説明

[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体とその用途

一般式(1)


で表される本発明の新規[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体,そのプロドラッグ又はそれらの医薬上許容される塩は,抗原提示阻害作用を有し,臓器・骨髄移植における拒絶反応及び/又は移植片対宿主反応,自己免疫疾患,アレルギー性疾患及び/又は炎症性疾患の予防薬及び/又は治療薬,抗悪性腫瘍剤,並びに移植臓器・移植骨髄の免疫寛容誘導剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその薬理学上許容される塩と,それを用いた免疫抑制剤若しくは免疫寛容誘導剤に関する。免疫抑制剤としては,自己免疫疾患,アレルギー性疾患,組織炎症を伴う疾患,臓器移植又は骨髄移植の際の拒絶反応及び移植片対宿主反応等に対する治療若しくは予防のために用いることができる。免疫寛容誘導剤としては,臓器移植又は骨髄移植の移植患者に移植臓器又は移植骨髄を生着するために用いることができる。更に,抗悪性腫瘍剤としても用いることができる。
【背景技術】
【0002】
現在,免疫抑制剤,例えばステロイド剤,シクロスポリンA,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル,ミゾリビン,デオキシスパガリン等が,移植拒絶反応,自己免疫疾患,アレルギー性疾患,及び各種自己免疫疾患等の治療や予防のために使用されている。
古くから抗炎症剤として使用されているステロイド剤は,近年大量投与によりマクロファージ及びリンパ球に作用して免疫抑制作用を発揮することが知られる様になった。
【0003】
シクロスポリンAとタクロリムスは,リンパ球の調節因子であるサイトカインの産生を抑制することで免疫抑制作用を発揮する。
シクロスポリンAは,腎移植・肝移植・骨髄移植・心移植における拒絶反応の抑制,ベーチェット病,乾癬,再生不良性貧血,ネフローゼ症候群に対して投与されている。
タクロリムスは,より強力なサイトカイン産生抑制剤として,腎移植・肝移植・骨髄移植・心移植における拒絶反応の抑制,アトピー性皮膚炎,重症筋無力症に対して投与されている。
【0004】
ミコフェノール酸モフェチル及びミゾリビンは,リンパ球の核酸代謝拮抗作用により免疫抑制作用を発揮する。
ミコフェノール酸モフェチルは腎移植拒絶反応の抑制に,ミゾリビンは腎移植拒絶反応の抑制,ネフローゼ症候群,ループス腎炎,慢性関節リウマチに用いられている。
【0005】
デオキシスパガリンは,抗体産生及びリンパ球の機能を阻害することで免疫抑制作用を発揮し,腎移植後の拒絶反応の治療に用いられている。
【0006】
免疫抑制剤は,上記の適応疾患以外の自己免疫疾患に対しても有効であり,例えば,シクロスポリンAでは適応疾患以外に,アトピー性皮膚疾患,自己免疫性肝炎,クローン病,潰瘍性大腸炎,重症筋無力症,多発性硬化症,関節リウマチ,インスリン依存性糖尿病等の疾患に対して有効であることが報告されている。
【0007】
ところで,上記疾患では自己に有害な免疫現象が,病態を引き起こす抗原の提示を介して起きている。例えば,自己免疫疾患では,自己抗原若しくは自己抗原類似の外来抗原が,抗原提示細胞の1つである樹状細胞により免疫担当細胞に提示されることにより,自己抗原に対する免疫応答が惹起されて自己組織の破壊が起きていると考えられている。
【0008】
又,炎症性疾患であるリウマチにおいても,患者の関節病変部位に抗原提示細胞である樹状細胞の集積がみとめられており,抗原の提示が発症,増悪に関与していると考えられている。
【0009】
又,標的抗原を発現する細胞をT細胞が認識する際も,MHC(major histocompatibility complex;主要組織適合(遺伝子)複合体)を介して行われるため,自己免疫疾患や炎症性疾患においても,抗原の提示が病変部位でのT細胞の活性化や組織傷害に関与していると考えられる。これらの事実から,自己抗原若しくは自己抗原類似の外来抗原の提示を阻害することにより,自己免疫疾患等の治療又は予防をすることができる。
【0010】
更に,抗原を提示する樹状細胞の成熟段階のちがいにより免疫寛容が誘導されることが報告されている。成熟樹状細胞が細胞障害性活性やサイトカイン産生能をもつエフェクターTリンパ球を誘導するのに対し,未熟樹状細胞は調節性又は抑制性T細胞を誘導し,免疫寛容の誘導・維持に大きな役割を担っていると考えられている。よって,抗原を提示する細胞(以下,抗原提示細胞と記す)の成熟を抑制すると未熟樹状細胞が増加し免疫寛容が誘導されると考えられる。
【非特許文献1】ルドビックら「カレント オピニオン イン イムノロジー」2001年第13巻657頁(Ludewig,B.et al.,Current Opinion in Immunology,vol.13,p657(2001))
【非特許文献2】トーマスら「ジャーナル オブ ロイコサイツ バイオロジー」1999年第66巻286頁(Thomas,R.et al.,Journal of Leukocytes Biology,vol.66,p286(1999))
【非特許文献3】免疫学イラストレイテッド(第5版),Roitt,I.et al.,多田富雄監訳,南江堂(2000年),128〜131頁及び355〜358頁
【非特許文献4】ラルフら「プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンスイズ」2002年第99巻351頁(Ralph,M.S.et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,vol.99,351(2002))
【発明の開示】
【0011】
上記のように自己免疫疾患,アレルギー性疾患,組織炎症性疾患,及び臓器移植又は骨髄移植の拒絶反応等では抗原提示細胞による病態を引き起こす抗原の提示が関与しており,抗原提示分子の発現を阻害すること又は抗原を提示する細胞による抗原提示を修飾することにより,異常若しくは過剰な免疫応答を抑制できることが考えられるが,現在そのような化合物は知られていない。
抗原提示は免疫系に特異的な機能であり,抗原提示阻害/修飾作用を特異的に阻害する物質は免疫系以外に対する作用,即ち,現在知られている免疫抑制剤で認められるような副作用を示さないと考えられる。
又,抗原を提示する樹状細胞の成熟を抑制すると,未熟樹状細胞が増加し免疫寛容が誘導されることが考えられるが,現在そのような化合物は知られていない。
【0012】
本発明の目的は,抗原の提示を阻害・修飾することにより,有害な免疫応答を抑制する副作用の少ない免疫抑制剤又は免疫寛容誘導剤を提供することにある。
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果,[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体が抗原提示細胞による抗原提示を阻害し免疫抑制作用を有することを見出し,該化合物がリンパ球増殖応答を抑制することから,免疫疾患の治療剤又は予防剤に適用できることを見出し,本発明を完成した。
又,該化合物は抗原提示に関与する抗原提示共役分子の発現を抑制することから,免疫寛容誘導剤として使用できることを見出し,本発明を完成した。該化合物は,リンパ腫細胞株細胞に対して細胞障害活性を有することから抗悪性腫瘍剤としても使用できることを見出し,本発明を完成した。
【0014】
即ち本発明は,
1)下記一般式(1)
【0015】

【0016】
[式中,Arは置換基を有していてもよい,芳香族炭化水素基又は1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基を示し,XはO,S,NH,N−CH又はN−CNを示し,Rは水素原子,シアノ基,置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその薬理学上許容される塩;
【0017】
2)一般式(1)のArの置換基がハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,ニトロ基,(C1〜C6)アルキル基,O−R1{R1は,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ基,2−{2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ}エトキシ基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,NR2R3(R2,R3は各々独立して水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ基,芳香族炭化水素基,及びオキソ基又は(C1〜C6)アルキル基が置換していてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環からなる置換基群[A]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基を表す}で表されるアルコキシル基,NR2R3{R2,R3は前記と同じ意味を示す}で表されるアミノ基,(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい5〜7員の飽和環状アミノ基,エチレンオキシ基及び(C1〜C2)アルキレンジオキシ基からなる置換基群[B]より選ばれる同一又は異なった1〜4個の基であり,
Rの置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基が,下記式(2)〜(6)のいずれかの式で表される基である上記1)記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその薬理学上許容される塩;
【0018】

【0019】
[式中,R4は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C2〜C10)アルケニル基,(C2〜C10)アルキニル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R5は,水素又はメチル基を示し;
R6は,水素原子,(C1〜C10)アルキル基{当該アルキル基は,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,ハロゲノ(C1〜C3)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,トリフルオロメチル基,シアノ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,フェニルスルファニル基,トルエン−4−スルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,フェニルスルフィニル基,トルエン−4−スルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,フェニルスルホニル基,トルエン−4−スルホニル基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,NR13R14(R13,R14は各々独立して水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,アセトキシイソブチリル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ基,芳香族炭化水素基,及びオキソ基又は(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基からなる置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよい},(C2〜C10)アルケニル基(当該アルケニル基は,前記置換基群[C]から選択される置換基を1〜4個有していてもよい),(C2〜C10)アルキニル基(当該アルキニル基は,前記置換基群[C]から選択される置換基を1〜4個有していてもよい),若しくはN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]:
【0020】

【0021】
[式中,R7は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R8は,オキソ基又は(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基を示し;
pは1〜3の整数を示し,qは0〜3の整数を示す}:
【0022】

【0023】
[式中,R9は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C2〜C10)アルケニル基,(C2〜C10)アルキニル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R10は,ハロゲノ基,水酸基,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ基,テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ基,ベンジルオキシ基,メチレンジオキシ基,(C1〜C7)アシル基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,シアノ基,ニトロ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニルオキシ基,ベンジルオキシカルボニルオキシ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニルメトキシ基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,ピリジン−2−イルメトキシ基,ピリジン−3−イルメトキシ基,ピリジン−4−イルメトキシ基,及びNR2R3(R2,R3は前記と同じ意味を示す)で表されるアミノ基からなる置換基群[D]から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す]:
【0024】

【0025】
[式中,Cyは,ハロゲノ基,水酸基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルキル基,フェニル基,ベンジル基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,シアノ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,及びNR2R3(R2,R3は前記と同じ意味を示す)で表されるアミノ基からなる置換基群[E]より選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよい,フェニル基,(C3〜C10)シクロアルキル基,1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル基又はN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]:
【0026】

【0027】
[式中,Yは,単結合又は側鎖を保護されていてもよいα−アミノ酸残基を示し;
R11は,保護基によって保護されていてもよいアミノ酸側鎖を示し;
R12は,水酸基,(C1〜C6)アルコキシル基,ベンジルオキシ基,アミノ基,ヒドロキシルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよい(C1〜C6)アルキルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよいジ(C1〜C6)アルキルアミノ基,シクロヘキシルメチルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルアミノ基,若しくは,オキソ基,(C1〜C6)アルキル基,フェニル基及びベンジル基からなる置換基群[F]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基を示す]:
【0028】
3)一般式(1)のArが,フルオロ基,クロロ基,水酸基,メチル基,シアノ基,トリフルオロメチル基,メトキシ基,エトキシ基,イソプロポキシ基,シクロプロポキシ基,イソブトキシ基,ベンジルオキシ基,2−メトキシエトキシ基,2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基,2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基,テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ基,テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ基,2−[1,3]ジオキサン−2−イルエトキシ基,2−ジメチルアミノエトキシ基,3−ジメチルアミノプロピル基,2−ジエチルアミノエトキシ基,3−ジエチルアミノプロピル基,2−モルホリン−4−イル−2−オキソエトキシ基,2−ピペリジン−1−イルエトキシ基,3−ピペリジン−1−イルプロポキシ基,2−モルホリン−4−イルエトキシ基,3−モルホリン−4−イルプロポキシ基,2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ基,3−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ基,ピリジン−2−イルメトキシ基,ピリジン−3−イルメトキシ基,ピリジン−4−イルメトキシ基,アミノ基,ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,アセチルアミノ基,ピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,4−メチルピペラジン−1−イル基,モルホリン−4−イル基及びメチレンジオキシ基からなる置換基群[G]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基,2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,1−オキシピリジン−3−イル基,1−オキシピリジン−4−イル基,チオフェン−2−イル基若しくはチオフェン−3−イル基であり;
Xが,O又はSであり;
Rが,式(2)におけるR4が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R5が水素であり,R6が,フルオロ基,トリフルオロメチル基,水酸基,メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,イソプロポキシ基,イソブトキシ基,tert−ブトキシ基,2−メトキシエトキシ基,フルオロメトキシ基,ジフルオロメトキシ基,トリフルオロメトキシ基,2,2,2−トリフルオロエトキシ基,1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基,アセチル基,プロピオニル基,シアノ基,メタンスルホニル基,エタンスルホニル基,N,N−ジメチルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,テトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基及び2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル基からなる置換基群[H]から選ばれる同一又は異なった置換基を1〜2個有していてもよい(C1〜C6)アルキル基である基か,
式(3)におけるR7が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R8がテトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基又は2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル基であり,pとqの和が4以下の整数である基か,
若しくは,式(4)におけるR9が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R10が水酸基,メトキシ基,トリフルオロメトキシ基,メチレンジオキシ基及びメタンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有するフェニル基である上記2)に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩;
【0029】
4)一般式(1)のArが,3−ヒドロキシフェニル基,3−メトキシフェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,4−メトキシフェニル基,3,4−メチレンジオキシフェニル基,3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル基,4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基又はチオフェン−2−イル基であり;
Xが,Oであり;
Rが,イソプロピル基,2−メトキシ−1−メチルエチル基,2−エトキシ−1−メチルエチル基,2−プロポキシ−1−メチルエチル基,3−メトキシ−1−メチルプロピル基,3−エトキシ−1−メチルプロピル基,4−メトキシ−1−メチルブチル基,1−メチル−2−トリフルオロメトキシエチル基,1−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル基,1−メチル−3−トリフルオロメトキシプロピル基,4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,5−メトキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,1−メチル−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)エチル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)エチル基,1−メチル−3−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)プロピル基,1−メチル−4−オキソペンチル基,1−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(3−メトキシフェニル)エチル基,1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基,1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基又は1−(3−メタンスルホニルオキシフェニル)エチル基である上記1)〜3)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩;
【0030】
5)一般式(1)のRが,イソプロピル基,(S)−2−メトキシ−1−メチルエチル基,(S)−3−メトキシ−1−メチルプロピル基,(S)−3−エトキシ−1−メチルプロピル基,(S)−4−メトキシ−1−メチルブチル基,(S)−4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,(S)−5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチル基,(S)−1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基又は(S)−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基である上記4)記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩;
6)1−イソプロピル−3−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレア;
(S)−1−(3−エトキシ−1−メチルプロピル)−3−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(4−メトキシ−1−メチルブチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル]−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア;
又はそれらの医薬上許容される塩;
【0031】
7)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする医薬;
8)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗原提示阻害剤;
9)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする免疫抑制剤;
10)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするリンパ球増殖阻害剤;
11)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする細胞の分化・成熟阻害剤;
【0032】
12)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする移植拒絶反応又は移植片対宿主反応病の治療剤若しくは予防剤;
13)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする免疫寛容誘導剤;
14)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする自己免疫疾患治療剤又は予防剤;
15)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする関節リウマチ,多発性硬化症,全身性エリテマトーデス,円板状エリテマトーデス,シェーグレン症候群,クローン病,潰瘍性大腸炎,特発性血小板減少症,再生不良性貧血,自己免疫性肝炎,インスリン依存性糖尿病,重症筋無力症,多発性筋炎,強皮症,混合性結合組織病,強直性脊椎炎,又は慢性甲状腺炎の治療剤若しくは予防剤;
【0033】
16)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするアレルギー性疾患治療剤又は予防剤;
17)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするアトピー性皮膚疾患,花粉症,接触性過敏症,喘息,乾癬,又はアナフィラキシーの治療剤若しくは予防剤;
18)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする炎症性疾患に対する治療剤又は予防剤;
19)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするベーチェット病,多発動脈炎,サルコイドーシス,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,難治性血管炎,又はウェゲナー症候群の治療剤若しくは予防剤;
20)上記1)〜6)のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤;
に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体は,上記一般式(1)[式中:Arは置換基を有していてもよい,芳香族炭化水素基又は1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基を示し,XはO,S,NH,N−CH又はN−CNを示し,Rは水素原子,シアノ基,置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]で表される。
【0035】
本発明において「芳香族炭化水素基」としては特に限定されず,N,O及びSから選択される原子を含有する芳香族複素環が縮環していてもよいが,好ましくは(C6〜C14)芳香族炭化水素基が挙げられ,具体的にはフェニル基,ナフタレン−1−イル基又はナフタレン−2−イル基等を挙げることができる。特に好ましくはフェニル基又はナフタレン−1−イル基であり,殊更に好ましくはフェニル基である。
【0036】
本発明の一般式(1)のArにおける「1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基」としては特に限定されないが,好ましくはN,O及びSから独立して選択される5〜6員の芳香族複素環基であり,具体的には例えばフラン−2−イル基,フラン−3−イル基,チオフェン−2−イル基,チオフェン−3−イル基,オキサゾール−5−イル基,イソキサゾール−5−イル基,チアゾール−5−イル基,ピリジン−2−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,ピリミジン−4−イル基,ピラジン−2−イル基又は[1,3,5]トリアジン−2−イル基等が挙げられる。特に好ましくはフラン−2−イル基,フラン−3−イル基,チオフェン−2−イル基,チオフェン−3−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基又はピリミジン−4−イル基等であり,殊更好ましくはチオフェン−2−イル基,ピリジン−3−イル基又はピリジン−4−イル基等である。
【0037】
本発明の一般式(1)のArである置換基を有していてもよい,芳香族炭化水素基又は1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基における置換基としては,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,ニトロ基,(C1〜C6)アルキル基,O−R1{R1は,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ基,2−{2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ}エトキシ基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,NR2R3(R2,R3は各々独立して水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ基,芳香族炭化水素基,及びオキソ基又は(C1〜C6)アルキル基が置換していてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環からなる置換基群[A]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基を示す}で表されるアルコキシル基,NR2R3{R2,R3は前記と同じ意味を示す}で表されるアミノ基,(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を含有していてもよい5〜7員の飽和環状アミノ基,エチレンオキシ基及び(C1〜C2)アルキレンジオキシ基からなる置換基群[B]より選ばれる同一又は異なった1〜4個の基が挙げられる。
【0038】
本発明において「ハロゲノ基」とは,フルオロ基,クロロ基,ブロモ基又はヨード基である。好ましくはフルオロ基又はクロロ基である。
【0039】
本発明において「オキソ基」とは,炭素原子に置換している場合はカルボニル基を形成し,ヘテロ原子に置換している場合にはオキシド体,即ちN−オキシド,スルフォキシド等を形成する。
【0040】
本発明において「(C1〜C6)アルキル基」とは,別途特に断りがない限り,炭素数1〜6の直鎖,分枝鎖又は環状アルキル基を示し,例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,イソペンチル基,2−メチルブチル基,ネオペンチル基,1−エチルプロピル基,n−ヘキシル基,4−メチルペンチル基,3−メチルペンチル基,2−メチルペンチル基,1−メチルペンチル基,3,3−ジメチルブチル基,2,2−ジメチルブチル基,1,1−ジメチルブチル基,1,2−ジメチルブチル基,1,3−ジメチルブチル基,2,3−ジメチルブチル基,2−エチルブチル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等を挙げることができる。好ましくはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基又はtert−ブチル基であり,より好ましくはメチル基,エチル基又はイソプロピル基である。
【0041】
本発明において「(C1〜C6)アルコキシル基」とは,上記(C1〜C6)アルキル基が酸素原子に結合した基であり,例えばメトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,n−ブトキシ基,イソブトキシ基,tert−ブトキシ基,n−ペンチルオキシ基,イソペンチルオキシ基,2−メチルブトキシ基,ネオペンチルオキシ基,1−エチルプロポキシ基,ヘキシルオキシ基,4−メチルペンチルオキシ基,3−メチルペンチルオキシ基,2−メチルペンチルオキシ基,1−メチルペンチルオキシ基,3,3−ジメチルブトキシ基,2,2−ジメチルブトキシ基,1,1−ジメチルブトキシ基,1,2−ジメチルブトキシ基,1,3−ジメチルブトキシ基,2,3−ジメチルブトキシ基,2−エチルブトキシ基,シクロプロポキシ基,シクロペンチルオキシ基又はシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。好ましくはメトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,n−ブトキシ基,イソブトキシ基又はtert−ブトキシ基であり,より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
【0042】
本発明において「(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基」とは,前記(C1〜C6)アルコキシル基の内,炭素数1〜4のアルコキシル基の炭素上に,前記(C1〜C6)アルコキシル基の内,炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖アルコキシル基が置換している基であり,例えばメトキシメトキシ基,エトキシメトキシ基,イソプロポキシメトキシ基,tert−ブトキシメトキシ基,1−メトキシエトキシ基,2−メトキシエトキシ基,1−エトキシエトキシ基,2−エトキシエトキシ基,2−イソプロポキシエトキシ基,2−(tert−ブトキシ)エトキシ基,3−メトキシプロポキシ基,3−エトキシプロポキシ基,3−イソプロポキシプロポキシ基,3−(tert−ブトキシ)プロポキシ基,4−メトキシブトキシ基,4−エトキシブトキシ基,4−イソプロポキシブトキシ基,4−(tert−ブトキシ)ブトキシ基,1−メトキシ−1−メチルエトキシ基,2−メトキシ−1,1−ジメチルエトキシ基又は2−メトキシ−2−メチルプロポキシ基を挙げることができる。好ましくは2−メトキシエトキシ基,2−(tert−ブトキシ)エトキシ基又は2−メトキシ−2−メチルプロポキシ基であり,より好ましくはメトキシエトキシ基である。
【0043】
本発明において「2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ基」とは,前記(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基として記載のエトキシエトキシ基の末端炭素上に,炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖アルコキシル基が置換している基であり,例えば2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基,2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ基,2−(2−イソプロポキシエトキシ)エトキシ基,又は2−[2−(tert−ブトキシ)エトキシ]エトキシ基等を挙げることができる。好ましくは2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基又は2−[2−(tert−ブトキシ)エトキシ]エトキシ基であり,より好ましくは2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基である。
【0044】
本発明において「2−{2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ}エトキシ基」とは,前記2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ基に記載のエトキシエトキシエトキシ基の末端炭素上に,炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖アルコキシル基が置換している基であり,例えば2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基,2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基,2−[2−(2−イソプロポキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基,又は2−{2−[2−(tert−ブトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ基等を挙げることができる。好ましくは2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基又は2−{2−[2−(tert−ブトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ基であり,より好ましくは2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基である。
【0045】
本発明において「(C1〜C7)アシル基」としては,具体的には例えばホルミル基,アセチル基,プロピオニル基,ブチリル基,イソブチリル基,バレリル基,イソバレリル基,ピバロイル基,ヘキサノイル基,シクロプロピルカルボニル基,シクロペンチルカルボニル基又はシクロヘキシルカルボニル基等を挙げることができ,好ましくはアセチル基,プロピオニル基又はピバロイル基であり,より好ましくはアセチル基である。
【0046】
本発明において「(C1〜C7)アシルオキシ基」とは,前記(C1〜C7)アシル基が酸素原子に結合した基であり,例えばホルミルオキシ基,アセトキシ基,プロピオニルオキシ基,ブチリルオキシ基,イソブチリルオキシ基,バレリルオキシ基,イソバレリルオキシ基,ピバロイルオキシ基,ヘキサノイルオキシ基,シクロプロピルカルボニルオキシ基,シクロペンチルカルボニルオキシ基又はシクロヘキシルカルボニルオキシ基等を挙げることができる。好ましくは,アセトキシ基,プロピオニルオキシ基又はピバロイルオキシ基であり,より好ましくはアセトキシ基である。
【0047】
本発明において,「(C1〜C6)アルキルスルファニル基」とは,前記(C1〜C6)アルキル基が硫黄原子に結合した基であり,例えばメチルスルファニル基,エチルスルファニル基,n−プロピルスルファニル基,イソプロピルスルファニル基,n−ブチルスルファニル基,イソブチルスルファニル基,tert−ブチルスルファニル基,ペンチルスルファニル基,イソペンチルスルファニル基,2−メチルブチルスルファニル基,ネオペンチルスルファニル基,1−エチルプロピルスルファニル基,ヘキシルスルファニル基,4−メチルペンチルスルファニル基,3−メチルペンチルスルファニル基,2−メチルペンチルスルファニル基,1−メチルペンチルスルファニル基,3,3−ジメチルブチルスルファニル基,2,2−ジメチルブチルスルファニル基,1,1−ジメチルブチルスルファニル基,1,2−ジメチルブチルスルファニル基,1,3−ジメチルブチルスルファニル基,2,3−ジメチルブチルスルファニル基,2−エチルブチルスルファニル基,シクロプロピルスルファニル基,シクロペンチルスルファニル基又はシクロヘキシルスルファニル基等を挙げることができる。好ましくはメチルスルファニル基,エチルスルファニル基,プロピルスルファニル基,イソプロピルスルファニル基,ブチルスルファニル基,イソブチルスルファニル基又はtert−ブチルスルファニル基であり,より好ましくはメチルスルファニル基又はエチルスルファニル基である。
【0048】
本発明において,「(C1〜C6)アルキルスルフィニル基」とは,前記(C1〜C6)アルキル基がスルフィニル基(S=O)に結合した基を示し,例えばメチルスルフィニル基,エチルスルフィニル基,n−プロピルスルフィニル基,イソプロピルスルフィニル基,n−ブチルスルフィニル基,イソブチルスルフィニル基,tert−ブチルスルフィニル基,n−ペンチルスルフィニル基,イソペンチルスルフィニル基,2−メチルブチルスルフィニル基,ネオペンチルスルフィニル基,1−エチルプロピルスルフィニル基,n−ヘキシルスルフィニル基,4−メチルペンチルスルフィニル基,3−メチルペンチルスルフィニル基,2−メチルペンチルスルフィニル基,1−メチルペンチルスルフィニル基,3,3−ジメチルブチルスルフィニル基,2,2−ジメチルブチルスルフィニル基,1,1−ジメチルブチルスルフィニル基,1,2−ジメチルブチルスルフィニル基,1,3−ジメチルブチルスルフィニル基,2,3−ジメチルブチルスルフィニル基,2−エチルブチルスルフィニル基,シクロプロピルスルフィニル基,シクロペンチルスルフィニル基又はシクロヘキシルスルフィニル基等を挙げることができる。好ましくはメチルスルフィニル基,エチルスルフィニル基,n−プロピルスルフィニル基,イソプロピルスルフィニル基,n−ブチルスルフィニル基,イソブチルスルフィニル基又はtert−ブチルスルフィニル基であり,より好ましくはメチルスルフィニル基又はエチルスルフィニル基である。
【0049】
本発明において,「(C1〜C6)アルキルスルホニル基」とは,前記(C1〜C6)アルキル基がスルホニル基(O=S=O)に結合した基であり,例えばメチルスルホニル基,エチルスルホニル基,n−プロピルスルホニル基,イソプロピルスルホニル基,n−ブチルスルホニル基,イソブチルスルホニル基,tert−ブチルスルホニル基,n−ペンチルスルホニル基,イソペンチルスルホニル基,2−メチルブチルスルホニル基,ネオペンチルスルホニル基,1−エチルプロピルスルホニル基,n−ヘキシルスルホニル基,4−メチルペンチルスルホニル基,3−メチルペンチルスルホニル基,2−メチルペンチルスルホニル基,1−メチルペンチルスルホニル基,3,3−ジメチルブチルスルホニル基,2,2−ジメチルブチルスルホニル基,1,1−ジメチルブチルスルホニル基,1,2−ジメチルブチルスルホニル基,1,3−ジメチルブチルスルホニル基,2,3−ジメチルブチルスルホニル基,2−エチルブチルスルホニル基,シクロプロピルスルホニル基,シクロペンチルスルホニル基又はシクロヘキシルスルホニル基等を挙げることができる。好ましくはメチルスルホニル基,エチルスルホニル基,n−プロピルスルホニル基,イソプロピルスルホニル基,n−ブチルスルホニル基,イソブチルスルホニル基又はtert−ブチルスルホニル基であり,より好ましくはメチルスルホニル基又はエチルスルホニル基である。
【0050】
本発明において「(C1〜C6)アルコキシカルボニル基」とは,前記(C1〜C6)アルコキシル基がカルボニル基(C=O)に結合した基であり,具体的には例えばメトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基,n−プロポキシカルボニル基,イソプロポキシカルボニル基,n−ブトキシカルボニル基,イソブトキシカルボニル基,tert−ブトキシカルボニル基,n−ペンチルオキシカルボニル基,イソペンチルオキシカルボニル基,2−メチルブトキシカルボニル基,ネオペンチルオキシカルボニル基,1−エチルプロポキシカルボニル基,n−ヘキシルオキシカルボニル基,4−メチルペンチルオキシカルボニル基,3−メチルペンチルオキシカルボニル基,2−メチルペンチルオキシカルボニル基,1−メチルペンチルオキシカルボニル基,3,3−ジメチルブトキシカルボニル基,2,2−ジメチルブトキシカルボニル基,1,1−ジメチルブトキシカルボニル基,1,2−ジメチルブトキシカルボニル基,1,3−ジメチルブトキシカルボニル基,2,3−ジメチルブトキシカルボニル基,2−エチルブトキシカルボニル基,シクロプロポキシカルボニル基,シクロペンチルオキシカルボニル基又はシクロヘキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましくはメトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基,n−プロポキシカルボニル基,イソプロポキシカルボニル基,n−ブトキシカルボニル基,イソブトキシカルボニル基又はtert−ブトキシカルボニル基であり,より好ましくはエトキシカルボニル基又はtert−ブトキシカルボニル基である。
【0051】
本発明において「N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基」とは,窒素原子に上記(C1〜C6)アルキル基が1置換したカルバモイル基であり,例えばメチルカルバモイル基,エチルカルバモイル基,n−プロピルカルバモイル基,イソプロピルカルバモイル基,n−ブチルカルバモイル基,イソブチルカルバモイル基,tert−ブチルカルバモイル基,n−ペンチルカルバモイル基,イソペンチルカルバモイル基,2−メチルブチルカルバモイル基,ネオペンチルカルバモイル基,1−エチルプロピルカルバモイル基,n−ヘキシルカルバモイル基,4−メチルペンチルカルバモイル基,3−メチルペンチルカルバモイル基,2−メチルペンチルカルバモイル基,1−メチルペンチルカルバモイル基,3,3−ジメチルブチルカルバモイル基,2,2−ジメチルブチルカルバモイル基,1,1−ジメチルブチルカルバモイル基,1,2−ジメチルブチルカルバモイル基,1,3−ジメチルブチルカルバモイル基,2,3−ジメチルブチルカルバモイル基,2−エチルブチルカルバモイル基,シクロプロピルカルバモイル基,シクロペンチルカルバモイル基又はシクロヘキシルカルバモイル基を挙げることができる。好ましくはメチルカルバモイル基,エチルカルバモイル基,n−プロピルカルバモイル基,イソプロピルカルバモイル基,n−ブチルカルバモイル基,イソブチルカルバモイル基又はtert−ブチルカルバモイル基であり,より好ましくはメチルカルバモイル基又はエチルカルバモイル基である。
【0052】
本発明において「N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基」とは,窒素原子に上記(C1〜C6)アルキル基が2置換したカルバモイル基であり,例えばジメチルカルバモイル基,ジエチルカルバモイル基,ジ(n−プロピル)カルバモイル基,ジイソプロピルカルバモイル基,ジ(n−ブチル)カルバモイル基,ジイソブチルカルバモイル基,ジ(tert−ブチル)カルバモイル基,ジ(n−ペンチル)カルバモイル基,ジイソペンチルカルバモイル基,ジ(2−メチルブチル)カルバモイル基,ジネオペンチルカルバモイル基,ジ(1−エチルプロピル)カルバモイル基,ジ(n−ヘキシル)カルバモイル基,ジ(4−メチルペンチル)カルバモイル基,ジ(3−メチルペンチル)カルバモイル基,ジ(2−メチルペンチル)カルバモイル基,ジ(1−メチルペンチル)カルバモイル基,ビス(3,3−ジメチルブチル)カルバモイル基,ジシクロプロピルカルバモイル基,ジシクロペンチルカルバモイル基又はジシクロヘキシルカルバモイル基を挙げることができる。好ましくはジメチルカルバモイル基,ジエチルカルバモイル基,ジ(n−プロピル)カルバモイル基,ジイソプロピルカルバモイル基又はジ(n−ブチル)カルバモイル基であり,より好ましくはジメチルカルバモイル基又はジエチルカルバモイル基である。
【0053】
本発明において「N,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基」とは,飽和複素環基として例えば,テトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロフラン−3−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基,[1,3]ジオキソラン−2−イル基,[1,3]ジオキサン−2−イル基,ピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,ピペリジン−4−イル基,アゼパン−1−イル基,モルホリン−4−イル基,チオモルホリン−4−イル基,オキサゾリジン−3−イル基,イソキサゾリジン−2−イル基,チアゾリジン−3−イル基,イミダゾリジン−1−イル基,又はピペラジン−1−イル基等が挙げられ,不飽和複素環基として例えば,フラン−2−イル基,フラン−3−イル基,チオフェン−2−イル基,チオフェン−3−イル基,オキサゾール−5−イル基,イソキサゾール−5−イル基,チアゾール−5−イル基,ピロール−1−イル基,ピリジン−2−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,ピリミジン−4−イル基,ピラジン−2−イル基,[1,3,5]トリアジン−2−イル基,イミダゾール−1−イル基,イミダゾール−2−イル基,イミダゾール−4−イル基,[1,2,4]トリアゾール−1−イル基,[1,2,4]トリアゾール−3−イル基,テトラゾール−1−イル基,又はテトラゾール−5−イル基等が挙げられる。
【0054】
オキソ基又は(C1〜C6)アルキル基を置換基として有している該複素環基とは,具体的に例えば4−メチルテトラヒドロピラン−4−イル基,2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル基,2−メチル[1,3]ジオキサン−2−イル基,5,5−ジメチル[1,3]ジオキサン−2−イル基,2−オキソピロリジン−1−イル基,2,5−ジオキソピロリジン−1−イル基,2−オキソピペリジン−1−イル基,2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,4−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,4−イソプロピル−2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,1−メチルピペリジン−4−イル基,3,5−ジオキソモルホリン−4−イル基,4−メチル−ピペラジン−1−イル基,5−メチルフラン−2−イル基,2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル基,2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル基,又は1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル基等を挙げることができる。
【0055】
本発明において「N,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよい5〜7員の飽和環状アミノ基」としては,具体的には例えばピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,ピペリジン−4−イル基,アゼパン−1−イル基,モルホリン−4−イル基,チオモルホリン−4−イル基,オキサゾリジン−3−イル基,イソキサゾリジン−2−イル基,チアゾリジン−3−イル基,イミダゾリジン−1−イル基又はピペラジン−1−イル基を挙げることができる。好ましくはピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,モルホリン−4−イル基,オキサゾリジン−3−イル基又はピペラジン−1−イル基であり,より好ましくはピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基又はモルホリン−4−イル基である。
【0056】
本発明において「エチレンオキシ基」とは,一般式(1)のArとして表される芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基と,末端の酸素原子と炭素原子により環構造をとる置換基である。
【0057】
本発明における「(C1〜C2)アルキレンジオキシ基」とは,O−(CH1〜2−Oであり,一般式(1)のArとして表される芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基と,両末端の酸素原子により環構造をとる置換基であり,具体的には例えばメチレンジオキシ基,エチレンジオキシ基が挙げられる。
【0058】
本発明の一般式(1)で表される化合物におけるRにおいて「直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基」としては,好ましくは(C1〜C12)アルキル基が挙げられる。(C1〜C12)アルキル基とは,前記の(C1〜C6)アルキル基で示した基の他に,例えばn−ヘプチル基,1−メチルヘキシル基,2−メチルヘキシル基,3−メチルヘキシル基,4−メチルヘキシル基,5−メチルヘキシル基,1−プロピルブチル基,1,3−ジメチルペンチル基,1,4−ジメチルペンチル基,4,4−ジメチルペンチル基,オクチル基,1−メチルヘプチル基,2−メチルヘプチル基,3−メチルヘプチル基,4−メチルヘプチル基,5−メチルヘプチル基,6−メチルヘプチル基,1−プロピルペンチル基,2−エチルヘキシル基,1,3−ジメチルヘキシル基,1,4−ジメチルヘキシル基,1,5−ジメチルヘキシル基,5,5−ジメチルヘキシル基,n−ノニル基,3−メチルオクチル基,4−メチルオクチル基,5−メチルオクチル基,6−メチルオクチル基,1−プロピルヘキシル基,2−エチルヘプチル基,1,3−ジメチルヘプチル基,1,4−ジメチルヘプチル基,1,5−ジメチルヘプチル基,1,6−ジメチルヘプチル基,6,6−ジメチルヘプチル基,n−デシル基,1−メチルノニル基,3−メチルノニル基,8−メチルノニル基,3−エチルオクチル基,3,7−ジメチルオクチル基,7,7−ジメチルオクチル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,シクロヘキシルエチル基,4−メチルシクロヘキシル基,2,6−ジメチルシクロヘキシル基,4,4−ジメチルシクロヘキシル基,シクロヘプチル基,アダマンタン−1−イル基又はアダマンタン−2−イル基等を挙げることができ,前記(C1〜C6)アルキル基の好ましい基に加えて,1−メチルヘキシル基,1,4−ジメチルペンチル基,1−メチルヘプチル基,1,4−ジメチルヘキシル基,1,5−ジメチルヘキシル基,1,6−ジメチルヘプチル基等が好ましく、前記(C1〜C6)アルキル基のより好ましい基に加えて,1,4−ジメチルペンチル基,1,5−ジメチルヘキシル基等がより好ましい。
【0059】
本発明の一般式(1)で表される化合物におけるRにおいて「芳香族炭化水素基」及び「N,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基」とは,前記の本発明における「芳香族炭化水素基」及び「N,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基」直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基」と同じ意味であり,具体的な基も,好ましい基も同様である。
【0060】
本発明における一般式(1)のRにおいて,置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基としては,上記式(2)〜(6)のいずれかの式で表される基が挙げられる。
各式において・付きの結合は,窒素原子との結合を表す。
【0061】
式(2)のR4における「(C1〜C6)アルキル基」の好ましい例としてはメチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イソブチル基,イソペンチル基,4−メチルペンチル基又は3,3−ジメチルブチル基が挙げられ,より好ましくはメチル基,エチル基,プロピル基,イソペンチル基又は4−メチルペンチル基である。
【0062】
本発明において「C2〜10アルケニル基」とは,不飽和二重結合を含んだ炭素数2〜10の直鎖,分枝鎖又は環状炭化水素基を示し,例えばビニル基,アリル基,プロペン−1−イル基,ブテン−1−イル基,ブテン−2−イル基,ブテン−3−イル基,2−メチルプロペン−1−イル基,ペンテン−1−イル基,ペンテン−2−イル基,ペンテン−3−イル基,ペンテン−4−イル基,3−メチルブテン−1−イル基,3−メチルブテン−2−イル基,ヘキセン−1−イル基,4−メチルペンテン−1−イル基,3−メチルペンテン−1−イル基,3,3−ジメチルブテン−1−イル基,ヘプテン−1−イル基,ヘプテン−2−イル基,5−メチルヘキセン−1−イル基,4,4−ジメチルヘキセン−1−イル基,オクテン−1−イル基,6−メチルヘプテン−1−イル基,5,5−ジメチルヘキセン−1−イル基,ノネン−1−イル基,7−メチルオクテン−1−イル基,6,6−ジメチルヘプテン−1−イル基,デセン−1−イル基,シクロペンテン−3−イル基又はシクロヘキセン−1−イル基を挙げることができる。好ましくはビニル基,アリル基,プロペン−1−イル基,ブテン−1−イル基,ペンテン−1−イル基,3−メチルブテン−1−イル基,4−メチルペンテン−1−イル基又はシクロペンテン−3−イル基であり,より好ましくはビニル基,プロペン−1−イル基,ブテン−1−イル基,3−メチルブテン−1−イル基又は4−メチルペンテン−1−イル基である。
【0063】
本発明において「C2〜10アルキニル基」とは,不飽和三重結合を含んだ炭素数2〜10の直鎖又は分枝鎖炭化水素基を示し,例えばエチニル基,プロピン−1−イル基,プロピン−3−イル基,ブチン−1−イル基,ブチン−3−イル基,ブチン−4−イル基,3−メチルプロピン−3−イル基,1−メチルブチン−3−イル基,1−エチルブチン−3−イル基,ペンチン−1−イル基,ペンチン−3−イル基,ペンチン−4−イル基,3−メチルブチン−1−イル基,ヘキシン−1−イル基,4−メチルペンチン−1−イル基,ヘプチン−1−イル基,オクチン−1−イル基,ノニン−1−イル基又はデシン−1−イル基を挙げることができる。好ましくはエチニル基,プロピン−1−イル基,プロピン−3−イル基,ブチン−1−イル基,ブチン−3−イル基,ペンチン−1−イル基,ペンチン−3−イル基,3−メチルブチン−1−イル基又は4−メチルペンチン−1−イル基であり,より好ましくはエチニル基,プロピン−1−イル基,ブチン−1−イル基,3−メチルブチン−1−イル基又は4−メチルペンチン−1−イル基である。
【0064】
本発明の一般式(1)のRが式(2)で表される場合,R6における「C1〜4アルコキシメチル基」とは,前記の(C1〜C6)アルコキシル基の内,炭素数1〜4のアルコキシル基を示し,例えばメトキシメチル基,エトキシメチル基,プロポキシメチル基,イソプロポキシメチル基,ブトキシメチル基,イソブトキシメチル基又はtert−ブトキシメチル基等を挙げることができる。好ましくはメトキシメチル基,エトキシメチル基又はイソプロポキシメチル基であり,より好ましくはメトキシメチル基又はエトキシメチル基である。
【0065】
本発明の一般式(1)のRが式(2)で表される場合,R6における「(C1〜C10)アルキル基」としては,上記(C1〜C12)アルキル基の内,炭素数1〜10の直鎖,分枝鎖又は環状アルキル基が挙げられ,より好ましくはメチル基,エチル基,プロピル基,イソペンチル基,4−メチルペンチル基又はシクロヘキシル基である。
【0066】
本発明において「ハロゲノ(C1〜C3)アルキル基」とは,炭素数1〜3の直鎖又は分枝鎖アルキル基に1〜7個の前記ハロゲノ基が置換した基を示し,例えばフルオロメチル基,ジフルオロメチル基,トリフルオロメチル基,2−フルオロエチル基,2,2−ジフルオロエチル基,2,2,2−トリフルオロエチル基,1,1,2,2−テトラフルオロエチル基,3−フルオロプロピル基,2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基,ジクロロメチル基,トリクロロメチル基又は2,2,2−トリクロロエチル基を挙げることができる。好ましくはフルオロメチル基,ジフルオロメチル基,トリフルオロメチル基,2,2,2−トリフルオロエチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエチル基であり,より好ましくはトリフルオロメチル基又は2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0067】
本発明の一般式(1)のRが式(3)又は式(4)で表される場合における各置換基の意味は,前記本発明における各置換基と同じ意味であり,具体的な基も,好ましい基も同様である。
【0068】
本発明の一般式(1)のRが式(5)で表される場合において「(C3〜C10)シクロアルキル基」としては,例えばシクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,シクロヘプチル基,シクロオクチル基又はアダマンチル基等を挙げることができる。好ましくはシクロプロピル基,シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であり,より好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。
【0069】
本発明一般式(1)のRが式(6)で表される場合において「α−アミノ酸残基」としては,側鎖を()内に記載するとグリシン残基(水素原子),アラニン残基(メチル基),ノルバリン残基(エチル基),バリン残基(イソプロピル基),ロイシン残基(イソブチル基),イソロイシン残基(sec−ブチル基),フェニルアラニン残基(ベンジル基),リジン残基(4−アミノブチル基),セリン残基(ヒドロキシメチル基),スレオニン残基(1−ヒドロキシエチル基),アスパラギン残基(カルバモイルメチル基),グルタミン残基(2−カルバモイルエチル基),アスパラギン酸残基(カルボキシメチル基),グルタミン酸残基(2−カルボキシエチル基),メチオニン残基(2−メチルスルファニルエチル基)又はヒスチジン残基(イミダゾール−4−イルメチル基)を挙げることができる。好ましくはグリシン残基,アラニン残基,ノルバリン残基,バリン残基,セリン残基又はスレオニン残基であり,より好ましくはグリシン残基,アラニン残基又はセリン残基である。
【0070】
本発明において「保護基によって保護されているアミノ酸側鎖」としては,例えばメチル基で保護されたセリン側鎖(メトキシメチル基),tert−ブチル基で保護されたセリン側鎖(tert−ブトキシメチル基),ベンジル基で保護されたセリン側鎖(ベンジルオキシメチル基),メチル基で保護されたスレオニン側鎖(1−メトキシエチル基),メチル基で保護されたシステイン側鎖(メチルスルファニルメチル基),tert−ブチル基で保護されたシステイン側鎖(tert−ブチルスルファニルメチル基),メチル基で保護されたチロシン側鎖(4−メトキシベンジル基),メチル基で保護されたアスパラギン酸側鎖(メトキシカルボニルメチル基),tert−ブチル基で保護されたアスパラギン酸側鎖(tert−ブトキシカルボニルメチル基),メチル基で保護されたグルタミン酸側鎖(2−メトキシカルボニルエチル基),tert−ブチル基で保護されたグルタミン酸側鎖(2−tert−ブトキシカルボニルエチル基),又はtert−ブトキシカルボニル基で保護されたリジン側鎖(4−(tert−ブトキシカルボニル)アミノブチル基)等が挙げられる。
保護基によって保護されていてもよいアミノ酸側鎖として好ましくは,グリシン側鎖,アラニン側鎖,ノルバリン側鎖,バリン側鎖,ロイシン側鎖,イソロイシン側鎖,メチル基で保護されたセリン側鎖,tert−ブチル基で保護されたセリン側鎖,メチル基で保護されたスレオニン側鎖,メチル基で保護されたシステイン側鎖又はメチオニン側鎖等が挙げられ,より好ましくはグリシン側鎖,アラニン側鎖,ノルバリン側鎖,バリン側鎖又はメチル基で保護されたセリン側鎖である。
【0071】
本発明において「(C1〜C6)アルキルアミノ基」とは,前記(C1〜C6)アルキル基がアミノ基に1置換した基を示し,例えばメチルアミノ基,エチルアミノ基,n−プロピルアミノ基,イソプロピルアミノ基,n−ブチルアミノ基,イソブチルアミノ基,tert−ブチルアミノ基,n−ペンチルアミノ基,イソペンチルアミノ基,2−メチルブチルアミノ基,ネオペンチルアミノ基,1−エチルプロピルアミノ基,n−ヘキシルアミノ基,4−メチルペンチルアミノ基,3−メチルペンチルアミノ基,2−メチルペンチルアミノ基,1−メチルペンチルアミノ基,3,3−ジメチルブチルアミノ基,2,2−ジメチルブチルアミノ基,1,1−ジメチルブチルアミノ基,1,2−ジメチルブチルアミノ基,1,3−ジメチルブチルアミノ基,2,3−ジメチルブチルアミノ基,2−エチルブチルアミノ基,シクロプロピルアミノ基,シクロペンチルアミノ基又はシクロヘキシルアミノ基等を挙げることができる。好ましくはメチルアミノ基,エチルアミノ基,n−プロピルアミノ基,イソプロピルアミノ基,n−ブチルアミノ基,イソブチルアミノ基又はtert−ブチルアミノ基であり,より好ましくはメチルアミノ基,エチルアミノ基又はイソプロピルアミノ基である。
【0072】
本発明において「ジ(C1〜C6)アルキルアミノ基」とは,前記(C1〜C6)アルキル基がアミノ基に2置換した基を示し,例えばジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジ(n−プロピル)アミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ(n−ブチル)アミノ基,ジイソブチルアミノ基,ジ(n−ペンチル)アミノ基,ジ(n−ヘキシル)アミノ基,ビス(3,3−ジメチルブチル)アミノ基,ジシクロプロピルアミノ基,ジシクロペンチルアミノ基又はジシクロヘキシルアミノ基等を挙げることができる。好ましくはジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジ(n−プロピル)アミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ(n−ブチル)アミノ基又はジイソブチルアミノ基であり,より好ましくはジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基である。
【0073】
本発明において,一般式(1)中式(6)のR12における「オキソ基,(C1〜C6)アルキル基,フェニル基及びベンジル基からなる置換基群[F]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基」の置換基を有しない基としては,例えばテトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロフラン−3−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基,ピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,ピペリジン−4−イル基,アゼパン−1−イル基,モルホリン−4−イル基,チオモルホリン−4−イル基,オキサゾリジン−3−イル基,イソキサゾリジン−2−イル基,チアゾリジン−3−イル基,イミダゾリジン−1−イル基,又はピペラジン−1−イル基等の飽和複素環基,若しくはフラン−2−イル基,フラン−3−イル基,チオフェン−2−イル基,チオフェン−3−イル基,オキサゾール−5−イル基,イソキサゾール−5−イル基,チアゾール−5−イル基,ピロール−1−イル基,ピリジン−2−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,ピリミジン−4−イル基,ピラジン−2−イル基,[1,3,5]トリアジン−2−イル基,イミダゾール−2−イル基,イミダゾール−4−イル基,[1,2,4]トリアゾール−3−イル基,又はテトラゾール−5−イル基等の不飽和複素環基を挙げることができる。
【0074】
置換基を有している該複素環基としては,例えば2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル基,4−メチルテトラヒドロピラン−4−イル基,2−オキソピロリジン−1−イル基,2,5−ジオキソピロリジン−1−イル基,2−オキソピペリジン−1−イル基,2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,4−メチル−2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,4−イソプロピル−2,6−ジオキソピペリジン−1−イル基,1−メチルピペリジン−4−イル基,3,5−ジオキソモルホリン−4−イル基,4−メチル−ピペラジン−1−イル基,5−メチルフラン−2−イル基,2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル基,2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル基,又は1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル基を挙げることができる。好ましくはテトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロフラン−3−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基,ピリジン−2−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル基であり,より好ましくはテトラヒドロピラン−4−イル基又はピリジン−3−イル基である。
【0075】
本発明における一般式(1)においてXとしては,O,S,NH,N−CH,又はN−CNが挙げられ,好ましくはO又はSである。
【0076】
本発明において一般式(1)におけるArの具体例としては,例えばフェニル基,2−フルオロフェニル基,2−クロロフェニル基,2−ヒドロキシフェニル基,2−シアノフェニル基,2−トリフルオロメチルフェニル基,2−トリフルオロメトキシフェニル基,2−ニトロフェニル基,2−メチルフェニル基,2−エチルフェニル基,2−メトキシフェニル基,2−エトキシフェニル基,2−アミノフェニル基,2−ジメチルアミノフェニル基,3−フルオロフェニル基,3−クロロフェニル基,3−ヒドロキシフェニル基,3−シアノフェニル基,3−トリフルオロメチルフェニル基,3−トリフルオロメトキシフェニル基,3−ニトロフェニル基,3−メチルフェニル基,3−エチルフェニル基,3−プロピルフェニル基,3−イソプロピルフェニル基,3−ブチルフェニル基,3−シクロヘキシルフェニル基,3−メトキシフェニル基,3−エトキシフェニル基,3−イソプロポキシフェニル基,3−イソブトキシフェニル基,3−(2−フルオロエチル)フェニル基,3−(2,2−ジフルオロエチル)フェニル基,3−(2,2,2−トリフルオロエチル)フェニル基,3−(2−クロロエチル)フェニル基,3−メトキシメトキシフェニル基,3−(2−メトキシエトキシ)フェニル基,3−(2−メトキシエトキシ)メトキシフェニル基,3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]フェニル基,3−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル基,3−(2−オキソプロポキシ)フェニル基,3−(2−アセトキシエトキシ)フェニル基,3−(2−ピバロイルオキシエトキシ)フェニル基,3−(2−メチルスルファニルエトキシ)フェニル基,3−(2−メチルスルフェニルエトキシ)フェニル基,3−(2−メチルスルホニルエトキシ)フェニル基,3−(2−エチルスルホニルエトキシ)フェニル基,3−(3−メチルスルホニルプロポキシ)フェニル基,3−カルボキシメトキシフェニル基,3−メトキシカルボニルメトキシフェニル基,3−エトキシカルボニルメトキシフェニル基,3−tert−ブトキシカルボニルメトキシフェニル基,3−(3−メトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,3−(3−エトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,3−(3−tert−ブトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,3−ジメチルカルバモイルメトキシフェニル基,3−(2−ジメチルカルバモイルエトキシ)フェニル基,3−(3−ジメチルカルバモイルプロポキシ)フェニル基,3−(2−ピロリジン−1−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,3−(4−ピロリジン−1−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,3−(2−ピペリジン−1−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,3−(4−ピペリジン−1−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,3−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,3−(4−モルホリン−4−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ]フェニル基,3−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−オキソブトキシ]フェニル基,
【0077】
3−ジメチルアミノエトキシフェニル基,3−ジメチルアミノプロポキシフェニル基,3−ジエチルアミノエトキシフェニル基,3−ジエチルアミノプロポキシフェニル基,3−(2−アセチルアミノエトキシ)フェニル基,3−(3−アセチルアミノプロポキシ)フェニル基,3−[2−(N−アセチル−N−メチルアミノ)エトキシ]フェニル基,3−[3−(N−アセチル−N−メチルアミノ)プロポキシ]フェニル基,3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエトキシ)フェニル基,3−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル基,3−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエトキシ)フェニル基,3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル基,3−ベンジルオキシフェニル基,3−(2−フェニルエトキシ)フェニル基,3−(3−フェニルプロポキシ)フェニル基,3−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェニル基,3−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基,3−[2−(テトラヒドロピラン−4−イル)エトキシ]フェニル基,3−([1,3]ジオキソラン−2−イルメトキシ)フェニル基,3−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イルメトキシ)フェニル基,3−[2−([1,3]ジオキソラン−2−イル)エトキシ]フェニル基,3−[2−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)エトキシ]フェニル基,3−[2−([1,3]ジオキサン−2−イル)エトキシ]フェニル基,3−[2−(2−メチル[1,3]ジオキサン−2−イル)エトキシ]フェニル基,3−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)フェニル基,3−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,3−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル基,3−(3−ピペリジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,3−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,3−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)フェニル基,3−[2−(4−メチル)ピペラジン−1−イルエトキシ)フェニル基,3−[3−(4−メチル)ピペラジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,3−ピリジン−2−イルメトキシフェニル基,3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル基,3−ピリジン−4−イルメトキシフェニル基,3−(2−ピリジン−2−イルエトキシ)フェニル基,3−(2−ピリジン−3−イルエトキシ)フェニル基,3−(2−ピリジン−4−イルエトキシ)フェニル基,
【0078】
3−(3−ピリジン−2−イルプロポキシ)フェニル基,3−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル基,3−(3−ピリジン−4−イルプロポキシ)フェニル基,3−ピリミジン−2−イルメトキシフェニル基,3−(2−ピリミジン−2−イルエトキシ)フェニル基,3−[1,3,5]トリアジン−2−イルメトキシフェニル基,3−(2−[1,3,5]トリアジン−2−イルエトキシ)フェニル基,3−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エトキシ]フェニル基,3−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロポキシ]フェニル基,3−アミノフェニル基,3−ジメチルアミノフェニル基,3−ジエチルアミノフェニル基,3−アセチルアミノフェニル基,3−プロピオニルアミノフェニル基,3−ピロリジン−1−イルフェニル基,3−ピペリジン−1−イルフェニル基,3−モルホリン−4−イルフェニル基,3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル基,4−フルオロフェニル基,4−クロロフェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,4−シアノフェニル基,4−トリフルオロメチルフェニル基,4−トリフルオロメトキシフェニル基,4−ニトロフェニル基,4−メチルフェニル基,4−エチルフェニル基,4−プロピルフェニル基,4−イソプロピルフェニル基,4−ブチルフェニル基,4−シクロヘキシルフェニル基,4−メトキシフェニル基,4−エトキシフェニル基,4−イソプロポキシフェニル基,4−イソブトキシフェニル基,4−(2−フルオロエチル)フェニル基,4−(2,2−ジフルオロエチル)フェニル基,4−(2,2,2−トリフルオロエチル)フェニル基,4−(2−クロロエチル)フェニル基,4−メトキシメトキシフェニル基,4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基,4−(2−メトキシエトキシ)メトキシフェニル基,4−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]フェニル基,4−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル基,4−(2−オキソプロポキシ)フェニル基,4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル基,4−(2−ピバロイルオキシエトキシ)フェニル基,4−(2−メチルスルファニルエトキシ)フェニル基,4−(2−メチルスルフェニルエトキシ)フェニル基,4−(2−メチルスルホニルエトキシ)フェニル基,
【0079】
4−(2−エチルスルホニルエトキシ)フェニル基,4−(3−メチルスルホニルプロポキシ)フェニル基,4−カルボキシメトキシフェニル基,4−メトキシカルボニルメトキシフェニル基,4−エトキシカルボニルメトキシフェニル基,4−tert−ブトキシカルボニルメトキシフェニル基,4−(3−メトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,4−(3−エトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,4−(3−tert−ブトキシカルボニルプロポキシ)フェニル基,4−ジメチルカルバモイルメトキシフェニル基,4−(2−ジメチルカルバモイルエトキシ)フェニル基,4−(3−ジメチルカルバモイルプロポキシ)フェニル基,4−(2−ピロリジン−1−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,4−(4−ピロリジン−1−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,4−(2−ピペリジン−1−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,4−(4−ピペリジン−1−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,4−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエトキシ)フェニル基,4−(4−モルホリン−4−イル−4−オキソブトキシ)フェニル基,4−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエトキシ]フェニル基,4−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−オキソブトキシ]フェニル基,4−ジメチルアミノエトキシフェニル基,4−ジメチルアミノプロポキシフェニル基,4−ジエチルアミノエトキシフェニル基,4−ジエチルアミノプロポキシフェニル基,4−(2−アセチルアミノエトキシ)フェニル基,4−(3−アセチルアミノプロポキシ)フェニル基,4−[2−(N−アセチル−N−メチルアミノ)エトキシ]フェニル基,4−[3−(N−アセチル−N−メチルアミノ)プロポキシ]フェニル基,4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエトキシ)フェニル基,4−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル基,4−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエトキシ)フェニル基,4−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル基,4−ベンジルオキシフェニル基,4−(2−フェニルエトキシ)フェニル基,4−(3−フェニルプロポキシ)フェニル基,4−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェニル基,
【0080】
4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基,4−[2−(テトラヒドロピラン−4−イル)エトキシ]フェニル基,4−([1,3]ジオキソラン−2−イルメトキシ)フェニル基,4−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イルメトキシ)フェニル基,4−[2−([1,3]ジオキソラン−2−イル)エトキシ]フェニル基,4−[2−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)エトキシ]フェニル基,4−[2−([1,3]ジオキサン−2−イル)エトキシ]フェニル基,4−[2−(2−メチル[1,3]ジオキサン−2−イル)エトキシ]フェニル基,4−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)フェニル基,4−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシ)フェニル基,4−(3−ピペリジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,4−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)フェニル基,4−[2−(4−メチル)ピペラジン−1−イルエトキシ)フェニル基,4−[3−(4−メチル)ピペラジン−1−イルプロポキシ)フェニル基,4−ピリジン−2−イルメトキシフェニル基,4−ピリジン−3−イルメトキシフェニル基,4−ピリジン−4−イルメトキシフェニル基,4−(2−ピリジン−2−イルエトキシ)フェニル基,4−(2−ピリジン−3−イルエトキシ)フェニル基,4−(2−ピリジン−4−イルエトキシ)フェニル基,4−(3−ピリジン−2−イルプロポキシ)フェニル基,4−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル基,4−(3−ピリジン−4−イルプロポキシ)フェニル基,4−ピリミジン−2−イルメトキシフェニル基,4−(2−ピリミジン−2−イルエトキシ)フェニル基,4−[1,3,5]トリアジン−2−イルメトキシフェニル基,4−(2−[1,3,5]トリアジン−2−イルエトキシ)フェニル基,4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エトキシ]フェニル基,4−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロポキシ]フェニル基,4−アミノフェニル基,4−ジメチルアミノフェニル基,4−ジエチルアミノフェニル基,4−アセチルアミノフェニル基,4−プロピオニルアミノフェニル基,4−ピロリジン−1−イルフェニル基,4−ピペリジン−1−イルフェニル基,4−モルホリン−4−イルフェニル基,4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル基,
【0081】
3,4−ジヒドロフェニル基,2,4−ジメトキシフェニル基,3,4−ジメトキシフェニル基,3,4−ビス(2−メトキシエトキシ)フェニル基,3,4,5−トリメトキシフェニル基,2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基,3,4−メチレンジオキシフェニル基,3,4−エチレンジオキシフェニル基,ナフタレン−1−イル基,ナフタレン−2−イル基,フラン−2−イル基,5−メチルフラン−2−イル基,5−アセチルフラン−2−イル基,フラン−3−イル基,チオフェン−2−イル基,5−メチルチオフェン−2−イル基,5−アセチルチオフェン−2−イル基,チオフェン−3−イル基,オキサゾール−5−イル基,イソキサゾール−5−イル基,チアゾール−5−イル基,ピリジン−2−イル基,1−オキソピリジン−2−イル基,6−クロロピリジン−2−イル基,6−メチルピリジン−2−イル基,6−メトキシピリジン−2−イル基,ピリジン−3−イル基,1−オキソピリジン−3−イル基,6−クロロピリジン−3−イル基,6−メチルピリジン−3−イル基,6−メトキシピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,1−オキソピリジン−4−イル基,2−クロロピリジン−4−イル基,2−メチルピリジン−4−イル基,2−メトキシピリジン−4−イル基,2,6−ジメトキシピリジン−4−イル基,ピリミジン−4−イル基,ピラジン−2−イル基又は[1,3,5]トリアジン−2−イル基等を挙げることができる。
【0082】
好ましくはフェニル基,3−クロロフェニル基,3−ヒドロキシフェニル基,3−メトキシフェニル基,3−(2−メトキシエトキシ)フェニル基,3−ジメチルアミノエトキシフェニル基,3−ジメチルアミノプロポキシフェニル基,3−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェニル基,3−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基,3−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,3−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)フェニル基,3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル基,3−ピリジン−4−イルメトキシフェニル基,3−(2−ピリジン−3−イルエトキシ)フェニル基,3−(2−ピリジン−4−イルエトキシ)フェニル基,3−アミノフェニル基,3−ジメチルアミノフェニル基,3−アセチルアミノフェニル基,3−モルホリン−4−イルフェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,4−トリフルオロメトキシフェニル基,4−メトキシフェニル基,4−エトキシフェニル基,4−(2−メトキシエトキシ)フェニル基,4−(2−メトキシエトキシ)メトキシフェニル基,4−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]フェニル基,4−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル基,4−ジメチルアミノエトキシフェニル基,4−ジメチルアミノプロポキシフェニル基,4−ベンジルオキシフェニル基,4−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェニル基,4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基,4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,4−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)フェニル基,4−ピリジン−3−イルメトキシフェニル基,4−ピリジン−4−イルメトキシフェニル基,4−(2−ピリジン−3−イルエトキシ)フェニル基,4−(2−ピリジン−4−イルエトキシ)フェニル基,4−アミノフェニル基,4−ジメチルアミノフェニル基,4−アセチルアミノフェニル基,4−モルホリン−4−イルフェニル基,3,4−ジヒドロフェニル基,3,4−ジメトキシフェニル基,3,4−ビス(2−メトキシエトキシ)フェニル基,3,4,5−トリメトキシフェニル基,2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基,3,4−メチレンジオキシフェニル基,3,4−エチレンジオキシフェニル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,チオフェン−2−イル基,又はチオフェン−3−イル基であり,より好ましくは3−クロロフェニル基,3−ヒドロキシフェニル基,3−メトキシフェニル基,3−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェニル基,3−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,4−メトキシフェニル基,4−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル基,4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基,4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル基,4−アミノフェニル基,3,4−ジメトキシフェニル基,3,4,5−トリメトキシフェニル基,2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基,3,4−メチレンジオキシフェニル基又はチオフェン−2−イル基である。
【0083】
本発明において,一般式(1)におけるRの具体例としては,例えばメチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,sec−ブチル基,イソブチル基,シクロペンチル基,1,4−ジメチルペンチル基,シクロヘキシル基,シクロヘキシルメチル基,1,5−ジメチルヘキシル基,アダマンタン−1−イル基,4−ヒドロキシシクロヘキシル基,フェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,3−アセチルフェニル基,ベンジル基,1−フェニルエチル基,2−フェニル−1−メチルエチル基,3−フェニルプロピル基,3−フェニル−1−メチルプロピル基,1−フェニルプロピル基,1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル基,3−ヒドロキシベンジル基,3−メトキシベンジル基,3,4−メチレンジオキシベンジル基,3,4,5−トリメトキシベンジル基,1−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(3−メトキシフェニル)エチル基,1−(4−メトキシフェニル)エチル基,1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基,1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基,1−(3−イソプロポキシフェニル)エチル基,1−(3−メタンスルホニルオキシフェニル)エチル基,3−(ジメチルカルバモイル)シクロヘキサン−1−イル基,2−メトキシ−1−メチルエチル基,2−エトキシ−1−メチルエチル基,1−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル基,2−イソプロポキシ−1−メチルエチル基,3−メトキシプロピル基,3−メトキシ−1−メチルプロピル基,3−エトキシ−1−メチルプロピル基,1−メチル−3−トリフルオロメトキシプロピル基,4−メトキシブチル基,4−メトキシ−1−メチルブチル基,4−エトキシ−1−メチルブチル基,5−メトキシペンチル基,5−メトキシ−1−メチルペンチル基,4−メトキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−メトキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,5−メトキシ−1−メチル−2−ペンテニル基,1−メチル−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)エチル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)エチル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)エチル基,1−メチル−3−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)プロピル基,1−メチル−4−オキソペンチル基,
【0084】
4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,3−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−メチルアミノ]−1−メチルプロピル基,4−[N−アセチル−N−メチルアミノ]−1−メチルブチル基,4−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−メチルアミノ]−1−メチルブチル基,テトラヒドロフラン−2−イルメチル基,2−ジメチルアミノエチル基,2−ジエチルアミノエチル基,3−ジメチルアミノプロピル基,モルホリン−4−イル基,1−エトキシカルボニルピペリジン−4−イル基,1−ベンジルピペリジン−4−イル基,2−モルホリン−4−イルエチル基,3−モルホリン−4−イルプロピル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,ピリジン−3−イルメチル基,ピリジン−4−イルメチル基,2−ピリジン−2−イルエチル基,2−ピリジン−3−イルエチル基,2−ピリジン−4−イルエチル基,3−イミダゾール−1−イルプロピル基,1−tert−ブトキシカルボニルエチル基,1−tert−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピル基,2−tert−ブトキシカルボニルエチル基,1−ジメチルアミノカルボニルエチル基,1−ジメチルアミノカルボニル−2−メチルプロピル基,1−フェニルカルバモイルエチル基,1−メチル−2−フェニルカルバモイルエチル基,2−メチル−1−フェニルカルバモイルプロピル基,1−ベンジルカルバモイルエチル基,1−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイル)エチル基,1−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)カルバモイルエチル基,1−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)エチル基,1−モルホリン−4−イルカルボニルエチル基,1−メチル−3−(モルホリン−4−イルカルボニル)プロピル基,1−メチル−4−(モルホリン−4−イルカルボニル)ブチル基,1−(2−ピペリジン−1−イルエチルカルバモイル)エチル基,1−(ピリジン−3−イルメチルカルバモイル)エチル基,1−(2−ピリジン−2−イルエチルカルバモイル)エチル基又は1−[1−(メトキシカルボニル)エチルカルバモイル]−2−エチルプロピル基等を挙げることができる。
【0085】
好ましくはメチル基,エチル基,イソプロピル基,1,4−ジメチルペンチル基,シクロヘキシル基,1,5−ジメチルヘキシル基,4−ヒドロキシシクロヘキシル基,ベンジル基,1−フェニルエチル基,2−フェニル−1−メチルエチル基,3−フェニル−1−メチルプロピル基,1−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(3−メトキシフェニル)エチル基,1−(4−メトキシフェニル)エチル基,1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基,1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基,3−エトキシ−1−メチルプロピル基,4−メトキシ−1−メチルブチル基,4−メトキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−メトキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,5−メトキシ−1−メチル−2−ペンテニル基,4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,1−tert−ブトキシカルボニルエチル基,1−tert−ブトキシカルボニル−2−メチルプロピル基,2−tert−ブトキシカルボニルエチル基,1−フェニルカルバモイルエチル基又は1−メチル−2−フェニルカルバモイルエチル基であり,より好ましくはイソプロピル基,1,4−ジメチルペンチル基,1,5−ジメチルヘキシル基,1−フェニルエチル基,1−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(3−メトキシフェニル)エチル基,1−(4−メトキシフェニル)エチル基,3−エトキシ−1−メチルプロピル基,4−メトキシ−1−メチルブチル基,5−メトキシ−1−メチル−2−ペンテニル基,4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基又は5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基である。
【0086】
本発明における一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体が不斉炭素を有する場合,光学活性体もラセミ体も,又光学活性体の任意の割合の混合物もいずれも本発明に含まれる。
【0087】
本発明における一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体としては,具体的には下記実施例に示す化合物が挙げられ,好ましい化合物としては
1−イソプロピル−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−(3−エトキシ−1−メチルプロピル)−3−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−(4−メトキシ−1−メチルブチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−(4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア,
1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア,
1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア,
1−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア,又は
1−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル]−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア等である。
【0088】
特に好ましい化合物としては,
1−イソプロピル−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−(3−エトキシ−1−メチルプロピル)−3−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−(4−メトキシ−1−メチルブチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−(4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア,
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレア,
(S)−1−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア,
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア,
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア,
(S)−1−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア,又は
(S)−1−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル]−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア等である。
【0089】
本発明における一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体の医薬上許容される塩は,常法の造塩反応により得られ,具体的には例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩,カリウム塩,リチウム塩等),アルカリ土類金属塩(カルシウム塩,マグネシウム塩等),アルミニウム塩,鉄塩,亜鉛塩,アンモニウム塩等の無機塩,モルホリン塩,エチレンジアミン塩,グアニジン塩,ジエチルアミン塩,トリエチルアミン塩,ジシクロヘキシルアミン塩,プロカイン塩,ジエタノールアミン塩,ピペラジン塩,テトラメチルアンモニウム塩等の有機アミン塩等や,ハロゲン化水素酸塩(フッ化水素酸塩,塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化水素酸塩等),硝酸塩,過塩素酸塩,硫酸塩,リン酸塩等の無機酸塩,スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩,トリフルオロメタンスルホン酸塩,エタンスルホン酸塩,ベンゼンスルホン酸塩,p−トルエンスルホン酸塩等),酢酸塩,リンゴ酸塩,コハク酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,シュウ酸塩,マレイン酸塩等の有機酸塩,及びオルニチン酸塩,グルタミン酸塩,アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩を挙げることができる。好ましくは,ハロゲン化水素酸塩又は有機酸塩である。
【0090】
又,生体に投与され代謝等を受けたり,生体内における生理条件下や「医薬品の開発 第7巻分子設計」(広川書店)p163−198(1990)に記載されているような生理的条件で,一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体,又はその医薬上許容される塩に変換される化合物(所謂プロドラッグ)も本発明に含まれる。
更に,本発明における一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩が水和物等の溶媒和物となる場合,その溶媒和物も本発明に含まれる。
【0091】
本発明における一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体の製造法は特に限定されないが,例えば以下の反応式A〜Cで示す方法等でも得られる。以下の反応式の化合物の置換基の各記号であるAr,X,Rは前記と同じ意味を示す。
【0092】

【0093】
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−アミン誘導体(7)に化合物(8)を反応させ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体(1)を得る。
本反応は,通常,塩基の非存在下若しくは存在下で行われ,塩基の存在下で行う場合の塩基としては,例えば炭酸リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類,炭酸水素リチウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩類,水素化リチウム,水素化ナトリウム,水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類,水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類,リチウムメトキシド,ナトリウムメトキシド,ナトリウムエトキシド,カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類,ブチルリチウム,tert−ブチルマグネシウムクロリド等のアルキル金属類,リチウムジイソプロピルアミド(LDA),リチウムビス(トリメチルシリル)アミド,ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド等の金属アミド類,トリエチルアミン,トリブチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,N−メチルモルホリン,ピリジン,4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,N,N−ジエチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン,1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機アミン類等が挙げられ,好ましくはアルカリ金属水素化物類又は金属アミド類である。該塩基の使用量は,化合物(7)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜2モル当量である。化合物(8)の使用量は化合物(7)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜2モル当量である。
【0094】
本反応は,溶媒の非存在下若しくは存在下で行われ,溶媒を使用する場合の溶媒としては反応に支障がない限り特に限定されないが,例えばヘキサン,ヘプタン,リグロイン,石油エーテル等の脂肪族炭化水素類,ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類,塩化メチレン,クロロホルム,1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン,ジメトキシエタン,ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類,アセトニトリル,プロピオニトリル等のニトリル類,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド類,N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類又は上記溶媒の混合溶媒等が挙げられ,好ましくはエーテル類又はウレア類である。反応温度は,通常−80℃〜150℃,好ましくは,−10℃〜50℃である。反応時間は通常10分〜48時間である。化合物(8)としてはイソシアン酸メチル,イソシアン酸エチル,イソシアン酸イソプロピル,イソシアン酸シクロヘキシル,イソシアン酸フェニル等のイソシアン酸エステル,イソチオシアン酸メチル,イソチオシアン酸エチル等のイソチオシアン酸エステル等が挙げられ,該化合物(8)は市販されている化合物を使ってもよく,若しくは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0095】

【0096】
[式中,Pは脱離基(例えばハロゲノ基,フェノキシ基,4−ニトロフェノキシ基,フェニルスルファニル基,ピリジン−2−イルスルファニル基等)を示す]
【0097】
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−アミン誘導体(7)に化合物(9)を反応させ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体(1)を得る。
本反応は通常,塩基の非存在下若しくは存在下で行われ,塩基の存在下で行われる場合の塩基としては,上記反応式Aで使用される塩基が挙げられ,好ましい塩基も同様である。該塩基の使用量は化合物(7)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜2モル当量である。化合物(9)の使用量は化合物(7)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜2モル当量である。本反応は溶媒の非存在下若しくは存在下で行われ,溶媒の存在下で行われる場合の溶媒としては,上記反応式Aで使用される溶媒が挙げられ,好ましい溶媒も同様である。反応温度は,通常−80℃〜150℃,好ましくは−10℃〜50℃である。反応時間は通常10分〜48時間である。化合物(9)としては,例えばN−イソブチルカルバモイルクロリド,N−ベンジルカルバモイルクロリド,(1−フェニルエチル)カルバミン酸4−ニトロフェニル,N−シアノ−N’−イソプロピル−O−フェニルイソウレア,N−シアノ−N’−(1,5−ジメチルヘキシル)−O−フェニルイソウレア,N−シアノ−N’−(1−フェニルエチル)−O−フェニルイソウレア,N−メチル−S−フェニルイソチオウレア,N,N’−ジメチル−S−フェニルイソチオウレア等が挙げられ,該化合物(9)は市販されている化合物を使ってもよく,若しくは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0098】

【0099】
[式中,Qは前記反応式BにおけるPと同様な脱離基を示し,Zはハロゲノ基を示す]
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体(7)に化合物(10)を反応させ化合物(11)とし,次にアミン化合物(12)を反応させ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体(1)を得る。化合物(11)を得る反応は通常,塩基の非存在下若しくは存在下で行われ,塩基の存在下で行われる場合の塩基としては,上記反応式Aで使用される塩基が挙げられる。好ましい塩基はアルカリ金属炭酸塩類,アルカリ金属重炭酸塩類又は有機アミン類である。該塩基の使用量は化合物(7)に対して1モル当量〜大過剰(溶媒量)であり,好ましくは1〜5モル当量である。化合物(10)の使用量は化合物(7)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜2モル当量である。本反応は溶媒の非存在下若しくは存在下で行われ,溶媒の存在下で行われる場合の溶媒としては,上記反応式Aで使用される溶媒が挙げられ,好ましい溶媒も同様である。反応温度は通常−50℃〜100℃,好ましくは−10℃〜室温である。反応時間は通常10分〜24時間である。得られた化合物(11)は反応液のまま,あるいは粗成物として次の反応に用いてもよく,又,常法に従って反応混合物から単離することもできる。化合物(10)としては,例えばクロロギ酸トリクロロメチル,クロロギ酸フェニル,クロロギ酸4−ニトロフェニル,クロロギ酸ペンタフルオロフェニル等が挙げられ,該化合物(10)は市販されている化合物を使ってもよく,若しくは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0100】
反応に使用するアミン化合物(12)の量は化合物(11)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜3モル当量である。本反応は溶媒の非存在下若しくは存在下で行われ,溶媒の存在下で行われる場合の溶媒としては上記反応式Aで使用される溶媒が挙げられる。好ましい溶媒としてはエーテル類,アミド類又はウレア類である。反応温度は通常−50℃〜100℃,好ましくは−10℃〜室温である。反応時間は通常10分〜24時間である。化合物(12)としては市販されている化合物を使ってもよく,若しくは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0101】
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体(1)の立体異性体は,望ましい立体配置を有する原料化合物を用いて立体特異的に製造することも,立体異性体の混合物を通常の分割法若しくは分離法を用いて分割して製造してもよい。
【0102】
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体(7)は以下の反応式Dに記載の方法により調製することもできる。
【0103】

【0104】
[式中,R’は(C1〜C6)アルキル基を示し,Arは上記と同じ意味を示す。]
【0105】
例えばChemische Berichte,1971,vol.104 p348−349に記載の方法に準じて,化合物(13)とジメチルホルムアミドジアルキルアセタール(14)を縮合させα,β−不飽和ケトン誘導体(15)を得る。化合物(14)の使用量は化合物(13)に対して0.5〜5モル当量であり,好ましくは1〜3モル当量である。本反応は溶媒の非存在下若しくは存在下で行われ,溶媒の存在下で行われる場合の溶媒としては,上記反応式Aで使用される溶媒が挙げられる。反応温度は通常80℃〜200℃,好ましくは100℃〜150℃である。反応時間は通常6〜48時間である。化合物(13)及び化合物(14)としては市販されている化合物を使ってもよく,若しくは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0106】
続いて,化合物(15)と3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールを縮合し[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体(7)を得る。本反応は通常,酸の存在下で行われる。当該酸としては,例えば塩酸,硫酸等の鉱酸類,酢酸,トリフルオロ酢酸,安息香酸等のカルボン酸類,メタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,カンファースルホン酸等のスルホン酸類,三フッ化ホウ素,四塩化チタン,四塩化スズ等のルイス酸等が挙げられ,好ましくはスルホン酸類である。当該酸の使用量は化合物(15)に対して0.1モル当量〜大過剰であり,好ましくは0.2〜2モル当量である。3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールの使用量は化合物(15)に対して0.5〜10モル当量であり,好ましくは1〜4モル当量である。本反応は溶媒の存在下で行われ,当該溶媒としては,反応が進行する限り特に限定されないが,例えば,ヘキサン,ヘプタン,リグロイン,石油エーテル等の脂肪族炭化水素類,ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類,塩化メチレン,クロロホルム,1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン,ジメトキシエタン,ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類,アセトニトリル,プロピオニトリル等のニトリル類,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド類,N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類,酢酸,プロピオン酸等のカルボン酸類又は上記溶媒の混合溶媒等が挙げられ,好ましくは芳香族炭化水素類である。
反応温度は通常50℃〜150℃,好ましくは80℃〜120℃である。反応時間は通常10分〜6時間である。
【0107】
例えば,化合物(1)のArの置換基が置換基を有していてもよい(C1〜C6)アルコキシル基の場合,Arの置換基が水酸基である化合物を通常のアルキル化反応又は光延反応等の縮合反応等を適用することによって製造することもできる。即ち,置換基を通常の有機反応により変換することにより,一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体を製造することもできる。
【0108】
上記の各反応において,置換基中にアミノ基,水酸基,カルボキシル基等が含まれる場合,これらの基を公知の方法(例えば,Greene,T.W.ら「PROTECTIVE GRPOUS IN ORGANIC SYNTHESIS」第二版,WILEY・INTERSCIENCE(米国)に記載の方法)により保護した化合物を原料として用い,反応後に保護基を除去して目的化合物を製造してもよい。アミノ基の保護基としては,例えばホルミル基,アセチル基,ベンゾイル基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基,tert−ブトキシカルボニル基,ベンジルオキシカルボニル基,フタロイル基等が,水酸基の保護基としては,例えばメチル基,エチル基,ベンジル基,ホルミル基,アセチル基,ベンゾイル基,tert−ブチルジメチルシリル基,tert−ブチルジフェニルシリル基等が,カルボキシル基の保護基としては,例えばメチル基,エチル基,tert−ブチル基,ベンジル基等が必要に応じて使用され得る。
又,生成物が遊離体で得られた場合はその塩に,塩で得られた場合は遊離体にそれぞれ常法に従って変換することができる。
前記の各生成物は,公知の分離手段,例えば蒸留,減圧濃縮,溶媒抽出,結晶化,クロマトグラフィー等により単離,精製することができる。
【0109】
本発明には一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする医薬も含まれる。
又,本発明である一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩は,下記の試験例に示すように抗原提示阻害活性を有し,該誘導体又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗原提示阻害剤も本発明に含まれる。
本発明には,一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする免疫抑制剤も含まれる。
【0110】
本発明には,一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするリンパ球増殖阻害剤,細胞の分化・成熟阻害剤,免疫寛容誘導剤も含まれる。更に,該誘導体又はその医薬上許容される塩を有効成分とする移植拒絶反応又は移植片対宿主反応病の治療剤又は予防剤,自己免疫疾患治療剤又は予防剤,アレルギー性疾患治療剤及び予防剤,炎症性疾患に対する治療剤及び予防剤,抗悪性腫瘍剤も本発明に含まれる。
本発明の抗原提示阻害物質は,移植における急性拒絶反応,移植片対宿主病,慢性拒絶反応に対する治療及び予防,免疫寛容の誘導等に使用できる。移植臓器は,骨髄,腎臓,肝臓,心臓,膵臓等いずれの臓器でも可能である。供与者宿主間の関係は,異種間移植,異系統間移植、血液不適合間移植等,いずれの場合でも可能である。癌治療,自己免疫疾患治療,遺伝子治療,再生医療等で用いられる骨髄移植,末梢血幹細胞移植,臍帯血幹細胞移植等の臓器移植に対して,免疫抑制,移植臓器の長期生着等を目的として使用できる。
【0111】
自己免疫疾患治療剤又は予防剤とは具体的に,関節リウマチ,多発性硬化症,全身性エリテマトーデス,円板状エリテマトーデス,シェーグレン症候群,クローン病,潰瘍性大腸炎,特発性血小板減少症,再生不良性貧血,自己免疫性肝炎,インスリン依存性糖尿病,重症筋無力症,多発性筋炎,強皮症,混合性結合組織病,強直性脊椎炎,慢性甲状腺炎の治療剤又は予防剤が挙げられる。
アレルギー性疾患治療剤及び予防剤とは具体的に,アトピー性皮膚疾患,花粉症,接触性過敏症,喘息,乾癬,アナフィラキシーの治療剤及び予防剤が挙げられる。
炎症性疾患に対する治療剤及び予防剤とは具体的に,ベーチェット病,多発動脈炎,サルコイドーシス,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,難治性血管炎,ウェゲナー症候群の治療剤又は予防剤が挙げられる。
抗悪性腫瘍剤とは具体的に,リンパ腫、白血病、脳腫瘍、肺癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌等の悪性腫瘍が挙げられる。
【0112】
本発明の医薬は、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体又はその薬理学上許容される塩を単独又は賦形剤あるいは担体と混合して懸濁液、乳剤、注射剤、吸入剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、経口用液剤、座剤、経皮用液剤、経皮用貼付剤、軟膏剤、経粘膜液剤、経粘膜添付剤等の製剤とし、経口的に、又は非経口的に投与することができる。賦形剤又は担体等の添加剤としては薬剤学的に許容されるものが選ばれ、その種類及び組成は投与経路や投与方法による。例えば注射剤の場合、一般に食塩、グルコースやマンニトール等の糖類が望ましい。経口剤の場合、でんぷん、乳糖、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム等が望ましい。所望に応じて上記製剤中に助剤、安定剤、湿潤剤、又は乳化剤、緩衝液及びその他の通常使用される添加剤を含んでいてもよい。
製剤中における本化合物の含量は製剤により種々異なるが、通常、1〜100重量%、好ましくは10〜90重量%程度である。経口剤の場合、具体的には上記添加剤とともに錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤等の形態で投与される。カプセル剤、錠剤、顆粒、散剤は一般に5〜100重量%、好ましくは25〜98重量%の有効成分を含む。
本発明の医薬は経口,注射,直腸内投与,門脈内投与,臓器の灌流,臓器への局所投与等いずれの投与方法で投与してもよい。本発明の医薬の投与量は投与方法,適用症,患者の病態,年齢,体重等により異なるが,通常の投与量は0.01mg〜500mg/kg,好ましくは0.05mg〜50mg/kgを1日1回又は数回に分けて投与してもよい。投与は1日若しくは連日行なうこともできるが,数日から数ヶ月の間をおいて反復投与を行なってもよい。必要に応じて上記以外の投与方法,投与量,投与スケジュールを用いることができる。
【0113】
以下に,実施例,参考例及び試験例を示し,本発明を更に詳細に説明するが,本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
参考例1:7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
市販の2−アセチルチオフェン(8.20g)と市販のN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(13.6mL)を,キシレン(13mL)中130℃にて2日間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し,更にトルエンにて共沸処理した後,トルエン−ヘキサン混合溶媒にて結晶化して3−ジメチルアミノ−1−チオフェン−2−イルプロペノン(11.52g)を得た。
H−NMR(CDCl):2.80−3.30(6H,m),5.63(1H,d,J=12.4),7.08(1H,dd,J=3.7,5.0),7.43(1H,dd,J=1.1,5.0),7.63(1H,dd,J=1.1,3.7),7.79(1H,d,J=12.4)
得られた3−ジメチルアミノ−1−チオフェン−2−イルプロペノン(10.78g)をトルエン(160mL)に溶解し,3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール(14.15g)を加えて100℃にて撹拌した。10−カンファースルホン酸(13.82g)を加えた後,1.5時間加熱還流した。室温まで放冷した後,上清を除去した(デカント)。残渣を5%炭酸ナトリウム−10%エタノール水溶液,10%エタノール水,エタノール,塩化メチレンの順で懸濁洗浄後,減圧下乾燥して標記化合物(8.55g)を得た。
【0115】
参考例2:7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
参考例1における2−アセチルチオフェンの代わりに4’−ベンジルオキシアセトフェノンを用いることにより,標記化合物を得た。
【0116】
参考例3:7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例2の化合物,5.70g)に酢酸(40mL)及び濃塩酸(40mL)を加え,80℃にて3時間撹拌した。減圧下濃縮後,残渣をアセトン(200mL),次いで50%エタノール水(100mL)にて懸濁洗浄して,標記化合物(2.60g)を得た。
【0117】
参考例4:7−[4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例3の化合物,295mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し,p−トルエンスルホン酸テトラヒドロピラン−4−イルメチルエステル(460mg)及び炭酸セシウム(556mg)を加えて90℃にて一晩撹拌した。室温まで冷却後,蒸留水(18mL)を加えて生じた沈殿をろ取し,20%エタノール水,エタノール,アセトンの順に懸濁洗浄して,標記化合物(310mg)を得た。
【0118】
参考例5:7−(4−ニトロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
参考例1における2−アセチルチオフェンの代わりに4’−ニトロアセトフェノンを用いることにより,標記化合物を得た。
【0119】
参考例6:7−(4−アミノフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
7−(4−ニトロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例5の化合物,62.0mg)を酢酸(0.8mL)に懸濁し,塩化すず(II)二水和物(200mg)及び濃塩酸(0.6mL)を加えて室温にて一晩攪拌した。反応液を6M水酸化ナトリウム水溶液にて中和し,析出した沈殿をろ取した。蒸留水,エタノール,塩化メチレンの順にて懸濁洗浄して,標記化合物(42.3mg)を得た。
【0120】
参考例7:7−(4−アセチルアミノフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミンの合成
7−(4−アミノフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例6の化合物,20.1mg)をメタノール(2mL)に懸濁し,無水酢酸(16.9μL)を加えて一昼夜撹拌した。反応液に5%炭酸カリウム水溶液(5mL)を加えた後,遠心分離(2000rpm,10分間)した。上清を除き,沈殿をエタノール及び塩化メチレンにて懸濁洗浄して,標記化合物(19.2mg)を得た。
【0121】
参考例8〜22
以下,市販の化合物あるいは公知の方法又はこれに準じた方法等に従って得られる化合物を用い,前記の参考例1の方法と同様にして表1に示す参考例8〜19の化合物を,前記の参考例3の方法と同様にして参考例20の化合物を,前記の参考例4の方法と同様にして参考例21〜22の化合物を,それぞれ製造した。参考例1〜22の化合物の構造式及び物理化学的データを表1に示す。
【0122】






【0123】
実施例001:1−フェニル−3−[(7−チオフェン−2−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成(反応式Aの製法例)
7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例1の化合物,217mg)をテトラヒドロフラン(12mL)に懸濁し,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩(1Mテトラヒドロフラン溶液,2mL)を加えて室温にて5分間撹拌後,イソシアン酸フェニル(109μL)を加えて20分間撹拌した。N,N−ジメチルエチレンジアミン(200μL)を加えて20分間撹拌した。反応液を塩化メチレン(20mL)にて希釈し,塩化メチレン溶液を4M塩酸(10mLx3)及び5%炭酸カリウム水溶液(12mL)にて洗浄後,無水硫酸ナトリウムにて乾燥し,減圧下溶媒を留去した。残渣をメタノール及び塩化メチレンにて懸濁洗浄し,標記化合物(92mg)を得た。
【0124】
実施例029:1−イソプロピル−3−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレアの合成(反応式Aの製法例)
7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例1の化合物,9.73g)をテトラヒドロフラン(400mL)に懸濁し,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩(1.73Mテトラヒドロフラン溶液,51.8mL)を加えて室温にて10分間撹拌後,イソシアン酸イソプロピル(7.04mL)を加えて30分間撹拌した。N,N−ジメチルエチレンジアミン(10mL)を加えて15分間撹拌後,反応液を塩化メチレン(500mL)にて希釈し,次に2M塩酸(600mLx2),5%炭酸カリウム水溶液(600mL),飽和食塩水(500mL)にて順次洗浄後,無水硫酸ナトリウムにて乾燥し減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3.6φx25cm,0〜2%含メタノール−塩化メチレン溶液にて溶出)にて精製後,酢酸エチルより結晶化して標記化合物(8.40g)を得た。
【0125】
実施例040:1−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)ウレアの合成(反応式Aの製法例)
ジ−tert−ブチルジカーボネート(210mg)を塩化メチレン(2mL)に溶解し,4−ジメチルアミノピリジン(117mg)及びテトラヒドロフルフリルアミン(99.1μL)を加えて10分間撹拌して,イソシアン酸テトラヒドロフルフリル溶液を生成した。7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例8の化合物,145mg)をテトラヒドロフラン(4mL)に懸濁し,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩(1.2Mテトラヒドロフラン溶液,1.0mL)を加え撹拌した。この反応液に,上述のイソシアン酸テトラヒドロフルフリル溶液を加えて10分間撹拌した。N,N−ジメチルエチレンジアミン(120μL)を加えて更に10分間撹拌後、塩化メチレン(6mL)にて希釈した。4M塩酸及び5%炭酸カリウム水溶液にて洗浄後、有機層を減圧下濃縮した。残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx110cm,メタノールにて溶出)にて精製し,標記化合物(59mg)を得た。
【0126】
実施例241:(S)−N−シアノ−N’−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]−N’’−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]グアニジンの合成(反応式Bの製法例)
(S)−(−)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン(321mg)を,イソプロパノール(6mL)に溶解し,ジフェニルN−シアノカルボノイミダート(diphenyl cyanocarbonimidate,508mg)を加え室温にて2時間撹拌した。析出した結晶をろ取し,イソプロピルエーテルにて洗浄し(S)−1−シアノ−3−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]−2−フェニルイソウレア(339mg)を得た。
ESI−MS(positive mode):m/z 296(M+H)
7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例8の化合物,96.5mg)をテトラヒドロフラン(4mL)に懸濁し,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩(1.2Mテトラヒドロフラン溶液,0.67mL)を加え3分間撹拌した。この反応液に,前記の(S)−1−シアノ−3−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]−2−フェニルイソウレア(142mg)を加えて室温にて90分間撹拌した。反応液を10%塩化アンモニウム水溶液にて中和後,減圧下濃縮して有機溶媒を除去した。沈殿物を遠心分離後,上清を除去し残渣をメタノールに溶解して,ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx111cm,メタノールにて溶出)にて精製し標記化合物(49.5mg)を得た。
【0127】
実施例272:1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例1の化合物,2.17g)を1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン(DMI,100mL)に溶解し,クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(3.02g)を加えて氷冷下5分間撹拌後,ピリジン(1.21mL)を加えて氷冷下40分間撹拌した。6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール(5.81g)を加え,氷冷下30分間撹拌した。反応液を塩化メチレン(300mL)にて希釈し,有機層を4M塩酸(200mLx2),蒸留水,5%炭酸カリウム水溶液(200mLx2)の順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒留去した。得られた残渣(DMIを含む)に酢酸エチル(40mL)−ヘキサン(500mL)の混合溶媒を加えて撹拌した。上清を除去し,沈殿物を酢酸エチル(250mL)に溶解し水洗後,有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx110cm,メタノールにて溶出)にて精製し標記化合物(1.48g)を得た。
【0128】
実施例300:(S)−1−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]−3−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例15の化合物,1.277g)をDMI(50mL)に溶解した。氷冷後,ピリジン(0.61mL)及びクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(1.511g)を加え,同温で70分撹拌した。(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン(2.277g)を加え,同温で1時間撹拌した。水(10mL)を加え反応を停止後,塩化メチレン(200mL)を加え,これを4M塩酸(200mLx4),飽和炭酸カリウム水溶液(200mLx4),水(300mLx2)の順に洗浄後,有機層を減圧下濃縮した。得られた残渣を加温下(70〜80℃)で酢酸エチルに溶解し不溶物を熱ろ過して除き,ろ液を濃縮後,酢酸エチル(90mL)にて結晶化した。得られた結晶を塩化メチレン(150mL)に溶解し不溶物をろ過して除去した。ろ液を濃縮し,加温下(70〜80℃)で酢酸エチル(250mL)に溶解後,溶媒を約1/3量まで濃縮し沈殿物をろ過して除去した。ろ液を濃縮後,残渣をメタノールにて再結晶した。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜2%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製し標記化合物(0.576g)を得た。
【0129】
実施例302:1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例15の化合物,0.510g)及びクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(0.605g)をDMI(20mL)に溶解した。氷冷後,ピリジン(0.24mL)を加え,同温で70分撹拌した。
1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチルアミン(1.268g)を加え同温で6時間40分撹拌した。反応液に酢酸エチル(200mL)を加え,これをヘキサン(600mL)に滴下した。10分間超音波照射後,沈殿物をろ取し,再び酢酸エチル(100mL)に溶解し,ヘキサン(300mL)に滴下して,上清を除去し沈殿物を集めた。この沈殿物を加温下(60℃)メタノール(100mL)に溶解し,不溶物をろ過して除去した。ろ液を濃縮後,残渣を塩化メチレン(50mL)に溶解し,これを4M塩酸(40mLx4),飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40mLx4),水(40mLx2)の順に洗浄した。乾燥後有機層を減圧下濃縮し,得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜2%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)して精製し標記化合物(0.233g)を得た。
【0130】
実施例306:1−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル]−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例22の化合物,0.536g)及びクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(0.509g)をDMI(13mL)に溶解した。氷冷後,ピリジン(0.20mL)を加え同温で1時間撹拌した。1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチルアミン(0.695g)を加え同温で3時間40分撹拌した。水(1mL)を加え反応を停止後,酢酸エチル(168mL)を加え,これをヘキサン(505mL)に滴下した。10分間超音波照射後,沈殿物をろ取した。これをヘキサン−酢酸エチルの混合溶媒(3:1,60mL)に懸濁させ,10分間超音波照射後,沈殿物をろ取した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製し標記化合物(0.454g)を得た。
【0131】
実施例313:1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレアの合成(反応式Cの製造例)
クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(0.786g)をDMI(20mL)に溶解し10℃にて撹拌下,7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例22の化合物,0.828g)及びピリジン(421μL)を加えた。10℃にて1時間撹拌後,6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール(1.133g)のDMI溶液(1.5mL)を加え,更に10℃にて2.5時間,続いて室温まで徐々に昇温しながら一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去(63℃,1mmHg)後,残渣を塩化メチレン(500mL)にて溶解し,1M水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をジエチルエーテル−ヘキサンの混合溶媒(1:1,20mLx2)にて懸濁洗浄し,残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3〜7%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製し標記化合物(1.129g)を得た。
【0132】
実施例317:(±)−1−(4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
市販のヘキサン−2,5−ジオン(137g)をベンゼン(300mL)に溶解し,エチレングリコール(100mL)及びp−トルエンスルホン酸(11.4g)を加えて5時間脱水加熱還流した。酢酸エチルにて希釈し,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水にて洗浄後,有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧下留去後,残渣を減圧蒸留(80〜82℃/3mmHg)し,4−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)ブタン−2−オン(56.83g)を得た。
H−NMR(CDCl):1.32(3H,s),1.98(2H,t,J=7.6),2.16(3H,s),2.52(2H,t,J=7.6),3.88−3.98(4H,overlapped)
得られた4−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)ブタン−2−オン(27.60g)をテトラヒドロフラン(220mL)に溶解し,臭化メチルマグネシウム(3Mテトラヒドロフラン溶液,85mL)を室温にて加えた。40分間撹拌後,飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)を加え,酢酸エチル(300mLx3)にて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後,無水硫酸ナトリウムにて乾燥し減圧下溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン(1:1)にて溶出)にて精製し,2−メチル−4−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)ブタン−2−オール(21.18g)を得た。
H−NMR(CDCl):1.22(6H,s),1.34(3H,s),1.54−1.82(4H,overlapped),3.9−4.0(4H,m)
【0133】
得られた2−メチル−4−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)ブタン−2−オール(21.18g)をアセトン(165mL)に溶解し,1M塩酸(6.6mL)を加えて室温にて2時間撹拌した。反応液を1M水酸化ナトリウム水溶液にて中和後,飽和食塩水(100mL)を加え,減圧下アセトンを留去した。クロロホルム(200mLx4)にて抽出後,有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し減圧下溶媒を留去して5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン−2−オン(14.23g)を得た。
H−NMR(CDCl):1.22(6H,s),1.77(2H,t,J=7.4),2.19(3H,s),2.59(2H,t,J=7.4)
5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン−2−オン(14.23g)を塩化メチレン(520mL)に溶解し,ベンズヒドリルアミン(21.00g)を加え,室温にて一晩撹拌した。反応液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(46.30g)を加え,室温にて4時間撹拌した。蒸留水(173mL)を加えた後,6M水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とする。クロロホルムにて抽出後,有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(67%酢酸エチル−ヘキサンにて溶出)にて精製し5−ベンズヒドリルアミノ−2−メチルヘキサン−2−オール(22.80g)を得た。
H−NMR(CDCl):1.07(3H,d,J=6.3),1.31(3H,s),1.34−1.84(4H,overlapped),2.58(1H,m),3.86−3.96(4H,overlapped),4.98(1H,s),7.18−7.44(10H,overlapped)
【0134】
得られた5−ベンズヒドリルアミノ−2−メチルヘキサン−2−オール(5.20g)をメタノール(250mL)に溶解し,この溶液に水酸化パラジウム(2.00g)を加えオートクレーブにて水素圧9kg/cm下で2.5時間撹拌した。反応液をろ過剤(セライト)を用いてろ過後,ろ液を減圧下濃縮した。残渣に蒸留水(50mL)を加え,1M塩酸にて液性をpH2.0とした後,ジエチルエーテル(100mLx3)にて洗浄した。水層を6M水酸化ナトリウム水溶液にて液性をpH12とした後,クロロホルム(100mLx3)にて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し,無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒を留去して5−アミノ−2−メチル−2−ヘキサノール(2.01g)を得た。
H−NMR(CDCl):1.12(3H,d,J=6.4),1.22(6H,s),1.3−1.7(4H,overlapped),2.90(1H,m)
【0135】
7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例8の化合物,579mg)をDMI(24mL)に溶解しクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(726mg)を加えて氷冷下撹拌後,更にピリジン(292μL)を加えて氷冷下45分間撹拌した。続いて5−アミノ−2−メチル−2−ヘキサノール(1.25g)のDMI溶液(2mL)を加え氷冷下30分間撹拌した。反応液にジイソプロピルエーテル(200mL)を加えて10分間撹拌しあめ状の沈殿物を得た。上清を除去後,沈殿物を5%含メタノール−塩化メチレン混合溶媒(100mL)に溶解し,1M塩酸(100mL),5%炭酸カリウム水溶液(100mL)及び蒸留水(100mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒留去し得られた残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx112cm,メタノールにて溶出)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1.6φx21cm,0〜4%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)を用いて精製し標記化合物(368mg)を得た。
【0136】
実施例319:(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例8の化合物,72.4mg)をDMI(3mL)に溶解し,クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(90.7mg)を加えて氷冷下撹拌後,更にピリジン(36.4μL)を加えて氷冷下45分間撹拌した。次に,(S)−6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール(175mg)を加え撹拌しながら一晩で徐々に室温まで昇温した。反応液にジイソプロピルエーテル(10mL)を加え生成した油状沈殿物を分離後,更にジイソプロピルエーテルで洗浄した。残渣を酢酸エチル(20mL)にて溶解し,5%炭酸カリウム水溶液(15mL)及び蒸留水にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx110cm,メタノールにて溶出)にて精製し標記化合物(48.2mg)を得た。
【0137】
実施例327:1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−(3−エトキシ−1−メチルプロピル)ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例15の化合物,766mg)をDMI(30mL)に溶解し,クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(907mg)を加えて氷冷下撹拌後,更にピリジン(365μL)を加えて氷冷下45分間撹拌した。続いて3−エトキシ−1−メチルプロピルアミン(1.40g)を加え氷冷下1時間撹拌した。反応液を塩化メチレン(160mL)にて希釈し,1M塩酸(160mL),蒸留水(160mL),5%炭酸カリウム水溶液(160mL)及び飽和食塩水(160mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒を留去した。DMIを含む残渣を酢酸エチル(200mL)にて希釈し蒸留水(200mLx4)で洗浄後,無水硫酸ナトリウムにより乾燥し減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2.3φx22cm,1〜2%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)及びゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH−20;2.1φx112cm,メタノールにて溶出)にて精製し標記化合物(442mg)を得た。
【0138】
実施例333:1−(4−メトキシ−1−メチルブチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(644mg)をDMI(26mL)に溶解し氷冷撹拌下,7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例8の化合物,514mg)及びピリジン(347μL)を加えた。氷冷下40分間撹拌後,4−メトキシ−1−メチルプロピルアミン(500mg)を加え氷冷下1時間攪拌し,続いて室温にて一晩撹拌した。反応液に氷塊及び3M水酸化ナトリウム水溶液を加え塩化メチレンにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後,無水硫酸ナトリウムにて乾燥し溶媒を減圧下留去した。得られた残留溶液を更に減圧蒸留してDMIを除去した。蒸留残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解し,有機層を1M塩酸(30mLx4)にて洗浄後,無水硫酸ナトリウムにより乾燥し溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜20%含メタノール−酢酸エチルにて溶出)にて精製し標記化合物(242mg)を得た。
【0139】
実施例222:(S)−1−[7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例2の化合物,6.98g)をDMI(100mL)に溶解し,クロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(6.67g)を加え,氷冷下ピリジン(2.67mL)を加え,続いて氷冷下1時間撹拌した。反応液に(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン(5.00g)を加えて一昼夜撹拌した後,減圧下溶媒を留去した。残渣を塩化メチレンにて希釈し,有機層を1M塩酸及び蒸留水にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧下溶媒を留去し,得られた残渣を酢酸エチルにて懸濁洗浄して標記化合物(6.93g)を得た。
【0140】
実施例223:(S)−1−[7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレアの合成
(S)−1−[7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア(実施例222の化合物,7.83g)を酢酸(600mL)に溶解し,10%パラジウム炭素(50%含水,2.0g)を加えて水素雰囲気下40℃にて一晩撹拌した。反応液をろ過剤(Celite)にてろ過後,減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(4%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製し標記化合物(5.37g)を得た。
【0141】
実施例244:(S)−1−{7−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレアの合成
(S)−1−[7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア(実施例223の化合物,20.3mg)を2−ブタノン(2mL)に懸濁し,炭酸カリウム(69.4mg)及び臭化2−メトキシエチル(47.2μL)を加えて80℃にて5時間撹拌した。塩化メチレン(5mL)にて希釈し,1M塩酸(5mLx3),飽和炭酸水素ナトリウム(5mLx2)及び蒸留水(5mLx2)にて洗浄した。有機層を減圧下濃縮し,得られた残渣を逆相液体クロマトグラフィー(Inertsil PREP−ODS;20φx250mm,含水アセトニトリルにて溶出)にて精製し標記化合物(10.7mg)を得た。
【0142】
実施例245:(S)−1−[7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−(1,5−ジメチルヘキシル)ウレアの合成(反応式Cの製造例)
7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン(参考例2の化合物,8.00g)及びクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル(7.62g)をDMI(100mL)に溶解した。氷冷後,溶液にピリジン(3.1mL)を加え同温で40分撹拌した。(S)−(+)−2−アミノ−6−メチルヘプタン(6.4mL)を加え室温に昇温後,一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し,残渣に塩化メチレン(100mL)を加え溶解して,1M塩酸(100mLx3),5%炭酸カリウム水溶液(100mLx5),飽和食塩水(200mL)にて順次洗浄後,有機層を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル(286mL)に溶解しヘキサン(429mL)に滴下した。沈殿物をろ取しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製して標記化合物(7.39g)を得た。
【0143】
実施例255:(S)−1−(1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレアの合成
(S)−1−[7−(4−ベンジルオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−(1,5−ジメチルヘキシル)ウレア(実施例245の化合物,7.1g)及びパラジウム炭素(50%含水,2.0g)を酢酸(570mL)に懸濁し,水素雰囲気下室温にて5日間撹拌した。反応液をろ過剤(Celite)にてろ過し,ろ取物をメタノールで洗浄した。ろ液と洗浄液をあわせて減圧下濃縮後,得られた残渣を塩化メチレン(150mL)に溶解した。飽和食塩水(100mL)で2回洗浄した。2回目の飽和食塩水層を塩化メチレン(70mLx3)にて抽出した。有機層をあわせて減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜2%含メタノール−塩化メチレンにて溶出)にて精製し標記化合物(4.72g)を得た。
【0144】
実施例262:(S)−1−(1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレアの合成
(S)−1−(1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア(実施例255の化合物,30mg)及び炭酸カリウム(108mg)をメチルエチルケトン(3mL)に懸濁し,臭化2−メトキシエチル(327mg)を加え80℃で10時間撹拌した。室温まで冷却後,塩化メチレン(5mL)を加え,1M塩酸水溶液(5mLx3),飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mLx2)及び蒸留水(5mLx2)にて洗浄した。有機層を減圧下濃縮し,得られた残渣を逆相液体クロマトグラフィー(Inertsil PREP−ODS;20φx250mm,含水アセトニトリルにて溶出)にて精製して標記化合物(14mg)を得た。
【0145】
実施例258:(S)−1−(1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[4−(2−モリホリン−4−イルエトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア塩酸塩の合成
(S)−1−(1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア(実施例255の化合物,20mg)をアルゴン雰囲気下塩化メチレン(1mL)に溶解し,2−モルホリン−4−イルエタノール(21mg)及びトリフェニルホスフィン(41mg)を加え室温にて30分間撹拌した。氷冷後,アゾジカルボン酸ジエチル(27mg)を加え同温で30分間撹拌し,更に室温にて一晩撹拌した。反応液を減圧下濃縮後,酢酸エチル(3mL)及び1M塩酸(3mL)を加えて分液した。水層を更に酢酸エチル(3mL)で洗浄後,水層に6M水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とした。塩化メチレン(5mL)にて抽出し,有機層を蒸留水(5mLx2)にて洗浄後,減圧下溶媒を留去した。残渣を50%酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒(2mL)にて懸濁洗浄して,標記化合物の遊離体(18mg)を得た。これにメタノール(1mL)及び1M塩酸(0.2mL)を加えて溶解した後,減圧下濃縮した。得られた残渣をアセトン(0.5mL)にて懸濁洗浄して標記化合物(17mg)を得た。
【0146】
以下,参考例に記載の方法又は公知の方法に準じた方法等により製造される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルアミン誘導体と,公知のアミン又はアミン誘導体若しくは公知の方法に準じた方法等により製造されるアミン又はアミン誘導体とを用い,上記実施例に記載の方法又は通常の有機合成反応を参考にした方法等により,実施例001〜337に相当する[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体を製造した。製造された実施例001〜337の化合物の構造式と物理化学的データを表4及び表5に示す。
【0147】
表中,構造式の前に「(S)−」,「(R)−」あるいは「(S,S)−」等の記載があるものは化合物が光学活性体であることを示し,不斉炭素の立体配置が(S)−体,(R)−体あるいは(S,S)−体等であることを表わす。
【0148】
















【0149】

































































【0150】
試験例1:T1細胞(ヒトリンパ腫細胞株174xCEM.)のMHCクラスI発現に対する作用
96穴平底マイクロプレートを用い,400μMから公比ルート10で希釈した各濃度の被験化合物存在下,10%牛血清(以下FBSと記す;Iruvine Scientific社)を含むRPMI 1640培地(岩城硝子社)中で5.7x10個/200μL/ウェルのT1細胞を,5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で3日間培養した。培養後,細胞をフルオロイソチオシアネート標識マウス抗ヒトMHCクラスIモノクローナル抗体(細胞株W6/32(ATCC No.CRL1991)の産生抗体)で染色した。フローサイトメトリーFACScan(BD社)を用いて,染色細胞の平均蛍光強度(以下MFIと記す)を測定し,これをMHCクラスI分子発現量とした。下記の式(1)より,MHCクラスI分子の発現量を20%抑制する被験化合物濃度(EC20値)を算出し,表6及び表7に示した。
式(1)

Eexp:被験化合物添加培養細胞の抗体染色後のMFI
Cexp:被験化合物非添加培養細胞の抗体染色後のMFI
【0151】


【0152】


これらより,本発明化合物はT1細胞のMHCクラスI発現を抑制することが示された。
【0153】
試験例2:ヒト末梢血由来樹状細胞のMHCクラスI分子発現に対する作用
比重遠心法を用いてヒト末梢血より単核球を分離し,マウス抗ヒトCD14抗体結合マイクロビーズ及び磁気細胞分離システム(Miltenyi Biotec社)を用いて,末梢血単核球よりCD14陽性細胞を分離した。分離されたCD14陽性細胞を,10%FBSを含むRPMI 1640培地に浮遊させ,1.0x10個/ウェルとなるよう6穴プレートに播種し,5%炭酸ガス含有の37℃培養器中で20分間培養した。培養後,接着性を持たず溶液中に浮遊する非接着細胞を除去した。これに,500U/mLのヒトリコンビナント顆粒球コロニー刺激因子(以下GM−CSFと記す;Anapure Bioscientific社),50ng/mLのヒトリコンビナントインターロイキン4(以下IL−4と記す;Pepro Tech社)及び10%FBSを含むRPMI 1640を2mL/ウェル加え,5%炭酸ガス含有の37℃培養器中で培養した。接着性のあるCD14陽性細胞をGM−CSF,IL−4存在下で培養すると,CD14陽性細胞は非接着性の未成熟樹状細胞に分化する。7日間培養した後,非接着性の細胞を回収することにより未成熟樹状細胞を得た。6穴プレートを用いて,100U/mLのヒトリコンビナント腫瘍壊死因子−α(以下TNF−αと記す;Pepro Tech社)及び被験化合物を加えた10%FBSを含むRPMI 1640中,2.5x10/ウェルの未成熟樹状細胞を3日間,5%炭酸ガス含有の37℃培養器中で培養した。TNF−αにより樹状細胞は成熟するが,本試験では同時に被験化合物を作用させた。この成熟樹状細胞をフルオロイソチオシアネート標識マウス抗ヒトMHCクラスIモノクローナル抗体(細胞株W6/32(ATCC No.CRL1991)の産生抗体)で染色し,フローサイトメトリーによりMHCクラスI分子の高発現細胞数/全細胞数の率を測定した。下記の式(2)よりMHCクラスI分子高発現細胞数の減少率を算出し,50%減少を示す被験化合物の濃度(EC50値)を求め,表8に示した。
式(2)

Eexp:(被験化合物添加培養細胞におけるMHCクラスI分子高発現細胞数)/(全細胞数)
Cexp:(被験化合物非添加培養細胞におけるMHCクラスI分子高発現細胞数)/(全細胞数)
【0154】

本発明化合物は,ヒト末梢血由来樹状細胞のMHCクラスI分子発現を抑制することが示された。
【0155】
試験例3:ヒト樹状細胞の同種異系T細胞増殖誘導能に対する作用
試験例2記載の方法と同様に,未成熟樹状細胞を被験化合物とTNF−αと共に3日間培養した。得られた樹状細胞(2.5x10個/50μL/ウェル)をヒト異系T細胞(2.0x10個/150μL/ウェル)と共に平底96穴プレート中で5日間,5%炭酸ガス含有の37℃培養器中で混合培養した。培養終了16時間前に,1μCi/10μL/ウェルの[H]−チミジン(Amersham pharmacia biotech社)を添加した。培養終了後,セルハーベスター(Skatron instrument社)を用いガラスフィルター上に細胞を捕集し,乾燥後,シンチレーターACS−II(Amersham pharmacia biotech社)を加え,液体シンチレーションカウンターを用いて細胞に取り込まれた[H]−チミジンの放射活性を測定した。下記の式(3)により,リンパ球のDNA合成抑制率を算出し,50%抑制を示す被験化合物の濃度(IC50値)を求め,結果を表9に示す。
式(3)

Eexp:被験化合物添加培養細胞の[H]−チミジンの取込み量
Cexp:被験化合物非添加培養細胞の[H]−チミジンの取込み量
【0156】

本発明化合物は,樹状細胞のリンパ球増殖誘導能を抑制することが示された。
【0157】
試験例4:マウス溶血斑形成細胞(PFC)に対する作用
BALB/cマウス(日本チャールズリバー社,雌性,8週齢)に1.0x10個のヒツジ赤血球(日本生物材料センター社)を腹腔内投与し,同日から4日間,被験化合物を1日2回(初日は1回)投与した(n=4)。被験化合物の投与終了の翌日に脾細胞を調製し,カニンガムの方法(Cunninham,A.J.et al.,Immunology,vol.14,p599(1968))により,ヒツジ赤血球に対するPFC数をカウントし,1.0x10脾細胞数当りのPFC数を求めた。下記の式(4)により,被験化合物を投与せずに媒体のみを投与した対照に対する被験物質投与マウスのPFC数の減少率を算出し,結果を表10に示す。
式(4)

Eexp:被験化合物投与マウスの1X10脾細胞当りのPFC数
Cexp:媒体投与マウスの1X10脾細胞当りのPFC数
【0158】

被験化合物の投与によりPFC数が減少した。PFC数は,ヒツジ赤血球に対する抗体を産生する脾細胞の数を示すことから,本発明化合物は抗体産生を抑制することが示された。
【0159】
試験例5:マウス遅延型過敏反応(DTH反応)に対する作用
BALB/cマウス(日本チャールズリバー社,雌性,8週齢)に1.0x10個のヒツジ赤血球(日本生物材料センター社)を静脈内注射して感作を行ない,同日から被験化合物を投与した。対照として,媒体として用いた0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)−Na溶液及び生理食塩水を,同様に経口投与又は腹腔内投与した。抗原感作から5日後に1.0x10個のヒツジ赤血球を足蹠に皮下注射し,24時間後にその足蹠の厚さを測定した。この測定値から,ヒツジ赤血球の代わりに生理食塩水を投与したマウスの足蹠の厚さの平均値を差し引いた値を,DTH反応による足蹠の腫脹とした。下記の式(5)を用いて,DTH反応による足蹠の腫脹の抑制率を算出し,被験化合物のDTH反応に対する抑制活性として,50%抑制を示す被験化合物の用量(ED50値)を求め,結果を表に示す。なお,シクロスポリンAをpositive controlとする。
式(5)

Eexp:被験化合物投与マウスの足蹠の腫脹
Cexp:媒体投与マウスの足蹠の腫脹
【0160】

本発明化合物は,DTH反応を抑制することが示され,IV型アレルギー反応を抑制する効果を有する。
【0161】
試験例6:移植片対宿主(GVH)反応に対する作用
GVH反応に対する作用は,シモンセンらの脾臓重量測定法(Simonsen et al.,Annals of the New York Academy of Sciences,p73(1978))に従って行なった。C57BL/6マウス(日本チャールズリバー社,雌性,10週齢)から調製した脾臓細胞5.0x10個を,BDF1マウス(日本チャールズリバー社,7日齢)の腹腔内に移入した。同日から各希釈濃度の被験化合物又は媒体である5%グルコース溶液を1日2回,7日間連続皮下投与を行なった。移入後,8日目にそれぞれのBDF1マウスについて脾臓重量を測定した。下記の式(6)を用いて,脾臓重量の減少率を算出し,50%減少を示す被験化合物の用量(ED50値)を求め,表に示す。
式(6)

Eexp:被験化合物投与マウスの脾臓重量
Cexp:媒体投与マウスの脾臓重量
【0162】

本発明化合物はGVH反応を抑制し,移植に伴う拒絶反応及び移植片対宿主反応を抑制する効果を有する。
【0163】
試験例7:移植片対宿主病(GVHD)に対する延命効果
ジョナサンらの方法(Jonathan et al.,Blood,p93(1999))を改変して行なった。6.0グレイのX線照射を行った(C57BL/6XB6.C−H2bml)F1マウス(6XB6.C−H2bmlマウス(ジャクソン研究所)とC57BL/6マウス(日本チャールズリバー社)を交配,雌性,8〜12週齢)に,C57BL/6マウス(日本チャールズリバー社,雌性,8週齢)の脾臓細胞から調製したCD8陽性T細胞1.25x10個を静脈内に移入した。移入前日から各希釈濃度の被験化合物又は媒体である0.5%カルボキシメチルセルロースを1日1回,7〜30日間連続経口投与を行なった。移植実施日を0日として各群の生存日数の中央値から,下記の式(7)を用いて生存日数の延長率を算出し,被験化合物のGVHDに対する効果を検討した。
式(7)

Eexp:被験化合物投与群の生存日数の中央値
Cexp:媒体投与群の生存日数の中央値
【0164】
結果を表13に示す。本発明化合物は,GVHDに対して生存日数の延長を示し,移植に伴う拒絶反応及び移植片対宿主反応を抑制する効果を有することが示唆された。
【0165】

【0166】
試験例8:自己免疫疾患モデルSCG/kjマウスに対する効果
自己免疫疾患モデルマウスSCG/kjマウス(金城ら,Proceedings of National Academy of Sciences,vol.90,p3413(1993))を用いて,被験化合物の自己免疫疾患に対する効果を検討した。SCG/kjマウス(日本化薬株式会社繁殖,雌性,8〜10週齢)に100mg/kgの被験化合物又は媒体を1日1回,59日間連続経口投与を行ない,投与後60日目までの生存率を求めた。
【0167】
60日後の生存率は,被験化合物投与郡が80.0%に対し,媒体投与郡では42.1%であった。本発明化合物は,SCG/kjマウスに対して明らかな延命効果(p<0.05,ログランク検定により有為差あり)を示したことから,自己免疫疾患の発症を抑制する効果を有している。
【0168】
試験例9:マウス脾細胞の幼若化反応に対する抑制作用
BALB/cマウス(日本チャールズリバー社,雌性,10週齢)より脾臓を摘出し,メッシュを通して単細胞浮遊液とした。この単細胞浮遊液を1.0x10個/mLに調製し,その200μLを96穴プレートの各ウェルに分注した。これに,幼若化刺激として,5μg/mLのコンカナバリンA(Pharmacia社),又は25μg/mLの大腸菌由来リポ多糖体(DIFCO社)を加え,更に各濃度の被験化合物の溶液を各20μL/ウェル加えて,37℃,5%炭酸ガス含有の培養器内で72時間培養した。培養開始後64時間後に,1μCi/10μL/ウェルの[H]−チミジン溶液を添加した。培養終了後(72時間後),セルハーベスターを用いて濾紙上に細胞を捕集し,乾燥し,シンチレーターを加え,液体シンチレーションカウンターで細胞に取り込まれた[H]−チミジンの放射活性を測定した。前述の式(3)により,DNA合成抑制率を算出し,50%抑制を示す被験化合物の濃度(IC50値)を求めた。結果を表14に示す。
【0169】

【0170】
本発明化合物は,マイトジェン刺激によるリンパ球幼若化反応を抑制し,リンパ球の増殖に対して直接抑制する作用を有することが認められた。
【0171】
試験例10:ヒト末梢血由来樹状細胞の抗原提示分子及び共刺激分子の発現に対する作用
試験例2と同様な方法で得た樹状細胞を,500U/mLのGM−CSF,50ng/mLのIL−4,及び100U/mLのヒトリコンビナント腫瘍壊死因子を含む10%FCSを含むRPMI 1640に2.5x10個/mLになるよう浮遊させ,6穴プレートに2.0mLずつ播種し,被験化合物を添加後3日間5%炭酸ガス含有の37℃培養器中で培養した。浮遊細胞を回収し,MHCクラスI(Beckman Coulter社),CD1a(Immunotech社),CD40(Pharmingen社),CD80(Pharmingen社)及びCD83(Immunotech社)に対するフルオロイソチオシアネート標識マウスモノクローナル抗体を用いて染色し,フローサイトメトリーにより平均蛍光強度と陽性細胞率を測定した。発現量を「平均蛍光強度x陽性細胞率」で算出し,下記の式(8)により,樹状細胞の表面抗原発現量の抑制率を求め,結果を表15に示す。
式(8)

Eexp:被験化合物存在下で培養した樹状細胞の表面抗原発現量
Cexp:被験化合物非存在下で培養した樹状細胞の表面抗原発現量
【0172】

【0173】
検体1,2及び3はそれぞれ異なる健常者の末梢血より分離した樹状細胞を表す。これより本発明化合物は,抗原提示分子であるCD1a及びMHCクラスI分子だけでなく,共刺激分子であるCD40,CD80及びCD83の発現も抑制し,免疫寛容を誘導する作用を有することが示された。又,CD83は樹状細胞の分化成熟マーカー分子であるので,その発現が抑制されたことから本発明化合物は,樹状細胞の分化成熟を抑制することも認められる。
【0174】
試験例11:T1細胞(ヒトリンパ腫細胞株174xCEM.)に対する細胞障害作用
96穴平底マイクロプレートを用い,400μMから公比ルート10で希釈した各濃度の被験化合物存在下,10%FBSを含むRPMI 1640培地中5.7x10個/200μL/ウェルのT1細胞を,5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で3日培養した。培養後,細胞障害を受けた細胞をプロポジウムイオダイトで染色した。フローサイトメトリーFACScan(BD社)を用いて,全細胞数に対する染色細胞数の率からIC50を求め,これを細胞障害活性とした。結果を表16に示す。
【0175】

【0176】
これより本発明化合物はT1細胞に対して細胞障害作用を示し,抗悪性腫瘍活性を有する。
発明の産業上の利用可能性
【0177】
以上の物理化学的性状及び生物学的性状から,本発明の一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩は新規化合物であり,抗原提示阻害作用及びリンパ球機能抑制作用を示し,自己免疫疾患,移植拒絶反応,移植片対宿主反応、アレルギー疾患又は炎症性疾患の治療用若しくは予防用の医薬として有用である。又,抗原提示に関与する共刺激分子の発現も抑制し,免疫寛容誘導用の医薬としても有用である。更に、悪性腫瘍に対する治療用の医薬として有用である。本発明の一般式(1)で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩は,in vitro及びin vivoにおける免疫抑制活性試験において優れた活性を示し,臓器・骨髄移植における拒絶反応及び/又は移植片対宿主反応,自己免疫疾患,アレルギー性疾患及び/又は炎症性疾患の予防薬及び/又は治療薬,抗悪性腫瘍剤,並びに移植臓器・移植骨髄の免疫寛容誘導剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)

[式中,Arは置換基を有していてもよい,芳香族炭化水素基又は1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環基を示し,XはO,S,NH,N−CH又はN−CNを示し,Rは水素原子,シアノ基,置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]で表される[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその薬理学上許容される塩。
【請求項2】
一般式(1)のArの置換基がハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,ニトロ基,(C1〜C6)アルキル基,O−R1{R1は,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,シアノ基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ基,2−{2−[2−(C1〜C4)アルコキシエトキシ]エトキシ}エトキシ基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,NR2R3(R2,R3は各々独立して水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ基,芳香族炭化水素基,及びオキソ基又は(C1〜C6)アルキル基が置換していてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環からなる置換基群[A]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基を表す}で表されるアルコキシル基,NR2R3{R2,R3は前記と同じ意味を示す}で表されるアミノ基,(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい5〜7員の飽和環状アミノ基,エチレンオキシ基及び(C1〜C2)アルキレンジオキシ基からなる置換基群[B]より選ばれる同一又は異なった1〜4個の基であり,
Rの置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖又は環状のアルキル基,置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基,若しくは置換基を有していてもよいN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基が,下記式(2)〜(6)のいずれかの式で表される基である請求項1記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその薬理学上許容される塩。

[式中,R4は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C2〜C10)アルケニル基,(C2〜C10)アルキニル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R5は,水素原子又はメチル基を示し;
R6は,水素原子,(C1〜C10)アルキル基{当該アルキル基は,ハロゲノ基,水酸基,オキソ基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,ハロゲノ(C1〜C3)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,トリフルオロメチル基,シアノ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,フェニルスルファニル基,トルエン−4−スルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,フェニルスルフィニル基,トルエン−4−スルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,フェニルスルホニル基,トルエン−4−スルホニル基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,NR13R14(R13,R14は各々独立して水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C7)アシル基,アセトキシイソブチリル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基を示す)で表されるアミノ基,芳香族炭化水素基,及びオキソ基又は(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基からなる置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよい},(C2〜C10)アルケニル基(当該アルケニル基は,前記置換基群[C]から選択される置換基を1〜4個有していてもよい),(C2〜C10)アルキニル基(当該アルキニル基は,前記置換基群[C]から選択される置換基を1〜4個有していてもよい),若しくはN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]:

[式中,R7は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R8は,オキソ基又は(C1〜C6)アルキル基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基を示し;
pは1〜3の整数を示し,qは0〜3の整数を示す}:

[式中,R9は,水素原子,(C1〜C6)アルキル基,(C2〜C10)アルケニル基,(C2〜C10)アルキニル基,(C1〜C4)アルコキシメチル基,シアノ基又はトリフルオロメチル基を示し;
R10は,ハロゲノ基,水酸基,(C1〜C6)アルキル基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシル基,テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ基,テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ基,ベンジルオキシ基,メチレンジオキシ基,(C1〜C7)アシル基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,シアノ基,ニトロ基,(C1〜C6)アルキルスルファニル基,(C1〜C6)アルキルスルフィニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニル基,(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニルオキシ基,ベンジルオキシカルボニルオキシ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニルメトキシ基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,ピリジン−2−イルメトキシ基,ピリジン−3−イルメトキシ基,ピリジン−4−イルメトキシ基,及びNR2R3(R2,R3は前記と同じ意味を示す)で表されるアミノ基からなる置換基群[D]から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す]:

[式中,Cyは,ハロゲノ基,水酸基,カルボキシル基,(C1〜C6)アルキル基,フェニル基,ベンジル基,(C1〜C6)アルコキシル基,(C1〜C7)アシル基,(C1〜C7)アシルオキシ基,トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基,シアノ基,(C1〜C6)アルコキシカルボニル基,カルバモイル基,N−(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,N,N−ジ(C1〜C6)アルキルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基,及びNR2R3(R2,R3は前記と同じ意味を示す)で表されるアミノ基からなる置換基群[E]より選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよい,フェニル基,(C3〜C10)シクロアルキル基,1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル基又はN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の複素環基を示す]:

[式中,Yは単結合又は側鎖を保護されていてもよいα−アミノ酸残基を示し;
R11は,保護基によって保護されていてもよいアミノ酸側鎖を示し;
R12は,水酸基,(C1〜C6)アルコキシル基,ベンジルオキシ基,アミノ基,ヒドロキシルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよい(C1〜C6)アルキルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよいジ(C1〜C6)アルキルアミノ基,シクロヘキシルメチルアミノ基,前記の置換基群[C]から選ばれる同一又は異なった1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルアミノ基,若しくは,オキソ基,(C1〜C6)アルキル基,フェニル基及びベンジル基からなる置換基群[F]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の基で置換されていてもよくN,O及びSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和又は不飽和複素環基を示す]:
【請求項3】
一般式(1)のArが,フルオロ基,クロロ基,水酸基,メチル基,シアノ基,トリフルオロメチル基,メトキシ基,エトキシ基,イソプロポキシ基,シクロプロポキシ基,イソブトキシ基,ベンジルオキシ基,2−メトキシエトキシ基,2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基,2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ基,テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ基,テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ基,2−[1,3]ジオキサン−2−イルエトキシ基,2−ジメチルアミノエトキシ基,3−ジメチルアミノプロピル基,2−ジエチルアミノエトキシ基,3−ジエチルアミノプロピル基,2−モルホリン−4−イル−2−オキソエトキシ基,2−ピペリジン−1−イルエトキシ基,3−ピペリジン−1−イルプロポキシ基,2−モルホリン−4−イルエトキシ基,3−モルホリン−4−イルプロポキシ基,2−(1−メチルピペリジン−4−イル)エトキシ基,3−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロポキシ基,ピリジン−2−イルメトキシ基,ピリジン−3−イルメトキシ基,ピリジン−4−イルメトキシ基,アミノ基,ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,アセチルアミノ基,ピロリジン−1−イル基,ピペリジン−1−イル基,4−メチルピペラジン−1−イル基,モルホリン−4−イル基及びメチレンジオキシ基からなる置換基群[G]から選ばれる同一又は異なった1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基,2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル基,ピリジン−3−イル基,ピリジン−4−イル基,1−オキシピリジン−3−イル基,1−オキシピリジン−4−イル基,チオフェン−2−イル基若しくはチオフェン−3−イル基であり;
Xが,O又はSであり;
Rが,式(2)におけるR4が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R5が水素原子であり,R6が,フルオロ基,トリフルオロメチル基,水酸基,メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,イソブトキシ基,tert−ブトキシ基,2−メトキシエトキシ基,フルオロメトキシ基,ジフルオロメトキシ基,トリフルオロメトキシ基,2,2,2−トリフルオロエトキシ基,1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基,アセチル基,プロピオニル基,シアノ基,メタンスルホニル基,エタンスルホニル基,N,N−ジメチルカルバモイル基,ピロリジン−1−イルカルボニル基,ピペリジン−1−イルカルボニル基,モルホリン−4−イルカルボニル基,テトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基及び2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル基からなる置換基群[H]から選ばれる同一又は異なった置換基を1〜2個有していてもよい(C1〜C6)アルキル基である基か,
式(3)におけるR7が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R8がテトラヒドロフラン−2−イル基,テトラヒドロピラン−4−イル基又は2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル基であり,pとqの和が4以下の整数である基か,
若しくは,式(4)におけるR9が水素原子,メチル基,エチル基,イソプロピル基,メトキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり,R10が水酸基,メトキシ基,トリフルオロメトキシ基,メチレンジオキシ基及びメタンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる1〜4個の置換基を有するフェニル基である請求項2に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項4】
一般式(1)のArが,3−ヒドロキシフェニル基,3−メトキシフェニル基,4−ヒドロキシフェニル基,4−メトキシフェニル基,3,4−メチレンジオキシフェニル基,3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル基,4−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)フェニル基又はチオフェン−2−イル基であり;
Xが,Oであり;
Rが,イソプロピル基,2−メトキシ−1−メチルエチル基,2−エトキシ−1−メチルエチル基,2−プロポキシ−1−メチルエチル基,3−メトキシ−1−メチルプロピル基,3−エトキシ−1−メチルプロピル基,4−メトキシ−1−メチルブチル基,1−メチル−2−トリフルオロメトキシエチル基,1−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル基,1−メチル−3−トリフルオロメトキシプロピル基,4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,5−メトキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,1−メチル−3−(テトラヒドロピラン−4−イル)プロピル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)エチル基,1−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルメトキシ)エチル基,1−メチル−3−(2−メチル[1,3]ジオキソラン−2−イル)プロピル基,1−メチル−4−オキソペンチル基,1−(3−ヒドロキシフェニル)エチル基,1−(3−メトキシフェニル)エチル基,1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基,1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基又は1−(3−メタンスルホニルオキシフェニル)エチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項5】
一般式(1)のRが,イソプロピル基,(S)−2−メトキシ−1−メチルエチル基,(S)−3−メトキシ−1−メチルプロピル基,(S)−3−エトキシ−1−メチルプロピル基,(S)−4−メトキシ−1−メチルブチル基,(S)−4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル基,(S)−5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル基,(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチル基,(S)−1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル基又は(S)−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル基である請求項4記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項6】
1−イソプロピル−3−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレア;
(S)−1−(3−エトキシ−1−メチルプロピル)−3−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(4−メトキシ−1−メチルブチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(4−ヒドロキシ−1,4−ジメチルペンチル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア;
(S)−1−(5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヘキシル)−3−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)ウレア;
(S)−1−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]−3−[7−(4−メトキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]ウレア;
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−[7−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−(7−チオフェン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル)−3−[1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチル]ウレア;
(S)−1−[1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エチル]−3−{7−[3−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル}ウレア;
又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする医薬。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗原提示阻害剤。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする免疫抑制剤。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするリンパ球増殖阻害剤。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする細胞の分化・成熟阻害剤。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする移植拒絶反応又は移植片対宿主反応病の治療剤若しくは予防剤。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする免疫寛容誘導剤。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする自己免疫疾患治療剤又は予防剤。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする関節リウマチ,多発性硬化症,全身性エリテマトーデス,円板状エリテマトーデス,シェーグレン症候群,クローン病,潰瘍性大腸炎,特発性血小板減少症,再生不良性貧血,自己免疫性肝炎,インスリン依存性糖尿病,重症筋無力症,多発性筋炎,強皮症,混合性結合組織病,強直性脊椎炎,又は慢性甲状腺炎の治療剤若しくは予防剤。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするアレルギー性疾患治療剤又は予防剤。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするアトピー性皮膚疾患,花粉症,接触性過敏症,喘息,乾癬,又はアナフィラキシーの治療剤若しくは予防剤。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする炎症性疾患に対する治療剤又は予防剤。
【請求項19】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とするベーチェット病,多発動脈炎,サルコイドーシス,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,難治性血管炎,又はウェゲナー症候群の治療剤若しくは予防剤。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イルウレア誘導体,又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤。

【国際公開番号】WO2004/108729
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506762(P2005−506762)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007623
【国際出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】