説明

まつ毛用化粧料

【課題】カールアップ力及びキャッチ感が高く、化粧持ちに優れた水中油型まつ毛用化粧料の提供。
【解決手段】0.05〜20質量%のプルラン、5〜50質量%の固体脂、樹脂分として3〜30質量%の樹脂エマルジョンを含有し、総固形分量が40〜70質量%である水中油型まつ毛用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、まつ毛用化粧料においては、固体脂を多量に含有させることにより、高いカールアップ力が得られることが知られている。しかしながら、固体脂を多く含むまつ毛用化粧料は剤が硬く、伸びが悪くなるため、付着性は不十分であった。
特許文献1には、水性相にフィルム形成性ポリマーおよびワックスを含む化粧料が、塗布性が良く、優れた保持性とかさ高効果示すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−1692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような化粧料は、欧米人のように元々まつ毛が長く上方に向かって生えている人には使いやすく、美しい仕上がりを与えるが、東洋人に多いまつげが短く下向きに生えている人には、不十分である。このため、従来の基本性能に加えて、まつ毛をブラシで捉えて持ち上げやすいと強く実感でき(キャッチ感がある)、簡単にカールアップが作れるものが求められている。
このキャッチ感は、化粧料の粘度を上げることである程度は改善されるものであるが、単に粘度を向上させるために水溶性高分子を多量に含有させた場合には、化粧持ちが悪くなるという問題があった。
本発明は、キャッチ感に優れ、カールアップ力が高く、化粧持ちの良いまつ毛用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、まつ毛用化粧料に水溶性ポリマーとしてプルランを用い、固体脂及び樹脂エマルジョンを特定量含有させることで、上記課題を解決しうることを見出した。また、本発明者らは、このようなまつ毛用化粧料と、特定の形状の塗布具とを組み合わせることで、キャッチ感に優れ、カールアップ力が高く、化粧持ちの良いマスカラとなることを見出した。
【0006】
本発明は、(A)プルラン0.05〜20質量%、(B)固体脂5〜50質量%、及び(C)樹脂エマルジョンを樹脂分として3〜30質量%含有し、総固形分量が40〜70質量%である水中油型まつ毛用化粧料を提供するものである。
また、本発明は、植毛部のみかけ最大径が2.5〜6.0mmである塗布具と、上記水中油型まつ毛用化粧料を組み合わせたマスカラ剤キットを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のまつ毛用化粧料は、キャッチ感に優れ、カールアップ力が高く、化粧持ちの良いものである。
なお、まつ毛用化粧料にプルランを使用し得ることは、特表2000−503038号公報に開示されているが、50種を超える水溶性ポリマーの一種として例示されているのみであり、本発明の効果はおろか、どのような特性を与えるか等の記載、教示、動機付けは一切存しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例で用いたマスカラの塗布具の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)のプルランは、デンプンを原料とし、黒酵母の一種であるAureobasidium pullulansを培養して得られた、マルトトリオースが規則正しくα−1,6結合した天然多糖類である。
プルランは水溶性高分子でありながら、耐湿性のある強靭なフィルムを形成する特徴を有しているため、水中油型まつ毛用化粧料に配合した場合には、他の水溶性高分子と比較して化粧持ち性能が低下しにくく、且つカール性能向上にも寄与するものと考えられる。
このようなプルランとして、化粧品用プルラン(林原社製)等の市販品を用いることができる。
【0010】
プルランとしては、重量平均分子量が5万以上、特に10万以上、更に15万以上のものが、化粧料のキャッチ感や、化粧持ち性能、カール性能及び化粧料に適正な粘度を付与する点で好ましい。プルランの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、400万以下のものが好ましく、50万以下のものがより好ましい。重量平均分子量を400万以下とすることで、高いキャッチ感と適度な粘度を付与することができる。
【0011】
プルランは、全組成中に0.05〜20質量%、好ましくは0.2〜12質量%、更に好ましくは0.5〜7質量%含有される。この範囲内であれば、キャッチ感向上、カール性能向上及び化粧料に適正な粘度を付与することができ、好ましい。
【0012】
本発明で用いる成分(B)の固体脂は、融点が40℃以上で水不溶のものをいう。特に、融点が60〜110℃のものが好ましく、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、木ロウ、ヒマワリ種子ロウ、オレンジワックス、レモンワックス、セラックワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、水添ホホバ油、雪ロウ、合成ミツロウ等が挙げられる。これらのうち、植物性ワックスおよび動物性ワックスが好ましく、特にコメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウが、カール性能付与の点から好ましく、また、付着性付与及び皮膜の柔軟性付与の点から、ミツロウが好ましい。
【0013】
固体脂は、1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%含有される。この範囲内であれば、カールアップ力やボリューム効果を発現することができ、好ましい。
【0014】
本発明で用いる成分(C)の樹脂エマルジョンとしては、アクリル酸やメタクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーエマルジョンや共重合体エマルジョン、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルポリマーエマルジョン、酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエマルジョン、シリコーン系ポリマーエマルジョン等が挙げられ、特に、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンが好ましい。
樹脂エマルジョンを構成する樹脂のガラス転移点は−20℃〜100℃であることが好ましく、−5℃〜70℃であることがより好ましい。樹脂のガラス転移点をこの範囲にすることで、高いカールアップ性とその持続性が得られる。樹脂エマルジョン中の樹脂分は特に制限はないが、20〜60質量%、特に25〜55質量%であることか好ましい。
このような樹脂エマルジョンとして、ヨドゾールGH34F(日本エヌエスシー社製)、ダイトゾール5000AD(大東化成工業社製)、SYNTRAN 5190、同5760、同5760CG(Interpolymer Corporation社製)、ビニゾール2140L(大同化成工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0015】
これらの樹脂エマルジョンは、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合、ガラス転移温度の異なるポリマー2種以上を組合せることもできる。
成分(C)の樹脂エマルジョンは、全組成中に、樹脂分として3〜30質量%含有され、さらに、被膜形成能とクレンジング性の観点から、4〜25質量%であるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の化粧料は、総炭素数10〜22の飽和又は不飽和のカルボン酸又は該カルボン酸の一部又は全部が中和されている塩を含有することができる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸等のカルボン酸、及びこれらの塩を含有することができ、固体脂や粉体等の乳化分散性を向上させることができる。
これらは1種又は2種以上を用いることができ、固体脂や粉体等を均一に乳化、又は分散させる点から、全組成中に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含有されるのが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の化粧料は、種々の界面活性剤を含有することができ、固体脂や粉体等の乳化、又は分散性を向上させることができる。
界面活性剤としては、乳化を安定的に行えるものであれば特に制限されず、化粧品一般に用いられる、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。
これらのうち、本発明においては、化粧料を構成する他の物質との安定な配合性が得られる点で、非イオン界面活性剤が好ましい。具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル共変性シリコーン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中で、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0018】
これらの界面活性剤は1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜8質量%、特に0.2〜4質量%含有するのが好ましい
【0019】
本発明においては、成分(A)のプルランがキャッチ感向上だけではなく、増粘作用も有することから、特別に増粘剤を用いる必要はないが、化粧料に通常用いられる増粘剤を、水相中に含有させることができ、まつ毛をカールアップ及びボリュームアップし、それを保持する効果をより高めることができる。増粘剤としては、例えば、粘土鉱物、プルラン以外の多糖類、水溶性タンパク質、合成水溶性ポリマー等を挙げることができる。
より具体的には、粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト等が挙げられる。多糖類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類;グアガム、ヒドロキシプロピルグアガム、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、カチオン化グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガカントガム、ペクチン、グルコマンナン、シゾフィラン等の非セルロース系植物由来多糖類;カラギーナン、アルギン酸、寒天、アガロース等の海藻由来ガム類;キサンタンガム、デキストラン、ジェランガム、カードラン等の微生物由来多糖類;ヒアルロン酸等が挙げられる。水溶性タンパク質としては、例えば、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ポリアミノ酸等が挙げられる。合成の水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸及びその一部又は全部が中和されている塩、ポリスチレンスルホン酸及びその一部又は全部が中和されている塩、並びにそれらと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0020】
これらの増粘剤は、1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%含有するのが好ましい。
【0021】
本発明においては、乾燥速度制御の点から、揮発性油剤を含有することができる。
揮発性油剤は、沸点が常圧で300℃以下の油剤を示し、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油が好ましい。より具体的には、例えば、イソドデカン、水添ポリイソブテン等の揮発性炭化水素油;オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン油が挙げられる。これらのうち、特にイソドデカン、炭素数8〜16を中心とする飽和イソパラフィン系炭化水素油(水添ポリイソブテン)が好ましい。市販品としては、丸善石油化学社製のマルカゾールR、出光興産社製のIPソルベント1620、同2028等を使用することができる。
【0022】
これらの揮発性油剤は、1種又は2種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含有するのが好ましい。
【0023】
本発明の化粧料は、さらに、化粧料に通常用いられる粉体成分を含有することができる。かかる粉体成分としては、例えば、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、カーボンブラック、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、合成セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、スメクタイト等の無機粉体;雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体;微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体などが挙げられる。
【0024】
更に、ボリューム効果を高めるために、PMMA、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリカ等の球状粉体や、ロングラッシュ効果を高めるため、繊維を含有することができる。繊維としては、木綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン等の合成繊維のいずれを使用してもよいが、強度の点から、ナイロンなどのポリアミド繊維が好ましい。
繊維は、太さが1.0〜25.0T(T:デシテックス。繊維1万mあたりの質量)、長さが0.1〜5mmのものが好ましい。繊維の含有量は十分なロングラッシュ効果が得られる点から、全組成中に0.1〜6質量%であることが好ましい。また、断面形状は丸型と比較して、星型等の異形断面の方が、まつ毛への並びやすさが向上し、よりロングラッシュ効果が高まるので好ましい。
【0025】
各種粉体は、ポリアクリル酸、シリコーン、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アミノ酸、アルキルシラン、アクリルシリコーン、フッ素化合物等により表面処理したもの、あるいは有機又は無機マイクロカプセル中に内包したものを用いることができる。
前記各種粉体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明のまつ毛用化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、水、高級アルコール、アルコール類、多価アルコール類、pH調整剤、中和剤、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、各種エキス等、その他種々の添加剤を含有することができる。
【0027】
本発明のまつ毛用化粧料の総固形分量は、40〜70質量%、好ましくは42〜60質量%である。この範囲内であれば、皮膜強度が十分に発現され、カールアップ力も良好であり、またボリューム感に優れるため好ましい。なお、固形分とは、単独の状態で、25℃にて固体または半固体である成分であり、プルラン、固体脂の他、水相中に分散または溶解されている皮膜剤、増粘剤、界面活性剤、粉体、顔料、繊維、防腐剤等が含まれる。
【0028】
本発明の化粧料は、例えば、融点以上に加熱した固体脂等の油相成分を、85℃程度に加熱して均一にした水相成分(プルランを含む)の中に添加し、撹拌しつつ冷却した後に、樹脂エマルジョンを均一に混合することにより、水中油型化粧料として、製造することができる。
【0029】
本発明のまつ毛用化粧料は、25℃におけるB型粘度計(形式B8R、東機産業社製)での粘度が100,000〜2,000,000mPa・s、特に200,000〜1,000,000mPa・sであるのが、まつ毛へ塗布した際に、対象物への付着性が向上し、乾燥速度も速く、且つカールアップ力を良好にすることができるので好ましい。なお、粘度測定は、1分の予備回転後の値を用いる。回転数及びローターは、まつ毛用化粧料の粘度範囲に応じて、指示値がゲージの10〜100の範囲に入るように適宜選択する。
【0030】
本発明のまつ毛用化粧料は、まつ毛用化粧料に通常用いられる繊維を針金でねじったブラシや、コーム形状、コイル形状等の塗布具、樹脂を用いてブラシ形状に成形した樹脂成形ブラシなどを用いて適用することができる
塗布部の形状は、真っ直ぐでも、目の形状に合わせるためや、塗りやすさを向上させるために弓型や波型に湾曲していても良い。弓型の曲率は、塗布性を考慮しR50〜100、特にR50〜70が塗りやすさの点で好ましい。
また、塗布具の植毛部の見かけ最大径は、まつ毛の根元から塗布しやすい点や、瞼などのまつ毛以外の場所に化粧料が付かない点から、6.0mm以下、特に5.5mm以下、更に5.0mm以下であることが好ましい。また、塗布具の植毛部の見かけ最大径はまつ毛用化粧料の保持量、まつ毛の捕らえやすさ、まつ毛のさばきやすさの点で、2.5mm以上、特に3.0mm以上であるのが好ましい。最大径6.0mm以下の塗布具を用いることで、まつ毛が塗布具に付着している化粧料に接しやすくなり、化粧料が有しているキャッチ感を発現しやすくなる。更に弓型にすることによりまつ毛への接触面積が向上するため、よりキャッチ効果が向上する。
【実施例】
【0031】
実施例1及び比較例1〜2
表1に示す組成の水中油型まつ毛用化粧料を製造し、カールアップ力、キャッチ感及び化粧持ちを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0032】
(製造方法)
95℃で撹拌溶融した固体脂及び脂肪酸を、あらかじめ85℃にて均一溶解、分散させておいた水相成分中に添加し、撹拌しつつ45℃まで冷却した後に樹脂エマルジョンを添加し、更に撹拌しつつ25℃まで冷却した後、脱気することにより、水中油型まつ毛用化粧料を得た。
【0033】
塗布具は、図1に示したように、まつ毛用化粧料に通常用いられる繊維を針金でねじったブラシで、塗布部全長25mm、最大径5.0mm、先端径3.5mm、根元径4.0mm、形状R55の弓型のものを用いた。
【0034】
(評価方法)
女性モニター20人により、各まつ毛用化粧料を使用したときの、カールアップ力、キャッチ感及び化粧持ちを官能評価した。
【0035】
(1)カールアップ力:
各まつ毛用化粧料を塗布直後の状態について、目視評価し、カールアップ力に優れると評価した人数により判定した。
【0036】
(2)キャッチ感:
各まつ毛用化粧料を塗布している時の使用感について、官能評価し、キャッチ感に優れると評価した人数により判定した。
【0037】
(3)化粧持ち:
各まつ毛用化粧料を塗布し、8時間経過時点の状態について、目視評価し、にじまなさに優れると評価した人数により判定した。
【0038】
【表1】

【0039】
*1:クローダジャパン社製、BEES WAX−S(融点60〜67℃)。
*2:セラリカNODA社製、脱臭精製カルナウバワックスNo.1(融点80〜86℃)。
*3:セラリカNODA社製、ライスワックスF−1(融点75〜80℃)。
*4:ミツバ貿易社製、精製キャンデリラワックスSR−2(融点68〜72℃)。
*5:花王社製、ルナックS−98(融点67〜69℃)。
*6:花王社製、ルナックBA(融点69〜80℃)。
*7:日本エヌエスシー社製、ヨドゾールGH34F(ポリマー固形分42%)。
*8:林原社製、化粧品用プルラン(重量平均分子量20万)。
*9:三栄薬品貿易社製、アラビックコールSS。
*10:ダイセル化学工業社製、HECダイセル SE400。
*11:日本サーファクタント工業社製、ニッコール MYS−40V。
*12:AGCエスアイテック社製、サンスフェア H−51。
【0040】
表1の結果より、本発明のまつ毛用化粧料は、カールアップ力、キャッチ感及び化粧持ちに優れたものであった。これに対し、プルランを含有しない比較例1は、カールアップ力には優れるものの、キャッチ感及び化粧持ちが悪く、総固形分が40質量%未満である比較例2は、化粧持ちには優れるものの、カールアップ力及びキャッチ感が悪かった。また、いずれのまつ毛用化粧料も、最大径5.0mmという細身のブラシで塗布したため、まつ毛の根元から塗りやすく、且つまつ毛以外の瞼などに剤が付くことはなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プルラン0.05〜20質量%、(B)固体脂5〜50質量%、及び(C)樹脂エマルジョンを樹脂分として3〜30質量%含有し、総固形分量が40〜70質量%である水中油型まつ毛用化粧料。
【請求項2】
(A)プルランが、重量平均分子量5万〜400万のものである請求項1記載の水中油型まつ毛用化粧料。
【請求項3】
植毛部の見かけ最大径が2.5〜6.0mmである塗布具と、請求項1又は2記載の水中油型まつ毛用化粧料を組み合わせたマスカラ剤キット。

【図1】
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【公開番号】特開2011−157289(P2011−157289A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19348(P2010−19348)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】