めっき基板の製造方法
【課題】微細パターンの金属層を精度良く形成するめっき基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるめっき基板100の製造方法は、無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、を含む。
【解決手段】本発明にかかるめっき基板100の製造方法は、無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高速化・高密度化に伴い、基板上に金属層を有するめっき基板の製造方法としてアディティブ法が注目を集めている。アディティブ法では、基板上に設けたフォトレジストをパターニングしてめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部にめっき処理を行うことにより金属層を析出させる方法が知られている。特許文献1は、このようにめっきレジストを用いてめっき処理を行うための無電解めっき液を開示している。
【0003】
この方法によれば、めっきレジストを最終的に除去する工程が必要となるので、製造工程数が多いことが課題となっていた。そこで、めっきレジストを使用しないで金属層を析出させる方法が注目されている。
【0004】
一般に、無電解めっき法により金属層を析出させるためには、無電解めっき液に基板を浸漬する。この無電解めっき液に含まれる金属コロイド粒子が基板上に析出して金属微粒子(めっき粒子)となり、これらが集合して金属層を形成する。そのため金属コロイド粒子に起因する金属微粒子の粒径が金属層の最小単位となる。したがって、めっきレジストを使用しないで金属層を析出させる方法を用いた場合に、微細パターンを精度良く形成するためには、無電解めっき液中の金属コロイド粒子の粒径を、配線の幅に適した大きさに調整することが重要である。
【特許文献1】特開平10−140364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、微細パターンを精度良く形成するめっき基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
金属を析出させる無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、を含む。
【0007】
このように、触媒層の形成領域と金属層の形成領域とを異なる領域にすることにより、微細なめっき粒子を基板上に吸着させることができる。即ち、めっき粒子を析出させる領域と、吸着させる領域とを異ならせることによって、微細なめっき粒子であっても基板上に安定的に吸着させることができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0008】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記触媒溶液は、pH4.0〜pH6.9に調整されたものであることができる。
【0009】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、pH2.5〜PH4.0に調整されたものであることができる。
【0010】
このように、無電解めっき液のpHを規定することにより、めっき粒子を微細化することができるため、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0011】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含むことができる。
【0012】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
金属を析出させる無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)当該基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)pH2.5〜PH4.0に調整された無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に所定のパターンの金属層を設ける工程と、
を含む。
【0013】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含むことができる。
【0014】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、を含むことができる。
【0015】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
1.めっき基板の製造方法
図1〜図8は、本実施の形態にかかるめっき基板100(図8参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用してめっき基板を製造する。
【0018】
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図2に示すように絶縁基板であってもよい。後述する工程により絶縁基板上に金属層を形成することによって、配線基板を製造することができる。あるいは、基板10は、可視光を透過する光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。後述する工程により光透過性基板上に金属層を形成することによって、たとえば偏光板のような光学素子基板を製造することができる。
【0019】
また基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。また基板10の表面には、凹凸がないことが好ましく、たとえば凹凸の高さが10nm未満であることが望ましい。
【0020】
ついで、基板10上に所定のパターンのレジスト層22を形成する。レジスト(図示せず)を基板10の上面に塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、図2に示すように、レジスト層22を形成することができる。ここで所定のパターンは、金属層34の形成を所望する領域の形状であって、任意の形状とすることができる。
【0021】
(2)次に、基板10を洗浄する。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等のレジスト層22に与えるダメージを防止することができる。
【0022】
ドライ洗浄は、図2に示すように、真空紫外線ランプを用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10およびレジスト層22の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
【0023】
ウエット洗浄は、例えば、基板10をオゾン水(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。またドライ洗浄は、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。
【0024】
(3)次に、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層24を基板10上に形成する。
【0025】
まず、図3に示すように、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を溶解した触媒吸着溶液14に基板10を浸漬する。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤や、アルキルアンモニウム系の界面活性剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムブロマイド等)などを用いることができる。
【0026】
触媒吸着溶液14に含まれるシラン系カップリング剤としては、たとえばヘキサメチルジシラザンを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
【0027】
次いで、界面活性剤溶液から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図4に示すように、触媒吸着層24を基板10に設けることができる。このとき、界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
【0028】
(4)次に、図5に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。
【0029】
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。ここで塩酸と過酸化水素水と水の混合溶液は、水600mlに対し、35%塩酸を50ml〜200ml、30%過酸化水素水を50ml〜200ml添加したものであることが好ましい。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水と過酸化水素水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01g/l〜0.05g/lとする。ここで添加する水と過酸化水素水の混合比は、水250mlに対し、30%過酸化水素水5ml〜30mlであることが好ましい。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.0〜6.9に調整する。このように調整することにより、触媒層を形成するのに適した触媒溶液とすることができる。
【0030】
なお、触媒溶液30は、最終的に上述したpHを有していればよく、各溶液の添加の順序は特に限定されず、たとえば水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調整した後に過酸化水素水を添加してもよい。
【0031】
触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電解めっき液に混入するのを防止することができる。
【0032】
以上の工程により、触媒層31が形成される。触媒層31は、図6に示すように、基板10およびレジスト層22上の触媒吸着層24の上面に形成される。
【0033】
(5)次に、基板10上のレジスト層22を除去する。具体的には、図7に示すように、所定のパターンのレジスト層22を除去する。ここでレジスト層22は、たとえばアセトン等を用いて除去することができる。レジスト層22上に設けられた触媒吸着層24および触媒層31もレジスト層22とともに除去される。これにより、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26および触媒層32を形成することができる。
【0034】
(6)次に、所定のパターンの金属層34を形成する(図8参照)。言い換えれば、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に金属層34を形成する。具体的には、基板10を無電解めっき液に浸漬させることによって、触媒層32が形成されていない領域に金属層34を析出させることができる。無電解めっき液は、基板10上にめっき粒子として析出する際、めっき粒子の平均粒径が20nm〜50nmになるように調整されることが好ましい。
【0035】
具体的に無電解めっき液としては、酸性で使用するタイプとアルカリ性で使用するタイプがあるが、本実施の形態では酸性で使用するタイプのものを適用する。金属層34としてニッケル層を析出させる場合には、無電解めっき液は、たとえばニッケルと、還元剤と、錯化剤等を含む。具体的には、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物または塩化ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。また、本実施の形態では、無電解めっき液をpH2.5〜pH4.0に調整する。市販されている無電解めっき液は、通常pH4.5〜5程度であるため、この無電解めっき液に、硫酸または塩酸等の強酸試薬を添加することによりpHを調整することができる。また、還元剤の添加量等を変更することによってもpHを調整することができる。
【0036】
例えば、硫酸ニッケル6水和物を含む無電解めっき液(温度70〜80℃)に基板10を10秒〜10分程度浸漬することによって、20nm〜100nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。なお、金属層34の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10の上面に所定のパターンの金属層34を形成することができる。
【0037】
以上の工程により、めっき基板100を形成することができる。本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、パラジウム、過酸化水素および塩酸を用いて作製された触媒溶液を用いて、触媒層を形成している。この触媒溶液には、構成成分としてパラジウムと、水素と、酸素と、ナトリウムと、塩素が含まれているのみであり、他の界面活性剤や錯化剤等は含まれていない。従って、触媒溶液中において、分子量が大きい分子や嵩高な官能基等が、パラジウムコロイド粒子を構成するパラジウム原子の間に入り込むことがなく、当該パラジウムコロイド粒子のサイズを小さくすることができる。従って、このような触媒溶液を用いることにより、微細パターンの触媒層を精度良く形成することができ、ひいては高密度配線を精密に形成することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、無電解めっき液をpH2.5〜pH4.0に調整している。これは、無電解めっき液中の金属をイオン化する方向にpHを変化させているものである。金属をイオン化することにより、無電解めっき液中の金属コロイド粒子のサイズを小さくすることができる。従って、このような無電解めっき液を用いることにより、微細パターンの金属層を精度良く形成することができる。
【0039】
2.めっき基板
上述した方法により製造されためっき基板100について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態にかかるめっき基板100を模式的に示す斜視図である。めっき基板100は、基板10と当該基板10上に形成された金属層34とを含む。金属層34は、所定のパターンを有する。所定のパターンは、たとえば1次元または2次元の周期的なパターンであることができる。めっき基板100は、光透過性基板上に所定のパターンを有することにより、偏光板等の光学素子基板として機能することができる。たとえば図9に示すように、めっき基板100は、一定の間隔bと一定の幅aの直線状の金属層がX軸方向に繰り返し設けられている1次元の周期的なパターン(ストライプ形状)であることができる。周期方向(X軸方向)における幅aが可視光の波長以下であり、かつ基板10が光透過性基板からなる場合には、めっき基板100は、偏光板として機能することができる。
【0040】
まためっき基板は、たとえば幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることができる。さらに幅aと間隔bとの差が20nm以下であることが好ましい。このようなサイズを所定のパターンとして規定することにより、触媒層32の形成されていない領域に金属層34を形成することができる。即ち、幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることにより、触媒層32の形成領域と金属層34の形成領域との距離を短くし、触媒層32上で析出しためっき粒子が触媒層32の形成されていない領域まで確実に移動させることができる。また、幅aと間隔bとの差が20nm以下であることにより、所定のパターンの金属層34を析出させるために適切な量の触媒を含む触媒層32を形成することができる。
【0041】
また、本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、触媒層32が形成されていない領域に金属層34が形成されている。この機構については、以下のように想定される。無電解めっき反応は、無電解めっき液中の還元剤と金属イオンとの還元反応であり、金属イオンが還元剤から電子を受け取ることによりめっき粒子が析出する反応である。この反応は、触媒層32に含まれる触媒によって促進されるため、主に触媒層32の近傍で進行する。無電解めっき液中では、複数の金属イオンが集合体となって存在しているため、複数の金属原子の集合体であるめっき粒子が還元反応によって析出する。析出時のめっき粒子の平均粒径が、たとえば約20nm〜50nmである場合には、めっき粒子は、触媒層32近傍で生成された後に触媒層32の形成されていない領域まで移動して基板10に吸着する。即ち、めっき粒子は、触媒層32付近で析出するが、触媒層32付近ではさらに還元反応が継続するためエネルギー状態が不安定であり、一定以上の質量がなければ触媒層32上で安定し、吸着することができない。したがってめっき粒子は、平均粒径が約20nm〜50nmの場合には、触媒層32上で安定することができず、基板10上に移動して吸着する。よって、金属層34は、触媒層32の形成されていない領域に形成されることができる。
【0042】
3.電子デバイス
図10は、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によって製造されるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す。基板10が絶縁基板である場合には、めっき基板100は、配線基板として機能することができる。電子デバイス1000は、配線基板としてのめっき基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
【0043】
めっき基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。めっき基板100は、上述した製造方法によって製造される。図10に示す例では、めっき基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、めっき基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
【0044】
また、光学素子基板としてのめっき基板100は、液晶ディスプレイ装置、プロジェクター装置等の偏光板として機能してもよい。
【0045】
4.変形例
変形例にかかるめっき基板の製造方法は、本実施の形態における工程(5)のレジスト層22の除去工程を、触媒層31の形成前に行う点で、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0046】
まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する。その後、基板10を洗浄する。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け、レジスト層22を除去して、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26を形成する。次いで触媒吸着層26上に触媒層32を形成する。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に金属層34を形成する。
【0047】
以上の工程により、変形例にかかるめっき基板を形成することができる。なお、各工程の詳細については、本実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0048】
5.実験例
5.1.第1の実験例
本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0049】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約130nm幅の直線状に露光、現像することにより、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状のフォトレジストを形成した。
【0050】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬し、その後ガラス基板を十分に水洗した。
【0051】
(3)触媒溶液を以下のように作製した。まず、水600mlに対し、35%塩酸(特級試薬)を100ml、30%過酸化水素水(特級試薬)を100ml添加することにより塩酸と過酸化水素水と水の混合溶液を作製した。純度99.99%のパラジウムペレット0.2gを上記混合溶液に入れて48時間程度保持して溶解させ、パラジウム濃度が約0.25g/lの塩化パラジウム溶液とした。
【0052】
次いで、この塩化パラジウム溶液50mlに水250mlを加えさらに過酸化水素水を20ml添加した。さらに水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液をpH5.8程度に調整した。
【0053】
(4)次いで、ガラス基板を前述の触媒溶液に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。その後ガラス基板を十分に水洗した。これにより、約130nm幅の直線状のラインと約70nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0054】
(5)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、pH2.8、pH3.8程度に調整した80℃のニッケル無電解めっき液(テクニックジャパン(株)製FPDニッケル)に浸漬した。これにより、ガラス基板上に、約30nm〜50nm程度の厚みで、約70nm幅で間隔130nmの金属層が得られた。
【0055】
このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図11および図12に示す。図11は、ニッケル無電解めっき液をpH3.8程度に調整したときのニッケル金属層のSEM画像であり、図12は、ニッケル無電解めっき液をpH2.8程度に調整したときのニッケル金属層のSEM画像である。
【0056】
5.2.第2の実験例(比較例)
以下のように比較例にかかるめっき基板を形成した。
【0057】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約130nm幅の直線状に露光、現像することにより、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状のフォトレジストを形成した。
【0058】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬し、その後ガラス基板を十分に水洗した。
【0059】
(3)パラジウムを含む市販の触媒溶液に浸漬した。この触媒溶液は、パラジウム、界面活性剤等を含み、pHは6であった。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。その後ガラス基板を十分に水洗した。これにより、約800nm幅の直線状のラインと約200nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0060】
(4)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、pHを調整していない80℃のニッケル無電解めっき液(テクニックジャパン(株)製FPDニッケル)に浸漬した。このニッケル無電解めっき液はpH4.5程度であった。これにより、ガラス基板上に、約30nm〜50nm程度の厚みで、約200nm幅で隣接ラインと接したニッケル金属層が得られた。このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図13に示す。
【0061】
5.3.実験結果
第1の実験例では、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液を用いて触媒層とpH2.5〜4.0に調整した無電解めっき液を用いてニッケル層を形成した。これに対し、第2の実験例では、市販の触媒溶液を用いて触媒層を形成し、通常のpHのニッケル無電解めっき液を用いてニッケル層を形成した。第2の実験例で作製されたニッケル層の幅は約200nmであるため、図13に示すように隣接ラインと接していた。
【0062】
これに対し、第1の実験例において作製したニッケル層は、幅が約70nmであり、第2の実験例において市販の触媒溶液を用いて作製したニッケル層と比べて、幅が細く形成されていることが確認された。したがって、第1の実験例と第2の実験例によれば、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液と、pH2.5〜4.0に調整した無電解めっき液を用いることにより、微細パターンを精度よく形成することができ、めっき基板の信頼性を向上させることができることがわかった。
【0063】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、上述した実施の形態では、予め基板上に所望のパターン領域以外の領域にレジスト層を設けて全面に触媒吸着層および触媒層を形成した後にレジスト層を除去することにより、触媒層を所定の領域に形成しているが、これにかえて、レジスト層を用いないで触媒層を形成してもよい。具体的には、たとえば触媒吸着層を基板全面に形成し、この触媒吸着層の一部を光分解して所望のパターン領域にのみ触媒吸着層を残す。これにより、触媒層は所望のパターン領域にのみ形成されることができる。触媒吸着層の光分解は、真空紫外線(VUV;vacuum ultraviolet)を用いて行うことができる。光の波長を、例えば170nm〜260nmとすることにより、原子間結合(例えば、C−C、C=C、C−H、C−F、C−Cl、C−O、C−N、C=O、O=O、O−H、H−F、H−Cl、N−Hなど)を切断することができる。この波長帯域を用いることにより、イエロールームなどの設備が不要となり、例えば白色灯下で本実施形態に係る一連の工程を行うことができる。
【0064】
また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図2】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図3】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図4】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図5】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図6】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図7】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図8】本実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図9】本実施の形態にかかるめっき基板を示す斜視図。
【図10】本実施の形態にかかるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。
【図11】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図12】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図13】第2の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【符号の説明】
【0066】
10 基板、14 界面活性剤溶液、18 光源、20 光、22 レジスト層、24 触媒吸着層、26 触媒吸着層、30 触媒溶液、31 触媒層、32 触媒層、34 金属層、90 集積回路チップ、92 他の基板、100 めっき基板、1000 電子デバイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高速化・高密度化に伴い、基板上に金属層を有するめっき基板の製造方法としてアディティブ法が注目を集めている。アディティブ法では、基板上に設けたフォトレジストをパターニングしてめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部にめっき処理を行うことにより金属層を析出させる方法が知られている。特許文献1は、このようにめっきレジストを用いてめっき処理を行うための無電解めっき液を開示している。
【0003】
この方法によれば、めっきレジストを最終的に除去する工程が必要となるので、製造工程数が多いことが課題となっていた。そこで、めっきレジストを使用しないで金属層を析出させる方法が注目されている。
【0004】
一般に、無電解めっき法により金属層を析出させるためには、無電解めっき液に基板を浸漬する。この無電解めっき液に含まれる金属コロイド粒子が基板上に析出して金属微粒子(めっき粒子)となり、これらが集合して金属層を形成する。そのため金属コロイド粒子に起因する金属微粒子の粒径が金属層の最小単位となる。したがって、めっきレジストを使用しないで金属層を析出させる方法を用いた場合に、微細パターンを精度良く形成するためには、無電解めっき液中の金属コロイド粒子の粒径を、配線の幅に適した大きさに調整することが重要である。
【特許文献1】特開平10−140364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、微細パターンを精度良く形成するめっき基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
金属を析出させる無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、を含む。
【0007】
このように、触媒層の形成領域と金属層の形成領域とを異なる領域にすることにより、微細なめっき粒子を基板上に吸着させることができる。即ち、めっき粒子を析出させる領域と、吸着させる領域とを異ならせることによって、微細なめっき粒子であっても基板上に安定的に吸着させることができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0008】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記触媒溶液は、pH4.0〜pH6.9に調整されたものであることができる。
【0009】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、pH2.5〜PH4.0に調整されたものであることができる。
【0010】
このように、無電解めっき液のpHを規定することにより、めっき粒子を微細化することができるため、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0011】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含むことができる。
【0012】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
金属を析出させる無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)当該基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)pH2.5〜PH4.0に調整された無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に所定のパターンの金属層を設ける工程と、
を含む。
【0013】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含むことができる。
【0014】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、を含むことができる。
【0015】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
1.めっき基板の製造方法
図1〜図8は、本実施の形態にかかるめっき基板100(図8参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用してめっき基板を製造する。
【0018】
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図2に示すように絶縁基板であってもよい。後述する工程により絶縁基板上に金属層を形成することによって、配線基板を製造することができる。あるいは、基板10は、可視光を透過する光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。後述する工程により光透過性基板上に金属層を形成することによって、たとえば偏光板のような光学素子基板を製造することができる。
【0019】
また基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。また基板10の表面には、凹凸がないことが好ましく、たとえば凹凸の高さが10nm未満であることが望ましい。
【0020】
ついで、基板10上に所定のパターンのレジスト層22を形成する。レジスト(図示せず)を基板10の上面に塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、図2に示すように、レジスト層22を形成することができる。ここで所定のパターンは、金属層34の形成を所望する領域の形状であって、任意の形状とすることができる。
【0021】
(2)次に、基板10を洗浄する。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等のレジスト層22に与えるダメージを防止することができる。
【0022】
ドライ洗浄は、図2に示すように、真空紫外線ランプを用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10およびレジスト層22の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
【0023】
ウエット洗浄は、例えば、基板10をオゾン水(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。またドライ洗浄は、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。
【0024】
(3)次に、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層24を基板10上に形成する。
【0025】
まず、図3に示すように、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を溶解した触媒吸着溶液14に基板10を浸漬する。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである。カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤や、アルキルアンモニウム系の界面活性剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムブロマイド等)などを用いることができる。
【0026】
触媒吸着溶液14に含まれるシラン系カップリング剤としては、たとえばヘキサメチルジシラザンを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
【0027】
次いで、界面活性剤溶液から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図4に示すように、触媒吸着層24を基板10に設けることができる。このとき、界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
【0028】
(4)次に、図5に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。
【0029】
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。ここで塩酸と過酸化水素水と水の混合溶液は、水600mlに対し、35%塩酸を50ml〜200ml、30%過酸化水素水を50ml〜200ml添加したものであることが好ましい。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水と過酸化水素水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01g/l〜0.05g/lとする。ここで添加する水と過酸化水素水の混合比は、水250mlに対し、30%過酸化水素水5ml〜30mlであることが好ましい。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.0〜6.9に調整する。このように調整することにより、触媒層を形成するのに適した触媒溶液とすることができる。
【0030】
なお、触媒溶液30は、最終的に上述したpHを有していればよく、各溶液の添加の順序は特に限定されず、たとえば水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調整した後に過酸化水素水を添加してもよい。
【0031】
触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電解めっき液に混入するのを防止することができる。
【0032】
以上の工程により、触媒層31が形成される。触媒層31は、図6に示すように、基板10およびレジスト層22上の触媒吸着層24の上面に形成される。
【0033】
(5)次に、基板10上のレジスト層22を除去する。具体的には、図7に示すように、所定のパターンのレジスト層22を除去する。ここでレジスト層22は、たとえばアセトン等を用いて除去することができる。レジスト層22上に設けられた触媒吸着層24および触媒層31もレジスト層22とともに除去される。これにより、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26および触媒層32を形成することができる。
【0034】
(6)次に、所定のパターンの金属層34を形成する(図8参照)。言い換えれば、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に金属層34を形成する。具体的には、基板10を無電解めっき液に浸漬させることによって、触媒層32が形成されていない領域に金属層34を析出させることができる。無電解めっき液は、基板10上にめっき粒子として析出する際、めっき粒子の平均粒径が20nm〜50nmになるように調整されることが好ましい。
【0035】
具体的に無電解めっき液としては、酸性で使用するタイプとアルカリ性で使用するタイプがあるが、本実施の形態では酸性で使用するタイプのものを適用する。金属層34としてニッケル層を析出させる場合には、無電解めっき液は、たとえばニッケルと、還元剤と、錯化剤等を含む。具体的には、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物または塩化ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。また、本実施の形態では、無電解めっき液をpH2.5〜pH4.0に調整する。市販されている無電解めっき液は、通常pH4.5〜5程度であるため、この無電解めっき液に、硫酸または塩酸等の強酸試薬を添加することによりpHを調整することができる。また、還元剤の添加量等を変更することによってもpHを調整することができる。
【0036】
例えば、硫酸ニッケル6水和物を含む無電解めっき液(温度70〜80℃)に基板10を10秒〜10分程度浸漬することによって、20nm〜100nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。なお、金属層34の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10の上面に所定のパターンの金属層34を形成することができる。
【0037】
以上の工程により、めっき基板100を形成することができる。本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、パラジウム、過酸化水素および塩酸を用いて作製された触媒溶液を用いて、触媒層を形成している。この触媒溶液には、構成成分としてパラジウムと、水素と、酸素と、ナトリウムと、塩素が含まれているのみであり、他の界面活性剤や錯化剤等は含まれていない。従って、触媒溶液中において、分子量が大きい分子や嵩高な官能基等が、パラジウムコロイド粒子を構成するパラジウム原子の間に入り込むことがなく、当該パラジウムコロイド粒子のサイズを小さくすることができる。従って、このような触媒溶液を用いることにより、微細パターンの触媒層を精度良く形成することができ、ひいては高密度配線を精密に形成することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、無電解めっき液をpH2.5〜pH4.0に調整している。これは、無電解めっき液中の金属をイオン化する方向にpHを変化させているものである。金属をイオン化することにより、無電解めっき液中の金属コロイド粒子のサイズを小さくすることができる。従って、このような無電解めっき液を用いることにより、微細パターンの金属層を精度良く形成することができる。
【0039】
2.めっき基板
上述した方法により製造されためっき基板100について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態にかかるめっき基板100を模式的に示す斜視図である。めっき基板100は、基板10と当該基板10上に形成された金属層34とを含む。金属層34は、所定のパターンを有する。所定のパターンは、たとえば1次元または2次元の周期的なパターンであることができる。めっき基板100は、光透過性基板上に所定のパターンを有することにより、偏光板等の光学素子基板として機能することができる。たとえば図9に示すように、めっき基板100は、一定の間隔bと一定の幅aの直線状の金属層がX軸方向に繰り返し設けられている1次元の周期的なパターン(ストライプ形状)であることができる。周期方向(X軸方向)における幅aが可視光の波長以下であり、かつ基板10が光透過性基板からなる場合には、めっき基板100は、偏光板として機能することができる。
【0040】
まためっき基板は、たとえば幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることができる。さらに幅aと間隔bとの差が20nm以下であることが好ましい。このようなサイズを所定のパターンとして規定することにより、触媒層32の形成されていない領域に金属層34を形成することができる。即ち、幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることにより、触媒層32の形成領域と金属層34の形成領域との距離を短くし、触媒層32上で析出しためっき粒子が触媒層32の形成されていない領域まで確実に移動させることができる。また、幅aと間隔bとの差が20nm以下であることにより、所定のパターンの金属層34を析出させるために適切な量の触媒を含む触媒層32を形成することができる。
【0041】
また、本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、触媒層32が形成されていない領域に金属層34が形成されている。この機構については、以下のように想定される。無電解めっき反応は、無電解めっき液中の還元剤と金属イオンとの還元反応であり、金属イオンが還元剤から電子を受け取ることによりめっき粒子が析出する反応である。この反応は、触媒層32に含まれる触媒によって促進されるため、主に触媒層32の近傍で進行する。無電解めっき液中では、複数の金属イオンが集合体となって存在しているため、複数の金属原子の集合体であるめっき粒子が還元反応によって析出する。析出時のめっき粒子の平均粒径が、たとえば約20nm〜50nmである場合には、めっき粒子は、触媒層32近傍で生成された後に触媒層32の形成されていない領域まで移動して基板10に吸着する。即ち、めっき粒子は、触媒層32付近で析出するが、触媒層32付近ではさらに還元反応が継続するためエネルギー状態が不安定であり、一定以上の質量がなければ触媒層32上で安定し、吸着することができない。したがってめっき粒子は、平均粒径が約20nm〜50nmの場合には、触媒層32上で安定することができず、基板10上に移動して吸着する。よって、金属層34は、触媒層32の形成されていない領域に形成されることができる。
【0042】
3.電子デバイス
図10は、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によって製造されるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す。基板10が絶縁基板である場合には、めっき基板100は、配線基板として機能することができる。電子デバイス1000は、配線基板としてのめっき基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
【0043】
めっき基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。めっき基板100は、上述した製造方法によって製造される。図10に示す例では、めっき基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、めっき基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
【0044】
また、光学素子基板としてのめっき基板100は、液晶ディスプレイ装置、プロジェクター装置等の偏光板として機能してもよい。
【0045】
4.変形例
変形例にかかるめっき基板の製造方法は、本実施の形態における工程(5)のレジスト層22の除去工程を、触媒層31の形成前に行う点で、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0046】
まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する。その後、基板10を洗浄する。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け、レジスト層22を除去して、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26を形成する。次いで触媒吸着層26上に触媒層32を形成する。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に金属層34を形成する。
【0047】
以上の工程により、変形例にかかるめっき基板を形成することができる。なお、各工程の詳細については、本実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0048】
5.実験例
5.1.第1の実験例
本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0049】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約130nm幅の直線状に露光、現像することにより、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状のフォトレジストを形成した。
【0050】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬し、その後ガラス基板を十分に水洗した。
【0051】
(3)触媒溶液を以下のように作製した。まず、水600mlに対し、35%塩酸(特級試薬)を100ml、30%過酸化水素水(特級試薬)を100ml添加することにより塩酸と過酸化水素水と水の混合溶液を作製した。純度99.99%のパラジウムペレット0.2gを上記混合溶液に入れて48時間程度保持して溶解させ、パラジウム濃度が約0.25g/lの塩化パラジウム溶液とした。
【0052】
次いで、この塩化パラジウム溶液50mlに水250mlを加えさらに過酸化水素水を20ml添加した。さらに水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液をpH5.8程度に調整した。
【0053】
(4)次いで、ガラス基板を前述の触媒溶液に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。その後ガラス基板を十分に水洗した。これにより、約130nm幅の直線状のラインと約70nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0054】
(5)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、pH2.8、pH3.8程度に調整した80℃のニッケル無電解めっき液(テクニックジャパン(株)製FPDニッケル)に浸漬した。これにより、ガラス基板上に、約30nm〜50nm程度の厚みで、約70nm幅で間隔130nmの金属層が得られた。
【0055】
このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図11および図12に示す。図11は、ニッケル無電解めっき液をpH3.8程度に調整したときのニッケル金属層のSEM画像であり、図12は、ニッケル無電解めっき液をpH2.8程度に調整したときのニッケル金属層のSEM画像である。
【0056】
5.2.第2の実験例(比較例)
以下のように比較例にかかるめっき基板を形成した。
【0057】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約130nm幅の直線状に露光、現像することにより、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状のフォトレジストを形成した。
【0058】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬し、その後ガラス基板を十分に水洗した。
【0059】
(3)パラジウムを含む市販の触媒溶液に浸漬した。この触媒溶液は、パラジウム、界面活性剤等を含み、pHは6であった。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。その後ガラス基板を十分に水洗した。これにより、約800nm幅の直線状のラインと約200nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0060】
(4)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、pHを調整していない80℃のニッケル無電解めっき液(テクニックジャパン(株)製FPDニッケル)に浸漬した。このニッケル無電解めっき液はpH4.5程度であった。これにより、ガラス基板上に、約30nm〜50nm程度の厚みで、約200nm幅で隣接ラインと接したニッケル金属層が得られた。このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図13に示す。
【0061】
5.3.実験結果
第1の実験例では、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液を用いて触媒層とpH2.5〜4.0に調整した無電解めっき液を用いてニッケル層を形成した。これに対し、第2の実験例では、市販の触媒溶液を用いて触媒層を形成し、通常のpHのニッケル無電解めっき液を用いてニッケル層を形成した。第2の実験例で作製されたニッケル層の幅は約200nmであるため、図13に示すように隣接ラインと接していた。
【0062】
これに対し、第1の実験例において作製したニッケル層は、幅が約70nmであり、第2の実験例において市販の触媒溶液を用いて作製したニッケル層と比べて、幅が細く形成されていることが確認された。したがって、第1の実験例と第2の実験例によれば、パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液と、pH2.5〜4.0に調整した無電解めっき液を用いることにより、微細パターンを精度よく形成することができ、めっき基板の信頼性を向上させることができることがわかった。
【0063】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、上述した実施の形態では、予め基板上に所望のパターン領域以外の領域にレジスト層を設けて全面に触媒吸着層および触媒層を形成した後にレジスト層を除去することにより、触媒層を所定の領域に形成しているが、これにかえて、レジスト層を用いないで触媒層を形成してもよい。具体的には、たとえば触媒吸着層を基板全面に形成し、この触媒吸着層の一部を光分解して所望のパターン領域にのみ触媒吸着層を残す。これにより、触媒層は所望のパターン領域にのみ形成されることができる。触媒吸着層の光分解は、真空紫外線(VUV;vacuum ultraviolet)を用いて行うことができる。光の波長を、例えば170nm〜260nmとすることにより、原子間結合(例えば、C−C、C=C、C−H、C−F、C−Cl、C−O、C−N、C=O、O=O、O−H、H−F、H−Cl、N−Hなど)を切断することができる。この波長帯域を用いることにより、イエロールームなどの設備が不要となり、例えば白色灯下で本実施形態に係る一連の工程を行うことができる。
【0064】
また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図2】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図3】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図4】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図5】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図6】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図7】本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図8】本実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図9】本実施の形態にかかるめっき基板を示す斜視図。
【図10】本実施の形態にかかるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。
【図11】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図12】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図13】第2の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【符号の説明】
【0066】
10 基板、14 界面活性剤溶液、18 光源、20 光、22 レジスト層、24 触媒吸着層、26 触媒吸着層、30 触媒溶液、31 触媒層、32 触媒層、34 金属層、90 集積回路チップ、92 他の基板、100 めっき基板、1000 電子デバイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記触媒溶液は、pH4.0〜pH6.9に調整されたものである、めっき基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記無電解めっき液は、pH2.5〜PH4.0に調整されたものである、めっき基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含む、めっき基板の製造方法。
【請求項5】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)当該基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)pH2.5〜PH4.0に調整された無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に所定のパターンの金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含む、めっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項1】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む触媒溶液に基板を浸漬することにより、当該基板上に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に金属を析出させて金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記触媒溶液は、pH4.0〜pH6.9に調整されたものである、めっき基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記無電解めっき液は、pH2.5〜PH4.0に調整されたものである、めっき基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含む、めっき基板の製造方法。
【請求項5】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)当該基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)pH2.5〜PH4.0に調整された無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記触媒層の形成されていない領域に所定のパターンの金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記無電解めっき液は、ニッケルを含む、めっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
前記基板上に所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシランカップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
パラジウム、過酸化水素および塩酸を含む混合水溶液からなる触媒溶液に前記基板を浸漬することによって、前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−302968(P2007−302968A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133872(P2006−133872)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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