説明

もぐら撃退装置

【課題】簡単な構造で安価であり、地中での安定性が高く、高いもぐら撃退効果を有するもぐら撃退装置を提供する。
【解決手段】地中に全体が埋められる金属製の本体12と、本体12に収納され本体12の側面14の内側に自由に接触する振動体24を有する。振動体24は、外側を覆うケース体26と、ケース体26に収納されケース体26の内側に固定されたモータ28と、モータ28を駆動する電池42と、モータ28により回転する軸先端に偏心して取り付けられたおもり34を備える。おもり34は振動体24の一端部の内側に位置し、本体12は任意の角度に傾けられて地中に設置される。振動体24は、振動側端部が上方を向いて本体12の側面内側に立てかけられて収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中にいるもぐらを振動により追い出し、近づけないようにするもぐら撃退装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、もぐらを撃退するもぐら撃退装置にはいろいろな種類があり、例えばモータにより振動を発生させるものがあった。モータ式のもぐら撃退装置は、フォーク状部材が回転して振動を発生させる方式の大形のものや、特許文献1に開示されている小形のもの等がある。特許文献1に開示されているもぐら撃退装置は、地中に全体が埋められる本体と、本体に当接して収納されたモータと、モータを駆動する電池と、前記モータの駆動軸の先端に偏心して取り付けられたおもりが設けられている。
【特許文献1】特開2004−57131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術の、フォーク回転式の大形のもぐら撃退装置の場合、制御回路等を搭載し電池の寿命が約20日間と長いが、重くて大きくて持ち運びや地中に埋める工程が大変であった。また、価格が高くなり、振動の効率も良くないという課題もあった。
【0004】
特許文献1に開示されている小形のものは、埋める作業が容易であり、小形化にもかかわらず有効範囲が大形のものと変わらないという利点があった。また低価格であり、振動効率も良かった。しかし、柔らかい土壌に使用すると、振動により位置が移動するという問題があり、特に柔らかい地面の場合、下方へ移動することがあり、深くもぐってしまうことがあった。また電池の寿命が約8時間と短く、偏心加重が回転するためモータ本体や軸受けの寿命も短かいものであった。さらに、本体が直接土に埋められるため、高い防水性が必要であった。
【0005】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で安価であり、地中での安定性が高く、高いもぐら撃退効果を有するもぐら撃退装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地中に全体が埋められる金属製の本体と、前記本体に収納され前記本体の側面内側に自由に接触する振動体が設けられ、前記振動体は、外側を覆うケース体と、前記ケース体に収納され上記ケース体の内側に固定されたモータと、前記モータを駆動する駆動電源と、前記モータにより回転する軸先端に偏心して取り付けられたおもりが設けられているもぐら撃退装置である。
【0007】
前記おもりは前記振動体の一端部の内側に位置し、前記本体は任意の角度に傾けられて地中に設置され、前記振動体は、前記振動側端部が上方を向いて前記本体の側面内側に立てかけられて収納されている。
【0008】
前記振動体の前記モータは、前記振動体の前記ケース体に設けられた支持部により駆動軸側及びその反対側面も保持され、前記軸の軸受け部が前記支持部により保持されているものである。
【0009】
前記本体に取り付けられ地上にその先端が立設されるアンテナが設けられ、前記アンテナの先端には、前記アンテナの振動を感知する感知器が設けられ、前記アンテナを介して前記モータにより発生する振動が検知可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のもぐら撃退装置は、小形で安価であり、モータの負荷が少ないため消費電力が少なく、また柔軟な土壌に使用しても移動することがなく、安定して高い効果を有するものである。また、アンテナを設けることにより、本体の振動の様子はアンテナに伝わり、アンテナの地上部分の先端に設けられた感知器により、地上で振動を感知することができ、装置の設置場所も容易に見つけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のもぐら撃退装置10は、金属製、例えばアルミ製の本体12が設けられ、本体12は有底の円筒状に形成され側面14の一端部を閉鎖する底部16が形成されている。側面14の、底部16と反対側の端部は、側面14の中心に向かって円錐状に窄まる肩部18が連続し、肩部18の中心には、円筒形の取出口20が側面14の中心軸と平行に外側に突出して形成されている。取出口20の外周面には、図示しない雄ネジが形成されている。
【0012】
本体12の取出口20には、キャップ22が取り付けられている。キャップ22の内周面には、取出口20に螺合する雌ネジが形成され、水密状態で螺合可能に設けられている。
【0013】
本体12の内側には、振動体24が入れられている。振動体24は、合成樹脂製または金属製のケース体26が設けられ、ケース体26は、例えば角柱形の側面26aを有し、側面26aの一方の端部は側面26aに対して直角に端部を閉鎖する底部26bが形成されている。側面26aの、底部26bと反対側の端部は、側面26aの中心に向かって円錐状に窄まる肩部26cが連続し、肩部26cの先端は、側面26aの軸方向に対して直角な平面部26dが形成されている。ケース体26は、側面26aの一部が分割され、嵌合可能であるとともに2分されるように形成されている。さらに、砂や土が入らないように密閉された容器である。本体12と振動体24の形状は自由であるが、本体12を円筒形に形成し、振動体24を角柱形に形成すると、振動体24を振動させたときに本体12の中ではねるように効果的に振動させることができる。
【0014】
振動体24のケース体26の内側には、必要に応じて、ほぼ中央に、後述するモータ28の駆動用の回路が形成された図示しない回路基板が設けられている。ケース体26内の平面部26d寄りの内側には、モータ28が設けられている。モータ28は、ケース体26の側面26a内面にほぼ密に嵌合可能な直径であり、側面26a内に緊密に当接している。モータ28と平面部26dの間には空間30が設けられ、空間30には、モータ28の駆動軸32が、側面26aに対してほぼ平行に突出している。駆動軸32の先端には、おもり34が取り付けられ、軸受け部40により軸支されている。おもり34には、その偏心した位置に駆動軸32が固定されている。ここで、ケース体26の、おもり34が位置する端部を、振動側端部27と呼ぶ。
【0015】
さらに、モータ28はケース体26の側面26aに一体に設けられた隔壁状の支持部36,38により、保持され、駆動軸32の軸受部40も、支持部36により挟持されている。
【0016】
ケース体26には、支持部材38と平面部26bの間に、モータ28の駆動電源となる電池42が入れられ、回路基板に接続されている。電池42は、例えば単三乾電池等を使用する。
【0017】
本体12に取り付けられたキャップ22の外側には、金属等の棒で作られたアンテナ44が取り付けられている。アンテナ44の、キャップ22に取り付けられる端部は、キャップ22の周囲を巻き回わして接触し取り付けられている。アンテナ44の先端部は上方に延出し、地表面46からほぼ垂直に突出している。アンテナ44の、地表面46から突出した先端部44aは、丸く折り返されて環部44bが形成されている。環部44bには、アンテナ44の振動を感知する感知器である大形の第一リング48が挿通されて取り付けられている。また、第一リング48には、小形の第二リング50が鎖状に繋がれて取り付けられている。第一リング48と第二リング50は、金属製であり、本体12の振動がアンテナ44に伝わり、環部44bで第一リング48とぶつかったり、第一リング48と第二リング50が互いにぶつかったりして、音がしたり揺れたりする。
【0018】
本体12と地表面46の間には、アンテナ44のカバー部材であるパイプ52が埋設されている。パイプ52の内側に、アンテナ44が挿通され、地表面46に引き出されている。パイプ52の下端部52aは、本体12のキャップ22近傍に達し、上端部52bは、地表面46から上方へ突出し、環部44bより僅かに下方に位置している。
【0019】
この実施形態のもぐら撃退装置10の動作について説明する。もぐら撃退装置10は、モータ28が回転すると、駆動軸32が軸周りに回転する。このとき、駆動軸32はおもり34が偏心して取り付けられているため、駆動軸32やモータ28及びその周辺に振動が発生する。モータ28等の振動はケース体26の側面26aに直接伝わる。モータ28の回転は連続回転でもよく、また回路基板に制御回路を設けて間欠回転にしてもよい。間欠回転にすることにより、消費電力を抑え寿命を延ばすことができる。
【0020】
使用時には、モータ28を駆動させて、本体12の中へ入れる。このとき振動体24の、おもり34が位置する振動側端部27が上方を向くようにする。これにより、モータ28の負荷が軽減され、電池寿命を延ばすことができる。モータ28の回転により、振動体24が本体12内で振動し、振動を伝えると共に、振動により細かくぶつかるときに衝撃が発生し、効率よく本体12を振動させる。
【0021】
次に、この実施形態のもぐら撃退装置10の設置方法について説明する。まず、振動体24のケース体26に電池42を入れ、図示しないスイッチを入れるとモータ28が回転し、駆動軸32が軸周りに回転する。このとき、駆動軸32はおもり34が偏心して取り付けられているため、モータ28に振動が発生し、振動体24に振動が発生する。振動した状態で振動体24を取出口20から振動側端部27が上方を向くように本体12に入れ、本体12の取出口20には、キャップ22を螺合して密閉する。キャップ22にアンテナ44を取り付け、アンテナ44はパイプ52に挿通する。
【0022】
次に、地表面46を所定深さに掘った穴の中に、本体12の側面14の中心軸が水平方向に対して約60度程度の傾斜にして設置する。本体12を、水平から約60度の角度に傾けたとき、振動体24は縦に長い形状であるため倒れ、ケース体26の肩部26cが本体12の肩部18内側に沿ってフリーな状態で接触し、平面部26dは本体12の取出口20近傍に位置する。ケース体26の側面26aと底部26bで形成される角部は、本体12の側面14または底部16の内側面にフリーな状態で当接している。このため、振動体24が本体12内で振動し、振動を伝えると共に、振動により細かくぶつかるときに衝撃が発生し、効率よく本体12を振動させる。そして、パイプ52にアンテナ44を挿通した状態で、土を埋め戻す。
【0023】
本体12は、電池42が消耗するまで動作を継続し、地表面46の下方の土を振動させ、もぐらを排除する。もぐら撃退装置10の本体12が振動しているとき、振動はキャップ22を通してアンテナ44に伝わり、第一リング48と第二リング50が振動して音を発生したり揺れたりする。音が発生しなくなったりゆれが止まることで、電池42が消耗したりモータ28に不具合が生じたことを検出する。電池42が消耗した後は、掘り起こして電池42を交換し、再利用することができる。
【0024】
この実施形態のもぐら撃退装置10によれば、形状が小形であり、少ない消費電力で効率よくもぐらを排除することができる。振動体24により効率よく本体12間接振動を発生させ、この間接振動がさらに地表面46の下方の広い範囲に伝わり、もぐらを確実に排除することができる。もぐら撃退装置10は直接土を強くたたかないため、土中で移動せず、エネルギーの無駄がなく効率が良い。また、有効範囲は、例えば約8mと広く、広い範囲に亘って効果がある。振動体24は、おもり34が回転する振動側端部27が上向きにセットされているため、振動側端部27が本体12に自重で押し付けられることがなく、おもり34を回すモータ28に負荷がかからず、消費電力を節約することができる。本体12は斜め約60度に傾けて埋められ、振動体24のケース体26肩部26cが本体12の肩部18の内側に沿って接触するため、振動が伝わりやすく効果的である。
【0025】
電池42の消耗状態やモータ28の不具合は、アンテナ44に取り付けられた第一リング48と第二リング50が振動により触れ合う音や揺れる状態により、地上から判断することができ、管理が容易となる。アンテナ44の地上の長さを見ることで、本体12が埋められている深さを確認することができる。第一リング48と第二リング50は簡単な構造であり、コストがかからず、小さい振動も検知することができる。さらに、アンテナ44により、もぐら撃退装置10の埋設場所が一目で分かり、電池交換や設置場所の移動等に際して、効率良く埋設位置を発見することができる。
【0026】
振動体24は、モータ28がケース体26と一体的に設けられ、さらに軸受部40も支持部材36により保持されているので、モータ28の振動が確実に効率よくケース体26に伝わると共に、軸受部40がおもり34の偏心による振動で容易に壊れてしまうことを防止する。
【0027】
また、本体12は適度な大きさを有しているため、柔軟な土の中でも振動により移動したりすることがなく、安定している。また、キャップ22を螺合して取り付けるだけで、高い防水性を有し、土に埋めたときに砂や水が浸入せず、安全である。飲料用のアルミ缶を利用してもよく、これにより安価で大量に製造することができる。
【0028】
この実施形態のもぐら撃退装置10は、効率的に地中に振動を与えるので、モグラに対する忌避効果が大きく、このもぐら撃退装置10を1日設置して外しても、通常1週間ぐらいはその周辺にモグラは寄りつかない。従って、1週間以内でのローテーションで、このもぐら撃退装置10を所望地面に埋設することにより、広範囲でのモグラの排除が可能となる。
【0029】
なお、この発明のもぐら撃退装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本体や振動体の形状や大きさ、素材は任意に決定できるものであり、アンテナの長さ等は設置する地面の状況に合わせて設定する。アンテナは、パイプに通さずに直接土に埋設しても良い。キャップ以外に本体に取り付けたり、溶接や接着して取り付けたりしてもよい。アンテナの振動を感知する感知器は、上記以外にLEDを付けても良く、振動中はLEDを点滅することにより、更に確実で簡単に動作状況を確認することができる。また、振動体にタイマーをつけて間欠的に駆動させてもよい。使用する場所は、庭や畑、ゴルフ場等、いろいろな場所で使用可能である。もぐら撃退装置の設置方法も、土に埋める以外に、例えばゴルフ場のカップの中に入れて動作させゴルフ場を使用するときにカップから引き出してもよい。設置するときの本体の角度は、正確に60度でなくても地面の状況に合わせて、斜めに設置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態のもぐら撃退装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 もぐら撃退装置
12 本体
14 側面
16 底部
18 肩部
20 取出口
22 キャップ
24 振動体
26 ケース体
28 モータ
32 駆動軸
34 おもり
36,38 支持部材
42 電池
44 アンテナ
52 パイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に全体が埋められる金属製の本体と、前記本体に収納され前記本体の側面内側に自由に接触する振動体が設けられ、前記振動体は、外側を覆うケース体と、前記ケース体に収納され上記ケース体の内側に固定されたモータと、前記モータを駆動する駆動電源と、前記モータにより回転する軸先端に偏心して取り付けられたおもりが設けられていることを特徴とするもぐら撃退装置。
【請求項2】
前記おもりは前記振動体の一端部の内側に位置し、前記本体は任意の角度に傾けられて地中に設置され、前記振動体は、前記振動側端部が上方を向いて前記本体の側面内側に立てかけられて収納されていることを特徴とする請求項1記載のもぐら撃退装置。
【請求項3】
前記振動体の前記モータは、前記振動体の前記ケース体に設けられた支持部により駆動軸側及びその反対側面も保持され、前記軸の軸受け部が前記支持部により保持されていることを特徴とする請求項1記載のもぐら撃退装置。
【請求項4】
前記本体に取り付けられ地上にその先端が立設されるアンテナが設けられ、前記アンテナの先端には、前記アンテナの振動を感知する感知器が設けられ、前記アンテナを介して前記モータにより発生する振動が検知可能であることを特徴とする請求項1記載のもぐら撃退装置。



【図1】
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【公開番号】特開2007−124968(P2007−124968A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321700(P2005−321700)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(505412498)有限会社ルミエール (1)
【Fターム(参考)】