説明

はんだ材料供給装置及びこれを用いたはんだ材料供給方法

【課題】 はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成るはんだ材料を、液体中にはんだ粒子を均一に分散させた状態でワーク上に供給する。
【解決手段】 はんだ材料供給装置10は、はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成り液体中ではんだ粒子が沈降するはんだ材料Sを、貯留手段11、撹拌手12段及び供給手段13を含む手段によってワークW上に供給するものである。そして、貯留手段11は、はんだ材料Sを一時的に貯留する。撹拌手段12は、貯留手段11を回転させることによってはんだ材料Sを撹拌する。供給手段13は、貯留手段11からワークW上へはんだ材料Sを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体基板、インターポーザ基板、プリント配線板等の上に突起状のはんだバンプを形成してFC(flip chip)やBGA(ball grid array)を製造する際に好適な、はんだ材料供給装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なはんだバンプの形成方法は、スクリーン印刷法やディスペンス法などを用いて基板のパッド電極上にはんだペーストを塗布し、このはんだペーストを加熱してリフローする、というものであった。
【0003】
一方、特許文献1には、特殊なはんだ粉末とフラックスとの混合物からなるはんだペーストが記載されている。このはんだ粉末は、はんだ粒子を空気中で流動させることにより、はんだ粒子の表面に酸化膜を形成したものである。この強制的に形成した酸化膜は、リフロー時にフラックスの作用に抗して、はんだ粒子同士の合体を抑える働きをするという。そのため、このはんだペーストを基板上にベタ塗りしてリフローすると、パッド電極間ではんだブリッジが発生にくくなるので、パッド電極の高密度化及び微細化に適する、ということである。なお、パッド電極間のはんだブリッジは、はんだ粒子同士が合体して大きな塊となって、隣接するパッド電極の両方に接してしまうために起こる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−94179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のはんだバンプの形成方法には、次のような問題があった。
【0006】
近年の更なる多電極化、高密度化及び微細化に対して、スクリーン印刷法やディスペンス法では対応できなくなりつつある。すなわち、スクリーン印刷法では、メタルマスクの開口を微細化する必要があるので、メタルマスクの機械的強度が低下したり、メタルマスクの開口からはんだペーストが抜け難くなったりする、という問題が生じてきた。ディスペンス法では、多数のパッド電極の上に一つずつはんだペーストを載せていくので、パッド電極が多くなるほど量産には向かなくなる。
【0007】
一方、特許文献1のはんだペーストでは、はんだ粒子の酸化膜の膜厚を、精度良く形成しなければならなかった。なぜなら、厚すぎるとパッド電極にはんだが濡れなくなり、薄すぎるとはんだ粒子同士が合体してしまうからである。しかも、フラックスの状態や種類によってもフラックスの作用が変化するので、これらに合わせて酸化膜の膜厚を精度良く制御する必要があった。また、適切な膜厚の酸化膜を形成できなければ、パッド電極の高密度化及び微細化を達成できないことになる。したがって、特許文献1のはんだペーストでは、精密なマスクを不要とするベタ塗りが可能になるといっても、近年の高密度化及び微細化の要求に応えることは難しかった。
【0008】
このような状況において、本発明者は、はんだバンプの高密度化及び微細化の要求に応えるべく、「はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成るはんだ材料」を発明した(未公開)。ただし、このはんだ材料には、液体中ではんだ粒子が沈降するため、液体中にはんだ粒子を均一に分散させた状態でワーク上に供給することが難しい、という問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成るはんだ材料を、液体中にはんだ粒子を均一に分散させた状態でワーク上に供給することができる、はんだ材料供給装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るはんだ材料供給装置は、はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成り液体中ではんだ粒子が沈降するはんだ材料を、貯留手段、撹拌手段及び供給手段を含む手段によってワーク上に供給するものである(請求項1)。そして、貯留手段は、はんだ材料を一時的に貯留する。撹拌手段は、貯留手段を回転させることによってはんだ材料を撹拌する。供給手段は、貯留手段からワーク上へはんだ材料を供給する。
【0011】
本発明で用いるはんだ材料は、何もしないで放置しておくと、時間とともにはんだ粒子が液体中で沈降してしまう。その状態ではんだ材料をワーク上に供給すると、液体中のはんだ粒子の割合が不均一となり、例えばはんだバンプを形成する場合にはんだパンプの大きさが不揃いになったりはんだブリッジが発生したりする。そのため、駆動軸に連結された羽根車(インペラ)をはんだ材料中に浸漬し、羽根車を回転させることにより、はんだ材料を撹拌する技術が考えられる。しかし、そのような技術では、高速で回転する羽根がはんだ粒子に衝突することによりはんだ粒子が損傷する、駆動軸と軸受けとの間にはんだ粒子が挟まれることによりはんだ粒子が変形したり駆動手段が故障したりする、などの不具合が起きやすい。なお、はんだ粒子の損傷や変形は、はんだバンプの品質に悪影響を与える。そこで、本発明者は、発想を逆転させ、貯留手段内で羽根車を回転させるのではなく、貯留手段そのものを回転させることにした。その結果、高速で回転する部材や駆動軸と軸受けとの構造が、はんだ材料に接触することが無くなった。したがって、はんだ粒子の損傷や撹拌手段の故障を引き起こすことなく、液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料をワーク上へ供給することができる。
【0012】
撹拌手段は、貯留手段を回転させる際の回転中心軸が水平方向である、としてもよい(請求項2)。この場合は、はんだ材料の鉛直方向への落下を利用できるので、回転中心軸が鉛直方向であるときに比べて、液体中にはんだ粒子をより均一に分散させることができる。
【0013】
撹拌手段は、貯留手段を回転させる際の回転中心軸が水平方向に対して斜め方向である、としてもよい(請求項3)。この場合は、攪拌中のはんだ材料の流れがより複雑になるので、液体中にはんだ粒子をより一層均一に分散させることができる。なお、回転中心軸と水平方向とのなす角は、はんだ材料の流れを複雑にするためにはある程度大きいことが好ましく、はんだ材料の鉛直方向への落下を利用するためにある程度小さいことが好ましい。
【0014】
本発明に係るはんだ材料供給装置を更に具体化すると、次のような構成となる(請求項4)。貯留手段は、はんだ材料を収容するとともに、はんだ材料を送出する送出口を有する容器から成る。供給手段は、はんだ材料を吸込する吸込口と、はんだ材料を吐出する吐出口と、はんだ材料を吸込口から吐出口へ移送する移送部とを有するポンプから成る。撹拌手段は、容器を取り付ける取付部材と、取付部材を介して容器を回転させるモータとから成る。そして、容器の送出口とポンプの吸込口とが連結管及び管継手を介して接続され、その管継手の少なくとも一つが回転式の管継手である。例えば、連結管と送出口及び吸込口の少なくとも一方とが回転式の管継手で接続されている。また、複数の連結管を回転式の管継手で直列に繋いでも良い。
【0015】
容器内に蓄えられたはんだ材料は、容器がモータによって回転することにより、撹拌される。これにより液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料は、容器の送出口→連結管→ポンプの吸込口→ポンプの吐出口→ワーク、と供給される。なお、連結管と容器の送出口とが回転式の管継手で接続されているときは、容器の回転中に連結管は回転しない。一方、連結管とポンプの吸込口とが回転式の管継手で接続されているときは、容器の回転中に連結管も回転する。
【0016】
撹拌手段は、貯留手段を回転させる際に正方向及び逆方向に交互に回転させる、としてもよい(請求項5)。この場合のはんだ材料供給装置を更に具体化すると、次のような構成となる(請求項6)。貯留手段は、はんだ材料を収容するとともに、はんだ材料を送出する送出口を有する容器から成る。供給手段は、はんだ材料を吸込する吸込口と、はんだ材料を吐出する吐出口と、はんだ材料を吸込口から吐出口へ移送する移送部とを有するポンプから成る。撹拌手段は、容器を取り付ける取付部材と、取付部材を介して容器を回転させるモータとから成る。そして、容器の送出口とポンプの吸込口とが、可撓性を有する素材から成る連結管及び固定式の管継手を介して接続されている。
【0017】
また、貯留手段を水平面に載置したときに貯留手段の中心を通る鉛直方向の軸を貯留手段の中心軸としたとき、撹拌手段は、貯留手段を回転させる際の回転中心軸が貯留手段の中心軸に対して斜め方向である、としてもよい(請求項7)。この場合も、攪拌中のはんだ材料の流れがより複雑になるので、液体中にはんだ粒子をより一層均一に分散させることができる。
【0018】
容器内に蓄えられたはんだ材料は、容器がモータによって正方向及び逆方向に交互に回転することにより、撹拌される。これにより液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料は、容器の送出口→連結管→ポンプの吸込口→ポンプの吐出口→ワーク、と供給される。ここで、容器が正方向又は逆方向に回転すると、連結管と容器の送出口及びポンプの吸込口とが固定式の管継手で接続されているので、連結管が捩れることになる。しかし、その捩れは連結管の有する可撓性によって吸収される。このようにすれば、回転式の管継手を使わなくて済むという効果がある。効果となる理由は、回転式の管継手は、固定式の管継手に比べて、ベアリング等が内蔵された複雑な構造になっているので高価であるとともに、擦れ合うシール構造が不可欠となるのでその部分から液漏れが発生しやすいからである。なお、容器を正方向又は逆方向に回転するときの回転角は、液体中にはんだ粒子を均一に分散させるために半回転以上とすることが好ましく、連結管の捩れを少なくするために数回転以下とすることが好ましい。
【0019】
供給手段は、一軸偏心ねじポンプとしてもよい(請求項8)。一軸偏心ねじポンプの移送部は、雄ねじ形ロータを雌ねじ形ステータ内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、はんだ材料を吸込口から吐出口へ移送する。一軸偏心ねじポンプによれば、切れ目の無い無限のピストン運動によって、高精度かつ無脈動の定量吐出が可能となる。
【0020】
本発明に係るはんだ材料供給方法は、本発明に係るはんだ材料供給装置を用い、はんだ材料供給工程及びはんだ材料撹拌工程を含む工程によってはんだ材料を前記ワーク上に供給するものである(請求項9)。そして、はんだ材料供給工程では、供給手段によってワーク上にはんだ材料を供給する。はんだ材料撹拌工程では、次のワーク上にはんだ材料を供給するまでの待ち時間に、撹拌手段によってはんだ材料を撹拌する。
【0021】
本発明で用いるはんだ材料は、何もしないで放置しておくと、時間とともにはんだ粒子が液体中で沈降してしまう。その状態ではんだ材料をワーク上に供給すると、液体中のはんだ粒子の割合が不均一となり、例えばはんだバンプを形成する場合にはんだパンプの大きさが不揃いになったりはんだブリッジが発生したりする。そこで、本発明では、はんだ材料をワーク上に供給してから次のワーク上に供給するまでの待ち時間に、はんだ材料を撹拌する。これにより、はんだ材料をワーク上に供給する時は、常に、液体中にはんだ粒子が均一に分散した状態となる。また、はんだ材料の撹拌は、次のワーク上にはんだ材料を供給するまでの待ち時間に実施される。そのため、撹拌するための時間を別途設ける必要がないので、生産効率が良い。これに加え、はんだ材料の供給時に、撹拌による振動が伝わらないので、正確な定量供給が可能である。
【0022】
また、はんだ材料供給工程の前にワークを所定位置に配置するワーク配置工程を有し、はんだ材料供給工程の後にワークを所定位置から取出すワーク取出し工程を有する、としてもよい(請求項10)。これは、ワークを搬送するいわゆる枚葉式であり、ロボットによる自動化に適する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るはんだ材料供給装置によれば、はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成り液体中ではんだ粒子が沈降するはんだ材料を、貯留手段に一時的に貯留し、かつ貯留手段を回転させてはんだ材料を撹拌することにより、高速で回転する部材や駆動軸と軸受けとの構造が、はんだ材料に接触する機会を無くすことができる。したがって、はんだ粒子の損傷や撹拌手段の故障を引き起こすことなく、液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料をワーク上へ供給できるので、高品質のはんだバンプを形成できる。
【0024】
貯留手段を回転させる際の回転中心軸を水平方向とした場合は、はんだ材料の鉛直方向への落下を利用できるので、液体中にはんだ粒子をより均一に分散できる。
【0025】
貯留手段を回転させる際の回転中心軸を水平方向に対して斜め方向とした場合は、攪拌中のはんだ材料の流れをより複雑化できるので、液体中にはんだ粒子をより一層均一に分散できる。また、貯留手段を回転させる際の回転中心軸を貯留手段の中心軸に対して斜め方向とした場合も、同様の効果を奏する。
【0026】
貯留手段を回転させる際に正方向及び逆方向に交互に回転させる場合は、安価で高信頼性である固定式の管継手を使うことができる。
【0027】
供給手段を一軸偏心ねじポンプとした場合は、切れ目の無い無限のピストン運動によって、はんだ材料を高精度かつ無脈動で定量吐出できるので、より高品質のはんだバンプを形成できる。
【0028】
本発明に係るはんだ材料供給方法によれば、はんだ材料をワーク上に供給してから次のワーク上に供給するまでの待ち時間に、はんだ材料を撹拌することにより、常に液体中にはんだ粒子が均一に分散した状態で、はんだ材料をワーク上に供給できる。これにより、高品質のはんだバンプを形成できる。また、はんだ材料の撹拌は、次のワーク上にはんだ材料を供給するまでの待ち時間に実施される。そのため、撹拌するための時間を別途設ける必要がないので、製造工程を効率化できる。これに加え、はんだ材料の供給時に、撹拌による振動が伝わらないので、正確な定量供給を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1[1]は本発明に係るはんだ材料供給装置の一実施形態を概念的に示すブロック図である。図1[2]は撹拌手段の比較例を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、はんだ材料を構成する液体及びはんだ粒子については、図示しないので、図2等を参照のこと。
【0030】
本実施形態のはんだ材料供給装置10は、はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成り液体中ではんだ粒子が沈降するはんだ材料Sを、貯留手段11、撹拌手12段及び供給手段13を含む手段によってワークW上に供給するものである。そして、貯留手段11は、はんだ材料Sを一時的に貯留する。撹拌手段12は、貯留手段11を回転させることによってはんだ材料Sを撹拌する。供給手段13は、貯留手段11からワークW上へはんだ材料Sを供給する。
【0031】
また、はんだ材料供給装置10の動作は、はんだ材料供給工程とはんだ材料撹拌工程とに分けられる。はんだ材料供給工程では、供給手段13がワークW上にはんだ材料Sを供給する。一方、はんだ材料撹拌工程では、次のワークW上にはんだ材料Sを供給するまでの待ち時間に、撹拌手段12が貯留手段11を回転させてはんだ材料Sを撹拌する。
【0032】
次に、はんだ材料供給装置10の作用について説明する。はんだ材料Sは、何もしないで放置しておくと、時間とともにはんだ粒子が液体中で沈降してしまう。その状態ではんだ材料SをワークW上に供給すると、液体中のはんだ粒子の割合が不均一となり、例えばはんだバンプを形成する場合にはんだパンプの大きさが不揃いになったりはんだブリッジが発生したりする。
【0033】
そのため、図2[2]に示すような撹拌手段100を考えてみる。まず、モータ101の駆動軸102に連結された羽根車103を、容器104中のはんだ材料S中に浸漬する。そして、羽根車103を回転させることにより、はんだ材料Sを撹拌する。しかし、撹拌手段100では、高速で回転する羽根車103がはんだ粒子に衝突することによりはんだ粒子が損傷する、駆動軸103と軸受け105との間にはんだ粒子が挟まれることによりはんだ粒子が変形したり撹拌手段100が故障したりする、などの不具合が起きやすい。
【0034】
そこで、本実施形態では、貯留手段11内で羽根車103を回転させるのではなく、貯留手段11そのものを回転させることにした。その結果、高速で回転する羽根車103や駆動軸102と軸受け105との構造が、はんだ材料Sに接触することが無くなった。したがって、はんだ粒子の損傷や撹拌手段12の故障を引き起こすことなく、液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料SをワークW上へ供給することができる。
【0035】
次に、本実施形態で使用するはんだ材料Sについて説明する。図2は、はんだ材料Sを用いたはんだバンプ形成方法の一例を代表的に示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図2は、基板上にはんだ材料を塗布した状態であり、上下方向は左右方向よりも拡大して示している。
【0036】
はんだ材料Sは、多数のはんだ粒子S1と脂肪酸エステルからなる液体S2との混合物からなり、パッド電極22にはんだバンプを形成するために用いられる。そして、液体S2は、常温の状態で基板20に滴下すると自重で広がって均一な厚みになる粘度と、はんだ粒子S1の融点以上に加熱された状態ではんだ粒子S1によるはんだ濡れをパッド電極22に引き起こすフラックス作用とを有する。はんだ粒子S1は、液体S2とともに基板20に滴下した際に液体S2とともに広がって均一に分散する、混合比及び粒径を有する。
【0037】
また、はんだ粒子S1は表面に自然酸化膜(図示せず)のみを有する。液体S2は、脂肪酸エステルであるので、有機酸の一種である遊離脂肪酸を元々含んでいる。遊離脂肪酸は、はんだ粒子S1の融点以上に加熱された状態で、はんだ粒子S1同士の合体を抑制しつつ、はんだ粒子S1とパッド電極22とのはんだ付けを促進するとともに、パッド電極上22に形成されたはんだ皮膜とはんだ粒子S1との合体を促進する作用を有する。
【0038】
液体S2に含まれる有機酸は、必要に応じて添加しても良い。つまり、はんだ粒子S1の酸化度合いや分量に応じて、液体S2の有機酸含有量を調整する。例えば、多量のはんだバンプを形成する場合は、はんだ粒子S1も多量になるので、全てのはんだ粒子S1の酸化膜を還元するのに十分な有機酸を含有する必要がある。一方、バンプ形成に使用される以上の過剰なはんだ粒子S1を加える場合は、有機酸の含有量を少なくして液体S2の活性力を落とすことにより、はんだ粉末粒度分布でいうところの微細な側のはんだ粒子S1を溶かさないようにして、比較的大きなはんだ粒子S1のみで最適なバンプ形成を行うことも可能である。この際、溶けずに残った微細なはんだ粒子S1は、はんだ粒子S1同士の合体を防ぐことにより、パッド電極22のショートを低減させる効果も持つ。
【0039】
はんだ粒子S1は液体S2中に均一に分散している必要があるので、はんだ材料Sは使用直前に撹拌しておくことが望ましい。はんだ粒子S1の材質は、錫鉛系はんだ又は鉛フリーはんだ等を使用する。隣接するパッド電極22同士の周端間の最短距離aよりも、はんだ粒子S1の直径bを小さくするとよい。この場合、隣接する二つのパッド電極22上のはんだ皮膜にそれぞれ到達したはんだ粒子S1同士は、接触しないため合体してはんだブリッジを形成することがない。
【0040】
はんだ材料Sは、パッド電極22を有する基板20上に、常温において自然落下により滴下させる。これだけで、基板20上に均一な厚みのはんだ材料Sを塗布できる。つまり、スクリーン印刷を用いることなく、均一な膜厚のはんだ材料Sの塗布膜を基板20上に形成することができる。塗布の均一性ははんだバンプのばらつきに影響を及ぼすため、できる限り均一に塗布する。その後、基板20全体を均一に加熱することにより、はんだバンプの形成が可能となる。加熱は短時間ではんだ融点以上まで昇温する。短時間で昇温することにより、プロセス中での有機酸活性力の低下を抑えることができる。
【0041】
次に、基板20について説明する。基板20はシリコンウエハである。基板20の表面21には、パッド電極22が形成されている。パッド電極22上には、はんだバンプが形成される。基板20は、はんだバンプを介して、他の半導体チップや配線板に電気的及び機械的に接続される。パッド電極22は、形状が例えば円であり、直径cが例えば40μmである。隣接するパッド電極22の中心間の距離dは、例えば80μmである。はんだ粒子14の直径bは、例えば3〜15μmである。
【0042】
パッド電極22は、基板20上に形成されたアルミニウム電極24と、アルミニウム電極24上に形成されたニッケル層25と、ニッケル層25上に形成された金層26とからなる。ニッケル層25及び金層26はUBM(under barrier metal又はunder bump metallurgy)層である。基板20上のパッド電極22以外の部分は、保護膜27で覆われている。
【0043】
次に、パッド電極22の形成方法について説明する。まず、基板20上にアルミニウム電極24を形成し、アルミニウム電極24以外の部分にポリイミド樹脂又はシリコン窒化膜によって保護膜27を形成する。これらは、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて形成される。続いて、アルミニウム電極24表面にジンケート処理を施した後に、無電解めっき法を用いてアルミニウム電極24上にニッケル層25及び金層26を形成する。このUBM層を設ける理由は、アルミニウム電極24にはんだ濡れ性を付与するためである。
【0044】
はんだ粒子S1の材質としては、例えばSn−Pb(融点183℃)、Sn−Ag−Cu(融点218℃)、Sn−Ag(融点221℃)、Sn−Cu(融点227℃)等を使用する。
【0045】
加熱手段40は、例えばブロワと電熱ヒータとからなり、熱風41を当てて基板20側(下側)からはんだ材料Sを加熱する。
【0046】
図3及び図4は、はんだ材料Sを用いたはんだバンプ形成方法の一例を工程順に示す断面図である。図3は滴下工程であり、図3[1]〜図3[3]の順に工程が進行する。図4は、リフロー工程であり、図4[1]〜図4[3]の順に工程が進行する。以下、これらの図面に基づき説明する。ただし、図2と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0047】
図3では、基板20上のパッド電極22の図示を略している。まず、図3[1]に示すように、受け容器30に基板20を入れる。そして、注ぎ容器31中で必要に応じはんだ材料Sを撹拌した後、注ぎ口32からはんだ材料Sを基板20上に滴下させる。すると、はんだ材料Sが自重で広がって均一な厚みになる。このときは、常温でよく、しかも、はんだ材料Sの自然落下を利用できる。なお、印刷機や後述する吐出機を用いてはんだ材料Sを基板20上に塗布してもよい。
【0048】
なお、受け容器30は、リフロー工程で基板20とともに加熱するので、耐熱性があって熱伝導が良く、かつはんだ粒子S1によるはんだ濡れが生じない金属例えばアルミニウムからなる。また、受け容器30は、平板状の基板20を載置する平らな底面33と、はんだ材料Sの横溢を防止する周壁34とを有する。この場合は、受け容器30の底面33上に基板20が密接するので、熱伝導が向上する。なお、図2及び図4では受け容器30の図示を略している。
【0049】
また、滴下工程の途中又は後に、基板20を水平に回転させることによって、基板20上のはんだ材料Sを均一な厚みにしてもよい。基板20を水平に回転させるには、市販のスピンコート装置を用いればよい。
【0050】
滴下工程の終了は、はんだ材料S中に基板20が浸漬されるまで、はんだ材料Sを滴下するか否かによって二通りに分かれる。図3[2]は、はんだ材料S中に基板20を浸漬しない場合である。この場合、基板20上のはんだ材料Sの厚みt1は、はんだ材料Sの主に表面張力及び粘性によって決まる値である。一方、図3[3]は、はんだ材料S中に基板20を浸漬する場合である。この場合、基板20上のはんだ材料Sの厚みt2は、滴下するはんだ材料Sの量に応じた所望の値に設定できる。
【0051】
以上の滴下工程によって、図2に示すように、複数のパッド電極22が離間して設けられた基板20上に、はんだ材料Sがベタ塗りによって載置されたことになる。このとき、複数のバンブ電極22上及びこれらの間隙の保護膜27上を含む面に、全体的にはんだ材料Sが載置される。はんだ材料Sは、ちょうどインクのような状態である。
【0052】
続いて、リフロー工程で、基板20及びはんだ材料Sの加熱が始まると、液体S2の粘性が低下する。すると、図4[1]に示すように、はんだ粒子S1は、液体S2よりも比重が大きいので、沈降してパッド電極22上及び保護膜27上に積み重なる。
【0053】
続いて、図4[2]に示すように、はんだ材料Sがはんだ粒子S1の融点以上に加熱される。ここで、基板20上のはんだ材料Sを基板20側から加熱しているので、はんだ材料Sは表面になるほど温度が低く基板20側になるほど温度が高くなる。すると、パッド電極22に近い下方のはんだ粒子S1は、先に溶融し始め、溶融すればパッド電極22に濡れ広がる。その時、パッド電極22から遠い上方のはんだ粒子S1は、まだ十分に溶融していない。したがって、はんだ粒子S1同士で合体する機会を減少させることができるので、はんだブリッジの発生も抑制される。換言すると、リフロー工程では、最初にパッド電極22をはんだ粒子S1の融点以上に加熱し、パッド電極22に接触しているはんだ粒子S1を溶融して、パッド電極22に濡れ広がったはんだ皮膜23’を形成し、はんだ皮膜23’に更にはんだ粒子S1を合体させる。
【0054】
また、このとき、液体S2に含まれる有機酸の作用によって、次のような状態が引き起こされる。まず、はんだ粒子S1同士は合体が抑えられる。ただし、図4[2]では図示していないが、一部のはんだ粒子S1同士は合体して大きくなる。つまり、はんだ粒子S1同士は合体しても一定の大きさ以下であれば問題ない。一方、はんだ粒子S1は、パッド電極20上に広がって界面に合金層を形成する。その結果、パッド電極20上にはんだ皮膜23’が形成され、はんだ皮膜23’に更にはんだ粒子S1が合体する。すなわち、はんだ皮膜23’は成長して、図4[3]に示すようなはんだバンプ23となる。
【0055】
なお、図4[3]において、はんだバンプ23の形成に使用されなかったはんだ粒子S1は、残った液体S2とともに後工程で洗い落とされる。
【0056】
また、リフロー工程では、はんだ材料Sにその表面側が低く基板20側が高くなるような温度差を設けることにより、基板20側に近いはんだ粒子S1から先に沈降させてもよい。はんだ材料Sの表面側が低くはんだ材料Sの基板20側が高くなるような温度差を設けると、液体S2は温度が高いほど粘度が低下するので、パッド電極22に近い下方のはんだ粒子S1は、先に沈降かつ溶融し始め、パッド電極22に接触すると濡れ広がる。その時、パッド電極22から遠い上方のはんだ粒子S1は、まだ十分に沈降かつ溶融していない。したがって、はんだ粒子S1同士で合体する機会をより減少させることができるので、はんだブリッジの発生もより抑制される。また、このような加熱状態は、例えば基板20上のはんだ材料Sを基板20側から加熱するとともにはんだ材料Sの表面側から加冷したり、液体S2の粘度の温度依存性とはんだ粒子S1の融点との関係を調整したりすることにより、実現される。
【0057】
更に、リフロー工程では、液体S2の対流を利用してはんだ粒子S1をパッド電極22へ供給するようにしてもよい。はんだ材料Sを基板20側から加熱すると、液体S2に対流が発生し、これによりはんだ粒子S1が液体S2中を動く。そのため、パッド電極22上に載置されなかったはんだ粒子S1もパッド電極22上へ移動してはんだバンプ23の一部になる。したがって、はんだ粒子S1が有効に利用される。
【実施例1】
【0058】
次に、図1のはんだ材料供給装置10を更に具体化した実施例1について説明する。図5乃至図7は本実施例のはんだ材料供給装置50を示し、図5ははんだ材料供給工程であり、図6及び図7ははんだ材料撹拌工程である。以下、図1及び図5乃至図7に基づき説明する。
【0059】
図1における供給手段13は、図5における一軸偏心ねじポンプ60である。以下同様に、貯留手段11は容器70であり、撹拌手段12はモータ80及び取付部材81である。また、容器70と一軸偏心ねじポンプ60とは、連結管51で接続されている。容器70の送出口73と連結管51とは、固定式の管継手52で接続されている。一軸偏心ねじポンプ60の吸込口60Aと連結管51とは、回転式の管継手(「ロータリージョイント」とも呼ばれる。)53で接続されている。連結管51は、この状態で回転するので、曲げ応力に耐え得る可撓性が必要である。容器70は、取付部材81によってモータ80に回転自在に取り付けられている。モータ80及び一軸偏心ねじポンプ60は、それぞれ固定部材54,55によって動かないように固定されている。モータ80の駆動軸82は、支持部材83によってぶれないように固定されている。容器70は、はんだ材料Sを一時的に貯留する。モータ80は、容器70を回転させることによってはんだ材料Sを撹拌する。一軸偏心ねじポンプ60は、容器70からワークW上へはんだ材料Sを吐出する。
【0060】
次に、図5及び図7[1]に基づき、はんだ材料供給工程におけるはんだ材料供給装置50の動作を説明する。ただし、図7[1]において容器70は静止しているものとする。
【0061】
容器70は、はんだ材料Sを貯留する本体部71と、本体部71の開口部分に嵌合する蓋部72とから成り、全体として円筒状を呈している。図7[1]に示すように、容器70の送出口73には、容器70内に向かって送出管74が固定されている。送出管74は、本体部71の底面に残った僅かなはんだ材料Sも取り出せるように、曲がっている。
【0062】
一軸偏心ねじポンプ60は、はんだ材料Sを吸込する吸込口60Aと、はんだ材料Sを吐出する吐出口60Bと、はんだ材料Sを吸込口60Aから吐出口60Bへ移送する移送部(後述するノズル部61、筒部62、接続部63及び駆動源64)とを有する。
【0063】
はんだ材料供給工程では、容器70内のはんだ材料Sが既に十分に撹拌されている。ここで、一軸偏心ねじポンプ60を駆動すると、液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料Sは、容器70の送出口73→連結管51→一軸偏心ねじポンプ60の吸込口60A→一軸偏心ねじポンプ60の吐出口60B→ワークW、と供給される。
【0064】
次に、図6及び図7に基づき、はんだ材料撹拌工程におけるはんだ材料供給装置50の動作を説明する。
【0065】
図6ははんだ材料供給装置50の正面図であり、図6[1]は容器70の回転角が0度、図6[2]は容器70の回転角が90度、図6[3]は容器70の回転角が180度の状態である。図7は容器70の断面図であり、図7[1]は容器70の回転角が0度、図7[2]は容器70の回転角が180度の状態である。
【0066】
モータ80は、容器70を回転させることによってはんだ材料Sを撹拌する。このとき、容器70を回転させる際の回転中心軸は、水平方向に対して斜め方向になっている。図7において、回転中心軸と水平方向とのなす角θは、はんだ材料Sの流れを複雑にするために例えば5°以上とすることが好ましく、はんだ材料Sの鉛直方向への落下を利用するために例えば45°以下とすることが好ましい。
【0067】
チューブ51と容器70とが固定式の管継手52で接続され、チューブ51と一軸偏心ねじポンプ60とが回転式の管継手53で接続されているので、容器70の回転中はチューブ51も回転する。
【0068】
はんだ材料撹拌工程では、モータ80で容器70を回転させてはんだ材料Sを撹拌することにより、高速で回転する部材や駆動軸と軸受けとの構造が、はんだ材料Sに接触する機会を無くすことができる。したがって、はんだ粒子Sの損傷やモータ80等の故障を引き起こすことなく、液体中にはんだ粒子が均一に分散したはんだ材料Sを得ることができる。
【0069】
図8ははんだ材料供給装置50の動作を自動化した場合を示し、図8[1]は制御系のブロック図であり、図8[2]は制御のタイミングチャートである。以下、図5乃至図8に基づき、はんだ材料供給装置50の全体の動作を説明する。
【0070】
図8[1]に示すように、はんだ材料供給装置50の制御系は、制御手段90が一軸偏心ねじポンプ60、撹拌用のモータ80及びワーク搬送手段91を制御する構成である。制御手段90は、例えばマイクロコンピュータ及びそのプログラムから成る。ワーク搬送手段91は、ワークWを取出し及び配置する例えば多関節ロボットである。
【0071】
図8[2]に示すように、はんだ材料供給装置50の動作は、はんだ材料供給工程A→ワーク取出し工程B→はんだ材料撹拌工程C→ワーク配置工程Dで1サイクルとなる。この動作は、制御手段90のコンピュータプログラムによって制御される。
【0072】
まず、はんだ材料供給工程Aでは、一軸偏心ねじポンプ60がワークW上にはんだ材料Sを吐出する(図5)。このとき、一軸偏心ねじポンプ60はオン(動作)し、モータ80及びワーク搬送手段91はオフ(停止)する。
【0073】
続いて、ワーク取出し工程Bでは、はんだ材料Sが吐出されたワークWが所定位置から取出される。このとき、一軸偏心ねじポンプ60及びモータ80はオフし、ワーク搬送手段91はオンする。
【0074】
続いて、はんだ材料撹拌工程Cでは、次のワークW上にはんだ材料Sを供給するまでの待ち時間に、モータ80が容器70を回転させ続ける。これにより、当該待ち時間においてはんだ粒子が液体中で沈降してしまうことを防止できるので、はんだ材料SをワークW上に供給する時は、常に、液体中にはんだ粒子が均一に分散した状態となる。はんだ材料撹拌工程Cでは、モータ80はオンし、一軸偏心ねじポンプ60及びワーク搬送手段91はオフする。
【0075】
最後に、ワーク配置工程Dでは、次のワークWが所定位置に配置される。このとき、一軸偏心ねじポンプ60及びモータ80はオフし、ワーク搬送手段91はオンする。
【0076】
本実施例において、はんだ材料Sの撹拌は、次のワークW上にはんだ材料を供給するまでの待ち時間に実施される。そのため、撹拌するための時間を別途設ける必要がないので、製造工程を効率化できる。これに加え、はんだ材料Sの供給時に、撹拌による振動が伝わらないので、正確な定量供給を実現できる。
【0077】
図9[1]は一軸偏心ねじポンプ60の一例を示す断面図、図9[2]は図9[1]におけるIX−IX線断面図である。以下、図5乃至図7及び図9に基づき、はんだ材料供給装置50の主な構成要素について説明する。
【0078】
図5に示すように、一軸偏心ねじポンプ60は、先端から吐出口60B、ノズル部61、筒部62、接続部63(吸込口60Aを含む。)及び駆動源64を備える。接続部63は、吸込口60Aからはんだ材料Sを導入する。駆動源64は、モータ、減速機等から成り、駆動軸69(図9[1])へ動力を伝達する。また、筒部62は、図9[1][2]に示すように、筒体65に収容された雌ねじ形ステータ66内に、雄ねじ形ロータ67が回動自在に嵌挿されたものである。そして、雄ねじ形ロータ67の基端は、偏心自在継手68を介して駆動軸69に連結されている。雌ねじ形ステータ66は、どの断面も長円形を呈し、弾性材料から成る。雄ねじ形ロータ67は、どの断面も円形を呈し、金属から成る。
【0079】
雌ねじ形ステータ66内に雄ねじ形ロータ67を装着すると、両者の間に接線によって厳密にシールされた連続する螺旋状の空間60aが生ずる。この状態で、雄ねじ形ロータ67を回転させると、雄ねじ形ロータ67は雌ねじ形ステータ66内を回転しながら往復運動をする。その結果、空間60aに満たされていたはんだ材料Sは、無限のピストン運動によって、吸込側から吐出側へ向かって、無脈動かつ定量で移送される。
【0080】
このように、一軸偏心ねじポンプ60は、雄ねじ形ロータ67を雌ねじ形ステータ66内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、はんだ材料Sを移送する。一軸偏心ねじポンプ60によれば、切れ目の無い無限のピストン運動によって、高精度かつ無脈動の定量吐出が可能となる。なお、仮にはんだ粒子が雌ねじ形ステータ66と雄ねじ形ロータ67とに挟まれたとしても、雌ねじ形ステータ66が弾性材料から成るので、はんだ粒子が変形するおそれは無い。
【実施例2】
【0081】
図10は、図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例2を示す正面図(はんだ材料撹拌工程)である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図5と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0082】
本実施例のはんだ材料供給装置50’で用いるモータ80’は、容器70を回転させる際に正方向及び逆方向に交互に回転させるものである。モータ80’としては、例えばステッピングモータが好ましい。ステッピングモータであれば、正方向及び逆方向の回転の切り替えが容易である。
【0083】
また、連結管51’は、可撓性を有する素材、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂から成る。連結管51’と容器70及び一軸偏心ねじポンプ60とは、それぞれ固定式の管継手52,53’を介して接続されている。
【0084】
ここで、モータ80’で容器70を正方向又は逆方向に回転させると、連結管51’が捩れることになる。しかし、その捩れは連結管51’の有する可撓性によって吸収される。また、連結管51’は、捩れを吸収するために、図示するように弛ませておくことが望ましい。本実施例によれば、回転式の管継手を使わなくて済むという利点がある。
【実施例3】
【0085】
図11は、図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例3を示す正面図(はんだ材料撹拌工程)である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図5と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0086】
本実施例のはんだ材料供給装置50''では、モータ80の駆動軸82が水平になるように固定具54''によってモータ80が固定され、連結管51''も水平に配置されている。そして、取付部材81''には、容器70を斜めに傾けた状態で固定する固定具84が設けられている。したがって、容器70を回転させる際の回転中心軸(水平方向)が、容器70の中心軸75に対して斜め方向になっている。また、連結管51''と容器70とは固定式の管継手52''によって接続されている。そのため、連結管51''は、容器70の回転とともにも回転するが、常に水平を保つので、可撓性が不要である。
【0087】
本実施例でも、実施例1,2と同じように、攪拌中のはんだ材料Sの流れがより複雑になるので、液体中にはんだ粒子をより一層均一に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係るはんだ材料供給装置の一実施形態を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明で使用されるはんだ材料による、はんだバンプ形成方法の一例を代表的に示す断面図である。
【図3】本発明で使用されるはんだ材料による、はんだバンプ形成方法の一例を示す断面図(滴下工程)であり、図3[1]〜図3[3]の順に工程が進行する。
【図4】本発明で使用されるはんだ材料による、はんだバンプ形成方法の一例を示す断面図(リフロー工程)であり、図4[1]〜図4[3]の順に工程が進行する。
【図5】図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例1を示す正面図(はんだ材料供給工程)である。
【図6】図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例1を示す正面図(はんだ材料撹拌工程)であり、図6[1]は容器の回転角が0度、図6[2]は容器の回転角が90度、図6[3]は容器70の回転角が180度の状態である。
【図7】図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例1を示す断面図(はんだ材料撹拌工程)であり、図7[1]は容器の回転角が0度、図7[2]は容器の回転角が180度の状態である。
【図8】図5乃至図7のはんだ材料供給装置の動作を自動化した場合を示し、図8[1]は制御系のブロック図であり、図8[2]は制御のタイミングチャートである。
【図9】図9[1]は一軸偏心ねじポンプの一例を示す断面図、図9[2]は図9[1]におけるIX−IX線断面図、図9[3]はスタティックミキサの一例を示す断面図である。
【図10】図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例2を示す正面図(はんだ材料撹拌工程)である。
【図11】図1のはんだ材料供給装置を更に具体化した実施例3を示す正面図(はんだ材料撹拌工程)である。
【符号の説明】
【0089】
10,50,50’,50'' はんだ材料供給装置
11 貯留手段
12 撹拌手段
13 供給手段
51,51’ 連結管
60 一軸偏心ねじポンプ(供給手段)
70 容器(貯留手段)
80,80’ モータ(撹拌手段)
81 取付部材(撹拌手段)
S はんだ材料
S1 はんだ粒子
S2 液体
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ粒子とフラックス作用を有する液体との混合物から成り前記液体中で前記はんだ粒子が沈降するはんだ材料を、貯留手段、撹拌手段及び供給手段を含む手段によってワーク上に供給する、はんだ材料供給装置であって、
前記貯留手段は、前記はんだ材料を一時的に貯留し、
前記撹拌手段は、前記貯留手段を回転させることによって前記はんだ材料を撹拌し、
前記供給手段は、前記貯留手段から前記ワーク上へ前記はんだ材料を供給する、
ことを特徴とするはんだ材料供給装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、前記貯留手段を回転させる際の回転中心軸が水平方向である、
請求項1記載のはんだ材料供給装置。
【請求項3】
前記撹拌手段は、前記貯留手段を回転させる際の回転中心軸が水平方向に対して斜め方向である、
請求項1記載のはんだ材料供給装置。
【請求項4】
前記貯留手段は、前記はんだ材料を収容するとともに、当該はんだ材料を送出する送出口を有する容器から成り、
前記供給手段は、前記はんだ材料を吸込する吸込口と、当該はんだ材料を吐出する吐出口と、当該はんだ材料を前記吸込口から前記吐出口へ移送する移送部とを有するポンプから成り、
前記撹拌手段は、前記容器を取り付ける取付部材と、この取付部材を介して前記容器を回転させるモータとから成り、
前記容器の送出口と前記ポンプの吸込口とが連結管及び管継手を介して接続され、前記管継手の少なくとも一つが回転式の管継手である、
請求項2又は3記載のはんだ材料供給装置。
【請求項5】
前記撹拌手段は、前記貯留手段を回転させる際に正方向及び逆方向に交互に回転させる、
請求項1乃至3のいずれかに記載のはんだ材料供給装置。
【請求項6】
前記貯留手段は、前記はんだ材料を収容するとともに、当該はんだ材料を送出する送出口を有する容器から成り、
前記供給手段は、前記はんだ材料を吸込する吸込口と、当該はんだ材料を吐出する吐出口と、当該はんだ材料を前記吸込口から前記吐出口へ移送する移送部とを有するポンプから成り、
前記撹拌手段は、前記容器を取り付ける取付部材と、この取付部材を介して前記容器を回転させるモータとから成り、
前記容器の送出口と前記ポンプの吸込口とが、可撓性を有する素材から成る連結管及び固定式の管継手を介して接続された、
請求項5記載のはんだ材料供給装置。
【請求項7】
前記貯留手段を水平面に載置したときに当該貯留手段の中心を通る鉛直方向の軸を当該貯留手段の中心軸としたとき、
前記撹拌手段は、前記貯留手段を回転させる際の回転中心軸が当該貯留手段の中心軸に対して斜め方向である、
請求項1記載のはんだ材料供給装置。
【請求項8】
前記ポンプは一軸偏心ねじポンプであり、
前記移送部は、雄ねじ形ロータを雌ねじ形ステータ内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、前記はんだ材料を前記吸込口から前記吐出口へ移送する、
請求項4又は6記載のはんだ材料供給装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のはんだ材料供給装置を用い、はんだ材料供給工程及びはんだ材料撹拌工程を含む工程によって前記はんだ材料を前記ワーク上に供給する、はんだ材料供給方法であって、
前記はんだ材料供給工程では、前記供給手段によって前記ワーク上に前記はんだ材料を供給し、
前記はんだ材料撹拌工程では、次の前記ワーク上に前記はんだ材料を供給するまでの待ち時間に、前記撹拌手段によって前記はんだ材料を撹拌する、
ことを特徴とするはんだ材料供給方法。
【請求項10】
前記はんだ材料供給工程の前に、前記ワークを所定位置に配置するワーク配置工程を有し、
前記はんだ材料供給工程の後に、前記ワークを前記所定位置から取出すワーク取出し工程を有する、
請求項9記載のはんだ材料供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−136935(P2006−136935A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330678(P2004−330678)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】