説明

ほぞロッド及びほぞジョイント

【課題】ドリフトピンの打込みまで要する手間や労力を大きく軽減できるほぞロッド及びほぞジョイントを提供する
【解決手段】ほぞロッド(2)は、ロッド本体(4)と、このロッド本体(4)の一端部に形成され、ドリフトピンと係合可能な螺旋溝(16)と、ロッド本体(4)の他端に設けられ、ほぞロッド(2)の軸線回りの回転を可能にする六角ヘッド(8)とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造の建築物や家具等の製造に使用され、隣接する部材の接合に使用されるほぞロッド及びほぞジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
木造の建築物において、隣接する部材、例えば隣接する主柱と子柱との接合に使用可能なほぞパイプが知られており、このぼぞパイプはその外周面に複数のピン挿入孔を有し、これらピン挿入孔はほぞパイプをその直径方向に貫通している(特許文献1)。
上述のほぞパイプはその両端部が主柱及び子柱の接合面に形成した水平なほぞ穴にそれぞれ挿入されて主柱と小柱との双方に亘って延び、そして、主柱及び子柱に形成したピン孔を通じて各ピン挿入孔内への打込みピンの嵌入、即ち、それらの打込みがなされることで、ほぞパイプ及び打込みピンは主柱及び子柱を相互に接合することができる。
【特許文献1】特開2003-213798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許公報のほぞパイプの場合、柱側のピン孔とほぞパイプのピン挿入孔とが互いに合致していなければ、打込みピンの打込みができないので、打込みピンの打込みに先立ち、ピン孔とピン挿入孔とを互いに合致させておく必要があり、打込みピンの打込みまでに多大な手間と労力を要している。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは打込みピンの打込みまで要する手間や労力を大きく軽減できるほぞロッド及びほぞジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明のほぞロッドは、ロッド本体と、このロッド本体の外周面に少なくとも1個形成され、外周面の全周に亘って延び且つ打込みピンとの係合が可能な周溝とを備える(請求項1)。
上述のほぞロッドによれば、周溝がロッド本体の全周に亘って延びているから、打込みピンの打込みに先立ち、ロッド本体の周方向に周溝の位置決めをなす必要はない。
【0005】
具体的には、周溝は環状溝からなり(請求項2)、この場合、環状溝の断面形状は円弧状又は矩形形状の何れであってよい。更に、ロッド本体の端部は雄ねじ部として形成されていてもよく(請求項3)、この場合、ほぞロッドはその雄ねじ部を突出させた状態で、第1部材のほぞ穴に挿入され、この第1部材とは別の第2部材がほぞロッドの雄ねじ部を介して第1部材に接合、つまり、取付けられる。
【0006】
一方、周溝は螺旋溝であってもよく、この場合、ロッド本体はその軸線回りの回転操作を可能にする操作部を更に含んでいる(請求項4)。螺旋溝は前述した環状溝と同様な作用を発揮し、また、ロッド本体が部材のほぞ穴内に挿入され且つ螺旋溝に打込みピンが係合された状態にあるとき、ロッド本体が軸線回りに回転されると、螺旋溝及び打込みピンは互いに協働して、部材をロッド本体の軸線方向に引き付ける力を発生する。
【0007】
更に、螺旋溝は、前記ロッド本体の端部をスクリューに形成するものであってよく(請求項5)、この場合、ロッド本体はほぞ穴にねじ込みながら挿入可能となる。
更にまた、ロッド本体はその両端部のそれぞれに螺旋の向きを互いに異ならした螺旋溝を有することができる(請求項6)。この場合、ロッド本体における両端部は互いに接合すべき第1及び第2部材のほぞ穴にそれぞれ挿入され且つ両端部の螺旋溝に打込みピンが係合された状態にあるとき、ロッド本体が軸線回りに回転されると、螺旋溝及び打込みピンは互いに協働して、第1及び第2部材をロッド本体の軸線方向に互いに引き付ける力を発生する。
【0008】
周溝は前述した螺旋溝及び環状溝の双方を含むものであってもよく(請求項7)、そして、ロッド本体はその軸線方向中央から継手部を介して互いに分離可能な分割型であってよい(請求項8)。
一方、ほぞロッドは、ロッド本体の一端部に形成された周溝と、ロッド本体の他端部を一端部に向けて先細とした逆円錐端とを有するものであってよい(請求項9)。
【0009】
この場合、請求項9のほぞロッドは、その逆円錐端を受入れ可能な中空の打込みピンと組み合われて、ほぞジョイントを構成し、打込みピンはその軸線方向に延び且つ逆円錐端の首を案内する割溝を有し、この割溝は打込みピンの一端から他端に亘って溝幅が徐々に縮小されている(請求項10)。
請求項10のほぞジョイントの場合、打込みピンはその割溝に逆テーパ端部の首を位置付けた状態で打込まれ、この打込みに従い、割溝の溝幅が逆テーパ端部の首により拡開されることで、打込みピンの内径が拡径し、打込みピンはそのピン孔の内面に圧着される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜9ほぞロッド及び請求項10のほぞジョイントは何れも、打込みピンがロッド本体の周溝と係合されることから、打込みピンの打込みに先立ち、ロッド本体の周方向に関して、打込みピンのためのピン孔とロッド本体の周溝との位置合わせが不要となる。それ故、打込みピンの打込みまでに要する手間が大きく軽減されることから、ほぞロッド及びほぞジョイントを使用した接合作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は第1実施態様のほぞロッド2を示す。
ほぞロッド2は、金属の丸棒からなるロッド本体4と、このロッド本体2の両端部にそれぞれ形成された周溝、即ち、環状溝6とを有する。これら環状溝6は断面円弧状をなし、打込みピン、いわゆる、ドリフトピンとの係合に利用される。
図2は上述のほぞロッド2の使用形態を示す。
【0012】
図2の場合、ほぞロッド2及びドリフトピンは柱Aと横木Bとの接合に使用されており、これら柱A及び横木Bはそれぞれ木製である。柱A及び横木Bにはほぞロッド2を受入れるためのほぞ穴がそれぞれ水平に形成され、これらほぞ穴の開口端は柱A及び横木Bの接合面にて互いに合致可能である。
更に、柱A及び横木Bには複数のピン孔が所定位置にそれぞれ形成されている。これらピン孔はほぞ穴を上下から挟み込むように対をなして配置され、ほぞ穴を横断する水平方向にそれぞれ延びている。
【0013】
図2から明らかなように、柱A及び横木Bはそれらのほぞ穴内に、ほぞロッド2の両端側の部位を挿入させた状態で、それらの接合面にて接触された状態にある。この状態にて、上述のピン孔内に金属の丸棒からなるドリフトピンがそれぞれ打込まれている。
より詳しくは、図2から明らかなように、ドリフトピンにはほぞロッド2の環状溝6を上下から挟み込むようにして環状溝6と係合、つまり、環状溝6に填り込んだ二対のドリフトピンCと、ほぞロッド2のロッド本体4を上下から挟み込む二対のドリフトピンDとを含む。
【0014】
上述したほぞロッド2は環状溝6に係合するドリフトピンCと協働して柱A及び横木Bを互いに接合し、ドリフトピンDはほぞロッド2を介して横木Bを支持する。
図2〜図11は第1実施態様の種々の変形例を示す。
図3のほぞロッド2はその一端部のみに環状溝6を有する。ほぞロッド2の他端には六角ヘッド8が一体に形成されており、この六角ヘッド8はロッド本体4よりも大径且つ六角形状をなしている。
【0015】
図4のほぞロッド2もまた、その一端部のみに環状溝10を有し、この環状溝10は断面矩形状をなしている。そして、図4のほぞロッド2はその他端部が雄ねじ部12として形成されている。
図5は、図4のほぞロッド2の使用形態を示す。
ほぞロッド2は柱Aのほぞ穴内にその雄ねじ部12を突出させた状態で挿入され、そして、柱AにドリフトピンEを打込み、環状溝10と係合させることで、柱Aからのほぞロッド2の抜け止めがされている。ここで、環状溝10の断面は矩形形状をなしていることから、ドリフトピンEもまた断面矩形形状なし、その先端は先細状に形成されている。
【0016】
柱Aから突出したほぞロッド2の雄ねじ部12は柱Aに接合すべき部材の取付け又は支持に使用される。
なお、図3のほぞロッド2もまた、図5に示す使用形態と同様な使用形態にて使用され、その六角ヘッド8は柱Aとの間にて、柱Aに接合すべき部材を挟み込むために利用される。
【0017】
図6のほぞロッド2は、ロッド本体4の軸線方向中央に環状溝6を有し、そして、ロッド本体4の両端部が雄ねじ部12としてそれぞれ形成されている。この場合、図6のほぞロッド2はその両端部の雄ねじ部12を柱Aの両側面からそれぞれ突出させた状態で、柱Aのほぞ穴内に挿入される。
図7のほぞロッド2は、ロッド本体4に環状溝6及び雄ねじ部12を有する一方、雄ねじ部12とは反対側の端部がロッド本体4をその軸線回りに回転可能とする六角テール端14として形成されている。この六角テール端14の外径はロッド本体4の外径よりも小径である。
【0018】
図8は、図7のほぞロッド2の使用形態を示す。
図8から明らかなように、図7のほぞロッド2はその雄ねじ部12を柱Aから突出させるとともに、その六角テール端14を柱Aのほぞ穴内に没入させた状態で、ほぞ穴内に挿入されている。一方、柱Aには一対ずつのドリフトピンC,Dが打込まれており、これらドリフトピンC,Dは前述の場合(図2参照)と同様な機能を発揮する。雄ねじ部12にはアングル部材からなる取付けブラケットFが螺合して取付けられ、取付けブラケットFは柱Aに接触した状態にある。
【0019】
取付けブラケットFに対する雄ねじ部12のねじ込みは、ほぞロッド2の六角テール端14を回転させることでなされる。また、六角テール端14は柱Aから突出しないので、六角テール端14が柱Aに対する他の部材の取付けに障害となるとはない。
図9のほぞロッド2は、図7の六角テール端14に代え、ロッド本体4の端部に六角穴15を有する点のみで、図7のほぞロッドとは異なる。
【0020】
図10のほぞロッド2は、ロッド本体4の一端部に互い隣接した形成された2つの環状溝6と、ロッド本体4の他端部に形成された雄ねじ部12とを有し、図11は図10のほぞロッド2の使用形態を示す。
図11から明らかなように、柱Aにはほぞ穴の開口端を拡径させた座ぐり穴Gが形成され、図10のほぞロッド2はその雄ねじ部12を座ぐり穴G内に位置付けた状態で、柱A及び横木Bのほぞ穴内に挿入されている。雄ねじ部12にはワッシャHを介してナットIが螺合され、これらワッシャH及びナットIは、一方の環状溝6と係合する一対のドリフトピンCと協働して、ほぞロッド2の軸線方向の変位を拘束し、柱A及び横木Bを互いに接合する。
【0021】
更に、他方の環状溝6にはドリフトピンJが係合されており、このドリフトピンJはドリフトピンCと直交している。このようなドリフトピンJは柱A及び横木Bの接合をより強固にする。
図12は第2実施態様のほぞロッド2を示す。
図12のほぞロッド2は図3のほぞロッド2と対比した場合、環状溝6が螺旋溝16に置換されている点のみで異なり、その使用形態は図13に示されている。
【0022】
図13から明らかなように、図12のほぞロッド2はその六角ヘッド8を横木Bの端面から突出させた状態で、横木Bのぼぞ穴内に挿入されている。この場合にも、一対のドリフトピンCは螺旋溝16を上下に挟み込むようにして螺旋溝16に係合されているが、これらドリフトピンCは螺旋溝16の溝ピッチに従い、ほぞロッド2の軸線方向に互いにずれて位置付けられている。また、図13には、螺旋溝16に填り込んで係合するドリフトピンJや、ロッド本体4の外周面に当接して係合するドリフトピンDもまた併せて示されている。
【0023】
図12のほぞロッド2の六角ヘッド8は横木Bの端面との間に断面コ字形の取付けブラケットKを挟み込んでいる。この取付けブラケットKは横木Bに接合され、横木Bに他の部材を取付けるのに使用される。
図12のほぞロッド2の場合、図13に示す使用形態にて、ほぞロッド2がその螺旋溝16の螺進方向に回転されると、螺旋溝16はドリフトピンC,Jをこれらのピン孔の内面に押し付けることから、ドリフトピンC,Jと螺旋溝16との係合、即ち、取付けブラケットKと横木Bとの接合を強固にすることができる。
【0024】
なお、ほぞロッド2が逆向きに回転されば、ほぞロッド2はドリフトピンC,Jをピン孔の内面に対して逆向きに押し付けることになるから、この場合、取付けブラケットKに対して横木Bを引き付け可能となる。
図14〜図27は第2実施態様の変形例を示す。
図14のほぞロッド2は、図12のほぞロッド2と対比したとき、螺旋溝16がほぞロッド2の一端部をスクリュー18に形成している点のみで相違し、スクリュー18は、ロッド本体4の一端から所定の長さに亘って延びている。
【0025】
図15は図14のほぞロッド2の使用形態を示す。この使用形態は図13に示したほぞロッド2の使用形態と同様なものであるが、図14のほぞロッド2の場合、ほぞロッド2は横木BにドリフトピンC,D,Jを打込んだ後、横木Bのほぞ穴内に挿入することができる。
図16のほぞロッド2は、図12のほぞロッド2と対比したき、螺旋溝16の形態のみが異なる。具体的には、図16のほぞロッド2の螺旋溝20は断面円孔形状ではなく、断面矩形形状をなしている。
【0026】
図17は図16のほぞロッド2の使用形態を示す。この場合、ほぞロッド2の螺旋溝20には前述したようなドリフトピンEが係合され、このドリフトピンEは図18に拡大して示されている。
図19のほぞロッド2は、ロッド本体4の両端部に螺旋溝16をそれぞれ有し、これら螺旋溝16の螺旋の向きは互いに逆向きとなっている。具体的には、図19でみて左の螺旋溝16における螺旋の向きが左巻であるのに対し、右側の螺旋溝16の螺旋の向きは右巻となっている。
【0027】
更に、図19のほぞロッド2の場合、そのロッド本体4の外周面には六角フランジ22が一体に形成され、この六角フランジ22はロッド本体4の外径よりも大きな外径を有する。
図20は、図19のほぞロッド2の使用形態を示す。
図19のほぞロッド2は、2つの横木B1,B2を互いに接合するために使用される。より詳しくは、横木B1,B2の接合面には互いに合致可能な溝がそれぞれ形成され、これら溝は横木B1,B2がそれらの接合面同士を合わせて繋げられたとき、断面矩形のアクセス孔Lを形成する。そして、ほぞロッド2はその六角フランジ22がアクセス孔L内に位置付けるようにして、横木B1,B2のほぞ穴内に挿入され、そして、ドリフトピンC,D,Jの打込みを介して横木B1,B2内に保持される。
【0028】
この場合、アクセス孔Lから六角フランジ22を介してほぞロッド2が螺旋溝16の螺進方向に回転されると、この回転はドリフトピンC,Jを介して横木B1,B2を互いに近接する方向に引き付ける。それ故、これら横木B1,B2はその接合面に隙間を生じることなく、強固に接合される。
図21のほぞロッド2は、図19のほぞロッド2と対比したとき、そのロッド本体4の長さは図19のほぞロッド2のロッド本体4の長さよりも長く、そして、六角フランジ22がロッド本体4の軸方向中央ではなく一方の螺旋溝16に近接して配置されている点のみで異なる。
【0029】
図22は、図21のほぞロッド2の使用形態を示す。ほぞロッド2は横木B1,B2間に柱Aを挟み込み、これらを一緒に接合するために使用されている。この場合、ほぞロッド2の六角フランジ22は横木B2の接合面に形成した溝内に位置付けられ、六角フランジ22を介してほぞロッド2を回転させることで、柱Aに対する横木B1,B2の引き付けが可能であり、柱Aと横木Bとの間に隙間を生じさせることなく、柱Aに横木B1,B2をそれぞれ接合可能となる。
【0030】
なお、柱A内に打ち込まれているドリフトピンDの1つ、具体的には図22中、添え字xを付加して示すドリフトピンDは図21のほぞロッド2に置き換え可能であり、この場合のほぞロッド2は、横木B1,B2とは別に2つの横木(図示しない)を横木B1,B2と交差するようにして柱Aに接合するために使用される。
図23のほぞロッド2は分割構造をなし、ロッド半体2a,2bからなる。ロッド半体2a,2bはその一端部に螺旋溝16をそれぞれ有し、そして、ロッド半体2a,2bの他端部はロッド半体2a,2bを互いに分離可能に繋ぐ継手部24として形成されている。詳しくは、ロッド半体2a,2bの継手部24は互いに噛み合い可能な形状、つまり、そのロッド半体の他端から所定の間隔を存して形成された溝26と、この溝26から他端に至り、他端を先細状とする傾斜面28とを有し、溝26の底面26aは傾斜面28と平行となるように同一の向きに傾斜している。
【0031】
上述の継手部24によれば、ロッド半体2a側の溝26の底26a及び傾斜面28にロッド半体2b側の傾斜面28及び溝26の底26aをそれぞれ重ね合わせるべく、ロッド半体2a,2bの他端部を互いに噛み合わせることで、これらロッド半体2a,2bを連続した1本のほぞロッド2にすることができる。
図24は図23のほぞロッド2の使用形態を示し、この場合、ほぞロッド2は前述した図21のほぞロッド2の場合と同様に、柱Aに2本の横木B1,B2を接合するために使用可能である。
【0032】
図25は、第3実施態様のほぞロッド2を示す。
第3実施態様のほぞロッド2は、ロッド本体4の一端部に螺旋溝16を有する一方、ロッド本体4の他端部に環状溝6及び六角テール端14をそれぞれ有する。
図26は、図25のほぞロッド2の使用形態を示し、ほぞロッド2は柱Aに横木Bを接合するために使用されている。
【0033】
図27は第3実施態様の変形例を示す。
図27のほぞロッド2は、六角テール端14に代えて六角穴15を有する点のみで図25のほぞロッドとは異なる。
図28〜図30は一実施態様のほぞジョイントを示し、このほぞジョイントは、前述のほぞロッド2と同様なほぞロッド30と、ドリフトピン32とからなる。
【0034】
図28はほぞロッド30を示し、このほぞロッド30はそのロッド本体4の一端部に形成された環状溝6と、ロッド本体4の他端の逆円錐端34とを有し、逆円錐端34はロッド本体4の一端部に向けて先細状をなしている。
一方、図29から明らかなようにドリフトピン32は中空のパイプからなり、その一端から逆円錐端34を受入れ可能な内径を有する。ドリフトピン32には割溝36が形成されており、この割溝36はドリフトピン32の一端から他端までドリフトピン32の軸線方向に延び、その溝幅はドリフトピン32の一端から他端に向けて徐々に縮小している。更に、ドリフトピン32の一端はその外周の一部が割溝36を含んで切り欠かれ、これにより、ドリフトピン32の一端開口は逆円錐端34の受入れを容易にするために、更に拡開されている。
【0035】
図30は、上述したほぞジョイントの使用形態を示す。
ほぞロッド30は、柱Aと横木Bとを接合するために使用され、ほぞロッド30の環状溝16には横木B内に打込まれたドリフトピンCが係合しており、一方、ほぞロッド30の逆円錐端34には、柱Aに打込まれたドリフトピン32が係合されている。
より詳しくは、ドリフトピン32がその一端開口を先頭として打込まれたとき、ドリフトピン32はその一端開口から逆円錐端34を受入れ、この際、逆円錐端34の首がドリフトピン32の割溝36内に導かれる。この後、ドリフトピン34が更に深く打込まれていくに従い、逆円錐端34の首は割溝36に案内され、割溝36の溝幅を拡開させることから、ドリフトピン32と逆円錐端34とは強固に係合し、また、割溝36の拡開はドリフトピン32をその径方向外側に拡張させることから、ドリフトピン32はそのピン孔の内周面に強く押圧されることで、ドリフトピン32と柱Aもまた強固に係合する。
【0036】
本発明は上述の実施態様及び変形例にも制約されるものではない。
例えば、本発明のほぞロッド及びほぞジョイントは柱と横木との接合や横木と取付けブラケットとの接合のみならず、建築物、家具又は遊技設備等の木造の構築物に含まれる種々の構成要素間の接合に広く使用可能であるのは勿論のこと、構成要素の材料もまた木材に限られるものではない。即ち、本発明のほぞロッド及びほぞジョイントは、ゴム、プラスチック又は発泡コンクリート等の種々の材料からなる部材を対象とした接合にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施態様のほぞロッドを示した図である。
【図2】図1のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを介して接合された柱及び横木の透視正面、(b)はそれらの透視斜視図である。
【図3】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図4】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図5】図4のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱の透視平面図、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図6】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図7】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図8】図7のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱の透視側面、(b)はその透視斜視図である。
【図9】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図10】第1実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図11】図10のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱及び横木の透視側面、(b)はその透視斜視図である。
【図12】第2実施態様のほぞロッドを示した図である。
【図13】図12のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図14】第2実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図15】図13のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図16】第2実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図17】図16のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図18】図17のドリフトピンを示し、(a)は側面図、(b)はその端面図である。
【図19】第2実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図20】図19のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図21】第2実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図22】図21のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱及び横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図23】第2実施態様の変形例のほぞロッドを示した図であり、(a)はほぞロッドのロッド半体をそれぞれ示し、(b)はロッド半体の端面図である。
【図24】図23のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱及び横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図25】第3実施態様のほぞロッドを示した図である。
【図26】図25のほぞロッドの使用形態を示し、(a)は、ほぞロッドを備えた柱及び横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図である。
【図27】第3実施態様の変形例のほぞロッドを示した図である。
【図28】一実施態様のほぞジョイントのほぞロッドを示した図である。
【図29】ほぞジョイントのドラフトピンを示し、(a),(b)は側面図、(c)はその端面図である。
【図30】ほぞジョイントの使用形態を示し、(a)は、ほぞジョイントを備えた柱及び横木の透視平面面、(b)はその透視側面図、(c)はその透視斜視図、(d)は、(b)中の一部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0038】
2,30 ほぞロッド
2a,2b ロッド半体
4 ロッド本体
6,10 環状溝(周溝)
8 六角ヘッド(操作部)
12 雄ねじ部
14 六角テール端(操作部)
15 六角穴(操作部)
16,20 螺旋溝(周溝)
18 スクリュー(周溝)
22 六角フランジ(操作部)
24 継手部
32 ドリフトピン
34 逆円錐端
36 割溝
A 柱
B 横木
C,D,E,J ドリフトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド本体と、
前記ロッド本体の外周面に少なくとも1個形成され、前記外周面の全周に亘って延び且つ打込みピンとの係合が可能な周溝と
を具備したことを特徴とするほぞロッド。
【請求項2】
前記周溝は環状溝であることを特徴とする請求項1に記載のほぞロッド。
【請求項3】
前記ロッド本体はその端部に形成された雄ねじ部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のほぞロッド。
【請求項4】
前記周溝は螺旋溝であり、
前記ロッド本体にその軸線回りの回転操作を可能にする操作部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のほぞロッド。
【請求項5】
前記螺旋溝は、前記ロッド本体の端部をスクリューに形成していることを特徴とする請求項4に記載のほぞロッド。
【請求項6】
前記螺旋溝は、前記ロッド本体の両端部にそれぞれ設けられ、これら螺旋溝の螺旋の向きは互いに異なることを特徴とする請求項4に記載のほぞロッド。
【請求項7】
前記周溝は、前記ロッド本体の一体部に設けられた螺旋溝と、前記ロッド本体の他端部に設けられた環状溝とを含み、
前記ロッド本体にその軸線回りの回転操作を可能にする操作部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のほぞロッド。
【請求項8】
前記ロッド本体はその軸線方向中央から継手部を介して互いに分離可能に接続される一対のロッド半体からなり、
前記周溝は、前記ロッド本体の両端部にそれぞれ設けられた螺旋溝である
ことを特徴とする請求項1に記載のほぞロッド。
【請求項9】
前記周溝が前記ロッド本体の一端部に形成されているとともに、前記ロッド本体の他端部を前記一端部に向けて先細とした逆円錐端とを有することを特徴とする請求項1に記載のほぞロッド。
【請求項10】
請求項9のほぞロッドと、
前記ほぞロッドの前記逆円錐端を受入れ可能な中空の打込みピン
とを備え、
前記打込みピンはその軸線方向に延び且つ前記逆円錐端の首を案内する割溝を有し、この割溝は前記打込みピンの一端から他端に亘って溝幅が徐々に縮小されていることを特徴とするほぞジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−68310(P2009−68310A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240940(P2007−240940)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(506144282)
【Fターム(参考)】