説明

より薄いPIJアクチュエータ

圧電ユニットは、流体チャンバと、流体出口と、薄膜圧電セラミック素子および流体チャンバの壁の機能を果たす膜を含むアクチュエータと、アクチュエータの支持部分がアクチュエータの駆動の主移動方向において移動しないようにすると同時に、支持部分の少なくとも2つの側で係る駆動の移動を可能にするように構成された支持要素とを含み、支持要素は、アクチュエータのおおよそ反対側に延在するユニット部分に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
ピエゾ(圧電)式インクジェットプリントヘッドにおいて、インク又は他の流体は一般に、小滴の形態で噴出される。流体は、様々な流体チャンバから様々なノズルを介して基体上に移動する。流体は、圧電素子の運動により噴出される。流体チャンバは、圧電アクチュエータ、一般に圧電素子に接続される膜からなる壁を有する。流体は、圧電素子により付勢(駆動)される膜の振動動作によって、ノズルの方へ移動する。
【0002】
現在、ユニモルフ型の圧電アクチュエータは、圧電層と一体化された又は圧電層に取り付けられたフレキシブルな膜を含む。アクチュエータが、例えば薄膜の圧電セラミック及び薄い膜層と共に、比較的小さい厚さ、例えば1〜10μm(ミクロン)を有する場合、アクチュエータが流体チャンバの上に広がることができる最大幅は通常、せいぜい50〜100μm(ミクロン)又はそれ未満である。より大きなスパンでは、アクチュエータは、所望の周波数および/または圧力を達成するのに適さない。従って、流体チャンバは通常、細長い形状を有し、その結果、最大幅は約50〜100μm(ミクロン)又はそれ未満であるが、その長さは大幅に大きく、例えば0.5mm〜2mmである。
【0003】
本発明の目的は、代替の圧電方法および圧電デバイスを提供することである。
【0004】
さて、例示のために、本発明の特定の実施形態が、添付図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1A】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略側断面図である。
【図1B】図1Aのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略正面断面図である。
【図1C】図1A及び図1Bのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、ノズルプレートが例示のために透明にされている図である。
【図1D】図1A、図1B及び図1Cのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略底面図であり、幾つかの部品が例示のために波線により示されている図である。
【図2A】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略側断面図である。
【図2B】図2Aのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略正面断面図である。
【図2C】図2A及び図2Bのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、ノズルプレートが例示のために透明にされている図である。
【図2D】図2A、図2B及び図2Cのピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略底面図であり、チャンバの底面、入口、及び出口が例示のために波線により示されている図である。
【図3】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略正面断面図である。
【図4】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略正面断面図である。
【図5】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図である。
【図6】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図である。
【図7】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、アクチュエータが例示のために除去されている図である。
【図8】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略斜視図であり、アクチュエータが例示のために除去されている図である。
【図9】ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、アクチュエータが例示のために除去されている図である。
【図10】図9のプリントヘッドユニットを有するピエゾ式インクジェットプリントヘッドの一部の略上面図であり、アクチュエータが例示のために各プリントヘッドユニットから除去されている図である。
【図11】パターン形成された圧電セラミック素子をアクチュエータが有する、ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、アクチュエータが例示のために透明で且つ波線で示されている図である。
【図12】2つの別個の圧電セラミック素子からなるパターン形成された圧電セラミック素子をアクチュエータが有する、ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニットの略上面図であり、アクチュエータが例示のために透明で且つ波線で示されている図である。
【0006】
詳細な説明
以下の詳細な説明において、添付図面を参照する。当該説明および図面における実施形態は、例示であるとみなされるべきであり、説明された要素の特定の実施形態に制限するとみなされるべきではない。例示のために、縮尺および相対寸法は、実際のようになっていない。
【0007】
示された図面は、素子またはデバイスの向きを制限するとみなされるべきではない。例えば、上面図は、それぞれの素子(単数または複数)の向きに応じて、底面図または側面図なども表すことができる。しかしながら、単一の実施形態に関する複数の図面は、示された特徴要素の相対的関係および相対的向きを示すことができる。従って、デバイスの向き及び使用法に応じて、上部壁は底部壁とみなされることができ、逆もまた同じであるが、底部壁と上部壁の互いに対する、及びデバイスに対する関係は、維持され得る。同様の原理は、他の特徴要素も考慮することができ、例えば特徴要素の長さ又は幅は、任意の一貫した方法で選択され得る。
【0008】
複数の実施形態が、特定の要素の変更、組み合わせ、又は変形によって以下の説明から導出され得る。更に、本明細書に特に開示されていないかもしれない実施形態または要素は、以下の説明および図面から導出され得る。
【0009】
図1は、圧電ユニット1を示す。ユニット1は、ピエゾ式インクジェットプリントヘッドの一部を形成することができるピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニット1からなることができる。当該技術において、ピエゾ式インクジェットプリントヘッドのユニット1は、「ジェット」とも呼ばれ得る。ユニット1は流体チャンバ2を含むことができる。流体チャンバ2の体積(容積)は、少なくとも1つの壁3、4、5A〜5Dにより決定され得る。少なくとも1つの壁は、上部壁3、底面4、及び多数の側壁5A、5B、5C、5Dからなることができる。ユニット1は、流体チャンバ2の方へ通じる流体出口6を含むことができる。出口6は、ノズル7を含むことができる。必要に応じて、出口6は、流体チャンバ2からの流体をノズル7へ案内するためのディセンダ(descender:下垂部)を含むことができる。図1A及び図1Bにおいて、流体滴は、ノズル7から進行方向に噴出するように示される。
【0010】
ユニット1は、アクチュエータ9を含むことができる。アクチュエータ9は、薄膜アクチュエータ9からなることができる。アクチュエータ9は、流体チャンバ2の壁として、例えば流体チャンバ2の底面または上部壁として機能することができ、以降アクチュエータ壁と称する。アクチュエータ9は、膜10及び少なくとも1つの圧電セラミック素子11を含むことができる。圧電セラミック素子11は、薄膜圧電セラミック素子11からなることができる。膜10及び圧電セラミック素子11の双方は、薄膜材料からなることができる。薄膜圧電セラミック素子11は、堆積された又は堆積されて焼結された圧電セラミック材料からなることができる。膜10は流体チャンバ2の壁を形成することができる。一実施形態において、1つのアクチュエータ9は、1つの流体チャンバ2に沿って延在する1つの膜10を含むことができ、当該アクチュエータ9は同じ流体チャンバ2に沿って延在する複数の圧電セラミック素子11A、11Bを含む。
【0011】
圧電セラミック材料は膜10上にパターン形成され得る。「パターン形成された」圧電セラミック素子11は、流体チャンバ2の上に少なくとも1つの妨害物12を含む圧電セラミック素子11として理解され得る。例えば、アクチュエータ9は、圧電セラミック材料により覆われている膜10の部分の間に圧電セラミック材料により覆われていない膜10の他の部分を含むことができる。別のパターン形成された圧電セラミック素子11は、1つのアクチュエータ9上に設けられる複数の圧電セラミック素子11A、11Bを含むことができる。図1A〜図1Dの例示的な圧電セラミック素子11は、それが2つの圧電セラミック素子11A、11Bを含むという事実によって示されたようにパターン形成され、係る2つの圧電セラミック素子11A、11Bの間には、図1B及び図1Dで看取され得るように、妨害物12が設けられる。
【0012】
ユニット1は、支持要素13を含むことができる。図示されたように、ユニット1は、複数の支持要素13を含むことができる。支持要素13は、アクチュエータ9の支持された部分(以降、支持部分と称する)14がアクチュエータ9の駆動の主移動方向Mにおいて移動しないように配置され得る。支持要素13は、アクチュエータ9のほぼ反対側に延在するプリントヘッドユニットの部分に接続され得る。支持要素13は、プリントヘッドの剛性部分に接続され得る。支持要素13が接続されるプリントヘッドの部分は、どれがアクチュエータ壁を含むかに応じて、例えばアクチュエータ壁4の反対側にあるチャンバ壁3の部分、例えば流体チャンバ2の底部壁4又は上部壁3からなることができる。支持要素13により、薄膜アクチュエータ9が流体チャンバ2の全体にわたって延在することを可能にすることができるが、支持要素13が無い場合には、アクチュエータ9は2倍以上厚くなるであろう。
【0013】
支持部分14は、支持要素13に接続された膜10の一部を含むことができる。支持要素13は、駆動の移動方向Mにおいてアクチュエータ9を支持することができ、その結果、支持部分14及び支持要素13は、比較的静止している状態のままであるが、アクチュエータ9の周囲の部分は、圧電セラミック素子11の駆動により振動され得る。例えば、図1の例において、移動方向Mにおける駆動は特に、支持部分14の少なくとも2つの側で、支持部分14に隣接して存在することができる。一実施形態において、妨害物12が、側面図または正面図から看取されるように、例えば支持部分14の下または上に、支持部分14に設けられ得る。そして、圧電セラミック素子11は、側面図または正面図から看取されるように、支持部分14に隣接して延在する。
【0014】
流体チャンバ2は、流体を流体チャンバ2に入れるための少なくとも1つの入口15を含むことができる。入口15は例えば、チャンバ壁3、4、5A〜5Dの何れかに設けられることができる。図面において、入口は側壁5Bに設けられる。入口15及び出口6は、流体がチャンバの体積における全ての点を押し流すように、チャンバの体積において対向する位置に設けられ得る。例えば、入口15及び出口6は、対向する壁3、4に又はそれらの近くに、及び/又は対向する側壁5A、5B又は5C、5Dに又はそれらの近くに設けられ得る。図示された実施形態において、出口6は上部壁3に、個々の側壁5Aの近くに延在し、入口15は、対向する側壁5Bに、底部壁4の近くに延在する。一実施形態において、1つ又は複数の支持要素13は、出口6と入口15との間に延在することができる。個々の支持要素13は流体チャンバ2内に、即ち少なくとも1つの側壁5A〜5Dの間に又はそれらの内側に延在することができる。
【0015】
支持要素13は、支柱を含むことができる。支柱は、実質的に円柱とすることができ、及び/又は実質的に丸くされた、例えば円形または楕円形の円周方向壁を有することができる。とりわけ、支柱の形状は、アクチュエータの可動部分の面積を最大にすることが望ましいかもしれない。ユニット1は、支柱のアレイを含むことができる。
【0016】
支持要素13の断面の水平方向の厚さCは例えば、約5〜30μm(ミクロン)とすることができ、例えば10〜15μm(ミクロン)とすることができる。示された支持要素13の例示的な断面の厚さCは、約15μm(ミクロン)とすることができる。最小の断面の厚さは、チャンバ2の深さ、エッチングプロセスのタイプ、及び適切な流れを可能にする断面の厚さCの不均一性により決定され得る。
【0017】
アクチュエータ9は、2つの独立して制御可能な圧電セラミック素子11A、11Bを含むことができる。例えば、独立して制御可能な圧電セラミック素子11A、11Bは、個々の支持要素13の一方の側に延在することができる。
【0018】
支持要素13の使用により、薄膜アクチュエータ9のスパン(全長)は、同じ厚さのアクチュエータを有する従来のプリントヘッドのユニットに対して増加することが可能になる。必要に応じて、流体チャンバ2の従来の細長い形状は、支持要素13を用いることにより回避され得る。代わりに、より空間効率の良いチャンバ形状が達成され得る。一実施形態において、上面図から看取されるように、流体チャンバ2の基本的な形状は例えば、おおよそ円形、正方形、六角形、任意の内接多角形などとすることができる。当然のことながら、係る形状は、わずかに変更されることができ、例えば、かどは丸み付けされたり及び/又は切り取られたりすることができ、或いは長さは、幅よりもわずかに長くすることができる。例えば、有利な形状は、上面図から看取されるように、楕円形、菱形、及び/又は長方形の形状を含むことができる。一実施形態において、流体チャンバ2の長さは、流体チャンバ2の幅の約1〜3倍とすることができる。ここで、長さL及び幅Wは、ユニット1の上部壁または底部壁に平行な平面における2つの直角をなす方向において、対向する側壁5A〜5D間の距離とみなされ得る。チャンバ2の高さHは、チャンバ2の底部壁4と上部壁3との間の距離とみなされ得る。
【0019】
隣接する支持要素13間の距離Dは、20〜90μm(ミクロン)とすることができ、例えば30〜80μm(ミクロン)とすることができる。例えば、隣接する支持要素間の距離は、約55μm(ミクロン)とすることができる。最小距離は、チャンバ2の深さ、エッチングプロセスのタイプ、及び/又は適切な流れを可能にすることができる隣接する支持要素13間の開口サイズにより決定され得る。同様に、支持要素13と側壁との間の距離は、20〜90μm(ミクロン)とすることができ、例えば、55μm(ミクロン)とすることができる。一実施形態において、アクチュエータ9は、2つの直角をなす方向において少なくとも約115μm(ミクロン)の距離を越えて(例えば、少なくとも約150μm(ミクロン))、流体チャンバ2の全体に広がることができる。当該距離は、対向する側壁の部分5A、5B、又は5C、5D間の距離とすることができる。1つ又は複数の支持要素13は、比較的広いスパンを得るようにアクチュエータ9を支持することができる。支持要素13は、アクチュエータ9の支持されないスパンの最大値、即ち支持要素13間、及び/又は支持要素13と壁5A〜5Dとの間を、チャンバ2の幅の少なくとも半分だけ減少させるように配置され得る。
【0020】
圧電セラミック素子11の厚さTは、約5μm(ミクロン)又はそれ未満とすることができ、例えば約3μm(ミクロン)又はそれ未満、例えば1.5μm(ミクロン)又はそれ未満とすることができる。圧電セラミック素子11の厚さTは、例えば約0.5μm(ミクロン)とすることができる。アクチュエータ9の厚さは、例えば10μm(ミクロン)又はそれ未満、例えば約1〜約10μm(ミクロン)、例えば約2.5〜約5.5μm(ミクロン)とすることができる。支持要素13は、比較的幅の広い流体チャンバ2に広がる比較的薄いアクチュエータ9を可能にすることができる。対向する側壁の部分の間の、流体チャンバ2上のアクチュエータ9の全体的なスパンは、2つの直角をなす方向において少なくとも150μm(ミクロン)又はそれ以上とすることができるが、アクチュエータ9の厚さは、5μm(ミクロン)又はそれ未満、例えば1.5μm(ミクロン)又はそれ未満とすることができる。全体的なスパンは、例えばユニット1に使用される支持要素13の配置および数に応じて、より大きくすることができる。
【0021】
支持要素13が流体チャンバ2の側壁の部分の間のほぼ中間で、又は2つの支持要素13間のほぼ中間でアクチュエータ9を支持する場合、アクチュエータ9の厚さは、約2.5分の1に縮小され得るが、駆動の移動方向Mにおいてアクチュエータ9の同じ変位を達成する。言い換えれば、支持されないアクチュエータのスパンを、元の支持されないスパンの半分に縮小することにより、アクチュエータの厚さは、同様の変位のために約2.5分の1に縮小され得る。更に、支持されていないアクチュエータのスパンを半分に縮小することにより、アクチュエータの厚さは、圧力の損失なしに約2分の1に縮小され得る。従って、支持要素13を選択的に配置することにより、流体チャンバ2の寸法は、比較的自由に選択され得る。
【0022】
長方形の膜10の中央における応力σのレベル、最大の変位ymaxを推定するために公式が使用され得る。以下の公式において、均一負荷が、長方形の膜10の全表面にわたって印加される。この状況は、例えば4つの側壁5A〜5Dにより圧着された膜10の実質的に全表面にわたって負荷を印加する圧電セラミック素子11を有する長方形のアクチュエータ9に対応することができる。膜10の中央における膜10の最大の変位ymaxの表れは、式、即ちymax=(αqb)/(Et)より得られることができる。
【0023】
ここで、αは以下で示される一定の係数を表し、Eは弾性の係数を表し、tは膜の厚さを表し、bは側壁5C〜5D間の膜10の幅を表し、qは表面にわたって印加された圧力を表す。同一の条件の場合、膜10の中央における膜10の応力σの表れは、式、即ちσ=(βqb)/tにより得られることができる。ここで、βは、定数である。以下のテーブルは、一定の係数α及びβを取り出すために使用されることができ、aは側壁5A〜5Bの間の膜10の長さを表す。
【0024】
【表1】

【0025】
同じチャンバ2及び等しいアクチュエータ9について、支持要素13の行が膜10の中心線に沿って、即ち個々の側壁5C〜5Dの中間に配置される場合、厚さt、応力σ、及び/又は変位ymaxの結果としての変化は、支持要素13がない場合のその値の半分だけbの値を減らすことにより推定され得る。最大圧力の結果としての変化は、応力σの変化に対応することができる。
【0026】
上記で略記された理論的な状況は、1つの層から構成された膜10に対応する。複数の層アクチュエータ9に印加する場合、E、α、及びβのような定数の値は変化する可能性がある。しかしながら、厚さt及び幅bの指数は、支持要素13の配置に関する一般的な影響を推定するには大体同じとすることができる。従って、アクチュエータ9の全体的な厚さ及びスパンに関する支持要素13の配置の一般的な影響は、これらの公式を用いて推定され得る。例えば、支持要素13が考慮に入れられる場合、以下の公式が使用され得る。即ち、
(b/b=(t/t
ここで、tとbは、膜10の最初の厚さと幅であり、bは、2等分する支持要素13と個々の側壁5との間のスパンの幅であり、ここで、
=(1−ε)b/2である。
【0027】
ここで、εは、チャンバ2の全体の幅の百分率の形態で示された、支持要素13の幅である。例えば、ε=0の場合、t≒t/2.5であり、ε=0.14の場合、t≒t/3である。従って、支持要素13の単一の行がチャンバを2等分し、支持要素13の幅(チャンバの全体的な幅の約14%の幅を有する)が含まれる場合、アクチュエータ9の厚さは、同様の変位ymaxに対して少なくとも3分の1に縮小されることができ、厚さtは、圧力の損失なしで、少なくとも2.3分の1に縮小され得る。
【0028】
支持要素13を挿入してアクチュエータ9の厚さを低減した後にほぼ同じ変位および圧力を達成するために、圧電素子11のパターン形成および他の幾何学的因子が調整され得る。更に、上記の公式の代わりに、又は上記の公式に加えて、実際の値が、有限の素子分析モデル及び/又は実験を通じて計算され得る。
【0029】
ユニット1を製作する方法は、膜10上の薄膜圧電セラミック材料をパターン形成することを含むことができる。例えば、薄膜圧電セラミック材料は、膜10上に堆積され、その後、焼結され得る。とりわけ、圧電セラミック材料の堆積は、スパッタリング、ゾルゲルコーティング、エアロゾル衝突法などにより実施され得る。別の実施形態において、薄膜圧電セラミック素子は、圧電セラミック材料を含む基板を、例えばフォトリソグラフィ法を用いてエッチングすることによりパターン形成され得る。
【0030】
結果としてのアクチュエータ9は、5μm(ミクロン)又はそれ未満、例えば3μm(ミクロン)又はそれ未満、又は例えば1.5μm(ミクロン)又はそれ未満の厚さを有することができる。流体チャンバ2は、リソグラフィ的に、又はそうでなければ、ウェハーを照射してエッチングすることにより製造され得る。ウェハーの周囲の部分は、側壁5A〜5Dを形成することができる。例えば、リソグラフィで処理されたウェハーは、側壁5A〜5D及び支持要素13を含むことができる。薄膜アクチュエータ9が、例えば流体チャンバ2及び支持要素13がエッチングされた後に、ウェハー(側壁5A〜5Dなど)に接続され得る。支持要素13がチャンバ2の少なくとも1つの側壁5A〜5Dの間に延在することができ、その結果、支持要素13は、ウェハー部分との接続の後で薄膜アクチュエータ9を支持する。
【0031】
ユニット1を用いた圧電駆動により流体滴を発射する方法は、以下のことを含むことができる。圧電セラミック素子11の駆動に応じて、膜10が振動することができる。振動は、チャンバ2の内部の流体に過渡圧力パルスを生成し、それにより流体が出口6の方向に流れ、1つ又は複数の小滴がノズル7から発射され得る。膜10は少なくとも1つの流体チャンバ壁5A〜5D及び少なくとも1つの支持要素13により支持されることができ、その結果、膜は、少なくとも上面図から看取されるように、個々の支持要素13に隣接する少なくとも2つの側で撓む。アクチュエータ9における撓みは、個々の支持要素13が取り付けられている場所、例えば支持部分14において、少なくとも移動方向Mで阻止される。流体チャンバ2内の流体は、支持要素13の少なくとも2つの側での振動に対する応答として個々の支持要素13に沿って、出口6の方向に流れ、流体滴が個々の出口6から噴出され得る。
【0032】
図2A〜図2Dにおいて、ユニット1の別の実施形態が示される。この実施形態において、支持要素13は、隔壁からなることができる。壁の形状を有する支持要素13は、流体が壁に沿って比較的容易に流れることができるため好都合であり、その結果、チャンバ2内の流体の流れは影響を受けない、又は流体の流れの影響は少なくとも低減され得る。隔壁は、流体チャンバ2内に、例えば流体チャンバ2の側壁5A〜5Dの少なくとも1つにほぼ平行に延在することができる。隔壁は、入口15から出口6までの間の流体の流れを妨げないように配置され得る。隔壁は、入口15と出口6との間で長手方向に延在することができる。隔壁は、流体の流れの主方向Fにほぼ平行に又は主方向Fに沿って配置されることができ、この場合、流体の流れの主方向Fは、例えば平均的な流れの方向を選択することにより、及び/又は入口15と出口6との間に想像上の線を引くことにより求められ得る。例えば、複数の隔壁が設けられてもよい。隔壁の水平方向の厚さCは、約5μm(ミクロン)〜約30μm(ミクロン)、例えば約10〜約15μm(ミクロン)、例えば約15μm(ミクロン)とすることができる。
【0033】
図3において、更なる実施形態が示される。ユニット1は、少なくとも1つの支持要素13及び少なくとも1つの対応する支持部分14を含むことができる。支持要素13は、流体チャンバ2内に延在することができる。圧電セラミック素子11は、支持部分14の近くに妨害物12を含むパターン形成された圧電セラミック素子を含むことができる。後続の電気駆動回路に接続するための相互接続電極16は、妨害物12内に支持部分14に設けられ得る。相互接続電極16は、複数の独立して制御可能な圧電セラミック素子11A、11Bを駆動回路に接続するように配置され得る。一実施形態において、別個の相互接続電極16は、各別個の圧電セラミック素子11A、11Bに設けられ得る。例えば別個の圧電セラミック素子11A、11Bが独立して制御されるように構成される場合、それぞれには、駆動回路と相互接続するための対応する相互接続電極16が設けられ得る。相互接続電極16は、圧電セラミック素子11を後続の電気回路と接触させるように構成された導電性ボンディングパッドを含むことができる。後続の電気回路は、少なくとも1つのワイヤ16A及び/又はトレースなどを含むことができる。
【0034】
妨害物12及び支持要素13により、駆動相互接続電極16が支持部分14上に好都合に配置されることを可能にすることができる。妨害物12は、相互接続電極16が圧電セラミック素子11上に配置される必要があることを防ぐことができる。支持要素13により比較的静止した状態が保たれる支持部分14上に相互接続電極16を配置することにより、相互接続電極16の振動が防止され、比較的ストレス(応力)のない取り付けが達成され得る。図3に示されるように、相互接続電極16は、流体チャンバ2の少なくとも1つの側壁5A〜5Dの間で、例えばアクチュエータ9の中央の近く又は中央で、薄膜の膜7に直接的に接続され得る。
【0035】
当該技術において知られているように、アクチュエータ9は、圧電素子に接続された少なくとも2つの電極(図示せず)を含むことができ、電極間に電圧を有する。一実施形態は、圧電セラミック素子11の対向する表面に電極を有することができる。個々の圧電セラミック素子11と膜10との間の接触面(インターフェース)における平面上の個々の電極(以降、内側電極と呼ぶ)は、同じ層の部分を形成することができ、接地に対して同じ電圧を有することができる。実際には、内側電極層は接地電位に維持されてもよい。圧電セラミック素子11がパターン形成された圧電セラミック素子11A、11Bからなる場合、電極と圧電セラミック素子11との間に延在することができるインターフェース導電層は、連続的とすることができ、その結果、各内側電極は、インターフェース導電層を介して個々の圧電セラミック素子11A、11Bに電気接続され得る。反対側の電極、即ち膜10の反対側にあり、圧電セラミック素子11の外側にある電極は、導電薄膜のストリップを介して相互接続電極16に接続され得る。製造方法において、導電薄膜のストリップは、圧電セラミック素子11が膜10にパターン形成された後に追加され得る。余計な処理工程を避けるために、内側電極は連続的とすることができる。圧電セラミック素子11A、11Bのそれぞれが独立して制御される一実施形態において、導電薄膜は、各外側電極と関連付けられるそれぞれの別個の相互接続電極16から延在することができる。
【0036】
他の実施形態において、2つの電極は、同じ平面に、及び/又は圧電セラミック素子11の外側表面に設けられてもよい。複数の電極が設けられ、同じ電圧を有するあらゆる他の電極と互いにかみ合わされ、対応するパターン形成された圧電セラミック素子11A、11Bに接続され得る。
【0037】
図4において、一実施形態が示され、この場合、支持要素13は流体チャンバ2の外側に配置され得る。支持要素13は、アクチュエータ9の反対側に及びインクチャンバ2の外側におおよそ少なくとも部分的に延在するプリントヘッド部分17に接続され得る。当該部分17は、比較的剛性の高い部分とすることができる。当該部分17は、支持要素13を支持することに加えて、圧電セラミック素子11を保護および/または気密封止ためのキャップ及び/又は保護層を含むことができる。例えば、当該部分17は、アクチュエータ9の反対側に直立壁17A及び/又は接合部分17Bを含むことができる。
【0038】
図5は、上面図において、圧電インクジェットプリントヘッドのユニット1に関する別の実施形態を示す。ユニット1は、パターン形成された圧電セラミック素子11を含むことができる。パターン形成された圧電セラミック素子11は、複数の分離された圧電セラミック素子11C〜11Fを含むことができる。図示された例において、4つの圧電セラミック素子11C〜11Fが設けられる。別個の圧電セラミック素子11C〜11Fは独立して制御可能とすることができる。別個の圧電セラミック素子11C〜11Fは、互いに対してほぼ平行に延在することができる。アクチュエータ9は、圧電セラミック素子11C〜11F間に複数の妨害物12A〜12C(例えば、3つの妨害物12A〜12C)を含むことができる。
【0039】
図6は、上面図において、圧電インクジェットプリントヘッドのユニット1に関する別の実施形態を示す。流体チャンバ2は、上面図から看取されるように、ほぼ円形の形状を有することができる。流体チャンバ2は、1つの側壁5を含むことができる。側壁5は実質的に円形とすることができる。ユニット1は、アクチュエータ9のおおよそ中央部分に対して配置された支持要素13を含むことができる。上面図において看取されるように、ユニット1は、支持要素13、及びチャンバ2のおおよそ中央に配置された対応する支持部分14を含むことができる。
【0040】
アクチュエータ9は、支持部分14において妨害物12を含むことができる。アクチュエータ9は、実質的に円形に形作られた圧電セラミック素子11を含むことができる。妨害物12は、圧電セラミック素子11のおおよそ中央部分に設けられ得る。上面図から看取されるように、圧電セラミック素子11は、支持要素13と側壁5との間に、支持要素13に隣接して及び側壁5に隣接して配置され得る。
【0041】
支持要素13に比較的近い、又は個々の側壁5に近い膜10の部分において、振動は妨げられ得る。従って、圧電セラミック素子11は、上面図から看取されるように、個々の支持要素13から少し離れて、及び/又は個々の側壁5から少し離れて配置され得る。例えば、そのような距離は、少なくとも1μm(ミクロン)、又は少なくとも5μm(ミクロン)、又は少なくとも10μm(ミクロン)とすることができる。
【0042】
図7において、ユニット1の更なる実施形態が示され、この場合、流体チャンバ2の上面図が示されている。チャンバ2は、上面図から看取されるように、円形または内接多角形の形状からなることができ、円形の壁5、又は内接多角形の形状を有する壁5を有する。支持要素13は、支柱からなることができる。支持要素13は、上面図から看取されるように、チャンバ2のおおよそ中央に延在することができる。例えば、2つの入口15が設けられ得る。支持要素13が入口15と出口6との間に延在することができる。入口15の位置は、コンピュータによる流体力学モデルを用いることにより、提供され得る。このように、流体は、支持要素13を好都合に流れ過ぎることができる。また、2つの入口15は、流体チャンバ2中をより均一に流れること、ひいてはチャンバ2をさっと外へ出ていくことを可能にすることができる。
【0043】
図8は、アクチュエータ9が除去されている、ユニット1の実施形態を斜視図で示す。同じウェハーの隣接するチャンバ2の部分も見ることができる。支持要素13のアレイが示される。アレイは、マトリクスのような構成からなることができる。例えば、支持要素13の2つ又はそれ以上の行および/または列が設けられ得る。図示された構成において、支持要素アレイは、支持要素13の3つの行および3つの列、即ち9個の支持要素13を含む。支持要素13は、互いから均整のとれた距離D、例えば約30〜80μm(ミクロン)、例えば約55μm(ミクロン)の距離で配列され得る。チャンバの長さ及び/又は幅は、例えば約115〜400μm(ミクロン)、例えば約265μm(ミクロン)とすることができる。支持要素13のアレイは、入口15と出口6との間に配置され得る。入口15は、流体チャンバ2の側部に、個々の側壁5C、5Dの近くに配置され得る。側部に近い入口15は、チャンバ2内での流体の有利な流れを可能にすることができる。支持要素13の複数の行および/または列を有することにより、アクチュエータ9が比較的幅の広い流体チャンバ2に広がることを可能にすることができる。妨害物12が、膜10の支持部分14(図示せず)に配置され得る。
【0044】
図9は、アクチュエータ9が例示のために除去されているユニット1を上面図で示す。ユニット1は出口6及び2つの入口15を含むことができる。支持要素13のアレイ(例えば、互いから等しい距離Dで配列された4つの支持要素13)は、出口6と入口15との間に設けられ得る。ユニット1のチャンバ2は実質的に正方形に形作られることができ、この場合、かどに丸みをつけられ得る。看取され得るように、支持要素13は、対応する正方形の形状に配列されることができ、この場合、支持要素13は、それぞれ丸みをつけられた又は切り取られたかどの近くに設けられ得る。チャンバ2の側部のかどの少なくとも1つは、切り取られ、チャンバ2の切り取られた側部18を提供することができる。切り取ることに起因して、チャンバ2は、丸みをつけられることもできる別の2つのかど19を含むことができる。出口6は、チャンバ2の切り取られた側部18の反対側にある丸みをつけられたかどに設けられ得る。入口15は切り取られた側部18の近く、例えば切り取られた側部18の丸みをつけられたそれぞれのかど19の近くに配置され得る。係る構成は、流体チャンバ2内の比較的な均一な流体の流れを可能にすることができる。丸みをつけられたかどは、流体の流れを効率化することができるが、切り取ることは、全チャンバ2の全体にわたって流体を分散させることに役立つことができる。
【0045】
図10は、図9のユニット1に対応することができる幾つかのユニット1がアレイで配列されたプリントヘッドの一部を示す。看取され得るように、ユニット1のノズル7は、行および/または列で配列され得る。ユニット1は、マトリクスのように、及び/又は斜めの直線に沿って配列され得る。ユニット1の異なる行および/または列の出口6は、図10に示されるように、おおよそ同じ想像上の直線L上に配列され得る。図示された実施形態は、プリントヘッドの比較的高いノズル密度を可能にすることができる。
【0046】
図11は、ユニット1が実質的に細長い形状を有し、チャンバ2の側壁5の周囲がレーストラックのように形作られることができる実施形態を示す。入口15はチャンバ2の長手方向の端部の近くに、例えば側壁5に配置され得る。出口6は、入口15に対して反対側の長手方向の端部に配置され得る。複数の支持要素13が、入口15と出口6との間に配置され得る。支持要素13は、少なくとも上面図において、入口15と出口6との間に引かれることができる想像上の直線L2上に配置され得る。レーストラックの形状により、流体が、全チャンバ2の全体にわたって比較的均一に導かれることを可能にすることができる。
【0047】
図11において、圧電セラミック素子11は、波線で示される。圧電セラミック素子11は、支持部分14において妨害物12を含むようにパターン形成され得る。妨害物12は、支持部分14から特定の距離を置いてそれらの境界を有することができ、その結果、少なくとも上面図から看取されるように、支持部分14と圧電セラミック素子11との間に間隙が存在することができる。また、圧電セラミック素子11の周囲の境界は、図6に関連して説明もされたように、少なくとも上面図から看取されるように、側壁5から特定の距離を置いて延在することができる。
【0048】
アクチュエータ9は、約2.5μm(ミクロン)の厚さを有することができる。隣接する支持要素13間の距離D、及び支持要素13と側壁5との間の距離は、例えば約55μm(ミクロン)、又は例えば少なくとも30〜80μm(ミクロン)とすることができる。圧電セラミック素子11の図示されたパターンは、スパンが当該距離Dと厳密に等しくない場合でも、アクチュエータ9の比較的均一な変位および剛性を可能にすることができる。約2.5μm(ミクロン)のアクチュエータ厚さを有し、支持要素13間の距離D、及び支持要素13と側壁5との間の距離が約55μm(ミクロン)である図示された例は、アクチュエータ9の撓み毎に、出口6への約3.3ピコリットルの流体の最大変位体積という結果になることができる。
【0049】
図12は、図11に対して区別する特徴要素を有する、図11に類似したユニット1の実施形態を示す。分割妨害物12Dは、圧電セラミック素子11を2つの別個の圧電セラミック素子11G、11Hに分割することができる。別個の圧電セラミック素子11G、11Hは、独立して制御可能とすることができる。対応する電極16(図12には示されない)は、支持部分14の少なくとも1つに配置され、圧電セラミック素子11G、11Hのそれぞれに取り付けられ得る。
【0050】
分割妨害物12Dは、支持部分14の少なくとも1つの上に延在することができる。上面図から少なくとも看取されるように、分割妨害物12Dは、膜10の中央において、膜10の幅にわたって水平方向に延在する開口を含むことができる。
【0051】
一実施形態において、別個の独立して制御可能な圧電セラミック素子11G、11Hは、より良い流体の流れを達成するように、非同時に付勢され得る。
【0052】
有利な点は、個々の圧電セラミック素子11のパターン形成が、最大の撓みを達成するように適合され得る。膜10の厚さ及び/又は圧電セラミック素子11の厚さは、所望の流体圧力を達成するように適合され得る。これは、本開示内のあらゆるアクチュエータ9に適用され得る。あらゆる設計は、出口での所望される流体速度を満たす圧力でもって最も大きい可能な変位を達成するように最適化され得る。
【0053】
上述されたように、支持部分14に妨害物12を設けることは有利であるかもしれないが、特定の実施形態において、圧電セラミック素子11は、妨害物を備えずに、支持部分14及び支持要素13又は側壁5A〜5Dの上に延在することができる。更に、本発明は、細長い流体チャンバの形状の使用を除外しない。
【0054】
本説明において、インクジェットプリントヘッドのユニット1が説明されたが、他の実施形態において、ユニット1は、例えば圧電インクジェットプリントヘッドのユニット以外の、任意のタイプの圧電アクチュエータを含むことができる。例えば、流体は、液体および/または気体からなることができる。ユニット1は、流体を動かすMEMS(微小電気機械システム)デバイスの一部分とすることができ、この場合、MEMSデバイスは例えば、ラボオンチップの一部分を形成することができる。他の実施形態において、ユニット1は、空気を変位させるためのスピーカ又はトーン発生装置を含むことができる。更に別の実施形態において、ユニット1は、構成要素を移動させる(例えば原子間力顕微鏡において先端部(チップ)の位置を制御する)ためのデバイスを含むことができる。
【0055】
第1の態様において、(i)流体チャンバ2、(ii)流体出口6、(iii)アクチュエータ9を含む圧電ユニット1が、提供される。ユニット1は、薄膜圧電セラミック素子11、流体チャンバ2の壁4の機能を果たす膜10、及び(iv)アクチュエータ9の支持部分14がアクチュエータ9の駆動の主移動方向Mにおいて移動しないようにすると同時に、支持部分14の少なくとも2つの側で係る駆動の移動Mを可能にするように構成された支持要素13を含むことができ、支持要素13は、アクチュエータのおおよそ反対側に延在することができるユニット部分4、17に接続され得る。
【0056】
第2の態様において、圧電駆動により流体滴を噴出する方法が提供され得る。方法は、(i)圧電セラミック素子11を駆動し、(ii)少なくとも1つの流体チャンバ壁5、5A〜5D及び少なくとも1つの支持要素13により支持された膜10を振動させ、その結果、膜10が個々の支持要素13に隣接する少なくとも2つの側で撓み、膜10の撓みは、膜10が個々の支持要素13に取り付けられている部分14において阻止され、(iii)チャンバ2内の流体を、支持要素13の少なくとも2つの側での振動に対する応答として個々の支持要素13に沿って、チャンバ2の方へ通じる出口6の方向に流し、(iv)振動により個々の出口6から流体滴を噴出することを含む。
【0057】
第3の態様において、圧電ユニット1を製作する方法が提供され得る。方法は、(i)膜10上の圧電セラミック材料をパターン形成することにより薄膜アクチュエータ9を形成し、アクチュエータ9は約5μm(ミクロン)又はそれ未満の厚さtを有することができ、(ii)アクチュエータ9をウェハーに接続し、ウェハーが流体チャンバ壁5、5A〜5D及び支持要素13を含むことができ、支持要素13は、接続後にアクチュエータ9の表面に垂直な方向から見られる場合にチャンバ2の少なくとも1つの側壁5間に延在し、その結果、支持要素13及び当該壁5が、ウェハーと接続後に薄膜アクチュエータ9を支持することができることを含む。
【0058】
上記の説明は、網羅的にする、又は本発明を開示された実施形態に制限することは意図されていない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示、及び特許請求の範囲の検討から、本発明を実施する当業者により理解され、もたらされることができる。特許請求の範囲において、単語「含む(からなる)」は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」及び「an」は、複数を除外しないと同時に、特定の数の要素に対する言及は、より多くの要素を有する可能性を除外しない。単一のユニットは、本開示において列挙された幾つかの要素の機能を実現することができ、本開示において列挙された幾つかの要素は、1つのユニットの機能を実現することができる。
【0059】
特定の手段が互いに異なる従属項に列挙されている単なる事実は、これらの手段の組み合わせが利益をもたらすために使用されることができないことを示すわけではない。複数の代替案、等価物、変形形態および組み合わせは、本発明の範囲から逸脱せずに行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体チャンバと、
流体出口と、
薄膜圧電セラミック素子および前記流体チャンバの壁の機能を果たす膜を含むアクチュエータと、
前記アクチュエータの支持部分が前記アクチュエータの駆動の主移動方向において移動しないようにすると同時に、前記支持部分の少なくとも2つの側で係る駆動の移動を可能にするように構成された支持要素とを含み、
前記支持要素が、前記アクチュエータのおおよそ反対側に延在するユニット部分に接続される、圧電ユニット。
【請求項2】
前記圧電セラミック素子の厚さが、約5μm(ミクロン)又はそれ未満である、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項3】
前記圧電セラミック素子の厚さが、約1.5μm(ミクロン)又はそれ未満である、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項4】
堆積されて焼結された圧電セラミック素子を含む、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項5】
前記アクチュエータが、パターン形成された圧電セラミック素子を含む、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項6】
前記パターン形成された圧電セラミック素子が、2つの独立して制御可能な圧電セラミック素子からなる、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項7】
前記アクチュエータを駆動回路に接続するための相互接続電極が、前記アクチュエータの支持部分に配置されている、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項8】
前記支持要素が、前記流体チャンバ内において、前記流体チャンバの底面から延在する、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項9】
前記支持要素が支柱からなる、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項10】
前記流体チャンバの長さが、前記流体チャンバの幅の約1〜3倍である、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項11】
前記アクチュエータが、2つの直角をなす方向において少なくとも約115μm(ミクロン)の距離を越えて前記流体チャンバの上に延在する、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項12】
隣接する支持要素間の距離が、30〜80μm(ミクロン)である、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項13】
前記支持要素が前記出口と入口との間に延在する、請求項1に記載の圧電ユニット。
【請求項14】
圧電駆動により流体を噴出する方法であって、
圧電セラミック素子を駆動し、
少なくとも1つの流体チャンバ壁および少なくとも1つの支持要素により支持された膜を振動させ、その結果、前記膜が個々の支持要素に隣接する少なくとも2つの側で撓み、前記膜の撓みは、前記膜が個々の支持要素に取り付けられている部分において阻止され、
前記流体チャンバ内の流体を、前記振動に対する応答として前記個々の支持要素に沿って、前記チャンバの方へ通じる出口の方向に流し、
前記振動により個々の出口から流体を噴出することを含む、方法。
【請求項15】
圧電ユニットを製作する方法であって、
膜上の圧電セラミック材料をパターン形成することにより薄膜アクチュエータを形成し、前記アクチュエータが約5μm(ミクロン)又はそれ未満の厚さを有し、
前記アクチュエータをウェハーに接続し、前記ウェハーが流体チャンバ壁および支持要素を含み、前記支持要素が、接続後に前記アクチュエータの表面に垂直な方向から見られる場合に前記チャンバの少なくとも1つの側壁間に延在し、その結果、前記支持要素および前記壁が、前記ウェハーと接続後に前記薄膜アクチュエータ9を支持することを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−508201(P2013−508201A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537111(P2012−537111)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054700
【国際公開番号】WO2011/053778
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】