説明

車両の遠隔制御システム及び遠隔制御方法

【課題】ユーザが施錠せずに車両から離れてしまった場合に、車両の施錠を自動的に行なうことができる技術を提供する。
【解決手段】本発明では、ユーザが使用する携帯機器1が近距離無線通信を行なう近距離無線通信部11を有している。該携帯機器1は、車両3の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する。そして、携帯機器1をユーザが車両3から離れている時に使用した場合に、車両が開錠しているときは、車載無線通信装置34に制御信号を送信することで車両3の施錠を自動的に行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の遠隔制御システム及び遠隔制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IDカードや定期券、携帯電話機等の携帯機器に他の機器との間で近距離無線通信(例えば、NFC:Near Field Communication)を行なう通信部(以下、近距離無線通信部と称する)を設け、近距離無線通信を利用してユーザ認証や電子マネーの決済を行う技術が広く普及している。また、このような近距離無線通信部を備えた携帯機器に、車両の電子キーとしての機能を付加することで、利便性を向上させる技術も開発されている。該携帯機器が車両の電子キーとしての機能を有している場合、ユーザは、該携帯機器を車両にタッチさせる等の動作によって、車両の施開錠やエンジン始動等を行なうことができ、車両用キーを別途所持する必要がなくなる。
【0003】
特許文献1には、一つの電子キーに、住宅に設けられた住宅側コントローラと、車両に設けられた車両側コントローラと、のいずれとも通信可能な機能を持たせる技術が開示されている。この特許文献1に記載の技術では、電子キーが、住宅側コントローラから住宅側情報を、車両側コントローラの車側情報を逐次取得する。そして、取得された情報に基づいて住宅および車両の施開錠等の制御を自動的に行なう。
【0004】
また、車両用の電子キーシステムとしては、電子キーと車両との間の無線通信により、電子キーを所持したユーザが車両に近づくと車両の開錠が自動的に行なわれ、該ユーザが車両から離れると車両の施錠が自動的に行なわれる、いわゆるスマートエントリーシステムあるいはスマートキーシステムが実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−255094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近距離無線通信部を有する携帯機器を車両の電子キーとして用いる場合、キーレスシステムとは異なり、車両の施錠を行なう際に、ユーザは該携帯機器を車両にタッチさせる等の施錠のための動作をする必要がある。従って、ユーザがこのような施錠のための動作をせずに車両から離れてしまうと、車両が開錠されたままの状態となってしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ユーザが施錠せずに車両から離れてしまった場合に、車両の施錠を自動的に行なうことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、ユーザが使用する携帯機器が近距離無線通信を行なう近距離無線通信部を有している。該携帯機器は、車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する。そして、携帯機器をユーザが車両から離れている時に使用した場合に、車両が開錠しているときは、車載無線通信装置に制御信号を送信することで車両の施錠を自動的に行なう。
【0009】
より詳しくは、本発明に係る車両の遠隔制御システムは、
車両を無線通信によって遠隔制御する車両の遠隔制御システムであって、
前記車両に搭載され、該車両外部の車両管理サーバとの間で無線通信が可能な車載無線通信装置と、
近距離無線通信部を有し、前記車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する携帯機器と、を備え、
前記車両管理サーバが前記車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得し、
前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用された時に前記車両の鍵が開いている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なう。
【0010】
携帯機器による近距離無線通信が車両の電子キー以外の機能に使用された時は、ユーザが車両から離れていると考えられる。そこで、本発明に係るシステムでは、この時に、車両の鍵が開いている場合、自動的に車両の施錠を行なう。これにより、ユーザが施錠せずに車両から離れてしまった場合であっても、車両の施錠を自動的に行なうことができる。
【0011】
本発明においては、携帯機器と車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時には、該外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から携帯機器のID情報が送信されるようにしてもよい。そして、外部機器管理サーバによって携帯機器のID情報が受信された時には、さらに、該ID情報が外部機器管理サーバから車両管理サーバに送信されるようにしてもよい。この場合、車両管理サーバが外部機器管理サーバから携帯機器のID情報を受信したときには、該携帯機器による近距離無線通信が車両の電子キー以外の機能に使用されたと判断することができる。
【0012】
本発明では、車両管理サーバが、携帯機器と車両とが所定距離より離れているか否かを判別する判別手段を有してもよい。そして、携帯機器による近距離無線通信が車両の電子キー以外の機能に使用された時であって、且つ判別手段によって携帯機器と車両とが所定距離より離れていると判定されたときに、車両の鍵が開いている場合、車両の施錠を自動的に行なうようにしてもよい。
【0013】
ユーザが車両から離れている場合であっても、ユーザと車両との間の距離が比較的短く、車両の施錠を行なう必要性が低い場合がある。上記の場合における所定距離とは、車両の施錠を行なう必要性が低いと考えられる距離の最大値である。上記によれば、その必要性が高いときにのみ、車両の施錠を行なうことができる。
【0014】
本発明では、車両管理サーバが車載無線通信装置との通信によって車両のイグニッションの状態を取得するようにしてもよい。そして、携帯機器による近距離無線通信が車両の電子キー以外の機能に使用された時に車両のイグニッションがONとなっている場合、車両管理サーバから車載無線通信装置に制御信号を送信することで車両のイグニッションをOFFにするようにしてもよい。これによれば、ユーザがイグニッションをOFFにせずに車両から離れてしまった場合であっても、イグニッションを自動的にOFFにすることができる。
【0015】
また、車両管理サーバが前記判別手段を有している場合は、携帯機器による近距離無線通信が車両の電子キー以外の機能に使用された時であって、且つ判別手段によって携帯機器と車両とが所定距離より離れていると判定されたときに、イグニッションを自動的にOFFにするようにしてもよい。これによれば、その必要性が高いときにのみ、イグニッションをOFFにすることができる。
【0016】
また、本発明は、前記車載無線通信装置及び前記携帯機器を利用して車両を遠隔制御する遠隔制御方法として捉えることもできる。この場合、本発明に係る車両の遠隔制御方法は、
前記携帯機器と前記車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時に、該外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から前記携帯機器のID情報を送信するステップと、
前記外部機器から受信した前記携帯機器のID情報を前記外部機器管理サーバから前記車両管理サーバに送信するステップと、
前記車両管理サーバが前記車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得するステップと、
前記車両管理サーバが前記外部機器管理サーバから前記携帯機器のID情報を受信した時に前記車両の鍵が開いている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なうステップと、
を有する。
【0017】
また、本発明は、車両管理サーバとして捕らえることもできる。この場合、本発明に係る車両管理サーバは、
車両を無線通信によって遠隔制御する車両管理サーバであって、
前記車両に搭載された車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得し、
前記車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する携帯機器と前記車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時に、該外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から送信される前記携帯機器のID情報を、該外部機器管理サーバから受信し、
前記携帯機器のID情報を前記外部機器管理サーバから受信したときに、前記車両の鍵が開いている場合、前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なう。
【0018】
また、本発明は、上記システムの構成の少なくとも一部を有する遠隔制御装置として捉えることもできる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む遠隔制御方法、または、かかる方法を実現するプログラムとして捉えることもできる。上記構成および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザが施錠せずに車両から離れてしまった場合に、車両の施錠を自動的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係る車両の遠隔制御システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る遠隔制御方法を示すフローチャートである。
【図3】実施例1に係る他の遠隔制御方法を示すフローチャートである。
【図4】実施例2に係る遠隔制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
<実施例1>
[システムの概略構成]
図1は、本実施例に係る車両の遠隔制御システムの概略構成を説明するための図である。本実施例に係る遠隔制御システムは、携帯電話機1及び車載用データ通信装置34を含んで構成される。携帯電話機1は、ユーザが所持する携帯電話機である。車載用データ通信装置34は、制御対象となる車両3に搭載されている。
【0023】
(携帯電話機)
携帯電話機1は、携帯電話用NFC通信部11、MPU(Micro Processing Unit)1
2、及び電話・電子メール機能部13を備えている。電話・電子メール機能部13は、通常の電話機能や電子メール機能を実現する。
【0024】
携帯電話用NFC通信部11は、非接触型ICチップを有し、他の機器とNFC(Near
Field Communication)によって通信を行なう通信部である。該NFCとしては、Felica(登録商標)やMIFARE(登録商標)等の方式を採用することができる。
【0025】
携帯電話機1は、該NFCによって実現される車両3の電子キー機能及び電子財布機能を有している。つまり、ユーザは、携帯電話機1を、車両3のキーとしても使用でき、また電子財布(所謂お財布携帯)としても使用できる。
【0026】
MPU12は、電子キー機能部121及び電子財布機能部122を有している。MPU12には、携帯電話機1のIDコードが記憶されている。携帯電話機1が車両3の電子キーとして使用される場合、電子キー機能部121からNFC通信部11に該IDコードが出力され、該IDコードがNFC通信部11から車両側のNFC通信部に送信される。また、携帯電話機1が電子財布として使用される場合、電子財布機能部122からNFC通信部11に該IDコードが出力され、該IDコードがNFC通信部11から相手側(外部機器)のNFC通信部に送信される。
【0027】
(車両)
車両3は、ロック用NFC通信部31、イグニッション(IG)用NFC通信部32、ECU33、車載用テータ通信装置34、及びカーナビゲーション装置35を備えている。また、ECU(Electrical Control Unit) 33は、ロック制御部331及びイグニッション(IG)制御部332を有している。
【0028】
ロック用NFC通信部31及びIG用NFC通信部32は、携帯電話用NFC通信部11の非接触型ICチップとの間で情報を送受信するリーダ/ライタを有している。車両3の施開錠が行なわれる場合、ユーザが携帯電話機1をタッチさせることで、携帯電話用NFC通信部11からロック用NFC通信部31に携帯電話機1のIDコードが送信される。ロック用NFC通信部31によって受信されたIDコードはECU33のロック制御部331に入力される。そして、該IDコードがECU33に予め記憶されたIDコードと一致すると、ロック制御部331によって車両3のロックが施錠又は開錠される。
【0029】
また、車両3のエンジンを始動又は停止させる場合、ユーザが携帯電話機1をタッチさせることで、携帯電話用NFC通信部11からIG用NFC通信部32に携帯電話機1のIDコードが送信される。ロック用NFC通信部31によって受信されたIDコードはECU33のIG制御部332に入力される。そして、該IDコードがECU33に予め記憶されたIDコードと一致すると、IG制御部332によって車両3のイグニッションがON又はOFFにされる。
【0030】
車載用データ通信装置34には、ロック制御部331からロックの施開錠状態に関するデータ(以下、施開錠データと称する)が入力され、IG制御部332からイグニッショ
ンのON/OFF状態に関するデータ(以下、IG−ON/OFFデータと称する)が入力される。入力されたこれらのデータは、車載用データ通信装置34から、外部サーバである車両管理サーバ5に送信される。これにより、車両3の施開錠状態及びイグニッションのON/OFF状態を常に監視することができる。
【0031】
(外部機器)
ここで、携帯電話機1を電子財布として使用する場合に、NFCの相手側の機器となる外部機器について説明する。尚、ここでは、外部機器を鉄道の駅等に設けられた改札ゲートとした場合を例に挙げて説明する。ただし、外部機器は改札ゲートに限られるものではなく、NFCによって電子マネーの決済を行う機器(例えば、小売店のレジや自動販売機等)であればどのようなものでもよい。
【0032】
改札ゲート2は、ゲート用NFC通信部21及びゲート用データ通信装置22を備えている。ゲート用NFC通信部21は、携帯電話用NFC通信部11の非接触型ICチップとの間で情報を送受信するリーダ/ライタを有している。ユーザが該改札ゲート2を通過する際に携帯電話機1をタッチさせることで、携帯電話用NFC通信部11からゲート用NFC通信部21に携帯電話機1のIDコードが送信される。ゲート用NFC通信部21によって受信されたIDコードはゲート用データ通信装置22に入力される。ゲート用データ通信装置22に入力されたIDコードは、課金データと共に外部サーバである課金サーバ4に送信される。そして、該IDコードと課金サーバ4に予め記憶されたIDコードとの照合が行なわれると共に、課金データに応じた決済が行われる。
【0033】
尚、本実施例においては、携帯電話機1が本発明に係る携帯機器に相当し、携帯電話用NFC通信部11が本発明に係る近距離無線通信部に相当する。ただし、本発明に係る携帯機器は携帯電話機に限られるものではなく、例えば、車両の電子キー機能と電子財布機能とを有する非接触型ICカード等であってもよい。また、本発明に係る携帯機器が近距離無線通信によって実現する複数の機能は、少なくとも車両の電子キー機能が含まれていればよく、その他の機能は電子財布機能に限られるものではない。
【0034】
また、本実施例においては、携帯電話機1と外部機器との間における近距離無線通信としてはNFCを用いることとしたが、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LANとい
った通信技術を用いることもできる。
【0035】
また、本実施例においては、車載用データ通信装置34が本発明に係る車載無線通信装置に相当する。また、本実施例においては、課金サーバ4が本発明に係る外部機器管理サーバに相当し、車両管理サーバ5が本発明に係る車両管理サーバに相当する。
【0036】
[車両の遠隔制御方法]
上述したように、本実施例においては、車両3の施錠を行う際に、ユーザは携帯電話機1を車両3にタッチさせる必要がある。そのため、ユーザが携帯電話機1を車両3にタッチさせることなく車両3から離れてしまうと、車両3が開錠したままの状態となる。そこで、本実施例では、このような場合、遠隔制御によって自動的に車両3の施錠を行なう。以下、このときの遠隔制御方法について図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
上記のように、携帯電話機1と改札ゲート2との間でNFC通信が行なわれた時(ステップS101,S102)、即ち、携帯電話機1が電子財布として使用された時は、ユーザが車両3から離れていると判断できる。そこで、課金サーバ4は、ゲート用データ通信装置22から課金データと共に携帯電話機1のIDコードを受信すると(ステップS103,S104)、該IDコードを直ちに車両管理サーバ5に送信する(ステップS105)。尚、改札ゲート2以外の外部機器と携帯電話機1との間でNFC通信が行われた時も
同様にユーザが車両3から離れていると判断できる。そのため、該外部機器から携帯電話機1のIDコードを受信した課金サーバは、該IDコードを車両管理サーバ5に送信する。
【0038】
車両管理サーバ5には、車載用データ通信装置34から施開錠データが送信されている(ステップS111,S112)。そして、車両管理サーバ5は、課金サーバ4から送信された携帯電話機1のIDコードを受信すると(ステップS106)、該施開錠データに基づいて車両3が施錠されているか否かを判別する(ステップS107)。車両3が施錠されていないと判定した場合、車両管理サーバ5は車両3の車載用データ通信装置34に施錠信号を送信する(ステップS108)。
【0039】
車載用データ通信装置34は、車両管理サーバ5から送信された施錠信号を受信すると(ステップS109)、ECU33のロック制御部331に施錠信号を入力する。ロック制御部331は、施錠信号が入力されると、車両3の施錠を実行する(ステップS110)。
【0040】
このような遠隔制御によれば、ユーザが施錠せずに車両3から離れてしまった場合であっても、車両3の施錠を自動的に行なうことができる。
【0041】
[その他の遠隔制御]
ユーザが、車両3の施錠のみならず、エンジンの停止(イグニッションOFF)も行なわずに、車両3から離れてしまうケースも考えられる。そこで、本実施例では、遠隔制御によって、車両3の施錠と共にエンジンの停止を行なってもよい。
【0042】
以下、このときの遠隔制御方法について図3に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この場合においても、(a)携帯電話機、(b)改札ゲート(外部機器)、及び(c)課金サーバでの制御フローは図2に示すフローと同様である。また、(d)車両管理サーバ及び(e)車両での制御フローにおけるステップS106〜112の処理も図2に示すフローと同様である。
【0043】
車両管理サーバ5には、車載用データ通信装置34からIG−ON/OFFデータが送信されている(ステップS215,S216)。そして、車両管理サーバ5は、課金サーバ4から送信された携帯電話機1のIDコードを受信すると(ステップS106)、車両3が施錠されているか否かを判別すると共に(ステップS107)、該IG−ON/OFFデータに基づいて、車両3のイグニッションがOFFになっているか否かを判別する(ステップS211)。車両3のイグニッションがOFFになっていないと判定した場合、車両管理サーバ5は車両3の車載用データ通信装置34にイグニッションOFF(IG−OFF)信号を送信する(ステップS212)。
【0044】
車載用データ通信装置34は、車両管理サーバ5から送信されたIG−OFF信号を受信すると(ステップS213)、ECU33のIG制御部332にIG−OFF信号を入力する。IG制御部332は、IG−OFF信号が入力されると、車両3のイグニッションをOFFにする(ステップS214)。これにより、車両3のエンジンが停止される。
【0045】
このような遠隔制御によれば、ユーザがエンジンを停止させずに車両3から離れてしまった場合であっても、該エンジンを自動的に停止させることができる。
【0046】
<実施例2>
[車両の遠隔制御方法]
本実施例に係る車両の遠隔制御システムは、ユーザが車両3から離れているときに、車
両3の施錠を自動的に行なう点では実施例1と同様である。しかしながら、ユーザが車両3から離れている場合であっても、ユーザと車両3との間の距離が比較的短く、車両3の施錠を行なう必要性が低い場合がある(例えば、道路脇に設置された自動販売機で商品を購入する場合等)。そこで、本実施例では、外部機器と携帯電話機1との間でNFC通信が行われた時に、携帯電話機1と車両3との距離(即ち、ユーザと車両3との距離)が所定距離より離れている場合にのみ、遠隔制御によって車両3の施錠を自動的に行なうようにする。ここで、所定距離とは、車両の施錠を行なう必要性が低いと考えられる距離の最大値として設定された距離である。
【0047】
以下、このときの遠隔制御方法について図4に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この場合においても、(a)携帯電話機及び(b)改札ゲート(外部機器)での制御フローは図2に示すフローと同様である。また、(d)車両管理サーバ及び(e)車両での制御フローにおけるステップS107〜112の処理も図2に示すフローと同様である。
【0048】
携帯電話機1と改札ゲート2等の外部機器との間でNFC通信が行なわれた時は、外部機器の位置を携帯電話機1の位置(即ちユーザの位置)として扱うことができる。そこで、本実施例では、外部機器によって、課金データ及び携帯電話機1のIDコードと共に、該外部機器の位置データが課金サーバ4に送信される。
【0049】
課金サーバ4は、外部機器から、課金データ、携帯電話機1のIDコード、及び外部機器の位置データを受信すると(ステップS304)、該IDコード及び該外部機器の位置データを直ちに車両管理サーバ5に送信する(ステップS305)。
【0050】
車両管理サーバ5には、車両3のカーナビケーション装置によって取得された該車両3の位置データが車載用データ通信装置34から送信されている(ステップS309,S310)。そして、車両管理サーバ5は、課金サーバ4から送信された携帯電話機1のIDコード及び外部機器の位置データを受信すると(ステップS306)、車両3の位置データと外部機器の位置データとに基づいて、車両3と外部機器との距離(即ち、車両3と携帯電話機1との距離)ΔLdvを算出する。
【0051】
次に、車両管理サーバ5は、算出された距離ΔLdvが所定距離ΔL0より長いか否かを判別する。ここで、距離ΔLdvが所定距離ΔL0より長いと判定された場合、車両管理サーバ5は、実施例1と同様、車両3が施錠されているか否かを判別する(ステップS107)。一方、距離ΔLdvが所定距離ΔL0以下と判定された場合、車両管理サーバ5は、車両3の施開錠状態を確認することなく本フローの実行を終了する。
【0052】
このような遠隔制御によれば、ユーザが施錠せずに車両3から離れている場合であって、その施錠を行なう必要性が高いときにのみ、車両3の施錠を自動的に行なうことができる。
【0053】
尚、ユーザが車両3から離れている時に車両3のイグニッションを自動的にOFFにする場合においても、上記と同様、車両3と外部機器との距離が所定距離より長いときにのみ、車両3のイグニッションをOFFにするようにしてもよい。これによれば、その必要性が高いときにのみ、イグニッションをOFFにすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・携帯電話機
11・・携帯電話用NFC通信部
121・・電子キー機能部
122・・電子財布機能部
2・・・改札ゲート(外部機器)
21・・ゲート用NFC通信部
3・・・車両
31・・ロック用NFC通信部
32・・イグニッション用NFC通信部
331・・ロック制御部
332・・イグニッション制御部
34・・車載用データ通信装置
4・・・課金サーバ
5・・・車両管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を無線通信によって遠隔制御する車両の遠隔制御システムであって、
前記車両に搭載され、該車両外部の車両管理サーバとの間で無線通信が可能な車載無線通信装置と、
近距離無線通信部を有し、前記車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する携帯機器と、を備え、
前記車両管理サーバが前記車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得し、
前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用された時に前記車両の鍵が開いている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なう車両の遠隔制御システム。
【請求項2】
前記携帯機器と前記車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時には、該外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から前記携帯機器のID情報が送信され、さらに、該ID情報が前記外部機器管理サーバから前記車両管理サーバに送信され、
前記車両管理サーバが前記外部機器管理サーバから前記携帯機器のID情報を受信した場合、前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用されたと判断する請求項1に記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記車両管理サーバが、前記携帯機器と前記車両とが所定距離より離れているか否かを判別する判別手段を有しており、
前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用された時であって、且つ前記判別手段によって前記携帯機器と前記車両とが前記所定距離より離れていると判定されたときに、前記車両の鍵が開いている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なう請求項1又は2に記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記車両管理サーバが前記車載無線通信装置との通信によって前記車両のイグニッションの状態を取得し、
前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用された時に前記車両のイグニッションがONとなっている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両のイグニッションをOFFにする請求項1又は2に記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記車両管理サーバが、前記携帯機器と前記車両とが所定距離より離れているか否かを判別する判別手段を有しており、
前記携帯機器による近距離無線通信が前記車両の電子キー以外の機能に使用された時であって、且つ前記判別手段によって前記携帯機器と前記車両とが前記所定距離より離れていると判定されたときに、前記車両のイグニッションがONとなっている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両のイグニッションをOFFにする請求項4に記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項6】
車両に搭載され、該車両外部の車両管理サーバとの間で無線通信が可能な車載無線通信装置と、
近距離無線通信部を有し、前記車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する携帯機器と、
を利用して前記車両を遠隔制御する車両の遠隔制御方法であって、
前記携帯機器と前記車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時に、該
外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から前記携帯機器のID情報を送信するステップと、
前記外部機器から受信した前記携帯機器のID情報を前記外部機器管理サーバから前記車両管理サーバに送信するステップと、
前記車両管理サーバが前記車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得するステップと、
前記車両管理サーバが前記外部機器管理サーバから前記携帯機器のID情報を受信した時に前記車両の鍵が開いている場合、前記車両管理サーバから前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なうステップと、
を有する車両の遠隔制御方法。
【請求項7】
車両を無線通信によって遠隔制御する車両管理サーバであって、
前記車両に搭載された車載無線通信装置との通信によって前記車両の開施錠状態を取得し、
前記車両の電子キー機能を含む複数の機能を近距離無線通信によって実現する携帯機器と前記車両以外の外部機器との間で近距離無線通信が行なわれた時に、該外部機器を管理する外部機器管理サーバに該外部機器から送信される前記携帯機器のID情報を、該外部機器管理サーバから受信し、
前記携帯機器のID情報を前記外部機器管理サーバから受信したときに、前記車両の鍵が開いている場合、前記車載無線通信装置に制御信号を送信することで前記車両の施錠を行なう車両管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−41713(P2012−41713A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183069(P2010−183069)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】