めっき装置、めっき方法、及び半導体装置の製造方法
【課題】 フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止する。
【解決手段】 内部に陽極電極5が設けられためっき処理槽100を備え、めっき処理槽100内にめっき液及び電解液を流入し、半導体ウェハ1の被めっき面wに下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、陽極電極5へ電解液を流入させながら、陽極電極5と半導体ウェハ1との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、めっき処理槽100には、半導体ウェハ1と陽極電極5との間に、隔壁7が設けられており、半導体ウェハ1と陽極電極5とが隔壁7により隔離され、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。
【解決手段】 内部に陽極電極5が設けられためっき処理槽100を備え、めっき処理槽100内にめっき液及び電解液を流入し、半導体ウェハ1の被めっき面wに下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、陽極電極5へ電解液を流入させながら、陽極電極5と半導体ウェハ1との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、めっき処理槽100には、半導体ウェハ1と陽極電極5との間に、隔壁7が設けられており、半導体ウェハ1と陽極電極5とが隔壁7により隔離され、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するのに優れためっき装置、めっき方法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図11に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3’内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図11には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図12に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図12には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。
【0011】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0012】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0013】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0014】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0015】
また、特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換樹脂又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0016】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。また、特許文献5に記載されているめっき装置では、陰極室と陽極室とを陰イオン交換膜で隔離し、陰極室と陽極室それぞれに、独立した陰極液と陽極液とを使用している。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来のめっき装置のうち、フェースダウン方式のめっき装置に関しては、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき液の汚染を防止し得るめっき装置が提案されていない。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき装置であって、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行い、上記めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴としている。
【0020】
本発明のめっき装置は、めっき処理槽にめっき液及び電解液を流入し、陽極電極と被めっき基板とを通電することにより、めっき処理を行うものである。そして、本発明のめっき装置では、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させるという、フェースアップ方式を採用している。また、電解液は陽極電極へ流入させている。
【0021】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された空間のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された空間のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0022】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0023】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。また、これにより、高品質なめっき配線を有する、高密度高精度な半導体装置を得ることが可能になる。
【0024】
なお、本発明のめっき装置において、「被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電する」構成としては、例えば、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室にのみめっき液が流入するように設けられている構成が挙げられる。
【0025】
これにより、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液を当接させることが可能になる。
【0026】
さらに、上記陽極電極室にのみ上記電解液を流入するための電解液供給管を備えた構成が挙げられる。これにより、陽極電極へ電解液を流入させることが可能になる。
【0027】
また、一般的に、めっき処理に用いるめっき液には、様々な添加剤が添加されている。これら添加剤は、大きく分けて、被めっき基板の被めっき面にて働く物質と陽極電極表面で働く物質とに分類することができる。このうち、被めっき基板の被めっき面にて働く物質は、陽極電極表面で分解反応等を起こし、反応性生物を発生させ、めっき反応に悪影響を及ぼす。上記「電解液」とは、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことをいう。上記の構成では、陽極電極室に電解液を流入する一方、被めっき基板室にめっき液を流入し、陽極電極室と被めっき基板室とが隔壁により隔離されているので、陽極電極表面で分解反応を起こすことなく、めっき反応に悪影響を及ぼすことがない。
【0028】
また、本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0029】
陽極電極室に流入した電解液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルとを含む電解液になる。この電解液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。
【0030】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出する電解液流出口が設けられていることが好ましい。
【0031】
上記の構成では、めっき処理槽内の陽極電極へ電解液が流入する一方、電解液流出口にて、電解液がめっき処理槽外部に流出した状態で、陽極電極と被めっき基板との通電が行われている。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルをめっき処理槽外部に流出することが可能になり、常に、パーティクルが低減された電解液を陽極電極室に供給し続けることができる。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、電解液中に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、電解液に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過するので、電解液に電圧を印加すると、電解液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入した電解液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換樹脂を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板室を閉止する被めっき基板室閉止手段を備えたことが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、被めっき基板室閉止手段が、被めっき基板室を閉止するので、非めっき液室に流入しためっき液は、めっき処理槽外部の大気と遮断されることになる。これにより、めっき処理槽でのめっき処理において、めっき液の蒸発に伴うめっき処理槽の汚染を防止できる。さらに、めっき液の蒸発に伴うめっき液の濃度変動を防止することができる。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板室へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源と被めっき基板室との間でめっき液を循環するめっき液系と上記陽極電極室へ供給する電解液を貯留する電解液供給源と、上記電解液供給源と上記陽極電極室との間で電解液を循環する電解液系とを備えたことが好ましい。
【0039】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき液系を循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給液系を備えたことが好ましい。
【0040】
上記めっき液には、金属めっきに必要な成分が含まれている。上記「めっき液の濃度情報」とは、めっき液中に含まれる金属めっきに必要な各種成分の濃度情報のことをいう。また、上記「補給液」とは、このようなめっき液中の各種成分の高濃度溶液のことをいう。また、めっき液中の各種成分とは、例えば、銅めっきを行う場合、硫酸、銅、塩素、添加剤等が挙げられる。
【0041】
上記の構成によれば、補給系は、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する。すなわち、補給系は、めっき液中の各種成分がある一定の管理範囲を下回った場合に、補給液を補給する。それゆえ、上記の構成によれば、めっき処理槽へ、安定した濃度のめっき液を供給することが可能になる。
【0042】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき液系及び上記電解液系がそれぞれ、閉鎖系であることが好ましい。
【0043】
これにより、上記めっき液系及び上記電解液系を循環するめっき液及び電解液の蒸発に伴う雰囲気の汚染を防止できる。さらに、めっき液及び電解液の蒸発に伴う、めっき液及び電解液の濃度変動を防止することができる。
【0044】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0045】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含む場合、特に良好なめっき状態を実現できる。
【0046】
また、上記陽極電極は、リンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0047】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。好ましくは、リンの含有量は0.04〜0.06%である。
【0048】
また、従来では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要があった。このため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染により、めっき品質が低下するという問題があった。
【0049】
本発明では、含リン銅からなる溶解性陽極電極を適用しても、この陽極電極に起因するパーティクルを、上記隔壁により除去しているので、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。
【0050】
上述のように、「電解液」は、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことである。具体的には、電解液は、めっき処理において所望する金属(例えば銅めっきの場合、銅)を含まない溶液のことである。一方、めっき液は、所望する金属を含む溶液のことである。また、電解液とめっき液とは、導電性を有するという点では共通している。
【0051】
さらに具体的には、めっき液として、硫酸銅を含む溶液を用いる場合、上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液であることが好ましい。
【0052】
また、本発明では、電解液が所望する金属を含む溶液、あるいはめっき液と同一の溶液であっても、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。万が一、陽極電極表面でめっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能であるからである。
【0053】
すなわち、上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であってもよい。
【0054】
さらには、上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含んでいてもよい。
【0055】
また、本発明のめっき装置では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。この結果、フェースダウン方式の噴流めっき装置の操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき品質の低下のない半導体装置及びその製造方法を提供するとともに、めっき液や電解液等の蒸発やミストの発生を防ぐこともできる。
【0056】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、上述のめっき装置を用いたことを特徴としている。
【0057】
これにより、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0058】
さらに、本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき方法であって、めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うことを特徴としている。
【0059】
上記の構成によれば、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0060】
さらに、本発明のめっき方法では、上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようにめっきを行うことが好ましい。
【0061】
本発明のめっき方法では、さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出させる流出工程を含むことが好ましい。
【0062】
本発明のめっき方法では、電解液中に浸漬した状態で電解液中のイオンを透過する透過部材を備えたものを隔壁として、上記陽極電極と上記めっき基板とを隔離することが好ましい。
【0063】
本発明のめっき方法では、さらに、上記被めっき基板室を閉止する閉止工程を含むことが好ましい。
【0064】
本発明のめっき方法では、さらに、めっき液を貯留するめっき液供給源と上記被めっき基板室との間で、めっき液を循環するめっき液循環工程と、電解液を貯留する電解液供給源と上記陽極電極室との間で、電解液を循環する電解液循環工程とを含むことが好ましい。
【0065】
本発明のめっき方法では、上記めっき液循環工程は、めっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給工程を含むことが好ましい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、上述のめっき方法を、めっき工程として含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0068】
本発明のめっき装置は、以上のように、めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている構成である。また、本発明のめっき方法は、以上のように、めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行う構成である。
【0069】
それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、上記のめっき装置を用いた構成である。さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、上記のめっき方法をめっき工程として含む構成である。
【0071】
それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0073】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液供給用ノズル(めっき液噴射管)4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、隔壁7、及び電解液供給管8を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0074】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32では、底部も開放されている。また、内筒31の最も低い中央の部分には、電解液を陽極電極5に供給するための電解液供給管8が設けられている。
【0075】
また、図1に示すように、外筒32の内周面には、ドーナツ形状の隔壁7が形成されている。隔壁7は、外筒32の上部に設けられており、内筒31と外筒32とを仕切るように設けられている。すなわち、この隔壁7は、半導体ウェハ1と陽極電極5とを隔離するように設けられている。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。そして、被めっき基板室に、半導体ウェハ1の被めっき面Wが配置されるようになっている。さらに、「陽極電極室」に、陽極電極5が配置されるようになっている。
【0076】
また、図1に示すように、めっき液供給ノズル4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、内筒31に接続されており、電解液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液供給ノズル4の下端よりも上方側に位置する。
【0077】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、電解液供給管8から陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入した電解液中のイオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0078】
カップ3における内筒31及び外筒32、めっき液供給ノズル4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、上記のプロピレンからなる部材は、寸法安定性が確保され、かつめっき液または電解液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、内筒31、外筒32、めっき液供給ノズル4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
なお、上記特許文献3におけるイオン交換膜は、フェースアップの装置において蓋側になる陽極電極をめっき液中に浸漬させておくために底蓋として使用しているものであり、その設置目的が本願発明とは根本的に異なる。
【0080】
また、上記特許文献5に記載のめっき装置に対しては、本実施形態のめっき装置は、フェースダウン方式を採用しているので、操作性が極めて向上し、量産性に優れた装置となる。
【0081】
さらに、上記特許文献3に記載のめっき装置に対しては、フェースアップ方式を採用する場合、めっき室内からめっき液が抜けきるまではサンプル(被めっき基板)を回収することができない。電圧が印加されていない状態で、めっき液に被めっき面が浸漬されていると、金属イオンの再溶解をきたすことになる。これに対し、本実施形態のめっき装置は、フェースダウン方式を採用しているので、めっき終了直後にサンプル(被めっき基板)を回収することができ、量産性の向上と、品質の向上が図れる。
【0082】
一般的に、めっき液には各種添加剤が添加されている。これは大きく分けて、被めっき面にて働く種類の物質と陽極電極表面で働く物質とに分類される。このうち、被めっき面で働く物質は,陽極電極表面で分解反応などを起こし、反応生成物を発生させる。この反応生成物がめっき反応に悪影響を及ぼす。
【0083】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0084】
めっき液として、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含む場合、特に良好なめっき状態を実現できる。
【0085】
また、上記陽極電極は、0.04〜0.06%のリンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0086】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0087】
また、従来では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要があった。このため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染により、めっき品質が低下するという問題があった。
【0088】
上記「電解液」とは、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことをいう。上記の構成では、陽極電極室に電解液を流入する一方、被めっき基板室にめっき液を流入し、陽極電極室と被めっき基板室とが隔壁により隔離されているので、陽極電極表面で分解反応を起こすことなく、めっき反応に悪影響を及ぼすことがない。
【0089】
また、万が一めっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能である。
【0090】
具体的には、電解液は、めっき処理において所望する金属(例えば銅めっきの場合、銅)を含まない溶液のことである。一方、めっき液は、所望する金属を含む溶液のことである。また、電解液とめっき液とは、導電性を有するという点では共通している。
【0091】
さらに具体的には、めっき液として、硫酸銅を含む溶液を用いる場合、上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液である。
【0092】
また、本発明では、電解液が所望する金属を含む溶液、あるいはめっき液と同一の溶液であっても、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。万が一、陽極電極表面でめっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能であるからである。
【0093】
すなわち、上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であってもよい。
【0094】
さらには、上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含んでいてもよい。
【0095】
ここで、本実施形態に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mm〜300mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0096】
また、内筒31の寸法は、外径130mm 内径120mm 厚さ5mm 高さ110mmであり、円筒状のものである。
【0097】
また、支持体6は、内筒31とめっき液供給用ノズル4との間に設けられている。支持体6は、内筒31の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0098】
また、外筒32は、その上部に隔壁7が密着して固定されている。また、外筒32の高さは、30mmないしはそれ以上であってもよい。さらに、図1では、外筒32の下端は、内筒31の下端よりも上側(被めっき基板側)になるようになっている。しかしながら、外筒32の下端は、これに限定されず、内筒31の下端よりも下側になるようになっていてもよい。また、外筒32の内径は140mmであるが、これに限定されるものではない。
【0099】
また、めっき処理槽100では、内筒31の高さが110mmであり、隔壁7と内筒31の上端との間隙が5mmとなっている。しかしながら、内筒31の高さ、及び隔壁7と内筒31の上端との間隙は、上記の寸法に限定されるものではなく、電解液が隔壁7の表面外周部まで十分に接することができるような寸法であればよい。
【0100】
また、隔壁7は、外径140mm内径20mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が外筒32に密着される一方、その内周がめっき液供給ノズル4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。また、隔壁7がセレミオン製である場合には、その厚さが100μm程度である、または100〜200μm程度であっても使用可能である。
【0101】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径110mm内径30mm厚さ8mmである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び内筒31と当該陽極電極5との間隙を通過する電解液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。
【0102】
めっき液供給用ノズル4は、隔壁7を貫通し、隔壁7よりも2mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液供給用ノズル4は、これに限定されるものでなく、めっき液供給用ノズル4は、隔壁7まで到達し、隔壁7に密着固定されていればよい。
【0103】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0104】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、外筒32の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱により保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0105】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0106】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。また、外筒32にはその一部に戻り管10が形成されている。
【0107】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0108】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0109】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0110】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0111】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、外筒32と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0112】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液供給用ノズル4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、外筒32の上部に固定されている。
【0113】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0114】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入した電解液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、電解液中のイオンが透過される。そして、半透膜71にて透過された電解液中のイオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、電解液中のイオンのみが透過され、電解液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、電解液中のパーティクルを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0115】
半透膜71は、電解液に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0116】
また、半透膜支持体72・73は、電解液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0117】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換樹脂を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図4は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図5は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0118】
「イオン交換膜」とは、図4に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図4に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0119】
陽イオン交換膜には、図5に示すように、マイナス電荷の交換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の交換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の交換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0120】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の直流電気エネルギーによって行われる。
【0121】
次に、本実施形態のめっき装置の構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0122】
本実施形態のめっき装置は、図6に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき装置内にめっき液を循環するめっき液系20と、めっき装置内に電解液を循環する電解液系30とを備えている。
【0123】
めっき液系20は、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、外筒32と、外筒32の一部に接続された戻り管10と、めっき液をめっき装置内に循環させるめっき液ポンプ101と、めっき液中の固形異物をろ過するめっき液フィルター111と、これらを接続する配管Tとを備えている。
【0124】
一方、電解液系30は、めっき処理槽100が内包する部材(ウェハ保持具2、カップ3及びこれらが内包する部材)をその内部に設置する電解液槽22と、電解液供給源としての電解液貯層23と、電解液をめっき装置内に循環する電解液ポンプ102と、電解液中の固形異物をろ過する電解液フィルター112と、これらを接続する配管T’とを備えている。
【0125】
以下、本実施形態のめっき装置における、めっき液または電解液の流れについて、説明する。
【0126】
まず、めっき液系20では、めっき液貯槽9中のめっき液は、めっき液ポンプ101によりめっき液フィルター11を経て、めっき処理槽100のめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、めっき処理槽100の被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)に流入し、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、外筒32上部の辺縁部に形成された戻り管10に流入し、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0127】
また、電解液系30では、電解液貯層23中の電解液は、電解液ポンプ102により電解液フィルター112を経て、めっき処理槽100の電解液供給管8に流入する。そして、電解液供給管8に流入した電解液は、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に流入する。隔壁7は、陽極電極に発生した電解液中のブラックフィルムを被めっき基板室へ透過しない一方、電解液中のイオンは被めっき基板室へ透過する。これにより、導通状態が実現されることになり、めっき処理が行われる。
【0128】
陽極電極室に流入した電解液は、内筒31上部の辺縁部(内筒31と外筒32との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出て電解液槽22にて回収され、再度、めっき液貯槽23へ還流される。
【0129】
めっき液系20における、めっき液貯槽9及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。さらに、電解液系30における、電解液槽22、電解液貯槽23、電解液フィルター112、及び配管T’は、寸法安定性が確保され、かつ使用する電解液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0130】
また、めっき液系20におけるめっき液ポンプ101は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。めっき液ポンプ101としては、例えば、イワキ製マグネットポンプMD−30R、またはイワキ製マグネットポンプMD−6ないしMD−70Rが挙げられる。
【0131】
また、電解液系30における電解液ポンプ102は、使用する電解液に耐性があり、かつ、電解液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。電解液ポンプ102としては、例えば、イワキ製マグネットポンプMD−70R、またはイワキ製マグネットポンプMD−30ないしMD−100Rが挙げられる。
【0132】
また、めっき液フィルター111及び電解液フィルター112は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液(または電解液)への耐性を備えめっき液(または電解液)に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。めっき液フィルター111及び電解液フィルター112としては、例えば、日本ポール社製ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。
【0133】
また、図6では示していないが、配管T及びT’の途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極との間に電圧を印加することができる。
【0134】
次に、本実施形態において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図8は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ41の概略構成を示し、図8(a)は、平面図であり、図8(b)は、断面図である。
【0135】
図7に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0136】
また、図8(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図8(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0137】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図9及び図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、上記実施の形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態1で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0138】
図9は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図9に示すように、めっき処理槽200は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、隔壁7、電解液供給管8、上蓋28、及びOリング29を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0139】
本実施形態のめっき装置におけるめっき処理槽200は、図9に示すように、上記実施の形態1の構成に加え上蓋28及びOリング29を備えている。この上蓋28及びOリング29は、被めっき基板室閉止手段として機能する。以下、上蓋28及びOリング29について説明する。なお、めっき処理槽200における、半導体ウェハ1、ウェハ保持具2、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、支持体6、隔壁7、及び電解液供給管8の寸法及び構成は、上記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0140】
図9に示すように、上蓋28は、外筒32の外周に沿って設けられている。そして、Oリング29は、外筒32と上蓋28との間に設けられており、外筒32との密着性を確保している。
【0141】
めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。めっき処理槽200では、Oリング29により、上蓋28と外筒32との密着性が確保されている。すなわち、被めっき基板室が閉止された状態(閉鎖系)になっている。このため、半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達しためっき液は、めっき処理槽200の外部に漏れることなく、戻り管10に流入する。このように被めっき基板室が閉止された状態になっているので、被めっき基板に流入するめっき液を、めっき処理槽200外部の大気と遮断することが可能になる。このため、めっき処理槽200では、めっき液が外部に漏れることがなく、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0142】
なお、上記上蓋29の寸法は、被めっき基板室を閉止することができるような寸法であれば、特に限定されるものではない。また、上蓋29の寸法は、外筒32の寸法に応じて、適宜設定することができる。
【0143】
また、上蓋29は、ポリプロピレンからなる。しかしながら、上蓋29の材質は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、上蓋29は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0144】
また、Oリング29は、外筒32との密着が確保され、かつ使用するめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング29として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトンが挙げられる。
【0145】
次に、本実施形態のめっき装置の構成について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0146】
本実施形態のめっき装置は、図6に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき装置内にめっき液を循環するめっき液系20’と、めっき装置内に電解液を循環する電解液系30’と、循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液のイオン濃度に応じて補給液を補給する補給液系40とを備えている。
【0147】
めっき液系20’は、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9’と、外筒32と、外筒32の一部に接続された戻り管10と、めっき液をめっき装置内に循環させるめっき液ポンプ101と、めっき液中の固形異物をろ過するめっき液フィルター111と、これらを接続する配管Tとを備えている。上記めっき液系20’は、上記実施の形態1のめっき装置におけるめっき液系20と異なり、めっき液貯槽9’が蓋付であり、閉止された状態(閉鎖系)である構成である。
【0148】
また、電解液系30’は、めっき処理槽200が内包する部材(ウェハ保持具2、カップ3及びこれらが内包する部材、並びに上蓋28)をその内部に設置する電解液槽22’と、電解液供給源としての電解液貯層23’と、電解液をめっき装置内に循環する電解液ポンプ102と、電解液中の固形異物をろ過する電解液フィルター112と、これらを接続する配管T’とを備えている。上記電解液系30’は、上記実施の形態1のめっき装置における電解液系30と異なり、電解液貯槽23’が蓋付であり、閉止された状態(閉鎖系)である構成である。さらに、電解液系30’では、外筒32が、電解液槽22’の開口部を完全に塞ぐように、電解液槽22’と密着している。すなわち、電解液槽22’が閉止された状態(閉鎖系)になっている。
【0149】
さらに、補給液系40は、補給ユニット24と、補給ポンプ25と、蓋付の補給液槽26と、センサ27と、これらを接続する配管T’’とを備えている。配管T’’は、めっき液系20’のめっき液貯槽9’と接続している。また、センサ27は、めっき液貯槽9’中のめっき液のイオン濃度を検出する。そして、センサ27にて得られためっき液のイオン濃度情報は、補給ユニット24を介して、電気信号として補給ポンプ25に伝えられる。そして、この電気信号により指示されて、補給ポンプ25は、補給液槽26より補給液を、めっき液貯槽9’に供給する。
【0150】
なお、図10において、補給液系40は1系統で示されている。しかしながら、補給液系40は、これに限定されることなく、めっき液中の成分のうち、管理及び補給する必要のある液種の数だけ設けられていてもよい。さらには、補給液槽26及び補給ポンプ25の代わりに、純水の補給配管と補給ユニットに制御されるバルブ等が設けられていてもよい。
【0151】
以下、本実施形態のめっき装置における、めっき液または電解液の流れについて、説明する。
【0152】
まず、めっき液系20’では、めっき液貯槽9’中のめっき液は、めっき液ポンプ101によりめっき液フィルター11を経て、めっき処理槽200のめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、めっき処理槽100の被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)に流入し、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、外筒32上部の辺縁部に形成された戻り管10に流入し、再度、めっき液貯槽9’へ還流される。
【0153】
このとき、被めっき基板室は、上蓋28により閉止された状態になっているので、被めっき基板室に流入しためっき液は、大気と遮断され、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。さらに、めっき液貯槽9’も蓋付であり、閉止された状態であるので、めっき液貯槽9’に流入しためっき液は、大気と遮断される。このため、めっき装置において、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0154】
また、電解液系30’では、電解液貯層23’中の電解液は、電解液ポンプ102により電解液フィルター112を経て、めっき処理槽200の電解液供給管8に流入する。そして、電解液供給管8に流入した電解液は、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に流入する。隔壁7は、陽極電極に発生した電解液中のブラックフィルムを被めっき基板室へ透過しない一方、電解液中のイオンは被めっき基板室へ透過する。これにより、導通状態が実現されることになり、めっき処理が行われる。
【0155】
陽極電極室に流入した電解液は、内筒31上部の辺縁部(内筒31と外筒32との隙間)より、めっき処理槽200外部へ漏れ出て電解液槽22’にて回収され、再度、めっき液貯槽23’へ還流される。
【0156】
ここで、電解液槽22’及び電解液貯層23’は、閉止された状態になっているので、解液槽22’及び電解液貯層23’に流入した電解液は、大気と遮断される。このため、めっき装置において、電解液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、電解液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0157】
なお、めっき液貯槽9’、めっき液ポンプ101、めっき液フィルター111、配管T、電解液槽22、電解液貯槽23、電解液ポンプ102、電解液フィルター112、及び配管T’の材質は、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0158】
補給液系40における配管T’’は、寸法安定性が確保され、かつ使用する補給液に対し耐性を有する材質であれば、特に限定されるものではない。配管T’’の材質としては、例えば、硬質塩化ビニル、ポリプロピレン、またはテフロン(登録商標)が挙げられる。
【0159】
また、補給ポンプ25は、使用する補給液に対し耐性を有し、かつ、めっき液に悪影響を与えずに補給液をめっき液貯槽9’へ流入させることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。補給ポンプ25としては、例えば、東京理化器械製マイクロチューブポンプMP−1000、または、東京理化器械製マイクロチューブポンプMP−1000AないしMP−1000Bが挙げられる。
【0160】
また、図10では示していないが、配管T、T’、及びT’’の途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極との間に電圧を印加することができる。
【0161】
また、本発明のめっき装置は、以下のように、言い換えることができる。
【0162】
すなわち、本発明のめっき装置は、めっき装置のカップ内で陽極電極と電解液から成る電解液系と被めっき面及びめっき液から成るめっき液系を隔離することを特徴とする基板にめっきを形成するためのめっき装置であるともいえる。
【0163】
さらに、上記めっき装置では、前記めっきカップの外筒内に設けた隔壁と被めっき基板からなる空間にめっき液を導入するようになっている。
【0164】
さらに、上記めっき装置では、前記めっきカップの内筒内に設けた陽極電極と隔壁が成す空間に電解液を導入するようになっている。
【0165】
また、前記めっきカップの内筒内に流入した電解液が隔壁によって被めっき基板に到達しないようになっている。
【0166】
また、前記めっきカップの内筒内に流入した電解液を流動によってカップ外部に流出させている。
【0167】
前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき基板を隔離する構造(隔壁)の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質である。
【0168】
前記めっきカップ内の陽極電極と被めっき基板を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であることが好ましい。
【0169】
前記めっきカップ内の陽極電極と被めっき基板を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質がイオン交換膜であることが好ましい。
【0170】
本発明のめっき装置は、めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因する被めっき面の汚染を防止するような構成である。
【0171】
さらに、本発明のめっき装置は、めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因するめっき液中の添加剤の分解による被めっき面のめっき品質低下を防止するような構成である。
【0172】
そして、上記めっき装置において、前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発に伴う雰囲気の汚染を防止している。
【0173】
さらに、上記めっき装置において、前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発に伴う液濃度変化の防止を行っている。
【0174】
前記めっき液は、銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。
【0175】
さらに、前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14〜40gの銅成分を含む。
【0176】
前記陽極電極は、リンの含有量が0.04〜0.06%のリンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
【0177】
また、電解液は硫酸又は硫酸を希釈した水溶液である。
【0178】
また、電解液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体であってもよい。
【0179】
さらに、電解液は1リットル中に金属銅として14〜40gの銅成分を含むことが好ましい。
【0180】
本発明の半導体装置は基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置においてカップ内で陽極電極と電解液から成る電解液系と被めっき面及びめっき液から成るめっき液系を隔離して配置する。
【0181】
また、めっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を導入する。このときめっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触させ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、めっきカップの内筒内に流入した電解液は隔壁によって被めっき面に到達しないため含有する固形異物が被めっき面に付着することはない。
【0182】
さらに、めっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、めっきカップの内筒内に流入した電解液は隔壁近傍にてイオンのみが隔壁を透過し、その他の電解液はカップ外部に流出される。
【0183】
このめっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部は、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質である。
【0184】
めっきカップ内の陽極電極と被めっき面を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質は半透膜であるか、イオン交換膜である。
めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因する被めっき面の汚染を防止することを特徴とするめっき装置である。
【0185】
めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因するめっき液中の添加剤の分解による被めっき面のめっき品質低下を防止することを特徴とするめっき装置である。
【0186】
前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発やこれに伴う雰囲気の汚染や液濃度変化の防止を特徴とするめっき装置である。
この結果、フェースダウン方式の噴流めっき装置の操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき品質の低下のない半導体装置及びその製造方法を提供するとともに、めっき液や電解液等の蒸発やミストの発生を防ぐこともできる。
【0187】
以上のように、本発明によれば、以下の効果を有する。
被めっき面はフィルターにより固形異物を除去されためっき液に接しており陽極電極近傍を流動しためっき液とはイオン交換膜による隔壁で隔離され銅イオンのみが隔壁を透過して被めっき面に至り析出するため、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない高品質なめっき配線による高密度高精度な半導体装置を得ることができる。
【0188】
また、従来のようにブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっき配線による高密度高精度な半導体装置を得ることができるとともに、閉鎖系でめっきが行われるためにめっき液及び電解液の蒸発やミストの発生がなく安定した濃度と清浄な周辺環境を保つことができる。
【0189】
〔実施の形態3〕
本実施形態では、上記実施の形態1または2のめっき装置を用いた半導体チップの製造方法について、図13及び図14に基づいて、詳細に説明する。図13は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。なお、本実施形態では、半導体装置の製造方法の一例として、図7及び図8に示された半導体チップ41の製造方法について説明する。
【0190】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図13に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図13(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0191】
図13(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0192】
図13(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促す最初の核となるものである。
【0193】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0194】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0195】
図13(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハにフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0196】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0197】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0198】
図13(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0199】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0200】
図13(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。
【0201】
上記めっき工程は、実施の形態1または2のめっき装置によるめっき方法を、半導体装置の製造方法の一工程として適用した工程である。すなわち、本実施形態の半導体装置の製造方法では、実施の形態1または2のめっき装置が用いられている。
【0202】
ここでは、このようなめっき工程の一例として、図6に示されためっき装置を用いた場合について説明する。なお、上記めっき工程で用いられるめっき装置は、これに限定されるものではない。
【0203】
上記めっき工程では、電解液貯槽23内に貯留された希硫酸(電解液)を、図示しない制御装置により運転する電解液ポンプ102によって、毎分20L程度または毎分10〜20Lもしくは所期の目的を達成するに足り得る流量で電解液フィルター112に送る。なお、このとき、電解液貯槽23内に貯留された電解液は、約200g/Lまたは150〜250g/Lの硫酸を含む。
【0204】
電解液フィルター112によりフィルター開口径以上の固形異物が除去された電解液は、配管T’を経てカップ3に流入する。そして、カップ3の内筒31下部より流入した電解液は内筒31底部と支持体5との間隙に流入する。内筒31底部と支持体5との間隙に流入した電解液は、支持体に穿たれた貫通孔を経て、陽極電極周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、電解液は、内筒31と外筒32との間隙を通過してカップ外の電解液槽22に流出し、電解液貯槽23へと還流する。ここで、陽極電極6は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなる。
【0205】
一方、めっき液貯槽9内に貯留されためっき液を、図示しない制御装置により運転するめっき液ポンプ101によって、毎分2L程度又は毎分1〜2Lもしくは所期の目的を達成するに足り得る程度の流量でめっき液フィルター111に送る。なお、このとき、めっき液貯槽9内に貯留されためっき液は、図示しない添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0206】
めっき液フィルター111によりフィルター開口径以上の固形異物が除去されためっき液は、配管Tを経てめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液は、半導体ウェハ1と隔壁7とが成す空隙に下部より流入し、空隙を満たす。これにより、めっき液の表面は半導体ウェハ1の被めっき面Wと接触する。
【0207】
めっき液は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと接触した後、外筒32の上縁部よりウェハ保持具より外側に流出し、外筒32の一部に設置された戻り管を経てめっき液貯槽9へと還流する。
【0208】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面では銅イオンが発生する。そして、発生した銅イオンは、隔壁7を透過して外筒32内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wにて、銅イオンは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅として約10μmの膜厚で析出しめっきされる。
【0209】
また、内筒31内は、電解液フィルター112を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去された電解液が満たされている。そして、陽極電極近傍を流動した電解液は、隔壁7により外筒32内には流入できず、銅イオンのみが隔壁7を透過して外筒32内に至る。このため、半導体ウェハ1の被めっき面Wは、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなくなる。また、従来のようにブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために、不溶解性電極を使用する必要がないので、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下がなく、高品質なめっきを得ることができる。
【0210】
また、このめっき工程では、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に電解液を流入する一方、被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)にめっき液を流入することにより、めっきを行っている。このように電解液とめっき液とに分けてめっきを行うことで、高価なめっき液の所要量を少なくすることが可能になる。また、めっき液の分解や汚染が発生した場合には、めっき装置内のめっき液を入れ替える必要がある。本発明におけるめっき工程(めっき方法)では、めっき液の分解や汚染が発生した場合であっても、入れ替えるめっき液の量を少量にすることができる。
【0211】
なお、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧及び電圧印加時間は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAまたは10〜50mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。なお、この電気密度は、所期の目的を達成するに足り得る程度の電流密度であればよい。
【0212】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。めっき液として、例えば上村工業製レプコEXなどを用いてもよい。
【0213】
また、剥離工程では、図13(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図13(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハを、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度−20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0214】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0215】
次に、エッチング工程では、図13(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図13(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0216】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハを、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0217】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハを、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0218】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0219】
このように半導体ウェハ上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図14に基づいて、詳細に説明する。図14は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子34を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0220】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図14(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0221】
図14(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0222】
図14(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハにオーバーコート層33を形成する。具体的には、オーバーコート層33(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0223】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層33として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層33に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層33として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0224】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0225】
図14(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層33に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層33にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層33の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層33を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0226】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層33にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層33に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層33に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0227】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層33の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0228】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層33を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0229】
図14(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層33を除去した部分に、外部接続端子34を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子34としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハを、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子34としての半田ボールを接合させる。
【0230】
ここで、外部接続端子34としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0231】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0232】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図5】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図6】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図7】半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図8】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図9】本発明の実施の他の形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の他の形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図11】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図13】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図14】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0235】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液供給用ノズル(めっき液噴射管)
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 電解液供給管
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
31 内筒
32 外筒
41 半導体チップ
100,200 めっき処理槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するのに優れためっき装置、めっき方法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図11に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3’内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図11には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図12に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図12には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。
【0011】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0012】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0013】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0014】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0015】
また、特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換樹脂又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0016】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。また、特許文献5に記載されているめっき装置では、陰極室と陽極室とを陰イオン交換膜で隔離し、陰極室と陽極室それぞれに、独立した陰極液と陽極液とを使用している。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来のめっき装置のうち、フェースダウン方式のめっき装置に関しては、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき液の汚染を防止し得るめっき装置が提案されていない。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき装置であって、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行い、上記めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴としている。
【0020】
本発明のめっき装置は、めっき処理槽にめっき液及び電解液を流入し、陽極電極と被めっき基板とを通電することにより、めっき処理を行うものである。そして、本発明のめっき装置では、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させるという、フェースアップ方式を採用している。また、電解液は陽極電極へ流入させている。
【0021】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された空間のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された空間のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0022】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0023】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。また、これにより、高品質なめっき配線を有する、高密度高精度な半導体装置を得ることが可能になる。
【0024】
なお、本発明のめっき装置において、「被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電する」構成としては、例えば、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室にのみめっき液が流入するように設けられている構成が挙げられる。
【0025】
これにより、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液を当接させることが可能になる。
【0026】
さらに、上記陽極電極室にのみ上記電解液を流入するための電解液供給管を備えた構成が挙げられる。これにより、陽極電極へ電解液を流入させることが可能になる。
【0027】
また、一般的に、めっき処理に用いるめっき液には、様々な添加剤が添加されている。これら添加剤は、大きく分けて、被めっき基板の被めっき面にて働く物質と陽極電極表面で働く物質とに分類することができる。このうち、被めっき基板の被めっき面にて働く物質は、陽極電極表面で分解反応等を起こし、反応性生物を発生させ、めっき反応に悪影響を及ぼす。上記「電解液」とは、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことをいう。上記の構成では、陽極電極室に電解液を流入する一方、被めっき基板室にめっき液を流入し、陽極電極室と被めっき基板室とが隔壁により隔離されているので、陽極電極表面で分解反応を起こすことなく、めっき反応に悪影響を及ぼすことがない。
【0028】
また、本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0029】
陽極電極室に流入した電解液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルとを含む電解液になる。この電解液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。
【0030】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出する電解液流出口が設けられていることが好ましい。
【0031】
上記の構成では、めっき処理槽内の陽極電極へ電解液が流入する一方、電解液流出口にて、電解液がめっき処理槽外部に流出した状態で、陽極電極と被めっき基板との通電が行われている。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルをめっき処理槽外部に流出することが可能になり、常に、パーティクルが低減された電解液を陽極電極室に供給し続けることができる。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、電解液中に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、電解液に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過するので、電解液に電圧を印加すると、電解液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入した電解液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換樹脂を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板室を閉止する被めっき基板室閉止手段を備えたことが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、被めっき基板室閉止手段が、被めっき基板室を閉止するので、非めっき液室に流入しためっき液は、めっき処理槽外部の大気と遮断されることになる。これにより、めっき処理槽でのめっき処理において、めっき液の蒸発に伴うめっき処理槽の汚染を防止できる。さらに、めっき液の蒸発に伴うめっき液の濃度変動を防止することができる。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板室へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源と被めっき基板室との間でめっき液を循環するめっき液系と上記陽極電極室へ供給する電解液を貯留する電解液供給源と、上記電解液供給源と上記陽極電極室との間で電解液を循環する電解液系とを備えたことが好ましい。
【0039】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき液系を循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給液系を備えたことが好ましい。
【0040】
上記めっき液には、金属めっきに必要な成分が含まれている。上記「めっき液の濃度情報」とは、めっき液中に含まれる金属めっきに必要な各種成分の濃度情報のことをいう。また、上記「補給液」とは、このようなめっき液中の各種成分の高濃度溶液のことをいう。また、めっき液中の各種成分とは、例えば、銅めっきを行う場合、硫酸、銅、塩素、添加剤等が挙げられる。
【0041】
上記の構成によれば、補給系は、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する。すなわち、補給系は、めっき液中の各種成分がある一定の管理範囲を下回った場合に、補給液を補給する。それゆえ、上記の構成によれば、めっき処理槽へ、安定した濃度のめっき液を供給することが可能になる。
【0042】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき液系及び上記電解液系がそれぞれ、閉鎖系であることが好ましい。
【0043】
これにより、上記めっき液系及び上記電解液系を循環するめっき液及び電解液の蒸発に伴う雰囲気の汚染を防止できる。さらに、めっき液及び電解液の蒸発に伴う、めっき液及び電解液の濃度変動を防止することができる。
【0044】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0045】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含む場合、特に良好なめっき状態を実現できる。
【0046】
また、上記陽極電極は、リンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0047】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。好ましくは、リンの含有量は0.04〜0.06%である。
【0048】
また、従来では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要があった。このため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染により、めっき品質が低下するという問題があった。
【0049】
本発明では、含リン銅からなる溶解性陽極電極を適用しても、この陽極電極に起因するパーティクルを、上記隔壁により除去しているので、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。
【0050】
上述のように、「電解液」は、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことである。具体的には、電解液は、めっき処理において所望する金属(例えば銅めっきの場合、銅)を含まない溶液のことである。一方、めっき液は、所望する金属を含む溶液のことである。また、電解液とめっき液とは、導電性を有するという点では共通している。
【0051】
さらに具体的には、めっき液として、硫酸銅を含む溶液を用いる場合、上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液であることが好ましい。
【0052】
また、本発明では、電解液が所望する金属を含む溶液、あるいはめっき液と同一の溶液であっても、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。万が一、陽極電極表面でめっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能であるからである。
【0053】
すなわち、上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であってもよい。
【0054】
さらには、上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含んでいてもよい。
【0055】
また、本発明のめっき装置では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。この結果、フェースダウン方式の噴流めっき装置の操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき品質の低下のない半導体装置及びその製造方法を提供するとともに、めっき液や電解液等の蒸発やミストの発生を防ぐこともできる。
【0056】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、上述のめっき装置を用いたことを特徴としている。
【0057】
これにより、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0058】
さらに、本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき方法であって、めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うことを特徴としている。
【0059】
上記の構成によれば、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0060】
さらに、本発明のめっき方法では、上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようにめっきを行うことが好ましい。
【0061】
本発明のめっき方法では、さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出させる流出工程を含むことが好ましい。
【0062】
本発明のめっき方法では、電解液中に浸漬した状態で電解液中のイオンを透過する透過部材を備えたものを隔壁として、上記陽極電極と上記めっき基板とを隔離することが好ましい。
【0063】
本発明のめっき方法では、さらに、上記被めっき基板室を閉止する閉止工程を含むことが好ましい。
【0064】
本発明のめっき方法では、さらに、めっき液を貯留するめっき液供給源と上記被めっき基板室との間で、めっき液を循環するめっき液循環工程と、電解液を貯留する電解液供給源と上記陽極電極室との間で、電解液を循環する電解液循環工程とを含むことが好ましい。
【0065】
本発明のめっき方法では、上記めっき液循環工程は、めっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給工程を含むことが好ましい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、上述のめっき方法を、めっき工程として含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0068】
本発明のめっき装置は、以上のように、めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている構成である。また、本発明のめっき方法は、以上のように、めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行う構成である。
【0069】
それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、上記のめっき装置を用いた構成である。さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、上記のめっき方法をめっき工程として含む構成である。
【0071】
それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0073】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液供給用ノズル(めっき液噴射管)4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、隔壁7、及び電解液供給管8を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0074】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32では、底部も開放されている。また、内筒31の最も低い中央の部分には、電解液を陽極電極5に供給するための電解液供給管8が設けられている。
【0075】
また、図1に示すように、外筒32の内周面には、ドーナツ形状の隔壁7が形成されている。隔壁7は、外筒32の上部に設けられており、内筒31と外筒32とを仕切るように設けられている。すなわち、この隔壁7は、半導体ウェハ1と陽極電極5とを隔離するように設けられている。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。そして、被めっき基板室に、半導体ウェハ1の被めっき面Wが配置されるようになっている。さらに、「陽極電極室」に、陽極電極5が配置されるようになっている。
【0076】
また、図1に示すように、めっき液供給ノズル4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、内筒31に接続されており、電解液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液供給ノズル4の下端よりも上方側に位置する。
【0077】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、電解液供給管8から陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入した電解液中のイオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0078】
カップ3における内筒31及び外筒32、めっき液供給ノズル4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、上記のプロピレンからなる部材は、寸法安定性が確保され、かつめっき液または電解液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、内筒31、外筒32、めっき液供給ノズル4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
なお、上記特許文献3におけるイオン交換膜は、フェースアップの装置において蓋側になる陽極電極をめっき液中に浸漬させておくために底蓋として使用しているものであり、その設置目的が本願発明とは根本的に異なる。
【0080】
また、上記特許文献5に記載のめっき装置に対しては、本実施形態のめっき装置は、フェースダウン方式を採用しているので、操作性が極めて向上し、量産性に優れた装置となる。
【0081】
さらに、上記特許文献3に記載のめっき装置に対しては、フェースアップ方式を採用する場合、めっき室内からめっき液が抜けきるまではサンプル(被めっき基板)を回収することができない。電圧が印加されていない状態で、めっき液に被めっき面が浸漬されていると、金属イオンの再溶解をきたすことになる。これに対し、本実施形態のめっき装置は、フェースダウン方式を採用しているので、めっき終了直後にサンプル(被めっき基板)を回収することができ、量産性の向上と、品質の向上が図れる。
【0082】
一般的に、めっき液には各種添加剤が添加されている。これは大きく分けて、被めっき面にて働く種類の物質と陽極電極表面で働く物質とに分類される。このうち、被めっき面で働く物質は,陽極電極表面で分解反応などを起こし、反応生成物を発生させる。この反応生成物がめっき反応に悪影響を及ぼす。
【0083】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0084】
めっき液として、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含む場合、特に良好なめっき状態を実現できる。
【0085】
また、上記陽極電極は、0.04〜0.06%のリンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0086】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0087】
また、従来では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要があった。このため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染により、めっき品質が低下するという問題があった。
【0088】
上記「電解液」とは、上記被めっき基板の被めっき面にて働く物質が含まれていない溶液のことをいう。上記の構成では、陽極電極室に電解液を流入する一方、被めっき基板室にめっき液を流入し、陽極電極室と被めっき基板室とが隔壁により隔離されているので、陽極電極表面で分解反応を起こすことなく、めっき反応に悪影響を及ぼすことがない。
【0089】
また、万が一めっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能である。
【0090】
具体的には、電解液は、めっき処理において所望する金属(例えば銅めっきの場合、銅)を含まない溶液のことである。一方、めっき液は、所望する金属を含む溶液のことである。また、電解液とめっき液とは、導電性を有するという点では共通している。
【0091】
さらに具体的には、めっき液として、硫酸銅を含む溶液を用いる場合、上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液である。
【0092】
また、本発明では、電解液が所望する金属を含む溶液、あるいはめっき液と同一の溶液であっても、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止することが可能になる。万が一、陽極電極表面でめっきに悪影響を及ぼす物質が生成されたとしても、隔壁で遮断されていることで被めっき面での悪影響を防ぐことが可能であるからである。
【0093】
すなわち、上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であってもよい。
【0094】
さらには、上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含んでいてもよい。
【0095】
ここで、本実施形態に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mm〜300mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0096】
また、内筒31の寸法は、外径130mm 内径120mm 厚さ5mm 高さ110mmであり、円筒状のものである。
【0097】
また、支持体6は、内筒31とめっき液供給用ノズル4との間に設けられている。支持体6は、内筒31の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0098】
また、外筒32は、その上部に隔壁7が密着して固定されている。また、外筒32の高さは、30mmないしはそれ以上であってもよい。さらに、図1では、外筒32の下端は、内筒31の下端よりも上側(被めっき基板側)になるようになっている。しかしながら、外筒32の下端は、これに限定されず、内筒31の下端よりも下側になるようになっていてもよい。また、外筒32の内径は140mmであるが、これに限定されるものではない。
【0099】
また、めっき処理槽100では、内筒31の高さが110mmであり、隔壁7と内筒31の上端との間隙が5mmとなっている。しかしながら、内筒31の高さ、及び隔壁7と内筒31の上端との間隙は、上記の寸法に限定されるものではなく、電解液が隔壁7の表面外周部まで十分に接することができるような寸法であればよい。
【0100】
また、隔壁7は、外径140mm内径20mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が外筒32に密着される一方、その内周がめっき液供給ノズル4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。また、隔壁7がセレミオン製である場合には、その厚さが100μm程度である、または100〜200μm程度であっても使用可能である。
【0101】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径110mm内径30mm厚さ8mmである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び内筒31と当該陽極電極5との間隙を通過する電解液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。
【0102】
めっき液供給用ノズル4は、隔壁7を貫通し、隔壁7よりも2mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液供給用ノズル4は、これに限定されるものでなく、めっき液供給用ノズル4は、隔壁7まで到達し、隔壁7に密着固定されていればよい。
【0103】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0104】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、外筒32の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱により保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0105】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0106】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。また、外筒32にはその一部に戻り管10が形成されている。
【0107】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0108】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0109】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0110】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0111】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、外筒32と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0112】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液供給用ノズル4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、外筒32の上部に固定されている。
【0113】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0114】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入した電解液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、電解液中のイオンが透過される。そして、半透膜71にて透過された電解液中のイオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、電解液中のイオンのみが透過され、電解液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、電解液中のパーティクルを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0115】
半透膜71は、電解液に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0116】
また、半透膜支持体72・73は、電解液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0117】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換樹脂を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図4は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図5は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0118】
「イオン交換膜」とは、図4に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図4に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0119】
陽イオン交換膜には、図5に示すように、マイナス電荷の交換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の交換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の交換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0120】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の直流電気エネルギーによって行われる。
【0121】
次に、本実施形態のめっき装置の構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0122】
本実施形態のめっき装置は、図6に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき装置内にめっき液を循環するめっき液系20と、めっき装置内に電解液を循環する電解液系30とを備えている。
【0123】
めっき液系20は、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、外筒32と、外筒32の一部に接続された戻り管10と、めっき液をめっき装置内に循環させるめっき液ポンプ101と、めっき液中の固形異物をろ過するめっき液フィルター111と、これらを接続する配管Tとを備えている。
【0124】
一方、電解液系30は、めっき処理槽100が内包する部材(ウェハ保持具2、カップ3及びこれらが内包する部材)をその内部に設置する電解液槽22と、電解液供給源としての電解液貯層23と、電解液をめっき装置内に循環する電解液ポンプ102と、電解液中の固形異物をろ過する電解液フィルター112と、これらを接続する配管T’とを備えている。
【0125】
以下、本実施形態のめっき装置における、めっき液または電解液の流れについて、説明する。
【0126】
まず、めっき液系20では、めっき液貯槽9中のめっき液は、めっき液ポンプ101によりめっき液フィルター11を経て、めっき処理槽100のめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、めっき処理槽100の被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)に流入し、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、外筒32上部の辺縁部に形成された戻り管10に流入し、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0127】
また、電解液系30では、電解液貯層23中の電解液は、電解液ポンプ102により電解液フィルター112を経て、めっき処理槽100の電解液供給管8に流入する。そして、電解液供給管8に流入した電解液は、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に流入する。隔壁7は、陽極電極に発生した電解液中のブラックフィルムを被めっき基板室へ透過しない一方、電解液中のイオンは被めっき基板室へ透過する。これにより、導通状態が実現されることになり、めっき処理が行われる。
【0128】
陽極電極室に流入した電解液は、内筒31上部の辺縁部(内筒31と外筒32との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出て電解液槽22にて回収され、再度、めっき液貯槽23へ還流される。
【0129】
めっき液系20における、めっき液貯槽9及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。さらに、電解液系30における、電解液槽22、電解液貯槽23、電解液フィルター112、及び配管T’は、寸法安定性が確保され、かつ使用する電解液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0130】
また、めっき液系20におけるめっき液ポンプ101は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。めっき液ポンプ101としては、例えば、イワキ製マグネットポンプMD−30R、またはイワキ製マグネットポンプMD−6ないしMD−70Rが挙げられる。
【0131】
また、電解液系30における電解液ポンプ102は、使用する電解液に耐性があり、かつ、電解液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。電解液ポンプ102としては、例えば、イワキ製マグネットポンプMD−70R、またはイワキ製マグネットポンプMD−30ないしMD−100Rが挙げられる。
【0132】
また、めっき液フィルター111及び電解液フィルター112は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液(または電解液)への耐性を備えめっき液(または電解液)に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。めっき液フィルター111及び電解液フィルター112としては、例えば、日本ポール社製ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。
【0133】
また、図6では示していないが、配管T及びT’の途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極との間に電圧を印加することができる。
【0134】
次に、本実施形態において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図8は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ41の概略構成を示し、図8(a)は、平面図であり、図8(b)は、断面図である。
【0135】
図7に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0136】
また、図8(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図8(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0137】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図9及び図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、上記実施の形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態1で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0138】
図9は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図9に示すように、めっき処理槽200は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、隔壁7、電解液供給管8、上蓋28、及びOリング29を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0139】
本実施形態のめっき装置におけるめっき処理槽200は、図9に示すように、上記実施の形態1の構成に加え上蓋28及びOリング29を備えている。この上蓋28及びOリング29は、被めっき基板室閉止手段として機能する。以下、上蓋28及びOリング29について説明する。なお、めっき処理槽200における、半導体ウェハ1、ウェハ保持具2、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液供給用ノズル4、陽極電極5、支持体6、隔壁7、及び電解液供給管8の寸法及び構成は、上記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0140】
図9に示すように、上蓋28は、外筒32の外周に沿って設けられている。そして、Oリング29は、外筒32と上蓋28との間に設けられており、外筒32との密着性を確保している。
【0141】
めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。めっき処理槽200では、Oリング29により、上蓋28と外筒32との密着性が確保されている。すなわち、被めっき基板室が閉止された状態(閉鎖系)になっている。このため、半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達しためっき液は、めっき処理槽200の外部に漏れることなく、戻り管10に流入する。このように被めっき基板室が閉止された状態になっているので、被めっき基板に流入するめっき液を、めっき処理槽200外部の大気と遮断することが可能になる。このため、めっき処理槽200では、めっき液が外部に漏れることがなく、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0142】
なお、上記上蓋29の寸法は、被めっき基板室を閉止することができるような寸法であれば、特に限定されるものではない。また、上蓋29の寸法は、外筒32の寸法に応じて、適宜設定することができる。
【0143】
また、上蓋29は、ポリプロピレンからなる。しかしながら、上蓋29の材質は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、上蓋29は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0144】
また、Oリング29は、外筒32との密着が確保され、かつ使用するめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング29として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトンが挙げられる。
【0145】
次に、本実施形態のめっき装置の構成について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0146】
本実施形態のめっき装置は、図6に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき装置内にめっき液を循環するめっき液系20’と、めっき装置内に電解液を循環する電解液系30’と、循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液のイオン濃度に応じて補給液を補給する補給液系40とを備えている。
【0147】
めっき液系20’は、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9’と、外筒32と、外筒32の一部に接続された戻り管10と、めっき液をめっき装置内に循環させるめっき液ポンプ101と、めっき液中の固形異物をろ過するめっき液フィルター111と、これらを接続する配管Tとを備えている。上記めっき液系20’は、上記実施の形態1のめっき装置におけるめっき液系20と異なり、めっき液貯槽9’が蓋付であり、閉止された状態(閉鎖系)である構成である。
【0148】
また、電解液系30’は、めっき処理槽200が内包する部材(ウェハ保持具2、カップ3及びこれらが内包する部材、並びに上蓋28)をその内部に設置する電解液槽22’と、電解液供給源としての電解液貯層23’と、電解液をめっき装置内に循環する電解液ポンプ102と、電解液中の固形異物をろ過する電解液フィルター112と、これらを接続する配管T’とを備えている。上記電解液系30’は、上記実施の形態1のめっき装置における電解液系30と異なり、電解液貯槽23’が蓋付であり、閉止された状態(閉鎖系)である構成である。さらに、電解液系30’では、外筒32が、電解液槽22’の開口部を完全に塞ぐように、電解液槽22’と密着している。すなわち、電解液槽22’が閉止された状態(閉鎖系)になっている。
【0149】
さらに、補給液系40は、補給ユニット24と、補給ポンプ25と、蓋付の補給液槽26と、センサ27と、これらを接続する配管T’’とを備えている。配管T’’は、めっき液系20’のめっき液貯槽9’と接続している。また、センサ27は、めっき液貯槽9’中のめっき液のイオン濃度を検出する。そして、センサ27にて得られためっき液のイオン濃度情報は、補給ユニット24を介して、電気信号として補給ポンプ25に伝えられる。そして、この電気信号により指示されて、補給ポンプ25は、補給液槽26より補給液を、めっき液貯槽9’に供給する。
【0150】
なお、図10において、補給液系40は1系統で示されている。しかしながら、補給液系40は、これに限定されることなく、めっき液中の成分のうち、管理及び補給する必要のある液種の数だけ設けられていてもよい。さらには、補給液槽26及び補給ポンプ25の代わりに、純水の補給配管と補給ユニットに制御されるバルブ等が設けられていてもよい。
【0151】
以下、本実施形態のめっき装置における、めっき液または電解液の流れについて、説明する。
【0152】
まず、めっき液系20’では、めっき液貯槽9’中のめっき液は、めっき液ポンプ101によりめっき液フィルター11を経て、めっき処理槽200のめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液供給用ノズル4に流入しためっき液は、めっき処理槽100の被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)に流入し、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、外筒32上部の辺縁部に形成された戻り管10に流入し、再度、めっき液貯槽9’へ還流される。
【0153】
このとき、被めっき基板室は、上蓋28により閉止された状態になっているので、被めっき基板室に流入しためっき液は、大気と遮断され、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。さらに、めっき液貯槽9’も蓋付であり、閉止された状態であるので、めっき液貯槽9’に流入しためっき液は、大気と遮断される。このため、めっき装置において、めっき液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、めっき液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0154】
また、電解液系30’では、電解液貯層23’中の電解液は、電解液ポンプ102により電解液フィルター112を経て、めっき処理槽200の電解液供給管8に流入する。そして、電解液供給管8に流入した電解液は、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に流入する。隔壁7は、陽極電極に発生した電解液中のブラックフィルムを被めっき基板室へ透過しない一方、電解液中のイオンは被めっき基板室へ透過する。これにより、導通状態が実現されることになり、めっき処理が行われる。
【0155】
陽極電極室に流入した電解液は、内筒31上部の辺縁部(内筒31と外筒32との隙間)より、めっき処理槽200外部へ漏れ出て電解液槽22’にて回収され、再度、めっき液貯槽23’へ還流される。
【0156】
ここで、電解液槽22’及び電解液貯層23’は、閉止された状態になっているので、解液槽22’及び電解液貯層23’に流入した電解液は、大気と遮断される。このため、めっき装置において、電解液の蒸発やミスト等による雰囲気への汚染を防止することが可能になる。また、電解液の蒸発に伴うイオン濃度の変動を防止することが可能になる。
【0157】
なお、めっき液貯槽9’、めっき液ポンプ101、めっき液フィルター111、配管T、電解液槽22、電解液貯槽23、電解液ポンプ102、電解液フィルター112、及び配管T’の材質は、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0158】
補給液系40における配管T’’は、寸法安定性が確保され、かつ使用する補給液に対し耐性を有する材質であれば、特に限定されるものではない。配管T’’の材質としては、例えば、硬質塩化ビニル、ポリプロピレン、またはテフロン(登録商標)が挙げられる。
【0159】
また、補給ポンプ25は、使用する補給液に対し耐性を有し、かつ、めっき液に悪影響を与えずに補給液をめっき液貯槽9’へ流入させることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。補給ポンプ25としては、例えば、東京理化器械製マイクロチューブポンプMP−1000、または、東京理化器械製マイクロチューブポンプMP−1000AないしMP−1000Bが挙げられる。
【0160】
また、図10では示していないが、配管T、T’、及びT’’の途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極との間に電圧を印加することができる。
【0161】
また、本発明のめっき装置は、以下のように、言い換えることができる。
【0162】
すなわち、本発明のめっき装置は、めっき装置のカップ内で陽極電極と電解液から成る電解液系と被めっき面及びめっき液から成るめっき液系を隔離することを特徴とする基板にめっきを形成するためのめっき装置であるともいえる。
【0163】
さらに、上記めっき装置では、前記めっきカップの外筒内に設けた隔壁と被めっき基板からなる空間にめっき液を導入するようになっている。
【0164】
さらに、上記めっき装置では、前記めっきカップの内筒内に設けた陽極電極と隔壁が成す空間に電解液を導入するようになっている。
【0165】
また、前記めっきカップの内筒内に流入した電解液が隔壁によって被めっき基板に到達しないようになっている。
【0166】
また、前記めっきカップの内筒内に流入した電解液を流動によってカップ外部に流出させている。
【0167】
前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき基板を隔離する構造(隔壁)の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質である。
【0168】
前記めっきカップ内の陽極電極と被めっき基板を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であることが好ましい。
【0169】
前記めっきカップ内の陽極電極と被めっき基板を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質がイオン交換膜であることが好ましい。
【0170】
本発明のめっき装置は、めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因する被めっき面の汚染を防止するような構成である。
【0171】
さらに、本発明のめっき装置は、めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因するめっき液中の添加剤の分解による被めっき面のめっき品質低下を防止するような構成である。
【0172】
そして、上記めっき装置において、前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発に伴う雰囲気の汚染を防止している。
【0173】
さらに、上記めっき装置において、前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発に伴う液濃度変化の防止を行っている。
【0174】
前記めっき液は、銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。
【0175】
さらに、前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14〜40gの銅成分を含む。
【0176】
前記陽極電極は、リンの含有量が0.04〜0.06%のリンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
【0177】
また、電解液は硫酸又は硫酸を希釈した水溶液である。
【0178】
また、電解液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体であってもよい。
【0179】
さらに、電解液は1リットル中に金属銅として14〜40gの銅成分を含むことが好ましい。
【0180】
本発明の半導体装置は基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置においてカップ内で陽極電極と電解液から成る電解液系と被めっき面及びめっき液から成るめっき液系を隔離して配置する。
【0181】
また、めっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を導入する。このときめっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触させ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、めっきカップの内筒内に流入した電解液は隔壁によって被めっき面に到達しないため含有する固形異物が被めっき面に付着することはない。
【0182】
さらに、めっきカップの外筒内の隔壁と被めっき面たる基板からなる空間にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、めっきカップの内筒内に流入した電解液は隔壁近傍にてイオンのみが隔壁を透過し、その他の電解液はカップ外部に流出される。
【0183】
このめっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部は、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質である。
【0184】
めっきカップ内の陽極電極と被めっき面を隔離する電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質は半透膜であるか、イオン交換膜である。
めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因する被めっき面の汚染を防止することを特徴とするめっき装置である。
【0185】
めっき液系と電解液系を隔離し各々独立させることによって陽極電極に起因するめっき液中の添加剤の分解による被めっき面のめっき品質低下を防止することを特徴とするめっき装置である。
【0186】
前記カップ及びめっき槽ならびにその他の槽と配管の全てを閉鎖系とすることでめっき液及び電解液を大気と遮断することで液の蒸発やこれに伴う雰囲気の汚染や液濃度変化の防止を特徴とするめっき装置である。
この結果、フェースダウン方式の噴流めっき装置の操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によるめっき品質の低下のない半導体装置及びその製造方法を提供するとともに、めっき液や電解液等の蒸発やミストの発生を防ぐこともできる。
【0187】
以上のように、本発明によれば、以下の効果を有する。
被めっき面はフィルターにより固形異物を除去されためっき液に接しており陽極電極近傍を流動しためっき液とはイオン交換膜による隔壁で隔離され銅イオンのみが隔壁を透過して被めっき面に至り析出するため、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない高品質なめっき配線による高密度高精度な半導体装置を得ることができる。
【0188】
また、従来のようにブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっき配線による高密度高精度な半導体装置を得ることができるとともに、閉鎖系でめっきが行われるためにめっき液及び電解液の蒸発やミストの発生がなく安定した濃度と清浄な周辺環境を保つことができる。
【0189】
〔実施の形態3〕
本実施形態では、上記実施の形態1または2のめっき装置を用いた半導体チップの製造方法について、図13及び図14に基づいて、詳細に説明する。図13は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。なお、本実施形態では、半導体装置の製造方法の一例として、図7及び図8に示された半導体チップ41の製造方法について説明する。
【0190】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図13に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図13(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図13(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0191】
図13(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0192】
図13(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促す最初の核となるものである。
【0193】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0194】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0195】
図13(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハにフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0196】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0197】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0198】
図13(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0199】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0200】
図13(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。
【0201】
上記めっき工程は、実施の形態1または2のめっき装置によるめっき方法を、半導体装置の製造方法の一工程として適用した工程である。すなわち、本実施形態の半導体装置の製造方法では、実施の形態1または2のめっき装置が用いられている。
【0202】
ここでは、このようなめっき工程の一例として、図6に示されためっき装置を用いた場合について説明する。なお、上記めっき工程で用いられるめっき装置は、これに限定されるものではない。
【0203】
上記めっき工程では、電解液貯槽23内に貯留された希硫酸(電解液)を、図示しない制御装置により運転する電解液ポンプ102によって、毎分20L程度または毎分10〜20Lもしくは所期の目的を達成するに足り得る流量で電解液フィルター112に送る。なお、このとき、電解液貯槽23内に貯留された電解液は、約200g/Lまたは150〜250g/Lの硫酸を含む。
【0204】
電解液フィルター112によりフィルター開口径以上の固形異物が除去された電解液は、配管T’を経てカップ3に流入する。そして、カップ3の内筒31下部より流入した電解液は内筒31底部と支持体5との間隙に流入する。内筒31底部と支持体5との間隙に流入した電解液は、支持体に穿たれた貫通孔を経て、陽極電極周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、電解液は、内筒31と外筒32との間隙を通過してカップ外の電解液槽22に流出し、電解液貯槽23へと還流する。ここで、陽極電極6は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなる。
【0205】
一方、めっき液貯槽9内に貯留されためっき液を、図示しない制御装置により運転するめっき液ポンプ101によって、毎分2L程度又は毎分1〜2Lもしくは所期の目的を達成するに足り得る程度の流量でめっき液フィルター111に送る。なお、このとき、めっき液貯槽9内に貯留されためっき液は、図示しない添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0206】
めっき液フィルター111によりフィルター開口径以上の固形異物が除去されためっき液は、配管Tを経てめっき液供給用ノズル4に流入する。そして、めっき液は、半導体ウェハ1と隔壁7とが成す空隙に下部より流入し、空隙を満たす。これにより、めっき液の表面は半導体ウェハ1の被めっき面Wと接触する。
【0207】
めっき液は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと接触した後、外筒32の上縁部よりウェハ保持具より外側に流出し、外筒32の一部に設置された戻り管を経てめっき液貯槽9へと還流する。
【0208】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面では銅イオンが発生する。そして、発生した銅イオンは、隔壁7を透過して外筒32内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wにて、銅イオンは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅として約10μmの膜厚で析出しめっきされる。
【0209】
また、内筒31内は、電解液フィルター112を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去された電解液が満たされている。そして、陽極電極近傍を流動した電解液は、隔壁7により外筒32内には流入できず、銅イオンのみが隔壁7を透過して外筒32内に至る。このため、半導体ウェハ1の被めっき面Wは、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなくなる。また、従来のようにブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために、不溶解性電極を使用する必要がないので、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下がなく、高品質なめっきを得ることができる。
【0210】
また、このめっき工程では、陽極電極室(隔壁7と内筒31とにより囲まれた空間)に電解液を流入する一方、被めっき基板室(隔壁7と外筒32とにより囲まれた空間)にめっき液を流入することにより、めっきを行っている。このように電解液とめっき液とに分けてめっきを行うことで、高価なめっき液の所要量を少なくすることが可能になる。また、めっき液の分解や汚染が発生した場合には、めっき装置内のめっき液を入れ替える必要がある。本発明におけるめっき工程(めっき方法)では、めっき液の分解や汚染が発生した場合であっても、入れ替えるめっき液の量を少量にすることができる。
【0211】
なお、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧及び電圧印加時間は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAまたは10〜50mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。なお、この電気密度は、所期の目的を達成するに足り得る程度の電流密度であればよい。
【0212】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。めっき液として、例えば上村工業製レプコEXなどを用いてもよい。
【0213】
また、剥離工程では、図13(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図13(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハを、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度−20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0214】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0215】
次に、エッチング工程では、図13(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図13(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0216】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハを、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0217】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハを、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0218】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0219】
このように半導体ウェハ上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図14に基づいて、詳細に説明する。図14は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子34を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0220】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図14(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図14(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0221】
図14(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0222】
図14(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハにオーバーコート層33を形成する。具体的には、オーバーコート層33(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0223】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層33として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層33に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層33として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0224】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0225】
図14(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層33に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層33にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層33の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層33を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0226】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層33にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層33に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層33に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0227】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層33の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0228】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層33を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0229】
図14(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層33を除去した部分に、外部接続端子34を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハを設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子34としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハを、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子34としての半田ボールを接合させる。
【0230】
ここで、外部接続端子34としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0231】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0232】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図5】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図6】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図7】半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図8】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図9】本発明の実施の他の形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の他の形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図11】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図13】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図14】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0235】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液供給用ノズル(めっき液噴射管)
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 電解液供給管
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
31 内筒
32 外筒
41 半導体チップ
100,200 めっき処理槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき装置であって、
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行い、
上記めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、
上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室にのみめっき液が流入するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
さらに、上記陽極電極室にのみ上記電解液を流入するための電解液供給管を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出する電解液流出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、電解液中に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
上記透過部材が、イオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項6または7に記載のめっき装置。
【請求項9】
さらに、上記被めっき基板室を閉止する被めっき基板室閉止手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
さらに、上記被めっき基板室へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源と被めっき基板室との間でめっき液を循環するめっき液系と
上記陽極電極室へ供給する電解液を貯留する電解液供給源と、上記電解液供給源と上記陽極電極室との間で電解液を循環する電解液系とを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
さらに、上記めっき液系を循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給液系を備えたことを特徴とする請求項10に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記めっき液系及び上記電解液系がそれぞれ、閉鎖系であることを特徴とする請求項10または11に記載のめっき装置。
【請求項13】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項14】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項13に記載のめっき装置。
【請求項15】
上記陽極電極は、リンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項16】
上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項17】
上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項18】
上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項17に記載のめっき装置。
【請求項19】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載のめっき装置を用いた半導体装置の製造方法。
【請求項21】
めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき方法であって、
めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、
めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項22】
上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようにめっきを行うことを特徴とする請求項21に記載のめっき方法。
【請求項23】
さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出させる流出工程を含むことを特徴とする請求項21または22に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
電解液中に浸漬した状態で電解液中のイオンを透過する透過部材を備えたものを隔壁として、上記陽極電極と上記めっき基板とを隔離することを特徴とする請求項21〜23の何れか1項に記載のめっき方法。
【請求項25】
さらに、上記被めっき基板室を閉止する閉止工程を含むことを特徴とする請求項21〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
さらに、めっき液を貯留するめっき液供給源と上記被めっき基板室との間で、めっき液を循環するめっき液循環工程と、
電解液を貯留する電解液供給源と上記陽極電極室との間で、電解液を循環する電解液循環工程とを含むことを特徴とする請求項21〜25の何れか1項に記載のめっき方法。
【請求項27】
上記めっき液循環工程は、めっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給工程を含むことを特徴とする請求項26に記載のめっき方法。
【請求項28】
請求項21〜27の何れか1項に記載のめっき方法を、めっき工程として含む半導体装置の製造方法。
【請求項29】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項28に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき装置であって、
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行い、
上記めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、
上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室にのみめっき液が流入するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
さらに、上記陽極電極室にのみ上記電解液を流入するための電解液供給管を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出する電解液流出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、電解液中に浸漬した状態で、電解液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
上記透過部材が、イオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項6または7に記載のめっき装置。
【請求項9】
さらに、上記被めっき基板室を閉止する被めっき基板室閉止手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
さらに、上記被めっき基板室へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源と被めっき基板室との間でめっき液を循環するめっき液系と
上記陽極電極室へ供給する電解液を貯留する電解液供給源と、上記電解液供給源と上記陽極電極室との間で電解液を循環する電解液系とを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
さらに、上記めっき液系を循環するめっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給液系を備えたことを特徴とする請求項10に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記めっき液系及び上記電解液系がそれぞれ、閉鎖系であることを特徴とする請求項10または11に記載のめっき装置。
【請求項13】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項14】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項13に記載のめっき装置。
【請求項15】
上記陽極電極は、リンを含有する含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項16】
上記電解液は、硫酸、または硫酸を希釈した水溶液であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項17】
上記電解液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項18】
上記電解液は、電解液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項17に記載のめっき装置。
【請求項19】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載のめっき装置を用いた半導体装置の製造方法。
【請求項21】
めっき基板の被めっき面にめっきを行うめっき方法であって、
めっき処理槽内にめっき液及び電解液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させる一方、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極へ電解液を流入させながら、上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電し、
めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離し、めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項22】
上記陽極電極室に流入する電解液が、上記被めっき基板室へ到達しないようにめっきを行うことを特徴とする請求項21に記載のめっき方法。
【請求項23】
さらに、上記陽極電極室へ流入する電解液を、上記めっき処理槽の外部に流出させる流出工程を含むことを特徴とする請求項21または22に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
電解液中に浸漬した状態で電解液中のイオンを透過する透過部材を備えたものを隔壁として、上記陽極電極と上記めっき基板とを隔離することを特徴とする請求項21〜23の何れか1項に記載のめっき方法。
【請求項25】
さらに、上記被めっき基板室を閉止する閉止工程を含むことを特徴とする請求項21〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
さらに、めっき液を貯留するめっき液供給源と上記被めっき基板室との間で、めっき液を循環するめっき液循環工程と、
電解液を貯留する電解液供給源と上記陽極電極室との間で、電解液を循環する電解液循環工程とを含むことを特徴とする請求項21〜25の何れか1項に記載のめっき方法。
【請求項27】
上記めっき液循環工程は、めっき液の濃度を制御し、めっき液の濃度情報に応じて補給液を補給する補給工程を含むことを特徴とする請求項26に記載のめっき方法。
【請求項28】
請求項21〜27の何れか1項に記載のめっき方法を、めっき工程として含む半導体装置の製造方法。
【請求項29】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項28に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
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【公開番号】特開2006−312775(P2006−312775A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202283(P2005−202283)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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