説明

ぎょうじゃにんにく粉末の製造方法及びぎょうじゃにんにく粉末

【課題】この発明は、ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根を加工して臭気の著しく少ない粉末とすることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、生のぎょうじゃにんにくの葉、茎、根を水洗した後、真空包装し、これを−5℃〜−10℃の低温で冷凍後放置した後解凍する。解凍後は再び−5℃から−10℃の低温で冷凍し放置した後、解凍し擂り潰して、砂糖、蜂蜜を混入し、薄く展延して冷凍し、30日後解凍すればぎょうじゃにんにくの粉末ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生のぎょうじゃにんにく全草を加工して、ぎょうじゃにんにくの粉末を製造することを目的としたぎょうじゃにんにく粉末の製造方法及びぎょうじゃにんにく粉末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来ぎょうじゃにんにくは、そのままおひたしとして食用に供せられ、又は風味を保存して醤油をベースにした調味料又は乾燥加工して得た健康食品として知られている。またぎょうじゃにんにくは疲労回復に有効とされているが、臭気が強いので食用としては敬遠されがちであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−335905号公報
【特許文献2】特公平3−71857号公報
【特許文献3】特開平1−243959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来調味料としては、ぎょうじゃにんにくの若芽を5%〜20%(W/V)たまり醤油とみりんの基材に混合したものが知られており、ぎょうじゃにんにく風味の醤油として知られている(特許文献1)。またぎょうじゃにんにくを乾燥した後焙煎して臭気をなくし、有効成分を保有させたものもある(特許文献2)。
【0005】
更にぎょうじゃにんにくの根部を加工して臭気の少ない香辛料を得る発明も提案されている(特許文献3)。
【0006】
前記従来の各提案は、臭気を可及的に少なくした香辛料又は醤油などの補助剤に混入して使用されている。従って処理の仕方と製品とによって使途が限定される問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ぎょうじゃにんにくを冷凍処理により生のまま粉末化することによって、臭気を少なくすると共に、多少に拘わらず使用を容易にすることに成功し、前記問題点を解決したのである。
【0008】
即ちこの発明は、ぎょうじゃにんにくの葉、茎及び根を水洗後、水を切ってから−5℃〜−10℃で一次冷凍する。前記冷凍の3日〜5日後解凍して5日〜10日常温で放置する。ついで−5℃〜−10℃で二次冷凍し、10日〜15日放置後解凍する。この放置により臭気が解け易くなる。ついで解凍したぎょうじゃにんにくを擂り潰し、全体の形態がなくなった状態(葉、茎、根の区別がなくなる)になったならば、その総量の5%〜15%(重量)の砂糖又は蜂蜜又は両者の等量混合物を添加し、よく混合し、7日から14日間熟成させる。前記熟成した混合物を薄く(3mm〜6mm)展延し、そのまま−10℃〜−20℃で瞬間冷凍する。20日〜30日経過後、解凍すればぎょうじゃにんにくの粉末ができる。
【0009】
前記粉末は臭気がほとんどなく、さらさら状の粉末(水分10%以下)であって、任意に小分けして使用することができる。また粉末は100〜200メッシュであって、調味料その他の香辛料とも任意の割合で均一に混合することができる。
【0010】
また水分が少ないので、包装して保存すれば長期(6ヶ月〜1年)に亘って保存しても変質するおそれがない。
【0011】
前記において一次冷凍と二次冷凍するのは、品質の安定化と臭気の除去を図るためであって、一次冷凍だけでもほぼ同一粉末ができるが、品質の安定性に欠けるおそれがあるので、二次冷凍することが好ましい。
【0012】
また砂糖と蜂蜜の混入は味覚の調整であり、砂糖、蜂蜜の混入量が5%以下では若干不十分(甘味)であり、15%以上では甘味過多になるおそれがあるので、5%〜10%(重量)が好ましい。
【0013】
また冷凍乾燥でなくても低温乾燥(40℃以下の通風乾燥)も考えられるが、品質の安定性から冷凍乾燥が好ましい。この場合における冷凍温度も−10℃〜−20℃が好ましく、瞬間冷凍が好ましいので、例えば液体窒素を雰霧する。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、ぎょうじゃにんにくを水洗後、冷凍したので、生のまま変質することがなく、組織がよく破壊し、葉、茎、根が均質化する効果がある。特に2回に亘って冷凍すれば、全体がくまなく同一状態に処理され、偏差のない均質粉末ができる効果がある。
【0015】
また解凍後、擂り潰すので材料の形態(葉、茎、根)がなくなり、均質ペースト状となると共に、繊維その他の区別もなくなり均質ペーストになる効果がある。
【0016】
更に砂糖又は蜂蜜或いは砂糖と蜂蜜の混合物を混入するので、甘味の付与と共に、栄養価を向上し、かつ全体をまとめる効果がある。
【0017】
更に冷凍乾燥するので、水分を容易に取ることができると共に、均質の微細粉末を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の製造方法を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明は、ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根を水洗乾燥後、5mm〜10mmに切断してから、真空包装し、そのまま−10℃で冷凍し、同一温度で10日間保存する。ついで解凍し、そのまま10日間放置する。次に前記解凍物を−10℃で二次冷凍し、10日間放置すれば、ほぼ同一品質の冷凍物となると共に、臭気は殆どなくなる。
【0020】
前記冷凍物を解凍すると共に、すり鉢に入れて擂り潰してペースト状にし、前記ペーストの10%(重量)に相当する砂糖と蜂蜜等量混合物を入れて撹拌混合すれば、ペーストが若干ゆるやかになる。ついでこのペーストを7日〜14日間熟成させた後薄く(厚さ5mm位)延ばした後、−10℃で冷凍し、30日経過後解凍すれば、粉末ぎょうじゃにんにくができる。前記冷凍時に、ペースト内の水分が外部に出て凍結するので、この水分を昇華させると、水分のない物(粉末)が残ることになる。この粉末はペーストの中身であるから、非常に細かい粉末(例えば100メッシュ以上)になる。
【実施例1】
【0021】
ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根1000gを水洗し、5mm位に切断した後、真空包装し、これを冷凍庫に入れて−10℃に冷凍する。この冷凍物を10日間保存した後解凍し、そのまま10日間放置する。この場合に800gになった。次に前記解凍物を、−10℃で再び前記と同様に冷凍し、10日間保存した後、解凍する。ついで解凍物をすり鉢に入れて擂り潰せばペースト状となる。この場合に前記2回の冷凍と解凍を経ているので、ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根は容易にペースト化すると共に臭気が少なくなる。この場合の重さは500gであった。
【0022】
次に前記ペーストへ砂糖40gと蜂蜜10gを加えて均一に撹拌した後10日間熟成すれば、粘性のあるペースト状になる。前記ペースト状物をのし板上へ厚さ5mmに展延する。このペーストを−15℃で瞬間凍結してそのまま30日間放置する。30日経過後解凍すればぎょうじゃにんにくの板ができるので、これを砕いて粉末にすると、粉末150g(水分5%)ができた。
【0023】
前記ぎょうじゃにんにくの粉末は、さらさらとしていて自由に小分けすることができる。また包装して保存すれば、1年以上同一品質を保つことができる。
【実施例2】
【0024】
ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根1000gを水洗し、5mm位に切断した後、真空包装し、これを冷凍庫に入れて−10℃に冷凍する。この冷凍物を10日間保存した後解凍し、そのまま10日間放置する。この場合に800gになった。次に前記解凍物を、−10℃で再び前記と同様に冷凍し、10日間保存した後、解凍する。ついで解凍物をすり鉢に入れて擂り潰せばペースト状となるので、10日間熟成する。この場合に前記2回の冷凍と解凍を経ているので、ぎょうじゃにんにくの葉、茎、根は容易にペースト化すると共に臭気が少なくなる。この場合の重さは500gであった。前記ペースト状物をのし板上へ厚さ5mmに展延する。このペーストを−15℃で瞬間凍結してそのまま30日間放置する。30日経過後解凍すればぎょうじゃにんにくの板ができるので、これを砕いて粉末にすると、粉末100g(水分5%)ができた。
【0025】
前記ぎょうじゃにんにくの粉末は、さらさらとしていて自由に小分けすることができる。また包装して保存すれば、1年以上同一品質を保つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生のぎょうじゃにんにくを水洗し、細断してから真空包装後冷凍し、そのまま5日〜10日放置し、ついで解凍し、そのまま5日〜10日間放置した後、冷凍し、放置した後解凍し、これを擂り潰して熟成させた後薄く展延して冷凍し、5日以上放置した後冷凍物を解凍することを特徴としたぎょうじゃにんにく粉末の製造方法。
【請求項2】
生のぎょうじゃにんにくを水洗し、細断してから真空包装後冷凍し、そのまま5日〜10日放置し、ついで解凍し、そのまま5日〜10日間放置した後、冷凍し、放置した後解凍し、これを擂り潰すと共に、甘味料を加えてペースト状とし、熟成させた後薄く展延して冷凍し、5日以上放置した後冷凍物を解凍することを特徴としたぎょうじゃにんにく粉末の製造方法。
【請求項3】
冷凍温度は−5℃〜−20℃とし、冷凍は冷凍庫に入れ又は液体窒素を雰霧したことを特徴とする請求項1又は2記載のぎょうじゃにんにくの製造方法。
【請求項4】
冷凍物の放置日間は5日〜20日としたことを特徴とする請求項1又は2記載のぎょうじゃにんにくの製造方法。
【請求項5】
砂糖又は砂糖と蜂蜜の混合物はペーストの5%〜15%(重量)としたことを特徴とする請求項1又は2記載のぎょうじゃにんにく粉末の製造方法。
【請求項6】
生のぎょうじゃにんにくを水洗し、細断してから真空包装後冷凍し、そのまま5日〜10日放置し、ついで解凍し、これを擂り潰して熟成させた後薄く展延して冷凍し、5日以上放置した後冷凍物を解凍することを特徴としたぎょうじゃにんにく粉末の製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の方法により製造したことを特徴とするぎょうじゃにんにくの粉末。

【図1】
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【公開番号】特開2011−50282(P2011−50282A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200481(P2009−200481)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(508226148)
【Fターム(参考)】