説明

アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置

【課題】低コスト化および小型化を図りつつ、可動板をX軸およびX軸に直交するY軸のそれぞれの軸まわりに回動させることのできるアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】アクチュエータ1は、駆動部材211を備える第1の振動系21と、可動板221を備える第2の振動系22と、駆動部材211のX軸から離間した位置に設けられた第1の軟磁性体61と、可動板221のY軸から離間した位置に設けられたに第2の軟磁性体62と、第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62に対向するように設けられたコイル63とを有し、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とが重畳された電圧をコイル63に印加することにより、可動板221をX軸およびY軸のそれぞれの軸まわりに回動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンタ等にて光走査により描画を行うための光スキャナとして、2次元的に光を走査する光スキャナが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の光スキャナは、枠状の外側可動板と、この外側可動板をX軸まわりに遥動(回動)可能に軸支する1対の第1のトーションバーと、外側可動板の内側に設けられた内側可動板と、この内側可動板をX軸に直交するY軸まわりに遥動可能に軸支する1対の第2のトーションバーとを備えるスキャナ本体と、外側可動板および内側可動板のそれぞれに設けられた1対の駆動コイルと、スキャナ本体を介して互いに対向するように設けられた1対の永久磁石とを有している。
しかし、このような光スキャナは、光スキャナ本体を介して互いに対向するように1対の永久磁石を設けているため、光スキャナの小型化を図ることが難しい。また、駆動コイルを外側可動板および内側可動板のそれぞれに1つずつ設けているため、低コスト化を図ることが難しい。
【0003】
【特許文献1】特開平8−322227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低コスト化および小型化を図りつつ、可動板をX軸およびX軸に直交するY軸のそれぞれの軸まわりに回動させることのできるアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエータは、枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられた可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させることができるアクチュエータを提供することができる。
【0006】
本発明のアクチュエータでは、前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から遠位に位置する部位に設けられていることが好ましい。
これにより、同一電圧下では、前記第1の軟磁性体が前記駆動部材の前記X軸から近位に位置する部位に設けられている場合に比べて、前記駆動部材を前記X軸まわりに回動させる力が大きくなる。そのため、アクチュエータの省電力化を図りつつ、前記駆動部材の回動角を大きくすることができる。
【0007】
本発明のアクチュエータでは、前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視して、前記駆動部材の前記Y軸上に設けられていることが好ましい。
これにより、アクチュエータの駆動の際に、前記各第1の軸部材が前記X軸および前記Y軸のそれぞれの軸に直行する方向へ撓んでしまうことを抑制することができる。つまり、前記各第1の軸部材の前記X軸まわりの捩れ変形以外の変形を抑制することができる。その結果、円滑に、前記駆動部材を前記X軸まわりに回動させることができる。
【0008】
本発明のアクチュエータでは、前記第1の軟磁性体は、前記駆動部材の前記コイルと対向する面に設けられていることが好ましい。
これにより、前記第1の軟磁性体と前記コイルとの離間距離を短くすることができるため、アクチュエータの小型化および省電力化を図ることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の板面の前記Y軸から遠位に位置する部位に設けられていることが好ましい。
これにより、同一電圧下では、前記第2の軟磁性体が前記可動板の前記Y軸から近位に位置する部位に設けられている場合に比べて、前記可動板を前記Y軸まわりに回動させる力が大きくなる。そのため、アクチュエータの省電力化を図りつつ、前記可動板の回動角を大きくすることができる。
【0009】
本発明のアクチュエータでは、前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記X軸上に設けられていることが好ましい。
これにより、アクチュエータの駆動の際に、前記各第2の軸部材が前記X軸および前記Y軸のそれぞれの軸に直行する方向へ撓んでしまうことを抑制することができる。つまり、前記各第2の軸部材の前記Y軸まわりの捩れ変形以外の変形を抑制することができる。その結果、円滑に、前記可動板を前記Y軸まわりに回動させることができる。
【0010】
本発明のアクチュエータでは、前記第1の軟磁性体は、前記可動板の前記コイルと対向する面に設けられていることが好ましい。
これにより、前記第2の軟磁性体と前記コイルとの離間距離を短くすることができるため、アクチュエータの小型化および省電力化を図ることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記コイルは、前記可動板の平面視にて、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体を囲むように設けられていることが好ましい。
これにより、前記コイル(つまり、1つのコイル)から発生する磁界によって、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体のそれぞれを磁化することができる。その結果、アクチュエータの小型化および低コスト化を図ることができる。
【0011】
本発明のアクチュエータでは、前記第2の電圧の周波数が前記第2の振動系の共振周波数と等しく、前記第1の電圧の周波数が前記第1の振動系の共振周波数と異なっていることが好ましい。
これにより、極めて円滑に、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させることができる。
【0012】
本発明のアクチュエータでは、前記第1の電圧および前記第2の電圧のそれぞれは、パルス状に印加させることが好ましい。
これにより、効果的に、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記可動板は、前記第2の軟磁性体と反対の面に設けられた光反射性を有する光反射部を有していることが好ましい。
これにより、アクチュエータを例えば、レーザープリンタ、バーコードリーダー、走査型共焦点レーザー顕微鏡、イメージング用ディスプレイ等の画像形成装置に備える光学デバイスとして用いることができる。
【0013】
本発明の光スキャナは、枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられ、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、前記光反射部で反射した光を2次元的に走査するように構成されていることを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、光を2次元的に走査することのできる光スキャナを提供することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられ、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、前記光反射部で反射した光を2次元的に走査するように構成された光スキャナを備えることを特徴とする。
これにより、低コスト化および小型化を図りつつ、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、光を2次元的に走査することのできる光スキャナを備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの好適な実施形態を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示すアクチュエータが備える駆動手段を示すブロック図、図4は、図3に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0016】
図1および図2に示すように、アクチュエータ1は、第1の振動系21と第2の振動系22とを備える基体2と、接合層4を介して基体2を支持する支持基板3と、支持基板3を介して基体2と対向する対向基板5と、第1の振動系21および第2の振動系22を駆動させる駆動手段6とを備えている。
図1に示すように、基体2は、枠状の支持部23と、支持部23に支持された第1の振動系21と、第1の振動系21に支持された第2の振動系22とを備えている。
【0017】
第1の振動系21は、支持部23の内側に設けられた枠状の駆動部材211と、駆動部材211を支持部23に両持ち支持する1対の第1の軸部材212、213とで構成されている。また、第2の振動系22は、駆動部材211の内側に設けられた可動板221と、可動板221を駆動部材211に両持ち支持する1対の第2の軸部材222、223とで構成されている。
【0018】
駆動部材211は、図1の平面視(すなわち、可動板221の平面視)にて、円環状をなしている。ただし、駆動部材211の形状は、枠状をなしていれば、特に限定されない。そして、この駆動部材211の下面には、後述する第1の軟磁性体61が固着されている。このような駆動部材211は、1対の第1の軸部材212、213によって支持部23に両持ち支持されている。
【0019】
第1の軸部材212、213は、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第1の軸部材212、213は、それぞれ、駆動部材211を支持部23に対して回動可能とするように、駆動部材211と支持部23とを連結している。このような第1の軸部材212、213は、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸X」という)を中心として、駆動部材211が支持部23に対して回動するように構成されている。
【0020】
駆動部材211の内側に形成された可動板221は、図1の平面視にて、円状をなしている。だたし、可動板221の形状は、特に限定されず、例えば、図1の平面視にて、楕円形状をなしていてもよし、四角形状をなしていてもよい。この可動板221の上面には、光反射性を有する光反射部221aが形成されている。一方、可動板221の下面には、後述する第2の軟磁性体62が固着されている。この可動板221は、1対の第2の軸部材222、223によって、駆動部材211に両持ち支持されている。
【0021】
第2の軸部材222、223は、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第2の軸部材222、223は、それぞれ、可動板221を駆動部材211に対して回動可能とするように、可動板221と駆動部材211とを連結している。このような第2の軸部材222、223は、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸Y」という)を中心として、可動板221が駆動部材211に対して回動するように構成されている。
【0022】
図1に示すように、回動中心軸Xと回動中心軸Yとは、互いに直交する軸である。すなわち、回動中心軸Xと回動中心軸Yとのなす角は、90度である。また、駆動部材211および可動板221のそれぞれの中心は、図1の平面視にて、回動中心軸Xおよび回動中心軸Yの交点上に位置している。なお、以下、説明の便宜上、回動中心軸Xおよび回動中心軸Yの交点を「交点G」ともいう。
【0023】
このような基体2は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板221と、第2の軸部材222、223と、駆動部材211と、第1の軸部材212、213と、支持部23とが一体的に形成されている。シリコンを主材料とすることで、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
【0024】
なお、基体2は、SOI基板等の積層構造を有する基板から、可動板221と、第2の軸部材222、223と、駆動部材211と、第1の軸部材212、213と、支持部23とを形成したものであってもよい。その際、可動板221と、第2の軸部材222、223と、駆動部材211と、第1の軸部材212、213と、支持部23とが一体的となるように、これらを積層構造基板の1つの層で構成するのが好ましい。
【0025】
図2に示すように、以上のような基体2は、接合層4を介して支持基板3と接合している。このような支持基板3は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。支持基板3は、可動板221の平面視にて、支持部23とほぼ同一形状をなしている(すなわち、枠状をなしている)。ただし、支持基板3の形状については、基体2を支持することができれば、特に限定されない。また、支持部23の形状などによっては、支持基板3を省略してもよい。
支持基板3と基体2との間に形成された接合層4は、例えば、ガラス、シリコン、またはSiO2を主材料として構成されている。ただし、このような接合層4は、省略してもよい。すなわち、基体2と支持基板3とが直接接合されているものであってよい。
【0026】
図2に示すように、支持基板3を介して、基体2と対向するように対向基板5が設けられている。このような対向基板5は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。対向基板5の上面には、第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62のそれぞれを磁化するためのコイル63が設けられている。このコイル63は、電圧印加手段64と電気的に接続されている。そして、第1の軟磁性体61と、第2の軟磁性体62と、コイル63と、電圧印加手段64とで駆動手段6を構成している。
第1の軟磁性体61は、図1の平面視にて、円形状をなしている。ただし、第1の軟磁性体61の形状については、特に限定されず、図1の平面視にて、楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。
【0027】
図1に示すように、第1の軟磁性体61は、駆動部材211の下面に固着されている。つまり、第1の軟磁性体61は、駆動部材211のコイル63と対向する面に固着されている。これにより、第1の軟磁性体61とコイル63との離間距離を短くすることができるため、アクチュエータ1の小型化および省電力化を図ることができる。
また、第1の軟磁性体61は、図1の平面視にて、駆動部材211の回動中心軸Xから遠位に位置する部位に固着されている。これにより、同一電圧下では、第1の軟磁性体61が駆動部材211の回動中心軸Xから近位に位置する部位に設けられている場合に比べて、駆動部材211を回動中心軸Xまわりに回動させる力が大きくなる。そのため、アクチュエータ1の省電力化を図りつつ、駆動部材211の回動角を大きくすることができる。
【0028】
また、第1の軟磁性体61は、図1の平面視にて、駆動部材211の回動中心軸Y上に位置する部位に固着されている。言い換えれば、第1の軟磁性体61は、図1の平面視にて、駆動部材211の回動中心軸X方向の中央部に固着されている。これにより、アクチュエータ1の駆動の際に、第1の軸部材212、213が回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸に直行する方向へ撓んでしまうことを抑制することができる。つまり、第1の軸部材212、213の回動中心軸Xまわりの捩れ変形以外の変形を抑制することができる。その結果、円滑に、駆動部材211を回動中心軸Xまわりに回動させることができ、アクチュエータ1は、所望の振動特性を発揮することができる。
【0029】
以上、第1の軟磁性体61について説明したが、第1の軟磁性体61を磁化することで、駆動部材211を回動中心軸Xまわりに回動させることができれば、第1の軟磁性体61の配置は、特に限定されない。例えば、第1の軟磁性体61は、図1の平面視にて、駆動部材211の回動中心軸Xから近位に位置する部位に固着されていてもよいし、駆動部材211の回動中心軸X方向の端部に固着されていてもよい。また、第1の軟磁性体61が駆動部材211の上面に固着されていてもよい。
【0030】
一方、可動板221に固着されている第2の軟磁性体62は、図1の平面視にて、円形状をなしている。ただし、第2の軟磁性体62の形状については、特に限定されず、平面視にて楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。
図1に示すように、第2の軟磁性体62は、可動板221の下面に固着されている。つまり、第2の軟磁性体62は、可動板221のコイル63と対向する面に固着されている。これにより、第2の軟磁性体62とコイル63との離間距離を短くすることができるため、アクチュエータ1の小型化および省電力化を図ることができる。また、第1の軟磁性体61は、第1の軟磁性体61が固着されている面と同じ側の面に固着されているため、アクチュエータ1の製造の簡易化を図ることができる。また、第2の軟磁性体62は、可動板221の光反射部221aと反対の面に固着されているため、第2の軟磁性体62によって、光反射部221aによる光走査が阻害されてしまうことを確実に防止することができる。
【0031】
また、第2の軟磁性体62は、図1の平面視にて、可動板221の回動中心軸Yから遠位に位置する部位に固着されている。これにより、同一電圧下では、第2の軟磁性体62が可動板221の回動中心軸Yから近位に位置する部位に設けられている場合に比べて、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させる力が大きくなる。そのため、アクチュエータ1の省電力化を図りつつ、可動板221の回動角を大きくすることができる。
【0032】
また、第2の軟磁性体62は、図1の平面視にて、可動板221の回動中心軸X上に位置する部位に固着されている。言い換えれば、第2の軟磁性体62は、図1の平面視にて、可動板221の回動中心軸Y方向の中央部に固着されている。これにより、アクチュエータ1の駆動の際に、第2の軸部材222、223が回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸に直行する方向へ撓んでしまうことを抑制することができる。つまり、第2の軸部材222、223の回動中心軸Yまわりの捩れ変形以外の変形を抑制することができる。その結果、円滑に、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させることができ、アクチュエータ1は、所望の振動特性を発揮することができる。
【0033】
以上、第2の軟磁性体62について説明したが、第2の軟磁性体62を磁化することで、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させることができれば、第2の軟磁性体62の配置は、特に限定されない。例えば、第2の軟磁性体62は、図1の平面視にて、可動板221の回動中心軸Yから近位に位置する部位に固着されていてもよいし、可動板221の回動中心軸Y方向の端部に固着されていてもよい。また、第1の軟磁性体61が可動板221の上面に固着されていてもよい。
このような第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62は、それぞれ、軟磁性材料を主材料として構成されている。このような軟磁性材料としては、特に限定されず、Fe、各種Fe合金(ケイ素鉄、パーマロイ、アモルファス、センダスト)などを好適に用いることできる。
【0034】
図1の平面視にて、このような第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62を囲むようにコイル63が形成されている。これにより、コイル63(つまり、1つのコイル)から発生する磁界によって、第1の軟磁性体61と第2の軟磁性体62とを磁化することができる。その結果、アクチュエータ1の小型化および低コスト化を図ることができる。
このようなコイル63は、電圧印加手段64と電気的に接続されている。そして、電圧印加手段64によってコイル63に電圧を印加することで、コイル63から回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸に直交する方向の磁束を有する磁界が発生する。そして、コイル63から発生した磁界によって磁化された第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62は、それぞれ、コイル63に引き付けられる。
【0035】
図3に示すように、電圧印加手段64は、可動板221を回動中心軸Xまわりに回動させるための第1の電圧V1を発生させる第1の電圧発生部641と、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させるための第2の電圧V2を発生させる第2の電圧発生部642と、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳し、その電圧をコイル63に印加する電圧重畳部643とを備えている。
【0036】
第1の電圧発生部641は、図4(a)に示すように、周期T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。すなわち、第1の電圧発生部641は、周波数(1/T1)の第1の電圧V1を発生させるものである。
第1の電圧V1は、パルス状に印加されている。このような第1の電圧V1により、アクチュエータ1は、効果的に光を垂直走査(副走査)することができる。すなわち、効果的に、可動板221を回動中心軸Xまわりに回動させることができる。だたし、第1の電圧V1のそれぞれの波形は、可動板221を回動中心軸Xまわりに回動させることができれば、これに限定されない。
【0037】
ここで、第1の電圧V1の周波数(1/T1)は、垂直走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、30〜80Hz(60Hz程度)であるのが好ましい。また、本実施形態では、第1の電圧V1の周波数は、駆動部材211と1対の第1の軸部材212、213とで構成された第1の振動系21のねじり共振周波数と異なる値に調整されている。
【0038】
一方、第2の電圧発生部642は、図4(b)に示すように、周期T1と異なる周期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。すなわち、第2の電圧発生部642は、周波数(1/T2)の第2の電圧V2を発生させるものである。
第2の電圧V2は、パルス状に印加されている。このような第2の電圧V2により、アクチュエータ1は、効果的に光を水平走査(主走査)することができる。すなわち、効果的に、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させることができる。だたし、第2の電圧V2の波形は、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させることができれば、これに限定されない。
【0039】
ここで、第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数と異なり、かつ、水平走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。第2の電圧V2の周波数を10〜40kHzとし、第1の電圧V1の周波数を60Hz程度とすることで、円滑に、かつ、ディスプレイでの描画に適した周波数で、可動板221を回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸まわりに回動させることができる。
【0040】
このように、第2の電圧V2の周波数を第1の電圧V1の周波数の100〜1000倍とすることで、円滑に、可動板221を回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸まわりに回動させることができる。ただし、可動板221を回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸まわりに回動させることができれば、第1の電圧V1の周波数と第2の電圧V2の周波数と関係(大きさの比)は、特に限定されない。
【0041】
この第2の電圧V2の周波数は、可動板221と1対の第2の軸部材222、223とで構成された第2の振動系22のねじり共振周波数と等しくなるように調整されている。つまり、第2の振動系22は、そのねじり共振周波数が水平走査に適した周波数になるように設計(製造)されている。これにより、可動板221の回動中心軸Yまわりの回動角を大きくすることができる。
【0042】
また、第1の振動系21の共振周波数をf[Hz]とし、第2の振動系22の共振周波数をf[Hz]としたとき、fとfとが、f>fの関係を満たすことが好ましく、f≧10fの関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に、可動板221を回動中心軸Xまわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸Yまわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
このような第1の電圧発生部641および第2の電圧発生部642は、それぞれ、制御部7に接続され、この制御部7からの信号に基づき駆動する。また、第1の電圧発生部641および第2の電圧発生部642には、電圧重畳部643が接続されている。
電圧重畳部643は、コイル63に電圧を印加するための加算器643aを備えている。加算器643aは、第1の電圧発生部641から第1の電圧V1を受けるとともに、第2の電圧発生部642から第2の電圧V2を受け、これらを重畳しコイル63に印加するようになっている。
【0043】
以上のような構成のアクチュエータ1は、次のようにして駆動する。
なお、本実施形態では、前述したように、第1の電圧V1の周波数は、第1の振動系21のねじり共振周波数と異なる値に設定されており、第2の電圧V2の周波数は、第2の振動系22のねじり共振周波数と等しく、かつ、第1の電圧V1の周波数よりも大きくなるように設定されている(例えば、第1の電圧V1の周波数が60Hzで、第2の電圧V2の周波数が15kHz)。
【0044】
例えば、図4(a)に示すような第1の電圧V1と図4(b)に示すような第2の電圧V2とを重畳してコイル63に印加する(この重畳された電圧を「電圧V3」ともいう)。
すると、電圧V3のうちの第1の電圧V1に対応する電圧によって、駆動部材211の第1の軟磁性体61付近をコイル63に引き付けようとする磁界(この磁界を「磁界A」という)が間欠的に発生する。
【0045】
ここで、図1の平面視にて、第1の軟磁性体61は、駆動部材211の回動中心軸Xから離間した部位に固着されている。そのため、磁界Aが間欠的に発生することで、第1の軸部材212、213を捩れ変形させつつ、駆動部材211が可動板221とともに、第1の電圧V1の周波数で回動中心軸Xまわりに回動する。
なお、第1の電圧V1の周波数は、第2の電圧V2の周波数に比べて極めて低く設定されている。また、第1の振動系21の共振周波数は、第2の振動系22の共振周波数よりも低く設計されている(例えば、第2の振動系22の共振周波数の1/10以下)。つまり、第1の振動系21は、第2の振動系22よりも振動しやすいように設計されているため、第1の電圧V1によって回動中心軸Xまわりに回動する。すなわち、第2の電圧V2によって、駆動部材211が回動中心軸Xまわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0046】
一方、電圧V3のうちの第2の電圧V2に対応する電圧によって、可動板221の第2の軟磁性体62付近をコイル63に引き付けようとする磁界(この磁界を「磁界B」という)が間欠的に発生する。
ここで、図1の平面視にて、第2の軟磁性体62は、可動板221の回動中心軸Yから離間した部位に固着されている。そのため、磁界Bが間欠的に発生することで、第2の軸部材222、223を捩れ変形させつつ、可動板221が第2の電圧V2の周波数で回動中心軸Yまわりに回動する。
【0047】
なお、第2の電圧V2の周波数は、第2の振動系22のねじり共振周波数と等しい。そのため、第2の電圧V2によって、支配的に、可動板221を回動中心軸Yまわりに回動させることができる。つまり、第1の電圧V1によって、可動板221が回動中心軸Yまわりに回動してしまうことを防止することができる。
以上より、アクチュエータ1にあっては、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳させた電圧V3をコイル63に印加することで、可動板221を回動中心軸Xまわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸Yまわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。これにより、低コスト化および小型化を図るとともに、可動板221を回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸まわりに回動させることができる。
【0048】
また、このようなアクチュエータ1では、第1の電圧V1および第2の電圧V2を適宜変更することで、基体2、第1の軟磁性体61、第2の軟磁性体62などの設計を変更することなく、所望の振動特性を得ることができる。
また、基体2に第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62を固着し、第1の軟磁性体61および第2の軟磁性体62に対向するようにコイル63を設けることで、通電によってコイル63から発生する熱による基体2の熱膨張を抑制することができる。すなわち、アクチュエータ1は、長時間の連続使用であっても、所望の振動特性を発揮することができる。
【0049】
以上説明したようなアクチュエータ1は、光反射部221aを備えているため、例えば、加速度センサ、角速度センサなどのMEMS応用センサや、レーザープリンタ、バーコードリーダー、走査型共焦点レーザー顕微鏡、イメージング用ディスプレイ等の画像形成装置に備える光スキャナ、光スイッチ、光アッテネータなどの光学デバイスに用いることができる。なお、本発明の光スキャナは、前述したアクチュエータと同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0050】
ここで、図5に基づき、画像形成装置の一例として、アクチュエータ1をイメージング用ディスプレイの光スキャナとして用いた場合を説明する。なお、スクリーンSの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。また、回動中心軸XがスクリーンSの横方向と平行であり、回動中心軸YがスクリーンSの縦方向と平行である。
【0051】
画像形成装置(プロジェクタ)9は、レーザーなどの光を照出する光源装置91と、複数のダイクロイックミラー92、92、92と、アクチュエータ1とを有している。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
各ダイクロイックミラー92は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
【0052】
このようなプロジェクタ9は、図示しないホストコンピュータからの画像情報に基づいて、光源装置91(赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913)から照出された光をダイクロイックミラー92で合成し、この合成された光がアクチュエータ1によって2次元走査され、スクリーンS上でカラー画像を形成するように構成されている。
【0053】
2次元走査の際、アクチュエータ1の可動板221の、回動中心軸Yまわりの回動により光反射部221aで反射した光がスクリーンSの横方向に走査(主走査)される。一方、アクチュエータ1の可動板221の、回動中心軸Xまわりの回動により光反射部221aで反射した光がスクリーンSの縦方向に走査(副走査)される。
なお、図5中では、ダイクロイックミラー92で合成された光をアクチュエータ1によって2次元的に走査した後、その光を固定ミラーMで反射させてからスクリーンSに画像を形成するように構成されているが、固定ミラーMを省略し、アクチュエータ1によって2次元的に走査された光を直接スクリーンSに照射してもよい。
【0054】
以上、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0055】
また、前述した実施形態では、アクチュエータは、Y軸およびX軸のそれぞれの軸に対しほぼ対称な形状をなしているが、非対称であってもよい。
また、前述した実施形態では、駆動部材に1つの第1の軟磁性体が固着されており、可動板221に1つの第2の軟磁性体が固着されているものについて説明したが、可動板221を回動中心軸Xおよび回動中心軸Yのそれぞれの軸まわりに回動させることができれば、第1の軟磁性体および第2の軟磁性体の数は、特に限定されない。
【0056】
また、前述した実施形態では、コイルは、可動板の平面視にて、第1の軟磁性体および第2の軟磁性体を囲むように形成されていたが、第1の軟磁性体および第2の軟磁性体のそれぞれを磁化することができれば、特に限定されず、例えば、可動板の平面視にて、駆動部材211を囲むように形成されていてもよい。このようにコイルを形成することで、駆動部材および可動板のそれぞれとコイルとの接触を確実に防止することができるため、第1の軟磁性体および第2の軟磁性体とコイルとをより接近させることができる。その結果、アクチュエータの小型化および省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のアクチュエータの好適な実施形態を示す平面図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】図1に示すアクチュエータが備える駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図である。
【図4】図3に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0058】
1‥‥‥アクチュエータ 2‥‥‥基体 21‥‥‥第1の振動系 211‥‥‥駆動部材 212、213‥‥‥第1の軸部材 22‥‥‥第2の振動系 221‥‥‥可動板 221a‥‥‥光反射部 222、223‥‥‥第2の軸部材 23‥‥‥支持部 3‥‥‥支持基板 4‥‥‥接合層 5‥‥‥対向基板 6‥‥‥駆動手段 61‥‥‥第1の軟磁性体 62‥‥‥第2の軟磁性体 63‥‥‥コイル 64‥‥‥電圧印加手段 641‥‥‥第1の電圧発生部 642‥‥‥第2の電圧発生部 643‥‥‥電圧重畳部 643a‥‥‥加算器 7‥‥‥制御部 9‥‥‥画像形成装置(プロジェクタ) 91‥‥‥光源装置 911‥‥‥赤色光源装置 912‥‥‥青色光源装置 913‥‥‥緑色光源装置 92‥‥‥ダイクロイックミラー M‥‥‥固定ミラー S‥‥‥スクリーン X、Y‥‥‥回動中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられた可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させるように構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から遠位に位置する部位に設けられている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視して、前記駆動部材の前記Y軸上に設けられている請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の軟磁性体は、前記駆動部材の前記コイルと対向する面に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の板面の前記Y軸から遠位に位置する部位に設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記X軸上に設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の前記コイルと対向する面に設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記コイルは、前記可動板の平面視にて、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体を囲むように設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第2の電圧の周波数が前記第2の振動系の共振周波数と等しく、前記第1の電圧の周波数が前記第1の振動系の共振周波数と異なっている請求項1ないし8のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第1の電圧および前記第2の電圧のそれぞれは、パルス状に印加させる請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記可動板は、前記第2の軟磁性体と反対の面に設けられた光反射性を有する光反射部を有している請求項1ないし10のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項12】
枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられ、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、前記光反射部で反射した光を2次元的に走査するように構成されていることを特徴とする光スキャナ。
【請求項13】
枠状の駆動部材と、前記駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、前記駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、
前記駆動部材の内側に設けられ、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、前記可動板を前記X軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、前記可動板を前記駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、
前記駆動部材に設けられた第1の軟磁性体と、前記可動板に設けられた第2の軟磁性体と、前記第1の軟磁性体および前記第2の軟磁性体に対向するように設けられたコイルと、該コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段とを有し、
前記第1の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記駆動部材の前記X軸から離間した位置に設けられ、
前記第2の軟磁性体は、前記可動板の平面視にて、前記可動板の前記Y軸から離間した位置に設けられ、
前記電圧印加手段は、周期的に変化し、その周波数が互いに異なる第1の電圧と第2の電圧とを発生させる電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1の電圧の周波数で前記X軸まわりに回動させつつ、前記第2の電圧の周波数で前記Y軸まわりに回動させ、前記光反射部で反射した光を2次元的に走査するように構成された光スキャナを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−228444(P2008−228444A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62984(P2007−62984)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】