説明

ぼかしフィルタとして使用される複屈折面を有する物品

イメージセンサとともに使用するときに、入射光を屈折させる複屈折面を有する物品を使用する光学ローパスフィルタまたはぼかしフィルタ、およびそのフィルタの製造方法。フィルムなどであるこの物品の複屈折面は、構造化されているか、傾斜しているかであり、それによって、レンズとイメージセンサとの間の光路内にぼかしフィルタを配置すると、複屈折面によって光路内の光信号が屈折され、複数の光信号がそれぞれ、イメージセンサ中のピクセル内の異なるサブピクセル上に入射し、結果として得られるデジタル画像中の望ましくない色モアレ効果などのアーチファクトが防止または軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサとともにぼかしフィルタとして使用するための、光路に対して傾斜した複屈折面を有する物品、およびその製造に関する。この物品は、光信号などの電磁信号を屈折させるために提供された、少なくとも1つの電磁的に異方性の複屈折性幾何学的特徴を含む表面を有する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像における写真の色歪みおよびカラーバンディングは、画像パターンとカラーイメージセンサのパターンとの間の相互作用によって生じる。これらの望ましくない作用は、個別のピクセルセンサの大きさの程度での反復的な画像の特徴を有することによって、および色の急激な変化を表す鋭いエッジによって生じる。現実のパターン間隔はデジタルセンサのパターンとあまり一致しないため、重視される色は、その写真を空間的に介することで変動し、これは、2つのパターンの互いの位相のずれがどの程度であるかに対応している。通常、これによって色の循環が起こり、その結果、表示されるデジタル画像中に虹状の色歪みおよびその他のアーチファクトが生じ、多くの場合これはモアレ効果と呼ばれる。
【0003】
色モアレ効果を解決するために数種類の方法が存在し、それらは、計算による後処理、センサアレイの修正、および特殊なフィルタである。これらの方法の中で、デジタル計算後処理方法としては、アドビフォトショップ(ADOBE PHOTOSHOP)プログラムなどのソフトウェアの使用が挙げられ、ユーザはデジタルフィルタおよび選択によって色モアレを手で解消する必要があり、これは多くの場合時間がかかり面倒な方法であり、高度な専門的知識を必要とする場合があるので、画像の劣化が生じる。カメラ内で後処理を実施するためには、強力なマイクロプロセッサと大量のワーキングメモリを必要とし、これは低コストで迅速な写真撮影に反することである。入力される画像の性質に関して仮定を行う必要もあり、それが当てはまらない場合もある。
【0004】
モアレ効果を解決するためのセンサアレイの修正も実行可能であるが費用のかかる方法であり、この効果の解消は保証されない。このような方法の1つでは、正方形の配列ではなく六角形のセンサ配列をともない、これによって色モアレの影響が少なくなると思われる。しかし、モアレ効果が解消される代わりに、六角形のセンサ配列では、感度のよいパターンが変化し、そのため他の望ましくない作用が生じる。さらに別の方法では、カラーフィルタに依拠することなく各ピクセルにおいて赤、緑、および青を検出するCMOS系センサが使用される。この方法では、入力光信号の方向で3レベルセンサ(three−level sensor)が使用され、それによって、赤、緑、および青の波長にある光の異なる侵入深さが活用される。しかし、この方法では、製造費が高くなり、信頼性の問題が困難となる場合があり、非常に厳格な規格内でそれぞれが動作するトランジスタの3層スタックを有する集積回路を必要とする。
【0005】
他の方法では、ぼかしフィルタと呼ばれることも多い光学ローパスフィルタなどの特殊なフィルタを使用して、問題を光学的に解決する。従来の光学的解決法の1つでは、液晶ポリマー、または、石英軸の非対称性の作用を受けるようにそれぞれが研磨されることで複屈折ウォークオフ板積層体(birefringent walk−off plate stack)を形成する水晶板などの無機の板の積層体を使用する。通常、このウォークオフ板は、一方の偏光状態を他方の偏光状態から横方向に移動させる。これらの板は、所望のぼかしパターンが得られるように異なる方向で積層され、レンズとイメージセンサとの間の光路内に配置される。これらの板積層体は、通常は厚さが2ミリメートル以上であり、通常、デジタルカメラを有する携帯電話または携帯情報端末の中に組み込むには暑すぎる。また、水晶板は、ある種の実施の場合は高価となり、破壊されやすい傾向を有することがあるので、取扱が困難となり、特に携帯機器にはあまり適していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明と整合性のあるぼかしフィルタの1つは、(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および本体の厚さ方向にあり第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体と;(b)複屈折構造化表面である第1の表面の一部とを含む。レンズとイメージセンサとの間の光路内にぼかしフィルタを配置すると、複屈折構造化表面によって光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離されるように、第1の表面の上記一部が構造化される。
【0007】
本発明と整合性のあるぼかしフィルタの製造方法の1つは、(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および本体の厚さ方向にあり第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体を提供するステップと;(b)第1の表面の一部の上に複屈折構造化表面を形成するステップとを含む。この方法によって、レンズとイメージセンサとの間の光路内にぼかしフィルタを配置すると、複屈折構造化表面によって光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離されるような複屈折構造化表面が得られる。
【0008】
本発明と整合性のあるぼかしフィルタを有する光学パッケージの1つは、開口部を有する第1の末端と、開口部を有する第2の末端と、光路を画定する内部部分とを有するハウジングを含む。このパッケージは、第1の末端内にレンズも含み、第2の末端内の開口部がイメージセンサと隣接するように、このパッケージがイメージセンサの上に配置されると、このレンズによって入射光の焦点がイメージセンサ上に合わされる。ハウジングの第1および第2の末端の間の内部部分の光路内にぼかしフィルタが配置される。光学パッケージ内のぼかしフィルタは、(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および本体の厚さ方向にあり第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体と;(b)複屈折構造化表面である第1の表面の一部とを含む。レンズによって入射光の焦点をイメージセンサ上に合わせるために、パッケージをイメージセンサ上に配置した場合に、複屈折構造化表面によって光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離されるように、第1の表面の一部が構造化される。
【0009】
本発明と整合性のある他のぼかしフィルタは、非構造化表面を有し、レンズとイメージセンサとの間の光路内に光路に対して0でない角度で配置される複屈折性本体を使用することができる。
【0010】
ぼかしフィルタ中に使用するために複製される1つ以上の幾何学的特徴は、たとえば、プリズム状、レンズ状、または正弦波状のいずれかの幾何学的特徴であってよい。1つ以上の幾何学的特徴は、横方向および縦方向の両方で連続であっても不連続であってもよい。幾何学的特徴は、マクロ特徴またはミクロ特徴であってもよい。以下により詳細に議論するように、幾何学的特徴は、様々な断面形状を有することができる。幾何学的特徴は、複製された構造化表面で繰り返される場合もあるし、繰り返されない場合もある。複製された表面は、同じ断面形状を有する複数の幾何学的特徴を含むことができる。あるいは、この表面は、異なる断面形状を有する複数の幾何学的特徴を有することもできる。
【0011】
本明細書において使用される場合、以下の用語および語句は以下の意味を有する。
【0012】
「複屈折面」は、本体中の複屈折材料に近接する、本体の表面部分を意味する。
【0013】
「断面形状」およびその明らかな変形は、第2の面内軸および第3の軸によって画定される幾何学的特徴の周囲の形状を意味する。幾何学的特徴の断面形状は、その物理的寸法とは無関係である。
【0014】
「分散」は、波長による屈折率のばらつきを意味する。分散は、異方性材料中の軸に沿ったばらつきが軸によって異なる場合がある。
【0015】
「延伸比」およびその明らかな変形は、延伸後に延伸方向に沿って分離した二点間の距離の、延伸前の対応する二点間の距離に対する比を意味する。
【0016】
「幾何学的特徴」およびその明らかな変形は、構造化表面上に存在する1つ以上のあらかじめ決定された形状を意味する。
【0017】
「マクロ」は、接頭語として使用され、それによって修飾された用語が、1mmを超える高さを有する断面形状を有することを意味する。
【0018】
「金属面」およびその明らかな変形は、半金属も含むことができる金属または合金がコーティングされた、またはそれらから形成された表面を意味する。「金属」は、一般に延性、展性、光沢、ならびに熱および電気の伝導性を特徴とし、ヒドロキシル基と塩基を形成し、酸の水素原子と置換して塩を形成することができる、鉄、金、アルミニウムなどの元素を意味する。「半金属」は、金属の性質の一部を有する、および/または金属と合金を形成する(たとえば半導体)非金属元素を意味し、金属および/または半金属ドーパントを含有する非金属元素も含まれる。
【0019】
「ミクロ」は、接頭語として使用され、それによって修飾された用語が、1mm以下の高さを有する断面形状を有することを意味する。好ましくはこの断面形状は0.5mm以下の高さを有する。より好ましくはこの断面形状は0.05mm以下を有する。
【0020】
「配向した」は、屈折率の対応する異方性の組を有する異方性誘電テンソルを有することを意味する。
【0021】
「配向」は、配向している状態を意味する。
【0022】
「一軸延伸」およびその明らかな変形を含めたものは、物品の互いに反対側の縁端部をつかみ、一方向にのみその物品を物理的に引き伸ばす行為を意味する。一軸延伸は、一時的または比較的非常に小さな二軸延伸をフィルムの一部の誘発させうる剪断効果などによる、フィルムの均一な延伸にわずかな不完全性が含まれることも意図している。
【0023】
「一軸配向」は、2つの主屈折率が実質的に同じであることを意味する。
【0024】
「構造表面」は、少なくとも1つの幾何学的特徴を上に有する表面を意味する。
【0025】
「構造化表面」は、所望の1つの幾何学的特徴または複数の幾何学的特徴を表面に付与するあらゆる技術によって形成された表面を意味する。
【0026】
「波長」は、真空中で測定した実効波長を意味する。
【0027】
層状フィルムの場合、「一軸」または「正確な一軸」は、特に明記しない限り、そのフィルムの個別の層に対して適用されることを意図している。
【0028】
添付の図面に関連する本発明の種々の実施形態の以下の詳細な説明によって、本発明をより十分に理解できるであろう。
【0029】
本発明は、種々の変更および変形に適用できる。単なる例として図面中に本発明の詳細を示している。説明される特定の実施形態に本発明が限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の意図および範囲内にあるあらゆる変更、均等物、および変形を含むことを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
代表的な方法の1つによって作製される物品およびフィルムは、一般に、本体部分と、表面構造部分とを含む。図1は、種々の実施形態により作製したフィルムの端面図を表している。図2A〜2Eは、特定の1つの方法によって作製可能な一部の別の実施形態のフィルムの端面図を示している。図3A〜3Wは、構造化表面を有する物品の幾何学的特徴の一部の実施形態を示している。
【0031】
図1を参照すると、フィルム9は、厚さ(Z)を有する本体またはランド部分11と、高さ(P)を有する表面部分13とを含む。表面部分13は、一連の平行な幾何学的特徴15を含み、この図では直角プリズムとして示されている。それぞれの幾何学的特徴15は、底部幅(BW)およびピーク間距離(PS)を有する。このフィルムは、P+Zの合計に等しい全体厚さTを有する。
【0032】
本体またはランド部分11は、フィルム9の底面17と、表面部分13の最低点との間の物品部分を含む。場合によっては、これは物品の幅(W)全体にわたって一定の寸法であってよい。別の場合では、ピーク高さが変動する幾何学的特徴が存在するために、この寸法が変動する場合がある。図2Eを参照されたい。
【0033】
フィルム9は、第1の面内軸18と、第2の面内軸20と、第3の軸22とを有する。図1において、第1の面内軸18は、幾何学的特徴15の長さに対して実質的に平行である。図1、第1の面内軸は、フィルム9の末端に対して垂直である。これら3つの軸は互いに直交している。
【0034】
種々の方法を使用して、一軸配向フィルムを作製することができる。一軸配向は、第1の面内軸(n1)に沿ったフィルムの屈折率、第2の面内軸(n2)に沿った屈折率、および第3の軸(n3)に沿った屈折率の差を求めることによって測定することができる。この方法によって作成した一軸配向フィルムは、n1≠n2およびn1≠n3を有することができる。さらに、n2およびn3は、n1との差に関しては互いに実質的に同じである。特定の1つの方法によって作成されたフィルムは、好ましくは、正確に一軸配向させることができる。
【0035】
ある方法を使用して、対象波長の相対複屈折が0.3以下であるフィルムを得ることもできる。別の実施形態においては、相対複屈折が0.2未満であり、さらに別の実施形態では0.1未満である。相対複屈折は、以下の表現により求められる絶対値である:
|n2−n3|/|n1−(n2+n3)/2|
【0036】
ある方法を使用して、少なくとも1つのプリズム状またはレンズ状幾何学的特徴を有するフィルムを作製することができる。幾何学的特徴は、通常、フィルムの第1の面内軸に対して平行である細長い構造であってよい。図1に示されるように、構造化表面は一連の直角プリズム15を含む。しかし、その他の幾何学的特徴およびそれらの組み合わせを使用することもできる。たとえば、図2A〜2Eおよび図3A〜3Wを参照されたい。図2Aは、幾何学的特徴が、それらの底部で互いに接触する必要はないことを示している。図2Bは、幾何学的特徴が丸みを帯びたピークおよび湾曲した小面を有することができることを示している。図2Cは、幾何学的特徴のピークが平坦であってもよいことを示している。図2Dは、フィルムの互いに反対側の表面のそれぞれが構造化表面を有することができることを示している。図2Eは、幾何学的特徴が変動するランド厚さ、ピーク高さ、および底部幅を有することができることを示している。
【0037】
図3A〜3Wは、構造化表面を提供するために使用することができる他の断面形状を示している。これらの図は、幾何学的特徴がくぼみ(図3A〜Iおよび3T参照)または突起(図3J〜3Sおよび3U〜W参照)を含むことができることをさらに示している。くぼみを含む特徴の場合、くぼみの間の隆起領域は、図2Cに示されるような突起型特徴であると見なすことができる。
【0038】
所望の結果を実現するためにあらゆる方法を組み合わせることができる種々の特徴の実施形態を得るために、様々な方法を使用することができる。たとえば水平面は、丸みを帯びたピークまたは平坦なピークを有する分離した特徴であってよい。さらに、これらの特徴のいずれかの上に湾曲面を使用することができる。
【0039】
図面から分かるように、本発明の方法を使用して、あらゆる所望の幾何学的形状の特徴を提供することができる。これらは、フィルムのz軸(厚さ)に対して対称の場合も非対称の場合もある。これらは、1つの特徴、所望のパターンの複数の同じ特徴、または所望のパターンに配列された2種類以上の特徴の組み合わせを含むことができる。さらに、特徴の高さおよび/または幅などの寸法は、構造化表面全体にわたって同じであってよい。あるいは、これらは特徴の間で変動してもよい。
【0040】
構造化物品を製造する方法の1つは、固体材料の切削またはその他の成形を伴うのでなく、プロセスを介して流体または粘弾性材料の流動機構を成形し、次にそれを固体として固定する、エンボス加工、キャスティング、押出成形、またはその他の非機械加工技術によって付与される所望の構造化表面を有することができる、ポリマー樹脂を提供することを含む。構造化表面は、所望の物品の形成と同時に提供することもできるし、物品を形成した後で樹脂の第1の表面に付与することもできる。図4に関して、この方法をさらに説明する。
【0041】
図4は、構造化表面を有するフィルムを製造する方法の1つを概略的に示している。この方法において、フィルムの所望の構造化表面のネガ型バージョンを含む工具24が提供され、これは、駆動ロール26Aおよび26Bによって送られてダイ28のオリフィス(図示せず)を通過する。ダイ28は、溶融連続流の排出点を含み、ここに、ペレット、粉末などの形態の乾燥ポリマー樹脂を収容するための供給ホッパー32を有する押出機30が含まれる。溶融樹脂はダイ28を出て工具24上に到達する。ダイ28と工具24との間にはギャップ33が形成されている。溶融樹脂は工具24と接触して、硬化して、ポリマーフィルム34を形成する。次に、このフィルム34の先端は、ストリッパーロール36において工具24から剥離される。続いて、この時点で希望するのであれば、フィルム34を延伸装置38に向かわせることができる。次にフィルム34は、ステーション40において連続ロールに巻き取ることができる。
【0042】
様々な技術を使用して、構造化表面をフィルムに付与することができる。このようなものには、バッチ技術および連続技術が含まれる。これらは、所望の構造化表面のネガである表面を有する工具を提供するステップと;所望の構造化表面のポジのバージョンをポリマーに形成するのに十分な時間および条件において、ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面を工具に接触させるステップと;構造化表面を有するポリマーを工具から取り外すステップとを含む。通常、工具のネガ型表面は金属面を含み、多くの場合剥離剤が適用されている。
【0043】
ダイ28および工具24は、互いに対して垂直の配列で描かれているが、水平またはその他の配列を使用することもできる。個別の配列とは無関係に、ダイ28は、ギャップ33において溶融樹脂を工具24に供給する。
【0044】
ダイ28は、工具24に向かって移動できるような方法で取り付けられる。これによって、ギャップ33を所望の間隔に調整することができる。ギャップ33の大きさは、溶融樹脂の組成と、その粘度と、工具を溶融樹脂で実質的に完全に満たすのに必要な圧力との関数となる。
【0045】
溶融樹脂の粘度は、真空、圧力、温度、超音波振動、または機械的手段を場合により使用して、工具24の空隙を好ましくは実質的に満たすような粘度である。樹脂が工具24の空隙を実質的に満たすと、その結果得られるフィルムの構造化表面が複製されたと言える。
【0046】
樹脂が熱可塑性樹脂である場合、通常、供給ホッパー32には固体として供給される。押出機30により十分加熱されることによって、固体の樹脂が溶融物に変化する。通常、工具は、加熱された駆動ロール26Aの上を通過することによって加熱される。駆動ロール26Aは、たとえば、中を循環する熱油、または誘導加熱によって加熱することができる。ロール26Aにおける工具24の温度は、通常、樹脂の軟化点より高いが、その分解温度よりは低い。
【0047】
部分重合した樹脂などの重合性樹脂の場合は、その樹脂は、ダイ28に供給するディスペンサー中に直接注いだり圧送したりすることができる。樹脂が反応性樹脂の場合、本発明の方法は、樹脂を硬化させる1つ以上の追加のステップを含むことができる。たとえば、樹脂は、化学線、たとえば紫外光、紫外放射線、電子ビーム放射線、可視光などの好適な放射エネルギー源に、樹脂を硬化させるのに十分な時間曝露し、それを工具24から取り外すことによって硬化させることができる。
【0048】
溶融したフィルムは、硬化させてさらに加工するために、種々の方法によって冷却することができる。このような方法としては、押し出された樹脂上への水の噴霧、工具の非構造化表面の冷却ロールとの接触、あるいはフィルムおよび/または工具への空気の吹き付けが挙げられる。
【0049】
以上の議論は、フィルムおよび構造化表面の同時形成に集中していた。別の有用な技術は、あらかじめ成形されたフィルムの第1の表面に工具を接触させるステップを含む。次に、フィルム表面が十分軟化して所望の構造化表面がフィルムに形成されるまで、圧力、熱、あるいは圧力および熱を、フィルム/工具の組み合わせに加える。好ましくは、工具の空隙を完全に満たすのに十分となるまで、フィルム表面を軟化させる。続いて、フィルムを冷却し、マスターから取り外す。
【0050】
前述したように、工具は、所望の構造化表面のネガ型バージョン(すなわち、ネガ型表面)を含む。したがって、これはあらかじめ定められたパターンの突起およびくぼみ(または空隙)を含む。第1または第2の面内軸に対してあらゆる配置で構造化表面上に幾何学的特徴が形成されるように、工具のネガ型表面を樹脂と接触させることができる。したがって、たとえば図1の幾何学的特徴は、物品の機械方向、すなわち長さ方向、または横方向すなわち幅方向のいずれにも配置することができる。
【0051】
複製ステップの一実施形態においては、工具の空隙の少なくとも50%が樹脂で充填される。別の実施形態においては、空隙の少なくとも75%が樹脂で充填される。さらに別の実施形態においては、空隙の少なくとも90%が樹脂で充填される。さらに別の実施形態においては、空隙の少なくとも95%が樹脂で充填される。別の実施形態においては、空隙の少なくとも98%が樹脂で充填される。
【0052】
空隙の少なくとも75%が樹脂で充填される場合に、多くの用途においてネガに対する十分な忠実性が実現される。しかし、空隙の少なくとも90%が樹脂で充填された場合に、ネガに対してよりよい忠実性が実現される。空隙の少なくとも98%が樹脂で充填された場合に、ネガに対する最良の忠実性が実現される。
【0053】
所望の構造化表面を形成するために使用される工具は、ネガ型表面の上にフルオロケミカルベンゾトリアゾールを含むコーティングを有することができる。フルオロケミカルが存在することが好ましく、あるポリマーではフルオロケミカルを使用する必要はないが、別のポリマーでは使用する必要がある。フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、好ましくは、実質的に連続な単層フィルムを工具上に形成する。語句「実質的に連続な単層フィルム」は、それらの分子構造で可能な限り密に個別の分子が互いに密集することを意味する。分子のトリアゾール基が工具金属/半金属表面の利用可能な領域に結合し、ペンダントフルオロカーボン末端が外部界面に向かって実質的に配列するので、このフィルムは自己組織化すると考えられる。
【0054】
単層フィルムの有効性、および単層フィルムが表面上に形成される程度は、一般に、化合物と、工具の特定の金属または半金属の表面との間の結合強度、ならびにフィルムがコーティングされた表面の使用される条件に依存する。たとえば、一部の金属または半金属の表面では、非常に結合の強い単層フィルムが必要となりうるが、別のそのような表面でははるかに低い結合力の単層フィルムが必要となる。有用な金属および半金属の表面としては、化合物と結合を形成し、好ましくは、単層または実質的に連続な単層のフィルムを形成するあらゆる表面が挙げられる。上記のような単層フィルムの形成に適した表面の例としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、銀、ゲルマニウム、およびそれらの合金を含む表面が挙げられる。
【0055】
単層または実質的に連続な単層のフィルムは、表面全体をコーティングするのに十分な量のフルオロケミカルベンゾトリアゾールを表面と接触させることによって形成することができる。この化合物は、適切な溶媒中に溶解させ、その組成物を表面に適用し、乾燥させることができる。好適な溶媒としては、酢酸エチル、2−プロパノール、アセテート、2プロパノール、アセトン、水、およびそれらの混合物が挙げられる。あるいは、フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、気相から表面上に堆積させることもできる。過剰の化合物は、溶媒による基材の洗浄によって、および/または処理した基材を使用することによって除去することができる。
【0056】
フルオロケミカルベンゾトリアゾールは、金属および半金属の表面に化学結合することが分かっているだけでなく、それらの表面に対して剥離および/または腐食抑制の性質なども得られる。これらの化合物は、金属または半金属の表面(マスター工具など)に結合することができる頭部基と、剥離すべき材料とは極性および/または官能性が適切に異なる末端部分とを有することを特徴とする。これらの化合物は、単層または実質的に単層である耐久性の自己組織化フィルムを形成する。フルオロケミカルベンゾトリアゾールとしては次式を有するものが挙げられ:
【化1】

上式中、RfはCn2n+l−(CH2m−であり、nは1〜22の整数であり、mは0、または1〜22の整数でありXは−CO2−、−SO3−、−CONH−、−O−、−S−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり;Yは−CH2−であり、zは0または1であり;R’はH、低級アルキル、またはRf−X−Yz−であり、但し、Xが−S−、または−O−である場合、mは0であり、zは0であり、nは≧7であり、Xが共有結合である場合、mまたはzは少なくとも1である。好ましくはn+mは8〜20の整数である。
【0057】
離型剤として使用するためのフルオロケミカルベンゾトリアゾール組成物の特に有用な種類の1つは、次式を有する1つ以上の化合物を含んでおり:
【化2】

上式中、RfはCn2n+l−(CH2m−であり、nは1〜22の整数であり、mは0、または1〜22の整数でありXは−CO2−、−SO3−、−S−、−O−、−CONH−、共有結合、−SO2NR−、または−NR−であり、RはHまたはC1〜C5アルキレンであり、qは0または1であり;YはC1〜C4アルキレンであり、zは0または1であり;R’はH、低級アルキル、またはRf−X−Yzである。このような材料は米国特許第6,376,065号明細書に記載されている。
【0058】
ある方法では、延伸ステップを含むことができる。たとえば、本発明の物品は、一軸(単軸を含む)または二軸のいずれかに配向させることができる。さらに、本発明の方法は、場合により、オーブンまたはその他の装置への供給など、延伸前にプレコンディショニングステップを含むことができる。プレコンディショニングステップは、予備加熱ゾーンと、ヒートソークゾーンとを含むことができる。本発明の方法は、ポストコンディショニングステップを含むこともできる。たとえば、フィルムを最初にヒートセットした後、冷却することができる。
【0059】
一般に、本発明の物品または本体中に使用されるポリマーは、結晶性、半結晶性、液晶、または非晶質のポリマーまたはコポリマーであってよい。ポリマー技術分野においては、通常、ポリマーは完全に結晶というわけではないと一般に認識されており、したがって、本発明の物品または本体の場合、結晶性または半結晶性ポリマーは、非晶質ではないポリマーを意味し、結晶、部分結晶、半結晶などと一般に呼ばれるあらゆる材料を含んでいるものと理解されたい。剛直棒状ポリマーと呼ばれる場合もある液晶ポリマーは、三次元結晶秩序とは異なるある形態の長距離の秩序を有すると、当技術分野において理解されている。
【0060】
本発明の物品または本体の場合、その製造方法、あるいは最終物品の安定性、耐久性、または可撓性のために特に有用となりうる、溶融加工または硬化のいずれかによってフィルム形態にすることができるあらゆるポリマーを使用することができる。このようなものとしては、以下の種類のホモポリマー、コポリマー、および硬化させてポリマーを得ることができるオリゴマーを挙げることができるが、これらの限定されるものではない:ポリエステル(たとえば、ポリアルキレンテレフタレート(たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンビベンゾエート、ポリアルキレンナフタレート(たとえば、ポリチレン(polthylene)ナフタレート(PEN)およびその異性体(たとえば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN))およびポリブチレンナフタレート(PBN)およびその異性体)、および液晶性ポリエステル);ポリアリーレート;ポリカーボネート(たとえば、ビスフェノールAのポリカーボネート);ポリアミド(たとえばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、およびポリアミド612、芳香族ポリアミド、およびポリフタルアミド);ポリエーテル−アミド;ポリアミド−イミド;ポリイミド(たとえば、熱可塑性ポリイミドおよびポリアクリルイミド);ポリエーテルイミド;ポリオレフィンまたはポリアルキレンポリマー(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン);サーリン(Surlyn)(登録商標)(デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Wilmington、Del.)より入手可能)などのアイオノマー;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマー;ポリメタクリレート(たとえば、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート);ポリアクリレート(たとえば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、およびポリアクリル酸ブチル);ポリアクリロニトリル;フルオロポリマー(たとえば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−トリフルオロエチレン、ポリ(エチレン−alt−クロロトリフルオロエチレン)、およびTHV(登録商標)(3Mカンパニー(3M Co.)));塩素化ポリマー(たとえば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル);ポリアリールエーテルケトン(たとえば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」));脂肪族ポリケトン(たとえば、エチレンおよび/またはプロピレンと二酸化炭素とのコポリマーおよびターポリマー);あらゆるタクティシティのポリスチレン(たとえば、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレンおよびシンジオタクチックポリスチレン)、ならびにあらゆるタクティシティの環置換または鎖置換ポリスチレン(たとえば、シンジオタクチックポリ−α−メチルスチレン、およびシンジオタクチックポリジクロロスチレン);これらのスチレンのいずれかのコポリマーおよびブレンド(たとえば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー);ビニルナフタレン;ポリエーテル(たとえば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシド、およびポリオキシメチレン);セルロース誘導体(たとえば、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、および硝酸セルロース);硫黄含有ポリマー(たとえば、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、およびポリエーテルスルホン);シリコーン樹脂;エポキシ樹脂;エラストマー(たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、ならびにポリウレタン。2種類以上のポリマーまたはコポリマーのブレンドまたはアロイを使用することもできる。
【0061】
半結晶質ポリマー、特にポリエステルを使用して表面を複製することはこれまで困難であった。一般に、前述のフルオロケミカルベンゾトリアゾールコーティングなどの処理を使用しなければ、複製プロセス中にこれらのポリマーは工具に強固に接着する。その結果、複製された表面を損傷することなく、未処理の工具からこれらを取り外すことは困難である。本発明の物品または本体において有用となる半結晶質熱可塑性ポリマーの例としては、半結晶質ポリエステルが挙げられる。このような材料としては、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含むポリマーが、多くの望ましい性質を有することが分かっている。
【0062】
ポリエステル中に使用すると好適なモノマーおよびコモノマーは、ジオールまたはジカルボン酸またはエステル型を挙げることができる。ジカルボン酸コモノマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、すべての異性体のナフタレンジカルボン酸(2,6−、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体などのビ安息香酸、trans−4,4’−スチルベンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸およびその異性体、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸およびその異性体、2−クロロテレフタル酸および2,5−ジクロロテレフタル酸などのハロゲン化芳香族ジカルボン酸、第3級ブチルイソフタル酸およびナトリウムスルホン化イソフタル酸などの他の置換芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体、ならびに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸およびその異性体などのシクロアルカンジカルボン酸、二環式または多環式ジカルボン酸(種々の異性体のノルボルナンおよびノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、ならびにビシクロ−オクタンジカルボン酸など)、アルカンジカルボン酸(セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、およびドデカンジカルボン酸など)、ならびに縮合環芳香族炭化水素(インデン、アントラセン、フェネアントレン(pheneanthrene)、ベンゾナフテン、フルオレンなど)のいずれかの異性体のジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルカン、またはシクロアルケンジカルボン酸を使用することもできる。あるいは、ジメチルテレフタレートなどの、これらのジカルボン酸モノマーのいずれかのエステルを、ジカルボン酸自体の代わりに使用したり、これらを併用したりすることができる。
【0063】
好適なジオールコモノマーとしては、線状または分岐のアルカンジオールまたはグリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコールなどのプロパンジオール、テトラメチレングリコールなどのブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、およびより高級なジオールなど)、エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、プロピオン酸3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルなどの鎖状エステルジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体ならびに1,4−シクロヘキサンジオールおよびその異性体などのシクロアルカングリコール、二環式または多環式ジオール(種々の異性体のトリシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、およびビシクロ−オクタンジメタノールなど)、芳香族グリコール(1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、1,4−ベンゼンジオールおよびその異性体、ビスフェノールAなどのビスフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、4,4’−ジヒドロキシメチルビフェニルおよびその異性体、ならびに1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよびその異性体など)、ならびにジメチルまたはジエチルジオールなどのこれらのジオールの低級アルキルエーテルまたはジエーテルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。その他の脂肪族、芳香族、シクロアルキル、およびシクロアルケニルのジオールを使用することもできる。
【0064】
ポリエステル分子に分岐構造を付与することができる三官能性または多官能性のコモノマーを使用することもできる。これらは、カルボン酸、エステル、ヒドロキシ、またはエーテルのいずれの種類のものであってもよい。例としては、トリメリト酸およびそのエステル、トリメチロールプロパン、ならびにペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびそれらの異性体などのヒドロキシカルボン酸、ならびに5−ヒドロキシイソフタル酸などの混合官能性の三官能性または多官能性のコモノマーなどの、混合官能性のモノマーも好適なモノマーである。
【0066】
好適なポリエステルコポリマーとしては、PENのコポリマー(たとえば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルと、(a)テレフタル酸またはそのエステル;(b)イソフタル酸またはそのエステル;(c)フタル酸またはそのエステル;(d)アルカングリコール;(e)シクロアルカングリコール(たとえば、シクロヘキサンジメタノールジオール);(f)アルカンジカルボン酸;および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(たとえば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、およびポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(テレフタル酸またはそのエステルと、(a)ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル;(b)イソフタル酸またはそのエステル;(c)フタル酸またはそのエステル;(d)アルカングリコール;(e)シクロアルカングリコール(たとえば、シクロヘキサンジメタンジオール);(f)アルカンジカルボン酸;および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(たとえば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)が挙げられる。記載のコポリエステルは、ペレットの混合物であってもよく、この場合、少なくとも1種類の成分が1種類のポリエステルを主成分とするポリマーであり、1種類以上の他の成分が、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかの他のポリエステルまたはポリカーボネートである。
【0067】
本発明のある実施形態においては、特に有用なポリマーの1つは、ポリエステルおよびポリカーボネートの押出生成物である。これら2種類から選択されるポリマーが互いに押し出される場合、ある程度エステル交換が起こるが、エステル交換は遅く、押出中に完了しそうもないため、適切なランダムコポリマーが得られると、広く考えられている。したがって、ポリエステル−ポリカーボネートの押出によって、2成分ポリマーブレンドから均一なコポリマーまでの連続体の範囲内にある押出物を得ることができるが、ほとんどの場合、ある程度のブロックコポリマー特性とある程度のポリマーブレンド特性との両方を有する押出物が得られる。
【0068】
ぼかしフィルタ
デジタル画像中の望ましくない色モアレ効果などのアーチファクトを防止または軽減するためのぼかしフィルタを作製するために、上述の構造化複屈折物品を使用することができる。本発明のぼかしフィルタは、高周波ノイズの作用を軽減するのに役立てることができ、一部のセンサにおいて発生する点欠陥を抑制したりスペックルを抑制したりできる場合もある。図5は、ぼかしフィルタによる光の屈折を示す図である。入力光信号50(たとえば、可視光、赤外光、または紫外光)は、物品52によって屈折して2つのビーム54および56となる。通常、入力光信号は非偏光である。2つのビーム54および56は、2つの位置58および60に入射する。
【0069】
物品52は、光信号50を屈折させる特定の幾何学的特徴を有する構造化表面を含み、これらの幾何学的特徴は、たとえば、前述し図3A〜3Wにおいて示した幾何学的特徴を含むことができる。互いに発散する2つのビーム54および56によって、入力光信号50のぼけが生じ、イメージセンサで使用するためにフィルタに通される。ぼかしフィルタ中に使用するためのあらゆる物品によって分離されたビームは、実質的に同じ強度を有することもできるし、あらゆる量の互いに異なる強度を有することもできる。この例においては、レンズとイメージセンサとの間の光路内にぼかしフィルタを配置すると、構造化表面によって光路内の光信号が屈折されることによって、複数の光信号が、イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離されるように、一部が構造化されている。したがって、ぼかしフィルタによって、イメージセンサとともに使用するための空間的に分離された発散ビームを得ることができる。
【0070】
本発明の構造化物品は、複屈折性の1つ以上本体からなる。より具体的には、本発明の物品の構造は、少なくとも1種類の複屈折材料を含む。主として、本発明の物品は、光を制御するために回折ではなく表面における屈折を利用しているが、通常はわずかな量の回折が起こりうる。たとえば、異なるFナンバーを有するシステムのためのぼかしフィルタの設計は、回折ぼかしフィルタよりも屈折ぼかしフィルタを使用する方が容易になる場合がある。
【0071】
分散量は、ぼかしフィルタの材料、および入射光の波長に基づく。ある実施形態では、両方の屈折率が分散性であり、場合により低い分散量を有する複屈折分散媒体を使用することができる。ある実施形態においては、設計要素として分散量を使用することができる。複屈折屈折媒体は、回折媒体と併用することができる。ある実施形態においては、透過を改善し、ぼけをより厳重に制御するために対象スペクトルの吸収および散乱を最小限にすることが有用となりうる。また、ある実施形態では低損失材料を使用することが有用となりうる。
【0072】
本発明の複屈折物品または本体は、薄いシート形態の偏光ビームスプリッタとして機能する。ぼかしフィルタとして使用する場合、これらは光を分割する。しかし、他の用途において、おそらくLED(発光ダイオード)を併用する場合では、これらは光信号の結合または混合のために使用することもできる。
【0073】
図6は、入射光を4つのビームに屈折させて、イメージセンサ中のサブピクセルに入射させるための、2つの構造化複屈折物品の使用を示す図である。入力光信号62は、第1の構造化複屈折物品64によって屈折して、2つのビーム66および68になる。第2の構造化複屈折物品70は、それぞれのビーム66および68を2つのビームに屈折させることで、4つのビーム72、74、76、および78が得られ、それぞれは元の入力光信号62に対応している。物品64および70は、前述し図3A〜3Wに示されるような幾何学的特徴などの、光信号を屈折させるための幾何学的特徴を有する構造化表面を含むことができる。
【0074】
結果として得られる4つのビーム72、74、76、および78は、それぞれ、イメージセンサ中のピクセル79の4つのサブピクセル80、82、84、および86の上に入射する。フルカラーデジタル画像用のイメージセンサ中のサブピクセルは、通常、緑色用の2つのサブピクセルと、赤色用と青色用の1つずつのサブピクセルとを含み、4つのサブピクセルを合わせることで原色が提供される。入力光信号62が、4つのサブピクセル上にそれぞれ入射する4つのビーム72、74、76、および78に分離されることによって、ぼかしフィルタは、入力光信号62中の画像内容を、確実に各サブピクセル上に作用させ、それによって、イメージセンサは、画像情報をより正確に表すことができ、結果として得られるデジタル画像中のアーチファクトおよびその他の望ましくない作用を軽減することができる。
【0075】
図6中のスプリットビームは、単に説明の目的で示している。スプリットビームは、隣接したピクセルまたはサブピクセルに入射する必要はなく、これらは、イメージセンサ中のあらゆるピクセルまたはサブピクセルの上に作用するように構成することができる。各ピクセルが4つのサブピクセルを有するセンサとともに使用するとして説明しているが、1つ以上の構造化または非構造化複屈折物品を有するぼかしフィルタは、各ピクセル内にあらゆる数および構成のサブピクセルと、あらゆる構成および配列の感知部分とを有するイメージセンサとともに、隣接または非隣接、直列、または複数の配列の組み合わせで使用することができる。ぼかしフィルタは、画定されたピクセルまたはサブピクセルを必ずしも有さないイメージセンサとともに使用することもでき、このイメージセンサは他の種類の感知部分を有することができる。また、本発明の構造化複屈折物品またはフィルムは、サブピクセルの構造に基づいて入力光信号を分離するように調整することができる。
【0076】
図7は、光信号を屈折させるための構造化複屈折物品90の詳細断面図であり、物品90は図6中の物品64および70に対応させることができる。構造化複屈折物品90は、前述の技術および実施例1に記載の技術により形成された構造化表面を有する本体を有することができる。構造化表面を有する本体の他の例は、「構造化表面物品の製造方法」(Method of Making a Structured Surface Article)と題され2004年12月23日に出願された米国特許仮出願第60/639033号明細書に示されており、この記載内容を本明細書に援用する。
【0077】
構造化複屈折物品90は、この例では鋸歯パターンである幾何学的特徴94を有する構造化表面を有する複屈折材料92を含む。ある実施形態においては、ぼけの程度を厳密に制御するために、鋸歯上に平坦な小面を有するか、または鋸歯が等しい角度を有するかすると、好都合となる場合がある。物品90は、任意選択の充填材料96を構造化表面上に含むこともできる。材料96は、任意選択の屈折率整合材料であってもよく、これは、屈折率整合材料と整合させる材料とが、特定の実施において1つの主方向に沿って、実質的に同じ屈折率または十分近い屈折率を有することを意味する。たとえば、屈折率整合材料は、屈折率n1に整合させたり、n2およびn3に実質的に整合させたりすることができ、あるいはn2とn3とが異なる場合にはn2および3の間となるように設計することもできる。任意選択の屈折率整合材料が材料96に使用される場合、物品90は、実質的に平面状の表面を有し、このことは、ある実施形態においては、光学パッケージ内にぼかしフィルタを取り付けるため、またはその他の理由で好都合となりうる。屈折率整合材料は、制御された屈折率を有する層を含むことができる。屈折率整合材料をぼかしフィルタ中に使用する必要はないが、特定の実施においては有用となりうる。任意選択の充填材料は、他の種類の材料を含むこともできる。たとえば、これは、分散作用を軽減するために相補的に設計された分散曲線を有する接着材料を含むことができる。
【0078】
構造化複屈折物品90への入力光信号98は、幾何学的特徴94によって屈折して、2つのビーム100および102となる。任意選択の屈折率整合材料が使用される場合、ビーム102は、屈折率整合材料と、隣接する空気または別の材料との間の界面においてさらに屈折することができる。この例において、法線入射の場合、ビーム100の偏光は、構造化表面の方向を横断するよう振動し、ビーム102の偏光は構造化表面の方向に沿って振動する。また、この例においては、物品90は、幾何学的特徴94を有する構造化表面が入力光信号98から「下向き」に離れるよう配置されているが、しかし、他の方向に配置または向けることもできる。さらに、屈折した光はぼかしフィルタ(物品90)から発散ビームとして出るため、ぼかしフィルタとイメージセンサとの間の距離を使用することによって、イメージセンサ中の意図するサブピクセル上にスプリットビームを当てるために必要な屈折(発散)量、ならびに幾何学的特徴の種類およびパラメータを決定することができる。
【0079】
物品中の構造化表面の反対の表面は、平坦、平滑、粗面、構造化、またはその他の種類の形状を有することができる。ある実施形態においては、屈折をさらに微調整するために、反対の表面上の形状を制御すると好都合となる場合もある。また、場合により、一方の面内方向が最大屈折率方向となり、他方の(直交する)方向が、面を垂直に通過する光の屈折率が最小になる方向となるようにするため、ぼかしフィルタ第1および第2の面内方向を誘電テンソルの主面内方向と関連づけると好都合となる。
【0080】
図8は、ぼかしフィルタとして使用するための、図6に示されるように光信号を4つのビームに屈折させるための2つの構造化複屈折物品の詳細断面図である。図8に示されるように、2つのフィルムまたは物品によって2つの寸法のぼけが得られ、一方、図7に示されるように1つのフィルムまたは物品によって1つの寸法のぼけが得られる。図8に示されるように入力光信号を4つのビームに分離するために、一実施形態では、互いに対して0でない角度で配向したそれぞれの幾何学的特徴を有する2つの構造化複屈折物品を使用している。第1の構造化複屈折物品112は、幾何学的特徴114を有する「下向きの」構造化面を有し、第2の構造化複屈折物品116は、幾何学的特徴118を有する「下向きの」構造化表面を有する。
【0081】
用語「下向き」は、入力光信号から離れるように構造化表面が位置していることを意味する。本発明のぼかしフィルタは、「上向きの」構造化表面を有する1つ以上の物品を有することもでき、これは、構造化表面が入射光に面していることを意味する。さらに、これらは、一部が「下向きの」構造化表面を有し、他のものが「上向きの」構造化表面を有する複数の物品を使用することができる。特定の実施において、構造化表面が「上向き」または「下向き」のいずれとなるかは、入力光信号の反射量に基づいて決定することができる。
【0082】
この例では、幾何学的特徴114および118の両方が、図7に関して説明したものと実質的に同じパラメータ、ピッチ、および高さを有する鋸歯パターンである。構造化表面の鋸歯パターンによって、特定の利点を得ることができ、2つの発散ビームから鋸歯パターンの側壁上の少量または無視できる漏れが失われるだけであり、これによって発散ビームをより厳格に制御することができる。鋸歯パターンは、15°以内で通常5°の、ベースフィルムに対してほぼ垂直な側壁を有する傾斜面を含むことができる。ある実施形態ではバックカット(図3S参照)を有する鋸歯パターンを使用することができ、これによって漏れをなくしたりその量を軽減したりすることができる。
【0083】
あるいは、これら2つの構造化複屈折物品は、たとえば一方が鋸歯状幾何学的特徴を有し、他方が正弦波状幾何学的特徴を有する(図2Bおよび3Q参照)などの異なる幾何学的特徴を含むことができる。また、この例においては、物品112および116が、互いに対して平行な面に配置されている。また、物品112の幾何学的特徴114に対して、幾何学的特徴118が45°の角度120となるように物品116が向けられている。この配置では、物品112および116のそれぞれの面内軸132および134に対して直交して光信号122が受信される場合、物品112および116は、入力光信号122を屈折させて4つのビーム124、126、128、および130となる。物品112および116がぼかしフィルタとして使用される場合、4つのビーム124、126、128、および130のそれぞれが、イメージセンサピクセル内の異なるサブピクセルに入射することが好ましい。相対配置およびビーム間の出力バランスなどの設計を考慮することにより、他の配向を使用することもできる。
【0084】
ぼかしフィルタとして使用する場合、物品112および116は、場合により、それらの構造化表面上に屈折率整合材料を含むことができる。また、物品112および116は、場合により、それらの間に屈折率整合流体を含むことができ、それにより、物品112と116との間の反射を軽減するなどによってフィルタの性能を改善することができる。また、物品112および116は、場合により、ぼかしフィルタとして取り付けるために(たとえばエポキシまたはアクリル材料を使用して)互いに接着することができる。
【0085】
図9は、イメージセンサとともに使用するための光学パッケージ136中のぼかしフィルタの配置を示す図である。この図においては、光学パッケージ136は、入力光信号156を受信するための開口部140と、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、電荷結合素子(CCD)、赤外センサ、または紫外センサなどのイメージセンサ152の上に配置される開口部142とを有するハウジング138を含む。イメージセンサ152は、通常、プリント回路基板(PCB)154上に搭載され、PCB154上の回路に電気的に接続される。ハウジング138内のレンズ144は、開口部140からの入射光の焦点をイメージセンサ152上に合わせる。イメージセンサ152は、光を対応する電気信号に変換し、これはPCB154上の回路に伝送されて、表示装置上でデジタル写真としての保存または表示などのさらなる処理が行われる。用語「イメージセンサ」は、光信号を、対応する電気信号または別の種類のエネルギー信号に変換可能なあらゆる装置を含んでいる。
【0086】
この例においては、ぼかしフィルタ148は、ハウジング138内のレンズ144とイメージセンサ152との間に取り付けられる。ぼかしフィルタ148は、たとえば、互いに対して配向した形状を有する構造化表面を有し、図8に関して説明したように入力光信号156に対して直交するように面内軸が配置された2つの物品を含むことができる。ぼかしフィルタ148は、任意選択の屈折率整合流体150と、ぼかしフィルタ148の構造化表面に対して屈折率整合流体を密閉するためのガラスまたはプレキシガラスなどの透明な密閉板146とを含むことができる。ぼかしフィルタ148は、PSA(感圧接着剤)、UV硬化系(紫外線)、光硬化系などを使用して密閉板146に接着することができる。この例においては、ぼかしフィルタ148は、入力光信号156から構造化表面が「下向き」になるよう取り付けられている。また、ぼかしフィルタ148は、その面内軸が、レンズ144によってイメージセンサ152に焦点が合わされるときの光信号156の光路と直交するように取り付けられる(図8参照)。
【0087】
ぼかしフィルタ148中の幾何学的特徴は、ぼかしフィルタ148とイメージセンサ152との間の距離に基づいて、変更または調整が可能である。屈折した光は発散ビームとしてぼかしフィルタ148を出るので、ぼかしフィルタ148とイメージセンサ152との間の距離を使用することによって、イメージセンサ中の意図するサブピクセル上にスプリットビームを当てるために必要な屈折(発散)量、ならびに幾何学的特徴の種類およびパラメータを決定することができる。この発散は、発散角度に沿ったぼかしフィルタとイメージセンサとの間の距離に基づいた設計パラメータとして使用することができる。あるいは、ぼかしフィルタとイメージセンサとの間の距離を設計パラメータとして使用することもできる。その他の設計パラメータとしては、レンズからの入射光の特性(Fナンバーなど)、ぼかしフィルタの厚さ、屈折率、整合層、屈折角を挙げることができる。たとえば、特定の実施に望ましいぼけの量を得るのに最適または好ましい設計のパラメータを得るために、光学モデル化技術を使用することができる。
【0088】
図10は、入射光を屈折させて4つのビームを得るために2つの構造化複屈折物品と追加のコーティングとを使用する別の実施形態のぼかしフィルタ160を示す図である。ぼかしフィルタ160は、第1の構造化複屈折物品164と、第2の構造化複屈折物品168とを含み、これらによって、入力光信号161が屈折して4つのビームが得られる。物品164および168は、図8に関して説明したように、互いに対して配向し、入力光信号161と直交する面内軸を有するように配置された構造化表面を有することができる。
【0089】
ぼかしフィルタ160において、物品164および168は、フィルム166によって分離されており、このフィルムは多層光学フィルムを含むことができる。多層光学フィルムは、フィルム中の層に依存してIR(赤外)フィルタを含むように作製することができる。IRフィルタは、4分の1波長板として機能することができる。あるいは、他の種類のIRフィルタをぼかしフィルタ中に使用することもできる。ある実施形態では、物品の間に、リターダ、波長板、多層光学フィルム、IRフィルタ、円偏光子を使用したり、これらすべてを併用したりすることができる。
【0090】
フィルム166が面内複屈折を有する、すなわち、異なる屈折率の2つの面内軸を有する場合に、フィルムまたは板166は、リターダ板として特に有用となりうる。フィルム166に対するこれらの軸の配向を使用することで、フィルム168を出るビームに沿った出力分布を変動させることができる。特に、4分の1波長板が有用となりうる。ぼかしフィルタ160中、物品164は入力光信号161を2つのビームに屈折させ、フィルム166はIR光を反射させるIRミラーとなることができ、物品168はフィルタを通過した2つのビームを4つのビームに屈折させ、透過したビームはイメージセンサのピクセル内のサブピクセル上に入射する。入力光信号161の反射を軽減または解消し、それによって光信号161中の画像情報をより多くイメージセンサに提供するために、物品164は、反射防止コーティングまたはフィルム162を含むこともできる。
【0091】
図11A〜11Cは、ぼかしフィルタとして使用するための、光信号を屈折させる傾斜板複屈折物品(場合により構造化される)を含む別の実施形態の図である。幾何学的特徴を有する構造化表面と、入力光信号と直交する面内軸とを有する物品を使用する代わりに、場合により構造化された複屈折物品は、入力光信号と直交しない角度で少なくとも1つの面内軸を有するように配向させることができる。図11Aは、屈折率整合材料などの任意選択の材料174と176との間に複屈折物品172を有する傾斜板ぼかしフィルタを示している。物品172は、入力光信号171に対して傾斜しているが、これは面内軸と直交する物品172の第3の軸が、入力光信号171に対して0でない角度で配向していることを意味する。
【0092】
図11Bは、屈折率整合材料182と184との間に配置された第1および第2の場合により構造化された複屈折物品178および180を使用する第2の傾斜板ぼかしフィルタを示している。物品178および180はどちらも入力光信号181に対して傾斜して配置されており、これは、これらの第3の軸が入力光信号181に対して0でない角度で配向していることを意味する。
【0093】
図11Cは、屈折率整合材料190と192との間に配置された第1および第2の場合により構造化された複屈折物品186および188を使用する第3の傾斜板ぼかしフィルタを示している。物品186および188も、場合により屈折率整合材料である材料194によって分離されており、これはIRフィルタまたはUV吸収体などの種々のフィルタとなる。物品186および188はどちらも入力光信号191に対して傾斜して配置されており、これは、これらの第3の軸が入力光信号191に対して0でない角度で配向していることを意味する。
【0094】
図11A〜11Cに示されるぼかしフィルタは、光路内での傾斜自体によって屈折が得られる非構造化表面を有することができる。これらは、他の量の屈折を得るために構造化表面を有することもできる。図11Bおよび11Cに示されるぼかしフィルタは、ともに入力光信号に対して傾斜している(0でない角度で)ことを除けば、図8に関して説明したように、互いに関して配向した幾何学的特徴を有する構造化表面を有することができる。傾斜板を使用しても使用しなくても、ぼかしフィルタは、第1および第2の表面の第1の面に対して0でない角度で配向した構造化表面を有することができる。
【0095】
図11A〜11Cに示される傾斜板ぼかしフィルタにおいては、材料174および176は、材料182、184、190、および192とともに、場合により使用され、ある実施形態においては、光ビームがぼかしフィルタをどのように出るかに影響を与えるために使用することができる。材料174および176によって以下のことを得ることができる:これらは、くさび形シムとして使用することができ;これらは、物品172の表面における反射を軽減することができ;さらに、これらは、平行になって出るビームを得ることができる。材料174および176はどちらも、物品172の屈折率に整合させる必要はない。材料174および176が同じ屈折率を有し(および等方性であり)、物品172の屈折率と整合している場合、第1のビームは、ぼかしフィルタをまっすぐ通過し、第2の(スプリットビーム)は第1のビームと平行で第1のビームから離れて出てくる。材料174および176が同じ屈折率を有し(および等方性であり)、しかし物品172の屈折率とは整合していない場合は、両方のビームは平行に出て互いに分離しており、これら両方は入射光から「ずれている」(まっすぐには通過しない)。材料174および176が異なる屈折率を有する場合は、出てくるビームは発散する。材料174または176の一方のみが使用される場合は、材料174または176が物品172と同じ屈折率を有しても有さなくても、出てくるビームは発散する。
【0096】
図11Dは、実質的平行に分離されたビームを得るための複数の構造の組み合わせを示している。複屈折構造化物品191は幾何学的特徴193を有し、複屈折構造化物品187は幾何学的特徴195を有する。屈折率整合材料またはその他の種類の材料などの層189は、複屈折構造化物品187と191との間に配置される。あるいは、層189は、異なる材料であってもよいし、さらには、フィルムを分離する端部スペーサーを有する空隙であってもよい。入力光信号197は幾何学的特徴193によって屈折して発散ビーム199および201となり、次にこれらは幾何学的特徴195によって屈折して、実質的に平行な2つのビーム203および205になる。平行なスプリットビームの使用は、ぼかしフィルタとイメージセンサとの間の距離を変動できる場合などに有用となりうる。逆に、発散スプリットビームの使用は、ぼかしフィルタとイメージセンサとの間の距離が設計要素となるような場合に有用となりうる。
【0097】
図12は、イメージセンサとともに使用される光学パッケージ200中の傾斜板ぼかしフィルタの配置を示す図である。この例においては、光学パッケージ200は、入力光信号214を受信するための開口部204と、CMOSまたはCCDセンサなどのイメージセンサ216の上に配置される開口部206とを有するハウジング202を含む。イメージセンサ216は、通常、PCB218上に搭載され、PCB218上の回路に電気的に接続される。ハウジング202内のレンズ212は、開口部204からの入射光の焦点をイメージセンサ216上に合わせる。イメージセンサ216は、光を対応する電気信号に変換し、これはPCB218上の回路に伝送されて、表示装置上でデジタル写真としての保存または表示などのさらなる処理が行われる。
【0098】
この例においては、傾斜ぼかしフィルタ210は、ハウジング202内のレンズ212とイメージセンサ216との間に取り付けられる。ぼかしフィルタ210は、たとえば図11A〜11Cに示されるようなあらゆる構成を有することができる。ぼかしフィルタ210は、ガラスまたはプレキシガラスなどの透明な密閉板208を場合により含むことができる。この例においては、ぼかしフィルタ210は、その構造化表面が入力光信号214から「下向き」になるよう取り付けられている。ぼかしフィルタ210は、PSA、UV硬化系、または光硬化系などを使用して密閉板208に接着することができる。また、ぼかしフィルタ210は、レンズ212によってイメージセンサ216上に焦点が合わされるときの光信号214の光路に対して直交しない角度で構造化複屈折物品が取り付けられる。
【0099】
ぼかしフィルタ210は、図11A〜11Cに示されるような任意選択の材料211および213を含むことができる。任意選択の材料211および213に、屈折率整合材料が使用される場合、その屈折率整合材料を使用することで、入力光信号に対して直交する角度で平面状表面を有する傾斜板ぼかしフィルタを形成することができ、それによって光学パッケージ内のぼかしフィルタの取り付けを容易にすることができる。ぼかしフィルタ210中の幾何学的特徴は、ぼかしフィルタ210とイメージセンサ216との間の距離に基づいて変動または調整が可能である。
【0100】
図9および12に示される光学パッケージは、Fナンバーを伴うさらなる構造を有することができる。写真家は、フィルム上に適切な光量を得るために、シャッター速度とFナンバーとの組み合わせを使用して露出を設定する。シャッター速度は、レンズを通過した光にフィルムを露出する時間の長さを調節する。Fナンバーは、光が通過する孔の面積を変動させることによってレンズを通過する光量を調節する。特定のフィルム速度および照明の組み合わせの場合、フィルムの適切な露出のために適切な光量が1つ存在する。この光量は、Fナンバーとシャッター速度との多くの組み合わせによって実現することができる。光路は、Fナンバーによって特定される円錐形であり、その光学画像は円錐角を有し、これによって、イメージセンサに対するぼかしフィルタの位置を決定することができる。
【0101】
本発明と整合性のあるぼかしフィルタは、構造化複屈折物品、非構造化複屈折物品、光路内で傾斜した構造化複屈折物品、光路内で傾斜した非構造化複屈折物品、またはこれらの種類の物品の組み合わせを使用することができる。これらの物品、またはそれらの組み合わせを使用することで、発散して出るビームまたは平行に出るビームを発生させることができる。使用される場合、複屈折構造化物品は、入力光信号のぼけを実質的に完全にするために隣接する幾何学的特徴を有することができるし、あるいはこれらの物品は、幾何学的特徴の中に平坦部分を有することで、それらの部分で特定の量のぼけのない部分を得ることもできる。たとえば、二次元のぼけのための2つのフィルタを有するシステムの場合、光源に最も近い第1のフィルタの平坦部分では、非偏光の量の漏れが生じ、これは第2のフィルタによって異なる方向に分離することができる。この構成では、リターダ板の必要性をなくすことができるし、あるいは、90°またはそれに近い角度の配向を使用することによって複数のビーム間の相対位置および出力バランスを改善することができる。この例において、平坦部分および鋸歯の大きさは、必要なぼけの量に基づいて設計することができるし、特定のピクセルサイズに合わせて設計することもできる。
【0102】
本発明の複屈折物品は、たとえばフィルタリングのためのコーティングを場合により有することができる。また、これらの物品は、異なる軸の間で屈折率を整合させることもできるし、異なる屈折率を有することもできる。前述の複屈折物品を使用するぼかしフィルタは、水晶板などの他の構成要素とともに使用したりこれらと組み合わせたりすることができる。特に有用な一実施形態は、一軸配向またはほぼ一軸配向を有する構造化物品または傾斜板のいずれかである複屈折材料を有する。たとえば、一軸配向の尺度の1つは、それらの相対複屈折であり、たとえば0.3未満であり、より好ましくは0.1未満である。
【0103】
図13は、図6〜10に関して説明したような構造化複屈折物品ぼかしフィルタを製造するための一例の製造方法220を示す図である。この例においては、方法220は:構造化複屈折物品のためのフィルムを押し出すステップ(ステップ222);フィルムを一軸配向させるステップ(ステップ224);フィルムに接着剤を適用するステップ(ステップ226);交差した構造の第2の構造化フィルムを第1のフィルムに積層するステップ(ステップ228);2つのフィルムをガラス基材に積層するステップ(ステップ230);積層したフィルムを個別の部分に変換し切断する、たとえばダイ打ち抜き、レーザー切断、回転切断、または打ち抜きなどのステップ(ステップ232);分離した部分の検査および記録を行うステップ(ステップ234);個別のぼかしフィルタを実装するステップ(ステップ236);ならびにぼかしフィルタをカメラパッケージ内に取り付けるステップ(ステップ238)を含むことができる。
【0104】
図14は、傾斜板ぼかしフィルタを製造するための製造方法220の追加のステップの一例を示す図である。配向させ接着したフィルムを作製するステップ228の後、接着したフィルムの両面に沿ってあるパターンで屈折率整合材料を適用し(ステップ242);複数の部分を個別のぼかしフィルタに切断し(ステップ244);200のステップ230においてガラスに積層するために、個別のぼかしフィルタを回転させる(ステップ246)。傾斜ぼかしフィルタはすでに切断されているので、これらの検査および記録(ステップ234)、実装(ステップ236)、およびカメラパッケージ内への取り付け(ステップ238)を行うことができる。
【0105】
図13および14に示される方法は単に例示的な目的で提供している。ぼかしフィルタを製造するための他の方法は、より多くのステップ、より少ないステップ、異なるステップ、または異なる順序で実施される上述のステップを含むことができる。場合によりこれらは、積層、接着(場合によりぼかしフィルタの端部上で)、またはピンまたはクリップなどを使用してぼかしフィルタを別の物品に他の方法で接触させるステップを含むことができる。一部の方法は、プロセス中にさまざまな種類のコーティングを物品に適用するステップまたは保護シートを使用ステップを含むことができる。さらに、例示的ステップのそれぞれは、使用される場合には、種々の方法で実施することができる。基本的な方法の1つは、たとえば、複屈折構造化フィルムから始まって、ぼかしフィルタと使用するためにフィルムを検査し実装するステップを含むことができる。
【0106】
本発明と整合性のあるぼかしフィルタは、前述の技術および実施例1に記載の技術、ならびに前述の他の例における技術のいずれかから製造した本体を有する構造化複屈折物品を含むことができる。ぼかしフィルタは鋸歯パターンを使用するとして前述しているが、これらのぼかしフィルタは、図3A〜3Wに示されるような、光を屈折させるためのあらゆる種類の幾何学的特徴を有するあらゆる種類の構造化表面を有する構造化複屈折物品を使用することができる。
【0107】
これらのぼかしフィルタは、構造化複屈折物品またはフィルムを製造するためのポリマーおよびウェブの加工に関する利点を有することができる。特に、本発明と整合性のある実施形態は:取扱が容易で、物品のパラメータ(たとえば、材料、厚さ、幾何学的特徴の種類、および配向)を調整することによってぼけまたはその他の特徴の量を変動させるために高度に調整可能な薄い物品またはフィルムを使用し;高度の光学的透明性を得ることができ;レンズとイメージセンサとの間の光路内のどこにでも配置することができ;IRフィルタ、反射防止コーティング、反射偏光子、円偏光子、波長フィルタ、および接着コーティングなどの他のフィルム技術と容易に一体化することが可能な、ぼかしフィルタを得ることができる。これらの例示的なコーティングおよびフィルムはいずれも、物品の構造化表面または非構造化表面の上に適用することができ、これらは物品上のどこにでも配置することができる(たとえば、複数の物品の間、あるいは少なくとも1つの物品の最上面または底面の上)。
【0108】
本発明のぼかしフィルタは、画像処理能力を有するあらゆる装置中で使用することができる。たとえば、これらは、デジタルカメラ、デジタルカメラを有する携帯電話、デジタルカメラを有する携帯情報端末、またはデジタルカメラを有するあらゆる他の装置などのイメージセンサを有するあらゆるデジタル画像装置中に使用することができる。本発明のぼかしフィルタは、あらゆるアナログ画像装置中で使用することもできる。たとえば、アナログビデオカメラを使用する場合、縞模様のシャツによって色モアレ効果が発生することが多く、本発明のぼかしフィルタは、アナログ画像装置中でこれらの効果をなくしたり軽減したりするのに役立てることができる。
【0109】
本発明のぼかしフィルタは、図8に関して説明したような構造化表面上に同じ幾何学的特徴をそれぞれ有する複数の物品、または、あるものは鋸歯の幾何学的特徴を有し、別のものは正弦波状の幾何学的特徴を有するなど、構造化表面上に異なる幾何学的特徴を有する複数の物品を含むことができる。本発明のぼかしフィルタは、場合により、物品の1つ以上の表面上、または複数の物品の間に屈折率整合材料または流体を含むことができるが、必要なものではない。これらは、場合により、ガラス、プレキシガラス、またはプラスチックなどの密閉板に積層または接着することもできる。ぼかしフィルタのための物品は、たとえば、前述の材料および実施例1に記載の材料、ならびに前述の他の例の材料から、ダイヤモンド旋盤で仕上げたフィルム(ダイヤモンド旋盤法で形成したフィルム)あるいは機械加工、切削、アブレーション、またはその他の技術による他の方法で構造化されたフィルムの使用など、図4中に示し図4と関連して説明した方法を使用して作製することができる。提供している例示的パラメータ以外に、ぼかしフィルタのための物品は、特定の実施に基づいて他のパラメータ(厚さ、幾何学的特徴の高さ、およびピッチ)を含むことができる。本発明のぼかしフィルタは、ウォークオフ板(walk−off plate)などのあらゆる種類の無機媒体、または回折媒体と組み合わせることができる。ぼかしフィルタ用フィルムは、レンズ144などのレンズ上に押し付けて接着したり、またはレンズ内に組み込んだりすることができる。レンズ上に押し付ける場合、ぼかしフィルタは湾曲し、その場合、本明細書において使用される命名では曲面の局所接線と呼ぶ。ぼかしフィルタ用フィルムは、多くの異なる方法によって作製することができ、たとえば、平坦にするためにフィルムを拘束し、柔軟にするためにフィルムを温め、これに曲面を押し付ける、またはこれを円筒の周りに巻き付けることによって構造化表面を付与することができる。
【0110】
以上の説明において、要素の位置は、「第1」、「第2」、「第3」、「最上部」、および「底部」の用語で説明している場合がある。これらの用語は、図面に示されているような本発明の種々の要素の説明を単に簡略化するために使用している。これらは、本発明の要素の有用な方向を限定するものと理解すべきではない。また、軸を使用する代わりに、1つの物品、またはともに使用される複数の物品の位置を、それらのオイラー角で表すこともできる。
【0111】
したがって、本発明は、上述の特定の例に限定されると見なすべきではなく、むしろ、特許請求の範囲に構成に記載される本発明のすべての態様を含むものと理解すべきである。本発明を適用できる種々の変更、均等物、および多数の構造は、本明細書を検討することによって本発明が関連する当業者には容易に明らかとなるであろう。特許請求の範囲は、このような変更および装置を含むことを意図している。
【実施例】
【0112】
実施例1−配向した微細構造化フィルムの作製
テネシー州キングズポートのイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)より入手可能な固有粘度(I.V.)が0.74であるポリエチレンテレフタレート(PET)をこの実施例で使用した。
【0113】
上記PETペレットを乾燥させて残留する水を除去し、窒素パージ下で押出機ホッパーに投入した。PETは、押出機内は232℃〜282℃の上昇する温度分布で押し出し、連続溶融物を282℃に設定したダイに通した。溶融連続流の圧力を連続的に監視し、ダイから工具に近接する前の溶融連続流に沿った最終監視位置において平均を取り、この工具上でポリマーフィルムが連続に形成され、工具に対してフィルムの第1の表面が構造化される。
【0114】
この工具は、具体的な組成は不明であり、3Mにおいて製造され、電鋳され溶接された部分が、キャストフィルム上に形成される構造化表面のネガ型バージョンを有する、構造化されたニッケル合金ベルトであった。この構造化表面は、繰り返し連続する一連の三角形プリズムで構成された。この三角形は鋸歯状パターンを形成した。個々のプリズムの底部の頂点は、それらの隣接する構造と共有であった。これらのプリズムは、キャスティング方向または機械方向(MD)方向に沿って配列させた。工具構造化表面には、米国特許第6,376,065号明細書に開示されている次式を有するフルオロケミカルベンゾトリアゾールをコーティングした。
【化3】

(上式中、RfはC817でありおよびRは−(CH22−である)。キャスティング(MD)方向に沿って工具表面を連続的に動かす温度制御された回転缶の上に、この工具を取り付けた。測定した工具表面温度は平均で92℃であった。
【0115】
溶融ポリマーが溶融連続流を出るダイオリフィスは、工具とダイとの間に最終スロットを形成する回転ベルト工具と近接させた。溶融連続流に沿った最終監視位置における圧力は、ダイと工具とが近づくほど増加した。この最終圧力と前に記録した圧力との差をスロット圧力低下と呼ぶ。この例におけるスロット圧力低下は7.37×106Pa(1070psi)であり、これは、ネガ型の工具によって形成された構造化空隙内に溶融ポリマーを移動させるのに十分な圧力となった。これによって形成され構造化されたフィルムは、工具の回転によってスロットから運び、さらに空冷によって冷却し、工具から剥離して、ロールに巻き取った。構造の高さを含めたキャストフィルム全体の厚さ(T)は約510ミクロンであった。
【0116】
キャスティングし巻き取ったポリマーフィルムは、工具の構造を厳密に複製していた。顕微鏡を使用して断面を観察すると、約85°の頂角、三角形の一方の脚に関してフィルムのランドから20°の傾き、および反対側の脚に関して垂直から15°の傾斜を有するプリズム構造をフィルム表面上に確認できた。測定した断面から、期待される通りの、まっすぐな辺およびわずかに丸みを帯びた頂点を有するほぼ直角三角形であることが分かった。ポリマーフィルム表面上に複製されたプリズムは、底部幅(BW)44ミクロンおよび高さ(P)19ミクロンであると測定された。ピーク間距離(PS)は底部幅(BW)とほぼ同じであった。工具の欠陥、複製プロセスの欠陥、および熱収縮作用のために、このフィルムは不完全であり公称寸法からの小さなばらつきが存在した。
【0117】
構造化されたキャストフィルムを、アスペクト比が10:7(溝に沿った長さ:溝に対して垂直の長さ)のシートに切断し、テンターのプレナム内で測定して約100℃に予備加熱し、バッチテンター法を使用してプリズムの連続長さ方向に沿ってほぼ正確な一軸方法で公称延伸比6.4で延伸し、直後に延伸比6.3まで緩和させた。6.4から6.3までの緩和は、最終フィルムの収縮を制御するために延伸温度において行った。構造化表面は、適度にまっすぐな断面の縁端部(適度に平坦な小面)およびほぼ同様の形状を有するプリズム型を維持した。延伸後の底部幅(BW’)を顕微鏡により断面から測定すると、16.5ミクロンであり、延伸後のピーク高さ(P’)を測定すると5.0ミクロンであった。構造化した高さを含むフィルムの最終厚さ(T’)を測定すると180ミクロンであった。ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)より入手可能なメトリコン・プリズム・カプラー(Metricon Prism Coupler)を使用して波長632.8nmにおいて延伸フィルムの裏側から屈折率を測定した。第1の面内に沿った(プリズムに沿った)屈折率、第2の面内に沿った(プリズムを横断する)屈折率、および厚さ方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.672、1.549、および1.547であった。したがってこの延伸材料の断面における相対複屈折は0.016であった。
【0118】
光路内に配置すると、このフィルムによって、フィルムと観察者との間に保持される偏光子の回転によって顕著に移動するずれた(二重)画像が得られた。
【0119】
実施例2−2層微細構造化ぼかしフィルタ
フィルム1の微細構造を形成するために、未配向のキャストPEN(非晶質状態)材料を、延伸前に以下の寸法に旋盤上でダイヤモンド旋盤で直接切断した:約89ミクロンのピッチ、約86°の頂角、三角形の一方の脚に関してフィルムのランドから4°の傾き、反対側の脚に関して垂直から0°の傾斜、および6.5ミクロンの深さを有する、フィルムの一方の表面上のプリズム。これを延伸比3で一軸延伸し、プリズムが複製された表面は延伸後に以下の寸法および性質を有した:49.8ミクロンのピッチ、約86°の頂角、三角形の一方の脚に関してフィルムのランドから4°の傾き、反対側の脚に関して垂直から0°の傾斜、および約4ミクロンの深さ。ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)より入手可能なメトリコン・プリズム・カプラー(Metricon Prism Coupler)を使用して波長632.8nmにおいて延伸フィルムの裏側から屈折率を測定した。第1の面内に沿った(プリズムに沿った)屈折率、第2の面内に沿った(プリズムを横断する)屈折率、および厚さ方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.82、1.575、および1.587であり、厚さは150ミクロン(0.0059インチ)であった。
【0120】
フィルム2の微細構造を形成するために、配向のキャストPEN(非晶質状態)材料を使用した。これを3倍に延伸すると、延伸後には以下の寸法および性質を有した:フィルム1と同じ公称屈折率を有する不規則な正弦波状パターン、厚さ231ミクロン(0.009インチ)。
【0121】
VEOベロシティ・コネクト・USB2.0カメラ(VEO Velocity Connect USB 2.0 camera)(パラメータ:BMP画像、初期設定、「屋外」(outdoor)、ピクセルが過飽和とならないように輝度を調整した)を使用し、本来のレンズおよびレンズマウントを使用して、上記フィルムの試験を行った。VEOは1.3メガピクセルイメージセンサを使用して画像を取り込み、そのピクセルレイアウトは正方形のバイエル・パターン(Bayer Pattern)であり、各ピクセル中心間隔は6ミクロンであった(カリフォルニア州サンノゼのVEOインターナショナル(VEO Int’l,San Jose,CA))。
【0122】
使用した試験画像は、(カリフォルニア州セントルイスオビスポのホール・プロダクションズ(Hall Productions,St.Luis Obispo,CA))の蛍光灯照明の白色光ボックスを使用して、動物模様がプリントされた布(綿、公称100本/インチのスレッドカウント)に背面照明したものであった。ぼかしフィルタを、イメージセンサの保護ガラス密閉板上に置いた。このガラス板は厚さが580ミクロンである、図9に示される一般的配置のように、ガラスの底面からセンサの最上面まで22ミクロンの空隙を有した。観察距離は、画像面からセンサの保護ガラス板の最上部までで測定して約34cmであった。
【0123】
フィルタ試料の組立体は、以下の2つのフィルム層を含んだ。底部層(「フィルム2」)は、イメージセンサアレイの正方形グリッドに対して約45度の対角線方向の配向軸を有するように手で取り付けた。上部層(「フィルム1」)は、イメージセンサグリッドの垂直軸とほぼ一致する配向軸を有するように底部層の上に手で取り付けた。VEOレンズレンズアセンブリを再度取り付け、カメラのすべての取扱および後の使用は、レンズが上向きとなるようにカメラの方向を維持して行い、それによってフィルタを所定の位置に維持するのに十分な重力が常に作用した。
【0124】
以下は試験結果である。フィルタを使用しないと、カラーバンドの周期が平均約8ピクセル、一部の領域で最大30ピクセルである顕著な色モアレアーチファクトが見られた。布を面内で回転させると、すべての角度で回転中に、変動する色モアレが観察された。布のプリントの細部の多くは、VEOのデジタル画像中、特に中間色調範囲内、たとえば風景および動物における布のウィーブおよび影の協調部分は、色モアレによって失われた。2層の微細構造化ぼかしフィルタを使用すると、色モアレアーチファクトはほぼ解消された。回転中にも全く発生しなかった。フィルタを使用しない場合よりも画像は幾分コントラストが低くなったが、色モアレアーチファクトが解消され画像の粒子性が軽減されたため、中間色調の細部はより明確となり、たとえば、布の縫い目はフィルタを使用しない場合よりも容易に認識できた。コントラストがわずかに低下したにもかかわらず全体の画像品質は改善されたとの共通認識であった。
【0125】
実施例3−2D制御されたビーム分割
フィルム試料は、延伸前に約90°の頂角、三角形の一方の脚に関してフィルムのランドの水平から30°の傾き、反対側の脚に関して垂直から30°の傾斜、およびプリズムのピッチが25ミクロンであるプリズム表面を有した。
【0126】
このフィルム試料を、一軸延伸比6で一軸延伸すると、その結果得られたプリズムが複製された表面は、延伸後に以下の寸法および性質を有した:14.1ミクロンのピッチ、約92°の頂角、三角形の一方の脚に関してフィルムのランドの水平から28°の傾き、反対側の脚に関して垂直から30°の傾斜、および約3.6ミクロンの深さ。ニュージャージー州ピスカタウェイのメトリコン(Metricon,Piscataway,NJ)より入手可能なメトリコン・プリズム・カプラー(Metricon Prism Coupler)を使用して波長632.8nmにおいて延伸フィルムの裏側から屈折率を測定した。第1の面内に沿った(プリズムに沿った)屈折率、第2の面内に沿った(プリズムを横断する)屈折率、および厚さ方向の屈折率を測定すると、それぞれ1.82、1.59、および1.55であり、厚さは180ミクロン(0.007インチ)であった。
【0127】
UV硬化アクリレート(屈折率1.57)(3M BEF2樹脂)を使用して、上記試料を、3M多層光学フィルム(MOF)に、微細構造がMOFに向かって内側に面するように取り付けた。このアクリレートは厚さが約84ミクロン(0.0033インチ)であり、得られた構造体の全体の厚さは345ミクロン(0.0136インチ)であった。
【0128】
試験組立体は、5mWの532nmレーザー(カリフォルニア州リバーモアのアルペック−チーム・インコーポレイテッド(Alpec−Team,Inc.,Livermore California)、グラン−トンプソン(Glan−Thompson)偏光フィルタ、および偏光を回転させるために適合した半波長板を直列でフィルムスタックの前に含んだ。フィルムスタックは、垂直に位置合わせされたスタック(複屈折微細構造化フィルム、アクリレート、MOFを含む)、および水平に位置合わせされたスタック(複屈折微細構造フィルム、アクリレート、MOFを含む)を含んだ。このMOFは、4分の1波長板およびIR遮断の2つの機能を果たした。測定スクリーンまでの映写距離は8.5フィート(2.6m)であった。
【0129】
結果として、半波長板の回転を調整した後、1つの偏光レーザービームは、ほぼ等しいエネルギーの4つのビームに同時に分割された。4つのスプリットビームによって形成されたパターンは、正方形で、正方形の外側頂点に沿った中心間距離は3.25インチ(8.26cm)であり、フィルタからの発散角度を計算すると11.5度であった。
【0130】
実施例4−傾斜板
使用したフィルムは、632.8nmにおける屈折率が1.83(溝に沿って)、1.57(溝を横断して)、1.55(表面に対して垂直)であり、厚さが11.5ミルであり、1層を有し、傾斜角が4度であるPENであった。接着促進剤はアクリレートブレンドであった。エポネックス(Eponex)1510(46%)、エポン(Epon)828RS(28.78%)、エピキュア(Epikure)3381(25.22%)(すべて、テキサス州ヒューストンのレゾリューション・パフォーマンス・ケミカルズ(Resolution Performance Chemicals,Houston,Tx)製)のエポキシブレンドを、型の中のフィルム上、60℃で8時間硬化させた。得られたエポキシは屈折率が1.525であった。完成した構造の厚さは0.13インチであった。実施例2と類似の設定を使用しISO 12233試験チャートを使用して試験を行った。フィルタを使用しない場合、バーの底部の横列で顕著な色モアレが見られた。フィルタを使用すると、モアレが大きく軽減された。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】一方法によって作製したフィルムの断面図である。
【図2A−2E】物品の別の実施形態の端面図である。
【図3A−3W】一方法によって作製可能な幾何学的特徴の別の輪郭の断面図を示している。
【図4】構造化フィルムの製造方法の1つの概略図である。
【図5】ぼかしフィルタとして使用するための、光を屈折させる構造化物品を示す図である。
【図6】入射光を4つのビームに屈折させて、イメージセンサ内のサブピクセル上に入射させるための、2つの構造化物品の使用を示す図である。
【図7】ぼかしフィルタ中の、光信号を屈折させるための構造化物品の詳細断面図である。
【図8】ぼかしフィルタ中の、光信号を4つのビームに屈折させるための2つの構造化物品の詳細断面図である。
【図9】イメージセンサとともに使用される光学パッケージ中のぼかしフィルタの配置を示す図である。
【図10】光信号を4つのビームに屈折させるための2つの構造化物品のIRフィルタおよび反射防止コーティングとの併用を示す図である。
【図11A−11C】ぼかしフィルタを使用するための、光信号を屈折させる傾斜板を含む別の一実施形態の図である。
【図11D】平行に出るビームを発生させるために使用される2つの微細構造化フィルムの図である。
【図12】イメージセンサとともに使用される光学パッケージ中の傾斜板ぼかしフィルタの配置を示す図である。
【図13】ぼかしフィルタとして使用される構造化物品を製造するための製造方法の一例を示す図である。
【図14】傾斜板ぼかしフィルタを製造するための製造方法の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ぼかしフィルタであって:
(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および前記本体の厚さ方向にあり前記第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体を含み;
(b)前記第1および第2の表面は、構造化されておらず、複屈折性であり、
レンズとイメージセンサとの間の光路内に、前記第3の軸が前記光路に対して0でない角度となるように前記ぼかしフィルタを配置すると、前記本体によって前記光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、前記イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離される、ぼかしフィルタ。
【請求項2】
前記ぼかしフィルタが、前記光路内に配置され、複数のサブピクセルをそれぞれ有するピクセルを有する前記イメージセンサとともに使用されると、前記複数の光信号が異なるサブピクセル上に入射する、請求項1に記載のぼかしフィルタ。
【請求項3】
前記本体が、(i)前記第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、(ii)前記第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、(iii)前記第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する一軸配向ポリマーフィルムからなり、ここで、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関しては互いに実質的に等しい、請求項1に記載のぼかしフィルタ。
【請求項4】
前記本体が、ポリエステル材料を含む材料からなる、請求項1に記載のぼかしフィルタ。
【請求項5】
(a)別の本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および前記本体の厚さ方向にあり前記第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する別の本体をさらに含み;
(b)前記別の本体の前記第1および第2の表面は、構造化されておらず、複屈折性であり、
前記本体の前記第1および第2の面内軸ならびに前記第3の軸が、前記別の本体の前記第1および第2の面内軸ならびに前記第3の軸に対して相対的な配向を有する、請求項1に記載のぼかしフィルタ。
【請求項6】
前記本体と前記別の本体との間にフィルムをさらに含み、前記フィルムが、リターダ、波長板、多層光学フィルム、IRフィルタ、または円偏光子の少なくとも1つを含む、請求項5に記載のぼかしフィルタ。
【請求項7】
前記本体の表面上に反射防止コーティングをさらに含む、請求項5に記載のぼかしフィルタ。
【請求項8】
ぼかしフィルタの製造方法であって:
(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および前記本体の厚さ方向にあり前記第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体を提供するステップ;および
(b)前記第1および第2の表面が構造化されず複屈折性である前記本体を形成するステップを含み、
レンズとイメージセンサとの間の光路内に、前記第3の軸が前記光路に対して0でない角度となるように前記ぼかしフィルタを配置すると、前記本体によって前記光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、前記イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離される、方法。
【請求項9】
前記ぼかしフィルタが、前記光路内に配置され、複数のサブピクセルをそれぞれ有するピクセルを有する前記イメージセンサとともに使用されると、前記複数の光信号が異なるサブピクセル上に入射する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記提供ステップが、(i)前記第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、(ii)前記第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、(iii)前記第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する一軸配向ポリマーフィルムから前記本体を形成するステップを含み、ここで、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関しては互いに実質的に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ポリエステル材料から前記本体を形成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
(a)別の本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および前記本体の厚さ方向にあり前記第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する別の本体を提供するステップと;
(b)第2の本体の前記第1および第2の表面が構造化されず複屈折性である前記別の本体を形成するステップとをさらに含み、
前記本体の前記第1および第2の面内軸ならびに前記第3の軸が、前記別の本体の前記第1および第2の面内軸ならびに前記第3の軸に対して相対的な配向を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記本体と前記別の本体との間にフィルムを提供するステップをさらに含み、前記フィルムが、リターダ、波長板、多層光学フィルム、IRフィルタ、または円偏光子の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記本体の表面上に反射防止コーティングを形成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ぼかしフィルタを有する光学パッケージであって:
開口部を有する第1の末端と、開口部を有する第2の末端と、光路を画定する内部部分とを有するハウジングと;
前記第1の末端内のレンズであって、前記パッケージがイメージセンサ上に配置され、前記第2の末端内の前記開口部が前記イメージセンサと隣接して配置されると、入射光の焦点をイメージセンサ上に合わせる、レンズと;
前記ハウジングの前記第1および第2の末端の間の前記内部部分の前記光路内に配置されるぼかしフィルタであって:
(a)本体であって、(i)第1および第2の表面、および(ii)互いに直交する第1および第2の面内軸、および前記本体の厚さ方向にあり前記第1および第2の面内軸と互いに直交する第3の軸、を有する本体を含み;
(b)前記第1および第2の表面は、構造化されておらず、複屈折性であり、
レンズとイメージセンサとの間の光路内に、前記第3の軸が前記光路に対して0でない角度となるように前記ぼかしフィルタを配置すると、前記本体によって前記光路内の光信号が屈折され、複数の光信号が、前記イメージセンサ上に入射するときに少なくとも部分的に空間的に分離される、ぼかしフィルタと;
を含む、光学パッケージ。
【請求項16】
前記ぼかしフィルタが、前記光路内に配置され、複数のサブピクセルをそれぞれ有するピクセルを有する前記イメージセンサとともに使用されると、前記複数の光信号が異なるサブピクセル上に入射する、請求項15に記載の光学パッケージ。
【請求項17】
前記本体が、(i)前記第1の面内軸に沿った第1の屈折率(n1)と、(ii)前記第2の面内軸に沿った第2の屈折率(n2)と、(iii)前記第3の軸に沿った第3の屈折率(n3)とを有する一軸配向ポリマーフィルムからなり、ここで、n1≠n2およびn1≠n3であり、n2およびn3は、n1との差に関しては互いに実質的に等しい、請求項15に記載の光学パッケージ。
【請求項18】
前記本体が、ポリエステル材料を含む材料からなる、請求項15に記載の光学パッケージ。
【請求項19】
前記ハウジング内の前記光路内にフィルムをさらに含み、前記フィルムが、リターダ、波長板、多層光学フィルム、IRフィルタ、または円偏光子の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の光学パッケージ。
【請求項20】
前記本体の表面上に反射防止コーティングをさらに含む、請求項15に記載の光学パッケージ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図3N】
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【図3O】
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【図3P】
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【図3Q】
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【図3R】
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【図3S】
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【図3T】
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【図3U】
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【図3V】
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【図3W】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−529098(P2008−529098A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554130(P2007−554130)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/002357
【国際公開番号】WO2006/083610
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】