説明

ばら荷を整列させ、さらに搬送する装置

【課題】選別ケーシング(3)中に配置されたホッパー(4)に対して搬送方向下流側から接続されている供給シュート(5)から、ばら荷(2)を受け入れて整列させ、さらに搬送するための装置において、シンプルな駆動系統と、より小さい構造形式とでもって、できるだけ高い処理効率を実現できるものを提供する。
【解決手段】供給シュート(5)が選別ケーシング(3)の底の開口(6)に接続されており、ホッパー(4)の互いに対応し合う2つの壁面は、開口(6)に向かって傾斜して延びるプレートショルダー(8)を備えた2つのプレート(7)により形成されており、各プレート(7)には、該プレート(7)について、開口(6)に対する位置・姿勢をシフトさせるためのプレート駆動部(10)が割り当てられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別ケーシング中に配置されたホッパーから、この排出側に続いている供給シュートへと向けて、錠剤、カプセル、糖衣錠等のようなばら荷、特には小石状の個別部分からなるばら荷を整列させ、さらに搬送するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような装置は、ヨーロッパ特許EP1281919B1により公知となっており、良好なものであることが確かめられ、また、広く用いられている。しかしながら、ヨーロッパ連合の指令により、騒音発生に対して、特には作業場所での騒音発生に対して、新たな根本的な規制が出現し、機械の製造者が、より静かな駆動系統を開発する必要に迫られている。騒音発生の増加は、実質上、駆動原理に依存するものであり、機械の据え付け場所を密封することが、無視できる程度でない役割を果たす。
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP1281919B1(特開2003−95445に対応)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底をなす課題は、導入部で述べた技術分野の装置について、シンプルな駆動系統と、より小さい構造形式とでもって、できるだけ高い処理効率を実現できるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題は、本発明によると、導入部で述べた技術分野の装置において、以下により解決される。供給シュートが、選別ケーシングの底部の開口に接続されており、ホッパーの壁は、互いに向き合う2つの側面が、2枚のプレートの端面に形成された、互いに向き合う2つのプレートショルダーからなる。ここで、プレートショルダーは、選別ケーシングの底部の開口に向けて傾斜して延びる。また、プレートには、これらプレートについての該開口に対する位置・姿勢シフトさせるためのプレート駆動部が割り当てられている。
【発明の効果】
【0005】
このような装置は以下のような特徴を有する。ばら荷の所望の整列及びその後の搬送について、互いに向き合う2つのプレートショルダーによって、簡単な具合に行うことができる。これらのプレートショルダーは、プレートショルダーの活用に左右される形の滑降力(重力の斜面方向の成分)の下で、ばら荷が供給シュートへの狭い箇所を通過する動きを引き起こす。このようにして、ばら荷の詰まり、ないしは集塊形成は、プレート駆動部を用いたプレートの位置・姿勢のシフトによって防止される。または、プレートの位置・姿勢が新たにシフトした際、したがって、対向し合うプレートショルダーの相対的な位置・姿勢が変化した際に、ばら荷中でのくさび(楔)作用の形成、すなわちばら荷の詰まりが短時間内に解消される。プレート駆動部は、むだが多くて高コストの支持構造を必要とせず、簡単な構成により実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の枠内において、ホッパーは、2つの仕切り壁が上記2枚のプレートと組み合わさることにより、周方向に閉じられることが想定されている。仕切り壁は、ばら荷を整列させるのに寄与する必要がない。ばら荷の整列は、ほぼ、プレートショルダーによって行われる。仕切り壁は、もっぱら、ばら荷が重力の作用の下でプレートショルダーに対して横になって滑り落ちるのを防止する。
【0007】
このような形態であると、ホッパーは、選別ケーシング中に複数が一列に続けて配列されるようにすることができる。したがって、簡単な方式により、装置の処理効率の著しい向上を実現することができる。
【0008】
本発明の特に好ましい実施形態によると、各プレートには、専用のプレート駆動部が割り当てられており、対をなす相手のプレートとは無関係に動かすことができるようになっているという特徴を有する。このような実施形態であると、装置を導入または使用するにあたり、高度の自由度を得ることができる。各プレート駆動部について適当なコントロールまたは駆動を行うことにより、対応し合う一対のプレートについて、同じ向きに動かすことも、また、逆向きに動かすこともできる。また、ばら荷をさらに強く攪拌するために、動きのパターンが周期的または確率論的に逆転するという実施形態も可能である。
【0009】
プレートには、さらに、プレートに突き当てられてプレートのストローク範囲を制限するための、位置・姿勢をシフト可能な突き当て部が少なくとも一つ割り当てられるならば好ましい。このようにして、プレートの振幅を変更・調整可能となり、例えば、ばら荷をなす製品の大きさに合わせることができるからである。このように位置・姿勢を可変の突き当て部は、選別ケーシングに取り付けられた調整ネジとして、シンプルな方式により実現できる。
【0010】
本発明の枠内において、プレート駆動部は、圧力媒体によって作動可能な駆動部として設けられることが想定されている。特には、プレート駆動部が空気圧駆動により実現されることが想定されている。このような駆動方式を用いることにより、特には、なるべくノイズレスに作動させるという点で役立つ。動く部分が少なくなっており、原動機と関連したノイズを発生させることなしに、プレートの位置・姿勢をシフトさせることができるからである。ここで、空気圧駆動系統の空気圧シリンダーが、ダイアフラム形シリンダーとして実現されているならば、好ましい。磨耗を少なくしつつ低騒音の駆動様式を実現できるからである。
【0011】
本発明による装置は、医薬・製薬の分野または食品加工に用いるのに特に適しているので、ダイアフラム形シリンダーのダイアフラムとしては、食品用として法的に認可されている材料からなるものを選ぶことができる。このようにして、医薬または食品の規制法規に関連して問題となるような汚染が確実に防止することができる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施形態は、次のような特徴を有する。プレート駆動部に駆動制御部が割り当てられ、この駆動制御部は、プレートのサイクル運動の振動数を可変に設定するための振動数発生器を備えている。これにより、プレート駆動部によりプレートに付与される動きパターンの観点から、非常に大きな可変性が導かれる。この動きパターンは、ばら荷の個別部分の形状、大きさ及び表面状態に対応して、最適となるように選択することができる。ばら荷を構成する各製品の大きさに合わせるには、プレートのストロークを調整可能であるのが役立つ。
【0013】
以下に、図面に描かれた実施例について詳細に説明する。
【0014】
図面に描かれた装置は、特には小石状の個々の製品1からなるばら荷2を目的に合わせて整列させて、さらに搬送するのに用いられる。例えば、ばら荷2の個々の製品1が、不図示の成形シート(例えばブリスタパッケージングのための樹脂成形シート)等の受け入れ部ないしポケット部中へと送り込まれるように搬送されるのである。このために、装置には、選別器ケーシング3中に配置されたホッパー4を含んでいる。また、処理効率を向上させるべく、ホッパー4が複数設けられ、選別器ケーシング3中に列をなすように並べて配置されている。このように列をなす各ホッパー4は、基本的に、同一であり、以下に詳細に説明するような構成を有している。これらの各ホッパー4の搬送方向下流側には、供給シュート5が配置されている。供給シュート5は、選別器ケーシング3の底にある開口6に接続されている。ホッパー4の対向しあう両側のホッパー壁は、2つのプレート7からなり、これらプレート7には、該開口6に対して傾斜して延びるプレートショルダー8が形成されている。すなわち、図示の例において、ホッパー4の対向しあう両側のホッパー壁は、左右のプレート7の端面に形成された傾斜面からなる。各ホッパー4は、2枚の仕切り壁9が2つのプレート7に組み合わさって、周方向に閉じられている。すなわち、図示の例において、仕切り壁9をなす2枚のプレート材が、これに平行に配された左右のプレート7を前後方向から挟みこむことで、各ホッパー4が形成されている。一方、各プレート7には、該プレート7を開口6に対して移動させるための、該プレート7に専用のプレート駆動部10が備えられている。
【0015】
図面に描かれた実施例によると、各プレート7には、位置・姿勢をシフト可能に選別器ケーシング3に取り付けられた調整ネジにより形成された突き当て部11が割り当てられている。このようにして、開口6の側へ移動する方向と、開口6から後ずさりする方向との間でのプレート7のストロークについて、所定の範囲にて、変更・調整を行うことができ、また該所定の範囲に制限することが可能である。
【0016】
図示の実施例において、プレート駆動部10のためには、圧力媒体により作動される駆動部が想定されており、特には空気圧駆動が想定されている。空気圧駆動は、ダイアフラム形シリンダー(diaphragm cylinder)としての空気圧シリンダーによって実施される。ダイアフラム形シリンダーのダイアフラムは、食品用として法的に認可された材料からなる。また、プレート駆動部には、プレート7のサイクル駆動の振動数を可変に設定するための振動数発生器を備えた駆動制御装置が割り当てられている。
【0017】
以下に、上記装置の駆動様式について簡潔に説明する。まず、個々の製品1からなるばら荷2がホッパー4に充填される。ばら荷2は、2つのプレート7における対向し合う2つのプレートショルダー8に当接する。ばら荷2をなす個々の製品1の大きさ、寸法、形状及び/または表面状態(すなわち、大きさ、寸法、形状及び表面状態のいずれか、または任意の組み合わせ)に応じて、プレート駆動部10でもって、両側のプレート7に対し、何よりも、平行移動(並進運動)による振動の動きが加えられる。ここで、両側のプレート7が同じ向きに動くことも、また、互いに逆向きに動くことも可能となっている。プレート7が同じ向きに動くときには、実質上一定の形状のテーパーが、開口の上方にて、押し動かされることとなる。すなわち、ホッパー4内部の空間の形状等が維持されたままで、このホッパー4の空間が図面における左右方向に動かされることとなる。一方、互いに逆向きに動くときには、2つのプレートショルダー8によって決まるホッパー4の大きさが常に変化することとなる。プレート7の動きのパターンは、駆動制御系統によっても変更・調整可能であり、特に、ばら荷の詰まりや集塊形成の防止または解除のためには、別個のストローク、及び、別個の振動数が選ばれる。原理上、対向し合う両側のプレート7に対する非同期の動きを、本装置によって作り出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の装置についての、図2のI-I線に沿った断面図である。
【図2】図1の装置を矢印IIの方向から見た図である。
【符号の説明】
【0019】
1 製品 2 ばら荷 3 選別ケーシング 4 ホッパー
5 供給シュート 6 開口 7 プレート 8 プレートショルダー
9 仕切り板 10 プレート駆動部 11 突き当て部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別ケーシング(3)中に配置されたホッパー(4)から、この搬送方向下流側に続く供給シュート(5)へと向けて、ばら荷(2)を整列させ、さらに搬送する装置において、
供給シュート(5)が選別ケーシング(3)の底の開口(6)に接続されており、ホッパー(4)における互いに対応し合う2つのホッパー壁は、開口(6)に向かって傾斜して延びるプレートショルダー(8)を備えた2つのプレート(7)により形成されており、これらプレート(7)には、該プレート(7)について、開口(6)に対する位置・姿勢をシフトさせるためのプレート駆動部(10)が割り当てられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
ホッパー(4)が、2つのプレート(7)に相補的に組み合わさる仕切り壁(9)により周方向に閉じられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ホッパー(4)が、複数備えられ、選別ケーシング(3)の内部に、一列に続けて配置されたことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各プレート(7)には、専用のプレート駆動部(10)が割り当てられ、該プレートと組み合わさって対をなす相手側のプレート(7)と独立に駆動できるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
少なくとも一つのプレート(7)に、調整可能な突き当て部(11)が割り当てられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
突き当て部(11)が、選別ケーシング(3)中に取り付けられた調整ネジからなることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
プレート駆動部(10)が、圧力媒体により作動する駆動部として設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
プレート駆動部(10)が、空気圧式駆動部として実現されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
空気圧式駆動部の空気圧シリンダーが、ダイアフラム式シリンダーとして実現されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ダイアフラム式シリンダーのダイアフラムが、食品用として法的に認可された材料からなることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
プレート駆動部(10)に駆動制御部が割り当てられ、この駆動制御部が、プレート(7)のサイクル運動の振動数を設定するための振動数発生器を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
プレート(10)のストロークを調整可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−298492(P2006−298492A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117293(P2006−117293)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(502023516)ウールマン パック−ジステメ ゲーエムベーハー ウント コンパニ カーゲー (19)
【氏名又は名称原語表記】Uhlmann Pac−Systeme GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Uhlmannstrasse 14−18, 88471 Laupheim, Deutschland
【Fターム(参考)】