説明

LiMCAのための電極構造

本発明は、溶融金属中の粒子の検出及び測定に用いられる液体金属清浄度分析器(LiMCA)における電磁ノイズの拾得を低減するための方法及び装置を提供する。溶融金属中に挿入された第1の電極は、溶融金属中に挿入されている第2及び第3の電極とは電気的に絶縁されている。溶融金属及び粒子は、電気的な絶縁体中の通路を通って、第1の電極と第2及び第3の電極との間を通る。第2及び第3の電極は、第1の電極に対して、第2及び第3の電極に電流が供給されたときに、第1の電極と第2の電極との間に対称的な電流ループを形成するのに十分な形態を有している。電流はウルトラ・コンデンサから供給される。対称的な電流ループにおける電磁ノイズが検出され、電磁ノイズの増幅を低減するように逆方向に付加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、溶融金属中の粒子を検出及び測定するための装置における電磁ノイズの拾得(pick up)の低減に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶融金属、とくに溶融アルミニウム及び溶融鋼は、しばしば、混入した非金属含有物によって汚染され、これらの含有物は、結果として得られる製品に種々の欠陥ないしは欠点を生じさせる。これらの含有物は、機械的な操作運転時に金属に裂け目を生じさせ、金属箔にピンホール及び筋目(streak)を生じさせ、金属シートに表面欠陥及び膨れ部(blister)を生じさせ、ワイヤの製造時における破損率(rate of breakage)を増加させる。
【0003】
迅速な結果を提供し、含有物の寸法及び濃度についての情報を提供する1つの分析器は、液体金属清浄度分析器(LiMCA:Liquid Metal Cleanliness Analyzer)である。LiMCAは、電気的に絶縁された壁手段を備えているが、この壁手段の多くは、側壁内に形成され正確な寸法をもつ小さい通路を有するサンプリングチューブの形態のものである。チューブは試験すべき溶融金属中に浸漬され、通路内を溶融金属の均一な流れが通り抜ける。他方、実質的に一定の電流が、それぞれチューブの内側と外側とに配設された2つの電極間の流れを通り抜けるように流される。対象となる粒子は、溶融金属に比べて、非常に高い抵抗をもち、かつ、通路を通り抜ける粒子の移動は、電圧中に電気パルスを生成する電流に対する抵抗の変化を生じさせる。一定の体積の金属が通路を通り抜けるときに生成されるパルスの数は、金属の単位体積当たりの粒子の数を示す。さらに、パルスの形状を解析して粒子の寸法及び寸法の分布を決定することも可能である。
【0004】
LiMCA装置は、「オンライン」試験を行うように構成され、数秒で結果を出すようになっている。しかし、これは、しばしば、該装置が溶融金属源及びこれに関連するノイズを生成する装置に近接して配置されるということを意味する。
【0005】
LiMCAの工業的な利用環境においては、電気パルスの検出の結果に影響を及ぼす、多数の電気的又は機械的な障害源が存在するであろう。これらのノイズ信号からLiMCAシステムの所望のパルス信号を確実に抽出することは、実際には困難である。なぜなら、ノイズは、比較的小さい粒子を検出する際の所望のパルス信号と同じオーダーの大きさであるからである。このため、伝統的には、電流の供給は、再充電可能なバッテリによって行うのが好ましいものとされていた。このようなバッテリ、例えばニッケル−カドミウムタイプのバッテリは、測定サイクル中において、ある時点で再充電することができる。このような再充電は、実際にはデータを収集していないが、バッテリの使用が、充電を適切に制御することを確実化するための追加の工程及び装置を必要とするときに行われる。バッテリはまた、利用環境で起こりうる高温により大きな影響を受け、また充電−放電サイクルの実施可能な回数には限界がある。通路を通して金属を移動させるのに、一般に真空源又は圧力源が用いられるので、ポンプによって生成され信号に障害を与えるパルスによる影響を受けないようにすべきである。装置全体はまた、可能な限り、外部の電磁障害に対してもシールド(遮蔽)すべきである。
【0006】
障害を低減又は除去するためのフィルタを設けたり用いたりすることは、現在よく知られているが、これをLiMCAに用いるときには困難な問題が生じる。この問題は、粒子を示すパルスの比較的低い電圧信号特性に起因する。そして、通路を通り抜ける単位時間当たりの粒子の数に対応するパルス周波数が、多くの障害ノイズのパルスの周波数と同じオーダーの大きさであるということにも起因する。放射された電波を装置に到達する前に反射又は吸収するシールド手段を設けることができるが、システムへの入力及びシステムからの出力が必要であるので、完全なシールドを行うことは不可能である。
【0007】
典型的なLiMCA分析器は、参照によりここに組み入れられている特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されている。特許文献2(ハッキー(Hachey))は、測定電極と電流供給電極とが別体とされ、ノイズを低減するような形態に配置されている、LiMCA分析器における種々の組み合わせの電極の使用を開示している。この従来例では、少なくとも4つで、6つまでの電極を必要としている。
【0008】
参照によりここに組み入れられている特許文献5は、ある応用例において、バッテリに代えてウルトラ・コンデンサ(ultra-capacitors)の使用を開示している。ウルトラ・コンデンサは、厳しい環境下において電力源として用いることができる。なぜなら、ウルトラ・コンデンサは、バッテリと比較して温度による影響(感度)が小さく、かつバッテリと比較して迅速に充電及び放電を行うことができ、このため充電−放電過程に対する制御の必要性が小さく、バッテリと比較して非常に長いサイクル寿命をもつからである。しかしながら、ウルトラ・コンデンサは、再充電可能なバッテリと比較して体積充電密度(volume charge density)が低く、それゆえ、バッテリと比較して長い期間にわたって一定の高電流を供給することはできない。
【特許文献1】米国特許第4,600,880号明細書
【特許文献2】米国特許第5,130,639号明細書
【特許文献3】米国特許第4,555,662号明細書
【特許文献4】米国特許第5,039,935号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0067143号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
構造を簡素化するとともに、追加の部品の必要性を低減しつつ、障害(interference)を低減することができるように分析器システムを改良することが一般的に望ましいものと思われる。
【0010】
高い連続使用性でもって稼働させることができ、かつバッテリ操作の欠陥を克服することができるように分析器システムを改良することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、粒子を含有する溶融金属の本体部(body)と、その内部に形成され溶融金属を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の一方の側で溶融金属に挿入された第1の電極と、第1の電極に対して上記壁手段の反対側で溶融金属に挿入された第2及び第3の電極とを備えていて、第2及び第3の電極が、3つの電極が共通の平面に並ぶ(fall in)ようにして第1の電極のいずれか一方の側に等しい間隔で離間されているLiMCA分析器によって生成される所望の(wanted)パルス信号中の電磁ノイズを低減する方法において、第2及び第3の電極に均等に電流を供給するステップであって、上記電流を溶融金属を通して上記通路を経由して第1の電極に流し、第2及び第3の電極の各々と第1の電極との間に対称的な電流ループ(symmetrical current loop)を形成し、上記電流ループに所望のパルス信号を生成させるとともに、電磁ノイズにより互いに等しいが反対である態様(manner)で影響を受けさせるステップと、各電流ループによって生成された上記所望のパルス信号を付加して(add)、電磁ノイズを少なくとも低減するステップとを含んでいる方法を提供する。
【0012】
本発明は、さらに、粒子を含有する溶融金属の本体部と、その内部に形成され溶融金属を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の一方の側で溶融金属に挿入された第1の電極と、第1の電極に対して上記壁手段の反対側で溶融金属に挿入された少なくとも1つの追加の電極と、第1の電極と上記少なくとも1つの追加の電極との間に接続された電圧記録手段とを備えているLiMCA分析器において実質的に連続的な測定を行う方法であって、第1の電極と上記少なくとも1つの追加の電極とに、初期の予め設定されたレベルで電流を供給して、上記少なくとも1つの追加の電極と第1の電極との間に電流ループを生成する過程であって、上記電流ループに電圧記録手段によって記録される所望のパルス信号を生成させる一方、ウルトラ・コンデンサから上記電流を供給させる過程と、上記ウルトラ・コンデンサから供給される電流の変化を監視する過程と、電流出力を上記の予め設定されたレベルに迅速に再調整するための手段を設ける一方、上記電圧記録手段が所望のパルス信号を記録するのを一時的に妨げる過程とを含む方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、粒子を含有する溶融金属の本体部と、その内部に形成され溶融金属及び粒子を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の内側において溶融金属に挿入された内側電極とを備えているLiMCA分析器によって生成される所望のパルス信号中の電磁ノイズを低減する装置であって、内側電極のいずれか一方の側において上記壁手段の外側で溶融金属中に挿入され、内側電極と共通の平面を形成する第1及び第2の外側電極と、第1及び第2の外側電極に均等に電流を供給する電流源であって、上記電流は移動している溶融金属を通って上記通路を経由して内部電極に流れて、第1及び第2の外側電極の各々と内側電極との間に対称的な電流ループを生成し、所望のパルス信号を生成するようになっている電流源と、第1及び第2の外側電極と内側電極とに接続された検出手段であって、上記通路を通る粒子の移動に起因して電流ループによって生成される所望のパルス信号を検出するとともに、互いに等しいが反対の態様で各電流ループに影響を及ぼす電磁ノイズを検出する検出手段と、各電流ループによって生成された所望のパルス信号を付加して、電磁ノイズを少なくとも低減する増幅器手段とを備えている装置も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明を説明する。
【0015】
本発明においては、同時の対称的な電圧の拾得(simultaneous symmetrical voltage pick up)を伴った、電気的絶縁壁(electrically insulating wall)内の通路の外側の電極から上記通路の内側の電極への対称的で安定した(symmetrical and stable)電流が、外部の電磁ノイズ源が両電流ループに等しく影響を及ぼす場合は、該電磁ノイズ源を自己消去する(self-cancel)ということが見出された。本発明においては、安定な電流は、比較的円滑で自由なパルス(smooth and free pulse)であるものと考えられる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るLiMCA10を示している。LiMCA10は、端部が閉じられたサンプリング管16の形態の絶縁壁手段を備えている。このサンプリング管16は、溶融金属18中に浸漬され、例えばエラストマシールによって、取り付け板又は取り付け管(図示せず)に対して、その上端部でシールされている。横方向に間隔をあけて配置された3つの平行な電極12、14、15は、下向きに伸びて溶融金属に浸漬されている。ここで、電極12は、サンプリング管16内に伸び、電極14、15は直接溶融金属18内に伸びている。
【0017】
サンプリング管16には、その側壁の一部分に、正確に形成されたボアホール(borehole)ないしは通路22が設けられている。サンプリング管16内に配置された管路24(line)は、真空源26に接続され、サンプリング管16によって形成されたセル(cell)内に真空状態を生じさせる。溶融金属18は、真空によって、通路22を通ってセル内に引き入れられる。このようにせず、管路24を経由して、セルから溶融金属18を放出する圧力源26を用いてもよい。
【0018】
測定は、以下のように行われる。セル(室)が溶融金属中に浸漬された後、真空引きが行われ、溶融金属18が、通路22を通して、制御された速度で引き入れられる。通常は60〜65アンペア(amps)のオーダーの安定な電流が、電流リード30、32を経由して、電極14、15のそれぞれに同一の電流を供給することにより(それぞれ全電流の半分)、通路22を流れる。電流は、セル内で単一の電極12を経由して還流させられる(returned)。当業者によって知られている構成のプリアンプ40(前置増幅器)によって、各外側電極14、15と中心電極12との間の電圧が測定される。この電圧は、粒子が通路を通り抜けるのに伴って変化し、電圧スパイク(電圧の急峻な山形)を生じさせる。予め設定された、統計的に有意義な結果を生じさせるために十分な電圧スパイクを測定することを可能にするのに十分な量の溶融金属がセル内に引き入れられた後、測定が停止され、金属を排出するための圧力がかけられ、さらにこのような過程が繰り返される。
【0019】
測定された電圧スパイクの数は、溶融金属中の粒子の体積密度を決定するのに用いられ、パルス形状は、粒子の寸法の分布を決定するために解析される。測定期間は、統計的に有意義な測定を行うために、かつ、全体的なノイズに対する信号の比率(S/N比)を高めるために、電圧パルス測定の十分なサンプル寸法を生じさせるのに十分な長さであるべきである。
【0020】
例えば、特許文献2に記載されているように、電流がバッテリ装置によって供給されるときには、ウルトラ・コンデンサ50と、電流源52と、固定された分路抵抗器54、56(fixed shunt resistors)と、電圧制御抵抗器58、60(voltage controlled resistors)とで構成される供給システムによって電流を供給するのが好ましい。使用時には、まずウルトラ・コンデンサ50が充電又は再充電され、このときスイッチ62、64が閉じている(closing)ので、測定は行われない。充電は、充電供給部及びコンデンサの仕様によって決定される典型的には11000クーロン(アンペア−秒)である、予め設定されたレベルで実施される。この充電/再充電は、例えば、溶融金属のサンプルがセルから放出される期間中に行うことができる。充電した後、スイッチ62、64が開かれる(opened)。測定期間中は、放電スイッチ66、68が閉じられ、分路抵抗器54、56及び電圧制御抵抗器58、60の値とウルトラ・コンデンサ50の電圧とによって制御される電流は(例えば、分路抵抗器54、56での電圧降下によって測定される)、外側電極14、15と通路とを通って流れ、中心電極12を経由して還流する。電圧制御抵抗器58、60は、最初に電流が、予め設定された値、例えば32.5アンペアで、抵抗器対のそれぞれを等しく通って流れるように、予め設定される。測定時には、電流は減衰する傾向がある。ウルトラ・コンデンサ50の体積充電密度はバッテリに比べて比較的低いので、減衰は非常に速く、測定が終了する前に、電流は容認できないレベルまで低下するであろう。余りにも低い電流は、低すぎて背景のノイズから明確な分離を行うことができない電圧パルス高さを生じさせることになる。この問題を克服するために、電流(例えば、分路抵抗器54、56での電圧降下によって測定される)が予め設定されたレベル、例えば初期電流の約90%より低下したときには、測定は一時停止させられ、電圧制御抵抗器58、60は、電流が初期値に回復するように調整される。この過程(process)は、1回の測定の行程中で、数回繰り返してもよい。ここで、測定(measurement)は、金属サンプルがセル内に引き入れられる時間と定義される。ウルトラ・コンデンサ50自体は、溶融金属をセルから放出する工程中に、その完全充電状態に、適宜にかつ迅速に再充電され、このとき測定は行われない。前記のとおり、ウルトラ・コンデンサ50に基づく電流源はまた、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されたその他のタイプのLiMCA装置でも有効に用いることができるということに注目すべきである。この場合、測定には同程度の電流が必要とされ、金属は同様にセルに引き入れられ、該セルから放出される。
【0021】
LiMCA10に対する障害(interference)の共通の発生源は誘導炉(induction furnace)である。誘導炉は、所望のパルス信号を容易に混乱させる強い障害を定期的及び連続的に大量に放射し、このためフィルタシールド及び絶縁の効率は限定されたものとなる。LiMCA分析器はまた、しばしば、溶融金属処理設備内で直接用いられ、誘導炉に近接した位置、すなわち障害信号が放射される領域に配置される。誘導炉によって生成される大量の障害、及び、機械的な振動は、障害又はノイズの形態で電極12、14、15によって拾得される。信号用のプリアンプは、読み取りを改善するために所望のパルス信号を増幅することができるが、障害を受けることなく所望の信号を受け取るように配置することはできない。
【0022】
全ての3つの電極12、14、15は、同一平面に配置してもよい。電極14と電極15とは、電極12に対して互いに反対側に配置され、電極12から等しい間隔で離間されている。その結果、電極14及び電極15は、外部で生成された障害について同様の態様で相互作用を及ぼし(interact)、これにより障害信号を解消ないしは相殺する(cancel out)。外側の電極14、15を通って流れている電流は、電流ループのそれぞれに磁場を誘起する(induce)。これらの磁場はバランスされ(balanced)、これにより、一般に振動により惹起される、すなわち磁場に等しくさらされた外側の電極14、15によって拾得される、結合され検出されたノイズの効果を最小にする(minimize)。また、バランスされた磁場は、測定電流が供給又は遮断されたときに生じる電気的な過渡状態に起因する装置自体によるノイズの生成を最小にする。
【0023】
電極12と電極14、15との間で検出される所望のパルス信号を含む信号は、差動プリアンプ回路40(differential preamplifier circuit)などの検出手段に供給され、所望のパルス信号を増幅する一方、同一及び反対の電磁ノイズ信号を排除する。この後、差動プリアンプ回路40から、さらなる解析及び表示のため、計算・記録装置46に信号が供給される。ノイズに対するさらなる保護を行うために、前置プリアンプ回路40と計算・記録装置46とは、例えば光カプラ44により切り離されてもよい。プリアンプ回路40は、再充電可能なバッテリで動作させてもよいが、ウルトラ・コンデンサ(図示せず)で動作させるのがより好ましい。ここで、ウルトラ・コンデンサは、切断可能な電力供給源(図示せず)により定期的に再充電することができる。
【0024】
このような計算・記録装置46の典型的な実施の形態は、ここに参照として組み入れられている特許文献1及び特許文献3に開示されている。計算・記録装置46は、絶縁壁16中の通路22を通る粒子の移動(travel)に起因するパルス信号を処理し、溶融器金属18の単位体積当たりの粒子の数と、必要な場合はそれらの個々の寸法(size)と、それらの相対的な寸法の分布とを示す永久的な可視的記録を生成する。
【0025】
すべての重要な電子機器は、好ましくは、シールド囲い70内に配置され、電子機器自体を拾得するノイズからシールドされる。シールド囲い70は、破線の接続部80で示すように、2つの電極14、15の一方に接続し、参考として溶融金属を確立する(establish)ことができる。これに代えて、さらにノイズを低減するために、囲い70を、図示していない別体の(第4の)電極に接続してもよい。この電極は、溶融金属内に浸漬され、この場合、接続部80は設けられない。
【0026】
ここに開示された電極構造は、LiMCA装置が、比較的小さい寸法の粒子を検出することを可能にし、前記のとおり、ノイズ及び障害を最小にし、比較的小さい所望の信号を適切に認識することを可能にする。
【0027】
本発明の上記の実施の形態においては、溶融金属は、例えば輸送トラフ内を通っている流れなど、どのような溶融金属であってもよい。
【0028】
前記の実施の形態においては、分析は、真空源26により溶融器金属18をサンプリング管16内に引き入れながら実施している。しかしながら、内部にかけられた圧力により溶融金属18をサンプリング管16から放出しながら試験を行うことも可能である。この場合、ウルトラ・コンデンサ50の再充電は、溶融金属がセル内に引き入れられた期間中に実施されるであろう。
【0029】
この装置についての詳細な記載は、本発明に係るシステム及び方法の最良の実施の形態を示すために用いられるものである。当業者にとっては、ここに示されたシステムの装置に種々の修正を行うことが可能であり、かつ種々の代替的な実施の形態を利用することが可能であることは明らかなことであろう。それゆえ、本発明に係る装置及び方法の両方において、また本発明の範囲から離脱することなくこの方法及びシステムが適用される応用例においては、種々の修正を行うことが可能であり、これらは添付の請求の範囲によってのみ限定されるものであるということが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態の模式図である。
【符号の説明】
【0031】
10 LiMCA、12 電極、14 電極、15 電極、16 サンプリング管、18 溶融金属、22 通路、24 管路、26 真空源又は圧力源、40 プリアンプ回路、46 計算・記録装置、50 ウルトラ・コンデンサ、52 電流源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含有する溶融金属の本体部と、その内部に形成され溶融金属を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の一方の側で溶融金属に挿入された第1の電極と、第1の電極に対して上記壁手段の反対側で溶融金属に挿入された第2及び第3の電極とを備えていて、第2及び第3の電極が、該第2及び第3の電極と第1の電極とが共通の平面に並ぶようにして第1の電極のいずれか一方の側に等しい間隔で離間されている液体金属清浄度分析器(LiMCA)によって生成される所望のパルス信号中の電磁ノイズを低減する方法であって、
a)第2及び第3の電極に均等に電流を供給する過程であって、上記電流を溶融金属を通して上記通路を経由して第1の電極に流し、第2及び第3の電極の各々と第1の電極との間に対称的な電流ループを形成し、上記電流ループに所望のパルス信号を生成させるとともに、電磁ノイズにより互いに等しいが反対である態様で影響を受けさせる過程と、
b)各電流ループによって生成された上記所望のパルス信号を付加して、電磁ノイズを少なくとも低減する過程とを含んでいる方法。
【請求項2】
粒子を含有する溶融金属の本体部と、その内部に形成され溶融金属を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の一方の側で溶融金属に挿入された第1の電極と、第1の電極に対して上記壁手段の反対側で溶融金属に挿入された少なくとも1つの追加の電極と、第1の電極と上記少なくとも1つの追加の電極との間に接続された電圧記録手段とを備えている液体金属清浄度分析器(LiMCA)において実質的に連続的な測定を行う方法であって、
a)第1の電極と上記少なくとも1つの追加の電極とに、初期の予め設定されたレベルで電流を供給して、上記少なくとも1つの追加の電極と第1の電極との間に電流ループを生成する過程であって、上記電流ループに電圧記録手段によって記録される所望のパルス信号を生成させる一方、ウルトラ・コンデンサを備えた電流源から上記電流を供給させる過程と、
b)上記ウルトラ・コンデンサから供給される電流の変化を監視する過程と、
c)電流出力を上記の予め設定されたレベルに迅速に再調整するための手段を設ける一方、上記電圧記録手段が所望のパルス信号を記録するのを一時的に妨げる過程とを含む方法。
【請求項3】
粒子を含有する溶融金属の本体部と、その内部に形成され溶融金属及び粒子を通すための通路を有する電気絶縁壁手段と、上記壁手段の内側において溶融金属に挿入された内側電極とを備えている液体金属清浄度分析器(LiMCA)によって生成される所望のパルス信号中の電磁ノイズを低減する装置であって、
a)内側電極のいずれか一方の側において上記壁手段の外側で溶融金属中に挿入され、内側電極と共通の平面を形成する第1及び第2の外側電極と、
b)第1及び第2の外側電極に均等に電流を供給する電流源であって、上記電流は移動している溶融金属を通って上記通路を経由して内部電極に流れて、第1及び第2の外側電極の各々と内側電極との間に対称的な電流ループを生成し、所望のパルス信号を生成するようになっている電流源と、
c)第1及び第2の外側電極と内側電極とに接続された検出手段であって、上記通路を通る粒子の移動に起因して電流ループによって生成される所望のパルス信号を検出するとともに、互いに等しいが反対の態様で各電流ループに影響を及ぼす電磁ノイズを解消する検出手段と、
d)各電流ループによって生成された所望のパルス信号を付加して、電磁ノイズを少なくとも低減する増幅器手段とを備えている装置。
【請求項4】
上記壁手段の外側で溶融金属中に挿入されるとともに、少なくとも電流源と、検出手段と、計算手段とを囲んでいる囲いに接続され、溶融金属を基準電圧点にする基準電極をさらに備えている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
電流源が1つ又は複数のウルトラ・コンデンサを備えている、請求項3又は4に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526459(P2007−526459A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501077(P2007−501077)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000274
【国際公開番号】WO2005/085761
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506110243)ノベリス・インコーポレイテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】