説明

Zバルブ

本発明は、パイプを通る気体または固体の流れを制御するバルブに関し、とくには高架鉄道輸送システムにおいて使用されるZバルブに関する。このバルブは、バルブが開いているときにZ字形に折り畳まれてバルブ本体へと引き込まれるベーンを、バルブステムにヒンジ接続して備えている。バルブステムの上部に配置されたバルブキャップが、パイプの内表面の輪郭に一致して妨げのない流れを可能にする。バルブが閉じられるとき、バルブステムがパイプの内部へと持ち上げられ、バルブキャップが上部の輪郭に一致してシールをもたらすように、90°回転させられる。ベーンが、Z字形からパイプの断面を完全に遮断すべく広げられ、流れを停止させる。流れを、その一部がバルブを通過できるようにベーンの広がりを変化させることによって調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプまたはダクトを通る気体または固体の流れを制御するのに使用することができるバルブに関し、さらに詳しくは、高架鉄道輸送システムにおいて使用されるZバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
高速大量地上輸送システムは、特に深刻な交通渋滞および公害問題に直面する大都市地域において、自動車などの非大量の輸送手段に比べて多くの利点を提供する。大量地上輸送は、短距離および長距離の飛行機旅行の望ましい代替手段にもなりうる。信頼性に富み、安全である高速輸送システムの必要性が、一般的に認識されているにもかかわらず、高速輸送システムの利用は、高い建設および運転コスト、ならびに効率的かつ汎用的な軽軌条システムの開発における技術的困難性によって、妨げられている。
【0003】
従来からの手法は、非大量の輸送および飛行機旅行という選択肢に対する現実的な代替案となるのに充分汎用的で、効率的でかつ費用対効果に優れた軽軌条輸送システムを生み出していない。例えば、いくつかのいわゆる軽軌条システムは、重い車台または重い駆動系が使用されていること、大きなけん引力が必要であること、大量の燃料を搭載する必要があること、などの理由で、かなり重量のある輸送モジュールを有している。けん引による駆動に頼るシステムは、急勾配による困難を抱えがちである。さらに、厳しい気象条件および汚れなどの外的な要因が、軽軌条システムの運転および保守のかなりの困難を引き起こす可能性がある。さらには、車輪を使用するけん引による駆動機構は、きわめてうるさくなりがちであり、少なからぬ摩耗を抱える。
【0004】
本発明の共同発明者のうちの1人に与えられ、本出願の譲受人に譲渡されており、参照によって本明細書に援用される特許文献1および特許文献2により、効率的かつ費用対効果に優れた軽軌条輸送システムにおける上記の困難および欠点のいくつかが克服されている。特許文献1に開示された特定の実施の形態においては、ポッドアセンブリが案内チューブの内側に配置され、その外面が、好ましくは案内チューブに沿って移動する車両を支持および案内する。移動は、チューブ内のポッドアセンブリの上流側領域と下流側領域との間に圧力差をもたらすことによって動きが発生される。この圧力差は、下流側領域に真空を生成し、あるいは上流側領域を加圧し、もしくはこの両方を行う据え置きの動力システムによって生成することができる。ポッドアセンブリの速度は、ポッドを通過する(すなわち、ポッドの上流側から下流側への)気体の流量を調節することによって制御される。ポッドアセンブリの速度が、ポッドアセンブリに作用する推力を大きくすべく、ポッドアセンブリを通過する気体の流量を減らすことによって高められ、推力を減らすべく、より大量の気体がポッドアセンブリを通って流れることができるようにすることで遅くされる。
【0005】
特許文献2は、推進ユニットを動力チューブの内側のレールに配置して備えており、摩耗および保守の問題が以前のシステムに比べて軽減されている改良された軽軌条システムを提供している。特許文献2の実施の形態においては、推進ユニットが、動力チューブの水平方向の中央部に配置されたおおむね水平方向を向いた推力キャリッジを使用しており、この推力キャリッジが、案内および重量の支持のために動力チューブの内面のレールに係合して、このレールに沿って走行する水平向きのV溝付きの車輪を備えている。傘状に配置された多数の推力ブレードによって定められるおおむね扇形の推力バルブ(その扇形の形状ゆえに、「七面鳥バルブ」と称されることもある)が、推進ユニットのキャリッジに取り付けられ、ユニットの移動方向に延びている。そのような扇形の推力バルブは、一方向において反対方向よりもはるかに効果的であり、したがって内部のキャリッジが、どちらの方向についても推進ユニットに最大限の推力をもたらすために、そのようなバルブを2つ有しており、1つずつ、キャリッジから各々の移動方向に延びている。
【0006】
推力バルブのブレードの自由端が、動力チューブの内表面に接触したり内表面から離れるように半径方向に広がることができる。広げられて動力チューブの壁に触れると、広がったブレードが動力チューブの直径全体にわたる傘状の壁(凹状および凸状の壁面を定めている)を形成する。結果として、この壁の凹側に作用する空気の圧力が、凸側に作用する圧力よりも大きいとき、推力が発生し、推力キャリッジおよび磁気カプラを介して、動力チューブの外側の輸送車両へと伝達される。特許文献2の推進ユニットは、キャリッジが動力チューブに沿って移動するときに圧力源および真空源を順次に有効および無効にするために、遠隔制御の切り替え機構を採用している。
【0007】
特許文献1および特許文献2に開示の輸送システムは、効率的かつ費用対効果に優れた軽軌条システムであるが、動力チューブの長さに沿ってさまざまな流量を可能にするより柔軟なシステムの提供、および構造的により安定なシステムの提供について、ニーズが存在する。いずれの特許も、チューブの別々の部位または領域に流量を制御する異なる圧力をもたらすための機構を開示していない。さらに、圧力源および真空源の周期的な切り替えが、システムにストレスを加え、接続地点(圧力源および真空源が動力チューブへと接続されている)を超える推力バルブの滑らかな通過を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6360670号明細書
【特許文献2】米国特許第7225743号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、動力チューブ(より一般的には、パイプ)に接続され、パイプのさまざまな部位を通過する可変の流れを提供し制御するZバルブを提供する。さらに、本発明は、バルブが開いているときに気体または固体を妨げられることなくパイプを通って流すことができるバルブを提供する。
【0010】
本発明のZバルブは、それが結合されるパイプの直径の約半分の直径を有するチューブまたはバルブ本体に収容される。バルブは、パイプの壁の円形の開口を介してパイプにアクセスし、この円形の開口もパイプの直径の約半分の直径を有している。バルブステムおよびベーンを含むバルブの構成部品が、パイプの断面を遮るためにパイプの内部へと伸ばされる。バルブが開かれると、これらの構成部品は、バルブ本体へとはまり込むように「Z字形」に機械的に折り畳まれる。次いで、折り畳まれた構成部品は、一般的には円形の開口の位置においてパイプの下方に位置しているバルブ本体内に引き込まれ、パイプの内部にいかなるバルブの構成部品も存在しない状態になる。
【0011】
バルブの上部、すなわちバルブキャップは、パイプの壁のバルブが結合された部位を基本的に置き換えて、パイプの内部を平滑かつ完全に妨げのないようにするように、パイプの内面に一致する曲率を有するように設計される。この妨げのない内部により、輸送手段またはパイプを通って移動する他の機械的なアセンブリが妨害されることなくバルブの傍らを通過することが可能となり、このことは、推力バルブがバルブの位置を通過するときでも設計どおりにパイプの側面に完全に係合できるため、上述したように推力バルブ(七面鳥バルブ)との使用にきわめて適している。
【0012】
バルブがパイプを閉じるべく作動させられると、折り畳まれた構成部品が、バルブ本体から持ち上げられてパイプの内部へ入る。これらの構成部品は、持ち上げられるときは折り畳まれたままであり、バルブキャップが、パイプの上部に密着するように90°回転させられる。バルブキャップは、さらに後述されるように回転後に流れの方向において凸状となることによってこの密着を達成する。バルブステムとバルブキャップとの組み合わせによりパイプを通る流れの約60%を遮断する。折り畳まれた構成部品がバルブ本体から完全に持ち上げられ、バルブキャップがパイプの上部に密着した後、ベーンが、Z字形にバルブステムと折り畳まれた位置から展張させられる。ベーンは、バルブステムの各側においてパイプの残りの断面を塞ぎ、パイプを通過する流れを完全に遮断するような形状となっている。
【0013】
本発明の一態様においては、バルブキャップは、一方向には凹状であり、それと交差する方向は凸状である鞍形の形状を有している。この形状により、回転による向きに応じて、2つのやり方でパイプの輪郭に一致することが可能になる。第1に、上述したように、バルブキャップが、バルブのための円形の開口が位置しているパイプの内表面と同一面かつ同軸な凹状の形状となっている。第2に、バルブキャップは、この第1の向きから90°回転されると、バルブ用の開口の上方のパイプの内表面の輪郭に一致する凸状の形状となる。したがって、バルブステムの上部に位置するバルブキャップが、伸ばされたバルブステムの上部とパイプの上部との間のすき間を封じる。
【0014】
ベーンは、ヒンジによってバルブステムに取り付けられており、パイプを通過する流れを調節するために、ベーンの展張を完全に折り畳まれたZ字形と完全に展張された位置との間で変化させることができる。ベーンは、反対の方向に展張されるように結合されており、一方のベーンが流れの方向に展張され、他方のベーンが流れに逆らって展張される。この構成は、バタフライバルブの動作と同様に、バルブの開閉時にパイプ内の圧力を均衡させる。さらに、パイプの内面には、特許文献2に記載されているように、側面からレールを突き出させてもよい。このレールに対応するように、ベーンにはレールの表面の周りに密着するように切欠きを設けることができる。
【0015】
バルブは、すべての構成部品が正しい位置に位置するように保証するために、近接スイッチまたはリミットスイッチを使用する。特に、リミットスイッチは、バルブの閉鎖時にパイプの上部を封じるためにバルブキャップが90°回転させられたことを確認し、バルブの開放時にバルブキャップがパイプの内部へと突き出したままになることがないように、バルブが反対方向に90°回転させられたことを確認する。さらに、リミットスイッチは、ベーンがZ字形へと適切に折り畳まれているか否かを判断するためにも使用される。これは、バルブの開放時に折り畳まれた構成部品をバルブ本体内に納めるためと、その折り畳まれた構成部品をバルブの閉鎖時にバルブ本体から持ち上げるための両方の場合に必要である。
【0016】
本発明の別の態様においては、バルブは、その全重量が、バルブが結合されたパイプによってではなく、トラスアセンブリによって支持されるように取り付けられる。取り付け板および吊り下げ棒がこのトラスアセンブリとなり、パイプと整列するようにバルブの位置を調節できるようにしている。このバルブは、さまざまな断面の直径を有するパイプに対応することが可能であり、駆動部品(油圧式またはねじ式のアクチュエータなど)によって制御することが可能である。さらなる態様においては、漏れを最小にするために、バルブのシール部のすべてに沿い、基本的にはパイプと接触するすべての部位に沿って、弾性シールが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】パイプに結合されたZバルブの部分断面側面図で、バルブが開位置の状態を示す。
【図1B】パイプに結合されたZバルブの部分断面正面図で、バルブが閉位置の状態を示す。
【図1C】バルブの上面図であり、トラスアセンブリおよび油圧シリンダを示す。
【図2A】バルブキャップの斜視図を示す。
【図2B】互いに直交する2つの角度からのキャップの側面図を示す。
【図2C】互いに直交する2つの角度からのキャップの側面図を示す。
【図3A】折り畳まれた位置にあるバルブステムおよびベーンの上面図である。
【図3B】パイプの内部で一実施の形態の閉位置にあるバルブの側面図である。
【図3C】バルブステムおよびバルブキャップの断面図である。
【図4A】パイプの内部で別の実施の形態の閉位置にあるバルブの側面図である。
【図4B】1つの実施形態におけるバルブステムおよびベーンの上面図である。
【図5A】展張位置にあるバルブステムおよびベーンの上面図であり、クランクアームおよびリミットスイッチを示す。
【図5B】図5Aの一部分の拡大図であり、リミットスイッチのさらなる詳細を示す。
【図6A】閉位置にあるバルブの一部分を示しており、バルブの上面図を示す。
【図6B】閉位置にあるバルブの一部分を示しており、クランクアームおよび接続棒をさらに詳しく示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aに示されているように、バルブ10は、パイプ12に結合され、断面を遮断または部分的に遮断することによってパイプ12内の圧力または流れを制御するZバルブである。バルブ10は、パイプ12の内径Dの約半分または半分未満の直径を有するチューブであるバルブ本体14を備えている。バルブ本体14が、さらに後述されるとおり、パイプ12の下部四分円の円形の開口26によってパイプ12へと接続されている。さらにバルブ10は、バルブステム16にヒンジで取り付けられたベーン18および20を備えている(ベーンは、図1Aには示されておらず、図3A、図4A、4Bも示されている)。バルブ10が開位置にあるときは、バルブステム16ならびにベーン18および20は、バルブ本体14へとはまり込むようにZ字形に機械的に折り畳まれている。Z字形に折り畳まれたこれらの構成部品が、図3Aに示されている。バルブ10が開いているときは、パイプ12の内表面22を遮るものはない。
【0019】
図1Aおよび4Aに示されるとおり、バルブステム16の上方のバルブの上部は、バルブキャップ24である。バルブキャップ24は、パイプ12の内表面22の一部分の曲率に一致する鞍形に形成される。図2Aが、バルブキャップ24の斜視図を示しており、図2Bおよび2Cが、互いに垂直な2つの角度からのキャップの側面図を示している。バルブキャップ24の鞍形が、或る方向からの側面について見たときに凹状(図2B)であり、先の方向に垂直な方向からの側面について見たときに凸状(図2C)であり、高い地点78および低い地点80を有している。直上から見たとき、バルブキャップ24は、パイプ12の円形の開口26のサイズに一致する円形の形状を有している。バルブ10が開位置にあるとき、バルブキャップ24は、その凹状の側面がパイプ12を通る流れの方向に位置する(すなわち、低い地点80を結ぶ線が流れに平行になる)ように、パイプ12に一致してパイプ12に同軸に向けられる。バルブキャップ24が、パイプの壁の該当の部位を基本的に置き換えることによって、円形の開口26を塞いでいる。
【0020】
バルブ10が開いているとき(図1A)、バルブステム16ならびにベーン18および20がZ字形へと折り畳まれて、バルブ本体14へと引き込まれ、バルブキャップ24が円形の開口26を塞いでいる状態で、バルブのいかなる構成部品も、パイプ12の内部へと突き出していない。結果として、そのパイプ12が、そのパイプ12の全直径を通る流れがバルブ10の位置を通過するときに安定かつ乱されないままであることができる滑らかな内表面を有している。
【0021】
一般に、バルブ10は、ただ1つの指令ロジックによってバルブの順次的な開放または閉鎖が可能であるように、関連の駆動部品(油圧シリンダおよび回転アクチュエータなど)と位置検出装置(リミットスイッチなど)とを備えている3つの主要な位置決め機構を有している。3つの主要な位置決め機構は、折り畳まれた部品(バルブステム16ならびにベーン18および20)をバルブ本体14に出し入れすること、ベーン18および20をZ字形から閉位置へと伸ばすこと、およびバルブキャップ24を回転させることを含んでいる。
【0022】
バルブ10によってパイプ12を閉鎖するプロセスは、バルブステム16を開口26を通ってパイプ12の中心へと上昇させ、パイプの上部をバルブキャップ24によって封じ、ベーン18および20を伸ばしてパイプの側方を封じることを含む。この閉鎖のプロセスを実行するために、バルブ10がパイプ12を閉鎖すべく作動させられた後で、最初にリミットスイッチ28(図4B)が、ベーン18および20がバルブステム16とのZ字形へと折り畳まれていることを示さなければならない。リミットスイッチ28が、ベーン18および20が所定の位置にある旨を示している場合に限り、バルブステム16を、パイプ12の中心へと上昇させることができる。バルブ10がパイプ12を閉鎖すべく作動させられ、リミットスイッチ28が、ベーン18および20が所定の位置にある旨を示しているとき、リミットスイッチ46(図1A)および32(図3A)が作動させられる。
【0023】
リミットスイッチ46が作動させられたとき、バルブキャップ24が、バルブ10の中心を通って垂直に延びる軸(図1Aに示されている垂直軸)を中心にして、90°回転させられる。回転により、バルブキャップ24の凸状の側面が、パイプ12を通る流れの方向に向けられ(すなわち、図2A〜2Cの高い地点80を結ぶ線が流れに平行になり)、この向きは、パイプの上部との密着をもたらす。一般的には、バルブステム16の上昇を開始させる前にバルブキャップ24の回転を完了させることがより簡単であるが、バルブステム16を上昇させつつバルブキャップ24を回転させることも可能である。図6Bが、バルブキャップ24が、ロータアーム82および真ちゅうフランジベアリング84を介して90°の回転アクチュエータ30へと接続されている旨を示している。したがって、リミットスイッチ46を作動させることで、回転アクチュエータ30がバルブキャップ24を90°回転させる。回転アクチュエータの代わりに、バルブキャップ24を、油圧シリンダ(図示されていない)を使用して回転させてもよい。油圧シリンダは、サイズの大きいバルブに適した回転アクチュエータにくらべてより低コストであるため、バルブ10が大径のパイプ12に設置される場合に、バルブキャップ24を回転させるためにとくに好ましい。
【0024】
リミットスイッチ32が作動させられると、油圧シリンダ34(図1A)が引き込まれ、バルブステム16が、図1Bに示されている閉位置へと上方に移動する。閉鎖プロセスのこの時点で、バルブステム16およびバルブキャップ24は閉位置にあるが、ベーン18および20は折り畳まれたままであり、したがってパイプ12の断面の約60%だけが、バルブ10によって遮られている。バルブステム16が、バルブ10が閉位置において上部に追加の支持を必要とすることなく片持ち梁の圧力の荷重に耐えることを可能にする中央の支持構造を、バルブ10にもたらしている。バルブのこの特徴は、動力チューブの上部の壁を比較的薄い肉厚にできるため、上述のように軽軌条システムの動力チューブにおいて使用するためにとくに好都合である。薄い壁は、(特許文献2に記載されているように)磁気カプラを輸送車両へと結合させるための磁気窓のために好ましい。
【0025】
リミットスイッチ36が、バルブステム16およびバルブキャップ24が完全に上昇した位置に達したことを知らせ、バルブ10の閉鎖を完全にするためにベーン18および20を伸ばすように合図する。ベーン18および20は、図4Aに示されるように、クランクアーム40および接続棒42によってベーン18および20へと接続された回転アクチュエータ38の動作によって、閉位置へと動かされる。
【0026】
クランクアーム40の各々の端部が、ヒンジ86において接続棒42へと接続されている。接続棒42は、好ましくは、図4Bに示されるようにわずかに曲がった形状を有している。各々の接続棒42が、ベーン18および20の一方へとハンドル88(図4Aにも示されている)において接続されている。ハンドル88は、構成部品をZ字形へとよりぴったりと折り畳むことを可能にするベーン18および20のくぼみに形成されている。ベーン18および20は、クランクアーム40が回転(好ましくは、図6Aに示されるように、60°の回転)することで、接続棒42がハンドル88においてベーンへと力を作用させるときに展張される。この力が、近位端においてヒンジ90(ベーンをバルブステム16へと接続する)へと取り付けられているベーン18および20の遠位端を円弧状に移動させ、結果としてベーンが閉位置へと広げられる。
【0027】
図4Bは、説明の目的のために、ベーン18を閉位置(広げられた位置)に示し、ベーン20を開位置(折り畳まれた位置)に示しているが、実際には、ベーンは、どちらもクランクアーム40へと接続され、クランクアーム40がベーンを同時に動かすため、一緒に開閉される。さらに、図3Aおよび4Bに示されるとおり、ベーン18および20をつなぐリンクが、一方のベーンが流れに従って開き、一方のベーンが流れに逆らって開くようなリンクであり、バルブ10の開放および閉鎖時の圧力の平衡を可能にしている。
【0028】
ベーン18および20が完全に広げられたとき、リミットスイッチ44(図5A)が、バルブ10が閉位置にあることを知らせる。図5Bにさらに詳しく示されているとおり、ベーン20が、ヒンジ90から真っ直ぐに突き出しているときにピン92に接触する。ピン92は、第1の端部をヒンジ90に接続し、第2の端部をリミットスイッチ44に接続して配置されている。したがって、ベーン20が完全に広げられたとき、ベーン20がリミットスイッチ44を作動させる。
【0029】
閉位置において、パイプ12を通る流れは、流れを調節するためにベーン18および20の展張が変更される場合を除き、遮断される。すなわち、バルブ10を、ベーン18および20の展張がどのように制御されるかに応じて、遮断バルブまたは絞りバルブのいずれかとして使用することが可能である。
【0030】
バルブ10を再び開くためには、ベーン18および20を、最初にバルブステム16とのZ字形へと完全に折り畳まなければならず、これが上述のとおりリミットスイッチ28によって知らされる。ひとたびリミットスイッチ28が、これらの構成部品が適切に折り畳まれた旨を知らせると、油圧シリンダ34が、図1Aに示されているとおりの開位置へと伸ばされる。油圧シリンダ34が伸びることで、バルブステム16ならびにベーン18および20を含む折り畳まれた構成部品が、パイプ12から引き出される。折り畳まれた構成部品がバルブ本体14へと完全に引き込まれると、リミットスイッチ46が作動し、バルブキャップ24を90°回転させる。次いで、バルブキャップ24が、パイプ12の下部四分円と同軸および同一面に配置され、円形の開口26を埋めるように整列させられる。折り畳まれた構成部品が完全に引き込まれ、バルブキャップ24が整列させられたとき、リミットスイッチ48(図3A)が作動し、バルブ10が開いており、気体または固体が妨げられることなくパイプ12を通って移動できる旨を知らせる。
【0031】
バルブの閉鎖時のバルブキャップ24の回転に関して上述したように、一般的には、バルブ10が完全に開いた位置にあるときに(すなわち、閉鎖時にはバルブステム16を上昇させる前に、開放時にはバルブステム16を引っ込めた後に)にバルブキャップ24を回転させることがより簡単である。しかしながら、バルブ10の開放時に、折り畳まれた構成部品をバルブ本体14へと引き込みながら、バルブキャップ24を回転させるべくリミットスイッチ46を作動させることも可能である。
【0032】
本発明の一実施形態においては、ベーン18および20には、パイプ12の側面から突き出しているレール50を受け入れるために、切り欠きが設けられている。上述したように、これらのレール50は、バルブ10が特に適している軽軌条輸送システムとともに利用される。ベーン18および20を、レールまたは他の機械的な突起をパイプ12の内壁の約78%に取り付けできるように調節することができる。バルブ10が閉じられたときのパイプ12を通過する漏れを最小限にするために、バルブ10のシール面のすべてに、適切な弾性シール(図示されていない)が設けられる。バルブ10は、例えば0.844kg/cm(12psi)の圧力から0.844kg/cm(12psi)の真空までの範囲のシステムなど、大流量の低圧システムにおいてとくに有用である。
【0033】
バルブ10は、図1Aおよび1Bに示されているトラスアセンブリ52によってパイプ12に結合される。バルブ本体14が、吊り下げ棒56を固定するためにも機能するシリンダ取り付け板54に溶接される。4本の吊り下げ棒56が、取り付け板58に取り付けられ、したがってバルブ10の全重量が、パイプ12によってではなく、トラスアセンブリ52によって支持される。ねじ山付きの吊り下げ棒56の上端のダブルナット60が、パイプ12に取り付けられるクレードル62へのバルブ10の水平出しおよび垂直方向の調節を可能にしている。クレードル62は、バルブ本体14とクレードル62との間のシールをもたらすために、Oリング溝64およびOリング66(図4A)を含んでいる。バルブ10は、周状のフランジまたは溶接部を追加することなくパイプへと直接に接続することができるように、トラスアセンブリ52およびクレードル62によってパイプ12へと堅固に接続される。直接の接続は、バルブ10を最小限のシステム停止時間でパイプ12へと追加することを可能にし、設置のほぼすべてをパイプ12を閉鎖することなく完了させることを可能にする。
【0034】
バルブステム16は、上側ガイド68および下側ガイド70(図3Bおよび図6B)によってバルブ本体14の内側を案内される。下側ガイド70は、図6Bに示されるように、パイプ12への漏れまたはパイプ12からの漏れを防止するために、その外径にOリング72を備え、その内径にOリング74を備えている。バルブ10の内部に取り付けられ、バルブステムヨーク76においてバルブステム16の底部から出るスイッチからのすべての油圧配管および配線も、適切な金具によってシールされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径を有するパイプを通過する流れを制御するためのバルブであって、
パイプに隣接して配置され、パイプの直径の約半分の直径を有しているバルブ本体と、
前記バルブ本体に係合したバルブステムと、
前記バルブステムに係合しており、当該バルブが開位置にあるときに折り畳まれ、前記バルブステムとともに前記バルブ本体の内部にはまり込むZ字形を形成するように構成されているベーンと、
鞍形を有しており、前記バルブの開位置と前記バルブの閉位置との間で90°回転させられるバルブキャップと、
を備えたことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記バルブキャップが、前記バルブが開位置にあるときは凹状の形状を流れの方向に有し、前記バルブが閉位置にあるときは凸状の形状を流れの方向に有する、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記凹状の形状が、前記バルブが開位置にあるとき、パイプの内表面と同一面かつ同軸であり、妨げのない流れを可能にする、請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記凸状の形状がパイプの内表面と同一面かつ同軸である、請求項2に記載のパイプ。
【請求項5】
前記バルブステムが、前記バルブ本体の内側に配置され、前記バルブ本体からほぼパイプの直径である距離だけ延びている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記ベーンが、前記バルブが閉位置にあるとき、前記バルブステムと前記ベーンとでパイプの断面が遮断されることによって流れが妨げられるように広がる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記バルブステムおよび前記ベーンが、流れが完全に妨げられるようにパイプの断面に一致する形状を形成する、請求項6に記載のバルブ。
【請求項8】
前記ベーンが、パイプを通過する流れの一部だけが妨げられるように途中まで広がる、請求項6に記載のバルブ。
【請求項9】
前記ベーンの広がりが、パイプを通過する流れが調節されるように変化させられる、請求項8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記ベーンが、反対方向に広がるようにつなぎ合わせられている、請求項6に記載のバルブ。
【請求項11】
前記ベーンが、前記バルブステムへとヒンジで取り付けられている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項12】
前記ベーンが、パイプの内表面に位置するレールに係合するように構成された切欠きをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項13】
前記バルブステムおよびベーンがZ字形に折り畳まれた旨を知らせるように構成された少なくとも1つのリミットスイッチをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項14】
前記バルブキャップの向きを知らせるように構成された少なくとも1つのリミットスイッチをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項15】
前記バルブが閉位置にある旨を知らせるように構成された少なくとも1つのリミットスイッチをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項16】
前記バルブが開位置にある旨を知らせるように構成された少なくとも1つのリミットスイッチをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項17】
取り付け板と吊り下げ棒とを有するトラスアセンブリをさらに備えており、全体が前記該トラスアセンブリによって支持されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項18】
前記吊り下げ棒に組み合わせられ、前記バルブの垂直方向の調節を可能にしているダブルナットをさらに備えている、請求項17に記載のバルブ。
【請求項19】
前記パイプを通過する流れが気体を含んでいる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項20】
前記パイプを通過する流れが固体を含んでいる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項21】
前記バルブのパイプに接するように構成された部位に沿って配置された弾性シールをさらに備えている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項22】
直径を有するパイプを通過する流れを制御するためのバルブであって、
パイプに隣接して配置され、パイプの直径の約半分の直径を有しているバルブ本体と、
前記バルブ本体に係合したバルブステムと、
前記バルブステムに係合したベーンと、
クランクアームと接続棒とによって前記ベーンへと接続され、前記バルブが開位置にあるときに、前記バルブステムおよび前記ベーンを前記バルブ本体の内部にはまり込むZ字形へと折り畳むべく前記クランクアームおよび接続棒を動かす駆動部品と、
鞍形を有しており、前記バルブの開位置と前記バルブの閉位置との間で90°回転させられるバルブキャップと、
を備えているバルブ。
【請求項23】
前記駆動部品が回転アクチュエータを含んでいる、請求項22に記載のバルブ。
【請求項24】
前記駆動部品が油圧シリンダを含んでいる、請求項22に記載のバルブ。
【請求項25】
直径を有するパイプを通過する流れを制御するためのバルブであって、
パイプに隣接して配置され、パイプの直径の約半分の直径を有しているバルブ本体と、
前記バルブ本体に係合したバルブステムと、
前記バルブステムに係合しており、前記バルブが開位置にあるときに折り畳まれ、前記バルブステムとともに前記バルブ本体の内部にはまり込むZ字形を形成するベーンと、
鞍形を有しているバルブキャップと、
ロータアームとフランジベアリングとによって前記バルブキャップに接続されており、前記バルブの開位置と前記バルブの閉位置との間で前記バルブキャップを90°回転させる駆動部品と、
を備えているバルブ。
【請求項26】
前記駆動部品が、前記駆動部品を作動させるリミットスイッチに接続されている、請求項25に記載のバルブ。
【請求項27】
パイプを通過する流れを制御するための方法であって、
パイプに隣接して位置するバルブ本体と、前記バルブ本体に係合したバルブステムと、前記バルブステムに係合したベーンと、鞍形を有しているバルブキャップと、有しているバルブを設けるステップと、
前記バルブを開閉することによってパイプを通過する流れを調節するステップと、
を含んでおり、
クランクアームを動かして前記ベーンを前記バルブステムとZ字形に折り畳み、該折り畳まれたバルブステムおよびベーンを前記バルブ本体へと引き込み、前記バルブキャップがパイプの内表面と同一面かつ同軸になって、パイプを通過する流れが妨げられなくなるように、前記バルブキャップを90°回転させてパイプの内表面に整列させることによって、前記バルブが開かれ、
前記折り畳まれたバルブステムおよびベーンを前記バルブ本体から上昇させ、前記バルブキャップを90°回転させてパイプの上部に整列させ、パイプを通過する流れを停止させるようにパイプの断面を遮断すべく前記ベーンを広げることによって、前記バルブが閉じられる方法。
【請求項28】
流れが、前記ベーンの広がりをパイプの断面を部分的に遮断するように変化させることによって調節される請求項27に記載のパイプを通過する流れを制御するための方法。
【請求項29】
パイプを通過する流れを制御するための方法であって、
パイプに隣接して位置するバルブ本体と、前記バルブ本体に係合したバルブステムと、前記バルブステムに係合したベーンと、鞍形を有しているバルブキャップと、有しているバルブを設けるステップと、
前記バルブを開閉することによってパイプを通過する流れを調節するステップと、
を含んでおり、
バルブの開放が、
クランクアームを回転させて前記ベーンへと接続された接続棒を動かすべく、第1の駆動部品を作動させ、
前記ベーンを前記バルブステムとのZ字形に折り畳み、
前記折り畳まれたバルブステムおよびベーンへと接続された油圧シリンダを引き込むべく、第1のリミットスイッチを作動させ、
前記折り畳まれたバルブステムおよびベーンを前記バルブ本体へと引き込み、
第2の駆動部品を関与させるべく第2のリミットスイッチを作動させ、
前記バルブキャップがパイプの内表面と同一面かつ同軸になって、パイプを通過する流れが妨げられなくなるように、前記バルブキャップを90°回転させてパイプの内表面に整列させる
ことによって行われ、
バルブの閉鎖が、
第2の駆動部品を関与させるべく前記第2のリミットスイッチを作動させ、
前記バルブキャップをパイプの上部に整列するように90°回転させ、
前記油圧シリンダを伸ばすべく第1のリミットスイッチを作動させ、
前記折り畳まれたバルブステムおよびベーンを前記バルブ本体から上昇させ、
前記クランクアームを回転させて前記ベーンへと接続された前記接続棒を動かすべく、前記第1の駆動部品を作動させ、
パイプを通過する流れを停止させるようにパイプの断面を遮断すべく前記ベーンを広げる
ことによって行われる方法。
【請求項30】
前記第1および第2の駆動部品が、回転アクチュエータである、請求項29に記載のパイプを通過する流れを制御するための方法。
【請求項31】
前記第1および第2の駆動部品が、油圧シリンダである、請求項29に記載のパイプを通過する流れを制御するための方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2011−518297(P2011−518297A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505156(P2011−505156)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/040610
【国際公開番号】WO2009/131878
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(505444695)フライト レール コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】