説明

貯留槽設備

【課題】
本発明の目的は、粉粒状体に狭雑物が混在していても閉塞を発生させることなく定量排出できる貯留槽設備を提供することにある。
【解決手段】
水平にスライドして筒状貯留槽1の排出口2を開閉する対向配置された矩形状の一対のスライドゲート弁3a、3bを設ける。スライドゲート弁3a、3bはそれぞれ駆動装置4a、4bで水平駆動される。一対のスライドゲート弁3a、3bは貯留槽1の略中心部で一部が重なるように配置されている。粉粒状体の貯留槽投入時は一対のスライドゲート弁3a、3bを貯留槽1の略中心部まで移動させて排出口2を閉状態とし、排出時には両スライドゲート弁3a、3bを開いて排出を行い、定量排出後に両スライドゲート弁3a、3bを貯留槽の略中心部まで移動させて排出を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などの粉粒状体を貯留して定量排出する貯留槽設備に関する。
【背景技術】
【0002】
生塵を処理した粉粒状の炭化物などを処理する処理プロセスにおいては粉粒状体を貯留し定量排出するために貯留槽が用いられる。貯留槽から定量排出された粉粒状体は搬送用の容器に供給される。しかし、粉粒状体の性状によっては貯留槽下部に形成される排出口に閉塞を発生し、定量排出ができなくなる場合がある。特に、粉粒状体に狭雑物類が混入している場合は、排出機構への噛み込みが発生し、閉塞する可能性が高くなる。
【0003】
従来、養鶏用飼料を供給するホッパー内にブリッジ防止コイルと切出し杆を設け、杆駆動モータによってブリッジ防止コイルと切出し杆を回転駆動させ、閉塞を防止することが知られている。また、振動器でホッパー内の振動部材を振動させて、粉体のブリッジを崩して閉塞を防止することも知られている。前者は下記の特許文献1に記載されており、後者は特許文献2に記載されている。
【0004】
閉塞防止の観点では塵の貯留槽に水平スライドする一枚の排出弁を設けるということも知られている。このことは、例えば、下記の特許文献3に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−34383号公報
【特許文献2】特開2002−347885号公報
【特許文献3】特開平5−132109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載されている従来技術は、一枚の排出弁(排出板)で排出口を開閉しているので閉塞を防止できるが、狭雑物の混入していると貯留槽の内壁と排出弁の間に挟雑物が挟まり全閉状態にできなくなる。このため、処理対象物である粉粒状体を定量排出できなくなるという問題点を有する。
【0007】
本発明の目的は、粉粒状体に狭雑物が混在していても閉塞を発生させることなく定量排出できる貯留槽設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴とするところは、水平にスライドして筒状貯留槽の排出口を開閉する対向配置された矩形状の一対のスライドゲート弁を設け、一対のスライドゲート弁は貯留槽の略中心部で一部が重なるように配置されていることにある。
【0009】
具体的には、粉粒状体の貯留槽投入時は一対のスライドゲート弁を貯留槽の略中心部まで移動させて排出口を閉状態とし、排出時には両スライドゲート弁を開いて排出を行い、定量排出後に両スライドゲート弁を貯留槽の略中心部まで移動させて排出を停止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は水平にスライドする一対のスライドゲート弁は貯留槽の略中心部で一部が重なるように配置されているので狭雑物が混在している粉粒状体でも確実に全閉状態にでき、貯留槽を閉塞することなく定量排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
筒状の貯留槽は下部に排出口を形成され粉粒状体を貯留する。貯留槽の排出口の下側には容器が配置されている。水平にスライドして排出口を開閉する一対のスライドゲート弁が対向配置されている。一対のスライドゲート弁は矩形状に形成されている。一対の駆動装置は一対のスライドゲート弁をそれぞれスライド駆動する。一対のスライドゲート弁は貯留槽の略中心部で一部が重なるように配置されている。
【実施例1】
【0012】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0013】
図1において、貯留槽1は上部が円筒形、下部が円錐形に形成されており、架台15に支持されている。貯留槽1の下部には一対のスライドゲート弁3a、3bが設けられている。貯留槽1の下部には一対のスライドゲート弁3a、3bが対向配置されている。スライドゲート弁3a、3bはシリンダなど駆動装置4a、4bスライド駆動され、貯留槽1の排出口2を開閉する。スライドゲート弁3a、3bは図2に示すように矩形状の板で、貯留槽1の略中心部で一部が重なるように配置されている。スライドゲート弁3a、3bの重なり部分は数mmの間隙が設けられている。
【0014】
スライドゲート弁3a、3bと駆動装置4a、4bは共に架台15に支持されており、スライドゲート弁3a、3bの互いの位置関係は上下方向に設置位置を若干ずらしてある。容器5は排出口2の下側に配置されている。
【0015】
この構成において、貯留槽1に粉粒状体の受入れ時には各スライドゲート弁3a、3bを図2のように貯留槽1の略中心部まで移動させ、貯留槽1下部の排出口2を閉止状態とし受入れを行う。また、排出時にはスライドゲート弁3a、3bを開いて排出口2から容器5に排出する。定量排出後はスライドゲート弁3a、3bを貯留槽1の略中心部まで移動させて排出を停止する。
【0016】
このようにして粉粒状体を定量排出するのであるが、水平にスライドする一対のスライドゲート弁3a、3bは貯留槽1の略中心部で一部が重なるように配置されているので狭雑物が混在している粉粒状体でも確実に全閉状態にでき、貯留槽1を閉塞することなく定量排出することができる。
【実施例2】
【0017】
図3に本発明の他の実施例を示す。図3において図1と異なるところは、排出口2の下側にスライドゲート弁3a、3bを配設し、貯留槽1の下部に排出予備室6と仕切り弁7を設けていることである。仕切り弁7は仕切り弁駆動装置8によって駆動される。
【0018】
この構成において、狭雑物を含む灰の粉粒状体を貯留槽1に受入れた状態では、スライドゲート弁3a、3b及び仕切り弁7は閉止状態である。この時、スライドゲート弁3a、3bは互いに重なり部を有して停止しており、粉粒状体が下流側へ漏れることを防止している。
【0019】
排出時にはスライドゲート弁3a、3bを全開にし、貯留槽1内の粉粒状体を排出予備室6に充填させる。尚、この時仕切り弁7は閉止状態である。次にスライドゲート弁3a、3bを閉止させる。この時、スライドゲート弁3a、3bは、排出予備室6の中心部近傍までしか閉止しないため、比較的大きな狭雑物が混入していても全閉状態にできる。
【0020】
排出予備室6に充填した塊、粉粒状体はスライドゲート弁3a、3bが閉じられたまま、仕切り弁7を仕切り弁駆動装置8で全開状態にすることによって、容器5へ所定量を排出可能である。
【0021】
図4は粉粒状体を容器5に充填する例を示している。図4において、図示しない生成プロセスにより作成された粉粒状体は受槽9で受入れ、スクリューフィーダ10によってコンベア11へ搬送される。コンベア11は貯留槽1へ連続的に粉粒状体を供給し、貯留槽1が満杯になったら運転を停止する。
【0022】
貯留槽1の下部には排出予備室6が設けられ、スライドゲート弁3a、3bと排出予備室6に設けてあり、更に排出予備室6の下部には仕切り弁7が設置されている。貯留槽1内の粉粒状体は、スライドゲート弁3a、3b及び仕切り弁7の開閉動作により、ローラーコンベア12上に乗せられた容器5に所定の量が排出され、図示されない次工程へ送られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の要部の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明を用いた全体設備構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1…貯留槽、2…排出口、3a、3b…スライドゲート弁、4a、4b…駆動装置、5…容器、6…排出予備室、7…仕切り弁、8…仕切り弁駆動装置、9…受槽、10…スクリューフィーダ、11…コンベア、12…ローラーコンベア、15…架台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に排出口を形成され粉粒状体を貯留する筒状の貯留槽と、前記排出口の下側に配置されている容器と、水平にスライドして前記排出口を開閉する対向配置された矩形状の一対のスライドゲート弁と、前記一対のスライドゲート弁をそれぞれスライド駆動する一対の駆動装置を具備し、前記一対のスライドゲート弁は前記貯留槽の略中心部で一部が重なるように配置されていることを特徴とする貯留槽設備。
【請求項2】
下部に排出口を形成され粉粒状体を貯留する筒状の貯留槽と、前記貯留槽の前記排出口下部に形成された排出予備室と、前記排出予備室の下側に配置されている容器と、水平にスライドして前記排出口を開閉する対向配置された矩形状の一対のスライドゲート弁と、前記一対のスライドゲート弁をそれぞれスライド駆動する一対の駆動装置と、前記排出予備室から前記粉粒状体を前記容器に投入する仕切り弁とを具備し、前記一対のスライドゲート弁は前記貯留槽の略中心部で一部が重なるように配置されていることを特徴とする貯留槽設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−312462(P2006−312462A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134805(P2005−134805)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】