説明

めっき基板およびその製造方法

【課題】微細パターンの金属層が精度良く形成されためっき基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるめっき基板100の製造方法は、無電解めっき法により金属層33を形成するめっき基板の製造方法であって、基板10上に所定パターンの樹脂成形体22を形成する工程と、樹脂成形体の上に触媒層31を形成する工程と、無電解めっき液に基板を浸漬することにより、触媒層上に金属を析出させて金属層33を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に金属配線等を形成する際、たとえばサブトラクティブ法によって形成される。サブトラクティブ法では、基板の全面に金属層を形成し、金属層上にフォトレジストを塗布してパターニングし、そのフォトレジストをマスクとして金属層をエッチングする。このような方法では、フォトレジストを最終的に除去する点や金属層の一部を除去する点において、資源および材料の消費が問題となる場合があった。
【特許文献1】特開平10−65315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、微細パターンを精度良く形成されためっき基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかるめっき基板は、
無電解めっき法により形成された金属層を有するめっき基板であって、
基体上に形成された所定のパターンの樹脂成形体と、
前記樹脂成形体の上方に形成された触媒層と、
前記触媒層の上に形成された金属層と、
を含む。
【0005】
本発明にかかるめっき基板において、
前記金属層は、前記樹脂成形体の形成領域および非形成領域にも形成されており、
前記樹脂成形体の形成領域に形成された金属層の膜厚は、前記樹脂成形体の非形成領域に形成された金属層の膜厚より大きいことができる。
【0006】
本発明にかかるめっき基板において、
前記樹脂成形体と前記触媒層の間に形成された触媒吸着層をさらに含むことができる。
【0007】
本発明にかかるめっき基板において、
前記樹脂成形体は、フォトレジストからなることができる。
【0008】
本発明にかかるめっき基板において、
前記基体は所定の波長の光を透過する透明基板であることができる。
【0009】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
無電解めっき法により金属層を形成するめっき基板の製造方法であって、
(a)基板上に所定パターンの樹脂成形体を形成する工程と、
(b)前記樹脂成形体の上に触媒層を形成する工程と、
(c)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層上に金属を析出させて金属層を形成する工程と、を含む。
【0010】
本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によれば、樹脂成形体を除去することなく金属層を形成することができるため、資源の消費を抑制することができる。また、樹脂成形体の形状に応じた形状の金属層を形成することができるため、精度よく微細パターンの金属層を形成することができる。
【0011】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
基板に流動状態の樹脂材料を塗布する工程と、
所定パターンの凹パターンを有するナノスタンパを前記基板上に押し付けて、前記樹脂材料に前記所定パターンを転写する工程と、
前記樹脂材料を硬化させる工程と、
を含むことができる。
【0012】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)と(b)との間に、
アッシングによって、硬化させた樹脂材料の上部および前記所定パターン以外の領域の樹脂材料を除去することができる。
【0013】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記樹脂成形体は、フォトレジストからなり、
前記工程(a)では、干渉露光法を用いて前記樹脂成形体を形成することができる。
【0014】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)と(b)との間に、
(d)前記基板をアルカリ溶液に浸漬することによって、前記樹脂成形体の一部を除去する工程をさらに含むことができる。
【0015】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(d)と(b)との間に、
前記基板上の樹脂成形体上に触媒吸着層を形成する工程をさらに含むことができる。
【0016】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)と(b)との間に、
前記基板をアルカリ性の界面活性剤溶液に浸漬することによって、前記樹脂成形体の一部を除去するとともに、基板上の樹脂成形体上に界面活性剤層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
1.めっき基板の製造方法
図1〜図11は、第1の実施の形態にかかるめっき基板100(図12参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用してめっき基板を製造する。
【0019】
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図1に示すように絶縁基板であってもよい。後述する工程により絶縁基板上に金属層を形成することによって、配線基板を製造することができる。あるいは、基板10は、可視光を透過する光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。後述する工程により光透過性基板上に金属層を形成することによって、たとえば偏光板や位相差フィルムのような光学素子を製造することができる。
【0020】
また基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。また基板10の表面には、凹凸がないことが好ましく、たとえば凹凸の高さが10nm未満であることが望ましい。
【0021】
ついで、基板10上に所定のパターンの樹脂成形体22cを形成する。樹脂成形体22cを形成する方法としては、公知の方法を用いることができるが、たとえば干渉露光法やナノインプリント技術を用いることができる。本実施の形態では、ナノインプリント技術を用いて樹脂成形体22cを形成する場合について説明する。
【0022】
まず、図1に示すように、流動状態の樹脂材料22aを基板10に塗布する。樹脂材料22aとしては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。塗布方法としては、スピンコート法等の公知の方法を用いることができる。
【0023】
次いで、ナノスタンパ12を基板10方向(図2の矢印方向)に押圧することにより、樹脂材料に所定パターンを転写する。ここで所定パターンとは、一定間隔をおいて配置された複数の線の周期パターンであってもよい。樹脂材料22aが光硬化性樹脂の場合には、ナノスタンパ12は、光透過性のものを用いてもよい。
【0024】
次いで、樹脂成形体22bを硬化させて、ナノスタンパ12を樹脂成形体22bから剥離する(図3参照)。このようにして、図4に示すように、所定パターンを有する樹脂成形体22bを形成することができる。
【0025】
樹脂成形体22bを用いて、後述する工程(2)に進んでも良いが、図5に示すように所定パターンの隙間の樹脂成形体22bの一部をエッチバック等により除去してもよい。樹脂成形体22bがフォトレジストからなる場合には、アッシングにより一部を除去してもよい。ここでは、所定パターンの隙間の樹脂成形体22bの一部とともに、所定パターンの領域の樹脂成形体22bの上部も除去される。この除去工程を経ることによって、樹脂成形体22cを形成することができる。
【0026】
ナノインプリント技術を用いて樹脂成形体22cを形成する方法は以上であるが、上述したように干渉露光法を用いても樹脂成形体22cを形成することができる。干渉露光法を用いる場合には、樹脂材料22aとしてフォトレジストを適用し、予め反射防止膜を基板10上に設けておくことが好ましい。
【0027】
(2)次に、基板10を洗浄する。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等の樹脂成形体22cに与えるダメージを防止することができる。
【0028】
ドライ洗浄は、図6に示すように、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)18を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線20を照射して行うことができる。第1の支持基板10を洗浄することによって、第1の支持基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、第1の支持基板10および樹脂成形体22cの表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、第1の支持基板10の液中表面電位が負電位であれば、第1の支持基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
【0029】
ウエット洗浄は、例えば、第1の支持基板10をオゾン水(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。
【0030】
(3)次に、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層24を樹脂成形体22c上に形成する。
【0031】
まず、図7に示すように、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を溶解した触媒吸着溶液14に基板10を浸漬する。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである。
【0032】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤や、アルキルアンモニウム系の界面活性剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムブロマイド等)などを用いることができる。触媒吸着溶液14に含まれるシラン系カップリング剤としては、たとえばヘキサメチルジシラザンを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜15分程度とすることができる。
【0033】
次いで、触媒吸着溶液14から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図8に示すように、触媒吸着層24を基板10に設けることができる。このとき、界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
【0034】
また、基板10を触媒吸着溶液14に浸漬することによって、樹脂成形体22cは、一部除去されて、図8に示すような形状になる。具体的には、樹脂成形体22cは、触媒吸着溶液14に接触する外側の部分が削られるように一部除去される。これは、触媒吸着溶液14がアルカリ性を示す場合、たとえばpH11〜pH12を示す場合に、樹脂成形体22cの一部が溶解し、一部除去されることができる。このようにして、樹脂成形体22cの大きさをかえることができる。従って、基板10の触媒吸着溶液14への浸漬時間やpHを調整することによって、樹脂成形体22cの大きさを制御することができる。
【0035】
(4)次に、触媒層31を基板10上に形成する。まず、図9に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。
【0036】
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水と過酸化水素水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01〜0.05g/lとする。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.5〜6.8に調整する。
【0037】
触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電解めっき液に混入するのを防止することができる。
【0038】
以上の工程により、触媒層31が形成される。触媒層31は、図10に示すように、基板10および樹脂成形体22上の触媒吸着層24の上面に形成される。
【0039】
(5)次に、基板上に金属層33を形成する。具体的には、触媒層31が形成されている領域に金属層33を形成する。具体的には、図11に示すように、金属を含む無電解めっき液36に基板10を浸漬させることによって、金属層33を析出させることができる。ここで無電解めっき液36は、基板10上にめっき粒子として析出する際、めっき粒子の平均粒径が20nm〜50nmになるように調整されることが好ましい。このような無電解めっき液36は、pH、温度、調整時間等をかえることにより調整することができる。また無電解めっき液36への基板10の浸漬時間が一定時間以上になると、めっき粒子の平均粒径が50nmより大きくなってしまうため、浸漬時間は、一定時間以内であることが好ましい。
【0040】
金属は、たとえばニッケルであることができる。無電解めっき液36としては、酸性で使用するタイプとアルカリ性で使用するタイプがあるが、無電解めっき液36の一例としては酸性で使用するタイプのものを適用する。無電解めっき液36は、上述した金属と、還元剤および錯化剤等を含む。具体的には、無電解めっき液36としては、硫酸ニッケル6水和物または塩化ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。例えば、硫酸ニッケル6水和物を含む無電解めっき液(温度70〜80℃)に基板10を10秒〜10分程度浸漬することによって、20nm〜100nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。
【0041】
こうして、図12に示すように、基板10上の触媒層31の上面に金属層33を形成することができる。
【0042】
無電解めっき液に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われてもよいし、水蒸気によって行われてもよいし、純水及び水蒸気の双方を用いて行われてもよい。また、水洗後、基板10に熱処理を施すことによって乾燥してもよい。これによって金属層33の基板10に対する密着性を向上させることができる。
【0043】
以上の工程により、図12に示すように、めっき基板100を形成することができる。めっき基板100の金属層33は、樹脂成形体22の上方および側面に形成されている。樹脂成形体22は、金属層33の芯として機能することができる。金属層33は、樹脂成形体22の隙間、即ち所定のパターン以外の領域にも形成されていてもよい。本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法によれば、樹脂成形体22の上方の金属層33の膜厚を、所定のパターン以外の領域の金属層33の膜厚より大きくすることができる。具体的には以下のように想定される。
【0044】
本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、無電解めっき液36に基板10を浸漬することによって、金属層33を析出させている。金属層33は、無電解めっき反応によって形成される。無電解めっき反応は、無電解めっき液中の還元剤と金属イオンとの還元反応であり、金属イオンが還元剤から電子を受け取ることによりめっき粒子が析出する反応である。この反応は、触媒層31に含まれる触媒によって促進されるため、主に触媒層31の近傍で進行する。無電解めっき液中では、複数の金属イオンが集合体となって存在しているため、複数の金属原子の集合体であるめっき粒子が還元反応によって析出する。なお、複数の金属イオンの集合体の大きさは、無電解めっき液のpH、温度、時間等によって制御することができる。
【0045】
本実施の形態では、無電解めっき液36中のめっき粒子が樹脂成形体22の間に入り込むことによって、樹脂成形体22の隙間、即ち所定のパターン以外の領域にも金属層33を析出させることができる。樹脂成形体22の上方に存在する無電解めっき液36は、樹脂成形体22の間に入り込んだ無電解めっき液36にくらべて、流動性に富んでいる。よって、樹脂成形体22の上方付近における無電解めっき液36は、金属イオンが析出に使用されたとしても、流動性に富んでいるため、金属イオンの濃度がほぼ一定の状態でいることができる。これに対し、樹脂成形体22の間における無電解めっき液36は、金属層33として金属イオンが析出した後に一時的に金属イオンの濃度が低い状態になるため、金属層33の析出速度が低くなる。したがって、本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法によれば、樹脂成形体22の上方の金属層33の膜厚を、所定のパターン以外の領域の金属層33の膜厚より大きくすることができる。
【0046】
2.めっき基板
上述した方法により製造されためっき基板100について、図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態にかかるめっき基板100を模式的に示す斜視図である。めっき基板100は、基板10と当該基板10上に形成された金属層33とを含む。金属層33は、所定のパターンを有する。所定のパターンは、たとえば1次元または2次元の周期的なパターンであることができる。めっき基板100は、光透過性基板上に所定のパターンを有することにより、偏光板等の光学素子基板として機能することができる。たとえば図13に示すように、めっき基板100は、一定の間隔bと一定の幅aの直線状の金属層がX軸方向に繰り返し設けられている1次元の周期的なパターン(ストライプ形状)であることができる。周期方向(X軸方向)における幅aが可視光の波長以下であり、かつ基板10が光透過性基板からなる場合には、めっき基板100は、偏光板として機能することができる。
【0047】
まためっき基板は、たとえば幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることができる。
【0048】
3.電子デバイス
図14は、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によって製造されるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す。基板10が絶縁基板である場合には、めっき基板100は、配線基板として機能することができる。電子デバイス1000は、配線基板としてのめっき基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
【0049】
めっき基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。めっき基板100は、上述した製造方法によって製造される。図14に示す例では、めっき基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、めっき基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
【0050】
また、光学素子基板としてのめっき基板100は、液晶ディスプレイ装置、プロジェクター装置等の偏光板として機能してもよい。
【0051】
4.実験例
本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0052】
(1)まず、干渉露光法によりガラス基板上に樹脂成形体を形成した。具体的には、ガラス基板上に樹脂材料であるフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約140nmピッチで約70nm幅の直線状に露光、現像することにより、約70nm幅の直線状のラインと約70nm間隔を有するストライプ状の開口部を有するフォトレジストからなる樹脂成形体を形成した。
【0053】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬した。次いで、このガラス基板をパラジウム触媒溶液に浸漬した。これにより、ガラス基板および樹脂成形体の上面に触媒層が形成された。
【0054】
(3)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、80℃のニッケル無電解めっき液に5分浸漬し、樹脂成形体の上面においては約80nm程度の厚み、樹脂成形体の隙間においては約20nm程度の厚みのニッケル金属層を形成した。
【0055】
このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図15に示す。このニッケル金属層は、図15に示すとおり、樹脂成形体の上およびその隙間に形成され、樹脂成形体の上のニッケル金属層の膜厚は、樹脂成形体の隙間に形成されたニッケル金属層の膜厚より大きいことが確認された。
【0056】
また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図2】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図3】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図4】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図5】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図6】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図7】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図8】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図9】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図10】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図11】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図12】本実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図13】本実施の形態にかかるめっき基板を示す斜視図。
【図14】本実施の形態にかかるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。
【図15】実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【符号の説明】
【0058】
10 基板、12 ナノスタンパ、14 触媒吸着溶液、18 光源、20 光、22、22b、22c 樹脂成形体、22a 樹脂材料、24 触媒吸着層、30 触媒溶液、31 触媒層、32 触媒層、33 金属層、90 集積回路チップ、92 他の基板、100 めっき基板、1000 電子デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっき法により形成された金属層を有するめっき基板であって、
基体上に形成された所定のパターンの樹脂成形体と、
前記樹脂成形体の上方に形成された触媒層と、
前記触媒層の上に形成された金属層と、
を含む、めっき基板。
【請求項2】
請求項1において、
前記金属層は、前記樹脂成形体の形成領域および非形成領域にも形成されており、
前記樹脂成形体の形成領域に形成された金属層の膜厚は、前記樹脂成形体の非形成領域に形成された金属層の膜厚より大きい、めっき基板。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記樹脂成形体と前記触媒層の間に形成された触媒吸着層をさらに含む、めっき基板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記樹脂成形体は、フォトレジストからなる、めっき基板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記基体は所定の波長の光を透過する透明基板である、めっき基板。
【請求項6】
無電解めっき法により金属層を形成するめっき基板の製造方法であって、
(a)基板上に所定パターンの樹脂成形体を形成する工程と、
(b)前記樹脂成形体の上に触媒層を形成する工程と、
(c)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層上に金属を析出させて金属層を形成する工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記工程(a)は、
基板に流動状態の樹脂材料を塗布する工程と、
所定パターンの凹パターンを有するナノスタンパを前記基板上に押し付けて、前記樹脂材料に前記所定パターンを転写する工程と、
前記樹脂材料を硬化させる工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記工程(a)と(b)との間に、
アッシングによって、硬化させた樹脂材料の上部および前記所定パターン以外の領域の樹脂材料を除去する、めっき基板の製造方法。
【請求項9】
請求項6において、
前記樹脂成形体は、フォトレジストからなり、
前記工程(a)では、干渉露光法を用いて前記樹脂成形体を形成する、めっき基板の製造方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)と(b)との間に、
(d)前記基板をアルカリ溶液に浸漬することによって、前記樹脂成形体の一部を除去する工程をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記工程(d)と(b)との間に、
前記基板上の樹脂成形体上に触媒吸着層を形成する工程をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項12】
請求項6ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)と(b)との間に、
前記基板をアルカリ性の界面活性剤溶液に浸漬することによって、前記樹脂成形体の一部を除去するとともに、基板上の樹脂成形体上に界面活性剤層を形成する、めっき基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−88514(P2008−88514A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271805(P2006−271805)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】