説明

invitroにおけるCD14陽性単球からの樹状細胞の産出

【課題】皮膚及び粘膜の樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞(LC)及び間質性樹状細胞(IDC))の2種の生集団を、1種の前駆体からin vitroにおいて発生させことを課題とする。
【解決手段】本発明は、樹状細胞を産出するためのCD14陽性単球の使用に関する。
本発明は、CD14陽性単球の分化によって、(調整した(preconditioned)未分化の細胞、分化した未熟細胞、成熟細胞及び/又は相互連結細胞である)ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の混合集団を少なくとも1種得るための、末梢循環血液から分離したCD14陽性単球の使用を含む。
本発明は、懸濁液、単層及び三次元細胞及び組織モデル中におけるその使用を含む。
本発明は、上記細胞及び上記モデルの、免疫毒性/免疫寛容の評価、化粧品や医薬品の有効成分の開発、並びに、細胞治療法や組織治療法の開発と実施のための研究モデルとしての使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本質的に、in vitroにおけるCD14陽性単球の培養法、培地、並びに、免疫毒性/免疫寛容の評価法、有効成分の研究/選択法、皮膚と粘膜に関する生理病理学的研究法、及び、細胞工学及び/又は組織工学及び細胞治療法及び/又は組織治療法における上記方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞(DC)は、免疫系を保護していると考えられる抗原提示細胞である。DCは実際のところほぼ全身で、すなわち胸腺、体循環及び第二次リンパ系器官で、また、単層状又はマルピギー状(すなわち多層状上皮を含む)であってよい皮膚や粘膜等、すなわち膣、子宮頸部の外側(outer cervix)、陰門、肛門周辺、食道及び口の皮膚や粘膜等の末梢組織でも存在が確認されている。DCは、生体内における数は非常に少ないが、特異的免疫応答を誘発する中枢に存在し、免疫応答の特異性、強度及び性質を制御していて、自然免疫と獲得免疫との中間に位置する。DCには、免疫応答を「起こす」機能に加えて、末梢における寛容を誘導する作用もある。
【0003】
DC前駆体は、多くの免疫系細胞や血液細胞と同様、CD34陽性造血系前駆体の分化に由来する。DC前駆体は血液によって皮膚や粘膜に輸送され、そこで分化して、未熟なDCの状態で定着する。生体内での位置によって2種類のDCがある。
【0004】
−ランゲルハンス細胞(LC)はマルピギー状上皮(皮膚及び粘膜)に、様々な密度(100〜1100個/mm)で存在する。LCの特異的マーカーLangerin(CD207)は、電子顕微鏡で観察される細胞小器官の形成に関与するタンパク質で、Birbeck顆粒と称される。LangerinやCD1aといったマーカー以外にも、LCは、LC以外の未熟なDC上に見られる抗原(CD4、β−インテグリン、並びに、接着分子LFA−3及びICAM−1等)を発現する。LCは、外来抗原(exoantigen)を捕獲すると、成熟しながら身体の中心に近いリンパ節に向かって遊走するため、接触皮膚炎や移植片拒絶反応等多くの病状の原因となる。
【0005】
−間質性樹状細胞(IDC)は粘膜固有層や真皮で見られる。後者の場合には、皮膚のDC又は皮膚の樹状細胞(dendrocyte)とも称する。この細胞にはBirbeck顆粒がなく、単球/マクロファージとの類似点及び共通のマーカーが多い。また、IDCは特異的マーカー、レクチンDC−SIGNを発現し、未熟なDCと類似した異種刺激(allostimulant)能を有する。
【0006】
LC及び/又はIDCは抗原を捕獲した後、リンパ節に向かって遊走する。この遊走に関連して、LC及び/又はIDCが活性化し、ケモカイン受容体の発現が変化し(CCR6受容体が発現しなくなってCCR7が発現するようになり)、接着分子の発現が変化し、その表現型と機能特性が変化する。例えばLCの場合、Birbeck顆粒が無秩序な状態になって形態が乱れる。リンパ性神経節では、DCのCD40受容体とTリンパ球上のリガンドCD40−Lとが相互に作用してDCの「相互連結樹状細胞」への成熟が誘発される。この細胞の特徴は、抗原CD83及び副刺激マーカー(CD80及びCD86)が膜上に発現していること、及び、(HLA−DR等の)クラスIIの主要組織適合性複合体が膜上で大規模に遊走することである。こうして、これら活性化した成熟DCは、TNFα及びIL−12を産生するようになる。
【0007】
LCを(特に、皮膚又は人間の粘膜のいずれかに由来する上皮細胞と組み合わせて)使用するには、「再生皮膚」又は「再生粘膜」の系又はモデルの中に組み込むのが有用である(非特許文献1〜2及び特許文献1参照)。これは特に、動物実験の代替になるとされる方法を実施する際の生物学的基盤として用いられてきたが、医薬品や化粧品等の製品の耐性及び/又は効能をin vitroにおいて評価するためにもっと使用されるべきである。
【0008】
しかし実際には、工業規模で確実にLCを得られるような合理的で利用可能な方法がなく、記載されているモデルに欠陥があるため、このモデルは現在ほとんど又は全く使用されていない。
【0009】
特許文献1(L’OREAL)は、皮膚モデル又は皮膚等価物、及び、臍帯血由来のCD34陽性前駆体の使用に関する。しかし上記皮膚等価物は実際のところ、マトリックス(表皮を剥がした真皮、すなわち生細胞を含まない死んだ真皮)上に細胞を播種したものであるため、表皮と等価であるというだけにすぎない。
【0010】
いずれにしても、真皮が「生きていない」ため、IDCは(マクロファージや内皮細胞も同様に)得られない。
【0011】
一方、CD34陽性細胞は臍帯血から得るため、その数も限られる。
【0012】
Geissmannは、循環血液から得られるCD14陽性単球の使用、及び、それを6日間懸濁液中で(GM−CSF、TGFβ及びIL−4の存在下において)培養してLCを得たことについて記載している(非特許文献3)。
【0013】
上記出版物に記載されたプロトコールによれば、細胞の培養は懸濁液中であって、三次元モデル上でではない。また、IDCや他の細胞(マクロファージ、内皮細胞)の存在については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】ヨーロッパ特許0789074(L’OREAL)
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Regnier,JID 1997年
【非特許文献2】Sivard P.Peaux et muqueuses reconstruites(Reconstructed skin and mucous membranes),Nouv.Dermatol.,2001年,20,520−523
【非特許文献3】F.Geissmann,C.Prost,J−P.Monnet,M.Diy,N.Bruce及びO.Hermine;1998年;J.Exp.Med.,vol.187,No.6,961−966
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的の1つは、皮膚及び粘膜の樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞(LC)及び間質性樹状細胞(IDC))の2種の生集団を、1種の前駆体からin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0017】
本発明の別の主な目的は、人間や動物の循環血液中に、特に末梢循環血液中に存在していて容易に入手できる1種の前駆体を提供するという新しい技術的な問題を解決することである。
【0018】
本発明の別の主な目的は、1種の前駆体を、工業規模で使用できる数の細胞をin vitroにおいて発生させることができる程十分な量提供するという新しい技術的な問題を解決することである。
【0019】
本発明の別の主な目的は、細胞をin vitroにおいて完全に再現性のある方法で、特にドナーの機能によって変化することなく発生させることができる1種の前駆体を提供するという新しい技術的な問題を解決することである。
【0020】
本発明の別の主な目的は、細胞をin vitroにおいて迅速に発生させることができる1種の前駆体を提供するという新しい技術的な問題を解決することである(LCが得られるまでに7〜8日間培養する必要がある)。
【0021】
本発明の別の主な目的は、生体内の細胞と表現型及び機能が同じ細胞をin vitroにおいて発生させることができる1種の前駆体を提供するという新しい技術的な問題を解決することである。
【0022】
本発明の別の主な目的は、所望の各種分化/成熟段階(すなわち、調整した(preconditioned)未分化の細胞の段階、分化した未熟細胞の段階、成熟細胞の段階、又は、相互連結細胞の段階)における樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞)をin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0023】
本発明の別の主な目的は、1種の細胞前駆体から、主にランゲルハンス細胞(LC)を、又は、主に間質性樹状細胞(IDC)を、又は、ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞の2種からなる集団(LC/IDC)をin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0024】
本発明の別の主な目的は、LC及び/又はCDIの(それぞれ表現型及び/又は機能特性の異なる)亜集団(subpopulations)のin vitroにおける発生を含む、1種の細胞前駆体からの樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞(LC)及び間質性樹状細胞(IDC))のin vitroにおける発生を可能にするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0025】
本発明の別の目的は、これらの細胞を治療に使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0026】
本発明の別の目的は、抗癌性細胞療法(例えば、免疫応答を刺激できるDCの注入);(例えば、アネルギーT細胞の産生により)免疫寛容状態をつくることによる自己免疫疾患の細胞療法;免疫系に影響を及ぼす疾病に対する遺伝子治療;並びに、ワクチンの開発及び生産等、医療的又は生物医学的な用途のために、樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞)をin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0027】
発明の別の主な目的は、樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞)をin vitroにおいて発生させて、それを皮膚組織モデル又は粘膜モデル等のモデルの中に組み込めるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0028】
本発明の別の主な目的は、完全な皮膚モデル又は粘膜モデル(すなわち上皮と結合間質(connective matrix)の両方を含むモデル)の中に組み込んだ時、細胞の環境(好ましくは繊維芽細胞及び上皮細胞)及び間質の環境に基づいて、上皮内に位置してランゲルハンス細胞に分化したり、結合間質中に位置して間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞に分化したりでき、かつ、生体内のランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞と匹敵する機能を獲得できるように調整した(preconditioned)細胞をin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0029】
本発明の別の目的は、有効成分等の物質を研究及び/又は選択できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0030】
本発明の別の目的は、内皮細胞及びマクロファージをin vitroにおいて発生させることができるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0031】
本発明の別の目的は、免疫応答性の(immunocompetent)皮膚又は粘膜等価物を得られるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0032】
本発明の別の目的は、本発明が関与する様々な細胞及び組織の生理病理学的研究のためのモデル/ツール、(例えば外部物質の免疫毒性やアレルゲン性を予測するためにin vitroにおいて試験することを目的とする)薬理毒理学的研究のためのモデル/ツール、並びに、免疫調整特性を有する物質を研究するためのモデル/ツールを提供するという新しい技術的な問題を解決することである。
【0033】
本発明の別の目的は、これらの様々なモデルを治療に使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0034】
本発明の別の目的は、特に有効成分の免疫刺激活性や免疫抑制活性を研究したり、上記有効成分による免疫寛容を評価したり誘発したりする目的で、モデルを使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0035】
本発明の別の目的は、上皮関門の生理病理学;皮膚又は粘膜の刺激;生物種(例えばウィルス、HIV等のレトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子)による攻撃;光毒性;光防御;有効成分(特に化粧品や医薬品の有効成分)の効果;及び、最終製品(特に化粧品や医薬品)の効果を研究するために、並びに、病原体による感染機構を研究するために、モデルを使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0036】
本発明の別の目的は、病原体(例えばウィルス、HIV等のレトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子)の存在を検出するためにモデルを使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0037】
本発明の別の目的は、医療的、生物医学的又は化粧的用途に、特に予防や治療を目的として、特に(とりわけ、UV照射等の物理的な、又は、化学的/生物学的な)環境因子による攻撃の後に起こる免疫応答や寛容応答をin vitro又はin vivoにおいて調整するために、モデルを使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【0038】
本発明の別の目的は、組織工学又は細胞工学的用途;抗癌性細胞療法(例えば、免疫応答を刺激できるDCの注入);(例えば、アネルギーT細胞の産生により)免疫寛容状態をつくることによる自己免疫疾患における細胞療法;免疫系に影響を及ぼす疾病に対する遺伝子治療;並びに、ワクチンの開発及び生産等、医療的又は生物医学的な用途にモデルを使用できるようにするという新しい技術的な問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明は、
(i)結合間質中に、間質性樹状細胞、及び任意でマクロファージ及び内皮細胞、又は、
(ii)上皮内にランゲルハンス細胞、
のいずれかを含む再生皮膚又は再生粘膜である三次元多細胞モデルである。
【0040】
本発明は、また、
(i)結合間質中に、間質性樹状細胞、及び任意でマクロファージ及び内皮細胞、及び、
(ii)上皮内にランゲルハンス細胞、
の両方を含む再生皮膚又は再生粘膜である三次元多細胞モデルである。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、工業及び商業規模で、特に化粧品、医薬品及び/又は医療において工業規模で使用することができる安全で確実な再現性のある方法で上記技術的な問題の各々を解決することが初めて可能になった。
【0042】
本発明に基づいて、もしドナーの血液バッグを各種使用できれば、循環血液中の単球の供給源として容易かつ便利に使用できる。CD14陽性前駆体は循環血液中に多く存在するので、LC及びIDCをin vitroにおいて高い再現性をもって大量に生産することができる可能性が高くなる。
【0043】
また、CD14陽性単球を培養するとLCとIDCとが得られ、これによって、皮膚や粘膜への適用を特に意図する物質の高速スクリーニングに適した培養モデルが得られる。この培養モデルは、上述のように少なくともLC及び/又はIDCを同時に用いたものなので、満足のいく完全なツールである。その結果、動物実験の代替法となり、とりわけ、このツールを用いれば、化粧品産業における法律によって施行される倫理協定を遵守できる。
【0044】
また、本発明によって、培養モデルと再生皮膚モデル又は再生粘膜モデルとの併用が可能になり、正常な人間の皮膚又は正常な人間の粘膜に生理学的に非常に類似する「内皮化した免疫応答性の再生皮膚」又は「内皮化した免疫応答性の再生粘膜」のうち1種のモデルをin vitroにおいて発生させることができる。このモデルは、上皮関門の生理病理学;皮膚又は粘膜の刺激;生物種(例えばウィルス、HIV等のレトロウィルス、細菌、カビ、抗原粒子)による攻撃;光毒性;光防御;並びに、有効成分(特に医薬品や化粧品の有効成分)及び最終製品(特に化粧品や医薬品)の効果を研究するために使用してもよい。
【0045】
本発明によって、DCの様々な集団を発生させることができ、その機能が異なることから、生体の感染/防御プロセスに関与するあらゆる現象を考慮に入れることができる。
【0046】
また、注目すべきことに、予想外にも、in vitroにおいてCD14陽性単球から発生して末梢循環血液から分離された細胞は、再生皮膚モデル又は再生粘膜モデルへ一旦組み込まれると、
−上皮内に位置してLCへ分化すること;
−結合間質(真皮又は絨毛膜)中に位置して、IDC、内皮細胞及びマクロファージに分化すること;並びに、
−生体内のLC、IDC、内皮細胞及びマクロファージと匹敵する機能を獲得すること;
ができる。
【0047】
本発明は、(特に化粧品及び/又は医薬品産業における)工業及び商業規模での確実で再現性のある使用が可能になるよう技術的に大いに改善できること、並びに、本発明は臨床分野と密接に関わりを持つ可能性があることが分かる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は主に、生きている1種の前駆体(すなわち末梢循環血液中のCD14陽性単球)からの、皮膚及び粘膜の樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞)の少なくとも2種の集団のin vitroにおける発生に関する。
【0049】
本発明の構成において、「細胞」という用語は、特に断りのない限り常に「生細胞」を意味するものとする。
【0050】
本発明によれば、「末梢循環血液」という用語は、「血液が循環しながら流れる血液系を有する任意の生体、特に動物及び哺乳動物、好ましくは人間から採取した(特に末梢の)血液」を意味するものとする。
【0051】
本発明によれば、「新鮮な血液」という用語は、CD14陽性単球の抽出を、好ましくは個体から血液を採取して24時間以内に開始し実施する血液を意味するものとする。
【0052】
従って、最初の特徴によれば、本発明は、CD14陽性単球の分化によってランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞(ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞は共に、調整した(preconditioned)未分化の細胞、分化した未熟細胞、成熟細胞及び/又は相互連結細胞である)の混合集団を少なくとも1種得るための、末梢循環血液から分離したCD14陽性単球の使用に関する。
【0053】
CD14陽性単球の使用におけるある有利な特徴によれば、CD14陽性単球の抽出は新鮮な血液から行う。すなわち、好ましくは個体から血液を採取して24時間以内に、好ましくは18時間以内に、好ましくは12時間以内に、好ましくは6時間以内に開始し実施する。更に好ましくは、上記抽出は血液採取直後に開始し5時間以内に実施する。
【0054】
CD14陽性単球の使用におけるある有利な特徴によれば、分化の結果、LC及び/又はIDCの様々な亜集団が得られる。
【0055】
CD14陽性単球の使用におけるある有利な特徴によれば、分化の結果、マクロファージ型の細胞及び/又は内皮型の細胞等の、調整した(preconditioned)未分化の細胞及び/又は分化した細胞の亜集団が更に少なくとも1種得られる。
【0056】
CD14陽性単球の使用におけるある有利な特徴によれば、分化は、少なくともGM−CSF及びTGFβのサイトカイン2種、好ましくはTGFβを含む培地中でこれらCD14陽性単球を培養することによって行う。
【0057】
これらCD14陽性単球の使用におけるある有利な特徴によれば、LCとIDCの集団の配分は、第三のサイトカインが上記培養中所定時間に渉って所定濃度で存在することによって決まり、上記サイトカインは好ましくはサイトカインIL−13である。
【0058】
別の有利な変形形態において、培養は、LCへの分化に有利であるように、すなわちLCが主に形成されるように、サイトカインIL−13の存在下で最長約2日間行う。
【0059】
別の有利な変形形態において、培養は、IDCの形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で約6日間行う。
【0060】
別の有利な変形形態において、培養は、LC/IDCの2種からなる集団の形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で約4日間行う。
【0061】
別の有利な特徴によれば、LC及びIDCを更に分化させるためには、サイトカインTNFαの存在下で培養を行えばよい。
【0062】
有利には培養を、所定濃度のTNFαの存在下で、所定時間(約18時間未満)行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟するのを避けながら、未熟なランゲルハンス細胞及び未熟な間質性樹状細胞が得られる。
【0063】
本発明の別の特徴によれば、TNFαの存在下における培養を、所定濃度で所定時間(約20時間を超えて)行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟させることができる。
【0064】
別の有利な特徴によれば、サイトカインGM−CSFの濃度は0.1〜4000IU/ml、有利には1〜2000IU/ml、より正確には約400IU/ml;サイトカインTGFβ(好ましくはTGFβ)の濃度は0.01〜400ng/ml、有利には1〜100ng/ml、より正確には約10ng/ml;サイトカインIL−13の濃度は(培地中に存在する場合)0.01〜400ng/ml、有利には1〜100ng/ml、より正確には約10ng/ml;サイトカインTNFαの濃度は(培地中に存在する場合)0.1〜4000IU/ml、有利には1〜1000IU/ml、より正確には約200IU/mlである。
【0065】
CD14陽性単球の使用における別の有利な特徴によれば、得られたLC及びIDCは生体内で見つかったものと同一の機能の表現型を有する。
【0066】
別の有利な特徴によれば、上記LC及びIDCの培養は、(特に、少なくとも上皮細胞及び間質細胞を含む)三次元の培養条件において行う。
【0067】
有利には、この更なる分化のある特徴によれば、上皮細胞及び間質細胞が明確に分離される場合、LCは主に上皮細胞の領域に位置し、IDCは主に間質細胞の領域に位置する。
【0068】
有利には、これらCD14陽性単球の使用におけるある特徴によれば、内皮細胞及びマクロファージは、特に三次元の条件に置かれた場合に、培養に由来する特定の細胞からの分化によって得られる。
【0069】
有利には、使用におけるある特徴によれば、完全な皮膚モデル又は粘膜モデル(すなわち上皮と結合間質の両方を含むモデル)の中に組み込んだ時、細胞の環境(好ましくは繊維芽細胞及び上皮細胞)及び間質の環境に基づいて、上皮内に位置してランゲルハンス細胞に分化したり、結合間質中に位置して間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞に分化したりでき、かつ、生体内のランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞と匹敵する機能を獲得できるような細胞(好ましくは調整した(preconditioned)細胞)が得られる。
【0070】
第二の特徴によれば、本発明は更に、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法であって、:
a)あらかじめ従来技術によって集めたCD14陽性単球を循環血液から分離すること、及び、
b)分離したCD14陽性単球をサイトカイン数種類を含む培地中で十分な時間培養して、LCとIDCの2種からなる集団を取得すること:
を含む方法に関する。
【0071】
ある有利な特徴によれば、このCD14陽性単球のin vitroにおける培養方法においては、培養は、少なくともGM−CSF及びTGFβのサイトカイン、好ましくはTGFβの存在下で行う。
【0072】
本発明の別の有利な特徴によれば、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法において、培養は、所定濃度の第三のサイトカインの存在下で、上記培養中所定時間行い、上記サイトカインは好ましくはサイトカインIL−13である。
【0073】
この有利な特徴のある変形形態において、培養は、LCへ分化に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で最長約2日間行う。
【0074】
この有利な特徴の別の変形形態において、培養は、IDCの形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で約6日間行う。
【0075】
この特徴の別の有利な変形形態において、培養は、LC/IDCの混合集団の形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で約4日間行う。
【0076】
本発明のある有利な特徴によれば、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法において、培養はサイトカインTNFαの存在下で行う。
【0077】
この有利な特徴のある変形形態において、TNFαの存在下での培養を所定濃度で所定時間(約18時間未満)行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟するのを避けながら、まだ未熟なランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞へ細胞を分化させることができる。
【0078】
別の有利な特徴によれば、TNFαの存在下での培養を所定濃度で所定時間(約20時間を超えて)行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟させることができる。
【0079】
本発明の別の有利な特徴によれば、CD14陽性単球の抽出は新鮮な血液から行う。すなわち、好ましくは個体から血液を採取して24時間以内に、好ましくは18時間以内に、好ましくは12時間以内に、好ましくは6時間以内に開始し実施する。更に好ましくは、上記抽出は血液採取直後に開始し5時間以内に実施する。
【0080】
本発明の別の有利な特徴によれば、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法において、培養は、三次元の培養条件において、特に少なくとも上皮細胞及び間質細胞の存在下で行う。
【0081】
本発明の別の有利な特徴によれば、上記ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞は、(特に少なくとも明確に分離された上皮細胞及び間質細胞を含む)三次元の培養条件において培養することによって、更に分化させることができる。
【0082】
本発明の別の有利な特徴によれば、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法においてサイトカインと共に培養した後、特に、樹状細胞とCD40リガンドとを相互作用させたり、サイトカインTNFα又はリポ多糖を添加したりすることにより、成熟を十分な時間相補的に刺激して上記細胞の表現型及び機能を成熟させる。
【0083】
本発明の別の有利な特徴によれば、CD14陽性単球のin vitroにおける培養方法は、LCとIDCの2種からなる集団を、割合を変えて三次元培養モデルへ組み込むことを含む。
【0084】
この有利な特徴の別の変形形態において、三次元培養モデルは、皮膚モデル、粘膜モデル、真皮モデル、絨毛膜モデル、表皮モデル及び上皮モデルを含む。
【0085】
この有利な特徴の別の変形形態において、三次元培養モデルは、
−間質細胞、特に繊維芽細胞を含む、コラーゲンを基盤とするゲル
−1種以上のグリコサミノグリカン類及び/又は必要に応じてキトサン(CNRSのEP0296078 A1、Coletica社のWO01/911821及びWO01/92322)を含んでいてよいコラーゲンから作られる多孔性マトリックスであって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる多孔性マトリックス
−ヒアルロン酸(Hyalograft(R) 3D−Fidia Advanced Biopolymers社)及び/又はコラーゲン及び/又はフィブロネクチン及び/又は繊維素のゲル又は膜(例えば、Vitrix(R)(オルガノジェネシス社)等)
−真皮層から構成される真皮等価物(Michel M.ら;1999年 ;In Vitro Cell.Dev Biol.−Animal,vol.35,318−326)
−表皮を剥がした死んだ真皮
−合成半透膜、具体的にはニトロセルロース半透膜、ナイロン半透膜、テフロン(R)膜若しくはテフロン(R)スポンジ、ポリカーボネート若しくはポリエチレン若しくはポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)の半透膜、Anopore無機半透膜、酢酸セルロース若しくはセルロースエステル(HATF)の膜、Biopore−CM半透膜、ポリエステル半透膜、ポリグリコール酸の膜若しくは薄膜からなる群より選択される不活性な担体(上記群は、Skin2TMmodel ZK1100、Dermagraft(R)及びTranscyte(R)(Advanced Tissue Sciences社)等の製品を含む)であって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる不活性な担体
から選択されることが好ましい(真皮又は絨毛膜の)マトリックス担体を含む。
【0086】
この有利な特徴の別の変形形態において、使用する三次元培養モデルは、上皮細胞、特に角質細胞を表面に播種した上述のモデルからなる。
【0087】
この有利な特徴のある変形形態において、使用する三次元培養モデルは、(例えば、神経細胞、内皮細胞(EC)、メラノサイト、リンパ細胞及び/又は脂肪細胞等の)相補的な細胞種の少なくとも1種、並びに/又は、頭髪等の体毛及び皮脂腺等の皮膚付属器をその中に組み込んだモデルからなる。
【0088】
別の変形形態において、培養に由来する特定の細胞は、特に上皮細胞及び間質細胞を少なくとも含む三次元の条件に置かれた場合に、内皮細胞及びマクロファージに分化する。
【0089】
本発明はその全体において、上述の方法、又は、実施例等の以下の記載全体に起因する方法によるCD14陽性単球の使用を含む培養方法に関する。
【0090】
第三の特徴によれば、本発明は、基本培地と少なくとも2種のサイトカイン(すなわちサイトカインGM−CSF及びサイトカインTGFβ、好ましくはTGFβ)とを併用する、CD14陽性単球のin vitroにおける培養のための培地に関する。
【0091】
有利には、上記2種のサイトカインを併用する培地はまた、サイトカインIL−13も(培養中に所定の時点で培地に添加できるように、好ましくは物理的に分けて)併用する。
【0092】
この第三の特徴のある有利な特徴によれば、上記2種のサイトカインを併用する培地は、サイトカインTNFαも(培養中に所定の時点で培地に添加できるように、好ましくは物理的に分けて)併用する。
【0093】
この第三の特徴の別の有利な特徴によれば、培地中のサイトカインGM−CSFの濃度は0.1〜4000IU/ml、有利には1〜2000IU/ml、より正確には約400IU/ml;サイトカインTGFβ(好ましくはTGFβ)の濃度は0.01〜400ng/ml、有利には1〜100ng/ml、より正確には約10ng/ml;サイトカインIL−13の濃度は(培地中に存在する場合)0.01〜400ng/ml、有利には1〜100ng/ml、より正確には約10ng/ml;サイトカインTNFαの濃度は(培地中に存在する場合)0.1〜4000IU/ml、有利には1〜1000IU/ml、より正確には約200IU/mlである。
【0094】
第四の特徴によれば、本発明は、CD14陽性単球から(特に、上述の使用を用いて、又は、上記記載の培養方法によって、又は、上記培地の使用によって)得られるランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞(ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞は共に、調整した(preconditioned)未分化の細胞、分化した未熟細胞、成熟細胞、及び/又は、相互連結した細胞である)の混合集団を少なくとも1種含む細胞集団に関する。
【0095】
第五の特徴によれば、本発明は、上記CD14陽性単球の使用によって、又は、上記記載の培養方法によって、又は、抗癌性細胞療法(例えば、免疫応答を刺激することができるDCの注入);(例えば、アネルギーT細胞の産生により)免疫寛容状態をつくることによる自己免疫疾患における細胞療法;免疫系に影響を及ぼす疾病に対する遺伝子治療;並びに、ワクチンの開発及び生産等、医療的若しくは生物医学的な用途のために、樹状細胞(すなわちランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞)をin vitroにおいて発生させるための上記培地の使用によって得られるLCとIDCの混合集団の使用に関する。
【0096】
また、第六の特徴によれば、本発明は、上記CD14陽性単球の使用によって得られる、又は、上記記載の培養方法によって得られる、又は、上記培地の使用によって得られる、又は、上述のLCとIDCの混合集団の、懸濁液、単層又は三次元、単細胞又は多細胞の研究モデルを製造するための使用に関する。
【0097】
この第五の特徴のある有利な特徴によれば、研究モデルは以下から選択される。
−間質細胞、特に繊維芽細胞を含む、コラーゲンを基盤とするゲル
−1種以上のグリコサミノグリカン類及び/又は必要に応じてキトサン(CNRSのEP0296078 A1、Coletica社のWO01/911821及びWO01/92322)を含んでいてよいコラーゲンから作られる多孔性マトリックスであって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる多孔性マトリックス
−ヒアルロン酸(Hyalograft(R) 3D−Fidia Advanced Biopolymers社)及び/又はコラーゲン及び/又はフィブロネクチン及び/又は繊維素のゲル又は膜(例えば、Vitrix(R)(オルガノジェネシス社)等)
−真皮層から構成される真皮等価物(Michel M.ら;1999年 ;In Vitro Cell.Dev Biol.−Animal,vol.35,318−326)
−表皮を剥がした死んだ真皮
−合成半透膜、具体的にはニトロセルロース半透膜、ナイロン半透膜、テフロン(R)膜若しくはテフロン(R)スポンジ、ポリカーボネート若しくはポリエチレン若しくはポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)の半透膜、Anopore無機半透膜、酢酸セルロース若しくはセルロースエステル(HATF)の膜、Biopore−CM半透膜、ポリエステル半透膜、ポリグリコール酸の膜若しくは薄膜からなる群より選択される不活性な担体(上記群は、Skin2TMmodel ZK1100、Dermagraft(R)及びTranscyte(R)(Advanced Tissue Sciences社)等の製品を含む)であって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる不活性な担体。
【0098】
ある有利な特徴によれば、このモデルは、主としてLC、IDC、LC/IDCの混合物、LC/IDC/内皮細胞/マクロファージの混合物、又は、IDC/内皮細胞/マクロファージの混合物のいずれかを含む。
【0099】
上記組織モデルは、主として角質細胞からなる表皮モデル、主として間質細胞を含む結合間質モデル(皮膚の場合には真皮、粘膜の場合には絨毛膜と称する)、主として上皮細胞からなる上皮モデル、表皮及び真皮からなる皮膚モデル、又は、上皮及び絨毛膜からなる粘膜モデルであってよいとして定義する。
【0100】
正常で健康な細胞、病的細胞又は細胞系由来の細胞をこれらのモデルにおいて使用できる。これらの細胞は人間又は動物起源であってよい。
【0101】
本発明によって発生した細胞以外に、上皮細胞、色素細胞及び神経細胞等を上皮部分へ導入できる。
【0102】
本発明によって発生した細胞以外に、間質細胞(特に繊維芽細胞)、Tリンパ球、脂肪細胞及び皮膚付属器(頭髪等の体毛、皮脂腺)を結合間質へ導入できる。
【0103】
第七の特徴によれば、本発明は、上述のようにCD14陽性単球から得られるLC/IDCの混合集団を少なくとも1種含む、完全な再生皮膚モデル又は再生粘膜モデル、再生真皮モデル又は再生絨毛膜モデル、再生上皮モデル、特に表皮モデル、その他、任意の懸濁液、単層若しくは三次元、単細胞若しくは多細胞のモデルに関する。
【0104】
ある有利な特徴によれば、この再生組織モデル等は以下から選択される。
−間質細胞、特に繊維芽細胞を含む、コラーゲンを基盤とするゲル
−1種以上のグリコサミノグリカン類及び/又は必要に応じてキトサン(CNRSのEP0296078 A1、Coletica社のWO01/911821及びWO01/92322)を含んでいてよいコラーゲンから作られる多孔性マトリックスであって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる多孔性マトリックス
−ヒアルロン酸(Hyalograft(R) 3D−Fidia Advanced Biopolymers社)及び/又はコラーゲン及び/又はフィブロネクチン及び/又は繊維素のゲル又は膜(例えば、Vitrix(R)(オルガノジェネシス社)等)
−真皮層から構成される真皮等価物(Michel M.ら;1999年 ;In Vitro Cell.Dev Biol.−Animal,vol.35,318−326)
−表皮を剥がした死んだ真皮
−合成半透膜、具体的にはニトロセルロース半透膜、ナイロン半透膜、テフロン(R)膜若しくはテフロン(R)スポンジ、ポリカーボネート若しくはポリエチレン若しくはポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)の半透膜、Anopore無機半透膜、酢酸セルロース若しくはセルロースエステル(HATF)の膜、Biopore−CM半透膜、ポリエステル半透膜、ポリグリコール酸の膜若しくは薄膜からなる群より選択される不活性な担体(上記群は、Skin2TMmodel ZK1100、Dermagraft(R)及びTranscyte(R)(Advanced Tissue Sciences社)等の製品を含む)であって、間質細胞、特に繊維芽細胞を組み込むことができる不活性な担体。
【0105】
ある有利な特徴によれば、このモデルは、主としてLC、IDC、LC/IDCの混合物、LC/IDC/内皮細胞/マクロファージの混合物、又は、IDC/内皮細胞/マクロファージの混合物のいずれかを含む。
【0106】
有利には、このモデルのある特徴によれば、LCは上皮部分に位置し、IDC、マクロファージ及び内皮細胞が存在する場合は、これらは結合間質に位置する。
【0107】
有利には、本発明は、構造を与える細胞、とりわけ間質細胞(特に繊維芽細胞)、及び/又は、上皮細胞(特に角質細胞)、及び/又は、その他の細胞種、とりわけTリンパ球、及び/又は、神経細胞、及び/又は、色素細胞(特にメラノサイト)、並びに、免疫防御を与える細胞(とりわけLC、IDC及び/又はマクロファージ)、並びに、血管新生を与える細胞(とりわけ内皮細胞)、並びに、脂肪細胞を中に含む上述のモデルに関する。
【0108】
第八の特徴によれば、本発明は、上記LCとIDCの混合集団の少なくとも1種の、有効成分を研究及び/又は選択するためのモデルとしての使用に関する。
【0109】
「有効成分」という用語は、産業、特に化粧品産業、製薬産業、皮膚製薬産業、食品産業、農産食品産業等において有益に作用できるかもしれない任意の物質、製品又は組成物を意味するものとする。
【0110】
本発明の第九の特徴は、特に有効成分の免疫刺激活性や免疫抑制活性を研究したり、上記有効成分による免疫寛容を評価したり誘発したりするための上記モデルの使用に関する。
【0111】
第十の特徴によれば、本発明は、上皮関門の生理病理学;皮膚又は粘膜の刺激;生物種(例えばウィルス、HIV等のレトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子)による攻撃;光毒性;光防御;有効成分(特に化粧品や医薬品の有効成分)の効果;及び、最終製品(特に化粧品や医薬品)の効果を研究するための、並びに、病原体による感染機構を研究するための上記モデルの使用に関する。特に、本発明によって、HIV等のレトロウィルスを含むウィルスの感染、複製及び伝染の現象に関与する機構を研究するための上記モデルの使用、並びに、(ワクチン、薬等を含む)治療法の研究や開発が可能になる。
【0112】
第十一の特徴によれば、本発明は、病原体(例えばウィルス、HIV等のレトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子)の存在を検出するための上記モデルの使用に関する。
【0113】
第十二の特徴によれば、本発明は、化粧的、医療的又は生物医学的用途のために、特に予防や治療を目的として、特に(とりわけ、UV照射等の物理的な、又は、化学的/(免疫学的なものを含む)生物学的な)環境因子による攻撃の後に起こる免疫応答や寛容応答をin vitro又はin vivoにおいて調整するための、上記研究モデルの使用に関する。
【0114】
本発明の第十三の特徴によれば、再生組織、再生皮膚、再生粘膜又は研究モデルは、組織工学又は細胞工学的用途:並びに、抗癌性細胞療法(例えば、免疫応答を刺激できるDCの注入);(例えば、アネルギーT細胞の産生により)免疫寛容状態をつくることによる自己免疫疾患における細胞療法;免疫系に影響を及ぼす疾病の遺伝子治療;及び、ワクチンの開発及び生産等の医療的又は生物医学的用途のために使用できる。
【0115】
また別の特徴によれば、(とりわけ(特に、研究モデルを利用できるような)上記特徴のいずれかを実施することにより)CD14陽性単球から得られた細胞の混合集団を少なくとも使用してその活性が実証されている任意の潜在的な活性物質もまた、本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0116】
使用した操作プロトコールの要点を見れば、方向の異なるCD14陽性単球の培養方法についてより理解できるだろう。
【0117】
<末梢循環血液からCD14陽性単球を抽出した後、以下のプロトコールに基づいて細胞を発生させる>
プロトコール1:
GM−CSF、TGFβ及びIL−13の存在下で2日間、その後GM−CSF及びTGFβの存在下で更に4日間、CD14陽性を懸濁液中で培養する→D6:(未分化で未熟な)LC前駆体
懸濁液中へのTNFαの添加(<18時間)→(分化して未熟な)LCが大部分
【0118】
プロトコール2:
GM−CSF、TGFβ及びIL−13の存在下で6日間、CD14陽性を懸濁液中で培養する→D6:(未分化で未熟な)IDC前駆体
懸濁液中へのTNFαの添加(<18時間)→(分化して未熟な)IDCが大部分
【0119】
プロトコール3:
GM−CSF、TGFβ及びIL−13の存在下で4日間、その後GM−CSF及びTGFβの存在下で更に2日間、CD14陽性を懸濁液中で培養する→D6:(未分化で未熟な)LC前駆体及びIDC前駆体
懸濁液中へのTNFαの添加(<18時間)→(分化して未熟な)LCとIDCの均一な混合集団
【0120】
プロトコール4:
GM−CSF、TGFβ及びIL−13の存在下で6日間、2日間、4日間又は6日間、CD14陽性を懸濁液中で培養する→D6:(未分化で未熟な)LC前駆体及びIDC前駆体
懸濁液中へのTNFαの添加(>20時間)→(分化し成熟していて、LC又はIDCのいずれでもない)活性細胞
【0121】
プロトコール1、2又は3によって得られた細胞を三次元培養モデル(好ましくは未分化の細胞の段階=LC前駆体及び/又はIDC前駆体)へ組み込むと、:
−TNFαの添加は、LC前駆体及びIDC前駆体がLC及びIDCへ分化するのに必須ではないこと;及び、
−LC及びIDCに加えて、マクロファージ及び真皮/絨毛膜の内皮細胞が自動的に得られること:
が観察される。
【0122】
<CD14陽性単球の分化/成熟の様々な段階>
・CD14陽性単球→D6:LC前駆体及び/又はIDC前駆体(=未分化で未熟な細胞)
・TNFαの添加(<18時間)→LC及び/又はIDC(=「分化した」未熟な細胞))
・TNFαの添加(>20時間)→LC又はIDCのいずれでもない成熟した細胞(=「成熟した活性」細胞)
・LC及び/又はIDC又は成熟した細胞への(Tリンパ球上に存在する)CD40リガンドの添加→「相互連結」細胞(=「成熟の最終段階」)
【0123】
本発明の他の有利な目的及び特徴は、複数の実施例を参照する以下の記載から当業者にははっきりと明白になるだろう。なお、実施例は説明するための記載であって、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0124】
実施例において、特に断りのない限り、温度は摂氏又は室温であり、圧力は大気圧である。
【0125】
[実施例1]
<末梢循環血液からのCD14陽性単球の分離方法>
1人以上の人間のドナーからの静脈血を、ヘパリンリチウムやクエン酸塩リン酸塩デキストラン(citrate phosphate dextran)等の従来の抗凝血薬を入れたヴァキュテーナー(vacutainer)又はビニール袋に採取することにより、末梢循環血液を集める。
【0126】
有利には、CD14陽性単球は、Geissmannらの記載するプロトコールによって以下の方法でこの循環血液から分離することができる(Geissmannら、J.EXP.MED.vol.187,no.6,16 March 1998年,p.961−966,ロックフェラー大学出版)。
−フィコール勾配を用いて遠心分離した後、循環血液の単核細胞を回収し、磁気ビーズを結合した抗体混合物(主として抗CD3、抗CD7、抗CD19、抗CD45RA、抗CD56、抗IgE)により間接的に標識する。
−磁気カラムを通した後、磁気標識されていない単球のみを溶出する。
【0127】
CD14単球を、当業者には公知の任意の物理的な分離方法によって、特に遠心沈降又は遠心分離によって溶出液から回収し、そのまま次の培養に用いる。
【0128】
採取した血液100ml当たり約1億5000万(±2000万)個の単核細胞を抽出して精製し、CD14陽性単球を最大4000万個得る。用いる培養条件(以下の実施例を参照)に応じて、ランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞が1200〜1600万個発生する。
【0129】
[実施例2]
<分離したCD14陽性単球を培養して、未分化で未熟な樹状細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化(decomplemented)ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400国際単位/ml(IU/ml)及びサイトカインTGFβ1を10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0130】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0131】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。培養4日目に、IL−13を加えないこと以外は上記と同じ培地を添加し、更に2日間培養を続ける。培養6日目に、ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞へ分化できる未分化で未熟な樹状細胞が発生する:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約30〜50%は、Langerin(ランゲルハンス細胞の特異的マーカー)を細胞内レベルでしか発現しておらず、成熟のマーカーCD83、DC−LAMP及びCCR7を発現しない;
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約30〜50%は、DC−SIGN(間質性樹状細胞の特異的マーカー)を発現し、成熟のマーカーCD83、DC−LAMP及びCCR7を発現しない。
【0132】
[実施例3]
<分離したCD14陽性単球を培養して、間質性樹状細胞(IDC)へ選択的に分化できる未分化で未熟な樹状細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβ1を10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0133】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0134】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。培養6日後に、IDCへ選択的に分化できる未分化で未熟な樹状細胞が発生する:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約60〜80%は、DC−SIGN(間質性樹状細胞の特異的マーカー)を発現する;
−DC−SIGN陽性細胞の集団は、マーカーCD68を強く発現するため、未熟である。
【0135】
[実施例4]
<分離したCD14陽性単球を培養して、ランゲルハンス細胞(LC)へ選択的に分化できる未分化で未熟な樹状細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0136】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0137】
培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。遅くとも2日間培養する前から、IL−13を加えないこと以外は上記と同じ培地を最長でも培養6日目まで添加する。6日目に、ランゲルハンス細胞へ選択的に分化できる未分化で未熟な樹状細胞が発生する:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約60〜80%は、Langerinを細胞内レベルで発現し、CCR6(MIP−3αの特異的受容体)を発現する;
−in vitroにおいて発生した樹状細胞は、MIP−3αによって強く化学誘引されてCCR6受容体の機能を示す;
−成熟のマーカーCD83、DC−LAMP及びCCR7を発現しないことから、in vitroにおいて発生した樹状細胞は未熟である。
【0138】
[実施例5]
<分離したCD14陽性単球を培養して、主として間質性樹状細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0139】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0140】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。培養6日間後、サイトカインTNFαを200IU/mlの割合で18時間未満添加し、主として間質性樹状細胞を得る:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約60〜80%は、DC−SIGNを膜レベルで発現する;
−in vitroにおいて発生した樹状細胞は、間質性樹状細胞に特徴的なマンノース受容体を強く発現する;
−in vitroにおいて発生した間質性樹状細胞は、生体内の間質性樹状細胞と同一の機能的特徴を有する。
【0141】
[実施例6]
<分離したCD14陽性単球を培養して、主としてランゲルハンス細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0142】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0143】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。遅くとも2日間培養する前から、IL−13を加えないこと以外は上記と同じ培地を最長でも培養6日目まで添加する。6日目に、サイトカインTNFαを200IU/mlの割合で最長18時間添加し、主としてランゲルハンス細胞を得る:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約60〜80%は、Langerin(ランゲルハンス細胞の特異的マーカー)を膜レベルで発現し、ランゲルハンス細胞の超微細構造としての特異的マーカーであるBirbeck顆粒を示す;
−in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞は、生体内のランゲルハンス細胞と類似した機能を有する;すなわち、MIP−3αによって化学誘引されたり、IL−1βの影響を受けて、又は、TNPや2、4、6−トリニトロベンゼンスルホン酸等の強いアレルゲンによる感作を受けて遊走したりし得る。
【0144】
[実施例7]
<分離したCD14陽性単球を培養して、ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の2種からなる均質な集団を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0145】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0146】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。培養4日後、IL−13を加えないこと以外は上記と同じ培地を更に2日間添加する。6日目に、サイトカインTNFαを200IU/mlの割合で最長18時間添加し、ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の2種からなる集団を得る:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約30〜50%が、Langerinを膜レベルで発現する;
−in vitroにおいて発生した樹状細胞の約30〜50%が、DC−SIGNを膜レベルで発現する;
−二重標識実験によって、発生した樹状細胞がLangerin陽性及びDC−SIGN陽性のいずれであるかを確認できる。
【0147】
[実施例8]
<分離したCD14陽性単球を培養して、主として活性化した成熟樹状細胞を得る>
実施例1で得られたCD14陽性単球を、約100万個/1mlの割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0148】
培養は、37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で行う。
【0149】
本発明の範囲内において、培地は、第三のサイトカイン、すなわちサイトカインIL−13を10ng/mlの割合で最初から添加されているものを用いる。培養は、サイトカインIL−13を添加しての培養時間に関わらず最長6日間行う。6日目に、サイトカインTNFαを200IU/mlの割合で20時間を超えて添加し、活性化した成熟樹状細胞を得る:
−in vitroにおいて発生した樹状細胞は、成熟のマーカーCD83、DC−LAMP及びCCR7(MIP−3βの特異的受容体)を発現する;
−in vitroにおいて発生した樹状細胞は、MIP−3βによって強く化学誘引されてCCR7受容体の機能を示す。
【0150】
[実施例9]
<遊走に関する懸濁単細胞モデル中における、主としてランゲルハンス細胞からなる集団の使用>
細胞の発生:実施例6参照
in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞の任意の攻撃(例えば微生物(例えば細菌性微生物)等の生物種の攻撃)に向かう走化能を、孔隙率8〜5μmの膜で分けた2つの区画を有する(基底膜を模倣したマトリックス(MatrigelTM型)で覆われていても覆われていなくてもよい)走化チェンバー、又は、ボイデンチェンバーを用いて、以下のプロトコールによって評価する。
【0151】
−in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞2.5×10個を、濃度15mg/mlのマンナン100μlで37℃において10分間刺激する;
−この細菌性の刺激の後に、ランゲルハンス細胞を、非働化ウシ胎児血清を2%(v/v)添加したRPMI1640培地0.5ml中に細胞2.5×10個の割合で、走化チェンバーの上室へ播種する;走化チェンバーの下室にはウシ胎児血清を2%添加したRPMI1640培地0.75mlをあらかじめ播種してある;
−37℃において1時間遊走させた後、走化チェンバーの下室へ遊走したランゲルハンス細胞(すなわち、走化チェンバー下室中の培地)を回収する;
−遊走したランゲルハンス細胞を、白色光顕微鏡により細胞を計数して定量する;
−結果を、走化率(すなわち、刺激されて遊走した細胞の割合を自発的に遊走した細胞の割合(ネガティブコントロール)で割ったもの)として示す。
【0152】
マンナンによる刺激後の走化率は1.6〜1.9である。すなわち、in vitroにおいて発生し、マンナンで刺激したランゲルハンス細胞は、未処理のランゲルハンス細胞よりも1.6〜1.9倍遊走する。
【0153】
in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞は刺激物の影響を受けて遊走できることから、これらが機能的であること、及び、潜在的な攻撃性/アレルギー性物質の評価のための研究モデルとしてこの試験を使用できることが示される。
【0154】
[実施例10]
<サイトカイン分泌に関する懸濁単細胞モデル中における、主として間質性樹状細胞からなる集団の使用>
細胞の発生:実施例5参照
任意の攻撃(例えば化学種(特にTNPや2、4、6−トリニトロベンゼンスルホン酸等のアレルゲン)の攻撃)に対する、in vitroにおいて発生した間質性樹状細胞のサイトカインタンパク質(例えばインターロイキン12(IL−12))分泌を、ELISA分析(固相酵素免疫測定法)を用いて以下のプロトコールにより定量することができる。
【0155】
−in vitroにおいて発生した間質性樹状細胞100万個を、37℃において10分間、濃度5mMのTNP800μlで刺激する;
−この刺激の後、間質性樹状細胞を回収し、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地1ml当たり細胞100万個の割合で、6ウェルプレートに播種する;
−37℃においてCOを5%含んだ湿気のある空気中で48時間培養した後、間質性樹状細胞の培養上清を回収する;
−まず1200rpmで10分間遠心分離して細胞残屑を除去した培養上清を、ELISAに使用する;IL−12に対するELISAの手順については、製造者(R&D System社)提供の使用説明書を参照するとよい;
−結果をIL−12の濃度(ng/細胞100万個/ml)として示す。
【0156】
in vitroにおいて発生し、TNPで刺激した間質性樹状細胞は、IL−12p75を2.1〜2.7ngIL−12p75/細胞100万個/mlの濃度で分泌し、一方、未処理の間質性樹状細胞はIL−12p75を0.1ng未満/細胞100万個/mlの濃度で分泌する。
【0157】
in vitroにおいて発生した間質性樹状細胞は、刺激物の影響を受けると免疫賦活サイトカインを多く分泌するようになることから、これらが機能的であること、及び、潜在的な攻撃性/アレルギー性物質の効果を評価するための研究モデルとしてこの試験を使用できることが示される。
【0158】
[実施例11]
<抗原取り込みの懸濁二細胞モデル中における、LCとIDCの2種からなる集団の使用>
細胞の発生:実施例7参照
LCとIDCの2種からなる本質的に均質な集団の利点は、生体内での場合と同様に互いに相互作用する可能性があるということである。in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞の取り込み経路(すなわち抗原捕獲能)を、デキストラン及びフローサイトメトリーを用いて以下のプロトコールにより研究した。
【0159】
−in vitroにおいて発生したランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞を含む混合集団の2×10個の細胞を、以下の条件において連続して培養する:
−濃度2μg/mlの抗DC−SIGN抗体5μl、30分間、4℃;
−濃度1μg/mlの蛍光色素TRI−Color標識ヤギ抗マウス抗体10μl、30分間、4℃;
−1/20に希釈した正常なマウス血清を用いたブロッキング;
−濃度1μg/mlのフィコエリトリン標識抗Langerin抗体2μl、30分間、4℃;及び
−非働化ウシ胎児血清を1%添加したPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)からなる取り込みバッファー500μlにFITCデキストランを1mg/ml溶解したもの;試験は37℃において、ネガティブコントロールは4℃において15分間反応させる
−FITCデキストランと反応させた後、細胞をフローサイトメトリーによって分析する;
−結果は、(ネガティブコントロールと比較して)陽性のランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞の百分率として、すなわち、デキストランを取り込んだ細胞の百分率として示す;
−ランゲルハンス細胞(Langerin陽性)の50〜70%がFITCデキストランを取り込み、間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)の60〜80%がFITCデキストランを取り込む。
【0160】
in vitroにおいて発生した樹状細胞が抗原を取り込むことができることから、これらが機能的であること、及び、抗原取り込みの研究モデルとしてこの試験を使用できることが示される。
【0161】
[実施例12]
<LC及びIDCの成熟経路を研究するための、懸濁二細胞モデル中におけるLCとIDCの2種からなる集団の使用>
細胞の発生:実施例7参照
6日目に、サイトカインTNFαを200IU/mlの割合で48時間添加する。
【0162】
LCとIDCの2種からなる本質的に均質な集団の利点は、生体内での場合と同様に互いに相互作用する可能性があるということである。in vitroにおいて発生したLC及びIDCの成熟経路を研究するために、LC及びIDC両方の細胞質内における成熟マーカーDC−LAMPの発現を調べた。これにあたり、実験を以下のプロトコールによって行った。
【0163】
−in vitroにおいて発生したLCとIDCを含む混合集団の2×10個の細胞を、以下の条件において連続して培養する:
−抗DC−SIGN抗体(2μg/ml)5μl又は抗Langerin抗体(2μg/ml)10μlのいずれか、30分間、4℃;
−濃度1μg/mlの蛍光色素FITC(フルオレセインイソチオシアネート)標識ヤギ抗マウス抗体10μl、30分間、4℃;
−1/20に希釈した正常なマウス血清を用いたブロッキング;
−濃度1μg/mlの蛍光色素PE(フィコエリトリン)標識抗DC−LAMP抗体10μl、30分間、4℃;
−結果は、DC−LAMP陽性のLC及びDC−LAMP陽性のIDCの百分率として示す。
【0164】
TNFαを48時間培養した後に表現型を調べたところ、IDC(DC−SIGN陽性)は成熟マーカーDC−LAMPを発現しないが、一方、Langerin陽性LCの集団の50%はDC−LAMP陽性である。この結果から、成熟過程は、皮膚の2種のDC(すなわちLC及びIDC)の亜集団の間で区別でき、異なるということが概ね分かった。従って、皮膚関門を通過して真皮上層部に入ることができる有効物質や有効成分(化粧品又は医薬品)は、皮膚の両DC(すなわち、表皮中のLC及び真皮上層中のIDC)の異なった成熟経路を刺激しているのかもしれない。このようなアプローチによって、局所投与において、潜在的な免疫寛容原と、免疫原性の有効物質や有効成分(化粧品又は医薬品)とを区別できるかもしれない。
【0165】
[実施例13]
<未感作のTリンパ球に対する同種の刺激に関する懸濁単細胞モデル中における、活性化した成熟樹状細胞の集団の使用>
細胞の発生:実施例8参照
in vitroにおいて発生した成熟樹状細胞が相互連結樹状細胞の機能を獲得できるかどうか(すなわち、同種の未感作のTリンパ球の増殖を刺激できるかどうか)を調べるために、以下のプロトコールによって混合リンパ球反応を行った。
【0166】
−in vitroにおいて発生した成熟樹状細胞を、COを5%含んだ湿気のある空気中で37℃において48時間、CD40リガンド分子を感染させた繊維芽細胞と共に、活性化した樹状細胞10個に対してCD40リガンドを感染させた繊維芽細胞1個の割合で、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する;
−活性化した樹状細胞を回収し、同種の未感作のTリンパ球と共に、ヒトAB型血清を10%添加したRPMI1640培地中で3日間培養する;活性化した樹状細胞125〜8000個を準備し、未感作のTリンパ球10個と共に培養する;
−混合リンパ球培養3日目に、活性5mCiのトリチウム化チミジン20μlを18時間添加する;
−結果を、活性化した樹状細胞の数(125〜8000個の範囲)を横軸、同種の未感作のTリンパ球へのトリチウム化チミジンの取り込み(cpm(カウント/分))を縦軸とするグラフに示す。
【0167】
CD40リガンドと相互作用させた後、in vitroにおいて発生した活性化した樹状細胞は、未感作のTリンパ球の増殖をあまり誘発しない(3.10〜6.10cpm)活性化した樹状細胞と比較して、未感作のTリンパ球の増殖を強く刺激する(12.10〜16.10cpm)。
【0168】
in vitroにおいて発生した樹状細胞は、相互連結樹状細胞の機能を獲得できること、すなわち高い同種刺激能を獲得できることから、これらが機能的であること、及び、同種刺激の研究モデルとしてこの試験を使用できることが示される。
【0169】
[実施例14]
<共存培養における角質細胞及びLCの単層多細胞モデル>
細胞の発生:実施例4又は6参照
Cloneticsの培地(参照:KGM−2)を入れた6ウェルプレート型の培養皿内に角質細胞1×10個を播種し、角質細胞がコンフルエントになるまで浸漬培養する。コンフルエントになった時点で、実施例4又は6によりin vitroにおいて発生した樹状細胞1〜3×10個を添加する。更に3〜4日間、非働化ウシ胎児血清を10%添加し、2種のサイトカイン、すなわちサイトカインGM−CSFを400IU/ml及びサイトカインTGFβを10ng/mlの割合で最初から含んだRPMI1640培地中で培養する。
【0170】
[実施例15]
<共存培養における繊維芽細胞及び間質性樹状細胞の単層多細胞モデル>
細胞の発生:実施例3及び5参照
Hyclone IIウシ血清を10%、ペニシリンを100IU/ml及びゲンタマイシンを最終濃度20μg/ml添加したDMEM−Glutamax培地を入れた6ウェルプレート型の培養皿内に、繊維芽細胞1×10個を播種し、繊維芽細胞がコンフルエントになるまで浸漬培養する。コンフルエントになった時点で、実施例3又は5によりin vitroにおいて発生した樹状細胞1〜3×10個を添加する。更に3〜4日間培養する。
【0171】
[実施例16]
<上皮細胞及びランゲルハンス細胞を含む歯肉粘膜の再生表皮又は再生上皮の三次元多細胞モデル>
モデルは以下のプロトコールによって調製する。
−角質細胞又は上皮細胞1〜2×10個をボイデンチェンバー(膜の孔隙率は0.4μm)の挿入部に播種する;培養1日後に、実施例4によりin vitroにおいて発生した樹状細胞1〜3×10個を添加し、Hyclone IIウシ血清を10%、アスコルビン酸2−リン酸塩を最終濃度1mM、EGFを最終濃度10ng/ml、ヒドロコルチゾンを最終濃度0.4μg/ml、umulineを最終濃度0.12IU/ml、isuprelを最終濃度0.4μg/ml、トリヨードサイロニンを最終濃度2.10−9M、アデニンを最終濃度24.3μg/ml、ペニシリンを最終濃度100IU/ml、アンホテリシンBを最終濃度1μg/ml及びゲンタマイシンを最終濃度20μg/ml添加したDMEM−Glutamax/Ham F−12(比率3/1 v/v)培地中で3〜8日間浸漬培養する;
−その後、培養した角質細胞を、ウシ血清、ヒドロコルチゾン、isuprel、トリヨードサイロニン及びumulineを加えないこと以外は上記浸漬培養で用いたものと同じ培地中、12〜18日間気体界面に置く;
−その後、培養した上皮細胞を、ウシ血清の割合を10%から1%に減らす以外は上記浸漬培養で用いたものと同じ培地中で、12〜18日間浸漬培養を続ける。
【0172】
[実施例17]
<間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、再生真皮又は再生歯肉絨毛膜の三次元多細胞モデル>
細胞の発生:実施例3、4、5、6又は7参照
モデルを以下のプロトコールによって調製する:
−正常な人間の皮膚又は歯肉粘膜の繊維芽細胞2×10個を、Hyclone IIウシ血清を10%、アスコルビン酸2−リン酸塩を最終濃度1mM、EGF(表皮成長因子)を最終濃度10ng/ml、ペニシリンを最終濃度100IU/ml、アンホテリシンBを最終濃度1μg/ml及びゲンタマイシンを最終濃度20μg/ml添加したDMEM−Glutamax培地中、ジフェニルホスホリルアジドで架橋したコラーゲンを基盤とするマトリックス培養基上に播種する。培養14日後に、in vitroにおいて発生した樹状細胞1〜3×10個を、結合間質等価物上に播種し、更に14日間培養する。
【0173】
用いたマーカーにより、間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)、マクロファージ(Novocastra社製マクロファージマーカー:クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)及び内皮細胞(V−CAM陽性)の存在が明らかになった。
【0174】
[実施例18]
<ランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、再生皮膚の三次元多細胞モデル>
細胞の発生:実施例4又は6参照
モデルを以下のプロトコールによって調製する:
−正常なヒト皮膚繊維芽細胞2×10個を、Hyclone IIウシ血清を10%、アスコルビン酸2−リン酸塩を最終濃度1mM、EGF(表皮成長因子)を最終濃度10ng/ml、ペニシリンを最終濃度100IU/ml、アンホテリシンBを最終濃度1μg/ml及びゲンタマイシンを最終濃度20μg/ml添加したDMEM−Glutamax培地中、コラーゲン/グリコサミノグリカン/キトサンを基盤とする真皮培養基上に播種して、14日間培養する;
−その後、in vitroにおいて発生した正常なヒト角質細胞2×10個及び樹状細胞1〜3×10個を、Hyclone IIウシ血清を10%、アスコルビン酸2−リン酸塩を最終濃度1mM、EGFを最終濃度10ng/ml、ヒドロコルチゾンを最終濃度0.4μg/ml、umulineを最終濃度0.12IU/ml、isuprelを最終濃度0.4μg/ml、トリヨードサイロニンを最終濃度2.10−9M、アデニンを最終濃度24.3μg/ml、ペニシリンを最終濃度100IU/ml、アンホテリシンBを最終濃度1μg/ml及びゲンタマイシンを最終濃度20μg/ml添加したDMEM−Glutamax/Ham F−12(比率3/1 v/v)培地中、真皮等価物上に播種し、7日間浸漬培養する;
−その後、培養した細胞を、ウシ血清、ヒドロコルチゾン、isuprel、トリヨードサイロニン及びumulineを加えないこと以外は上記浸漬培養で用いたものと同じ培地中、14日間気体界面に置く;
−その後、培養した細胞をTissue−Teck(R)等の無定形の樹脂で覆い、液体窒素中で凍結する;
−厚さ6μmの凍結切片について、抗Langerin、抗DC−SIGN及び抗V−CAMモノクローナル抗体、並びに、Novocastra社製マクロファージマーカー(クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)を用いて免疫組織化学的に調べ、存在する様々な細胞の種類を特定する;
−用いたマーカーにより、表皮中におけるランゲルハンス細胞(Langerin陽性)の存在、並びに、真皮中における間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)、マクロファージ(Novocastra社製マクロファージマーカー:クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)及び内皮細胞(V−CAM陽性)の存在が明らかになった。
【0175】
[実施例19]
<ランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、色素細胞を有する再生皮膚の三次元多細胞モデル>
モデルを、実施例18に記載のプロトコールにより調製し、in vitroにおいて発生した角質細胞及び樹状細胞と共にメラノサイト10000個を播種する。
【0176】
実施例18に記載のマーカーを用いる以外に、メラノサイトを免疫標識(MELAN−A)して、免疫組織化学的に調べる(DOPA反応)。
【0177】
[実施例20]
<間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、再生皮膚の三次元多細胞モデル>
細胞の発生:実施例3、5又は7参照
モデルを、実施例18に記載のプロトコールに従って調製する。
【0178】
用いたマーカーにより、真皮中における間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)、マクロファージ(Novocastra社製マクロファージマーカー:クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)及び内皮細胞(V−CAM陽性)の存在が明らかになった。
【0179】
[実施例21]
<ランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、再生膣粘膜の三次元多細胞モデル>
細胞の発生:実施例4又は6参照
モデルを、以下の変化を加えた実施例18に記載のプロトコールに従って調製する:角質細胞を膣上皮細胞に置き換え、繊維芽細胞は膣粘膜から採取し、全ての培養は浸漬培養として培地中で行う。
【0180】
その後、培養した上皮細胞を、ウシ血清の割合を10%から1%に減らす以外は上記と同じ培地中で、12〜18日間浸漬培養を続ける。
【0181】
用いたマーカーにより、上皮中におけるランゲルハンス細胞(Langerin陽性)の存在、並びに、絨毛膜中における間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)、マクロファージ(Novocastra社製マクロファージマーカー:クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)及び内皮細胞(V−CAM陽性)の存在が明らかになった。
【0182】
[実施例22]
<間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞の集団を含む、再生膣粘膜の三次元多細胞モデル>
細胞の発生:実施例3、5又は7参照
モデルを、以下の変化を加えた実施例18に記載のプロトコールに従って調製する:角質細胞を膣上皮細胞に置き換え、繊維芽細胞は膣粘膜から採取し、全ての培養は浸漬培養として培地中で行う。その後、培養した上皮細胞を、ウシ血清の割合を10%から1%に減らす以外は上記浸漬培養で用いたものと同じ培地中で、12〜18日間浸漬培養を続ける。
【0183】
用いたマーカーにより、絨毛膜中における間質性樹状細胞(DC−SIGN陽性)、マクロファージ(Novocastra社製マクロファージマーカー:クローン3A5モノクローナル抗体NCL−MACRO)及び内皮細胞(V−CAM陽性)の存在が明らかになった。
【0184】
[実施例23]
<実施例16、18、19又は20に記載するモデルのいずれかを使用して、LC/上皮環境の相互作用を調べる>
モデルを調製した後、E−カドヘリンを標識する。
接着分子E−カドヘリンの発現がランゲルハンス細胞及び上皮細胞上に見られることから、このタンパク質を介してランゲルハンス細胞と近隣の上皮細胞が好中球性の相互作用をしている可能性が示される。
【0185】
[実施例24]
<実施例16に記載する再生表皮モデルを使用して、UVB照射の影響を調べる>
様々な環境因子、特にUV照射、より正確には(大抵の場合表皮まで届く)UVB照射の影響を調べるため、以下のプロトコールに従って免疫組織化学に調べることにより、UVB照射後の再生表皮モデル中におけるランゲルハンス細胞の走化性及び表現型を評価した。
【0186】
−培養11日後に、再生表皮に0.5J/cmのUVBを照射し、3日間培養する;
−表皮におけるランゲルハンス細胞の減少を視覚化するため、抗Langerinモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学に調べる;
−再生表皮の表皮部中に残存するランゲルハンス細胞の表現型が変化していることが、抗CD1a、抗CCR6、抗HLA−DR、抗CD80、抗CD83、抗CD86、抗CCR7及び抗DC−LAMPモノクローナル抗体を用いることにより分かる。
【0187】
UVB照射後、予測通り、表皮部中のランゲルハンス細胞の数が50%を超えて減少し、また、例えば、表皮中に残存するランゲルハンス細胞上の副刺激分子CD86の標識強度も減少していることが分かる。
【0188】
[実施例25]
<実施例20に記載する再生皮膚モデルを使用して、UVA照射の影響を調べる>
様々な環境因子、特にUV照射、より正確にはUVA照射が皮膚の真皮に及ぼす影響を調べるため、以下のプロトコールに従って免疫組織化学に調べることにより、UVA照射後の再生皮膚モデル中における間質性樹状細胞の表現型を評価した。
【0189】
−培養32日後に、再生皮膚試料に10J/cmのUVAを照射し、更に3日間培養する;
−抗DC−SIGN、抗凝固因子XIIIa、抗HLA−DR、抗CD80、抗CD83、抗CD86、抗CCR7及び抗DC−LAMPモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学に調べることにより、再生皮膚試料の真皮部中に存在する間質性樹状細胞の表現型の変化が分かる。
【0190】
UVA照射後、例えば、真皮中に存在する間質性樹状細胞上のHLA−DR分子及びCD86分子の標識強度の減少が見られる。
【0191】
[実施例26]
<実施例18、19及び20のいずれかに記載する再生皮膚モデルを使用して、有効成分の影響を受けて分泌されたサイトカインの性質を調べる>
潜在的な感作性又はアレルギー性を評価し、人間の皮膚を対象とする有効成分の炎症性又は抗炎症性活性を評価するため、IL−1、IL−6、IL−8、IL−12、TNFα、INFγ等の炎症性サイトカイン、及び、IL−2、IL−10等の免疫抑制サイトカインの分泌量を、以下のプロトコールによるELISAによって定量した。
【0192】
−培養32日後、培地中にレチノール10Sを最終濃度0.05%となるように7日間添加する;
−サイトカインを2〜3日毎に14日間定量する。
【0193】
レチノール10Sが炎症性サイトカインの刺激を誘発していることが分かる。
【0194】
[実施例27]
<実施例16に記載する再生表皮モデルを使用して、アレルギー反応を調節できる有効成分をスクリーニングする>
アレルギー性ストレス誘導後の有効成分の免疫調整効果を、以下のプロトコールによって調べる:
−培養12日目に、濃度5mMのTNP(2、4、6−トリニトロベンゼンスルホン酸)300μlを、37℃において30分間、ボイデンチェンバーの上室へ添加する;
−この刺激の後、培地を、試験する有効成分を様々な濃度で含んでいてよい新しい培地で置き換え、更に2日間培養を続ける;
−培養14日後、ボイデンチェンバー(孔隙率8〜5μmの膜(MATRIGELTMで覆われていても覆われていなくてもよい))の下室へ遊走したランゲルハンス細胞の数を、光学顕微鏡で計数して定量する;培地を回収して遠心分離し、上清をIL−12(R&D System社)についてのELISA及びタンパク質の分析(BCA)に使用する;結果は、タンパク質1μg当たりのIL−12の量(ng)で示す。
【0195】
走化試験とIL−12合成の結果を合わせると、試験した有効成分の免疫調整作用を明らかにできる。
【0196】
[実施例28]
<実施例18、19及び21のいずれかによって得られる再生皮膚モデル又は再生粘膜モデルを使用して、有効成分の免疫刺激活性や免疫抑制活性を調べ、免疫寛容を評価及び/又は誘発する>
ランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞が有効成分に対して免疫応答及び/又は寛容応答を誘発するか又は誘発しないかを、ランゲルハンス細胞及び/又は間質性樹状細胞の表現型を以下のプロトコールによる三次元培養モデルにおいて免疫組織化学的に調べることによって評価した。
【0197】
−培養32日目に有効成分を濃度を変えて培地中に添加し、7日間培養する;
−細胞の表現型を、様々な抗体を用いて免疫組織化学的に調べる(実施例18及び24参照)。
【0198】
[実施例29]
<実施例10によって得られる主として間質性樹状細胞を含む懸濁モデルを使用して、有効成分の免疫刺激活性や免疫抑制活性を調べ、免疫寛容を評価及び/又は誘発する>
以下のプロトコールによって調べる:
−TNPで刺激した後、試験する有効成分を様々な濃度で含んでいてよい培地中で細胞を48時間培養する;培養終了後、間質性樹状細胞の表現型を、抗CD1a、抗CCR6、抗HLA−DR、抗CD80、抗CD83、抗CD86、抗CCR7及び抗DC−LAMPモノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーにより調べる。
【0199】
細胞の表現型によって、試験した有効成分の免疫調整効果を調べることができる。
【0200】
[実施例30]
<実施例21又は22に記載する再生粘膜モデルのいずれかを使用して、HIVによる感染を調べる>
以下のプロトコールによって調べる:
針を用いて35日間培養した再生粘膜中に、ウィルス懸濁液(濃度55ng(p24)/10の単細胞栄養(monocytotrophic)株HIV−1BaL)を直接注射したり置いたりすることによって感染させる。37℃において1晩培養後、培地で4回洗浄する。1週間培養を続けて、以下のように調べる:
−感染した再生粘膜の培養上清中のタンパク質p24の産生をELISAで測定することにより、ウィルスの複製を定量する(コールター/Immunotech社);
−DCの感染を、感染した再生粘膜の組織切片についてのin situ PCRによって監視する。gag遺伝子の特異的プライマーとしてSK38とSK39を用い、ジゴキシゲニン標識又は非標識dNTPの存在下で行う。PCR条件は、94℃において変性させ、95℃、55℃、72℃のサイクルを20回行う。PCRを行った後、アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体と共に切片をインキュベートする。その後、その切片をメチルグリーンで染色する。
−in situ PCRの結果、感染した細胞が表皮中(ランゲルハンス細胞)及び真皮中(間質性樹状細胞)に存在することが分かる。
−このモデルは、ウィルスの感染、複製及び伝染の機構を調べ、(ワクチン、薬等を含む)治療法を研究し開発するためのツールとして使用することができる。
【0201】
[実施例31]
<無血清培地を用いた樹状細胞の懸濁液の調製−治療への適用>
CD14陽性培養は実施例2、3、4、5、6、7及び8と同様に行うが、ウシ胎児血清を10%添加したRPMI1640培地は、STEMBIO社製の特定の無血清培地に置き換える(StembioA:Sb A 100参照)。
【0202】
その後、樹状細胞は、感作の標的として、かつ、細胞免疫療法における治療ツール(抗原提示細胞)として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)結合間質中に、間質性樹状細胞、及び任意でマクロファージ及び内皮細胞、又は、
(ii)上皮内にランゲルハンス細胞、
のいずれかを含む再生皮膚又は再生粘膜である
三次元多細胞モデル。
【請求項2】
(i)結合間質中に、間質性樹状細胞、及び任意でマクロファージ及び内皮細胞、及び、
(ii)上皮内にランゲルハンス細胞、
の両方を含む再生皮膚又は再生粘膜である
三次元多細胞モデル。
【請求項3】
−繊維芽細胞を含む、コラーゲンを基盤とするゲル
−1種以上のグリコサミノグリカン類又はキトサンを含んでいてよいコラーゲンから作られる多孔性マトリックスであって、繊維芽細胞を組み込むことができる多孔性マトリックス
−ヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン若しくは繊維素のゲル又は膜
−真皮層から構成される真皮等価物
−表皮を剥がした死んだ真皮
−合成半透膜、ニトロセルロース半透膜、ナイロン半透膜、テフロン(R)膜若しくはテフロン(R)スポンジ、ポリカーボネート若しくはポリエチレン若しくはポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)の半透膜、Anopore無機半透膜、酢酸セルロース若しくはセルロースエステル(HATF)の膜、Biopore−CM半透膜、ポリエステル半透膜、ポリグリコール酸の膜若しくは薄膜からなる群より選択される不活性な担体であって、繊維芽細胞を組み込むことができる不活性な担体
から選択される担体を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項4】
ランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、ランゲルハンス細胞/間質性樹状細胞の混合物、ランゲルハンス細胞/間質性樹状細胞/内皮細胞/マクロファージの混合物、及び、間質性樹状細胞/内皮細胞/マクロファージの混合物からなる群から選択されるいずれか一つを含む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項5】
構造を与える細胞、その他の細胞種、免疫防御を与える細胞、及び血管新生を与える細胞を含み、
三次元モデルにおいて構造を与える細胞が繊維芽細胞又は角質細胞であり、
その他の細胞種がTリンパ球、神経細胞、色素細胞又は脂肪細胞であり、
免疫防御を与える細胞がランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞又はマクロファージであり、血管新生を与える細胞が内皮細胞である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項6】
使用する三次元培養モデルは、神経細胞、内皮細胞、メラノサイト、リンパ細胞、脂肪細胞及び頭髪、その他の体毛及び皮脂腺等の皮膚付属器からなる群から選択される相補的な細胞種の少なくとも1種をその中に組み込んだモデルからなる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項7】
有効成分を研究又は選択するためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項8】
有効成分の免疫刺激活性や免疫抑制活性を研究したり、前記有効成分による免疫寛容を評価したり誘発したりするためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項9】
上皮関門の生理病理学;皮膚又は粘膜の刺激;ウィルス、レトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子による攻撃;光毒性;光防御;化粧品や医薬品の有効成分の効果;及び、化粧品や医薬品の最終製品の効果を研究するための、並びに、病原体による感染機構を研究するためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項10】
病原体、ウィルス、レトロウィルス、細菌、カビ、微生物及び抗原粒子の存在を検出するためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項11】
医療的、生物医学的又は化粧的用途のために、免疫応答や寛容応答をin vitro又はin vivoにおいて調整するためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項12】
組織工学又は細胞工学的の用途のためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項13】
医療的又は生物医学的用途のためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項14】
免疫応答を刺激できるDCの注入といった抗癌性細胞療法;免疫寛容状態をつくることによる自己免疫疾患における細胞療法;免疫系に影響を及ぼす疾病の遺伝子治療;並びに、ワクチンの開発及び生産のためのものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項15】
末梢循環血液から分離したCD14陽性単球から、サイトカインGM−CSF、TGFβ及びIL−13を含む培地中で培養することによって行う分化によって得られる少なくとも1種のランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の混合集団に由来する、
(i)ランゲルハンス細胞、
(ii)間質性樹状細胞、又は
(iii)ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞、
のいずれかを含み、皮膚モデル、粘膜モデル、真皮モデル、絨毛膜モデル、表皮モデル又は上皮モデルであることを特徴とする、三次元多細胞再生組織。
【請求項16】
ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞は、調整した(preconditioned)未分化の細胞、分化した未熟細胞、成熟細胞又は相互連結細胞である
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項17】
分化の結果、マクロファージ型の細胞及び/又は内皮型の細胞等の、調整した(preconditioned)未分化の細胞又は分化した細胞の亜集団が更に少なくとも1種得られる
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項18】
ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の集団の配分は、サイトカインIL−13が存在することによって決まる
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項19】
培養は、ランゲルハンス細胞への分化に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で最長2日間行う
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項20】
培養は、間質性樹状細胞の形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で6日間行う
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項21】
培養は、ランゲルハンス細胞/間質性樹状細胞の2種からなる集団の形成に有利であるように、サイトカインIL−13の存在下で4日間行う
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項22】
ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞を更に分化させるためには、サイトカインTNFαの存在下で培養を行えばよい
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項23】
TNFαの存在下における培養を、18時間未満の間行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟するのを避けながら、未熟なランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞を分化させる
ことを特徴とする請求項22に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項24】
TNFαの存在下における培養を、20時間を超えて行うことにより、活性化した成熟樹状細胞に成熟させる
ことを特徴とする請求項22に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項25】
サイトカインGM−CSFの濃度は0.1〜4000IU/mlであり、かつサイトカインTGFβの濃度は0.01〜400ng/mlである
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項26】
サイトカインIL−13の濃度は、0.01〜400ng/mlである
ことを特徴とする請求項18に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項27】
サイトカインTNFαの濃度は、0.1〜4000IU/mlである
ことを特徴とする請求項22に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項28】
CD14陽性単球の抽出は新鮮な血液から行われ、すなわち、個体から血液を採取して24時間以内に実施される
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項29】
CD14陽性単球の抽出は新鮮な血液から行われ、すなわち、個体から血液を採取した直後、又は5時間以内に実施される
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項30】
発生したランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞は生体内で見つかったものと同一の機能の表現型を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項31】
前記ランゲルハンス細胞及び間質性樹状細胞の培養が、(i)上皮細胞、(ii)間質細胞、又は(iii)上皮細胞及び間質細胞のいずれかを含む三次元の培養モデルにおいて得られる
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項32】
上皮細胞及び間質細胞が明確に分離される場合、ランゲルハンス細胞は上皮細胞の領域に位置し、間質性樹状細胞は間質細胞の領域に位置する
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項33】
内皮細胞及びマクロファージは、三次元の条件に置かれた場合に、培養に由来する特定の細胞からの分化によって得られる
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項34】
完全な皮膚モデル又は粘膜モデルの中に組み込んだ時、繊維芽細胞及び上皮細胞からなる細胞の環境、並びに、間質の環境に基づいて、上皮内に位置してランゲルハンス細胞に分化したり、結合間質中に位置して間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞に分化したりでき、かつ、生体内のランゲルハンス細胞、間質性樹状細胞、マクロファージ及び内皮細胞と匹敵する機能を獲得できるような調整した(preconditioned)未分化の細胞が得られる
ことを特徴とする請求項15に記載の三次元多細胞再生組織。
【請求項35】
CD14陽性単球の分化が:
a)あらかじめ集めたCD14陽性単球を末梢循環血液から抽出すること、及び、
b)分離したCD14陽性単球を、GM−CSF、TGFβ及びIL−13を含む培地中で培養して、ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞の2種からなる集団を取得すること
を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項36】
ランゲルハンス細胞と間質性樹状細胞が三次元の培養モデルで培養される
ことを特徴とする請求項35に記載の三次元多細胞モデル。
【請求項37】
角質細胞が表面に播種されている
ことを特徴とする請求項36に記載の三次元多細胞モデル。

【公開番号】特開2009−159987(P2009−159987A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98971(P2009−98971)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【分割の表示】特願2003−551293(P2003−551293)の分割
【原出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願人】(500226948)ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【出願人】(501081362)アンスティテュ ナシオナル ド ラ サンテ エ ド ラ ルシェルシュ メディカル (3)
【Fターム(参考)】