説明

カメラ付き携帯情報端末

【課題】 レンズに視線が正対している画像を極めて簡単な手段により得られようにし、部品点数、組立て工数を減少し、製品の厚みを薄くして、より小型化することができるカメラ付き携帯情報端末を提供するものである。
【解決手段】 集光レンズを有するデジタルカメラを内蔵した携帯情報端末において、前記集光レンズの入射光側表面に特殊薄膜層を形成し、この薄膜層により上記集光レンズ上の前記デジタルカメラで撮影する画像の反射像を得ることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルカメラを内蔵した携帯電話機等の携帯情報端末に関し、特に撮影者自身を撮影することができるカメラ付き携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のカメラ付き携帯電話機の普及は目覚しいものがあるが、撮影者自身を撮影する、所謂、自分撮りの利用機会が増大するにつれて、自分撮りの際の操作性の改善、撮影画像の画質改善、小型化要請等、種々の技術的改良がなされている。
通常のカメラ付き携帯電話機にあっては、カメラレンズは携帯電話のディスプレイ面と反対面に取り付けられ、撮影時に上記ディスプレイをファインダーとして使用するように構成されているが、自分撮りの際には、上記ディスプレイを使用できないため、カメラレンズの近傍に鏡を設けこれをファインダーとして用いているものが多い。
【0003】
ところが、カメラレンズと鏡の位置がずれているため、鏡を見てアングルを決めた後シャッター操作を行うと、レンズに視線が正対している画像が得られ難いという問題があった。なお、最近のカメラ付き携帯電話機には、上記ディスプレイ面を180度回転させるヒンジを設けることによって、自分撮りの際にも上記ディスプレイをファインダーとして使用できるようにしたものがあるが、この場合も上記ファインダーの画像はレンズ画像とは異なるため、レンズに視線が正対している画像が得られ難いという問題は解決されず、また回転ヒンジ等の余分な部品が必要となっていた。
【0004】
特開2003−215664号公報(特許文献1参照)では、鏡をファインダーとして用いる場合であっても、レンズ位置に視線が向くように撮影することができるカメラ付き携帯電話機が提案されている。図4はこのような携帯電話機の外観図であり、レンズ100の表面にレンズカバーとして機能する鏡(ハーフミラー)200を設け、この鏡200をガイド300によりレンズ100の表面上に移動したり、レンズ表面からずらしたりしている。図4中、(a)はカメラで撮影していない状態を示し、(b)はカメラで撮影している状態を示している。
【0005】
従って、自分撮りを行うときは、鏡200がレンズ100と重なった状態となるため、この状態でアングルを決めることができ、また撮影時には例えばシャッターと連動して鏡200をレンズ100から外れた位置に移動させることにより、レンズ100に視線を固定した状態で鏡200に遮られることなく撮影することができる。
ところが、上記特許文献1のもののカメラ付き携帯電話機においては、上記のようにレンズ1の表面にレンズカバーとして機能する鏡(ハーフミラー)200やこの鏡を移動させるガイド300等の移動機構を設ける必要があり、部品点数の増加と組立て工数の増加の原因となり、またこれらの部品によって製品の厚みが増して大型化するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−215664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、レンズに視線が正対している画像を極めて簡単な手段により得られるようにし、部品点数、組立て工数を減少し、製品の厚みを薄くして、より小型化することができるカメラ付き携帯情報端末を提供するものである。
また、上記のような従来の構造によれば、鏡にはハーフミラーあるいは液晶シャッターを使用しているため、ハーフミラーあるいは液晶シャッターを透過し内部の撮像素子に入射する透過光量が減少することとなり、撮影画像が暗くなるという問題があった。
この発明は、特殊薄膜層を透過した際に減少した透過光量を補償し、カメラの撮影画像を良好に保つことができるカメラ付き携帯情報端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、集光レンズを有するデジタルカメラを内蔵した携帯情報端末において、前記集光レンズの入射光側表面に特殊薄膜層を形成し、この薄膜層により上記集光レンズ上の前記デジタルカメラで撮影する画像の反射像を得るようにしたものである。
また、この発明に係るカメラ付き携帯情報端末は、上記特殊薄膜層を透過した際に減少した透過光量を補償する補償手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るカメラ付き携帯情報端末は、集光レンズの入射光側表面に特殊薄膜層を形成するという極めて簡単な構成により、自分撮りを行うときであっても、レンズに視線が正対している好ましい画像を得ることができる。しかも、レンズの表面にレンズカバーとして機能する鏡(ハーフミラー)やこの鏡を移動させるガイド等の移動機構を設ける必要がなくなるため、部品点数ならびに組立て工数の減少を図ることができ、同時に製品の小型化を実現できるものである。
また、この発明に係るカメラ付き携帯情報端末は、特殊薄膜層を透過し内部の撮像素子に入射する透過光量の減少を補償する手段を設けたので、撮影画像の劣化を防ぐことができ、高品質撮影を確保することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るカメラ付き携帯情報端末について図面を参照しながら説明する。図1は、カメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図であり、撮影者自身を撮影する場合を示している。図1において、携帯電話機本体1にはデジタルカメラ2と補助ライト6とを内蔵したものが示されている。デジタルカメラ2は集光レンズ3及び撮像素子4を少なくとも有し、集光レンズ3により取り込まれた被写体10の画像を撮像素子4上に撮影する。上記集光レンズ3の入射光側曲率は、撮影者自身を撮影する際の確認画像を得るためのミラーとして必要な曲率を持っている。
【0011】
集光レンズ3の入射光側表面にはハーフミラー特殊薄膜層5が形成されている。このハーフミラー特殊薄膜層5には、例えばガラスの表面に半透明の水銀膜を貼り付けた一般的にマジックミラーとして使用されているもの、あるいは樹脂材を利用するものとしてはアクリル(PMMA)やポリカーボネート樹脂(PC)にアルミを蒸着したもの等が使用される。このハーフミラー特殊薄膜層5は上記のものに限られず、一般にハーフミラーとして機能する周知のものが使用できる。
【0012】
また、携帯電話機本体1には更に、撮影する画像の明度の減衰を補償する手段として、レンズへの入射光量に応じて露光時間を調整する露光時間調整器11と、必要により補助ライト6を発光制御する補助ライト発光制御器12と、電気信号の増幅処理により撮影画像9に変換する電気信号増幅器13とを有している。集光レンズ3の入射光側表面には前述したようにハーフミラー特殊薄膜層5が形成されており、これにより入射光の約40〜50%程度を反射させるよう設定されている。なお、前記集光レンズ3の入射光側曲率は約50〜60cmの距離で約50〜60cm角の範囲を写すことができる曲率に設定され、該集光レンズ3が撮影者自身を撮影する際の確認画像を得るためのミラーとして機能する。
【0013】
携帯電話機本体1には前記集光レンズ3を通してカメラ内に取り込まれる光量を測定する露出計等の手段(図示せず)が存在し、これにより、撮影に必要な光量に達するように露光時間調整器11により露光時間の調整を行う。上記露光時間が長くなり、概略60msec以上になった場合には補助ライト発光制御器12により補助ライト6を点灯させ、光量を補充する。露光時間の調整後、デジタルカメラ2の撮像素子4に形成された画像信号は電気信号増幅器13により電気的に増幅され、撮影画像9に変換処理される。
【0014】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、上記のように集光レンズの入射光側表面にハーフミラー特殊薄膜層5を施すことにより、集光レンズとハーフミラー特殊薄膜層とが常に同一位置に配置されることとなり、レンズに視線が正対している好ましい画像を極めて簡単な手段により得られるものである。また上記実施の形態1によれば、レンズの表面にレンズカバーとして機能する鏡(ハーフミラー)やこの鏡を移動させるガイド等の移動機構を設ける必要がなく、部品点数や組立て工数の削減を図ることができ、材料コストおよび製造コスト削減が可能となる。また、前記レンズカバー等の別ミラー部品を必要としないため、そのための寸法分だけデジタルカメラ付き携帯電話機の薄型化を実現できる。
【0015】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係るカメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図を示しており、図1と同じく撮影者自身を撮影する場合の概念構成図である。図2において、携帯電話機本体1にはデジタルカメラ2と補助ライト6とを内蔵し、デジタルカメラ2は集光レンズ3により取り込まれた被写体10の画像が撮像素子4上に撮影される。上記集光レンズ3の入射光側表面にはハーフミラー特殊薄膜層5が形成されており、入射光の約40〜50%程度を反射させるよう設定されており、また、前記集光レンズ3の入射光側曲率は約50〜60cmの距離で約50〜60cm角の範囲を写すことができる曲率に設定され、撮影者自身を撮影する際の確認画像を得るためのミラーとして機能することも図1と同一である。
【0016】
図1と異なる点は、デジタルカメラ2の撮像素子4に形成された画像信号は、まず電気信号増幅器13により増幅され、その上で露光時間調整器11により露光時間の調整を行う。上記露光時間が長くなり、概略60msec以上になった場合には補助ライト発光制御器12により補助ライト6を点灯させ、光量を補充する。露光時間の調整後、デジタルカメラ2の撮像素子4に形成された画像信号は電気信号増幅器13により電気的に増幅され、撮影画像9に変換処理される。以上により実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0017】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係るカメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図を示しており、集光レンズ3の外側表面にEL(エレクトロルミネッセンス)薄膜層7を施している点以外は図1と全く同一である。EL薄膜層7は電極間に電圧を印加したり、印加しないように切り替えることにより、透過膜になったり反射膜になったりする性質を持つものである。図のようにEL薄膜層7はスイッチ8の動作により電気的に開閉されることになる。従って、EL薄膜層7が閉のとき、集光レンズ3への入射光は反射され、前記集光レンズ3の入射光面が撮影者の撮影画像状況を確認するためのミラーの役割をする。
【0018】
また、EL薄膜層7が開のとき、集光レンズ3への入射光は透過され、集光レンズ3によりデジタルカメラ2の撮像素子4に画像を形成し、画像信号はその大きさに応じて露光時間調整器11により露光時間の調整を行い、露光時間が概略60msec以上の場合には補助ライト発光制御器12により補助ライト6を点灯させ、光量を制御する。露光時間調整後、画像信号は電気信号増幅器13により電気的に増幅され、撮影画像9に変換処理される。以上により実施の形態1と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施の形態1によるカメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図である。
【図2】図2は、実施の形態2によるカメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図である。
【図3】図3は、実施の形態3によるカメラ付き携帯情報端末の側面部分の一部断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 携帯電話機本体、 2 デジタルカメラ、3 集光レンズ、
4 撮像素子、5 ハーフミラー特殊薄膜層、 6 補助ライト、
7 EL薄膜層 8 スイッチ、9 撮影画像、10 被写体、
11 露光時間調整器、 12 補助ライト発光制御器、
13 電気信号増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光レンズを有するデジタルカメラを内蔵した携帯情報端末において、前記集光レンズの入射光側表面に特殊薄膜層を形成し、この薄膜層により上記集光レンズ上の前記デジタルカメラで撮影する画像の反射像を得ることを特徴とするカメラ付き携帯情報端末。
【請求項2】
前記特殊薄膜層はハーフミラー膜であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯情報端末。
【請求項3】
前記特殊薄膜層はEL(エレクトロルミネッセンス)膜であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯情報端末。
【請求項4】
前記EL(エレクトロルミネッセンス)膜はスイッチ動作による電気信号操作で開閉され、前記EL薄膜層が閉のときに前記デジタルカメラで撮影する画像の反射像を得ることを特徴とする請求項3に記載のカメラ付き携帯情報端末。
【請求項5】
特殊薄膜層を透過した際に減少した透過光量を補償する補償手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯情報端末。
【請求項6】
前記補償手段はレンズへの入射光量に応じて露光時間を調整する露光時間調整器と、必要により補助ライトを発光制御する補助ライト発光制御器と、電気信号の増幅処理により撮影画像に変換する電気信号増幅器とから構成されることを特徴とする請求項5に記載のカメラ付き携帯情報端末。
【請求項7】
前記補償手段はデジタルカメラの撮像素子に形成された画像信号を増幅する電気信号増幅器と、前記増幅器からの増幅信号に応じて露光時間を調整する露光時間調整器と、必要により補助ライトを発光制御する補助ライト発光制御器とから構成されることを特徴とする請求項5に記載のカメラ付き携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−146050(P2006−146050A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338942(P2004−338942)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】