めっき基板の製造方法
【課題】微細パターンを精度良く形成するめっき基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかるめっき基板の製造方法は、基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて所定のパターンの金属層を設ける工程と、基板を水蒸気に曝す工程と、無電解めっき液に基板を浸漬することにより、第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、を含む。
【解決手段】本発明にかかるめっき基板の製造方法は、基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて所定のパターンの金属層を設ける工程と、基板を水蒸気に曝す工程と、無電解めっき液に基板を浸漬することにより、第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高速化・高密度化に伴い、基板上に金属層を有するめっき基板の製造方法としてアディティブ法が注目を集めている。アディティブ法では、基板上に設けたフォトレジストをパターニングしてめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部にめっき処理を行うことにより金属層を析出させる方法が知られている。
【特許文献1】特開平10−65315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、微細パターンを精度良く形成するめっき基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて前記所定のパターンの金属層を設ける工程と、
(c)前記基板を水蒸気に曝す工程と、
(d)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、
を含む。
【0005】
このように、触媒層の形成領域と金属層の形成領域とを異なる領域にすることにより、微細なめっき粒子を基板上に吸着させることができる。即ち、めっき粒子を析出させる領域と、吸着させる領域とを異ならせることによって、微細なめっき粒子であっても基板上に安定的に吸着させることができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0006】
また、基板を水蒸気に曝す工程を設けることによって、基板面方向へのめっき析出を遅らせながら、厚さ方向に金属層を成長させることができるため、配線パターンの間隔が金属層によって埋められるのを防止することができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0007】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0008】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(b)と工程(c)の間に、
(e)前記基板を水洗する工程、
をさらに含むことができる。
【0009】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0010】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)と工程(c)の間に、
(f)前記基板上の水分を除去する工程、
をさらに含むことができる。
【0011】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)、工程(f)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0012】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(f)において、前記基板上に空気を吹き付けることにより水分を除去することができる。
【0013】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(d)における浸漬時間は、工程(b)における浸漬時間以下であることができる。
【0014】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
n回目に行う工程(d)における浸漬時間は、n−1回目に行う工程(d)の浸漬時間以下であることができる。
【0015】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
基板上に前記所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含むことができる。
【0016】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
基板上に所定のパターンの領域にレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
前記基板上の触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含むことができる。
【0017】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(b)の後に、前記触媒吸着層および前記触媒層を除去する工程を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
1.第1の実施の形態
1.1.めっき基板の製造方法
図1は、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート80である。図2〜図11は、第1の実施の形態にかかるめっき基板100(図10参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用してめっき基板を製造する。
【0020】
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図2に示すように絶縁基板であってもよい。後述する工程により絶縁基板上に金属層を形成することによって、配線基板を製造することができる。あるいは、基板10は、可視光を透過する光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。後述する工程により光透過性基板上に金属層を形成することによって、たとえば偏光板のような光学素子基板を製造することができる。
【0021】
また基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。また基板10の表面には、凹凸がないことが好ましく、たとえば凹凸の高さが10nm未満であることが望ましい。
【0022】
ついで、基板10上に所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS10)。レジスト(図示せず)を基板10の上面に塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、図2に示すように、レジスト層22を形成することができる。ここで所定のパターンは、金属層33の形成を所望する領域の形状であって、任意の形状とすることができる。
【0023】
(2)次に、基板10を洗浄する(ステップS11)。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等のレジスト層22に与えるダメージを防止することができる。
【0024】
ドライ洗浄は、図3に示すように、真空紫外線ランプを用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10およびレジスト層22の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
【0025】
ウエット洗浄は、例えば、基板10をオゾン水(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。またドライ洗浄は、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。
【0026】
(3)次に、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層24を基板10上に形成する。
【0027】
まず、図4に示すように、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を溶解した触媒吸着溶液14に基板10を浸漬する。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤や、アルキルアンモニウム系の界面活性剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムブロマイド等)などを用いることができる。
【0028】
触媒吸着溶液14に含まれるシラン系カップリング剤としては、たとえばヘキサメチルジシラザンを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
【0029】
次いで、触媒吸着溶液14から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図5に示すように、触媒吸着層24を基板10に設けることができる(ステップS12)。このとき、界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
【0030】
(4)次に、触媒層31を基板10上に形成する(ステップS13)。まず、図6に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。
【0031】
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水と過酸化水素水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01〜0.05g/lとする。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.5〜6.8に調整する。
【0032】
触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電解めっき液に混入するのを防止することができる。
【0033】
以上の工程により、触媒層31が形成される。触媒層31は、図7に示すように、基板10およびレジスト層22上の触媒吸着層24の上面に形成される。
【0034】
(5)次に、基板10上のレジスト層22を除去する(ステップS14)。具体的には、図8に示すように、所定のパターンのレジスト層22を除去する。ここでレジスト層22は、たとえばアセトン等を用いて除去することができる。レジスト層22上に設けられた触媒吸着層24および触媒層31もレジスト層22とともに除去される。これにより、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26および触媒層32を形成することができる。
【0035】
(6)次に、所定のパターンの第1の金属層34を形成する(図10参照)。言い換えれば、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を形成する。具体的には図9に示すように、基板10を無電解めっき液39に浸漬させることによって、触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を析出させることができる。
【0036】
第1の金属層34としてニッケル層を析出させる場合を説明すると、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。このような無電解めっき液(温度70〜80℃)に基板10を10秒〜1分程度浸漬することによって、20nm〜50nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。
【0037】
なお、第1の金属層34の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に所望の厚み(金属層33全体の厚み)の5〜70%程度の第1の金属層34を形成することができる(ステップS15)。
【0038】
(7)次に、図11に示すように、基板10の上面を水蒸気50に曝すことにより、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS16)。たとえば、無電解めっき液39から基板10を取り出した直後に、100℃の水蒸気50を基板10の上面に1〜3分程度吹き付ける。水蒸気の吹きつけは、水蒸気による水分層が基板10上面全面に吸着し、一部水滴として基板10から剥離するまで行うことが好ましい。また水蒸気をノズルから噴射することにより、水蒸気洗浄を行ってもよい。また、ここで使用する水蒸気は、過熱水蒸気であってもよい。
【0039】
これにより、基板10に付着した無電解めっき液38を除去することができる。このように、基板10を水蒸気洗浄することにより、水洗する場合と比べて、無電解めっき液の除去効率を向上させることができる。特に、所望の配線パターンが微細パターンである場合には、水洗したとしても水が配線パターンの隙間に入り込まないために、基板10上の無電解めっき液38を十分に除去できないときがある。そこで、上述したように水蒸気洗浄することにより、水分子が微細な配線パターンの隙間に容易に入り込むため、基板10上の無電解めっき液38を十分に除去できる。
【0040】
また、基板10の上面を水蒸気50に曝すことにより、水蒸気洗浄と同時に熱処理を施すことができる。したがって、第1の金属層34の基板10に対する密着性を向上させることができる。熱処理の観点からは、たとえば90℃〜100℃の水蒸気を用いることが好ましい。また、基板10の表面が常に液体で覆われた状態になり、空気に曝されることを抑制することができる。これにより金属層が酸化して劣化するのを防止することができる。
【0041】
(8)次に、第1の金属層34上に第2の金属層36を析出させる。具体的には、基板10を無電解めっき液39に浸漬させることによって、第2の金属層36を析出させることができる。無電解めっき液としては、上述した無電解めっき液と同様のものを用いることができる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度70〜80℃)に5秒〜1分程度浸漬することによって、20nm〜50nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。
【0042】
ここで、第2の金属層36を形成するための浸漬時間は、第1の金属層34を形成するための浸漬時間以下であることが好ましい。また、基板10を浸漬する際、無電解めっき液は攪拌せず、基板10は静止状態にすることが好ましい。
【0043】
こうして、基板10上の第1の金属層34の上面にさらに所望の厚み(金属層33全体の厚み)の5〜70%程度の第1の金属層36を形成することができる(ステップS17)。
【0044】
(9)上述したステップS16およびステップS17を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返すことにより(ステップS18)、図12に示すめっき基板100が製造される。ここで、ステップS16およびステップS17の適切な繰り返し回数を予め定めておくとよい。ステップS16およびステップS17を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、それぞれの第2の金属層36の膜厚がほぼ同じになるように浸漬時間を調整することが好ましい。したがって、第2の金属層36が多くなるほど、金属層の成長速度が大きくなる場合には、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS17を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。即ち、n回目に無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、n−1回目に無電解めっき液に浸漬する浸漬時間以下であることが好ましい。以上の工程により、めっき基板100を形成することができる。
【0045】
次に、変形例にかかるめっき基板の製造方法について説明する。図13は、変形例にかかるめっき基板110を模式的に示す断面図である。変形例にかかるめっき基板110の製造方法では、第2の金属層36を形成した後に、触媒層32および触媒吸着層26を除去する。具体的には、金属層33の形成後に、触媒層32および触媒吸着層26を、たとえば真空紫外線を照射し、水洗することによって、除去してもよい。これにより、めっき基板110は、たとえば信頼性の高い配線基板として機能することができる。
【0046】
1.2.めっき基板
上述した方法により製造されためっき基板100について、図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態にかかるめっき基板100を模式的に示す斜視図である。めっき基板100は、基板10と当該基板10上に形成された金属層33とを含む。金属層33は、所定のパターンを有する。所定のパターンは、たとえば1次元または2次元の周期的なパターンであることができる。めっき基板100は、光透過性基板上に所定のパターンを有することにより、偏光板等の光学素子基板として機能することができる。たとえば図14に示すように、めっき基板100は、一定の間隔bと一定の幅aの直線状の金属層がX軸方向に繰り返し設けられている1次元の周期的なパターン(ストライプ形状)であることができる。周期方向(X軸方向)における幅aが可視光の波長以下であり、かつ基板10が光透過性基板からなる場合には、めっき基板100は、偏光板として機能することができる。
【0047】
まためっき基板は、たとえば幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることができる。さらに幅aと間隔bとの差が20nm以下であることが好ましい。このようなサイズを所定のパターンとして規定することにより、触媒層32の形成されていない領域に金属層33を形成することができる。即ち、幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることにより、触媒層32の形成領域と金属層33の形成領域との距離を短くし、触媒層32上で析出しためっき粒子が触媒層32の形成されていない領域まで確実に移動させることができる。また、幅aと間隔bとの差が20nm以下であることにより、所定のパターンの金属層33を析出させるために適切な量の触媒を含む触媒層32を形成することができる。
【0048】
また、金属層33のアスペクト比(a/厚さ)は、たとえば1〜10であることができる。即ち、上述したように、水洗工程と金属層36の析出工程とを繰り返し行うことによって、金属層33を厚くして、このようなアスペクト比を実現することができる。
【0049】
1.3.本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、金属層の析出と水蒸気洗浄を繰り返し行っている。これによれば、基板面方向へのめっき析出を抑制しながら、厚さ方向に金属層を成長させることができるため、めっきパターンの間隔が金属層によって埋められるのを防止しながら、アスペクト比を向上させることができる。よって、微細パターンからなるめっき基板を精度良く形成することができる。
【0050】
これは、水蒸気洗浄により基板10表面に水分層が設けられるため、その後無電解めっき液に基板10を浸漬したときに、基板10付近、特に第1の金属層34の隙間付近の無電解めっき液の濃度をめっき初期の段階で一時的に下げることができる。このように無電解めっき液の濃度が低下することにより、めっき析出が遅くなり、基板面方向へのめっき析出を抑制すると想定される。また、無電解めっき液の濃度が低下することにより、めっき粒子の平均粒径が大きくなるのを止めることができるため、めっき粒子が触媒層32上に吸着するのを防止することができる。
【0051】
特に、上述したように第2の金属層36の形成のために基板10を浸漬する際、無電解めっき液を攪拌せず、基板10を静止状態にすることにより、水蒸気により形成された水膜が基板10付近に存在する時間を長引かせることができる。これにより、基板面方向へのめっき析出をさらに遅らせることができる。
【0052】
また、本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、触媒層32が形成されていない領域に金属層33が形成されている。この機構については、以下のように想定される。無電解めっき反応は、無電解めっき液中の還元剤と金属イオンとの還元反応であり、金属イオンが還元剤から電子を受け取ることによりめっき粒子が析出する反応である。この反応は、触媒層32に含まれる触媒によって促進されるため、主に触媒層32の近傍で進行する。無電解めっき液中では、複数の金属イオンが集合体となって存在しているため、複数の金属原子の集合体であるめっき粒子が還元反応によって析出する。なお、複数の金属イオンの集合体の大きさは、無電解めっき液のpH、温度、時間等によって制御することができる。析出時のめっき粒子の平均粒径が、たとえば約20nm〜50nmである場合には、めっき粒子は、触媒層32近傍で生成された後に触媒層32の形成されていない領域まで移動して基板10に吸着する。即ち、めっき粒子は、触媒層32付近で析出するが、触媒層32付近ではさらに還元反応が継続するためエネルギー状態が不安定であり、一定以上の質量がなければ触媒層32上で安定し、吸着することができない。したがってめっき粒子は、平均粒径が約20nm〜50nmの場合には、触媒層32上で安定することができず、基板10上に移動して吸着する。よって、金属層33は、触媒層32の形成されていない領域に形成されることができる。
【0053】
また、無電解めっきによる金属層の析出反応は、無電解めっき液に基板を浸漬直後、初期段階においては、ほとんど金属層が形成されず、ある程度の浸漬時間が経過して初めて金属被膜が形成される。その後中期段階においては、指数関数的に金属層の厚みが増加し、ある厚みを超えると金属層の厚みは緩やかに増加するようになる。基板面方向へのめっき析出反応は、中期段階において進行が速いと想定される。したがって、この中期段階における析出反応が終了する前、即ち、指数関数的に金属層の厚みが増加している間に、無電解めっき液から基板10を取り出して水蒸気洗浄することが好ましい。これにより、基板面方向へのめっき析出反応を遅らせることができる。
【0054】
このようにして、水蒸気洗浄工程と金属層の形成工程とを交互に繰り返し行うことにより、微細パターンであってもアスペクト比の高い金属層33を形成することができる。
【0055】
1.4.電子デバイス
図15は、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によって製造されるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す。基板10が絶縁基板である場合には、めっき基板100は、配線基板として機能することができる。電子デバイス1000は、配線基板としてのめっき基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
【0056】
めっき基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。めっき基板100は、上述した製造方法によって製造される。図13に示す例では、めっき基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、めっき基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
【0057】
また、光学素子基板としてのめっき基板100は、液晶ディスプレイ装置、プロジェクター装置等の偏光板として機能してもよい。
【0058】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、上述した工程(7)の水蒸気洗浄の前に、基板10を水洗する工程をさらに含む点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0059】
図16は、第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート82である。まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS20)。その後、基板10を洗浄する(ステップS21)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS22)、所定のパターン以外の領域に触媒層32を形成し(ステップS23)、レジスト層22を除去する(ステップS24)。
【0060】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に第1の金属層34を形成し(ステップS25)、基板10を水洗する(ステップS26)。水洗は、たとえば基板10を純水に浸漬することによって行われることができる。水洗によって、基板10に付着した無電解めっき液を除去または希釈することができる。水洗に使用する水の温度は、たとえば室温であることができる。また、ステップS26の後に、基板10表面の水分を除去をしてもよい。水分の除去は、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより行われる。水分の除去後、たとえば90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置することにより熱処理してもよい。次に、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS27)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS28)。
【0061】
上述したステップS26、ステップS27、およびステップS28を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS29)ことにより、めっき基板100が製造される。ステップS26、ステップS27、およびステップS28を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS28を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。
【0062】
以上の工程により、第2の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によれば、水蒸気洗浄の前に基板を水洗しているため、基板10に付着しているめっき成分のほとんどを除去した上で、水蒸気洗浄により、微細な配線パターンの隙間のような水洗では十分に洗浄できない領域を洗浄することができる。これにより、水蒸気洗浄の時間を短縮することができる。
【0063】
なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0064】
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、第1の実施の形態における工程(6)ステップS16の前に、基板10を水洗する工程と、基板10を乾燥する工程とをさらに含む点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0065】
図17は、第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート84である。まず、基板10を用意し、所定のパターンにレジスト層22を形成する(ステップS30)。その後、基板10を洗浄する(ステップS31)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS32)、所定のパターン以外の領域に触媒層32を形成し(ステップS33)、レジスト層22を除去する(ステップS34)。
【0066】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を形成し(ステップS35)、基板10を水洗する(ステップS36)。水洗は、たとえば基板10を純水に浸漬することによって行われることができる。水洗によって、基板10に付着した無電解めっき液を除去または希釈することができる。水洗に使用する水の温度は、たとえば室温であることができる。
【0067】
次に、基板10表面の水分を除去する(ステップS37)。水分の除去は、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより行われる。空気の吹きつけは、基板10に対して上方から下方に向かって行うことが好ましい。これにより既に設けた金属層が剥離するのを防止することができる。また圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより、迅速に基板10上の水分を除去することができ、まためっき成分を含んだ粘性の高い水分であっても容易に除去することができる。水分の除去後、たとえば90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置することにより熱処理してもよい。熱処理することにより、基板と金属層33間の密着性を向上させることができる。次に、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS38)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS39)。
【0068】
上述したステップS35、ステップS36、ステップS37、およびステップS38を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS39)ことにより、めっき基板が製造される。ステップS35、ステップS36、ステップS37、およびステップS38を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS38を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。また、乾燥工程後の熱処理工程は、必要に応じて行われればよく、たとえば1回目の乾燥工程の後にのみ行ってもよい。
【0069】
以上の工程により、第3の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によれば、基板を水洗した後に空気を吹き付けて水分を除去するため、たとえば第1の金属層34や第2の金属層36の隙間のような微細な領域まで十分に表面洗浄することができる。その後基板10を水蒸気洗浄したときに、基板10付近、特に第1の金属層34の隙間付近のめっき成分をほぼ完全に予め除去していることから、水蒸気洗浄は、少なくとも基板10の表面に水分層を設けられるだけの時間を行えばよい。したがって水蒸気洗浄の時間をさらに短縮することができる。
【0070】
なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0071】
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、第1の実施の形態における工程(5)(ステップS14)のレジスト層22の除去工程を、触媒層31の形成前に行う点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0072】
図18は、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート86である。まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS40)。その後、基板10を洗浄する(ステップS41)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS42)、レジスト層22を除去して(ステップS43)、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26を形成する。次いで触媒吸着層26上に触媒層32を形成する(ステップS44)。
【0073】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に第1の金属層34を形成し(ステップS45)、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS46)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS47)。
【0074】
上述したステップS46およびステップS47を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS48)ことにより、めっき基板100が製造される。
【0075】
以上の工程により、第4の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0076】
5.実験例
5.1.第1の実験例
第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0077】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約140nm幅の直線状に露光、現像することにより、約60nm幅の直線状のラインと約140nm間隔を有するストライプ状の開口部を有するフォトレジストパターンを形成した。
【0078】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬した。次いで、このガラス基板をパラジウム触媒溶液に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。これにより、約140nm幅の直線状のラインと約60nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0079】
(3)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、80℃のニッケル無電解めっき液に30秒間浸漬し(1回目)、約20nm程度の厚み、約60nm幅のニッケル金属層を触媒層の形成されていない領域に形成した。
【0080】
(4)その後、ガラス基板をニッケル無電解めっき液からとりだして、約100℃の水蒸気をノズルから噴射して基板上面に約3分間吹き付けて水蒸気洗浄した。このとき、ガラス基板面から十分な水滴が流れ落ちる状態を確認した。その直後に80℃のニッケル無電解めっき液に30秒浸漬した(2回目)。
【0081】
(5)工程(4)を30回繰り返して、最終的に200nm程度の厚みのニッケル金属層をガラス基板上に形成した。このとき、ニッケル無電解めっき液の浸漬時間は、3回目〜4回目は25秒、5回目〜8回目は20秒、9回目〜15回目は15秒、16回目〜30回目は10秒とした。
【0082】
このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図19に示す。このニッケル金属層は、図19に示すとおり、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状であって、膜厚は200nm、アスペクト比は約3であった。
【0083】
5.2.第2の実験例(比較例)
従来の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0084】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約140nm幅の直線状に露光、現像することにより、約60nm幅の直線状のラインと約140nm間隔を有するストライプ状の開口部を有するフォトレジストパターンを形成した。
【0085】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。次いで、このガラス基板をパラジウム触媒溶液に浸漬した。これにより、約140nm幅の直線状のラインと約60nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0086】
(3)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、80℃のニッケル無電解めっき液に3分間浸漬し、約200nm程度の厚みのニッケル金属層をガラス基板上に形成した。このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図20に示す。成されたニッケル金属層は、隣り合う直線状のラインが部分的に接している状態であった。
【0087】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、上述した実施の形態では、予め基板上に所望のパターン領域以外の領域にレジスト層を設けて全面に触媒吸着層および触媒層を形成した後にレジスト層を除去することにより、触媒層を所定の領域に形成しているが、これにかえて、レジスト層を用いないで触媒層を形成してもよい。具体的には、たとえば触媒吸着層を基板全面に形成し、この触媒吸着層の一部を光分解して所望のパターン領域にのみ触媒吸着層を残す。これにより、触媒層は所望のパターン領域にのみ形成されることができる。触媒吸着層の光分解は、真空紫外線(VUV;vacuum ultraviolet)を用いて行うことができる。光の波長を、例えば170nm〜260nmとすることにより、原子間結合(例えば、C−C、C=C、C−H、C−F、C−Cl、C−O、C−N、C=O、O=O、O−H、H−F、H−Cl、N−Hなど)を切断することができる。この波長帯域を用いることにより、イエロールームなどの設備が不要となり、例えば白色灯下で本実施形態に係る一連の工程を行うことができる。
【0088】
また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図2】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図3】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図4】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図5】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図6】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図7】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図8】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図9】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図10】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図11】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図12】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図13】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図14】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す斜視図。
【図15】第1の実施の形態にかかるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。
【図16】第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図17】第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図18】第4の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図19】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図20】第2の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【符号の説明】
【0090】
10 基板、14 界面活性剤溶液、18 光源、20 光、22 レジスト層、24 触媒吸着層、26 触媒吸着層、30 触媒溶液、31 触媒層、32 触媒層、33 金属層、34 第1の金属層、36 第2の金属層、38、39 無電解めっき液、50 水蒸気、80、82、84、86 フローチャート、90 集積回路チップ、92 他の基板、100、110 めっき基板、1000 電子デバイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高速化・高密度化に伴い、基板上に金属層を有するめっき基板の製造方法としてアディティブ法が注目を集めている。アディティブ法では、基板上に設けたフォトレジストをパターニングしてめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部にめっき処理を行うことにより金属層を析出させる方法が知られている。
【特許文献1】特開平10−65315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、微細パターンを精度良く形成するめっき基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかるめっき基板の製造方法は、
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて前記所定のパターンの金属層を設ける工程と、
(c)前記基板を水蒸気に曝す工程と、
(d)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、
を含む。
【0005】
このように、触媒層の形成領域と金属層の形成領域とを異なる領域にすることにより、微細なめっき粒子を基板上に吸着させることができる。即ち、めっき粒子を析出させる領域と、吸着させる領域とを異ならせることによって、微細なめっき粒子であっても基板上に安定的に吸着させることができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0006】
また、基板を水蒸気に曝す工程を設けることによって、基板面方向へのめっき析出を遅らせながら、厚さ方向に金属層を成長させることができるため、配線パターンの間隔が金属層によって埋められるのを防止することができる。したがって、微細パターンの金属層を形成することができる。
【0007】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0008】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(b)と工程(c)の間に、
(e)前記基板を水洗する工程、
をさらに含むことができる。
【0009】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0010】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)と工程(c)の間に、
(f)前記基板上の水分を除去する工程、
をさらに含むことができる。
【0011】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(e)、工程(f)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行うことができる。
【0012】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(f)において、前記基板上に空気を吹き付けることにより水分を除去することができる。
【0013】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
工程(d)における浸漬時間は、工程(b)における浸漬時間以下であることができる。
【0014】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
n回目に行う工程(d)における浸漬時間は、n−1回目に行う工程(d)の浸漬時間以下であることができる。
【0015】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
基板上に前記所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含むことができる。
【0016】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(a)は、
基板上に所定のパターンの領域にレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
前記基板上の触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含むことができる。
【0017】
本発明にかかるめっき基板の製造方法において、
前記工程(b)の後に、前記触媒吸着層および前記触媒層を除去する工程を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
1.第1の実施の形態
1.1.めっき基板の製造方法
図1は、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート80である。図2〜図11は、第1の実施の形態にかかるめっき基板100(図10参照)の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用してめっき基板を製造する。
【0020】
(1)まず、基板10を用意する。基板10は、図2に示すように絶縁基板であってもよい。後述する工程により絶縁基板上に金属層を形成することによって、配線基板を製造することができる。あるいは、基板10は、可視光を透過する光透過性基板(例えば透明基板)であってもよい。後述する工程により光透過性基板上に金属層を形成することによって、たとえば偏光板のような光学素子基板を製造することができる。
【0021】
また基板10は、有機系基板(例えばプラスチック材、樹脂基板)であってもよいし、無機系基板(例えば石英ガラス、シリコンウエハ、酸化物層)であってもよい。プラスチック材としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。基板10は、単層のみならず、ベース基板上に少なくとも1層の絶縁層が形成されている多層のものも含む。本実施の形態では、基板10上に金属層を形成する。また基板10の表面には、凹凸がないことが好ましく、たとえば凹凸の高さが10nm未満であることが望ましい。
【0022】
ついで、基板10上に所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS10)。レジスト(図示せず)を基板10の上面に塗布した後、リソグラフィ法により該レジストをパターニングすることにより、図2に示すように、レジスト層22を形成することができる。ここで所定のパターンは、金属層33の形成を所望する領域の形状であって、任意の形状とすることができる。
【0023】
(2)次に、基板10を洗浄する(ステップS11)。基板10の洗浄は、ドライ洗浄でもよいし、ウエット洗浄でもよいが、ドライ洗浄がより好ましい。ドライ洗浄にすることによって、剥離等のレジスト層22に与えるダメージを防止することができる。
【0024】
ドライ洗浄は、図3に示すように、真空紫外線ランプを用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。基板10を洗浄することによって、基板10の表面に付着している油脂などの汚れを除去することができる。また、基板10およびレジスト層22の表面を撥水性から親水性に変化させることができる。また、基板10の液中表面電位が負電位であれば、基板10の洗浄により均一な負電位面を形成することができる。
【0025】
ウエット洗浄は、例えば、基板10をオゾン水(オゾン濃度10ppm〜20ppm)に室温状態で5分〜30分程度浸漬することで行うことができる。またドライ洗浄は、真空紫外線ランプ(波長172nm、出力10mW、試料間距離1mm)を用いて、窒素雰囲気下において、30秒〜900秒間、真空紫外線を照射して行うことができる。
【0026】
(3)次に、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層24を基板10上に形成する。
【0027】
まず、図4に示すように、界面活性剤またはシラン系カップリング剤を溶解した触媒吸着溶液14に基板10を浸漬する。基板10の表面の液中表面電位が負電位の場合には、カチオン系界面活性剤を適用することが好ましい。カチオン系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて基板10に吸着しやすいからである
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミノシラン系成分を含む水溶性界面活性剤や、アルキルアンモニウム系の界面活性剤(例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムブロマイド等)などを用いることができる。
【0028】
触媒吸着溶液14に含まれるシラン系カップリング剤としては、たとえばヘキサメチルジシラザンを用いることができる。浸漬時間は、例えば、1分〜10分程度とすることができる。
【0029】
次いで、触媒吸着溶液14から基板10を取り出し、超純水で洗浄する。その後、基板10を、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去した後、90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置して乾燥させる。以上の工程により、図5に示すように、触媒吸着層24を基板10に設けることができる(ステップS12)。このとき、界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を適用した場合には、基板10の液中表面電位は吸着前よりも正電位側にシフトしている。
【0030】
(4)次に、触媒層31を基板10上に形成する(ステップS13)。まず、図6に示すように、触媒溶液30に基板10を浸漬する。触媒溶液30は、無電解めっきの触媒として機能する触媒成分を含む。触媒成分としては、たとえばパラジウムを用いることができる。
【0031】
たとえば、以下の手順により触媒溶液30を作製することができる。
(4a)純度99.99%のパラジウムペレットを塩酸と過酸化水素水と水との混合溶液に溶解させ、パラジウム濃度が0.1〜0.5g/lの塩化パラジウム溶液とする。
(4b)上述した塩化パラジウム溶液をさらに水と過酸化水素水で希釈することによりパラジウム濃度を0.01〜0.05g/lとする。
(4c)水酸化ナトリウム水溶液等を用いて、塩化パラジウム溶液のpHを4.5〜6.8に調整する。
【0032】
触媒溶液30に浸漬した後、基板10を水洗してもよい。水洗は、純水によって行われることができる。この水洗によって、触媒の残渣が後述する無電解めっき液に混入するのを防止することができる。
【0033】
以上の工程により、触媒層31が形成される。触媒層31は、図7に示すように、基板10およびレジスト層22上の触媒吸着層24の上面に形成される。
【0034】
(5)次に、基板10上のレジスト層22を除去する(ステップS14)。具体的には、図8に示すように、所定のパターンのレジスト層22を除去する。ここでレジスト層22は、たとえばアセトン等を用いて除去することができる。レジスト層22上に設けられた触媒吸着層24および触媒層31もレジスト層22とともに除去される。これにより、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26および触媒層32を形成することができる。
【0035】
(6)次に、所定のパターンの第1の金属層34を形成する(図10参照)。言い換えれば、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を形成する。具体的には図9に示すように、基板10を無電解めっき液39に浸漬させることによって、触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を析出させることができる。
【0036】
第1の金属層34としてニッケル層を析出させる場合を説明すると、無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物が主体であり、次亜燐酸ナトリウムが還元剤として含まれたものを用いることができる。このような無電解めっき液(温度70〜80℃)に基板10を10秒〜1分程度浸漬することによって、20nm〜50nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。
【0037】
なお、第1の金属層34の材料は触媒によってめっき反応が起こる材料であれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などからも形成することができる。こうして、基板10上の触媒層32が形成されていない領域に所望の厚み(金属層33全体の厚み)の5〜70%程度の第1の金属層34を形成することができる(ステップS15)。
【0038】
(7)次に、図11に示すように、基板10の上面を水蒸気50に曝すことにより、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS16)。たとえば、無電解めっき液39から基板10を取り出した直後に、100℃の水蒸気50を基板10の上面に1〜3分程度吹き付ける。水蒸気の吹きつけは、水蒸気による水分層が基板10上面全面に吸着し、一部水滴として基板10から剥離するまで行うことが好ましい。また水蒸気をノズルから噴射することにより、水蒸気洗浄を行ってもよい。また、ここで使用する水蒸気は、過熱水蒸気であってもよい。
【0039】
これにより、基板10に付着した無電解めっき液38を除去することができる。このように、基板10を水蒸気洗浄することにより、水洗する場合と比べて、無電解めっき液の除去効率を向上させることができる。特に、所望の配線パターンが微細パターンである場合には、水洗したとしても水が配線パターンの隙間に入り込まないために、基板10上の無電解めっき液38を十分に除去できないときがある。そこで、上述したように水蒸気洗浄することにより、水分子が微細な配線パターンの隙間に容易に入り込むため、基板10上の無電解めっき液38を十分に除去できる。
【0040】
また、基板10の上面を水蒸気50に曝すことにより、水蒸気洗浄と同時に熱処理を施すことができる。したがって、第1の金属層34の基板10に対する密着性を向上させることができる。熱処理の観点からは、たとえば90℃〜100℃の水蒸気を用いることが好ましい。また、基板10の表面が常に液体で覆われた状態になり、空気に曝されることを抑制することができる。これにより金属層が酸化して劣化するのを防止することができる。
【0041】
(8)次に、第1の金属層34上に第2の金属層36を析出させる。具体的には、基板10を無電解めっき液39に浸漬させることによって、第2の金属層36を析出させることができる。無電解めっき液としては、上述した無電解めっき液と同様のものを用いることができる。例えば、基板10をこのような無電解めっき液(温度70〜80℃)に5秒〜1分程度浸漬することによって、20nm〜50nmの厚みを有するニッケル層を形成することができる。
【0042】
ここで、第2の金属層36を形成するための浸漬時間は、第1の金属層34を形成するための浸漬時間以下であることが好ましい。また、基板10を浸漬する際、無電解めっき液は攪拌せず、基板10は静止状態にすることが好ましい。
【0043】
こうして、基板10上の第1の金属層34の上面にさらに所望の厚み(金属層33全体の厚み)の5〜70%程度の第1の金属層36を形成することができる(ステップS17)。
【0044】
(9)上述したステップS16およびステップS17を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返すことにより(ステップS18)、図12に示すめっき基板100が製造される。ここで、ステップS16およびステップS17の適切な繰り返し回数を予め定めておくとよい。ステップS16およびステップS17を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、それぞれの第2の金属層36の膜厚がほぼ同じになるように浸漬時間を調整することが好ましい。したがって、第2の金属層36が多くなるほど、金属層の成長速度が大きくなる場合には、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS17を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。即ち、n回目に無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、n−1回目に無電解めっき液に浸漬する浸漬時間以下であることが好ましい。以上の工程により、めっき基板100を形成することができる。
【0045】
次に、変形例にかかるめっき基板の製造方法について説明する。図13は、変形例にかかるめっき基板110を模式的に示す断面図である。変形例にかかるめっき基板110の製造方法では、第2の金属層36を形成した後に、触媒層32および触媒吸着層26を除去する。具体的には、金属層33の形成後に、触媒層32および触媒吸着層26を、たとえば真空紫外線を照射し、水洗することによって、除去してもよい。これにより、めっき基板110は、たとえば信頼性の高い配線基板として機能することができる。
【0046】
1.2.めっき基板
上述した方法により製造されためっき基板100について、図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態にかかるめっき基板100を模式的に示す斜視図である。めっき基板100は、基板10と当該基板10上に形成された金属層33とを含む。金属層33は、所定のパターンを有する。所定のパターンは、たとえば1次元または2次元の周期的なパターンであることができる。めっき基板100は、光透過性基板上に所定のパターンを有することにより、偏光板等の光学素子基板として機能することができる。たとえば図14に示すように、めっき基板100は、一定の間隔bと一定の幅aの直線状の金属層がX軸方向に繰り返し設けられている1次元の周期的なパターン(ストライプ形状)であることができる。周期方向(X軸方向)における幅aが可視光の波長以下であり、かつ基板10が光透過性基板からなる場合には、めっき基板100は、偏光板として機能することができる。
【0047】
まためっき基板は、たとえば幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることができる。さらに幅aと間隔bとの差が20nm以下であることが好ましい。このようなサイズを所定のパターンとして規定することにより、触媒層32の形成されていない領域に金属層33を形成することができる。即ち、幅aが30nm〜200nmであり、間隔bが200nm以下であることにより、触媒層32の形成領域と金属層33の形成領域との距離を短くし、触媒層32上で析出しためっき粒子が触媒層32の形成されていない領域まで確実に移動させることができる。また、幅aと間隔bとの差が20nm以下であることにより、所定のパターンの金属層33を析出させるために適切な量の触媒を含む触媒層32を形成することができる。
【0048】
また、金属層33のアスペクト比(a/厚さ)は、たとえば1〜10であることができる。即ち、上述したように、水洗工程と金属層36の析出工程とを繰り返し行うことによって、金属層33を厚くして、このようなアスペクト比を実現することができる。
【0049】
1.3.本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、金属層の析出と水蒸気洗浄を繰り返し行っている。これによれば、基板面方向へのめっき析出を抑制しながら、厚さ方向に金属層を成長させることができるため、めっきパターンの間隔が金属層によって埋められるのを防止しながら、アスペクト比を向上させることができる。よって、微細パターンからなるめっき基板を精度良く形成することができる。
【0050】
これは、水蒸気洗浄により基板10表面に水分層が設けられるため、その後無電解めっき液に基板10を浸漬したときに、基板10付近、特に第1の金属層34の隙間付近の無電解めっき液の濃度をめっき初期の段階で一時的に下げることができる。このように無電解めっき液の濃度が低下することにより、めっき析出が遅くなり、基板面方向へのめっき析出を抑制すると想定される。また、無電解めっき液の濃度が低下することにより、めっき粒子の平均粒径が大きくなるのを止めることができるため、めっき粒子が触媒層32上に吸着するのを防止することができる。
【0051】
特に、上述したように第2の金属層36の形成のために基板10を浸漬する際、無電解めっき液を攪拌せず、基板10を静止状態にすることにより、水蒸気により形成された水膜が基板10付近に存在する時間を長引かせることができる。これにより、基板面方向へのめっき析出をさらに遅らせることができる。
【0052】
また、本実施の形態にかかるめっき基板100の製造方法では、触媒層32が形成されていない領域に金属層33が形成されている。この機構については、以下のように想定される。無電解めっき反応は、無電解めっき液中の還元剤と金属イオンとの還元反応であり、金属イオンが還元剤から電子を受け取ることによりめっき粒子が析出する反応である。この反応は、触媒層32に含まれる触媒によって促進されるため、主に触媒層32の近傍で進行する。無電解めっき液中では、複数の金属イオンが集合体となって存在しているため、複数の金属原子の集合体であるめっき粒子が還元反応によって析出する。なお、複数の金属イオンの集合体の大きさは、無電解めっき液のpH、温度、時間等によって制御することができる。析出時のめっき粒子の平均粒径が、たとえば約20nm〜50nmである場合には、めっき粒子は、触媒層32近傍で生成された後に触媒層32の形成されていない領域まで移動して基板10に吸着する。即ち、めっき粒子は、触媒層32付近で析出するが、触媒層32付近ではさらに還元反応が継続するためエネルギー状態が不安定であり、一定以上の質量がなければ触媒層32上で安定し、吸着することができない。したがってめっき粒子は、平均粒径が約20nm〜50nmの場合には、触媒層32上で安定することができず、基板10上に移動して吸着する。よって、金属層33は、触媒層32の形成されていない領域に形成されることができる。
【0053】
また、無電解めっきによる金属層の析出反応は、無電解めっき液に基板を浸漬直後、初期段階においては、ほとんど金属層が形成されず、ある程度の浸漬時間が経過して初めて金属被膜が形成される。その後中期段階においては、指数関数的に金属層の厚みが増加し、ある厚みを超えると金属層の厚みは緩やかに増加するようになる。基板面方向へのめっき析出反応は、中期段階において進行が速いと想定される。したがって、この中期段階における析出反応が終了する前、即ち、指数関数的に金属層の厚みが増加している間に、無電解めっき液から基板10を取り出して水蒸気洗浄することが好ましい。これにより、基板面方向へのめっき析出反応を遅らせることができる。
【0054】
このようにして、水蒸気洗浄工程と金属層の形成工程とを交互に繰り返し行うことにより、微細パターンであってもアスペクト比の高い金属層33を形成することができる。
【0055】
1.4.電子デバイス
図15は、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によって製造されるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す。基板10が絶縁基板である場合には、めっき基板100は、配線基板として機能することができる。電子デバイス1000は、配線基板としてのめっき基板100と、集積回路チップ90と、他の基板92とを含む。
【0056】
めっき基板100に形成された配線パターンは、電子部品同士を電気的に接続するためのものであってもよい。めっき基板100は、上述した製造方法によって製造される。図13に示す例では、めっき基板100には、集積回路チップ90が電気的に接続され、めっき基板100の一方の端部は、他の基板92(例えば表示パネル)に電気的に接続されている。電子デバイス1000は、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、EL(Electro luminescence)ディスプレイ装置などの表示装置であってもよい。
【0057】
また、光学素子基板としてのめっき基板100は、液晶ディスプレイ装置、プロジェクター装置等の偏光板として機能してもよい。
【0058】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、上述した工程(7)の水蒸気洗浄の前に、基板10を水洗する工程をさらに含む点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0059】
図16は、第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート82である。まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS20)。その後、基板10を洗浄する(ステップS21)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS22)、所定のパターン以外の領域に触媒層32を形成し(ステップS23)、レジスト層22を除去する(ステップS24)。
【0060】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に第1の金属層34を形成し(ステップS25)、基板10を水洗する(ステップS26)。水洗は、たとえば基板10を純水に浸漬することによって行われることができる。水洗によって、基板10に付着した無電解めっき液を除去または希釈することができる。水洗に使用する水の温度は、たとえば室温であることができる。また、ステップS26の後に、基板10表面の水分を除去をしてもよい。水分の除去は、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより行われる。水分の除去後、たとえば90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置することにより熱処理してもよい。次に、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS27)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS28)。
【0061】
上述したステップS26、ステップS27、およびステップS28を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS29)ことにより、めっき基板100が製造される。ステップS26、ステップS27、およびステップS28を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS28を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。
【0062】
以上の工程により、第2の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によれば、水蒸気洗浄の前に基板を水洗しているため、基板10に付着しているめっき成分のほとんどを除去した上で、水蒸気洗浄により、微細な配線パターンの隙間のような水洗では十分に洗浄できない領域を洗浄することができる。これにより、水蒸気洗浄の時間を短縮することができる。
【0063】
なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0064】
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、第1の実施の形態における工程(6)ステップS16の前に、基板10を水洗する工程と、基板10を乾燥する工程とをさらに含む点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0065】
図17は、第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート84である。まず、基板10を用意し、所定のパターンにレジスト層22を形成する(ステップS30)。その後、基板10を洗浄する(ステップS31)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS32)、所定のパターン以外の領域に触媒層32を形成し(ステップS33)、レジスト層22を除去する(ステップS34)。
【0066】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32が形成されていない領域に第1の金属層34を形成し(ステップS35)、基板10を水洗する(ステップS36)。水洗は、たとえば基板10を純水に浸漬することによって行われることができる。水洗によって、基板10に付着した無電解めっき液を除去または希釈することができる。水洗に使用する水の温度は、たとえば室温であることができる。
【0067】
次に、基板10表面の水分を除去する(ステップS37)。水分の除去は、例えば、室温下で自然乾燥、または、圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより行われる。空気の吹きつけは、基板10に対して上方から下方に向かって行うことが好ましい。これにより既に設けた金属層が剥離するのを防止することができる。また圧縮空気を吹き付けて水滴を除去することにより、迅速に基板10上の水分を除去することができ、まためっき成分を含んだ粘性の高い水分であっても容易に除去することができる。水分の除去後、たとえば90℃〜120℃のオーブン内に10分〜1時間程度放置することにより熱処理してもよい。熱処理することにより、基板と金属層33間の密着性を向上させることができる。次に、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS38)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS39)。
【0068】
上述したステップS35、ステップS36、ステップS37、およびステップS38を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS39)ことにより、めっき基板が製造される。ステップS35、ステップS36、ステップS37、およびステップS38を繰り返すと、第2の金属層36は、複数層形成される。このとき、無電解めっき液に浸漬する浸漬時間は、ステップS38を行う毎に徐々に短くすることが好ましい。また、乾燥工程後の熱処理工程は、必要に応じて行われればよく、たとえば1回目の乾燥工程の後にのみ行ってもよい。
【0069】
以上の工程により、第3の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によれば、基板を水洗した後に空気を吹き付けて水分を除去するため、たとえば第1の金属層34や第2の金属層36の隙間のような微細な領域まで十分に表面洗浄することができる。その後基板10を水蒸気洗浄したときに、基板10付近、特に第1の金属層34の隙間付近のめっき成分をほぼ完全に予め除去していることから、水蒸気洗浄は、少なくとも基板10の表面に水分層を設けられるだけの時間を行えばよい。したがって水蒸気洗浄の時間をさらに短縮することができる。
【0070】
なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0071】
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法は、第1の実施の形態における工程(5)(ステップS14)のレジスト層22の除去工程を、触媒層31の形成前に行う点で、第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法と異なる。
【0072】
図18は、本実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート86である。まず、基板10を用意し、所定のパターンのレジスト層22を形成する(ステップS40)。その後、基板10を洗浄する(ステップS41)。次に、上述した方法により触媒吸着層24を基板10に設け(ステップS42)、レジスト層22を除去して(ステップS43)、所定のパターン以外の領域のみに触媒吸着層26を形成する。次いで触媒吸着層26上に触媒層32を形成する(ステップS44)。
【0073】
次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、触媒層32以外の領域に第1の金属層34を形成し(ステップS45)、基板10を水蒸気洗浄する(ステップS46)。次に、基板10を無電解めっき液に浸漬することにより、第1の金属層34上に第2の金属層36を形成する(ステップS47)。
【0074】
上述したステップS46およびステップS47を、金属層33が所望の厚さになるまで繰り返す(ステップS48)ことにより、めっき基板100が製造される。
【0075】
以上の工程により、第4の実施の形態にかかるめっき基板を形成することができる。なお、各工程の詳細については、第1の実施の形態における対応する工程と同様であるので説明を省略する。
【0076】
5.実験例
5.1.第1の実験例
第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0077】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約140nm幅の直線状に露光、現像することにより、約60nm幅の直線状のラインと約140nm間隔を有するストライプ状の開口部を有するフォトレジストパターンを形成した。
【0078】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬した。次いで、このガラス基板をパラジウム触媒溶液に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。これにより、約140nm幅の直線状のラインと約60nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0079】
(3)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、80℃のニッケル無電解めっき液に30秒間浸漬し(1回目)、約20nm程度の厚み、約60nm幅のニッケル金属層を触媒層の形成されていない領域に形成した。
【0080】
(4)その後、ガラス基板をニッケル無電解めっき液からとりだして、約100℃の水蒸気をノズルから噴射して基板上面に約3分間吹き付けて水蒸気洗浄した。このとき、ガラス基板面から十分な水滴が流れ落ちる状態を確認した。その直後に80℃のニッケル無電解めっき液に30秒浸漬した(2回目)。
【0081】
(5)工程(4)を30回繰り返して、最終的に200nm程度の厚みのニッケル金属層をガラス基板上に形成した。このとき、ニッケル無電解めっき液の浸漬時間は、3回目〜4回目は25秒、5回目〜8回目は20秒、9回目〜15回目は15秒、16回目〜30回目は10秒とした。
【0082】
このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図19に示す。このニッケル金属層は、図19に示すとおり、約70nm幅の直線状のラインと約130nm間隔を有するストライプ状であって、膜厚は200nm、アスペクト比は約3であった。
【0083】
5.2.第2の実験例(比較例)
従来の製造方法によりめっき基板を形成した。
【0084】
(1)ガラス基板上にフォトレジスト膜を形成し、その後直描方式により約200nmピッチで約140nm幅の直線状に露光、現像することにより、約60nm幅の直線状のラインと約140nm間隔を有するストライプ状の開口部を有するフォトレジストパターンを形成した。
【0085】
(2)このガラス基板を1cm角に切り出し、カチオン系界面活性剤溶液(テクニックジャパン(株)製FPDコンディショナー)に浸漬した。その後、アセトン等の有機溶剤を用いてガラス基板上のフォトレジストを除去した。次いで、このガラス基板をパラジウム触媒溶液に浸漬した。これにより、約140nm幅の直線状のラインと約60nm間隔を有するストライプ状の触媒層が形成された。
【0086】
(3)次に、触媒層が形成されたガラス基板を、80℃のニッケル無電解めっき液に3分間浸漬し、約200nm程度の厚みのニッケル金属層をガラス基板上に形成した。このように形成されたニッケル金属層のSEM画像を図20に示す。成されたニッケル金属層は、隣り合う直線状のラインが部分的に接している状態であった。
【0087】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、上述した実施の形態では、予め基板上に所望のパターン領域以外の領域にレジスト層を設けて全面に触媒吸着層および触媒層を形成した後にレジスト層を除去することにより、触媒層を所定の領域に形成しているが、これにかえて、レジスト層を用いないで触媒層を形成してもよい。具体的には、たとえば触媒吸着層を基板全面に形成し、この触媒吸着層の一部を光分解して所望のパターン領域にのみ触媒吸着層を残す。これにより、触媒層は所望のパターン領域にのみ形成されることができる。触媒吸着層の光分解は、真空紫外線(VUV;vacuum ultraviolet)を用いて行うことができる。光の波長を、例えば170nm〜260nmとすることにより、原子間結合(例えば、C−C、C=C、C−H、C−F、C−Cl、C−O、C−N、C=O、O=O、O−H、H−F、H−Cl、N−Hなど)を切断することができる。この波長帯域を用いることにより、イエロールームなどの設備が不要となり、例えば白色灯下で本実施形態に係る一連の工程を行うことができる。
【0088】
また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図2】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図3】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図4】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図5】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図6】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図7】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図8】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図9】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図10】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図11】第1の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法を示す図。
【図12】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図13】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す断面図。
【図14】第1の実施の形態にかかるめっき基板を示す斜視図。
【図15】第1の実施の形態にかかるめっき基板を適用した電子デバイスの一例を示す図。
【図16】第2の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図17】第3の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図18】第4の実施の形態にかかるめっき基板の製造方法の概略を示すフローチャート。
【図19】第1の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【図20】第2の実験例にかかるめっき基板のSEM画像を示す図。
【符号の説明】
【0090】
10 基板、14 界面活性剤溶液、18 光源、20 光、22 レジスト層、24 触媒吸着層、26 触媒吸着層、30 触媒溶液、31 触媒層、32 触媒層、33 金属層、34 第1の金属層、36 第2の金属層、38、39 無電解めっき液、50 水蒸気、80、82、84、86 フローチャート、90 集積回路チップ、92 他の基板、100、110 めっき基板、1000 電子デバイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて前記所定のパターンの金属層を設ける工程と、
(c)前記基板を水蒸気に曝す工程と、
(d)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
工程(b)と工程(c)の間に、
(e)前記基板を水洗する工程、
をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
工程(e)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4において、
工程(e)と工程(c)の間に、
(f)前記基板上の水分を除去する工程、
をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
工程(e)、工程(f)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6において、
工程(f)において、前記基板上に空気を吹き付けることにより水分を除去する、めっき基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
工程(d)における浸漬時間は、工程(b)における浸漬時間以下である、めっき基板の製造方法。
【請求項9】
請求項2、4、および6のいずれかにおいて、
n回目に行う工程(d)における浸漬時間は、n−1回目に行う工程(d)の浸漬時間以下である、めっき基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
基板上に前記所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
基板上に所定のパターンの領域にレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
前記基板上の触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記工程(b)の後に、前記触媒吸着層および前記触媒層を除去する工程を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項1】
無電解めっき法によりめっき基板を製造する方法であって、
(a)基板上の所定のパターン以外の領域に触媒層を設ける工程と、
(b)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、基板上に金属を析出させて前記所定のパターンの金属層を設ける工程と、
(c)前記基板を水蒸気に曝す工程と、
(d)無電解めっき液に前記基板を浸漬することにより、前記第1の金属層上にさらに金属を析出させて第2の金属層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
工程(b)と工程(c)の間に、
(e)前記基板を水洗する工程、
をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
工程(e)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4において、
工程(e)と工程(c)の間に、
(f)前記基板上の水分を除去する工程、
をさらに含む、めっき基板の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
工程(e)、工程(f)、工程(c)および工程(d)を繰り返し行う、めっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6において、
工程(f)において、前記基板上に空気を吹き付けることにより水分を除去する、めっき基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
工程(d)における浸漬時間は、工程(b)における浸漬時間以下である、めっき基板の製造方法。
【請求項9】
請求項2、4、および6のいずれかにおいて、
n回目に行う工程(d)における浸漬時間は、n−1回目に行う工程(d)の浸漬時間以下である、めっき基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
基板上に前記所定のパターンのレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層および触媒層を除去する工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、
基板上に所定のパターンの領域にレジスト層を設ける工程と、
界面活性剤またはシラン系カップリング剤を含む触媒吸着層を前記基板上に設ける工程と、
前記レジスト層を除去することにより、前記所定のパターンの触媒吸着層を除去する工程と、
前記基板上の触媒吸着層上に触媒層を設ける工程と、
を含む、めっき基板の製造方法。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記工程(b)の後に、前記触媒吸着層および前記触媒層を除去する工程を含む、めっき基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図14】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図14】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−7800(P2008−7800A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176371(P2006−176371)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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