説明

βアゴニストの吸入用エアロゾル製剤

本発明は、噴霧剤を欠く吸入用エアロゾル製剤に関する。前記製剤は、下記一般式(1)
【化1】


(式中、基R1、R2、R3及びX-は、本明細書で定義するとおり)の1種以上の化合物、及び追加の活性成分(2)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式1、
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基R1、R2、R3及びX-は、特許請求の範囲及び明細書で示される意味を有しうる)
の1種以上の化合物、及び1種の他の活性物質2を含有する、吸入用の、噴霧剤のないエアロゾル製剤に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4460581号明細書
【特許文献2】国際公開第91/14468号パンフレット
【特許文献3】国際公開第97/12687号パンフレット
【特許文献4】国際公開第94/07607号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/16530号パンフレット
【特許文献6】国際公開第97/20590号パンフレット
【特許文献7】国際公開第97/12683号パンフレット
【特許文献8】欧州特許第0111131号明細書
【特許文献9】欧州特許第0130239号明細書
【特許文献10】独国特許第19536902.5号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D. Ukena、Pneumologie 2005; 59; 689-695
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の薬物製剤は、活性物質として、下記一般式1、
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
R1は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
R2は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
R3は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル、ハロゲン、OH、-O-C1-4-アルキレン-COOH又はO-C1-4-アルキレン-COO-C1-4-アルキルを表し、
X-は、一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp-トルエンスルホネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)
で示される1種以上の化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド又はその代謝物の中から選択される活性物質2(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
少なくとも1種の薬理学的に許容しうる酸又は薬理学的に許容しうる緩衝系と、
を含み、任意にさらなる薬理学的に許容しうる賦形剤を含んでよく、さらに溶媒としてエタノール又は水とエタノールの混合物を含有する、噴霧剤のない薬物製剤である。
【0009】
好ましい薬物製剤は、前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R1が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
R2が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
R3が、水素、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチル若しくはO-CH2-COOエチル、-O-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2COOメチル若しくはO-CH2-CH2COOエチル、-O-CH2-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2-CH2COOメチル若しくは-O-CH2-CH2-CH2COOエチルを表し、
X-が、一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp-トルエンスルホネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)で示される化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する当該薬物製剤である。
【0010】
好ましい薬物製剤は、前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R1が、水素又はメチル、好ましくは水素を表し、
R2が、水素又はメチル、好ましくは水素を表し、
R3が、メチル、OH、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH又は-O-CH2-COOエチルを表し、
X-が、クロリド、ブロミド、スルフェート、メタンスルホネート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート及びスクシネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)で示される化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する当該薬物製剤である。
【0011】
また、前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R3が、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、-O-CH2-COOメチル又はO-CH2-COOエチルを表し、かつ
R1、R2及びX-は、前記意味を有する。)で示される化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する薬物製剤も好ましい。
また、前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R1が、水素を表し、
R2が、水素を表し、
R3が、OH、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシ、-O-CH2-COOH、好ましくはOH、フッ素、塩素、エトキシ又はメトキシを表し、かつ
X-は、前記意味の1つを有する。)
で示されるの化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する薬物製剤も好ましい。
【0012】
また、前記活性物質2と、下記化合物の中から選択される一般式1の化合物:
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(エチル 4-フェノキシアセテート)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-フェノキシ-酢酸)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[1,1-ジメチル-2-(2.4.6-トリメチルフェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-イソプロピル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-エチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
4-(4-{2-[2-ヒドロキシ-2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[1,4]オキサジン-8-yl)-エチルアミノ]-2-メチル-プロピル}-フェノキシ)-酪酸;
8-{2-[2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-クロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-クロロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(2,5-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-フルオロ-3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(4-クロロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3.4,5-トリフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン;
8-{2-[2-(3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン及び
8-{2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
(各場合、酸HX(X-は、前記意味の1つを有しうる)との酸付加塩の形態であり、任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)
とを含有する薬物製剤も好ましい。
本発明の薬物製剤中、活性物質2は、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド又はその代謝物を含むステロイドの群の中から選択される。前記ステロイドは、任意にキラル炭素中心を有しうる。この場合、本発明の薬物配合物は、ステロイドのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物又はラセミ体の形態のステロイドを含んでよく、このとき高いエナンチオマー純度のステロイドが好ましく用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔使用する用語と定義〕
用語「C1-4-アルキル」(他の基の一部である場合を含む)は、1〜4個の炭素原子を有する分岐及び不分岐アルキル基を意味する。例として、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルが挙げられる。上記基について、任意に以下の略号を使用しうる:Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Buなど。特に断らない限り、定義プロピル及びブチルは、問題の基の全ての可能な異性形を包含する。従って、例えば、プロピルはn-プロピルとi-プロピルを包含し、ブチルはi-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル等を包含する。
用語「C1-4-アルキレン」(他の基の一部である場合を含む)は、1〜4個の炭素原子を有する分岐及び不分岐アルキレン基を意味する。例として、メチレン、エチレン、プロピレン、1-メチルエチレン、ブチレン、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン又は1,2-ジメチルエチレンが挙げられる。特に断らない限り、定義プロピレン及びブチレンは、問題の基の全ての可能な異性形を包含する。従って、例えば、プロピレンは1-メチルエチレンをも包含し、ブチレンは1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン、1,2-ジメチルエチレンを包含する。
本発明の範囲内の「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。特に断らない限り、フッ素、塩素及び臭素が好ましいハロゲンとみなされる。
薬理学的に許容しうる酸との酸付加塩は、例えば、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、ヒドロスルフェート、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトレート、ヒドロマレエート、ヒドロアセテート、ヒドロベンゾエート、ヒドロシトレート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサレート、ヒドロスクシネート、ヒドロベンゾエート及びヒドロ-p-トルエンスルホネート、好ましくはヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロスルフェート、ヒドロホスフェート、ヒドロフマレート及びヒドロメタンスルホネートの中から選択される塩を意味する。上記酸付加塩のうち、本発明では、塩酸、メタンスルホン酸、安息香酸及び酢酸の塩が特に好ましい。
エナンチオマー純度が高い化合物とは、2種以上のエナンチオマーから成ることがあり、1つのエナンチオマーが過剰に存在し、該過剰が全質量の好ましくは90%より高く、特に好ましくは95%より高く、特に98%より高い、当該化合物を意味する。
ステロイドの代謝物とは、本発明の目的では、代謝の結果生じるステロイドか又は代謝で反応するステロイドを意味する。従って、医薬的に活性なステロイドは、事実上、用いられるステロイドの代謝物に相当するかもしれない。代謝物が医薬的に安定な場合、それらを直接使用してもよい。従って、例えば、肺に投与した場合、デス-シクレソニドはシクレソニドの医薬的に活性な代謝物である(非特許文献1参照)。
【0014】
【化3】

【0015】
技術上既知の方法と同様に本発明の化合物を調製できる。適切な調製方法は、例えば特許文献1から既知であり、この文献の内容を参照によってここに援用する。
式1の化合物は、任意にその互変異性体の形態で本発明の薬物製剤中に存在してよい。互変異性という用語は、σ結合又はπ結合を置き換えることによって形成される異性化合物が存在し、かつそれら化合物が平衡状態で存在しうることを意味する。式1の化合物の考えられる互変異性形の例は以下のとおりである。
【0016】
【化4】

【0017】
別の局面では、本発明は、個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形態の式1の前記化合物を含有する薬物製剤に関する。高いエナンチオマー純度の化合物の形態の式1の前記化合物を含有する薬物製剤が特に好ましく、式1の化合物のR-エナンチオマーが本発明では特別に重要である。これらのR-エナンチオマーを下記一般式R-1で表すことができる。
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、基R1、R2、R3及びX-は、前記意味を有しうる。)
本発明の範囲内では、X-がクロリド、マレエート、サリチレート、フマレート又はスクシネートの中から選択される式1の当該化合物(任意にその水和物及び溶媒和物の形態でよい)を使用することが特に好ましい。本発明の範囲内で特に好ましくは、X-がクロリドを表す式1の化合物を含有する当該製剤である。
式1の化合物への言及は、本発明の範囲内では常にこの化合物の全ての可能な非晶質及び結晶性の変形を包含する。式1の化合物への言及は、本発明の範囲内では、この化合物から形成されうる全ての可能な溶媒和物及び水和物をも包含する。化合物1へのいずれの言及も、本発明の範囲内では、塩1に含まれる下記式の薬理学的に活性な遊離塩基への言及とみなすものとする。
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、基R1、R2及びR3は、前記意味を有しうる。)
別の局面では、本発明は、活性物質2と、式1の遊離塩基(式中、基R1、R2及びR3は、前記意味を有し、任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、少なくとも1種の薬理学的に許容しうる酸を含有し、任意にさらなる薬理学的に許容しうる賦形剤を含んでよく、さらに溶媒として水、エタノール又は水とエタノールの混合物を含有する薬物製剤に関する。
別の局面では、本発明は、本発明の薬物製剤の、種々の原因の閉塞性肺疾患、種々の原因の肺気腫、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、種々の原因の気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)及び全形態の肺水腫の中から選択される呼吸器愁訴の治療用医薬組成物を調製するための使用に関する。
好ましくは、本化合物を上述したように使用して、気管支喘息、小児喘息、重症喘息、急性喘息発作、慢性気管支炎及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)の中から選択される閉塞性肺疾患の治療用医薬組成物を調製し、さらに本発明では、本化合物を、気管支喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を調製するために使用することが特に好ましい。
また、本発明の薬物製剤を使用して、COPD(慢性閉塞性肺疾患)又はα1-プロテイナーゼインヒビター欠乏症にその原因がある肺気腫の治療用薬物を調製することも好ましい。
本発明の薬物製剤を使用して、アレルギー性肺胞炎、仕事関連有毒物質によって誘発された拘束性肺疾患、例えばアスベスト症又は珪肺、及び肺腫瘍に起因する拘束、例えば癌性リンパ管症、細気管支肺胞上皮癌及びリンパ腫などの中から選択される拘束性肺疾患の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
また、本発明の薬物製剤を使用して、例えばウイルス、細菌、真菌、原虫、蠕虫若しくは他の病原による感染等の感染に起因する肺炎、種々の因子、例えば吸引及び左心不全に起因する間質性肺炎、放射線誘発間質性肺炎又は線維症、膠原病、例えば紅斑性狼瘡、全身性強皮症又はサルコイドーシス、肉芽腫症、例えばベック病、特発性間質性肺炎又は特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)(IPF)の中から選択される間質性肺疾患の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
本発明の薬物製剤を用いて、嚢胞性線維症又はムコビシドーシス(mucoviscidosis)の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
また、本発明の薬物製剤を用いて、気管支炎、例えば細菌若しくはウイルス感染に起因する気管支炎、アレルギー性気管支炎及び中毒性気管支炎の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
本発明の薬物製剤を用いて、気管支拡張症の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
また、本発明の薬物製剤を用いて、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
本発明の薬物製剤を用いて、肺水腫、例えば毒性物質及び異物の吸引又は吸入後の中毒性肺水腫の治療用医薬組成物を調製することも好ましい。
特に好ましくは、本発明は、本発明の薬物製剤の、喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を調製するための使用に関する。炎症性及び閉塞性呼吸器愁訴の1日1回の治療用、特に喘息又はCOPDの1日1回の治療用医薬組成物を調製するための上記使用も特に重要である。
【0022】
さらに、さらなる局面では、本発明は、幹細胞代謝を刺激するための医薬組成物を調製するための本発明の薬物製剤の使用に関する。
本発明は、上述した病気の治療方法であって、1種以上の本発明の上記薬物製剤を治療的に有効な量で投与することを特徴とする方法に関する。1日1回(単一用量)の投与によって治療的に使用できる活性物質製剤を調製することが特に望ましい。1日1回の薬物の使用には、患者が比較的早く1日の一定時間に薬物を規則的に摂取することに慣れるという利点がある。
本発明は、吸入によって投与できる、これらの化合物の液状活性物質製剤に関し;本発明の液状製剤は、高品質規格を満たさなければならない。本発明の製剤を経口又は経鼻吸入することができる。肺内における活性物質の最適分布を達成するため、噴霧ガスなしで適切な吸入器を用いて投与する液状製剤を使用するのは理にかなっている。この種の製剤は、経口及び経鼻の両方で吸入される。薬用量中の治療目的に必要な小量の液状製剤を数秒以内で治療的吸入に適したエアロゾルに噴霧できる当該吸入器が特に好適である。本発明の範囲内において、好ましい噴霧器は100μl未満、好ましくは50μl未満、最も好ましくは25μl未満の量の活性物質溶液を好ましくは1吹き又は2吹きで噴霧して、20μm未満、好ましくは10μm未満の平均粒子サイズ(又は粒径)を有するエアロゾルを形成できる当該噴霧器なので、該エアロゾルの吸入可能部分は既に治療的に有効な量に相当する。定量の吸入用液状医薬組成物のこの種の無噴霧剤投与用装置は、例えば、特許文献2「噴霧装置及び方法」及び特許文献3(図6a及び6b並びに添付明細書参照)にも詳述されている。この種の噴霧器では、医薬溶液は500バールまでの高圧を利用して、肺のためを予定したエアロゾルに変換され、それが噴霧される。本明細書の範囲内では、上記文献の全内容を明白に参照する。
この種の噴霧器では、溶液の製剤はレザバー内に貯蔵される。使用する活性物質製剤は貯蔵時かつ同時に、できればその医療目的に従い、如何なるさらなる手作業なしで活性物質製剤を直接投与できるように、十分安定であることが不可欠である。さらに、活性物質製剤は、吸入器又は生成されるエアロゾルの溶液の医薬品質を傷つけるような様式で該吸入器と相互作用する如何なる成分をも含んではいけない。
該溶液を噴霧するため、例えば特許文献4又は特許文献5に記載されているような特有のノズルを使用する。ここに、これらの両刊行物を明白に参照する。
【0023】
本発明の目的は、上記吸入器を使用する溶液の最適噴霧を保証するために必要な高規格を満たす、式1の化合物の水性、エタノール性又は水性-エタノール性製剤を提供することである。本発明の活性物質製剤は、十分に高い医薬品質のものでなければならない。すなわち、本発明の活性物質製剤は、数年、好ましくは少なくとも12ヶ月、さらに好ましくは18ヶ月の貯蔵時間にわたって医薬的に安定でなければならない。また、これらの無噴霧剤の溶液製剤は、加圧下の吸入器を利用して噴霧されなければならず、このとき生成されるエアロゾルで送達される組成物は指定範囲内である。
本発明によれば、本製剤は、好ましくは活性物質2と式1の1種だけの化合物とを含む。しかし、製剤が式1の異なる塩の混合物を含んでもよい。本発明の薬物製剤が式1の異なる塩を含有する場合、本発明の好ましい製剤は、該種々の塩は、式1'の同一遊離塩基の異なる塩である当該製剤である。
本発明の薬物製剤中の薬理学的に活性な遊離塩基1'の量に基づく式1の化合物の濃度は、本発明の製剤100ml当たり約0.1〜1000mg、好ましくは約0.5〜500mg/100ml、特に好ましくは1〜250mg/100mlである。特に好ましくは、100mlの本発明の製剤は約2〜約100mgの1'を含有する。
本発明の薬物製剤中の式2の化合物の濃度は、約10〜6000mg/100ml、好ましくは10〜5000mg/100ml、好ましくは50〜5000mg/100ml、好ましくは50〜3000mg/100ml、特に好ましくは75〜3500mg/100ml、特に好ましくは75〜2500mg/100mlである。特に好ましくは、100mlの本発明の製剤は約100〜約2500mgの2を含有する。
本発明の薬物製剤は、溶媒として純粋なエタノール又はエタノールと水の混合物を含有する。エタノール-水混合物を使用する場合、この混合物中のエタノールの体積百分率は、好ましくは30〜98%のエタノールの範囲、特に好ましくは40〜97%のエタノールの範囲である。本発明の目的で最も特に好ましい薬物製剤は、溶媒として純粋なエタノール又は50〜96%、特に好ましくは67〜95%、特に67〜93%のエタノールを含有するエタノール-水混合物を含む。エタノールと水とは別に、他の共溶媒及び可溶化剤、例えばベンジルアルコール、γ-ブチロラクトン又はジエチレングリコールモノエチルエーテル等を使用することもできる。しかし、本発明では、追加溶媒を用いない場合が好ましい。
【0024】
化合物1及び2をエタノール又はエタノールと水の混合物に溶かす場合、本発明によれば、本発明の製剤のpHは好ましくは2.0〜6.5、好ましくは2.5〜5.5、特に好ましくは約3.0〜5.0、特に2.8〜4.8の範囲である。
本発明の別の変形では、本発明の製剤のpHは好ましくは3.0〜6.5、好ましくは3.5〜6.5、特に好ましくは約4.0〜6.0の範囲である。
薬理学的に活性な酸を添加してpHを調整する。この目的のため、薬理学的に許容しうる無機酸又は有機酸を使用しうる。好ましい無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸から成る群より選択される。特に好適な有機酸の例は、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から成る群より選択される。好ましい無機酸は、塩酸、リン酸及び硫酸である。本発明では、塩酸とリン酸が特に重要である。前記有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸、メタンスルホン酸及びクエン酸が好ましく、本発明ではクエン酸が特に好ましい。所望により、特に例えば調味料又は抗酸化剤として作用する当該酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸のような、その酸性化特性に加えて他の特性を有する酸の場合、上記酸の混合物を使用してもよい。所望により、薬理学的に許容しうる塩基を用いてpHを正確に滴定してもよい。好適な塩基として、例えばアルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の炭酸塩が挙げられる。好ましいアルカリ金属イオンはナトリウムである。この種の塩基を使用する場合、その結果生じ、ひいては完成医薬製剤に含有される塩が、確実に上記酸と薬理学的に適合しうることに注意を払わなければならない。
さらに、薬理学的に許容しうる緩衝系を用いてpHを調整してもよい。この目的のため、薬理学的に許容しうる無機又は有機緩衝系を使用しうる。好ましい緩衝系の例は、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液から選択される。リン酸緩衝液が特に好ましい。
【0025】
本発明の製剤は、さらなる薬理学的に許容しうる賦形剤としてキレート化剤を含有しうる。キレート化剤とは、本発明の範囲内では、錯体結合に入りうる分子を意味する。好ましくは、この化合物は、錯化カチオン、最も好ましくは金属カチオンの作用を持つべきである。本発明の製剤は、キレート化剤として好ましくはエデト酸(EDTA)又はその既知塩の1つ、例えばEDTAナトリウム又はEDTA二ナトリウムを含む。好ましくは、エデト酸二ナトリウムを使用し、任意にその水和物の形態、さらに好ましくはその二水和物の形態で使用してよい。さらに、EDTAは、エタノール含有溶液中に、そのエチルエーテルの形態で存在してよく、これはモノ-、ジ-、トリ-若しくはテトラエチルエステル又はその混合物の形態でよい。
本発明の製剤の範囲内でキレート化剤を使用する場合、その含量は、100mlの本発明の製剤当たり好ましくは0.1〜50mgの範囲、特に好ましくは0.25〜25mgの範囲である。好ましくは、本発明の製剤は、約0.3〜15mg/100ml、特に好ましくは約0.4〜8mg/100mlの量でキレート化剤を含む。
エデト酸二ナトリウムについて述べた所見は、キレート化特性を有し、かつEDTA又はその塩の代わりに使用できるEDTA又はその塩に匹敵する他の可能な添加剤、例えばニトリロ三酢酸とその塩にも同様に当てはまる。
【0026】
他の薬理学的に許容しうる賦形剤を本発明の製剤に添加してもよい。この文脈でアジュバント及び添加剤とは、活性物質ではないが、活性物質製剤の品質を改良するため、薬理学的に適切な溶媒中で活性物質と共に配合しうるいずれの薬理学的に許容でき、かつ治療的に有用な物質をも意味する。好ましくは、これらの物質は所望療法の文脈では、薬理学的作用又は目に見えるほどの若しくは少なくとも望ましくない薬理学的作用を持たない。アジュバント及び添加剤として、例えば、完成医薬製剤の寿命を延長する安定剤、抗酸化剤及び/又は保存剤、並びに調味料、ビタミン及び/又は他の技術上周知の添加剤が挙げられる。添加剤には、例えば塩化ナトリウム等の薬理学的に許容しうる塩も含まれる。
好ましい賦形剤として、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸(但し、pHを調整するために既に使用されていないことを条件とする)、没食子酸プロピル及び天然と合成の両フェノール系抗酸化剤が挙げられる。天然のフェノール系抗酸化剤として、例えばビタミンA、トコフェロール、例えばビタミンE、及び人体内に存在する同様のビタミン又はプロビタミンが挙げられる。天然の抗酸化剤として、植物器官内に存在するフラボノイド、例えばナリンゲニン及びリスベラトロールも挙げられる。合成抗酸化剤として、例えばBHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、TBHQ(tert-ブチルヒドロキシキノン)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンが挙げられる。BHT又はトコフェロールが好ましく、BHTが最も好ましい。
本発明の製剤の範囲内で抗酸化剤を使用する場合、その含量は、好ましくは0.1〜200mg/100mlの範囲である。
【0027】
保存剤を添加して、病原細菌による汚染から製剤を保護することができる。好適な保存剤は、技術上周知の当該保存剤、特に技術上周知の濃度の塩化ベンザルコニウム又は安息香酸若しくは安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムである。好ましくは、本発明の製剤に塩化ベンザルコニウムを添加する。添加する塩化ベンザルコニウムの量は、100mlの製剤当たり1mg〜50mg、好ましくは約2〜15mg/100ml、特に好ましくは約3〜12mg/100ml、特に好ましくは約4〜10mg/100mlの本発明の製剤である。塩化ベンザルコニウムを他の保存剤との混合物として本発明で使用してもよい。
50〜90%V/Vのエタノール/水混合物の場合、この特性が溶媒混合物中に既に存在するので、いずれの追加保存剤も必要ない。
好ましい製剤は、溶媒の水とエタノール、式1の化合物及び活性物質2の他に、抗酸化剤、キレート化剤及びpH調整に必要な酸、又は緩衝系のみを含む。特に好ましい製剤は、溶媒の水とエタノール、式1の化合物及び活性物質2の他に、BHT、EDTA及びpH調整に必要な酸、又は緩衝系のみを含む。
【0028】
〔噴霧器〕
圧縮空気又は超音波を用いて、水に溶解又は懸濁した医薬品の噴霧を行いうる。結果として生じる粒子範囲は、粒子の肺への送達において噴霧ガス及び粉末エアロゾルより優れる。この吸入方法は、重症喘息の場合に好適であり、かつ簡単な吸入法なので、自分の呼吸を調整する問題のある子供及び患者にも適する。固定装置と、移動時に使用するための小型装置の両方がある。これらはもちろん常にMDI及びDPIより大きい。使用できる医薬製剤は、微生物学的に安全な水性、等張性かつ中性pHの溶液又は懸濁液に限定される。
ジェット噴霧器−長時間のため、溶液を分布するための簡単な装置が使用されており、この装置では、強力な空気流が毛細管の開口を通り、該毛細管を通って溶液が吸引される(香水噴霧器の原理)。ガラス製の携帯型噴霧器では、ゴムボールを圧縮するか又はポンピング(ポンプ噴霧器)によって空気流が生成される。さらに最近のエアロゾル療法用の固定装置は、最適範囲(1〜5μm)内で50%超えの量を生成できる圧縮空気で操作する噴霧器である。溶液が分散する間に、圧縮空気がノズルを通って加速され、毛細管を通じて薬液を運ぶ(ベルヌーイ効果)。ノズルの下にある衝撃プレートがさらに働いて溶液を分散する。特有の遮断手段が確実に、最小の粒子だけが逃避し、より大きい粒子はレザバー中に逆流して再び噴霧できるようにする。吸入中、かなりの蒸発が起こり、蒸発の冷たさの結果として、活性物質溶液の冷たいエアロゾルと濃縮をもたらす。
超音波噴霧器−高周波数の交流によって圧電結晶が励起して振動が生じ、この振動が伝達媒体を通じて活性物質溶液に伝わり、活性物質から非常に微細な液滴を放出するが、同時に該液体を加熱する。
【0029】
本発明の無噴霧剤エアロゾルを生成するため、好ましくは本発明の薬物製剤を前述したタイプの吸入器で使用する。この点で、我々は、もう一度ここに、前述した特許文書を明白に参照する。最初に述べたように、好ましい吸入器のさらに開発された実施形態は、特許文献3(特に図6a及び6b並びに明細書の関連節参照)に開示されている。
有利には、この噴霧器(Respimat(登録商標))を用いて本発明の吸入可能エアロゾルを生成することができる。その円筒形状及び9〜15cmの長さと2〜4cmの幅というハンディーサイズのため、患者は該装置をどこでも運ぶことができる。この噴霧器は、吸入可能エアロゾルを生成するように、規定量の医薬製剤を高圧で小ノズルから噴霧する。
好ましい噴霧基は、基本的に、上ハウジング部、ポンプハウジング、ノズル、ロッキングクランプ、バネハウジング、バネ及び貯蔵容器から成り、以下の特徴がある。
−ポンプハウジングは、上ハウジング部に固定され、かつ一端に、ノズル又はノズル配列を備えたノズル体を有し、
−弁体を有する中空ピストン、
−中に中空体が固定され、上ハウジング部内にあるパワーテイクオフフランジ、
−上ハウジング部内にあるロッキングクランピング機構、
−中にバネがあるバネハウジングは、回転ベアリングを利用して上ハウジング部上に回転可能に取り付けられ、
−下ハウジング部は、バネハウジング上に、軸方向に取り付けられている。
弁体を備えた中空ピストンは、特許文献3に開示されている装置に相当する。この中空ピストンは部分的にポンプハウジングの円筒中に突出し、円筒内で軸方向に移動可能に配置されている。特に上記国際特許出願の図1〜4、特に図3及び明細書の関連部分を参照する。バネの解放モーメントで、弁体を備えた中空ピストンがその高圧端で5〜60MPa(約50〜600バール)、好ましくは10〜60Mpa(約100〜600バール)の圧力を流体(測定量の活性物質溶液)上に及ぼす。作動毎に10〜50μlの量が好ましく、10〜20μlの量がさらに好ましく、10〜17.5μlの体積が特に好ましい。
好ましくは、ノズル体に面する、中空ピストンの末端に弁体を取り付ける。
ノズル体内のノズルは好ましくは微細構造、すなわち微細工学によって製造される。微細構造ノズル体は、例えば、特許文献5に開示されており、ここにその内容、特に図1及び関連説明を参照する。ノズル体は、例えばしっかり一緒に固定されたガラス及び/又はシリコンの2枚のシートから成り、その少なくとも1枚は、ノズル入口端とノズル出口端を連絡する1つ以上の微細構造チャネルを有する。ノズル出口端には、深さ2〜10μm及び幅5〜15μmの少なくとも1つの円形又は非円形の開口がある。この深さは好ましくは4.5〜6.5μmであり、かつ長さは7〜9μmである。複数(好ましくは2つ)のノズル開口がある場合、ノズル体内のノズルの噴霧方向は相互に平行でよく、或いはノズル開口の方向で相互に傾いていてもよい。少なくとも2つのノズル開口を出口端に有するノズル体の場合、噴霧の方向は、相互に20°〜160°の角度、好ましくは60°〜150°、最も好ましくは80°〜100°の角度で傾いていてよい。ノズル開口は、好ましくは10〜200μmの間隔、さらに好ましくは10〜100μm、なおさらに好ましくは30〜70μmの間隔で配置される。50μmの間隔が最も好ましい。従って、噴霧の方向がノズル開口の範囲内で合う。
既に述べたように、液状医薬製剤は、600バールまで、好ましくは200〜300バールの入口圧力でノズル体をたたき、ノズル開口を通じて噴霧して吸入可能エアロゾルにする。エアロゾルの好ましい粒子サイズは20μmまで、好ましくは10μmまでである。
【0030】
ロッキングクランピング機構は、機械エネルギーの貯蔵所としてバネ、好ましくは円筒ヘリカル圧縮バネを含む。バネは、パワーテイクオフフランジ上でバネ部材として作用し、その動きはロッキング部材の位置によって決まる。パワーテイクオフフランジの移動は、上栓と下栓によって正確に制限される。バネは、好ましくはステッピングアップギア、例えばヘリカルスライディングギアを介して、外部トルク(上ハウジング部が、より低いハウジング部内でバネハウジングに対して回転したときに生じる)によって引っ張られている。この場合、上ハウジング部とパワーテイクオフフランジは単一又は複数速度のスプラインギアを含む。
噛み合っているロッキング面を備えたロッキング部材は、パワーテイクオフフランジの回りに環状の構成で配置される。この部材は、例えば、本質的に放射状に弾力的に変形できるプラスチック又は金属のリングから成る。このリングは、噴霧器の軸に垂直な平面内に配置される。バネの緊張後、ロッキング部材のロッキング面がパワーテイクオフフランジの経路中にスライドして、バネが解放されるのを阻止する。ボタンによってロッキング部材を作動させる。作動ボタンをロッキング部材に接続又は結合する。ロッキングクランピング機構を作動させるため、作動ボタンを環状面に平行に、好ましくは噴霧器中に動かすことによって、変形可能なリングが環状面内で変形する。ロッキングクランピング機構の構成の詳細は、特許文献6に開示されている。
下ハウジング部をバネハウジング上で軸方向に押して、ベアリング、スピンドル用ドライブ及び流体用貯蔵容器を覆う。
【0031】
噴霧剤を操作すると、ハウジングの上部が下部に対して回転し、下部はバネハウジングを一緒に持ってくる。その間にバネは、ヘリカルスライディングギアによって圧縮されて偏り、自動的にクランピング機構が連動する。回転角は、好ましくは360°の整数部分、例えば180°である。バネが緊張すると同時に、上ハウジング部内のパワーテイクオフ成分が所定量だけ進み、中空ピストンがポンプハウジング内の円筒内部に引き戻され、その結果として、貯蔵容器からいくらかの流体がノズルの前の高圧チャネル内に吸引される。
所望により、噴霧すべき流体を含有する複数の取り替え可能な貯蔵容器を次々に噴霧基に挿入して使用することができる。貯蔵容器は、本発明の水性エアロゾル製剤を含む。
作動ボタンを穏やかに押すことによって、噴霧プロセスを開始させる。すると、クランピング機構がパワーテイクオフ成分用通路を広げる。偏ったバネがピストンをポンプハウジング内の円筒中に押す。流体が噴霧形態で噴霧器のノズルから出る。
この構成のさらなる詳細は、PCT出願の特許文献7及び特許文献6に開示されており、ここに、その内容を参照する。
噴霧器の成分は、その機能に適した材料で作られる。噴霧器のハウジングと、その機能が許す場合、他の部品は、同様に好ましくはプラスチックから、例えば射出成形によって作られる。医療用途では、生理学的に許容しうる材料を使用する。
【0032】
特許文献3の図6a/bは本発明の水性エアロゾル製剤を有利に吸入できる噴霧器(Respimat(登録商標))を示す。図6aは、バネが張力を受けている噴霧器の縦断面を示し、図6bは、バネが解放されている噴霧器の縦断面を示す。
上ハウジング部(51)はポンプハウジング(52)を含み、その末端上に噴霧器ノズル用ホルダー(53)が取り付けられている。ホルダー内にノズル体(54)とフィルター(55)がある。ロッキングクランピング機構のパワーテイクオフフランジ(56)内に固定された中空ピストン(57)は、ポンプハウジングの円筒内に部分的に突出している。中空ピストンはその末端に弁体(58)を有する。中空ピストンはガスケット(59)で封鎖されている。上ハウジング部内に栓(60)があり、その上に、バネが弛緩しているときパワーテイクオフフランジが載る。パワーテイクオフフランジ上に栓(61)があり、その上に、バネが緊張しているときにパワーテイクオフフランジが載る。バネの緊張後、ロッキング部材(62)が上ハウジング部内の栓(61)と支持体(63)との間でスライドする。作動ボタン(64)はロッキング部材に連結されている。上ハウジング部はマウスピース(65)で終わり、取外し可能な保護キャップ(66)で閉鎖される。
圧縮バネ(68)を備えたバネハウジング(67)は、スナップ-フィットラグナット(69)と回転ベアリングによって上ハウジング部上に回転可能に取り付けられている。下ハウジング部(70)は、バネハウジング上で押される。バネハウジング内部には、噴霧すべき流体(72)用の取り替え可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器は、ストッパー(73)で閉鎖され、ストッパーを貫いて中空ピストンが貯蔵容器内に突出し、その端部を流体内に浸している(活性物質溶液の供給)。
機械計数器用のスピンドル(74)が、バネハウジングの外側に取り付けられている。上ハウジング部に面しているスピンドル端にドライブピニオン(75)が配置されている。スピンドル上にスライダー(76)がある。
【0033】
上記噴霧器は、本発明のエアロゾル製剤を噴霧して吸入に適したエアロゾルを形成するのために好適である。
本発明の製剤を上記方法(Respimat(登録商標))を用いてで噴霧する場合、吸入器の全作動(パフ)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%で放出される質量は、25%以下の許容範囲の規定量、好ましくはこの量の20%に相当する。好ましくは、5〜30mg、さらに好ましくは5〜20mgの製剤を1パフ毎の規定量として送達する。
本発明の製剤を上記吸入器以外の吸入器、例えばジェットストリーム吸入器又は液滴吸入器を用いて噴霧することもできる。
【0034】
本発明は、上述した本発明の1種の医薬製剤と、この医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器とから成る吸入キットにも関する。本発明は、好ましくは上述した本発明の1種の医薬製剤と、上述したRespimat(登録商標)吸入器とから成る吸入キットに関する。
製剤を上記Respimat(登録商標)装置を用いて経鼻投与すべき場合、この噴霧器は、円筒状錐体、すなわち円形若しくは楕円形断面又は次第に細くなる円形若しくは楕円形シリンダーを有する錐体の様式で設計されるマウスピース上にアタッチメントを備えうる。このアタッチメントは内側が中空であり、2つの開口を有する。開口の1つはマウスピース上に適合し、他方の尖頭端の開口を鼻孔に挿入することができる。
従って、このアタッチメントは、好ましくは通常の鼻スプレーの噴出口の形態である。アタッチメントを脱着可能又は脱着不能にマウスピースに連結するように構成しうる。この種のアタッチメントはマウスピースに取って代わりうる。
【0035】
吸入可能溶液は、適切な気体-及び流体-密接容器の中に含まれ、この容器の容量は、意図した用途に適合しているので、わずかに減少した圧力下にて所定様式で可塑的かつ不可逆的につぶれ、ほとんど全体的に空になりうる。
この問題は、本発明により、気体-及び流体-密接容器であり、かつ下記特徴のある医療液体用容器によって解決される。
・両端を封止したフィルムバッグであって、該容器の内側と、300hPa(300mbar)未満のその環境との間の圧力差がある時の外圧の結果として変形してつぶれるフィルムバッグと、
・このフィルムバッグに密接に連結され、かつ該容器を取外し可能なノズル上に適合させるための脱着可能な連結要素として構成される本質的に硬いフランジと、
・フィルムバッグが少なくとも一端で閉鎖され、かつ該バッグの軸に実質的に直角に伸長する少なくとも1つの溶接継ぎ目と、
・本質的に硬いフランジ内の封止ポイントと、
・本質的に硬いフランジの領域内の液体用の取外し可能なポイント。
【0036】
別の実施形態では、折畳式フィルムバッグが、150hPa(150mbar)未満、好ましくは80hPa(80mbar)未満の差次圧力の外圧で変形してつぶれうる。
フィルムバッグを両端で溶接継ぎ目によって閉鎖してよい。この場合、好ましくはフィルムバッグの一端に近い、フィルムバッグの側面に密接して、本質的に硬いフランジを溶接する。しかし、フィルムバッグを一端で溶接継ぎ目にて密接に封鎖し、かつ他端で本質的に硬いフランジにて封鎖してもよい。この場合、フィルムバッグの一端を本質的に硬いフランジに、好ましくはその外面に溶接する。本質的に硬いフランジは種々の形態を取るうる。本質的に硬いフランジをフィルムバッグの末端に取り付ける場合、その閉鎖を形成するとき、閉鎖は回転対称的で、かつフィルムバッグの末端の大きさに適合させうる。本質的に硬いフランジは、中に調剤ノズルが導入されるガイドチャネルを備えてよく、容器が適所にある時に調剤ノズルがこのガイドチャネル内に配置される。ガイドチャネルが、調剤ノズルを取り囲むプレスフィットを備えると都合よいだろう。プレスフィットは、調剤ノズルの外径とわずかに異なる内径を有する滑らかな内壁から成る、ガイドチャネルの一部でよい。別の実施形態では、ガイドチャネルの一部の内壁に複数のバルジを備えてよい。バルジは、例えば3つの軸方向に伸長する対称的に配置された細長いバルジでよい。さらに、相互に軸間隔で配置され、かつ方位角方向に伸長する複数のバルジを備えてよく、例えば2つのリングを形成し、或いはいくつかのリングセクションから成る。さらに、バルジがらせん形状でよく;それらは、ガイドチャネルの内壁にわたって分布するいくつかのらせん形部分又はガイドチャネルの円周より大きい長さの1つのらせん形部分から成りうる。このようなプレスフィットは、容器を調剤ノズル上に適合させることができ、かつ調剤ノズル上に本質的に硬いフランジ用の十分堅いシートを与える。さらに、空になった後、調剤ノズルを傷つけずに該容器を調剤ノズルから取り外すことができる。
本質的に硬いフランジは、ゴム、金属又はプラスチック、好ましくは熱可塑性プラスチック材料から成る。本質的に硬いフランジをフィルムバック又はフィルムバックの内部を作製するのと同じプラスチックから作製すると都合よいだろう。
フィルムバッグの一端又は両端の溶接継ぎ目は、U-、V-又はT-形状でよく;それはバッグの軸に実質的に直角に延びる。該継ぎ目がバッグの軸方向に部分的に伸長することによって、流体を回収するときにフィルムバッグの定義された変形を促す。
ガイドチャネルの内側又は一端に封止ポイントを与えてよい。封止ポイントは、ガイドチャネルの内壁に形成された溝内に配置されるリングから成りうる。このリングの断面はO-形状又は実質的に矩形でよい。リングは、任意に封止リップを備えてよい。リングは、エラストマー、熱可塑性エラストマー又はゴムから成りうる。封止ポイントは気体-及び流体-密接様式で周囲空気に対して調剤ノズル上に適合させた容器の内部を閉鎖する。封止ポイントは、空容器を調剤ノズルから取り外すことを可能にする。封止ポイントは、プレスフィットの封止作用が十分でない場合に必要である。
この取外し可能ポイントは、好ましくは穿孔ポイントとして構成される。穴をあけられる膜を穿孔ポイントに与えてよく、容器を調剤ノズル上に置くと、この膜に穴があけられる。膜は好ましくはフィルムバッグ内の封止ポイントと液体空間との間に配置される。この穴をあけられる膜をガイドチャネルの一端又は内部に設けてよい。好ましくはガイドチャネルの末端上に直接又はこの末端(液体空間に面する)に近接して前記膜を取りつける。膜が本質的に硬いフランジの一部又はフィルムバッグの一部でよい。膜が本質的に硬いフランジの一部である場合、本質的に硬いフランジと同時に膜を製造しうる。膜が本質的に硬いフランジと同じプラスチックで製造しうる。この穴をあけられる膜は、フィルムバッグの内部用の根源シールとして作用する。
【0037】
別の実施形態では、容器を調剤ノズル上に置く前に取り外すか、又は容器を調剤ノズル上に置くと穿孔される封止フィルムを用いて取外し可能ポイントを封止しうる。
本質的に硬いフランジは一区分又は数区分であってよい。複数区分のフランジは、好ましくは二区分でよい。フランジの外区分はフィルムバッグに密接に連結される。この外側部分は内側部分で密接に封止される開口を含む。これらの2つの部分を一緒にねじで止めるか、又はスナップ-フィット接続若しくは超音波溶接によって結合しうる。一部分フランジは二部分フランジと同様に形成されるが、接続要素を含まない。プレスフィット、封止ポイント用の溝及び穴をあけられる膜と同時に、本質的に硬いフランジを製造できる。
フィルムバッグは、フィルムバッグの軸方向に伸長する溶接継ぎ目のないチューブから成りうる。さらに、フィルムバッグはフィルム製で、かつ縦方向に伸長する1若しくは2つの溶接継ぎ目を有してよい。フィルムバッグをフラットバッグとしてか又はサイドプリーツのあるバッグとして構成してよい。1つの縦方向に伸長する溶接継ぎ目を有するバッグが好ましい。
フィルムバッグ上の溶接継ぎ目は0.7mm〜3mmの幅でよく;その幅は封止特性及び継ぎ目の耐久性についての要求に従って選択される。フィルムバッグ上の広い縦の継ぎ目は、実質的にフィルムバッグの外側に接するように溶接後、湾曲させることができるので、フィルムバッグは溶接継ぎ目間の非溶接部分のその幅よりほんのわずかに広い。
フィルムバッグは、金属箔又は合金箔(好ましくはアルミニウム、金若しくは銅の)、又はプラスチックフィルム、好ましくは熱可塑性プラスチックフィルムから成りうる。別の実施形態では、フィルムバッグは、プラスチックと金属の複合フィルムから成りうる。複合フィルムは、好ましくは2又は3種の結合フィルムから成りうる。さらに、フィルムバッグは、例えば蒸着によって金属、ガラス又はセラミックの層に適用されるプラスチックフィルムから成りうる。プラスチック又は金属のフィルムは数ミクロンの厚さである。金属、ガラス又はセラミックの蒸着層の厚さは、ミクロンより薄い範囲である。
2種のフィルムを含む複合フィルムは金属箔とプラスチックフィルムから成り、これらが結合している。金属箔が複合フィルムの内側又は外側を形成する。別の実施形態では、複合フィルムは2種の異なるプラスチックから成る。
3種のフィルムを含む複合フィルムは、好ましくは2種のプラスチックフィルムと、その間に与えられる金属箔から成る。3種のフィルム全てが結合される。金属箔の代わりに、ガラス又はセラミック、例えば酸化ケイ素(SiOX)の層(プラスチックフィルム上に蒸着される)でよい。
別の実施形態では、複合フィルムの内側フィルムがコポリマー、例えばエチレン-アクリル酸のポリエチレンコポリマーから成る。複合フィルムの外側プラスチックフィルムについては、好ましくはプラスチック、例えばポリエチレンテレフタレート(融点が内側フィルムのプラスチックの融点より高い)が用いられる。これは、フィルムバッグ製造時に内側フィルムのプラスチックを溶接して継ぎ目を形成するのを容易にする。複合フィルムには、任意に2種のフィルム間に接着促進層を設けてよい。
フィルムバッグは、20μm〜100μmの厚さのプラスチックフィルムから成りうる。それは、20μm〜100μmの厚さのプラスチックの内側フィルムと、8μm〜20μmの厚さの金属の外側フィルムを有する複合フィルムからも成りうる。それは、20μm〜100μmの厚さのプラスチックの内側フィルム、8μm〜20μmの厚さの金属の中間フィルム及び10μm〜40μmの厚さのプラスチックの外側フィルムを有する複合フィルムからも成りうる。
フィルムバッグ上の溶接継ぎ目及びフィルムバッグと本質的に硬いフランジとの間の溶接ポイントは、既知の方法、例えば、金属層のある複合フィルムの熱溶接、超音波溶接又は誘導溶接によって製造され、溶接ポイントは、好ましくは加熱状態で一緒にプレスされる。この種の方法は、例えば特許文献8及び9に開示されている。
接着によって、又は任意に加硫によって、ゴム又は金属製の本質的に硬いフランジをフィルムバッグに付着させうる。
【0038】
金属又はプラスチックの本質的に硬いスリーブ(その一端は脱着可能に又は非脱着可能に本質的に硬いフランジに連結され、他端は、任意にベースで封鎖されていてよい)内に前記容器を配置しうる。全般的にこのスリーブを実質的に封鎖してよい。しかし、スリーブは、少なくとも1つの開口を含むか又はフランジへの取付けポイントに割れ目がある。さらに、スリーブを複数の開口のある本質的に硬いバスケットとして構成してよい。スリーブの代わりに本質的に硬いU-形状のバスケット内に前記容器を配置してよい。バスケットの各脚の末端は、本質的に硬いフランジに取付けられ、これらの脚はフィルムバッグより長い。スリーブ内に配置された容器は、本質的に硬いフランジのところでスリーブに取り付けられているだけである。溶接継ぎ目で封止された末端又は溶接継ぎ目で封止されたフィルムバッグの2つの末端は、スリーブに取り付けられていない。
液体が容器から調剤ノズル内に進むと、外圧の作用の結果としてフィルムバッグが平たくつぶれる。スリーブの開口を通じて、又はスリーブと本質的に硬いフランジとの間の割れ目を通じて、空気がスリーブとフィルムバッグとの間の空間に入るので、圧力の均等化が起こる。従って、フィルムバッグには弁が必要なく、かつフィルムバッグ内の液体は空気に接触しない。
【0039】
フィルムバッグは、薬用流体とその構成成分及び気体の防拡散性である。従って、フィルムバッグ用の材料及び任意に複合フィルムの構成が選択される。本発明の目的の防拡散性とは、1日0.6mg未満、好ましくは1日0.4mg未満、最も好ましくは1日0.2mg未満、特に1日0.1mg未満の拡散による容器からの液体の損失(周囲温度にてエタノールで測定)があることを意味する。
フィルムバッグの内側フィルム又は内部は、その中に導入される液体と接触する。このフィルムは、液体によって攻撃されず、かつ液体に有害作用を及ぼさない材料から製造される。このフィルムは、好ましくは溶接できるように設計される。
フィルムの1つ又は蒸着によって適用された層は、例えば、液体又はその構成成分の拡散及びフィルムバッグから出るか又は入る気体の拡散を防止する拡散バリアである。この拡散バリアに適用した別のプラスチックを利用してフィルムを曲げるときの機械的損傷及び引裂から該拡散バリアを保護して、長期間液体又は気体の拡散を防止することが都合よいだろう。
フィルムバッグは気体に対して防拡散性なので、液体の除去によって引き起こされるフィルムバッグ内の減圧を、気体の内向き拡散によって補償できず、容器から液体が非常にゆっくり除去される場合でさえ、フィルムバッグは容易につぶれる。また、かなり長時間、例えば3ヶ月にわたって、フィルムバッグから多数の小量、例えば200用量の液体を取り出すこともできる。
実質的に閉鎖されたスリーブ内に配置された容器は、外部から接近し難く、貯蔵中及び調剤ノズル上に置いたときに傷つくはずがない。実質的に封止されたスリーブ又は複数の開口を有するバスケット若しくは本質的に硬いバスケットとして構成されたスリーブは、薄壁フィルムバッグを有する容器の貯蔵を容易にし、かつ該フィルムバッグを調剤ノズル上に置きながら及び調剤ノズルから空の容器を除去するときのフィルムバッグの取り扱いを容易にする。
【0040】
調剤ノズルは、例えば、薬用流体の噴霧器の中空ピストンである。この種の噴霧器は、特許文献10及び特許文献3(特にその中の図6a及び6b)で開示されている。この噴霧器の中空ピストンは、本発明の容器に含まれる薬用液体用の調剤ノズルとして構成される。好ましくは噴霧器の軸に沿って取り付けた中空ピストン上に容器を置く。前記中空ピストンの末端は調剤ノズル内に入りこんでいるので、薬用液体中に漬かる。本質的に硬いフランジ内の封止ポイントは、該中空ピストンの外壁から容器の内部をしっかり封止する。プレスフィットは、中空ピストン上の容器を機械的に固定することができる。
容器と調剤ノズルの間のプレスフィット(摩擦的にかみ合う接続)の代わりに、又はそれに加えて、容器の本質的に硬いフランジと、調剤装置、例えば噴霧器との間に取外し可能な連動してかみ合う接続を設けると有利だろう。プッシュ-インスナップ-フィット接続であるこのような接続は、調剤装置内の接続部材に取り付けられる複数のスナップフックから成りうる。容器を調剤装置内に押すと、スナップフックがフランジの凹所内、例えば包囲溝内又は本質的に硬いフランジの縁の背後でかみ合う。好ましくはスナップ-フィットラグナットは丸いか又は容器の動きの両方向に面取りされているので、適度な力を加えて空容器を除去でき、かつ満ちた容器を調剤装置内に適合させることができる。
【0041】
本発明の容器は、無噴霧剤噴霧器で吸入可能な薬物溶液用の取り替え可能なカートリッジとして特に好適である。容器の容量は、0.5ml〜5ml、好ましくは1ml〜4ml、特に好ましくは1ml〜3ml又は2ml〜4mlである。これらの溶液をバッチ形式で10μl〜5μl、好ましくは15μl〜20μlの用量で調剤する。
スリーブ径は10mm〜30mm、好ましくは12mm〜17mmでよい。スリーブから突出する本質的に硬いフランジの部分を含む容器の長さは20mm〜60mm、好ましくは30mm〜50mmでよい。
以下に与える製剤例は、例として述べる特定化合物に本発明の対象を限定することなく、本発明を説明するために役立つ。
【実施例】
【0042】
既に述べたように、既知の方法で式1の化合物を調製しうる。例として述べる化合物及び本発明の範囲内の好ましい化合物を以下に列挙する。従って、好ましい薬物製剤は、活性物質2と、下記化合物の中から選択される一般式1の化合物を含む当該薬物製剤である:
実施例1:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-メタンスルホネート;
実施例2:8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例3:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例4:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(エチル 4-フェノキシアセテート)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例5:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-フェノキシ-酢酸)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例6:8-{2-[1,1-ジメチル-2-(2.4.6-トリメチルフェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例7:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例8:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-イソプロピル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例9:8-{2-[2-(4-エチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例10:8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例11:8-{2-[2-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例12:8-{2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例13:8-{2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例14:8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例15:8-{2-[2-(3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド;
実施例16:4-(4-{2-[2-ヒドロキシ-2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[1,4]オキサジン-8-イル)-エチルアミノ]-2-メチル-プロピル}-フェノキシ)-酪酸の酸付加塩;
実施例17:8-{2-[2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-トリフルオロアセテート;
実施例18:8-{2-[2-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-トリフルオロアセテート;
実施例19:8-{2-[2-(4-クロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例20:8-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例21:8-{2-[2-(3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例22:8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例23:8-{2-[2-(4-フルオロ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例24:8-{2-[2-(4-クロロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例25:8-{2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例26:8-{2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例27:8-{2-[2-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例28:8-{2-[2-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例29:8-{2-[2-(2,5-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例30:8-{2-[2-(4-フルオロ-3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例31:8-{2-[2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例32:8-{2-[2-(4-クロロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例33:8-{2-[2-(3.4,5-トリフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンの酸付加塩;
実施例34:8-{2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
(任意に酸HX(X-は前記意味の1つを有しうる)との酸付加塩の形態でよく、かつ任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい。)
以下の表は、本発明の製剤例の編集物を示す。略語EDTAは、エデト酸二ナトリウム-二水和物を表し、略語BHTは、ブチルヒドロキシトルエンを表す。
特定される活性物質1及び2を任意にその塩及び/又は水和物の形態で使用してよいが、ここには遊離塩基の質量についてそれらを与える。以下の実施例では、化合物1をヒドロクロリド、ヒドロテトラフルオロアセテート又はヒドロテトラメタンスルホネートの形態で使用する。
【0043】
A)下表は実施例1の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。


【0044】
B)下表は実施例3の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0045】
C)下表は実施例7の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0046】
D)下表は実施例9の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0047】
E)下表は実施例14の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0048】
F)下表は実施例17の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。


【0049】
G)下表は実施例1の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0050】
H)下表は実施例3の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0051】
I)下表は実施例7の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0052】
J)下表は実施例9の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0053】
K)下表は実施例14の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0054】
L)下表は実施例17の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0055】
M)下表は実施例1の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0056】
N)下表は実施例3の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0057】
O)下表は実施例7の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0058】
P)下表は実施例9の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0059】
Q)下表は実施例14の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。

【0060】
L)下表は実施例17の化合物のR-エナンチオマーと活性物質2の本発明の製剤の例を示す。
100mlの薬物製剤は下記成分を含有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質として、下記一般式1、
【化1】

(式中、
R1は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
R2は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
R3は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル、ハロゲン、OH、-O-C1-4-アルキレン-COOH又はO-C1-4-アルキレン-COO-C1-4-アルキルを表し、
X-は、一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp-トルエンスルホネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)
で示される1種以上の化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド又はその代謝物の中から選択される活性物質2(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
少なくとも1種の薬理学的に許容しうる酸又は薬理学的に許容しうる緩衝系と、
を含み、
任意にさらなる薬理学的に許容しうる賦形剤を含んでよく、さらに溶媒としてエタノール又は水とエタノールの混合物を含有することを特徴とする薬物製剤。
【請求項2】
前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R1が水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
R2が水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
R3が水素、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチル若しくはO-CH2-COOエチル、-O-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2COOメチル若しくはO-CH2-CH2COOエチル、-O-CH2-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2-CH2COOメチル若しくは-O-CH2-CH2-CH2COOエチルを表し、
X-が一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp-トルエンスルホネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)
で示される1種以上の化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する請求項1に記載の薬物製剤。
【請求項3】
前記活性物質2と、一般式1、
(式中、
R1が、水素又はメチル、好ましくは水素を表し、
R2が、水素又はメチル、好ましくは水素を表し、
R3が、メチル、OH、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH又は-O-CH2-COOエチルを表し、
X-が、クロリド、ブロミド、スルフェート、メタンスルホネート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート及びスクシネートの中から選択される一置換若しくは多置換の負に荷電したアニオンを表す。)で示される1種以上の化合物(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
を含有する請求項1に記載の薬物製剤。
【請求項4】
前記活性物質2が、ブデソニド、シクレソニド又はその代謝物の中から選択され、任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項5】
前記薬理学的に許容しうる酸が、無機酸である塩酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸及び硫酸から又は有機酸であるアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項6】
前記薬理学的に許容しうる緩衝系が、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液の中から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項7】
2.0〜6.5のpHによって特徴づけられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項8】
活性物質1'と活性物質2の含量が、相互独立に各場合100mlの溶液当たり約0.1〜6000mgである請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項9】
さらなる薬理学的に許容しうる賦形剤としてキレート化剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項10】
前記キレート化剤の含量が、100mlの溶液当たり約0.1〜50mgである請求項9に記載の薬物製剤。
【請求項11】
さらなる薬理学的に許容しうる賦形剤として抗酸化剤を含むこと請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項12】
さらなる薬理学的に許容しうる賦形剤として、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、tert-ブチルヒドロキシキノン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチルヒドロキシ-ヒドロシンナメート)]メタン、トコフェロール、ナリンゲニン及びリスベラトロールの中から選択される抗酸化剤を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項13】
溶媒として水とエタノールの混合物を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項14】
共溶媒としてベンジルアルコール、γ-ブチロラクトン又はジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項15】
溶媒として水とエタノールの混合物を含み、エタノールの体積百分率量が、30〜90%のエタノールの範囲である請求項14に記載の薬物製剤。
【請求項16】
活性物質として、下記式1、
【化2】

(式中、基R1、R2及びR3は、請求項1〜3のいずれか1項で与えた意味を有す。)で示される遊離塩基(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド又はその代謝物の中から選択される活性物質2(任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい)と、
少なくとも1種の薬理学的に許容しうる酸とを含み、
任意にさらなる薬理学的に許容しうる賦形剤を含んでよく、さらに溶媒としてエタノール又は水とエタノールの混合物を含有することを特徴とする薬物製剤。
【請求項17】
前記活性物質2が、ブデソニド、シクレソニド又はその代謝物の中から選択され、任意にその互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の形態でよい、請求項15に記載の薬物製剤。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の薬物製剤の、呼吸器愁訴の治療用医薬組成物を調製するための使用。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の薬物製剤と、この薬物製剤を噴霧するのに適した吸入器とから成る吸入キット。
【請求項20】
前記吸入器がRespimat(登録商標)である、請求項18に記載の吸入キット。

【公表番号】特表2010−501021(P2010−501021A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525029(P2009−525029)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058515
【国際公開番号】WO2008/020056
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】