説明

らせん状の立体構造を有する化合物及びその製造方法

【課題】各種の材料、例えば分子認識の材料として用いられる他、有機EL素子、蛍光材料、有機バッファ層構成材料、非線形光学材料などの各種の光学デバイスなどに応用することが期待される、新規なヘテロヘリセン、及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式Iで表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、らせん状の立体構造を有する化合物、例えばヘリセン、ヘテロヘリセン及びそれらの誘導体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の芳香環が互いにオルト位で縮環したヘリセンはらせん構造を有するため、非平面π共役系に基づく機能、物性を奏すると考えられる。特に、多官能性の光学活性ヘリセンは、分子認識の材料として用いられる他、有機エレクトリック・ルミネッセンス(EL)素子、蛍光材料、有機バッファ層構成材料、非線形光学材料などの光学デバイスへの応用が期待されている。
【0003】
特許文献1は、EL素子としてヘリセン誘導体を用いることを開示する。特に、特許文献1は、発光層にヘキサヘリセン、ノナヘリセン、トリデカヘリセン、5-ニトロヘキサヘリセンを用いる一方、光学フィルタ部には発光層に用いた化合物とは逆方向の旋光性を有する化合物、例えば(+)−ノナヘリセンを用いている。
また、特許文献2は、ヘキサチアオクタヘリセンを含有する有機非線形光学材料を開示する。
【0004】
さらに、本発明者らの一部は、特許文献3において、らせん状の立体構造を有する化合物、具体的には以下の式A(式Aにおいて、XはO又はN−R(Rは、水素、又は置換基を表す)で表される基であり、Yは1個又は2個以上の環が縮環してなる第1の縮環基、Zは1個又は2個以上の環が縮環してなる第2の縮環基を示す)で表されるヘテロヘリセンを開示する。
【0005】
【化1】

【0006】
一方、シロール系の化合物は、量子効率が高い化合物が多く、電子輸送性能にも優れており、例えば、特許文献4は、シロール共重合体を用いた電界発光素子を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−195673。
【特許文献2】特開平5−273613。
【特許文献3】特開2006−52200。
【特許文献4】特開2001−123157。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ヘリセン及びその誘導体は、上述のように、各種の光学デバイスへの応用が期待されているにも関わらず、新規な化合物及びその製造法が開発されていない。
そこで、本発明の目的は、各種の材料、例えば分子認識の材料として用いられる他、有機EL素子、蛍光材料、有機バッファ層構成材料、非線形光学材料などの各種の光学デバイスなどに応用することが期待される、新規なヘテロヘリセン、特にシロール構造をヘリセンに導入したヘテロヘリセン、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、次の発明を見出した。
<1> 下記一般式I(式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表し、
Yは1個又は2個以上の環が縮環してなる第1の縮環基であり、
Zは1個又は2個以上の環が縮環してなる第2の縮環基であり、
A及びA’は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表し、
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物。
【0010】
及びRは、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜10の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜12の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜12の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基であるのが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基など)、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基(例えばビニル基、2-プロペニル基など)、炭素数2〜6の置換又は未置換のアルキニル基(例えばエチニル基、1-プロピニル基など)、炭素数3〜6の置換又は未置換のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数6〜10の置換又は未置換のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、炭素数4〜10の置換又は未置換のヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基など)、炭素数1〜6の置換又は未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基など)、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基であるのがよい。
【0011】
第3及び第4の置換基は、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜10の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜12の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜10の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜10の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜12の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜12の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜12の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜10の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜10の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基など)、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基(例えばビニル基、2-プロペニル基など)、炭素数2〜6の置換又は未置換のアルキニル基(例えばエチニル基、1-プロピニル基など)、炭素数3〜6の置換又は未置換のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基など)、ヒドロキシル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のエステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜8の置換又は未置換のアシル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基など)、カルボキシル基、炭素数2〜8の置換又は未置換のアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基など)、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜10の置換又は未置換のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、炭素数4〜10の置換又は未置換のヘテロアリール基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基など)、炭素数2〜8の置換又は未置換のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基など)及び炭素数2〜6の置換又は未置換の第3の縮環基(第1又は第2の縮環基と縮環しシクロヘキサン環を形成するもの(炭素数4)、ベンゼン環を形成するもの(炭素数4))からなる群から選ばれるのがよい。
m又はm’は、各々独立に、0〜2であるのが好ましく、より好ましくは0〜1であるのがよい。
【0012】
【化2】

【0013】
<2> 上記<1>において、Y及びZの環は、各々独立に、脂環又は芳香環であるのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、Y及びZの環は、各々独立に、芳香環であるのがよい。
【0014】
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、Y及びZの環は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第5及び第6の置換基をそれぞれ有してもよい。
第5及び第6の置換基についての、好ましい基、及びより好ましい基は、各々独立に、第3及び第4の置換基について上述した基と同様である。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、Y及びZを構成する環は各々、互いがオルト位で縮環するのがよい。
【0015】
<6> 下記式II又はII’(式中、R及びRは、各々独立に、上記式IについてのR及びRと同じ定義を有し、
A及びA’は、各々独立に、上記式IについてのA及びA’と同じ定義を有し、
n及びn’は、各々独立に、0〜8、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数を表す)で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体。
なお、R及びR、並びに、A及びA’についての好ましい基、及びより好ましい基は、各々独立に、上記式IについてのR及びR、並びに、A及びA’について上述した基と同様である。
【0016】
【化3】

【0017】
<7> 下記一般式I’(式中、R及びRは、各々独立に、上記式IについてのR及びRと同じ定義を有し、
Y’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第3の縮環基であり、
Z’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第4の縮環基であり、
A及びA’は、各々独立に、上記式IについてのA及びA’と同じ定義を有し、
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物の製造方法であって、
a)下記式III(式中、R及びR、Y’及びZ’、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有する)で表される化合物IIIの溶液を準備する工程;及び
b)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、前記化合物を得る、上記方法。
なお、R及びR、並びに、A及びA’についての好ましい基、及びより好ましい基は、各々独立に、上記式IについてのR及びR、並びに、A及びA’について上述した基と同様である。
また、Y’及びZ’は、構成する環が上述のY及びZより1個が少ない以外、上記Y及びZと同じ定義を有する。なお、Y’及びZ’の環は、上述のY及びZの環と同様に、第7及び第8の置換基をそれぞれ有してもよく、該第7及び第8の置換基は、第5及び第6の置換基と同じ定義を有する。
【0018】
【化4】

【0019】
<8> 上記<7>において、化合物IIIは、
c)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式V(式中、Y’及びZ’は上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物Vとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得られるのがよい。
【0020】
【化5】

【0021】
<9> 上記<7>又は<8>において、Y’及びZ’の環は、各々独立に、脂環又は芳香環であるのがよく、好ましくは、Y’及びZ’の環は、各々独立に、芳香環であるのがよい。
<10> 上記<7>〜<9>のいずれかにおいて、Y’及びZ’を構成する環は各々、互いがオルト位で縮環するのがよい。
【0022】
<11> 下記式II又はII’(式中、R及びRは、各々独立に、上記式IについてのR及びRと同じ定義を有し、
A及びA’は、各々独立に、上記式IについてのA及びA’と同じ定義を有し、
p及びp’は、各々独立に、0〜6の整数を表す)で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体の製造方法であって、
a’)下記式VI(式中、R及びR、並びに、A及びA’ は上述と同じ定義を有し、n及びn’は、各々独立に、0〜4の整数を表し、m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表される化合物VIの溶液を準備する工程;及び
b’)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、前記化合物を得る、上記方法。
なお、R及びR、並びに、A及びA’についての好ましい基、及びより好ましい基は、各々独立に、上記式IについてのR及びR、並びに、A及びA’について上述した基と同様である。
n及びn’は、各々独立に、0〜3であるのが好ましく、より好ましくは0〜2であるのがよい。m及びm’は、各々独立に、0〜1であるのが好ましく、より好ましくは0であるのがよい。
【0023】
【化6】

【0024】
<12> 上記<11>において、化合物VIは、
c’)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式VIII(式中、A及びnは上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物VIIIとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得られるのがよい。
【0025】
【化7】

【0026】
<13> 上記<11>又は<12>において、b’)工程後に、d)光学分割工程を行い、光学活性な化合物II又はII’を得るのがよい。
<14> 上記<13>において、d)光学分割工程は、キラルカラムを用いた液体クロマトグラフィーにより行うのがよい。
【0027】
<15> 上記<7>〜<14>のいずれかにおいて、環化反応用金属触媒は、塩化白金(II)又は塩化金(III)であるのが好ましく、より好ましくは塩化白金(II)であるのがよい。
<16> 上記<8>〜<10>及び<12>〜<15>のいずれかにおいて、クロスカップリング用金属触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド及び塩化ニッケル(II)からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及びビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)からなる群から選ばれるのがよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、各種の材料、例えば分子認識の材料として用いられる他、有機EL素子、蛍光材料、有機バッファ層構成材料、非線形光学材料などの各種の光学デバイスなどに応用することが期待される、新規なヘテロヘリセン、特にシロール構造をヘリセンに導入したヘテロヘリセン、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1で得たシラ[7]ヘリセンをクロロホルムに溶解して得た溶液について測定した、蛍光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
本願は、新規なヘテロヘリセン、特にシロール構造をヘリセンに導入したヘテロヘリセン、及びその製造方法を提供する。以降、ヘテロヘリセン、その製造方法、の順に説明する。
<ヘテロヘリセン>
本願は、下記一般式Iで表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物を提供する。なお、本願で開示する化合物は、「らせん状の立体構造を有する」ため、らせん状の立体構造を有しない化合物は、本願の規定から除外される。例えば、下記一般式Iにおいて、Y及びZがそれぞれ1個のフェニル基である場合には、下記式IXで表されるが、該化合物は、「らせん状の立体構造」を有しないため、本願の規定から除外される。
【0031】
【化8】

【0032】
式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表す。
Yは1個又は2個以上の環が縮環してなる第1の縮環基であり、Zは1個又は2個以上の環が縮環してなる第2の縮環基である。
【0033】
A及びA’は、各々独立に、
炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表す。
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す。
【0034】
【化9】

【0035】
なお、R及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環として、下記式Xで表される基を挙げることができるが、これに限定されない。
【0036】
【化10】

【0037】
及びRは、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜10の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜12の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜12の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基であるのが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基など)、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基(例えばビニル基、2-プロペニル基など)、炭素数2〜6の置換又は未置換のアルキニル基(例えばエチニル基、1-プロピニル基など)、炭素数3〜6の置換又は未置換のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数6〜10の置換又は未置換のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、炭素数4〜10の置換又は未置換のヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基など)、炭素数1〜6の置換又は未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基など)、ヒドロキシル基、フルオロ基、クロロ基であるのがよい。
【0038】
Y及びZの環は、各々独立に、脂環又は芳香環であるのがよく、好ましくは、Y及びZの環は、各々独立に、芳香環であるのがよい。
また、Y及びZを構成する環は各々、互いがオルト位で縮環するのがよい。
【0039】
Y及びZの環は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第5及び第6の置換基をそれぞれ有してもよい。
【0040】
第3及び第4の置換基(A及びA’)、並びに第5及び第6の置換基は、各々独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜10の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜12の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜10の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜10の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜12の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜12の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜12の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜10の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜10の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基など)、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基(例えばビニル基、2-プロペニル基など)、炭素数2〜6の置換又は未置換のアルキニル基(例えばエチニル基、1-プロピニル基など)、炭素数3〜6の置換又は未置換のシクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基など)、ヒドロキシル基、炭素数2〜10の置換又は未置換のエステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜8の置換又は未置換のアシル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基など)、カルボキシル基、炭素数2〜8の置換又は未置換のアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基など)、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜10の置換又は未置換のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、炭素数4〜10の置換又は未置換のヘテロアリール基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基など)、炭素数2〜8の置換又は未置換のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基など)及び炭素数2〜6の置換又は未置換の第3の縮環基(第1又は第2の縮環基と縮環しシクロヘキサン環を形成するもの(炭素数4)、ベンゼン環を形成するもの(炭素数4))からなる群から選ばれるのがよい。
m又はm’は、各々独立に、0〜2であるのが好ましく、より好ましくは0〜1であるのがよい。
【0041】
より具体的には、本願は、下記式II又はII’で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体を開示する。
式中、R及びRは、上述と同じ定義を有し、A及びA’は、各々独立に、上述の第3及び第4の置換基と同じ定義を有し、n及びn’は、各々独立に、0〜8、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数を表す。
【0042】
【化11】

【0043】
以下の式1は、置換基Aの配置され得る位置1〜8を示す。置換基Aは、好ましくは、位置2、5、6及び/又は7に配置されるのがよく、より好ましくは位置7及び/又は6に配置されるのがよい。
なお、置換基A’については図示しないが、対称であるため、置換基A’も、置換基Aと同様の位置に配置され得る。
【0044】
【化12】

【0045】
本願が開示するヘテロヘリセンは、高い蛍光量子収率、高い第一励起三重項エネルギー、及び/又は高い電子輸送特性を有するか又はその蓋然性が高く、有機EL材料、蛍光材料、有機バッファ層構成材料、非線形光学材料などの光学デバイスに応用できる。
【0046】
<ヘテロヘリセンの製造方法>
上述のヘテロヘリセンは、例えば以下の方法で製造することができる。
下記一般式I’(式中、R及びRは、各々独立に、上記式IについてのR及びRと同じ定義を有し、
Y’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第3の縮環基であり、
Z’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第4の縮環基であり、
A及びA’は、各々独立に、上記式IについてのA及びA’と同じ定義を有し、
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物の製造方法であって、
a)下記式III(式中、R及びR、Y’及びZ’、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有する)で表される化合物IIIの溶液を準備する工程;及び
b)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、一般式I’で表される化合物を得ることができる。
【0047】
なお、R及びR、並びに、A及びA’についての好ましい基、及びより好ましい基は、各々独立に、上記式IについてのR及びR、並びに、A及びA’について上述した基と同様である。
また、Y’及びZ’は、構成する環が上述のY及びZより1個が少ない以外、上記Y及びZと同じ定義を有する。なお、Y’及びZ’の環は、上述のY及びZの環と同様に、第7及び第8の置換基をそれぞれ有してもよく、該第7及び第8の置換基は、第5及び第6の置換基と同じ定義を有する。
【0048】
【化13】

【0049】
また、上記化合物IIIは、
c)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式V(式中、Y’及びZ’は上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物Vとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得ることができる。
【0050】
【化14】

【0051】
以下、上記工程について詳細に述べる。
工程a)は、上記式IIIで表される化合物IIIの溶液を準備する工程である。該溶液の溶媒は、用いる化合物III、用いる環化反応用触媒に依存するが、ジクロロメタンであるのがよい。
【0052】
工程b)は、工程a)で得られた溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程であり、この工程により、上記式I’で表される化合物を得ることができる。
環化反応用金属触媒は、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれ、好ましくは塩化白金(II)又は塩化金(III)であるのがよく、より好ましくは塩化白金(II)であるのがよい。
【0053】
工程c)は、上記化合物IIIを得る工程であり、上記式IVで表される化合物IVと上記式Vで表される化合物Vとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程である。
カップリング反応工程は、用いる化合物IV及びV、クロスカップリング用金属触媒、などに依存するが、テトラヒドラフラン、1-4-ジオキサン中で、加熱(60〜100℃)の条件であるのがよい。
【0054】
クロスカップリング用金属触媒は、用いる化合物IV及びV、などに依存するが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド及び塩化ニッケル(II)からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及びビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)からなる群から選ばれるのがよい。なお、クロスカップリング反応が生じるのであれば、これらに限定されない。
【0055】
その後に行う脱トリメチルシリル反応工程は、上記のクロスカップリング反応で得られる物質などに依存するが、塩基性条件下で行うのがよい。
【0056】
下記式II又はII’(式中、R及びR、並びにA及びA’は上述と同じ定義を有し、pは0〜6、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数を表す)で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体の製造方法についても、上述と同様である。
即ち、
a’)下記式VI(式中、R及びR、並びにA及びA’は上述と同じ定義を有し、n及びn’は0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2の整数を表し、m及びm’は0〜2、好ましくは0〜1、より好ましくは0の整数を表す)で表される化合物VIの溶液を準備する工程;及び
b’)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、上記式II又はII’で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体を得ることができる。
a’)及びb’)工程は、上記a)及びb)工程と同様である。
【0057】
【化15】

【0058】
以下の式2は、置換基Aの配置され得る位置1〜7を示す。置換基Aは、好ましくは、位置2、4、5及び/又は6に配置されるのがよく、より好ましくは位置5及び/又は6に配置されるのがよい。
置換基A’については図示しないが、対称であるため、置換基A’も、置換基Aと同様の位置に配置され得る。
なお、後述のc’)工程後、位置*に置換基Aを配置する工程を設けてもよい。
【0059】
【化16】

【0060】
また、上記化合物VIは、
c’)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式VIII(式中、A及びnは上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物VIIIとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得ることができる。
c’)工程は、上記c)工程と同様である。
【0061】
【化17】

【0062】
上記製造方法において、特にb)又はb’)工程後に、d)光学分割工程を行い、光学活性な化合物を得るのがよい。特に、b’)工程後に、d)光学分割工程を行い、光学活性なII又はII’を得るのがよい。
d)光学分割工程は、キラルカラムを用いた液体クロマトグラフィーにより行うのがよい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0063】
全ての反応は,不活性雰囲気下(アルゴン)で行った。
反応に使用したテトラヒドロフラン(THF)溶媒は、関東化学株式会社から入手した脱水グレードのTHFをGlass Contour溶媒精製装置でさらに精製したものを使用した。
反応に使用した1,2-ジクロロエタンは、アルドリッチ社から入手したものを水素化カルシウムで脱水後,アルゴン雰囲気下で蒸留したものを使用した。
2-ブロモフェニルトリメチルシリルアセチレンはアルドリッチ社、n-ブチルリチウム及び炭酸カリウムは関東化学株式会社、メタノールは和光純薬株式会社から入手したものをそのまま使用した。
下記式の化合物1(式中、「Me」はメチル基(CH)を示す)は、文献(Chem. Asian. J. 2008, 3, 1238.)にしたがって合成した。
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムは、第5版実験化学講座18[実験例3.12](丸善株式会社)にしたがって合成した。
【0064】
2-ブロモフェニルトリメチルシリルアセチレン(0.86 mL, 4 mmol)をTHF(20 mL)に溶解させ、n-ブチルリチウム1.6 Mヘキサン溶液(2.75 mL, 4 mmol)を−78℃下で滴下し、30分間撹拌した。臭化亜鉛(991 mg, 4 mmol)をTHF(15 mL)に溶解させたものを、上記反応溶液に加え、0℃下で30分間撹拌させた。その後、THF(15 mL)に溶解させたテトラキストリフェニルパラジウム(116 mg, 0.10 mol)及び化合物1(368 mg, 1.0 mmol)を加え、2日間加熱還流した。
飽和塩化アンモニウム水溶液(20 mL)によって反応を停止したのち、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて脱水し、乾燥剤の濾過、減圧下での濾液の濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=1/10)によって精製し、化合物2(式中、「TMS」はトリメチルシリル基を示す)を得た(165 mg。ただし、分離できない未同定物を含む)。
【0065】
上記で得た化合物2を含む混合物を、THF(10 mL)及びメタノール(2 mL)からなる混合溶媒に溶解させ、炭酸カリウム(483 mg)を水(2 mL)に溶解させたものを加え、25℃で2時間撹拌した。シリカゲルを用いて反応溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、化合物3の粗生成物を白色固体として得た(133 mg)。
この粗生成物を、1,2-ジクロロエタンに溶解させ(20 mL)、塩化白金(II)(10 mg, 0.039 mmol)触媒を加えて80℃で12時間攪拌した。セライト(登録商標)を用いて濾過し、濾液を濃縮した。得られた粗生成物をリサイクルサイズ排除クロマトグラフィーによって精製し、目的のシラ[7]ヘリセン4を得た(53 mg, 0.13 mmol, 13%)。
【0066】
1H NMR (500 MHz CDCl3) 7.82 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 6.92 (t, J = 8 Hz, 2H ), 6.33 (t, J = 8 Hz, 2H), 0.58 (s, 6H); 13C NMR (101 MHz CDCl3) 145.6, 139.4, 134.1, 132.0, 130.2, 128.8, 128.7, 127.5, 127.1, 126.5, 126.3, 125.9, 124.9, 122.8, 1.1。
【0067】
【化18】

【0068】
上記で得られたシラ[7]ヘリセン(上記式での化合物4)をクロロホルムに溶解して得た溶液について、蛍光スペクトルを測定した。その結果を図1に示す。図1からわかるように、410nm付近にピークを有することから、この溶液は、青色の蛍光を発することがわかる。また、その量子効率を見たところ、22%とかなり高い値を示した。
さらに、図示しないが、上記で得られたシラ[7]ヘリセン(上記式での化合物4)の固体状態の蛍光スペクトルを測定したところ、図1と同様に410nm付近にピークを有し、溶液状態と同様の蛍光を発することがわかった。固体状態の量子効率も17%と、かなり高い値を示した。これらのことより、シラ[7]ヘリセンは、有機ELの材料候補であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I(式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表し、
Yは1個又は2個以上の環が縮環してなる第1の縮環基であり、
Zは1個又は2個以上の環が縮環してなる第2の縮環基であり、
A及びA’は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表し、
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物。
【化1】

【請求項2】
Y及びZの環は、各々独立に、脂環又は芳香環である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Y及びZの環は、各々独立に、芳香環である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Y及びZの環は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第5及び第6の置換基をそれぞれ有してもよい請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Y及びZを構成する環は各々、互いがオルト位で縮環する請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
下記式II又はII’(式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表し、
A及びA’は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表し、
n及びn’は、各々独立に、0〜8の整数を表す)で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体。
【化2】

【請求項7】
下記一般式I’(式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表し、
Y’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第3の縮環基であり、
Z’は1個又は2個以上の環が縮環してなる第4の縮環基であり、
A及びA’は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表し、
m及びm’は、各々独立に、0〜2の整数を表す)で表され、且つらせん状の立体構造を有する化合物の製造方法であって、
a)下記式III(式中、R及びR、Y’及びZ’、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有する)で表される化合物IIIの溶液を準備する工程;及び
b)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、前記化合物を得る、上記方法。
【化3】

【請求項8】
前記化合物IIIは、
c)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式V(式中、Y及びZは上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物Vとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得られる請求項7記載の方法。
【化4】

【請求項9】
下記式II又はII’(式中、R及びRは、各々独立に、水素、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、及びハロゲノ基からなる群から選ばれる第1及び第2の置換基、もしくはR及びRが互いに結合してSiと共に形成される置換又は未置換の環を表し、
A及びA’は、各々独立に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルケニル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアルキニル基、炭素数3〜20の置換又は未置換のシクロアルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の置換又は未置換のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のエステル基、ニトリル基、ホルミル基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の置換又は未置換のアミド基、炭素数0〜20の置換又は未置換のアミノ基、ハロゲノ基、ニトロ基、炭素数6〜20の置換又は未置換のアリール基、炭素数4〜20の置換又は未置換のヘテロアリール基、炭素数2〜20の置換又は未置換のアシルオキシ基及び炭素数2〜20の置換又は未置換のカルバメート基、並びに炭素数2〜20の置換又は未置換の第3の縮環基(縮環を構成する環が第1又は第2の縮環基と縮環し、該環は、ヘテロ脂環を含む脂環、及びヘテロ芳香族環を含む芳香族環からなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる第3及び第4の置換基を表し、
p及びp’は、各々独立に、0〜6の整数を表す)で表されるヘテロヘリセン及びその誘導体の製造方法であって、
a’)下記式VI(式中、R及びR、並びに、A及びA’は、上述と同じ定義を有し、n及びn’は0〜4の整数を表し、m及びm’は0〜2の整数を表す)で表される化合物VIの溶液を準備する工程;及び
b’)該溶液を、塩化白金(II)、塩化金(III)、塩化ガリウム(III)及び塩化インジウム(III)からなる群から選ばれる環化反応用金属触媒下で反応させる工程;
を有することにより、前記化合物を得る、上記方法。
【化5】

【請求項10】
前記化合物VIは、
c’)下記式IV(式中、R及びR、A及びA’、並びに、m及びm’は上述と同じ定義を有し、X及びXは、各々独立に、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物IVと下記式VIII(式中、A及びnは上述と同じ定義を有し、Xは、Cl、Br又はIを示す)で表される化合物VIIIとを、クロスカップリング用金属触媒の存在下、カップリング反応させ、その後、脱トリメチルシリル反応を行う工程;
により得られる請求項9記載の方法。
【化6】

【請求項11】
前記b’)工程後に、d)光学分割工程を行い、光学活性な化合物II又はII’を得る請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記d)光学分割工程は、キラルカラムを用いた液体クロマトグラフィーにより行う請求項11記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184212(P2012−184212A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50352(P2011−50352)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】