説明

p38キナーゼ阻害剤としてのアザインドール系誘導体

【課題】 p38キナーゼ、好ましくはp38−αの阻害剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】 アザインドール(但し、該アザインドールがピペリジン又はピペラジン型のリンカーを介して、もう一つの環状成分と結合する)である化合物、又は、その使用。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2002年10月9日に出願された米国仮特許出願第60/417,599号に基づく優先権を主張する。この米国仮出願は引用を以って本書に繰り込みここに記載されたものとみなす。
【技術分野】
【0002】
本発明は、キナーゼp38の亢進した活性と関連する種々の疾患の治療に関する。より具体的には、これらの方法において有用なものとして、ピペラジン系又はピペリジン系成分を介してアリール基と結合したアザインドールに関連した化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
極めて多くの慢性及び急性の疾患状態が、炎症反応の撹乱と関連することが認識されている。極めて多様なサイトカイン、例えば、IL−1、IL−6、IL−8及びTNFがこの反応に関与する。炎症の調節におけるこれらサイトカインの活性は、細胞情報伝達経路に関する酵素、即ち一般的にはp38として或いは別名CSBP及びRKとして知られているMAPキナーゼファミリーのメンバーの活性に少なくとも部分的に依存しているものと思われる。このキナーゼは、生理化学的ストレス、リポ多糖による処理又はIL−1及びTNFのような炎症誘発性サイトカインの処理による刺激後の二重(dual)リン酸化によって活性化される。従って、p38のキナーゼ活性の阻害剤は、有用な抗炎症剤であるといえる。
【0004】
国際特許出願(PCT出願)WO98/06715、WO98/07425及びWO96/40143は、種々の疾患状態とp38キナーゼ阻害剤との関係について記載している。これら国際特許出願は引用を以って本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。これらの出願において言及されているように、p38キナーゼの阻害剤は、慢性炎症と関連する種々の疾患の治療に有用である。これらの出願は、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形関節炎、通風性関節炎、その他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒物ショック症候群、喘息、成人呼吸窮迫症候群、脳卒中、再灌流損傷、神経性外傷及び虚血のような中枢神経系損傷、乾癬、再狭窄、脳性マラリア、慢性肺炎症性疾患、慢性閉塞性肺疾患、膵嚢胞性繊維症、珪肺症、肺サルコーシス(sarcosis)、骨折治癒(bone fracture healing)、骨粗鬆症のような骨吸収疾患、軟組織損傷、移植片対宿主反応、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)を含む潰瘍性大腸炎及び発熱(pyresis)を列記している。
【0005】
上記で参照したPCT出願は、上記疾患状態の治療に有用であると言及されたp38キナーゼ阻害剤である複数の化合物を開示している。これらの化合物は、イミダゾールであるか、又は、カルボキサミド結合によって結合されるピペラジン環によって3位若しくは4位において置換を受けたインドールである。ピペラジンとインドールとの共役化合物は他にもあり、それら化合物はWO97/26252に殺虫剤として記載されている。この国際特許出願も引用を以って本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
【0006】
p38−αキナーゼを阻害するアロイル/フェニル置換ピペラジン及びピペリジンが、2000年3月9日に公開されたPCT公報WO00/12074に幾つか記載されている。更に、当該酵素を阻害するインドリル置換ピペリジン及びピペラジンが1999年12月2日に公開されたPCT公報WO99/61426に記載されている。p38−α阻害剤としてのピペリジン及びピペラジンのカルボレン誘導体が2000年10月12日に公開されたPCT公報WO00/59904に記載されている。同様の化合物における別の置換について、2000年11月30日に公開されたPCT公報WO00/71535に記載されている。これらの公開文書の内容は引用を以って本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、亢進したp38活性によって特徴付けられる疾患状態の治療に有用な方法及び化合物を提供する。これらの状態には、後述するような炎症、増殖性疾患及びある種の循環器障害並びにアルツハイマー病等が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化合物は、p38キナーゼ特にαアイソフォームを阻害することが見出され、従ってこれらキナーゼの活性によって仲介される疾患の治療に有用である。本発明の化合物は、式
【0009】
【化1】

で表されるもの、及び、それらの医薬的に許容しうる塩、又はそれらの医薬組成物であり、但し、

は単結合又は二重結合を表し;
各Zは互いに独立してCR又はC(R)であるが、ここで各々のR
互いに独立して水素原子又は非妨害性置換基であり;
は、NR、酸素原子、又は硫黄原子であり;
は水素原子又は非妨害性置換基であり;
及びZの各々は、独立して窒素原子又はCRであるが、ここでRは上記のように規定され、ここで少なくともZ及びZのうち一つは窒素原子であり;
各Rは互いに独立して非妨害性置換基であり;
nは0−3であり;
及びLの各々はリンカーであり;
各Rは独立して非妨害性置換基であり;
mは0−4であり;
はCR又は窒素原子であるが、ここでRは水素原子又は非妨害性置換基であり;
l及びkの各々は、0−2の整数であるが、但しlとkの和は0−3であり;
Aは、0−5の非妨害性置換基で置換された環状基であるが、但し、二つの当該非妨害性置換基は融合環を形成していてもよく;及び
と結合したAの原子とα環の中心との距離は、好ましくは4.5−24Åである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
式(1)の化合物は、p38キナーゼ特にαアイソフォームの過剰活性によって特徴付けられる状態の治療に有効である。「亢進したp38活性によって特徴付けられる」状態には、当該酵素量が増加して存在する状態又は当該酵素がその本来の活性が増加するように修飾された状態又は前二者が同時に生じた状態が含まれる。従って、「亢進した活性」は、その原因に関わらず、当該タンパク質の有効性が不所望に大きい任意の状態をいう。
【0011】
本発明の化合物は、p38キナーゼが亢進した活性を示す状態において有用である。こうしたp38キナーゼが亢進した活性を示す状態においては、線維症及び器官硬化症が、炎症、酸化傷害、低酸素、変動した温度若しくは浸透圧濃度、又は、細胞ストレス、アポトーシス若しくはネクローシスを引き起こす状態、によって、惹起されるか若しくは付随する。これらの状態には、虚血−再灌流傷害、鬱血性心不全、進行性肺及び気管支繊維症、肝炎、関節炎、炎症性腸疾患、糸球体硬化症、間質性腎線維症、眼、膀胱及び生殖系の慢性瘢痕疾患、骨髄異形成症、慢性感染性又は自己免疫性状態、及び外傷性又は手術起因性創傷が含まれる。これらの状態は、p38を阻害する化合物によって治癒され得ることはもちろんである。更に、本発明の化合物による治療方法は、後述のとおりである。
【0012】
[本発明の化合物]
本発明において有用な化合物は、アザインドール系誘導体である。
【0013】
上記の説明中で、分子の所定の位置が「非妨害性置換基」を許容すると記載してある。当該位置における置換が、一般的に、全体として呈する当該分子の本質的な活性に重要ではないため、この術語を使用した。当該位置においては極めて多様な置換基を適用することができ、また、特定の任意な置換基が「非妨害性」であるか否かを決定することは、当業者であれば容易に実行できる。
【0014】
本書において、「非妨害性置換基」とは、p38活性を阻害する式(1)の化合物の能力を質的に損なわない状態に維持する置換基をいうものとする。従って、この置換基は、p38に対する阻害の程度を変化させることもあり得る。しかしながら、式(1)の化合物がp38活性を阻害する能力を維持する限り、該置換基は「非妨害性」であると分類される。任意の化合物のp38活性を阻害する能力を判別するためのアッセイは多々存在し、当業者であれば容易に利用できる。この評価のための全血アッセイを以下に説明する:p38の遺伝子をクローン化し、タンパク質を組換え的に調製し、その活性を評価することができ、それには、任意に選択された化合物の当該活性を妨害する能力の評価も含まれる。分子の本質的特徴が厳格に規定される。「非妨害性置換基」によって占有される位置は、当業者に知られている通常の有機成分によって置換することも可能である。そのような置換基の外側の限界を調べることは本発明には関係が無い。本化合物の本質的特徴は、本書に詳細に示されるとおりである。
【0015】
更に、L及びLは、本書において、分子の部分間に距離を付与するリンカーとして記載している。典型的なリンカーは、置換された又は置換されていないアルキレン、即ち(CH)、ここでの「n」の使用は、一般的には、「n度(nth degree)」又は「CHがn個存在する(where CH occurs n times)」における、数に対する包括的な指定であり、アルケニレン、即ち二重結合を含むアルキルレン成分(一方の末端に二重結合を有するものを含む)、及び、アルキニレン、即ち三重結合を含むアルキレン成分である。他の適当なリンカーは、例えば、置換されたアルケニレン若しくはアルケニレン、及び、カルボニル若しくはスルホニル成分、などを含む。
【0016】
本書において、「ハイドロカルビル(hydrocarbyl)残基」とは、炭素及び水素のみを含有する残基をいうものとする。この残基は、脂肪族又は芳香族、直鎖状、環状、分枝状、飽和又は不飽和の何れであってもよい。しかしながら、ハイドロカルビル残基は、そのように指称される場合、置換残基の構成要素として炭素及び水素の他にヘテロ原子を含有することもある。従って、そのようなヘテロ原子を含有すると特に言及された場合、ハイドロカルビル残基は、カルボニル基、アミノ基、水酸基等を含有し得、又はハイドロカルビル残基の「骨格」の内部に(「骨格」の一部として)ヘテロ原子を含有し得る。
【0017】
本書において、「無機残基」とは、炭素を含有しない残基をいうものとする。例えば、ハロ、ヒドロキシ、NO又はNHが該当するが、これらに限定されない。
【0018】
本書において、術語「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」には、直鎖状、分枝状及び環状の一価の置換基が含まれる。例えば、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、3−ブチニル等が該当する。典型的には、アルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、1−10C(アルキル)又は2−10C(アルケニル又はアルキニル)を含有する。好ましくは、1−6C(アルキル)又は2−6C(アルケニル又はアルキニル)を含有する。ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルも同様に定義されるが、骨格残基内部に1−2個のへテロ原子O、S若しくはN又はそれらの任意の組合せを含有し得る。
【0019】
本書において「アシル」は、カルボニル基を介して更なる他の残基と結合されたアルキル、アルケニル、アルキニル及びそれらの関連するヘテロ型の定義を含めて使用する。
【0020】
「芳香族」成分とは、フェニル又はナフチルのような単環又は融合二環成分をいうが、また「複素芳香族」とは、O、S及びNから選択される1又は2以上のヘテロ原子を含有する単環又は融合二環系をいうものとする。ヘテロ原子の包含は、5員環及び6員環の包含を許容する。従って、典型的な芳香族系には、ピリジル、ピリミジル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル等が含まれる。環系全体に亘る電子分布の観点において芳香族の性質を有する任意の単環又は融合二環系は、この定義に含まれる。典型的には、該環系は、5−12環員原子を含有する。
【0021】
同様に、「アリールアルキル」及び「ヘテロアルキル」とは、炭素鎖(置換又は非置換型、飽和又は不飽和型の炭素鎖、典型的には1−6C)を介して他の残基と結合した芳香族及びヘテロ芳香族系をいうものとする。これらの炭素鎖は、カルボニル基を含んでもよく、その場合にはアシル成分としてのそれらの置換基を提供することができる。
【0022】
式(1)の化合物が1又は2以上のキラル中心を有する場合、本発明は、光学的に純粋な型、及び立体異性体又は鏡像異性体の混合型を含む。
【0023】
と結合したA(原文はArだがAの間違い)の原子とα環との間の化合物部分に関して、L及びLはリンカーであり、そのリンカーによって環αから置換基A(原文はArだがAの間違い)までの距離が、好ましくは4.5から24Åの範囲に、好ましくは24Å以下に、より好ましくは20Å以下に、更により好ましくは15Å以下となる。この間隔は、α環の中心と、リンカーLが結合するA(原文はArだがAの間違い)の原子との間で測定される。典型的には、勿論限定されるべきではないが、L及びLの或る実施形態はCO及びそのアイソスター(同配体)であるが、そのアイソスターは、次に、オキシム、オキシムエーテル、オキシムエステル、若しくはケタール、又は、任意的に置換されたアイソスター、又は、より長い鎖状型に、変換されてもよい。Lは特に非妨害性置換基で任意的に置換されたアルキレン若しくはアルケニレンでもよく、或いは、L若しくはLは、窒素、硫黄若しくは酸素のようなヘテロ原子であるか、又はヘテロ原子を含んでいてもよい。このような置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリールアルキル、NH-アロイル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi、及びNOから成る群より選択される成分を含むがこれに限定されない、但し、各Rは独立して、H、アルキル、アルケニル若しくはアリールそれらのヘテロ型であり、ここで、二つの置換基が結合して、カルボニル成分、又は当該カルボニル成分のオキシム、オキシムエーテル、オキシムエステル、若しくはケタールを形成してもよい。
【0024】
CO及びCHのアイソスターは、SO、SO、又はCHOHを含む。CO及びCHが好ましい。
【0025】
Aは、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリール、環状脂肪族、及び環状へテロ脂肪族を含む環状成分である。Aは、例えば、シクロヘキシル、ピペラジニル、ベンゾイミダゾリル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジル、フェニル、ナフチル等でもよい。Aは好ましくは、置換された若しくは置換されていないアリール若しくはヘテロアリールであり、より好ましくは任意的に置換されたフェニルである。
【0026】
Aにおける各置換基は、独立して、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される0−5のヘテロ原子を含むハイドロカルビル残基(1−20C)であるか、又は、無機残基である。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、アリールアシル、ヘテロアリールアシル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi、及びNOから成る群から選択されるものが含まれる。但し、各Rは独立して、H、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型であり、隣接する位置にある当該任意的な置換基の二つは結合して、任意的に置換される芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の、融合3−8員環を形成していてもよい。より好ましい置換基はハロ、アルキル(1−4C)を含み、更により好ましくはフルオロ、クロロ及びメチルを含む。これらの置換基は、A環の全ての有効な位置を占めてもよいが、好ましくは2置換、より好ましくは1置換である。これらの置換基は、列挙されたものと同様の置換基によって任意的に置換されてもよい。勿論、当業者に知られているように、ハロのような幾つかの置換基は更に置換されることは無い。
【0027】
Aにおける二つの置換基は結合して、任意的に置換された芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の、3−8員の融合環を形成してもよい。
【0028】
とLの間には、以下の式で表されるピペリジン又はピペラジン型の成分が介在する。
【0029】
【化2】

【0030】
は窒素原子又はCRであるが、但し、RはH又は非妨害性置換基である。l及びkの各々は、0−2の整数であるが、但し、lとkの和は0−3である。非妨害性置換基Rは、ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリール、アシル、カルボキシ、又はヒドロキシを含むが、これらに限定されない。好ましくは、RはH、アルキル、OR、NR、SR又はハロであるが、但しRはH又はアルキルである。更に、RはR置換基と結合して、任意的に置換された非芳香族の、飽和若しくは非飽和の、3−8員で酸素原子、窒素原子及び/又はSのような0−3のヘテロ原子を含むハイドロカルビル環を形成してもよい。好ましい態様には、ZがCH若しくは窒素原子、及びlとkの双方が1である化合物を含む。
【0031】
は、酸素原子、硫黄原子及びNから選択される0−5のヘテロ原子を含むハイドロカルビル残基(1−20C)のような非妨害性置換基を表す。好ましくは、Rは、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、RCO、アシル、ハロ、CN、OR、NRCOR、又はNRであるが、但し、RはH、アルキル(好ましくは1−4C)、アリール、又はそれらのヘテロ型である。各々の適当な置換基は、それ自体、置換されていないか又は1−3の置換基で置換されている。置換基は好ましくは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi、及びNOを含む群(但し各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型である)から選択され、並びに、隣接した位置にある二つのRは結合して、任意的に置換された芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の、3−8員の融合環を形成してもよく、或いは、Rは=O又はそれらのオキシム、オキシムエーテル、オキシムエステル、若しくはケタールである。Rが環上にm個存在していてもよい;mは0−4の整数である。Rの好ましい態様には、アルキル(1−4C)、直鎖又は分枝、特に、更に置換されてもよい二つのアルキル置換基が、含まれる。最も好ましくは、ピペリジニル又はピペラジニル環の2位と5位、又は3位と6位において、二つのメチル基を含む。置換型は鏡像異性(chiral)であってもよく、単離された鏡像異性体(enantiomer)が好ましい。
【0032】
も、また非妨害性置換基を表す。この置換基には、酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子から選択される0−2のヘテロ原子を含有するハイドロカルビル残基(1−6C)、並びに、無機残基を含む。nは0−3までの整数、好ましくは0又は1である。好ましくはRによって表される置換基は、独立して、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、OCOR、OR、NRCOR、SR、及びNRであり、ここでRはH、アルキル、アリール又はそれらのヘテロ型である。より好ましくは、R置換基は、アルキル、アルコキシ又はハロから選択され、最も好ましくはメトキシ、メチル及びクロロから選択される。最も好ましくは、nは0でLを除いてα環が置換されておらず、又は、nが1でRがハロ又はアルコキシ好ましくはメトキシである。
【0033】
の好ましい態様は、H、任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アリールアシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアシルを含み、又は、SOR、SOR、RCO、COOR、アルキル-COR、SOR、CONR、SONR、CN、CF、NR、OR、アルキル-SR、アルキル-SOR、アルキル-SOR、アルキル-OCOR、アルキル-COOR、アルキル-CN、アルキル-CONR、若しくはRSiであるが、ここで各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型である。より好ましくは、Rは水素原子又はアルキル(1−4C)、好ましくはメチル又はアシル(1−4C)又はCOOR(但し、RはH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型)である。Rは、また、好ましくは、置換されたアルキルであるが、但し、好ましい置換基はエーテル結合を形成しているか、又は、スルフィン酸若しくはスルホン酸成分を含む。他の好ましい置換基には、スルフヒドリルで置換されたアルキル置換基を含む。更に他の好ましい置換基は、CONRを含む、但し、Rは上記のように定義される。
【0034】
好ましくは、点線は二重結合を表す;しかしながら、飽和β環を含む化合物も本発明の範囲に入る。
【0035】
好ましいRの態様は、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi及びNOを含み(但し、各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型である)、そして、Rの二つが結合して、任意的に置換された非芳香族の、飽和若しくは非飽和の、3−8員の融合環を形成してもよい。最も好ましくは、RはH、メチルのようなアルキルで、最も好ましくは、β環(原文αだがβの間違い)は二重結合を含み、CRはCH又はC-アルキルである。他の好ましいRの型は、H、アルキル、アシル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ハロ、OR、NR、SR、NRCOR、アルキル-OOR、RCO、COOR、及びCNを含む、但し、各Rは独立してH、アルキル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型である。
【0036】
特に好ましい態様の単一のRは−W-COXYであるが、ここでYはCOR又はそれらのアイソスターであり、Rは水素原子又は非妨害性置換基であり、WとXの各々は2−6Åのスペーサーであり、iとjの各々は独立して0又は1である。WとXの各々はスペーサーであり、そして、例えば、任意的に置換されたアルキル、アルケニル,又はアルキニルであり、iとjの各々は0又は1でもよい。好ましくはW及びXは置換されていない。好ましくは、二つのカルボニル基が互いに隣接するように、jは0である。好ましくは、また、近位のCOが環に隣接するように、iは0である。しかし、近位のCOが環から距離のある化合物は、最初にグリオキサール置換されたβ環の選択的還元によって、容易に調製できる。本発明の最も好ましい態様としては、点線が二重結合、その3位のCRは、RがWCOXY、好ましくはCOCOR、そして、2位のCRがCHである。
【0037】
によって表される非妨害性置換基は、RがH以外の場合、O、S及び/又はNから選択される0〜5個のヘテロ原子を含有するハイドロカルビル残基(1−20C)であるか、又は無機残基である。好ましい態様としては、RはH、又は、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール若しくはヘテロアリールアルキルであり、各々はハロ、アルキル、ヘテロアルキル、SR、OR、NR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRSOR、NRSONR、OCONR、CONR、若しくはRSiで任意的に置換され(但し、各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ原子含有型である)、或いは、RはOR、NR、SR、NRCONR、OCONR、又はNRSONRである〔但し、各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ原子含有型であり、そして、同じ原子に結合した二つのRは3−8員環を形成してもよく、該環は更に、ハロ、SR、OR、NR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRSOR、NRSONR、OCONR、若しくはRSiで任意的に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルによって、置換されてもよい(但し、各Rは独立してH、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ原子含有型であり、そして、同じ原子に結合した二つのRは3−8員環を形成してもよく、上述のように任意的に置換される)〕。
【0038】
他の好ましい態様のRはH、ヘテロアリールアルキル、-NR、ヘテロアリール、-COOR、-NHRNR、ヘテロアリール-COOR、ヘテロアリールオキシ、-OR、ヘテロアリール-NR、-NROR及びアルキルである。最も好ましいRは、イソプロピルピペラジニル、メチルピペラジニル、ジメチルアミン、ピペラジニル、イソブチルカルボキシレート、オキシカルボニルエチル、ベンゾイミダゾリル、アミノエチルジメチルアミン、イソブチルカルボキシレートピペラジニル、オキシピペラジニル、エチルカルボキシレートピペラジニル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、メチル、アミン、アミノエチルピロリジニル、アミノプロパンジオール、ピペリジニル、ピロリジニル-ピペリジニル、又は、メチルピペリジニルであるが、但し、列挙された各環は任意に置換されてもよい。
【0039】
Yによって表すCORのアイソスターを、以下に定義する。
【0040】
前記アイソスターは異なる親油性を有しており、亢進した代謝安定性に寄与しているかもしれない。そのため、Yは、表1で示すようなアイソスターで置き換えてもよい。
【0041】
【化3】

【0042】
【表1】

【0043】
従って、アイソスターは、テトラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール及びイミダゾールを含む。
【0044】
式(1)の化合物は、塩酸、硫酸、臭化水素酸、又はリン酸のような無機酸の塩又は酢酸、酒石酸、琥珀酸、安息香酸、サリチル酸等のような有機酸の塩を含む当該化合物の医薬的に許容しうる酸付加塩(acid-addition salts)の形態で提供されてもよい。式(1)の化合物中にカルボキシル成分が存在する場合、該化合物は、医薬的に許容しうるカチオンを有する塩として提供されてもよい。
【0045】
[本発明の化合物の合成]
本発明の化合物は当業者に知られた方法で合成してもよい。以下は、反応スキームについての説明図である。
【0046】
【化4】

【0047】
2,6-ジフルオロピリジンをTHF中にて-78℃でリチウムジイソプロピルアミドのような塩基で処理してから乾燥CO流中を通過させることにより、カルボン酸に変換できる。カルボン酸を、TBTU若しくはEDCIのような一般的なカップリング用試薬並びに適切に置換されたアミンで処理することにより、アミドに変換できる。をエタノール、メタノール又はイソプロパノールのようなアルコール溶媒に溶解し、すぐにアンモニアガスを溶液に通過させる。溶液を密封し、完全にに変換するまで加熱する。所望のアルコール溶媒中でをK-OBuで処理することにより化合物が得られる。DMF中でをヨウ素及び過ヨウ素酸ナトリウムと加熱することによりが得られる。THF及びピリジン中のの溶液に塩化アセチルを添加すると、が得られる。を、Pd(PPh)Cl、CuI、及びアミン塩基の存在下でトリメチルシリルアセチレンで処置することによりトリメチルシリルアセチレン基を導入する。及びテトラブチルアンモニウムフルオライドの溶液を還流させることによりへと環化させる。この時点でKOH又はLiHMDSのような塩基で処理することによりが機能させられ、次いで適切な求電子試薬の添加によりが得られる。それからDCM、DCE又はクロロホルム中でを塩化オキサリルで処理する。そして得られた中間体に所望の求核試薬を添加することによりが得られる。は同様の方法によりに変換される。
【0048】
【化5】

【0049】
「N-アミノ化の改良試薬(Improved Reagents for N-Amination)」と題する2002年7月11日に出願された米国仮特許出願第60/395,693号、及び1982年のTetrahedron Lett., vol. 23, No. 37, ページ3835-3836 において記述されているように(これらは引用を以って本書に繰り込みここに記載されたものとみなす)、インドール窒素(indole nitrogen)をN-アミノ化試薬によりアミノ化でき、化合物AをN-アミノ化試薬と反応させる事によりインドールN-置換化合物Bが得られる。
【0050】
実施例のN-アミノ化試薬はRONHである。但し、Rは、モノ若しくはジ−ニトロ基;ジアリールホスフィニル;又は置換されたスルホニル基のような電子吸引性の基で適切に置換された芳香族である。実施例は、(Ar)ONH、(ArPO)ONH2、及び(ROSO)ONHを含むが、これらに限定されない。
【0051】
【化6】

【0052】
6-アルコキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸アミドを調製する代替法(alternate method)をスキーム3で示す。DMF中のをヨウ素及び過ヨウ素酸ナトリウムと共に加熱するとが得られる。これをPd(PPh)Cl、CuI、及びアミンベーストリメチルシリルアセチレンとカップリングさせるとが得られる。THF及びピリジン中の溶液に塩化アセチルを添加するとが得られる。THF中のテトラブチルアンモニウムフルオライドの存在下で還流しながらDを加熱すると環化が生じ、が得られる。を水溶性塩基で処理することにより、対応するカルボン酸に変換できる。TBTU又はEDCIのようなカップリング試薬を用いた標準的な条件下でを置換されたアミンとカップリングさせると、のような化合物が得られる。
【0053】
【化7】

【0054】
多種類の6-アミノ-2-アルコキシ-ニコチン酸エステルを、2,6-ジクロロニコチン酸から調製できる;まず、触媒作用の量の酸(塩酸又は硫酸など)と適切なアルコール中で加熱することによりエステルAに変換される。Aをジクロロメタン中のナトリウムアルコキシドと処理することにより、化合物Bを調製できる。N-メチルピロリジノンのような極性(polar)を有する非プロトン溶媒中でアミン基の存在下、B及び4-メトキシベンジルアミンを加熱することにより、化合物Cが得られる。Cは、温めたTFA中で脱保護(deprotection)が完了するまで加熱することにより、Dに変換される。
【0055】
【化8】

【0056】
別の方法としては、高温にてN-メチルピロリジノン中のジベンジルアミン及びアミン基で2,6-ジクロロ-3-トリフルロメチルピリジンを処理する事により、化合物Aが得られる。DMF中のA及び適切なナトリウムアルコキシドを加熱することにより、化合物Bが得られる。水素の圧力(pressure)下で炭素上の水酸化パラジウムと湿メタノール中の化合物Bの溶液を処理して、ジフェニル保護基の除去を促進するとCが得られる。ナトリウムメトキシドの存在下にてメタノール中でCを加熱することによりDに変換できる。適切なアルコール溶媒中で希釈した塩酸でDを処理する事により、エステルEが得られる。
【0057】
[p38αキナーゼ阻害のアッセイ]
後述するアッセイ方法の何れにおいても、TNF−αの産生はp38αキナーゼの活性と関連している。
【0058】
[A.p38キナーゼ阻害のためのヒト全血アッセイ]
ボランティアの男性健常者から静脈血をヘパリン処理したシリンジに採取し、2時間以内に使用する。試験化合物を100%DMSOに溶解し、0から1mMの範囲で濃度を振った一定量の薬物1μlを、24穴の微量定量プレートに4回分を分注する(Nunclon Delta SI, Applied Scientific, So. San Francisco, CA)。全血を1ml/wellの量加え,混合物を、5%CO、37℃の加湿雰囲気下で15分間継続的に振とうしながらインキュベートする(Titer Plate Shaker, Lab-Line Instruments, Inc. , Melrose Park, IL)。全血の培養は、非希釈又はRPMI 1640 (Gibco 31800 + NaHC03, Life Technologies,Rockville,MD and Scios, Inc., Sunnyvale, CA)による1:10希釈の、いずれかで行う。インキュベーション時間の最後に、10μlのLPS(E.coli 0111: B4, Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を最終濃度が1又は0.1μg/mlになるよう非希釈又は1:10希釈の全血に、それぞれ加える。そして、さらに2時間インキュベーションを継続する。微量定量プレートを氷冷槽に置き反応を終結させ、3000rpm、4℃で10分間、遠心し、血漿又は細胞の混入していない上清を集める。血漿試料は、Quantikine Human TNF-α assay kit(R & D Systems, Minneapolis,MN)に添付の指示書に基づきELISAでTNFαレベルを測定するまでは、-80℃で保存する。
【0059】
IC50値は、対照と比較して50%の減少をもたらした阻害剤の濃度から算出する。
【0060】
[B.p38キナーゼ阻害のための濃縮単核細胞アッセイ]
以下に手順を示す濃縮単核細胞アッセイ法は、凍結保存されたヒト末梢血単核細胞(HPBMC)(Clonetics Corp.)をすすぎ、温まった細胞増殖用培地の混合液に再懸濁することから始まる。次に、再懸濁された細胞を数え、24ウェルマイクロタイタープレートに1x10細胞/ウェルで細胞を播く。プレートをインキュベーター内で1時間放置し、各ウェル中で細胞を安定させる。
【0061】
細胞が安定した後、培地を吸引し、マイクロタイタープレートの各ウェルに100ng/mlのサイトカイン刺激因子リポ多糖(LPS)と試験化合物を含む新しい培地を加える。従って、各ウェルには、HPBMC、LPS、および、試験化合物が含まれる。その後、細胞を2時間培養し、固相酵素免疫検定法(ELISA)によりサイトカイン腫瘍壊死因子α(TNF−α)の量を測定する。このようなTNF−αの産生量を検出するためのELISAは、R&Dシステムズ(R&D Systems)より市販されている。各ウェルにおけるHPBMCによるTNF−αの産生量を対照ウェルのものと比較することにより、サイトカイン産生に対する阻害剤として化合物が作用するかを判別する。
HPBMCにおけるLPS誘導性のサイトカイン合成
凍結保存HPBMC(カタログ番号CC−2702 Clonetics Corp)
LGM−3培地(カタログ番号CC−3212 Clonetics Corp)
LPSストック10μg/ml(カタログ番号L2630血清型0111:B4 Sigma)
ヒトTNF−αELISA(R&D Systems)
DNase I(10mg/ml 原液)
細胞の調製
LGM−3倍地を37℃まで加温。
10mlの培地にDNase Iストックを5μL添加。
急激に細胞を解凍し、上記の培地に懸濁。
室温10分間、200xgで遠心分離。
滅菌PBS 10mlにペレットを回収。
室温10分間、200xgで遠心分離。
10mlのLGM−3にペレットを再懸濁し、LGM−3で50mlまで希釈。
細胞数を測定。
細胞数が1xE06/ウェルとなるよう調整。
24ウェルプレートに1ml/ウェルで播く。
プレートを1時間インキュベーターに入れて、プレートに沈降させる。
インキュベーション培地の調製
100ng/mlのLPSを含むLGM−3(例えば、培地50mlとLPSストック0.5ml)
2mlずつ分注し、1000x希釈の阻害剤を添加。
【0062】
インキュベーション
細胞が沈降してから、培地を吸引し、1mLの適切なインキュベーション培地を重層する。プレートを2時間もしくは24時間、インキュベーターに戻す。インキュベーション後に上清を除去し、ラベルしたチューブへ移し直ちにTNFの(若しくは他の)のELISAを行うか、後のアッセイのために凍結する。
【0063】
IC50値は、対照と比較して50%の減少をもたらす阻害剤の濃度から算出する。
【0064】
[投与および使用]
本発明の化合物は、いくつかの兆候の中でも炎症と関連する状態の治療に関し有用である。従って、式(1)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩は、サイトカインの過剰産生及び/又は不適切若しくは統制されていないサイトカイン活性によって特徴付けられる状態に関し、人間を含む哺乳類の予防又は治療処置のための薬物の製造に使用される。
【0065】
本発明の化合物は、TNF、IL−1、IL−6及びIL−8のようなサイトカイン、即ち多くの異なる疾患状態及び症候群において重要な炎症誘発性要素であるサイトカインの産生を阻害する。従って、これらサイトカインの阻害は、多くの疾患の制御及び緩和に利点を有する。本発明の化合物が、p38MAPK(又はp38)、CSBP、又はSAPK−2など様々に称されるMAPキナーゼファミリーのメンバーを阻害することが本書で示される。このタンパク質の活性化は、例えば、リポ多糖やTNF及びIL−1のようなサイトカインの処置によって惹起されるストレスに応答した疾患の悪化に伴っている事が示されている。従って、p38活性の抑制から、薬物の能力、すなわち、アルツハイマー病、冠動脈疾患、鬱血性心不全、心筋症、心筋炎、血管炎、再狭窄、冠動脈形成後に発症するような疾患、アテローム性動脈硬化症、IBD、関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、通風性関節炎及びその他の関節炎状態、多発性硬化症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、珪肺症、肺サルコシス(sarcosis)、敗血症、敗血症ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒素ショック症候群、虚血及び再灌流傷害によって特徴付けられる心不全及び脳不全(脳卒中)、移植処置及び移植片除去のような外科処置、心肺バイパス、冠動脈バイパス移植片、開放性及び非開放性頭部損傷を含む中枢神経系傷害、結膜炎及びブドウ膜炎のような炎症性眼状態、急性腎不全、糸球体腎炎、クローン病又は潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患、移植片対宿主疾患、骨粗鬆症のような骨吸収疾患、II型糖尿病、発熱(pyresis)、乾癬、悪液質、HIV、CMV及びヘルペスによるウイルス性疾患、及び大脳マラリアなどの疾患の治療において、薬効を有するかを予測できる。
【0066】
ここ数年の間に、p38は、p38−α、p38−β、p38−γ及びp38−δと称される一群のMAPキナーゼを含むことが示された。Jiang, Y., et. al. J Biol Chem (1996) 271:17920-17926において、p38−αと密接に関連する372アミノ酸タンパク質であるp38−βの性質が決定され報告された。この著者らは、p38−αの活性とp38−βの活性を比較することにより、両者が共に炎症誘発性サイトカイン及び環境ストレスによって活性化されるが、p38−βの方が、MAPキナーゼキナーゼ−6(MKK6)によって優位に活性化、そして、活性化転写因子2(ATF−2)によって優位に活性化されたと述べているが、こうした事から、別個の作用機構がこれらの(アイソ)フォームに関係していることを示唆している。
【0067】
クメール(Kumar, S.)らのBiochem Biophys Res Comm (1997) 235: 533−538、および、ステイン(Stein,B.)らのJ Biol Chem (1997) 272: 19509−19517においてp38−βの2番目のアイソフォームであるp38−β2(p38−αに対して73%の同一性を示し364個のアミノ酸からなる)が報告された。これら報告の全ては、p38−βが炎症誘発性サイトカインおよび環境ストレスにより活性化される証拠を示す一方で、2番目に報告されたp38−βイソ型であるp38−β2がp38−αの遍在的な組織発現と比較すると中枢神経系、心臓および骨格筋で優位に発現しているように見える。更に、活性転写因子−2(ATF−2)が、p38−αよりもp38−β2のより良い基質であることが見出された為、これらのアイソフォームに別々の作用機構が関与している可能性が示唆される。p38−β1は、ヒトの組織で発見されておらず、p38−αの基質に対して、感知できる程度のキナーゼ活性を示さない為、その生理的役割が後2者の報告によって疑問視された。
【0068】
p38−γの同定はリー(Li, Z.)らのBiochem Biophys Res Comm (1996) 228: 334−340、p38−δの同定はワング(Wang,X.)らのJ Biol Chem (1997) 272: 23668−23674及びクメール(Kumar, S.)らのBiochem Biophys ResComm (1997) 235: 533−538により報告された。これらのデータは、この2つのp38アイソフォーム(γおよびδ)が、その組織発現パターン、基質利用、直接的及び間接的刺激に対する応答、並びにキナーゼ阻害剤に対する感受性から、MAPKファミリー特有のサブセット(下位集合)であることを示唆している。
【0069】
本発明において有用な化合物及びその関連化合物の投与及び製剤の態様は、(疾患)状態の性質、(疾患)状態の重症度、特定の被検体、及び医師の判断に依存する。また、製剤は、投与の態様に依存する。本発明の化合物は小分子なので、タブレット、カプセル、シロップ等を作成するのに好適な医薬賦形剤を配合することによって、容易に経口投与することができる。経口投与のための好適な処方物は、緩衝剤、香料等のような微量成分を含有してもよい。処方物中の活性成分の量は、通常は、処方物全量に対し5%〜95%の範囲にあるが、基材に応じて大幅に変更することができる。好適な基材としては、スクロース、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、落花生油、オリーブ油、水等が該当する。
【0070】
本発明において有用な化合物は、座薬又はその他の経粘膜媒体によって投与することもできる。そのような処方物は、通常は、医薬的に許容しうる界面活性剤のような、化合物の粘膜通過を促進する賦形剤を含む。
【0071】
本発明の化合物は、乾癬のような局所的(疾患)状態に対し、局所的に投与すること、又は皮膚に浸透することを意図した処方物に配合することも可能である。例えば、既知の方法で処方可能なローション、クリーム、軟膏等が該当する。
【0072】
本発明の化合物は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射又は腹腔内注射等のような注射によって投与することも可能である。このような使用のための典型的な製剤は、ハンクス液又はリンガー液のような等張性溶媒中の液体処方物である。
【0073】
その他の製剤としては、点鼻薬、リポソーム製剤、および徐放製剤等が当業者において知られている。
【0074】
如何なる好適な製剤も使用し得る。当業者において公知の製剤の概説は、「レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、最新版、Mack Publishing Company、Easton、PA に記載されている。この手引書の参照は、当業者において日常的である。
【0075】
本発明の化合物の投与量は、各患者において異なる多数の要因により決定される。しかしながら、一般的に用いられる一日あたりの経口投与量は、総体重1kgあたり0.001〜100mg、好ましくは0.01〜50mg/kg、より好ましくは0.01〜10mg/kgと考えられている。しかしながら、用量管理は、治療される状態及び医師の判断に応じて変化する。
【0076】
式(1)の化合物は、単独の有効成分として、又は、この式で表される複数の態様の混合物として投与できることに注意すべきである。更に、p38キナーゼの阻害剤は、単独の治療薬として、又は、その他の治療薬と組み合わせて使用できる。これらの化合物と有効に組合せることが可能な薬剤としては、天然若しくは合成副腎皮質ステロイド、特にプレドニゾン及びその誘導体、免疫系の細胞を標的とするモノクローナル抗体、免疫若しくは非免疫サイトカインを標的とする抗体若しくは可溶性受容体若しくは受容体融合タンパク質、並びに、細胞分裂、蛋白質合成又はmRNA転写若しくは翻訳に対する低分子阻害剤、又は、免疫細胞の分化若しくは活性化の阻害剤等が挙げられる。
【0077】
上記に示唆されているとおり、本発明の化合物は、ヒトにおいて使用し得るが、これらは被験動物を治療するために獣医学的にも使用できる。
【0078】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって本発明を限定することを意図したものではない。また、以下の実施例は、上記反応スキームの使用を説明することを意図している。
【実施例1】
【0079】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオンの調製
【0080】
【化9】

【0081】
【化10】

【0082】
2,6-ジフルオロピリジン-3-カルボン酸(1)は、Rewcastle, G. W., et al., J Med. Chem. (1996) 39:1823-1835によって記述された方法を用いて調整した。
【0083】
【化11】

【0084】
2,6-ジフルオロピリジン-3-カルボン酸(13.14g)をジクロロメタン(200mL)に懸濁し、0℃で冷却した。これに窒素ガス存在下で塩化チオニル(30.14mL、413.2mmol)を滴下した。氷冷槽を除き、混合物を3時間還流した。溶媒を減圧下で除去した。生成物をジクロロメタン(200mL)に加え、氷冷槽で撹拌し、4-フルオロベンジルピペリジン塩酸塩(20.93g、91mmol)の添加に続き、DIPEA(28.7mL、165.3mmol)を更に滴下した。これを氷冷槽から取り出し、室温でさらに2時間撹拌を続けた。反応混合液を水に注ぎ、有機層を分離した。更にジクロロメタン(100mL)で水層を抽出した。化合有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで酢酸エチル-ヘキサン(20−50%酢酸エチル勾配)により溶出して精製し、23.58gの目的生成物を得た。LCMS:335、M+1。
【0085】
【化12】

【0086】
(2,6-ジフルオロ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-メタノン(23.58g)を封管中でメタノール(120mL)に溶解した。これをドライアイス−アセトン槽で冷却し、そして、アンモニアガス流を溶液中に5分間通過させ、その後、反応容器を密閉しておく。混合物を60℃の油槽中で20分間加熱する。減圧して溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルカラムで酢酸エチル-ヘキサン(50−70%酢酸エチル勾配)により溶出して精製した。2番目の主要な分画(5.98g、25%)が目的のアイソマーを含んでいた。LCMS:332、M+1。
【0087】
【化13】

【0088】
(6-アミノ-2-フルオロ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-メタノン(5.86g、17.7mmol)をメタノール(60mL)に加えた。カリウム-t-ブトキシド(9.9g、85.5mmol)を添加し、混合物を6時間還流した。メタノールを減圧下で除去し残渣を酢酸エチルで水から抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、酢酸エチル-ヘキサン(50−70%勾配)を溶出剤としたシリカゲルカラムでの精製により、5.46g(90%)の目的生成物が得られた。
【0089】
【化14】

【0090】
(6-アミノ-2-メトキシ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-メタノン(5.44g、15.86mmol)を乾燥DMF(70mL)に溶解した。ヨウ素(3.23g、12.70mmol、0.8 eq.)に続き、過ヨウ素酸ナトリウム(1.36g、6.34mmol、0.4 eq.)を添加した。混合物を、4.5時間、窒素の下で撹拌されながら50℃に加熱した。それから、これを水に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。過剰なヨウ素を除去するため、混合性の抽出物を、希釈したチオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。酢酸エチル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(20−40%酢酸エチル勾配)でシリカゲルカラムにより溶出して精製し、6.46g(86.8%)の目的生成物が得られた。LCMS:470、M+1。
【0091】
【化15】

【0092】
(6-アミノ-5-ヨード-2-メトキシ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-メタノン(6.46g、13.8mmol)を乾燥THF(100mL)に加えた。ピリジン(1.7mL、20.7mmol)を添加し、混合物を氷冷槽で冷却した。この混合物に、窒素の下で、乾燥THF(10mL)中の塩化アセチル(1.3mL、18mmol)を滴下した。添加後、氷冷槽を除き、室温で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除き、残渣を水に加え、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。混合抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣はシリカゲルカラムで酢酸エチル-ヘキサン(40−70%酢酸エチル勾配)により溶出して精製し、4.91g(69.6%)の目的生成物を得た。LCMS:511。
【0093】
【化16】

【0094】
N-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-3-ヨード-6-メトキシ-ピリジン-2イル}-アセトアミド(4.9g、9.59mmol)を乾燥ジクロロメタン(100mL)に加え、次いでTEA(1.6mL、11.51mmol)を添加した。混合物を氷冷槽で冷却し、Pd(PPh)Cl(35mg、0.05mmol)及びCuI(19mg、0.10mmol)を添加した。そして撹拌された混合物にトリメチルシリルアセチレン(1.49mL、10.55mmol)を添加した。反応混合物を氷冷槽から除き、室温で20時間撹拌を続けた。反応混合物は固体を除くため濾過し、濾液は乾燥させて濃縮した。残渣はシリカゲルカラムで酢酸エチル-ヘキサン(20−50%酢酸エチル勾配)により溶出して精製し、4.24g(92%)の目的化合物を得た。LCMS:481。
【0095】
【化17】

【0096】
N-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-3-トリメチルシラニルエチニル-ピリジン-2-イル}-アセトアミド(4.24g、8.8mmol)を乾燥THF(50mL)に溶解した。テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中に1Mの溶液、17.6mL、17.6mmol)を添加し、混合物を3時間撹拌しながら還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水に加え、ジクロロメタン(3×75mL)で抽出した。混合抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣はシリカゲルカラムで酢酸エチル-ヘキサン(20−50%酢酸エチル勾配)により溶出して精製し、2.7gの目的生成物を得た。LCMS:368、M+1。
【0097】
【化18】

【0098】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(368mg、1mmol)を乾燥ジクロロメタン(5mL)に溶解した。氷冷槽で冷却し、塩化オキサリル(4.5mL、ジクロロメタン中に2Mの溶液)を添加した。混合物を0℃で1時間、次いで室温で4時間撹拌した。乾燥して濃縮した。次いで、ジクロロメタンに再溶解し、ピロリジン(3mmol)で処理する。30分間撹拌後に、水を添加し、生成物をジクロロメタン(3×25mL)で抽出する。混合抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒の濃縮後、クロロホルム-メタノール(0−3%メタノール)を用いたラジアルクロマトグラフィー(radial chromatography)により生成物を精製し、340mgの目的生成物を得た。LCMS:493、M+1。
【実施例2】
【0099】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル-6-メトキシ-1-H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-N,N-ジメチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0100】
【化19】

【0101】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン及び、ピロリジンの代わりにジメチルアミンを用いて、実施例1のステップIで説明したのと同じ方法を用いて調製した。LCMS:467、M+1。
【実施例3】
【0102】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0103】
【化20】

【0104】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン及び、ピロリジンの代わりにメチルアミンを用いて、実施例1のステップIで説明されたのと同じ方法を用いて調製した。LCMS:453、M+1。
【実施例4】
【0105】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-(3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-エタン-1,2-ジオンの調製
【0106】
【化21】

【0107】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン及び、ピロリジンの代わりに3-ヒドロキシピロリジンを用いて、実施例1のステップIで説明されたのと同じ方法を用いて調製した。LCMS:509、M+1。
【実施例5】
【0108】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0109】
【化22】

【0110】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン及び、ピロリジンの代わりにエタノールアミンを用いて、実施例1のステップIで説明されたのと同じ方法を用いて調製した。LCMS:483、M+1。
【実施例6】
【0111】
N-エチル-2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0112】
【化23】

【0113】
[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン及び、ピロリジンの代わりにメチルエチルアミンを用いて、実施例1のステップIで説明されたのと同じ方法を用いて調製した。LCMS:481、M+1。
【実施例7】
【0114】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-N-ピロリジン-1-イル-アセトアミドの調製
【0115】
【化24】

【0116】
この化合物は、ピロリジンの代わりにピロリジン-1-イルアミンを用いて実施例1のステップIの手順に従って調整した。M+H(508)。
【実施例8】
【0117】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0118】
【化25】

【0119】
ピロリジンの代わりにアンモニアを用いて、実施例1のステップIの手順に従って調製した。M+H(439)。
【実施例9】
【0120】
N-エチル-2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0121】
【化26】

【0122】
ピロリジンの代わりにエチルアミンを用いて、実施例1のステップIの手順に従って調製した。M+H(467)。
【実施例10】
【0123】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオンの調製
【0124】
【化27】

【0125】
【化28】

【0126】
無水アセトン(15mL)中の[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(100mg、0.27mmol)及び粉砕したKOH(76mg、1.36mmol)の溶液に、ヨードメタン(96mg、0.675mmol)を0℃で添加する。反応混合物を徐々に室温まで加温し、オーバナイトで撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水で処理し、EtOAcで抽出した。混合有機層をブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い固体として100mg(98%の収率)の目的生成物を得た。M+H(382)。
【0127】
【化29】

【0128】
無水CHCl(15mL)中の[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(100mg、0.26mmol)溶液に、塩化オキサリル(0.52mL、1.05mmol、CHCl中に2M)を室温で添加した。反応混合物を4時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を減圧下で1時間乾燥させ、CHCl(15mL)に再溶解した。過剰量のピロリジン(74mg、1.04mmol)を反応混合物に加えた。1時間撹拌後、反応混合物を水で処理した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。CHCl:MeOH(95:5)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い固体(70mg)として収率53%で目的生成物を得た。M+H(507)。
【実施例11】
【0129】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例10に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0130】
【化30】

【実施例12】
【0131】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1-メトキシメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,-2-ジオンの調製
【0132】
【化31】

【0133】
【化32】

【0134】
無水アセトン(15mL)中の[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(150mg、0.41mmol)及び粉砕したKOH(114mg、2mmol)の溶液に、塩化MOM(82mg、1mmol)を0℃で添加した。反応混合物を徐々に室温まで加温し、オーバナイトで撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水で処理し、EtOAcで抽出した。混合有機層をブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い固体として130mg(77%の収率)の目的生成物を得た。M+H(411)。
【0135】
【化33】

【0136】
実施例10のステップBの手順に従って、この化合物を調製した。M+H(537)。
【実施例13】
【0137】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例12に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0138】
【化34】

【実施例14】
【0139】
1-{1-アミノ-5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオンの調製
【0140】
【化35】

【0141】
【化36】

【0142】
DMF(10mL)中の1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオン(76mg、0.154mmol)溶液に、2,5-ジニトロベンゾヒドロキシルアミン(40mg、0.2mmol)及びKCO(43mg、0.308mmol)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌してから、水(20mL)で処理した。生じた混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。2%MeOHのCHClでの溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い固体として57mg(73%の収率)の目的生成物を得た。M+H(508)。
【実施例15】
【0143】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例14に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0144】
【化37】

【実施例16】
【0145】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオンの調製
【0146】
【化38】

【0147】
【化39】

【0148】
ジメチルホルムアミド中の2,6-ジフルオロピリジン-3-カルボン酸(4.16g、26.2mmol)及び4-フルオロベンジル-2S,5R-ジメチルピペラジン(4.8g、21.8mmol)溶液に、TBTU(10.5g、32.7nmol)、次いで、トリエチルアミン(9mL、65.4mmol)を添加する。反応混合物を室温でオーバナイト撹拌し、それから氷水に注ぐ。形成された沈殿物を濾過しジクロロメタンに溶解する。二つのシリカゲルのスコップ(scoops)を溶液に添加する。混合物を減圧下で濃縮する。乾燥した残渣をシリカゲルカラム上でEtOAc:ヘキサン(4:6)により溶出すると、白い固体として4g(42%)の目的生成物が得られた。M+H(364)。
【0149】
【化40】

【0150】
アンモニアガス(2mL)を液化させ、-78℃のParr圧力反応容器内で、メタノール(20mL)中の(2,6-ジフルオロ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-メタノン(2g、8.26mmol)の低温溶液に添加する。反応容器を密閉し、直ちに室温まで加温した。反応混合物を60℃でオーバナイト加熱し、-78℃で冷却した。反応容器を開封し、反応混合物を濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:1)そしてEtOAc:ヘキサン(4:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィにより残渣を精製すると、750mg(25%)の目的外の位置異性体に続き、白い固体として800mg(27%)の目的生成物が得られた。M+H(361)。
【0151】
【化41】

【0152】
無水メタノール(10mL)中の(6-アミノ-2-フルオロ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-メタノン(1.6g、4.44mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシ(2.5g、22.2mmol)を室温で加えた。反応混合物をオーバナイトで還流し、濃縮した。残渣を水で処理し、生じた混合物をEtOAcで抽出した。混合有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(2:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い気泡として1.3g(79%)の目的生成物を得た。M+H(361)。
【0153】
【化42】

【0154】
方法1: 無水DMF(20mL)中の(6-アミノ-2-メトキシ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-メタノン(800mg、2.15mmol)の溶液にヨウ素(557mg、2.15mmol)と過ヨウ素酸ナトリウム(238mg、1.11mmol)を添加した。反応混合物をオーバナイトで50℃に加熱する。反応混合物を氷水に注ぎ、そして、過剰なヨウ素を除くためチオ硫酸ナトリウム(10%)溶液を添加した。沈殿を濾過した。EtOAc:ヘキサン(1:2)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィ(EtNで前処理)で粗生成物を精製したところ、白い気泡として522mg(52%)の目的生成物を得た。M+H(499)。
【0155】
方法2: 無水ジクロロメタン(25mL)中の(6-アミノ-2-メトキシ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-メタノン(1.2g、3.2mmol)及び炭酸カルシウム(1.1g、11mmol)の溶液に、室温で、ベンジルトリメチルアンモニウムジクロロヨウ素酸(1.46g、4.2mmol)を添加した。反応混合物をオーバナイトで撹拌した。有機層を水と10%チオ硫酸ナトリウムで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:2)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、白い気泡として、(57%)の目的生成物を得た。M+H(499)。
【0156】
【化43】

【0157】
ジクロロメタン(10mL)中の(6-アミノ-5-ヨード-2-メトキシ-ピリジン-3-イル)-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-メタノン(235mg、0.47mmol)及びピリジン(0.057mL、0.7mmol)の溶液に、室温で、塩化アセチル(48mg、0.62mmol)を添加した。反応混合物をオーバナイトで撹拌し、水で処理した。有機層を分離し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、無色の油として150mg(59%)の目的生成物を得た。M+H(541)。
【0158】
【化44】

【0159】
無水ジクロロメタン(5mL)中のN-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-3-ヨード-6-メトキシ-ピリジン-2-イル}-アセトアミド(100mg、0.185mmol)、パラジウムビス(トリフェニルホスファン)ジクロライド(65mg、0.09mmol)、ヨウ化銅(2mg、0.01mmol)の溶液に、トリメトルシリアセチレン(18mg、0.185mmol)を、0℃で滴下した。反応混合物を室温オーバナイトで撹拌し、セライトの栓(plug)を介して濾過し、濃縮した。残渣を酢酸エチルに加え、水とブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:1)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、90mg(96%)の目的生成物を得た。M+H(511)。
【0160】
【化45】

【0161】
無水THF中のN-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-3-トリメチルシラニルエチニル-ピリジン-2-イル}-アセトアミド(350mg、0.686mmol)及びテトラブチルアンモニウムフルオライド(1.37mL、1.37mmol、THF中で1.0M)の混合物を還流しながら4時間加熱した。反応混合物を濃縮して、残渣を酢酸エチルに加えた。有機層を水とブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。EtOAc:ヘキサン(4:6)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、無色の油として170mg(63%)の目的生成物を得た。M+H(397)。
【0162】
【化46】

【0163】
無水CHCl(15mL)中の[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(170mg、0.43mmol)溶液に、室温で、塩化オキサリル(0.86mL、1.72mmol、CHCl中で2M)を添加した。反応混合物をオーバナイトで撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を1時間減圧下で乾燥させ、CHClに溶解した。過剰量のピロリジン(122mg、1.72mmol)を反応混合物に添加した。1時間撹拌して、反応混合物を水で処理した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥、濃縮した。CHCl:MeOH(95:5)での溶出によるシリカゲルクロマトグラフィで残渣を精製したところ、目的生成物(150mg)が収率67%で白色の固体として得られた。M+H(521)。
【実施例17】
【0164】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0165】
【化47】

【0166】
ピロリジンの代わりにアンモニアを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(468)。
【実施例18】
【0167】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0168】
【化48】

【0169】
ピロリジンの代わりにメチルアミンを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(482)。
【実施例19】
【0170】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-エトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0171】
【化49】

【0172】
実施例26(以下)と同様に調製した。但し、ステップEのナトリウムメトキシドの代わりにナトリウムエトキシドを用い、及び、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンの代わりに4-フルオロベンジル-2S,5R-ジメチルピペラジンを組み合わせた。M+H(496)。
【実施例20】
【0173】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピドリジン-3-イル}-N,N-ジメチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0174】
【化50】

【0175】
ピロリジンの代わりにジメチルアミンを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(496)。
【実施例21】
【0176】
N-エチル-2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0177】
【化51】

【0178】
ピロリジンの代わりにメチルエチルアミンを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(510)。
【実施例22】
【0179】
1-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-(3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-エタン-1,2-ジオンの調製
【0180】
【化52】

【0181】
ピロリジンの代わりに3-ヒドロキシピロリジンを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(538)。
【実施例23】
【0182】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例10に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0183】
【化53】

【実施例24】
【0184】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例12に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0185】
【化54】

【実施例25】
【0186】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例14に記載した手順と似た方法により実施可能である。
【0187】
【化55】

【0188】
実施例26−30は、合成スキーム3−5で記述したように、スキーム1の代替法を使用することにより提供される。
【実施例26】
【0189】
2-(5-{4-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-2R-メチル-ピペラジン-1-カルボニル}-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0190】
【化56】

【0191】
【化57】

【0192】
50mLの48%HBr水溶液に、4-フルオロ-α-メチルベンジルアルコール(7g、6.3ml、50mmol)を、0℃で添加した。溶液を室温で3時間撹拌し、ヘキサンで抽出した。乾燥、濃縮後、10gの無色の油を得た。M+H(203)。
【0193】
【化58】

【0194】
100mLのDMF中の6.4gの1-(4-フルオロフェニル)-エチル臭素に、ピペラジンを添加した。そして、混合物を室温オーバナイトで撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を少量のシリカゲルで濾過し、酢酸エチルとメタノールで洗浄した。CHCl/MeOH/EtN=90/8/2(又はAcOEt/MeOH=90/10)のフラッシュクロマトグラフィ(flash chromatography)を用いて、精製を行った。6.2g(90%)の純粋化合物(混合した分離不能な二つのジアステロオマー)が得られた。M+H(223)。
【0195】
【化59】

ジアステロオマーの分離
【0196】
メタノール(2.5mL)中の二つのジアステロオマー(1g、4.5mmol)の混合物に、メタノール(4.2mL)中のL-酒石酸(1.4g、9mmol)溶液を添加した。生じた混合物を0℃で30時間以上置いておくことにより、結晶化が起きた。生じた物質を濾過し、15%NaOHを母液に添加した。遊離の塩基(free base)を酢酸エチルで抽出した。濃縮して得られた無色の油を、所望の純度が得られるまで(プロトンNMRにより判別)、2−3回ヘキサンで再結晶化した。M+H(223)。
【0197】
【化60】

【0198】
150mLメタノール中の2,6-ジクロロニコチン酸(30g、0.16mol)溶液に、3mLの濃硫酸(con. HSO)を添加し、混合物を12時間還流した。メタノールを気化させ、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、10%炭酸ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、目的生成物(29.0g、87%)の白い固体が得られた。
【0199】
【化61】

【0200】
ジクロルメタン(80ml)中の2,6-ジクロロ-ニコチン酸メチルエステル(20.0g、0.1mol)の溶液に、0℃で、ナトリウムメトキシド(NaOMe)(8.1g、0.15mol)を徐々に加え、0℃で3時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、徐々に白い固体(14.0g、70%)として凝固してくる油性の生成物が得られた。
【0201】
【化62】

【0202】
50mLのNMP中の6-クロロ-2-メトキシ-ニコチン酸メチルエステル(18.5.0g、0.092mol)の溶液に、p-メトキシベンジルアミン(19.0g、0.14mol)及びトリエチルアミン(10.0g、0.1mol)を添加した。混合物を70℃で4時間加熱後、冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、油が得られ、その油をエチルアセテート/ヘキサン混合物(1:1)で沈殿させる。そして、これを濾過し、乾燥させると、15g(60%)の標的化合物が得られた。
【0203】
【化63】

【0204】
2-メトキシ-6-(4-メトキシ-ベンジルアミノ)-ニコチン酸メチルエステルに、TFA(50mL)を添加し、混合物を40℃に加熱した。大部分のTFAを気化させ、残渣を酢酸エチル/20%炭酸カリウムに懸濁し、セライトのパッド(pad)を通して濾過した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、5.4g(65%)の生成物が白い固体として得られた。
【0205】
【化64】

【0206】
6-アミノ-2-メトキシ-ニコチン酸メチルエステル(20g、109.89mmol)をDMF(100mL)に加え、ヨウ素(22.4g、88mmol)とNaIO(9.42g、44mmol)を添加した。混合物を50℃で5時間窒素ガスの下で撹拌した。そして、水に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をチオ硫酸ナトリウム溶液で脱色した。更に、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮した。結晶化した生成物を濾過して集めた。更に母液を濃縮すると、もう一つの群(crop)として22.25gの目的生成物が得られた。LCMS:309。
【0207】
【化65】

【0208】
6-アミノ-5-ヨード-2-メトキシ-ニコチン酸メチルエステル(19.04g、61.82mmol)をジクロロメタン(190mL)に加え、トリエチルアミン(13mL、93mmol)とPd(PPh)Cl(220mg、0.31mmol)とCuI(411mg、2.16mmol)を添加した。混合物を氷冷槽で冷却し、トリメチルシリルアセチレン(9.61mL、68mmol)を滴下した。混合物を氷上で30分間撹拌し、その後、氷冷槽を除いて、更に5時間撹拌を続けた。固体を除去するため濾過して、乾燥、濃縮した。酢酸エチル-ヘキサン(0から20%酢酸エチル勾配)での溶出によるシリカカラムで生成物を精製したところ、15.69gの目的生成物を得た。LCMS:279。
【0209】
【化66】

【0210】
6-アミノ-2-メトキシ-5-トリメチルシラニルエチニルニコチン酸メチルエステル(24.63g、88.6mmol)をジクロロメタン(250mL)に加え、ピリジン(14.3mL、177.2mmol)を添加した。混合物を氷冷槽で冷却し、塩化アセチル(7.56mL、106.32mmol)を滴下した。1時間後、氷冷槽を除去し、20時間窒素の下で撹拌を続けた。反応混合物を水で洗浄し、乾燥、濃縮した。酢酸エチル-ヘキサン(0から30%酢酸エチル勾配)での溶出によるシリカゲルカラムで残渣を精製したところ、23.42gの目的生成物を得た。LCMS:321。
【0211】
【化67】

【0212】
6-アセチルアミノ-2-メトキシ-5-トリメチルシラニルエチニル-ニコチン酸メチルエステル(18g、56.25mmol)を乾燥THF(50mL)に溶解し、TBAF(THF中で1Mの溶液、225mL、225mmol)を添加し、混合物を20時間撹拌した。揮発性(物質)を除去し、残渣を水からジクロロメタンで抽出した。抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、酢酸エチル-ヘキサン(0から25%酢酸エチル勾配)での溶出によるシリカゲルカラムで精製したところ、10.0gの目的生成物を得た。LCMS:207。
【0213】
【化68】

【0214】
6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸メチルエステル(2.06g、10mmol)をメタノール(50mL)に加え、10%NaOH水溶液(16mL)及び水(10mL)を添加した。混合物を2時間還流した。メタノールを除去するため蒸発させ、水で希釈し、10%HClで酸性化した。沈殿した生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、1.93gの目的生成物が得られた。LCMS:193。
【0215】
【化69】

【0216】
6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸(395mg、2mmol)及び1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジン(888mg、4mmol)を乾燥DMF(15mL)に溶解し、TBTU(1.28g、4mmol)に続いてTEA(600mg、6mmol)を添加した。混合物を20時間撹拌した。生成物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を乾燥、濃縮し、酢酸エチル-ヘキサン(20−40%酢酸エチル勾配)での溶出によるシリカゲルカラムで精製したところ、510mgの目的生成物を得た。LCMS:397。
【0217】
【化70】

【0218】
{4-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-2-メチル-ピペラジン-1-イル}-(6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノン(510mg、1.28mmol)を乾燥ジクロロメタン(10mL)に加え、氷冷槽で冷却した。塩化オキサリル(ジクロロメタン中に2Mの溶液、5mL)を添加し、混合物を窒素の下で1時間撹拌した。氷冷槽を除去し、室温で更に、6時間撹拌を続けた。乾燥して濃縮し、乾燥ジクロロメタン(15mL)に再懸濁し、氷冷槽で冷却した。メチルアミン(THF中に2Mの溶液、5mL)をシリンジで添加し、撹拌を30分間続けた。これを水に注ぎ、生成物をジクロロメタンで抽出した。抽出物を乾燥、濃縮し、溶出液としてCHCl-メタノール(0から3%メタノール)を使用し、ラジアルクロマトグラフィ(radial chromatography)で残渣を精製したところ、310mgの目的生成物を得た。LCMS:482。
【実施例27】
【0219】
2-[5-(4-ベンズヒドリル-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル)-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-N,N-ジメチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0220】
【化71】

【0221】
【化72】

【0222】
クルードな物質(crude material)をアセトニトリル(600mL)及びヨウ化カリウム(45.2g、272mmol)に溶解し、炭酸カリウム(37.7g、272mmol)とα-ブロモジフェニルメタン(73.9g、299mmol)を添加した。混合物を室温オーバナイトで撹拌し、溶媒を除去した。残渣をEtOAcに加え、5%炭酸カリウム、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮した。この物質をジオキサン中の4MのHClに溶解し、1時間撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をEtOAcに溶解し、10%NaOHとブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮すると、粗(crude)な1-ベンズヒドリル-2S,5R-ジメチル-ピペラジンが得られ、これをフラッシュクロマトグラフィ(flash chromatography)(EtOAc/ヘキサンs)を用いて精製すると、37gの純(pure)な1-ベンズヒドリル-2S,5R-ジメチル-ピペラジンが得られた。M+H(281)。
【0223】
【化73】

【0224】
実施例26のステップMに記述した手順に従い、6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸と1-ベンズヒドリル-2S,5R-ジメチル-ピペラジンから調製した。M+H(455)。
【0225】
【化74】

【0226】
ピロリジンの代わりにジメチルアミンを用いて、実施例16のステップHの手順に従って調製した。M+H(554)。
【実施例28】
【0227】
2-[5-(4-ベンズヒドリル-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル)-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0228】
【化75】

【0229】
ジメチルアミンの代わりにメチルアミンを用いて、実施例27のステップCの手順に従って調製した。M+H(540)。
【実施例29】
【0230】
1-[5-(4-ベンズヒドリル-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル)-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-2-ピロリジン-1-イル-エタン-1,2-ジオンの調製
【0231】
【化76】

【0232】
ジメチルアミンの代わりにピロジジンを用いて、実施例27のステップCの手順に従って調製した。M+H(580)。
【実施例30】
【0233】
2-[5-(4-ベンズヒドリル-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル)-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]-N-シクロペンチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0234】
【化77】

【0235】
ピロリジンの代わりにシクロペンチルアミンを用いて、実施例27のステップCの手順に従って調製した。M+H(554)。
【実施例31】
【0236】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R-メチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0237】
【化78】

【0238】
実施例26と同様に、但し、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンに代えて4-フルオロベンジル-3R-メチルピペラジンを使用して調製した。M+H(468)。
【実施例32】
【0239】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R-メチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-b]ピドリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0240】
【化79】

【0241】
実施例26と同様に、但し、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンに代えて4-フルオロベンジル-3R-メチルピペラジンを、ステップNのメチルアミンに代えてアンモニアを使用して調製した。M+H(454)。
【実施例33】
【0242】
2-{6-エトキシ-5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0243】
【化80】

【0244】
実施例26と同様に、但し、ステップEのナトリウムメトキシドに代えてナトリウムエトキシドに、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンに代えて4-フルオロベンジル-2S,5R-ジメチルピペラジンを、ステップNのメチルアミンに代えてアンモニアを使用して調製した。M+H(482)。
【実施例34】
【0245】
2-{6-エトキシ-5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1-H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N-メチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0246】
【化81】

【0247】
実施例26と同様に、但し、ステップEのナトリウムメトキシドに代えてナトリウムエトキシドを、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンに代えて4-フルオロベンジル-ピペリジンを使用して調製した。M+H(467)。
【実施例35】
【0248】
2-{6-エトキシ-5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1-H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0249】
【化82】

【0250】
実施例26と同様に、但し、ステップEのナトリウムメトキシドに代えてナトリウムエトキシドに、ステップMの1-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-3-メチル-ピペラジンに代えて4-フルオロベンジル-ピペリジンを、ステップNのメチルアミンに代えてアンモニアを使用して調製した。M+H(482)。
【実施例36】
【0251】
2-{5-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-カルボニル]-6-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル}-N,N-ジメチル-2-オキソ-アセトアミドの調製
【0252】
【化83】

【0253】
【化84】

【0254】
アミノピリジン(2g)、Zn(CN)(753mg)及び1,1-ビス(ジフェニルホスホイノ)フェロセン(DPPF)(711mg)の脱気したDMF溶液に対して、Pd(dba)(489mg)を添加した。封管の中で3日間130℃に加熱して反応させた。それから反応液を85℃に冷却し、200mlのNHCl(Sat'd)、HO及びNHOH(4:4:1)で希釈した。そして混合物を85℃でオーバナイト撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、濾液をEtOAcで抽出した。混合有機層を水とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去した後、残渣を順相シリカゲルカラムにより0−50%EtOAcのヘキサンで溶出し、精製した。
【0255】
【化85】

【0256】
Ba(OH)(1.28g)を、シアノピリジン(1.0g)の水性懸濁液(10ml)に添加した。反応液を95℃で2時間加熱した。反応液に熱水を添加し希釈した後、セライトを添加した。温度を95℃に維持したまま、COガスを反応混合物に30分間通過させ、pH=8から9になるまで反応混合物を飽和させる。反応液を濾過し、フィルターケーキ(filter cake)を熱水で3回洗浄した。混合水溶液を減圧下で濃縮すると、粗生成物として1.0gの白い固体が得られた。
【0257】
【化86】

【0258】
6-アミノ-2-メチル-ニコチン酸(1.0g)をMeOHに溶解し、氷水槽中で0℃に冷却した。それからHClガスを溶液に15分間通した。反応液を室温まで温め、オーバナイトで撹拌した。MeOHを気化させた後、残渣をNaCOの飽和溶液で中性化し、EtOAcで抽出した。混合有機層を水とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去すると、500mgの粗生成物が得られ、これを更なる精製無しで、次のステップで使用した。
【0259】
【化87】

【0260】
6-アミノ-2-メチル-ニコチン酸メチルエステル(500mg)のDMF溶液に、ヨウ素(644mg)とNaIO(754mg)を連続して添加した。反応液を50℃でオーバナイト加熱した。室温になるまで冷却した後、NaHSを、反応混合物が明黄色に変化するまで反応液に添加した。混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去すると、900mgの粗生成物が得られた。
【0261】
【化88】

【0262】
0℃で、塩化アセチル(0.22ml)を、6-アミノ-5-ヨード-2-メチル-ニコチン酸メチルエステル(900mg)のDCM溶液に添加し、続いて、ピリジン(0.38ml)を添加した。反応液を0℃で1時間撹拌し、DCMで希釈し、水、炭酸ナトリウム標準溶液、水で2回、そしてブラインで洗浄した。粗生成物を、25%EtOAcのDCMによる溶出にてカラム精製すると200mgの生成物が得られた。
【0263】
【化89】

【0264】
6-アセチルアミノ-5-ヨード-2-メチル-ニコチン酸メチルエステル(200mg)のDCM溶液に、CuI(17mg)、PdCl(PPh)(63mg)、TMSアセチレン(88mg)、及びTEA(2.5mL)を連続して添加した。反応液を室温でオーバナイト撹拌し、DCMで希釈した。混合物をセライト濾過し、水とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を濃縮し、残渣を5%EtOAcのDCMによる溶出でシリカゲルカラム精製すると、200mgの生成物が得られた。
【0265】
【化90】

【0266】
TBAF(1.3ml、1.0M/THF)を、6-アセチルアミノ-2-メチル-5-トリメチルシラニルエチニル-ニコチン酸メチルエステル(200mg)のTHF溶液に添加した。反応液を還流下で4時間加熱した。THFを除去した後、残渣をEtOAcに溶解し、水とブラインで洗浄した。溶媒を除去し、残渣を10−30%EtOAcのDCMによる溶出でシリカゲルカラム精製すると、70mgの生成物が得られた。
【0267】
【化91】

【0268】
6-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸メチルエステル(70mg)及びKCO(76mg)のMeOH懸濁液を還流下で4時間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、HCl(6N)をpH3になるまで滴下した。MeOHを除去した後、残渣を熱いMeOHで3回洗浄した。混合MeOH溶液を減圧濃縮すると、粗生成物として120mgの黄色の固体を得た。粗生成物を直接次のステップで使用した。
【0269】
【化92】

【0270】
実施例26のステップMで記述した手順に従って、6-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボン酸と1-(4-フルオロ-ベンジル)-2S,5R-ジメチル-ピペラジンから調製した。
【0271】
【化93】

【0272】
実施例26のステップNで記述した手順に従って、[4-(4-フルオロ-ベンジル)-2R,5S-ジメチル-ピペラジン-1-イル]-(6-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-メタノンとジメチルアミンから調製した。M+H(480)。
【実施例37】
【0273】
[追加的な化合物]
以下の化合物の合成が、実施例36に記述された手順と同様の方法で実行できる。
【0274】
【化94】

【実施例38】
【0275】
[生物学的活性]
ここで提供された化合物は、p38キナーゼに対して様々なレベルの活性を示す。例えば、実施例1−5、7−9、16、17、19−22、26−29、及び31−36の各々の化合物は、ここで説明した希釈全血アッセイ(diluted Whole Blood Assay)において、1μM又はそれより少ないIC50値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】

及び、それらの医薬的に許容しうる塩、ここで、

は単結合又は二重結合を表し;
各Zは互いに独立してCR又はC(R)であるが、ここで各々のR
互いに独立して水素原子又は非妨害性置換基であり;
は、NR、酸素原子、又は硫黄原子であり;
は水素原子又は非妨害性置換基であり;
及びZの各々は、独立して窒素原子又はCRであるが、ここでRは上記のように規定され、ここで少なくともZ及びZのうち一つは窒素原子であり;
各Rは互いに独立して非妨害性置換基であり;
nは0−3であり;
及びLの各々はリンカーであり;
各Rは独立して非妨害性置換基であり;
mは0−4であり;
はCR又は窒素原子であるが、但しRは水素原子又は非妨害性置換基であり;
l及びkの各々は、0−2の整数であるが、但しlとkの和は0−3であり;
Aは、0−5の非妨害性置換基で置換された環状基であるが、但し、二つの当該非妨害性置換基は融合環を形成していてもよい。
【請求項2】
一つのRが-W-COXYである請求項1に記載の化合物、
但し、YはCOR又はそのアイソスターであり、Rは水素原子又は非妨害性置換基であり、W及びXの各々は2−6Åのスペーサーであり、i及びjの各々は互いに独立して0又は1である。
【請求項3】
前記RがCOXCORである請求項2に記載の化合物、
ここでRは、水素原子、又は、直鎖若しくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール若しくはヘテロアリールアルキルで、各々は、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、SR、OR、NR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRSOR、NRSONR、OCONR、CN、COOR、CONR、COR若しくはRSiで任意的に置換されており、各々のRは互いに独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール、又は、それらのヘテロ原子含有型であり、或いは、
ここでRは、OR、NR、SR、NRCONR、OCONR若しくはNRSONRであるが、各々のRは互いに独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ原子含有型であり、且つ、同一の原子に結合した二つのRは3−8員環(但し、該環はさらにアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、互いに任意的なハロ置換、SR、OR、NR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRSOR、NRSONR、OCONR又はRSiで置換されていてもよく、各々のRは、水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール、又はそれらのヘテロ原子含有型で、同一の原子と結合した二つのRは3−8員環を形成していてもよい)を形成していてもよく、上に規定されたように任意的に置換され;並びに
Xは、存在するならば、アルキレンである。
【請求項4】
jが0である請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素原子、又は、Rが任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル若しくはヘテロアルキルアリール、又は、RがSOR、SOR、RCO、COOR、アルキル-COR、SOR、CONR、SONR、CN、CF、NR、OR、アルキル-SR、アルキル-SOR、アルキル-SOR、アルキル-OCOR、アルキル-COOR、アルキル-CN、アルキル-CONR、若しくはRSi(但し、各Rは独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型)である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素原子、又は、Rが任意的に置換されたアルキル任意的に置換されたアシル、OR若しくはNR(但し、各Rは互いに独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型)である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
k及びlの双方が1である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がCO、CHOH又はCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がCOである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がNである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がCR、但し、Rは水素原子、OR、NR、SR又はハロであり、各Rは互いに独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ原子含有型である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi及びNOから成る群より選択された成分(moiety)で任意的に置換された、アルキレン(1−4C)又はアルケニレン(1−4C)である請求項1に記載の化合物、
但し、各Rは各々独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型で、並びに、Lにおける二つの置換基が非芳香族の飽和若しくは非飽和の環(該環は、酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子である0−3のヘテロ原子を含み、且つ3−8員である)を形成するために結合してもよく、又は、Lにおける二つの置換基は、カルボニル成分(moiety)又は当該カルボニル成分(moiety)のオキシム、オキシムエーテル、オキシムエステル若しくはケタールを形成するために結合してもよい。
【請求項13】
が置換されていないアルキレンである請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が置換されていないメチレンである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物、
但し、Aが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi及びNOから成る群より選択される0−5置換基で任意的に置換され、そこで、各々のRは独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型であり、また、隣接した位置にある前記置換基の二つが結合して、任意的に置換された芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の3−8員を含有する融合環を形成していてもよい。
【請求項16】
Aが任意的に置換されたフェニルである請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記任意的置換基がハロ、OR、又はアルキルである請求項16の化合物。
【請求項18】
前記フェニルが置換されていないか又は一つの置換基を有する請求項17の化合物。
【請求項19】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi及びNOから成る群より選択される請求項1に記載の化合物、
但し、各Rは独立して水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型であり、及び、隣接した位置にある二つのRが結合して、融合した、任意的に置換された芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の3−8員を含有する環を形成していてもよく、或いは、Rは=O又はそのオキシム、オキシムエーテル、オキシムエステル若しくはケタールである。
【請求項20】
各Rがハロ、OR、又はアルキルである請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
mが0、1、又は2である請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
mが2で、且つ双方のRがアルキルである請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
各Rがハロ、アルキル、ヘテロアルキル、OCOR、OR、NRCOR、SR、又はNRで、Rが水素原子、アルキル、アリール、又はそれらのヘテロ型である請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
がハロ又はアルコキシである請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
nが0、1、又は2である請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
各々のRは、独立して、水素原子、又は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アシル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキルアリール、NH-アロイル、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SOR、OCOR、NRCOR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、RCO、COOR、アルキル-OOR、SOR、CONR、SONR、NRSONR、CN、CF、RSi及びNOである請求項1に記載の化合物、
但し、各々のRは水素原子、アルキル、アルケニル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型であり、並びに、Rの二つは結合して、任意的に置換された芳香族若しくは非芳香族の、飽和若しくは非飽和の3−8員を含有する融合環を形成していてもよく、並びに/又は、Rの一つは任意な−W-COXY(但し、ここでW、X、Y、i及びjは請求項2の定義と同じである)である。
【請求項27】
の一つが−W-COXY(但し、W、X、Y、i及びjは請求項2と同じく定義される)であり、並びに、他の各Rが水素原子、アルキル、アシル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ハロ、OR、NR、SR、NRCOR、アルキル-OOR、RCO、COOR、及びCNから成る群より選択される請求項26に記載の化合物、
但し、各々のRは独立して水素原子、アルキル若しくはアリール又はそれらのヘテロ型である。
【請求項28】

が二重結合を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
が窒素原子で、且つ、ZがCRである請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
が窒素原子で、且つ、ZがCRである請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
及びZが窒素原子である請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
式(1)の化合物が実施例1−53において製造された化合物から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
治療上有効量の少なくとも一つの請求項1に記載の化合物と少なくとも一つの医薬的に許容しうる賦形剤とを含む、亢進したp38-α活性によって特徴付けられる状態(conditions)を治療するための医薬組成物。
【請求項34】
更に付加的な治療薬を含む請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記付加的な治療薬が副腎皮質ステロイド、モノクローナル抗体、又は細胞分裂阻害剤である請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
p38キナーゼによって仲介された状態を治療する必要のある患者に、請求項1の化合物又はそれらの医薬組成物を投与することを含む、そのような状態を治療する方法。
【請求項37】
前記状態が炎症誘発性反応である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記炎症誘発性反応が、多発性硬化症、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形関節炎、通風性関節炎、その他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、毒素ショック症候群、喘息、成人呼吸窮迫症候群、脳卒中、再灌流傷害、中枢神経系の障害、乾癬、再狭窄、脳性マラリア、慢性肺炎症疾患、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性繊維症、珪肺症、肺サルコーシス、骨折治癒、骨吸収性疾患、軟部組織損傷、移植片対宿主反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病及び発熱(pyresis)である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
式(1)の化合物が実施例1−27において製造された化合物から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
式(1)の化合物が実施例28−53において製造された化合物から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
式(1)の化合物が実施例7、8、11−27、及び33−47において製造された化合物から成る群より選択される請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−505552(P2006−505552A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543672(P2004−543672)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/032171
【国際公開番号】WO2004/032874
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504177206)サイオス インク. (5)
【Fターム(参考)】