含む全体の重心を、当該回転支持体の回転軸上に配置してある。
(ヘ)回転支持体は、X線源およびX線検出器の一方または双方の試料に対する接離方向への移動に対し、当該回転支持体に搭載される各構成要素を含む全体の重心を、当該回転支持体の回転軸上に保つ重量バランス調整手段を備えている。
(ト)重量バランス調整手段は、回転支持体へ移動自在に搭載された可動ウエイトを含み、回転支持体の回転軸まわりの回転モーメントの総和がほぼ零となるように、可動ウエイトを移動制御する構成である。
(チ)可動ウエイトは、その移動経路を、X線源またはX線検出器の移動方向と平行で、かつ回転支持体の回転軸を通らない任意の直線上に設定してある。
【0008】
上記のとおり、回転支持体を、試料保持手段に保持された試料を通る軸を中心に回転自在な構成としたことにより、試料を回転させることなく試料の全周をスキャンすることが可能となる。その結果、液体など流動性のある物質や回転操作に適さない小動物など、従来想定さていなかった試料についても支障なく適正なX線CT撮影を実施することができる。
【0009】
しかも、回転支持体を、X線源およびX線検出器の一方または双方を、試料保持手段に保持された試料に対して接離する方向へ移動可能な構成としたことにより、X線源と試料との間の距離、試料とX線検出器との間の距離の一方または双方を任意に調整でき、その結果、撮像倍率や分解能を容易に変更することができる。
【0010】
ここで、回転支持体は、試料を通る軸を中心に回転自在なガイドアームと、X線源を保持するとともに、ガイドアーム上で試料に接離する方向へ移動自在なX線源保持ステージと、を含む構成とすることができる。
また、回転支持体は、X線検出器を保持するとともに、ガイドアーム上で試料に接離する方向へ移動自在なX線検出器保持ステージを含む構成とすることもできる。
【0011】
従来の医用X線CT装置は、円筒状のドームでX線源とX線検出器とを被覆し、当該ドーム内に検査対象となる人体を挿入してX線CT撮影を実施する構成となっているものが多い。この種の医用X線CT装置を工業用途に利用する場合、試料(検査対象)の保持位置がドームで覆われた閉塞空間となっているので、試料の位置決めが困難である。さらに、試料に外力を加えたり、電圧を印加したり、試料の温度を変化させたり、試料の周囲を真空や任意のガス雰囲気としたりする構造を設置するスペースの確保も困難であった。
【0012】
また、小動物の診断用に、図1(b)に示すような構成の小型X線CT装置も市販されている。同図(b)に示す小型X線CT装置は、円筒状のドーム201にX線源202とX線検出器203とを対向して内蔵してあり、ドーム201が中心軸X周りに回転する構成となっている。
この種のX線CT装置においても、小動物(検査対象)の保持位置がドームで覆われた閉塞空間となっているので、試料の位置決めが困難である。
しかも、検査対象の周囲がドーム201で閉塞されているため、小動物の手術途中に、適時、小動物をCT撮影するといった特殊な用途には利用できない。
【0013】
これに対し、上記構成の本発明は、図2に示すように、回転支持体(ガイドアーム)300が、X線源301およびX線検出器302を搭載している。この回転支持体300は、試料保持手段304に保持された試料(検査対象)Sの周囲に開放された空間305を形成している。そして、回転軸Oを中心として回転支持体300が回転するので、試料の位置決めが容易となり作業性が向上する。さらには、試料に対し電圧を印加する構造や、試料を加熱または冷却する構造、試料の周囲を真空あるいは任意のガス雰囲気とする構造等を設置することも可能となり、X線CT撮影の応用範囲を飛躍的に広げることが可能となる。なお、この種の付加構造は、X線回折装置に用いられている各種オプションを利用することが可能である。
さらに、小動物の手術途中に、適時、小動物をCT検査するといった特殊な用途にも利用可能となり、ユーザからの種々の要望を満足することができる。
【0014】
回転支持体は、同手段に搭載される各構成要素を含む全体の重心を、回転軸上に配置してウエイトバランスを適正に保つことが好ましい。
ウエイトバランスが適正でないと、回転支持体に偏ったトルクが作用して、回転駆動が円滑にできなかったり、また回転支持体に撓みの生じるおそれがある。
そこで、本発明は、X線源およびX線検出器の一方または双方の、試料に対する接離方向への移動に対し、全体の重心を回転軸上に保つ重量バランス調整手段を備えている。このため、X線源やX線検出器を移動させたときも全体の重心を容易に回転軸上へ配置することができ、好適な構造上のウエイトバランスを保つことが可能となる。
【0015】
この重量バランス調整手段は、回転支持体へ移動自在に搭載された可動ウエイトを含み、回転軸まわりの回転モーメントの総和がほぼ零となるように、可動ウエイトを移動制御する構成となっている。
ここで、可動ウエイトの移動経路は、X線源またはX線検出器の移動方向と平行で、かつ回転支持体の回転軸を通らない任意の直線上に設定してある。
【0016】
可動ウエイトの移動経路をX線源またはX線検出器の移動経路上に配置した場合、可動ウエイトとX線源またはX線検出器の干渉を回避するために複雑な構造設計が必要となる。また、回転支持体の回転軸上には、試料が配置されるため、可動ウエイトの移動経路をその近傍まで近づけるのは困難である。よって、回転軸から大きく離間した位置に可動ウエイトの移動経路を設けなければならず、回転支持体が大形化してしまう。
本発明では、上記のように可動ウエイトの移動経路は、X線源またはX線検出器の移動方向と平行で、かつ回転支持体の回転軸を通らない任意の直線上に設定してあるので、複雑な構造設計の必要もなく、回転支持体を小形化することが可能となる。
【0017】
なお、回転支持体には可動上位置とは別個に固定ウエイトが搭載してあり、この固定ウエイトにより、回転軸から可動ウエイトの移動経路までの距離と可動ウエイトの重量とに基づき作用する回転モーメントを相殺している。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、回転支持体を、試料保持手段に保持された試料を通る軸を中心に回転自在な構成としたことにより、試料を回転させることなく試料の全周をスキャンすることが可能となる。その結果、液体など流動性のある物質や回転操作に適さない小動物など、従来想定されていなかった試料についても支障なく適正なX線CT撮影を実施することができる。
【0019】
しかも、回転支持体を、X線源およびX線検出器の一方または双方を、試料保持手段に保持された試料に対して接離する方向へ移動可能な構成としたことにより、X線源と試料との間の距離、試料とX線検出器との間の距離の一方または双方を任意に調整でき、その結果、撮像倍率や分解能を容易に変更することができる。
【0020】
そして、X線源およびX線検出器の一方または双方の、試料に対する接離方向への移動に対し、全体の重心を回転軸上に保つ構成としたことにより、X線源やX線検出器を移動させたときも全体の重心を容易に回転軸上へ配置することができ、好適な構造上のウエイトバランスを保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は本発明の実施形態に係るX線CT装置の正面図、図4は同装置の側面透視図である。まず、これらの図面を参照して、本実施形態に係るX線CT装置の全体構成を説明する。
【0022】
図4に示すように、装置本体テーブルAの上面後部寄りの位置に軸受台1が搭載してある。軸受台1は、円筒状の軸受2を備えており、この軸受2にガイドアーム3(回転支持体)の中央部が回転自在に装着してある。ここで、軸受2の中心軸がガイドアーム3の回転軸Oであり、この回転軸Oは水平方向に延びている。試料Sは、この回転軸O(水平軸)上に配置される。
【0023】
ガイドアーム3は、図3に示すように、回転軸Oを中心として長手方向に延びる長尺形状に形成されている。ガイドアーム3には、回転軸Oを挟んでX線源6とX線検出器7が対向して搭載してある。これらX線源6とX線検出器7は、それぞれ独立して回転軸Oに対し接離する方向に移動自在となっている。
X線源6、試料S、およびX線検出器7の間の距離を変えることで、X線CT装置の倍率、分解能、試料S上の分解能、および視野を任意に変化させることができる。
【0024】
装置本体テーブルAの上面前部寄りの位置には、図4に示すように、試料保持台8が設置してある。試料保持台8の上部には、試料Sの形状・性状等に応じた各種試料ホルダ9が装着される。試料ホルダ9としては、例えば、図4に示すような棒状試料Sに対してはその一端を挟持するチャックを備えた試料ホルダを用い、また、液体試料Sに対してはこれを挿入保持する容器を備えた試料ホルダを用いることが好ましい。
試料保持台8と試料ホルダ9は、試料Sを保持するための試料保持手段を構成し、同手段によって試料SはX線検出器7から放射されるX線と回転軸Oとが交わる位置に配置される。
【0025】
上述したように、ガイドアーム3の表面にX線源6およびX線検出器7を搭載する本実施形態のX線CT装置は、試料ホルダ9に保持された試料Sの周囲が開放された空間となっており、したがって、試料Sの位置決めが容易となり作業性が向上する。しかも、CT撮影の途中で試料Sを操作(例えば、小動物を手術)することも容易に行うことが可能となる。
【0026】
さらに、回転軸Oを水平に配置したことにより、試料Sを水平に保持して横断面の撮影ができ、小動物や流動性のある試料など縦配置や傾きをもった配置が困難な試料のCT撮影にも好適である。加えて、ガイドアーム3の回転軌道が平面的な広がりをもたないので、省スペース化を図ることが可能となる。
【0027】
また、図4に示すように、軸受2とガイドアーム3の回転軸O部には、回転軸Oに沿って透孔10(透過空間)が形成してある。この透孔10は、試料Sの配置空間として利用することができ、例えば、棒状試料Sも一部をこの透孔10内に配置することで支障なく保持することが可能となる(図4参照)。
【0028】
上述したガイドアーム3は、これに搭載した構成要素(X線源6、X線検出器7等)を含めた全体の重心が、回転軸O上に位置するように調整してある。このように重心位置を調整することにより、偏ったトルクがガイドアーム3に作用せず、ガイドアーム3を円滑に回転させることができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、X線源6とX線検出器7が移動可能な構成のため、これらの移動に対し自動的に重量バランスを調整するための重量バランス調整機構(重量バランス調整機構)が組み込んである。図5は本実施形態に係る重量バランス調整機構の概要を示す構成図である。
【0030】
重量バランス調整機構は、ガイドアーム3上で移動自在な可動ウエイト12と、ガイドアーム3上に固定された固定ウエイト13で構成されている。ここで、可動ウエイト12は、X線源6およびX線検出器7の移動方向と平行で、かつガイドアーム3の回転軸Oを通らない移動経路Tの沿って移動自在となっている。なお、X線源6およびX線検出器7は、ともに回転軸Oを通るX軸に沿って移動自在であり、移動経路TはこのX軸と平行である。
【0031】
可動ウエイト12の移動経路を、X線源6およびX線検出器7の移動方向と平行に設定することで、可動ウエイト12と回転軸Oとの間の距離に関係なく、ガイドアーム3の重量バランスを容易に調整することが可能となる。
また、可動ウエイト12の移動経路を、回転軸Oを通らないようにすることで、回転軸Oまでの距離を短くすることが可能となり、ガイドアーム3の小形化を図ることができる。
【0032】
ガイドアーム3には、可動ウエイト12とは別個に固定ウエイト13が搭載してあり、この固定ウエイト13により、回転軸Oから可動ウエイト12の移動経路までの距離と可動ウエイト2の重量とに基づき作用する回転モーメントを相殺している。
【0033】
ここで、図6に示すように、回転軸Oを原点として、X線源6およびX線検出器7に平行なX軸と、これに垂直なY軸からなるXY座標系を考える。なお、便宜上、ガイドアーム3の重心は回転軸Oに合わせてあるものとする。
このXY座標系において、ガイドアーム3に搭載されている各構成要素について、回転軸O周りの回転モーメントのY軸成分は次のとおりである。
(1)固定ウエイト13の回転モーメントのY軸成分は、Wb・Yb
(2)可動ウエイト12の回転モーメントのY軸成分は、Wcb・Ycb
(3)X線源6の回転モーメントのY軸成分は、Ws・Ys
(4)X線検出器7の回転モーメントのY軸成分は、Wd・Yd
固定ウエイト13は、これら回転モーメントのY軸成分の総和が零となるように、重量WbとX軸までの距離Ybを調整してある。
【0034】
次に、可動ウエイト12の移動制御について説明する。
図6に示すXY座標系において、ガイドアーム3に搭載されている各構成要素について、回転軸O周りの回転モーメントのX軸成分は次のとおりである。
(1)可動ウエイト12の回転モーメントのX軸成分は、Wcb・Xcb
(2)固定ウエイト13の回転モーメントのX軸成分は、Wb・Xb
(3)X線源6の回転モーメントのX軸成分は、Ws・Xs
(4)X線検出器7の回転モーメントのX軸成分は、Wd・Xd
可動ウエイト12は、これら回転モーメントのX軸成分の総和が零となるように(すなわち、次式を満足するように)、移動経路T上の位置Xcbを自動調整される。
Xcb=(Wb・Xb+Ws・Xs+Wd・Xd)/Wcb
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明のX線CT装置は、工業用途に好適な構成となっているが、工業以外の他の用途、例えば、医学的診断や各分野における実験,研究にも利用することが可能である。
また、X線源6とX線検出器7のいずれか一方を、ガイドアーム3上の所定位置に固定した構成とすることもできる。
さらに、上述した実施形態では、ガイドアーム3の重心は回転軸Oに合わせてあるものとして取り扱ったが、当該重心が回転軸Oから離間していた場合は、固定ウエイト13の調整や可動ウエイト12の移動制御に際し、ガイドアーム3の回転モーメントも考慮しなければならないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来のX線CT装置を示す概要図である。
【図2】本発明のX線CT装置の特徴を説明するための概要図である。
【図3】本発明の実施形態に係るX線CT装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るX線CT装置の側面透視図である。
【図5】ガイドアームと重量バランス調整機構の概要を示す構成図である。
【図6】重量バランス調整機構の設定を説明するための図である。
【符号の説明】
【0037】
A:装置本体テーブル、1:軸受台、2:軸受、3:ガイドアーム、O:回転軸、S:試料、6:X線源、7:X線検出器、8:試料保持台、9:試料ホルダ、10:透孔(透過空間)、12:可動ウエイト、13:固定ウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生させるX線源と、試料を保持する試料保持手段と、X線源から放射され試料を透過してきたX線を検出するX線検出器と、前記X線源およびX線検出器を搭載する回転支持体とを備えたX線CT装置において、
次の(イ)乃至(リ)の要件を満たす構成であることを特徴とするX線CT装置。
(イ)前記回転支持体は、前記X線源およびX線検出器を搭載し、前記試料保持手段に保持された試料の周囲に開放された空間を形成する。
(ロ)前記回転支持体は、前記試料保持手段に保持された試料を通る軸を中心に回転自在である。
(ハ)前記回転支持体は、前記試料保持手段に保持された試料を挟んで前記X線源とX線検出器とを対向配置する。
(ニ)前記回転支持体は、前記X線源およびX線検出器の一方または双方を、前記試料保持手段に保持された試料に対して接離する方向へ移動可能である。
(ホ)前記回転支持体は、当該回転支持体に搭載される各構成要素を含む全体の重心を、当該回転支持体の回転軸上に配置してある。
(ヘ)前記回転支持体は、前記X線源およびX線検出器の一方または双方の前記試料に対する接離方向への移動に対し、当該回転支持体に搭載される各構成要素を含む全体の重心を、当該回転支持体の回転軸上に保つ重量バランス調整手段を備えている。
(ト)前記重量バランス調整手段は、前記回転支持体へ移動自在に搭載された可動ウエイトを含み、前記回転支持体の回転軸まわりの回転モーメントの総和がほぼ零となるように、前記可動ウエイトを移動制御する構成である。
(チ)前記可動ウエイトは、その移動経路を、前記X線源またはX線検出器の移動方向と平行で、かつ前記回転支持体の回転軸を通らない任意の直線上に設定してある。
【請求項2】
前記重量バランス調整手段は、前記回転支持体の回転軸から前記可動ウエイトの移動経路までの距離と前記可動ウエイトの重量とに基づき作用する回転モーメントを相殺する固定ウエイトを更に含むことを特徴とする請求項1のX線CT装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−170921(P2007−170921A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366958(P2005−366958)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】