説明

おからの攪拌乾燥装置及び乾燥方法

【課題】従来のおからの攪拌乾燥装置や乾燥方法では、攪拌乾燥装置や乾燥方法が複雑であり、乾燥処理及び製造がバッチ連続的に行うことが出来なかった。また、乾燥工程と冷却工程との該工程間や該工程自体に時間がかかり、おから内に雑菌や不朽菌が繁殖し易いという欠点があった。
【解決手段】おからが供給されて真空ポンプ5と連通される真空冷却糟2と、該真空冷却槽2から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンク3と、該クッションタンク3から排出されたおからを乾燥炉本体6に供給する定量供給装置13と、供給装置18と真空冷却槽2とクッションタンク3と定量供給装置13との各連結部に配設する開閉装置A・B・C・Dと、前記定量供給装置13から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体6と、乾燥炉本体6に吹き込むための空気を温める熱交換機10と、該熱交換機10に熱風を送り込む熱風発生装置7とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品残渣として扱われているおからを飼料や廃棄物にすることなく、食品用として再利用する技術に関する。詳しくは、含水率が70〜85%であり、体積のほとんどが水分である生のおからを乾燥させることによって、おからの体積及び重量を減少させて、固形成分の塊とする技術である。
【背景技術】
【0002】
おからは、大豆又は脱脂大豆に水溶性溶媒を加えて抽出物(豆乳)を分離した残渣であり、体積のほとんどが水分であるが、食物繊維や炭水化物やタンパク質等の成分を多く含んでいる。
現在、わが国では年間50万トンを超える大豆が豆腐に加工されており、加工の際に残渣として生じるおからは約70万トンに上ると推定されているが、その大部分が産業廃棄物として廃棄されている。
【0003】
そして、廃棄されないおからも多くが飼料や飼育に利用され、食品として利用されるおからは極めて少ない、というのが現状である。
このため、従来から、おからを有効利用して食料自給率の向上や環境保全に寄与させるための技術、即ち、おからを効率的に製造するための多くの技術が開発されてきている。
例えば、おからは湿潤状態のままでは体積が大きくて菌が繁殖して腐敗し易いものであり、長期保存をする等の取り扱いが非常に困難であったため、おからを乾燥させて、乾燥おからにする技術等が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、豆腐の製造工程から出ていた大量の残渣であるおからの廃棄量を少なくするために、おからを単細胞化させながら製造する技術も公知となっている(例えば、特許文献2参照。)。この製造技術は、おからを単細胞化することによって、ざらついた食味を改善し、また大豆臭を抑え、その結果、おからの消費を促進して、おからの廃棄量を減少させるものである。
【特許文献1】特開2002−51721号公報
【特許文献2】特開2004−41090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のおからの攪拌乾燥装置や乾燥方法では、おからの攪拌乾燥装置や乾燥方法が複雑であった。また、おからの乾燥処理及び製造がバッチ連続的に行うことが出来なかった。加えて、乾燥工程と冷却工程との該工程間や該工程自体に時間がかかってしまい、例えば、冷却工程中のおからの温度が40〜60℃の温度域でおから内に雑菌や不朽菌が繁殖し易いという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、生のおからの供給装置と、
該供給装置からおからが供給されて真空ポンプと連通される真空冷却糟と、
該真空冷却槽から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンクと、
該クッションタンクから排出されたおからを乾燥炉本体に供給する定量供給装置と、
供給装置と真空冷却槽とクッションタンクと定量供給装置との各連結部に配設する開閉装置と、
前記定量供給装置から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体と、
乾燥炉本体に吹き込むための空気を温める熱交換機と、
該熱交換機に熱風を送り込む熱風発生装置と、
乾燥おからを分離するサイクロンと、
を具備したものである。
【0008】
請求項2においては、生のおからの供給装置と、
該供給装置からおからが供給されて真空ポンプと連通される真空冷却糟と、
該真空冷却槽から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンクと、
該クッションタンクから排出されたおからを乾燥炉本体に供給する定量供給装置と、
供給装置と真空冷却槽とクッションタンクと定量供給装置との各連結部に配設する開閉装置と、
前記定量供給装置から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体と、
乾燥炉本体に温めた空気を送る熱風発生装置と、
乾燥おからを分離するサイクロンと、
を具備したものである。
【0009】
請求項3においては、約60℃以上の生のおからを、約25℃以下の低温で、25mmHg以下の低圧状態にした真空冷却糟に投入して急速に冷却して水分を除去し、
このおからを一定量ずつ乾燥炉本体に供給し、攪拌して粒子化しつつ熱風によって温めて含水率10%以下に乾燥させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、生のおからを真空冷却槽に供給することで急速に低温にして、低圧の下で容易に乾燥させることができ、この乾燥させたおからを更に乾燥炉本体で乾燥させて粉体化することができ、これらは連続的に処理することが可能となった。こうして、おからの製造工程と冷却及び乾燥工程との工程間や該工程自体に時間がかからなくなった。そして、乾燥炉本体へは熱交換機より供給される温風が送られるので、清浄で一定温度の温風が得られ、おからを汚したり傷めずにきれいな状態のまま略均一に粉状にすることができる。
【0012】
請求項2においては、生のおからを真空冷却槽に供給することで急速に低温にして、低圧の下で容易に乾燥することができ、この乾燥させたおからを更に乾燥炉本体で乾燥させて粉体化することができ、これらは連続的に処理することが可能となった。こうして、おからの製造工程と冷却及び乾燥工程との工程間や該工程自体に時間がかからなくなった。そして、乾燥炉本体へは熱風発生装置から直接熱風を送るので、構成が簡単で安価に乾燥工程が得られ、乾燥効率を向上できる。
【0013】
請求項3においては、雑菌や不朽菌が繁殖し難い60℃以上の生のおからが、急速に低温低圧下に投入されることで、生のおからを雑菌や不朽菌が繁殖し易い40〜60℃の温度域を瞬間的に通り過ぎて乾燥させることができ、その後、更に乾燥させることで雑菌や不朽菌が繁殖し難くなり、常温保存が可能となる。そして、粒子化させることで軽量化、減量化されて取り扱いが容易となる。更に、こうして得られた乾燥おからは、そのまま加工食品の原料としたり、食品添加材としたり、そのままダイエット食品としたりすることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置100の全体構成を示す模式図、図2は本発明の第1の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置100の制御回路の模式図、図3は同じくおからの乾燥方法を示すフローチャート、図4は本発明の第2の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置101の全体構成を示す模式図である。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1として、本発明の間熱式の攪拌乾燥装置を用いたおからの攪拌乾燥装置100及び乾燥方法について説明する。
まず、図1を参照しながら、間熱式の攪拌乾燥装置100について説明する。
豆腐や豆乳等の製造ラインで製造された生のおからは、含水率が70〜85%、温度が70〜90℃の状態で、供給装置により本攪拌乾燥装置100内へ送られてくる。供給装置はホッパー1とモーノポンプ18よりなり、モーノポンプ18には、真空冷却糟2が連結されている。
【0016】
該モーノポンプ18はホッパー1下部に設けられ、ホッパー1内にはモータM1により駆動される攪拌羽根を有し、モーノポンプ18はスクリュー状の送り体を備えモータM2により駆動され、図2に示すように該モータM1・M2はそれぞれ制御装置20と接続されて、所定のタイミングで生のおからが該真空冷却糟2に送り込まれるように制御されている。
モーノポンプ18と真空冷却糟2の間(連結部)には、開閉装置となるバルブAが具備されて制御装置20と接続されており、該バルブAの開閉によって、生のおからを真空冷却糟2に送り込むか否かを制御できるように構成されている。
【0017】
真空冷却糟2下方には、クッションタンク3が連設されており、該クッションタンク3によって、真空冷却糟2から送りまれてくる急速冷却されたおからの重量若しくは体積等を一定量収容できるようにしている。つまり、クッションタンク3にはレベルセンサ(または重量センサ)28が配置されて制御装置20と接続され、該クッションタンク3内に送り込まれたおからの重量若しくは体積が一定量に達すると、前記バルブAが閉じられて、モーノポンプ18が一時停止するように構成されているのである。
真空冷却糟2とクッションタンク3の間(連結部)には、開閉装置となるバルブBが具備されており、モーノポンプ18から送られてきた生のおからの急速冷却が終わり所定量溜まるとバルブBが閉じられて、該生のおからを後述する定量供給装置13に供給した後に再度バルブBが開放される。
【0018】
前記真空冷却糟2は、真空ポンプ5と連通されており、該真空ポンプ5によって、真空冷却糟2、クッションタンク3内部が4.58mmHg〜23.8mmHgまで減圧されるようになっている。クッションタンク3の下方には定量供給装置13が配置され、該クッションタンク3と定量供給装置13の間には開閉装置となるバルブCを介装して連通されている。また、クッションタンク3はフィルター等を設けたバルブDを介して外気と連通されている。該バルブC・Dは制御装置20と接続されて所定のタイミングで開閉するように制御されている。
【0019】
定量供給装置13はホッパー4と送り出し装置21からなり、ホッパー4内には攪拌羽根を設けてモータM3により駆動し、送り出し装置21はスクリューをモータM4によって駆動して内容物を排出できるようにし、図2に示すように、該モータM3・M4は制御装置20と接続されて所定のタイミングで駆動するように制御されている。
【0020】
前記ホッパー4は二重ジャケット式に構成されており、ジャケット内に冷媒を循環させることで保冷できるようにしている。該ジャケットは配管を介して冷媒タンク22と接続され、循環後の冷媒が収容される。該冷媒タンク22は冷媒ポンプ23の吸入側とバルブを介して連通され、該冷媒ポンプ23の駆動により吸い上げられる。該冷媒ポンプ23の吐出側にはバルブを介してブラインクーラー24と連通されて、吐出された冷媒を冷却し、該ブラインクーラー24の吐出側にはバルブを介して前記ジャケットとコールドトラップ25と連通されている。
【0021】
前記定量供給装置13の吐出側は乾燥炉本体6と連結されており、該定量供給装置13下部に固設された送り出し装置21によって、前述のように一定重量になるとおからを乾燥炉本体6へ送り込むようになっている。
【0022】
乾燥炉本体6は円筒状の形状になっており、内部に攪拌羽根14・14・・・が配設されている。該攪拌羽根14・14・・・は駆動軸26に放射状に固設され、該駆動軸26はモータM5と動力伝達手段を介して連結され、該モータM5は図2に示すように、制御装置20と接続され、所定のタイミングで駆動されるように制御されている。この攪拌羽根14・14・・・の回動によって、送り出し装置21によって送られてきた乾燥炉本体6内のおからを攪拌及び微細化して、おからが乾燥しやすいようにしている。
【0023】
そして、乾燥炉本体6内部には、希釈ブロア11によって新鮮な空気が送りこまれてくる。該新鮮な空気は熱交換機10によって温められて、350〜500℃の温度状態で乾燥炉本体6へ送られる。詳しくは、熱交換機10に熱風発生装置7から熱風が送られて、熱交換機10、希釈ブロア11から送られてくる新鮮な空気が温められる構成となっており、該熱風発生装置7には熱回収ブロア12によって、熱交換機10で熱交換した後の余剰の熱風が戻され、一部排出されるようにしている。
【0024】
熱交換機10の出口には温度センサ29が配置されて制御装置20と接続され、熱交換機10の出口の温度が350〜500℃となるように熱風発生装置7が制御される。該熱風発生装置7はLPGガスや天然ガス、灯油、軽油、重油等を燃料としてバーナー30に供給されて燃焼される。この燃焼により高温となった空気が熱交換機10に送られるのである。そして、前記バーナー30の点火装置は制御装置20と接続されて、所定の温度が得られるように制御されている。
【0025】
乾燥炉本体6の出口はサイクロン8に連結されており、乾燥炉本体6内部で乾燥されたおからが乾燥に利用された熱風とともにサイクロン8に送られるようになっている。そして、サイクロン8は、送られてきたおからと熱風を分離し、おからは下方へ排出し、空気は上方へ排出する構成となっている。
サイクロン8上方は、誘引ブロア17を介して排気塔9と連結されており、利用し終わった空気を誘引ブロア17によって排気塔9から攪拌乾燥装置100外部へ排出する構成となっている。
【0026】
このように、生のおからの供給装置18と、
該供給装置18からおからが供給されて真空ポンプ5と連通される真空冷却糟2と、
該真空冷却槽2から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンク3と、
該クッションタンク3から排出されたおからを乾燥炉本体6に供給する定量供給装置13と、
供給装置18と真空冷却槽2とクッションタンク3と定量供給装置13との各連結部に配設する開閉装置A・B・C・Dと、
前記定量供給装置13から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体6と、
乾燥炉本体6に吹き込むための空気を温める熱交換機10と、
該熱交換機10に熱風を送り込む熱風発生装置7と、
乾燥おからを分離するサイクロン8と、
を具備したので、
生のおからを真空冷却槽2に供給することで急速に低温にして、低圧の下で容易に乾燥させることができ、この乾燥させたおからを更に乾燥炉本体6で乾燥させて粉体化することができ、これらは連続的に処理することが可能となった。こうして、おからの製造工程と冷却及び乾燥工程との工程間や該工程自体に時間がかからなくなった。そして、乾燥炉本体6へは熱交換機10より供給される温風が送られるので、清浄で一定温度の温風が得られ、おからを汚したり傷めずにきれいな状態のまま略均一に粉状にすることができる。
【0027】
次に、図1及び図3を参照しながら、間熱式の乾燥方法について、時系列で説明する。
まず、真空冷却糟2とクッションタンク3内の圧力を真空ポンプ5で約4.58mmHg〜約23.8mmHgまで減圧する(ステップS1)。このとき、前記真空冷却糟2とクッションタンク3の間にあるバルブBは開放されており、一方製造されたおからを供給するモーノポンプ18と真空冷却糟2の間のバルブAとクッションタンク3出口のバルブCと空気吸入部のバルブDは閉じられている。この真空冷却糟2またはクッションタンク3内の圧力は圧力センサ27により検知され、制御装置20と接続されている。
【0028】
前記真空冷却糟2とクッションタンク3内の圧力が設定圧に達し減圧工程が終了すると、バルブAが開放されて(ステップS2)、製造ラインから製造された生のおからが、モーノポンプ18によって、真空冷却糟2に送りこまれる(ステップS3)。このとき、前記生のおからは製造ラインで製造された直後であるので、含水率が80%前後であり、温度は80℃前後であり、一般生菌は数百個/g以下、の状態となっている。
そしてこのとき、真空冷却糟2及びクッションタンク3内の圧力は、水の沸点が0〜25℃である4.58mmHg〜23.8mmHgの間となるように、真空ポンプ5を駆動して制御されている。
【0029】
以上のような構成となっているので、真空冷却糟2及びクッションタンク3の中に投入された80℃前後の温度とに保持された生のおからでは、真空冷却糟2内において自らの熱によって瞬間的に水分が蒸発し、その結果、生のおからは減圧された真空冷却糟2内の空気の圧力に対応する水の沸点の0〜25℃まで瞬間的に冷却される。つまり、おからに含まれる水分は真空冷却糟2に入ると同時に沸点を越えているため沸騰して蒸発する。そしてこの蒸発による気化熱によりおからは同時に冷却される。こうして、おからは4.58mmHg〜23.8mmHgという低圧状態の中で、一般雑菌繁殖温度域25〜60℃を飛び越えて、瞬間的に沸点温度0〜25℃程度まで冷却される。
そのため、一般雑菌が繁殖できる状況をほとんど経ずして、低温のおからを製造できるのである。
なお、真空ポンプ5により真空冷却糟2から吸引された水分を含む空気は、コールドトラップ25で冷却されて結露させ、水分を除去して空気のみ真空ポンプ5で排気するようにしている。
【0030】
こうして冷却・乾燥されたおからがクッションタンク3中に落下し、この冷却されたおからが設定量貯まる(ステップS4)と、レベルセンサ28が感知して、モーノポンプ18と真空冷却糟2の間のバルブAが閉じられる。それと同時に、モーノポンプ18も停止して、生のおからの真空冷却糟2への送りが停止する(ステップS5)。
そして、真空冷却糟2とクッションタンク3の間のバルブBも閉じられ、クッションタンク3がモーノポンプ18や真空冷却糟2と独立した状態となる(ステップS6)。
【0031】
次に、クッションタンク3が独立した状態において、バルブDが開放されて、クッションタンク3内の圧力が常圧状態に戻される(ステップS7)。そして、クッションタンク3と定量供給装置13冷却の間のバルブCが開放されて、冷却されたおからがクッションタンク3から定量供給装置13へと自然落下する(ステップS8)。おからの自然落下が終わるとバルブCとバルブDが閉じられる(ステップS9)。
ここで、定量供給装置13のケーシングは2重ジャケット式になっており、外側のジャケットと内側のジャケットの間には0〜10℃の不凍液(冷媒)が循環しており、保冷の役割を持つ、冷却されたおからの温度は維持され、雑菌の繁殖を抑制する。
【0032】
そして、バルブBが開放されて真空冷却糟2とクッションタンク3がつながり、クッションタンク3が減圧状態となる(ステップS1)。そして、再度真空ポンプ5が働き、真空冷却糟2とクッションタンク3内の圧力は4.58mmHg〜23.8mmHgになる。
その後は、前述同様の、製造ラインからおからを受け取って(ステップS1)バルブC及びバルブDを閉じて(ステップS9)、後述のように生のおからを定量供給装置13へ送る(ステップ10)工程を繰り返すこととなる。
【0033】
バルブC及びバルブDが閉じられると、冷却保冷されたおからが送り出し装置21によって定量供給装置13から乾燥炉本体6に送り込まれる(ステップS10)。乾燥炉本体6は、熱風発生装置7で作られた800℃程度の熱風が熱交換機10に送り込まれて、該熱交換機10内を通過する新鮮な空気が乾燥炉本体6内側に入り、乾燥炉本体6の内側の温度を上昇させるしくみとなっている。
希釈ブロア11から送り込まれた前記新鮮な空気は、前記熱風によって温度を上昇させられながら熱交換機10を通過して、350〜500℃のクリーンな熱風となって、常時乾燥炉本体6の内側へ送り込まれている。
【0034】
乾燥炉本体6内では、攪拌羽根14・14・・・が風速10m/sec以上で回転しておからの粒子化を行い、おからの乾燥表面積を大きくすることにより、変色・性質変化を抑えながら、乾燥炉本体6内で1〜3分の滞留時間でおからを更に乾燥させて完了する(ステップS11)。
【0035】
乾燥炉本体6からは乾燥されて粒子化された粉体状のおからと同時に100〜150℃の熱風(水蒸気、空気)が排出される。これらはともにサイクロン8を通過して(ステップS12)、サイクロン8上部からは熱風が排出されて、サイクロン8下部からはおからが排出される(ステップS13)。
このときの、排出された直後の乾燥おからの状態は、温度が70〜80℃、含水率が10%以下、一般生菌数百個/g以下となっている。
【0036】
熱風発生装置7で作られた熱風は熱交換機10及び乾燥炉本体6を通り抜け、約80〜90%は熱回収ブロア12より回収され、再度熱風発生装置7へと流れ、該熱風を再利用することが可能である。残りの10〜20%は誘引ブロア17によって排気塔9へ送られて、攪拌乾燥装置100外部へと排出される。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の実施例2として、直熱式のおからの攪拌乾燥装置101及び乾燥方法について説明する。
まず、図4を参照しながら、直熱式の攪拌乾燥装置101について説明する。
おからの製造ラインで製造された生のおからは、含水率が約80%、温度が約80℃の状態で、モーノポンプ18のホッパー1に供給される。本攪拌乾燥装置101におけるモーノポンプ18、真空冷却糟2、クッションタンク3、定量供給装置13、乾燥炉本体6、サイクロン8、バルブA・B・C・D及びモータM1〜M5、及び、冷媒タンク22、冷媒ポンプ23等は前記実施例1と同じ構成としている。
【0038】
実施例2の攪拌乾燥装置101が実施例1の攪拌乾燥装置100と異なる構成は、乾燥炉本体6へ送る高温の空気を、熱交換機10を介することなく直接熱風発生装置7から乾燥炉本体6に送るようにして、前記のような熱回収機構も省いて簡単な構成として熱効率も高くしている。即ち、熱風発生装置7にはブロア15の吐出側が接続され、該ブロア15の空気取入口にはフィルター16が配設されて、ブロア15が清浄化された空気を吸入して熱風発生装置7に送るようにしている。熱風発生装置7はバーナー30により前記ブロア15からの清浄な空気を温めて吐出し配管を介して乾燥炉本体6に送る。このとき燃焼空気と分離しておくことが望ましく、燃焼空気が混じる場合にはフィルター等を介装する。この配管に温度センサ29が配置されてその温度を検知し、350〜500℃の温度状態で乾燥炉本体6へ送られるようにバーナー30を制御する。
【0039】
乾燥炉本体6の出口は前記と同様にサイクロン8に連結されており、乾燥炉本体6内部で乾燥されたおからや、該乾燥に利用された空気は、サイクロン8に送られるようになっている。そして、サイクロン8は、送られてきたおからを分離して下方へ排出し、送られてきた空気は前記同様に上方へ排出する構成となっている。
【0040】
直熱式の乾燥方法により得られるおからは、図3及び図4に示すように、前記実施例1と同様にステップS1〜ステップ13により得られる。
【0041】
このように、生のおからの供給装置と、
該供給装置からおからが供給されて真空ポンプと連通される真空冷却糟と、
該真空冷却槽から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンクと、
該クッションタンクから排出されたおからを乾燥炉本体に供給する定量供給装置と、
供給装置と真空冷却槽とクッションタンクと定量供給装置との各連結部に配設する開閉装置と、
前記定量供給装置から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体と、
乾燥炉本体に温めた空気を送る熱風発生装置と、
乾燥おからを分離するサイクロンと、
を具備したので、
生のおからを真空冷却槽に供給することで急速に低温にして、低圧の下で容易に乾燥することができ、この乾燥させたおからを更に乾燥炉本体で乾燥させて粉体化することができ、これらは連続的に処理することが可能となった。こうして、おからの製造工程と冷却及び乾燥工程との工程間や該工程自体に時間がかからなくなった。そして、乾燥炉本体へは熱風発生装置から直接熱風を送るので、構成が簡単で安価に乾燥工程が得られ、乾燥効率を向上できる。
【0042】
このように、約60℃以上(多くの場合は80℃程度)の生のおからを、約25℃以下の低温で、25mmHg以下の低圧状態にした真空冷却糟に投入して急速に冷却して水分を除去し、
このおからを一定量ずつ乾燥炉本体に供給し、攪拌して粒子化しつつ熱風によって温めて含水率10%以下に乾燥させるので、
雑菌や不朽菌が繁殖し難い60℃以上の生のおからが、急速に低温低圧下に投入されることで、生のおからを雑菌や不朽菌が繁殖し易い25〜60℃の温度域を瞬間的に通り過ぎて(40〜60℃の温度域を瞬間的に通り過ぎる程度でも良い。)乾燥させることができ、その後、更に乾燥させることで雑菌や不朽菌が繁殖し難くなり、常温保存が可能となる。そして、粒子化させることで軽量化、減量化されて取り扱いが容易となる。更に、こうして得られた乾燥おからは、そのまま加工食品の原料としたり、食品添加材としたり、そのままダイエット食品としたりすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置100の全体構成を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置100の制御回路の模式図。
【図3】同じくおからの乾燥方法を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施例に係わるおからの攪拌乾燥装置101の全体構成を示す模式図
【符号の説明】
【0044】
2 真空冷却糟
3 クッションタンク
4 定量供給装置
5 真空ポンプ
6 乾燥炉本体
7 熱風発生装置
8 サイクロン
9 排気塔
10 熱交換機
11 希釈ブロア
12 ブロア
13 定量供給装置
14 攪拌羽根
15 ブロア
16 フィルター
17 誘引ブロア
18 供給装置(モーノポンプ)
100・101 攪拌乾燥装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生のおからの供給装置と、
該供給装置からおからが供給されて真空ポンプと連通される真空冷却糟と、
該真空冷却槽から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンクと、
該クッションタンクから排出されたおからを乾燥炉本体に供給する定量供給装置と、
供給装置と真空冷却槽とクッションタンクと定量供給装置との各連結部に配設する開閉装置と、
前記定量供給装置から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体と、
乾燥炉本体に吹き込むための空気を温める熱交換機と、
該熱交換機に熱風を送り込む熱風発生装置と、
乾燥おからを分離するサイクロンと、
を具備したことを特徴とするおからの攪拌乾燥装置。
【請求項2】
生のおからの供給装置と、
該供給装置からおからが供給されて真空ポンプと連通される真空冷却糟と、
該真空冷却槽から排出されたおからを一定量貯めるクッションタンクと、
該クッションタンクから排出されたおからを乾燥炉本体に供給する定量供給装置と、
供給装置と真空冷却槽とクッションタンクと定量供給装置との各連結部に配設する開閉装置と、
前記定量供給装置から送られたおからを攪拌しながら熱風で乾燥する乾燥炉本体と、
乾燥炉本体に温めた空気を送る熱風発生装置と、
乾燥おからを分離するサイクロンと、
を具備したことを特徴とするおからの攪拌乾燥装置。
【請求項3】
約60℃以上の生のおからを、約25℃以下の低温で、25mmHg以下の低圧状態にした真空冷却糟に投入して急速に冷却して水分を除去し、
このおからを一定量ずつ乾燥炉本体に供給し、攪拌して粒子化しつつ熱風によって温めて含水率10%以下に乾燥させることを特徴とするおからの乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−121972(P2006−121972A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314385(P2004−314385)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(391057395)株式会社ヤスジマ (8)
【Fターム(参考)】