説明

iNOSインヒビターとして有用なイミダゾピリジン誘導体

式(I)で示され、その式中、R1、R11及びAが明細書中に示される意味を有する化合物は、新規の効果的なiNOSインヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規のイミダゾピリジン誘導体に関する。
【0002】
公知の背景技術
国際出願WO03/80607号は、誘導性の窒素酸化物シンターゼ(iNOS)阻害活性を有するアルコキシピリジン誘導体を記載している。国際出願WO96/33175号は、窒素酸化物シンターゼ(NOS)インヒビターとして有用な環状アミジノ剤を含む。WO2004/076451号は、イミダゾ[4,5−b]キノリン誘導体並びにNOSインヒビターとしてのそれらの使用に関する。WO02/10139号は、iNOSインヒビターとしてのヘキサヒドロ−7−1H−アゼピン−2−イル−ヘキサン酸誘導体を記載している。
【0003】
発明の開示
目下、以下に非常に詳細に説明する新規の7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル置換されたイミダゾピリジン誘導体が意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。
【0004】
従って、本発明は、式I
【化1】

[式中、
Aは、C1〜C4−アルキレン又はC3〜C7−シクロアルキレンであり、
R1は、フェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル、Har1又は、R4及び/又はR5で置換されたHar1であり、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル、フリル又はテトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、第一の構成成分と、場合により該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから構成される、完全飽和もしくは部分不飽和の単環式もしくは縮合二環式の環もしくは環系であり、前記の第一の構成成分は、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、該複素環式の環Bは、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、かつ該複素環式の環Bは、1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてよく、かつ前記の第二の構成成分は、ベンゼン環であり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R24によって更なる環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、エチレンジオキシ基によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ又はフェニルカルボニルであり、
R24は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和もしくは部分飽和のヘテロアリール基であり、
R4は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、ホルミル、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンである]で示される化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩に関する。
【0005】
有利には、本発明は、式Iで示され、その式中、
Aは、C1〜C4−アルキレン又はC3〜C7−シクロアルキレンであり、
R1は、フェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル、Har1又は、R4及び/又はR5で置換されたHar1であり、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、第一の構成成分と、場合により該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから構成される、完全飽和もしくは部分不飽和の単環式もしくは縮合二環式の環もしくは環系であり、前記の第一の構成成分は、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、該複素環式の環Bは、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、かつ該複素環式の環Bは、1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてよく、かつ前記の第二の構成成分は、ベンゼン環であり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R24によって更なる環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、エチレンジオキシ基によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ又はフェニルカルボニルであり、
R24は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和もしくは部分飽和のヘテロアリール基であり、
R4は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、ホルミル、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩に関する。
【0006】
1〜C4−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、特にエチル基及びメチル基である。
【0007】
2〜C4−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の2〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、特にエチル基である。
【0008】
1〜C4−アルキレンは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン基である。これに関して挙げられる例は、メチレン(−CH2−)基、エチレン(−CH2−CH2−)基、トリメチレン(−CH2−CH2−CH2−)基及びテトラメチレン(−CH2−CH2−CH2−CH2−)基である。
【0009】
3〜C7−シクロアルキレンは、3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を表す。その中でも、1,2−シクロプロピレン基が好ましい。
【0010】
1〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基である。本文中で挙げられる1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基は、例えばブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、特にエトキシ基及びメトキシ基である。
【0011】
3〜C7−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを表し、そのうちシクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが有利である。
【0012】
3〜C7−シクロアルキルメチルは、前記のC3〜C7−シクロアルキル基の1つにより置換されているメチル基を表す。挙げられる例は、シクロプロピルメチル基及びシクロヘキシルメチル基である。
【0013】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、ヨウ素、臭素又は、特に塩素又はフッ素である。
【0014】
完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシは、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、ペルフルオロエトキシ基、1,2,2−トロフルオロエトキシ基、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基及びジフルオロメトキシ基であり、そのうちジフルオロメトキシ基が好ましい。この関連での"大部分が"とは、C1〜C4−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0015】
1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキルは、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つによって置換されている前記のC2〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げることができる例は、2−(メトキシエチル)(−CH2−CH2−O−CH3)基、3−(メトキシ)プロピル(−CH2−CH2−CH2−O−CH3)基、2−(エトキシ)エチル(−CH2−CH2−O−CH2−CH3)基及び2−(イソプロポキシ)エチル(−CH2−CH2−O−CH−(CH32)基である。
【0016】
ヒドロキシ−C2〜C4−アルキルは、ヒドロキシ基により置換された前記のC2〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、2−ヒドロキシエチル基及び3−ヒドロキシプロピル基である。
【0017】
モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基は、窒素原子の他に、前記のC1〜C4−アルキル基の1つ又は2つを含有する。ジ−C1〜C4−アルキルアミノ基、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ及びジイソプロピルアミノ基が特に挙げるに値する。
【0018】
モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル基はカルボニル基の他に、前記のモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基の1つを含有する。挙げられる例は、N−メチルアミノカルボニル基、N,N−ジメチルアミノカルボニル基、N−エチルアミノカルボニル基、N−プロピルアミノカルボニル基、N,N−ジエチルアミノカルボニル基及びN−イソプロピルアミノカルボニル基である。
【0019】
1〜C4−アルキルカルボニルアミノは、例えばプロピオニルアミノ[C37C(O)NH−]及びアセチルアミノ基[CH3C(O)NH−]である。
【0020】
1〜C4−アルコキシカルボニルは、前記C1〜C4−アルコキシ基の1つが結合されているカルボニル基である。例は、メトキシカルボニル[CH3O−C(O)−]及びエトキシカルボニル[CH3CH2O−C(O)−]基である。
【0021】
フェニル−C1〜C4−アルコキシは、フェニル基によって置換されている前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、ベンジルオキシ基及びフェネトキシ基である。
【0022】
モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルは、前記のモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基の1つによって置換されている前記のC2〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、2−(ジメチルアミノ)エチル基である。
【0023】
フェニル−C1〜C4−アルキルは、フェニル基によって置換されている前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、フェネチル基及びベンジル基である。
【0024】
Har2−C1〜C4−アルキルは、Har2基によって置換されている前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、2−(Har2)−エチル基及び(Har2)−メチル基である。
【0025】
Har2は、ピリジル、チエニル、フリル又はテトラヒドロフリルを表す。
【0026】
1〜C4−アルキルカルボニルは、カルボニル基であって、そこに前記のC1〜C4−アルキル基の1つが結合されている基である。一例は、アセチル[CH3C(O)−]基である。
【0027】
1〜C4−アルキルスルホニルは、スルホニル基であって、そこに前記のC1〜C4−アルキル基の1つが結合されている基である。一例は、メタンスルホニル基(CH3SO2−)又はエタンスルホニル基(CH3CH2SO2−)である。
【0028】
Het1は、第一の構成成分と、場合により該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから構成される、完全飽和もしくは部分不飽和の単環式もしくは縮合二環式の環もしくは環系を指し、前記の第一の構成成分は、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、該複素環式の環Bは、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、かつ該複素環式の環Bは、1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてよく、かつ前記の第二の構成成分は、ベンゼン環であり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R24によって更なる環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、エチレンジオキシ基によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよい。
【0029】
Het1のための例は、これらに制限されないが、例えばアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル又はチオモルホリニル、及び前記の例のオキソ置換された誘導体、例えば2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、並びにチオモルホリンS−オキシド又はチオモルホリンS,S−ジオキシド、及び前記の例のベンゼン縮合された誘導体、例えばインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルであってよい。
【0030】
本願で使用される場合には、用語"オキソ"は、炭素原子に結合する場合にはカルボニル部を形成し、硫黄原子に結合する場合にはスルホキシド部を形成し、かつこれらの2つが硫黄原子に結合する場合にはスルホニル部を形成する。
【0031】
一詳細においては、Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル又はアゼチジニル又はモルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニルである。
【0032】
もう一つの詳細においては、Het1は、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルである。
【0033】
もう一つの詳細においては、Het1は、R23及び/又はR24によってベンゼン部で置換されており、かつインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルである。
【0034】
もう一つの詳細においては、Het1は、ピペラジニル又はホモピペラジニルである。もう一つの詳細においては、Het1は、4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニルである。
【0035】
もう一つの詳細においては、Het1は、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニルである。
【0036】
もう一つの詳細においては、Het1は、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルである。
【0037】
もう一つの詳細においては、Het1は、R23によって又はエチレンジオキシによって1つの環炭素原子上で置換されており、かつピペリジニルである。
【0038】
もう一つの詳細においては、Het1は、アゼチジン−1−イル又は4N−(R25)−ピペラジン−1−イルである。
【0039】
Har1は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和もしくは部分飽和のヘテロアリール基を指す。特に、Har1は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和のヘテロアリール(複素芳香族)基を指す。殊に、Har1は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式の5員ないし6員のもしくは縮合二環式の9員ないし10員の不飽和のヘテロアリール(複素芳香族)基を指す。
【0040】
Har1基の例は、これらに制限されないが、5員の誘導体であるフラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル(厳密に:1,2,4−トリアゾリル又は1,2,3−トリアゾリル)、チアジアゾリル(厳密に:1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル又は1,2,4−チアジアゾリル)又はオキサジアゾリル(厳密に:1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル又は1,2,4−オキサジアゾリル)又は6員の誘導体であるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニル又はそれらのベンゾ縮合された誘導体、例えば9員の誘導体であるベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソインドリル、イソフラニル又はイソベンゾチエニル又は10員の誘導体であるキノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル又はシンノリニル又はインドリジニル又はナフチリジニルを含んでよい。
【0041】
Har1基は、イミダゾピリジン骨格のピリジン環に環炭素原子を介して結合されることを留意すべきである。
【0042】
一詳細においては、非置換又はR4及び/又はR5で置換されたHar1基の例としては、例えばこれらに制限されないが、チエン−2−イル、チエン−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、3−メチル−チエン−2−イル、4−メチル−チエン−2−イル、5−メチル−チエン−2−イル、5−エチル−チエン−2−イル、4−メチル−フラン−2−イル、5−メチル−フラン−2−イル、5−フェニル−チエン−2−イル、ベンゾフラン−2−イル、ベンゾチエン−2−イル、ベンゾチエン−3−イル、ベンゾキサゾール−5−イル、ベンゾチアゾール−5−イル、1−メチル−インドール−5−イル、1H−インドール−2−イル、1H−インドール−3−イル、1H−インドール−4−イル、1H−インドール−5−イル、1H−インドール−6−イル、6−トリフルオロメチル−インドール−2−イル、7−トリフルオロメチル−インドール−2−イル、5−メトキシ−インドール−2−イル、1H−ピロール−2−イル、ピラゾール−4−イル、イミダゾール−4−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、4−メチル−ピリジン−2−イル、5−メチル−ピリジン−2−イル、6−メチル−ピリジン−2−イル、5−メチル−ピリジン−3−イル、2−メチル−ピリジン−4−イル、3−メチル−ピリジン−4−イル、6−メトキシ−ピリジン−2−イル、2−メトキシ−ピリジン−3−イル、4−メトキシ−ピリジン−3−イル、5−メトキシ−ピリジン−3−イル、6−メトキシ−ピリジン−3−イル、ピリミジン−5−イル、2−メトキシ−ピリミジン−5−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−8−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、5−シアノ−チエン−2−イル、5−カルボキシ−チエン−2−イル、3−カルボキシ−チエン−2−イル、5−ジメチルアミノ−チエン−2−イル、2−アセチル−チエン−3−イル、5−アセチル−チエン−2−イル、3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イル、4−クロロ−チエン−2−イル、5−クロロ−チエン−2−イル、3−フルオロ−ピリジン−4−イル、3−クロロ−ピリジン−4−イル、6−フルオロ−ピリジン−3−イル、6−クロロ−ピリジン−3−イル、2−フルオロ−ピリジン−3−イル、2−クロロ−ピリジン−3−イル、2−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−4−イル、2−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−3−イル、2,3−ジクロロ−ピリジン−4−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル、2,6−ジクロロ−ピリジン−3−イル、2−フルオロ−6−メチル−ピリジン−3−イル、6−フルオロ−2−メチル−ピリジン−3−イル、6−フルオロ−5−メチル−ピリジン−3−イル、6−クロロ−5−メチル−ピリジン−3−イル、2−クロロ−6−メチル−ピリジン−3−イル、5,6−ジフルオロ−インドール−2−イル又は5−クロロ−インドール−2−イル並びにベンゾイミダゾール−2−イル又は5−メチル−ベンゾイミダゾール−2−イルを挙げることができる。
【0043】
一般に、特に挙げられない限りは、本願に挙げられる複素環基は、その全ての可能な異性体形を指す。
【0044】
本願で挙げられる複素環基は、特に示されない限りは、特にその全ての可能な位置異性体を指す。
【0045】
このように、例えば用語、ピリジル又はピリジニルは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルを含む。
【0046】
本願に記載のように置換されていてよい成分は、特に記載がない限り任意の可能な位置で置換されていてよい。
【0047】
本願に挙げられる炭素環基は、単独で又は他の基の一部として、それらの所定の置換基によって、特に記載がない限り、任意の置換可能な環炭素原子で置換されていてよい。
【0048】
本願に挙げられる複素環基は、単独で又は他の基の部分として、所定の置換基によって、特に示されない限りは、任意の可能な位置で、例えば任意の置換可能な環炭素原子又は環窒素原子で置換されていてよい。
【0049】
特に挙げられない限りは、第4級化可能なイミノ型の環窒素原子(−N=)を有する環は、有利には、これらのイミノ型の環窒素原子上で前記の置換基によって第4級化されていなくてよい。
【0050】
特に示されない限りは、本願に挙げられる原子価が満たされていない複素環の任意のヘテロ原子は、水素原子を有することで原子価が満たされると見なす。
【0051】
任意の置換基が任意の成分中に1回以上存在する場合には、各定義は無関係である。
【0052】
式Iの化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される薬理学的に認容性の無機及び有機の酸及び塩基のそれが特に挙げられる。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水不溶性の酸付加塩、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0053】
他方で、置換によっては塩基との塩も適当である。塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0054】
本発明による化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物として得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0055】
専門知識によれば、本発明の化合物並びにそれらの塩は、例えば結晶形で単離された場合に、種々の量の溶剤を含有してよい。従って本発明の範囲内では、式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物が包含される。
【0056】
当業者は、その専門知識に基づいて、本発明による化合物が、縮合イミダゾ環に関して、種々の互変異性形で、例えば1−H形で、又は有利には式Iに示される3−H形で存在しうることを認識している。従って本発明は純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる互変異性体を含む。特に、本発明は、純粋な1−H形、有利には3−H形並びにそれらの混合物を含む。
【0057】
更に、当業者は、その専門知識に基づいて、本発明による化合物が、アミノ−アゼピン環中の環状アミジン構造に関して、種々の互変異性形で、例えば環外のイミン形で、又は有利には式Iに示される環外のアミン形で存在しうることを認識している。従って本発明は純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる互変異性体を含む。特に、本発明は、純粋な環外のイミン−互変異性体及び、有利にはアミン−互変異性体並びにそれらの混合物を含む。
【0058】
本発明による好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレン又はシクロプロピレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつフェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル、フリル又はテトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニル、又はインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、又はピペラジニル又はホモピペラジニル、又は4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルであり、その際、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつピリジル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル又はイソキノリルである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0059】
本発明による更に好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレン又はシクロプロピレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつフェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニル、又はインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、又はピペラジニル又はホモピペラジニル、又は4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルであり、その際、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつピリジル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル又はイソキノリルである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0060】
本発明による更に好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつフェニル又はR2及び/又はR3で置換されたフェニルであり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ又はフェニル−C1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0061】
本発明による更に好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつR2及び/又はR3で置換されたフェニルであり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニル、又はインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、又はピペラジニル又はホモピペラジニル、又は4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルであり、その際、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0062】
本発明による更に好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつピリジル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル又はイソキノリルである、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0063】
本発明による更なる好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、C1〜C4−アルキレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、フェニル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、フリル又はテトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキルであり、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和のヘテロアリール基である、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0064】
本発明による更なる好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、テトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキルであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、1〜3個の窒素原子を有する、4員ないし6員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、かつ前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ1個の酸素原子を有する、縮合二環式の9員の不飽和のヘテロアリール基である、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0065】
本発明による更なる好ましい化合物は、式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、テトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキルであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、アゼチジニル環又はピペラジニル環であり、前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつベンゾフラニル環である、化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩である。
【0066】
本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、本発明の範囲内で、以下の実施態様の1つ又は可能であれば、それより多くの組合せにより包含される本発明の化合物である:
本発明の化合物の一実施態様には、式Iで示され、その式中、Aがエチレンである化合物が含まれる。
【0067】
本発明の化合物の一実施態様には、式Iで示され、その式中、R11が水素である化合物が含まれる。
【0068】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、Aがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0069】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1がフェニルであり、かつAがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0070】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1がR2及び/又はR3で置換されたフェニルであり、かつAがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0071】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1がR2で置換されたフェニルであり、かつAがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0072】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1がHar1であり、かつAがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0073】
本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1がR4及び/又はR5で置換されたHar1であり、かつAがエチレンであり、かつR11が水素である化合物が含まれる。
【0074】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、R1が、イミダゾピリジン環系の6位に結合されている化合物が含まれる。
【0075】
本発明による化合物の置換基R2及びR3は、フェニル環がイミダゾピリジン環系に結合されている結合位に関してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されていてよく、それにより本発明の化合物の特定の一実施態様には、式Iで示され、その式中、R2がメタ位、又は特にパラ位で結合されている化合物が含まれる。
【0076】
これに関して、本発明の化合物のもう一つの実施態様には、式Iで示され、その式中、フェニル環がイミダゾピリジン環系に結合されている結合位に関して、R3がオルト位又はメタ位で結合されており、かつR2がパラ位で結合されている化合物が含まれる。
【0077】
式Iの化合物は、アミノ−アゼピニル環と部分Aとの結合部位にキラル中心を有するキラル化合物である。
【0078】
【化2】

【0079】
従って本発明は、純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる立体異性体、例えばラセミ体を含む。特に、キラル中心は、絶対配置R又は絶対配置Sを有してよい(カーン・インゴールド・プレログ則による)。"純粋な立体異性体"は、他の立体異性体を5質量%以下、有利には他の立体異性体を3質量%以下、より有利には他の立体異性体を1質量%以下しか有さないものと解されるべきである。
【0080】
エナンチオマーは、自体公知のように(例えば好適なジアステレオ異性化合物の調製及び分割によって)分割することができる。エナンチオマー的に純粋な出発化合物又はエナンチオマー的に純粋な最終化合物は、不斉合成によって、又はラセミ化合物を光学活性の酸もしくは塩基と塩を形成させ、引き続きその塩を分割し、そして所望の化合物を塩から遊離させることによって製造できる。エナンチオマー的に純粋な出発化合物並びに式Iのエナンチオマー的に純粋な化合物は、ラセミ体からキラル分割カラム上でのクロマトグラフィー分割によって、キラル補助試薬による誘導体化、引き続きのジアステレオマー分割及びキラル補助基の除去によって、又は適当な溶剤からの(分別)結晶化によって得ることもできる。
【0081】
式Iの化合物は、以下の反応式に概説されるように、以下に記載されるように、又は以下の実施例に例として特記されるように、又はそれらと同様にもしくは類似に得ることができる。
【0082】
以下の反応式において、式Iで示され、その式中、Aがエチレンである化合物の合成を例として記載する。
【0083】
このように、以下の反応式1に示されるように、式IVで示され、その式中、R11が前記の意味を有し、かつXが好適な離脱基、特にヨウ素又は殊に臭素である化合物を、式Y−R1で示され、その式中、R1が前記の意味を有し、かつYがホウ酸基又は特にホウ酸エステル基、好適には環式ホウ酸エステル基、例えばホウ酸ピナコールエステル基であるホウ酸又は、特にホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)と、Suzuki反応に適した条件下で反応させることで、相応の式IIIの化合物が得られる。
【0084】
Suzuki反応は、以下の実施例に記載されるように、又は当業者に公知のように、有機溶剤単独中で、例えばトルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド又はエーテル溶剤(例えばジメトキシエタン又は、特にジオキサン)又はアルコール溶剤中で、又はそれらの混合物中で、又は有利には有機溶剤(特にジオキサン)と水とを含有する混合物中で、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は、有利には無機塩基(例えば水酸化カリウム、水酸化タリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、又は特に炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)を用いて、遷移金属触媒、例えばニッケル触媒又は、特にパラジウム触媒(例えばPd(OAc)2、PdCl2(PPh32又は、特にPd(PPh34、特にPdCl2(PCy32又はPdCl2(dppf)、Ac=アセチル、Ph=フェニル、Cy=シクロヘキシル、dppf=1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)及び、場合により塩化リチウムの存在下に、好適には高められた温度で実施することができる。
【0085】
式R1−Yで示され、その式中、R1及びYが前記の意味を有するホウ酸又はホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)は公知であるか、又は当業者に公知のように又は公知化合物と同様にもしくは類似に得ることができる。式R1−Yのホウ酸エステル(例えばピナコールエステル)は、例えば当該技術分野で公知であるか又は当該技術分野で公知の方法に従って得ることができる相応のトリフレート又は、特にハロゲン化物、有利には臭化物又はヨウ化物から出発して、例えばビス(ピナコラト)ジボロンを使用して、遷移金属の存在下で、有利にはパラジウム触媒の存在下で製造することができる。場合により、得られたホウ酸エステルを単離してよく、又は有利には該エステルをインサイチューで生成させて、引き続き単離をせずにSuzuki反応で使用する。
【0086】
式IIIの化合物の環状アミド構造は、当業者に公知のように又は以下の実施例に記載されるようにして、例えばアンモニアでアミノ化して式Iの化合物が得られる式IIの化合物(Lawessonの試薬を用いて好適な条件下で得ることができる)のチアミド構造を介して、式Iの化合物の環状アミジン構造に転化される。
【0087】
反応式1:
【化3】

【0088】
反応式2:
【化4】

【0089】
式IVで示され、その式中、R11及びXが前記の意味を有する化合物は、反応式2に示されるようにして得られる。
【0090】
ウィッティヒ反応において、式VIで示され、その式中、X及びR11が前記の意味を有する化合物を、式VIIの化合物と反応させることで、相応の式Vの化合物が得られる。
【0091】
ウィッティヒ反応によって得られる環外二重結合の立体配置に関しては、その結果は、Z立体配置生成物又は特にE立体配置生成物、又は殊にそれらの混合物であってよい。
【0092】
前記反応は、以下の実施例に記載されるようにして、又は当業者に公知のようにウィッティヒ反応に従って、好適な溶剤中で、例えばメタノール、テトラヒドロフラン、トルエン又はそれらの混合物中で、好適な塩基、例えば水素化ナトリウム又はナトリウムメタノレートを使用して、室温又は高められた温度で実施することができる。
【0093】
前記の環外二重結合を脱保護反応の後に還元することにより、式IVで示され、その式中、X及びR11が前記の意味を有する所望の化合物が得られる。前記反応は、水素か反応として、当該技術分野の当業者に公知の手法に従って、又は以下の実施例に従って、好適な触媒、例えばパラジウム付活性炭又は二酸化白金の存在下に、好適な溶剤(例えば低級アルコール、例えばメタノール)中で実施することができる。必要に応じて、トリフルオロ酢酸又は酢酸のような酸を溶剤に添加することができる。
【0094】
式VIの化合物は、反応式3に示されるように得られる。反応式3の第一の反応工程において、式Xで示され、その式中、X及びR11が前記の意味を有するジアミノ化合物を、文献から公知のように、又は文献から公知の方法を類似に又は同様に使用して3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン誘導体に変換させる。例えば、前記の式Xの化合物を、式Z1−CH2−Z2で示され、その式中、Z1好適な離脱基、有利には塩素であり、かつZ2がカルボキシル又は特にシアノ基であるカルボン酸又はカルボン酸誘導体と反応させて、式IXで示され、その式中、R1、X及びZ1が前記の意味を有する縮合反応化合物を得ることができる。前記の縮合反応は、当業者に公知のように、又は以下の実施例に例として記載されるように、例えば好適な縮合剤、例えば有利にはポリリン酸を使用することによって、好適な不活性溶剤中で、又は有利には更なる溶剤を使用せずに過剰の縮合剤を使用して、有利には高められた温度で実施できる。
【0095】
反応式3:
【化5】

【0096】
反応式3に示されるように、式IXの化合物を一定のホスファンで変換させて、相応のホスホニウム塩を得て、それを前記のウィッティヒ反応において使用することができる。有利には、式IXの化合物をトリフェニルホスファン(R=フェニル)又は特にトリブチルホスファン(R=ブチル)と反応させて、相応の式VIの化合物が得られる。前記反応は、自体慣習のように、又は以下の実施例に記載されるように、好適な溶剤、例えばアセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミド又はそれらの混合物中で、高められた温度で、場合により助剤、例えばテトラブチルアンモニウムヨージドの存在下に実施することができる。
【0097】
式Xの化合物は、公知であるか、又は公知の方法に従って得ることができる(例えばS.−X.Cai et al.,J.Med.Chem.1997,40(22),3679−3686を参照)。
【0098】
式VIIの化合物は、反応式2又は4に示されるようにして、式XI又は式VIIIのそれぞれの化合物の酸化によって得られる。場合により、得られた式VIIの化合物を単離してよく、又は有利には該化合物をインサイチューで生成させて、引き続き単離をせずにウィッティヒ反応で使用する。
【0099】
式XIの化合物は、反応式4に概説されるようにして公知の方法(例えばL.Benati et al.,J.Org.Chem.1999,64(21),7836−7841及びL.Benati et al.,J.Org.Chem.1999,64(14),5132−5138)に従って又は、以下の実施例に記載されるように、改良型のSchmidt転位を介して、引き続きエステル基を還元させることで得ることができる。
【0100】
反応式4:
【化6】

【0101】
場合により式Iの化合物をその塩に変換できるか、又は場合により式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。相応の方法は当業者に公知である。
【0102】
当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。実績のある多くの保護基の使用についての詳細な記載は、例えばT.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,1999,3rdEd又はP.Kocienski,Protecting Groups,Thieme Medical Publishers,2000に見受けられる。
【0103】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば真空中で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0104】
塩は、遊離の化合物を所望の酸を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、塩基性化によって遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまた塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0105】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似にもしくは同様に、例えば以下の実施例で記載されるように実施できる。
【0106】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、本発明による化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0107】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合はこの分野で知られる知識及び/又は、特に本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0108】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に、製造が詳細に記載されていない本発明による更なる化合物も、類似の方法又は当業者に公知の方法で、慣用の製造方法及びプロセス技術を用いて製造することができる。
【0109】
実施例において最終化合物として示される任意の又はあらゆる化合物並びにそれらの塩は、本発明の好ましい対象である。
【0110】
実施例
実施例において、m.p.は、融点を表し、hは、時間を表し、dは、日を表し、minは、分を表し、TLCは、薄層クロマトグラフィーを表し、Rfは、保持比、MSは、質量スペクトルを表し、Mは、分子イオンを表し、ESI−MSは、エレクトロスプレーイオン化質量分光分析、LC−MSは、液体クロマトグラフィーと質量分析とを組み合わせたもの、Lawessonの試薬は、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド、dppf/DPPFは、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、ヒューニッヒ塩基は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを表す。他の略語は、当業者に自体慣用のそれらの意味を有する。LiChroprep−NH2(登録商標)(25〜40μm)は、Merck KGaA(ドイツ・ダルムシュタット在)から入手できる。ESI−MSにおける分子イオンピークについて示されるパーセンテージは、ハロゲン(Br、Cl)同位体比によるそれぞれのシグナルの強度を指す。
【0111】
最終生成物
1. 7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
65mgの7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン(化合物A1)を、アンモニア(濃度7.0M)を含有するメタノール4.3ml中に懸濁させ、そして50℃で90分間加熱する。引き続き、反応混合物を、蒸発乾涸させ、LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜100容量%のメタノール)によって精製し、そして2.0mlの水、5.0mlのジオキサンから凍結乾燥させることで、29.5mgの表題化合物が非晶質の無色の固体(融点117℃(分解))として得られる。ESI−MS:334.3(MH+)。TLC:Rf=0.35(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC,メタノール/水 10:1容量部)。
【0112】
2. 7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、90mgの7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン(化合物A2)及び5.5mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で90時間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜100容量%のメタノール)による精製によって、43.4mgの表題化合物が、非晶質の固体(融点175℃(分解))として得られる。ESI−MS:359.2(MH+)。TLC:Rf=0.33(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC,メタノール/水 10:1容量部)。
【0113】
3. 7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、98mgの7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−アゼパン−2−チオン(化合物A3)及び6.0mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で5日間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:エタノール)による精製によって、23mgの表題化合物が非晶質の無色の固体(融点306℃)として得られる。ESI−MS:364.2(MH+)。TLC:Rf=0.50(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC,メタノール/水 10:1容量部)。
【0114】
4. 7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、85mgの7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン(化合物A4)及び5.0mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で70時間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:酢酸エチル/0〜100容量%の2−プロパノール;次いでニートメタノール)によって、40.4mgの表題化合物が蝋様の固体として得られる。ESI−MS:374.2(MH+)。TLC:Rf=0.21(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC、ニートメタノール)。
【0115】
5. 4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、50mgのN,N−ジメチル−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド(化合物A5)及び2.53mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で65時間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:ジクロロメタン/0〜100容量%のメタノール)による精製と、ジオキサン/水(10:1容量部)からの凍結乾燥とによって、32mgの表題化合物が、非晶質の無色の固体(融点195℃(分解))として得られる。ESI−MS:441.2(MH+)。TLC:Rf=0.44(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC,メタノール/水 10:1容量部)。
【0116】
6. 7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、92mgの7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−チオン(化合物A6)及び4.50mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で70時間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜100容量%のメタノール)による精製によって、56mgの表題化合物が、非晶質の固体(融点154℃(分解))として得られる。ESI−MS:453.2(MH+)。TLC:Rf=0.23(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC、ニートメタノール)。
【0117】
7. 7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、157mgの7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−チオン(化合物A7)及び6.90mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で90時間にわたって合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:酢酸エチル/0〜100容量%の2−プロパノール)による精製によって、28mgの表題化合物が、非晶質の固体(融点199℃)として得られる。ESI−MS:528.2(NMH4+),510.4(MH+)。TLC:Rf=0.30(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC、ニートメタノール)。
【0118】
8. 4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、100mgのN−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド(化合物A8)及び4.30mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で90時間にわたって合成する。引き続き、該混合物を吸引濾過する。残留物を、20mlのメタノールで洗浄し、そして高真空下で乾燥させることで、61mgの純粋な表題化合物が、非晶質の無色の固体(融点265℃)として得られる。ESI−MS:521.2(MH+)。TLC:Rf=0.28(HPTLC RP−C18;アセトニトリル/水 2:1容量部)。
【0119】
9. 4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、71mgの4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド(化合物A9)及び3.2mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で66時間にわたって合成する。引き続き、その溶液を真空中で濃縮させることで、60mgの純粋な表題化合物が非晶質の無色の固体(融点215℃)として得られる。ESI−MS:503.4(MH+)。TLC:Rf=0.25(HPTLC RP−C18;アセトニトリル/水 2:1容量部)。
【0120】
10. 4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン(化合物1)について記載したようにして、114mgのN−メチル−N−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド(化合物A10)及び5.0mlのアンモニア含有メタノール(濃度:7.0M)から50℃で64時間にわたって合成する。RP−C8樹脂上でのフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:アセトニトリル/水 2:1容量部)による精製と、1.0mlの水及び3.0mlのジオキサンからの凍結乾燥によって、14mgの表題化合物が非晶質の無色の固体(融点260℃)として得られる。ESI−MS:511.4(MH+)。TLC:Rf=0.17(HPTLC RP−C18;アセトニトリル/水 2:1容量部)。
【0121】
出発材料:
A1. 7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン
90mgの7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−オン(化合物B1)を、10mlのトルエン中に乾燥窒素雰囲気下で溶解させる。引き続き、144mgのLawessonの試薬を添加し、そしてその溶液を100℃で17時間加熱する。次いで、該反応混合物を蒸発乾涸させることで、約200mgの粗製材料が得られ、その材料を塩基性酸化アルミニウム上でのクロマトグラフィー(溶出剤:ジクロロメタン)によって精製することで、71mgの表題化合物が淡黄色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:351.2(MH+)。TLC:Rf=0.53(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0122】
A2. 7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン
120mgの7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−オン(化合物B2)を、30mlの無水ジオキサン中に窒素雰囲気下で懸濁させる。引き続き、142mgのLawessonの試薬を添加し、そしてその溶液を100℃で17時間加熱する。次いで、該反応混合物を蒸発乾涸させることで、約300mgの粗製材料が得られ、その材料をフラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜5容量%のメタノール)によって精製することで、100mgの表題化合物が淡黄色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:376.2(MH+)。TLC:Rf=0.38(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0123】
A3. 7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−アゼパン−2−チオン
表題化合物を、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、120mgの7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−アゼパン−2−オン(化合物B3)及び222mgのLawessonの試薬から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、104mgの表題化合物が、淡黄色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:381.2(MH+)。TLC:Rf=0.64(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0124】
A4. 7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−チオン
表題化合物を、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、100mgの7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B4)及び110mgのLawessonの試薬から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜20容量%のエタノール)による精製によって、82mgの表題化合物が、淡黄色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:391.2(MH+)。TLC:Rf=0.55(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0125】
A5. N,N−ジメチル−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、85mgのN,N−ジメチル−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド(化合物B5)及び82mgのLawessonの試薬から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜5容量%のエタノール)による精製によって、56mgの表題化合物が、淡黄色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:458.3(MH+)。TLC:Rf=0.46(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0126】
A6. 7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−チオン
表題化合物を、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、258mgの7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン(化合物B6)及び242mgのLawessonの試薬から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜5容量%のエタノール)による精製によって、99mgの表題化合物が、ベージュ色のフォーム状物として得られる。ESI−MS:470.2(MH+)。TLC:Rf=0.45(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0127】
A7. 7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−チオン
表題化合物を、同様にして、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、170mgの7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン(化合物B7)及び142mgのLawessonの試薬から、20mlのジオキサン中で100℃で2.5時間にわたり合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、163mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:527.3(MH+)。TLC:Rf=0.34(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0128】
A8. N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、同様にして、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、180mgのN−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド(化合物B8)及び146mgのLawessonの試薬から、20mlのジオキサン中で100℃で3時間にわたり合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、106mgの表題化合物が、無色の固体(融点271℃)として得られる。ESI−MS:538.2(MH+)。TLC:Rf=0.40(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0129】
A9. 4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、同様にして、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、88mgの4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド(化合物B9)及び77mgのLawessonの試薬から合成する。LiChroprep−NH2(登録商標)上でのクロマトグラフィー(溶出剤:i.ニートジクロロメタン、ii.ジクロロメタン/エタノール 20:1容量部)による精製によって、78mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:520.4(MH+)。TLC:Rf=0.44(LiChroprep−NH2(登録商標)HPTLC,ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0130】
A10. N−メチル−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−4−{2−[2−(7−チオキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−チオン(化合物A2)に記載されるようにして、125mgのN−メチル−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物B10)及び104mgのLawessonの試薬から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、123mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:528.9(MH+)。TLC:Rf=0.43(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0131】
B1. 7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン
100mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−オン(化合物C1)を、8.0mlの酸素不含ジオキサン中に窒素雰囲気下で溶解させる。引き続き、900μlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、72mgの市販の2−フェニル−1,3,2−ジオキソボリナン及び26mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)を添加する。該反応混合物を110℃で96時間撹拌する。次いで、該混合物を蒸発乾固させ、そして塩基性酸化アルミニウム上でのクロマトグラフィー(溶出剤:ジクロロメタン)により精製することで、95mgの表題化合物が淡黄色の油状物として得られる。ESI−MS:335.3(MH+)。TLC:Rf=0.24(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0132】
B2. 7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B1)について記載されるようにして、300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)、2.67mlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、306mgの市販の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル及び81mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)から、110℃で40時間にわたって合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、129mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:360.2(MH+)。TLC:Rf=0.27(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0133】
B3. 7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−アゼパン−2−オン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B1)について記載されるようにして、100mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)、677μlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、52mgの市販の4−メトキシフェニルホウ酸及び72mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)から、110℃で96時間にわたって合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜20容量%のエタノール)による精製によって、99mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:365.2(MH+)。TLC:Rf=0.32(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0134】
B4. 7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン
表題化合物を、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B1)について記載されるようにして、300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)、2.67mlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、651mgの市販のベンゾ[b]フラン−2−ホウ酸及び135mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)から、110℃で6日間にわたって合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/5〜20容量%のエタノール)による精製によって、160mgの表題化合物が、非晶質の固体(融点215℃)として得られる。ESI−MS:375.9(MH+)。TLC:Rf=0.26(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0135】
B5. N,N−ジメチル−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、同様にして、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B1)について記載されるようにして、100mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)、890μlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、138mgのN,N−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物C2)及び26mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)から、160℃で30分間(マイクロ波照射、出力300W以下)にわたって合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)による精製によって、93mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:442.4(MH+)。TLC:Rf=0.41(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0136】
B6. 7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン
378mgの1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−アゼチジン(化合物C3)を、10mlの酸素不含ジオキサン中に乾燥窒素雰囲気下で溶解させる。引き続き、383mgのビス(ピナコラト)ジボロン、30mgのPd(Cl)2(dppf)・CH2Cl2、23mgのDPPF(1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)及び403mgの酢酸カリウムを添加する。該反応混合物を、110℃で16時間加熱すると、その時間の間に、当初は帯黄色であった懸濁液が黒色となる(ホウ酸エステル中間体についてのLC−MSモニタリング)。次いで、300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]アゼパン−2−オン(化合物C1)、2.70mlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)及び66mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)を添加し、そして該反応混合物を110℃で72時間加熱する。引き続き、該混合物を50mlの水で希釈し、そして各100mlのジクロロメタンで3回抽出する。有機層を分離し、Na2SO4(固体)を用いて乾燥させ、そして真空中で濃縮させる。得られた粗製材料を、フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)により精製することで、187mgの表題化合物が油状物として得られる。ESI−MS:454.2(MH+)。TLC:Rf=0.29(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0137】
B7. 7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン
表題化合物を、同様にして、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物B1)について記載されるようにして、300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)、2.67mlの炭酸ナトリウム水溶液(濃度2.0M)、510mgの1−エチル−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼンスルホニル]−ピペラジン(化合物C4)及び131mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)−パラジウム(II)から、110℃で18時間にわたって合成する。200mlのジクロロメタン及び75mlの水を用いて水性後処理をした後に、フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/5〜50容量%のエタノール)による精製によって、175mgの表題化合物が蝋様の固体として得られる。ESI−MS:511.3(MH+)。TLC:Rf=0.30(ジクロロメタン/エタノール 8:1容量部)。
【0138】
B8. N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン(化合物B6)について記載されるようにして、472mgの4−ブロモ−N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物C5)及び300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/5〜20容量%のエタノール)による精製によって、185mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:522.2(MH+)。TLC:Rf=0.26(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0139】
B9. 4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン(化合物B6)について記載されるようにして、372mgの4−ブロモ−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド(化合物C6)及び250mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜25容量%のエタノール)による精製によって、138mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:504.4(MH+)。TLC:Rf=0.18(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0140】
B10. N−メチル−4−{2−[2−(7−オキソ−アゼパン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−アゼパン−2−オン(化合物B6)について記載されるようにして、458mgの4−ブロモ−N−メチル−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物C7)及び300mgの7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン(化合物C1)から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜20容量%のエタノール)による精製によって、174mgの表題化合物が、蝋様の固体として得られる。ESI−MS:512.4(MH+)。TLC:Rf=0.30(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0141】
C1. 7−[2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−アゼパン−2−オン
665mgの7−[(E,Z)−2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−ビニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−アゼピン−2−オン(化合物D1)を、50mlのメタノール中に溶解させる。引き続き、91mgのアダムス触媒(PtO2)を添加し、そして該懸濁液を水素雰囲気下で室温で70時間にわたって激しく撹拌する。次いで、反応混合物を、蒸発乾涸させ、クロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/エタノール 0〜10容量%)によって精製し、そして4.0mlの水、4.0mlのジオキサン及び1.0mlのエタノールから凍結乾燥させることで、236mgの表題化合物が非晶質の無色の固体(融点245℃)として得られる。ESI−MS:337.2/339.1(MH+,100%:98%)。TLC:Rf=0.47(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0142】
C2. N,N−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン−スルホンアミド
該化合物は、WO2004009086号A1に従って製造される。
【0143】
C3. 1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−アゼチジン
4.09gのアゼチジンを、200mlのジクロロメタンと130mlの炭酸カリウム水溶液(濃度4.0M)との二相溶剤系中に溶解させる。引き続き、15.25gの市販の4−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリドを70mlのジクロロメタン中に溶かした溶液を、該反応混合物にゆっくりと添加する。次いで、該混合物を室温で17時間にわたり激しく撹拌する。抽出のために、200mlのジクロロメタン及び100mlの水を添加する。有機層をNa2SO4を用いて乾燥させ、吸引濾過し、そして真空中で濃縮することで、15.22gの表題化合物が無色の非晶質の固体(融点145℃)として得られる。ESI−MS:276.1/278.0(MH+,100%:95%)。TLC:Rf=0.59(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0144】
C4. 1−エチル−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼンスルホニル]−ピペラジン
2.29gの1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−4−エチル−ピペラジン(化合物D3)、1.92gのビス(ピナコラト)ジボロン、152mgのPd(Cl)2(dppf)・CH2Cl2、114mgのDPPF及び2.02gの酢酸カリウムを、30mlのジオキサン中に懸濁させる。引き続き、該反応混合物を、100℃で5.5時間加熱すると、その時間の間に、当初は橙色であった懸濁液が黒色となる。次いで、該反応混合物を真空中で濃縮させる。残りの残留物を、150mlのジクロロメタンをそれぞれ用いて、かつ150mlの水を用いて3回抽出する。有機層を乾燥(Na2SO4)させ、吸引濾過し、そして蒸発乾涸させることで、3.73gの粗製材料が得られ、それをフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:トルエン/アセトン 4:1容量部+5〜8容量%のメタノール)によって精製することで、2.47gの表題化合物が非晶質の固体(融点125℃)として得られる。ESI−MS:381.2(MH+)。TLC:Rf=0.83(ジクロロメタン/エタノール 8:1容量部)。
【0145】
C5. 4−ブロモ−N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物は、同様にして、1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−アゼチジン(化合物C3)について記載したようにして、767mgの4−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリド、451mgの市販の2−フルオロ−4−メチル−アニリン(12.0mlのジクロロメタン中)及び6.0mlのK2CO3溶液から合成することで、727mgの表題化合物が無色の非晶質の固体(融点111℃)として得られる。ESI−MS:361.2/363.3(MNH4+,100%:87%)。TLC:Rf=0.57(ニートジクロロメタン)。
【0146】
C6. 4−ブロモ−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド
表題化合物を、同様にして、1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−アゼチジン(化合物C3)について記載されるようにして、1.28mgの4−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリド、643mgの市販のo−トルイジン(20mlのジクロロメタン中)及び10mlのK2CO3溶液から合成する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤:ニートジクロロメタン)による精製によって、830mgの表題化合物が無色の非晶質の固体(融点114℃)として得られる。GC−MS:327.0(MH+)。TLC:Rf=0.58(ニートジクロロメタン)。
【0147】
C7. 4−ブロモ−N−メチル−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド
4.30gの4−ブロモ−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド(化合物D2)を、150mlの無水テトラヒドロフラン中に溶解させる。590mgの水素化ナトリウム(鉱油中の60質量%濃度の分散液)を、該溶液に少しずつ添加する。15分後に、1.67mlのヨウ化メチルをゆっくりと添加し、そして該反応混合物を室温で20時間にわたり撹拌する。引き続き、該懸濁液を、真空中で濃縮させ、200mlの酢酸エチル及び100mlの半飽和ブライン(塩化ナトリウム溶液)を用いて抽出する。有機層をNa2SO4を用いて乾燥させ、吸引濾過し、そして真空中で濃縮することで、4.53gの表題化合物が油状物として得られる。ESI−MS:334.2/336.0(MH+,100%:98%)。TLC:Rf=0.78(ジクロロメタン/エタノール 20:1容量部)。
【0148】
D1. 7−[(E,Z)−2−(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−ビニル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−アゼピン−2−オン
I)503mgの水素化ナトリウム(鉱油中の60質量%濃度の分散液)を、90mlのテトラヒドロフラン中に乾燥窒素雰囲気下で懸濁させる。引き続き、4.23gの(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−トリブチル−ホスホニウムクロリド(化合物I1)を90mlのテトラヒドロフラン中に入れた懸濁液を、5分間で添加する。次いで、該懸濁液を90℃で1時間にわたって加熱する。
【0149】
II)1.70gの7−ヒドロキシメチル−アゼパン−2−オン(化合物F1)を、180mlのテトラヒドロフラン中に乾燥窒素雰囲気下で溶解させる。引き続き、4.44gのトリアセトキシペリオジナン(Dess−Martin試薬)を室温で添加し、そして更に3時間撹拌を継続する。次いで、該懸濁液を水素化ナトリウム(鉱油中の60質量%濃度の分散液)を用いて慎重に中和し、そしてI)の反応混合物に90℃で20分間にわたり滴加する。90℃での撹拌を17時間にわたり継続する。引き続き、該懸濁液を蒸発乾固させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)により精製することで、809mgの表題化合物が油状物として得られる。ESI−MS:333.2/335.2(MH+,100%:98%)。TLC:Rf=0.44(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0150】
前記のようなインサイチューでの7−オキソ−アゼパン−2−カルバルデヒドの使用の代わりに、単離された7−オキソ−アゼパン−2−カルバルデヒド(化合物E1)をウィッティヒ反応において使用することができる。
【0151】
D2. 4−ブロモ−N−(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド
1.70mlの市販のテトラヒドロフルフリルアミンを、45mlの無水ジクロロメタン中に溶解させる。3.83gの4−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリドを20mlのジクロロメタン中に溶かした溶液を、室温でゆっくりと添加する。引き続き、5.14mlのヒューニッヒ塩基を添加し、そして1.5時間にわたり撹拌を継続する。抽出のために、該反応混合物を、150mlのジクロロメタン及び50mlの水で希釈する。有機層をNa2SO4を用いて乾燥させ、吸引濾過し、そして真空中で濃縮する。フラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜5容量%のエタノール)による精製によって、4.33gの表題化合物が、淡黄色の油状物として得られる。ESI−MS:320.3/322.1(MH+,100%:98%)。TLC:Rf=0.65(ジクロロメタン/エタノール 20:1容量部)。
【0152】
D3. 1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニル)−4−エチル−ピペラジン
該化合物は、WO2003004472号A1に従って製造される。
【0153】
E1. 7−オキソ−アゼパン−2−カルバルデヒド
750mgの7−ヒドロキシメチル−アゼパン−2−オン(化合物F1)を、85mlのジクロロメタン中に乾燥窒素雰囲気下で溶解させる。引き続き、2.22gのトリアセトキシペリオジナン(Dess−Martin試薬)を室温で添加し、そして更に3時間撹拌を継続する。次いで、該懸濁液を蒸発乾涸させることで、2.65gの粗製材料が得られる。その粗生成物を、クロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:シクロヘキサン/50〜100容量%の酢酸エチル)により精製することで、272mgの表題化合物が無色の蝋様の固体として得られる。ESI−MS:140.1(MH+)。TLC:Rf=0.60(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部)。
【0154】
F1. 7−ヒドロキシメチル−アゼパン−2−オン
3.10gの7−オキソ−アゼパン−2−カルボン酸エチルエステル(化合物G1)を、150mlのジクロロメタン中に乾燥窒素雰囲気下で溶解させる。室温で、8.45mlのホウ水素化リチウム溶液(テトラヒドロフラン中)(濃度2.0M)を、前記溶液に10分間にわたってゆっくりと添加する。次いで、該反応混合物を室温で17時間にわたり一晩撹拌する。引き続き、その混合物を氷浴中で冷却させ、そして塩酸(濃度3.0M)を用いてpH1に酸性化させる。撹拌しつつ、該反応混合物を室温に温める。次いで、炭酸カリウムを慎重に添加し、それにより中性のpHに再調整する。該反応混合物を吸引濾過し、そして濾液を真空中で濃縮させる。フラッシュクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/0〜10容量%のエタノール)によって精製することで、1.46gの表題化合物が無色の固体(融点100℃)として得られる。ESI−MS:144.1(MH+)。TLC:Rf=0.47(ジクロロメタン/エタノール 10:1容量部;ヨウ素染色)。
【0155】
G1. 7−オキソ−アゼパン−2−カルボン酸エチルエステル
表題化合物を、L.Benati他著のJ.Org.Chem.1999,64(21),7836−7841によって記載される方法に従って、化合物H1を使用して合成する。
【0156】
H1. 1−アジド−2−オキソ−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
表題化合物を、L.Benati他著のJ.Org.Chem.1999,64(21),7836−7841及びL.Benati他著のJ.Org.Chem.1999,64(14),5132−5138によって記載される方法に従って合成する。
【0157】
I1. (6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−トリブチル−ホスホニウムクロリド
4.0gの6−ブロモ−2−クロロメチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(化合物J1)を16mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び54mlのアセトニトリル中に懸濁させる。4.9mlのトリフェニルホスフィンと0.599gのテトラブチルアンモニウムヨージドを40℃で連続的に添加し、そして該混合物を90℃で20時間にわたって加熱する。該混合物を濃縮乾涸させることで、8.94gの表題化合物が油状物として得られ、これは得られたままで使用される。MS:412.3,414.2(M+)。TLC:Rf=0.40〜0.55(ジクロロメタン/メタノール 10:1容量部)。
【0158】
選択的に、4.0gの6−ブロモ−2−クロロメチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(化合物J1)を17mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び54mlのアセトニトリル中に懸濁させる。4.8mlのトリブチルホスフィン及び600mgのテトラブチルアンモニウムヨージドを連続的に40℃で添加する。引き続き該混合物を90℃に18時間にわたって加熱する。該混合物を濃縮乾涸させることで、8.94gの粗製表題化合物が油状物として得られ、それをフラッシュシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出剤グラジエント:ジクロロメタン/5〜20容量%の2−プロパノール)により精製する。残りの残留物を、150mlの酢酸エチル中に再溶解させる。室温で静置した後に、表題化合物の沈殿物が形成され、それを濾過によって回収し、そして高真空下で乾燥させることで、4.52gの(6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−トリブチル−ホスホニウムクロリドが非晶質の固体(融点180℃)として得られる。ESI−MS:412.5,414.4(M+,100%:98%)。TLC:Rf=0.45〜0.55(ジクロロメタン/メタノール 10:1容量部)。
【0159】
J1. 6−ブロモ−2−クロロメチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
3.0gの5−ブロモ−2,3−ジアミノピリジン(S.−X.Cain et al.,J.Med.Chem.1997,40(22),3679−3686)を120gのポリリン酸中で160℃において0.5時間にわたって加熱する。該溶液を100℃に冷却し、そして1.26mlのクロロアセトニトリルを添加する。次いで、反応混合物を170℃で22時間にわたって加熱する。冷却後に、ポリリン酸を81mlの水で加水分解する。再び90℃に冷却した後に、激しく撹拌しながら活性炭を添加する。引き続き、懸濁液を、高温(70℃)にしながらセライトパッドを通して濾過する。濾過ケークを85mlの水ですすぐ。濾液を、9.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4に調整する。沈殿物を回収し、100mlのメタノール中に懸濁し、そしてセライトで濾過する。濾液を濃縮乾涸することで、2.78gの表題化合物がベージュ色の非晶質の固体(融点>325℃)として得られる。MS:246.2/248.2/250.3(MH+,77%/100%/25%)。TLC:Rf=0.42(ジクロロメタン/メタノール 10:1容量部)。
【0160】
産業上利用可能性
本発明による化合物は、商業的利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。これらの化合物は、誘導性窒素酸化物シンターゼといった酵素の選択的阻害剤である。窒素酸化物シンターゼ(NOシンターゼ、NOS)は、NOとシトルリンとをアミノ酸であるアルギニンから生成させる酵素である。一定の病態生理学的状況、例えばアルギニン欠乏又はテトラヒドロビオプテリン欠乏において、NOシンターゼによりNOの代わりに又はNOと一緒にO2が発生することが報告されている。NOは、哺乳動物及びヒトを含む殆どの生物におけるシグナル伝達分子として長い間知られている。NOの最も重要な作用は、その平滑筋弛緩活性であり、これは可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化によって分子レベルで引き起こされる。昨年、多くの他の酵素がNO又はNOの反応産物によって調節されることが示された。NOシンターゼには3種のアイソフォームが存在し、これは2つのクラスに分かれ、その生理学的機能と分子特性の点で異なっている。構成的NOシンターゼとして知られる第一のクラスは、内皮NOシンターゼ及びニューロン性NOシンターゼからなる。両者のイソ酵素は種々の細胞型で構成的に発現されるが、血管壁の内皮細胞(従って内皮NOシンターゼ、eNOS又はNOS−IIIと呼ばれる)及びニューロン細胞(従ってニューロン性NOシンターゼ、nNOS又はNOS−Iと呼ばれる)において最も顕著である。これらの2種の酵素の活性化はCa2+/カルモジュリンに依存し、後者は細胞内の遊離Ca2+の一過的な増加によって生ずる。構成的なアイソフォームの活性化により窒素酸化物の一過的な急増が引き起こされ、これにより細胞又は組織のNO濃度がナノモラー濃度となる。内皮アイソフォームは血圧の生理学的調節に必要とされる。ニューロン性のアイソフォームにより生成されたNOは神経伝達物質機能を有すると考えられ、そしてニューロン性のアイソフォームは記憶機能(長期相乗作用)に関与する他の調節過程の中にある。
【0161】
構成的アイソフォームに対して、誘導性NOシンターゼ(iNOS、NOS−II)、つまり第二のクラスの唯一のメンバーの活性化は、iNOSプロモーターの転写活性化によって行われる。炎症誘発性刺激は、誘導体NOシンターゼの遺伝子の転写を引き起こし、そのシンターゼは細胞内Ca2+濃度の増大なくして触媒活性を示す。誘導性NOシンターゼの半減期が長いことと、酵素活性が調節されないことのため、高マイクロモラー濃度のNO濃度が長時間にわたって生ずる。これらの高濃度のNO濃度は、単独で又はO2-のような他の反応性ラジカルと共同で細胞毒性である。従って、微生物感染の状況では、iNOSはマクロファージ及び他の免疫細胞による早期の非特異的免疫応答にあたっての細胞致死に関与する。
【0162】
とりわけ誘導性NOシンターゼの高い発現とそれに付随する高いNO濃度又はO2-濃度を特徴とする病態生理学的状況は数多く存在する。これらの高いNO濃度は単独で又は他のラジカル種と組み合わせて組織及び器官に損傷をもたらすことと、その濃度が前記の病態生理学に結果として関与するということが示された。炎症は、誘導性NOシンターゼを含む炎症誘発性酵素の発現を特徴とするので、急性と慢性の炎症過程は誘導性NOシンターゼの選択的阻害剤の治療的使用に期待が持てる疾病である。誘導性NOシンターゼによる高いNO産生を伴う他の病態生理学は、幾つかの形のショックである(敗血症ショック、出血性ショック及びサイトカイン誘発性ショック)。非選択的なNOシンターゼ阻害剤は、構成的NOシンターゼのアイソフォームの付随した阻害のため心血管及びニューロンに副作用をもたらす。
【0163】
敗血症ショックのインビボ動物モデルでは、NOスカベンジャーによる循環血漿NO濃度の低下又は誘導性NOシンターゼの阻害が体血圧を回復させ、器官損傷を減らし、かつ生存性を高めることが示された(deAngelo Exp.Opin.Pharmacother.19−29,1999;Redl et al.Shock 8,Suppl.51,1997;Strand et al.Crit.Care Med.26,1490−1499,1998)。また、敗血症ショックに際して高まるNO産生が心臓抑制と心筋不全の原因であるとも示された(Sun et al.J.Mol.Cell Cardiol.30,989−997,1998)。更にまた、NOシンターゼ阻害剤の存在下に左前冠状動脈の閉塞後に梗塞サイズが縮小することを示す報告もある(Wang et al.Am.J.Hypertten.12,174−182,1999)。ヒト心筋疾患及び心筋炎において見られるかなり高い誘導性NOシンターゼ活性は、NOが少なくとも部分的にこれらの病態生理学における拡張と収縮障害の原因であるといった仮説を支持するものである(de Belder et al.Br.Heart.J.4,426−430,1995)。
【0164】
急性又は慢性の炎症の動物モデルにおいて、アイソフォーム選択的又は非選択的な阻害剤による誘導性NOシンターゼの遮断又は遺伝子ノックアウトが治療結果を改善する。実験的な関節炎(Connor et al.Eur.J.Pharmacol.273,15−24,1995)及び骨関節炎(Pelletier et al.Arthritis&Rheum.41,1275−1286,1998)、実験的な胃腸管の炎症(Zingarelli et al.Gut 45,199−209,1999)、実験的な糸球体腎炎(Narita et al.Lab.Invest.72,17−24,1995)、実験的な糖尿病(Corbett et al.PNAS 90,8992−8995,1993)、LPS誘発性の実験的な肺損傷は、誘導性NOシンターゼの阻害によるか又はiNOSノックアウトマウスにおいて軽減されることが報告されている(Kristof et al.Am.J.Crit.Care.Med.158,1883−1889,1998)。誘導性NOシンターゼに誘導されたNO又はO2-の病態生理学的役割は、喘息、気管支炎及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のような慢性炎症性疾患においても議論されている。
【0165】
更に、中枢神経系(CNS)の神経変性疾患、例えばMPTP誘発性パーキンソン症候群(MPTP=1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン)、アミロイドペプチド誘発性アルツハイマー病(Ishii et al.,FASEB J.14,1485−1489,2000)、マロン酸誘発性ハンチントン病(Connop et al.Neuropharmacol.35,459−465,1996)、実験的な髄膜炎(Korytko & Boje Neuropharmacol.35,231−237,1996)及び実験的な脳炎(Parkinson et al.J.Mol.Med.75,174−186,1997)のモデルにおいて、NOと誘導性NOシンターゼの因果的関与が示されている。
【0166】
iNOS発現の増大は、AIDS(後天性免疫不全症候群)患者の脳内に見られるので、AIDS関連痴呆におけるiNOSの役割を推定することが合理的である(Bagasra et al.J.Neurovirol.3 153−167,1997)。
【0167】
他の研究は、窒素酸化物を、多発性硬化症の証である小グリア細胞依存性の原発性脱髄の潜在的メディエーターとして関連付けている(Parkinson et al.J.Mol.Med.75,174−186,1997)。
【0168】
炎症反応とそれに付随する誘導性NOシンターゼの発現は、脳虚血と再潅流の間にも生ずる(Iadecola et al.Stroke 27,1373−1380,1996)。浸潤好中球からO2-と一緒に生ずるNOは細胞と器官の損傷の原因であると考えられる。
【0169】
また、外傷的脳損傷(Mesenge et al.J.Neurotrauma 13,209−214,1996;Wada et al.Neurosurgery 43,1427−1436,1998)のモデルにおいて、NOシンターゼ阻害剤は保護特性を有することが示された。誘導性NOシンターゼについての調節的役割は、種々の主要細胞系統で報告されている(Tozer&Everett Clin Oncol.9.357−264,1997)。
【0170】
それらの誘導性NOシンターゼ阻害特性のため、本発明による化合物は、誘導性NOシンターゼの活性の増大のため過剰のNO又はO2-が関与しているヒト医学及び獣医学並びにそれらの治療において使用できる。これらの化合物は、制限されないが、以下の疾病の治療及び予防のために使用することができる:
急性炎症性疾病:敗血性ショック、敗血症、SIRS(全身性炎症反応症候群)、溶血性ショック、サイトカイン治療[IL−2(インターロイキン−2)、TNF(腫瘍壊死因子)]によって誘導されたショック状態、敗血症性及び術後イレウス臓器移植及び移植拒絶反応、脳の外傷、急性肺疾患、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、炎症性皮膚疾患、例えば日焼け、炎症性眼疾患、例えばブドウ膜炎、緑内障及び結膜炎。
末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患:胃腸性炎症性疾患、例えばクローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肺炎症性疾患、例えば喘息及びCOPD、並びにアレルギー性鼻炎、関節性疾患、例えば関節リューマチ、変形性関節症及び痛風性関節炎、心臓疾患、例えば心筋症及び心筋炎、関節硬化症、神経性炎症、皮膚疾患、例えば乾癬、皮膚炎及び湿疹、糖尿病、糸球体腎炎;痴呆、例えばアルツハイマー型痴呆、血管性痴呆、全身性医学的症状による痴呆、例えばAIDS−、パーキンソン病、ハンチントン病誘発性痴呆、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症;壊死性脈管炎、例えば多発性動脈炎、血清病、ウエーグナー肉芽腫症、川崎病、頭痛、例えば偏頭痛、慢性緊張性頭痛、群発性頭痛及び血管性頭痛、外傷後ストレス障害、疼痛疾患、例えば神経性疼痛、心筋虚血及び大脳虚血/再潅流障害。
【0171】
またこれらの化合物は、窒素酸化物シンターゼを発現する癌の治療において有用なこともある。
【0172】
本願に挙げられる特性、機能及び有用性の関連において、本発明による化合物は、それらと関連する有用かつ所望の効果、例えば高い効力、高い選択性、低い毒性、優れた一般的な生物学的利用能(例えば良好な腸内吸収、低いミクロソームクリアランス、低い血清タンパク質結合)、優れた治療ウィンドウ、重篤な副作用の不在及びそれらの治療的かつ製剤的な適性に関連する更なる有用な効果の点で卓越している。
【0173】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。本方法は、治療学的に有効な、かつ薬理学的に有効かつ認容性の量の本発明による1種以上の化合物を病気の哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0174】
更に本発明は病気、特に前記の病気の治療及び/又は予防における使用のための本発明による化合物に関する。
【0175】
また本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のために使用される医薬組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0176】
本発明はまた、本発明による化合物の、iNOS阻害活性を有する医薬組成物の製造のための使用に関する。
【0177】
更に本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のための、1種以上の本発明による化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0178】
更に本発明は、iNOS阻害活性を有する本発明による医薬組成物に関する。
【0179】
該医薬品は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS(経皮治療システム))、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0180】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤又は賦形剤に精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0181】
本発明による医薬組成物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口及び静脈内の送達が好ましい。
【0182】
呼吸管の疾患の治療のために、本発明による化合物を、有利には吸入によってエーロゾルの形で投与する;固体、液体又は混合組成のエーロゾル粒子は有利には0.5〜10μm、有利には2〜6μmの直径を有する。
【0183】
エーロゾルの発生は、例えば圧力駆動のジェット噴霧器又は超音波噴霧器、有利には噴射剤駆動の計量供給エーロゾルによるか、又は吸入カプセルからの微粉化有効化合物の噴射剤不使用の投与によって実施できる。
【0184】
使用される吸入系に依存して、有効化合物の他に該投与形は付加的に所望の助剤、例えば噴射剤(例えば定量噴霧式エーロゾルの場合にFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、フレーバー又は増量剤(例えば粉末吸入器の場合にラクトース)又は、適宜更なる有効化合物を含有する。
【0185】
吸入の目的のために、多くの装置を利用でき、それを用いて最適な粒度を有するエーロゾルを発生させ、かつ患者にできる限り正しい吸入技術を使用して投与できる。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋ナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))並びに計量供給エーロゾルのための、特に粉末吸入器の場合に吹き付け噴霧(puffer spray)を放出する自動装置(Autohaler(登録商標))を使用する他に、種々の技術的解決策(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又はEP0505321号に記載される吸入器)が利用でき、それを用いて有効化合物の最適な投与を達成できる。
【0186】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬組成物の形で適用する。該医薬組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0187】
本発明による医薬組成物は自体公知の方法によって製造される。有効化合物の投与は、iNOS阻害剤について慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.1〜10mgである。全身療法の場合の慣用の用量は、経口で0.3〜30mg/kg/日であり、静脈内で0.3〜30mg/kg/時間である。
【0188】
生物学的調査
誘導性NOシンターゼ活性の測定
アッセイは、96ウェルの平底プレート(Greiner,Frickenhausen,FRG)において、全容量100μlで、100nMのカルモジュリン、226μMのCaCl2、477μMのMgCl2、5μMのフラビン−アデニン−ジヌクレオチド(FAD)、5μMのフラビンモノヌクレオチド(FMN)、0.1mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)、7mMのグルタチオン、10μMのテトラヒドロビオプテリン(BH4)及び100mMの4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)(pH7.2)の存在下で実施する。アルギニン濃度は酵素阻害試験については0.1μMである。そのアッセイ混合物に150000dpmの[3H]アルギニンを添加する。酵素反応はヒトの誘導性NOシンターゼを含有する4μgの粗製細胞質分画を添加することによって開始させ、そして該反応混合物を37℃で45〜60分間にわたってインキュベートする。酵素反応を、10μlの2Mの2−モルホリノエタンスルホン酸バッファー(MESバッファー)(pH5.0)の転化によって停止させる。インキュベートした混合物50μlを、既に50μlのAG−50W−X8型カチオン交換樹脂(バイオラッド社、ミュンヘン、FRG)を含有しているMADP N65型の濾過型マイクロタイタープレート中に移す。Na負荷型の樹脂を水中で事前に平衡化させ、70μl(50μlの乾燥ビーズに相当する)を、激しく撹拌しながら8チャネルピペットを用いて該濾過型プレート中にピペットで加える。50μlの酵素反応混合物を濾過型プレートにピペットで加えた後に、そのプレートを濾過用マニホルド(Porvair,Shepperton,UK)に設置し、そして流液をPico型シンチレーションプレート(Packard,Meriden,CT)中に回収する。濾過型プレート中の樹脂を75μlの水(1×50μl及び1×25μl)で洗浄し、これをまた試料として同じプレートに回収する。全流液125μlを175μlのMicroscint−40型のシンチレーションカクテル(Packard)と混合し、そしてそのシンチレーションプレートをTopSeal P薄膜(Packard)でシールする。シンチレーションプレートの計数をシンチレーション計数器で行う。
【0189】
本発明による化合物の誘導性NOシンターゼ阻害能の測定のために、インキュベートされる混合物中に含まれる阻害剤の濃度を増加させる。IC50値は、所定の濃度での阻害のパーセンテージから非線形の最小二乗フィットによって計算する。
【0190】
本発明による化合物について測定された代表的な阻害値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0191】
20%のヒト血漿血清の存在下での誘導性NOシンターゼ活性の測定
本発明による化合物のヒト血漿血清結合を測定するアッセイは、主に前記の酵素活性アッセイとして実施された。ヒト血漿血清20(v/v)を、反応容量に添加した。ヒト血清は、抜かれたドナー血液の凝血及び沈殿後に得られた。遠心分離(3500rpm、30分間を2回)の後に、その血漿血清を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、18時間にわたり、3500ダルトンの分子量カットオフを有する透析カセット(Slide−a−Lyzer 3.5K、Pierce、Rockford IL)を用いて透析して、放射線活性アッセイを妨害するL−アルギニン濃度を減らした。バッファーは、透析の間に5回新しくした。その血清のアリコートをとり、使用するまで−20℃で凍結させた。本発明による化合物の阻害能力を、前記のようにして測定した。
【0192】
本発明による化合物についての代表的な値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0193】
表A:iNOS活性の阻害[−logIC50(モル/l)として測定した]
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
Aは、C1〜C4−アルキレン又はC3〜C7−シクロアルキレンであり、
R1は、フェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル、Har1又は、R4及び/又はR5で置換されたHar1であり、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル、フリル又はテトラヒドロフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、第一の構成成分と、場合により該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから構成される、完全飽和もしくは部分不飽和の単環式もしくは縮合二環式の環もしくは環系であり、前記の第一の構成成分は、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、該複素環式の環Bは、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、かつ該複素環式の環Bは、1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてよく、かつ前記の第二の構成成分は、ベンゼン環であり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R24によって更なる環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、エチレンジオキシ基によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ又はフェニルカルボニルであり、
R24は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和もしくは部分飽和のヘテロアリール基であり、
R4は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、ホルミル、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンである]で示される化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項2】
式Iで示され、その式中、
Aは、C1〜C4−アルキレン又はC3〜C7−シクロアルキレンであり、
R1は、フェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル、Har1又は、R4及び/又はR5で置換されたHar1であり、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、第一の構成成分と、場合により該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから構成される、完全飽和もしくは部分不飽和の単環式もしくは縮合二環式の環もしくは環系であり、前記の第一の構成成分は、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、該複素環式の環Bは、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、かつ該複素環式の環Bは、1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてよく、かつ前記の第二の構成成分は、ベンゼン環であり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R24によって更なる環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、エチレンジオキシ基によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ又はフェニルカルボニルであり、
R24は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和もしくは部分飽和のヘテロアリール基であり、
R4は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、ホルミル、C1〜C4−アルキルカルボニル、カルボキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンである、請求項1記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項3】
式Iで示され、その式中、
Aは、エチレン又はシクロプロピレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつフェニル、R2及び/又はR3で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、フェニル−C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニル、又はインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、又はピペラジニル又はホモピペラジニル、又は4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルであり、その際、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつピリジル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル又はイソキノリルである、請求項1又は2記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項4】
式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつフェニル又はR2及び/又はR3で置換されたフェニルであり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、ハロゲン、カルボキシル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、C1〜C4−アルキルカルボニルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ又はフェニル−C1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシである、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項5】
式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、イミダゾピリジン骨格の6位に結合されており、かつR2及び/又はR3で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリジル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、ピリジル、チエニル又はフリルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素、ヒドロキシ−C2〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル又はS,S−ジオキソ−チオモルホリニル、又はインドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、又はピペラジニル又はホモピペラジニル、又は4N−(R25)−ピペラジニル又は4N−(R25)−ホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル、2,6−ジオキソピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2,6−ジオキソピペラジニル又は5−オキソ−1,4−ジアゼパニル、3−(R25)−イミダゾリジン−2−オン−イル、3−(R25)−イミダゾリジン−2,5−ジオン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2−オン−イル、4−(R25)−ピペラジン−2,6−ジオン−イル又は4−(R25)−1,4−ジアゼパン−5−オン−イルであり、その際、
R25は、C1〜C4−アルキル、フェニル−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルカルボニル、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルキル、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル、フェニル、ピリミジル、ピリジル、ホルミル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキルメチル又はR251及び/又はR252で置換されたフェニルであり、その際、
R251は、ハロゲン、シアノ又はC1〜C4−アルキルであり、
R252は、ハロゲン又はC1〜C4−アルキルであり、
R3は、水素、C1〜C4−アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシである、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項6】
式Iで示され、その式中、
Aは、C1〜C4−アルキレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル、フェニル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、フリル又はテトラヒドロフラニルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、3員ないし7員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、かつ前記の環Het1は、R23によって環炭素原子上で置換されていてよい及び/又は前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R23は、C1〜C4−アルキルであり、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式のもしくは縮合二環式の5員ないし10員の不飽和のヘテロアリール基である、請求項1記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項7】
式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、テトラヒドロフラニルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキルであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、1〜3個の窒素原子を有する、4員ないし6員の単環式の完全飽和の非芳香族の複素環式の環Bであり、かつ前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつ1個の酸素原子を有する、縮合二環式の9員の不飽和のヘテロアリール基である、請求項1又は6記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項8】
式Iで示され、その式中、
Aは、エチレンであり、
R1は、フェニル、R2で置換されたフェニル又はHar1であり、
R11は、水素であり、その際、
R2は、シアノ、C1〜C4−アルコキシ又は−SO2−N(R21)R22であり、その際、
R21は、水素、C1〜C4−アルキル、Har2−C1〜C4−アルキル又はR211及び/又はR212で置換されたフェニルであり、その際、
Har2は、テトラヒドロフラニルであり、
R211は、C1〜C4−アルキル又はハロゲンであり、
R212は、C1〜C4−アルキルであり、
R22は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R21及びR22は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、アゼチジニル環又はピペラジニル環であり、前記の環Het1は、R25によって環窒素原子上で置換されていてよく、その際、
R25は、C1〜C4−アルキルであり、
Har1は、親分子基に環炭素原子を介して結合されており、かつベンゾフラニル環である、請求項1、6又は7のいずれか1項記載の化合物、それらのエナンチオマー並びにこれらの化合物及びエナンチオマーの塩。
【請求項9】
請求項8記載の化合物であって、7−[2−(6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、7−[2−(6−{4−シアノ−フェン−1−イル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、7−{2−[6−(4−メトキシ−フェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−エチル}−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、7−[2−(6−ベンゾフラン−2−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N,N−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド、7−(2−{6−[4−(アゼチジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、7−(2−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル}−エチル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−アゼピン−2−イルアミン、4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド、4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−o−トリル−ベンゼンスルホンアミド、及び4−{2−[2−(7−アミノ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−アゼピン−2−イル)−エチル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}−N−メチル−N−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミドからなる群から選択される化合物。
【請求項10】
疾病の治療のための請求項1から9までのいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項記載の1種以上の化合物と一緒に通常の医薬品助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物を、急性炎症性疾患の治療のための医薬組成物の製造のために用いる使用。
【請求項13】
請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物を、末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患の治療のための医薬組成物の製造のために用いる使用。
【請求項14】
患者における急性炎症性疾患の治療方法において、前記患者に治療学的有効量の請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物を投与すること含む方法。
【請求項15】
患者における末梢器官及びCNSの慢性炎症性疾患の治療方法において、前記患者に治療学的有効量の請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物を投与すること含む方法。

【公表番号】特表2008−534555(P2008−534555A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503513(P2008−503513)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061141
【国際公開番号】WO2006/103255
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】