説明

めっき方法及びめっき装置

【課題】 従来の噴射供給タイプのめっき装置におけるエアーの滞留や、流速ムラにより生じるバンプ形状およびめっき厚の不均一性を解消するめっき処理技術を提供するものである。
【解決手段】 めっき槽と、めっき槽上部開口に形成されたウェハー支持部と、ウェハー支持部の下側位置に形成された液流出路と、ウェハー支持部に載置されたウェハーの被めっき面中央に向けてめっき液を噴射供給する液供給管とを備えためっき装置において、液供給管は、めっき槽内に突出した状態で設置されている液吐出管部と液流入管部とからなるとともに、液吐出管部下方に液吸入口が形成されており、当該液流入管部内壁に液流調整機構が形成されているものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用ウェハーのめっき方法及びめっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体用のウェハーにめっきを施す装置としてカップ式めっき装置が知られている。装置の概略を図4に示す。このめっき装置は、めっき槽101と、めっき槽101上部開口に形成されたウェハー支持部102と、ウェハー支持部102の下側位置に形成された液流出路103と、ウェハーWの被めっき面Ws中央に向けてめっき液を噴射供給する液供給管104Aとを備えている。そして、このめっき装置では、液供給管104Aから噴射流で供給されるめっき液をウェハー支持部102に載置されたウェハーWの被めっき面Wsを接触させ、ウェハーWの被めっき面Ws中央から外周方向へ流れを形成させてめっき処理を行うようになっている。
【0003】
このめっき装置は、めっき液を被めっき面に向けて噴射流で供給する結果、被めっき面Wsには、その中央付近から周辺方向に広がるような流動状態でめっき液が接触することとなり、被めっき面全面に迅速かつ均一なめっき処理が行えるという特長を有するものである。
【0004】
装置構造上の特徴から、めっき性状に対して次のような点において不十分なものであった。まず、第一にめっき処理中に不可避的に発生するエアーに起因して、例えばウェハーのバンプ形成を行う場合、形成されるバンプの形状がエアーの影響により不均一となるのである。
【0005】
ウェハーWにはフォトフォトレジストのバンプ形成面パターンが形成されている。フォトフォトレジストパタ−ンが形成されたウェハーWは、被めっき面Wsを下に向けた状態で上記めっき装置にセットされる。フォトフォトレジストの間隙にめっき液を付着させて、通電すると、間隙内に金属が析出する。その金属が析出成長することで、被めっき面Ws上にバンプが形成される。
【0006】
一方、上記めっき装置では、めっき処理中、めっき液供給時に液中に混入するエアーや、アノード等より発生するエアーが液中に混在し、さらに、このエアーは、めっき液の流動とともに移動している。そして、めっき液は、ウェハーの被めっき面において、被めっき面中央から外周へ向かって放射状に流動している。この放射状の流動はほぼ定常的に発生している結果、例えばめっき槽内の特定位置から常時エアーが発生した場合、液中のエアーは、定常発生している放射状の流動が特定流動部分に沿って移動しやすくなる。そのため、被めっき面全面でみると、エアーが常時移動する部分とそれ以外の部分とが生じる場合がある。
【0007】
このような液中のエアーが被めっき面を移動すると、エアーの一部は、フォトレジストパターンの間隙に入り込む可能性が高い。その場合、フォトレジストの間隙にはエアーの存在によってその部分にめっきは行われなくなる。特に、フォトレジスト厚が大きく、間隙が深い場合、間隙部分に入り込んだエアーは容易に抜けない傾向にある。つまりウェハーバンプ形成を行うためのめっき処理を行う場合、エアーの影響により形成するバンプ高さにばらつきが生じることとなる。
【0008】
さらに、上記被めっき面におけるエアーの流動において、エアーの常時移動する部分では電流密度が若干小さくなり、均一なめっき厚みのめっき処理ができなくなる傾向も生じる場合がある。
【0009】
次に第二点目としては、ウェハーの被めっき面の近傍におけるめっき液の流速にムラがあることである。図4には、めっき槽断面方向から見ためっき液の流動状態を示す。またこの流速ムラの概略は図4中の矢印線で示している。具体的には、供給管104Aからの噴射流Lが直接影響する被めっき面近傍中心部の流速が他の部分より速くなる。そのために、その周囲にドーナツ状に淀み部分Sのような流速ムラが生じる。そのためこのドーナツ状の淀み部分に対応する被めっき面において、めっき厚が若干薄くなる傾向を示すのである。
【0010】
このような従来のめっき装置における構造上の特徴から生じるめっき性状の均一性への不十分な点に対し、発明者は上記液供給管104aに改良を加えためっき装置を提案した。(例えば特許文献1)
【0011】
【特許文献1】特開2004−099988
【0012】
特許文献1のめっき装置の概略断面を図5に示す。この装置は、液供給管104bが、めっき槽101内に突出した状態で形成されるとともに、液供給管開口部105の下側位置に液吸入口106が設けられたことを特徴とする。この液供給管104bを備えためっき装置において、めっき槽101内のめっき液は液吸入口106より吸引され、液供給管で噴射流と合流、その後めっき槽内に再噴射という一連の挙動を示すこととなる。
これにより、めっき槽101中のめっき液に強制対流による図中の矢印線のような循環流動が発生し、めっき槽内のめっき液が均一に攪拌される。この攪拌によってめっき液中に混在するエアーの影響を極力抑制し、めっき液供給時のめっき液流速に起因するめっき厚みの不均一を低減することが可能となった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、本発明者が提案した特許文献1のめっき装置では、ウェハーの被めっき面に対し、めっき液が放射状の流動状態を定常的に生じることに依然変わりが無い。被めっき面の特定部分にエアーが移動する現象により生じると考えられる、バンプ形成やめっき厚みの不均一性は十分に解決されたものとはいえない。また、特許文献1のめっき装置では、めっき槽の液流出路は槽壁の全周にわたり等間隔で複数設けられるが、各液流出路間にはエアーが滞留しやすい傾向があり、このようなエアーの滞留についても更なる改善を要求されている。さらに、ウェハーの被めっき面の近傍におけるめっき液の流速ムラによるめっき厚の不均一も同様に改善が要求されている。
【0014】
近年、半導体用のウェハーは大量に加工され、その加工精度は、日増しに高くなっており、このような高い加工精度が可能であるような製造技術が要求されている。つまり、ウェハーに行うめっき処理においても、従来よりもさらに均一な厚みのめっきが行えるめっき処理技術が切望されている。そして、最近のウェハーは、高い製造効率の要請からウェハーの大面積化が進行しており、大面積のウェハーであっても、その被めっき面全面で均一な厚みのめっき処理を可能とするめっき処理技術が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、めっき槽上部開口に載置されたウェハーの被めっき面中央に向けて、めっき液を噴射供給することにより、被めっき面中央から外周方向へめっき液を流動させてめっき処理を行うめっき方法において、被めっき面を中心として旋回流動するようにめっき液を噴射供給するものとした。被めっき面中央から外周方向へ流動しているめっき槽中のめっき液に、被めっき面中央を中心として旋回流動するようにめっき液を噴射供給すると、被めっき面では、被めっき面中央を中心とし外周方向へ渦巻状に流動する。この結果、めっき槽内の特定位置から常時エアーが発生する場合、液中のエアーは渦巻状に流動しているめっき液全体に移動する。つまり被めっき面で見るとエアーの移動が被めっき面全面で均一に生じる。さらに上記旋回流動に加え、被めっき面中央から外周方向へと流動しているので、被めっき面中心部から液流出路に繋がる経路は、被めっき面を中心とする渦巻き状となる。よって、めっき液全面に均一に存在しているエアーは、渦巻状の流動とともに移動することとなるので、めっき液とともに液排出路から効率的に排出される。このため、被めっき面を移動したエアーの一部が、フォトレジストパターンの間隙に入り込む可能性はかなり低減し、めっき性状が良好となった。
【0016】
また、上記渦巻状の流動により、被めっき面でのエアーの移動が被めっき面全面で均一に生じ、液流出路管に滞留しやすいエアーは、近くに存在する液流出路に導かれて外部に流出した。よってエアーよる電流密度の不均一性が解消され、均一なめっき処理の実現が可能となる。
【0017】
さらに、本発明のめっき方法では、めっき槽内のめっき液が旋回流動しているので、ウェハーの被めっき面近傍に生じる流速ムラが小さくなり、被めっき面においてドーナツ状にめっき厚が若干薄くなる現象が抑制される。
【0018】
本発明に係るめっき装置は、めっき槽と、めっき槽上部開口に形成されたウェハー支持部と、ウェハー支持部の下側位置に形成された液流出路と、ウェハー支持部に載置されたウェハーの被めっき面中央に向けてめっき液を噴射供給する液供給管とを備え、液供給管は、めっき液を旋回上昇させる液流調整機構を備えている事を特徴とする。本発明のめっき装置であれば、液供給管から供給されるめっき液はウェハーの被めっき面を旋回流動することになり、より均一な厚みのめっき処理が可能となる。
【0019】
そして、本発明に係るめっき装置において、液流調整機構は、液供給管内壁に形成された螺旋状の溝または羽根であることが望ましい。めっき液が、当該形状を有する液供給管を通過することで、めっき液に旋回流動を生じさせることができる。このような液流調整機構は、例えば液供給管内壁にねじ加工を行うか、螺旋状のバッフルなどを設ければよい。このような構造であれば、従来におけるめっき装置におけるめっき液供給管に容易に適用できる。つまり、構造が簡単で、製造コストが安価になり、そしてメンテナンスフリーであるという利点がある。
【0020】
さらに、本発明のめっき装置において、液供給管はめっき槽内に突出した状態で設置されている液吐出管部と液流入管部とからなるとともに、液吐出管部下方に液吸入口が形成されており、当該液流入管部内壁に液流調整機構が形成されたものであることが好ましい。
【0021】
当該液供給管を備えためっき装置は、めっき槽内のめっき液に循環流動が生じることで、めっき槽内のめっき液を均一に攪拌することができ(特許文献1参照)、あわせて液流入管部に形成された液流調整機構により、めっき槽内のめっき液に旋回流動を生じさせることができる。そのために、より均一な厚みのめっき処理が可能となる。本めっき装置において、めっき槽内のめっき液はめっき槽水平方向における旋回流動と、垂直方向の循環流動とが同時に生じることにより、めっき槽内のめっき液の流動状態は、多方向に渡る複雑なものとなる。そのため、被めっき面における特定の流動部分に従ったエアーの移動が解消され、また液流出路間に滞留しやすいめっき液が効率的に排出される。さらに被めっき面近傍におけるめっき液の流速のムラがより確実に解消される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、めっきの不均一性を招く要因を有効に解消でき、均一性の高いめっき処理を行うことができる。また、本発明のめっき装置では、従来のめっき装置と比べ、さらに高精度な均一性を持ったなめっき処理を被めっき面全面に行うことが可能である。さらに大面積のウェハーであっても、厚み均一性の非常に高いめっき処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るめっき装置の好ましい実施形態について説明する。
【0024】
図1は本実施形態におけるめっき装置のめっき槽断面概略を表したものである。図1で示すように、本実施形態におけるめっき装置1は、めっき槽10の上部開口に沿ってウェハー支持部20が設けられており、このウェハー支持部20にウェハーWを載置して、ウェハーWの被めっき面Wsに対してめっき処理が行われるものである。このウェハー支持部20は、図示を省略するカソード電極とその下にあるめっき液漏洩防止用のシールパッキン21及び環状の支持台22とからなり、これらをトップリング23によりめっき槽10の開口に固定されて形成されている。そして、ウェハーWがウェハー支持部20に載置されると、図示を省略したカソード電極とウェハーWの被めっき面Wsの周辺部分とが接触するようになっている。
【0025】
また、めっき槽10の底部中央には、液供給管11が設けられており、ウェハー支持部20の下側位置には、被めっき面Wsの中心付近に到達するめっき液がウェハーWの外周方向に広がる流れを形成するように外部にめっき液を流出させるための液流出路12が設けられている。そして、液供給管11の周囲には、被めっき面Wsに対向するようにリング状のアノード電極24が配置されている。このアノード電極24、ウェハー支持部20に配置されたカソード電極(不図示)とはめっき電流供給電源(不図示)に接続されている。
【0026】
続いて、液供給管11の構造について、図2を参照しながら説明する。図2は、図1で示す液供給管を概略的に斜視図で示したものである。この液供給管11は、液流入管部11a、固定用鍔部11b、液吐出管部11c、からなり、液流入管部11aと液吐出管部11cとの間には、液吸入口形成用の柱状連結部11dが3本設けられている。この3本の柱状連結部11dにより、液流入管部11aと液吐出管部11cとの間に3個所の液吸入口12(図1参照)が形成されることになる。さらに、液流入管部11a内壁に螺旋状の溝である液流調整機構が形成されている。
【0027】
図3には図2に示す液供給管の一部である流入管部の断面図を示している。本発明の実施形態における液流入管部の液流調整機構は、螺旋状の溝が形成されているものとした。
【0028】
なお、液流調整機構は、流入管部における内部管壁に螺旋の羽根を設けてもよい。
【0029】
次に、本実施形態のめっき装置を用いて行うめっき処理について順を追って説明する。
【0030】
まず、ウェハーWをウェハー支持部20の上に載置する。ウェハーWをウェハー支持部20上に載置し固定すると、ウェハーWの被めっき面Wsがめっき槽10内に満たされためっき液に接触する。この状態で、カソード(不図示)とアノード24との間に通電させることにより、ウェハーWの被めっき面Wsにめっき処理を施しめっき膜を形成する。
【0031】
めっき装置1では、通常、めっき槽10内にめっき液を供給しながら、被めっき面Wsにめっき処理を施している。以下、めっき処理中のめっき液の流れを説明する。
【0032】
まず、めっき液は、めっき槽10の底面中央に設けられた液供給管11からめっき槽内10内に供給される。液供給管11に流入しためっき液は、螺旋状の溝が形成されている液供給管の流入管部11a内部管壁を通過することで、旋回流動が発生する。旋回流動を伴っためっき液は、ウェハーWの被めっき面Wsに向かって、液供給管の上部開口からめっき槽10内に噴射供給される。めっき槽10には、旋回流動が生じた状態で、めっき液が連続的に供給され、めっき槽10内のめっき液が被めっき面中央から外周に向けて旋回流動するようになる。
【0033】
めっき液が充満しているめっき槽10内に、液供給管11よりめっき液が噴射供給されると、めっき液の一部は、めっき槽から溢れて液流出路12からめっき槽外に排出される。一方、液流出路から流出せず、めっき槽10に滞留しているめっき液は、液供給管11に設けられた液吸入口14より吸引される。その後めっき液噴射流と合流して、液供給管上部開口部より再度噴射する。一連のめっき液の挙動により、めっき槽10内のめっき液にめっき槽10底部側に向う流動が生じることで、強制対流による循環流動が生じ、めっき液を均一に攪拌することができる。
【0034】
次に本実施形態のめっき装置に関して、ウェハーの表面にバンプ形成のめっき処理を行った結果(以下バンプ形成テストということもある)について説明する。めっき装置(φ200mmウェハー処理タイプ)は、図1に示す構造のもので、めっき槽容量(3L)、液供給管は、液吸入口を有するタイプを使用した。なお液流入管部の形状は、液管長50mmに対し、流入管部の山部の内径は15mm、谷部の内径は19mm、螺旋ピッチは25mmである。比較として、従来の噴流式めっき装置(φ200mmウェハー処理タイプ)用いた。この従来タイプのものは、図4で示しためっき装置であって、めっき槽内には撹拌手段を配置していないものを用いた。めっき槽容量(3L)、使用ポンプ(マグネットポンプ)は本実施形態のめっき装置と同様であるが、液供給管104は30mmの円筒状内径となっているものとした。尚、ウェハー支持部や液流出口等の形状、構造は両めっき装置とも同等のものである。
【0035】
ウェハーは、シード金属として金が被覆された被めっき面を有する8インチウェハー(直径200mm)を用い、その被めっき面に70μm×100μmのバンプを形成するめっき処理を行った。めっき液は、ノンシアン系で弱アルカリ性の高純度金メッキ液(製品名:Microfab Au100HM 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いた。被めっき面は予めフォトフォトレジストを形成後、めっき液流量は流量12L/min、めっき時間5(分)としてめっき処理を行った。評価は、めっき処理したウェハーの被めっき面の全体でバンプ形状不良の数をカウントし、総バンプ数に対する不良バンプ数の割合を算出して行った。以下に結果を示す
【0036】
【表1】

【0037】
表1において、不良バンプ数とは被めっき面Wにおける不良バンプの数を、総バンプ数とは、被めっき面Wにおける総バンプ数を、不良バンプ発生率と不良バンプ数を総バンプ数で除した値を言う。表1によれば、円筒状の液供給管を用いためっき装置でバンプ形成を行った比較例の場合、総バンプ数に対する不良バンプ発生率は5.4%であるのに対して、液供給管に液供給口と液流調整機構を有する液供給管を使用しためっき装置でバンプ形成を行った本実施形態においては、不良バンプ発生率は2.4%と、従来のものに比べ不良バンプが約50%半減することが判明した。
【0038】
続いて、本実施形態の噴流式めっき装置に関して、めっき液中のエアー除去能テストを行った結果について説明する。使用した本実施形態のめっき装置及び従来のめっき装置は、バンプ形成テストに用いた物と同様なものを使用した。
【0039】
エアー除去能テストは、表2に示す各液流量となるように液供給ポンプを制御して、各流量に設定されてから60秒経過後めっき槽内に残留するエアーの状態を確認することによって行った。エアーの残留状態は、ガラスで形成したウェハーサンプルをウェハー支持部に載置することで、目視により確認した。
【0040】
【表2】

【0041】
従来タイプのめっき装置では、どの流量によってもめっき対象面周辺付近にはエアーの滞留が確認された。一方、本実施形態のめっき装置であると、12〜30L/minの流量であればエアーの残留は全くなく、めっき液中のエアーが効率的に排出されたことが判明した。
【0042】
最後に、被めっき面のめっき厚の均一性についてテストした。(以下めっき均一性テストという)使用した本実施形態のめっき装置は、従来のめっき装置バンプ形成テストに用いた物と同様なものを使用した。
【0043】
ウェハーおよびめっき液については、バンプ形成テストの際に用いたものと同様のものを用いた。被めっき面については、予めフォトフォトレジストを形成後、めっき液流量12L/min、めっき時間62(分)としてめっき処理を行った。評価は、図6(a)に示すウェハー表面の9ポイントの部分に位置する各々のバンプ図6(b)における四隅A〜D点における、合計36箇所について、バンプ高さを測定後、その値に基づき均一性を算出することで行った。バンプ高さの測定方法は、触針式バンプ高さ測定器(tencor社製P−11)を用いて、バンプのトップ表面における高さ(シード金属表面からバンプトップまでの距離)を連続的に測定することで行った。
【0044】
【表3】

【0045】
表3において、均一性の値は
均一性(%)=(最大高さ−最小高さ)/平均高さ×100
で算出したものである。均一性の値が大きければ、バンプ高さのばらつきが多いことを意味し、その値が小さければ、そのばらつきが少ないことを意味する。表3によれば、円筒状の液供給管を用いためっき装置でバンプ形成を行った比較例の場合、均一性は14.5%であるのに対して、液供給管に液供給口と液流調整機構を有する液供給管を使用しためっき装置でバンプ形成を行った本実施形態においては、均一性は11.5%と、従来のものに比べ均一性が向上していることが確認された。なお、表3に示すデータは、比較的簡易な試験条件により得られたものであるため、製品レベルのものと比較してバンプ高さの精度が数値的に悪い結果となってしまっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態におけるめっき装置の概略断面図
【図2】液供給管の斜視図
【図3】液供給管吸込部の断面図
【図4】従来のカップ式めっき装置の概略断面図およびめっき液の流動状態を示す図
【図5】液供給管に改良を加えためっき装置の概略断面図
【図6】バンプ高さの測定個所を示す平面図
【符号の説明】
【0047】
1 めっき装置
10 めっき槽
11 液供給管
12 液流出路
13 液吸入口
20 ウェハー支持部
21 トップリング
22 載置台
23 トップリング
24 カソード電極
W ウェハー
Ws 被めっき面
11a 流入管部
11b 固定用顎部
11c 流出管部
11d 柱状連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽上部開口に載置されたウェハーの被めっき面中央に向けて、めっき液を噴射供給することにより、被めっき面中央から外周方向へめっき液を流動させてめっき処理を行うめっき方法において、
被めっき面中央を中心として旋回流動するようにめっき液を噴射供給することを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
めっき槽と、めっき槽上部開口に形成されたウェハー支持部と、ウェハー支持部の下側位置に形成された液流出路と、ウェハー支持部に載置されたウェハーの被めっき面中央に向けてめっき液を噴射供給する液供給管とを備えためっき装置において
液供給管は、めっき液を旋回させる液流調整機構が設けられたことを特徴とするめっき装置。
【請求項3】
液流調整機構は、液供給管内壁に形成された螺旋状の溝または羽根である請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
液供給管は、めっき槽内に突出した状態で設置されている液吐出管部と液流入管部とからなるとともに、液吐出管部下方に液吸入口が形成されており、
当該液流入管部内壁に液流調整機構が形成されたものである請求項3に記載のめっき装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−28629(P2006−28629A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213536(P2004−213536)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000228165)日本エレクトロプレイテイング・エンジニヤース株式会社 (29)
【Fターム(参考)】