説明

はんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法

【課題】高信頼性のはんだ接合部を得ることができるとともにはんだ付けの作業時間を短くすることができる、はんだ付けノズル、それを備えたはんだ付け装置およびはんだ付け方法を提供する。
【解決手段】はんだ付けノズル1は、先端に溶融はんだ12を噴流させるための開口3を有する管状部2と、先端から管状部2の延在方向に沿って延びるように管状部2に取り付けられ、かつ開口3の周囲を取り巻くように形成された側壁部4とを備え、側壁部4は、管状部2の径方向に側壁部4を貫通するように形成された切欠部5を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法に関し、特に噴流はんだ付けにおけるはんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
はんだ付け方法として、溶融はんだにはんだ付け対象物を浸漬させる噴流はんだ付け工法がある。このはんだ付け工法では、たとえば、プリント配線板のスルーホールに挿入された電子部品を溶融はんだに接触させることにより、プリント配線板に電子部品がはんだ付けされる。
【0003】
このはんだ付け工法においては、良好なはんだ付け性を得るために、はんだ付けノズルから噴流させる溶融はんだの液面高さを管理することが極めて重要である。一般的な噴流はんだ付け装置では、プリント配線板のはんだ付けされる部分に対応した複数個のはんだ付けノズルが設けられる。この複数個のはんだ付けノズルごとに溶融はんだの噴流高さが異なるため、噴流高さの管理が困難である。
【0004】
はんだ槽に対して1つのはんだ付けノズルが設けられたはんだ付け装置が、たとえば特開2008−109033号公報(特許文献1)に提案されている。この公報に記載のはんだ付け装置は、基板搬送・駆動部の基板セット機構とはんだ実行部のX−Yテーブルユニットとにより駆動系を構成してプリント基板とはんだ槽を移動することにより、プリント基板の各はんだ付け部位に対して所定の噴流ノズルを相対的に位置決めして個々にはんだ付け処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−109033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この公報のはんだ付け装置では、プリント基板(プリント配線板)と噴流ノズル(はんだ付けノズル)との間のギャップをプリント配線板のスルーホールに挿入された電子部品のリードのプリント配線板からの突き出しの長さより大きくする必要がある。このため、プリント配線板に溶融はんだを接触させるためには、はんだ付けノズルから噴流する溶融はんだのはんだ噴流高さを高くする必要がある。
【0007】
しかし、はんだ噴流高さが高い場合には、はんだ噴流の状態が安定しないため、ブリッジ、ツノなどのはんだ付け不良が誘発され易いという問題がある。また、プリント配線板とはんだ付けノズルとの間のギャップが大きいため、スルーホールへのはんだ上がり性が悪くなるという問題がある。はんだ浸漬時間を長くすることにより、はんだ上がりを確保することができるが、はんだ浸漬時間が長くなるとプリント配線板の銅電極の食われが過剰となるという問題がある。
【0008】
また、はんだ付けノズルは、はんだ付け部分を個別にはんだ付けするため、プリント配線板に複数個のはんだ付け部分がある場合、はんだ付けに時間がかかる。
【0009】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、高信頼性のはんだ接合部を得ることができるとともにはんだ付けの作業時間を短くすることができる、はんだ付けノズル、それを備えたはんだ付け装置およびはんだ付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のはんだ付けノズルは、先端に溶融はんだを噴流させるための開口を有する管状部と、先端から管状部の延在方向に沿って延びるように管状部に取り付けられ、かつ開口の周囲を取り巻くように形成された側壁部とを備え、側壁部は、管状部の径方向に側壁部を貫通するように形成された切欠部を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明のはんだ付けノズルによれば、側壁部は管状部の径方向に側壁部を貫通するように形成された切欠部を有しているため、側壁部で取り巻かれる領域にプリント配線板から突出したリードを挿入することにより、プリント配線板とはんだ付けノズルとの間の距離を短くすることができる。このため、溶融はんだのはんだ噴流高さを低くすることができる。したがって、溶融はんだのはんだ噴流の状態を安定させることができるので、ブリッジ、ツノなどのはんだ付け不良を抑制することができる。
【0012】
また、プリント配線板とはんだ付けノズルとの間の距離が短いため、スルーホールへの溶融はんだのはんだ上がり性を確保することができる。また、スルーホールへの溶融はんだのはんだ上がり性が良好であるため、はんだ浸漬時間を短くすることができる。これにより、プリント配線板の電極の食われも抑制することができる。
【0013】
また、側壁部は管状部の径方向に側壁部を貫通するように形成された切欠部を有しているため、切欠部を通してプリント配線板から突出するリードをはんだ付けノズルの内から外へ移動させることができる。このため、リードとの干渉を避けるためにはんだ付けノズルをプリント配線板に向かって上下方向に相対的に移動させることなくプリント配線板に沿ってはんだ付けノズルを相対的に移動させてはんだ付けすることができる。したがって、プリント配線板に複数個のはんだ付け部分がある場合、プリント配線板に向かって上下方向に相対的に移動させずに複数個のはんだ付け部分にはんだ付けノズルを移動させることができるので、はんだ付け作業の時間を短くすることができる。
【0014】
よって、本発明のはんだ付けノズルは、高信頼性のはんだ接合部を得ることができるとともにはんだ付けの作業時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け装置の概略断面図である。
【図2】図1のP1部を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるはんだ付けノズルの概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け方法において、はんだ付けノズルとプリント配線板のリードとが相対的に移動する様子を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け方法の第1工程を示す概略断面図であって、断面位置は図2のP2部に対応する。
【図6】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け方法の第2工程を示す概略断面図であって、断面位置は図2のP2部に対応する。
【図7】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け方法の第3工程を示す概略断面図であって、断面位置は図2のP2部に対応する。
【図8】比較例のはんだ付け装置の概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2におけるはんだ付けノズルの概略斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2におけるはんだ付け方法において、はんだ付けノズルとプリント配線板のリードとが相対的に移動する様子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1のはんだ付け装置の構成について説明する。
【0017】
図1および図2を参照して、本実施の形態のはんだ付け装置10は、はんだ付けノズル1と、はんだ槽11と、モータ13と、モータ軸14と、インペラ15と、チャンバ16と、ノズル板17とを主に有している。なお、図1および図2においては、溶融はんだ12、プリント配線板21、電子部品31なども図示されている。
【0018】
はんだ付け装置10は、はんだ付けノズル1から溶融はんだ12を噴流させてプリント配線板21および電子部品31などのはんだ付け対象物に溶融はんだ12を接触させてはんだ付けする装置である。
【0019】
はんだ付け対象物の一例であるプリント配線板21は、図示されない搬送手段によってはんだ付けノズル1に対して図中XYZ方向に移動されることによってはんだ付けされる。プリント配線板21では、電極22が形成されたスルーホール23に、電子部品31のリード32が挿入されている。プリント配線板21が移動されることにより、はんだ付けノズル1の位置にあわせてリード32が移動される。プリント配線板21は、たとえばガラスクロスにエポキシ樹脂を含有させた基材が用いられている。また、電極22は、たとえば銅電極が用いられている。
【0020】
はんだ槽11は、溶融はんだ12を貯留するためのものであり、少なくとも上面の一部が開口した中空の筐体で構成されている。その筐体の内部に溶融はんだ12が貯留されている。溶融はんだ12は、たとえば一般的な鉛フリーはんだ材であるSn−3.0Ag−0.5Cuが用いられている。その筐体の内部にモータ軸14と、インペラ15と、チャンバ16とが配置されている。チャンバ16にはノズル板17が取り付けられている。ノズル板17は、はんだ槽11の開口した上面に配置されている。
【0021】
はんだ付けノズル1は、はんだ槽11から突出するように設けられている。本実施の形態では、はんだ付けノズル1は、ノズル板17に取り付けられている。このため、はんだ付けノズル1は、はんだ槽11の開口した上面から上方へ突出するように配置されている。
【0022】
チャンバ16の下端には吸入口16aが形成されている。吸入口16aの近傍にインペラ15が配置されている。インペラ15がチャンバ16の内部に配置されている。インペラ15は、はんだ槽11の外部に配置されたモータ13とモータ軸14を介して回転可能に配置されている。なお、インペラ15は、溶融はんだ12をはんだ付けノズル1に供給することができればよくチャンバ16の外部に配置されていてもよい。
【0023】
続いて、本実施の形態のはんだ付け装置10のはんだ付けノズル1の構成について詳しく説明する。
【0024】
図2および図3を参照して、はんだ付けノズル1は、管状部2と側壁部4とを有している。管状部2の先端に側壁部4が設けられている。管状部2は先端に溶融はんだ12を噴流させるための開口3を有している。管状部2は、円筒状の管でもよく、また矩形状の管でもよい。開口3は、管状部2の先端において管状部2の内壁によって構成されている。
【0025】
側壁部4は、管状部2の先端から管状部2の延在方向に沿って延びるように管状部2に取り付けられている。側壁部4は、開口3の周囲を取り巻くように形成されている。側壁部4は、管状部2の内壁の一部を管状部2の延在方向に延ばすように構成されている。
【0026】
側壁部4は、管状部2の径方向に側壁部4を貫通するように形成された切欠部5を有している。切欠部5は、管状部2の先端の一部において管状部2の内壁から外壁までが切り取られた空間領域によって構成されている。
【0027】
切欠部5は、複数の切欠部分を含み、複数の切欠部分は互いに向かい合うように側壁部4に設けられた第1の切欠部分51および第2の切欠部分52を有していてもよい。この場合、第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とは、開口3の円周の0°および180°の方向に設けられている。つまり、第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とは、平面視において一直線上に配置されている。
【0028】
なお、上記では、プリント配線板21はガラスクロスにエポキシ樹脂を含有させた基材が用いられた場合について説明したが、これに限るものではなく、絶縁性を有する材料、たとえば、ガラス不織布、紙基材などにポリイミド樹脂、フェノール樹脂などを含有させた基材が用いられてもよい。
【0029】
また、上記では、溶融はんだ12は、Sn−Ag−Cu系はんだの場合について説明したが、これに限るものではなく、Sn−Cu系はんだ、Sn−Bi系はんだ、Sn−In系はんだ、Sn−Sb系はんだ、Sn−Pb系はんだのいずれが用いられてもよい。
【0030】
次に、本実施の形態のはんだ付け装置の動作について説明する。
図1および図2を参照して、はんだ槽11に貯留された溶融はんだ12が吸入口16aからチャンバ16内に流入する。モータ軸14を介してモータ13の駆動力を受けることによって、インペラ15が回転する。インペラ15が回転することによって、吸入口16aからチャンバ16内に流入した溶融はんだ12が図1中矢印Aのようにチャンバ16内部を通ってはんだ付けノズル1に向かって供給される。
【0031】
はんだ付けノズル1に向かって供給された溶融はんだ12は、はんだ付けノズル1の開口3から噴流する。この際、溶融はんだ12の一部は、開口3から切欠部5を通ってはんだ付けノズル1の外に噴出する。また、溶融はんだ12の他の一部は、側壁部4に沿って上方に移動し、側壁部4の先端からはんだ付けノズル1の外に噴出する。
【0032】
はんだ付けノズル1の先端において、はんだ付けノズル1の内側に電子部品31のリード32の突き出し部の先端部分が挿入される。つまり、側壁部4で取り巻かれる領域ARにプリント配線板21から突出したリード32の先端部分が挿入される。
【0033】
側壁部4で取り巻かれる領域ARにリード32が挿入されるため、プリント配線板21とはんだ付けノズル1との距離(ギャップ)を短くすることができる。より詳細には、プリント配線板21の電極22とはんだ付けノズル1の先端とのギャップNGを短くすることができる。このため、はんだ付けノズル1から噴流する溶融はんだ12のはんだ噴流高さを低く設定することができる。そのため、溶融はんだ12のはんだ噴流の状態が安定する。また、プリント配線板21とはんだ付けノズル1との間のギャップNGを狭くすることができるため、スルーホール23への溶融はんだ12のはんだ上がりが良好となる。
【0034】
リード32の突き出し部の長さは、たとえば2mmに設定され得る。プリント配線板21とはんだ付けノズル1との間のギャップNGは、たとえば1mmに設定され得る。側壁部4で取り巻かれる領域ARに挿入されたリード32の突き出し部の先端部分の長さPLは、1mmに設定され得る。溶融はんだ12のはんだ噴流高さSHは、たとえば2mmに設定され得る。切欠部5の深さは、たとえば2mmに設定され得る。
【0035】
はんだ付けノズル1は、たとえば外径が8mmで内径が7mmの円筒形状に設定され得る。溶融はんだ12の温度は、たとえば280℃に設定され得る。プリント配線板21の水平方向移動速度は、たとえば3mm/sに設定され得る。なお、これらの各数値は限定されるものではなく、適時適用可能な数値に設定され得る。
【0036】
図4を参照して、はんだ付けノズル1とプリント配線板21のリード32とが相対的に移動することにより、はんだ付けノズル1の切欠部5からリード32が取り出される様子について説明する。なお、図4では見やすくするため溶融はんだ12は図示されていない。
【0037】
はんだ付けノズル1の側壁部4で取り巻かれる領域ARに挿入されたリード32の先端部分の長さは、切欠部5の深さより短い。このため、プリント配線板21が図中矢印AX方向に移動されることによりリード32が図中矢印AX方向に移動する場合、リード32は切欠部5を通ってはんだ付けノズル1の内側から外側に移動する。
【0038】
はんだ付けノズル1は、切欠部5を有することによりリード32とはんだノズル1との接触をさけることができる。つまり、はんだ付けノズル1は切欠部5によってリード32との干渉を避けることができる。このため、リード32を図中Z方向に移動させずにはんだ付けノズル1の内側から外側に移動することができる。
【0039】
第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とが側壁部4に設けられているため、リード32は、第1の切欠部分51からはんだ付けノズル1の内側に挿入され、第2の切欠部分52からはんだ付けノズル1の外側に移動することができる。また、第1の切欠部分51および第2の切欠部分52が互いに向かい合うように側壁部4に設けられているため、リード32は第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とを一方向に直線的に移動することができる。
【0040】
次に、本実施の形態のはんだ付け方法について説明する。
図5を参照して、電子部品31のリード32がスルーホール23に挿入されたプリント配線板21が準備される。側壁部4で取り巻かれる領域ARにプリント配線板21から突出したリード32の突き出し部の先端部分が挿入される。
【0041】
この状態で、プリント配線板21のスルーホール23に挿入されたリード32にはんだ付けノズル1から溶融はんだ12が噴流される。はんだ付けノズル1から噴流した溶融はんだ12の一部は、リード32に沿って電極22およびスルーホール23に接触する。さらに溶融はんだ12は、スルーホール23内を上方に移動する。はんだ付けノズル1から噴流した溶融はんだ12の一部は、開口3から側壁部4および切欠部5を通ってはんだ付けノズル1の外に噴出し、管状部2に沿って下方に移動する。
【0042】
図6を参照して、溶融はんだ12は電極22の上面ではんだフィレットを形成するようにスルーホール23の上端を超えるまで噴流される。なお、溶融はんだ12が固化したはんだフィレットは、電極22とリード32との隙間、リード32と電極22の下面との間、リード32と電極22の上面との間に形成される。
【0043】
このはんだ付けの後、プリント配線板21が図中矢印AX方向に移動される。これにより、プリント配線板21とはんだ付けノズル1とを相対的に移動させて切欠部5を通してリード32がはんだ付けノズル1の内から外へ取り出される。
【0044】
図7を参照して、この後、はんだ付けノズル1に形成された切欠部5から側壁部4で取り巻かれる領域ARに、先にはんだ付けされたリード32とは別のプリント配線板21から突出したリード32が挿入される。この状態で、はんだ付けノズル1の開口3から溶融はんだ12を噴出させて先にはんだ付けされたリード32とは別のリード32が上述と同様にはんだ付けされる。プリント配線板21に複数個のはんだ付け部分がある場合、このようにして連続的にはんだ付けノズル1によってはんだ付けが行われる。
【0045】
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と比較して説明する。
図8を参照して、比較例では本実施の形態と比較して、はんだ付けノズル1の構成が主に異なっている。比較例のはんだ付け装置10は、複数個のはんだ付けノズル1を有している。比較例のはんだ付け装置10は、複数個のはんだ付けノズル1ごとに溶融はんだ12のはんだ噴流高さが異なるため、はんだ噴流高さの管理が困難である。
【0046】
一方、本実施の形態のはんだ付け装置10では、1つのはんだ付けノズル1が設けられているため、溶融はんだ12のはんだ噴流高さの管理を容易にすることができる。
【0047】
本実施の形態のはんだ付けノズル1によれば、側壁部4は管状部2の径方向に側壁部4を貫通するように形成された切欠部5を有しているため、側壁部4で取り巻かれる領域ARにプリント配線板21から突出したリード32を挿入することにより、プリント配線板21とはんだ付けノズル1との間の距離を短くすることができる。このため、溶融はんだ12のはんだ噴流高さSHを低くすることができる。したがって、溶融はんだ12のはんだ噴流の状態を安定させることができるので、ブリッジ、ツノなどのはんだ付け不良を抑制することができる。
【0048】
また、プリント配線板21とはんだ付けノズル1との間のギャップNGが短いため、スルーホール23への溶融はんだ12のはんだ上がり性を確保することができる。
【0049】
また、スルーホール23への溶融はんだ12のはんだ上がり性が良好であるため、はんだ浸漬時間を短くすることができる。これにより、プリント配線板21の電極22の食われも抑制することができる。
【0050】
このようにして、本実施の形態のはんだ付けノズル1は高信頼性のはんだ接合部を得ることができる。
【0051】
また、側壁部4は管状部2の径方向に側壁部4を貫通するように形成された切欠部5を有しているため、切欠部5を通してプリント配線板21から突出するリード32をはんだ付けノズル1の内から外へ移動させることができる。このため、リード32との干渉を避けるためにはんだ付けノズル1をプリント配線板21に向かって上下方向(図1中Z軸方向)に相対的に移動させることなくプリント配線板21に沿う方向(図1中XY軸方向)にはんだ付けノズル1を相対的に移動させてはんだ付けすることができる。したがって、プリント配線板21に複数個のはんだ付け部分がある場合、プリント配線板21に向かって上下方向(図1中Z軸方向)に相対的に移動させずに複数個のはんだ付け部分にはんだ付けノズル1を移動させることができるのではんだ付け作業の時間を短くすることができる。
【0052】
本実施の形態のはんだ付けノズル1によれば、切欠部5は、複数の切欠部分を含み、複数の切欠部分は、互いに向かい合うように側壁部4に設けられた第1および第2の切欠部分51,52を有していてもよい。これにより、複数の切欠部分が互いに向かい合うように側壁部4に設けられているため、はんだ付けノズル1とプリント配線板21から突出するリード32とを複数の切欠部分を通して一方向に相対的に移動させることができる。
【0053】
このため、リード32が側壁部4で取り巻かれる領域ARに挿入される際に通った第1の切欠部分51と向かい合う第2の切欠部分からリード32がはんだノズル1の外へ移動することができる。そのため、複数個のはんだ付け部分が一方向に配置されている場合、リード32が第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とを一方向に直線的に移動することができるため、次のはんだ付け部分にはんだ付けノズル1を迅速に移動することができる。
【0054】
また、次のはんだ付け部分をはんだ付けする際、リード32が側壁部4で取り巻かれる領域ARに挿入される際に通った第1の切欠部分51からリード32を戻すことなく、次のはんだ付け部分にはんだ付けノズル1を相対的に移動することができる。したがって、次のはんだ付け部分にはんだ付けノズル1を迅速に移動することができるため、はんだ付け作業の時間を短くすることができる。
【0055】
本実施の形態のはんだ付け装置10によれば、溶融はんだ12を貯留するためのはんだ槽11と、はんだ槽11から突出するように設けられた上記のはんだ付けノズル1とを備えているため、高信頼性のはんだ接合部を得ることができるとともにはんだ付けの作業時間を短くすることができる。
【0056】
本実施の形態のはんだ付け方法は、プリント配線板21のスルーホール23に挿入されたリード32にはんだ付けノズル1から溶融はんだ12を噴流させるはんだ付け方法であって、以下の工程を備えている。
【0057】
リード32がスルーホール23に挿入されたプリント配線板21を準備する。上記のはんだ付けノズル1において側壁部4で取り巻かれる領域ARにプリント配線板21から突出したリード32を挿入して、開口3から溶融はんだ12を噴出させてはんだ付けする。はんだ付けの後、プリント配線板21とはんだ付けノズル1とを相対的に移動させて切欠部5を通してリード32をはんだ付けノズル1の内から外へ取り出す。これにより、プリント配線板21とはんだ付けノズル1とを相対的に移動させて切欠部5を通してリード32をはんだ付けノズル1の内から外へ取り出すため、高信頼性のはんだ接合部を得ることができるとともにはんだ付けの作業時間を短くすることができる。
【0058】
なお、上記では、はんだ付けノズル1から噴流させた溶融はんだ12に対して、プリント配線板21を図1中XYZ方向に可動させて、プリント配線板21の任意箇所にはんだ付けする場合について説明したが、はんだ付けノズル1が搬送手段によって図1中XYZ方向に可動するように構成されていてもよい。この場合にも上記と同様の効果が得られる。
【0059】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、実施の形態1と比較して、はんだ付けノズルの構成が主に異なっている。
【0060】
図9を参照して、本実施の形態では、はんだ付けノズル1は、第1および第2の切欠部分51,52に加えて第3および第4の切欠部分53,54を有している。複数の切欠部分は、第1の切欠部分51および第2の切欠部分52が互いに向かい合う方向に対して交差する方向において互いに向かい合うように側壁部4に設けられた第3の切欠部分53および第4の切欠部分54を有している。
【0061】
第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とが開口3の円周の0°および180°の方向に設けられている場合、第3の切欠部分53と第4の切欠部分54とが開口3の円周の90°および270°の方向に設けられている。つまり、第1から第4の切欠部分51〜54は、それぞれ円周方向に90°ずつづれて配置されている。第3の切欠部分53と第4の切欠部分54とは、平面視において第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とが配置された方向と交差する直線上に配置されている。
【0062】
図10を参照して、はんだ付けノズル1とプリント配線板21のリード32とが相対的に移動することにより、はんだ付けノズル1の切欠部5からリード32が取り出される様子について説明する。なお、図10では見やすくするため溶融はんだ12は図示されていない。
【0063】
図10を参照して、第1の切欠部分51および第2の切欠部分52に加えて、第3の切欠部分53および第4の切欠部分54が側壁部4に設けられているため、リード32は、第1〜第4の切欠部分51〜54の1つの切欠部分からはんだ付けノズル1の内側に挿入され、他の切欠部分からはんだ付けノズル1の外側に移動することができる。
【0064】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
本実施の形態のはんだ付けノズル1によれば、複数の切欠部分は、第1および第2の切欠部分51,52が互いに向かい合う方向に対して交差する方向において互いに向かい合うように側壁部4に設けられた第3および第4の切欠部分53,54を有している。このため、第3の切欠部分53および第4の切欠部分54が第1の切欠部分51および第2の切欠部分52が互いに向かい合う方向に対して交差する方向において互いに向かい合うように側壁部4に設けられているため、リード32は、第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とを一方向に直線的に移動することができるとともに第3の切欠部分53と第4の切欠部分54とを一方向に直線的に移動することができる。
【0066】
そのため、複数個のはんだ付け部分が一方向およびそれに交差する方向に配置されている場合、リード32が第1の切欠部分51と第2の切欠部分52とを一方向に直線的に移動することができるとともに、リード32が第3の切欠部分53と第4の切欠部分54とをその一方向と交差する方向に直線的に移動することができる。これにより、次のはんだ付け部分にはんだ付けノズル1を迅速に移動することができるため、はんだ付け作業の時間を短くすることができる。
【0067】
上記の各実施の形態は、適時組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 はんだ付けノズル、2 管状部、3 開口、4 側壁部、5 切欠部、10 はんだ付け装置、11 はんだ槽、13 モータ、14 モータ軸、15 インペラ、16 チャンバ、16a 吸入口、17 ノズル板、21 プリント配線板、22 電極、23 スルーホール、31 電子部品、32 リード、51 第1の切欠部分、52 第2の切欠部分、53 第3の切欠部分、54 第4の切欠部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に溶融はんだを噴流させるための開口を有する管状部と、
前記先端から前記管状部の延在方向に沿って延びるように前記管状部に取り付けられ、かつ前記開口の周囲を取り巻くように形成された側壁部とを備え、
前記側壁部は、前記管状部の径方向に前記側壁部を貫通するように形成された切欠部を有している、はんだ付けノズル。
【請求項2】
前記切欠部は、複数の切欠部分を含み、
複数の前記切欠部分は、互いに向かい合うように前記側壁部に設けられた第1および第2の切欠部分を有している、請求項1に記載のはんだ付けノズル。
【請求項3】
複数の前記切欠部分は、前記第1および第2の切欠部分が互いに向かい合う方向に対して交差する方向において互いに向かい合うように前記側壁部に設けられた第3および第4の切欠部分を有している、請求項2に記載のはんだ付けノズル。
【請求項4】
前記溶融はんだを貯留するためのはんだ槽と、
前記はんだ槽から突出するように設けられた請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付けノズルとを備えた、はんだ付け装置。
【請求項5】
プリント配線板のスルーホールに挿入されたリードにはんだ付けノズルから溶融はんだを噴流させるはんだ付け方法であって、
前記リードが前記スルーホールに挿入された前記プリント配線板を準備する工程と、
請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付けノズルにおいて前記側壁部で取り巻かれる領域に前記プリント配線板から突出した前記リードを挿入して、前記開口から前記溶融はんだを噴出させてはんだ付けする工程と、
前記はんだ付けの後、前記プリント配線板と前記はんだ付けノズルとを相対的に移動させて前記切欠部を通して前記リードを前記はんだ付けノズルの内から外へ取り出す工程とを備えた、はんだ付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−228520(P2011−228520A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97746(P2010−97746)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】